【実施例】
【0014】
以下本発明の一実施例による吸引作業車について説明する。
図1(a)は本実施例による吸引作業車の一方の側面図、
図1(b)は同吸引作業車の平面図、
図1(c)は同吸引作業車の他方の側面図である。
本実施例による吸引作業車は、キャビン11と荷台12とを有する車輌に、汚水、汚泥や土砂などの処理物を収容するタンク20と、タンク20を減圧する真空ポンプ30と、真空ポンプ30に供給する水を貯えるポンプ冷却水タンク40と、洗浄に用いる洗浄水を貯える洗浄用水タンク50とを有している。
タンク20は、中心軸を水平方向とする円筒形状の胴部20aと、胴部20aの車輌後方側開口を閉塞する端板20bと、胴部20aの車輌前方側開口を閉塞する端板20cとから構成される。
端板20bの下部には吸引バルブ21を、胴部20aの車輌前方側の上面にはタンク主マンホール22を備えている。
真空ポンプ30は、シールと冷却に水を用いるポンプであり、例えばルーツブロワを利用している。
ポンプ吸込口31は、吸引バルブ21と吸込配管60で接続され、ポンプ吐出口32は、吐出配管70を介して気水分離器80と接続されている。
図示は省略するが、洗浄用水タンク50内の水は、洗浄用水ポンプによってホースに導かれ、ホース先端のノズルから噴射されて洗浄水に用いられる。
気水分離器80は、ポンプ吐出口32から吐出される気体から水を分離し、気体を排気口81から排気し、水をポンプ冷却水タンク40に戻す。
【0015】
図2は、本実施例による吸引作業車における真空ポンプの動作を示す経路図である。
吸込配管60には、セパレータ91やサイクロンなどのキャッチャ(図示せず)が設けられ、セパレータ91やキャッチャで気体から汚水、汚泥や土砂などの処理物を分離する。
吐出配管70と吸込配管60とは循環用配管92で接続され、循環用配管92には、負荷開放弁93を設けている。
ポンプ冷却水タンク40の底部と真空ポンプ30とは水供給管41で接続されている。
真空ポンプ30は、ポンプ吸込口31、ポンプ吐出口32、及び水導入口33を有する。
【0016】
真空ポンプ30を動作することによって、タンク20内の気体は吸込配管60を通ってポンプ吸込口31から真空ポンプ30に吸い込まれる。従って、タンク20内は減圧され、吸引バルブ21を開放することで、吸引バルブ21に接続したホース(図示せず)から汚水、汚泥や土砂などの処理物をタンク20に収容する。
真空ポンプ30には、水供給管41からポンプ冷却水タンク40の水が供給され、供給される水によって真空ポンプ30をシールするとともに冷却する。
ポンプ吐出口32から吐出配管70を通って、ポンプ吸込口31から吸い込まれた気体と、水供給管41から供給された水とが吐出される。
ポンプ吐出口32から吐出された水は、気水分離器80で気体から分離されてポンプ冷却水タンク40に戻される。
ポンプ冷却水タンク40に戻された水は、再び水供給管41から真空ポンプ30に供給される。
タンク20内が所定の値まで減圧されると、負荷開放弁93が開放され、ポンプ吐出口32から吐出された気体及び水はポンプ吸込口31に戻されることで循環する。
【0017】
図3(a)は
図1(b)の要部平面図、
図3(b)は
図3(a)の側断面構成図である。
気水分離器80の下部はポンプ冷却水タンク40内に臨ませ、洗浄用水タンク50の下部はポンプ冷却水タンク40内に臨ませている。
気水分離器80の周壁82には吐出配管70が接続され、気水分離器80の底面83には導水口84を形成している。気水分離器80は、周壁82によって筒状に形成され、吐出配管70から導入される気体及び水は周壁82に沿って旋回する。
【0018】
気水分離器80の周壁82の一部は、洗浄用水タンク50の周壁51の一部としている。なお、気水分離器80の周壁82の一部を、洗浄用水タンク50と同一部材として洗浄用水タンク50の周壁51の一部としてもよいが、気水分離器80の周壁82の一部と洗浄用水タンク50の周壁51の一部とを接触させてもよい。
気水分離器80の周壁82の一部を、洗浄用水タンク50の周壁51の一部とすることで、気水分離器80の周壁82を洗浄水で冷却できるので、気水分離器80での気体からの水の分離機能を高めることができる。
このように、気水分離器80と洗浄用水タンク50とを接触させることで、ポンプ冷却水タンク40内の水の温度を低下させ、洗浄用水タンク50内の洗浄水の温度を高めることができるとともに、気水分離器80での気体からの水の分離機能を高めることができる。
また、ポンプ冷却水タンク40と洗浄用水タンク50とを接触させることで、ポンプ冷却水タンク40内の水を洗浄用水タンク50内の洗浄水で冷却することができる。
【0019】
本実施例では、気水分離器80の底面83、及び洗浄用水タンク50の底面52を、ポンプ冷却水タンク40内の水面よりも高い位置としている。従って、気水分離器80及び洗浄用水タンク50によって、ポンプ冷却水タンク40内の貯水空間を減少させることが無いので、ポンプ冷却水タンク40の容量を小さくできる。
【0020】
なお、洗浄用水タンク50の底面52に、ヒートパイプや伝熱フィンを設けてもよい。ヒートパイプや伝熱フィンをポンプ冷却水タンク40内の貯水空間に臨ませることで、ポンプ冷却水タンク40内の水の熱を洗浄水に伝えやすくなる。
また、洗浄用水タンク50の底面52を、ポンプ冷却水タンク40内の水面よりも低い位置としてもよい。洗浄用水タンク50の底面52を、ポンプ冷却水タンク40内の水面よりも低い位置とすることで、ポンプ冷却水タンク40内の水の熱を洗浄水に伝えやすくなる。
【0021】
以下に本発明の測定実験結果について説明する。
実験では、車輌として車輌型式(SKG−NKR85YN−FN5ANY)(いすゞ自動車株式会社製)、架装として架装型式(RBX24PVDBG)(株式会社モリタエコノス社製)、真空ポンプ30としてポンプ型式(REW125−WT)を用いた。
比較例として洗浄用水タンク50を備えていないものを用いた。
測定方法では、真空ポンプ30の回転数1700r/min、最高真空度−0.093MPaにて60分の連続運転を行い、洗浄用水タンク50内の洗浄水量を100L、ポンプ冷却水タンク40内の初期貯水量を130Lとして残水量を計測するとともに、洗浄用水タンク50内の水温、気水分離器80から排気される気体の排気温度を計測した。なお、測定実施日の外気温度は20℃で天候は晴れであった。
【0022】
図4は測定実験結果を示すグラフであり、縦軸が温度及び水量、横軸が経過時間である。
実施例と比較例とでは、60分経過時点で、排気温度は3.1℃、水温は2.7℃の差があり、残水量では50%の違いが生じた。また、洗浄水温度は40℃を超える温度まで上昇した。
この測定実験結果から、洗浄水が真空ポンプ30から吐出される気体及び水から吸熱することで排気温度や冷却水温度の上昇を抑制し、洗浄水の温度を上昇させる効果があり、水の蒸発を抑制することで連続運転時間を約50%延ばすことができ、40℃以上の洗浄水とすることで洗浄効果の向上を期待できる、ということが分かった。
【0023】
以上のように、本実施例によれば、真空ポンプ30を冷却した後の水を、洗浄用水タンク50内の洗浄水で冷却することで、真空ポンプ30に供給する水の温度を低下させることで水の蒸発量を減少できるためポンプ冷却水タンク40の容量を小さくでき、また洗浄水の温度を高めることで洗浄能力を高めることができる。