(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385165
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】しゃ断機
(51)【国際特許分類】
B61L 29/00 20060101AFI20180827BHJP
【FI】
B61L29/00
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-136311(P2014-136311)
(22)【出願日】2014年7月1日
(65)【公開番号】特開2016-13761(P2016-13761A)
(43)【公開日】2016年1月28日
【審査請求日】2017年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130476
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 昭穂
(72)【発明者】
【氏名】福田 翔
(72)【発明者】
【氏名】池田 隆浩
【審査官】
白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】
実開平06−055930(JP,U)
【文献】
特開2007−125918(JP,A)
【文献】
特開2007−292261(JP,A)
【文献】
特開平10−119781(JP,A)
【文献】
特開2006−069333(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0126598(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に回転伝達機構を有するしゃ断機であって、
前記回転伝達機構は、回転駆動源の回転駆動力をしゃ断かん駆動用の主軸に伝達するものであり、前記主軸を支持する支持機構から分離した支持機構により支持されている、しゃ断機。
【請求項2】
請求項1に記載されたしゃ断機であって、前記回転伝達機構は、歯車列を含み、前記主軸を支持する前記支持機構は、側面板を含み、前記主軸を支持する前記支持機構から分離した支持機構には、支持部材が含まれる、しゃ断機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたしゃ断機であって、
前記主軸は、前記筐体の側面板によって支持されており、
前記回転伝達機構の前記支持機構は、前記側面板を含まない、しゃ断機。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載されたしゃ断機であって、
前記筐体は、地面に設置されるスタンドに取り付けられており、
前記支持機構は、前記スタンドに設けられている、しゃ断機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、しゃ断機、具体的には踏切しゃ断機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の踏切しゃ断機は、一般に、しゃ断かんの回転軸を、筐体によって支持するとともに、しゃ断かん回転軸に対してモータの回転駆動力を伝達する回転伝達機構(減速伝達手段)をも、筐体によって支持する構造となっていた(特許文献1)。
【0003】
上述した一般的なしゃ断機では、
図6にイメージとして示すように、しゃ断かん1が下降位置にあるときは、風圧により筐体13をねじる方向に負荷が作用する。しゃ断かん1が上昇位置にあるときは、
図7に示すように、風圧により筐体13を上下に曲げる方向に負荷が作用する。
【0004】
上述した負荷に起因する筐体13の撓みにより、歯車機構でなる回転伝達機構に動作不具合が生じないようにするため、従来は、筐体13を強固に補強する必要があった。このため、しゃ断機のコストが高くなると共に、重量も重くなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−125918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、しゃ断機に作用する負荷の特性に着目し、回転伝達機構を構成する歯車機構を、負荷の影響を受けにくい位置に設けることにより、筐体をより簡易に設計し得るようにしたしゃ断機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明に係るしゃ断機は、筐体内に回転伝達機構を有する。この回転伝達機構は、回転駆動源の回転駆動力
をしゃ断かん駆動用の主軸に伝達するものであり
、主軸
を支持する支持機構から分離した支持機構によ
り支持されている。
【0008】
上述したように、本発明に係るしゃ断機において、回転駆動源の回転駆動力を、しゃ断かん駆動用の主軸に伝達する回転伝達機構は、前記主軸のモーメントを受けない支持機構によって支持されているから、しゃ断かん駆動用主軸の有するモーメントが、しゃ断かん回転軸から筐体の側面板に加わり、筐体が側面板を中心として撓んだとしても、支持機構、及び、それによって支持されている回転伝達機構は影響を受けない。従って、筐体をより簡易に設計し得る。即ち、本発明は、しゃ断機に作用する負荷の特性に着目し、回転伝達機構を構成する歯車機構を、負荷の影響を受けにくい位置に設けることにより、筐体をより簡易に設計し得るようにしたものである。
【0009】
具体的な形態として、
回転伝達機構は、歯車列を含み、主軸を支持する支持機構は、側面板を含み、主軸を支持する支持機構から分離した支持機構には、支持部材が含まれる。
【0010】
本発明に係るしゃ断機は、典型的には、電気踏切しゃ断機であるが、駐車場の出入口に設置される電気しゃ断機としても用いることができる。
【発明の効果】
【0011】
以上述べたように、本発明によれば、しゃ断機に作用する負荷の特性に着目し、回転伝達機構を構成する歯車機構を、負荷の影響を受けにくい位置に設けることにより、筐体をより簡易に設計し得るしゃ断機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係るしゃ断機の概略を示す部分破断面図である。
【
図2】
図1に示したしゃ断機の平面部分断面図である。
【
図3】
図1及び
図2に示したしゃ断機の作用を説明する平面部分断面図である。
【
図4】本発明に係るしゃ断機の別の形態を示す平面部分断面図である。
【
図5】
図4に示したしゃ断機の平面部分断面図である。
【
図6】しゃ断かんが下降位置にある場合の一般的な踏切しゃ断機の負荷状態を、イメージとして示す図である。
図4に示したしゃ断機の平面部分断面図である。
【
図7】しゃ断かんが上昇位置にある場合の一般的な踏切しゃ断機の負荷状態を、イメージとして示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1及び
図2に例示された電気式踏切しゃ断機は、しゃ断かん1と、これを駆動する主軸3と、モータでなる回転駆動源7の回転駆動力を、主軸3に伝達する回転伝達機構9を含んでいる。しゃ断かん1は、主軸3の回転とともに上昇方向UPに回転駆動され、又は、自己の有する下降トルクにより下降方向DWに回転する。
【0014】
主軸3、回転駆動源7及び回転伝達機構9は、筐体13の内部に配置されている。筐体13は、従来より多用されてきた鋳物製品であってもよいし、板金加工品であってもよい。この実施の形態では、板金加工品であるとして説明する。
【0015】
筐体13は、地面に設置されるスタンド11の上端に、その上面111を全周から覆うようにして取り付けられている。筐体13は、側面板131〜134を有しており、対向する2枚の側面板131、132に主軸3を貫通させてある。従って、主軸3は、筐体13の側面板131、132によって支持されることになる。
【0016】
筐体13の内部に配置されている回転伝達機構9は、回転駆動源7の回転駆動力を、しゃ断かん駆動用の主軸3に伝達するものである。回転伝達機構9は、回転駆動源7の回転駆動力を順次に伝達する歯車91〜96の列を含む。このような歯車列は周知である。
【0017】
従来と異なる本発明の特徴は、回転伝達機構9が、主軸3のモーメントを受けない支持機構5によって支持されていること、別の表現を用いれば、回転伝達機構9の支持機構5が、主軸3を支持する支持機構から分離されていることである。
【0018】
この実施の形態では、上述したように、主軸3が、筐体13の側面板131、132によって支持されているので、回転伝達機構9は、少なくとも、側面板131、132を含まない支持機構5によって支持されることになる。
【0019】
その具体的な形態として、
図1及び
図2では、側面板131〜134から独立する支持部材51、52を、間隔を隔てて対向させ、両者51、52を連結部材53、54によって結合し、支持部材51、52の下端をスタンド11の上面111に機械的結合手段、又は接合手段によって固定する。支持部材51、52の上端は、主軸3よりも低い位置にある。
【0020】
支持部材51、52は、回転駆動源7及び歯車91〜95を支持するのに適した構造であればよく、必ずしも、板材である必要はない。連結部材53、54も、支持部材51、5を結合するものであればよく、必ずしも、複数の独立する棒状である必要はない。例えば、支持部材51、52の周辺に沿うように連続して配置された一枚又は複数枚の板状部材であってもよい。
【0021】
支持部材51、52の対向間隔内には、歯車91〜96が配置されている。歯車91〜96は、回転駆動源7の回転軸に同軸に取り付けられたピニオンギヤ91に、平歯車94を噛み合わせ、この平歯車94と同軸のピニオンギヤ95に、扇形歯車96を噛みあわせた組合せとなっている。扇形歯車96の回転軸は主軸3によって構成されている。ピニオンギヤ91をとりつけた回転駆動源7、歯車92及び歯車94は、支持部材51、52によって支持されている。
【0022】
上述した本発明に係るしゃ断機において、回転駆動源7の回転駆動力を、しゃ断かん駆動用の主軸3に伝達する回転伝達機構9は、主軸3のモーメントを受けない支持機構5によって支持されているから、
図3に図示するように、しゃ断かん1の回転モーメントMfが、しゃ断かん回転軸である主軸3から筐体13の側面板131〜134に加わり、筐体13が、側面板131〜134を中心として撓んだとしても(13A)、回転伝達機構9を支持する支持部材51、52は影響を受けない。従って、筐体13をより簡易に設計し得る。即ち、本発明によれば、しゃ断機に作用する負荷の特性に着目し、回転伝達機構9を構成する歯車機構を、負荷の影響を受けにくい位置に設けることにより、筐体13をより簡易に設計し得る。
【0023】
本発明の特徴は、上述したように、回転伝達機構9が、主軸3のモーメントを受けない支持機構5によって支持されていること、別の表現を用いれば、回転伝達機構9の支持機構5が、主軸3を支持する支持機構から分離されていることであり、このような条件を満たす構造は、上述した形態の他にも、種々考えることができる。その一例を、
図4及び
図5に示した。図において、
図1〜
図3に現れた構成部分と同一又は類似の構成部分については、同一または類似の参照符号を付し、重複説明はこれを省略することがある。
【0024】
図4、
図5に示した実施の形態では、支持機構5を構成する支持部材51、52の下端部を、スタンド11に固定せずに、いわゆる「縁切り」状態とし、上端部を上方向(
図4において)に延長して、その部分に主軸3を緩く貫通(
図5参照)させてある。
【0025】
図4及び
図5に示した実施の形態において、しゃ断かん1の回転モーメントによって、主軸3が負荷を受け筐体13が撓んだとしても、回転伝達機構9を支持する支持部材51、52は影響を受けない。
【0026】
以上の実施の形態で説明された構成、形状、大きさ、及び、配置関係については、本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものに過ぎない。従って、本発明は、説明された形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 しゃ断かん
3 主軸
5 支持機構