特許第6385167号(P6385167)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385167
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】駆動機構
(51)【国際特許分類】
   B60K 6/36 20071001AFI20180827BHJP
   F16H 61/02 20060101ALI20180827BHJP
   B60K 6/40 20071001ALI20180827BHJP
   B60K 6/383 20071001ALI20180827BHJP
   B60K 6/26 20071001ALI20180827BHJP
   B60K 6/38 20071001ALI20180827BHJP
   B60K 6/48 20071001ALI20180827BHJP
   B60K 6/543 20071001ALI20180827BHJP
   B60L 11/14 20060101ALI20180827BHJP
   B60L 1/00 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   B60K6/36
   F16H61/02ZHV
   B60K6/40
   B60K6/383
   B60K6/26
   B60K6/38
   B60K6/48
   B60K6/543
   B60L11/14
   B60L1/00 L
【請求項の数】11
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2014-140900(P2014-140900)
(22)【出願日】2014年7月8日
(65)【公開番号】特開2016-16753(P2016-16753A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2017年5月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231350
【氏名又は名称】ジヤトコ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】奥田 隆之
【審査官】 田中 将一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−071752(JP,A)
【文献】 特開2000−046165(JP,A)
【文献】 特開2013−095261(JP,A)
【文献】 特開2014−034983(JP,A)
【文献】 特開2009−090781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/20 − 6/547
B60L 1/00 − 3/12
B60L 7/00 − 13/00
B60L 15/00 − 15/42
B60W 10/00 − 20/50
F16H 59/00 − 61/12
F16H 61/16 − 61/24
F16H 61/66 − 61/70
F16H 63/40 − 63/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力軸を有し、
出力軸を有し、
前記入力軸の動力を前記出力軸へ伝達する動力伝達経路を有し、
前記動力伝達経路内に、第1動力断続機構を有し、
前記動力伝達経路外に、第2動力断続機構を有し、
前記動力伝達経路外に、第3動力断続機構を有し、
前記動力伝達経路外に、モータを有し、
前記動力伝達経路外に、オイルポンプを有し、
前記入力軸の動力は、前記第1動力断続機構を介して、前記出力軸へ伝達可能であり、
前記入力軸の動力は、前記第1動力断続機構を介さず、且つ、前記第2動力断続機構を介して、前記モータ及び前記オイルポンプへ伝達可能であり、
前記出力軸の動力は、前記第1動力断続機構を介さず、且つ、前記第3動力断続機構を介して、前記モータ及び前記オイルポンプへ伝達可能であり、
前記モータは発電機能を有し、
前記入力軸及び前記出力軸が停止しているとき、前記動力伝達経路外に配置された前記モータの回転により前記オイルポンプを駆動可能である
ことを特徴する駆動機構。
【請求項2】
前記入力軸及び前記出力軸が停止しているとき、前記第2動力断続機構及び前記第3動力断続機構が動力遮断状態となった状態で、前記モータの回転により前記オイルポンプを駆動可能である
ことを特徴とする、請求項1記載の駆動機構。
【請求項3】
前記入力軸が停止しているとき、前記第3動力断続機構が動力伝達状態となった状態で、前記出力軸の回転により前記モータ及び前記オイルポンプを駆動可能である
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の駆動機構。
【請求項4】
前記動力伝達経路内に、変速比調整機構を有し、
前記出力軸の回転を、前記変速比調整機構及び第3動力断続機構を介して、前記モータ及び前記オイルポンプへ伝達可能である
ことを特徴とする、請求項3記載の駆動機構。
【請求項5】
前記動力伝達経路内に、変速比調整機構を有し、
前記入力軸が所定回転速度以下で回転しているとき、前記第2動力断続機構及び前記第3動力断続機構を動力遮断状態として、前記モータの回転により前記オイルポンプを駆動させることにより、前記変速比調整機構の変速を行う
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の駆動機構。
【請求項6】
前記入力軸が所定回転速度以下で回転しているとき、前記第2動力断続機構及び前記第3動力断続機構を動力遮断状態として、前記モータの回転により前記オイルポンプを駆動させることにより、前記変速比調整機構の変速を行うことを特徴とする、請求項4記載の駆動機構。
【請求項7】
第1回転部材と、第2回転部材と、前記第1回転部材及び前記第2回転部材に掛け回された第1無端状部材と、を有する第1動力伝達機構を有し、
前記モータと前記オイルポンプとは、前記第1動力伝達機構を介して連結されている
ことを特徴とする、請求項1〜6の何れか一項に記載の駆動機構。
【請求項8】
第3回転部材と、第4回転部材と、前記第3回転部材及び前記第4回転部材に掛け回された第2無端状部材を有する第2動力伝達機構と、を有し、
前記入力軸と、前記モータ及び前記オイルポンプの少なくとも一方とは、前記第2動力伝達機構を介して連結されている
ことを特徴とする、請求項1〜7の何れか一項に記載の駆動機構。
【請求項9】
前記第2動力断続機構は、前記第3回転部材又は前記第4回転部材の内周に位置するワンウェイクラッチを有する
ことを特徴とする、請求項8記載の駆動機構。
【請求項10】
前記第2動力断続機構及び前記第3動力断続機構の少なくとも一方は、ワンウェイクラッチを有する
ことを特徴とする、請求項1〜8の何れか一項に記載の駆動機構。
【請求項11】
駆動源を有し、
駆動輪を有し、
請求項1〜10の何れか一項に記載の駆動機構を有し、
前記入力軸には、前記駆動源の動力が入力され
前記駆動輪には、前記出力軸の動力が出力される
ことを特徴とする、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変速機構を有する駆動機構に関するものであり、特に、車両を駆動させるための機構(車両用駆動機構)に使用して好適な駆動機構、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、エンジン及び電動モータを備えたハイブリッド自動車の駆動装置において、自動変速機に作動油を供給するオイルポンプの駆動をエンジン又は電動モータにより行えるようにした技術が記載されている。
【0003】
この特許文献1は、エンジン、電動モータ、第1ワンウェイクラッチ、第2ワンウェイクラッチ、無段変速機構、オイルポンプ及び駆動輪を有する車両を開示しており、エンジンは第1ワンウェイクラッチを介してオイルポンプへ動力を伝達することができ、電動モータは第2ワンウェイクラッチを介してオイルポンプへ動力を伝達することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−71752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された車両では、電動モータは無段変速機構の入力軸に直結されて、電動モータが無段変速機構を介して駆動輪へ常に接続される構造となっているため電動モータが回転すると駆動輪も回転してしまうことから電動モータの使用が制限されてしまうといった課題がある。
【0006】
つまり、特許文献1に記載された車両では、電動モータでオイルポンプを駆動すると車両が発進してしまうため、停車中はエンジンと無段変速機との間の前後進切替機構をニュートラル状態として(前進クラッチ及び後退ブレーキを解放して)エンジンを作動させてオイルポンプを駆動させることになる(特許文献1の図2参照)。
【0007】
特許文献1ではアイドルストップ時について検討がなされていないが、もしも特許文献1に記載の車両においてアイドルストップを行おうとすると、アイドルストップ時(停車時且つエンジン停止時)には、エンジン停止のためにエンジンによるオイルポンプの駆動も電動モータによるオイルポンプの駆動もできずに無段変速機構に油圧が供給されない状態になる。
【0008】
そのため、アイドルストップから再発進するとき、エンジンを再始動してエンジンによりオイルポンプを駆動することになる。
【0009】
これによりオイルポンプから変速機構に必要な油圧を供給できるようになるまでの時間がタイムラグとして生じてしまう。
【0010】
このタイムラグを減らすため、アイドルストップ時にオイルポンプを駆動するための専用のモータを別途取り付ける方法も考えられるがコストが増加してしまうので好ましくない。
【0011】
本発明は、かかる課題に鑑み創案されたもので、モータの使用用途を拡大するとともにオイルポンプを様々な態様で駆動できるようにすることで、従来よりも多機能な駆動機構を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本願発明の駆動機構は、入力軸を有し、出力軸を有し、前記入力軸の動力を前記出力軸へ伝達する動力伝達経路を有し、前記動力伝達経路内に、第1動力断続機構を有し、前記動力伝達経路外に、第2動力断続機構を有し、前記動力伝達経路外に、第3動力断続機構を有し、前記動力伝達経路外に、モータを有し、前記動力伝達経路外に、オイルポンプを有し、前記入力軸の動力は、前記第1動力断続機構を介して、前記出力軸へ伝達可能であり、前記入力軸の動力は、前記第1動力断続機構を介さず、且つ、前記第2動力断続機構を介して、前記モータ及び前記オイルポンプへ伝達可能であり、前記出力軸の動力は、前記第1動力断続機構を介さず、且つ、前記第3動力断続機構を介して、前記モータ及び前記オイルポンプへ伝達可能であり、前記モータは発電機能を有し、前記入力軸及び前記出力軸が停止しているとき、前記動力伝達経路外に配置された前記モータの回転により前記オイルポンプを駆動可能であることを特徴する。
【0013】
前記入力軸及び前記出力軸が停止しているとき、前記第2動力断続機構及び前記第3動力断続機構が動力遮断状態となった状態で、前記モータの回転により前記オイルポンプを駆動可能であることが好ましい。
【0014】
前記入力軸が停止しているとき、前記第3動力断続機構を動力伝達状態となった状態で、前記出力軸の回転により前記モータ及び前記オイルポンプを駆動可能であることが好ましい。
【0015】
前記動力伝達経路内に、変速比調整機構を有し、前記出力軸の回転を、前記変速比調整機構及び第3動力断続機構を介して、前記モータ及び前記オイルポンプへ伝達可能であることが好ましい。
【0016】
前記動力伝達経路内に、変速比調整機構を有し、前記入力軸が所定回転速度以下で回転しているとき、前記第2動力断続機構及び前記第3動力断続機構を動力遮断状態として、前記モータの回転により前記オイルポンプを駆動させることにより、前記変速比調整機構の変速を行うことが好ましい。
【0017】
前記入力軸が所定回転速度以下で回転しているとき、前記第2動力断続機構及び前記第3動力断続機構を動力遮断状態として、前記モータの回転により前記オイルポンプを駆動させることにより、前記変速比調整機構の変速を行うことが好ましい。
【0018】
第1回転部材と、第2回転部材と、前記第1回転部材及び前記第2回転部材に掛け渡された第1無端状部材と、を有する第1動力伝達機構を有し、前記モータと前記オイルポンプとは、前記第1動力伝達機構を介して連結されていることが好ましい。
【0019】
第3回転部材と、第4回転部材と、前記第3回転部材及び前記第4回転部材に掛け渡された第2無端状部材を有する第2動力伝達機構と、を有し、前記入力軸と、前記モータ及び前記オイルポンプの少なくとも一方とは、前記第2動力伝達機構を介して連結されていることが好ましい。
【0020】
前記第2動力断続機構は、前記第3回転部材又は前記第4回転部材の内周に位置するワンウェイクラッチを有することが好ましい。
【0021】
前記第2動力断続機構及び前記第3動力断続機構の少なくとも一方は、ワンウェイクラッチを有することが好ましい。
【0022】
上記の目的を達成するために、本発明の車両は、駆動源を有し、駆動輪を有し、前記駆動機構を有し、前記入力軸には、前記駆動源の動力が入力され前記駆動輪には、前記出力軸の動力が出力されることを特徴としている。
【0023】
ここで、本願発明における「動力断続機構」についてさらに説明する。
【0024】
「動力断続機構」は、第1メンバと第2メンバとを有する。
【0025】
「動力断続機構」は、第1メンバと第2メンバとの間の動力を断続可能な機構を意味する。
【0026】
「動力断続機構」は、少なくとも、第1メンバ又は第2メンバの一方から、第1メンバ又は第2メンバの他方へ動力を伝達する機能を有する。
【0027】
言い換えると、第1メンバ又は第2メンバの一方に入力される動力は、動力断続機構を介して、第1メンバ又は第2メンバの他方へ伝達可能である。
【0028】
例えば、第1動力断続機構は、少なくとも第1メンバから第2メンバへ動力を伝達する機能を有する。
【0029】
もちろん、第1動力断続機構は、第2メンバから第1メンバへ動力を伝達する機能を有することができる。
【0030】
なお、例えば、第1動力断続機構は、入力軸側に第1メンバを有する。
【0031】
また、例えば、第1動力断続機構は、出力軸側に第2メンバを有する。
【0032】
よって、入力軸の動力は、第1動力断続機構を介して、出力軸へ伝達可能であるといえる。
【0033】
このとき、入力軸の動力は、第2動力断続機構及び第3動力断続機構を介さず、出力軸へ伝達される。
【0034】
例えば、第2動力断続機構は、少なくとも第1メンバから第2メンバへ動力を伝達する機能を有する。
【0035】
もちろん、第2動力断続機構は、第2メンバから第1メンバへ動力を伝達する機能を有することができる。
【0036】
なお、例えば、第2動力断続機構は、入力軸側に第1メンバを有する。
【0037】
また、例えば、第2動力断続機構は、オイルポンプ側且つモータ側に第2メンバを有する。
【0038】
よって、入力軸の動力は、第1動力断続機構を介さず、且つ、第2動力断続機構を介して、モータ及びオイルポンプへ伝達可能であるといえる。
【0039】
このとき、入力軸の動力は、第3動力断続機構を介さず、モータ及びオイルポンプへ伝達される。
【0040】
例えば、第3動力断続機構は、少なくとも第1メンバから第2メンバへ動力を伝達する機能を有する。
【0041】
もちろん、第3動力断続機構は、第2メンバから第1メンバへ動力を伝達する機能を有することができる。
【0042】
なお、例えば、第3動力断続機構は、出力軸側に第1メンバを有する。
【0043】
また、例えば、第3動力断続機構は、オイルポンプ側且つモータ側に第2メンバを有する。
【0044】
よって、出力軸の動力は、第1動力断続機構を介さず、且つ、第3動力断続機構を介して、モータ及びオイルポンプへ伝達可能であるといえる。
【0045】
このとき、出力軸の動力は、第2動力断続機構を介さず、モータ及びオイルポンプへ伝達される。
【0046】
なお、第1動力断続機構は、入力軸の動力を出力軸へ伝達する動力伝達経路内に配置されている(動力伝達経路上に配置されている)。
【0047】
一方、第2動力断続機構は、入力軸の動力を出力軸へ伝達する動力伝達経路外に配置されている(動力伝達経路上に配置されていない)。
【0048】
また、第3動力断続機構は、入力軸の動力を出力軸へ伝達する動力伝達経路外に配置されている(動力伝達経路上に配置されていない)。
【0049】
なお、オイルポンプは、第2動力断続機構を介して伝達される入力軸の動力、第3動力断続機構を介して伝達される出力軸の動力、又は、モータの動力のいずれか一つにより駆動される。
【0050】
オイルポンプを、第1動力断続機構及び第3動力断続機構を介して伝達される入力軸の動力により駆動しても良い。
【0051】
なお、さらに以下のような態様を採用することも好ましい。
【0052】
前記入力軸側に配置され、前進クラッチ及び後退ブレーキを含む前後進切替機構と、前記前後進切替機構の出力側と前記出力軸との間に介装された無段変速機構とを備え、前記前進クラッチ及び前記後退ブレーキが前記第1動力断続機構を構成し、前記無段変速機構が前記変速比調整機構を構成することが好ましい。
【0053】
前記モータ及び前記オイルポンプの回転速度を前記入力軸の回転速度よりも高速にする際に、前記第2動力断続機構を動力遮断状態とする第1解放手段と、前記モータ及び前記オイルポンプの回転速度を前記第1動力断続機構の出力側の回転速度よりも高速にする際に、前記第3動力断続機構を動力遮断状態とする第2解放手段と、をそなえていることが好ましい。
【0054】
前記第2動力断続機構は、前記モータ又は前記オイルポンプ側から前記入力軸側への動力伝達を遮断する前記第1解放手段を備え、前記入力軸側から前記モータ又は前記オイルポンプ側への動力伝達のみ可能とするワンウェイクラッチであり、前記第3動力断続機構は、前記モータ又は前記オイルポンプ側から前記出力軸側への動力伝達を遮断する前記第2解放手段を備え、前記出力軸側から前記モータ又は前記オイルポンプ側への動力伝達のみ可能とするワンウェイクラッチであることが好ましい。
【0055】
前記第2動力断続機構及び前記第3動力断続機構は電気信号で断続を制御され、前記入力軸の回転を検出する入力軸回転検出手段を有し、前記出力軸の回転を検出する出力軸回転検出手段を有し、前記入力軸回転検出手段及び出力軸回転検出手段の検出結果に基づいて、前記第2動力断続機構及び前記第3動力断続機構並びに前記モータを制御する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記第1解放手段及び前記第2解放手段の機能を有していることが好ましい。
【0056】
前記オイルポンプの回転を検出するポンプ回転検出手段を有し、前記ポンプ回転検出手段の検出結果に基づいて、前記オイルポンプの回転速度が設定回転速度域内になるように前記モータを制御するモータ制御手段を有していることが好ましい。
【0057】
前記モータ制御手段は、前記オイルポンプの回転速度が前記設定回転速度域以下の場合には、前記モータを電動機として作動させることが好ましい。
【0058】
前記オイルポンプから吐出される作動油を用いて前記変速比調整機構を制御する変速比制御手段を有し、前記変速比制御手段は、前記出力軸の回転によって前記オイルポンプが駆動されている場合に、前記オイルポンプの回転速度が前記設定回転速度域内になるように、前記変速比調整機構の変速比を制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0059】
したがって、本発明によれば、モータの使用用途を拡大するとともにオイルポンプを様々な態様で駆動することができるようになり、従来よりも多機能な駆動機構を提供することできる。
【0060】
つまり、入力軸の動力を、第1動力断続機構を介さず、且つ、第2動力断続機構を介してモータ及びオイルポンプへ伝達すれば、入力軸への入力によってモータ及びオイルポンプを駆動することができる。
【0061】
このとき、モータを発電作動させれば入力軸に入力される回転トルクの一部で運動エネルギを電力エネルギに変換することができる。
【0062】
また、このとき、モータを力行作動させればモータによりオイルポンプの駆動をアシストすることができる。
【0063】
出力軸の動力を、第1動力断続機構を介さず、且つ、第3動力断続機構を介して、モータ及びオイルポンプへ伝達すれば、出力軸への入力によってオイルポンプを駆動することができる。
【0064】
入力軸及び出力軸が停止しているとき、前記第2動力断続機構及び第3動力断続機構が動力遮断状態となった状態では、モータを力行作動させることによりモータでオイルポンプを駆動することができる。
【0065】
したがって、停車アイドルストップ時にも、オイルポンプを作動させて油圧を発生させることができ、停車アイドルストップから車両を再発進させる場合に、速やかに必要油圧の作動油を必要量だけ供給することが可能になり、発進時のタイムラグの発生を防止できる。
【0066】
また、動力伝達経路内に、変速比調整機構を有し、出力軸の回転を変速比調整機構及び第3動力断続機構を介してモータ及びオイルポンプへ伝達すれば、モータ及びオイルポンプは、変速比調整機構を介して出力軸と接続されるため、回生時、即ち、出力軸に入力される回転トルクによりモータ及びオイルポンプを駆動する時に、変速比調整機構を通じて出力軸からの回転を変速してモータ及びオイルポンプに伝達することができ、オイルポンプの回転速度を上昇させポンプ吐出量を増大させることが可能になる。
【0067】
また、モータの発電効率はモータの回転速度に応じて変化し、車両の惰性走行時には出力軸の回転速度が徐々に低下していくが、出力軸からモータへと伝達される回転を変速比調整機構により発電効率の良い回転速度に維持することができるので、車両の惰性走行時にモータにより高効率に発電を行える。
【0068】
本駆動機構を、その入力軸に駆動源の動力が入力され、その駆動輪に出力軸の動力が出力される車両に適用した場合、駆動輪の回転トルクを出力軸に入力するトルクの逆流状態を発生させ、駆動輪の回転トルクによってオイルポンプを駆動することができる。
【0069】
入力軸の回転速度が不十分でオイルポンプで必要油圧の作動油を必要量だけ発生させることができなければ、モータによって、入力軸で駆動されるよりも高速でオイルポンプを駆動することで、必要油圧の作動油を必要量だけ発生させることができ、変速比調整機構の変速を行うことができる。
【0070】
さらに、第2、第3動力断続機構としてワンウェイクラッチを用いれば、電気信号で断続を制御される動力断続機構を使用する場合に比べて断続制御や当該断続制御に必要な設備が不要となる。
【0071】
第1回転部材と、第2回転部材と、第1回転部材及び第2回転部材に掛け渡された第1無端状部材とを有して第1動力伝達機構を構成すれば、また、第3回転部材と、第4回転部材と、第3回転部材及び第4回転部材に掛け渡された第2無端状部材を有して第2動力伝達機構を構成すれば、動力伝達機構をギヤにより構成する場合に比べて、モータ、オイルポンプ、入力軸、出力軸の位置関係の設定自由度が高まり、駆動機構の全長を短くすることも可能となり、ギヤと異なり幅寸法を薄くしても大きなノイズが発生することがないので回転部材の幅寸法を薄くすることが可能となる。
【0072】
また、第2動力断続機構において、第3回転部材又は第4回転部材の内周にワンウェイクラッチを位置させればワンウェイクラッチを回転部材と別々に配置するよりも駆動機構をコンパクトにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1】本発明の第1実施形態にかかる駆動機構及びこの駆動機構が装備される車両の要部構成図であり、(a)は概略構成図、(b)は具体的構成図である。
図2】本発明の第1実施形態の変形例にかかる駆動機構及びこの駆動機構が装備される車両の具体的構成図である。
図3】本発明の第2実施形態にかかる駆動機構及びこの駆動機構が装備される車両の要部構成図であり、(a)は概略構成図、(b)は具体的構成図である。
図4】本発明の第2実施形態の変形例にかかる駆動機構及びこの駆動機構が装備される車両の具体的構成図である。
図5】本発明の第3実施形態にかかる駆動機構及びこの駆動機構が装備される車両の要部構成図であり、(a)は概略構成図、(b)は具体的構成図である。
図6】本発明の第4実施形態にかかる駆動機構及びこの駆動機構が装備される車両の要部構成図であり、(a)は概略構成図、(b)は具体的構成図である。
図7】本発明の第4実施形態の変形例にかかる駆動機構及びこの駆動機構が装備される車両の具体的構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
以下、図面を参照して、本発明の駆動機構にかかる実施の形態を説明する。
【0075】
各実施形態では、本発明の駆動機構が装備される車両が自動車であり、本発明の駆動機構にかかる変速機(変速比調整機構を含む)が無段変速機であるものを説明する。
【0076】
〔1.第1実施形態〕
〔1−1.駆動機構の概略構成〕
先ず、本実施形態の駆動機構の概略構成を図1(a)により説明する。
【0077】
図1(a)に示すように、本実施形態の駆動機構は、自動車の駆動系に装備され、動力源としての原動機(以下、エンジンともいう)1に接続され、このエンジン1から回転トルクを入力される入力軸(本願発明に係る入力軸)10と、駆動輪5に接続されこの駆動輪5に回転トルクを出力する出力軸4と、前記入力軸10に連結され、少なくとも前進、後進及び中立(ニュートラル)の変速段が達成可能で、入力軸10の回転を変速して出力軸4に送る変速機100とを備えて構成される。
【0078】
変速機100は、トルクコンバータ2と、変速比調整機構としてのバリエータ32を有する変速機構3と、発電機能を備えたモータ(電動発電機)6と、モータ6と動力伝達状態に接続されたオイルポンプ7と、オイルポンプ7からのオイルを適宜の圧力に調整する油圧制御回路7aと、変速機構3に装備された第1動力断続機構81と、第2動力断続機構としてのクラッチ82と、第3動力断続機構としてのクラッチ83と、コンピュータを用いた制御装置(制御手段)200とを備えている。
【0079】
ここで、「動力伝達状態に接続された」とは、一の構成品と他の構成品との間で一方向又は双方向に動力が直接又は動力伝達経路を介して伝達されるように相互に接続されることを意味し、例えば一の構成品から動力が出力されるとこの動力が他の構成品に伝達される場合には、一の構成品と他の構成品とが動力伝達状態に接続されていることとなる。
【0080】
第1動力断続機構81、第2動力断続機構としてのクラッチ82及び第3動力断続機構としてのクラッチ83についてさらに説明する。
【0081】
第1動力断続機構81は、第1メンバと第2メンバとを有し、これらの第1メンバと第2メンバとの間の動力伝達を断続可能な機構である。
【0082】
同様に、第2動力断続機構としてのクラッチ82は、第1メンバと第2メンバとを有し、これらの第1メンバと第2メンバとの間の動力伝達を断続可能な機構である。
【0083】
同様に、第3動力断続機構としてのクラッチ83は、第1メンバと第2メンバとを有し、これらの第1メンバと第2メンバとの間の動力伝達を断続可能な機構である。
【0084】
第1動力断続機構81は、入力軸10と出力軸4との間の動力伝達経路303内に設けられており、第1動力断続機構81の入力側は入力軸10と直接又は間接的に接続され、第1動力断続機構81の出力側は出力軸4と直接又は間接的に接続されている。
【0085】
ここで、「間接的に接続」とは、接続されるものの相互間にギヤやプーリなどにより構成される動力伝達経路を介在させて接続することをいう。
【0086】
第2動力断続機構としてのクラッチ82は、上記動力伝達経路303外に設けられており、モータ6及びオイルポンプ7とエンジン1(入力軸10)との間の動力伝達経路301内に配置されている(動力伝達経路301上に配置されている)。
【0087】
第3動力断続機構としてのクラッチ83は、上記動力伝達経路303外に設けられており、モータ6と駆動輪5(出力軸4)との間の動力伝達経路302内に配置されている(動力伝達経路302上に配置されている)。
【0088】
詳しくは、動力伝達経路302は、駆動輪5からの回転トルクがバリエータ32を介してモータ6に伝達できるように形成されている。
【0089】
また、モータ6は上記動力伝達経路303外に設けられ、オイルポンプ7は上記動力伝達経路303外に設けられている。
【0090】
したがって、クラッチ82を接続すれば、動力伝達経路301を使用してエンジン1から入力される回転トルクによってモータ6及びオイルポンプ7を駆動することができ、クラッチ83を接続すれば、動力伝達経路302を使用して駆動輪5から入力される回転トルク(逆流トルク)によってモータ6及びオイルポンプ7を駆動することができるようになっている。
【0091】
オイルポンプ7からのオイルは、油圧制御回路7aにより適宜の圧力に制御されたのち変速機100の各部に供給されるようになっている。
【0092】
さらに、クラッチ82及びクラッチ83が油圧作動のクラッチにより構成される場合には、二点鎖線で示すようにオイルポンプ7からのオイルは油圧制御回路7aにより適宜の圧力に調圧されたのちクラッチ82及びクラッチ83に供給されるようになっている。
【0093】
また、本駆動機構には、上記入力軸10の回転を検出する入力軸回転センサ(入力軸回転検出手段)201と、上記出力軸4の回転を検出する出力軸回転センサ(出力軸回転検出手段)202と、オイルポンプ7の回転を検出するポンプ回転センサ(ポンプ回転検出手段)203とが備えられており、入力軸回転センサ201、出力軸回転センサ202及びポンプ回転センサ203の各検出信号はそれぞれ制御装置200に入力され、制御装置200は、これらの検出信号に基づいてモータ6や第1動力断続機構81の作動を制御し、さらにクラッチ82及びクラッチ83が電子制御式の油圧作動のクラッチの場合にはクラッチ82及びクラッチ83の作動を制御するようになっている。
【0094】
〔1−2.駆動機構の具体的構成〕
次に、本実施形態の駆動機構の構成を図1(b)により具体的に説明する。
【0095】
本実施形態の駆動機構は、例えば、図1(b)に示すように、エンジン1からの出力伝達方向順に、入力軸10を有する変速機100と、出力軸4と、動力伝達機構5aと、駆動輪5とを少なくとも備えている。
【0096】
変速機100は、図1(b)中に一点鎖線で示すように、トルクコンバータ2と、第1動力断続機構81を有する前後進切替機構31、バリエータ(変速比調整機構、無段変速機構)32からなる変速機構3、オイルポンプ7、油圧制御回路7a、発電機能を備えた両軸式のモータ6、第2動力断続機構としてのクラッチ82、第3動力断続機構としてのクラッチ83及び制御装置200を備えて構成されており、ここでは、クラッチ82及びクラッチ83はいずれもワンウェイクラッチである。
【0097】
オイルポンプ7は、後で詳しく説明するように、エンジン1、駆動輪5又はモータ6により駆動されるようになっている(以下、オイルポンプ7をエンジン1により駆動することをエンジン駆動、モータ6により駆動することをモータ駆動とも言う)。
【0098】
また、モータ6にはバッテリ(図示省略)が接続されており、モータ6を力行作動させる場合、バッテリの電力を用いて行い、モータ6によって発電を行った場合、生成された電力はバッテリに充電される。
【0099】
トルクコンバータ2は、エンジン1の出力軸に接続されたトルコン入力軸21と、トルコン入力軸21に固定されたポンプインペラ23と、前後進切替機構31の入力軸すなわち変速機構入力軸31aにタービン軸25を介して接続されたタービンランナ24とを有し、ポンプインペラ23を介して入力されたエンジン1の出力を、タービンランナ24に伝達し、変速機構3に伝達するものである。
【0100】
そして、上記入力軸10は、トルコン入力軸21とフロントカバー22とポンプインペラ23とポンプインペラ23に固定された中空軸11とを備えて構成されている。
【0101】
また、トルクコンバータ2にはフロントカバー22とタービンランナ24とを直結するロックアップクラッチ26が設けられている。
【0102】
前後進切替機構31は、遊星歯車機構31bと、締結されると前進変速段を達成する前進クラッチ31cと、締結されると後進変速段を達成する後退ブレーキ31dとを有し、前進クラッチ31cと後退ブレーキ31dとから第1動力断続機構81が構成され、第1動力断続機構81が解放されることにより、動力遮断状態である中立が達成される。
【0103】
前進クラッチ31cは、遊星歯車機構31bのリングギアとサンギアとを連結することで出力回転(サンギアの回転)を正回転とし、後退ブレーキ31dは遊星歯車機構31bのキャリアをケース側に締結することで出力回転を逆回転とする。
【0104】
そして、上記のタービン軸25、変速機構入力軸31aが上記動力伝達経路303内に配置されており、エンジン1から入力軸10に入力される回転トルク(動力)が、第1動力断続機構81(前進クラッチ31c及び後退ブレーキ31d)を介して動力伝達経路303経由で出力軸4に伝達可能となっている。
【0105】
バリエータ32は、プライマリプーリ32bと、セカンダリプーリ32cと、これらのプーリ32b及びプーリ32cに掛け回されたベルト32dとを有し、プライマリプーリ32bの両側に突出して設けられた入力軸32aの一端側が前後進切替機構31の出力側に接続され、プーリ32b及びプーリ32cの各々へのベルト32dの巻き付き径(プーリの有効半径)が調整されて変速比を変更するものである。
【0106】
前進クラッチ31cは、図示しないセレクトバーによりドライブ(D)レンジ等の前進走行レンジが選択される走行時に油圧が供給されて締結され、前進クラッチ31cが締結すると、変速機構入力軸31aとプライマリプーリ32bの入力軸32aとが同方向に回転する。
【0107】
一方、後退ブレーキ31dは、リバース(R)レンジ(後進走行レンジ)が選択される後進走行時に油圧が供給されて締結され、後退ブレーキ31dを締結すると、変速機構入力軸31aに対しプライマリプーリ32bの入力軸32aが逆方向に回転する。
【0108】
RレンジやDレンジといった走行レンジが選択される車両走行時には、前進クラッチ31c及び後退ブレーキ31dの締結は互いに排他的に行なわれ、前進クラッチ31cが締結されれば後退ブレーキ31dは解放され、後退ブレーキ31dが締結されれば前進クラッチ31cは解放される。
【0109】
ただし、走行レンジが選択される車両走行時においても後述するようにコースト走行時にセーリング制御が行われると前進クラッチ31c及び後退ブレーキ31dが何れも解放された中立とされる。
【0110】
一方、パーキング(P)レンジやニュートラル(N)レンジの非走行レンジ選択時には、前進クラッチ31c及び後退ブレーキ31dの何れからも油圧が排出されて、両者とも解放され、中立が達成される。
【0111】
なお、「前後進切替機構」は前進及び後進の何れについても変速比の変更をともなわないものであるが、この前後進切替機構に替えて、前後進切替機構を有する副変速機構(前進及び後進の少なくとも一方について変速比の変更が可能な機構)を用いても良いし、前後進切替機構に加えて副変速機構を設けても良い。
【0112】
変速機構3の出力側は出力軸4に接続され、出力軸4は終減速機やディファレンシャルやドライブシャフト等を有する動力伝達機構5aを介して駆動輪5に接続されている。
【0113】
オイルポンプ7から圧送される作動油(オイル)は、油圧制御回路7aを介して第1動力断続機構81、バリエータ32に供給されるようになっている。
【0114】
詳しくは、油圧制御回路7aは、図示しない複数のソレノイド弁を有しており、これらのソレノイド弁から制御装置200の指令に応じて各々所定の圧力に制御された作動油が、プライマリプーリ32b、セカンダリプーリ32c、前進クラッチ31c、後退ブレーキ31dへと供給されるようになっている。
【0115】
そして、プライマリプーリ32b及びセカンダリプーリ32cに供給された作動油の油圧(作動圧)に応じて上述のとおり各プーリの有効半径が調整されるようになっている。
【0116】
また、前進クラッチ31c及び後退ブレーキ31dへの作動圧の供給、排出を制御することによって前後進切替機構31の作動が制御されるようになっている。
【0117】
〔1−3.駆動機構の要部〕
ここで、本実施形態の駆動機構の要部であるオイルポンプの駆動系統について説明する。
【0118】
入力軸10には、ワンウェイクラッチであるクラッチ82を介してスプロケット(回転部材)91が装着されており、クラッチ82はスプロケット91の内周側に組み込まれている。
【0119】
そして、このスプロケット91には二本のチェーン(無端状部材)92及びチェーン(無端状部材)93が架け回されている。
【0120】
一方のチェーン92は、上記スプロケット91と、モータ回転軸61の一端側62に装着されたスプロケット(回転部材)94とに架け回され、他方のチェーン93は、上記スプロケット91と、オイルポンプ回転軸71に装着されたスプロケット(回転部材)95とに架け回されている。
【0121】
そして、スプロケット91、チェーン92及びチェーン93、スプロケット94及びスプロケット95、モータ回転軸61及びポンプ回転軸71が上記動力伝達経路301内に配置されている。
【0122】
さらにいうと、スプロケット91、チェーン92及びスプロケット94より、入力軸10とモータ6との間の動力伝達機構が構成され、スプロケット91、チェーン93及びスプロケット95より、入力軸10とポンプ回転軸71との間の動力伝達機構が構成されている。
【0123】
また、モータ回転軸61の他端側63はワンウェイクラッチであるクラッチ83を介してスプロケット97の回転軸96に接続されており、このスプロケット97と、プライマリプーリ32bの回転軸32aに装着されたスプロケット99とにはチェーン(無端状部材)98が架け回されている。
【0124】
そして、スプロケット99、チェーン98及びスプロケット97からなる動力伝達機構と、回転軸96と、モータ回転軸61とは上記動力伝達経路302内に配置されている。
【0125】
また、オイルポンプ7がモータ駆動される際には、モータ回転軸61の回転トルクが、スプロケット94、チェーン92、スプロケット91、チェーン93、スプロケット95及びポンプ回転軸71の順に伝達されようになっている。
【0126】
つまり、スプロケット94、チェーン92、スプロケット91、チェーン93、スプロケット95より、モータ6とオイルポンプ7との間の動力伝達機構が構成されている。
【0127】
ここで、クラッチ82及びクラッチ83についてさらに説明する。
【0128】
先ずクラッチ82について説明すると、クラッチ82は上述したとおりワンウェイクラッチであり、入力軸10からの動力は、動力断続機構81を介さず且つクラッチ82を介してモータ6やオイルポンプ7に伝達可能であり、入力軸10からモータ6やオイルポンプ7に向かう動力のみ伝達可能に形成されている。
【0129】
つまり、入力軸10の回転速度のほうがスプロケット91の回転速度よりも高速で入力軸10からモータ6やオイルポンプ7側に動力が出力されるような場合ではクラッチ82は締結状態となる。
【0130】
一方、入力軸10の回転速度よりもスプロケット91の回転速度のほうが高速で動力伝達方向がモータ6やオイルポンプ7側から入力軸10へと向かう方向となる場合(例えば入力軸10が停止状態においてモータ6又は駆動輪5によりスプロケット91を介してオイルポンプ7が駆動されるような場合)ではクラッチ82は解放状態(動力遮断状態)となる。
【0131】
次にクラッチ83について説明すると、クラッチ83は上述したとおりワンウェイクラッチであり、出力軸4(回転軸96)側からの動力は動力断続機構81を介さず且つクラッチ83を介してモータ回転軸61に伝達可能であり、出力軸4からモータ回転軸61に向かう動力のみ伝達可能に形成されている。
【0132】
つまり、駆動輪5(出力軸4)により間接的に駆動される回転軸96の回転速度のほうがモータ回転軸61の回転速度よりも高速であるために回転軸96からモータ回転軸61に動力が伝達されるような場合(例えばエンジン1や入力軸10が停止または低速回転状態において、駆動輪5によりモータ6やオイルポンプ7が駆動されるような場合)ではワンウェイクラッチであるクラッチ83は締結状態となる。
【0133】
一方、回転軸96の回転速度よりもモータ回転軸61の回転速度のほうが高速で動力伝達方向がモータ回転軸61から出力軸4へ向かうような方向となる場合(例えば駆動輪5や出力軸4が停止または低速回転状態においてモータ6を作動させてオイルポンプ7をモータ駆動するような場合)ではワンウェイクラッチであるクラッチ83は解放状態(動力遮断状態)となる。
【0134】
なお、クラッチ83は、動力伝達経路303外に配置され且つ動力伝達経路302上でモータ6と出力軸4との間に介装されていればよく、図1において二点鎖線で示すように、スプロケット99とバリエータ32との間、若しくは前記クラッチ82と同様にスプロケット99またはスプロケット97の内周側に設置してもよい。
【0135】
ここで、「介装」とは部材間に備え付けることを意味するが、本願発明では、この部材間は、物理的な配置上の部材間に限定されるものではない。
【0136】
すなわち、「部材間」とは、実際の配置において一の部材と他の部材との相互間に形成される空間に限定されるものではない。
【0137】
したがって、上記のように「クラッチ83は、モータ6と出力軸4との間の動力伝達経路上に介装されていればよく」とは、クラッチ83が、モータ6と出力軸4との間に形成された動力伝達経路内に配置されていればよく、モータ6と出力軸4との間の空間内に配置される必要はない。
【0138】
〔1−4.制御装置〕
本実施形態の駆動機構には、上述したように、制御装置200と、入力軸回転センサ201と、出力軸回転センサ202及びポンプ回転軸71の回転速度(ポンプ回転速度)を検出するポンプ回転センサ203とが設けられており、制御装置200は、クラッチ制御手段200A、モータ制御手段200B及び変速比制御手段200Cを備えている。
【0139】
なお、クラッチ制御手段200A、モータ制御手段200B及び変速比制御手段200Cはそれぞれ別々のハードウェア(制御装置)により構成してもよい。
【0140】
クラッチ制御手段200Aはドライブレンジなどに応じて油圧制御回路7aを介して第1動力断続機構81(前進クラッチ31c、後退ブレーキ31d)へのオイルの供給、排出を制御し、実質的には前後進切替機構31の変速状態を制御する。
【0141】
さらに、クラッチ制御手段200Aは、アクセルオフによるコースト走行時には、車速が第1所定速度以上であれば、車速が第1所定速度よりも低い第2所定速度未満に低下するまで前進クラッチ31c及び後退ブレーキ31dを何れも解放して、変速機100をニュートラル状態とするセーリング制御を行う。
【0142】
このセーリング制御の際には、エンジン1を停止させることで燃費を向上させることができるが、本制御装置200はセーリング制御時に駆動輪5から出力軸4に回転トルクが入力するトルクの逆流状態を利用してオイルポンプ7を駆動する。
【0143】
また、バッテリのSOC(State Of Charge)が充電可能な状態であればモータ6により発電を行う。
【0144】
ただし、セーリング制御では、できるだけ車速を低下させたくないのでモータ6による発電負荷を抑制することが好ましい。
【0145】
また、セーリング制御時にフットブレーキ操作がされたらモータ6による発電負荷を回生制動力とすることができるので、所定の制動力(モータ6の発電負荷)が得られるようにモータ6により発電を行う。
【0146】
セーリング制御時にフットブレーキ操作がされたら、フューエルカット状態で前進クラッチ31cを締結状態としてエンジンブレーキにより制動力を作用させるようにしても良い。
【0147】
モータ制御手段200Bは、モータ6を電動機、無負荷及び発電機の何れかの状態に制御し、また、モータ6を電動機として作動させる場合には、入力軸回転センサ201により検出されるエンジン回転速度が所定回転速度以下の場合には、エンジン駆動ではオイルポンプ7の出力が不足するおそれがあるためモータ6を作動させる。
【0148】
モータ制御手段200Bは、ポンプ回転センサ203により検出されるポンプ回転速度に基づいてモータ6の作動を制御するようにしても良い。
【0149】
具体的には、モータ制御手段200Bは、ポンプ回転速度が上記設定回転速度域以下の場合には、モータ6を電動機として作動させてオイルポンプ7を駆動してポンプ回転速度を上記設定回転速度域内に入るようにすれば良い。
【0150】
このように入力軸回転センサ201やポンプ回転センサ203に検出結果に基づいてモータの作動を制御することにより、エンジン回転速度(すなわち入力軸10の回転速度)よりも高速でスプロケット91を回転させれば、ワンウェイクラッチであるクラッチ82の作用によりエンジン1の回転トルクに代わってモータ6の回転トルクがオイルポンプ7に伝達するようになり、オイルポンプ7を上記設定回転速度域で回転させることができる。
【0151】
また、ポンプ回転軸71とモータ回転軸61とは動力伝達状態に接続されているのでポンプ回転速度とモータ回転速度とには相関関係があるから、モータ回転軸61の回転速度(モータ回転速度)を検出するモータ回転センサを設けて、ポンプ回転速度に代えて前記モータ回転センサにより検出されるモータ回転速度に基づいてモータ6の作動を制御するようにしても良い。
【0152】
具体的には、モータ制御手段200Bが、モータ6のモータ回転速度が設定回転速度域以下の場合には、モータ6を電動機として作動させてオイルポンプ7を駆動してポンプ回転速度を上記設定回転速度域内に入るようにすれば良い。
【0153】
また、モータ制御手段200Bは、バッテリのSOCが所定値よりも低いときにはモータ6を発電機として動作させ、通常走行中は要求エンジン負荷を充足できることを条件としてエンジン1によりモータ6を駆動して発電を行わせ、上述したようにコースト走行時には駆動輪によりモータ6を適宜駆動して発電を行わせる。
【0154】
モータ制御手段200Bによりこのような制御が行なわれる結果、停車アイドルストップが実施されていてオイルポンプ7がエンジン1や駆動輪5からの回転トルクにより駆動されない場合にも、オイルポンプ7がモータ駆動されることとなって、停車アイドルストップ中でも変速機100に所要量、所要圧のオイルを供給できるようになっている。
【0155】
この他、モータ制御手段200Bによって、バッテリのSOCが所定値より高いことなどを条件として、エンジン駆動によってオイルポンプ7を設定回転速度域で駆動できるような場合であってもモータ6を作動させてエンジン負荷を軽減するようにしても良い。
【0156】
変速比制御手段200Cは油圧制御回路7aを介してプライマリプーリ32b及びセカンダリプーリ32cへ調圧された作動圧のオイルを供給、排出してプーリの有効半径ひいては変速比を制御する。
【0157】
〔1−5.駆動機構の作用・効果〕
本発明の第1実施形態の駆動機構は上述のように構成されているので、以下のように種々の態様によりオイルポンプを駆動することができ、これに伴い種々の効果が得られる。
【0158】
(a)通常走行中
通常走行中はエンジン1から入力軸10に入力された回転トルクが、ワンウェイクラッチであるクラッチ82を介してオイルポンプ7とモータ6とに入力され、オイルポンプ7とモータ6とがエンジン駆動される。
【0159】
この際、モータ6が両軸形式であるためモータ回転軸61からクラッチ83側にも回転トルクが出力されるが、ワンウェイクラッチであるクラッチ83の作用によりモータ回転軸61からの回転トルクは出力軸4側には伝達されない。
【0160】
したがって、バリエータ32や駆動輪5などの作動に影響を及ぼすことなく、オイルポンプ7及びモータ6をエンジン駆動することができる。
【0161】
そして、このとき、モータ6を発電作動させれば入力軸10に入力される回転トルクの一部で運動エネルギを電力エネルギに変換することができ、バッテリの充電や電装品へ電力を供給することができる。
【0162】
また、車両の後退時においても、入力軸10に入力された回転トルクは前後進切替機構31に入力される前に(逆方向に変換される前の正回転状態で)モータ6へと伝達されるので、この正回転によりオイルポンプ7及びモータ6をエンジン駆動することができる。
【0163】
また、エンジン回転速度が設定回転速度域以下の場合やポンプ回転速度が設定回転速度域以下の場合にはモータ6を力行作動させるので、エンジン回転速度が低速のためエンジン駆動では必要油圧の作動油を必要量だけ発生させることができないような場合には、オイルポンプ7がモータ駆動され必要油圧の作動油を必要量だけ発生させることができる。
【0164】
これによりエンジン低回転速度領域においてキックダウンによる急速な変速を行うような場合にも、オイルポンプ7によりバリエータ32に必要な作動圧を供給でき素早く変速を行うことができる。
【0165】
具体的には、アクセルペダルが踏まれたとき、アクセルペダルの踏み込み量又はアクセルペダルの踏み込み速度が所定速度以上で、且つ、ダウンシフトが禁止されていない状態であれば、制御装置200は踏み込みダウン(踏み込みダウンシフト)判定を行い、踏み込みダウンが実行される。
【0166】
踏み込みダウン判定が行われ、且つ、エンジン回転速度が所定回転速度以下であれば、モータ6によりオイルポンプ7を駆動し、踏み込みダウンが実行される。
【0167】
なお、キックダウンは踏み込みダウンの下位概念であり、アクセルペダルを踏み込みきったとき(アクセル開度が最大のとき)に実行されるダウンシフトを、キックダウンと呼ぶ。
【0168】
(b)停車アイドルストップ時
モータ制御手段200Bは、エンジン回転速度が設定回転速度域以下の場合やポンプ回転速度が設定回転速度域以下の場合にはモータ6を電動機として作動させてオイルポンプ7を駆動するので、停車アイドルストップが行われたときにはオイルポンプ7をモータ6により駆動可能となっている。
【0169】
つまり、停車アイドルストップ中は入力軸10と出力軸4とがそれぞれ停止状態となり、上述したとおり入力軸10と出力軸4とが停止状態の時にモータ6によりオイルポンプ7を駆動するとワンウェイクラッチであるクラッチ82及びワンウェイクラッチであるクラッチ83がそれぞれ解放状態となるのでモータ6がエンジン側及び駆動輪側と動力的に切り離される。
【0170】
したがって、エンジン1が負荷となるようなこともなく且つ駆動輪を駆動して車両を走行させることもなく、モータ6によりオイルポンプ7を駆動可能となっている。
【0171】
停車アイドルストップ中にもオイルポンプ7により前後進切替機構31及び変速機構3に油圧を供給できるので、停車アイドルストップから車両を再発進させる場合に、速やかに必要油圧の作動油を必要量だけ供給することが可能になり、発進時のタイムラグの発生を防止できる。
【0172】
(c)コースト走行時
アクセルオフ操作によりコースト走行となると前進クラッチ31c及び後退ブレーキ31dが何れも解放される(変速機100が中立となり動力遮断状態となる)セーリング制御が行われ、駆動輪5の回転トルクを出力軸4に入力するトルクの逆流状態を利用して、オイルポンプ7を駆動可能であり、さらにモータ6を駆動する回生制動を行なうことも可能である。
【0173】
この場合、駆動輪5の回転トルクは、動力伝達経路302のモータ回転軸61に伝達されてモータ6を駆動し、モータ回転軸61に伝達された回転トルクはさらに、スプロケット94,チェーン92,スプロケット91,チェーン93及びスプロケット95が配置される動力伝達経路を介してポンプ回転軸71に伝達されてオイルポンプ7を駆動する。
【0174】
この際、モータ回転軸61からスプロケット91にも回転トルクが伝達するが、ワンウェイクラッチであるクラッチ82の作用によりこの回転トルクは入力軸10やエンジン1には伝達されない(換言すれば、エンジン1は駆動輪5から動力的に切り離された状態に維持され、コースト走行を阻害しない)。
【0175】
このようなコースト走行時、モータ6を発電状態にすれば出力軸4に入力される回転トルクの一部で運動エネルギを電力エネルギに変換することができ、モータ6を力行状態にすればモータ6によりオイルポンプ7の駆動をアシストすることができる。
【0176】
加えて、モータ6やオイルポンプ7は、バリエータ32を介して出力軸4と接続されるため、バリエータ32によって出力軸4からの回転を変速してモータ6及びオイルポンプ7に伝達することができる。
【0177】
この際、変速比制御手段200Cによりポンプ回転速度が設定回転速度域内になるように変速比が制御されるので、オイルポンプ7の回転速度を上昇させポンプ吐出量を増大させることが可能になる。
【0178】
例えばコースト走行中に車速が低下していくとオイルポンプ7の回転速度が低下するが、このときにはバリエータ32の変速比をロー側へシフトさせればプライマリプーリ32bひいてはオイルポンプ7の回転速度を上昇させることができる。
【0179】
さらに、コースト走行時にモータ6により発電を行う場合には、変速比制御手段200Cによりモータ回転速度が発電効率の良い回転速度になるように変速比を制御することもできる。
【0180】
つまり、発電効率はモータ回転速度に応じて変化し、例えばコースト走行時には出力軸4の回転速度が徐々に低下していくが、バリエータ32の変速比をロー側へシフトさせればモータ回転速度を発電効率の良い回転速度にまで変速することができるので、モータ6により高効率に発電を行える。
【0181】
この際には、オイルポンプ7の回転速度とモータ回転速度とは相関関係があるので、ポンプ回転センサ203の検出結果に応じて変速比を制御することができる(もちろんモータ回転速度を直接検出するセンサを設けてもよい)。
【0182】
〔1−6.その他〕
本実施形態では、第2動力断接機構としてのクラッチ82及び第3動力断接機構としてのクラッチ83にそれぞれワンウェイクラッチを使用しているので、オイルポンプ7の駆動源を車両の状態に応じてメカニカルに変更することができ、第2動力断接機構及び第3動力断接機構に電気信号で断続を制御されるクラッチを使用する場合に比べて断続制御や当該断続制御に必要な設備が不要となる。
【0183】
また、モータ6とオイルポンプ7との間の動力伝達機構、モータ6と入力軸10との間の動力伝達機構、オイルポンプ7と入力軸10との間の動力伝達機構、及び、モータ6とオイルポンプと出力軸4との間の動力伝達機構が、回転部材(本実施形態ではスプロケット)と、これらの回転部材に架け回された無端状部材(本実施形態ではチェーン)とを備えて構成されているので、ギヤにより動力伝達機構を構成する場合に比べて、モータ6、オイルポンプ7、入力軸10、出力軸4の位置関係の設定自由度が高まり、例えば駆動機構の全長を短くすることも可能となる。
【0184】
さらに、オイルポンプ7を駆動するための動力伝達機構にスプロケットやチェーンのような回転部材や無端状部材を使用しているのでギヤを使用するのに較べてスプロケットなどの回転部材の厚みを薄くすることができる。
【0185】
つまり、オイルポンプ7の駆動に必要な回転トルクは比較的低いので、オイルポンプ7に回転トルクを伝達する動力伝達機構の必要強度は比較的低くて済むが、動力伝達機構としてギヤを使用する場合には、ギヤの厚みを薄くすると大きなノイズが発生するためギヤの幅寸法(厚み)をノイズの発生しない最低寸法以上にしなければならない。
【0186】
これに対して、スプロケットなどの回転部材は厚みを薄くしても大きなノイズが発生することはないので、動力伝達機構を無端状部材や回転部材により構成する場合には回転部材を必要強度に応じた薄いものとすることができるのである。
【0187】
さらに、ワンウェイクラッチであるクラッチ82がスプロケット91の内周側に組み込まれるのでワンウェイクラッチをスプロケットやプーリと別々に配置するよりも駆動機構をコンパクトにすることが可能となる。
【0188】
〔1−7.変形例〕
次に、本実施形態の駆動機構の変形例について説明する。
【0189】
本実施形態の駆動機構の変形例の概略構成は前述の実施形態と同様に図1(a)に示す通りであるので説明を省略する。
【0190】
本変形例の駆動機構の具体的な構成を図2を参照して説明するが、上記実施形態と同一の構成については同じ符号を付して説明は省略する。
【0191】
図2に示すように、本変形例の駆動機構は、上記第1実施形態に対し、入力軸10とモータ6及びオイルポンプ7との間の動力伝達機構301の構成が相違する。
【0192】
つまり、本変形例の駆動機構では、中空軸11に、第2動力断続機構としてのクラッチ82を介してスプロケット(回転部材)91Aが装着されており、クラッチ82はワンウェイクラッチでありスプロケット91Aの内周側に組み込まれている。
【0193】
このスプロケット91Aと、モータ回転軸61の一端側62に装着されたスプロケット(回転部材)94Aとにはチェーン(無端状部材)92Aが架け回されている。
【0194】
また、モータ回転軸61の一端側62には、上記スプロケット94Aに加えてスプロケット(回転部材)95Aがさらに装着されており、このスプロケット95Aとオイルポンプ回転軸71に装着されたスプロケット(回転部材)96Aとにはチェーン(無端状部材)93Aが架け回されている。
【0195】
つまり、スプロケット95A、チェーン93A、スプロケット96Aよりモータ6とオイルポンプ7との間の動力伝達機構が構成されている。
【0196】
そして、スプロケット91A、チェーン92A、スプロケット94A、スプロケット95A、モータ回転軸61、チェーン93A、スプロケット96A及びポンプ回転軸71が本変形例の動力伝達経路301内に配置されている。
【0197】
さらにいうと、スプロケット91A、チェーン92A及びスプロケット94Aより、入力軸10とモータ6との間の動力伝達機構が構成され、スプロケット91A、チェーン92A、スプロケット94A、スプロケット95A、チェーン93A及びスプロケット96Aより、入力軸10とオイルポンプ7との間の動力伝達機構が構成されている。
【0198】
そして、停車アイドルストップ時にモータ6によりオイルポンプ7を駆動する場合は、モータ回転軸61の回転トルクがスプロケット95A、チェーン93A及びスプロケット96Aを介してポンプ回転軸71へと入力され、オイルポンプ7が駆動されるようになっている。
【0199】
また、コースト走行時にセーリング制御が行われて、駆動輪5からの逆流トルクによってオイルポンプ7を駆動する場合は、駆動輪5の回転トルクが、スプロケット99、チェーン98及びスプロケット97を有する動力伝達機構や、ワンウェイクラッチであるクラッチ83を介してモータ回転軸61に入力されてモータ6が駆動され、モータ回転軸61に入力された回転トルクがスプロケット95A、チェーン93A及びスプロケット96Aを介してポンプ回転軸71に入力されてオイルポンプ7が駆動されるようになっている。
【0200】
このように停車アイドルストップ時にモータ6によりオイルポンプ7を駆動する場合や、コースト走行時のセーリング制御中に駆動輪5の回転トルクによってモータ6やオイルポンプ7を駆動する場合は、モータ回転軸61の回転トルクがスプロケット94A、チェーン92A及びスプロケット91Aの順に伝達されるが、スプロケット91Aの内周側に組み込まれたワンウェイクラッチであるクラッチ82は、モータ6から入力軸10に動力が伝達される場合には解放状態となるので、モータ6からの回転トルクがエンジン側に出力されることはない。
【0201】
この他の構成は上記実施形態と同じなので説明を省略する。
【0202】
本変形例の駆動機構は上述のように構成されているので、上記実施形態と同様に作用効果が得られる。
【0203】
なお、上記の実施形態及び変形例では、第2動力断続機構としてのクラッチ82及び第3動力断続機構としてのクラッチ83をワンウェイクラッチで構成したが、クラッチ82及びクラッチ83の少なくとも一方を電気信号で断続を制御されるクラッチで構成しても良く、このようなクラッチとしては、例えば、ドグクラッチ、単板型又は多板型の油圧作動のクラッチ、電磁クラッチ、或いは油圧式や電磁式以外のアクチュエータにより断続するクラッチがある。
【0204】
この場合は、クラッチ制御手段200Aは、入力軸回転センサ201の検出結果及び出力軸回転センサ202の検出結果などに応じて車両の走行状態を判断し、この走行状態に応じてクラッチ82及びクラッチ83への油圧の給排ひいてはクラッチ82及びクラッチ83の断続を制御する。
【0205】
つまり、クラッチ制御手段200Aは、入力軸回転センサ201及び出力軸回転センサ203により入力軸10及び出力軸4がそれぞれ所定回転速度以上で回転していることが検出された場合には通常走行中であると判断して、エンジン1でモータ6やオイルポンプ7を駆動できるよう動力伝達経路301に介装されたクラッチ82を接続状態とするとともに駆動輪5側の作動と干渉しないように動力伝達経路302に介装されたクラッチ83を解放状態とする。
【0206】
また、上述した通り停車アイドルストップが行われたときにはオイルポンプ7がモータ6により駆動されるようになるが、クラッチ制御手段200Aは、入力軸回転センサ201及び出力軸回転センサ203により入力軸10及び出力軸4が何れも停止状態であることを条件の一つとして停車アイドルストップ中であることを検出すると、クラッチ82及びクラッチ83の解放により動力伝達経路301及び動力伝達経路302を切断状態としてモータ6をエンジン1及び駆動輪5から動力的に切り離すので、モータ6により駆動輪5を駆動して車両を走行させてしまうことが防止される。
【0207】
さらに、クラッチ制御手段200Aは、アクセルオフ操作によりコースト走行となってセーリング制御が行われた場合には、クラッチ83を接続状態として駆動輪5からの逆流トルクによりオイルポンプ7を駆動するようにし、クラッチ82を解放状態として動力伝達経路301を切断して駆動輪5とエンジン1とを切り離して、エンジン1が動力負荷とならないようにしている。
【0208】
〔2.第2実施形態〕
本実施形態及びその変形例の駆動機構の構成を図3(a),(b)及び図4により説明するが、上記の実施形態及びその変形例と同一の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0209】
〔2−1.駆動機構の概略構成〕
本実施形態の駆動機構は動力伝達経路301A及び動力伝達経路302Aの構成が上記実施形態のものと異なっており、先ず、本実施形態の駆動機構の概略構成を図3(a)により説明する。
【0210】
図3(a)に示すように、本実施形態では、エンジン1とオイルポンプ7との間に動力伝達経路301Aが形成されるとともに駆動論5とモータ6及びオイルポンプ7との間に動力伝達経路302Aが形成されており、動力伝達経路301Aには第2断続機構としてのクラッチ82Aが介装され、動力伝達経路302Aには第3断続機構としてのクラッチ83(変形例ではクラッチ83A)が介装されている。
【0211】
詳しくは、動力伝達経路302Aは、駆動輪5からの回転トルクがバリエータ32を介してモータ6及びオイルポンプ7に伝達されるように形成されている。
【0212】
さらにいうと、クラッチ82Aは、入力軸10の動力を出力軸4へ伝達する動力伝達経路303外に配置され(動力伝達経路303上に配置されていない)、クラッチ83は、入力軸10の動力を出力軸4へ伝達する動力伝達経路303外に配置されている(動力伝達経路上303に配置されていない)。
【0213】
第2動力断続機構としてのクラッチ82Aは、第1メンバと第2メンバとを有し、これらの第1メンバと第2メンバとの間の動力を断続可能な機構である。
【0214】
第3動力断続機構としてのクラッチ83(後述の変形例では83A)は、第1メンバと第2メンバとを有し、これらの第1メンバと第2メンバとの間の動力を断続可能な機構である。
【0215】
〔2−2.駆動機構の構成及び作用効果〕
本実施形態の駆動機構の具体的な構成を図3(b)により説明すると、入力軸10には、ワンウェイクラッチであるクラッチ82Aを介してスプロケット(回転部材)91Bが接続されており、ここでは、スプロケット91Bがワンウェイクラッチであるクラッチ82Aの内輪に連結されている。
【0216】
オイルポンプ7の両側に突出するポンプ回転軸71の一端側72にはスプロケット(回転部材)93Bが接続されており、スプロケット91Bとスプロケット93Bとにはチェーン(無端状部材)92Bが架け回されている。
【0217】
これらのスプロケット91B、チェーン92B及びスプロケット93Bからなる動力伝達機構が上記動力伝達経路301A内に配置されており、エンジン1からの回転トルクが第1断続機構81を介さず且つクラッチ82Aを介して動力伝達経路301A経由でオイルポンプ7に伝達可能となってエンジン1の回転(すなわち入力軸10の回転により)オイルポンプ7を駆動可能になっている。
【0218】
また、ポンプ回転軸71の他端側73にワンウェイクラッチであるクラッチ83を介してスプロケット97Bの回転軸が接続されている。
【0219】
プライマリプーリ32bの回転軸32aにはスプロケット99Bが接続されており、スプロケット97Bとスプロケット99Bとにはチェーン(無端状部材)98Bが架け回されている。
【0220】
これにより、駆動輪5から出力軸4に逆流する回転トルクが第1断続機構81を介さず且つスプロケット99B、チェーン98B及びスプロケット97Bからなる動力伝達機構やワンウェイクラッチであるクラッチ83を介してオイルポンプ7に伝達可能となっており、オイルポンプ7を出力軸4により駆動可能となっている。
【0221】
また、モータ6とオイルポンプ7との間には、モータ回転軸61に取り付けられたスプロケット(回転部材)61B、ポンプ回転軸71の他端側73に取り付けられたスプロケット(回転部材)94B及びこれらのスプロケット61Bとスプロケット94Bとに架け回されたチェーン(無端状部材)95Bが設けられている。
【0222】
つまり、スプロケット61B、チェーン95B及びスプロケット94Bからモータ6とオイルポンプ7との間の動力伝達機構が構成されている。
【0223】
これにより、モータ6からの回転トルクをオイルポンプ7に伝達させてオイルポンプ7をモータ駆動できるとともに、エンジン1や駆動輪5からオイルポンプ7に入力した回転トルクをモータ6に伝達してモータ6による発電が可能となっている。
【0224】
そして、スプロケット99B、チェーン98B、スプロケット97B、ポンプ回転軸73、スプロケット94B、チェーン95B、スプロケット61B及びモータ回転軸61が上記動力伝達経路302A内に配置されている。
【0225】
なお、クラッチ82Aの設置個所は、入力軸10とオイルポンプ7やモータ6との間の動力伝達経路内であればどこでも良く、例えばクラッチ82Aを図3(b)に二点鎖線で示す位置に配置しても良い。
【0226】
また、クラッチ83の設置個所は、出力軸4とオイルポンプ7やモータ6との間の動力伝達経路内であればどこでも良く、例えばクラッチ83を図3(b)に二点鎖線で示す位置に配置しても良い。
【0227】
この他の構成は上記実施形態と同じなので説明を省略する。
【0228】
本実施形態の駆動機構は上述のように構成されているので、上記第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0229】
〔2−3.変形例〕
次に、本実施形態の駆動機構の変形例について説明する。
【0230】
本実施形態の駆動機構の変形例の概略構成は前述の実施形態と同様に図3(a)に示す通りであるので説明を省略する。
【0231】
本変形例の駆動機構の具体的な構成を図4を参照して説明するが、上記実施形態と同一の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0232】
図4に示すように、本変形例の駆動機構は、上記第2実施形態に対し、出力軸4とモータ6及びオイルポンプ7との間の動力伝達経路302Aの構成が相違する。
【0233】
つまり、ポンプ回転軸71の他端側73にスプロケット(回転部材)97Cが装着されている。
【0234】
プライマリプーリ32bの回転軸32aにスプロケット(回転部材)96Cが、このスプロケット96Cの内周側に組み込まれているワンウェイクラッチであるクラッチ83Aを介して装着されており、スプロケット96C及びスプロケット97Cにはチェーン(無端状部材)98Cが架け回されている。
【0235】
これにより駆動輪5から出力軸4に逆流する回転トルクが第1断続機構81を介さず且つバリエータ32やクラッチ83Aを介してオイルポンプ7に伝達可能となっており、出力軸4によりオイルポンプ7を駆動可能となっている。
【0236】
また、モータ回転軸61にスプロケット(回転部材)61Cが装着されている。
【0237】
このスプロケット61Cと、上述した駆動輪5からオイルポンプ7への伝達経路の一部を形成する上記スプロケット96Cとにはチェーン(無端状部材)95Cが架け回されている。
【0238】
すなわち、モータ6とオイルポンプ7との間の動力伝達経路が、上記の駆動輪5とオイルポンプ7との間の動力伝達経路と一部重複して形成されている。
【0239】
これにより、モータ6からの回転トルクをオイルポンプ7に伝達させてオイルポンプ7をモータ駆動することができ、エンジン1からオイルポンプ7に入力した回転トルクをモータ6に伝達してエンジン駆動によってモータ6により発電することが可能となり、さらには、駆動輪5からスプロケット96Cに入力された逆流トルクをモータ6に伝達して逆流トルクによってモータ6により発電することが可能となっている。
【0240】
そして、スプロケット96C、チェーン98C、スプロケット97C、ポンプ回転軸73、チェーン95C、スプロケット61C、モータ回転軸61からなる動力伝達機構が上記動力伝達経路302A内に配置されている。
【0241】
この他の構成は上記各実施形態と同じなので説明を省略する。
【0242】
本実施形態の駆動機構は上述のように構成されているので、上記各実施形態と同様に作用効果が得られる。
【0243】
〔3.第3実施形態〕
本実施形態の駆動機構の構成を図5(a),(b)により説明するが、上記の各実施形態及びその変形例と同一の構成については同じ符号を付して説明は省略する。
【0244】
〔3−1.駆動機構の概略構成〕
本実施形態の駆動機構は動力伝達経路301B及び動力伝達経路302Bの構成が上記各実施形態のものと異なっており、先ず、本実施形態の駆動機構の概略構成を図5(a)により説明する。
【0245】
図5(a)に示すように、本実施形態では、エンジン1とモータ6及びオイルポンプ7との間に動力伝達経路301Bが形成されるとともに駆動論5とオイルポンプ7との間に動力伝達経路302Bが形成されており、動力伝達経路301B内には第2断続機構としてのクラッチ82が介装され、動力伝達経路302B内には第3断続機構としてのクラッチ83が介装されている。
【0246】
詳しくは、動力伝達経路302Bは、駆動輪5からの回転トルクがバリエータ32を介してオイルポンプ7に伝達されるように形成されている。
【0247】
〔3−2.駆動機構の構成及び作用効果〕
本実施形態の駆動機構の具体的な構成を図5(b)により説明すると、入力軸10には、ワンウェイクラッチ(第2動力断続機構)82を介してスプロケット(回転部材)91Dが装着されており、ワンウェイクラッチ82はスプロケット91Dの内周側に組み込まれている。
【0248】
オイルポンプ7の両側に突出するポンプ回転軸71の一端側72にスプロケット(回転部材)93Dが接続されており、スプロケット91Dとスプロケット93Dとにチェーン(無端状部材)92Dが架け回されている。
【0249】
また、ポンプ回転軸71の一端側72にはさらにスプロケット(回転部材)94Dが装着されている。
モータ回転軸61にスプロケット(回転部材)61Dが装着されており、スプロケット61D及びスプロケット94Dにはチェーン(無端状部材)95Dが架け回されている。
【0250】
そして、スプロケット91D、チェーン92D、スプロケット93D、ポンプ回転軸72、スプロケット94D、チェーン95D、スプロケット61D及びモータ回転軸61からなる動力伝達機構が上記動力伝達経路301B内に配置されており、エンジン1からの回転トルクが第1断続機構81を介さず且つワンウェイクラッチであるクラッチ82を介して動力伝達経路301B経由でモータ6及びオイルポンプ7に伝達可能であるとともにモータ6からの回転トルクがオイルポンプ7に伝達可能となっている。これにより、モータ6及びオイルポンプ7をエンジン駆動可能であるとともにオイルポンプ7をモータ6の回転により駆動可能となっている。
【0251】
また、ポンプ回転軸71の他端側73にはワンウェイクラッチであって第3動力断続機構としてのクラッチ83を介してスプロケット97Dの回転軸96Dが接続され、このスプロケット97Dと、プライマリプーリ32bの回転軸32aに装着されたスプロケット99Dとにはチェーン(無端状部材)98Dが架け回されている。
【0252】
これらのスプロケット99D、チェーン98D、スプロケット97D及びポンプ回転軸73からなる動力伝達機構が上記動力伝達経路302B内に配置されており、駆動輪5(出力軸4)からの逆流トルクが第1断続機構81を介さず且つワンウェイクラッチであるクラッチ83を介して動力伝達経路302B経由でオイルポンプ7に伝達可能となって出力軸4の回転によりオイルポンプ7を駆動可能となっている。
【0253】
なお、クラッチ83は、モータ6と出力軸4との間に介装されていればよく、図5(b)において二点鎖線で示すように、スプロケット99Dとバリエータ32との間に設置してもよい。
【0254】
この他の構成は上記実施形態と同じなので説明を省略する。
【0255】
本実施形態の駆動機構は上述のように構成されているので、上記各実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0256】
〔4.第4実施形態〕
本実施形態及びその変形例の駆動機構の構成を図6(a),(b)及び図7により説明するが、上記の各実施形態及びその変形例と同一の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
〔4−1.駆動機構の概略構成〕
本実施形態の駆動機構は動力伝達経路301C及び動力伝達経路302Cの構成が上記各実施形態のものと異なっており、先ず、本実施形態の駆動機構の概略構成を図6(a)により説明する。
【0257】
図6(a)に示すように、本実施形態では、エンジン1とモータ6との間に動力伝達経路301Cが形成されるとともに駆動論5とモータ6及びオイルポンプ7との間に動力伝達経路302Cが形成されており、動力伝達経路301C内には第2動力断続機構としてのクラッチ82Aが介装され、動力伝達経路302C内には第3動力断続機構としてのクラッチ83が介装されている。
【0258】
詳しくは、動力伝達経路302Cは、駆動輪5からの回転トルクがバリエータ32を介してモータ6及びオイルポンプ7に伝達されるように形成されている。
【0259】
さらにいうと、クラッチ82Aは、入力軸10の動力を出力軸4へ伝達する動力伝達経路303外に配置され(動力伝達経路303上に配置されていない)、クラッチ83は、入力軸10の動力を出力軸4へ伝達する動力伝達経路303外に配置されている(動力伝達経路上303に配置されていない)。
【0260】
〔4−2.駆動機構の構成及び作用効果〕
本実施形態の駆動機構の具体的な構成を図6(b)により説明すると、入力軸10には、ワンウェイクラッチであるクラッチ82Aを介してスプロケット(回転部材)91Eが装着されている。
【0261】
モータ6の両側に突出するモータ回転軸61の一端側62にスプロケット(回転部材)93Eが装着されており、スプロケット91Eとスプロケット93Eとにチェーン(無端状部材)92Eが架け回されている。
【0262】
そして、スプロケット91E、チェーン92E、スプロケット93E、モータ回転軸61からなる動力伝達機構が上記動力伝達経路301Cに配置されており、エンジン1からの回転トルクが第1断続機構81を介さず且つクラッチ82Aを介して動力伝達経路301C経由でモータ6に伝達可能となってモータ6をエンジン駆動可能となっている。
【0263】
また、モータ回転軸61の他端側63にはスプロケット63Eが装着されると共にワンウェイクラッチであるクラッチ83を介してスプロケット94Eの回転軸が接続されている。
【0264】
プライマリプーリ32bの回転軸32aにはスプロケット96Eが装着されており、スプロケット94E及びスプロケット96Eにチェーン(無端状部材)95Eが架け回されている。
【0265】
これにより、駆動輪5(すなわち出力軸4)からの逆流トルクが第1断続機構81を介さず且つスプロケット96E、チェーン95E及びスプロケット94Eからなる動力伝達機構やクラッチ83を介してモータ6に伝達可能となっており、モータ6を出力軸4により駆動可能となっている。
【0266】
また、モータ回転軸61の他端側63にはスプロケット(回転部材)63Eが装着されている。
【0267】
そして、オイルポンプ回転軸71にはスプロケット(回転部材)71Eが装着されており、スプロケット63Eとスプロケット71Eとにはチェーン(無端状部材)97Eが架け回されている。
【0268】
これにより、モータ6からの回転トルクを、スプロケット63Eやチェーン(無端状部材)97Eやスプロケット71Eからなる動力伝達機構を介してオイルポンプ7に伝達させてオイルポンプ7をモータ駆動できるとともに、エンジン1からモータ6に入力した回転トルクをオイルポンプ7に伝達してオイルポンプ7をエンジン駆動したり、駆動輪5からスプロケット63Eに逆流したトルクをオイルポンプ7にも伝達してオイルポンプ7を駆動できるようになっている。
【0269】
そして、スプロケット96E、チェーン95E、スプロケット94E、スプロケット63E、モータ回転軸61、チェーン97E、スプロケット71E、ポンプ回転軸73が上記動力伝達経路302C内に配置されている。
【0270】
なお、クラッチ83は、モータ6と出力軸4との間に介装されていればよく、図6(b)において二点鎖線で示すように、スプロケット96Eとバリエータ32との間に設置してもよい。
【0271】
この他の構成は上記各実施形態と同じなので説明を省略する。
【0272】
本実施形態の駆動機構は上述のように構成されているので、上記各実施形態と同様に作用効果が得られる。
【0273】
〔4−3.変形例〕
次に、本実施形態の駆動機構の変形例について説明する。
【0274】
本実施形態の駆動機構の変形例の概略構成は前述の実施形態と同様に図6(a)に示す通りであるので説明を省略する。
【0275】
本変形例の駆動機構の具体的な構成を図7を参照して説明する。
【0276】
図7に示すように、本変形例の駆動機構は、上記第4実施形態に対し、出力軸4とモータ6及びオイルポンプ7との間の動力伝達機構302Cの構成が相違する。
【0277】
具体的に説明すると、オイルポンプ回転軸71には、スプロケット71Eが装着されると共にワンウェイクラッチであるクラッチ83を介してスプロケット94Fの回転軸が接続されている。
【0278】
また、プライマリプーリ32bの回転軸32aにスプロケット96Fが装着されており、スプロケット94Fとスプロケット96Fとにチェーン(無端状部材)95Fが架け回されている。
【0279】
これにより、駆動輪5(出力軸4)からの逆流トルクが第1断続機構81を介さず且つスプロケット96F、チェーン95F及びスプロケット94Fからなる動力伝達機構やクラッチ83を介してオイルポンプ7に伝達可能となっており、オイルポンプ7を出力軸4の回転により駆動可能となっている。
【0280】
また、モータ回転軸61の他端側63にスプロケット(回転部材)63Eが装着されている。
【0281】
そして、オイルポンプ回転軸71にはスプロケット(回転部材)71Eが装着されており、スプロケット63Eとスプロケット71Eにチェーン(無端状部材)97Eが架け回されており、これらのスプロケット71E、チェーン97E及びスプロケット63Eからモータ6とオイルポンプ7との間の動力伝達機構が構成されている。
【0282】
これにより、モータ6の出力又はエンジン1から動力伝達経路301Cを経由してモータ6に入力されたエンジン出力をオイルポンプ7に伝達させてオイルポンプ7をモータ駆動又はエンジン駆動できるとともに、駆動輪5からオイルポンプ7に入力する回転トルクをモータ6にも伝達してモータ6を駆動輪5からの逆流トルクによって駆動して発電させることが可能となっている。
【0283】
なお、ワンウェイクラッチであるクラッチ83は、モータ6と出力軸4との間の動力伝達経路内に介装されていればよく、図7において二点鎖線で示すように、スプロケット96Fバリエータ32との間に設置してもよい。
【0284】
この他の構成は上記各実施形態と同じなので説明を省略する。
【0285】
本変形例の駆動機構は上述のように構成されているので、上記各実施形態及びそれらの変形例と同様に作用効果が得られる。
【0286】
〔5.その他〕
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で上記の実施形態を変更したり上記の実施形態を部分的に適用したりして実施することができる。
【0287】
例えば、上記各実施形態では、変速比調整機構としてのバリエータがベルト式無段変速機構のものを説明したが、バリエータは、ベルト式のものに代えてチェーン式のものなど他の無段変速機構を用いてもよい。
【0288】
さらに、変速比調整機構は、無段変速機構に限定されず有段変速機構を用いても良く、変速比調整機構に有段変速機構を用いる場合は、第1動力断接機構が有段変速機構内に設けられていても良く、第1動力断接機構が有段変速機構外に設けられていても良い。
【0289】
また、第2動力断続機構としてのクラッチ82は、モータ6又はオイルポンプ7と入力軸10との間であれば上記各実施形態の配置に限定されない。
【0290】
同様に第3動力断続機構としてのクラッチ83は、モータ6又はオイルポンプ7と出力軸4との間であれば上記各実施形態の配置に限定されない。
【0291】
また、第2〜第4実施形態においても、第1実施形態と同様に、第2動力断続機構としてのクラッチ及び第3動力断続機構としてのクラッチをワンウェイクラッチに代えて油圧作動のクラッチにより構成するとともに入力軸回転センサ201の検出結果及び出力軸回転センサ202の検出結果などに応じてこのクラッチの作動を制御するようにしても良い。
【0292】
さらに、上記各実施形態では、前後進を達成するための前後進切替機構31を入力軸10とバリエータ32との間に設け、この前後進切替機構31の前進クラッチ31c及び後退ブレーキ31dを第1動力断続機構81として機能させる構成を例示したが、前後進切替機構31をバリエータ32と出力軸4との間に配設する場合には、入力軸10とバリエータ32との間の動力伝達経路内に第1動力断続機構として油圧作動式クラッチのみを介装し、同クラッチをクラッチ制御手段200Aで制御するように構成すれば、上記各実施形態と同様の作用効果を得ることが可能である。
【0293】
この場合、前後進切替機構に代えて前後進切替機能付き副変速機を使用しても良いし、前後進切替機構が変速比の変更を伴わないものである場合は、副変速機を別に設けるようにしても良い。
【0294】
また、図1図7に示す各実施形態では、モータ回転軸61とオイルポンプ回転軸71とを別体に設けて動力伝達機構により相互に接続する構成としたが、モータ回転軸61とオイルポンプ回転軸71とを一体化しても良い(以下、モータ回転軸61とオイルポンプ回転軸71とを一体化した軸を「一体化軸」と呼ぶ)。
【0295】
このような一体化軸を採用した場合、入力軸10の動力を一つの動力伝達機構を介して一体化軸へ伝達することができ、且つ、出力軸4の動力を一つの動力伝達機構を介して一体化軸へ伝達することができる。
【0296】
図1図7に示す各実施形態では、入力軸10、モータ回転軸61、オイルポンプ回転軸71及び出力軸4の間に3つの動力伝達機構を使用しているが、一体化軸を採用すれば動力伝達機構を1つ減らして2つとすることができる。
【0297】
例えば、図1(b)に示す第1実施形態に係る構成では、入力軸10の動力は、チェーン92を含む動力伝達機構によってモータ回転軸61へ伝達されるとともにチェーン93を含む動力伝達機構によってオイルポンプ回転軸71へ伝達され、出力軸4の動力は、チェーン98を含む動力伝達機構と前記のチェーン92を含む動力伝達機構と前記のチェーン93を含む動力伝達機構とによってモータ回転軸61及びオイルポンプ回転軸71へと伝達される。
【0298】
すなわち、チェーン92を含む動力伝達機構と、チェーン93を含む動力伝達機構と、チェーン98を含む動力伝達機構との3つの動力伝達機構が必要となる。
【0299】
これに対し、モータ回転軸61及びオイルポンプ回転軸71を一体化した一体化軸を使用することで、入力軸10とモータ回転軸61との間、及び、入力軸10とオイルポンプ回転軸71との間にそれぞれ必要であった動力伝達機構を一つとすることができるので、上記3つの動力伝達機構から2つの動力伝達機構へと減らすことができる。
【0300】
また、例えば、図4に示す第2実施形態の変形例に係る構成では、出力軸4の動力は、チェーン95Cを含む動力伝達機構によってモータ回転軸61へ伝達されるとともにチェーン98Cを含む動力伝達機構によってオイルポンプ回転軸71へ伝達され、入力軸10の動力は、チェーン92Bを含む動力伝達機構と前記のチェーン95Cを含む動力伝達機構と前記のチェーン98Cを含む動力伝達機構とによってモータ回転軸61及びオイルポンプ回転軸71へと伝達される。
【0301】
すなわち、チェーン95Cを含む動力伝達機構と、チェーン98Cを含む動力伝達機構と、チェーン92Bを含む動力伝達機構との3つの動力伝達機構が必要となる。
【0302】
これに対し、モータ回転軸61及びオイルポンプ回転軸71を一体化した一体化軸を使用することで、出力軸4とモータ回転軸61との間、及び、出力軸4とオイルポンプ回転軸71との間にそれぞれ必要であった動力伝達機構を一つとすることができるので、上記3つの動力伝達機構から2つの動力伝達機構へと減らすことができる。
【0303】
或いは、図1図7に示す各実施形態の構成においてモータ回転軸61及びオイルポンプ回転軸71の各々に取り付けられた動力伝達機構を一体化して動力伝達機構を減らすことも可能である。
【0304】
例えば、図1(b)に示す第1実施形態に係る構成において、入力軸10に装着されたスプロケット91、モータ回転軸61に装着されたスプロケット94及びオイルポンプ回転軸71に装着されたスプロケット95の3つのスプロケットに一つのチェーンを掛け回すことによりモータ回転軸61及びオイルポンプ回転軸71の各々に取り付けられた動力伝達機構を一体化することができる。
【0305】
また、例えば、図4に示す第2実施形態の変形例に係る構成では、プライマリプーリ32bの入力軸32aに装着されたスプロケット96C、モータ回転軸61に装着されたスプロケット61C及びオイルポンプ回転軸71に装着されたスプロケット97Cの3つのスプロケットに一つのチェーンを掛け回すことによりモータ回転軸61及びオイルポンプ回転軸71の各々に取り付けられた動力伝達機構を一体化することができる。
【0306】
このように動力伝達機構を一体化することにより動力伝達機構の数を削減することができる。
【符号の説明】
【0307】
1 エンジン(駆動源)
2 トルクコンバータ
3 変速機構
4 出力軸
5 駆動輪
6 モータ
7 オイルポンプ
10 入力軸
31 前後進切替機構
31c 前進クラッチ
31d 後退ブレーキ
32 バリエータ(変速比調整機構、無段変速機構)
32b プライマリプーリ
32c セカンダリプーリ
61B〜61D,63E,71E スプロケット(回転部材)
81 第1動力断続機構
82,82A クラッチ(第2動力断続機構)
83,83A クラッチ(第3動力断続機構)
91,91A,91B,91D,91E,93B,93D,93E,94,94A,94B,94D〜94F,95,95A,95C,96A,96C,96F,97,97B〜97D,99,99B,99D スプロケット(回転部材)
92,92A,92B,92D,92E,93,93A,95B,95D,95E,95F,97E,98,98B〜98D チェーン(無端状部材)
100 変速機
200 制御装置(制御手段)
200A クラッチ制御手段
200B モータ制御手段
200C 変速比制御手段
203 ポンプ回転センサ
301,301A〜301C,302,302A〜302C,303 動力伝達経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7