(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記導電部の塗膜層における前記導電性高分子微粒子と前記バインダーの固形分比(質量比)が、1:2ないし1:10であり、かつ、前記絶縁部の塗膜層における前記導電性高分子微粒子又は還元性高分子微粒子と前記バインダーの固形分比(質量比)が、1:2ないし1:10である請求項1又は2記載の透明導電膜。
【発明を実施するための形態】
【0013】
更に詳細に本発明を説明する。
本発明の透明導電膜は、透明な基材上に導電部及び絶縁部を互いに隣設してなる透明導電膜であって、
前記導電部は、該基材上にパターン状に形成された塗膜層と、該塗膜層上に無電解めっき法により形成されたパターン状の金属めっき膜とから構成され、
一方、前記絶縁部は、該基材上にパターン状に形成された塗膜層と、該基材の表面及び該塗膜層を覆う絶縁インク層とから構成され、
前記導電部における塗膜層は、導電性高分子微粒子、バインダー及び黒色系無機フィラーを含み且つ黒色系無機フィラーの含有量は該塗膜層の質量に基づき55ないし80質量%であり、
前記絶縁部における塗膜層は、導電性高分子微粒子又は還元性高分子微粒子、バインダー及び黒色系無機フィラーを含み且つ黒色系無機フィラーの含有量は該塗膜層の質量に基づき55ないし80質量%であり、そして
前記導電部と前記絶縁部における基材側から測定した際の反射色の色差(ΔE)が1.5以下であることを特徴とする。
【0014】
本発明の透明導電膜に使用し得る透明な基材としては、透明導電膜に使用し得る基材であれば特に限定されないが、フィルム、シート等の何れの形態も使用することができ、使用し得る透明な基材の材質としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シクロオレフィンポリマー系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂等が挙げられる。
コスト等の観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)シート等が好ましい。
透明な基材の厚さは、フィルムの形態を採用する場合、5ないし200μmの範囲となるものが好ましく、12ないし100μmの範囲となるものがより好ましく、また、シートの形態を採用する場合、0.01ないし10mmの範囲となるものが好ましい。
【0015】
透明な基材上に形成する塗膜層は、導電性高分子微粒子、バインダー及び黒色系無機フィラーを含む下地塗料を調製し、該下地塗料を用いて透明な基材の導電部及び絶縁部にパターン状に形成される。なお、該塗膜層は透明な基材の片面だけでなく、両面に形成してもよい。
また、導電部に形成される塗膜層と絶縁部に形成される塗膜層の組成は同一であっても異なっていてもよい。
導電性高分子微粒子は、導電性を有する高分子粒子であって、具体的には、0.01S/cm以上の導電率を有する粒子である。
また、導電性高分子微粒子としては、球形の微粒子であるものが挙げられ、その平均粒径(レーザー回析/散乱法により求められる値)は、10〜100nmとするのが好ましい。
【0016】
導電性高分子微粒子としては、導電性を有するπ−共役二重結合を有する高分子粒子であれば特に限定されないが、例えば、ポリアセチレン、ポリアセン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン及びそれらの各種誘導体が挙げられ、好ましくは、ポリピロールが挙げられる。
導電性高分子微粒子は、π−共役二重結合を有するモノマーから合成して使用する事ができるが、市販で入手できる導電性高分子微粒子を使用することもできる。
導電性高分子微粒子は、有機溶媒に分散された分散液として使用されるが、該導電性高分子微粒子は、分散液中における分散安定性を維持するために、固形分として該分散液の質量の10質量%以下(固形分比)となるようにするのが好ましい。
【0017】
導電性高分子微粒子を分散する有機溶媒としては、例えば、酢酸ブチル等の脂肪族エステル類、トルエン等の芳香族溶媒、メチルエチルケトン等のケトン類、シクロヘキサン等の環状飽和炭化水素類、n−オクタン等の鎖状飽和炭化水素類、メタノール、エタノール、n−オクタノール等の鎖状飽和アルコール類、安息香酸メチル等の芳香族エステル類、ジエチルエーテル等の脂肪族エーテル類及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0018】
下地塗料に含まれるバインダーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリ(N−ビニルカルバゾール)系樹脂、炭化水素系樹脂、ケトン系樹脂、フェノキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチルセルロース系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ABS系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、アルキド系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、フォトレジスト用の感光性樹脂等が挙げられる。
導電性高分子微粒子とバインダーの固形分比(質量比)は、1:2ないし1:10の範囲となる。上記固形分比において、1:2よりもバインダーの固形分比が小さくなると金属めっき膜の密着性が低下して剥離が生じ易くなり、1:10よりもバインダーの固形分比が大きくなると、めっき析出性が低下してめっきが析出し難くなるため、好ましくない。
【0019】
下地塗料に含まれる黒色系無機フィラーは、形成する塗膜層を黒色又は暗色にして光線透過率を小さくし得るものであれば特に限定はしないが、カーボン粒子等が挙げられ、カーボン粒子としては、例えば、カーボンブラック等が挙げられる。
カーボン粒子としては、平均1次粒子径が1ないし100nmの範囲となるものが好ましい。
下地塗料に含まれる黒色系無機フィラーの量は、形成される塗膜層の質量に基づき55ないし80質量%の範囲となるように調整される。
具体的には、黒色系無機フィラーは、下地塗料中に固形分比で55ないし80質量%含まれることになる。
上記黒色系無機フィラーの量が、55質量%より少なくなると、導電部と絶縁部の反射色の色差が小さくなって「骨見え」の問題が生じやすくなり、80質量%を超えると、めっきが析出し難くなるため、好ましくない。
【0020】
下地塗料は、上記成分に加えて溶媒を含み得る。
溶媒としては、特に限定されるものではないが、具体的には、酢酸ブチル等の脂肪族エステル類、トルエン等の芳香族溶媒、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、シクロヘキサン等の環状飽和炭化水素類、n−オクタン等の鎖状飽和炭化水素類、メタノール、エタノール、n−オクタノール等の鎖状飽和アルコール類、安息香酸メチル等の芳香族エステル類、ジエチルエーテル等の脂肪族エーテル類及びこれらの混合物等が挙げられる。
また、メチルセルソルブ等の多価アルコール誘導体溶媒、ミネラルスピリット等の炭化水素溶媒、ジヒドロターピネオール、D−リモネン等のテルペン類に分類される溶媒を用いることもできる。
【0021】
下地塗料は、更に、黒色インク又は暗色インクを加えることも可能である。
更に、下地塗料は用途や塗布対象物等の必要に応じて、分散安定剤、増粘剤、インキバインダ等の樹脂を加えることも可能である。
下地塗料は、上述の成分を含むことにより、その溶液の粘度を50cps以上とすることが好ましい。
上記粘度が50cps未満となる場合、汎用の印刷機、例えば、スクリーン印刷法、スクリーンオフセット法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、フレキソ印刷法、インプリント印刷法、反転印刷法、インクジェット印刷法等による印刷パターンの印刷精度が低下することがあるためである。
【0022】
下地塗料を用いて透明な基材上にパターン状の塗膜層を形成する方法としては、透明な基材に下地塗料をパターン印刷する方法、透明な基材に下地塗料を全面印刷し、フォトレジストを塗布し、露光、現像、エッチングした後にフォトレジストを剥離してパターン状の塗膜層を形成する方法、透明な基材に下地塗料を全面印刷し、マスクパターンを介して紫外線やレーザー等を照射して不要な部位を除去することにより、パターン状の塗膜層を形成する方法等が挙げられる。
上記に加えて、バインダーとしてフォトレジスト用の感光性樹脂を用いて下地塗料を調製しておき、該下地塗料を透明な基材に全面印刷し、露光、現像してパターン状の塗膜層を形成する方法を採用することもできる。
尚、透明な基材の両面にパターン状に塗膜層を形成する場合は、上記の操作を繰り返すことにより形成し得る。
【0023】
また、下地塗料を用いてパターン印刷する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、スクリーン印刷法、スクリーンオフセット法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、フレキソ印刷法、インプリント印刷法、反転印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられ、また、印刷方法は、各印刷機を用いる通常の印刷法によって行うことができる。
また、フォトレジストを用いてパターン状の塗膜層を形成する際の、該フォトレジストとしては、ネガ型、ポジ型の何れかを用いることができ、また、あらゆる露光波長用のフォトレジストを用いることができる。
また、紫外線やレーザー等の照射によりパターン状の塗膜層を形成する際、該紫外線の光源としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、殺菌灯等の一般的に用いられる光源を用いることができる。
【0024】
上記のようにして形成された塗膜層のパターンは、該パターンのピッチ(L/S)を均一とするのが好ましい。
また、上記のピッチ(L/S)において、S(スペース幅)は200ないし500μmの範囲が好ましく、L(ライン幅)は1ないし30μmの範囲が好ましい。
また、塗膜層の厚さは、0.5ないし2μmの範囲とするのが好ましい。塗膜層の厚さが0.5μm未満になると、めっき析出性が低下してめっきが析出し難くなる場合があり、塗膜層の厚さが2μmを超えると、密着性が低下する場合がある。
【0025】
次に、本発明における絶縁部は、基材上にパターン状に形成された塗膜層と、該基材の表面及び該塗膜層を覆う絶縁インク層とから構成されるものである。そして、該絶縁インク層を形成するための絶縁インクとしては、以下に記載する無電解めっきの工程で劣化しない絶縁インクであれば特に限定されるものではないが、その表面でめっき析出しないもの、変色や剥離がないもの、透明であるもの等が好ましい。
また、絶縁インクは、フィラーを添加して、屈折率の調整を行うこともできる。
また、絶縁部における基材の表面及び該塗膜層を絶縁インクで覆う方法としては、絶縁部全体に絶縁インクを印刷する方法が挙げられる。
上記の印刷としては、特に限定されるものではなく、例えば、スクリーン印刷法、スクリーンオフセット法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、フレキソ印刷法、インプリント印刷法、反転印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられ、また、印刷方法は、各印刷機を用いる通常の印刷法によって行うことができる。なお、本発明の絶縁部全体に絶縁インクを印刷後、三次元成形を行ってもよい。ここでいう三次元成形とは、真空成形、プレス成形、圧空成形等を施すことにより、基材を三次元化(立体化)するものである。
【0026】
次に、本発明における導電部は、該基材上にパターン状に形成された塗膜層と、該塗膜層上に無電解めっき法により形成されたパターン状の金属めっき膜とから構成されるものである。そして、導電部における塗膜層表面の導電性高分子微粒子を還元性高分子微粒子とし、その後、無電解めっき法により金属めっき膜を形成するために、本発明における導電部は、該基材上にパターン状に形成された塗膜層の状態で、かつ絶縁部は、基材上にパターン状に形成された塗膜層と、該基材の表面及び該塗膜層を覆う絶縁インク層を形成した状態で脱ドープ処理を行う。
【0027】
脱ドープ処理としては、上記のように導電部は、該基材上にパターン状に形成された塗膜層の状態で、かつ絶縁部は、基材上にパターン状に形成された塗膜層と、該基材の表面及び該塗膜層を覆う絶縁インク層を形成した状態のものを、還元剤、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム等の水素化ホウ素化合物、ジメチルアミンボラン、ジエチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン、トリエチルアミンボラン等のアルキルアミンボラン、及び、ヒドラジン等を含む溶液で処理して還元する方法、又は、アルカリ性溶液で処理する方法が挙げられる。
【0028】
操作性及び経済性の観点からアルカリ性溶液で処理するのが好ましい。
特に、導電性高分子微粒子を含む塗膜層は2μm以下と非常に薄いものであるため、緩和な条件下で短時間のアルカリ処理により脱ドープを達成することが可能である。
例えば、1M 水酸化ナトリウム水溶液中で、20ないし50℃、好ましくは30ないし40℃の温度で、1ないし30分間、好ましくは3ないし10分間処理される。
【0029】
無電解めっき法としては、通常知られた方法に従って行うことができる。
即ち、前記脱ドープ処理された基材を塩化パラジウム等の触媒金属を付着させるための触媒液に浸漬した後、水洗等を行い、無電解めっき浴に浸漬することにより、該基材上にパターン状に形成された塗膜層と、該塗膜層上に無電解めっき法により形成されたパターン状の金属めっき膜とから構成される導電部を形成することができる。
触媒液は、無電解めっきに対する触媒活性を有する貴金属(触媒金属)を含む溶液であり、触媒金属としては、パラジウム、金、白金、ロジウム等が挙げられ、これら金属は単体でも化合物でもよく、触媒金属を含む安定性の点からパラジウム化合物が好ましく、その中でも塩化パラジウムが特に好ましい。
好ましい、具体的な触媒液としては、0.05%塩化パラジウム−0.005%塩酸水溶液(pH3)が挙げられる。
処理温度は、20ないし50℃、好ましくは30ないし40℃であり、処理時間は、0.1ないし20分、好ましくは、1ないし10分である。
上記の操作により、脱ドープ処理により還元性とされた微粒子は、該微粒子上に触媒金属が吸着され、結果的に、導電性高分子微粒子となる。
【0030】
また、前記めっき液としては、通常、無電解めっきに使用されるめっき液であれば、特に限定されない。
即ち、無電解めっきに使用できる金属、銅、金、銀、ニッケル等、全て適用することができるが、銅が好ましい。
無電解銅めっき浴の具体例としては、例えば、ATSアドカッパーIW浴(奥野製薬工業(株)社製)等が挙げられる。
処理温度は、20ないし50℃、好ましくは30ないし40℃であり、処理時間は、1ないし30分、好ましくは、5ないし15分である。
得られためっき物は、使用した基材のTgより低い温度範囲において、数時間以上、例えば、2時間以上養生するのが好ましい。
形成されるパターン状の金属めっき膜の厚さは、100ないし2000nmの範囲とするのが好ましく、200ないし500nmの範囲とするのがより好ましい。
また、必要に応じて、無電解めっき法により形成されたパターン状の金属めっき膜上に、電解めっき法による金属めっき膜を形成してもよい。
更に、金属めっき膜状に黒化処理を行ってもよい。
上記の製造方法により製造される本発明の透明導電膜において、導電部における塗膜層及び絶縁部における塗膜層は、どちらも、導電性高分子微粒子、バインダー及び黒色系無機フィラーを含み且つ黒色系無機フィラーの含有量は該塗膜層の質量に基づき55ないし80質量%のものとなる。
【0031】
本発明の透明導電膜は、上述の製造方法以外に、還元性高分子微粒子、バインダー及び黒色系無機フィラーを含む下地塗料を調製し、該下地塗料を用いて透明な基材の片面又は両面にパターン状の塗膜層を形成し、絶縁部における透明な基材表面及び塗膜層を絶縁インクで覆い、その後、脱ドープ処理を行わずに、無電解めっき法を行い、導電部におけるパターン状の金属めっき膜を設けて製造してもよい。
上記還元性高分子微粒子、バインダー及び黒色系無機フィラーを含む下地塗料は、前述の導電性高分子微粒子を含む下地塗料における導電性高分子微粒子を、還元性高分子微粒子に置き換えることにより容易に調製することができる。
【0032】
還元性高分子微粒子としては、0.01S/cm未満の導電率を有するπ−共役二重結合を有する高分子粒子であれば特に限定されないが、例えば、ポリアセチレン、ポリアセン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン及びそれらの各種誘導体が挙げられ、好ましくは、ポリピロールが挙げられる。
また、還元性高分子微粒子としては、0.005S/cm以下の導電率を有する高分子微粒子が好ましい。
還元性高分子微粒子は、π−共役二重結合を有するモノマーから合成して使用する事ができるが、市販で入手できる還元性高分子微粒子を使用することもできる。
還元性高分子微粒子は、有機溶媒に分散された分散液として使用されるが、該還元性高分子微粒子は、分散液中における分散安定性を維持するために、固形分として該分散液の質量の10質量%以下(固形分比)となるようにするのが好ましい。
また、還元性高分子微粒子としては、球形の微粒子であるものが挙げられ、その平均粒径(レーザー回析/散乱法により求められる値)は、10〜100nmとするのが好ましい。
【0033】
還元性高分子微粒子を分散する有機溶媒としては、前述の導電性高分子微粒子を分散する有機溶媒と同様のものを用いることができる。
上記下地塗料における還元性高分子微粒子以外の成分(バインダー、黒色系無機フィラー等)の種類、添加量等は、前述の導電性高分子微粒子を含む下地塗料と同様なものが使用できる。
上記の還元性高分子微粒子を用いる製造方法において、導電部及び絶縁部にパターン状に塗膜層を形成する方法、絶縁部における絶縁インクの塗布及び無電解めっき法による導電部におけるパターン状の金属めっき膜の形成方法は、上述の導電性高分子微粒子を用いる透明導電膜の製造方法と同様に行うことができる。
上記の製造方法により製造される本発明の透明導電膜において、導電部における塗膜層は、導電性高分子微粒子、バインダー及び黒色系無機フィラーを含み且つ黒色系無機フィラーの含有量は該塗膜層の質量に基づき55ないし80質量%のものとなるものの、絶縁部における塗膜層は、還元性高分子微粒子、バインダー及び黒色系無機フィラーを含み且つ黒色系無機フィラーの含有量は該塗膜層の質量に基づき55ないし80質量%のものとなる。
【0034】
上記の複数の製造方法により、結果として、透明な基材上に導電部及び絶縁部を互いに隣設してなる透明導電膜であって、
前記導電部は、該基材上にパターン状に形成された塗膜層と、該塗膜層上に無電解めっき法により形成されたパターン状の金属めっき膜とから構成され、
一方、前記絶縁部は、該基材上にパターン状に形成された塗膜層と、該該基材の表面及び該塗膜層を覆う絶縁インク層とから構成され、
前記導電部における塗膜層は、導電性高分子微粒子、バインダー及び黒色系無機フィラーを含み且つ黒色系無機フィラーの含有量は該塗膜層の質量に基づき55ないし80質量%であり、
前記絶縁部における塗膜層は、導電性高分子微粒子又は還元性高分子微粒子、バインダー及び黒色系無機フィラーを含み且つ黒色系無機フィラーの含有量は該塗膜層の質量に基づき55ないし80質量%であり、そして
前記導電部と前記絶縁部における基材側から測定した際の反射色の色差(ΔE)が1.5以下であることを特徴とする透明導電膜が製造されることになる。
【0035】
本発明の透明導電膜における金属めっき膜の抵抗値は、500Ω以下とするのが好ましい。
また、本発明の透明導電膜は、導電部と前記絶縁部における反射色の色差(ΔE)が1.5以下となる。
【0036】
本発明の透明導電膜における態様について、
図1を用いて説明する。
図1の(A)は、本発明の透明導電膜の外観を示すが、該透明導電膜には導電部及び絶縁部が存在する。
図1の(B)は、
図1(A)におけるa−a´で切断した際の本発明の透明導電膜の断面を示す。
導電部においては、透明な基材1上にパターン状の塗膜層2が形成され、該塗膜層2上に金属めっき膜3が形成されており、絶縁部においては、基材1上にパターン状の塗膜層2が形成され、該基材1の表面及び該塗膜層2を絶縁インク4で覆われている。
【実施例】
【0037】
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
製造例1:導電性ポリピロール塗料の製造
アニオン性界面活性剤ペレックスOT−P(花王株式会社製)1.5mmol、トルエン10mL、イオン交換水100mLを加えて20℃に保持しつつ乳化するまで撹拌した。得られた乳化液にピロールモノマー21.2mmolを加え、1時間撹拌し、次いで過硫酸アンモニウム6mmolを加えて2時間重合反応を行った。反応終了後、有機相を回収し、イオン交換水で数回洗浄して、トルエンに分散した導電性ポリピロール微粒子を得た。尚、得られたトルエン分散液中の導電性ポリピロール微粒子の固形分は、約5.0%であった。
ここに、バインダーとしてバイロン(VYLON)23CS(非晶質ポリエステル樹脂:東洋紡績株式会社製)と黒色系無機フィラー:ブラック#5500(カーボンブラック:東海カーボン株式会社製)とを、バインダー:黒色系無機フィラー=1:1.73とな
るように配合し、ビーズ入りホモミキサーにて分散させた。
次に、調製した導電性ポリピロール微粒子分散液(固形分5%)に、前記で調製したバインダー及び黒色系無機フィラーを含む分散液を、固形分比(質量比)が導電性高分子微粒子:バインダーの質量比が1:5.3となるように加え、さらに最終固形分が25%となるように、シクロヘキサノンを混合することにより塗料を得た。
尚、該塗料における黒色系無機フィラーの含有量は、固形分比で60質量%であった。
【0038】
実施例1
(塗膜層の形成工程)
基材としてPETフィルム(コスモシャイン:A4100、東洋紡株式会社製)を用い、該基材上に製造例1で調製した塗料を、グラビアオフセット印刷機にて、L/S=10μm/290μmとなるように、0.5μmの膜厚のメッシュパターンで印刷し、その後、120℃で10分間乾燥して、塗膜層が形成された軟質フィルムを製造した。
(絶縁インク層の形成工程)
続いて、上記で形成した塗膜層上に、絶縁インクでL/S=20mm/20mmのラインパターンの印刷をスクリーン印刷にて行い、絶縁インク層を形成した。ここで、絶縁インク層が形成された部分が絶縁部となり、絶縁部以外の部分が導電部となる。
(脱ドープ処理工程)
続いて、上記で作成した導電部と絶縁部を有するフィルムを、1M水酸化ナトリウム溶液に35℃で5分間浸漬して表面処理(還元処理:導電性高分子微粒子 → 還元性高分子微粒子)を行った。
(無電解めっき工程)
次に、0.02%塩化パラジウム−0.01%塩酸水溶液に35℃で5分間浸漬後、イオン交換水で水洗した。
次に、フィルムを無電解めっき浴ATSアドカッパーIW浴(奥野製薬工業株式会社製)に浸漬して、35℃で所定の時間浸漬し、銅めっきを施した。
【0039】
実施例2
バインダー:黒色系無機フィラー=1:5となるように配合し、塗料における黒色系無機フィラーの含有量が、固形分において80質量%となるように調整した以外は、実施例1と同じ方法にて銅めっきを施した。
【0040】
実施例3
バインダー:黒色系無機フィラー=1:1.5となるように配合し、塗料における黒色系無機フィラーの含有量が、固形分において55質量%となるように調整した以外は、実施例1と同じ方法にて銅めっきを施した。
【0041】
実施例4
実施例1における(絶縁インク層の形成工程)と(脱ドープ処理工程)の工程間に、延伸率が400%となる金型を用いて真空成形させて基材を三次元化(立体化)させる工程を追加した以外は、実施例1と同じ方法にて銅めっきを施した。
【0042】
比較例1
バインダー:黒色系無機フィラー=1:6となるように配合し、塗料における黒色系無機フィラーの含有量が、固形分において85質量%となるように調整した以外は、実施例1と同じ方法を行ったが、無電解めっきの工程において、該工程の時間が40分を超えても、めっき膜の析出が不十分で500Ω/□以下とならなかった。
【0043】
比較例2
バインダー:黒色系無機フィラー=1:0.5となるように配合し、塗料における黒色
系無機フィラーの含有量が、固形分において40質量%となるように調整した以外は、実施例1と同じ方法にて銅めっきを施した。
【0044】
比較例3
実施例1における塗膜層の形成工程に代えて以下の工程を採用し且つ絶縁インク層を形成しなかった以外は実施例1と同様の操作を行って、透明導電膜を作成した。
工程:基材としてPETフィルム(コスモシャイン:A4100、東洋紡株式会社製)を用い、該基材の実施例1における導電部の部分のみに、製造例1で調製した塗料を、グラビアオフセット印刷機にて、L/S=10μm/290μmとなるように、0.5μmの膜厚のメッシュパターンで印刷し、その後、120℃で10分間乾燥して、塗膜層が形成された軟質フィルムを製造した(なお、実施例1における絶縁部の部分には塗膜層は形成されていない状態である。)。
【0045】
比較例4
実施例1における塗膜層の形成工程に代えて以下の工程を採用した以外は実施例1と同様の操作を行って、透明導電膜を作成した。
工程:基材としてPETフィルム(コスモシャイン:A4100、東洋紡株式会社製)を用い、製造例1で調製した塗料を、グラビアオフセット印刷機にて、実施例1における導電部の部分においてはL/S=10μm/290μmとなるように及び実施例1における絶縁部の部分においてはL/S=10μm/490μmとなるように0.5μmの膜厚のメッシュパターンで印刷し、その後、120℃で10分間乾燥して、塗膜層が形成された軟質フィルムを製造した(導電部の塗膜層のパターンにおけるピッチ(L/S)と絶縁部の塗膜層のパターンにおけるピッチ(L/S)が異なる状態である。)。
【0046】
試験例1
実施例1〜3及び比較例1〜4で製造した透明導電膜のめっき析出性、密着性及び色差評価を評価して表1に示した。
尚、評価方法及び評価基準は以下に示した通りである。
また、表1中、フィラーは黒色系無機フィラーを意味する。
<めっき析出性>
評価方法
得られためっき膜を抵抗率試験器(商品名:Loresta HP(MCP−T410、三菱化学株式会社製))を用い、20×25mmに切り出した膜を測定することにより、導電率を測定した。
評価基準
◎:めっき時間20分以内に500Ω/□以下となった。
○:めっき時間20〜40分で500Ω/□以下となった。
×:めっき時間40分を超えても、めっき膜析出が不十分で500Ω/□以下とならなかった。
<密着性>
評価方法
JIS H8504に基づいてテープ試験により引き剥がし試験を実施した。引き剥がし試験を合格したものに関しては、2mmの正方形ができるように素地まで達する条痕を作り、テープ試験を実施した(碁盤目試験)。引き剥がしたテープの粘着面に、めっきの付着があった場合は不合格とした。
評価基準
◎:碁盤目試験合格
○:テープ試験合格、碁盤目試験不合格
×:テープ試験不合格
<色差評価(透明導電膜の導電部と絶縁部の色差)>
評価方法
透明導電膜パターンの視認(骨見え)を抑制するという観点から、透明導電膜の導電部と絶縁部の反射色の色差ΔEは1.5以下であることが好ましく、特に0.5以下である
ことが好ましい。ここで、ΔEは、下記関係式で表される。
ΔE={(ΔL)
2+(Δa)
2+(Δb)
2}
1/2
(式中、
ΔL=(非パターン部におけるL*値)−(パターン部におけるL*値)
Δa=(非パターン部におけるa*値)−(パターン部におけるa*値)
Δb=(非パターン部におけるb*値)−(パターン部におけるb*値)
を意味する。)
色差の測定には、色彩色差計(商品名:CR−200B コニカミノルタ社製)を使用し、基材側から測定した。
評価基準
◎:ΔEが0.5以下 (極めてわずかに異なる)
○:ΔEが0.5〜1.5 (わずかに異なる)
×:ΔEが1.5を超える (感知し得るほどに異なる)
【表1】