(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385182
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】車両荷台のゲート構造
(51)【国際特許分類】
B62D 33/023 20060101AFI20180827BHJP
【FI】
B62D33/023 E
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-151689(P2014-151689)
(22)【出願日】2014年7月25日
(65)【公開番号】特開2016-28919(P2016-28919A)
(43)【公開日】2016年3月3日
【審査請求日】2017年5月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105980
【弁理士】
【氏名又は名称】梁瀬 右司
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100178995
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 陽介
(72)【発明者】
【氏名】山下 純史
【審査官】
梶本 直樹
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭62−132874(JP,U)
【文献】
実公昭61−044549(JP,Y2)
【文献】
特開2002−145125(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両荷台の三方を囲むように前記荷台に対して起倒自在に取り付けられた左右のサイドゲートおよびテールゲートを備える車両荷台のゲート構造において、
前記テールゲートと少なくとも一方の前記サイドゲートとが対向する面それぞれに突起を設け、
前記両突起はそれぞれ円錐台形状を有し、前記両突起の周面は、前記両突起それぞれを対向面側から見て末広がりに傾斜し、
前記両突起が、互いに対向して配設されることを特徴とする車両荷台のゲート構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両荷台の三方を囲むように前記荷台に対して起倒自在に取り付けられた左右のサイドゲートおよびテールゲートを備える車両荷台のゲート構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、荷物を輸送するために車両後部に荷台を有するトラックなどの荷台付き車両として、特許文献1に記載のものがある。この種の車両は、例えば
図4に示すように構成され、
車両50の荷台51に左右のサイドゲート52aおよび後部のテールゲート52bと称される3枚の囲い板が設けられ、これらのゲート52a,52bは、それぞれ複数の蝶番53により荷台50に対して起倒自在に取り付けられ、輸送時にはフック54により各ゲート52がそれぞれ起きた状態で固定され、荷台50の周囲が囲まれて荷物の落下が防止され、荷物の積み降ろしをするときには各ゲート52a,52bのうちのいずれかの固定が外されて下方に倒され、荷台50の囲いの一部が取り除かれた状態になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭61−44549号((第1欄第13行〜第3欄第12行および第1図参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、
図4に示すように、各ゲート52a,52bが起きた状態では、両サイドゲート52a,52aの後端内側面とテールゲート52bの左右の両端面とが対向するが、テールゲート52bのみを起倒する際に、テールゲート52bの左右の両端が両サイドゲート52a,52aの後端に擦れないように、対向する両サイドゲート52a,52aの後端内側面とテールゲート52bの左右の両端面との間に隙間が形成できるように寸法設定されている。なお、
図4および後述する
図6中の左、右、上はシートに着座した状態で見た左、右、上を意味する。また、
図5中のTはテールランプである。
【0005】
さらに、テールゲート52bを取り付ける複数個の蝶番53それぞれは、
図5に示すように、軸部53aと、下端部の筒状部に軸部53aの右半部が挿通状態で固着された右側の一片53bと、下端部の筒状部に軸部53aの左半部が挿脱自在に挿入される左側の他片53cとで構成されている。そして、右半部が一片52bに固着された軸部53aの左半部が他片53cの筒状部に回動自在に挿入された状態で、一片53bのほぼ90°屈曲された上端部が荷台51の端縁に固定(
図5中の×印)され、他片53cの上端部がテールゲート52bに下端に固定(
図5中の×印)されることにより、テールゲート52bが荷台51に対して起倒自在に取り付けられている。なお、
図6において、55はテールゲート52b用の中央の蝶番53の一片53bの右側に近接して荷台51に取り付けられたボルトであり、一片53bの右側がこのボルト55に当接することにより、一片53bの右方への抜けが阻止されるようになっている。
【0006】
しかしながら、テールゲート52bは荷台51に対して左方に移動することはできないものの右方には移動可能であるため、上記したようにテールゲート52bと左右のサイドゲート52aそれぞれとの間に、予め同寸法の隙間を設けておいても、
図7に示すように、テールゲート52bの移動により右側の隙間W1が狭くなって左側の隙間W2が広がり、外観上、左右の隙間のアンバランスが生じて見栄えの低下を招くという問題がある。
【0007】
本発明は、テールゲートと両サイドゲートそれぞれとの間の隙間のアンバランスが生じないようにして見栄えの低下を防止できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、本発明の車両荷台のゲート構造は、車両荷台の三方を囲むように前記荷台に対して起倒自在に取り付けられた左右のサイドゲートおよびテールゲートを備える車両荷台のゲート構造において、前記テールゲートと少なくとも一方の前記サイドゲートとが対向する面それぞれに突起を設け、
前記両突起はそれぞれ円錐台形状を有し、前記両突起の周面は、前記両突起それぞれを対向面側から見て末広がりに傾斜し、前記両突起が、互いに対向して配設されることを特徴としている(請求項1)。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、テールゲートと少なくとも一方の前記サイドゲートとが対向する面それぞれに突起を設け、両突起を互いに対向して配設するため、テールゲートのがたつきによりテールゲートが左右に移動しても、対向配置された突起によりテールゲートの移動を抑えることができ、テールゲートと両サイドゲートそれぞれとの間の隙間のアンバランスが生じないようにして見栄えの低下を防止することができる。
【0011】
また
、テールゲートを起こす際に、テールゲートと両サイドゲートそれぞれとの間の隙間にすでにアンバランスが生じていて、その状態のままテールゲートを起こしたときに対向すべき突起の周面同士がぶつかる場合であっても、両突起はそれぞれ円錐台形状を有し、前記両突起の周面は、前記両突起それぞれを対向面側から見て末広がりに傾斜しているため、対向すべき突起の周面同士がその傾斜に沿って、両突起が互いに対向した状態にまで摺動するため、テールゲートと両サイドゲートそれぞれとの間の隙間にアンバランスが生じることはない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る車両荷台のゲート構造の一実施形態の一部の平面図である。
【
図4】従来の荷台付き車両(トラック)の斜視図である。
【
図7】
図6の車両のさらに一部を後方から見た図である
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る車両荷台のゲート構造の一実施形態について、
図1ないし
図3を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態でいう前、後、左、右とはシートに着座した状態で見た前、後、左、右を意味する。
【0014】
本実施形態における車両は、
図4に示す荷台51と同じ構成の荷台を有し、荷台51の三方を取り囲む左右のサイドゲート52a、テールゲート52bおよびこれらのゲート52a,52bを荷台51に取り付ける蝶番53も、
図4に示すものと同様の構成を有し、以下の説明では同じ符号を用いて説明する。
【0015】
図1、
図2に示すように、テールゲート52bの右端と右サイドゲート52aの後部とが対向する面それぞれに樹脂製のグロメット1、2が取り付けられ、両グロメット1,2それぞれは、テールゲート52bと右サイドゲート52aとが対向する面それぞれに形成された透孔3,4に嵌入される基部1a,2aと、基部1a,2aの先端に形成された鍔部1b,2bとを有し、各ゲート52a,52bが起きた状態で両グロメット1,2の鍔部1b,2b同士が互いに対向するように配設されている。
【0016】
ところで、サイドゲート52aの後端部は、
図1、
図2に示すように、平板状基部52a1の後端に断面ほぼU字状の補強部52a2が溶接等により固着され、テールゲート52bの左右の両端部も同様に、平板状基部52b1の後端に断面ほぼコ字状の補強部52b2が溶接等により固着されている。そのため、特にサイドゲート52aについては撓み易い部分にグロメット2が取り付
けられている。
【0017】
また、両グロメット1,2の鍔部1b,2bの周面は、鍔部1b,2b同士が傾斜面に沿って互いに摺接し易いように傾斜面に加工され、その結果、両グロメット1,2の鍔部1b,2bは円錐台形状を有し、両鍔部1b,2bの周面は、鍔部1b,2bそれぞれを対向面側から見て末広がりに傾斜しており、両鍔部1b,2bが本発明における突起に相当する。
【0018】
そして、
図3中の太線矢印のように、テールゲート52bを起こす際に、テールゲート52bと両サイドゲート52aそれぞれとの間の隙間にすでにアンバランスが生じていて、その状態のままテールゲート52bを起こしたときに対向すべきグロメットの1,2の鍔部1b,2bの周面同士がぶつかるおそれがある場合であっても、グロメット1,2の鍔部1b,2b周面の傾斜面に沿って鍔部1b,2b同士がその傾斜に沿って摺接し、鍔部1b,2b同士が対向した状態になる。
【0019】
したがって、上記した実施形態によれば、テールゲート52bと右サイドゲート52aとが対向する面それぞれにグロメット1,2を取り付け、両グロメット1,2それぞれの鍔部1b,2b同士を互いに対向して配設するため、テールゲート52bのがたつきによりテールゲート52bが左右に移動しても、対向配置されたグロメット1,2の鍔部1b,2bによりテールゲート52bの移動を抑えることができ、テールゲート52bと両サイドゲート52aそれぞれとの間の隙間のアンバランスの発生を未然に防止でき、見栄えの低下を防止することが可能になる。
【0020】
また、テールゲート52bを起こす際に、テールゲート52bと両サイドゲート52aそれぞれとの間の隙間にすでにアンバランスが生じていて、その状態のままテールゲート52bを起こしたときに対向すべきグロメット1,2の鍔部1b,2bの周面同士がぶつかる場合であっても、グロメット1,2の鍔部1b,2bの周面の傾斜に沿って摺接しつつ鍔部1b,2b同士が対向した状態になり、しかもグロメット2を取り付けたサイドゲート52aの補強部52a2が撓み変形することよって、グロメット1,2の鍔部1b,2bの摺接が容易になるため、テールゲート52bと両サイドゲート52aそれぞれとの間の隙間にアンバランスが生じることを確実に防止することができる。
【0021】
さらに、グロメット1,2同士が摺接するので、ゲート52a,52b同士の擦れによる塗装はがれに起因した錆の発生も防止することができる。
【0022】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行なうことが可能である。
【0023】
例えば、上記した実施形態では、本発明における「突起」としてのグロメット1,2の鍔部1b,2bが対向配置するようにグロメット1,2を取り付けた場合について説明したが、「突起」はグロメット1,2の鍔部1b,2bに限定されるものではなく、要するにテールゲート52bと少なくとも一方のサイドゲート52aとが対向する面それぞれに設けられて対向配置されるものであればよい。
【0024】
また、上記した実施形態では、グロメット1,2を樹脂製としたが、金属製であってもよい。
【0025】
また、上記した実施形態では、右サイドゲート52aにグロメット2を取り付けた場合について説明したが、左サイドゲート52a側にテールゲート52bのがたつきが生じる構造の場合には、左サイドゲート52aの後端およびテールゲート52bの左端の対向面にそれぞれグロメットを対向するように設ければよい。さらに、両サイドゲート52aの後端およびテールゲート52bの左端の対向面それぞれにグロメットを対向配置してもよい。
【符号の説明】
【0026】
1b,2b …鍔部(突起)
50 …車両
51 …荷台
52a …サイドゲート
52b …テールゲート