特許第6385191号(P6385191)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6385191薬液含浸用シート及びこれを用いたフェイスマスク
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385191
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】薬液含浸用シート及びこれを用いたフェイスマスク
(51)【国際特許分類】
   D04H 1/4258 20120101AFI20180827BHJP
   A45D 44/22 20060101ALI20180827BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20180827BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   D04H1/4258
   A45D44/22 C
   A61K8/02
   A61Q19/00
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-161445(P2014-161445)
(22)【出願日】2014年8月7日
(65)【公開番号】特開2016-37674(P2016-37674A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2017年6月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 都子
(74)【代理人】
【識別番号】100135895
【弁理士】
【氏名又は名称】三間 俊介
(72)【発明者】
【氏名】町岡 経子
(72)【発明者】
【氏名】中島 正希
(72)【発明者】
【氏名】後藤 広輝
(72)【発明者】
【氏名】河原 洋一郎
【審査官】 小石 真弓
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/187404(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0125499(US,A1)
【文献】 国際公開第2011/004834(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0107387(US,A1)
【文献】 特開2005−120519(JP,A)
【文献】 特開2012−223396(JP,A)
【文献】 特開2005−008546(JP,A)
【文献】 特開2003−166161(JP,A)
【文献】 特開2011−126874(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/152013(WO,A1)
【文献】 特開2001−261527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H 1/00−18/04
A45D 44/22
A61K 8/02
A61Q 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単糸繊度が2.0dtex以下である銅アンモニアレーヨン短繊維を70wt%以上含む目付60g/m以下の不織布からなる薬液含浸用シートであって、含水状態での100g/cm応力下での緯方向の伸び率が5%以上20%以下の範囲にあり、かつ、含水時の透明度ΔLが30以下であることを特徴とする前記薬液含浸用シート。
【請求項2】
前記不織布の密着性指数が20°以上70°以下である、請求項1に記載の薬液含浸用シート。
【請求項3】
前記不織布の緯方向のドライ状態の引張強度(A)とウエット状態の引張強度(B)の比であるA:B=1:0.7以上0.9以下である、請求項1又は2に記載の薬液含浸用シート。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬液含浸用シート100重量部に対して、液体化粧料又は清拭用薬液が100重量部以上2000重量部以下の範囲の割合で含浸されているフェイスマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単糸繊度が2.0dtex以下である再生セルロース系短繊維を70wt%以上含む不織布からなる薬液含浸用シート及びこれを用いた製品に関する。より詳しくは、シートの目付(g/m)が小さくても、フェイスマスク装着時の取り扱性と密着感の両方の性能を兼ね備えたシート、及び清拭用製品として用いた時でも、清拭時のシートのヨレが起こりにくい薬液含浸用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
不織布構造体に化粧液を含浸したフェイスマスクが、健康や美容意識の高まりとともに近年、特に多忙な現代女性のアンチエイジング商品として拡大している。
従来フェイスマスクに使用されている不織布としては、銅アンモニアレーヨン法によるキュプラ連続長繊維不織布(旭化成せんい(株)製 ベンリーゼ(登録商標))やコットン、レーヨンに代表されるセルロース系短繊維不織布がその代表例として使用されている。これらセルロース系繊維不織布が美容用シートや清拭用シートとして好適に用いられる理由としては、合成繊維系不織布に比べ親水性が大きい為、化粧液や清拭用薬液の保液性能が高く装着時の液持ちが良く、装着時の湿潤状態を維持できる時間が長く、化粧液や清拭用薬液を肌表面に浸透させやすいことや湿潤時の柔らかさによる肌あたりが挙げられる。
【0003】
これまでに高密着性且つ高取扱い性を得るため、美容シートからの改良としては、単糸直径は1〜500nmの熱可塑性樹脂からなるナノファイバーより構成された不織布層を貼付面として使用するフェイスパックが提案されている(以下の特許文献1参照)。特許文献1に記載のナノファイバーは、熱可塑性樹脂(疎水性繊維)から構成されている為、湿潤時の取扱い性は良好であるが、湿潤時の柔軟性に劣り密着性の観点からは、十分満足できるレベルには至っておらず、透明感も劣るものとなる。
また、以下の特許文献2には、親水性繊維を50質量%以上含む親水性繊維層の一方又は両方の表面に、繊度0.5dtex以下である極細繊維を10質量%以上含む極細繊維層が位置し、極細繊維層を皮膚との接触面とする化粧料含浸用皮膚被覆シート及び液体化粧料が含浸されたフェイスマスクが提案されている。特許文献2に記載の親水性繊維としては、レーヨンやパルプ等のセルロース系繊維が用いられているが、明細書及び実施例では繊度0.5dtex以下の極細繊維としては熱可塑性樹脂からなる分割型複合繊維を用いている為、特許文献1と同様に湿潤時の柔軟性に劣り、密着性と透明感の観点からは、充分満足できるレベルには至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4816312号公報
【特許文献2】特許第3944526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、薬液の保液性能や湿潤時の柔軟性に優れ、装着したときの皮膚への密着性や透明感が高く、且つ低目付品でも湿潤時の取り扱性に優れた薬液含浸用シート及びこれを用いた製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、単糸繊径が2.0dtex以下である再生セルロース系短繊維を70wt%以上含む不織布であって、含水状態での100g/cm応力下での緯方向の伸び率が5%以上25%以下の範囲にあり、含水時の透明度ΔLが30以下であることを特徴とする薬液含浸用シートにより、この薬液含浸用シートが上記解題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、以下の構成を有している。
【0007】
[1]単糸繊度が2.0dtex以下である銅アンモニアレーヨン短繊維を70wt%以上含む目付60g/m以下の不織布からなる薬液含浸用シートであって、含水状態での100g/cm応力下での緯方向の伸び率が5%以上20%以下の範囲にあり、かつ、含水時の透明度ΔLが30以下であることを特徴とする前記薬液含浸用シート。
【0008】
[2]前記不織布の密着性指数が20°以上70°以下である、前記[1]に記載の薬液含浸用シート。
【0009】
[3]前記不織布の緯方向のドライ状態の引張強度(A)とウエット状態の引張強度(B)の比であるA:B=1:0.7以上0.9以下である、前記[1]又は[2]に記載の薬液含浸用シート。
【0010】
[4]前記[1]〜[3]のいずれかに記載の薬液含浸用シート100重量部に対して、液体化粧料又は清拭用薬液が100重量部以上2000重量部以下の範囲の割合で含浸されているフェイスマスク。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る薬液含浸用シートは、薬液の保液性能や湿潤時の柔軟性に優れ、装着したときの皮膚への密着性や透明感が高く、且つ低目付品(30g/m〜60g/m)でも湿潤時の取り扱性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
再生セルロース系短繊維としては、特に制限はなく、銅アンモニアレーヨン、ビスコースレーヨン、テンセル(リヨセル)、ポリノジック等の再生セルロース繊維が挙げられる。好ましくは銅アンモニアレーヨンである。前記短繊維の単糸繊度は2.0dtex以下である必要がある。2.0dtexより単糸繊度の大きな短繊維を用いた場合は、湿潤時の柔軟性が悪くなり薬液含浸後のフェイスマスクの密着性が劣るものとなってしまう。密着性の観点から好ましくは、1.5dtex以下、より好ましくは1.1dtex以下であるが、0.6dtex以下の単糸繊度の短繊維を工業的に安定して生産するのが難しく、又、0.6dtex以下の単糸繊度の短繊維を用いて不織布を得ようとすると、開繊時に開繊斑によるネップが多発し、得られる不織布の外観が著しく悪くなってしまう。
【0013】
本実施形態の薬液含浸用シートは、2.0dtex以下の単糸繊度の再生セルロース系短繊維を70%wt以上含む必要がある。70wt%未満の場合は、フェイスマスク装着時の密着感や高い透明性が得られない。好ましくは90wt%以上、更に好ましくは100wt%である。短繊維の繊維長は限定されるものではなく、30mm以上100mm以下の範囲で適宜選定すればよいが、不織布の強度及び外観の点から好ましくは35mm以上90mm以下である。
【0014】
本実施形態の薬液含浸用シートは、含水状態での100gf/cm応力下での緯方向の伸び率が、5%以上25%以下の範囲にある必要がある。含水状態の緯方向の伸び率が、5%未満の場合、化粧用薬液を含浸したフェイスマスクを装着したとき、フェイスマスクの取り扱性は良好であるが伸び率が小さいため、顔面の凹凸に追随せず、密着感の劣るものとなってしまう。また、含水状態の緯方向の伸び率が、25%を超える場合は、顔面の凹凸に追随し密着感は優れたものとなるが、装着時の取り扱性が悪い物となってしまう。特に化粧用薬液の粘度が高い場合は、取り扱性が特に悪くなる。含水状態の伸び率は、好ましくは8%以上20%以下である。
【0015】
本実施形態の薬液含浸用シートは、上記に加えて含水状態での透明感を表す指標の一つであるΔLが30以下である必要がある。上記ΔL値は、大きいほど含水時の透明感が悪くなるが、フェイスマスク着用時に高い透明感を得るには、ΔL値が0以上25以下であることが好ましい。ΔLが30より大きい場合、密着感や見た目の清涼感、潤い感が悪くなり実用的ではない。
【0016】
本実施形態の不織布の密着性指数は20°以上70°以下であることが好ましい。より好ましくは20°以上60°以下である。密着性指数が20°未満の場合、フェイスマスク着用中に剥がれが生じやすく好ましくない。また、密着性指数が70°より大きい場合、フェイスマスク着用時に締め付けられる感覚があり好ましくない。
【0017】
本実施形態の不織布の緯方向のドライ状態の引張強度(A)とウエット状態の引張強度(B)の比A:B=1:0.7以上0.9以下であることが好ましい。A:B=1:0.7未満の場合は、湿潤時の柔軟性は良好であるがフェイスマスク装着時の取り扱性が悪くなり好ましくない。また、A:B=1:0.9を超える場合は、取扱い性は良好となるが薬液含浸用シートの湿潤時の柔軟性が劣り好ましくない。取り扱性と密着感を両立するA:Bのより好ましい範囲としては、1:0.72以上0.90以下の範囲である。
【0018】
本実施形態の不織布の目付は、好ましくは30g/m〜60g/mである。
【0019】
本実施形態の薬液含浸用シートは、以下に示す(1)、(2)の工程を経ることで製造することができる。
(1)短繊維ウエッブを製造する工程
カード法によるウエッブ化を用いる。カードウエッブは、パラレルウエッブ、クロスウエッブ、セミランダムウエッブ等により得ることが可能である。
(2)ウエッブを交絡する工程
出来上がった繊維ウエッブ中の繊維の交絡は、ニードルパンチ法又は水流交絡法を用いる。好ましくは水流交絡法である。水流交絡処理では、繊維ウエッブを10−100メッシュのネット状支持体の上に載せて、水圧1MPa以上20MPa以下の水圧をウエッブの片側もしくは両面に少なくとも1回噴射する。
上記不織布の製造工程の条件と水流交絡速度との組み合わせにより本実施形態の薬液含浸用シートを作製することができる。
【0020】
本実施形態のフェイスマスクは、前記薬液含浸用シート100重量部に対して、液体化粧料が100重量部以上2000重量部以下の範囲内にある割合で含浸されているフェイスマスクである。フェイスマスクは、顔を被覆するのに適した形状に打ち抜かれ、例えば、目、鼻及び口に相当する部分に穴を開けたり、切り込みを入れたりする。又フェイスマスクは、複数枚に分割されておりこれら複数枚のシートを組み合わせて顔全体を覆うような形状でもよく、目の周囲のみを覆うシートや口の周囲を覆うシートなどポイントシートの形状として用いてもよい。薬液成分としては、公知の成分が適用され何ら限定されるものではない。例えば、保湿成分、香り成分、美白成分、血行促進成分、紫外線防止成分、増粘成分等が挙げられる。
【実施例】
【0021】
以下、本発明を実施例などに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに何ら限定されるものではない。実施例に用いた測定方法を以下に示す。
(1)湿潤時の緯方向の伸び率(%)
105℃で一定質量になるまで乾燥後、20℃、65%RHの恒温室に16時間以上放置した不織布を10cm×10cmの大きさに切り出し、水の中に不織布を10分間浸漬した後、湿潤状態の不織布を取り出し、金網の上に不織布を10分間広げた状態で自然放置し、過剰な水分を除去した後、カトーテック社製 KES−FB1の引っ張り試験機を用いて、100gf/cm下の緯方向の伸び率(%)を測定した。尚、測定はサンプル10点で行い、その平均値を湿潤時の湿潤時の緯方向の伸び率(%)とした。
【0022】
(2)透明度ΔL
105℃で一定質量になるまで乾燥後、20℃、65%RHの恒温室に16時間以上放置した不織布を3cm×3cmの大きさに切り出し、水の中に不織布を10分間浸漬した後、含水状態の不織布を水槽から取り出し、線形0.5mm、10メッシュの金網の上に不織布を広げて10分間放置し、過剰の水を落下させΔL測定用のサンプルとする。次に、上記サンプルを測色計(スガ試験機株式会社製積分球方式SM−T)のガラス板の上にセットしその上から旭化成ケミカルズ製サランラップ(登録商標)で覆い、所定の黒板を載せて、明度L1値を測定した。併せて、サンプルを測色計のガラス板の上にセットせず、サランラップ(登録商標)のみを置いた時の明度L2も測定した。ΔL値は次式:
ΔL=L1−L2
に従って算出した。
尚、測定はサンプル10点で行い、その平均値をΔLとした。
【0023】
(3)目付(g/m
105℃で一定質量になるまで乾燥後、20℃、65%RHの恒温室に16時間以上放置した不織布を5cm×5cmの大きさに切り出し、その質量を測定し、不織布のm当たりの質量(g)を求めた。
尚、測定はサンプル30点で行い、その平均値を目付(g/m)とした。
【0024】
(4)密着性指数(°)
105℃で一定質量になるまで乾燥後、20℃、65%RHの恒温室に16時間以上放置した不織布を経50mm緯70mmの大きさに切り出し、不織布質量の10倍量の水を含浸させた。上記サンプルの経50mmの一端に重り88gを取り付け、Static Friction Coefficient tester(SHINTO Scientittc Co.,Ltd.製)にセットし、10°/6秒のスピードで傾けた際、サンプルがずり落ちたときの角度(°)を密着度指数とした。
【0025】
(5)緯方向のドライ状態の引張強度(A)とウエット状態の引張強度(B)の比
105℃で一定質量になるまで乾燥後、20℃、65%RHの恒温室に16時間以上放置した不織布を経25mm緯200mmの大きさに切り出し、ドライ状態の引張強度(A)は、JIS L−1096A法にて定義される方法に準じて測定した。また、ウエット状態の引張強度(B)は、水の中に不織布を10分間浸した後、含水状態の不織布を水槽から取出し、線形0.5mm、10メッシュの金網の上に不織布を広げて10分間放置し、過剰の水を落下させ、JIS L−1096A法に定義される方法に準じて測定した。
尚、測定はサンプル10点で行い、その平均値を引張強度とした。
【0026】
(6)フェイスマスク着用感評価方法
105℃で一定質量になるまで乾燥後、20℃、65%RHの恒温室に16時間以上放置した後、一定の顔型に打ち抜いた不織布構造体100重量部に対して、保湿液(カネボウコスミリオン(株)製 うるり)を、1000重量部を含浸させた物を用いて、40歳代の女性パネラー20人で着用し、密着感、肌触り、リフトアップ感、装着時の取り扱い性を官能評価した。尚、それぞれの評価は5点満点で評価し、20名の平均値(小数点二桁を四捨五入)を算出した。平均値が3点未満の評価は着用感の総合評価が好ましくない。
5点:密着感、肌触り、取扱い性、包み込み感、清涼感が抜群に優れる。
4点:密着感、肌触り、取扱い性、包み込み感、清涼感が良好である。
3点:密着感、肌触り、取扱い性、包み込み感、清涼感に問題はない。
2点:密着感、肌触り、取扱い性、包み込み感、清涼感がやや劣る。
1点:密着感、肌触り、取扱い性、包み込み感、清涼感が悪い。
【0027】
[実施例1]
旭化成せんい(株)製のベンベルグ(登録商標)短繊維(素材名キュプラ)1.1dtex×51mmの綿を用いて、スパンレース製造設備を用いて30.1g/mのカードウエッブを作製した。引き続き、ウエッブ支持体のメッシュ織物開口度70メッシュ、水流圧力1MPaで表、2Mpaで裏の処理を実施した後、表側から再度3MPaにて処理し、乾燥させた。これら一連の加工は、40m/分の速度で実施した。得られた不織布シートの特性を以下の表1に示す。
【0028】
[実施例2]
ベンベルグ(登録商標)短繊維(素材名キュプラ)の綿1.1dtex×51mmを50wt%と、1.7dtex×51mmを50wt%の割合で混ぜた綿を用いたこと以外は、実施例1と同じ条件で不織布シートを作製した。得られた不織布シートの特性を以下の表1に示す。
【0029】
[実施例3]
ベンベルグ(登録商標)短繊維(素材名キュプラ)の綿1.1dtex×51mmを50wt%と、1.7dtex×51mmを50wt%の割合で混ぜた綿を用いたこと、ウエッブ支持体のメッシュ織物開口度25メッシュであること以外は、実施例1と同じ条件で不織布シートを作製した。得られた不織布シートの特性を以下の表1に示す。
【0030】
[実施例4]
ベンベルグ(登録商標)短繊維(素材名キュプラ)の綿1.1dtex×51mmを80wt%と、3.7dtex×51mmを20wt%の割合で混ぜた綿を用いたこと以外は、実施例1と同じ条件で不織布シートを作製した。得られた不織布シートの特性を以下の表1に示す。
【0031】
参考例5]
ベンベルグ(登録商標)短繊維(素材名キュプラ)の綿1.1dtex×51mmを50wt%と、精製セルロース(テンセル(登録商標))の綿1.3dtex×38mmを50wt%の割合で混ぜた綿を用いたこと以外は、実施例1と同じ条件で不織布シートを作製した。得られた不織布シートの特性を以下の表1に示す。
【0032】
[実施例6]
ベンベルグ(登録商標)短繊維(素材名キュプラ)の綿1.1dtex×51mmを80wt%と、ポリエチレンテレフタレート製の綿3.3dtex×51mmを20wt%の割合で混ぜた綿を用いたこと以外は、実施例1と同じ条件で不織布シートを作製した。得られた不織布シートの特性を以下の表1に示す。
【0033】
[実施例7]
ベンベルグ(登録商標)短繊維(素材名キュプラ)の綿0.8dtex×51mmを用いて、カードウエッブの目付を55.4g/mに変更した以外は、実施例1と同じ条件で不織布シートを作製した。得られた不織布シートの特性を以下の表1に示す。
【0034】
[実施例8]
スパンレース製造設備を用いて、ベンベルグ(登録商標)短繊維(素材名キュプラ)の綿1.1dtex×51mmを用いて15g/mのカードウエッブ(A)、1.7dtex×51mmを用いて20g/mのカードウエッブ(B)を作製した。前記カードウエッブをA/B/Aの順に配置させ、実施例1と同じ条件で不織布シートを作製した。得られた不織布シートの特性を以下の表1に示す。
【0035】
[比較例1]
ベンベルグ(登録商標)短繊維(素材名キュプラ)の綿3.7dtex×51mmを用いたこと以外は、実施例1と同じ条件で不織布シートを作製した。得られた不織布シートの特性を以下の表1に示す。
【0036】
[比較例2]
ベンベルグ(登録商標)短繊維(素材名キュプラ)の綿1.7dtex×51mmを50wt%と、ポリエチレンテレフタレート製の綿3.3dtex×51mmを50wt%の割合で混ぜた綿を用いたこと以外は、実施例1と同じ条件で不織布シートを作製した。得られた不織布シートの特性を以下の表1に示す。
【0037】
[比較例3]
カードウエッブの目付を100g/mに変更した以外は、実施例1と同じ条件で不織布シートを作製した。得られた不織布シートの特性を以下の表1に示す。
【0038】
[比較例4]
再生セルロース繊維(ビスコースレーヨン)の綿1.7dtex×40mmを30wt%と、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレン製の分割型複合繊維の綿2.2dtex×51mmを70wt%の割合で混ぜ合わせた綿を用いたこと以外は、実施例1と同じ条件で不織布シートを作製した。得られた不織布シートの特性を以下の表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
表1に示すとおり、本発明の薬液含浸用シートは、ファイスマスク着用感(密着感、肌触り、取扱い性、包み込み感、清涼感)に優れている。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の薬液含浸用シートは、目的とする機能を有する薬液を本発明で規定する不織布シートに含浸させた状態にして得られる薬液含浸用シートに関し、特に、これに化粧料薬液を含浸させ顔面へ装着する場合、フェイスマスクとして提供することができる。