【実施例】
【0021】
以下、本発明を実施例などに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに何ら限定されるものではない。実施例に用いた測定方法を以下に示す。
(1)湿潤時の緯方向の伸び率(%)
105℃で一定質量になるまで乾燥後、20℃、65%RHの恒温室に16時間以上放置した不織布を10cm×10cmの大きさに切り出し、水の中に不織布を10分間浸漬した後、湿潤状態の不織布を取り出し、金網の上に不織布を10分間広げた状態で自然放置し、過剰な水分を除去した後、カトーテック社製 KES−FB1の引っ張り試験機を用いて、100gf/cm下の緯方向の伸び率(%)を測定した。尚、測定はサンプル10点で行い、その平均値を湿潤時の湿潤時の緯方向の伸び率(%)とした。
【0022】
(2)透明度ΔL
105℃で一定質量になるまで乾燥後、20℃、65%RHの恒温室に16時間以上放置した不織布を3cm×3cmの大きさに切り出し、水の中に不織布を10分間浸漬した後、含水状態の不織布を水槽から取り出し、線形0.5mm、10メッシュの金網の上に不織布を広げて10分間放置し、過剰の水を落下させΔL測定用のサンプルとする。次に、上記サンプルを測色計(スガ試験機株式会社製積分球方式SM−T)のガラス板の上にセットしその上から旭化成ケミカルズ製サランラップ(登録商標)で覆い、所定の黒板を載せて、明度L1値を測定した。併せて、サンプルを測色計のガラス板の上にセットせず、サランラップ(登録商標)のみを置いた時の明度L2も測定した。ΔL値は次式:
ΔL=L1−L2
に従って算出した。
尚、測定はサンプル10点で行い、その平均値をΔLとした。
【0023】
(3)目付(g/m
2)
105℃で一定質量になるまで乾燥後、20℃、65%RHの恒温室に16時間以上放置した不織布を5cm×5cmの大きさに切り出し、その質量を測定し、不織布のm
2当たりの質量(g)を求めた。
尚、測定はサンプル30点で行い、その平均値を目付(g/m
2)とした。
【0024】
(4)密着性指数(°)
105℃で一定質量になるまで乾燥後、20℃、65%RHの恒温室に16時間以上放置した不織布を経50mm緯70mmの大きさに切り出し、不織布質量の10倍量の水を含浸させた。上記サンプルの経50mmの一端に重り88gを取り付け、Static Friction Coefficient tester(SHINTO Scientittc Co.,Ltd.製)にセットし、10°/6秒のスピードで傾けた際、サンプルがずり落ちたときの角度(°)を密着度指数とした。
【0025】
(5)緯方向のドライ状態の引張強度(A)とウエット状態の引張強度(B)の比
105℃で一定質量になるまで乾燥後、20℃、65%RHの恒温室に16時間以上放置した不織布を経25mm緯200mmの大きさに切り出し、ドライ状態の引張強度(A)は、JIS L−1096A法にて定義される方法に準じて測定した。また、ウエット状態の引張強度(B)は、水の中に不織布を10分間浸した後、含水状態の不織布を水槽から取出し、線形0.5mm、10メッシュの金網の上に不織布を広げて10分間放置し、過剰の水を落下させ、JIS L−1096A法に定義される方法に準じて測定した。
尚、測定はサンプル10点で行い、その平均値を引張強度とした。
【0026】
(6)フェイスマスク着用感評価方法
105℃で一定質量になるまで乾燥後、20℃、65%RHの恒温室に16時間以上放置した後、一定の顔型に打ち抜いた不織布構造体100重量部に対して、保湿液(カネボウコスミリオン(株)製 うるり)を、1000重量部を含浸させた物を用いて、40歳代の女性パネラー20人で着用し、密着感、肌触り、リフトアップ感、装着時の取り扱い性を官能評価した。尚、それぞれの評価は5点満点で評価し、20名の平均値(小数点二桁を四捨五入)を算出した。平均値が3点未満の評価は着用感の総合評価が好ましくない。
5点:密着感、肌触り、取扱い性、包み込み感、清涼感が抜群に優れる。
4点:密着感、肌触り、取扱い性、包み込み感、清涼感が良好である。
3点:密着感、肌触り、取扱い性、包み込み感、清涼感に問題はない。
2点:密着感、肌触り、取扱い性、包み込み感、清涼感がやや劣る。
1点:密着感、肌触り、取扱い性、包み込み感、清涼感が悪い。
【0027】
[実施例1]
旭化成せんい(株)製のベンベルグ(登録商標)短繊維(素材名キュプラ)1.1dtex×51mmの綿を用いて、スパンレース製造設備を用いて30.1g/m
2のカードウエッブを作製した。引き続き、ウエッブ支持体のメッシュ織物開口度70メッシュ、水流圧力1MPaで表、2Mpaで裏の処理を実施した後、表側から再度3MPaにて処理し、乾燥させた。これら一連の加工は、40m/分の速度で実施した。得られた不織布シートの特性を以下の表1に示す。
【0028】
[実施例2]
ベンベルグ(登録商標)短繊維(素材名キュプラ)の綿1.1dtex×51mmを50wt%と、1.7dtex×51mmを50wt%の割合で混ぜた綿を用いたこと以外は、実施例1と同じ条件で不織布シートを作製した。得られた不織布シートの特性を以下の表1に示す。
【0029】
[実施例3]
ベンベルグ(登録商標)短繊維(素材名キュプラ)の綿1.1dtex×51mmを50wt%と、1.7dtex×51mmを50wt%の割合で混ぜた綿を用いたこと、ウエッブ支持体のメッシュ織物開口度25メッシュであること以外は、実施例1と同じ条件で不織布シートを作製した。得られた不織布シートの特性を以下の表1に示す。
【0030】
[実施例4]
ベンベルグ(登録商標)短繊維(素材名キュプラ)の綿1.1dtex×51mmを80wt%と、3.7dtex×51mmを20wt%の割合で混ぜた綿を用いたこと以外は、実施例1と同じ条件で不織布シートを作製した。得られた不織布シートの特性を以下の表1に示す。
【0031】
[
参考例5]
ベンベルグ(登録商標)短繊維(素材名キュプラ)の綿1.1dtex×51mmを50wt%と、精製セルロース(テンセル(登録商標))の綿1.3dtex×38mmを50wt%の割合で混ぜた綿を用いたこと以外は、実施例1と同じ条件で不織布シートを作製した。得られた不織布シートの特性を以下の表1に示す。
【0032】
[実施例6]
ベンベルグ(登録商標)短繊維(素材名キュプラ)の綿1.1dtex×51mmを80wt%と、ポリエチレンテレフタレート製の綿3.3dtex×51mmを20wt%の割合で混ぜた綿を用いたこと以外は、実施例1と同じ条件で不織布シートを作製した。得られた不織布シートの特性を以下の表1に示す。
【0033】
[実施例7]
ベンベルグ(登録商標)短繊維(素材名キュプラ)の綿0.8dtex×51mmを用いて、カードウエッブの目付を55.4g/m
2に変更した以外は、実施例1と同じ条件で不織布シートを作製した。得られた不織布シートの特性を以下の表1に示す。
【0034】
[実施例8]
スパンレース製造設備を用いて、ベンベルグ(登録商標)短繊維(素材名キュプラ)の綿1.1dtex×51mmを用いて15g/m
2のカードウエッブ(A)、1.7dtex×51mmを用いて20g/m
2のカードウエッブ(B)を作製した。前記カードウエッブをA/B/Aの順に配置させ、実施例1と同じ条件で不織布シートを作製した。得られた不織布シートの特性を以下の表1に示す。
【0035】
[比較例1]
ベンベルグ(登録商標)短繊維(素材名キュプラ)の綿3.7dtex×51mmを用いたこと以外は、実施例1と同じ条件で不織布シートを作製した。得られた不織布シートの特性を以下の表1に示す。
【0036】
[比較例2]
ベンベルグ(登録商標)短繊維(素材名キュプラ)の綿1.7dtex×51mmを50wt%と、ポリエチレンテレフタレート製の綿3.3dtex×51mmを50wt%の割合で混ぜた綿を用いたこと以外は、実施例1と同じ条件で不織布シートを作製した。得られた不織布シートの特性を以下の表1に示す。
【0037】
[比較例3]
カードウエッブの目付を100g/m
2に変更した以外は、実施例1と同じ条件で不織布シートを作製した。得られた不織布シートの特性を以下の表1に示す。
【0038】
[比較例4]
再生セルロース繊維(ビスコースレーヨン)の綿1.7dtex×40mmを30wt%と、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレン製の分割型複合繊維の綿2.2dtex×51mmを70wt%の割合で混ぜ合わせた綿を用いたこと以外は、実施例1と同じ条件で不織布シートを作製した。得られた不織布シートの特性を以下の表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
表1に示すとおり、本発明の薬液含浸用シートは、ファイスマスク着用感(密着感、肌触り、取扱い性、包み込み感、清涼感)に優れている。