(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(a)半導体ウエハの主面に形成された複数の電極パッドのそれぞれに接続され、かつ前記複数の電極パッドのそれぞれの位置を異なる位置に配置する配線上に、Ni膜と前記Ni膜上に形成されたAu膜とから成るNi/Au膜を形成する工程、
(b)前記(a)工程の後、前記Ni/Au膜の表面に対して還元処理を行う工程、
(c)前記(b)工程の後、前記Ni/Au膜上に半田バンプを形成する工程、
を有し、
前記還元処理は、
(b1)フラックス構成材を塗布する工程、
(b2)前記(b1)工程の後、リフローを行う工程、
(b3)前記(b2)工程の後、洗浄を行う工程、
を有する、半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の実施の形態では特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0012】
さらに、以下の実施の形態では便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明などの関係にある。
【0013】
また、以下の実施の形態において、要素の数など(個数、数値、量、範囲などを含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良いものとする。
【0014】
また、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0015】
また、以下の実施の形態において、構成要素等について、「Aから成る」、「Aより成る」、「Aを有する」、「Aを含む」と言うときは、特にその要素のみである旨明示した場合等を除き、それ以外の要素を排除するものでないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
【0017】
(実施の形態1)
図1は実施の形態1の半導体装置の主要部の構造の一例を示す部分平面図、
図2は
図1に示すA−A線に沿って切断した構造を示す部分断面図である。
【0018】
<半導体装置>
図1に示す本実施の形態1の半導体装置は、ウエハプロセスパッケージ5であり、チップサイズと略同等の小型の半導体パッケージである。
【0019】
図1および
図2を用いて本実施の形態1のウエハプロセスパッケージ5の構成について説明する。ウエハプロセスパッケージ5は、主面2bと、主面2bの反対側の裏面2cと、主面2bに形成された複数の電極パッド2aと、複数の電極パッド2aのそれぞれに接続され、かつ複数の電極パッド2aのそれぞれの位置を異なる位置に配置する再配置配線(配線)2eと、再配置配線2e上に形成された絶縁膜であるポリイミド層2fと、を有する半導体チップ2を備えている。
【0020】
さらに、ウエハプロセスパッケージ5には、再配置配線2eの一部の上部に形成されたAu(金)膜2kに接合する半田バンプ(突起電極)3が複数設けられており、これら複数の半田バンプ3がウエハプロセスパッケージ5の外部端子となっている。
【0021】
つまり、ウエハプロセスパッケージ5が有する半導体チップ2では、その主面2bに設けられた複数の電極パッド2aと、再配置配線2e上にAu膜2kを介して設けられた半田バンプ3とが再配置配線2eを介して電気的に接続されている。
【0022】
これにより、半導体チップ2の主面2bに設けられた複数の電極パッド2aの設置ピッチが、再配置配線2eによって広げられ、再配置配線2e上に設けられた新たな電極(Au膜2kの領域)に複数の半田バンプ3のそれぞれが接合されている。
【0023】
なお、上述の再配置配線2eは、再配線とも呼ばれている。
【0024】
また、複数の電極パッド2aのそれぞれは、例えばAl(アルミニウム)から成る。そして、再配置配線2eは、例えばCu(銅)を主成分とする配線であり、その上層にNi(ニッケル)膜2nが形成され、一方、下層にはバリア層となるCr(クロム)膜とシード層となるCu膜の積層膜2hが形成されている。本実施の形態では、説明の簡略化のため、この積層膜をシード層2hとして記している。したがって、再配置配線2eは、シード層2hと、Cu膜2iと、Ni膜2nとから成る構造とも見ることができ、この場合、下層側から上層側に向かって順にシード層2h、Cu膜2i、Ni膜2nが配置されている。
【0025】
そして、再配置配線2eは、その下層に形成されたシード層2hが電極パッド2aと接合し、一方、上層に形成されたNi膜2nが、Au膜2kを介して半田バンプ3と接合している。
【0026】
なお、複数の半田バンプ3は、再配置配線2e上に形成されたポリイミド層2fの複数の開口部2mのそれぞれに配置されている。つまり、再配置配線2e上に形成されたポリイミド層2fの複数の開口部2mのそれぞれにAu膜2kが形成されている。開口部2mの領域だけに着眼すれば、再配置配線2e上に、Ni膜2nとこのNi膜2n上に形成されたAu膜2kとから成るNi/Au膜が形成され、開口部2mにAu膜2kが露出している。
【0027】
また、Ni膜2n上にAuめっきから成るAu膜2kが形成されている目的は、Ni膜2nの酸化防止と、半田との濡れ性を確保する(半田バンプ3の接合性を高める)ためである。
【0028】
そして、
図2に示すように、半導体チップ2の電極パッド2aが設けられた層と同層の配線層に複数の配線パターン2pが形成されている。
【0029】
また、ウエハプロセスパッケージ5では、半導体チップ2の主面2b側に複数の外部端子である半田バンプ3が、
図1に示すように格子状に並んで配置されており、外観上は、BGA(Ball Grid Array)と同様のものである。
【0030】
また、上述したように、
図2に示すウエハプロセスパッケージ5では、半導体チップ2の主面2b上に形成された電極パッド2aにさらに再配置配線2eが接続されており、この再配置配線2eに半田バンプ3がAu膜2kを介して接続されている。すなわち、ウエハプロセスパッケージ5は、電極パッド2aの配置ピッチが狭ピッチ化されたものであり、この狭ピッチ化によって電極パッド2aには、外部端子である半田バンプ3を直接搭載することができないため、半田バンプ3が搭載可能なように再配置配線2eによってピッチを拡大して半田バンプ3を再配置配線2eに接続している。
【0031】
これにより、複数の半田バンプ3を格子状に配置することが可能になる。
【0032】
<半導体装置の製造方法>
次に、本実施の形態の半導体装置の製造方法について説明する。
図3および
図4は、それぞれ実施の形態1の半導体装置の製造方法の一部を示すフロー図と断面図である。
【0033】
まず、
図3に示すポリイミド層パターンニングを行う。このポリイミド層パターンニングでは、半導体ウエハ1の主面1a上にポリイミド層2dを形成し、その後、パターンニングによって電極パッド2aの上方を開口させる。これにより、ポリイミド層2dの開口部2jに電極パッド2aを露出させることができる。なお、電極パッド2aは、例えばAlから成る。
【0034】
上記ポリイミド層パターンニング後、
図3に示すシード層スパッタを行う。このシード層スパッタでは、ポリイミド層2dおよび電極パッド2a上に、スパッタによってシード層2hを形成(堆積)する。これにより、Alから成る電極パッド2aとシード層2hとが電気的に接続される。シード層2hの形成として、まず、バリア層としてCr膜を形成し、その上にシード層としてCu膜を形成する。本実施の形態では、説明の簡略化のため、このCr膜とCu膜の積層膜をシード層2hとして記している。なお、シード層2hのうちバリア層は、上述のCr膜でもよいし、チタンから成る膜であってもよい。
【0035】
上記シード層スパッタ後、
図3に示すレジストパターンニングを行う。このレジストパターンニングでは、後の工程で形成する再配置配線2eの箇所を残してそれ以外の領域をレジスト2gで覆う。
【0036】
上記レジストパターンニング後、
図3に示す再配置配線−Cu/Niめっき形成を行う。この再配置配線−Cu/Niめっき形成では、まず、Cuの電界めっき形成を行い、その後、Niの電界めっき形成を行う。
【0037】
詳細には、まず、レジスト2gによって囲まれた領域のシード層2h上に、電界めっきによってCu膜2iを形成する。これによって、シード層2h上にCuを主成分とする再配置配線(Cu膜2i)2eが形成される。その後、再配置配線2eの表面上に電界めっきによってNi膜2nを形成する。これにより、シード層2hと、再配置配線2e(Cu膜2i)と、Ni膜2nとが形成される。
【0038】
上記再配置配線−Cu/Niめっき形成後、
図4に示すレジスト除去・ウエットエッチを行う。このレジスト除去・ウエットエッチでは、上記ウエットエッチにより、再配置配線2eを囲んでいるレジスト2gを除去する。
【0039】
上記レジスト除去・ウエットエッチ後、
図4に示すポリイミド層パターンニングを行う。このポリイミド層パターンニングでは、再配置配線2e上にポリイミド層2fを形成し、パターンニングによって再配置配線2eの一部の上方を開口させる。これにより、ポリイミド層2fに開口部2mが形成され、この開口部2mに再配置配線2e上のNi膜2nの一部が露出する。すなわち、開口部2mには、再配置配線2eの上層の膜であるNi膜2nが露出した状態となる。
【0040】
上記ポリイミド層パターンニング後、
図4に示す無電解Auめっき形成を行う。この無電解Auめっき形成では、ポリイミド層2fの開口部2mに露出したNi膜2n上に、無電解Auめっきにより、Au膜2kを形成する。これにより、再配置配線2e上に形成されたAu膜2k(Ni/Au膜)は、ポリイミド層2fの開口部2mに露出する。
【0041】
なお、このAu膜2kは、下層のNi膜2nの酸化防止と、半田との濡れ性を確保する(半田バンプ3の接合性を高める)ためのものである。
【0042】
また、本実施の形態1では、無電解めっきによってAu膜2kを形成している。無電解めっきは、電界めっきに比べて電界用の配線を形成しなくて済むため、Au膜2k形成のためのコストの低減化を図ることができる。
【0043】
なお、本実施の形態1では、無電解めっきの一例として、置換めっきを採用している。置換めっきは、金属のイオン化傾向の差を利用して溶液中の金属イオンを金属として析出させるものであり、置換めっきを採用することで、上述のようにコストの低減化を図ることができる。
【0044】
ここで、再配置配線2eにAuめっきを施したことによって発生する課題について説明する。
図5は本実施の形態に対して比較検討を行った比較例の製造方法を示すフロー図および断面図である。
【0045】
図5のAuめっき形成に示すように、無電解Auめっきにより、Niめっきが形成された導体2qにAuめっきであるAu膜2kを形成する。この時、無電解Auめっき、特に置換Auめっきは、基材金属(Ni)の溶出があるため、基材金属(Ni)には必ず「粗」の部分が形成されてしまい、Niが酸化しやすくなる。
【0046】
すなわち、
図5の酸素入り込みに示すように、Au膜2kの隙間から酸素が入り込み、
図5のNi酸化に示すように、導体2q上のNiの表面が酸化する(
図5のNi酸化のP部)。
【0047】
そして、後の工程で、半田バンプ3をAu膜2kに形成(接合)する際に、Sn−Ni−Cu合金層(反応層)の成長が阻害され、その結果、半田接合不良に至る。
【0048】
さらに、半田バンプ3を介して半導体装置をフリップチップ接合する際にクラックが発生する。
【0049】
そこで、本実施の形態1では、Au膜2k(Ni/Au膜)上に半田バンプ3を搭載(形成、接合)する前に、後述するバンプ搭載前処理(還元処理)を施すことで、Au膜2k上に形成された酸化膜を除去する。
【0050】
次に、無電解Auめっき形成後、
図6に示すプローブ検査を行う。
図6は実施の形態1の半導体装置の製造方法の一部を示すフロー図、
図7は実施の形態1の半導体装置の製造方法の一部を示すフロー図および断面図である。
【0051】
本プローブ検査では、再配置配線2e上のAu膜2kにプローブ4を接触させ、この状態で電気的検査を行う。
【0052】
上記プローブ検査後、
図6に示すバックグラインド(裏面研磨)を行う。このバックグラインドでは、半導体ウエハ1の主面1aと反対側の裏面1bを研磨して半導体ウエハ1の厚さを薄くする。すなわち、Au膜2k上に半田バンプ3を形成する前に、半導体ウエハ1の裏面1bを研磨して半導体ウエハ1を薄くする。
【0053】
なお、半田バンプ3を形成する前にバックグラインドを行うことにより、半田バンプ3が半導体ウエハ1の主面1aに取り付けられていないため、半導体ウエハ1の主面1aが平坦な状態であり、バックグラインドにおいて主面1a側が保持側となることから、平坦な方が保持し易く削り易い。したがって、研磨の精度も高めることができる。
【0054】
さらに、図示しないバックグラインド用テープ(以降、BG用テープとも言う)も半田バンプ3が半導体ウエハ1の主面1aに取り付けられていない方が貼り易く、かつ剥がし易い。つまり、半田バンプ形成前にバックグラインドを行うことで、削り易く、かつ研磨の精度を高めることができる。さらに、バックグラインド用テープを貼り易く、かつ剥がし易くすることができる。
【0055】
上記バックグラインド後、
図7に示す半田バンプ搭載を行う。その際、本実施の形態1では、バックグラインド後で、かつこの半田バンプ搭載前に、再配置配線2e上のAu膜2k(Ni/Au膜)の表面に対して還元処理を行う。なお、上記還元処理を、以降、バンプ搭載前処理もしくはフラックスリフロー前処理とも呼ぶ。
【0056】
ここで、本実施の形態1の還元処理(バンプ搭載前処理、フラックスリフロー前処理)について説明する。
図8は実施の形態1の半導体装置の製造方法におけるバンプ搭載前処理の手順の一例を示すフロー図、
図9は
図8に示すバンプ搭載前処理の一例を示す処理条件図、
図10は実施の形態1の半導体装置の製造方法におけるバンプ搭載前処理による効果を示す断面図である。
【0057】
上記還元処理(バンプ搭載前処理)は、
図8に示すように、フラックス塗布(フラックス構成材の塗布)と、リフローと、洗浄との3つの工程から成る。
【0058】
まず、フラックス塗布について説明する。
【0059】
なお、この還元処理で使用するフラックス構成材は、還元処理の後で、かつ半田バンプ3を形成(搭載)する前にAu膜2kに塗布するフラックス材と同じ材料を使用する。
【0060】
このように、本実施の形態1の還元処理で使用するフラックス構成材として、還元処理の後に塗布するフラックス材と同じ材料を使用することで、フラックス塗布用の装置を共用することができる。また、フラックス材そのものも共用することができる。さらに、同じフラックス材を使用することで、フラックス処理の方法を変えずに行うことができる。
【0061】
ここで、上記還元処理で使用するフラックス構成材について説明する。上記フラックス構成材は、例えば、ロジン、溶剤、チキソ剤、ハロゲン系活性剤、補助活性剤および有機酸から構成されている。すなわち、上記フラックス構成材は、ロジン系フラックスである。
【0062】
ただし、上記フラックス構成材としては、ロジン系フラックスに限らず、水に溶ける水溶性フラックスを用いてもよく、その場合には、還元処理の後で、かつ半田バンプ3を形成(搭載)する前にAu膜2kに塗布するフラックス材も、同様の水溶性フラックスを使用する。
【0063】
なお、ロジン系フラックスは、乾きにくい特性を有している。さらに、半田の濡れ上がりにおいてマージンが大きい。したがって、ロジン系フラックスを使用することにより、車載用の半導体装置(ウエハプロセスパッケージ5)等の高品質の製品にも対応することができる。
【0064】
一方、水溶性フラックスは、粘度が低いため、スピンコートでも塗布することが可能である。したがって、水溶性フラックスを使用することにより、洗浄処理のコストの低減化を図ることができる。
【0065】
そして、還元処理におけるフラックス塗布により、再配置配線2e上のAu膜2kの表面に上記フラックス構成材を塗布する。このフラックス塗布は、
図9のフラックス塗布に示すように、ボール搭載機によってフラックスのみを所望の箇所に塗布する。
【0066】
例えば、再配置配線2eのAu膜2k上の位置のみ開口しているマスクを使用し、この開口を介して塗布したい箇所(Au膜2k)のみにフラックスを塗布する。ロジン系フラックスは除去しにくく、Au膜2k以外の箇所に付着すると、腐食やリークの問題が懸念されるため、必要な箇所以外にはフラックスが付着しないようにして塗布することが好ましい。
【0067】
一方、水溶性フラックスは、水に溶け易く、除去が容易である。したがって、水溶性フラックスを塗布する際には、スピンコート法により、半導体ウエハ1の全面に塗布することで、効率良く塗布を行うことができる。
【0068】
還元処理におけるフラックス塗布完了後、
図8の還元処理(バンプ搭載前処理)のリフローを行う。このリフローでは、
図9のリフロー(昇温)に示すように、リフロー炉にてリフロー条件で昇温する。例えば、半田の溶融温度(半田の活性化温度)である200〜300℃で数分程度フラックスを加熱する。
【0069】
これにより、フラックス構成材中の活性剤が加熱されることで、再配置配線2e上のAu膜2kの表面の酸化物や酸化膜を除去することができる。
【0070】
還元処理におけるリフロー完了後、
図8の還元処理(バンプ搭載前処理)の洗浄を行う。この洗浄では、
図9の洗浄に示すように、半田バンプ搭載後のリフロー後洗浄と同一条件でフラックス除去を行う。
【0071】
具体的には、スピン洗浄により、半導体ウエハ1を回転させながら界面活性剤を吹き付けてフラックス材を洗う。ただし、洗浄は、スピン洗浄に限定されずに、界面活性剤を収容した液槽に半導体ウエハ1を浸け置きして洗うものであってもよい。
【0072】
そして、界面活性剤による洗浄後、半導体ウエハ1に純水を吹き付ける(スピン洗浄)ことで、フラックス材を洗い流すことができる。ただし、純水による洗浄もスピン洗浄に限定されずに浸け置き洗浄によって洗い流してもよい。
【0073】
以上により、本実施の形態1の還元処理を完了する。
【0074】
これにより、再配置配線2e上のAu膜2kの表面の酸化物や酸化膜を除去することができる。すなわち、Au膜2kに対して、フラックス塗布と、リフロー(昇温)と、洗浄とからなる還元処理(バンプ搭載前処理)を実施したことで、Au膜2kの表面の酸化物や酸化膜を除去することができる。
【0075】
上記還元処理を完了した後、
図8に示す還元処理(バンプ搭載前処理)後のフラックス塗布を行う。ここでは、還元処理により酸化物や酸化膜が除去された再配置配線2e上のAu膜2kに対して、還元処理後のフラックス塗布を行う。
【0076】
還元処理後のフラックス塗布では、還元処理で行ったフラックス塗布と同様のフラックス材(フラックス構成材)を使用し、かつ同様の方法で再配置配線2e上のAu膜2kにフラックスを塗布する。
【0077】
例えば、ロジン、溶剤、チキソ剤、ハロゲン系活性剤、補助活性剤および有機酸から構成されたロジン系のフラックス材を用い、このフラックス材をAu膜2kの表面に塗布する。その際、還元処理の時と同様に、ボール搭載機によってフラックスのみを所望の箇所に塗布する。
【0078】
例えば、再配置配線2e上のAu膜2k上の位置のみ開口しているマスクを使用し、この開口を介して塗布したい箇所(Au膜2k)のみにフラックスを塗布する。ロジン系フラックスは除去しにくく、Au膜2k以外の箇所に付着すると、腐食やリークの問題が懸念されるため、必要な箇所以外にはフラックスが付着しないようにして塗布する。
【0079】
ただし、還元処理時に、水溶性フラックスを用いた場合には、還元処理後のフラックス塗布でも水溶性フラックスを用いる。
【0080】
なお、還元処理後のフラックス塗布の目的は、半田バンプ3搭載時の半田バンプ3の仮止めと、Au膜2kおよび半田バンプ3の両方の表面の酸化物および酸化膜の除去とである。つまり、半田バンプ3の仮止めについては、後の半田バンプ搭載工程でAu膜2k上に配置した半田バンプ3を、リフローを行うまでの間、Au膜2k上に留めておくためのものである。また、半田バンプ3の表面の酸化物および酸化膜の除去については、リフロー時、半田バンプ3が回転することで、半田バンプ3の表面も洗うものである。
【0081】
還元処理後のフラックス塗布完了後、半田バンプ搭載を行う。すなわち、再配置配線2e上のAu膜2k上に半田バンプ3を形成する。この半田バンプ搭載では、ボール搭載機を用いて、所定の複数のAu膜2kそれぞれの上に半田バンプ3を搭載する。
【0082】
半田バンプ搭載後、還元処理後のリフローを行う。このリフローでは、リフロー炉にてリフロー条件で半田バンプ3を昇温する。例えば、半田の溶融温度(半田の活性化温度)である200〜300℃で半田バンプ3を加熱する。
【0083】
これにより、フラックス材の活性剤が加熱されることで、Au膜2kの表面の酸化物や酸化膜が除去され、さらに、上述のように、半田バンプ3が回転することで半田バンプ3の表面の酸化物や酸化膜も除去することができる。
【0084】
半田バンプ搭載のためのリフロー完了後、
図8の還元処理後の洗浄を行う。この洗浄では、一例として、スピン洗浄により、半導体ウエハ1を回転させながら界面活性剤を吹き付けてフラックス材を洗う。ただし、還元処理の時と同様に、洗浄は、スピン洗浄に限定されずに、界面活性剤を収容した液槽に半導体ウエハ1を浸け置きして洗うものであってもよい。
【0085】
そして、界面活性剤による洗浄後、半導体ウエハ1に純水を吹き付ける(スピン洗浄)ことで、フラックス材を洗い流す。ただし、純水による洗浄もスピン洗浄に限定されずに浸け置き洗浄によって洗い流してもよい。
【0086】
以上により、
図7に示す半田バンプ搭載を完了する。
【0087】
上記半田バンプ搭載後、
図7に示すダイシングを行って、半導体ウエハ1からそれぞれの半導体チップ2を切り出す。
【0088】
そして、ダイシングによって個片化が行われ、
図1に示すウエハプロセスパッケージ5の組み立て完了となる。
【0089】
本実施の形態1の半導体装置の製造方法によれば、再配置配線2e上のAu膜2kに半田バンプ3を接合(形成)する前に、Au膜2kの表面に還元処理((バンプ搭載前処理)フラックス塗布、リフロー(昇温)、洗浄)を実施することにより、Au膜2kの表面に形成された酸化物や酸化膜を除去することができる。
【0090】
これにより、半田バンプ接合時に半田接合の界面(Sn−Ni−Cu合金層(
図10に示す反応層7))の成長を促進させることができ、フリップチップ接合でのクラックを抑制することができる。
【0091】
ここで、
図10に示す図は、上述の還元処理を施した
図1に示すウエハプロセスパッケージ5を実装基板等にフリップチップ実装した際の半田バンプ3の接合界面の構造を示すものであり、Ni層8と半田層6との間に形成されたSn−Ni−Cu合金層である反応層7が連続性を有して成長し、これにより、成長が促進され、反応層7が厚く形成されている。
【0092】
したがって、フリップチップ接合でのクラックの発生を抑制することができる。
【0093】
その結果、ウエハプロセスパッケージ5のフリップチップ接合における接合信頼性を向上させることができる。
【0094】
(実施の形態2)
図11は実施の形態2の半導体装置の製造方法におけるバンプ搭載前処理の手順の一例を示すフロー図である。
【0095】
本実施の形態2では、バンプ搭載前処理(還元処理)として、
図11に示すように酸洗浄を行う。すなわち、再配置配線2e上に形成されたAu膜2kの表面の酸化物もしくは酸化膜の除去として、酸を用いた洗浄(酸洗浄)を行うものである。
【0096】
具体的には、
図6に示すプローブ検査実施後、バックグラインド(裏面研磨)を行わずに
図7に示す半田バンプ搭載を行う。つまり、本実施の形態2では、バックグラインドを実施する前に、
図11に示す酸洗浄を実施する。そして、バックグラインドは、還元処理である酸洗浄、および半田バンプ搭載を完了した後に実施する。
【0097】
上記酸洗浄では、例えば、塩酸(HCl)または硫酸(H
2SO
4)等の酸を用いて洗浄を行うことが好ましいが、これらの酸に限定されるものではない。そして、例えば、塩酸もしくは硫酸等の溶液(薬液)が収容された液槽等に、プローブ検査済みの半導体ウエハ1を浸け置きし、その後、純水等が収容されたリンス槽に浸して薬液を洗い流す。
【0098】
ここでは、洗浄液として塩酸や硫酸等を扱うため、スピンコートよりも液槽等に浸す洗浄方法を採用する方が好ましく、作業者がより安全に作業を行うことができる。
【0100】
これにより、再配置配線2e上のAu膜2kの表面を洗浄することができ、Au膜2kの表面の酸化物または酸化膜を除去することができる。
【0101】
上記酸洗浄後、
図11に示す還元処理(バンプ搭載前処理)後のフラックス塗布を行う。ここでは、実施の形態1と同様に、還元処理(酸洗浄)により酸化物や酸化膜が除去された再配置配線2e上のAu膜2kに対してフラックス塗布を行う。
【0102】
本フラックス塗布では、実施の形態1と同様のフラックス材(フラックス構成材)を使用し、かつ同様の方法で再配置配線2e上のAu膜2kにフラックスを塗布する。
【0103】
例えば、ロジン、溶剤、チキソ剤、ハロゲン系活性剤、補助活性剤および有機酸から構成されたロジン系のフラックス材を用い、このフラックス材をAu膜2kの表面に塗布する。その際、実施の形態1と同様に、例えば、ボール搭載機によってフラックスのみを所望の箇所に塗布する。
【0104】
すなわち、本実施の形態2においても、再配置配線2eのAu膜2k上の位置のみ開口しているマスクを使用し、この開口を介して塗布したい箇所(Au膜2k)のみにフラックスを塗布する。ロジン系フラックスは除去しにくく、Au膜2k以外の箇所に付着すると、腐食やリークの問題が懸念されるため、必要な箇所以外にはフラックスが付着しないようにして塗布する。
【0105】
なお、本フラックス塗布の目的も、実施の形態1と同様に、半田バンプ搭載時の半田バンプ3の仮止めと、Au膜2kおよび半田バンプ3の両方の表面の酸化物および酸化膜の除去とである。つまり、半田バンプ3の仮止めについては、後の半田バンプ搭載工程でAu膜2k上に配置した半田バンプ3を、リフローを行うまでの間、Au膜2k上に留めておくためのものである。また、半田バンプ3の表面の酸化物および酸化膜の除去については、リフロー時、半田バンプ3が回転することで、半田バンプ3の表面も洗うものである。
【0106】
上記フラックス塗布完了後、
図11に示す半田バンプ搭載を行う。すなわち、再配置配線2e上のAu膜2k上に半田バンプ3を形成する。この半田バンプ搭載では、実施の形態1と同様に、ボール搭載機を用いて、所定の複数のAu膜2kそれぞれの上に半田バンプ3を搭載する。
【0107】
半田バンプ搭載後、
図11に示すリフローを行う。このリフローでは、実施の形態1と同様に、リフロー炉にてリフロー条件で半田バンプ3を昇温する。例えば、半田の溶融温度(半田の活性化温度)である200〜300℃で半田バンプ3を加熱する。
【0108】
これにより、フラックス材の活性剤が加熱されることで、Au膜2kの表面の酸化物や酸化膜が除去され、さらに、上述のように、半田バンプ3が回転することで半田バンプ3の表面の酸化物や酸化膜も除去することができる。
【0109】
図11に示すリフロー完了後、洗浄を行う。この洗浄では、一例として、実施の形態1と同様に、スピン洗浄により、半導体ウエハ1を回転させながら界面活性剤を吹き付けてフラックス材を洗う。ただし、本洗浄は、スピン洗浄に限定されずに、界面活性剤を収容した液槽に半導体ウエハ1を浸け置きして洗うものであってもよい。
【0110】
そして、界面活性剤による洗浄後、実施の形態1と同様に、半導体ウエハ1に純水を吹き付ける(スピン洗浄)ことで、フラックス材を洗い流す。ただし、純水による洗浄もスピン洗浄に限定されずに浸け置き洗浄によって洗い流してもよい。
【0111】
以上により、
図11に示す半田バンプ搭載を完了する。
【0112】
上記半田バンプ搭載後、本実施の形態2では、
図11に示すバックグラインド(裏面研磨)を実施する。すなわち、再配置配線2e上のAu膜2k上に半田バンプを形成(搭載)した後に、半導体ウエハ1の主面1aと反対側の裏面1bを研磨する。
【0113】
ここで、本実施の形態2において、還元処理である酸洗浄(バンプ搭載前処理)、および半田バンプ搭載を完了した後にバックグラインドを行う理由について説明する。
【0114】
すなわち、
図3および
図4に示す各工程は、半導体製造工程のうちの前工程であり、前工程で使用する各製造装置では、その搬送において、バックグラインドを行った半導体ウエハ1は薄く、割れ易いという問題があるため、扱うことが困難とされている。さらに、上記酸洗浄は、塩酸や硫酸等の酸を使用するものであるが、前工程では、塩酸や硫酸は後工程に比べて処理に使用するため、扱いが容易な環境が整っている。
【0115】
そこで、本実施の形態2では、バックグラインドを行う前に、前工程にて還元処理である酸洗浄(バンプ搭載前処理)を行い、かつバンプ搭載完了後に、後工程にてバックグラインドを行う。
【0116】
なお、バンプ搭載後にバックグラインドを行う場合には、半導体ウエハ1のバンプ搭載面を保持する必要があるため、バンプ高さを吸収することができる接着層が厚いBG用テープをバンプ搭載面に貼り付け、この接着層が厚いBG用テープで各半田バンプ3を保護した状態でバックグラインドを行う。
【0117】
すなわち、接着層が厚いBG用テープを半導体ウエハ1のバンプ搭載面(主面1a)に貼り付け、接着層の厚みによりバンプ高さを吸収し、このバンプ搭載面を保持した状態でバックグラインドを行う。
【0118】
以上により、上記酸洗浄を行う際には、半導体ウエハ1はバックグラインド前で、かつその厚さが厚い状態なことから前工程でも扱うことが可能であり、さらに塩酸や硫酸を使用する環境も整っているため、既存の設備を使用して酸洗浄を行うことができる。
【0119】
また、接着層が厚いBG用テープを使用することで、後工程であってもバックグラインドを行うことができる。
【0120】
ただし、上記酸洗浄は、後工程で行ってもよいが、上記理由より前工程で行う方が好ましい。
【0121】
これにより、半導体ウエハ1のバックグラインドを完了する。
【0122】
上記バックグラインドを完了した後、
図7に示すダイシングを行って、半導体ウエハ1からそれぞれの半導体チップ2を切り出す。
【0123】
そして、ダイシングによって個片化が行われ、
図1に示すウエハプロセスパッケージ5の組み立て完了となる。
【0124】
本実施の形態2の半導体装置の製造方法によれば、再配置配線2e上のAu膜2kに半田バンプ3を接合(形成)する前に、Au膜2kの表面に還元処理(バンプ搭載前処理)として酸洗浄を実施することにより、Au膜2kの表面に形成された酸化物や酸化膜を除去することができる。
【0125】
これにより、実施の形態1と同様に、半田バンプ接合時に半田接合の界面(Sn−Ni−Cu合金層(
図10に示す反応層7))の成長を促進させることができ、フリップチップ接合でのクラックを抑制することができる。
【0126】
その結果、ウエハプロセスパッケージ5のフリップチップ接合における接合信頼性を向上させることができる。
【0127】
また、本実施の形態2では、還元処理としては、酸洗浄を行うだけであり、リフローは行っていない。したがって、リフローの加熱による半導体ウエハ1への熱ストレスの付与を低減することができ、熱ストレスに起因する不良、例えば、ウエハプロセスパッケージ5におけるフリップチップ実装時にクラックが大きくなる等の不具合を抑制することができる。
【0128】
さらに、本実施の形態2の酸洗浄は、洗浄プロセスが他の洗浄に比較して簡単であるため、洗浄に係るコストの低減化を図ることができる。
【0129】
<変形例>
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明はこれまで記載した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0130】
(変形例1)
上記実施の形態1,2では、半導体装置がウエハプロセスパッケージの場合を説明したが、上記半導体装置は、再配置配線を有し、かつこの再配置配線上にNi/Au膜を有するパッケージであれば他の半導体パッケージであってもよい。
【0131】
(変形例2)
さらに、上記実施の形態で説明した技術思想の要旨を逸脱しない範囲内において、変形例同士を組み合わせて適用することができる。