【実施例】
【0011】
図1は、本実施形態の水晶発振回路を示す回路図である。
水晶発振回路100は、PMOSトランジスタP1、P2、NMOSトランジスタN1、N2、容量CP、CN、CC、CG、CD、帰還抵抗20、抵抗RP、RNとバイアス回路50、定電圧回路10、水晶振動子60で構成されている。バイアス回路50は、定電流源40、41、PMOSトランジスタP3、P4、NMOSトランジスタN3、N4で構成される。
【0012】
図2は、本実施形態の水晶発振回路の定電圧回路の一例を示す回路図である。
定電圧回路10は、定電流源42、PMOSトランジスタP11、P12、P13、NMOSトランジスタN10、N11、N12、N13、差動増幅回路30で構成される。
【0013】
本実施形態の水晶発振回路の接続について説明する。
PMOSトランジスタP2は、ソースがPMOSトランジスタP1のドレインに接続され、ゲートがノードVGに接続され、ドレインがノードXOUTに接続される。PMOSトランジスタP1は、ソースが電源VDDに接続され、ゲートがノードVP1に接続される。NMOSトランジスタN2は、ソースがNMOSトランジスタN1のドレインに接続され、ゲートがノードVGに接続され、ドレインがノードXOUTに接続される。NMOSトランジスタN1は、ソースが定電圧回路10の出力端子(ノードVREG)に接続され、ゲートがノードVN1に接続される。帰還抵抗20は、一端がノードVGに接続され、他端がノードXOUTに接続される。容量CCは、一端がノードXINに接続され、他端がノードVGに接続される。容量CPは、一端がノードXINに接続され、他端がノードVP1に接続される。容量CNは、一端がノードXINに接続され、他端がノードVN1に接続される。容量CGは、一端がノードXINに接続され、他端が電源VDDに接続される。容量CDは、一端がノードXOUTに接続され、他端が電源VDDに接続される。抵抗RPは、一端がノードVP1に接続され、他端がバイアス回路50の出力端子(ノードVP0)に接続される。抵抗RNは、一端がノードVN1に接続され、他端がバイアス回路50の出力端子(ノードVN0)に接続される。水晶振動子60は、一端がノードXINに接続され、他端がノードXOUTに接続される。
【0014】
バイアス回路50の接続について説明する。
定電流源40は、一端が電源VDDに接続され、他端がノードVN0に接続される。定電流源41は、一端が電源VDDに接続され、他端がPMOSトランジスタP4のソースに接続される。PMOSトランジスタP4は、ドレインがノードVN0に接続され、ゲートに信号S1が入力される。NMOSトランジスタN3は、ソースがノードVREGに接続され、ゲート及びドレインがノードVN0に接続される。NMOSトランジスタN4は、ソースがノードVREGに接続され、ゲートがノードVN0に接続され、ドレインがノードVP0に接続される。PMOSトランジスタP3は、ソースが電源VDDに接続され、ゲート及びドレインがノードVP0に接続される。
【0015】
定電圧回路10の接続について説明する。
定電流源42は、一端が電源VDDに接続され、他端がNMOSトランジスタN10のゲート及びドレインに接続される。NMOSトランジスタN10は、ソースが電源VSSに接続される。NMOSトランジスタN11は、ソースが電源VSSに接続され、ゲートがNMOSトランジスタN10のゲートに接続され、ドレインがノードVP3に接続される。PMOSトランジスタP11は、ソースが電源VDDに接続され、ゲート及びドレインがノードVP3に接続される。PMOSトランジスタP12は、ソースが電源VDDに接続され、ゲートがノードVP3に接続され、ドレインがノードVN3に接続される。NMOSトランジスタN12は、ソースがノードVREGに接続され、ゲート及びドレインがノードVN3に接続される。NMOSトランジスタN13は、ソースが電源VSSに接続され、ゲートが差動増幅回路30の出力端子(ノードVOUT)に接続され、ドレインがノードVREGに接続される。PMOSトランジスタP13は、ソースが電源VDDに接続され、ドレインがノードVOUTに接続され、ゲートに信号S1に入力される。
【0016】
PMOSトランジスタP1、P2及びNMOSトランジスタN1、N2は、発振インバータを構成する。この発振インバータに流れる電流が駆動電流である。
バイアス回路50は、PMOSトランジスタP1とNMOSトランジスタN1のゲート電圧を決定するための電圧VP0とVN0を出力する。そして例えば、PMOSトランジスタP3、P4及びNMOSトランジスタN3、N4は同じサイズで構成されていて、各トランジスタには定電流源40の電流I1が流れる。但し、各トランジスタに流れる電流は、特に電流I1に限定されることはなく、以下に説明するような機能を満足するために、適宜設定されて良い。
【0017】
定電圧回路10は、出力端子から通常動作時は電源VDDを基準とする電圧VREGを出力し、発振開始時は電源VSSの電圧を出力する。電圧VREGは、差動増幅回路30の機能により、PMOSトランジスタP11とNMOSトランジスタN12の閾値電圧VTHの和に比例する電圧である。
図2に示した定電圧回路10は、一例であって、上述のような電圧VREGを出力する回路であれば、これに限定されるものではない。
【0018】
上記のように構成された本実施形態の水晶発振回路の動作について説明する。
[通常動作時]
図3は、本実施形態の水晶発振回路の動作を示す図である。
信号S1は、通常動作時はHighレベルになっている。定電圧回路10は、PMOSトランジスタP13がオフするので、出力端子には電圧VREGが出力される。従って、水晶発振回路100のノードXINとノードXOUTの電圧は、電圧VREG/2を中心に振動する。バイアス回路50のPMOSトランジスタP4は、信号S1がHighレベルであることからオフしているので、ノードVN0は定電流源40の電流I1とNMOSトランジスタN3の閾値電圧VTHで決定される電圧になる。ノードVN1は、ノードVN0と抵抗RNを介して接続され、ノードXINと容量CNで結合されているので、その電圧はノードVN0の電圧を中心にノードXINと同じ位相で振動する。同様に、ノードVP0は定電流源40の電流I1とPMOSトランジスタP3の閾値電圧VTHで決定される電圧になる。ノードVP1は、ノードVP0と抵抗RPを介して接続され、ノードXINと容量CPで結合されているので、その電圧はノードVP0の電圧を中心としてノードXINと同じ位相で振動する。
【0019】
ノードXOUTの電圧が電源VDDの電圧に一番近くなっているとき、即ちPMOSトランジスタP2がオンしているとき、ノードVP1の電圧はノードVP0の電圧より低くなっている。従って、PMOSトランジスタP1の流す電流は電流I1より多くなる。更に、ノードVN1の電圧もノードVN0の電圧より低くなっているので、NMOSトランジスタN1の流す電流は電流I1より少なくなる。
【0020】
また、ノードXOUTの電圧が一番電圧VREGに近くなっているとき、即ちNMOSトランジスタN2がオンしているとき、ノードVN1の電圧はノードVN0の電圧より高くなっている。従って、NMOSトランジスタN1の流す電流は電流I1より多くなる。更に、ノードVP1の電圧もノードVP0の電圧より高くなっているので、PMOSトランジスタP1の流す電流は電流I1より少なくなる。
【0021】
従って、PMOSトランジスタP1、P2、NMOSトランジスタN1、N2で構成される発振インバータを定電流インバータとして最適に動作させつつ、貫通電流を削減することができる。更に、電流I1を最小にできるので、バイアス回路50の消費電流も削減することが可能となり、水晶発振回路の消費電流を削減することができる。
【0022】
また、発振インバータの出力であるノードXOUTは、電圧VREG/2を中心にして振動するので、容量CDと水晶振動子60を充放電する電流は電圧VREGに依存する。従って、電圧VREGを小さくすることで、充放電電流を最小にして、水晶発振回路の消費電流を削減することができる。但し、定電圧VREGは発振停止電圧を下回らないように設定することが必要である。
【0023】
[発振開始時]
発振開始時は、信号S1を所定の時間の間Lowレベルにする。
信号S1がLowレベルになると、バイアス回路50のPMOSトランジスタP4がオンするので、水晶発振回路100の駆動電流は定電流源40の電流I1と定電流源41の電流I2の和となる。駆動電流が増加することでPMOSトランジスタP1とNMOSトランジスタN1に流れる電流が十分に大きくなり、発振インバータの動作が定電流インバータではなく、PMOSトランジスタP2とNMOSトランジスタN2で構成されるCMOSインバータのように動作する。従って、水晶発振回路100は、発振開始時間を安定して速くすることが可能となる。
【0024】
信号S1がLowレベルになると、定電圧回路10のPMOSトランジスタP13がオンするので、NMOSトランジスタN13がオンして、定電圧回路10の出力端子には電源VSSの電圧が出力される。従って、発振インバータの駆動電圧が電源VDD〜電源VSS間の電圧になるので、発振開始時間を安定して速くすることが可能となる。
【0025】
以上説明したように、水晶発振回路100は発振開始時に発振インバータの駆動電流と駆動電圧を通常動作時より増加することで、発振開始時間を安定して速くすることが可能となる。従って、通常動作時は発振インバータの駆動電流を小さく駆動電圧を低くすることが可能なので、発振開始時間を犠牲にすることなく、消費電流を小さくすることが出来る。
【0026】
なお、定電流源41とPMOSトランジスタP4で発振開始時の駆動電流の増加する構成について説明したが、他の回路構成を用いてもよい。例えば、カレントミラーを形成しているNMOSトランジスタN3とN1、PMOSトランジスタP1とP2のミラー比を、発振開始時に変更するようにしても良い。また、発振開始時にノードVN1を電源VDDに接続し、ノードVP1を電源VSSに接続させるようにしても良い。
【0027】
図4は、本実施形態の水晶発振回路の定電圧回路の他の例を示す回路図である。
定電圧回路11は、定電圧回路10からPMOSトランジスタP13を削除し、更にNMOSトランジスタN14とSW70を追加したものである。
【0028】
NMOSトランジスタN14は、ソースがノードVN5に接続され、ゲート及びドレインはノードVN4に接続される。SW70は、一端がノードVN4に接続され、他端がノードVN5に接続され、制御端子に信号S1が入力される。SW70は、例えば信号S1がHighレベルでオンし、Lowレベルでオフする。
【0029】
[通常動作時]
通常動作時は、信号S1はHighレベルになっているので、SW70はオンしている。従って、定電圧回路10の通常時と同様の動作にする。
【0030】
[発振開始時]
発振開始時は、信号S1を所定の時間の間Lowレベルにする。
信号S1がLowレベルなので、定電圧回路11のSW70はオフしている。従って、定電圧回路11の出力端子には、PMOSトランジスタP11、NMOSトランジスタN12とNMOSトランジスタN14の閾値電圧VTHの和に比例する電圧VREGが出力される。この電圧VREGは、通常動作時の電圧と比較しNMOSトランジスタN14の閾値電圧VTH分だけ大きくなるので、発振開始時間を速くすることができる。
【0031】
水晶発振回路は、駆動電圧が高いと高調波発振に移行してしまう恐れがあるが、定電圧回路11が出力する電圧VREGは、通常動作時の出力電圧からNMOSトランジスタN14の閾値電圧VTH分だけ大きい電圧なので、高調波発振を防止でき、かつ発振開始時間を速くする効果がある。
【0032】
以上説明したように、水晶発振回路100は発振開始時に発振インバータの駆動電流と駆動電圧を通常動作時より増加することで、発振開始時間を安定して速くすることが可能となる。従って、通常動作時は発振インバータの駆動電流を小さく駆動電圧を低くすることが可能なので、発振開始時間を犠牲にすることなく、消費電流を小さくすることが出来る。従って、本発明の水晶発振回路は、低消費電流でかつ発振開始時間が安定して短い水晶発振回路を必要とする電子時計などに最適である。
【0033】
なお、本実施形態の水晶発振回路の構成は一例であり、請求の範囲を逸脱しない範囲で変形が可能である。
また、バイアス回路50を定電圧回路10の一部回路と兼用しても良い。例えば、水晶発振回路100のノードVP0、VN0をそれぞれ定電圧回路10のVP3、VN3と接続する。この様に構成すると、チップ面積を縮小することが可能である。
【0034】
また、抵抗RP、RNは抵抗素子の代わりにトランスミッションゲートやボルテージフォロワ回路などを使用しても良い。
また、発振開始時に駆動電流及び駆動電圧の両方を変更する場合について述べたが、どちらか一方を変更するようにしてもよい。