(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記気体補充部は、前記液室の前記気体を排出可能であり、前記液体の補充、前記気体の補充、及び前記気体の排出により前記ケーシング内の圧力を調整することを特徴とする請求項1の液体循環装置。
前記ケーシングは、前記液体吐出部からの液体を回収する回収室と、前記液体吐出部に液体を供給する供給室とを形成する、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の液体循環装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
[実施形態]
以下、実施形態にかかるインクジェット記録装置1について
図1乃至
図8を参照して説明する。各図において説明のため、適宜構成を拡大、縮小または省略して示している。なお、同じ構造または類似する構造には同じ番号を付している。
【0008】
図1はインクジェット記録装置1の正面図であり、
図2はインクジェット記録装置1の平面図である。
図1および
図2に示すように、液体吐出装置であるインクジェット記録装置1は、画像形成部6、搬送部である記録媒体移動部7、およびメンテナンスユニット310を備える。
【0009】
画像形成部6は、インクジェット記録部4、インクジェット記録部4を支持するキャリッジ100、キャリッジ100を矢印A方向に往復移動させる搬送ベルト101、搬送ベルト101を駆動するキャリッジモータ102を備える。
【0010】
インクジェット記録部4は、液体吐出部でありインク吐出部であるインクジェットヘッド2と、循環部であるインク循環装置3と、を備える。インク循環装置3は、インクジェットヘッド2の上方にあって、インクジェットヘッド2と一体に形成される。インクジェット記録部4は、記録媒体Sにインクを吐出して、所望の画像を形成する。
【0011】
インクジェット記録部4は、例えばシアンインク、マゼンダインク、イエロインク、ブラックインク、ホワイトインクをそれぞれ吐出するインクジェット記録部4a、4b、4c、4d、4eを備える。インクジェット記録部4a、4b、4c、4d、4eがそれぞれ使用するインクの色あるいは特性は限定されない。たとえばインクジェット記録部4eは、ホワイトインクに換えて、透明光沢インク、赤外線または紫外線を照射したときに発色する特殊インク等を吐出可能である。インクジェット記録部4a、4b、4c、4d、4eは、それぞれ使用するインクが異なるものの同じ構成である。したがって共通の符号を用いて説明する。
【0012】
インクジェット記録部4は、インク循環部3をインクジェットヘッド2の上方に積載することにより幅を狭められる。従って複数のインクジェット記録部4a〜4eを並列に支持するキャリッジ100の幅を狭めることができる。画像形成部6は、キャリッジ100の幅を狭めることにより、キャリッジ100の搬送距離を減少でき、インクジェット記録装置1の小型化を得られ且つ印字速度を高めることができる。
【0013】
画像形成部6は、インク循環装置3に新しいインクを補充するためのインクカートリッジ81を備える。インクカートリッジ81の81a、81b、81c、81d、81eは、それぞれシアンインク、マゼンダインク、イエロインク、ブラックインクインク、ホワイトインクを保有する。インクカートリッジ81a、81b、81c、81d、81eは、それぞれ保有するインクが異なるものの同じ構成である。したがって共通の符号を用いて説明する。インクカートリッジ81は、チューブ82を介してインクジェット記録部4のインク循環装置3に連通する。インクカートリッジ81は、重力方向においてインク循環装置3より相対的に下方に配置されている。
【0014】
記録媒体移動部7は、記録媒体Sを吸着固定するテーブル103を備える。テーブル103は、スライドレール装置105上に取り付けられて矢印B方向に往復移動する。テーブル103は、ポンプ104により内部が負圧になり、上面の小径の穴110から記録媒体Sを吸着して固定する。インクジェット記録部4が搬送ベルト101に沿って矢印A方向に往復移動する間、インクジェットヘッド2のノズルプレート52と記録媒体Sとの距離hは一定に維持される。インクジェットヘッド2は、ノズルプレート52の長手方向に300個の液体吐出部であるノズル51を備える。ノズルプレート52の長手方向は、記録媒体Sの搬送方向と同じとなる。
【0015】
画像形成部6は、記録媒体Sの搬送方向に対して直交する方向にインクジェットヘッド2を往復移動させながら、記録媒体Sに画像を形成する。インクジェットヘッド2は、画像形成信号に合わせてノズルプレート52に設けたノズル51からインクIを吐出して、記録媒体Sに画像を形成する。インクジェット記録部4は、記録媒体S上に例えば300ノズルの幅で画像を形成する。
【0016】
メンテナンスユニット310は、インクジェット記録部4の矢印A方向の走査範囲であって、テーブル103の移動範囲より外側の位置に配置される。インクジェットヘッド2は、待機位置Qでメンテナンスユニット310に対峙する。メンテナンスユニット310は上方が開放したケースであって、上下(
図1矢印C、D方向)に移動可能に設けられる。
【0017】
画像をプリントするためにキャリッジ100が矢印A方向に移動している場合、メンテナンスユニット310は下方(矢印C方向)に移動してノズルプレート52から離間する。プリント動作が終了した場合にメンテナンスユニット310は上方(矢印D方向)に移動する。プリント動作が終了してインクジェットヘッド2が待機位置Qに戻ると、メンテナンスユニット310は上方に移動して、インクジェットヘッド2のノズルプレート52を覆う。メンテナンスユニット310は、ノズルプレート52からのインクの蒸発を防止し、ノズルプレート52にほこりや紙粉が付着するのを防止する。メンテナンスユニット310は、ノズルプレート52のキャップ機能を備える。
【0018】
メンテナンスユニット310は、ゴム製のブレード120及び廃インク受け部130を備える。ゴム製のブレード120は、インクジェットヘッド2のノズルプレート52に付着したインク、ほこり、紙粉などを除去する。廃インク受け部130は、メンテナンス動作を行う間に発生する廃インク、ほこり、紙粉などを受ける。メンテナンスユニット310は、ブレード120を矢印B方向へ移動させる機構を備え、ブレード120でノズルプレート52表面を払拭する。
【0019】
インクジェットヘッド2は、ノズル近傍で劣化したインクを除去するため、ノズル51からインクを強制的に吐出させるメンテナンス(スピット機能)を行う。インクジェットヘッド2は、インクをノズル51から少量流出させてインクジェットヘッド2の表面に付着した紙粉やほこりを流出したインク膜内に取り込み、ブレード120で拭取るメンテナンス(パージ機能)を行う。廃インク受け部130はスピット機能あるいはパージ機能により発生した廃インクを回収する。
【0020】
インクジェット記録装置1は、記録媒体移動部7による記録媒体Sの搬送方向に対して、インクジェットヘッド2を直交する方向に往復移動させながら、ノズル51からインクを吐出して、記録媒体Sに画像を形成する。
【0021】
インクジェット記録装置1の構造は限定されない。たとえば記録媒体の移動にテーブル103を利用するのではなく、ロール状の記録媒体をインクジェット記録部4の移動方向と直行する方向に巻き取ることにより移動する装置であっても良い。あるいはシート状の記録媒体をプラテンローラにより、インクジェット記録部4の移動方向と直行する方向に移動する装置であっても良い。
【0022】
インクジェットヘッド2は、例えば
図3および
図4に示すように、ノズル51を備えるノズルプレート52と、アクチュエータ54を備える基板60と、基板60に接続されるマニフォルド61と、を備える。基板60は、ノズル51とアクチュエータ54の間に、インクを流すインク流路180を備える。アクチュエータ54はインク流路180に面し、かつ各ノズル51に対応してそれぞれ備えられる。
【0023】
基板60は、アクチュエータ54によってインク流路180内のインクに発生した圧力がノズル51に集中するように、隣接するノズル51間に境界壁190を備える。ノズルプレート52、アクチュエータ54、および境界壁190で囲まれたインク流路180がインク圧力室150となる。インク圧力室150は、第1ノズル列57aのそれぞれのノズル51a、及び第2ノズル列57bのそれぞれのノズル51bに対応して複数設けられる。第1ノズル列57a及び第2ノズル列57bはそれぞれノズル51a、51bを300個ずつ備える。
【0024】
基板60は複数の圧力室150にインクを供給する共通インク供給室58、複数のインク圧力室150からのインクを回収する共通インク室59を第1ノズル列57a側と第2ノズル列57b側にそれぞれ備える。
【0025】
マニフォルド61は、矢印F方向へインクを流入させるインク供給口160と、インクを矢印G方向へ排出するインク排出口170と、を備える。インク循環装置3からインク供給口160にインクIが供給され、インク排出口170からインク循環装置3にインクが還流する。マニフォルド61は、インク供給口160から共通インク供給室58に連通するインク分配通路62を有している。マニフォルド61は、共通インク室59からインク排出口170に連通するインク環流通路63を有している。
【0026】
すなわち、基板60、マニフォルド61、およびノズルプレート52によって、インクジェットヘッド2の内部に、インク流路180が形成される。インク流路180は、ノズル51a、51bに連通する複数のインク圧力室150と、マニフォルド61に形成されたインク供給口160aおよびインク排出口170と、複数のインク圧力室150に連通される共通インク供給室58と、複数のインク圧力室150からのインクを回収する共通インク室59と、インク供給口160aから共通インク供給室58に連通するインク分配通路62と、共通インク室59からインク排出口170に連通するインク環流通路63と、を有する。
【0027】
インク分配通路62を矢印F方向に流れるインクIは、共通インク供給室58から複数のインク圧力室150に流入する。インク圧力室150でノズル51から吐出されなかったインクIは、共通インク室59に流入し、インク環流通路63に還流する。
【0028】
インクジェットヘッド2のアクチュエータ54は、例えば圧電素子55と振動板56を積層したユニモルフ式の圧電振動板で構成される。圧電素子55は例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電セラミック材料等で構成される。振動板56は例えばSiN(窒化ケイ素)等で形成される。
【0029】
図4、
図5に示すように圧電素子55は上下に電極55a、55bを備える。電極55a、55bに電圧がかからない場合は、
図4に示すように圧電素子55が変形しないことから、アクチュエータ54は変形しない。アクチュエータ54が変形しない場合、インクの表面張力によって、ノズル51内にはインクIと空気の界面であるメニスカス290が形成される。メニスカス290によりインク圧力室150内のインクIは、ノズル51内に留まる。
【0030】
電極55a、55bに電圧(V)がかかると、圧電素子55が変形して、アクチュエータ54は
図5に示すように変形する。アクチュエータ54の変形により、メニスカス290にかかる圧力が空気圧より高くなり(陽圧)、インクIはメニスカス290を破ってインク滴IDとなりノズル51から吐出する。なお、大気圧をゼロとし、負圧は大気圧よりも低い圧力、陽圧は大気圧よりも高い圧力である。
【0031】
インクジェットヘッドは、インク圧力室内のインクに圧力変動を生じるものであるが、構造は限定されない。インクジェットヘッドは、例えば静電気で振動板を変形してインク滴を吐出する構造、あるいはヒータ等の熱エネルギーを利用してノズルからインク滴を吐出する構造等でもよい。またインクは温度により粘性が変わり、ノズルからの吐出特性が変わることから、インク吐出を良好に制御するために、インクジェットヘッドに温度センサを備えても良い。
【0032】
インク循環装置3は、例えば
図6及び
図7に示すように、液室でありインク室であるインクケーシング70、循環部76、及び気体補充部である圧力調整部90を備える。インク循環装置3は、インクを循環してインクジェットヘッド2に供給し、且つインクジェットヘッド2のインク圧力室150の圧力を調整する。インク循環装置3は、インク圧力室150の圧力を調整して、ノズル51のメニスカス290の圧力を調整する。インク循環装置3は、インクジェットヘッド2にインクを循環供給して、インクIに含まれる気泡を吸収し、あるいは異物を除去する。
【0033】
インクジェットヘッド2は、ノズル51のメニスカス290にかかる圧力が大気圧より高ければ(陽圧)、ノズル51からインクIが漏れ出る。メニスカス290にかかる圧力が大気圧より低ければ(負圧)、インクIはメニスカス290を維持しノズル51内に留まる。
【0034】
例えばインクIが重力方向(下向き)に吐出するようにノズル51が配置されていると、インク圧力室150内の圧力が−0.5kPaより大きい(陽圧側)場合に、わずかな振動等でインクIはノズル51から漏れ出る。また、インク圧力室150内の圧力が−4.0kPaより小さい(負圧側)場合に、ノズル51から気泡を吸引して、インクの吐出不良を生じる。インク循環装置3は、メニスカス290の圧力を−4.0kPa〜−0.5kPaの範囲に維持して、不要なインク漏れあるいは気泡の吸引を防止する。
【0035】
インクケーシング70は、インクジェットヘッド2からのインクIを回収するインク回収室71と、インクジェットヘッド2にインクIを供給するインク供給室72と、インク回収室71とインク供給室72との間に介在する共通壁73と、を備える。インクケーシング70は、外気に対して密閉される。インク回収室71は第1の液面α1を形成するインクIを保有し、第1の液面α1の上方に第1の空気室β1を構成する。インク供給室72は、第2の液面α2を形成するインクIを保有し、第2の液面α2の上方に第2の空気室β2を構成する。
【0036】
インク回収室71は、インク戻し管71aを備える。インク戻し管71aは、インク回収室71内と、インクジェットヘッド2のインク排出口170に連通する。インク戻し管71aを通ってインクジェットヘッド2からのインクIはインク回収室71に還流する。インク回収室71は、インク供給ポンプ71bを備える。インク供給ポンプ71bは、液体補充部でありインク補充部である。インク供給ポンプ71bはチューブ82を介してインクカートリッジ81からインク回収室71内に新しいインクを補充する。インク回収室71は、循環部76に送液されるインクが通る送液孔71cを備える。インク回収室71は、圧力調整部90の第1の圧力調整部91に連通する第1の連通孔71dを備える。
【0037】
インク供給室72はインク供給管72aを備える。インク供給管72aは、インク供給室72内とインクジェットヘッド2のインク供給口160に連通する。インク供給口160を通ってインクジェットヘッド2にインクIが流入する。インク供給室72は、循環部76から送液されるインクIが排出される排出孔72bを備える。インク供給室72は、圧力調整部90の第2の圧力調整部92に連通する第2の連通孔72cを備える。
【0038】
インク回収室71およびインク供給室72とインクジェットヘッドとの間で良好なインク循環が可能である。なお、インク回収室71およびインク供給室72の構造は限定されない。例えばインクの温度を所定範囲に保持するように、インクを加熱するヒータを備えても良い。
【0039】
インクカートリッジ81を、重力方向においてインク循環装置3より相対的に下方に配置することで、インクカートリッジ81内のインクの水頭圧が、インク回収室71の設定圧力より低く保たれる。インクカートリッジ81を、インク循環装置3より下方に配置することにより、インクカートリッジ81は、インク供給ポンプ71bが駆動している時だけインク回収室71へ新たなインクを供給する。
【0040】
インク供給ポンプ71bは、例えば圧電ポンプである。インク供給ポンプ71bは、圧電素子と金属板を貼り合わせた圧電振動板がたわむことでポンプ内の容積(ポンプ室の容積)を周期的に変化させる。インク供給ポンプ71bは、ポンプ室の容積の変化によりインクカートリッジ81からポンプ室にインクを搬送する。インク供給ポンプ71bは、逆止弁によってインクの搬送方向をインクカートリッジ81からインク回収室71への一方向にする。インク供給ポンプ71bは、圧電振動板のたわみによりポンプ室が拡張すると、ポンプ室にインクが流入する。インク供給ポンプ71bは、圧電振動板のたわみによりポンプ室が収縮すると、ポンプ室からインクが流出する。インク供給ポンプ71bは、ポンプ室の拡張と収縮を繰り返してインクカートリッジ81からインク回収室71にインクを送液する。
【0041】
インクカートリッジ81の配置や位置は限定されない。例えばインクカートリッジ81をインク循環装置3より高い位置に配置した場合は、インクカートリッジ81内のインクの水頭圧が、インク回収室71の設定圧力より高くなる。インクカートリッジ81を、インク循環装置3より高い位置に配置した場合は、水頭差を利用して電磁弁を開閉することにより、インクカートリッジ81からインク回収室71にインクを供給可能である。
【0042】
インク循環装置3の循環部76は、
図7に示すように、インク回収室71の送液孔71cからインク供給室72の排出孔72bに達する循環路76aを備える。循環部76は、循環路76a上に循環ポンプ77及びフィルタ78を備える。循環ポンプ77は、隣接するインク回収室71とインク供給室72に跨って設けられる。循環ポンプ77は、矢印Jで示すように、インクIをインク回収室71からインク供給室72及びインクジェットヘッド2を経てインク回収室71に循環する。循環部76は、送液孔71cからインクを吸引し、排出孔72bを通してインク供給室72へインクIを送液する。循環ポンプ77として、例えばチューブポンプ、ダイヤフラムポンプ、或いはピストンポンプ等を利用する。
【0043】
フィルタ78は、例えば循環路76aの循環ポンプ77よりも循環方向の下流に在り、インクIに混入した異物を除去する。フィルタ78として、例えばポリプロピレン、ナイロン、ポリフェニレンサルファルド、或いはステンレス等のメッシュフィルタを利用する。
【0044】
循環部76によりインク回収室71からインク供給室72にインクを循環する間にインクI中の気泡は浮力によって重力方向と逆向き(上方向)に上昇する。浮力により上昇した気泡はインク回収室71の第1の液面α1あるいはインク供給室72の第2の液面α2より上方の空気室β1、β2に移動してインクから除去される。
【0045】
インク循環装置3は、
図7に示すように、インク回収室71のインク量を計測する第1のインク量センサ(液面センサ)88aと、インク供給室72のインク量を計測する第2のインク量センサ(液面センサ)88bを備える。第1のインク量センサ(液面センサ)88aおよび第2のインク量センサ(液面センサ)88bは、例えば圧電振動板を交流電圧で振動させて、インク回収室71やインク供給室72を伝わるインクの振動をそれぞれ検出して、インク量を計測する。インク量センサの構造は限定されず、第1の液面α1や第2の液面α2の高さを計測する構造であっても良い。
【0046】
インク循環装置3は、
図7に示すように、インク回収室71の第1の連通孔71dに連通する第1の圧力センサ91bとインク供給室72の第2の連通孔72cに連通する第2の圧力センサ92bを備える。第1の圧力センサ91bは、圧力検知部であり、インク回収室71の第1の空気室β1の圧力を検出する。第2の圧力センサ92bは、(圧力検知部であり)、インク供給室72の第2の空気室β2の圧力を検出する。圧力センサ91b、92bの構造は限定されない。圧力センサ91b、92bは、例えば半導体ピエゾ抵抗圧力センサを利用して第1の空気室β1あるいは第2の空気室β2の圧力を電気信号として出力する。半導体ピエゾ抵抗圧力センサは、外部からの圧力を受けるダイヤフラムと、このダイヤフラムの表面に形成された半導体歪ゲージとを備える。半導体ピエゾ抵抗圧力センサは、外部からの圧力によるダイヤフラムの変形に伴い歪ゲージに生じるピエゾ抵抗効果による電気抵抗の変化を電気信号に変換して圧力を検出する。
【0047】
インク循環装置3の第1の圧力調整部91は第1の圧力調整ポンプ91aを備え、第2の圧力調整部92は第2の圧力調整ポンプ92aを備える。圧力調整ポンプ91a、92aは、それぞれインク回収室71あるいはインク供給室72に空気を送り、循環路76a内の圧力を高める。第1、第2の圧力調整ポンプ91a、92aは、それぞれインク回収室71あるいはインク供給室72の空気を外部に放出して、循環路76a内の圧力を低減する。圧力調整ポンプ91a、92aは、例えばチューブポンプあるいは蛇腹ポンプ等を利用できる。
【0048】
図8に示すブロック図を参照して、インクジェット記録装置1の動作を制御する制御系200について説明する。制御系200の制御基板500は、制御部でありインクジェット記録装置1全体を制御するマイクロコンピュータ(マイコン)510と、インク循環装置3を駆動する循環装置駆動回路540と、増幅回路541と、記録媒体移動部7を駆動する移動部駆動回路542と、インクジェットヘッド2を駆動するヘッド駆動回路543、を備える。インクジェット記録部4はインク循環装置3とインクジェットヘッド2から成る。マイコン510は、プログラムあるいは各種データ等を格納するメモリ520と、インクジェット記録部4インク循環装置からの出力電圧を取り込むAD変換部530を備える。
【0049】
制御基板500は、電源550、インクジェット記録装置1の状況を表示する表示装置560、入力装置であるキーボード570に接続される。制御基板500は、インクジェット記録部4の各種ポンプの駆動部や各種センサに接続される。制御基板500は、記録媒体移動部7のポンプ104、スライドレール装置105、メンテナンスユニット310の駆動部、および搬送ベルト101のキャリッジモータ102、に接続する。
【0050】
以下、インクジェット記録装置1の液体吐出方法について説明する。インクジェット記録装置1を最初に印刷動作させる場合に、インクカートリッジ81からインクジェット記録部4にインクIを充填する。インクIを充填するためにマイコン510は、インクジェット記録部4を待機位置に戻し、メンテナンスユニット310を矢印D方向に上昇してノズルプレート52を覆う。マイコン510は、インク供給ポンプ71bを駆動し、インクカートリッジ81からインク回収室71にインクを送液する。インク回収室71でインクIが送液孔71cに達すると、マイコン510は、圧力調整部90でインクケーシング70の圧力を調整し、循環ポンプ77を駆動する。インク回収室71の送液孔71cとインク供給室72の排出孔72bにインクIが到達するとマイコン510はインクIの初期充填を完了する。
【0051】
インクジェット記録装置1は、インクカートリッジ81a、81b、81c、81d、81eのシアンインク、マゼンダインク、イエロインク、ブラックインクインク、ホワイトインクをインクジェット記録部4a、4b、4c、4d、4eにそれぞれ初期充填する。
【0052】
インクIの初期充填を完了した場合に、インクケーシング70内の圧力は、インクジェットヘッド2のノズル51からインクIが漏れず、且つノズル51から気泡を吸引しない程度の、負圧を維持する。インクケーシング70の負圧により、ノズル51は負圧のメニスカス290を維持する。インクIの初期充填を完了した状態でインクジェット記録装置1の電源550を切った場合もインクケーシング70は密閉状態であり、ノズル51内のメニスカス290は負圧に維持し、インクの漏れを防止する。
【0053】
プリントを開始すると、マイコン510は、記録体移動部7を制御して、記録媒体Sをテーブル103に吸着固定して、テーブル103を矢印B方向に往復移動する。マイコン510は、メンテナンスユニット310を矢印C方向に移動する。またマイコン510は、キャリッジモータ102を制御してキャリッジ100を記録媒体Sの方向に搬送し、矢印A方向に往復移動する。
【0054】
マイコン510は、例えばメモリ520が記憶する画像データに応じた画像信号により、インクジェットヘッド2のアクチュエータ54を選択的に駆動して、ノズル51から記録媒体Sにインク滴IDを吐出する。マイコン510は、循環ポンプ77を駆動する。インクジェットヘッド2から還流されたインクIは、インク回収室71、フィルタ78、インク供給室72を経て循環し、インクジェットヘッド2に供給される。
【0055】
インクジェット記録装置1は、インクIを循環することにより、インクIに混入した気泡や異物を除去して、インク吐出性能を良好に保持し、インクジェット記録部4によるプリント画質が向上する。
【0056】
ノズル51からのインク滴IDの吐出、あるいは循環ポンプ77の駆動等によりインクケーシング70の圧力は変動する。インクケーシング70の圧力を、ノズル51からのインク漏れあるいはノズル51から気泡を吸引しない安定域に維持するために、マイコン510は、インクケーシング70の圧力を調整する。
【0057】
マイコン510は、圧力調整部90の圧力調整ポンプ91a,92aやインク供給ポンプ71bの駆動を切り替えて、インクケーシング70の圧力を調整する。
【0058】
例えばプリント時にノズル51からインク滴IDを吐出すると、インクケーシング70のインク量が瞬間的に減少し、インク回収室71の圧力が低下する。第1の圧力センサ91bがインク回収室71の圧力の低下を検知すると、マイコン510は、第1の圧力センサ91b、第2の圧力センサ92b、第1のインク量センサ(液面センサ)88aおよび第2のインク量センサ(液面センサ)88bの検知結果から、圧力調整部90やインク供給ポンプ71bを駆動する。
【0059】
ノズル51にかかる圧力を調整する圧力調整方法について
図9乃至
図11を参照して説明する。
図9は圧力調整手順を示すフローチャートであり、
図10は圧力調整を示すタイミングチャートである。
図11は空気制御及びインク補充制御による圧力調整を行う場合の圧力値のグラフである。
【0060】
インクジェット記録部4にて、ノズル51からのインク漏れあるいはノズル51から気泡を吸引しない、ノズル51の圧力値Pの安定域の下限値を例えばPt1とし、上限値を例えばPt2とする。
【0061】
図9および
図10に示すように、時間t1で電源550を投入後、第1の圧力センサ91bで検出したインク回収室71の圧力値及び、第2の圧力センサ92bで検出したインク供給室72の圧力値に基づいて、ノズル51の圧力値Pを算出する(Act1)。そして、圧力値Pが安定域であるか否か、すなわちPt1≦P≦Pt2を満たすかどうかを判定する(Act2)。圧力値PがPt1≦P≦Pt2を満たさない場合には、圧力値Pが安定域の上限値を超えるか否か、すなわちP≧Pt2を満たすかどうかを判定する(Act3)。Pt1≦P≦Pt2を満たさず(Act2のNo)かつP≧Pt2を満たさない(Act3のNo)場合、すなわち圧力値Pが下限値Pt1より低い場合には、マイコン510は、第1の圧力調整ポンプ91a及び第2の圧力調整ポンプ92aを駆動し、インクケーシング70内に外気を取り入れ、加圧調整する(Act4)。また、マイコン510はインク供給ポンプ71bを駆動し、インクケーシング70に新しいインクを補充することでインクケーシング70を加圧調整する(Act5)。すなわちインクジェット記録部4は、第1の圧力調整ポンプ91a及び第2の圧力調整ポンプ92aとインク供給ポンプ71bとを併用し、ノズル51からインクIを吐出してプリントを行う間に、インクケーシング70内に外気を取り入れるとともにインクカートリッジ81からインク回収室71に新しいインクを補充することで、ノズルの圧力を加圧調整する。
【0062】
例えば
図10の時間t2のように、ノズル51の圧力値Pが下限値Pt1〜上限値Pt2の範囲に達し、Pt1≦P≦Pt2を満たすと(Act2のyes)、マイコン510は、加圧調整を停止する。
【0063】
例えば
図10の時間t3のように、ノズル51の圧力値Pが、上限値Pt2より高くなると(Act3のYes)、マイコン510は、第1、第2の圧力調整ポンプ91a、92aによりインクケーシング70内の空気を外部に排出して、ノズル51を減圧調整する(Act6)。
【0064】
例えば
図10の時間t4のように、ノズル51の圧力値Pが下限値Pt1〜上限値Pt2の範囲に達すると(Act2のYes)、マイコン510は、減圧調整を停止する。
【0065】
例えば電源オフなどにより終了するまで(Act7)、以上の動作(Act1〜Act6)を繰り返す。
【0066】
実施形態によれば、圧力調整の応答性が早く、液体吐出時の圧力の変動値を小さくすることができる。このため、吐出体積のばらつきを減らし、画像乱れを抑制することができる。インクジェット記録部4は、ノズル51圧力値Pを加圧調整するために、第1の圧力調整ポンプ91a及び第2の圧力調整ポンプ92aの駆動と、インク供給ポンプ71bの駆動とを併用する。
図11に示すように、併用して加圧調整を行った場合、実施形態における環境下において、圧力平均値の変動値は
約0.08kPaであった。これに対し、比較例として
図12に示すように、インクカートリッジ81からインク回収室71に新しいインクを補充することのみによって加圧調整をした場合、圧力平均値の変動値は約
0.18kPaとなる。インクジェット記録装置は、圧力の変動値が小さい程、ノズル51より吐出されるインクIの吐出体積ばらつきは小さく、良好な画像が得られる。よって、上記実施形態のようにインクケーシング70内に外気を取り入れることと、インクカートリッジ81からインク回収室71に新しいインクを補充することと、を併用した方が、良好な画像が得やすい。
【0067】
インクジェット記録部4は、インク循環装置3によりインクIを循環して、インクIに含まれる気泡或いは異物等を除去する。インクジェットヘッド2のインク吐出性能を良好に保持して、インクジェット記録部4のプリント画質を向上する。
【0068】
また、インクジェット記録部4は、プリント動作中の圧力調整中であってもインクケーシング70内にインクカートリッジ81から新しいインクIを補充できる。したがって、インクジェット記録部4は、プリント動作を停止することなく、ノズル51の圧力Pを調整する間にインクケーシング70内にインクIを補充出来、インクジェット記録装置1のプリント生産効率が低下するのを防止できる。
【0069】
以上説明した実施形態の液体循環装置の構成は限定されない。例えば液室に液体を補充しつつ液体を循環出来れば液室と液体吐出部とは一体に形成されていなくても良い。また液体循環装置は、インク以外の液体を吐出することもできる。インク以外を吐出する液体吐出装置としては、例えばプリント配線基板の配線パターンを形成するための導電性粒子を含む液体を吐出する装置等であっても良い。
【0070】
この発明の実施形態を説明したが、実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(1)
液体を吐出する液体吐出部に供給する液体を保有する液室と、
前記液室と前記液体吐出部とで前記液体を循環させる循環部と、
前記液室に液体を補充する液体補充部と、
前記液室に気体を補充する気体補充部と、
前記液室の圧力を検知する圧力検知部と、
前記液体補充部で前記液室に前記液体を補充することと、前記気体補充部で前記液室に前記気体を補充することと、により前記液体吐出部の圧力を調整する制御部と、を備えることを特徴とする液体循環装置。
(2)
前記気体補充部は前記気体を放出することにより前記液体吐出部を減圧できることを特徴とする(1)の液体循環装置。
(3)
前記液室は前記液体吐出部の上にあり、前記液体吐出部と一体に設けられることを特徴とする(1)または(2)の液体循環装置。
(4)
(1)または(2)に記載の液体循環装置と、
液体を吐出するノズルを備える液体吐出部と、
前記ノズルから前記液体が吐出される位置に記録媒体を搬送する搬送部と、を備えることを特徴とする液体吐出装置。
(5)
液体を吐出する液体吐出部と、前記液体吐出部に供給する液体を保有する液室とで、前記液体を循環させ、
前記液体吐出部に液体を補充することと、前記液体吐出部に気体を補充することにより前記液体吐出部の圧力を調整する、ことを特徴とする液体吐出方法。