特許第6385229号(P6385229)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385229
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】レール間隔調整装置
(51)【国際特許分類】
   E01B 29/16 20060101AFI20180827BHJP
【FI】
   E01B29/16
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-203748(P2014-203748)
(22)【出願日】2014年10月2日
(65)【公開番号】特開2016-70034(P2016-70034A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000178011
【氏名又は名称】山九株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日鐵住金株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098017
【弁理士】
【氏名又は名称】吉岡 宏嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100120053
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 哲明
(72)【発明者】
【氏名】中山 春海
(72)【発明者】
【氏名】中山 清海
(72)【発明者】
【氏名】坂口 博之
(72)【発明者】
【氏名】小泉 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 琢也
【審査官】 田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−133663(JP,A)
【文献】 特開平08−134811(JP,A)
【文献】 特開昭50−114705(JP,A)
【文献】 米国特許第3682332(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 27/00−37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レールの下フランジを列状に並べて搬送されたレール群から設定本数のレールを纏めて吊上げて荷卸しするレール吊具に対応した設定レール間隔に、前記設定本数のレールの間隔を調整するレール間隔調整装置であって、
台座と、
前記台座に回転自由に支持され、前記設定本数のレールの上フランジの上面を走行可能に設けられた複数の走行輪と、
前記台座に搭載され、前記走行輪を回転駆動する駆動機構と、
前記台座から垂下され、前記レール群の上フランジ間の間隔よりも細い支持軸の下端に回転自由に支持された回転輪とを備え、
前記回転輪は、前記設定本数のレールが前記設定レール間隔よりも大きな間隔で並んでいる時に、少なくとも両側に位置するレールのウェブの外面側に当接可能に、かつレール長手方向に複数配置されていることを特徴とするレール間隔調整装置。
【請求項2】
前記駆動機構は、モータと、前記モータの駆動力を前記複数の走行輪に伝達する動力伝達機構とを備えてなることを特徴とする請求項1に記載のレール間隔調整装置。
【請求項3】
前記駆動機構は、前記モータを駆動する発電機を備えてなることを特徴とする請求項2に記載のレール間隔調整装置。
【請求項4】
前記走行輪が走行可能な一対の基準レールが、前記設定レール間隔で並べられた前記設定本数のレールの両側に位置するレールの間隔に合わせて平行に配置された昇降可能な運搬台を備え、
前記運搬台には、搬送された前記設定本数のレールの両側に位置するレールの一端部を昇降させて、前記一端部の間隔を前記一対の基準レールの間隔に狭めるガイド部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のレール間隔調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、並べて搬送されたレール群から設定本数のレールを纏めて吊上げて荷卸しするレール吊具に対応した設定レール間隔に、搬送された設定本数のレールの間隔を調整するレール間隔調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般の鉄道レール(軌条)は製造された後、所定の長さに切断されて保管される。その後、出荷作業を経て船や鉄道貨車により輸送され、設置現場や交換現場まで搬送される。現場では、一般に、レールの継ぎ目に継ぎ目板をあてて、ボルト締結によりレール同士を結合することが行われる。しかし、近年は、レール同士を溶接により接合して、実質的にレールの継ぎ目を無くすロングレール化(例えば、50ないし200m以上)が行われている。これにより、レール保安費の節減、レール継ぎ目の損傷防止、鉄道車両走行時の騒音防止、乗り心地向上などを図ることができる。さらに、現場での溶接作業を減ずるため、工場等で継ぎ目を溶接した長いレール、あるいは圧延工程ないし製造工程でできた長いレールを現場まで輸送して、設置することが試みられている。
【0003】
一方、ロングレール化したレールの輸送等のための荷役作業を効率化すべく、例えば、整列して並べられた複数本のレールの上フランジ同士のすき間から一対のフック状の挟持腕を開いて挿入した後、一対の挟持腕を閉じてウェブ(上フランジの下面側)を挟持することで、50m長の鉄道レールを同時に複数本把持して吊上げ吊降し可能にしたレール吊具が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1によれば、同時に吊上げる設定本数のレールの間隔に合わせて、複数の挟持腕をレール長手方向に位置をずらしてレール吊具に設けることで、設定本数のレールを同時に吊上げることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3074373号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、製造されたレールは、貨車の荷台に置いたレール受け台の横渡し受けバー上に複数本ずつ並べられ、これらが複数段に積載された状態で、荷役作業が行われる岸壁等まで搬送される。その際、隣り合うレールの下フランジ同士をほぼ接触させて、又は互いに傷を付けないようにするために、下フランジ間にスペーサ(例えば、数ミリ程度)を入れてレールが整列して並べられるが、搬送中のカーブ等を考慮し、レールは長手方向の一箇所または数箇所のみで荷台に固定され、その他の部分は固定されることなく配置されている。これにより、岸壁に搬送されるまでの間にカーブで振られた場合であっても、レールが適宜位置ずれすることで荷崩れが防止されるが、その一方で、位置ずれによりレール間隔が広がってしまう場合がある。
【0006】
特許文献1のレール吊具で複数本のレールを同時に吊上げるには、これらのレールが予め設定されたレール間隔で整列されている必要があるため、搬送中に広がったレール間隔を荷役作業の開始前に揃えておかなければならない。このようなレール間隔の調整作業は、荷役作業員が手作業で行うため手間がかかるだけでなく、貨車の荷台の上での作業となるから危険を伴うおそれがあり、短時間で安全かつ確実に行うことが望まれている。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、荷役作業などのために搬送された設定本数のレールの間隔を、短時間で安全かつ確実に調整する装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明は、レールの下フランジを列状に並べて搬送されたレール群から設定本数のレールを纏めて吊上げて荷卸しするレール吊具に対応した設定レール間隔に、設定本数のレールの間隔を調整するレール間隔調整装置であって、台座と、台座に回転自由に支持され、設定本数のレールの上フランジの上面を走行可能に設けられた複数の走行輪と、台座に搭載され、走行輪を回転駆動する駆動機構と、台座から垂下され、レール群の上フランジ間の間隔よりも細い支持軸の下端に回転自由に支持された回転輪とを備え、回転輪は、設定本数のレールが設定レール間隔よりも大きな間隔で並んでいる時に、少なくとも両側に位置するレールのウェブの外面側に当接可能に、かつレール長手方向に複数配置されていることを特徴とする。
【0009】
これによれば、レール間隔調整装置をレールに沿って走行させると、レールが設定レール間隔よりも大きな間隔で並んでいる時には、レールの当該箇所で回転輪をレールのウェブの外面側に当接させることができる。この時、回転輪は、当接したウェブを内側に押し込むように回転しながらレール間隔調整装置の走行方向へ進行するから、レール間隔調整装置が走行した後のレールの間隔、具体的には、回転輪がウェブを内側へ押し込んだ箇所のレール間隔を設定レール間隔まで狭めることができる。したがって、レールの一端から他端までレール間隔調整装置を走行させると、レールの全長に亘って、隣り合うレール同士の間隔を設定レール間隔に調整して揃えることができる。
【0010】
すなわち、レール間隔調整装置を走行させるだけで、設定本数のレールの間隔を纏めて、レール吊り具に対応した設定レール間隔に調整することができる。これにより、レール吊具によるレールの吊上げをスムーズに行うことができるから、荷役作業の効率化を図ることができる。また、このようなレール間隔の調整を荷役作業員が行わずに済むため、短時間で確実に実施できるのみならず、例えば貨車の荷台の上のような高所での人手による作業をなくすことができるため、荷役作業員の安全を確保することができる。
【0011】
走行輪を回転駆動する駆動機構は、モータと、モータの駆動力を複数の走行輪に伝達する動力伝達機構とを備えて構成することができる。これにより、モータの駆動力をすべての走行輪に伝達することが可能となり、レール間隔調整装置の走行時の安定性を高めることができる。
【0012】
また、この駆動機構は、モータを駆動する発電機を備えて構成することができる。これにより、モータを駆動するためにレール間隔調整装置と外部給電装置や商用電源などをケーブル等で接続せずに済むから、レール間隔調整装置による作業性の向上を図ることができる。
【0013】
実際にレール間隔調整装置でレールの間隔を調整する場合、レール間隔調整装置を適宜移動させて調整対象のレールの上を走行させる。このため、レール間隔調整装置は、レールの上を自走する本体部である走行ユニットを載置して移動させる昇降可能な運搬台を備えた構成とする。運搬台には、設定レール間隔で並べられた設定本数のレールの両側に位置するレールの間隔に合わせて、走行輪が走行可能な一対の基準レールが平行に配置されている。これにより、レール間隔調整装置を基準レールの上に載置した状態で運搬台をフォークリフトなどによって昇降させることで、レール間隔調整装置を移動させることができる。また、基準レールと搬送された設定本数のレールの両側に位置するレールの一端部とを連結し、運搬台に載置されたレール間隔調整装置を基準レールから調整対象のレールに乗り移らせるため、運搬台には、搬送されてレール間隔が設定レール間隔よりも広がっている設定本数のレールの両側に位置するレールの一端部を昇降させて、この一端部の間隔を一対の基準レールの間隔に狭めるガイド部が設けられている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、荷役作業などのために搬送された設定本数のレールの間隔を、短時間で安全かつ確実に調整する装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態のレール間隔調整装置の正面図である。
図2】本発明の一実施形態のレール間隔調整装置の側面図である。
図3図2のレール間隔調整装置の矢印III−IIIにおける断面図である。
図4】本発明の一実施形態のレール間隔調整装置によるレール間隔の調整の態様を説明する図である。
図5】本発明の一実施形態のレール間隔調整装置の運搬台を示す斜視図である。
図6】本発明の一実施形態のレール間隔調整装置が運搬台に載置された状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1図3は、本発明の一実施形態のレール間隔調整装置1の正面図、側面図、断面図である。レール間隔調整装置1は、鉄道用のレール(軌条)2の荷役作業を行う前に、レール吊具(図示省略)で纏めて吊上げて荷卸しするレール同士の間隔を調整して揃えるための装置である。レール2は、下フランジを列状に並べて貨車に載置されて岸壁まで搬送されるが、貨車がカーブを通過する際などにレール間隔が広がってしまう場合がある。この場合、レール吊具による吊上げ・荷卸しに支障を来すことのない所望のレール間隔(以下、設定レール間隔という。)に、搬送後のレールの間隔を調整する必要があり、レール間隔調整装置1はこのような間隔調整のために用いられる。
【0017】
本実施形態では、レール吊具で纏めて吊上げて荷卸し可能なレール2の本数(以下、設定本数という。)が5本に設定され、下フランジ同士が接触もしくは僅かに(2mm程度)離れた状態で5本のレール2が並ぶように、隣り合うレール同士の間隔を設定レール間隔に調整している。ただし、設定本数及び設定レール間隔は、これらに限定されるものではなく、荷役作業に使用されるレール吊具の仕様に応じて任意に設定することが可能である。
【0018】
図1図3に示すように、レール間隔調整装置1は、複数の走行輪3と、走行輪3を回転駆動する駆動機構を備えており、レール2の上フランジ21の上を走行輪3で走行可能に構成されている。走行輪3は、両側の2本のレール2の上フランジ21に跨って走行可能な幅寸法(レール長手方向と水平に直交する方向の寸法)となるように、ウレタン等によって形成されている。走行輪3の踏面には細かな溝(グルーブ)が彫られ、雨天走行時などのスリップを抑制するとともに、グリップ力を高めて確実に回転駆動するようになっている。また図3に示すように、走行輪3は、駆動軸40の両端に取り付けられ、走行方向であるレール長手方向の前後にそれぞれ一対ずつ、合計4つ配置されている。ただし、走行輪3の幅寸法や数、配置などは、レール間隔調整装置1の姿勢をふらつかせることなく、レール2の上を安定して走行可能であれば、図示構成には限定されない。
【0019】
駆動軸40は、ラジアル軸受30を介して台座5の下面に回転自由に支持され、台座5に搭載された駆動機構により回転駆動される。駆動機構は、モータ41と、モータ41の回転駆動力を4つの走行輪3に伝達する動力伝達機構と、モータ41を駆動する発電機42によって構成されている。モータ41及び発電機42は、ブラケットによりそれぞれ台座5に固定されている。モータ41のON・OFF、回転速度、回転方向(レール間隔調整装置1の走行方向)等は、防振ゴムを介してブラケットで台座5に固定された制御盤43によって制御されるようになっている。
【0020】
また、台座5の走行方向の前後には、後述する回転輪7を支持する枠体50にセンサ44がそれぞれ取り付けられている。センサ44は、回転輪3が走行する先におけるレール2の有無を検知し、制御盤43へ信号線等を介して検知信号を送信している。センサ44からレール2が続いていることを表す正常信号を受けている間、制御盤43はモータ41を所定の回転速度で回転制御する。一方、レール2が途切れていることをセンサ44で検知した場合、そのことを表す異常信号を受けた制御盤43がモータ41を緊急停止させる。これにより、レール間隔調整装置1のレール2からの脱落を未然に防ぎ、安全が確保されるようになっている。
【0021】
なお、本実施形態では、モータ41を駆動するための電源としてレール間隔調整装置1に発電機42を搭載しているが、例えば、電源をレール間隔調整装置1には非搭載の外部給電装置や商用電源とし、これらとレール間隔調整装置1をケーブル等で接続してモータ41に給電する構成とすることも可能である。ただし、本実施形態のように発電機42を搭載することで、外部給電装置や商用電源などとケーブル等で接続する場合と比べ、レール間隔調整装置1による作業性の向上を図ることができるメリットがある。
【0022】
モータ41、発電機42、制御盤43は、台座5の上に取り付けられた箱状のカバー51の内部に収容されている。なお、図1及び図2では、カバー51の内部の装置構成を説明するために、カバー51の側壁の一部を省略して示している。カバー51の天板にはパトランプ52が取り付けられており、レール間隔調整装置1の起動や停止、走行状態などに応じてパトランプ52を作動させることで、レール間隔調整装置1の稼働状態を周囲から容易に視認できるようになっている。また、カバー51の天板には無線アンテナ53が取り付けられており、制御盤43によるモータ41の制御を無線通信によって行うことができるようになっている。これにより、レール間隔調整装置1を遠隔操縦することができ、レール間隔調整作業の安全性と作業性の向上が図られている。
【0023】
動力伝達機構は、駆動軸40とモータ41のモータ軸45にそれぞれ嵌合されたスプロケット61,62と、これらのスプロケット61,62を連結するチェーン63によって構成されている。この場合、走行方向の一方側の駆動軸40(図2及び図3に示す右側の駆動軸40a)のスプロケット61aとモータ軸45のスプロケット62にチェーン63が掛け回され、駆動軸40aのスプロケット61bと他方側の駆動軸40(同各図に示す左側の駆動軸40b)のスプロケット61cにチェーン(図示省略)が掛け回されている。これにより、モータ軸45の回転駆動力は4つの走行輪3のすべてに伝達され、レール間隔調整装置1が四輪駆動で走行するため、走行時の安定性が高められている。
【0024】
なお、本実施形態では動力伝達機構をスプロケット61,62とチェーン63で構成しているが、例えば、駆動軸40とモータ軸45にそれぞれ嵌合させたプーリと、これらのプーリの間に掛け回したベルトにより動力伝達機構を構成してもよい。
【0025】
次に、レール間隔調整装置1の特徴構成である回転輪7について説明する。台座5には、支持軸71の下端にラジアル軸受70を介して回転自由に支持された回転輪7が設けられている。支持軸71は、設定レール間隔で並んだレール2の上フランジ21間の間隔よりも細い円柱状に形成され、台座5の下面に設けられた枠体50から鉛直に垂下している。本実施形態では、設定レール間隔で並んだ5本のレール2のうち、両側に位置するレール2a,2eの外側、これらのレール2a,2eの内側に位置するレール2b,2dの外側にそれぞれ1本ずつ、レール間隔調整装置1の走行方向(レール長手方向)の前後部とその中間に、3列12本の支持軸71が配置されている。
【0026】
回転輪7は、これらの支持軸71にそれぞれ1つずつ支持されており、設定レール間隔で並んだレール2のウェブ23同士の間隔と略同一もしくは僅かに小さな外径寸法となるように、ナイロン樹脂等によって形成されている。具体的には、下フランジ22を接触させてレール2を並べた場合に隣り合うウェブ23の間隔以上で、下フランジ22を僅かに(2mm程度)離してレール2を並べた場合に隣り合うウェブ23の間隔以下に、回転輪7の外径寸法が設定されている。両側の回転輪7a,7eは、最大設定レール間隔で並べた場合の両側のレール2a,2eのウェブ23の外面側と接触可能に配置されている。すなわち、最大設定レール間隔で並べたレール2の両側のウェブ23が、両側の回転輪7a,7eの間に収まるようになっている。これにより、レール間隔調整装置1の走行時には、両側の回転輪7a,7eがレール2a,2eのウェブ23の外面側、回転輪7a,7eの内側に位置する回転輪7b,7dがレール2b,2dのウェブ23の外面側を進行する。
【0027】
したがって、レール間隔調整装置1を走行させると、図4(a)に示すように、レール2が設定レール間隔よりも大きな間隔で並んでいる時には、レール2の当該箇所で回転輪7がウェブ23の外面側に当接する。そして、回転輪7は、当接したウェブ23を内側に押し込むように回転しながらレール間隔調整装置1の走行方向へ進行する。この結果、図4(b)に示すように、レール間隔調整装置1が走行した後のレール2の間隔、具体的には、回転輪7がウェブ23を内側へ押し込んだ箇所のレール間隔は、設定レール間隔まで狭められる。すなわち、レール2の一端から他端までレール間隔調整装置1を走行させると、レール2の全長に亘って、隣り合うレール同士の間隔を設定レール間隔に調整して揃えることができる。
【0028】
このように、回転輪7はレール2のウェブ23に当接しながらレール間隔を調整するため、レール2の重心高さ及びその近傍でウェブ23と当接するように、その配置高さ、換言すれば支持軸71の鉛直方向の長さ(垂下寸法)が設定されている。これにより、回転輪7がウェブ23と当接した際に、レール2を傾けたり倒したりすることなくウェブ23を内側に押し込むことができるから、確実にレール間隔を調整することが可能となる。
【0029】
なお、本実施形態では、設定本数である5本のレール2a〜2eのレール間隔を調整しているが、中央のレール2cのウェブ23に当接可能な回転輪は設けていない。これは、レール2cのウェブ23に当接可能な回転輪を設けなくとも、両側にそれぞれ位置する4本のレール2a,2b,2d,2eが中央のレール2cへ近接するように、回転輪7でこれらのレール2a,2b,2d,2eを内側へ寄せることができるためである。その際、レール2の下フランジ22が隣の下フランジ22に乗り上がることは、レール2の自重によってまず起こり得ないから、中央のレール2cとその外側に位置するレール2b,2dとの間隔を設定レール間隔内に収めることができる。結果として、中央のレール2cを含む5本のレール2のレール間隔を設定レール間隔にほぼ揃えることができる。
【0030】
実際にレール間隔調整装置1でレール2の間隔を調整する場合、レール間隔調整装置1を適宜移動させて調整対象のレール2の上を走行させる。このため、レール間隔調整装置1は、レール2の上を自走する本体部である走行ユニットを載置して移動させる運搬台を備えている。図5は運搬台8の構成を示す斜視図であり、図6はレール間隔調整装置1が運搬台8に載置された状態を示す斜視図である。
【0031】
図5及び図6に示すように、運搬台8には、設定本数(本実施形態では5本)のレール2と同一形態のレールを設定レール間隔で並べた場合に両側に位置するレールの間隔に合わせて、一対の基準レール9が平行に配置されている。基準レール9は、運搬台8の長手方向の一端から他端の手前側まで伸延するように設けられている。基準レール9が途切れた運搬台8の他端部には、レールが設けられていない平坦部80が形成されている。
【0032】
運搬台8には、走行輪3を基準レール9の上フランジ91の上面に載せるとともに、回転輪7a,7eを基準レール9のウェブ93の外面側に位置付けた状態でレール間隔調整装置1が載置される。レール間隔調整装置1は、このように運搬台8に載置された状態で、間隔調整を行うレール群、本実施形態では貨車で岸壁まで搬送されたレール群の一端側まで運搬される。
【0033】
このため、運搬台8には、フォークリフト(図示省略)のつめを差込可能な一対の穴81が長手方向の一方側(平坦部80とは反対側)の端面に形成されている。これらの穴81にフォークリフトのつめを差し込んで運搬台8を持ち上げることで、レール間隔調整装置1を自由に移動させられるようになっている。このようなフォークリフトによる移動のみならず、例えば、運搬台自体を昇降可能とし、これに車輪を付けて手押しあるいは牽引して移動させるような構成も想定可能である。
【0034】
また、運搬台8には、搬送によってレール間隔が設定レール間隔よりも広がっているレール群から、設定本数のレール2の両側に位置するレール2a,2eの一端部を昇降させて、該一端部の間隔を一対の基準レール9の間隔に狭めるガイド部材82が設けられている。ガイド部材82は、一対の基準レール9のレール端の下フランジ92の外側にそれぞれ隣接して、平坦部80から一対の板状に突出して設けられ、上側及び外側の双方へ向かうに従って互いに離間するように傾斜して形成されている。平坦部80は、ガイド部材82がレール2a,2eの一端部の間隔を狭める際に、該一端部を下方から支持して昇降させる機能を果たす。
【0035】
したがって、フォークリフトで運搬台8を上昇させ、平坦部80で支持しながらレール2a,2eの一端部をわずかに持ち上げると、持ち上げられた一端部がガイド部材82に沿って滑り落ちる。滑り落ちる際、レール2a,2eの一端部の間隔がガイド部材82の傾斜で狭められるため、この状態で運搬台8を下降させれば、レール2a,2eの一端部の間隔を基準レール9の間隔に合わせることができる。これにより、レール2a,2eの一端部を一対の基準レール9と連結させることができるから、レール間隔調整装置1を運搬台8からレール2に乗り移らせ、レール間隔の調整作業を行うことが可能となる。
【0036】
また、運搬台8には、ガイド部材82の配置側とは長手方向反対側の端部に車止め83が設けられ、レール間隔調整装置1の落下防止が図られている。車止め83は、基準レール9の間に配置され、レール端から基準レール9の伸延方向へ斜めに突出する一対の板状体に梁材を渡して形成されている。なお、レール間隔調整装置1の保管時(非稼働時)は、車止め83とは反対側(ガイド部材82の配置側)で走行輪3の動きを抑止するように、基準レール9に着脱式のストッパ(図示省略)を取り付けることで、車止め83との間でレール間隔調整装置1の走行を規制する。
【0037】
ここで、荷役されるレール群が貨車の荷台に載置されて岸壁まで搬送され、搬送されたレール群から設定本数のレールの間隔を、レール吊具に対応した設定レール間隔にレール間隔調整装置1で調整する作業は、以下のような手順により行う。
【0038】
例えば、貨車の荷台に置いたレール受け台の横渡し受けバー上に10本のレール群が並べられ、3段に積載されたレール群のレール間隔を調整する場合、各段のレール群ごとに、設定本数である5本単位でレール間隔調整装置1を走行させる。
【0039】
具体的には、レール間隔調整装置1を載置した運搬台8をフォークリフトで持ち上げて移動させ、搬送されたレール群の設定本数の両側に位置するレール2a,2eの一端部とガイド部材82が正対するように位置付ける。次いで、上述したように、ガイド部材82で両側のレール2a,2eの一端部の間隔を一対の基準レール9の間隔に合わせ、該一端部を一対の基準レール9と連結させる。そして、レール間隔調整装置1を走行させて運搬台8からレール2に乗り移らせ、レール2の他端部へ向けて走行させる。
【0040】
レール間隔調整装置1がレール2の他端部へ向けて走行している間に、運搬台8のみをフォークリフトで移動させ、レール2a,2eの他端部を一端部の場合と同様に一対の基準レール9と連結させる。レール間隔調整装置1は、レール2の他端部まで走行すると、移動させた運搬台8の一対の基準レール9をそのまま走行し、運搬台8に乗り移る。このように運搬台8に乗り移った時点で、レール間隔調整装置1を停止させる。
【0041】
レール間隔調整装置1の停止後、この運搬台8を移動させ、レール間隔の調整が終了した5本のレール2の隣に並列された残りの5本のレールの他端部を同様に一対の基準レール9と連結させる。レール間隔調整装置1がこれら残りのレールの一端部へ向けて走行している間に、運搬台8のみを移動させ、残りのレールの一端部を一対の基準レール9と連結させる。そして、残りのレールの一端部まで走行してきたレール間隔調整装置1をそのまま運搬台8に乗り移らせ、停止させる。
【0042】
このようにレール間隔調整装置1を貨車の上で往復走行させる作業を各段のレール群ごとに1回ずつ、合計3回繰り返すことで、搬送されたすべてのレールのレール間隔を設定レール間隔に調整することができる。設定レール間隔に調整されたレールは、レール吊具で5本ずつ吊上げられ、荷役される。このようなレール間隔の調整とレールの荷役を各段ごとに行って上段のレール群を取り払い、下段のレール群を随時、作業可能な状態(レール間隔調整装置1が走行可能な状態)としていく。
【0043】
なお、レール間隔調整装置1の速度は分速30m程度を想定しており、例えばレールが150m長のロングレールであれば、レール間隔調整装置1がレール2の全長を走行するのに5分程度の時間を要するから、その間に運搬台8をフォークリフトで移動させることは十分可能である。その際、運搬台8の移動時間を考慮して、レール間隔調整装置1の速度をレール2の長さに応じて適宜調整しても構わない。また、運搬台8を2台用意し、レール間隔調整装置1の稼働中は間隔調整を行うレールの一端側と他端側の双方に1台ずつ運搬台8を配置しておけば、運搬台8の移動作業を大幅に減らし、作業効率の向上を図ることが可能となる。
【0044】
このように、本実施形態のレール間隔調整装置1によれば、レール2の上を走行させるだけで、設定本数のレール2の間隔を纏めて、レール吊具に対応した設定レール間隔に調整することができる。これにより、レール吊具によるレールの吊上げをスムーズに行うことができるから、荷役作業の効率化を図ることができる。
【0045】
また、このようなレール間隔の調整を荷役作業員が行わずに済むため、短時間で確実に実施できるのみならず、貨車の荷台の上での人手による作業をなくすことができるため、荷役作業員の安全を確保することができる。
【0046】
以上、本発明を一実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の主旨の範囲で変形又は変更された形態で実施することが可能であることは、当業者にあっては明白なことであり、そのような変形又は変更された形態が本願の特許請求の範囲に属することは当然のことである。
【0047】
上述した本実施形態では、間隔調整対象のレールを鉄道用のレール2としているが、レール間隔調整装置1の支持軸71及び回転輪7が隣り合うウェブ同士の間に介在可能となるような形状、つまり上フランジと上フランジより幅の広い下フランジを備えた形状の他の用途のレールであっても、レール間隔を調整することは可能であり、鉄道用レールのみに適用範囲が限定される訳ではない。
【符号の説明】
【0048】
1 レール間隔調整装置
2 レール
3 走行輪
5 台座
7 回転輪
21 上フランジ
23 ウェブ
40 駆動軸
41 モータ
42 発電機
71 支持軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6