特許第6385230号(P6385230)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 山崎産業株式会社の特許一覧

特許6385230柄状部保持構造及びその柄状部保持構造を備えた塵取り
<>
  • 特許6385230-柄状部保持構造及びその柄状部保持構造を備えた塵取り 図000002
  • 特許6385230-柄状部保持構造及びその柄状部保持構造を備えた塵取り 図000003
  • 特許6385230-柄状部保持構造及びその柄状部保持構造を備えた塵取り 図000004
  • 特許6385230-柄状部保持構造及びその柄状部保持構造を備えた塵取り 図000005
  • 特許6385230-柄状部保持構造及びその柄状部保持構造を備えた塵取り 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385230
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】柄状部保持構造及びその柄状部保持構造を備えた塵取り
(51)【国際特許分類】
   A47L 13/52 20060101AFI20180827BHJP
【FI】
   A47L13/52 102
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-204989(P2014-204989)
(22)【出願日】2014年10月3日
(65)【公開番号】特開2016-73394(P2016-73394A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2017年4月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000178583
【氏名又は名称】山崎産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095522
【弁理士】
【氏名又は名称】高良 尚志
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅人
【審査官】 村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−205965(JP,A)
【文献】 実開昭56−067234(JP,U)
【文献】 特開2013−244089(JP,A)
【文献】 特開2014−101978(JP,A)
【文献】 登録実用新案第003058(JP,Z2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柄状部を備えた器具を、その柄状部において保持するための柄状部保持構造であって、
柄状部の外周部を相対する向きに挟む第1の挟持体と第2の挟持体を有し、
一方又は両方の挟持体は、全体又は部分が弾性的に撓み得ることにより、他方の挟持体との間に挟持する柄状部に対し弾性的に挟圧力を加え得る弾性挟持体であり、
前記弾性挟持体の少なくとも一つは、その挟圧方向外側に間隙を介して又は接して位置する補助挟圧体を伴い、
その補助挟圧体は、全体又は部分が弾性的に撓み得ることにより、前記弾性挟持体が他方の挟持体との間に柄状部を挟持して挟圧方向外側に変位した場合に、その弾性挟持体を挟圧方向内向きに弾性的に支持して柄状部を直接保持せずに柄状部に対する挟圧力を高め得るものであり、
前記柄状部の外周部を相対する向きに挟む第1の挟持体と第2の挟持体のうち弾性挟持体であるもの、及び、前記補助挟圧体の、両方又は何れか一方は、基部から突起する片持状をなすものであることを特徴とする柄状部保持構造。
【請求項2】
上記柄状部の外周部を相対する向きに挟む第1の挟持体と第2の挟持体のうち弾性挟持体であるものが、基部から突起する片持状をなし、その片持状をなす弾性挟持体の基部が、補助挟圧体から離隔している請求項1記載の柄状部保持構造。
【請求項3】
上記補助挟圧体が片持状をなすものである請求項2記載の柄状部保持構造。
【請求項4】
上記第1の挟持体と第2の挟持体の両方が弾性挟持体であり、両弾性挟持体が、その挟圧方向外側に間隙を介して又は接して位置する補助挟圧体を伴い、
前記第1の挟持体と第2の挟持体が相対する方向において実質上対称状をなすと共に、第1の挟持体の挟圧方向外側に伴う補助挟圧体と第2の挟持体の挟圧方向外側に伴う補助挟圧体が相対する方向において実質上対称状をなす請求項1乃至3の何れか1項に記載の柄状部保持構造。
【請求項5】
上記第1の挟持体と第2の挟持体の両方が弾性挟持体であり、
両弾性挟持体が、その挟圧方向外側に間隙を介して又は接して位置する補助挟圧体を伴い、
両補助挟圧体の形態及び位置の一方又は両方、および/または、両弾性挟持体の形態が、相対する方向において非対称状をなす請求項1乃至3の何れか1項に記載の柄状部保持構造。
【請求項6】
第1の挟持体及び第2の挟持体並びに補助挟圧体を含む部分が、一定材料により一体成形されてなる請求項1乃至5の何れか1項に記載の柄状部保持構造。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の柄状部保持構造を備えた塵取り。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柄状部を備えた箒等の器具を、その柄状部において保持するための柄状部保持構造及びその柄状部保持構造を備えた塵取りに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2006−158787号公報には、ごみを掃き込むための掃込口11を前面に有するボックス形の集塵箱10と、該集塵箱10の上面に取り付けられた取っ手12とを備え、箒2で掃き集めたごみを掃込口11から集塵箱10の内部に掃き込むようにした塵取り1が開示されている。
【0003】
取っ手12は、集塵箱10における箱上面壁16の前端中央位置に上向きに取り付けられた支柱25の上端に形成されていて、集塵箱10の前面側に向けて横向きに延びている。この取っ手12の前端部は、箱上面壁16の前端部に取り付けられたアーチ形の支持フレーム26に連結されることにより、この支持フレーム26で補強されている。
【0004】
支持フレーム26の中間部における取っ手12との連結部には、その前面側の位置に窪み28が形成されると共に、この窪み28の内部に、弾力的に開閉する左右一対の挟持アーム29,29が形成されており、この挟持アーム29,29の間に箒2の柄30を弾力的に挟持させることにより、箒2を着脱式に装着して収納できるようになっている。
【0005】
この一対の挟持アーム29,29は、箒2の柄30を挟持し、箒の穂先が集塵箱10の底面に接して傷むことを防ぎ得るものではあるが、挟持対象である柄の太さの大小には必ずしも十分に対応し難い。
【0006】
挟持アームが弾性的に撓んで両挟持アーム間に柄を弾性的に挟持するものの場合、細い柄を挟持するには、両挟持アーム同士の間隔が、無負荷状態で十分に小さく、両者間に細い柄を挟んだ場合に確りと挟持し得ることが必要である。
【0007】
しかしながら、太い柄を挟持するには、両挟持アーム同士の間隔が十分に広がらなければならない。
【0008】
細い柄にも太い柄にも対応し得るものとするには、挟持アームが比較的撓み易いものとする必要がある。柄が比較的太い場合は、その柄を有する箒等の器具の重量も比較的重い傾向があるが、撓み易い挟持アームでは、挟圧力が比較的弱いため、重い器具は十分に挟持し得ないこととなり易い。
【0009】
一方、挟持アームの挟圧力を強くするために比較的撓み難い挟持アームを採用すると、細い柄は確りと挟持し得るが、太い柄を挟持するために挟持アーム同士の間隔を大きく広げようとすると、材料にもよるが、挟持アームの変形が過度になって挟持アームに損傷が生じる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−158787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、従来技術における上記のような課題に鑑み行われたものであって、その目的とするところは、対象器具の柄状部が比較的細い場合においても、また比較的太い場合においても、その柄状部の外周部を相対する向きに挟んで対象器具を可及的に確実に保持し得る柄状部保持構造及びその柄状部保持構造を備えた塵取りを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の柄状部保持構造及びその柄状部保持構造を備えた塵取りは、次のように表すことができる。
【0013】
(1) 柄状部を備えた器具を、その柄状部において保持するための柄状部保持構造であって、
柄状部の外周部を相対する向きに挟む第1の挟持体と第2の挟持体を有し、
一方又は両方の挟持体は、全体又は部分が弾性的に撓み得ることにより、他方の挟持体との間に挟持する柄状部に対し弾性的に挟圧力を加え得る弾性挟持体であり、
前記弾性挟持体の少なくとも一つは、その挟圧方向外側に間隙を介して又は接して位置する補助挟圧体を伴い、
その補助挟圧体は、全体又は部分が弾性的に撓み得ることにより、前記弾性挟持体が他方の挟持体との間に柄状部を挟持して挟圧方向外側に変位した場合に、その弾性挟持体を挟圧方向内向きに弾性的に支持して柄状部に対する挟圧力を高め得るものであることを特徴とする柄状部保持構造。
【0014】
対象器具における柄状部の外周部を、一方又は両方が弾性挟持体である第1の挟持体と第2の挟持体により、相対する向きに挟んで保持する場合、前記柄状部の太さに応じ、補助挟圧体による弾性挟持体に対する挟圧方向内向きの弾性的支持、すなわち挟圧力補助は、次のように行われる。
【0015】
前記柄状部が比較的細い場合は、弾性挟持体は挟圧方向外側にあまり変位しないため、補助挟圧体による弾性挟持体に対する挟圧方向内向きの弾性的支持による挟圧力補助は行われないか又は比較的弱く、柄状部に対する弾性挟持体の挟圧力を高めることは全くないか又はあまりない。すなわち、補助挟圧体による挟圧力補助が全くないか又はあまりない状態で両挟持体により柄状部が保持される。
【0016】
前記柄状部が比較的太い場合は、弾性挟持体は挟圧方向外側に比較的大きく変位するため、補助挟圧体による弾性挟持体に対する挟圧方向内向きの弾性的支持は比較的強く、柄状部に対する挟圧力を比較的強く高めることとなる。このように柄状部が比較的太い場合は、対象器具の重量も比較的重い傾向があるが、柄状部に対する挟圧力補助が比較的強いので、対象器具をしっかりと保持することが可能である。
【0017】
従って、対象器具の柄状部が比較的細い場合においても、また比較的太い場合においても、第1の挟持体と第2の挟持体により、その柄状部の外周部を相対する向きに挟んで対象器具を可及的に確実に保持し得る。以上の点は、第1の挟持体及び第2の挟持体並びに補助挟圧体を含む部分が、一定材料により一体成形されてなるものにも該当する。
【0018】
(2) 上記柄状部の外周部を相対する向きに挟む第1の挟持体と第2の挟持体のうち弾性挟持体であるものが、基部から突起する片持状をなす上記(1)記載の柄状部保持構造。
【0019】
一方又は両方が片持状の弾性挟持体である第1の挟持体と第2の挟持体の間に、対象器具における柄状部を片持状の弾性挟持体の端部側から押し込むことにより、前記柄状部の外周部を、両挟持体により両挟持体が相対する向きに挟んで保持することができる。
【0020】
(3) 上記補助挟圧体が、基部から突起する片持状をなす請求項1又は2記載の柄状部保持構造。
【0021】
片持状の補助挟圧体が弾性的に撓んで弾性挟持体を挟圧方向内向きに弾性的に支持することにより、柄状部に対する挟圧力を高め得る。
【0022】
(4) 上記第1の挟持体と第2の挟持体の両方が弾性挟持体であり、両弾性挟持体が、その挟圧方向外側に間隙を介して又は接して位置する補助挟圧体を伴い、
前記第1の挟持体と第2の挟持体が相対する方向において実質上対称状をなすと共に、第1の挟持体の挟圧方向外側に伴う補助挟圧体と第2の挟持体の挟圧方向外側に伴う補助挟圧体が相対する方向において実質上対称状をなす上記(1)乃至(3)の何れか1項に記載の柄状部保持構造。
【0023】
第1の挟持体と第2の挟持体が相対する方向において実質上対称状をなすと共に、第1の挟持体の挟圧方向外側に伴う補助挟圧体と第2の挟持体の挟圧方向外側に伴う補助挟圧体が相対する方向において実質上対称状をなすので、対象器具の柄状部を両挟持体間に対称状に保持し得る。
【0024】
(5) 上記第1の挟持体と第2の挟持体の両方が弾性挟持体であり、
両弾性挟持体が、その挟圧方向外側に間隙を介して又は接して位置する補助挟圧体を伴い、
両補助挟圧体の形態及び位置の一方又は両方、および/または、両弾性挟持体の形態が、相対する方向において非対称状をなす上記(1)乃至(3)の何れか1項に記載の柄状部保持構造。
【0025】
対象器具の柄状部が比較的細い場合は、弾性挟持体は挟圧方向外側にあまり変位しないため、補助挟圧体による弾性挟持体に対する挟圧方向内向きの弾性的支持による挟圧力補助は行われないか又は比較的弱く、柄状部に対する弾性挟持体の挟圧力を高めることは全くないか又はあまりない。すなわち、補助挟圧体による挟圧力補助が全くないか又はあまりない状態で両挟持体により柄状部が保持される。
【0026】
対象器具の柄状部の太いものとなるに従い、弾性挟持体は挟圧方向外側に比較的大きく変位することにより、補助挟圧体による弾性挟持体に対する挟圧方向内向きの弾性的支持が強くなり、柄状部に対する挟圧力を高める度合いが強くなる。
【0027】
この場合、両補助挟圧体の形態及び位置の一方又は両方、および/または、両弾性挟持体の形態が、相対する方向において非対称状をなすので、補助挟圧体による弾性挟持体に対する挟圧方向内向きの弾性的支持は、相対する両挟持体に対し非対称に強くなる。そのため、柄状部に対する挟圧力を高める度合いは、両挟持体について個別に段階的に強くなるので、対象器具の柄状部の太さに応じ、第1の挟持体と第2の挟持体により、その柄状部の外周部を相対する向きに挟んで対象器具を可及的に確実に保持し得る。
【0028】
(6) 第1の挟持体及び第2の挟持体並びに補助挟圧体を含む部分が、一定材料により一体成形されてなる上記(1)乃至(5)の何れか1項に記載の柄状部保持構造。
【0029】
第1の挟持体及び第2の挟持体並びに補助挟圧体を含む部分が、一定材料により一体成形されてなるものであっても、柄状部を備えた器具を、柄状部が比較的細い場合においても、また比較的太い場合においても、第1の挟持体と第2の挟持体により、その柄状部の外周部を相対する向きに挟んで可及的に確実に保持し得る。
【0030】
(7) 上記(1)乃至(6)の何れか1項に記載の柄状部保持構造を備えた塵取り。
【0031】
この塵取りでは、柄状部保持構造において、箒等の柄状部を備えた清掃器具を、柄状部が比較的細い場合においても、また比較的太い場合においても、第1の挟持体と第2の挟持体により、その柄状部の外周部を相対する向きに挟んで可及的に確実に保持し得る。
【発明の効果】
【0032】
本発明の柄状部保持構造及びその柄状部保持構造を備えた塵取りによれば、対象器具の柄状部が比較的細い場合においても、また比較的太い場合においても、第1の挟持体と第2の挟持体により、その柄状部の外周部を相対する向きに挟んで対象器具を可及的に確実に保持し得る。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】塵取りの斜視図である。
図2】塵取りの平面図である。
図3】塵取りの要部拡大平面図である。
図4】柄状部保持構造部の拡大平面図である。
図5】柄状部保持構造部の拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
[1] 本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0035】
図面は何れも本発明の柄状部保持構造を備えた塵取りの実施の形態の一例に関するものである。
【0036】
(1) 塵取りAは、ゴミを掃き入れるための本体部Bと、本体部Bの後部から立ち上げられた支柱部Cと、支柱部Cにより本体部Bの上方に支持された把持部Dと、把持部Dの前端部を上部中央部において支持する門形フレーム部Eと、門形フレーム部Eの上部中央部に形成された柄状部保持構造部Fを有する。この塵取りAは、合成樹脂により一体成形されている。
【0037】
(2) 本体部Bは、前方及び上方に開口する箱形状をなし、前方からゴミを掃き入れることができる。
【0038】
門形フレーム部Eは、本体部Bの左右側壁部B1から立ち上げられている。
【0039】
支柱部Cは、本体部Bの後壁部B2の中央部から立ち上げられ、上部が前方に屈曲して前方に向かって上向き傾斜状をなす把持部Dを形成している。
【0040】
支柱部Cの下部後方側には、ゴミはさみの両端部を閉じた状態で垂直状に挿入して保持するための垂直状の保持孔部C1を有する。支柱部Cの後側のうち保持孔部C1の上方の部分は、上下方向の溝状部C2に形成されている。
【0041】
(3) 柄状部保持構造部Fは、箒の柄S(柄状部)を挟持して、箒の穂先が下になる姿勢で、穂先が本体部Bの底板B3に接しないように箒を保持し得るものである。
【0042】
門形フレーム部Eの上部中央部に、平面視において枠底部F1aの左右両端に枠側部F1bを有する前方開口の凹枠状部F1が形成されている。
【0043】
その凹枠状部F1の平面視における枠底部F1aの中央に、前方に突起する垂直状の突条である中央支持突条部F2が設けられ、枠底部F1aにおける中央支持突条部F2の左右近傍の対称位置に、それぞれ、片持状に前方に突出して全体が弾性的に撓み得る第1の挟持体F3及び第2の挟持体F3の基部が設けられている。
【0044】
第1の挟持体F3及び第2の挟持体F3は、それぞれ、相対する内向きに凹の湾曲部を、柄Sの外周部を相対する向きに挟む挟持部として有し、互いに対称状をなす。
【0045】
また、凹枠状部F1の平面視における左右角部の対象位置に、それぞれ片持状に前方内向きに突出して全体が弾性的に撓み得る補助挟圧体F4の基部が設けられている。
【0046】
両補助挟圧体F4は、全体として内向きに凸に湾曲し、互いに対称状をなす。両補助挟圧体F4は、それぞれ、第1の挟持体F3及び第2の挟持体F3の挟圧方向外側に間隙を介して位置し、各挟持体F3を挟圧方向内向きに弾性的に支持し得るものである。
【0047】
柄状部保持構造部Fは、上記凹枠状部F1、中央支持突条部F2、第1の挟持体F3及び第2の挟持体F3、並びに両補助挟圧体F4からなる。
【0048】
(4) 本体部Bの底板B3において床面や地面上に載置した塵取りAにおける門形フレーム部Eの上部中央部に設けられた柄状部保持構造部Fによる箒の保持は、次のように行われる。
【0049】
第1の挟持体F3と第2の挟持体F3の相対する端部同士の間から、穂先が下になる姿勢の箒の垂直状の柄Sを押し込むと、両挟持体F3は外方に変位し、両挟持体F3の内向きに凹の湾曲部により、柄Sの外周部が挟圧方向である内方に挟圧され、穂先が本体部Bの底板等に接しないように箒が保持され得る。なお、中央支持突条部F2は、柄Sの太さに応じて柄Sの後部側を支持し得る。
【0050】
柄Sが比較的細い場合は、図4に示されるように、両挟持体F3は挟圧方向外側にあまり変位しないため、両補助挟圧体F4のそれぞれによる両挟持体F3に対する挟圧方向内向きの弾性的支持による挟圧力補助は行われないか又は比較的弱く、柄Sに対する両挟持体F3の挟圧力を高めることは全くないか又はあまりない。すなわち、補助挟圧体F4による挟圧力補助が全くないか又はあまりない状態で両挟持体F3により柄Sが保持される。
【0051】
柄Sが比較的太い場合は、図5に示されるように、両挟持体F3は挟圧方向外側に比較的大きく変位するため、両補助挟圧体F4のそれぞれによる両挟持体F3に対する挟圧方向内向きの弾性的支持は比較的強く、柄Sに対する挟圧力を比較的強く高めることとなる。このように柄Sが比較的太い場合は、箒の重量も比較的重い傾向があるが、柄Sに対する挟圧力補助が比較的強いので、穂先が本体部Bの底板B3に接しないように箒をしっかりと保持することが可能である。
【0052】
[2] 本発明の実施の形態を、上記以外の形態を含めて更に説明する。
【0053】
(1) 本発明の柄状部保持構造は、箒やモップ等の柄状部を備えた清掃器具やその他の器具を、その柄状部において保持するための構造であって、第1の挟持体と第2の挟持体を有し、一方又は両方の挟持体は弾性挟持体であり、前記弾性挟持体の少なくとも一つは補助挟圧体を伴う。
【0054】
また本発明の塵取りは、前記本発明の柄状部保持構造を備える。なお、本発明の柄状部保持構造を備える物は、塵取りに限らず、例えば、他の清掃器具を含む各種器具又は構造物等であってもよい。
【0055】
(2) 第1の挟持体と第2の挟持体は、柄状部の外周部を相対する向きに挟む。
【0056】
柄状部の外周部というのは、柄状部の軸線のまわりの外周部である。例えば柄状部が円柱状又は円筒状である場合、その外周部は円筒状外周面部であり、柄状部が角柱状又は角筒状である場合、その外周部は角筒状外周面部である。
【0057】
柄状部の外周部を相対する向きに挟むというのは、一般的には、第1の挟持体と第2の挟持体が、柄状部の軸線に対し垂直方向又はほぼ垂直方向にその柄状部を挟む場合を言う。なお、柄状部は、例えば、第1の挟持体と第2の挟持体により柄状部の外周部を相対する向きに挟まれると共に、柄状部の外周部のうち両挟持体の間の部分等の他の部分が別の支持部により支持されるものとすることもできる。
【0058】
(3) 一方又は両方の挟持体は、全体又は部分が弾性的に撓み得ることにより、他方の挟持体との間に挟持する柄状部に対し弾性的に挟圧力を加え得る弾性挟持体である。
【0059】
両方の挟持体が、他方の挟持体との間に挟持する柄状部に対し弾性的に挟圧力を加え得る弾性挟持体であることが好ましいが、一方の挟持体が弾性挟持体で他方の挟持体は実質上弾性的に撓まないものとすることもできる。
【0060】
第1の挟持体と第2の挟持体のうち弾性挟持体であるものは、基部から突起する片持状をなすものとすることができる。
【0061】
また、第1及び第2の挟持体は、それぞれ、相対する内向きに凹の湾曲部を、柄状部の外周部を相対する向きに挟む挟持部として有するものとすることができるが、これに限るものではない。
【0062】
(4) 弾性挟持体の少なくとも一つ(両挟持体が弾性挟持体である場合は両方又は一方、一方の挟持体のみが弾性挟持体である場合はその弾性挟持体)は、その挟圧方向外側に間隙を介して又は接して位置する補助挟圧体を伴う。
【0063】
補助挟圧体は、全体又は部分が弾性的に撓み得ることにより、前記弾性挟持体が他方の挟持体との間に柄状部を挟持して挟圧方向外側に変位した場合に、その弾性挟持体を挟圧方向内向きに弾性的に支持して柄状部に対する挟圧力を高め得る。
【0064】
補助挟圧体は、基部から突起する片持状をなすものとすることができる。
【0065】
また、補助挟圧体は、全体として内向きに凸に湾曲し、弾性挟持体を挟圧方向内向きに弾性的に支持するものとすることができる。
【0066】
更に、補助挟圧体の少なくとも一つは、その挟圧方向外側に間隙を介して又は接して位置する追加補助挟圧体を伴うものとすることができる。この追加補助挟圧体は、全体又は部分が弾性的に撓み得、前記弾性挟持体が他方の挟持体との間に柄状部を挟持して挟圧方向外側に変位し、補助挟圧体の全体又は部分が弾性的に撓んでその弾性挟持体を挟圧方向内向きに弾性的に支持して柄状部に対する挟圧力を高める場合に、その補助挟圧体を挟圧方向内向きに弾性的に支持して柄状部に対する挟圧力を高め得るものである。
【0067】
(5) 上記本発明の柄状部保持構造は、第1の挟持体と第2の挟持体の両方が弾性挟持体であり、両弾性挟持体が、その挟圧方向外側に間隙を介して又は接して位置する補助挟圧体を伴い、
前記第1の挟持体と第2の挟持体が相対する方向において実質上対称状をなすと共に、第1の挟持体の挟圧方向外側に伴う補助挟圧体と第2の挟持体の挟圧方向外側に伴う補助挟圧体が相対する方向において実質上対称状をなすものとすることができる。
【0068】
第1の挟持体と第2の挟持体が相対する方向において実質上対称状をなすと共に、第1の挟持体の挟圧方向外側に伴う補助挟圧体と第2の挟持体の挟圧方向外側に伴う補助挟圧体が相対する方向において実質上対称状をなすというのは、両挟持体及び両補助挟圧体のそれぞれの輪郭や厚さ等を含む形状及び弾性的な撓みに応じて作用する挟圧力の度合い等が、相対する方向において実質上対称状をなすことにより、対象器具の柄状部を両挟持体間に対称状に保持し得るものであることを意味する。
【0069】
(6) また、上記本発明の柄状部保持構造は、上記第1の挟持体と第2の挟持体の両方が弾性挟持体であり、
両弾性挟持体が、その挟圧方向外側に間隙を介して又は接して位置する補助挟圧体を伴い、
両補助挟圧体の形態及び位置の一方又は両方、および/または、両弾性挟持体の形態が、相対する方向において非対称状をなすものとすることができる。
【0070】
両補助挟圧体の形態及び位置の一方又は両方が相対する方向において非対称状をなす場合、両弾性挟持体の間に柄状部を挟持して挟圧方向外側に変位したときに、その弾性挟持体を挟圧方向内向きに弾性的に支持する状態となる時期や、弾性挟持体を挟圧方向内向きに弾性的に支持して柄状部に対する挟圧力を高める度合い等が相対する方向において非対称状となる。
【0071】
また両弾性挟持体の形態が、相対する方向において非対称状をなす場合、両弾性挟持体の間に柄状部を挟持したときに、両弾性挟持体の挟圧方向外側への変位の状態が相対する方向において非対称状となる。
【0072】
(7) 上記本発明の柄状部保持構造は、第1の挟持体及び第2の挟持体並びに補助挟圧体を含む部分が、一定材料により一体成形されてなるものとすることができる。一定材料により一体成形されてなる第1の挟持体及び第2の挟持体並びに補助挟圧体を含む部分は、柄状部保持構造の全体又は部分であってもよく、例えば、本発明の柄状部保持構造を備える器具又はその他の物の全体又は部分であってもよい。
【0073】
この一定材料として適するものとしては、合成樹脂を挙げることができるが、これに限るものではない。
【0074】
本発明の柄状部保持構造全体又は本発明の塵取り全体を、合成樹脂又はその他の一定材料により一体成形されたものとすることもできる。
【符号の説明】
【0075】
A 塵取り
B 本体部
B1 側壁部
B2 後壁部
B3 底板
C 支柱部
C1 保持孔部
C2 溝状部
D 把持部
E 門形フレーム部
F 柄状部保持構造部
F1 凹枠状部
F1a 枠底部
F1b 枠側部
F2 中央支持突条部
F3 挟持体
F4 補助挟圧体
S 柄
図1
図2
図3
図4
図5