(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来の装置では、次のような不具合があった。
(a)操作者が目視確認していなくても、音声ガイダンスが続行するので、目視確認作業自体が疎かになる恐れがあり、その結果、投票用紙の誤交付が発生する恐れがある。
(b)案内音声が終了しなければ、その案内音声で要求されている目視確認作業又は操作作業がたとえ終了していたとしても、次の案内音声が流れず、それ故、次の作業を行うことができない。よって、初期設定作業について経験の豊富なサービスマンにとっては、初期設定に係る作業性が悪くなる。
【0008】
本発明は、少なくとも上記不具合(a)を解消できる投票用紙交付装置を提供することを、目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、投票用紙を用紙取出口から1枚ずつ交付する投票用紙交付装置において、装置全体の作動を制御する制御部と、情報を報知する報知部と、を少なくとも備えており、前記制御部は、交付開始可能状態にするための初期設定作業を操作者に案内するガイダンスを、前記報知部から報知させる案内部を、有しており、前記ガイダンスは、初期設定に必要な一連の複数の作業をそれぞれ案内する、一連の複数の案内情報を、含んでおり、それらの案内情報は、操作者に目視確認作業を要求する第1種案内情報を、少なくとも含んでおり、前記第1種案内情報で要求された目視確認作業の終了を入力するための確認スイッチが、設けられており、前記制御部は、前記確認スイッチによる入力が無い場合には前記ガイダンスを続行しないように、前記案内部を制御する、第1種案内制御部を、有している、ことを特徴としている。
【0010】
本発明は、更に、次の構成(A)〜(E)を採用するのが好ましい。
【0011】
(A)前記報知部は、情報を音声で発生する音発生部、及び、情報を文字等で表示する表示部の、いずれか一方又は両方を、含んでいる。
【0012】
(B)前記案内情報が、操作者に操作作業を要求する第2種案内情報も、含んでおり、前記第2種案内情報で要求された操作作業の終了を検知するための作業検知センサーが、更に設けられており、前記制御部は、前記作業検知センサーによる検知が無い場合には前記ガイダンスを続行しないように、前記案内部を制御する、第2種案内制御部を、更に有している。
【0013】
(C)前記報知部が前記音発生部を含んでいる場合において、前記制御部は、一つの案内情報の音声を途中で中断して次の案内情報の音声に移行させるように、前記案内部を制御する、スキップ部と、前記スキップ部を作動させる、スキップ作動部と、を有しており、前記スキップ作動部は、前記スキップ部を作動させる指示を入力するためのスキップスイッチによる入力が有ると、前記スキップ部を作動させる、操作モードに従って、又は、前記作業検知センサーによる検知又は前記確認スイッチによる入力が有ると、前記スキップ部を作動させる、自動モードに従って、作動するようになっている。
【0014】
(D)前記(C)において、前記スキップ作動部における前記操作モード及び前記自動モードの内の一方を、任意に選択する、モード選択入力部が、設けられている。
【0015】
(E)前記(C)又は(D)において、前記制御部は、次の案内情報の音声に移行する際に、切替音又は所定時間の無音を前記音発生部から発生させる、音声移行部を、有している。
なお、「所定時間の無音を前記音発生部から発生させる」とは、「前記音発生部から音を所定時間発生させない」ことと同義である。
【0016】
なお、以下の記載においては、「案内情報の音声」を「案内音声」と記すこととする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、初期設定作業の実行中に操作者に目視確認作業が要求された場合に、操作者が確認スイッチを押さない間はガイダンスが続行しないようになっているので、操作者は、目視確認作業を行うように促される。したがって、操作者が目視確認を疎かにするのを防止でき、その結果、投票用紙の誤交付が発生するのを防止できる。
【0018】
前記構成(A)によれば、ガイダンスの案内情報を、音声、又は、文字等の表示、又は、その両方によって、操作者に対して報知できるので、利便性を向上できる。
【0019】
前記構成(B)によれば、初期設定作業の実行中に操作者に操作作業が要求された場合に、操作作業の終了が作業検知センサーによって検知されない間はガイダンスが続行しないようになっているので、操作者は、操作作業を行うように促される。したがって、操作者が操作作業を疎かにするのを防止でき、その結果、投票用紙の誤交付が発生するのを防止できる。
【0020】
前記構成(C)によれば、スキップ部を作動させることにより、前の案内音声の終了を待つことなく次の案内音声を聞くことができ、すなわち、次の案内音声にスキップでき、次の案内音声で要求される作業を行うことができるので、初期設定作業の作業性を向上できる。
【0021】
しかも、操作モードの場合には、操作者の意思によってスキップできるので、操作者は自身のペースに合わせて初期設定作業を実行できる。したがって、初期設定作業の確実性を担保しながら作業性を向上できる。
【0022】
また、自動モードの場合には、スキップスイッチの操作を行うことなく、次々と案内音声をスキップできるので、初期設定作業の作業性をより向上できる。
【0023】
前記構成(D)によれば、熟練した操作者が初期設定作業を実行する際に、高い熟練度の操作者の場合には自動モードを選択でき、通常の熟練度の操作者の場合には操作モードを選択できるので、操作者の熟練度に合わせて初期設定作業を実行でき、それ故、初期設定作業の確実性及び作業性を向上できる。
【0024】
前記構成(E)によれば、案内音声が次の案内音声にスキップしたことを、操作者に認識させることができるので、操作者は、次の案内音声で要求される作業に迅速に移ることができる。よって、初期設定作業の作業性を更に向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明の一実施形態の投票用紙交付装置の外観斜視図である。
図2は、
図1のII−II断面図である。この交付装置10は、装置本体1とコントローラ部9とからなっている。ここでは、装置本体1とコントローラ部9とは、別体に設けられている。装置本体1は、後述するように、装置全体の作動を制御する制御部を、備えている。また、交付装置10は、情報を報知する報知部を、備えている。報知部は、後述するように、装置本体1のスピーカー(音発生部)と、コントロール部9の表示パネル(表示部)と、を含んでいる。
【0027】
装置本体1は、略直方体形状の筐体であり、上カバー(開閉蓋)111を有している。
図3は、上カバー111が開いた状態の装置本体1の外観斜視図である。上カバー111は、装置本体1の上壁11の略後半部と後壁15の上部とが一体となって構成されている。上カバー111は、前縁部112を支点として、上下に回動することにより、開閉するようになっている。
【0028】
装置本体1は、内部に、複数枚の投票用紙Pを収容する収容部2と、収容部2において最端に位置する1枚の投票用紙Pを、収容部2から取り出して、搬送路31を通して搬送して、用紙取出口32から突出させる、用紙送出機構3と、用紙送出機構3の途中から、搬送中の投票用紙Pを回収する、回収機構4と、回収された投票用紙Pを収容する回収部5と、を有している。上カバー111は、回収部5の一部及び収容部2の全部を覆っている。上カバー111は、外部から収容部2を視認できるように構成されており、具体的には、透明に形成されている。
【0029】
装置本体1は、後壁15の片隅に、電源(図示せず)からの通電をオンオフする電源スイッチ101と、電源へのコネクタ102と、を有している。更に、装置本体1は、装置全体の作動を制御する制御部70(
図4)を有している。
図4は、制御部70のブロック図である。制御部70は、CPU、ROM、RAM等により、実現されている。
【0030】
コントローラ部9は、コード91を介して、装置本体1の制御部70に接続されており、制御部70に制御信号を送信するようになっている。コントローラ部9は、操作キー92、93、表示パネル(表示部)94、確認スイッチ95、及び消音スイッチ96を有している。
【0031】
確認スイッチ95は、押されることによってオンするようになっている。また、確認スイッチ95は、表示ランプを構成するLEDと一体となっている。LEDとしては、白色LEDが好ましく用いられている。
【0032】
収容部2は、複数枚の投票用紙Pを収容する空間として構成されており、立壁21と底壁22と両側壁23とで囲まれている。立壁21は、上部が前になるように少し傾斜しており、収容部2と用紙送出機構3とを隔てている。底壁22は、用紙送出機構3に向けて少し低くなるように傾斜している。投票用紙Pは、
図2に示されるように、立壁21に沿うように立てた状態で、且つ、立壁21側から重ねた状態で、収容部2に収容される。底壁22には、収容した投票用紙Pを立壁21に向けて押し付ける押さえ部材25が設けられている。押さえ部材25は、板体であり、前後方向(矢印Y方向)に移動可能に設けられており、スプリング26によって立壁21側へ常時付勢されている。
【0033】
用紙送出機構3は、操作キー92又は93を1回オンすると、次のように1回作動するようになっている。すなわち、
図2に示されるように、まず、取出ローラ331及び捌き部材332によって、収容部2において最も前に(すなわち最端に)位置している投票用紙Pが、収容部2から取り出され、搬送路31へ送り出される。このとき、偏心ローラ333が、立壁21から収容部2内へ周期的に突出するように回転して、重なっている投票用紙Pを揺動させるので、投票用紙P同士の間に隙間が生じ、1枚の投票用紙Pが取り出しやすくなる。搬送路31に送り出された投票用紙Pは、搬送ローラ341、342、343によって、用紙取出口32まで搬送される。投票用紙Pは、抜き取り検出部材351を回動させながら搬送されて、用紙取出口32から突出し、回動から復帰した抜き取り検出部材351によって、下部が押さえられ、これによって、一部が用紙取出口32から突出した状態で止まる。なお、抜き取り検出部材351は、スプリング(図示せず)によって復帰方向に常時付勢されている。そして、次の投票用紙Pの先端が1対のセンサー361によって検知されると、全てのローラの作動が停止する。次いで、用紙取出口32から突出した投票用紙Pが、投票者によって抜き取られると、抜き取り検出部材351の回動がセンサー362によって検知され、装置本体1の前部に内蔵されたスピーカー(音発生部)62から選挙の種類等を告げる音声が流れる。
【0034】
回収機構4は、搬送路31内に突出するように回動可能な排除ガイド部材41を、備えている。排除ガイド部材41は、搬送路31内に突出するように回動すると、搬送ローラ343との間に、搬送路31と回収部5とを連通させる通路40を構成し、それによって、搬送されて来る投票用紙Pを搬送路31から回収部5へ逃がすようになっている。なお、排除ガイド部材41は、例えば、投票用紙Pの重なりがセンサー361によって検知されると、回動して搬送路31内に突出するように、制御部70によって制御されている。それ故、回収機構4によれば、重なった投票用紙Pが用紙取出口32から突出するのを防止できる。
【0035】
回収部5は、通路40を搬送されて来た投票用紙Pが積載されていく空間として構成されており、底壁51と両側壁53とで囲まれている。底壁51は、後方向に高くなるように傾斜している。両側壁53は、例えば、収容部2を構成している両側壁23と同じ壁である。
【0036】
また、装置本体1は、内部に、照明具61を有している。照明具61は、上カバー111の前縁部112の内面に、設けられており、上カバー111が閉じた状態で、収容部2及び回収部5を照らすように、配置されている。照明具61としては、演色性が優れているという観点から、白色LED又は白色系電球が好ましく用いられている。
【0037】
制御部70は、
図4に示されるように、コントローラ部9からの信号を受けて、用紙送出機構3を作動させる、送出制御部71を、有している。
【0038】
更に、制御部70は、初期設定作業に関連して、案内部73、第1種案内制御部74、第2種案内制御部75、スキップ部76、スキップ作動部77、及び音声移行部78を、有している。
【0039】
初期設定作業とは、投票用紙交付装置10を交付開始可能状態にする作業を意味する。一般には、電源スイッチ101をオンした後に必要とされる作業である。
【0040】
案内部73は、初期設定作業を操作者に案内するガイダンスを、報知部(スピーカー62及び表示パネル94)から報知させるようになっている。
【0041】
ガイダンスは、初期設定に必要な一連の複数の作業をそれぞれ案内する、一連の複数の案内情報を、含んでいる。それらの案内情報は、操作者に目視確認作業を要求する第1種案内情報を、少なくとも含んでいる。例えば、「選挙名を確認して下さい」という案内情報は、目視確認作業を要求しているので、第1種案内情報である。
【0042】
そして、確認スイッチ95は、第1種案内情報で要求された目視確認作業の終了を入力できるように、設けられている。そして、第1種案内制御部74は、確認スイッチ95による入力が無い場合にはガイダンスを続行しないように、案内部73を制御するようになっている。
【0043】
一方、ガイダンスの案内情報は、操作者に操作作業を要求する第2種案内情報も、含んでいるのが好ましい。例えば、「上カバーを開けて下さい」という案内情報は、「開ける」という操作作業を要求しているので、第2種案内情報である。この場合、装置本体1には、第2種案内情報で要求された操作作業の終了を検知するための作業検知センサーが、設けられている。例えば、上カバー111が開くとオンし且つ上カバー111が閉じるとオフする、作業検知センサー65(
図5及び
図6)が、設けられている。そして、第2種案内制御部75は、作業検知センサーによる検知が無い場合にはガイダンスを続行しないように、案内部73を制御するようになっている。
【0044】
作業検知センサー65は、
図5及び
図6に示されるように、上カバー111の前縁部112付近に設けられている。作業検知センサー65は、スイッチ本体651とアクチュエータ652と操作体653とからなるマイクロスイッチで構成されている。操作体653は、上カバー111の前縁部112の回動軸と共に回動するように、前縁部112に固定されている。作業検知センサー65は、上カバー111が閉じている時は、
図5に示されるように、操作体653がアクチュエータ652を押した状態、すなわち、オン状態であり、上カバー111が開いている時は、
図6に示されるように、操作体653がアクチュエータ652から離れた状態、すなわち、オフ状態である。これにより、作業検知センサー65は、上カバー111の開閉をオン・オフで検知するようになっている。
【0045】
そして、案内部73は、ガイダンスの案内情報の音声(案内音声)をスピーカー62から発生させると同時に、当該案内情報を文字等で表示パネル94に表示するようになっている。
【0046】
スキップ部76は、一つの案内音声を途中で中断して次の案内音声に移行させるように、案内部73を制御するようになっている。スキップ作動部77は、操作モード又は自動モードに従って、スキップ部76を作動させるようになっている。操作モードとは、スキップ部76を作動させる指示を入力するためのスキップスイッチによる入力が有ると、スキップ部76を作動させる、モードである。なお、スキップスイッチは、消音スイッチ96と兼用されている。消音スイッチ96は、初期設定作業後に押すと、その後の音声の発生を停止するようにスピーカー62を制御するようになっている。自動モードとは、作業検知センサーによる検知又は確認スイッチ95による入力が有ると、スキップ部76を作動させる、モードである。
【0047】
なお、スキップ作動部77が操作モード又は自動モードのいずれで作動するかは、モード選択入力部によって、任意に選択できるようになっている。具体的には、モード選択入力部は、消音スイッチ96と兼用されている。すなわち、通常は操作モードに設定されており、消音スイッチ96を長押しすると、自動モードに切り替わるようになっており、再度、消音スイッチ96を長押しすると、操作モードに戻るようになっている。
【0048】
音声移行部78は、スキップ部76が作動して次の案内音声に移行する際に、切替音又は所定時間の無音をスピーカー62から発生させるようになっている。
【0049】
そして、上記構成の交付装置10において、初期設定作業は次のように実行される。
【0050】
[初期設定作業の第1例]
スキップ部76、スキップ作動部77、及び音声移行部78を、作動させない場合の、初期設定作業である。
図7及び
図8は、初期設定作業の流れを示すフローチャートである。
【0051】
(1)操作者が、装置本体1の電源スイッチ101をオンすると、案内部73が作動を開始して、ガイダンスが始まり、初期設定作業の案内が始まる(ステップ(S)1)。
【0052】
(2)「選挙名プレートを入れ、確認スイッチ(SW)を押して下さい」との案内音声が流れる(S2)。このとき、同内容の案内情報が表示パネル94に表示され、また、確認スイッチ95が点灯する。
【0053】
なお、ここでは、操作者に確認スイッチ95の押下を促すために、確認スイッチ95を点灯させているが、代わりに、確認スイッチ95を点滅させてもよく、又は、表示パネル94の液晶画面のバックライトを点滅させてもよい。
【0054】
図9は、ここで使用される選挙名プレート8を示している。プレート8の表面81には、選挙名、例えば「参議院比例代表選挙」が印刷されている。プレート8の裏面82には、4個の識別符号用印刷領域821、822、823、824が設定されており、任意の組み合わせの領域のみに識別符号が印刷されている。ここでは、領域822、823のみに識別符号が印刷されており、これは、「参議院比例代表選挙」を示している。このように、識別符号が印刷された領域の組み合わせによって、選挙名が特定されるようになっている。一方、装置本体1の前面の上部には、プレート用取付面85(
図1)が設けられており、取付面85には、識別符号を検知するための4個の透過型センサー(図示せず)が設けられている。4個の透過型センサーは、プレート8が取付面85に取り付けられた際に4個の領域821、822、823、824のそれぞれに対向するように、配置されている。したがって、プレート8が取付面85に取り付けられると、4個の領域821、822、823、824の内の、識別符号が印刷された領域の組み合わせが、透過型センサーによって検知され、これにより、選挙名が特定される。
【0055】
したがって、このステップS2においては、選挙名プレート8を入れると、自動的に選挙名が特定されるが、選挙名プレート8を正しく入れていない場合があり得るので、選挙名プレートが正しく入っていることを担保するために、確認スイッチ95を押すこととしている。
【0056】
(3)確認スイッチ95が押されない間は、第1種案内制御部74が作動するので、ガイダンスは続行されず、すなわち、次の案内音声は流れず、また、当該次の案内情報は表示パネル94に表示されない(S3)。
【0057】
確認スイッチ95が押されると、次の案内音声に移行する(S3)。このとき、確認スイッチ95は消灯する。
【0058】
(4)「参議院比例代表を選定」及び「正しければ確認スイッチを押して下さい」との案内音声が流れる(S4)。このとき、同内容の案内情報が表示パネル94に表示され、また、確認スイッチ95が点灯する。このステップにおいては、「正しければ」というのは、操作者に要求される目視確認作業であるので、目視確認した後に確認スイッチ95を押すこととしている。
【0059】
(5)確認スイッチ95が押されない間は、第1種案内制御部74が作動するので、ガイダンスは続行されず、すなわち、次の案内音声は流れず、また、当該次の案内情報は表示パネル94に表示されない(S5)。
【0060】
確認スイッチ95が押されると、次の案内音声に移行する(S5)。このとき、確認スイッチ95は消灯する。
【0061】
(6)「上カバーを開けて下さい」との案内音声が流れる(S6)。このとき、同内容の案内情報が表示パネル94に表示される。
【0062】
(7)「上カバーを開ける」ことは、操作者に要求される操作作業であるので、上カバー111が開くと、それが、作業検知センサー65によって検知される。
【0063】
作業検知センサー65によって検知されない間は、第2種案内制御部75が作動するので、ガイダンスは続行されず、すなわち、次の案内音声は流れず、また、当該次の案内情報は表示パネル94に表示されない(S7)。
【0064】
作業検知センサー65によって検知されると、次の案内音声に移行する(S7)。
【0065】
(8)「白いレバーを突きあたりまで引いて下さい」、「用紙をよくさばいてセットして下さい」、及び「セットした用紙の選挙名が正しければ確認スイッチを押して下さい」との案内音声が、続けて流れる(S8〜10)。このとき、同内容の案内情報が表示パネル94に順に表示され、また、確認スイッチ95が点灯する。なお、白いレバーは、押さえ部材25(
図2、
図3)であり、また、1番目及び2番目の案内情報は、操作者の操作作業を要求しているが、センサーを設けて検知するほどのことではないので、センサーによる検知は、していない。3番目の案内情報の「正しければ」というのは、操作者に要求される目視確認作業であるので、目視確認した後に確認スイッチ95を押すこととしている。
【0066】
(9)確認スイッチ95が押されない間は、第1種案内制御部74が作動するので、ガイダンスは続行されず、すなわち、次の案内音声は流れず、また、当該次の案内情報は表示パネル94に表示されない(S11)。
【0067】
確認スイッチ95が押されると、次の案内音声に移行する(S11)。このとき、確認スイッチ95は消灯する。
【0068】
(10)「上カバーを閉めて、用紙設定スイッチを押して下さい」との案内音声が、流れる(S12)。このとき、同内容の案内情報が表示パネル94に表示される。
【0069】
なお、用紙設定スイッチは、図示していないが、コントロール部9の背面に設けられている。制御部70は、用紙設定スイッチが押されると、用紙送出機構3を1回作動させるようになっている。すなわち、用紙設定スイッチを押すと、用紙送出機構3が1回作動して、収容部2における最端の投票用紙Pが、収容部2から取り出され、回収部4へ強制的に回収される。このとき、センサー361が、投票用紙Pの透過光量を検出する。制御部70は、センサー361によって検出された透過光量を基準値として設定し、該基準値と、それ以降に収容部2から取り出される投票用紙Pの透過光量と、を比較して、基準値から外れる透過光量の投票用紙Pを回収部4へ強制的に回収するようになっている。これにより、種類の異なる(すなわち選挙名が異なる)投票用紙が交付されるのが、防止される。すなわち、投票用紙の誤交付が防止される。
【0070】
(11)上カバー111が閉まると、それが、作業検知センサー65によって検知されるので、次の案内音声に移行しようとするが、このステップでは、用紙設定スイッチが押されない間は、ガイダンスは続行されず、すなわち、次の案内音声は流れず、また、当該次の案内情報は表示パネル94に表示されない(S13)。
【0071】
用紙設定スイッチが押されると、次の案内音声に移行する(S13)。
【0072】
(12)「用紙が1枚排出されましたか」及び「正しければ確認スイッチを押して下さい」との案内音声が、流れる(S14)。このとき、同内容の案内情報が表示パネル94に表示され、また、確認スイッチ95が点灯する。「正しければ」というのは、操作者に要求される目視確認作業であるので、目視確認した後に確認スイッチ95を押すこととしている。なお、操作者は、上カバー111を開けて、回収部4に排出された投票用紙が本当に1枚であるか否かを直接に確認する。
【0073】
(13)確認スイッチ95が押されない間は、第1種案内制御部74が作動するので、ガイダンスは続行されず、すなわち、次の案内音声は流れず、また、当該次の案内情報は表示パネル94に表示されない(S15)。
【0074】
確認スイッチ95が押されると、次の案内音声に移行する(S15)。このとき、確認スイッチ95は消灯する。
【0075】
(14)「上カバーを閉めて下さい」との案内音声が、流れる(S16)。このとき、同内容の案内情報が表示パネル94に表示される。
【0076】
(15)「上カバーを閉める」ことは、操作者に要求される操作作業であるので、上カバー111が閉まると、それが、作業検知センサー65によって検知される。
【0077】
作業検知センサー65によって検知されない間は、第2種案内制御部75が作動するので、ガイダンスは続行されず、すなわち、次の案内音声は流れず、また、当該次の案内情報は表示パネル94に表示されない(S17)。
【0078】
作業検知センサー65によって検知されると、次の案内音声に移行する(S17)。
【0079】
(16)「準備完了」との案内音声が、流れる(S18)。このとき、同内容の案内情報が表示パネル94に表示される。
【0080】
(17)表示パネル94に、
図8のステップS19に示されるように、選挙名、合計欄、男性欄、及び女性欄が、表示される(S19)。
【0081】
(18)こうして、初期設定作業が終了し(S20)、これにより、交付装置10は、交付開始可能状態になる。
【0082】
そして、操作者は、交付作業を実施する。すなわち、操作者は、投票者が一人来ると、操作キー92又は93を1回オンする。このとき、投票者が男性の場合には男性用の操作キー92をオンし、投票者が女性の場合には女性用の操作キー93をオンする。
【0083】
操作キー92又は93が1回オンされると、用紙送出機構3が1回作動して、収容部2における最端の投票用紙Pが、収容部2から取り出され、搬送路31を通して搬送されて、用紙取出口32から突出する。用紙取出口32から突出した投票用紙Pは、投票者によって抜き出され、これにより、投票者の男女別の数が、カウントされて、表示パネル94に表示される。抜き出された投票用紙Pは、投票に使用される。操作キー92又は93は、投票者が来る度に、1回オンされ、その度に、用紙送出機構3は、1回作動する。
【0084】
以上のようにして、投票用紙の交付作業は、行われる。
【0085】
上記構成の交付装置10によれば、次のような効果を発揮できる。
【0086】
(a)初期設定作業の実行中に操作者に目視確認作業が要求された場合に、操作者が確認スイッチ95を押さない間は次の案内音声に移行せず、また、当該次の案内情報が表示パネル94に表示されない(すなわちガイダンスが続行しない)ようになっているので、操作者に対して、目視確認作業を行うように促すことができる。したがって、操作者が目視確認を疎かにするのを防止でき、その結果、投票用紙の誤交付が発生するのを防止できる。
【0087】
(b)初期設定作業の実行中に操作者に操作作業が要求された場合に、操作作業の終了が作業検知センサー65によって検知されない間は次の案内音声に移行せず、また、当該次の案内情報が表示パネル94に表示されない(すなわちガイダンスが続行しない)ようになっているので、操作者に対して、操作作業を行うように促すことができる。したがって、操作者が操作作業を疎かにするのを防止でき、その結果、投票用紙の誤交付が発生するのを防止できる。
【0088】
[初期設定作業の第2例]
スキップ部76、スキップ作動部77、及び音声移行部78を、作動させた場合の、且つ、操作モードの場合の、初期設定作業である。
【0089】
図7及び
図8に示されるフローチャートにおいて、Ka〜Kfで示された時点において、操作者がスキップスイッチ(消音スイッチ)96を押すと、スキップ作動部77が作動して、スキップ部76が作動し、それにより、前の案内音声が途中で中断して次の案内音声が流れ、すなわち、次の案内音声にスキップするとともに当該次の案内情報が表示パネル94に表示される。
【0090】
例えば、ステップS2〜S4において、ステップS2の案内音声が流れている最中に、確認スイッチ95を押して(S3)直ぐに(すなわちKaの時点で)スキップスイッチ96を押すと、ステップS2の案内音声が途中で中断して、ステップS4の案内音声が流れるとともにステップS4の案内情報が表示パネル94に表示される。これは、ステップS4〜S6、ステップS10〜S12、及びステップS14〜S16においても、同様である。
【0091】
また、ステップS6〜S8において、ステップS6の案内音声が流れている最中に、作業検知センサー65がオンして(S7)直ぐに(すなわちKcの時点で)スキップスイッチ96を押すと、ステップS6の案内音声が途中で中断して、ステップS8の案内音声が流れるとともにステップS8の案内情報が表示パネル94に表示される。
【0092】
更に、音声移行部78も作動しているので、前の案内音声の中断と次の案内音声の開始との間に、例えば「ピー」という切替音、又は、例えば1〜2秒の所定時間の無音が、スピーカー62から発生する。
【0093】
上記構成の交付装置10によれば、上記第1例の場合と同様の効果を発揮できるとともに、次のような効果を発揮できる。
【0094】
(c)操作者は、スキップスイッチ96を押すことにより、前の案内音声の終了を待つこと無く、次の案内音声を聞くことができ、すなわち、次の案内音声にスキップできるとともに当該次の案内情報を表示パネル94に表示できる。したがって、操作者は、前の案内音声で要求された目視確認作業又は操作作業が終了したら、直ぐに、次の案内情報で要求される作業に移ることができる。よって、初期設定作業の作業性を向上できる。しかも、操作者の意思によってスキップできるので、ガイダンスの進み具合を操作者のペースに合わせることができる。
【0095】
(d)音声移行部78が作動することにより、操作者は、次の案内音声の開始を明確に認識できるので、次の案内情報で要求される作業に迅速に移ることができる。よって、初期設定作業の作業性を更に向上できる。
【0096】
[初期設定作業の第3例]
スキップ部76、スキップ作動部77、及び音声移行部78を、作動させた場合の、且つ、自動モードの場合の、初期設定作業である。
【0097】
図7及び
図8に示されるフローチャートにおいて、Ka〜Kfで示された時点において、自動的に、スキップ作動部77が作動して、スキップ部76が作動し、それにより、前の案内音声が途中で中断して次の案内音声が流れるとともに当該次の案内情報が表示パネル94に表示される。
【0098】
例えば、ステップS2〜S4において、ステップS2の案内音声が流れている最中に、確認スイッチ95を押すと(S3)直ぐに(すなわちKaの時点で)、ステップS2の案内音声が途中で中断して、ステップS4の案内音声が流れるとともにステップS4の案内情報が表示パネル94に表示される。これは、ステップS4〜S6、ステップS10〜S12、及びステップS14〜S16においても、同様である。
【0099】
また、ステップS6〜S8において、ステップS6の案内音声が流れている最中に、作業検知センサーがオンすると(S7)直ぐに(すなわちKcの時点で)、ステップS6の案内音声が途中で中断して、ステップS8の案内音声が流れるとともにステップS8の案内情報が表示パネル94に表示される。
【0100】
更に、音声移行部78も作動しているので、前の案内音声の中断と次の案内音声の開始との間に、例えば「ピー」という切替音、又は、例えば1〜2秒の所定時間の無音が、スピーカー62から発生する。
【0101】
上記構成の交付装置10によれば、上記第1例及び第2例の場合と同様の効果を発揮できるとともに、次のような効果を発揮できる。
【0102】
(e)操作者は、前の案内音声で要求された目視確認作業又は操作作業が終了したら、自動的に、直ぐに、次の案内情報で要求される作業に移ることができる。よって、初期設定作業の作業性を更に向上できる。
【0103】
なお、上記構成の交付装置10は、次のような変形構成を採用してもよい。
【0104】
(i)報知部は、スピーカー(音発生部)62及び表示パネル(表示部)94のいずれか一方を、含んでいなくてもよい。報知部がスピーカー62を含んでいない場合には、案内部73は、ガイダンスの案内情報を、スピーカー62から音声として報知させることはなく、表示パネル94に表示させるように、作動する。又は、報知部が表示パネル94を含んでいない場合には、案内部73は、ガイダンスの案内情報を、表示パネル94から報知させることはなく、スピーカー62から音声として報知させるように、作動する。
【0105】
(ii)報知部がスピーカー62及び表示パネル94の両方を含んでいる場合であっても、案内部73は、ガイダンスの案内情報を、スピーカー62及び表示パネル94のいずれか一方のみから報知させるように、作動してもよい。
【0106】
(iii)
図5に示されるように、操作モードの場合でも自動モードの場合でも、更にKg及び/又はKhの時点で、スキップ作動部77が作動して、スキップ部76が作動するようにしてもよい。これによれば、初期設定作業の作業性をより向上できる。
【0107】
(iv)初期設定作業のガイダンスには、第1種案内情報及び第2種案内情報の他に、単に注意を喚起するだけであり且つ何らの作業も要求しない第3種案内情報を、含んでもよい。また、第3種案内情報の案内音声が流れている時には、いつでも、スキップスイッチ96を押すことによりスキップ作動部77を作動させてスキップ部76を作動させるようにしてもよい。
【0108】
(v)操作モードと自動モードとの間の切替は、消音スイッチ96とは別のスイッチで行うようにしてもよい。なお、そのスイッチは、既存のスイッチでもよく、新たに設けられたスイッチでもよい。
【0109】
(vi)上カバー111の開閉をオン・オフ検知する作業検知センサーとしては、
図10及び
図11に示される作業検知センサー67を用いてもよい。作業検知センサー67は、遮光部671とフォトインタラプタ672とで構成されている。遮光部671は、上カバー111の前縁部112の回動軸と共に回動するように、前縁部112に固定されている。作業検知センサー67は、上カバー111が閉じている時は、
図10に示されるように、遮光部671がフォトインタラプタ672を遮光した状態、すなわち、オン状態であり、上カバー111が開いている時は、
図11に示されるように、遮光部671がフォトインタラプタ672を遮光していない状態、すなわち、オフ状態である。これにより、作業検知センサー67は、上カバー111の開閉をオン・オフで検知するようになっている。
【0110】
(vii)装置本体1とコントローラ部9とを、一体に設ける。具体的には、
図8に示されるように、コード91が省かれて、コントローラ部9が装置本体1に合体されている。これによれば、交付装置10の、搬送、設置、及び保管の各作業が、容易となる。
【0111】
(viii)上述したように、初期設定作業は、電源スイッチをオンする度に毎回開始するようにしてもよいが、工場出荷後に電源スイッチを最初にオンした時には必ず開始するようにし、且つ、その後は操作者が(a)「初期設定作業は行わず、前回の設定を採用する」又は(b)「初期設定作業を開始する」を選択できるようにしてもよい。
【0112】
(ix)ガイダンスにおける案内情報は、上記の内容及び表現に限るものではなく、適宜に変更してもよい。