(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の油性化粧料は、一般式(1)で表される構成単位を含む重合体セグメントAと、一般式(1)で表される構成単位及び一般式(2)で表される構成単位を含む重合体セグメントBとからなり、
重合体セグメントAの重量平均分子量が5000以上20万以下であり、重合体セグメントBの重量平均分子量が95000以上100万以下であり、かつ
重合体セグメントB中における一般式(2)で表される構成単位の含有量に対する一般式(1)で表される構成単位の含有量の質量比が、1/99以上40/60以下であるブロック重合体
を含有する。
【0016】
(式(1)中、R
1〜R
3は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1以上2以下のアルキル基を示し、R
4は炭素数1以上4以下の炭化水素基を示す。)
【0018】
(式(2)中、R
5〜R
7は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1以上2以下のアルキル基を示し、R
8は炭素数8以上24以下の炭化水素基を示す。)
【0019】
本発明の油性化粧料は、使用時において糸曳きを生じず、滑らかな感触が持続する効果を発揮するものであり、その理由は定かではないものの、以下のように推定される。
従来の油性化粧料において、滑らかな感触や潤い感を高めるために用いられてきた分子量の大きい高分子化合物は、皮膚や口唇に塗布することにより、皮膚、口唇の動きに応じてポリマー鎖が微小変形しても、高分子量であるが故に有する高い法線応力によって反発力が生じ、元の形状に戻ろうとする作用が働く。そのため、あたかも潤いを有するように、皮膚や口唇にぷるんとした感触、すなわち弾力性のある滑らかな感触を実現する。しかしながら、かかる分子量の大きい高分子化合物は、大きな伸長変形に対しては、互いに絡み合って糸を曳いてしまう傾向にある。
【0020】
これに対し、本発明の油性化粧料に含有される上記ブロック重合体は、分子量が比較的小さく、短鎖アルキル基を有する重合体セグメントAと長鎖アルキル基を有する重合体セグメントBからなる。そのため、油剤に溶解しにくい重合体セグメントAは油剤中で会合体を形成する一方、剛直な長鎖アルキル基を有する重合体セグメントBは、短鎖アルキル基を有する構成単位をも含有するため、屈曲性が発現して重合体セグメントBの絡み合いが促進される。こうした特性を有する重合体セグメントAと重合体セグメントBが上記ブロック重合体中に共存することにより、微小変形の際には比較的小さい分子量であるにもかかわらず高い法線応力を発現することができ、大きな伸長変形の際には会合体が崩壊し、分子量が比較的小さい重合体であることが逆に功を奏して、曳糸性の発現を効果的に抑制できるものと考えられる。
【0021】
<ブロック重合体>
[重合体セグメントA]
重合体セグメントAは、一般式(1)で表される構成単位を含む。
【0023】
式(1)中、R
1〜R
3は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1以上2以下のアルキル基を示し、R
4は炭素数1以上4以下の炭化水素基を示す。
一般式(1)で表される構成単位は、下記一般式(1')で表される不飽和単量体(以下、不飽和単量体aともいう)を重合することにより誘導される構成単位であり、一般式(1)及び一般式(1')中におけるR
1、R
2、R
3及びR
4は、すべて同義である。
【0025】
式(1)及び式(1')において、不飽和単量体の重合性や入手性の観点、及び糸曳きの抑制や滑らかな感触の持続性付与の観点から、R
1及びR
2は水素原子が好ましい。R
3は、同様の観点から、水素原子又はメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。R
4は、同様の観点から、炭素数1以上2以下の炭化水素基が好ましく、メチル基及びエチル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
【0026】
不飽和単量体aとしては、具体的には、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、及び(メタ)アクリル酸tert−ブチルから選ばれる1種又は2種以上が挙げられ、不飽和単量体の重合性や入手性の観点、及び糸曳きの抑制や滑らかな感触の持続性付与の観点から、好ましくはアクリル酸メチル、メタクリル酸メチルであり、より好ましくはメタクリル酸メチルである。
【0027】
重合体セグメントA中には、本願の効果を損なわない範囲で、不飽和単量体a以外の単量体を重合することにより誘導される構成単位を含有してもよい。不飽和単量体a以外の単量体としては、ヒドロキシエチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクレート等の不飽和単量体a以外の(メタ)アクリレート;アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、tert−ブチルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド;スチレン等が挙げられる。
【0028】
重合体セグメントAにおける一般式(1)で表される構成単位の含有量は、糸曳きを生じず、滑らかな感触を持続させる観点から、重合体セグメントA中に、好ましくは90質量%以上であり、より好ましくは95質量%以上であり、さらに好ましくは99質量%以上であり、よりさらに好ましくは実質的に100質量%であり、またさらに好ましくは100質量%である。
なお、実質的に100質量%とは、重合体セグメントA中に一般式(1)で表される構成単位以外の構成単位が不可避的に混入する場合を含む意味である。
【0029】
重合体セグメントAの重量平均分子量は、糸曳きを生じず、滑らかな感触を持続させる観点から、5000以上であって、好ましくは15000以上であり、より好ましくは20000以上であり、さらに好ましくは25000以上であり、よりさらに好ましくは40000以上であり、同様の観点から、200000以下であって、好ましくは150000以下であり、より好ましくは120000以下であり、さらに好ましくは80000以下であり、よりさらに好ましくは70000以下である。この重量平均分子量は、実施例に記載の方法で測定する値を意味する。
【0030】
本発明で用いるブロック重合体中における重合体セグメントAの含有量は、糸曳きを生じず、滑らかな感触を持続させる観点から、ブロック重合体中に、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上であり、さらに好ましくは2.5質量%以上であり、よりさらに好ましくは4質量%以上であり、よりさらに好ましくは5質量%以上であい、よりさらに好ましくは10質量%以上であり、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは25質量%以下であり、さらに好ましくは22質量%以下であり、よりさらに好ましくは20質量%以下であり、よりさらに好ましくは18質量%以下である。
【0031】
[重合体セグメントB]
重合体セグメントBは、上記一般式(1)で表される構成単位を含み、かつ一般式(2)で表される構成単位を含む。
【0033】
式(2)中、R
5〜R
7は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1以上2以下のアルキル基を示し、R
8は炭素数8以上24以下の炭化水素基を示す。
【0034】
上記一般式(1)で表される構成単位は、重合体セグメントAにおける場合と同様、上記一般式(1')で表される不飽和単量体(以下、不飽和単量体aともいう)を重合することにより誘導される構成単位であり、一般式(1)で表される構成単位及び一般式(1')で表される不飽和単量体の好ましい態様は、重合体セグメントAにおける一般式(1)で表される構成単位及び一般式(1')で表される不飽和単量体の好ましい態様と同様である。
【0035】
一般式(2)で表される構成単位は、下記一般式(2')で表される不飽和単量体(以下、不飽和単量体bともいう)を重合することにより誘導される構成単位であり、一般式(2)及び一般式(2')中におけるR
5、R
6、R
7及びR
8は、すべて同義である。
【0037】
式(2)及び式(2')において、不飽和単量体の重合性や入手性の観点、及び糸曳きの抑制や滑らかな感触の持続性付与の観点から、R
5及びR
6は水素原子が好ましい。R
7は、同様の観点から、水素原子又はメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。R
8の炭素数は、同様の観点から、好ましくは10以上であり、より好ましくは12以上であり、さらに好ましくは14以上であり、よりさらに好ましくは16以上であり、好ましくは22以下であり、より好ましくは20以下であり、さらに好ましくは18以下である。R
8の炭化水素基は、同様の観点から、好ましくは直鎖又は分岐鎖のアルキル基、或いは直鎖又は分岐鎖のアルケニル基であり、より好ましくは直鎖アルキル基である。R
8は、好ましくはn−オクチル基、n−デシル基、ラウリル基(n−ドデシル基)、ミリスチル基(n−テトラデシル基)、パルミチル基(n−ヘキサデシル基)、ステアリル基(n−オクタデシル基)、オレイル基、ベヘニル基であり、より好ましくはn−デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、オレイル基であり、さらに好ましくはミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基であり、よりさらに好ましくはパルミチル基、ステアリル基であり、よりさらに好ましくはステアリル基である。
【0038】
不飽和単量体bとしては、具体的には、例えば(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸オレイル、(メタ)アクリル酸ベヘニルから選ばれる1種又は2種以上が挙げられ、不飽和単量体の重合性や入手性の観点、及び糸曳きの抑制や滑らかな感触の持続性付与の観点から、好ましくは(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、及び(メタ)アクリル酸ステアリルから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはアクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリルから選ばれる1種又は2種であり、さらに好ましくはメタクリル酸ステアリルである。
【0039】
重合体セグメントB中には、本願の効果を損なわない範囲で、不飽和単量体a及び不飽和単量体b以外の単量体を重合することにより誘導される構成単位を含有してもよい。不飽和単量体a及び不飽和単量体b以外の単量体としては、ヒドロキシエチルアクリレート等の不飽和単量体a及び不飽和単量体b以外の(メタ)アクリレート、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、tert−ブチルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド、スチレン等が挙げられる。
【0040】
重合体セグメントBにおける一般式(1)で表される構成単位及び一般式(2)で表される構成単位の合計含有量は、糸曳きを生じず、滑らかな感触を持続させる観点から、重合体セグメントB中に、好ましくは90質量%以上であり、より好ましくは95質量%以上であり、さらに好ましくは99質量%以上であり、よりさらに好ましくは実質的に100質量%であり、よりさらに好ましくは100質量%である。
なお、実質的に100質量%とは、本発明の重合体セグメントB中に一般式(1)で表される構成単位及び一般式(2)で表される構成単位以外の構成単位が不可避的に混入する場合を含む意味である。
【0041】
重合体セグメントB中における、一般式(2)で表される構成単位の含有量に対する一般式(1)で表される構成単位の含有量の質量比(一般式(1)の構成単位/一般式(2)の構成単位)は、糸曳きを生じず、滑らかな感触を持続させる観点から、1/99以上であって、好ましくは2/98以上であり、より好ましくは2.5/97.5以上であり、さらに好ましくは3/97以上であり、よりさらに好ましくは4/96以上であり、よりさらに好ましくは5/95以上であり、40/60以下であって、好ましくは30/70以下であり、より好ましくは25/75以下であり、よりさらに好ましくは20/80以下であり、よりさらに好ましくは18/82以下である。
【0042】
重合体セグメントBの重量平均分子量は、糸曳きを生じず、滑らかな感触を持続させる観点から、95000以上であって、好ましくは130000以上であり、より好ましくは150000以上であり、さらに好ましくは180000以上であり、よりさらに好ましくは200000以上であり、同様の観点から、1000000以下であって、好ましくは900000以下、より好ましくは800000以下、さらに好ましくは650000以下、よりさらに好ましくは600000以下である。この重量平均分子量は、実施例に記載の方法で測定する値を意味する。
【0043】
本発明で用いるブロック重合体中における重合体セグメントBの含有量は、糸曳きを生じず、滑らかな感触を持続させる観点から、ブロック重合体中に、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは75質量%以上であり、さらに好ましくは78質量%以上であり、よりさらに好ましくは80質量%以上であり、よりさらに好ましくは82質量%以上であり、好ましくは99質量%以下であり、より好ましくは98質量%以下であり、さらに好ましくは97.5質量%以下であり、よりさらに好ましくは96質量%以下であり、よりさらに好ましくは95質量%以下であり、よりさらに好ましくは90質量%以下である。
【0044】
[ブロック重合体]
ブロック重合体の重量平均分子量は、糸曳きを生じず、滑らかな感触を持続させる観点から、好ましくは10万以上であり、より好ましくは15万以上であり、さらに好ましくは20万以上であり、よりさらに好ましくは25万以上であり、同様の観点から、好ましくは120万以下であり、より好ましくは100万以下であり、さらに好ましくは90万以下であり、よりさらに好ましくは80万以下であり、よりさらに好ましくは75万以下であり、よりさらに好ましくは60万以下である。この重量平均分子量は、実施例に記載の方法で測定する値を意味する。
ブロック重合体の構造としては、具体的には、例えば重合体セグメントAを「A」、重合体セグメントBを「B」で表すと、A−B、A−B−A、B−A−Bの構造、又はA−B−A−B−A−B・・・の繰り返し構造が挙げられる。なかでも、本発明で用いるブロック重合体は、製造容易性の観点から、A−Bの構造を有するジブロック重合体であるのが好ましい。
【0045】
ブロック重合体の含有量は、糸曳きを生じず、滑らかな感触を持続させる観点から、本発明の油性化粧料中に、0.1質量%以上であって、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上であり、さらに好ましくは2質量%以上であり、糸曳きを生じさせない観点から10質量%以下であって、好ましくは8質量%以下であり、より好ましくは7質量%以下であり、さらに好ましくは6質量%以下である。
【0046】
本発明において使用されるブロック重合体の製造方法は、特に制限されず、公知の方法を用いることができ、例えば、単量体をリビング重合で重合させ、ブロック重合体とする方法が挙げられる。リビング重合としては、リビングラジカル重合、リビングアニオン重合、リビングカチオン重合等が挙げられ、なかでも重合操作の簡便性の観点から、リビングラジカル重合が好ましい。
リビングラジカル重合法としては、原子移動ラジカル重合(ATRP)法、ヨウ素移動ラジカル重合法、ニトロキシラジカルを用いる重合(NMP)法、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)法、可逆連鎖移動触媒重合(RTCP)法、可逆的錯体形成媒介重合(RCMP)法等が挙げられる。なかでも、触媒の入手性、重合制御の観点から、ATRP法、RAFT法、RTCP法、RCMP法が好ましい。
ATRP法については、文献「Chemical Reviews」,2001年、101、p2921−2990に記載されている方法を用いることができる。RAFT法については、文献「Chemical Reviews」,2009年、109、p5402−5436に記載されている方法を用いることができる。RTCP法については、国際公開第2010/027093号に記載されている方法を用いることができる。RCMP法については、国際公開第2011/016166号に記載されている方法を用いることができる。
【0047】
A−Bの構造を有するジブロック重合体の場合、例えば、第1のブロックを重合する工程と、第2のブロックを重合する工程とを包含する方法によりジブロック重合体を得ることができる。より具体的には、例えば、第1のブロックを重合した後、得られた第1のポリマーの存在下に、第2のブロックの重合を行うことにより、ブロック重合体を得ることができる。第1のポリマーは、単離精製した後に、第2のブロックの重合に供することもできるし、第1ポリマーを単離精製せず、第1のポリマーの重合の途中または完結時に、第2のモノマーを添加することにより、ブロックの重合を行うこともできる。
単離精製は、周知の方法、例えば、重合溶液をポリマーの貧溶媒に添加してポリマーを析出させた後、ろ過、乾燥により行うことができる。
【0048】
<疎水性油>
本発明の油性化粧料は、さらに滑らかな感触を持続させ、上記ブロック重合体を良好に溶解させる観点から、上記ブロック重合体のほか、さらに疎水性油を含有するのが好ましい。ここで疎水性油とは、水100gに溶解する量が1g以下の液状油を意味する。
疎水性油の含有量は、滑らかな感触が持続する観点から、本発明の油性化粧料中に、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上であり、さらに好ましくは10質量%以上であり、よりさらに好ましくは20質量%以上であり、さらに好ましくは25質量%以上であり、好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは80質量%以下であり、さらに好ましくは60質量%以下であり、よりさらに好ましくは50質量%以下である。
疎水性油としは、糸曳きを生じず、滑らかな感触を持続させる観点から、炭化水素油及びエステル油から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。また、同様の観点から、25℃で液状のものが好ましく、(i)25℃で液状の炭化水素油及び(ii)25℃で液状のエステル油から選ばれる1種以上が好ましい。
【0049】
(i)25℃で液状の炭化水素油としては、例えば、軽質イソパラフィン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、水添ポリイソブテン、水添ポリデセン、スクワラン、スクワレン等の直鎖又は分岐鎖の炭化水素油から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
炭化水素油(i)の含有量は、糸曳きを生じず、滑らかな感触を持続させる観点から、本発明の油性化粧料中に、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上であり、さらに好ましくは15質量%以上であり、好ましくは60質量%以下であり、より好ましくは50質量%以下である。
【0050】
(ii)25℃で液状のエステル油としては、例えば、アボガド油、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、小麦胚芽油、アマニ油、綿実油、大豆油、パーム油。ヤシ油、ヒマシ油、ホホバ油、ヒマワリ油、ツバキ油、トウモロコシ油、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸オレイル、リシノレイン酸オクチルドデシル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。なかでも、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル等から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシルから選ばれる1種又は2種以上がより好ましい。
エステル油(ii)の含有量は、糸曳きを生じず、滑らかな感触を持続させる観点から、本発明の油性化粧料中に、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは20質量%以上であり、好ましくは80質量%以下であり、より好ましくは60質量%以下である。
【0051】
これら(i)25℃で液状の炭化水素油、及び(ii)25℃で液状のエステル油を併用する場合、その合計含有量は、油性化粧料の剤型によっても異なるが、糸曳きを生じず、滑らかな感触を持続させる観点から、好ましくは15質量%以上であり、より好ましくは30質量%以上であり、さらに好ましくは50質量%以上であり、好ましくは90質量%以下である。
【0052】
また、上記以外の疎水性油として、25℃で液状のシリコーン油を含有することができる。25℃で液状のシリコーン油としては、例えば、鎖状のジメチルシリコーン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルポリシロキサン;トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、フェニルトリメチコン、ジフェニルジメチコン等のメチルフェニルシリコーンから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0053】
さらに上記以外の疎水性油として、常温で固体又は半固体の疎水性油を含有することができる。常温で固体又は半固体の疎水性油としては、例えば、ミツロウ、鯨ロウ等の動物系ワックス;カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ライスワックス、木ロウ等の植物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン等の鉱物系ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス;ポリエチレンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、硬化ひまし油、水素添加ホホバ油、12−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、シリコーンワックス、フッ素系ワックス等の合成ワックス;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、ラノリン脂肪酸から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0054】
<その他の成分>
更に、本発明の油性化粧料は、上記成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、通常の油性化粧料に用いられる成分、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、低級アルコール、多価アルコール、糖、保形剤、増粘剤、皮膜剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ビタミン、香料、粉末、色材、色素、防腐剤、保湿剤、水等を含有することができる。
【0055】
<本発明の油性化粧料の製造方法>
本発明の油性化粧料は、通常の方法により、製造することができ、例えば、色材を用いる場合には、かかる色材以外の基材原料を加熱溶解し、均一混合した後、色材原料を加えて更に混合することにより、製造することができる。また、本発明の油性化粧料の剤型としては、固形、半固形、ゲル、液状等のいずれであってもよい。
【0056】
本発明の油性化粧料は、例えば、口紅、リップクリーム、リップグロス、リップライナー、口紅オーバーコート等の口唇化粧料のほか、ファンデーション、ローション、クリーム、乳液、化粧水、皮膚柔軟化化粧料、栄養化粧料、収斂化粧料、美白化粧料、シワ改善化粧料、老化防止化粧料、制汗剤、デオドラント剤等の皮膚化粧料や、皮膚外用剤等に幅広く適用することができる。
【0057】
本発明の油性化粧料は、上記のような特有のブロック重合体を含有するため、優れた使用感をもたらしながら、その持続性にも優れる。かかる「使用感」とは、本発明の油性化粧料を塗布後に皮膚を擦り合せたとき、例えば口唇化粧料として用いた場合には上下の唇を前後に擦り合わせたときに、塗膜の存在感や滑らかさが感じられ、それを「滑らかさがある」又は「潤い感がある」として、表現される使用感である。
また、「使用感の持続性」とは、本発明の油性化粧料を塗布後、数時間経過したときに、単に視覚的に油性化粧料が皮膚上に残存していることを意味するのではなく、皮膚を擦り合せたとき、例えば口唇化粧料として用いた場合には上下の唇を前後に擦り合わせたときに、塗布後に数時間も経過しているにもかかわらず、塗膜の存在感や滑らかさが感じられることを意味するものである。
【実施例】
【0058】
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明する。なお、反応率の「%」以外、「%」は質量%を示す。
各種物性等の測定は、以下の方法により行った。
【0059】
(1)重合体セグメントA、ブロック重合体及びランダム共重合体の重量平均分子量
ゲル浸透クロマトグラフィー(ポリスチレン換算)で測定した。
カラム:K-804L(昭和電工(株)製)を2本直列に連結して使用した。
カラム温度:40℃
溶離液:1mmol/Lジメチルラウリルアミン/CHCl
3
(ジメチルラウリルアミン:ファーミンDM2098:花王(株)製)
流量:1.0ml/分
検出器:示差屈折率計
【0060】
(2)重合体セグメントBの重量平均分子量
上記(1)で求めた重合体セグメントAの重量平均分子量、ブロック重合体の重量平均分子量を用いて、下記の式より求めた。
・重合体セグメントBの重量平均分子量=(ブロック重合体の重量平均分子量)―(重合体セグメントAの重量平均分子量)
【0061】
(3)ブロック重合体製造時の不飽和単量体a及び不飽和単量体bの反応率(%)
反応溶液に2−プロパノールを添加してよく混合したのち、上澄みをガスクロマトグラフィーで測定することにより求めた。具体的には、検量線を作成して、残存モノマーのモル数を求め、仕込みモル数との比から反応率(モル%)を求めた。
装置:Agilent Technologies 社製6850
検出器:水素炎イオン化検出器
検出ガス:水素(燃焼ガス)、空気(支燃ガス)
カラム:DB−1(Agilent Technologies 社製)
カラム温度:試料注入後2分間50℃に保ち、その後300℃まで毎分10℃で昇温し、300℃で5分間保持する。
注入口温度:250℃
検出器温度:250℃
キャリヤーガス:ヘリウム
流量:毎分1ml
【0062】
(4)重合体セグメントB中の一般式(1)及び一般式(2)の構成単位の含有量(質量%)
上記(3)の方法で求めた反応終了時の反応液の不飽和単量体a及び不飽和単量体bの反応率を用いて、下記の式より求めた。
・重合体セグメントB中の一般式(1)の構成単位の含有量(質量%)=反応した不飽和単量体a量(g)/(反応した不飽和単量体a量(g)+反応した不飽和単量体b量(g)+不飽和単量体a及びb以外の反応した不飽和単量体量(g))
・重合体セグメントB中の一般式(2)の構成単位の含有量(質量%)=反応した不飽和単量体b量(g)/(反応した不飽和単量体a量(g)+反応した不飽和単量体b量(g)+不飽和単量体a及びb以外の反応した不飽和単量体量(g))
・反応した不飽和単量体a量(g)=ブロック重合体製造時の不飽和単量体aの仕込み量(g)×不飽和単量体aの反応率(%)/100
・反応した不飽和単量体b量(g)=ブロック重合体製造時の不飽和単量体bの仕込み量(g)×不飽和単量体bの反応率(%)/100
・不飽和単量体a及びb以外の反応した不飽和単量体量(g)=ブロック重合体製造時の不飽和単量体a及びb以外の不飽和単量体の仕込み量(g)×不飽和単量体a及びb以外の不飽和単量体の反応率(%)/100
なお、不飽和単量体a及びb以外の反応した不飽和単量体量(g)は、ブロック重合体の製造において、不飽和単量体a及びb以外の不飽和単量体を用いた場合に考慮した。
【0063】
(5)一般式(1)の構成単位/一般式(2)構成単位の質量比
上記(3)の方法で求めた反応終了時の反応液の不飽和単量体a及びbの反応率を用いて、下記の式より求めた。
・一般式(1)の構成単位/一般式(2)構成単位(質量比)=反応した不飽和単量体a量(g)/反応した不飽和単量体b量(g)
【0064】
(6)ブロック重合体中の重合体セグメントAの含有量(質量%)
上記(3)の方法で求めた反応終了時の反応液の不飽和単量体a及びbの反応率を用いて、下記の式より求めた。
・ブロック重合体中の重合体セグメントAの含有量(質量%)=重合体セグメントAの仕込み量(g)/(重合体セグメントAの仕込み量(g)+反応した不飽和単量体a量(g)+反応した不飽和単量体b量(g))
なお、上記重合体セグメントAの仕込み量(g)、反応した不飽和単量体a量(g)、反応した不飽和単量体b量(g)はブロック重合体製造時の量である。
【0065】
[製造例1(重合体セグメントA1の製造)]
ナスフラスコにメタクリル酸メチル(和光純薬工業(株)製)20g、2−ブロモイソ酪酸エチル0.195g(東京化成工業(株)製)、4,4’−ジノニル−2,2’―ジピリジル(シグマアルドリッチ製)0.49g、アニソール30gを入れ、15分間窒素バブリングを行ない、モノマー溶液を調製した。次に、別のナスフラスコにスターラーチップ、塩化銅(I)(和光純薬工業(株)製)0.0495g、塩化銅(II)(和光純薬工業(株)製)0,0134gを入れ、窒素置換した後、モノマー溶液を添加した。10分間窒素バブリングを行った後、70℃に加熱し反応を行った。2.5時間反応させた後、反応溶液を空気にさらしながら氷冷し、反応を終了した。次いで、メタノール1000mlに撹拌しながら反応溶液を滴下し、ポリマーを析出させ、ろ過、乾燥により重合体セグメントA1を得た。
【0066】
[製造例2(重合体セグメントA2の製造)]
2−ブロモイソ酪酸エチルを0.078g、4,4’−ジノニル−2,2’―ジピリジルを0.196g、アニソールを20g、塩化銅(I)を0.0198g、塩化銅(II)を0.0027gに変更した以外は製造例1と同様に反応を行った。7時間反応させた後、反応溶液を空気にさらしながら氷冷し、反応を終了した。次いで、メタノール1000mlを撹拌しながら重合溶液を滴下し、ポリマーを析出させ、ろ過、乾燥により重合体セグメントA2を得た。
【0067】
[製造例3(重合体セグメントA3の製造)]
メタクリル酸メチルを30g、2−ブロモイソ酪酸エチルを0.059g、4,4’−ジノニル−2,2’―ジピリジルを0.27g、アニソールを20g、塩化銅(I)を0.0297g、塩化銅(II)を0.0020gに変更した以外は製造例1と同様に反応を行った。12時間反応させた後、反応溶液を空気にさらしながら氷冷し、重合を終了した。次いで、メタノール1000mlを撹拌しながら反応溶液を滴下し、ポリマーを析出させ、ろ過、乾燥により重合体セグメントA3を得た。
【0068】
[製造例4(重合体セグメントA4の製造)]
メタクリル酸メチルを30g、2−ブロモイソ酪酸エチルを0.029g、4,4’−ジノニル−2,2’―ジピリジルを0.135g、アニソールを12.9g、塩化銅(I)を0.0149g、塩化銅(II)を0.0010gに変更した以外は製造例1と同様に反応を行った。24時間反応させた後、反応溶液を空気にさらしながら氷冷し、反応を終了した。次いで、メタノール1000mlを撹拌しながら反応溶液を滴下し、ポリマーを析出させ、ろ過、乾燥により重合体セグメントA4を得た。
【0069】
[製造例5(ブロック重合体1の製造)]
ナスフラスコにメタクリル酸ステアリル(東京化成工業(株)製)13.97g、メタクリル酸メチル1.03g、重合体セグメントA1を0.206g、4,4’−ジノニル−2,2’―ジピリジル0.021g、メチルエチルケトン(和光純薬工業(株)製)35gを入れ、15分間窒素バブリングを行ない、モノマー溶液を調製した。次に、別のナスフラスコにスターラーチップ、塩化銅(I)0.00255gを入れ、窒素置換した後、モノマー溶液を添加した。10分間窒素バブリングを行った後、70℃に加熱し反応を行った。42時間反応させた後、反応溶液を空気にさらしながら反応を終了した。メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸メチルの反応率はそれぞれ53%、52%であった。次いで、2−プロパノール2000mlを撹拌しながら反応溶液を滴下し、ポリマーを析出させ、ろ過、乾燥によりブロック重合体1を得た。
【0070】
[製造例6(ブロック重合体2の製造)]
重合体セグメントA1 0.206gを重合体セグメントA2 0.645gに変更したこと及び40時間反応させたこと以外は製造例5と同様に行い、ブロック重合体2を得た。メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸メチルの反応率はそれぞれ52%、52%であった。
【0071】
[製造例7(ブロック重合体3の製造)]
メタクリル酸ステアリルを20.88g、メタクリル酸メチルを4.11g、重合体セグメントA1 0.206gを重合体セグメントA2 0.643g、メチルエチルケトンを58.33gに変更したこと及び67時間反応させたこと以外は製造例5と同様に行い、ブロック重合体3を得た。メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸メチルの反応率はそれぞれ43%、40%であった。
【0072】
[製造例8(ブロック重合体4の製造)]
重合体セグメントA1 0.206gを重合体セグメントA3 1.289gに変更したこと及び15時間反応させたこと以外は製造例5と同様に行い、ブロック重合体4を得た。メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸メチルの反応率はそれぞれ30%、30%であった。
【0073】
[製造例9(ブロック重合体5の製造)]
メタクリル酸ステアリルを14.52g、メタクリル酸メチルを0.48g、重合体セグメントA1 0.206gを重合体セグメントA3 1.19g、4,4’−ジノニル−2,2’―ジピリジルを0.0195g、塩化銅(I)を0.00236gに変更したこと及び42時間反応させたこと以外は製造例5と同様に行い、ブロック重合体5を得た。メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸メチルの反応率はそれぞれ50%、50%であった。
【0074】
[製造例10(ブロック重合体6の製造)]
重合体セグメントA1 0.206gを重合体セグメントA3 1.289gに変更したこと及び46時間反応させたこと以外は製造例5と同様に行い、ブロック重合体6を得た。メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸メチルの反応率はそれぞれ53%、53%であった。
【0075】
[製造例11(ブロック重合体7の製造)]
メタクリル酸ステアリルを12.53g、メタクリル酸メチルを2,47g、重合体セグメントA1 0.206gを重合体セグメントA3 1.54g、4,4’−ジノニル−2,2’―ジピリジルを0.0252g、塩化銅(I)を0.00305gに変更したこと及び38時間反応させたこと以外は製造例5と同様に行い、ブロック重合体7を得た。メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸メチルの反応率はそれぞれ47%、43%であった。
【0076】
[製造例12(ブロック重合体8の製造)]
メタクリル酸ステアリルを10.39g、メタクリル酸メチルを4.61g、重合体セグメントA1 0.206gを重合体セグメントA3 1.92g、4,4’−ジノニル−2,2’―ジピリジルを0.0313g、塩化銅(I)を0.0038gに変更したこと及び30時間反応させたこと以外は製造例5と同様に行い、ブロック重合体8を得た。メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸メチルの反応率はそれぞれ52%、52%であった。
【0077】
[製造例13(ブロック重合体9の製造)]
メタクリル酸ステアリルを23.28g、メタクリル酸メチルを1.72g、重合体セグメントA1 0.206gを重合体セグメントA3 1.07g、4,4’−ジノニル−2,2’―ジピリジルを0.0176g、塩化銅(I)を0.0021gに変更したこと及び74時間反応させたこと以外は製造例5と同様に行い、ブロック重合体9を得た。メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸メチルの反応率はそれぞれ49%、49%であった。
【0078】
[製造例14(ブロック重合体10の製造)]
重合体セグメントA1 0.206gを重合体セグメントA4 2.39gに変更したこと及び46時間反応させたこと以外は製造例5と同様に行い、ブロック重合体10を得た。メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸メチルの反応率はそれぞれ48%、48%であった。
【0079】
[製造例15(ブロック重合体11の製造)]
メタクリル酸ステアリル23.28gをメタクリル酸デシル(日油(株)製、製品名:ブレンマーDMA)9.0g、メタクリル酸メチルを0.99g、重合体セグメントA1 0.206gを重合体セグメントA3 1.24g、4,4’−ジノニル−2,2’―ジピリジルを0.0203g、メチルエチルケトンを23.3g、塩化銅(I)を0.0024gに変更したこと及び22時間反応させたこと以外は製造例5と同様に行い、ブロック重合体11を得た。メタクリル酸デシル、メタクリル酸メチルの反応率はそれぞれ50%、50%であった。
【0080】
[製造例16(ブロック重合体12の製造)]
ナスフラスコにメタクリル酸デシル10.0g、重合体セグメントA3を1.40g、4,4’−ジノニル−2,2’―ジピリジル0.024g、メチルエチルケトン15gを入れ、15分間窒素バブリングを行ない、モノマー溶液を調製した。次に、別のナスフラスコにスターラーチップ、塩化銅(I)0.0029gを入れ窒素置換した後、モノマー溶液を添加した。10分間窒素バブリングを行った後、70℃に加熱し反応を行った。16時間反応させた後、反応溶液を空気にさらしながら反応を終了した。メタクリル酸デシルの反応率は42%であった。次いで、2−プロパノール2000mlを撹拌しながら反応溶液を滴下し、ポリマーを析出させ、ろ過、乾燥によりブロック重合体12を得た。
【0081】
[製造例17(ブロック重合体13の製造)]
メタクリル酸デシル10.0gをメタクリル酸ステアリル20.0g、重合体セグメントA3 1.40gを重合体セグメントA2 0.984g、4,4’−ジノニル−2,2’―ジピリジルを0.0321g、メチルエチルケトンを30g、塩化銅(I)を0.0038gに変更したこと及び11時間反応させたこと以外は製造例16と同様に行い、ブロック重合体13を得た。メタクリル酸ステアリルの反応率は57%であった。
【0082】
[製造例18(ブロック重合体14の製造)]
メタクリル酸デシル10.0gをメタクリル酸ステアリル10.0g、重合体セグメントA3を0.935g、4,4’−ジノニル−2,2’―ジピリジルを0.0161g、メチルエチルケトンを23.3g、塩化銅(I)を0.0019gに変更したこと及び15時間反応させたこと以外は製造例16と同様に行い、ブロック重合体14を得た。メタクリル酸ステアリルの反応率は50%であった。
【0083】
[製造例19(ランダム共重合体1の製造)]
ナスフラスコにメタクリル酸ステアリル18.62g、メタクリル酸メチル1.38g、2−ブロモイソ酪酸エチル0.0067g、4,4’−ジノニル−2,2’―ジピリジル0.0281g、メチルエチルケトン20gを入れ、15分間窒素バブリングを行ない、モノマー溶液を調製した。次に、別のナスフラスコにスターラーチップ、塩化銅(I)0.0034gを入れ、窒素置換した後、モノマー溶液を添加した。10分間窒素バブリングを行った後、70℃に加熱し反応を行った。70時間反応させた後、反応溶液を空気にさらしながら反応を終了した。メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸メチルの反応率はそれぞれ50%、50%であった。次いで、2−プロパノール2000mlを撹拌しながら重合溶液を滴下し、ポリマーを析出させ、ろ過、乾燥によりランダム共重合体1を得た。
【0084】
上記製造例で得られた上記ブロック重合体1〜14、ランダム共重合体1の各物性を表1に示す。
【0085】
【表1】
【0086】
[実施例1〜11、比較例1〜4]
上記製造例で得られたブロック重合体1〜14、ランダム共重合体1を各々、イソノナン酸イソトリデシル(日清オイリオグループ(株)製、製品名:サラコス913)にポリマー濃度が10質量%になるように溶解させ、測定試料を得た。次いで、以下の方法にしたがって、各試料の法線応力を測定した。
結果を表2に示す。
なお、実施例1〜14及び比較例1〜4の各試料を指に塗布して曳糸性の有無を確認したところ、いずれも糸曳きは生じなかった。
【0087】
《評価方法:法線応力》
測定機器;回転式粘弾性測定装置(アントンパール社製 MCR−301)。
冶具;直径50mmコーンプレート、(CP50-1)。
測定温度;20℃。
サンプルをプレート間に挟みこみ、ずり速度0.001s
-1から5000s
-1までの間を対数軸で等分して19点測定した。ずり速度5000s
-1の場合の第1法線応力差N1を求めた。
N1の値が大きいほど、滑らかさ等の使用感およびその持続性に優れることを示す。
【0088】
【表2】
【0089】
[実施例12〜13]
上記製造例で得られたブロック重合体を用い、表3に示す処方のスティック口紅を常法により製造することができる。
【0090】
[実施例14〜15]
上記製造例で得られたブロック重合体を用い、表4に示す処方の液状口紅を常法により製造することができる。
【0091】
【表3】
【0092】
【表4】