特許第6385263号(P6385263)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385263
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】ドライ加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/00 20060101AFI20180827BHJP
【FI】
   B23Q11/00 P
【請求項の数】14
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-245342(P2014-245342)
(22)【出願日】2014年12月3日
(65)【公開番号】特開2016-107358(P2016-107358A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2017年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】315017775
【氏名又は名称】三菱重工工作機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 由尚
(72)【発明者】
【氏名】一幡 浩久
(72)【発明者】
【氏名】石津 和幸
【審査官】 村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−036040(JP,A)
【文献】 実開昭54−174985(JP,U)
【文献】 独国実用新案第202013008915(DE,U1)
【文献】 欧州特許出願公開第00855245(EP,A1)
【文献】 特開平11−291125(JP,A)
【文献】 特開2002−356224(JP,A)
【文献】 特開昭61−103753(JP,A)
【文献】 特開2006−326761(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/00
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削油を使用せずにワークをドライ加工する工具と、
前記工具の下方に配置され、前記ドライ加工により前記ワークから発生して落下した切屑を受ける第1面と、
前記第1面よりも上方に配置され、前記第1面との間で段差を形成する第2面と、
前記第1面と前記第2面の一方の端部とを接続し、前記第2面との間で角部を含む境界部を形成する第3面と、
前記第2面から前記境界部に向けてエアが流れるように前記第2面に前記エアを噴射するエア噴射口を有し、前記エア噴射口から噴射された前記エアの少なくとも一部を、前記第2面から前記境界部を介して前記第1面の前記切屑に供給するエア噴射ノズルと、
を備えるドライ加工装置。
【請求項2】
前記第1面と平行な横方向に関する前記エア噴射口の寸法は、縦方向に関する前記エア噴射口の寸法よりも大きい請求項1に記載のドライ加工装置。
【請求項3】
前記境界部に設けられた凸部、又は凹部、又は凸部及び凹部の両方を有する請求項1又は請求項2に記載のドライ加工装置。
【請求項4】
前記境界部は、第1線部と、前記第1線部に対して所定角度で配置される第2線部と、を含む請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のドライ加工装置。
【請求項5】
前記エア噴射ノズルは、前記エア噴射口から前記エアを第1期間だけ噴射する動作と、前記第1期間の経過後第2期間だけ噴射停止する動作とを繰り返す請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のドライ加工装置。
【請求項6】
少なくとも一部が前記エア噴射ノズルの周囲に配置され、前記エア噴射ノズルの外面との間に形成されたエア流入口から流入したエア及び前記エア噴射口から噴射されたエアを前記第1面に供給するエア流出口を有する筒部材を備える請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のドライ加工装置。
【請求項7】
切削油を使用せずにワークをドライ加工する工具と、
前記工具の下方に配置され、前記ドライ加工により前記ワークから発生して落下した切屑を受ける第1面と、
前記第1面の前記切屑にエアが供給されるように前記エアを噴射するエア噴射口を有するエア噴射ノズルと、
少なくとも一部が前記エア噴射ノズルの周囲に配置され、前記エア噴射ノズルの外面との間に形成されたエア流入口から流入したエア及び前記エア噴射口から噴射されたエアを前記第1面の前記切屑に供給するエア流出口を有する筒部材と、
を備えるドライ加工装置。
【請求項8】
前記エア噴射ノズルの外面と前記筒部材の内面との間のエア流路は、前記エア流入口から前記エア流出口に向かって断面積が小さくなる縮小部を含む請求項6又は請求項7に記載のドライ加工装置。
【請求項9】
前記筒部材のエア流路は、前記エア流出口に向かって断面積が大きくなる拡大部を含む請求項8に記載のドライ加工装置。
【請求項10】
前記エア流出口に設けられ、前記エア流出口の中心に向かって突出する第1突起部材を有する請求項6から請求項9のいずれか一項に記載のドライ加工装置。
【請求項11】
前記エア噴射ノズルは、絞り部と、前記絞り部に向かって断面積が小さくなる縮径部と、前記絞り部から前記エア噴射口に向かって断面積が大きくなる拡径部と、を含む内部流路を有する請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のドライ加工装置。
【請求項12】
ワークをドライ加工する工具と、
前記工具の下方に配置され、前記ドライ加工により前記ワークから発生して落下した切屑を受ける第1面と、
前記第1面の前記切屑にエアが供給されるように前記エアを噴射するエア噴射口と、絞り部、前記絞り部に向かって断面積が小さくなる縮径部、及び前記絞り部から前記エア噴射口に向かって断面積が大きくなる拡径部を含む内部流路と、を有し、前記内部流路を流れ前記エア噴射口から噴射された前記エアの少なくとも一部を前記第1面の前記切屑に供給するエア噴射ノズルと、
を備えるドライ加工装置。
【請求項13】
前記エア噴射ノズルよりも下方に配置され、前記エア噴射ノズルの前記エア噴射口から噴射されるエアの圧力よりも低圧のエアを噴射する第2エア噴射ノズルを備える請求項11又は請求項12に記載のドライ加工装置。
【請求項14】
前記エア噴射口に設けられ、前記エア噴射口の中心に向かって突出する第2突起部材を有する請求項1から請求項13のいずれか一項に記載のドライ加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工具でワークを加工すると切屑が発生する。切削油を使用しないドライ加工においては、エアを使って切屑の除去又は回収が行われる。特許文献1には、エアを使ってホブから切屑を除去する技術が開示されている。特許文献2には、エアを使って切屑の回収効率を高める技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−087945号公報
【特許文献2】特開2002−346876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドライ加工において、発生した切屑は、床面のような受け面に落下する。受け面に落下した切屑を放置しておくと、切屑が堆積し、ドライ加工装置の作動に影響を及ぼす可能性がある。そのため、受け面に落下した切屑を除去して、受け面に切屑が堆積することを抑制する必要がある。
【0005】
ドライ加工装置においては、切削油は使用されないものの、駆動部の潤滑のための潤滑油は使用される。そのため、受け面に、潤滑油に起因する油滴又は油膜が存在する可能性がある。受け面に油滴又は油膜が存在すると、切屑と受け面との付着力が増大し、受け面から切屑を円滑に除去することが困難となる可能性がある。
【0006】
本発明の態様は、受け面から切屑を円滑に除去することができるドライ加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に従えば、ワークを加工する工具と、前記工具の下方に配置され、前記加工により発生した切屑を受ける第1面と、前記第1面よりも上方に配置される第2面と、前記第1面と前記第2面とを接続する第3面と、前記第2面から前記第2面と前記第3面との境界部に向けてエアを噴射するエア噴射口を有し、前記エア噴射口から噴射された前記エアの少なくとも一部を前記第1面に供給するエア噴射ノズルと、を備えるドライ加工装置が提供される。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、加工により発生した切屑は、第1面に落下する。第2面は第1面よりも上方に配置され、第1面と第2面との間には段差が設けられる。エア噴射口から第2面の少なくとも一部にエアが噴射されると、そのエアは第2面から第1面に向かって流れる。エアは、第2面又は第2面と第3面との境界部で剥離する。第2面又は第2面と第3面との境界部で剥離したエアは、コアンダ効果により、第1面に引き寄せられるように流れる。コアンダ効果により第1面に引き寄せられたエアは、第1面から剥離し難くなる。そのため、第1面においてエアの拡散又は減衰が抑制される。拡散又は減衰が抑制された状態で、エアが第1面を流れることにより、第1面の切屑は、そのエアで円滑に除去される。また、切屑が効率良く除去されるので、エア噴射口から噴射されるエアの流量が低減されても、切屑は円滑に除去される。
【0009】
本発明の第1の態様において、前記第1面と平行な横方向に関する前記エア噴射口の寸法は、縦方向に関する前記エア噴射口の寸法よりも大きくてもよい。
【0010】
これにより、第1面の広範囲に亘ってコアンダ効果が得られ、第1面の広範囲に亘って切屑が除去される。
【0011】
本発明の第1の態様において、前記境界部に設けられた凸部、又は凹部、又は凸部及び凹部の両方を有してもよい。
【0012】
これにより、境界部を通過したエアに縦渦が生成される。縦渦は減衰し難いので、境界部を通過したエアは、切屑を除去するのに十分な運動エネルギーを維持したまま、遠くまで到達することができる。そのため、第1面の広範囲に亘って切屑が除去される。
【0013】
本発明の第1の態様において、前記境界部は、第1線部と、前記第1線部に対して所定角度で配置される第2線部と、を含んでもよい。
【0014】
これにより、エア噴射口から噴射されたエアが供給される方向が調整される。
【0015】
本発明の第1の態様において、前記エア噴射ノズルは、前記エア噴射口から前記エアを第1期間だけ噴射する動作と、前記第1期間の経過後第2期間だけ噴射停止する動作とを繰り返してもよい。
【0016】
これにより、間欠的に噴射されるエアに基づいて、間欠的にコアンダ効果が得られること、及び切屑の衝撃流体力が働くことにより、第1面の切屑は円滑に除去される。
【0017】
本発明の第1の態様において、少なくとも一部が前記エア噴射ノズルの周囲に配置され、前記エア噴射ノズルの外面との間に形成されたエア流入口から流入したエア及び前記エア噴射口から噴射されたエアを前記第1面に供給するエア流出口を有する筒部材を備えてもよい。
【0018】
これにより、エア噴射口から噴射されるエアによって、筒部材の周囲のエアがエア流入口に流入するエゼクタ効果が得られる。エア流入口から流入したエア及びエア噴射口から噴射されたエアの両方が、エア流出口から第1面に供給される。エア流出口から供給されるエアの流量を増大させるエゼクタ効果と、エア流出口から供給されたエアを第1面に引き寄せるコアンダ効果との相乗効果により、第1面の切屑は、エア流出口からのエアで円滑に除去される。
【0019】
本発明の第2の態様に従えば、ワークを加工する工具と、前記工具の下方に配置され、前記加工により発生した切屑を受ける第1面と、エアを噴射するエア噴射口を有するエア噴射ノズルと、少なくとも一部が前記エア噴射ノズルの周囲に配置され、前記エア噴射ノズルの外面との間に形成されたエア流入口から流入したエア及び前記エア噴射口から噴射されたエアを前記第1面に供給するエア流出口を有する筒部材と、を備えるドライ加工装置が提供される。
【0020】
本発明の第2の態様によれば、加工により発生した切屑は、第1面に落下する。エア噴射ノズルの周囲には筒部材が配置される。エア噴射ノズルの外面と筒部材の内面との間にはエア流入口が形成される。エア噴射口からエアが噴射されると、エゼクタ効果により、筒部材の周囲のエアは、エア流入口を介して、筒部材の内側に流入し、筒部材のエア流出口から流出する。また、エア噴射口から噴射されたエアもエア流出口から流出する。エア流入口から流入したエア及びエア噴射口から噴射されたエアの両方が、エア流出口から第1面に供給される。そのため、第1面の切屑は、エア流出口からのエアで円滑に除去される。また、エゼクタ効果により、エア流出口から供給されるエアの流量が増大するので、エア噴射口から噴射されるエアの流量が低減されても、切屑を除去するのに十分な流量のエアがエア流出口から第1面に供給される。
【0021】
本発明の第1及び第2の態様において、前記エア噴射ノズルの外面と前記筒部材の内面との間のエア流路は、前記エア流入口から前記エア流出口に向かって断面積が小さくなる縮小部を含んでもよい。
【0022】
これにより、縮小部においてエアの圧力が低下し、エア流入口に異物が流入することが抑制された状態で、エゼクタ効果が効果的に得られる。
【0023】
本発明の第1及び第2の態様において、前記筒部材のエア流路は、前記エア流出口に向かって断面積が大きくなる拡大部を含んでもよい。
【0024】
これにより、エゼクタ効果が効果的に得られ、エア流出口から流出するエアの圧力及びエアの流量が増大する。
【0025】
本発明の第1及び第2の態様において、前記エア流出口に設けられ、前記エア流出口の中心に向かって突出する第1突起部材を有してもよい。
【0026】
これにより、エア流出口から供給されたエアに縦渦が生成される。縦渦は減衰し難いので、エア流出口から流出したエアは、切屑を除去するのに十分な運動エネルギーを維持したまま、遠くまで到達することができる。そのため、第1面の広範囲に亘って切屑が除去される。
【0027】
本発明の第1及び第2の態様において、前記エア噴射ノズルは、絞り部と、前記絞り部に向かって断面積が小さくなる縮径部と、前記絞り部から前記エア噴射口に向かって断面積が大きくなる拡径部と、を含む内部流路を有してもよい。
【0028】
これにより、エア噴射口から噴射されるエアの流速が高くなる。そのため、第1面の切屑は、エア噴射口から噴射されたエアで円滑に除去される。
【0029】
本発明の第3の態様に従えば、ワークを加工する工具と、前記工具の下方に配置され、前記加工により発生した切屑を受ける第1面と、エアを噴射するエア噴射口と、絞り部、前記絞り部に向かって断面積が小さくなる縮径部、及び前記絞り部から前記エア噴射口に向かって断面積が大きくなる拡径部を含む内部流路と、を有し、前記内部流路を流れ前記エア噴射口から噴射された前記エアの少なくとも一部を前記第1面に供給するエア噴射ノズルと、を備えるドライ加工装置が提供される。
【0030】
本発明の第3の態様によれば、加工により発生した切屑は、第1面に落下する。エア噴射ノズルは、エア噴射口に向かって断面積が大きくなる内部流路を有するラバルノズル(ディフューザノズル)である。これにより、エア噴射口から噴射されるエアの流速が高くなる。そのため、第1面の切屑は、エア噴射口から噴射されたエアで円滑に除去される。また、エア噴射口から噴射されるエアの流速が増大し、エアの運動エネルギーが増大するので、エア噴射口から噴射されるエアの流量が低減されても、切屑を除去するのに十分な運動エネルギーのエアがエア噴射口から第1面に供給される。
【0031】
本発明の第2及び第3の態様において、前記エア噴射ノズルよりも下方に配置され、前記エア噴射ノズルの前記エア噴射口から噴射されるエアの圧力よりも低圧のエアを噴射する第2エア噴射ノズルを備えてもよい。
【0032】
これにより、エア噴射ノズルから噴射されたエアと、第2エア噴射ノズルから噴射されたエアとの圧力差によって、エア噴射ノズルから噴射されたエアが第1面に引き寄せられる。
【0033】
本発明の第1、第2、及び第3の態様において、前記エア噴射口に設けられ、前記エア噴射口の中心に向かって突出する第2突起部材を有してもよい。
【0034】
これにより、エア噴射口から噴射されたエアに縦渦が生成される。縦渦は減衰し難いので、エア噴射口から噴射されたエアは、切屑を除去するのに十分な運動エネルギーを維持したまま、遠くまで到達することができる。そのため、第1面の広範囲に亘って切屑が除去される。
【発明の効果】
【0035】
本発明の態様によれば、受け面から切屑を円滑に除去することができるドライ加工装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、第1実施形態に係るドライ加工装置の一例を示す斜視図である。
図2図2は、第1実施形態に係るホブ及びワークの一例を模式的に示す図である。
図3図3は、第1実施形態に係る除去装置の一例を模式的に示す側面図である。
図4図4は、第1実施形態に係る除去装置の一例を模式的に示す平面図である。
図5図5は、第1実施形態に係る除去装置の一例を模式的に示す側面図である。
図6図6は、第1実施形態に係るエア噴射口の一例を模式的に示す図である。
図7図7は、第1実施形態に係るエア噴射口の一例を模式的に示す図である。
図8図8は、第1実施形態に係るエア噴射口の一例を模式的に示す図である。
図9図9は、第1実施形態に係る境界部の一例を示す図である。
図10図10は、第1実施形態に係る境界部の一例を示す図である。
図11図11は、第1実施形態に係る境界部の一例を示す図である。
図12図12は、第1実施形態に係る境界部の一例を示す図である。
図13図13は、第1実施形態に係る境界部の一例を示す図である。
図14図14は、第1実施形態に係る境界部の一例を示す図である。
図15図15は、第1実施形態に係る境界部の一例を示す図である。
図16図16は、第2実施形態に係るドライ加工装置の一例を模式的に示す図である。
図17図17は、第2実施形態に係る除去装置の一例を模式的に示す図である。
図18図18は、第2実施形態に係る筒部材の一例を模式的に示す図である。
図19図19は、第2実施形態に係る筒部材を示す正面図である。
図20図20は、第3実施形態に係るドライ加工装置の一例を模式的に示す図である。
図21図21は、第3実施形態に係る除去装置の一例を模式的に示す図である。
図22図22は、第4実施形態に係るエア噴射ノズルの一例を模式的に示す図である。
図23図23は、第4実施形態に係るエア噴射ノズルを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する各実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0038】
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るドライ加工装置1の一例を示す斜視図である。ドライ加工装置1は、切削油を使用せずに、工具でワークを加工する。切削油を使用せずに加工が行われることにより、作業環境の悪化が抑制される。ドライ加工装置1は、切削用工具でワークを切削するドライ切削装置でもよいし、研磨用工具でワークを研磨するドライ研磨装置でもよい。
【0039】
本実施形態において、ドライ加工装置1は、歯車を製造するホブ盤を含む。ドライ加工装置1は、工具であるホブ5を使ってワークWを加工する。ドライ加工装置1は、ワークWを加工するホブ5と、ホブ5を回転可能に支持するホブヘッド4と、ワークWを回転可能に支持する支持装置2と、チャンバ装置3とを備えている。ホブ5、ホブヘッド4、及び支持装置2は、チャンバ装置3の内部空間に配置される。チャンバ装置3の内部空間において、ホブ5はワークWを加工する。
【0040】
図2は、本実施形態に係るチャンバ装置3の内部空間においてワークWがホブ5に加工されている状態の一例を模式的に示す図である。ホブ5は、ホブ5の中心軸AX1を中心に回転する。ホブ5は、ホブヘッド4が有するアクチュエータの作動により、中心軸AX1を中心に回転する。ワークWは、ワークWの中心軸AX2を中心に回転する。ワークWは、支持装置2が有するアクチュエータの作動により、中心軸AX2を中心に回転する。ホブ5の刃とワークWとが接触した状態で、ワークWが中心軸AX2を中心に低速度で回転しながら、ホブ5が中心軸AX1を中心に高速度で回転することにより、ホブ5でワークWが加工される。
【0041】
ホブ5でワークWを加工すると切屑Cが発生する。加工により発生した切屑Cは、受け面10に落下する。受け面10は、加工により発生した切屑Cを受ける。受け面10は、チャンバ装置3の内部空間に配置される。受け面10は、ホブ5の下方に配置される。受け面10は、例えば、チャンバ装置3の内部空間に配置されている床面を含む。
【0042】
受け面10に落下した切屑Cを放置しておくと、切屑Cが堆積し、ドライ加工装置1の作動に影響を及ぼす可能性がある。例えば、受け面10がホブヘッド4を移動可能に支持するガイド面である特定領域11を含む場合、その特定領域11に切屑Cが堆積している状態を放置しておくと、ホブヘッド4が円滑に移動することが困難となる可能性がある。また、受け面10の一部の領域である特定領域11に電気ケーブルが配置されている場合、その特定領域11に切屑Cが堆積している状態を放置しておくと、電気ケーブルの表面が損傷する可能性がある。
【0043】
そのため、受け面10のうち、少なくとも、ドライ加工装置1の作動に影響を及ぼす受け面10の特定領域11に切屑Cが堆積することを抑制するために、その特定領域11から切屑Cを除去する処理が行われる。特定領域11の切屑Cは、受け面10のうち、特定領域11の外側の領域に退かされてもよい。特定領域11の外側に退かされた切屑Cが切屑回収装置によって回収されてもよい。
【0044】
本実施形態においては、エアの力を使って、特定領域11の切屑Cが特定領域11から除去される。ドライ加工装置1は、特定領域11の切屑Cを除去する除去装置20を備えている。除去装置20は、エアの力を使って、特定領域11の切屑Cを除去する。以下の説明においては、切屑Cの除去対象である受け面10の特定領域11を適宜、第1面11、と称する。
【0045】
図3は、本実施形態に係る除去装置20の一例を模式的に示す側面図である。図4は、本実施形態に係る除去装置20の一例を模式的に示す平面図である。除去装置20は、エアを噴射するエア噴射口21を有するエア噴射ノズル22を有する。
【0046】
本実施形態において、ドライ加工装置1は、ホブ5の下方に配置され、加工により発生した切屑Cを受ける第1面11と、第1面11よりも上方に配置される第2面12と、第1面11と第2面12とを接続する第3面13とを有する。第1面11と第2面12との間に段差が設けられる。第1面11は平面である。第2面12は平面である。第1面11と第3面13とがなす角度θ1は、90[°]である。第2面12と第3面13とがなす角度θ2は、270[°]である。第1面11と第3面13との間に、角部を含む境界部14が設けられる。第2面12と第3面13との間に、角部を含む境界部15が設けられる。図4に示すように、水平面と平行な面内において、境界部14及び境界部15は、直線状である。
【0047】
エア噴射ノズル22は、エア噴射口21と接続される内部流路23を有する。内部流路23は、エア噴出口21に向かって断面積が小さくなる。内部流路23を流れたエアは、ノズル効果により、エア噴射口21から高い流速で噴射される。
【0048】
エア噴射ノズル22は、第2面12の上方に配置される。エア噴射口21は、第2面12から、第2面12と第3面13との境界部15に向けて、エアを噴射する。エア噴射口21から噴射されたエアの少なくとも一部は、第1面11に供給される。エア噴射口21から噴射されたエアの少なくとも一部が第1面11に供給されることによって、第1面11の切屑Cが第1面11から除去される。エアの力により、第1面11の切屑Cは、第1面11から吹き飛ばされる。
【0049】
第1面11は、ホブ5の下方に配置されている。加工により発生した切屑Cは、第1面11に落下する。第1面11は、加工により発生した切屑Cを受ける。エア噴射口21から噴射されたエアの少なくとも一部は、第2面12に供給される。エア噴射口21から第2面12の少なくとも一部にエアが噴射されると、そのエアは第2面12から第1面11に向かって流れる。
【0050】
エアは、第2面12又は第2面12と第3面13との境界部15で剥離する。第2面12及び境界部15の少なくとも一方で剥離したエアは、コアンダ効果により、第1面11に引き寄せられるように流れる。
【0051】
コアンダ効果により第1面11に引き寄せられたエアは、第1面11から剥離し難くなる。そのため、第1面11においてエアの拡散又は減衰が抑制される。拡散又は減衰が抑制された状態で、エアが第1面11を流れることにより、第1面11の切屑Cは、そのエアで円滑に除去される。
【0052】
ドライ加工装置1においては、切削油は使用されないものの、ホブヘッド4及び支持装置2の駆動部の潤滑のための潤滑油が使用される。そのため、チャンバ装置3の内部空間は、潤滑油が噴霧された状態となる。チャンバ装置3の内部空間の部材の表面には、潤滑油に起因する油滴又は油膜が存在する可能性がある。
【0053】
潤滑油に起因する油滴又は油膜が第1面11に存在する場合、切屑Cと第1面11との付着力が増大し、第1面11から切屑を円滑に除去することが困難となる可能性がある。
【0054】
本実施形態においては、第1面11と第2面12との間に段差が設けられ、エア噴射口21から噴射されたエアは、第2面12から第1面11に向かって流れる。段差の効果により、コアンダ効果が得られ、エアは、第1面11に引き寄せられた状態で、第1面11を流れる。そのため、潤滑油に起因する油滴又は油膜が第1面11に存在しても、切屑Cと第1面11との付着力よりも強い力(運動エネルギー)を有するエアが切屑Cと第1面11との間に供給される。したがって、第1面11に存在する切屑Cは、エアの力によって第1面11から円滑に除去される。
【0055】
以上説明したように、本実施形態によれば、切屑Cが存在する第1面11よりも高い位置に第2面12が設けられ、第2面12から第1面11に向かってエアが供給されるので、コアンダ効果が得られる。第1面11に存在する切屑Cは、コアンダ効果によって得られた第1面11を流れるエアによって、第1面11から円滑に除去される。
【0056】
また、コアンダ効果により切屑Cが効率良く除去されるので、エア噴射口21から噴射されるエアの流量が低減されても、切屑Cは円滑に除去される。
【0057】
図5は、本実施形態に係る除去装置20の一例を模式的に示す側面図である。図5において、ドライ加工装置1は、第1面11に設けられた突出部材16を有する。突出部材16は、第1面11よりも上方に配置される第2面12と、第1面11と第2面12の一方の端部とを接続する第3面13と、第1面11と第2面12の他方の端部とを接続する第4面17とを有する。
【0058】
除去装置20のエア噴射ノズル22は、第4面17が面する空間に配置される。エア噴射ノズル22のエア噴射口21は、第2面12から第2面12と第3面13との境界部15に向けてエアを噴射する。エア噴射口21から噴射されたエアの少なくとも一部は、第1面11に供給される。第1面11に供給されたエアによって、第1面11の切屑Cが第1面11から除去される。
【0059】
図5に示す例においても、コアンダ効果により、エア噴射口21から噴射されたエアは、第1面11に引き寄せられる。第1面11の切屑Cは、第1面11を流れるエアで円滑に除去される。
【0060】
図6図7、及び図8は、本実施形態に係るエア噴射口21の一例を模式的に示す正面図である。図6に示すように、エア噴射口21は、円形でもよい。
【0061】
図7に示すように、エア噴射ノズル22は、境界部15に沿って、複数配置されてもよい。エア噴射口21が複数配置されることにより、第1面11の広範囲に亘ってコアンダ効果が得られ、第1面11の広範囲に亘って切屑Cが除去される。
【0062】
図8に示すように、第1面11及び第2面12と平行な横方向に関するエア噴射口21の寸法は、縦方向に関するエア噴射口21の寸法よりも大きくてもよい。エア噴射口21が境界部15に沿って長いので、第1面11の広範囲に亘ってコアンダ効果が得られ、第1面11の広範囲に亘って切屑Cが除去される。
【0063】
図9図10、及び図11は、本実施形態に係る境界部15の一例を示す図である。図9に示すように、境界部15に、第2面12から突出する凸部18が設けられてもよい。図10に示すように、境界部15に、第2面12から凹む凹部19が設けられてもよい。図11に示すように、境界部15に、凸部18及び凹部19の両方が設けられてもよい。
【0064】
エア噴出口21から噴射されたエアが、凸部18及び凹部19の一方又は両方に供給されることにより、境界部15を通過したエアに縦渦が生成される。縦渦は減衰し難いので、エア噴射口21から噴射され、境界部15を通過したエアは、切屑Cを除去するのに十分な運動エネルギーを維持したまま、遠くまで到達することができる。そのため、第1面11の広範囲に亘って切屑が除去される。
【0065】
図12図13図14、及び図15は、本実施形態に係る境界部15の一例を示す図である。図12に示すように、境界部15は、第1線部15Aと、第1線部15Aに対して180[°]よりも小さい所定角度θaで配置される第2線部15Bとを含んでもよい。図13に示すように、境界部15は、第1線部15Aと、第1線部15Aに対して180[°]よりも大きい所定角度θbで配置される第2線部15Bとを含んでもよい。図12及び図13に示す例では、第1線部15A及び第2線部15Bは、直線状である。
【0066】
図14及び図15に示すように、境界部15が曲線状でもよい。図14に示すように、境界部15が、第2面12側に凹む曲線状でもよい。図15に示すように、境界部15が、第1面11側に突出する曲線状でもよい。
【0067】
図12に示す例においては、第1線部15Aを通過したエアと、第2線部15Bを通過したエアとが、第1面11において集合する。これにより、強い力のエアで、第1面11の切屑Cが円滑に除去される。
【0068】
図13に示す例においては、第1線部15Aを通過したエアと、第2線部15Bを通過したエアとが、第1面11において拡散する。これにより、第1面11の広範囲に亘って、エアの力で切屑Cが円滑に除去される。
【0069】
図14に示すように、境界部15が、第2面12側に凹む曲線状であることにより、境界部15を通過したエアは、第1面11において集合する。これにより、強い力のエアで、第1面11の切屑Cが円滑に除去される。
【0070】
図15に示すように、境界部15が、第1面11側に突出する曲線状であることにより、境界部15を通過したエアは、第1面11において拡散する。これにより、第1面11の広範囲に亘って、エアの力で切屑Cが円滑に除去される。
【0071】
このように、境界部15の形状が調整されることによって、エア噴射口21から噴射され、境界部15を通過したエアが、第1面11において供給される方向が調整される。
【0072】
本実施形態において、エア噴射ノズル22は、エア噴射口21からエアを連続的に噴射してもよい。エア噴射ノズル22は、エア噴射口21からエアを第1期間だけ噴射する動作と、第1期間の経過後第2期間だけ噴射停止する動作とを繰り返してもよい。すなわち、エア噴射ノズル22は、エア噴射口21からエアを間欠的(断続的)に噴射してもよい。エアが間欠的に噴射される場合、間欠的に噴射されるエアに基づいて、間欠的にコアンダ効果が得られるので、第1面11の切屑Cは円滑に除去される。以下の実施形態においても同様である。
【0073】
<第2実施形態>
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0074】
図16は、本実施形態に係るドライ加工装置1の一例を模式的に示す図である。上述の実施形態と同様、ホブ5の下方に第1面11が配置される。第1面11は、加工により発生した切屑Cを受ける。
【0075】
図16に示すように、除去装置20は、エアを噴射するエア噴射口21を有するエア噴射ノズル22と、少なくとも一部がエア噴射ノズル22の周囲に配置され、エア噴射ノズル22の外面との間に形成されたエア流入口31から流入したエア及びエア噴射口21から噴射されたエアを第1面11に供給するエア流出口32を有する筒部材30とを備えている。
【0076】
エア噴射ノズル22は、上述の実施形態で説明したエア噴射ノズル22と同等の構造である。エア噴射ノズル22についての説明は省略する。
【0077】
筒部材30は、エア噴射ノズル22の外面と間隙を介して対向する内面を有する。筒部材30の内面によって、エアが流れるエア流路33が規定される。エア流出口32は、エア噴射口21よりも、第1面11側に配置される。
【0078】
図17は、本実施形態に係る除去装置20を拡大した図である。エア流路33は、エア噴射ノズル22の外面と筒部材30の内面との間の第1エア流路33Aと、エア噴射ノズル22の外面と対向しない第2エア流路33Bとを含む。第1エア流路33Aは、エア流入口31と接続される。第2エア流路33Bは、エア流出口32と接続される。
【0079】
第1エア流路33Aは、エア流入口31からエア流出口32に向かって断面積が小さくなる縮小部を含む。第2エア流路33Bは、エア流出口32に向かって断面積が大きくなる拡大部を含む。
【0080】
本実施形態によれば、エア噴射口21からエアが噴射されると、エゼクタ効果により、筒部材30の周囲のエアは、エア流入口31を介して、筒部材30の内側のエア流路33に流入する。すなわち、エア噴射口21から高い流速のエアが噴射されると、周囲のエアがエア流入口31からエア流路33に流入するエゼクタ効果が発生する。エゼクタ効果によりエア流入口31からエア流路33に流入したエアは、筒部材30のエア流出口32から流出する。
【0081】
また、エア噴射口21から噴射されたエアも、エア流出口32から流出する。エア流入口31からエア流路33に流入したエア及びエア噴射口21から噴射されたエアの両方が、エア流出口32から第1面11に供給される。エア流出口32から第1面11に供給されるエアの流量は、エア流入口31からエア流路33に流入したエアとエア噴射口21から噴射されたエアとの和である。そのため、大流量のエアがエア流出口32から第1面11に供給される。そのため、第1面11の切屑Cは、エア流出口32からのエアで円滑に除去される。
【0082】
また、エア流出口32から供給されるエアの流量が増大するので、エア噴射口21から噴射されるエアの流量が低減されても、切屑Cを除去するのに十分な流量のエアがエア流出口32から第1面11に供給される。
【0083】
また、本実施形態においては、エア噴射ノズル22の外面と筒部材30の内面との間の第1エア流路33Aは、エア流入口31からエア流出口32に向かって断面積が小さくなる縮小部を含む。これにより、縮小部においてエアの圧力が低下し、エア流入口31に異物が流入することが抑制された状態で、エゼクタ効果が効果的に得られる。
【0084】
また、本実施形態においては、筒部材30の第2エア流路33Bは、エア流出口32に向かって断面積が大きくなる拡大部を含む。これにより、エゼクタ効果が効果的に得られ、エア流出口32から流出するエアの圧力及びエアの流量が増大する。
【0085】
図18は、本実施形態に係る筒部材30の一例を模式的に示す図である。図19は、本実施形態に係る筒部材30の一部を示す正面図である。図18及び図19に示すように、筒部材30は、第1突起部材34を有してもよい。第1突起部材34は、エア流出口32に設けられる。第1突起部材34は、筒部材30の内面のうち、エア流出口32近傍の所定領域に設けられる。第1突起部材34は、エア流出口32の中心に向かって、筒部材30の内面から突出するように設けられる。第1突起部材34は、エア流出口32の中心を囲むように複数設けられる。
【0086】
第1突起部材34が設けられることにより、エア流出口32から供給されたエアに縦渦が生成される。縦渦は減衰し難いので、エア流出口32から流出したエアは、切屑Cを除去するのに十分な運動エネルギーを維持したまま、遠くまで到達することができる。そのため、第1面11の広範囲に亘って切屑Cが除去される。
【0087】
<第3実施形態>
第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0088】
図20は、本実施形態に係るドライ加工装置1の一例を模式的に示す図である。上述の実施形態と同様、ホブ5の下方に第1面11が配置される。第1面11は、加工により発生した切屑Cを受ける。
【0089】
除去装置20は、エアの力を使って、第1面11に存在する切屑Cを第1面11から除去する。除去装置20は、エアを噴射するエア噴射口21と、エア噴射口21から噴射されるエアが流れる内部流路23と、内部流路23にエアを導入するためのエア導入口24とを有する。
【0090】
内部流路23は、絞り部23Cと、エア導入口24から絞り部23Cに向かって断面積が小さくなる縮径部23Aと、絞り部23Cからエア噴射口21に向かって断面積が大きくなる拡径部23Bとを含む。エア噴射ノズル22は、内部流路23を流れ、エア噴射口21から噴射されたエアの少なくとも一部を第1面11に供給する。
【0091】
本実施形態において、エア噴射ノズル22は、エア噴射口21に向かって断面積が大きくなる内部流路23を有するラバルノズル(ディフューザノズル)である。これにより、エア噴射口21から噴射されるエアの流速が高くなる。
【0092】
エア供給源(不図示)からエア導入口24にエアが供給される。エア供給源は、絞り部23Cにおいてチョーク(チョーク流れ)が発生するように、供給するエアの圧力を設定する。
【0093】
一般に、チョークが発生すると、エア供給源からのエアの圧力(背圧)が上昇しても、エアの流速は上昇しない。本実施形態においては、拡径部23Bが設けられているので、エア供給源からのエアの圧力がチョークが発生する圧力に設定されていても、縮径部23Aを介して絞り部23Cに供給されたエアの流速は、拡径部23Bにおいて高められる。本実施形態においては、エア噴射口21から噴射されるエアは、超音速に加速される。
【0094】
切屑Cを除去するためのエアの力は、「(エアの密度)×(エアの流速)×(エアの流速)×(定数)」と言われている。エア噴射口21から噴射されるエアの流速が増大することによって、切屑Cを除去するための強いエアの力が得られる。そのため、本実施形態においては、第1面11の切屑Cは、エア噴射口21から噴射されたエアで円滑に除去される。
【0095】
また、エア噴射口21から噴射されるエアの流速が増大し、エアの運動エネルギーが増大するので、エア噴射口21から噴射されるエアの流量が低減されても、切屑Cを除去するのに十分な運動エネルギーのエアがエア噴射口21から第1面11に供給される。
【0096】
図21は、本実施形態に係る除去装置20の一例を模式的に示す図である。図21に示すように、除去装置20は、図20を参照して説明したエア噴射ノズル(ラバルノズル)22と、エア噴射ノズル22よりも下方に配置され、エア噴射ノズル22のエア噴射口21から噴射されるエアの圧力よりも低圧のエアを噴射する第2エア噴射ノズル25とを備えている。第2エア噴射ノズル25は、エア噴射ノズル22と第1面11との間に配置される。
【0097】
エア噴射ノズル22から噴射されたエアの圧力と、第2エア噴射ノズル25から噴射されたエアの圧力とは異なる。エア噴射ノズル22から噴射されたエアと、第2エア噴射ノズル25から噴射されたエアとの圧力差によって、エア噴射ノズル22から噴射されたエアが第1面11に引き寄せられる。これにより、エア噴射ノズル22から噴射された高い流速のエアを使って、第1面11の切屑Cが除去される。また、本実施形態においては、エア噴射ノズル22からのエア及び第2エア噴射ノズル25からのエアの両方が、第1面11に供給される。すなわち、大流量のエアが第1面11に供給されることとなるので、第1面11の切屑Cは、円滑に除去される。
【0098】
<第4実施形態>
第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0099】
図22は、本実施形態に係るエア噴射ノズル22の一部を拡大した断面図である。図23は、本実施形態に係るエア噴射ノズル22の一部を示す正面図である。図22及び図23に示すように、エア噴射ノズル22は、第2突起部材26を有してもよい。なお、図22に示す例では、図21を参照して説明した第2エア噴射ノズル25が設けられているが、第2エア噴射ノズル25は無くてもよい。
【0100】
第2突起部材26は、エア噴射口21に設けられる。第2突起部材26は、エア噴射ノズル22の内面のうち、エア噴射口21近傍の所定領域に設けられる。第2突起部材26は、エア噴射口21の中心に向かって、エア噴射ノズル22の内面から突出するように設けられる。第2突起部材26は、エア噴射口21の中心を囲むように複数設けられる。
【0101】
第2突起部材26が設けられることにより、エア噴射口21から供給されたエアに縦渦が生成される。縦渦は減衰し難いので、エア噴射口21から流出したエアは、切屑Cを除去するのに十分な運動エネルギーを維持したまま、遠くまで到達することができる。そのため、第1面11の広範囲に亘って切屑Cが除去される。
【0102】
なお、図22及び図23を参照して説明した第2突起部材26は、第1実施形態で説明したエア噴射ノズル22のエア噴射口21に配置されてもよいし、第2実施形態で説明したエア噴射ノズル22のエア噴射口21に配置されてもよいし、第3実施形態で説明したエア噴射ノズル(ラバルノズル)22のエア噴射口21に配置されてもよい。
【0103】
なお、上述の第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態、及び第4実施形態は、適宜組み合わせることができる。
【0104】
例えば、第1実施形態で説明した、第2面12の上方に、第2実施形態、第3実施形態、及び第4実施形態の少なくとも一つで説明したエア噴射ノズル22が配置されてもよい。例えば、第1実施形態で説明した、第2面12の上方に配置されるエア噴射ノズル22の周囲に、筒部材30の少なくとも一部が配置されてもよい。これにより、第1実施形態で説明したドライ加工装置1において、エア噴射ノズル22の外面と筒部材30の内面との間に形成されたエア流入口31から、エゼクタ効果により、エア流路33にエアが流入し、エア流入口31から流入したエア及びエア噴射口21から噴射されたエアがエア流出口32から供給される。エア流出口32からのエアは、コアンダ効果により、第2面12及び境界部15を介して、第1面11に引き寄せられるように供給される。
【0105】
また、第1実施形態と第3実施形態とが組み合わせられてもよい。例えば、絞り部23Cと、絞り部23Cに向かって断面積が小さくなる縮径部23Aと、絞り部23Cからエア噴射口21に向かって断面積が大きくなる拡径部23Bとを含む内部流路23を有し、エア噴射口21から超音速のエアを噴出可能なエア噴射ノズル(ラバルノズル)22が、第2面12の上方に配置されてもよい。エア噴射ノズル22から噴射された超音速のエアは、コアンダ効果により、第2面12及び境界部15を介して、第1面11に引き寄せられるように供給される。
【0106】
また、第2実施形態と第3実施形態とが組み合わせられてもよい。例えば、絞り部23Cと、絞り部23Cに向かって断面積が小さくなる縮径部23Aと、絞り部23Cからエア噴射口21に向かって断面積が大きくなる拡径部23Bとを含む内部流路23を有し、エア噴射口21から超音速のエアを噴射可能なエア噴射ノズル(ラバルノズル)22の周囲に、筒部材30が配置されてもよい。エア噴射ノズル22のエア噴射口21から超音速のエアが噴射されることにより、エゼクタ効果によって、筒部材30の周囲のエアが、エア流入口31を介してエア流路33に流入する。筒部材30のエア流出口32から、エア流入口31からのエアと、エア噴射口21から噴射されたエアとの両方が流出される。また、第1実施形態と第2実施形態と第3実施形態とが組み合わせられることによって、エア流出口32から流出したエアは、コアンダ効果により、第2面12及び境界部15を介して、第1面11に引き寄せられるように供給される。
【符号の説明】
【0107】
1 ドライ加工装置
2 支持装置
3 チャンバ装置
4 ホブヘッド
5 ホブ
10 受け面
11 第1面
12 第2面
13 第3面
14 境界部
15 境界部
15A 第1線部
15B 第2線部
16 突出部材
17 第4面
18 凸部
19 凹部
20 除去装置
21 エア噴射口
22 エア噴射ノズル
23 内部流路
23A 縮径部
23B 拡径部
23C 絞り部
24 エア導入口
25 第2エア噴射ノズル
26 第2突起部材
30 筒部材
31 エア流入口
32 エア流出口
33 エア流路
34 第1突起部材
AX1 中心軸
AX2 中心軸
C 切屑
W ワーク
θ1 角度
θ2 角度
θa 所定角度
θb 所定角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23