(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1鉛直部の下壁面部は、排ガスの流れ方向に並んだ傾斜面と水平面とを有し、前記低反発部は、前記傾斜面から前記水平面にかけて設けられることを特徴とする請求項2に記載の排気ダクト。
前記固体粒子捕集部は、上部が排ガスの流れ方向における上流側に位置するように傾斜して設けられることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の排気ダクト。
前記固体粒子捕集部は、前記水平部における下壁面部から前記排ガス通路の全高の30%から50%の領域に設けられることを特徴とする請求項2から請求項7のいずれか一項に記載の排気ダクト。
排ガス通路は、排ガスが水平方向に流れる水平部と、前記水平部に連結されて排ガスが鉛直方向の上方に流れる第2鉛直部とを有し、前記ホッパは、前記水平部と前記第2鉛直部との連結部の下部に設けられ、
前記低反発部は、前記ホッパに対して排ガスの流れ方向における下流側であって、前記水平部が対向する前記第2鉛直部における立壁面部に設けられることを特徴とする請求項1に記載の排気ダクト。
前記固体粒子捕集部は、前記水平部が対向する前記第2鉛直部における立壁面部から前記第2鉛直部の水平長さの30%から50%の領域に設けられることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の排気ダクト。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した微粉炭焚きボイラでは、火炉で燃料としての微粉炭を燃焼することから、排ガスに固体粒子としてのポップコーンアッシュ(塊状灰)が混入することがある。このポップコーンアッシュは、灰の塊であることから、特に、排ガス通路に設けられるスクリーンや脱硝装置などを閉塞する。すると、スクリーンが摩耗して交換が必要となり、メンテナンスコストが上昇してしまう。また、スクリーンや脱硝装置に堆積すると、圧力損失が上昇して性能低下を招いてしまう。また、特許文献2の排ガス処理装置のように、ホッパより下流側にポップコーンアッシュ捕集部を設けるものがあるが、長期の使用によりポップコーンアッシュの衝突によりポップコーンアッシュ捕集部が破損してしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、排ガス中の固体粒子を適正に捕集可能とする排気ダクト及びボイラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明の排気ダクトは、排ガスが流動する排ガス通路と、前記排ガス通路に設けられて排ガス中の固体粒子を回収するホッパと、前記ホッパに対して排ガスの流れ方向における上流側または下流側に設けられて前記排ガス通路の内壁面より反発係数の小さい低反発部と、前記ホッパ及び前記低反発部に対して排ガスの流れ方向における下流側に設けられて排ガス中の固体粒子を捕集する固体粒子捕集部と、を有することを特徴とするものである。
【0008】
従って、排ガスが排ガス通路を流れるとき、この排ガスから固体粒子が分離されてホッパに回収される。このとき、固体粒子は、慣性力を有することから、排ガス通路の内壁面に衝突してホッパに回収されずに下流側に流出しやすいが、この固体粒子が低反発部に衝突することから、ここで反発量が低下して適正にホッパに回収される。また、ホッパに回収されずに下流側に流出した固体粒子は、固体粒子捕集部により捕集される。その結果、排ガス中の固体粒子をホッパに適正に捕集することができ、捕集効率を向上することができる。
【0009】
本発明の排気ダクトでは、排ガス通路は、排ガスが鉛直方向の下方に流れる第1鉛直部と、前記第1鉛直部に連結される水平部とを有し、前記ホッパは、前記第1鉛直部と前記水平部との連結部の下部に設けられ、前記低反発部は、前記ホッパに対して排ガスの流れ方向における上流側であって、前記第1鉛直部における下壁面部に設けられることを特徴としている。
【0010】
従って、低反発部がホッパより上流側に設けられると、排ガスに含まれる固体粒子は、ホッパの手前で低反発部に衝突することで慣性力が低下してホッパに入りやすくなるため、ホッパを飛び越えて下流側へ飛散して流出する固体粒子量を減少させることができる。
【0011】
本発明の排気ダクトでは、前記低反発部は、前記ホッパの傾斜面と同方向に傾斜する傾斜面を有することを特徴としている。
【0012】
従って、低反発部の傾斜面がホッパの傾斜面と同方向に傾斜することで、排ガスに含まれる固体粒子が低反発部に衝突すると、この固体粒子が低反発部の傾斜面からホッパの傾斜面に沿って落下してホッパに回収されることとなり、固体粒子をホッパに適正に導くことができる。
【0013】
本発明の排気ダクトでは、前記低反発部の傾斜面は、前記ホッパの傾斜面まで延出されることを特徴としている。
【0014】
従って、低反発部がホッパまで延出されることで、低反発部により固体粒子の慣性力を適正に低下させてホッパに入りやすくし、また、ホッパからの固体粒子の再飛散を抑制することができる。
【0015】
本発明の排気ダクトでは、前記第1鉛直部の下壁面部は、排ガスの流れ方向に並んだ傾斜面と水平面とを有し、前記低反発部は、前記傾斜面から前記水平面にかけて設けられることを特徴としている。
【0016】
従って、低反発部が傾斜面から水平面にかけて設けられることで、低反発部が排ガスの流れ方向に長く形成されると共に固体粒子の慣性力を抑制可能な水平面が形成されることとなり、固体粒子をホッパに入りやすくし、また、ホッパからの固体粒子の再飛散を抑制することができる。
【0017】
本発明の排気ダクトでは、前記固体粒子捕集部は、鉛直方向に沿って設けられることを特徴としている。
【0018】
従って、ホッパに回収されずに下流側に流出した固体粒子が固体粒子捕集部に衝突することで、この固体粒子を適正に捕集することができる。
【0019】
本発明の排気ダクトでは、前記固体粒子捕集部は、上部が排ガスの流れ方向における上流側に位置するように傾斜して設けられることを特徴としている。
【0020】
従って、固体粒子捕集部が上流側に傾斜して設けられることで、固体粒子捕集部は、ホッパに回収されずに下流側に流出した固体粒子を効率良くホッパに落とし込んで捕集することができる。
【0021】
本発明の排気ダクトでは、前記固体粒子捕集部は、前記水平部における下壁面部から前記排ガス通路の全高の30%から50%の領域に設けられることを特徴としている。
【0022】
従って、ホッパに回収されなかった固体粒子が流出しやすい領域だけに固体粒子捕集部を設けることで、固体粒子捕集部の小型化及び低コスト化を可能とすることができる。
【0023】
本発明の排気ダクトでは、前記固体粒子捕集部は、前記排ガス通路の全高における100%の領域に設けられることを特徴としている。
【0024】
従って、固体粒子捕集部を排気ダクトの全領域に設けることで、ホッパに回収されずに下流側に流出した固体粒子をこの固体粒子捕集部により確実に捕集することができる。
【0025】
本発明の排気ダクトでは、排ガス通路は、排ガスが水平方向に流れる水平部と、前記水平部に連結されて排ガスが鉛直方向の上方に流れる第2鉛直部とを有し、前記ホッパは、前記水平部と前記第2鉛直部との連結部の下部に設けられ、前記低反発部は、前記ホッパに対して排ガスの流れ方向における下流側であって、前記水平部が対向する前記第2鉛直部における立壁面部に設けられることを特徴としている。
【0026】
従って、低反発部がホッパより下流側に設けられると、排ガスに含まれる固体粒子は、ホッパの上方を通過した後に低反発部に衝突することで慣性力が低下してホッパに入りやすくなるため、ホッパを飛び越えて下流側へ飛散して流出する固体粒子量を減少させることができる。
【0027】
本発明の排気ダクトでは、前記固体粒子捕集部は、水平方向に沿って設けられることを特徴としている。
【0028】
従って、ホッパに回収されずに下流側に流出した固体粒子が固体粒子捕集部に衝突することで、この固体粒子を適正に捕集することができる。
【0029】
本発明の排気ダクトでは、前記固体粒子捕集部は、前記水平部が対向する前記第2鉛直部における立壁面部から前記第2鉛直部の水平長さの30%から50%の領域に設けられることを特徴としている。
【0030】
従って、ホッパに回収されなかった固体粒子が流出しやすい領域だけに固体粒子捕集部を設けることで、固体粒子捕集部の小型化及び低コスト化を可能とすることができる。
【0031】
また、本発明のボイラは、中空形状をなして鉛直方向に沿って設置される火炉と、燃料を前記火炉内に向けて吹き込んで燃焼させる燃焼装置と、前記火炉における排ガスの流れ方向の下流側に連結される前記排気ダクトと、前記排気ダクトに設けられて排ガス中の熱を回収可能な熱回収部と、を有することを特徴とするものである。
【0032】
従って、燃焼装置により火炉内に燃料を吹き込むことで火炎が形成され、発生した燃焼ガスが排気ダクトに流れ込み、熱回収部が排ガス中の熱を回収する一方、排ガスから固体粒子が分離されてホッパに回収される。このとき、排ガス通路を流れる排ガスは、固体粒子が分離されて低反発部に衝突することから、ここで反発量が低下して適正にホッパに回収され、ホッパに回収されずに下流側に流出した固体粒子は、固体粒子捕集部により捕集される。その結果、排ガス中の固体粒子をホッパに適正に捕集することができ、捕集効率を向上することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の排気ダクト及びボイラによれば、ホッパの上流側または下流側に排ガス通路の内壁面より反発係数の小さい低反発部を設けると共に、ホッパ及び低反発部の下流側に固体粒子捕集部を設けるので、排ガス中の固体粒子をホッパに適正に捕集することができ、捕集効率を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に添付図面を参照して、本発明の排気ダクト及びボイラの好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0036】
[第1実施形態]
図6は、第1実施形態の排気ダクトが適用された微粉炭焚きボイラを表す概略構成図である。
【0037】
第1実施形態の排気ダクトが適用された微粉炭焚きボイラは、石炭を粉砕した微粉炭を固体燃料として用い、この微粉炭を燃焼バーナにより燃焼させ、この燃焼により発生した熱を回収することが可能なボイラである。なお、ここで、微粉炭焚きボイラを適用して説明したが、本発明は、この形式のボイラに限定されるものではなく、燃料も石炭に限るものではない。
【0038】
第1実施形態において、
図6に示すように、微粉炭焚きボイラ10は、コンベンショナルボイラであって、火炉11と燃焼装置12とを有している。火炉11は、四角筒の中空形状をなして鉛直方向に沿って設置され、この火炉11を構成する火炉壁の下部に燃焼装置12が設けられている。
【0039】
燃焼装置12は、火炉壁に装着された複数の燃焼バーナ21,22,23,24,25を有している。本実施形態にて、この燃焼バーナ21,22,23,24,25は、周方向に沿って4個均等間隔で配設されたものが1セットとして、鉛直方向に沿って5セット、つまり、5段配置されている。
【0040】
そして、各燃焼バーナ21,22,23,24,25は、微粉炭供給管26,27,28,29,30を介して微粉炭機(ミル)31,32,33,34,35に連結されている。この微粉炭機31,32,33,34,35は、図示しないが、ハウジング内に鉛直方向に沿った回転軸心をもって粉砕テーブルが駆動回転可能に支持され、この粉砕テーブルの上方に対向して複数の粉砕ローラが粉砕テーブルの回転に連動して回転可能に支持されて構成されている。従って、石炭が複数の粉砕ローラと粉砕テーブルとの間に投入されると、ここで所定の大きさまで粉砕され、搬送空気(1次空気)により分級された微粉炭を微粉炭供給管26,27,28,29,30から燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給することができる。
【0041】
また、火炉11は、各燃焼バーナ21,22,23,24,25の装着位置に風箱36が設けられており、この風箱36に空気ダクト37の一端部が連結されており、この空気ダクト37は、他端部に送風機38が装着されている。従って、送風機38により送られた燃焼用空気(2次空気、3次空気)を、空気ダクト37から風箱36に供給し、この風箱36から各燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給することができる。
【0042】
そのため、燃焼装置12にて、各燃焼バーナ21,22,23,24,25は、微粉炭と1次空気とを混合した微粉燃料混合気(燃料ガス)を火炉11内に吹き込み可能であると共に、2次空気を火炉11内に吹き込み可能となっており、図示しない点火トーチにより微粉燃料混合気に点火することで、火炎を形成することができる。
【0043】
なお、一般的に、ボイラの起動時には、各燃焼バーナ21,22,23,24,25は、油燃料を火炉11内に噴射して火炎を形成している。
【0044】
火炉11は、上部に煙道40が連結されており、この煙道40に、対流伝熱部(熱回収部)として排ガスの熱を回収するための過熱器(スーパーヒータ)41,42、再熱器(リヒータ)43,44、節炭器(エコノマイザ)45,46,47が設けられており、火炉11での燃焼で発生した排ガスと水との間で熱交換が行われる。
【0045】
煙道40は、その下流側に熱交換を行った排ガスが排出される排ガス管(排ガス通路)48が連結されている。この排ガス管48は、空気ダクト37との間にエアヒータ49が設けられ、空気ダクト37を流れる空気と、排ガス管48を流れる排ガスとの間で熱交換を行い、燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給する燃焼用空気を昇温することができる。
【0046】
また、排ガス管48では、エアヒータ49より上流側の位置に選択還元型触媒50が設けられ、エアヒータ49より下流側の位置に煤塵処理装置(電気集塵機、脱硫装置)51、誘引送風機52が設けられ、下流端部に煙突53が設けられている。ここで、選択還元型触媒50及び電気煤塵処理装置51が有害物質除去部として機能する。
【0047】
従って、微粉炭機31,32,33,34,35が駆動すると、生成された微粉炭が搬送用空気と共に微粉炭供給管26,27,28,29,30を通して燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給される。また、加熱された燃焼用空気が空気ダクト37から風箱36を介して各燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給される。すると、燃焼バーナ21,22,23,24,25は、微粉炭と搬送用空気とが混合した微粉燃料混合気を火炉11に吹き込むと共に燃焼用空気を火炉11に吹き込み、このときに着火することで火炎を形成することができる。この火炉11では、微粉燃料混合気と燃焼用空気とが燃焼して火炎が生じ、この火炉11内の下部で火炎が生じると、燃焼ガス(排ガス)がこの火炉11内を上昇し、煙道40に排出される。
【0048】
なお、火炉11では、空気の供給量が微粉炭の供給量に対して理論空気量未満となるように設定されることで、内部が還元雰囲気に保持される。そして、微粉炭の燃焼により発生したNOxが火炉11で還元され、その後、アディショナルエアが追加供給されることで微粉炭の酸化燃焼が完結され、微粉炭の燃焼によるNOxの発生量が低減される。
【0049】
このとき、図示しない給水ポンプから供給された水は、節炭器45,46,47によって予熱された後、図示しない蒸気ドラムに供給され火炉壁の各水管(図示せず)に供給される間に加熱されて飽和蒸気となり、図示しない蒸気ドラムに送り込まれる。更に、図示しない蒸気ドラムの飽和蒸気は過熱器41,42に導入され、燃焼ガスによって過熱される。過熱器41,42で生成された過熱蒸気は、図示しない発電プラント(例えば、タービン等)に供給される。また、タービンでの膨張過程の中途で取り出した蒸気は、再熱器43,44に導入され、再度過熱されてタービンに戻される。なお、火炉11をドラム型(蒸気ドラム)として説明したが、この構造に限定されるものではない。
【0050】
その後、煙道40の節炭器45,46,47を通過した排ガスは、排ガス管48にて、選択還元型触媒50でNOxなどの有害物質が除去され、煤塵処理装置51で粒子状物質が除去されると共に硫黄分が除去された後、煙突53から大気中に排出される。
【0051】
このように構成された微粉炭焚きボイラ10にて、火炉11より下流側の煙道40が第1実施形態の排気ダクトとして機能する。そして、この煙道40は、第1水平煙道部(第1鉛直部)40a、第1鉛直煙道部40b、第2水平煙道部(水平部)40c、第2鉛直煙道部(第2鉛直部)40d、第3水平煙道部40e、第3鉛直煙道部40f、第4水平煙道部40gが連続して設けられて構成されている。なお、第1鉛直煙道部40bと第2水平煙道部40cの連結部の内側に水平方向に沿うキッカ54が設けられている。
【0052】
そして、煙道40は、第1水平煙道部40a及び第1鉛直煙道部40bに、過熱器41,42、再熱器43,44、節炭器45,46,47が配置されている。また、煙道40は、下向きの速度成分を有する排ガスが流れる第1鉛直煙道部40bの下端部に第1ホッパ61が設置され、上向きの速度成分を有する排ガスが流れる第2鉛直煙道部40dの下端部に第2ホッパ65が設置されている。更に、煙道40は、排ガスが下向きに流れる第3鉛直煙道部40fに選択還元型触媒50が設置されている。
【0053】
以下、第1実施形態の排気ダクトについて詳細に説明する。
図1は、第1実施形態の排気ダクトを表す側面図、
図2は、排気ダクトを表す
図1のII−II断面図である。
【0054】
第1実施形態の排気ダクトは、
図1及び
図2に示すように、排ガスを流動する排ガス通路60と、排ガス通路60に設けられて排ガス中の固体粒子を回収する第1ホッパ61と、第1ホッパに61に対して排ガスの流れ方向における上流側に設けられて排ガス通路60の内壁面より反発係数の小さい低反発部62と、第1ホッパ61及び低反発部62に対して排ガスの流れ方向における下流側に設けられて排ガス中のポップコーンアッシュ(固体粒子/以下、PAと称する。)を捕集するポップコーンアッシュ捕集部(固体粒子捕集部)63とを有している。
【0055】
排ガス通路60は、排ガスが鉛直方向の下方に流れる第1鉛直煙道部40bと、第1鉛直煙道部40bに連結されて排ガスが水平方向に流れる第2水平煙道部40cとを有し、第1ホッパ61は、第1鉛直煙道部40bと第2水平煙道部40cとの連結部の下部に設けられている。第1鉛直煙道部40bは、下部に下壁面部71が設けられ、この下壁面部71は、第2水平煙道部40c及び第1ホッパ61側に向けて所定角度で下方に傾斜する傾斜面となっている。第2水平煙道部40cは、下部に下壁面部72が設けられ、この下壁面部72は、水平方向に沿った水平面となっている。
【0056】
第1ホッパ61は、主として、排ガス中に含まれる固体粒子としての大径灰のPAを回収して貯留するものである。第1ホッパ61は、下方に向けて面積が狭くなるように排ガスの流動方向に対向する第1傾斜面73及び第2傾斜面74を有し、各傾斜面73,74の下端部が連結される底位置に貯留部75が設けられている。なお、第1ホッパ61は、貯留部75に図示しない開閉弁により開閉可能な開口部が設けられ、この開口部を開放することで、貯留したPAを下方に排出可能となっている。
【0057】
ここで、第1鉛直煙道部40bの下壁面部71と第1ホッパ61の第1傾斜面73は、ほぼ同じ傾斜角度で連続した面となるように連結されている。下壁面部71と第1傾斜面73は、PAが落下するような安息角以上となるように、その角度が設定されている。また、第1ホッパ61の第2傾斜面74と第2水平煙道部40cは、所定角で屈曲するように連結されている。
【0058】
低反発部62は、第1ホッパ61に対して排ガスの流れ方向における上流側であって、第1鉛直煙道部40bおける下壁面部71に設けられている。第1鉛直煙道部40bの下壁面部71は、傾斜面であることから、低反発部62は、表面が傾斜面62aとなっており、第1傾斜面73とほぼ同角度となっている。この低反発部62は、所定の面積を有するシート形状をなし、第1鉛直煙道部40bおける下壁面部(傾斜面)71に固定されており、第1ホッパ61でのPAの捕集率を効果的に向上させるために、下壁面部71(例えば、鉄板)より反発係数の小さい部材により構成されている。そのため、PAが低反発部62に沿って落下するとき、PAは、傾斜面62aに接触しながら落下するため、この低反発部62に衝突したときの反発量が抑制される。
【0059】
その結果、下向きの排ガスGと共に落下してきたPAは、低反発部62に直接衝突することから、鉄板である下壁面部71に直接衝突したときの反発量より低下した反発をすることとなり、第1ホッパ61を飛び越えて第2水平煙道部40cの下壁面部72まで飛散する確率が低くなり、第1ホッパ61におけるPA捕集率が向上する。
【0060】
以下、上述した低反発部62について、具体的な構成例について説明する。
図3は、排気ダクトに設けられた低反発構造部を表す斜視図、
図4及び
図5は、低反発構造部の作用を表す概略図である。
【0061】
図3に示すように、低反発部62は、金網(低反発部形成部材)81と、この金網81を両側から支持する一対の枠体82から構成されている。金網81は、一対の枠体82により鉄板製ダクトの下壁面部(傾斜面)71に対して所定高さだけ浮かして配置されることで、下壁面部(傾斜面)71と金網との間に空間部83が確保される。そして、この金網81は、PAの通路となる開口部84が多数設けられている。そのため、
図4に示すように、鉛直方向の下方に落下するPAは、金網81の開口部84を通過し、下壁面部(傾斜面)71に衝突して反発するが、その後、金網81の背面側に再度衝突する確率が高い。その結果、金網81の背面側に衝突したPAは、下壁面部(傾斜面)71に沿って空間部83を落下し、最終的に第1ホッパ61に回収される。
【0062】
一方、鉛直方向の下方に落下するPAは、全てが金網81の開口部84を通過するわけではなく、線状の部材を格子状に組み合わせた金網81に衝突するものもある。金網81の線状部材に衝突したPAは、
図5に示すように、通常鉄板より反発係数が低く弾性変形しやすい部材に衝突することになり、この結果、反発量の低下により第1ホッパ61に回収される確率が高くなる。このように、低反発部62は、金網81の開口部84を通過したPA及び金網81に衝突したPAを効率良く第1ホッパ61に回収できるため、第1ホッパ61におけるPAの捕集率向上に有効である。
【0063】
なお、低反発部62を金網81としたが、この構成に限定されるものではない。低反発部としては、金網81の他に、例えば、グレーチング、多孔板、簾構造(鎧戸)などのように、PAが通過できる大きさの開口部を多数有する格子状のものが使用可能である。特に、金網81の線状部材等のように、PAの衝突を受けて弾性変形する素材の格子状低反発部材を採用すれば、弾性変形によりPAの衝突エネルギを効率良く吸収して反発量を低減することが可能になる。また、衝突したPAが回転することにより、反発量を低減することも可能になる。また、低反発部62は、多孔を有する部材に限らず、多孔を有しない断熱材、ゴム系素材、プラスチック製素材なども採用可能である。
【0064】
また、
図1及び
図2に示すように、ポップコーンアッシュ捕集部63は、第1ホッパ61で回収しきれなかった排ガス中のPAを捕集するものである。ポップコーンアッシュ捕集部63は、メッシュ状をなす金網により形成され、例えば、一辺が2mm〜3mm以下に設定された多数の開口から構成される。なお、ポップコーンアッシュ捕集部63は、メッシュ状をなす金網に限定されるものではなく、縦スリットまたは横スリットを有するスクリーンや多孔体などとしてもよい。
【0065】
第2水平煙道部40cは、矩形断面を有し、下壁面部(水平面)72に対してその両側に側壁面部(鉛直面)76が形成され、各側壁面部76の上方に上壁面部(水平面)77が形成されて構成されている。ポップコーンアッシュ捕集部63は、下壁面部(水平面)72上に鉛直方向に沿って設けられている。また、このポップコーンアッシュ捕集部63は、下壁面部(水平面)から第2水平煙道部40cの全高Hの30%から50%の領域の高さH1に設けられている。この場合、ポップコーンアッシュ捕集部63は、排ガス通路60の通路面積における30%から50%の領域に設けられることとなる。即ち、第1鉛直煙道部40bと第2水平煙道部40cは、90度で屈曲するように連結されており、第2水平煙道部40cは、上流側端部、つまり、第1ホッパ61の直後の領域の外周側がポップコーンアッシュ捕集部63により閉塞されることとなる。
【0066】
ここで、第1実施形態の排気ダクトの作用について説明する。
【0067】
図6に示すように、排ガスGは、煙道40の熱回収部(過熱器41,42、再熱器43,44、節炭器45,46,47)で熱が回収された後、第1鉛直煙道部40bを下降し、略直角に屈曲して第2水平煙道部40cに流れ込む。このとき、排ガスGは、含有するPAが第1ホッパ61に自由落下して貯留される。
【0068】
排ガスGは、第1鉛直煙道部40bから第2水平煙道部40cに流れ込むとき、PAは、排ガスから運動エネルギをもらい、慣性力(遠心力)により所定の速度で下壁面部(傾斜面)71や第1ホッパ61側に落下する。このとき、下方に落下するPAは、低反発部62に衝突して反発力が低下されることとなり、低反発部62の傾斜面を転がって第1ホッパ61に回収される。
【0069】
また、低反発部62の下端部に衝突したPAは、低反発部62に衝突して反発力が低下されるものの、第1ホッパ61を飛び越えてしまうおそれがある。しかし、第2水平煙道部40cの入口部にポップコーンアッシュ捕集部63が設けられていることから、低反発部62に衝突して第1ホッパ61を飛び越えたPAは、このポップコーンアッシュ捕集部63に衝突することで、ポップコーンアッシュ捕集部63に捕集されるか、または、落下して第1ホッパ61に回収される。
【0070】
このように第1実施形態の排気ダクトにあっては、排ガスが流動する排ガス通路60と、排ガス通路60に設けられて排ガス中のPAを回収する第1ホッパ61と、第1ホッパ61に対して排ガスの流れ方向における上流側に設けられて排ガス通路60の内壁面より反発係数の小さい低反発部62と、第1ホッパ61及び低反発部62に対して排ガスの流れ方向における下流側に設けられて排ガス中のPAを捕集するポップコーンアッシュ捕集部63とを設けている。
【0071】
従って、排ガスGが排ガス通路60を流れるとき、この排ガスGからPAが分離されて第1ホッパ61に回収される。このとき、PAは、慣性力を有することから、排ガス通路60の内壁面に衝突して第1ホッパ61に回収されずに下流側に流出しやすいが、このPAが低反発部62に衝突することから、ここで反発量が低下して適正に第1ホッパ61に回収される。また、第1ホッパ61に回収されずに下流側に流出したPAは、ポップコーンアッシュ捕集部63により捕集される。その結果、排ガスG中のPAを第1ホッパ61に適正に捕集することができ、捕集効率を向上することができる。
【0072】
第1実施形態の排気ダクトでは、排ガス通路60として、排ガスGが鉛直方向の下方に流れる第1鉛直煙道部40bと、第1鉛直煙道部40bに連結される第2水平煙道部40cとを設け、第1ホッパ61を第1鉛直煙道部40bと第2水平煙道部40cとの連結部の下部に設け、低反発部62を第1ホッパ61に対して排ガスの流れ方向における上流側であって、第1鉛直煙道部40bおける下壁面部71に設けている。従って、低反発部62が第1ホッパ61より上流側に設けられると、排ガスGに含まれるPAは、第1ホッパ61の手前で低反発部62に衝突することで、ここで慣性力が低下して第1ホッパ61に入りやすくなるため、第1ホッパ61を飛び越えて下流側へ飛散して流出するPA量を減少させることができる。
【0073】
第1実施形態の排気ダクトでは、低反発部62に第1ホッパ61の第1傾斜面73と同方向に傾斜する傾斜面を設けている。従って、排ガスGに含まれるPAが低反発部62に衝突すると、このPAが低反発部62の傾斜面から第1ホッパ61の第1傾斜面73に沿って落下して第1ホッパ61に回収されることとなり、PAを第1ホッパ61に適正に導くことができる。
【0074】
第1実施形態の排気ダクトでは、ポップコーンアッシュ捕集部63を第2水平煙道部40cにおける下壁面部72に鉛直方向に沿って設けている。従って、第1ホッパ61に回収されずに下流側に流出したPAがポップコーンアッシュ捕集部63に衝突することで、このPAを適正に捕集することができる。
【0075】
第1実施形態の排気ダクトでは、ポップコーンアッシュ捕集部63を第1水平煙道部40cにおける下壁面部72から全高Hの30%から50%の領域の高さH1に設けている。排ガスGが第1鉛直煙道部40bから第2水平煙道部40cに流れ込むとき、PAは、慣性力により第2水平煙道部40cの上方側にはほとんど流れ込まない。従って、第1ホッパ61に回収されなかったPAが流出しやすい領域だけにポップコーンアッシュ捕集部63を設けることで、ポップコーンアッシュ捕集部63の小型化及び低コスト化を可能とすることができる。また、ポップコーンアッシュ捕集部63を第2水平煙道部40cに一部だけ設けていることから、ポップコーンアッシュ捕集部63にPAが付着して閉塞しても、エロージョンの発生を軽減することができると共に、圧力損失の上昇を抑制することができる。
【0076】
また、第1実施形態のボイラにあっては、中空形状をなして鉛直方向に沿って設置される火炉11と、燃料ガスを火炉11内に向けて吹き込んで燃焼させる燃焼装置12と、火炉11における排ガスの流れ方向の下流側に連結される排気ダクトと、排気ダクトに設けられて排ガス中の熱を回収可能な熱回収部(過熱器41,42、再熱器43,44、節炭器45,46,47)とを設けている。
【0077】
従って、燃焼装置12により火炉11内に燃料ガスを吹き込むことで火炎が形成され、発生した燃焼ガスが排気ダクトに流れ込み、熱回収部が排ガス中の熱を回収する一方、排ガスGからPAが分離されて第1ホッパ61に回収される。このとき、PAが低反発部62に衝突することから、ここで反発量が低下して適正に第1ホッパ61に回収される。また、第1ホッパ61に回収されずに下流側に流出した固体粒子は、ポップコーンアッシュ捕集部63により捕集される。その結果、排ガスG中のPAを第1ホッパ61に適正に捕集することができ、捕集効率を向上することができる。
【0078】
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態の排気ダクトを表す側面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0079】
第2実施形態の排気ダクトは、
図7に示すように、排ガスを流動する排ガス通路60と、排ガス通路60に設けられて排ガス中の固体粒子を回収する第1ホッパ61と、第1ホッパに61に対して排ガスの流れ方向における上流側に設けられて排ガス通路60の内壁面より反発係数の小さい低反発部62と、第1ホッパ61及び低反発部62に対して排ガスの流れ方向における下流側に設けられて排ガス中のポップコーンアッシュを捕集するポップコーンアッシュ捕集部(固体粒子捕集部)101とを有している。
【0080】
第1ホッパ61は、主として、排ガス中に含まれる大径灰のPAを回収して貯留するものである。第1ホッパ61は、下方に向けて面積が狭くなるように排ガスの流動方向に対向する第1傾斜面73及び第2傾斜面74を有し、各傾斜面73,74の下端部が連結される底位置に貯留部75が設けられている。低反発部62は、第1ホッパ61に対して排ガスの流れ方向における上流側であって、第1鉛直煙道部40bおける下壁面部71に設けられている。この低反発部62は、所定の面積を有するシート形状をなし、第1鉛直煙道部40bにおける下壁面部(傾斜面)71に固定されており、第1ホッパ61でのPAの捕集率を効果的に向上させるために、下壁面部71(例えば、鉄板)より反発係数の小さい部材により構成されている。
【0081】
ポップコーンアッシュ捕集部(固体粒子捕集部)101は、第1ホッパ61で回収しきれなかった排ガス中のPAを捕集するものである。ポップコーンアッシュ捕集部101は、メッシュ状をなす金網により形成され、下壁面部(水平面)72上に鉛直方向に対して傾斜して設けられている。即ち、ポップコーンアッシュ捕集部101は、上部が排ガスGの流れ方向における上流側(
図7にて、左側)に位置するように所定角度だけ傾斜して設けられており、捕集面が第1ホッパ61側を向いている。また、このポップコーンアッシュ捕集部101は、下壁面部(水平面)から第2水平煙道部40cの全高Hの30%から50%の領域の高さH1に設けられている。
【0082】
そのため、排ガスGは、第1鉛直煙道部40bから第2水平煙道部40cに流れ込むとき、PAは、排ガスから運動エネルギをもらい、慣性力(遠心力)により所定の速度で下壁面部(傾斜面)71や第1ホッパ61側に落下する。このとき、下方に落下するPAは、低反発部62に衝突して反発力が低下されることとなり、低反発部62の傾斜面を転がって第1ホッパ61に回収される。また、低反発部62の下端部に衝突したPAは、低反発部62に衝突して反発力が低下されるものの、第1ホッパ61側に飛散する。そして、低反発部62に衝突して第1ホッパ61を飛び越えたPAは、ポップコーンアッシュ捕集部101に衝突することで、ポップコーンアッシュ捕集部101に捕集されるか、または、落下して第1ホッパ61に回収される。
【0083】
このように第2実施形態の排気ダクトにあっては、第1ホッパ61より上流側に設けられる低反発部62と、第1ホッパ61及び低反発部62より下流側に設けられるポップコーンアッシュ捕集部101とを設け、ポップコーンアッシュ捕集部101を上部が排ガスの流れ方向における上流側に位置するように傾斜して設けている。
【0084】
従って、排ガスGが排ガス通路60を流れるとき、第1ホッパ61に回収されずに下流側に流出したPAは、ポップコーンアッシュ捕集部101により捕集される。このとき、ポップコーンアッシュ捕集部101が上流側に傾斜して設けられることで、ポップコーンアッシュ捕集部101は、第1ホッパ61に回収されずに下流側に流出したPAを効率良く第1ホッパ61に落とし込んで捕集することができる。その結果、排ガスG中のPAを第1ホッパ61に適正に捕集することができ、捕集効率を向上することができる。
【0085】
[第3実施形態]
図8は、第3実施形態の排気ダクトを表す側面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0086】
第3実施形態の排気ダクトは、
図8に示すように、排ガスを流動する排ガス通路60と、排ガス通路60に設けられて排ガス中の固体粒子を回収する第1ホッパ61と、第1ホッパに61に対して排ガスの流れ方向における上流側に設けられて排ガス通路60の内壁面より反発係数の小さい低反発部102と、第1ホッパ61及び低反発部102に対して排ガスの流れ方向における下流側に設けられて排ガス中のポップコーンアッシュを捕集するポップコーンアッシュ捕集部63とを有している。
【0087】
第1ホッパ61は、主として、排ガス中に含まれる大径灰のPAを回収して貯留するものである。第1ホッパ61は、下方に向けて面積が狭くなるように排ガスの流動方向に対向する第1傾斜面73及び第2傾斜面74を有し、各傾斜面73,74の下端部が連結される底位置に貯留部75が設けられている。低反発部102は、第1ホッパ61に対して排ガスの流れ方向における上流側であって、第1鉛直煙道部40bおける下壁面部71から第1ホッパ61の第1傾斜面73にかけて設けられている。この低反発部102は、所定の面積を有するシート形状をなし、第1鉛直煙道部40bにおける下壁面部(傾斜面)71に固定される第1低反発部103と、第1ホッパ61の第1傾斜面73に固定される第2低反発部104から構成されている。低反発部102は、第1ホッパ61でのPAの捕集率を効果的に向上させるために、下壁面部71(例えば、鉄板)より反発係数の小さい部材により構成されている。
【0088】
ポップコーンアッシュ捕集部63は、第1ホッパ61で回収しきれなかった排ガス中のPAを捕集するものである。ポップコーンアッシュ捕集部63は、メッシュ状をなす金網により形成され、下壁面部(水平面)72上に鉛直方向に沿って設けられている。そして、このポップコーンアッシュ捕集部63は、下壁面部(水平面)から第2水平煙道部40cの全高Hの30%から50%の領域の高さH1に設けられている。
【0089】
そのため、排ガスGは、第1鉛直煙道部40bから第2水平煙道部40cに流れ込むとき、PAは、排ガスから運動エネルギをもらい、慣性力(遠心力)により所定の速度で下壁面部(傾斜面)71や第1ホッパ61側に落下する。このとき、下方に落下するPAは、低反発部102に衝突して反発力が低下されることとなり、低反発部102の傾斜面を転がって第1ホッパ61に回収される。このとき、低反発部102が下壁面部(傾斜面)71から第1ホッパ61まで延出されていることから、直接第1ホッパ61に落下したPAが第2低反発部104により反発力が低下し、第1ホッパ61からの再飛散が防止される。また、低反発部102の下端部に衝突したPAは、低反発部102に衝突して反発力が低下されるものの、第1ホッパ61側に飛散する。そして、低反発部102に衝突して第1ホッパ61を飛び越えたPAは、ポップコーンアッシュ捕集部63に衝突することで、ポップコーンアッシュ捕集部63に捕集されるか、または、落下して第1ホッパ61に回収される。
【0090】
このように第3実施形態の排気ダクトにあっては、第1ホッパ61より上流側に設けられる低反発部102と、第1ホッパ61及び低反発部102より下流側に設けられるポップコーンアッシュ捕集部63とを設け、低反発部102の傾斜面を第1ホッパ61の第1傾斜面73まで延している。
【0091】
従って、排ガスGが排ガス通路60を流れるとき、この排ガスGからPAが分離されて第1ホッパ61に回収される。このとき、PAは、慣性力を有することから、排ガス通路60の内壁面に衝突して第1ホッパ61に回収されずに下流側に流出しやすいが、このPAが第1低反発部103に衝突することから、ここで反発量が低下して適正に第1ホッパ61に回収される。また、直接第1ホッパ61に落下したPAは、第2低反発部104により反発力が低下し、第1ホッパ61からの再飛散が防止される。そして、第1ホッパ61に回収されずに下流側に流出したPAは、ポップコーンアッシュ捕集部63により捕集される。その結果、排ガスG中のPAを第1ホッパ61に適正に捕集することができ、捕集効率を向上することができる。
【0092】
[第4実施形態]
図9は、第2実施形態の排気ダクトを表す側面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0093】
第2実施形態の排気ダクトは、
図9に示すように、排ガスを流動する排ガス通路60と、排ガス通路60に設けられて排ガス中の固体粒子を回収する第1ホッパ61と、第1ホッパに61に対して排ガスの流れ方向における上流側に設けられて排ガス通路60の内壁面より反発係数の小さい低反発部105と、第1ホッパ61及び低反発部105に対して排ガスの流れ方向における下流側に設けられて排ガス中のポップコーンアッシュを捕集するポップコーンアッシュ捕集部63とを有している。
【0094】
排ガス通路60は、排ガスが鉛直方向の下方に流れる第1鉛直煙道部40bと、第1鉛直煙道部40bに連結される第2水平煙道部40cとを有し、第1ホッパ61は、第1鉛直煙道部40bと第2水平煙道部40cとの連結部の下部に設けられている。第1鉛直煙道部40bは、下部に下壁面部71が設けられ、この下壁面部71は、第1ホッパ61側に向けて所定角度で下方に傾斜する傾斜面71aと、この傾斜面71aと第1ホッパ61との間に設けられる水平面71bとを有している。
【0095】
第1ホッパ61は、主として、排ガス中に含まれる大径灰のPAを回収して貯留するものである。第1ホッパ61は、下方に向けて面積が狭くなるように排ガスの流動方向に対向する第1傾斜面73及び第2傾斜面74を有し、各傾斜面73,74の下端部が連結される底位置に貯留部75が設けられている。低反発部105は、第1ホッパ61に対して排ガスの流れ方向における上流側であって、第1鉛直煙道部40bおける下壁面部71に設けられている。この低反発部105は、所定の面積を有するシート形状をなし、下壁面部71における傾斜面71aに固定される第1低反発部106と、下壁面部71における水平面71bに固定される第2低反発部107とから構成されている。低反発部105は、第1ホッパ61でのPAの捕集率を効果的に向上させるために、下壁面部71(例えば、鉄板)より反発係数の小さい部材により構成されている。
【0096】
ポップコーンアッシュ捕集部63は、第1ホッパ61で回収しきれなかった排ガス中のPAを捕集するものである。ポップコーンアッシュ捕集部63は、メッシュ状をなす金網により形成され、下壁面部(水平面)72上に鉛直方向に沿って設けられている。そして、このポップコーンアッシュ捕集部63は、下壁面部(水平面)から第2水平煙道部40cの全高Hの30%から50%の領域の高さH1に設けられている。
【0097】
そのため、排ガスGは、第1鉛直煙道部40bから第2水平煙道部40cに流れ込むとき、PAは、排ガスから運動エネルギをもらい、慣性力(遠心力)により所定の速度で下壁面部71に落下する。このとき、下方に落下するPAは、低反発部105に衝突して反発力が低下されることとなり、低反発部105を転がって第1ホッパ61に回収される。このとき、低反発部105が傾斜面となる第1低反発部106と水平面となる第2低反発部107を有することから、第1低反発部106に落下したPAは、反発力が低下されて転がることで第1ホッパ61に回収される。また、第2低反発部107に落下したPAは、ここで反発力が低下され、第1ホッパ61を飛び越えることなく第1ホッパ61に回収される。また、低反発部105の下端部に衝突したPAは、低反発部105に衝突して反発力が低下されるものの、一部が第1ホッパ61側に飛散する。そして、低反発部105に衝突して第1ホッパ61を飛び越えたPAは、ポップコーンアッシュ捕集部63に衝突することで、ポップコーンアッシュ捕集部63に捕集されるか、または、落下して第1ホッパ61に回収される。
【0098】
このように第4実施形態の排気ダクトにあっては、第1ホッパ61より上流側に設けられる低反発部105と、第1ホッパ61及び低反発部105より下流側に設けられるポップコーンアッシュ捕集部63とを設け、低反発部105を下壁面部71の傾斜面71aから水平面71bまで延している。
【0099】
従って、排ガスGが排ガス通路60を流れるとき、この排ガスGからPAが分離されて第1ホッパ61に回収される。このとき、PAは、慣性力を有することから、排ガス通路60の内壁面に衝突して第1ホッパ61に回収されずに下流側に流出しやすいが、このPAが傾斜した第1低反発部106に衝突することから、ここで反発量が低下して適正に転がって第1ホッパ61に回収される。即ち、低反発部105が下壁面部71の傾斜面71aから水平面71bにかけて設けられることで、低反発部105が排ガスの流れ方向に長く形成されると共にPAの慣性力を抑制可能な水平な第2低反発部107が形成されることとなり、PAを第1ホッパ61に入りやすくし、また、第1ホッパ61からのPAの再飛散を抑制することができる。その結果、排ガスG中のPAを第1ホッパ61に適正に捕集することができ、捕集効率を向上することができる。
【0100】
[第5実施形態]
図10は、第5実施形態の排気ダクトを表す側面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0101】
第5実施形態の排気ダクトは、
図10に示すように、排ガスを流動する排ガス通路60と、排ガス通路60に設けられて排ガス中の固体粒子を回収する第2ホッパ65と、第2ホッパに65に対して排ガスの流れ方向における上流側に設けられて排ガス通路60の内壁面より反発係数の小さい低反発部111と、第2ホッパ65及び低反発部111に対して排ガスの流れ方向における下流側に設けられて排ガス中のポップコーンアッシュを捕集するポップコーンアッシュ捕集部(固体粒子捕集部)112とを有している。
【0102】
排ガス通路60は、排ガスが水平方向に流れる第2水平煙道部40cと、第2水平煙道部40bに連結されて排ガスが鉛直方向の上方に流れる第2鉛直煙道部40dとを有し、第2ホッパ65は、第2水平煙道部40cと第2鉛直煙道部40dとの連結部の下部に設けられている。第2水平煙道部40cは、下部に下壁面部72が設けられ、この下壁面部72は、水平方向に沿った水平面となっている。第2鉛直煙道部40dは、第2ホッパ65に対して排ガスの流れ方向における下流側(
図10にて、鉛直方向の上方側)であって、下壁面部72が直交する位置に立壁面部78が設けられ、この立壁面部78は、鉛直面となっている。
【0103】
第2ホッパ65は、主として、排ガス中に含まれる大径灰のPAを回収して貯留するものである。第2ホッパ65は、下方に向けて面積が狭くなるように排ガスの流動方向に対向する第1傾斜面121及び第2傾斜面122を有し、各傾斜面121,122の下端部が連結される底位置に貯留部123が設けられている。なお、第2ホッパ65は、貯留部123に図示しない開閉弁により開閉可能な開口部が設けられ、この開口部を開放することで、貯留したPAを下方に排出可能となっている。ここで、第2水平鉛直煙道部40cの下壁面部72と第2ホッパ65の第1傾斜面121が連結され、第2鉛直煙道部40dの立壁面部78と第2ホッパ65の第2傾斜面122が連結されている。
【0104】
低反発部111は、第2ホッパ65に対して排ガスの流れ方向における下流側であって、第2鉛直煙道部40dにおける立壁面部78に設けられている。第2鉛直煙道部40dの立壁面部78は、鉛直面であることから、低反発部111は、表面が鉛直面111aとなっている。この低反発部111は、所定の面積を有するシート形状をなし、第2ホッパ65でのPAの捕集率を効果的に向上させるために、立壁面部78(例えば、鉄板)より反発係数の小さい部材により構成されている。そのため、PAが低反発部111に衝突したときの反発量が抑制される。その結果、水平方向の流れる排ガスGと共に移動してきたPAは、低反発部111に直接衝突することから、鉄板である立壁面部78に直接衝突したときの反発量より低下した反発をすることとなり、第2ホッパ65におけるPA捕集率が向上する。
【0105】
ポップコーンアッシュ捕集部112は、低反発部111に衝突した排ガス中のPAを捕集するものである。第2鉛直煙道部40dは、矩形断面を有し、立壁面部78を有しており、ポップコーンアッシュ捕集部112は、立壁面部78上に水平方向に沿って設けられている。また、このポップコーンアッシュ捕集部112は、立壁面部78からの全長Lの30%から50%の領域の長さL1に設けられている。即ち、第2水平煙道部40cと第2鉛直煙道部40dは、90度で屈曲するように連結されており、第2鉛直煙道部40dは、上流側端部、つまり、第2ホッパ65の直後の領域の外周側がポップコーンアッシュ捕集部112により閉塞されることとなる。
【0106】
そのため、排ガスGは、第1水平煙道部40cから第2鉛直煙道部40dに流れ込むとき、PAは、排ガスから運動エネルギをもらい、慣性力(遠心力)により所定の速度で立壁面部78側に移動する。このとき、PAは、低反発部111に衝突して反発力が低下されることとなり、低反発部111に衝突後に第2ホッパ65に落下して回収される。
【0107】
また、低反発部111の上端部に衝突したPAは、低反発部111に衝突して反発力が低下されるものの、上方に飛び散るおそれがある。しかし、第2鉛直煙道部40dの入口部にポップコーンアッシュ捕集部112が設けられていることから、低反発部111に衝突して飛散したPAは、このポップコーンアッシュ捕集部112に衝突することで、ポップコーンアッシュ捕集部112に捕集されるか、または、落下して第2ホッパ65に回収される。
【0108】
このように第5実施形態の排気ダクトにあっては、排ガスが流動する排ガス通路60と、排ガス通路60に設けられて排ガス中のPAを回収する第2ホッパ65と、第2ホッパ65に対して排ガスの流れ方向における下流側に設けられて排ガス通路60の内壁面より反発係数の小さい低反発部111と、第2ホッパ65及び低反発部111に対して排ガスの流れ方向における下流側に設けられて排ガス中のPAを捕集するポップコーンアッシュ捕集部112とを設けている。
【0109】
従って、排ガスGが排ガス通路60を流れるとき、この排ガスGからPAが分離されて第2ホッパ65に回収される。このとき、PAは、慣性力を有することから、排ガス通路60の内壁面に衝突して第2ホッパ65に回収されずに周囲に飛散しやすいが、このPAが低反発部111に衝突することから、ここで反発量が低下して適正に第2ホッパ65に回収される。また、低反発部111に衝突して周囲に飛散した一部のPAは、ポップコーンアッシュ捕集部112により捕集される。その結果、排ガスG中のPAを第2ホッパ65に適正に捕集することができ、捕集効率を向上することができる。
【0110】
なお、上述した実施形態では、ポップコーンアッシュ捕集部63,101,112を排ガス通路60の高さHまたは長さLの30%〜50%の領域に設けたが、100%の領域に設けてもよい。この場合、ホッパ61,65に回収されずに下流側に流出したPAをこのポップコーンアッシュ捕集部により確実に捕集することができる。
【0111】
また、上述した実施形態では、本発明の排気ダクトを微粉炭焚きボイラに適用して説明したが、この形式のボイラに限定されるものではない。また、ボイラに限らず、固体粒子が含まれる排ガスを流動するものであれば、いずれの排気ダクトに適用してもよい。