特許第6385285号(P6385285)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385285
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】ラベル付きアンプル容器
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/06 20060101AFI20180827BHJP
   B65D 75/02 20060101ALI20180827BHJP
   B65D 25/36 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   A61J1/06 E
   A61J1/06 D
   B65D75/02
   B65D25/36
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-1060(P2015-1060)
(22)【出願日】2015年1月6日
(65)【公開番号】特開2016-123759(P2016-123759A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2017年10月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】591074231
【氏名又は名称】常盤薬品工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福森 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】廣岡 晃
(72)【発明者】
【氏名】水谷 直紀
(72)【発明者】
【氏名】福原 誠
【審査官】 立花 啓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−234651(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/131192(WO,A1)
【文献】 特開2011−136428(JP,A)
【文献】 特開昭63−138987(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/06
B65D 25/36
B65D 75/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液剤が充填される胴部、及び前記胴部の上方に設けられた頭部を含み、前記胴部と前記頭部が互いの境界にかけて括れた形状を有し、当該境界で容器を切断して開封されるプラスチック製のアンプル容器と、
前記アンプル容器の前記胴部から前記頭部の少なくとも最大径部に亘って装着された筒状熱収縮性ラベルと、
を備え、
前記筒状熱収縮性ラベルは、前記境界に対応する位置からラベル上端部までの部分の上下方向に沿った長さが前記アンプル容器の開封により形成される開口部の口径の1/2以上であり、当該部分が前記アンプル容器の開封後に延出部として残る、ラベル付きアンプル容器。
【請求項2】
前記筒状熱収縮性ラベルは、縦方向の弾性率に対する周方向の弾性率の比率が2.0以下である、請求項1に記載のラベル付きアンプル容器。
【請求項3】
前記筒状熱収縮性ラベルには、前記境界に対応する位置から前記ラベル上端部までの部分に縦方向に延びる切断補助線が形成されている、請求項1又は2に記載のラベル付きアンプル容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル付きアンプル容器に関し、より詳しくはプラスチック製のアンプル容器に筒状熱収縮性ラベルが装着されてなるラベル付きアンプル容器に関する。
【背景技術】
【0002】
アンプル容器は、内容物が充填される胴部と、胴部の上方に設けられた頭部とを含み、胴部と頭部の境界で括れた形状を有する。従来はガラス製のアンプル容器が殆どであったが、近年は安全性の面からプラスチック製のアンプル容器も広く使用されている。プラスチック製のアンプル容器は、頭部を押圧する又は捻ることにより、胴部と頭部の境界で容器を切断して開封される。このとき、容器に充填された液剤が飛び出し、手や衣服などに付着するおそれがある。
【0003】
このような状況に鑑みて、開封時に液剤が手や衣服などに付着することを抑制するための技術が幾つか提案されている。例えば、特許文献1には、頭部に熱収縮性フィルムが装着されたラベル付きアンプル容器であって、熱収縮性フィルムの下部が傘状に形成されて下方に延び、開封により形成されるアンプル容器の開口部を覆うラベル付きアンプル容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平7−121755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、アンプル容器の開口部を覆う傘状部分が頭部から下方に延びて形成されているため、傘状部分に付着した液剤が落下して、手や衣服などに付着するおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、アンプル容器の開封時において、容器に充填された液剤が飛び出し、手や衣服などに付着することをより確実に抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るラベル付きアンプル容器は、液剤が充填される胴部、及び前記胴部の上方に設けられた頭部を含み、前記胴部と前記頭部が互いの境界にかけて括れた形状を有し、当該境界で容器を切断して開封されるプラスチック製のアンプル容器と、前記アンプル容器の前記胴部から前記頭部の少なくとも最大径部に亘って装着された筒状熱収縮性ラベルとを備え、前記筒状熱収縮性ラベルは、前記境界に対応する位置からラベル上端部までの部分の上下方向に沿った長さが前記アンプル容器の開封により形成される開口部の口径の1/2以上であり、当該部分が前記アンプル容器の開封後に延出部として残ることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るラベル付きアンプル容器において、前記筒状熱収縮性ラベルは、縦方向の弾性率に対する周方向の弾性率の比率が2.0以下であることが好ましい。或いは、前記筒状熱収縮性ラベルには、前記境界に対応する位置から前記ラベル上端部までの部分に縦方向に延びる切断補助線が形成されていることが好ましい。上記のように、アンプル容器は胴部と頭部の境界で切断されて開封される。このとき、筒状熱収縮性ラベルはこの境界付近に装着された部分で周方向に裂け易い(以下、このようなラベルの破断の仕方を「横裂け」という)が、上記好ましい構成を適用することにより、かかる横裂けを十分に抑制することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るラベル付きアンプル容器によれば、容器の開封時において、胴部から上方に延出して開口部の周辺を覆う筒状熱収縮性ラベルが容器から飛び出す液剤を受け止めるため、液剤が手や衣服などに付着することを十分に抑制することができる。即ち、筒状熱収縮性ラベルは、容器の開封後においても胴部と頭部の境界に対応する位置からラベル上端部までの部分(頭部に装着されていた部分)が、胴部の上端部から延出した延出部として残る。そして、延出部が液剤を受け止めるフードとして機能し、液剤の飛散が抑制される。本ラベル付きアンプル容器では、筒状熱収縮性ラベルが胴部から上方に延出しているため、当該延出部に付着した液剤が落下しても胴部を握る手などに付着せず、液剤が手や衣服などに付着することをより確実に抑制できる。また、筒状熱収縮性ラベルが胴部から少なくとも頭部の最大径部まで装着されるため、ラベルによって頭部が固定され、開封時に頭部を勢いよく押圧した場合でも、折れた頭部がホールドされて液剤の飛び出し(液飛び)が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態の一例であるラベル付きアンプル容器の正面図である(図面の明瞭化の観点から、容器のラベルで隠れる部分も実線で示している。以下同様。)。
図2】実施形態の一例であるラベル付きアンプル容器の首部近傍の拡大図である。
図3】実施形態の一例であるラベル付きアンプル容器の開封途中の状態を示す図である。
図4図3に示すラベル付きアンプル容器の首部近傍の拡大図である。
図5】実施形態の一例であるラベル付きアンプル容器の製造方法を説明するための図である。
図6】実施形態の他の一例であるラベル付きアンプル容器の首部近傍の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、実施形態の一例について詳細に説明する。
実施形態の説明で参照する図面は、模式的に記載されたものであり、図面に描画された構成要素の寸法比率などは、現物と異なる場合がある。具体的な寸法比率等は、以下の説明を参酌して判断されるべきである。なお、本明細書において、ラベル付きアンプル容器の「上下方向」とは、アンプル容器の胴部と頭部が並ぶ方向を意味し、頭部側が「上」である。また、筒状熱収縮性ラベルの「縦方向」は、筒状体の軸方向を意味し、ラベルがアンプル容器に装着された状態(ラベル付きアンプル容器)において上下方向と一致する。
【0012】
図1は実施形態の一例であるラベル付きアンプル容器10の正面図であり、図2は首部14の近傍を拡大して示す図である。図1では、筒状熱収縮性ラベル20にドット表示を記載している(図3についても同様)。図1及び図2に例示するように、ラベル付きアンプル容器10は、アンプル容器11と、筒状熱収縮性ラベル20とを備え、アンプル容器11に筒状熱収縮性ラベル20が装着されてなる。アンプル容器11は、液剤が充填される胴部12、及び胴部12の上方に設けられた頭部13を含み、胴部12と頭部13が互いの境界にかけて括れた形状を有し、当該境界で容器を切断して開封されるプラスチック製容器である。胴部12と頭部13の境界を首部14という。筒状熱収縮性ラベル20は、アンプル容器11の胴部12から頭部13の少なくとも最大径部13bに亘って装着される。そして、筒状熱収縮性ラベル20は、首部14に対応する位置からラベル上端部21までの部分の上下方向に沿った長さL2が、アンプル容器11の開封により形成される開口部15の口径D15図4参照)の1/2以上であり、当該部分がアンプル容器11の開封後に延出部23として残る。
【0013】
ラベル付きアンプル容器10を構成するアンプル容器11は、プラスチック製であればよく、特定の樹脂からなるものに限定されない。ガラス製のアンプル容器の場合には、容器片(ガラス微粉)が容器内に混入する、或いは周囲に飛散するおそれがあるが、プラスチック製のアンプル容器11の場合には、その危険性は低く安全性が高い。
【0014】
アンプル容器11は、上記のように液剤が充填される胴部12と、胴部12の上方に設けられた頭部13とを有する。胴部12は、略有底円筒形状を有し、その内部空間に液剤が充填される。胴部12は、略円筒形状の側面12a、及びその下方に位置する底面視略真円形状の底部12bを有し、側面12aと底部12bの間には底部12bに近づくにつれて次第に縮径した底周縁部12dが形成されている。胴部12の上部には、側面12aから頭部13に近づくにつれて次第に縮径した肩部12cが形成されている。頭部13は、略円筒形状の側面13aを有し、上端部が閉じられると共に、胴部12につながる下端部のやや上方が局部的に膨らんでいる。頭部13は、周長が最も長くなる最大径部13b、最大径部13bから胴部12に近づくにつれて次第に縮径した第1縮径部13c、及び最大径部13bと上端部の間に位置する第2縮径部13dを有する。第2縮径部13dは、最大径部13bよりも縮径した部分であって、例えば当該部分を押圧することで頭部13が折れてアンプル容器11が開封される。そして、アンプル容器11は、胴部12と頭部13が互いの境界(首部14)にかけて括れた形状を有する。なお、アンプル容器11は、上述した形状に限定されず、例えば頭部13が第2縮径部13dを有さない形状であってもよい。
【0015】
本実施形態では、局部的に膨らんだ最大径部13bを含む頭部13の全体が、胴部12(肩部12cを除く)よりも細くなっている。胴部12は頭部13よりも上下方向に長くなっているが、頭部13より短くてもよい。アンプル容器11に充填される液剤は、例えば頭部13の上端部に形成された開口部から充填され、液剤の充填後に頭部13の上端部が加熱されて開口部が封止される。なお、液剤の多くは胴部12の内部空間に存在するが、胴部12と頭部13の内部空間は連通しているため、液剤の一部が頭部13の内部空間に移動し、存在する場合がある。
【0016】
アンプル容器11は、例えば頭部13を指先等で押圧することにより、又は頭部13を捻ることにより、首部14で容器を切断して開封される。アンプル容器11には、頭部13を押圧する特定の位置がなく開封方向が特定されないイージーカットアンプル、特定の開封方向が決まっているワンポイントアンプルがあるが、ラベル付きアンプル容器10の構成は、いずれのタイプの容器にも適用することができる。
【0017】
筒状熱収縮性ラベル20は、熱収縮することでアンプル容器11の形状に追従して装着され、例えば胴部12の側面12a及び頭部13の側面13aに密着している。但し、筒状熱収縮性ラベル20の一部が、アンプル容器11の形状に追従していなくてもよい。例えば、第1縮径部13cの下部には筒状熱収縮性ラベル20が追従せず、ラベルと容器の間に空間が形成される。筒状熱収縮性ラベル20は、アンプル容器11の胴部12から頭部13の少なくとも最大径部13bに亘って装着される。即ち、首部14には、筒状熱収縮性ラベル20が装着されている。
【0018】
筒状熱収縮性ラベル20は、胴部12の底周縁部12dから頭部13の最大径部13bよりも上方に亘って装着されることが好適である。本実施形態では、ラベル上端部21が最大径部13bを超え、第2縮径部13dに亘ってラベルが装着されている。このため、筒状熱収縮性ラベル20によって頭部13がよりいっそう固定され、開封時に頭部13を勢いよく押圧した場合でも、折れた頭部13がホールドされて液飛びが抑制される。なお、開封時に押圧される部分、例えば第2縮径部13dの上下方向中央部には、筒状熱収縮性ラベル20を装着しないことが好ましい。ラベル下端部22は、例えば底周縁部12dに位置する。即ち、筒状熱収縮性ラベル20は、胴部12の側面12aよりも縮径した底周縁部12dに装着されることで、上に抜け難くなっている。このため、アンプル容器11の開封時に頭部13を押圧してもラベルの位置ズレが防止される。なお、筒状熱収縮性ラベル20は、底部12bまで装着されていてもよい。
【0019】
筒状熱収縮性ラベル20は、少なくとも熱収縮性を有するラベル基材を有し、例えば熱収縮性を有するラベル基材、及びラベル基材上に形成された印刷層を有する。印刷層は、例えば商品名やデザイン、商品説明等を表す文字や模様、また背景色等をラベルに付与するための層である。印刷層は、ラベル基材の内面(筒状熱収縮性ラベル20の内側を向いた面)に形成されることが好ましいが、ラベル基材の外面、又は内面及び外面の両方に形成されてもよい。印刷層は、従来公知の印刷インキを用いて、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷等の従来公知の方法により形成できる。印刷層の厚みは、好ましくは0.1μm〜15μm、より好ましくは0.3μm〜10μmである。
【0020】
筒状熱収縮性ラベル20は、例えば筒状に形成されたラベル基材の周方向一端縁の内面をラベル基材の周方向他端縁の外面に重ね合わせ、重ね合わせた面同士を接着剤や溶剤等で縦方向に沿って帯状に接合して形成される。当該接合部の良好な接着性を確保するために、ラベル基材の周方向一端縁の内面、及び周方向他端縁の外面には印刷層等を設けないことが好適である。なお、接合部の構造はこれに限定されず、例えば筒状に形成されたラベル基材の周方向一端縁及び他端縁の外面同士又は内面同士を接着する合掌貼り構造であってもよい。
【0021】
筒状熱収縮性ラベル20のラベル基材を構成する材料としては、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂などの熱可塑性樹脂から選択される1種、又は2種以上の混合物が例示でき、シュリンク特性等の観点からポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、又はこれらの混合物を用いることが好ましい。ラベル基材は、単層フィルムであってもよく、複数の単層フィルムが積層された複層フィルムであってもよい。ラベル基材の厚みは、特に限定されないが、強度、剛性、シュリンク特性、経済性等の観点から、好ましくは10〜100μm、より好ましくは12〜80μm、特に好ましくは15〜60μmである。
【0022】
筒状熱収縮性ラベル20のラベル基材は、主に収縮する方向(主収縮方向)に良好な熱収縮性を発現するために、少なくとも主収縮方向に延伸(一軸延伸)されていることが好ましい。延伸温度は、ラベル基材を構成する樹脂の種類によっても異なるが、例えば70〜100℃である。延伸倍率は、2〜8倍程度であることが好ましい。また、主収縮方向と直交する方向にも1.01〜8倍程度の倍率で延伸(二軸延伸)してもよい。後述する弾性率の比率(YTD/YMD)は、例えばかかる延伸倍率を変更することによって調整できる。なお、当該直交方向に延伸をする場合には、アンプル容器に対するラベルの上下方向の装着位置を調整し易くする観点から、当該方向の熱収縮を抑制する熱固定処理を行い、縦方向に大きく収縮するのを抑制することが好ましい。
【0023】
筒状熱収縮性ラベル20は、ラベル基材の主収縮方向が筒状体の周方向となるように形成されることが好適である。筒状熱収縮性ラベル20の熱収縮率は、主収縮方向(周方向)に、20%以上であり、好ましくは30〜80%、特に好ましくは40〜80%である(加熱処理条件:90℃の温水に10秒間浸漬)。主収縮方向に直交する方向(縦方向)に対しては、好ましくは−3〜15%、より好ましくは−1〜10%、特に好ましくは−1〜5%である(加熱処理条件:同上)。
【0024】
筒状熱収縮性ラベル20を構成する好適なラベル基材としては、アンプル容器11への追従性や横裂け防止性等の観点から、ポリエステル系樹脂を主成分とするポリエステル系フィルム、ポリオレフィン系樹脂を主成分とするポリオレフィン系フィルム、ポリスチレン系樹脂を主成分とするポリスチレン系フィルムが挙げられる。これらは、単層フィルム、複層フィルムのいずれであってもよい。中でも、ポリオレフィン系フィルムが特に好ましい。また、ラベル基材には、横裂け防止性をさらに良くする観点から、縦方向にも2倍以上(例えば、2〜5倍)延伸されたフィルムを用いることが好ましい。
【0025】
筒状熱収縮性ラベル20は、縦方向の弾性率(以下、「YMD」とする)に対する周方向の弾性率(以下、「YTD」とする)の比率(YTD/YMD)が2.0以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましい。比率(YTD/YMD)の下限値は、例えば1.0である。比率(YTD/YMD)が当該範囲内であれば、開封時における筒状熱収縮性ラベル20の横裂けを十分に抑制することができる。比率(YTD/YMD)は、例えば縦方向と周方向の延伸倍率によって調整することができる。例えば、ラベル基材を縦方向(主収縮方向に直交する方向)に延伸することにより、弾性率の比率(YTD/YMD)を小さくすることができる。筒状熱収縮性ラベル20の弾性率は、筒状体に成形する前の熱収縮性フィルムを用いて、JISK7127及びK7100に規定される試験法に準拠して測定される。
【0026】
以下、図2図4を適宜参照しながら、筒状熱収縮性ラベル20の構成、特に頭部13に装着される部分の構成についてさらに詳説する。図3及び図4は、ラベル付きアンプル容器10の開封途中の状態を示す図である。
【0027】
図2図4に示すように、筒状熱収縮性ラベル20は、首部14に対応する位置からラベル上端部21までの上下方向に沿った長さL2が、アンプル容器11の開封により形成される開口部15の口径D15の1/2以上である。即ち、筒状熱収縮性ラベル20は、長さL2≧口径D15×1/2となるように、アンプル容器11に装着される。なお、開口部15は、例えば胴部12及び頭部13の両方に同じ口径D15で形成される。口径D15は、開口部15が真円形状である場合はその直径を意味し、開口部15が楕円形状等の非真円形状である場合は開口部15の周縁の任意の2点間の直線距離のうち最大となる距離を意味する。以下、開口部15は真円形状であるものとして説明する。
【0028】
筒状熱収縮性ラベル20は、長さL2≧口径D15×1/2の条件を満たし、且つ胴部12から少なくとも頭部13の最大径部13bに亘って装着される。筒状熱収縮性ラベル20の頭部13に装着される部分は、開封により形成される開口部15の周りを囲み、開封時に容器から飛び出す液剤を受け止めるフードとして機能する。上記装着条件を満たすことで、液剤の飛散による周囲の汚染(手や衣服への液剤の付着)を十分に抑制することができる。即ち、筒状熱収縮性ラベル20は、アンプル容器11の開封後においても首部14に対応する位置からラベル上端部21までの部分(頭部13に装着されていた部分)が、胴部12の上端部から延出した延出部23として残る。そして、開封後においても開口部15の周囲に延出部23が残ることにより、液剤の飛散が抑制される。
【0029】
筒状熱収縮性ラベル20の首部14に対応する位置からラベル上端部21までの上下方向に沿った長さL2は、好ましくは口径D15の1/2(0.5倍)以上2倍以下であり、より好ましくは口径D15の0.7倍以上1.5倍以下である。長さL2が当該範囲内であれば、アンプル容器11の良好な開封性を維持しながら、開封時の液剤の飛散による周囲の汚染を抑制し易くなる。
【0030】
図3及び図4に示すように、アンプル容器11は、首部14で切断されて開封され、例えば液剤の取り出し口である開口部15が胴部12及び頭部13の両方に同じ口径D15で形成される。アンプル容器11は、例えば頭部13の第2縮径部13dを押圧して開封される。頭部13を押圧すると一気に首部14が切断されて頭部13が胴部12から完全に外れる場合があるが、ラベル付きアンプル容器10では、筒状熱収縮性ラベル20が頭部13の下部をホールドしているため、このような開封を抑制することができる。即ち、開口部15が一気に形成されることが抑制されるので、液剤の飛び出しを抑えることができる。
【0031】
図4に示すように、アンプル容器11の開封初期における頭部13の下端部と胴部12の上端部とがなす角度θは、筒状熱収縮性ラベル20による頭部13の上記ホールド効果等により30°以下になり易い。角度θが30°である場合、首部14(胴部12の上端部)から開口部15の上端部までの長さhは、開口部15の口径D15の1/2となる。したがって、長さL2≧口径D15×1/2の条件を満たす場合は、延出部23が頭部13の開口部15よりも高い位置に存在し、当該開口部15の全体が延出部23で囲まれ易くなるため、液剤の飛散による周囲の汚染を十分に抑制することができる。
【0032】
なお、筒状熱収縮性ラベル20の弾性率の比率(YTD/YMD)を、例えば1.0〜2.0の範囲内に調整することにより、開封時におけるラベルの横裂けを十分に抑制することができ、液剤の飛散による周囲の汚染を抑制し易くなる。
【0033】
上記構成を備えたラベル付きアンプル容器10は、例えばシュリンクラベラーによって、図5に示すように筒状熱収縮性ラベル20z(未収縮ラベル)をアンプル容器11に外嵌し、当該ラベルを熱収縮させることにより作製できる。筒状熱収縮性ラベル20が被せられたアンプル容器11は、例えば所定温度の熱風トンネル(例えば、150〜400℃の熱風)又はスチームトンネル(例えば、80〜100℃のスチーム)に供給される。そして、当該トンネルで筒状熱収縮性ラベル20zが熱収縮し、アンプル容器11の形状に追従してラベルが装着されたラベル付きアンプル容器10が得られる。筒状熱収縮性ラベル20zは、アンプル容器11に外嵌される前に、長尺体の状態でシュリンクラベラーに供給され、個々のアンプル容器11に装着可能なサイズにカットされることが好適である。筒状熱収縮性ラベル20は、容器装着後において、好ましくは胴部12の底周縁部12dから最大径部13bより上方に亘って筒状熱収縮性ラベル20が装着されるように、適切なサイズにカットすると共に、ラベル上端部21z及びラベル下端部22zを容器の適切な位置に合せる。
【0034】
図6は、実施形態の他の一例であるラベル付きアンプル容器10xの首部14近傍の拡大図である。図6に例示するように、筒状熱収縮性ラベル20xには、首部14に対応する位置からラベル上端部21xまでの部分(頭部13に装着される部分)に縦方向に延びる切断補助線24が形成されている。ラベル付きアンプル容器10xは、筒状熱収縮性ラベル20xが切断補助線24を有する点で、ラベル付きアンプル容器10と異なる(その他の構成は互いに同一)。切断補助線24は、例えばミシン目線、ハーフカット線、切り込み線であり、またラベル上端部21xと連続して形成された切り込み(ノッチ)であってもよい。図6では、切断補助線24として、貫通孔が所定間隔をあけて縦方向に並んだミシン目線を例示している。また、図6に示す例では、ラベル上端部21xから首部14に対応する位置を超え胴部12に装着される部分に亘って切断補助線24が形成されている。
【0035】
切断補助線24は、少なくともアンプル容器11を開封する際に頭部13が押される部分の反対側に位置するラベル上端部21xに形成されることが好ましい。例えば、アンプル容器11が開封方向が特定されたワンポイントアンプルの場合は、開封時に押される部分と反対側のみに切断補助線24を形成してもよい。但し、生産性等の観点から、切断補助線24は、筒状熱収縮性ラベル20の周方向に適当な間隔をあけて複数形成されることが好適である。切断補助線24は、例えば筒状熱収縮性ラベル20の周方向に略等間隔で3本以上形成されることが好ましく、3本〜10本形成されることが特に好ましい。
【0036】
切断補助線24は、アンプル容器11を開封する際、押圧された頭部13が倒れ込むことによって倒れ込んだ側のラベル上端部21xに力が作用したときに当該切断補助線24に沿ってラベル(延出部)を縦方向に破断させる役割を果たす。これにより、延出部の他の部分、特に開封により形成される開口部15に対向して液剤を受け止める側(即ち、頭部13の押圧される側)に作用する力が低減され、液剤を受け止める側の延出部の横裂けが抑制される。なお、切断補助線24に加えて、筒状熱収縮性ラベル20の弾性率の比率(YTD/YMD)を2.0以下に調整することが特に好ましい。さらに、図6に例示する形態では、筒状熱収縮性ラベル20のラベル基材としてポリエステル系フィルムを用いることが好適である。
【実施例】
【0037】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0038】
<実施例1>
[筒状熱収縮性ラベルの作製]
TD方向に熱収縮性を有し、且つTD方向に直交するMD方向の弾性率が1.4GPa、TD方向の弾性率が1.8GPaであるポリオレフィン製の熱収縮性フィルムを所定のサイズでカットし、TD方向が筒状体の周方向となるようにTD方向端部同士を重ね合わせて接合することにより、筒状熱収縮性ラベルA1を作製した。即ち、筒状熱収縮性ラベルA1の縦方向の弾性率(YMD)は1.4GPa、周方向の弾性率(YTD)は1.8GPa、YTD/YMDは1.3である。なお、ラベルの弾性率は、筒状体に成形する前の熱収縮性フィルムを用いて、JISK7127及びK7100に規定される試験法に準拠して測定した。
【0039】
[ラベル付きアンプル容器の作製]
アンプル容器には、図1及び図2に示す形状のプラスチック製容器を用いた。アンプル容器の各部の寸法は、下記の通りである。
首部から頭部の最大径部までの上下方向に沿った長さL1:3.0mm
頭部の最大径部の直径D13b:12.3mm
開口部の口径D15:8.1mm(D15×1/2=4.05mm)
胴部の直径(最大径部):24.8mm
胴部の上下方向長さ:88.1mm
アンプル容器の胴部の底周縁部から頭部の最大径部よりも上方に亘って筒状熱収縮性ラベルA1が装着されるように、ラベルを容器に外嵌し、当該ラベルを熱収縮させてラベル付きアンプル容器B1を得た。ラベル付きアンプル容器B1は、首部からラベル上端部までの上下方向に沿った筒状熱収縮性ラベルA1(延出部)の長さL2が6.5mmである。
【0040】
[液剤の手及び衣服への付着の有無(付着率)の評価]
ラベル付きアンプル容器B1を100本準備し、各ラベル付き容器の頭部を押圧してアンプル容器を開封した。このとき、開封操作を行った者の手及び衣服への液剤の付着について下記の基準に基づき評価した。評価結果は筒状熱収縮性ラベルの弾性率、上記L2等と共に表1に示した。
〇:液剤が胴部を握る手又は衣服に付着した確率が5%未満
△:液剤が胴部を握る手又は衣服に付着した確率が5%以上20%未満
×:液剤が胴部を握る手又は衣服に付着した確率が20%以上
【0041】
[筒状熱収縮性ラベルの横裂け評価]
上記開封操作を行った100本のラベル付きアンプル容器B1について、筒状熱収縮性ラベルA1の横裂けの発生率を算出した。
【0042】
<実施例2>
筒状熱収縮性ラベルの作製において、TD方向に熱収縮性を有し、MD方向の弾性率が1.7GPa、TD方向の弾性率が4.2GPaであるポリエステル製の熱収縮性フィルムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして筒状熱収縮性ラベルA2及びラベル付きアンプル容器B2を作製し、上記各評価を行った。
【0043】
<実施例3>
筒状熱収縮性ラベルの作製において、TD方向に熱収縮性を有し、MD方向の弾性率が2.3GPa、TD方向の弾性率が3.1GPaであるポリエステル製の熱収縮性フィルム(実施例2に比べて、縦方向に比較的大きく延伸処理を行いMD方向の弾性率を向上させたフィルム)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして筒状熱収縮性ラベルA3及びラベル付きアンプル容器B3を作製し、上記各評価を行った。
【0044】
<実施例4>
筒状熱収縮性ラベルの作製において、TD方向に熱収縮性を有し、MD方向の弾性率が1.3GPa、TD方向の弾性率が1.5GPaであるポリスチレン製の熱収縮性フィルムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして筒状熱収縮性ラベルA4及びラベル付きアンプル容器B4を作製し、上記各評価を行った。
【0045】
<比較例1>
首部からラベル上端部までの上下方向に沿った筒状熱収縮性ラベル(延出部)の長さL2を2.0mmとしたこと以外は、実施例1と同様にしてラベル付きアンプル容器を作製し、上記各評価を行った。
【0046】
【表1】
【0047】
表1の結果から分かるように、首部14に対応する位置からラベル上端部までの上下方向に沿ったラベルの長さL2を口径D15の1/2よりも長い6.5mmとした実施例のラベル付きアンプル容器では、開封時における手及び衣服への液剤の付着が殆ど又は全く発生しなかった。一方、長さL2を口径D15の1/2よりも短い2.0mmとした比較例のラベル付きアンプル容器では、液剤の付着率が20%以上であった。また、実施例のラベル付きアンプル容器において、筒状熱収縮性ラベルの弾性率の比率(YTD/YMD)を2.0以下(例えば1.2又は1.3)とすることにより、ラベルの横裂けを防止することができ、手及び衣服への液剤の付着をより確実に抑制することができた。
【符号の説明】
【0048】
10,10x ラベル付きアンプル容器、11 アンプル容器、12 胴部、12a 側面、12b 底部、12c 肩部、13 頭部、13a 側面、13b 最大径部、14 首部、15 開口部、20,20x,20z 筒状熱収縮性ラベル、21,21x,21z ラベル上端部、22,22z ラベル下端部、23 延出部、24 切断補助線
図1
図2
図3
図4
図5
図6