(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水素輸送用容器から供給される水素を圧縮して水素貯蔵用容器に充填する第1の圧縮手段と、前記水素貯蔵用容器から供給される水素を圧縮してディスペンサー用の蓄圧器に充填する第2の圧縮手段と、を備える水素ステーションであって、
前記第1及び第2の圧縮手段は、
複数の圧縮段を有すると共に圧縮段数が可変な単一の可変段圧縮機と、
前記可変段圧縮機を前記第1の圧縮手段として使用するように、前記可変段圧縮機の入口側に前記水素輸送用容器を配管接続し、前記可変段圧縮機の出口側に前記水素貯蔵用容器を配管接続する第1の接続形態、及び、前記可変段圧縮機を前記第2の圧縮手段として使用するように、前記可変段圧縮機の入口側に前記水素貯蔵用容器を配管接続し、前記可変段圧縮機の出口側に前記蓄圧器を配管接続する第2の接続形態、を選択的に切換え可能とする接続切換装置と、
前記水素輸送用容器から前記可変段圧縮機への入口配管、及び、前記水素貯蔵用容器から前記可変段圧縮機への入口配管のそれぞれに設けられ、前記可変段圧縮機の入口側要求圧力に応じて減圧圧力が設定された減圧弁と、
を含んで構成され、
前記第1の接続形態と前記第2の接続形態とで、前記可変段圧縮機の圧縮段数を変化させ、前記第1の接続形態では、前記第2の接続形態と比べ、前記可変段圧縮機の圧縮段数を小さくすることを特徴とする、水素ステーション。
水素輸送用容器から供給される水素を圧縮して水素貯蔵用容器に充填する第1の圧縮手段と、前記水素貯蔵用容器から供給される水素を圧縮してディスペンサー用の蓄圧器に充填する第2の圧縮手段と、を備える水素ステーションであって、
前記第1及び第2の圧縮手段は、
複数の圧縮段を有すると共に圧縮段数が可変な単一の可変段圧縮機と、
前記可変段圧縮機を前記第1の圧縮手段として使用するように、前記可変段圧縮機の入口側に前記水素輸送用容器を配管接続し、前記可変段圧縮機の出口側に前記水素貯蔵用容器を配管接続する第1の接続形態、及び、前記可変段圧縮機を前記第2の圧縮手段として使用するように、前記可変段圧縮機の入口側に前記水素貯蔵用容器を配管接続し、前記可変段圧縮機の出口側に前記蓄圧器を配管接続する第2の接続形態、を選択的に切換え可能とする接続切換装置と、
前記水素輸送用容器内の圧力を検出する第1の圧力検出装置と、
前記水素貯蔵用容器内の圧力を検出する第2の圧力検出装置と、
前記水素輸送用容器内の圧力に応じて、前記第1の圧縮手段として使用するときの前記可変段圧縮機の圧縮段数を変化させる第1の圧縮段数制御装置と、
前記水素貯蔵用容器内の圧力に応じて、前記第2の圧縮手段として使用するときの前記可変段圧縮機の圧縮段数を変化させる第2の圧縮段数制御装置と、
を含んで構成されることを特徴とする、水素ステーション。
前記可変段圧縮機から前記水素貯蔵用容器への出口配管、及び、前記可変段圧縮機から前記蓄圧器への出口配管のそれぞれに、前記水素貯蔵用容器及び前記蓄圧器の要求圧力に応じて減圧圧力が設定された減圧弁を有することを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の水素ステーション。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1は本発明の第1実施形態を示す水素ステーションのシステム図である。
【0014】
本実施形態の水素ステーションには、外部から、水素輸送用容器を用いて、水素が搬入される。水素輸送用容器としては、大型のボンベを束ねて搭載した自走式の水素トレーラ、又は、車両により搬送されて荷卸しされる小型のボンベ(シリンダ)を束ねた形の水素カードルなどがあり、特に限定されるものではない。但し、以下の説明では、便宜上、水素トレーラ1を用いるものとして説明する。
【0015】
本実施形態の水素ステーションは、水素トレーラ1から供給される水素を中圧(例えば45MPa)で貯蔵する、全体として大容量の、水素貯蔵用容器(以下単に「貯蔵用容器」という)2と、ディスペンサー4により燃料電池自動車(FCV)5へ供給する高圧(例えば82MPa)の水素を蓄圧する、全体として小容量の、蓄圧器3と、を備える。
【0016】
貯蔵用容器2へは、水素トレーラ1が到着したときに、水素トレーラ1から供給される水素を圧縮して充填する。
蓄圧器3へは、ディスペンサー4によるFCV5への充填ごと、又は蓄圧器3内の水素が所定量消費されるごとなどに、貯蔵用容器2から供給される水素を圧縮して充填する。
ここで、貯蔵用容器2への圧縮充填、及び、蓄圧器3への圧縮充填のため、単一の可変段圧縮機6が用いられる。
【0017】
可変段圧縮機6は、複数のレシプロ型の圧縮段(本実施形態では第1〜第5シリンダ)を有すると共に圧縮段数が可変である。
可変段圧縮機6は、具体的には、中央のクランク式回転駆動部10の回りに半径方向に放射状に第1〜第5シリンダ11〜15を有し、各シリンダ11〜15内にはクランク式回転駆動部10のクランク軸により駆動されて往復動するピストン(図示せず)を有している。そして、各シリンダ11〜15のシリンダヘッドとピストンとの間にポンプ室(図示せず)が形成され、各ポンプ室には吸入ポートa1〜a5と吐出ポートb1〜b5とが設けられている。尚、吸入ポートa1〜a5及び吐出ポートb1〜b5にはそれぞれ一方向弁(図示せず)が装着されている。
【0018】
そして、前段のシリンダ11〜14の吐出ポートb1〜b4と後段のシリンダ12〜15の吸入ポートa2〜a5とを連通路c1〜c4により接続することで、5段の圧縮機を構成している。
この5段の圧縮機は、第1シリンダ11の吸入ポートa1から水素を吸入し、5段で圧縮して、第5シリンダ15の吐出ポートb5から吐出する。
【0019】
一方、第2シリンダ12の吸入ポートa2への連通路c1に切換弁d2を設けて、4段用吸入通路e2を接続することで、4段の圧縮機を構成可能としている。
4段の圧縮機として使用する場合は、4段用吸入通路e2及び切換弁d2を用いて、第2シリンダ12の吸入ポートa2から水素を吸入し、4段で圧縮して、第5シリンダ15の吐出ポートb5から吐出する。この場合、使用しない圧縮段(第1シリンダ11)については、負荷をより低減するように、吸入側と吐出側とを連通させるなどするとよい。
【0020】
言い換えれば、可変段圧縮機6は、圧縮前の水素を、第1圧縮段である第1シリンダ11、又は、これより後段の第2シリンダ12に、選択的に吸入可能に構成することで、可変段(5段圧縮機及び4段圧縮機)を実現している。
【0021】
ここにおいて、可変段圧縮機6の第2シリンダ12の吸入ポートa2に切換弁d2を介してつながる4段用吸入通路e2には、入口側から順に、水素トレーラ1との接続用のカップリング20、開閉弁21、減圧弁22が設けられる。
従って、水素トレーラ1は、開閉弁21、減圧弁22を介して、可変段圧縮機6の4段用吸入通路e2(第2シリンダ12の吸入ポートa2)に接続される。減圧弁22の減圧圧力は例えば0.6MPaに設定される。
【0022】
貯蔵用容器2の出口側は、開閉弁23、減圧弁24を介して、可変段圧縮機6の第1シリンダ11の吸入ポートa1に接続される。減圧弁24の減圧圧力は例えば0.6MPaに設定される。
【0023】
可変段圧縮機6の最終圧縮段である第5シリンダ15の吐出ポートb5からの出口配管は、2つに分岐し、一方は開閉弁25、減圧弁26を介して、貯蔵用容器2の入口側に接続され、他方は開閉弁27、減圧弁28を介して、蓄圧器3の入口側に接続される。減圧弁26の減圧圧力は貯蔵用容器2の要求圧力に応じて例えば45MPaに設定される。減圧弁28の減圧圧力は蓄圧器3の要求圧力に応じて例えば82MPaに設定される。
【0024】
開閉弁21、23、25、27及び切換弁d2は、制御装置30により制御される。
制御装置30は、水素トレーラ1から貯蔵用容器2への圧縮充填時に、開閉弁21、25を開き、切換弁d2を4段用吸入通路e2と第2シリンダ12の吸入ポートa2とを連通させる位置に切換える。このとき、開閉弁23、27は閉状態に保持される。
制御装置30は、また、貯蔵用容器2から蓄圧器3への圧縮充填時に、開閉弁23、27を開き、切換弁d2を第1シリンダ11の吐出ポートb1と第2シリンダ12の吸入ポートa2とを連通させる位置に切換える。このとき、開閉弁21、25は閉状態に保持される。
【0025】
従って、開閉弁21、25及び開閉弁23、27は、可変段圧縮機6を貯蔵用容器2充填用の第1の圧縮手段として使用するように、可変段圧縮機6の入口側に水素トレーラ1を配管接続し、可変段圧縮機6の出口側に貯蔵用容器2を配管接続する第1の接続形態、及び、可変段圧縮機6を蓄圧器3充填用の第2の圧縮手段として使用するように、可変段圧縮機6の入口側に貯蔵用容器2を配管接続し、可変段圧縮機6の出口側に蓄圧器3を配管接続する第2の接続形態、を選択的に切換え可能とする接続切換装置に相当する。
また、前記第1の接続形態と前記第2の接続形態とで、可変段圧縮機6の圧縮段数を変化させる。具体的には、前記第1の接続形態では、前記第2の接続形態と比べ、可変段圧縮機6の圧縮段数を小さくする。
【0026】
次に第1実施形態の作用を説明する。
水素トレーラ1が到着すると、水素トレーラ1は荷卸しのためカップリング20に接続される。このとき、制御装置30によって、開閉弁21、25が開き、切換弁d2は4段用吸入通路e2と第2シリンダ12の吸入ポートa2とを連通する位置に切換えられる。尚、開閉弁23、27は閉じている。
【0027】
このとき、水素トレーラ1内の水素は、開閉弁21を通って減圧弁22で例えば0.6MPaまで減圧された後、切換弁d2を通って可変段圧縮機6の第2シリンダ12に吸入される。これにより、水素は第2〜第5シリンダ12〜15により4段で圧縮される。例えば、1段当たりの圧縮比を3.0とすると、4段で81倍となり、0.6MPaから48.6MPaまで昇圧される。
【0028】
可変段圧縮機6の第5シリンダ15の吐出ポートb5より吐出された水素は、開閉弁25を通って減圧弁26で例えば45MPaまで減圧された後、貯蔵用容器2内に充填される。
【0029】
貯蔵用容器2内に貯蔵されている中圧の水素を高圧にして蓄圧器3に蓄圧する際は、制御装置30によって、開閉弁23、27を開き、切換弁d2を第1シリンダ11の吐出ポートb1と第2シリンダ12の吸入ポートa2とを連通する位置に切換える。尚、開閉弁21、25は閉じている。
【0030】
このとき、貯蔵用容器2内の水素は、開閉弁23を通って減圧弁24で例えば0.6MPaまで減圧された後、可変段圧縮機6の第1シリンダ11に吸入される。これにより、水素は第1〜第5シリンダ11〜15により5段で圧縮される。例えば、1段当たりの圧縮比を3.0とすると、5段で243倍となり、0.6MPaから145.8MPaまで昇圧される。
【0031】
可変段圧縮機6の第5シリンダ15の吐出ポートb5より吐出された水素は、開閉弁27を通って減圧弁28で例えば82MPaまで減圧された後、蓄圧器3内に充填される。
蓄圧器3内に蓄圧された高圧の水素は、適宜、ディスペンサー4により、FCV5に差圧充填される。
【0032】
本実施形態によれば、水素トレーラ1から貯蔵用容器2への充填と、貯蔵用容器2から蓄圧器3への充填とを、1つの圧縮機6で賄うことができ、しかも、それぞれに適した圧縮段数で圧縮を行うことができ、設備コストの低減等を図ることができる。
【0033】
また、本実施形態では、水素トレーラ1から可変段圧縮機6への入口配管、及び、貯蔵用容器2から可変段圧縮機6への入口配管のそれぞれに、可変段圧縮機6の入口側要求圧力に応じて減圧圧力が設定された減圧弁22、24を有する。これにより、圧縮コストは増大するものの、水素トレーラ1や貯蔵用容器2から水素を十分に払い出すことができ、水素の運用効率が向上する。
【0034】
また、本実施形態では、可変段圧縮機6から貯蔵用容器2への出口配管、及び、可変段圧縮機6から蓄圧器3への出口配管のそれぞれに、貯蔵用容器2及び蓄圧器3の要求圧力に応じて減圧圧力が設定された減圧弁26、28を有する。これにより、貯蔵用容器2及び蓄圧器3の要求圧力を確実に実現することができる。
【0035】
図2は本発明の第2実施形態を示す水素ステーションのシステム図である。
図2において、
図1と同一要素には同一符号を付して説明を省略し、異なる要素について説明する。
【0036】
本実施形態では、圧縮機6の第4シリンダ14の吐出ポートb4からの連通路c4に切換弁f4を設けて、4段用吐出通路g4を接続することで、4段の圧縮機を構成可能としている。
4段の圧縮機として使用する場合は、第1シリンダ11の吸入ポートa1から水素を吸入し、4段で圧縮して、第4シリンダ14の吐出ポートb4から、切換弁f4及び4段用吐出通路g4を用いて、吐出する。
【0037】
言い換えれば、本実施形態の可変段圧縮機6は、圧縮後の水素を、最終圧縮段である第5シリンダ15、又は、これより前段の第4シリンダ14から、選択的に吐出可能に構成することで、可変段(5段圧縮機及び4段圧縮機)を実現している。
【0038】
ここにおいて、可変段圧縮機6の第1シリンダ11の吸入ポートa1への入口配管は、2つに分岐し、一方の分岐路には、入口側から順に、水素トレーラ1との接続用のカップリング20、開閉弁21、減圧弁22が設けられる。
従って、水素トレーラ1は、開閉弁21、減圧弁22を介して、可変段圧縮機6の第1シリンダ11の吸入ポートa1に接続される。減圧弁22の減圧圧力は例えば0.6MPaに設定される。
【0039】
そして、可変段圧縮機6の第1シリンダ11の吸入ポートa1への入口配管の他方の分岐路には、貯蔵用容器2の出口側が開閉弁23、減圧弁24を介して接続される。減圧弁24の減圧圧力は例えば0.6MPaに設定される。
【0040】
可変段圧縮機6の第4シリンダ14の吐出ポートb4に切換弁f4を介してつながる4段用吐出通路g4は、開閉弁25、減圧弁26を介して、貯蔵用容器2の入口側に接続される。減圧弁26の減圧圧力は貯蔵用容器2の要求圧力に応じて例えば45MPaに設定される。
可変段圧縮機6の第5シリンダ15の吐出ポートb5からの出口配管は、開閉弁27、減圧弁28を介して、蓄圧器3の入口側に接続される。減圧弁28の減圧圧力は蓄圧器3の要求圧力に応じて例えば82MPaに設定される。
【0041】
開閉弁21、23、25、27及び切換弁f4は、制御装置30により制御される。
制御装置30は、水素トレーラ1から貯蔵用容器2への圧縮充填時に、開閉弁21、25を開き、切換弁f4を第4シリンダ14の吐出ポートb4と4段用吐出通路g4とを連通させる位置に切換える。このとき、開閉弁23、27は閉状態に保持される。
制御装置30は、また、貯蔵用容器2から蓄圧器3への圧縮充填時に、開閉弁23、27を開き、切換弁f4を第4シリンダ14の吐出ポートb4と第5シリンダ15の吸入ポートa5とを連通させる位置に切換える。このとき、開閉弁21、25は閉状態に保持される。
【0042】
次に第2実施形態の作用を説明する。
水素トレーラ1が到着すると、水素トレーラ1は荷卸しのためカップリング20に接続される。このとき、制御装置30によって、開閉弁21、25が開き、切換弁f4は第4シリンダ14の吐出ポートb4と4段用吐出通路g4とを連通する位置に切換えられる。尚、開閉弁23、27は閉じている。
【0043】
このとき、水素トレーラ1内の水素は、開閉弁21を通って減圧弁22で例えば0.6MPaまで減圧された後、可変段圧縮機6の第1シリンダ11に吸入される。これにより、水素は第1〜第4シリンダ11〜14により4段で圧縮される。
【0044】
可変段圧縮機6の第4シリンダ14の吐出ポートb4より吐出された水素は、切換弁f4、4段用吐出通路g4、開閉弁25を通って減圧弁26で例えば45MPaまで減圧された後、貯蔵用容器2内に充填される。
【0045】
貯蔵用容器2内に貯蔵されている中圧の水素を高圧にして蓄圧器3に蓄圧する際は、制御装置30によって、開閉弁23、27を開き、切換弁f4を第4シリンダ14の吐出ポートb4と第5シリンダ15の吸入ポートa5とを連通する位置に切換える。尚、開閉弁21、25は閉じている。
【0046】
このとき、貯蔵用容器2内の水素は、開閉弁23を通って減圧弁24で例えば0.6MPaまで減圧された後、可変段圧縮機6の第1シリンダ11に吸入される。これにより、水素は第1〜第5シリンダ11〜15により5段で圧縮される。
【0047】
可変段圧縮機6の第5シリンダ15の吐出ポートb5より吐出された水素は、開閉弁27を通って減圧弁28で例えば82MPaまで減圧された後、蓄圧器3内に充填される。
蓄圧器3内に蓄圧された高圧の水素は、適宜、ディスペンサー4により、FCV5に差圧充填される。
【0048】
第2実施形態によれば、第1実施形態とほぼ同様の効果が得られる。
【0049】
図3は本発明の第3実施形態を示す水素ステーションのシステム図である。
図3において、
図1と同一要素には同一符号を付して説明を省略し、異なる要素について説明する。
【0050】
本実施形態では、圧縮機6の第2シリンダ12の吸入ポートa2への連通路c1に切換弁d2を設けて、4段用吸入通路e2を接続することで、4段の圧縮機を構成可能としている。
また、圧縮機6の第3シリンダ13の吸入ポートa3への連通路c2に切換弁d3を設けて、3段用吸入通路e3を接続することで、3段の圧縮機を構成可能としている。
また、圧縮機6の第4シリンダ14の吸入ポートa4への連通路c3に切換弁d4を設けて、2段用吸入通路e4を接続することで、2段の圧縮機を構成可能としている。
また、圧縮機6の第5シリンダ14の吸入ポートa5への連通路c4に切換弁d5を設けて、1段用吸入通路e5を接続することで、1段の圧縮機を構成可能としている。
【0051】
言い換えれば、可変段圧縮機6は、圧縮前の水素を、第1圧縮段である第1シリンダ11、又は、これより後段の第2〜第5シリンダ12〜15に、選択的に吸入可能に構成することで、可変段(5段圧縮機〜1段圧縮機)を実現している。
【0052】
ここにおいて、水素トレーラ1との接続用のカップリング20からの水素通路には、カップリング20側から順に、圧力センサ31、開閉弁21が設けられ、これらの下流側は、この例では4つに分岐して、それぞれに開閉弁42〜45と減圧弁52〜55とが設けられる。尚、開閉弁42〜45は開閉弁21の開時にいずれか1つが選択的に開となる。
そして、各減圧弁52〜55(各開閉弁42〜45)の下流側は、可変段圧縮機6の第2〜第5シリンダ12〜15の吸入ポートa2〜a5に切換弁d2〜d5を介してつながる4段〜1段用吸入通路e2〜e5(又はその一方の分岐路)に接続されている。
減圧弁52の減圧圧力は例えば0.6MPa、減圧弁53の減圧圧力は例えば1.8MPa、減圧弁54の減圧圧力は例えば5.4MPa、減圧弁55の減圧圧力は例えば16.2MPaに設定される。但し、減圧弁52〜55は省略可能である。
【0053】
貯蔵用容器2の出口側には、圧力センサ32、開閉弁23が順に設けられ、これらの下流側は、この例では3つに分岐して、それぞれに開閉弁61〜63と減圧弁71〜73とが設けられる。尚、開閉弁61〜63は開閉弁23の開時にいずれか1つが選択的に開となる。
そして、減圧弁71(開閉弁61)の下流側は、可変段圧縮機6の第1シリンダ11の吸入ポートa1に直接接続され、減圧弁72、73(開閉弁62、63)の下流側は、可変段圧縮機6の第2、第3シリンダ12、13の吸入ポートa2、a3に切換弁d2、d3を介してつながる4段、3段用吸入通路e2、e3の他方の分岐路に接続されている。
減圧弁71の減圧圧力は例えば0.6MPa、減圧弁72の減圧圧力は例えば1.8MPa、減圧弁73の減圧圧力は例えば5.4MPaに設定される。但し、減圧弁71〜73は省略可能である。
【0054】
可変段圧縮機6の最終圧縮段である第5シリンダ15の吐出ポートb5からの出口配管は、2つに分岐し、一方は開閉弁25、減圧弁26を介して、貯蔵用容器2の入口側に接続され、他方は開閉弁27、減圧弁28を介して、蓄圧器3の入口側に接続される。減圧弁26の減圧圧力は貯蔵用容器2の要求圧力に応じて例えば45MPaに設定される。減圧弁28の減圧圧力は蓄圧器3の要求圧力に応じて例えば82MPaに設定される。
【0055】
開閉弁21、23、25、27、42〜45、61〜63及び切換弁d2〜d5は、制御装置30により制御される。
圧力センサ31は、第1の圧力検出装置として、水素トレーラ1内の水素の圧力を検出する。圧力センサ32は、第2の圧力検出装置として、貯蔵用容器2内の水素の圧力を検出する。これらの圧力センサ31、32の検出信号は制御装置30に入力される。
【0056】
制御装置30は、水素トレーラ1から貯蔵用容器2への圧縮充填時に、開閉弁21、25を開くと共に、圧力センサ31により検出される水素トレーラ1内の水素圧力に応じて、目標とする45MPa以上の圧縮後圧力を得るように、圧縮段数を定めて、開閉弁42〜45のいずれか1つを選択的に開く。また、開閉弁42〜45の選択的に開くと同時に、対応する切換弁d2〜d5を選択的に切換える。このとき、開閉弁23、27は閉状態に保持される。
制御装置30は、また、貯蔵用容器2から蓄圧器3への圧縮充填時に、開閉弁23、27を開くと共に、圧力センサ32により検出される貯蔵用容器2内の水素圧力に応じて、目標とする82MPa以上の圧縮後圧力を得るように、圧縮段数を定めて、開閉弁61〜63のいずれか1つを選択的に開く。開閉弁62又は63を開いた場合は、これと同時に、対応する切換弁d2又はd3を選択的に切換える。このとき、開閉弁21、25は閉状態に保持される。
【0057】
従って、開閉弁21、25及び開閉弁23、27は、可変段圧縮機6を貯蔵用容器2充填用の第1の圧縮手段として使用するように、可変段圧縮機6の入口側に水素トレーラ1を配管接続し、可変段圧縮機6の出口側に貯蔵用容器2を配管接続する第1の接続形態、及び、可変段圧縮機6を蓄圧器3充填用の第2の圧縮手段として使用するように、可変段圧縮機6の入口側に貯蔵用容器2を配管接続し、可変段圧縮機6の出口側に蓄圧器3を配管接続する第2の接続形態、を選択的に切換え可能とする接続切換装置に相当する。
【0058】
開閉弁42〜45は、水素トレーラ1内の圧力に応じて、前記第1の圧縮手段として使用するときの可変段圧縮機6の圧縮段数を変化させる第1の圧縮段数制御装置に相当する。
開閉弁71〜73は、貯蔵用容器2内の圧力に応じて、前記第2の圧縮手段として使用するときの可変段圧縮機6の圧縮段数を変化させる第2の圧縮段数制御装置に相当する。
【0059】
次に第3実施形態の作用を説明する。
水素トレーラ1が到着すると、水素トレーラ1は荷卸しのためカップリング20に接続される。このとき、制御装置30によって、開閉弁21、25が開く。開閉弁23、27は閉じている。
また、制御装置30によって、圧力センサ31の信号に基づいて、水素トレーラ1内の圧力が検出され、これに応じて、開閉弁42〜45のいずれか1つが選択的に開く。また、対応する切換弁d2〜d5が選択的に切換えられる。
【0060】
このとき、水素トレーラ1内の水素は、開閉弁21から、開閉弁42〜45のいずれか1つを通り、更に対応する切換弁d2〜d5を通って、可変段圧縮機6の第2〜第5シリンダ12〜15のいずれか1つに吸入される。これにより、水素は第2シリンダ12に吸入された場合は4段で、第3シリンダ13に吸入された場合は3段で、第4シリンダ14に吸入された場合は2段で、第5シリンダ15に吸入された場合は1段で、圧縮される。
【0061】
こうして、水素トレーラ1内の圧力が高いときは、例えば開閉弁45又は44が開いて、1段又は2段で圧縮され、水素トレーラ1内の水素の払い出しに伴って、水素トレーラ1内の圧力が低下すると、例えば開閉弁43又は42が開いて、3段又は4段で圧縮される。これにより、水素トレーラ1内の圧力変化にかかわらず、目標とする45MPa以上の圧縮圧力が得られる。
【0062】
可変段圧縮機6の第5シリンダ15の吐出ポートb5より吐出された水素は、開閉弁25を通って減圧弁26で例えば45MPaまで減圧された後、貯蔵用容器2内に充填される。
【0063】
貯蔵用容器2内に貯蔵されている中圧の水素を高圧にして蓄圧器3に蓄圧する際は、制御装置30によって、開閉弁23、27が開く。開閉弁21、25は閉じている。
また、制御装置30によって、圧力センサ32の信号に基づいて、貯蔵用容器2内の圧力が検出され、これに応じて、開閉弁61〜63のいずれか1つが選択的に開く。また、開閉弁62又は63が開く場合は、対応する切換弁d2又はd3が切換えられる。
【0064】
このとき、貯蔵用容器2内の水素は、開閉弁23から、開閉弁61〜63のいずれか1つを通り、更に対応する切換弁d2、d3を通って(但し開閉弁62又は63の選択時のみ)、可変段圧縮機6の第1〜第3シリンダ11〜13のいずれか1つに吸入される。これにより、水素は第1シリンダ11に吸入された場合は5段で、第2シリンダ12に吸入された場合は4段で、第3シリンダ13に吸入された場合は3段で、圧縮される。
【0065】
こうして、貯蔵用容器2内の圧力が高いときは、例えば開閉弁63が開いて、3段で圧縮され、
貯蔵用容器2内の水素の払い出しに伴って、
貯蔵用容器2内の圧力が次第に低下すると、例えば開閉弁62が開いて、4段で、更には、例えば開閉弁61が開いて、5段で圧縮される。これにより、貯蔵用容器2内の圧力変化にかかわらず、目標とする82MPa以上の圧縮圧力が得られる。
【0066】
可変段圧縮機6の第5シリンダ15の吐出ポートb5より吐出された水素は、開閉弁27を通って減圧弁28で例えば82MPaまで減圧された後、蓄圧器3内に充填される。
蓄圧器3内に蓄圧された高圧の水素は、適宜、ディスペンサー4により、FCV5に差圧充填される。
【0067】
第3実施形態によれば、水素トレーラ1から貯蔵用容器2への圧縮充填時に、水素トレーラ1内の圧力を検出し、これに応じて圧縮段数を制御することで、圧力が高いときは、圧縮段数を小さくして、圧縮コストの低下を図り、払い出しによって圧力が低下したときは、圧縮段数を大きくして、要求される充填圧力を確保することができる。
また、貯蔵用容器2から蓄圧器3への圧縮充填時に、貯蔵用容器2内の圧力を検出し、これに応じて圧縮段数を制御することで、圧力が高いときは、圧縮段数を小さくして、圧縮コストの低下を図り、払い出しによって圧力が低下したときは、圧縮段数を大きくして、要求される充填圧力を確保することができる。
また、圧縮機6の前段で減圧弁42〜45、71〜73を用いるとしても、調整用であり、大幅な減圧をするものではないので、エネルギーロスを低減することができる。
【0068】
第3実施形態(
図3)では、水素トレーラ1から貯蔵用容器2への圧縮充填時には、4段〜1段に切換え可能とし、貯蔵用容器2から蓄圧器3への圧縮充填時には、5段〜3段に切換え可能としたが、これは図示の制約からであり、いずれの圧縮充填時においても5段〜1段に切換え可能としてもよい。
また、第3実施形態(
図3)では、圧縮段数を小さくする際に、第1実施形態(
図1)と同様、圧縮前の水素を第1圧縮段(第1シリンダ11)より後段に吸入可能とするようにしたが、第2実施形態(
図2)と同様に、圧縮後の水素を最終圧縮段(第5シリンダ15)より前段から吐出可能とするようにしてもよい。
【0069】
図示の実施形態はあくまで本発明を例示するものであり、本発明は、説明した実施形態により直接的に示されるものに加え、特許請求の範囲内で当業者によりなされる各種の改良・変更を包含するものであることは言うまでもない。