(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385306
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】ベルト型ろ過濃縮機のベルト洗浄装置
(51)【国際特許分類】
C02F 11/12 20060101AFI20180827BHJP
B01D 33/04 20060101ALI20180827BHJP
B01D 33/58 20060101ALI20180827BHJP
B01D 33/80 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
C02F11/12 DZAB
B01D33/04 A
B01D33/34
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-65392(P2015-65392)
(22)【出願日】2015年3月27日
(65)【公開番号】特開2016-182582(P2016-182582A)
(43)【公開日】2016年10月20日
【審査請求日】2017年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田村 崇
(72)【発明者】
【氏名】望月 泰浩
(72)【発明者】
【氏名】山本 章裕
【審査官】
片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−279715(JP,A)
【文献】
特開昭57−162699(JP,A)
【文献】
特開2010−069446(JP,A)
【文献】
特開2010−069447(JP,A)
【文献】
米国特許第05021166(US,A)
【文献】
特開2010−142740(JP,A)
【文献】
特開2010−137187(JP,A)
【文献】
特開平1−258789(JP,A)
【文献】
特開平11−104633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/40、11/00−12
B01D 33/00−40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透水性を備えた無端ベルトからなる搬送ベルトと、搬送ベルトの往路軌道において処理対象の汚泥から脱離した濃縮ろ液を回収する濃縮ろ液回収部と、回収した濃縮ろ液を洗浄水として貯溜する洗浄水タンクと、洗浄水タンクの洗浄水を搬送ベルトの復路軌道においてベルト面に噴射する洗浄水供給系を備え、
洗浄水タンクは槽内で生じるスカムを破砕して撹拌する撹拌手段を有することを特徴とするベルト型ろ過濃縮機のベルト洗浄装置。
【請求項2】
洗浄水供給系は、洗浄水を搬送ベルトのベルト面に噴射する洗浄用スプレーノズルと、洗浄用スプレーノズルに洗浄水タンクの洗浄水を給送する汚泥ポンプを有し、汚泥ポンプは、無閉塞型汚泥ポンプ、吸込スクリュー付汚泥ポンプ、水中汚泥ポンプ、吸込スクリュー付水中汚泥ポンプ、一軸ネジ式汚泥ポンプの何れかであることを特徴とする請求項1に記載のベルト型ろ過濃縮機のベルト洗浄装置。
【請求項3】
洗浄水供給系は、洗浄水タンクの濃縮ろ液をろ過するオートストレーナを有することを特徴とする請求項1または2に記載のベルト型ろ過濃縮機のベルト洗浄装置。
【請求項4】
洗浄水供給系は、下流先端側にフラッシング部を有することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のベルト型ろ過濃縮機のベルト洗浄装置。
【請求項5】
撹拌手段は、洗浄水タンクの濃縮ろ液を洗浄水タンクの水面に向けて噴射する破砕用スプレーノズル装置であることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のベルト型ろ過濃縮機のベルト洗浄装置。
【請求項6】
濃縮ろ液回収部は、搬送ベルトの往路軌道の前半部程度に対応して設けられていることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載のベルト型ろ過濃縮機のベルト洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水処理施設等において使用するベルト型ろ過濃縮機に係り、ベルトを洗浄する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のベルト型ろ過濃縮機には、例えば特許文献1に記載するものがある。これは、処理対象の汚泥に高分子凝集剤を撹拌混合して凝集フロックとなし、この凝集フロック化した処理対象の汚泥を透水性の搬送ベルトで搬送し、搬送ベルトで汚泥を重力ろ過して濃縮汚泥とするものである。搬送ベルトの往路軌道で重力ろ過によって処理対象の汚泥から脱離した濃縮ろ過水は洗浄水タンクに貯溜して搬送ベルトの洗浄水として利用する。洗浄水は搬送ベルトの復路軌道において搬送ベルトの表裏のベルト面に向けて洗浄用ノズルから噴射し、ベルト面に付着して残存する処理対象の汚泥を洗い流す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5164763号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成において、濃縮ろ液には高分子凝集剤や微細なフロックが含まれており、濃縮ろ液を洗浄水タンクに長く貯溜すると、汚泥分が結合して洗浄水タンク内で粗大なスカムとなる。通常、スカムは液面上に浮遊し、オーバーフローして排出されるが、ときにはベルト型ろ過濃縮機の運転を阻害する要因となる。濃縮ろ液を洗浄水として給送するには一般的に清水用途に用いられる渦巻ポンプを使用しており、濃縮ろ液の性状、例えば微細なスカムが含まれるなどの場合には渦巻ポンプが閉塞し、その清掃作業が必要となる。また、洗浄用ノズルの閉塞を防ぐために、配管の途中で洗浄用ノズルの上流側の位置にストレーナを設けているが、人的作業によって定期的に、あるいは任意の時に清掃作業を行う必要があった。また、濃縮ろ液に含まれた高分子凝集剤はストレーナを通過するので、汚泥分が配管内壁や洗浄ノズルに付着して成長する原因となる。
【0005】
本発明は上記した課題を解決するものであり、洗浄水タンク内で生じるスカムに阻害されることなく濃縮ろ液を洗浄水として利用することができるベルト型ろ過濃縮のベルト洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のベルト型ろ過濃縮機のベルト洗浄装置は、透水性を備えた無端ベルトからなる搬送ベルトと、搬送ベルトの往路軌道において処理対象の汚泥から脱離した濃縮ろ液を回収する濃縮ろ液回収部と、回収した濃縮ろ液を洗浄水として貯溜する洗浄水タンクと、洗浄水タンクの洗浄水を搬送ベルトの復路軌道においてベルト面に噴射する洗浄水供給系を備え、洗浄水タンクは槽内で生じるスカムを破砕して撹拌する撹拌手段を有することを特徴とする。
【0007】
本発明のベルト型ろ過濃縮機のベルト洗浄装置において、洗浄水供給系は、洗浄水を搬送ベルトのベルト面に噴射する洗浄用スプレーノズルと、洗浄用スプレーノズルに洗浄水タンクの洗浄水を給送する汚泥ポンプを有し、汚泥ポンプは、無閉塞型汚泥ポンプ、吸込スクリュー付汚泥ポンプ、水中汚泥ポンプ、吸込スクリュー付水中汚泥ポンプ、一軸ネジ式汚泥ポンプの何れかであることを特徴とする。
【0008】
本発明のベルト型ろ過濃縮機のベルト洗浄装置において、洗浄水供給系は、洗浄水タンクの濃縮ろ液をろ過するオートストレーナを有することを特徴とする。
本発明のベルト型ろ過濃縮機のベルト洗浄装置において、洗浄水供給系は、下流先端側にフラッシング部を有することを特徴とする。
【0009】
本発明のベルト型ろ過濃縮機のベルト洗浄装置において、撹拌手段は、洗浄水タンクの濃縮ろ液を洗浄水タンクの水面に向けて噴射する破砕用スプレーノズル装置であることを特徴とする。
【0010】
本発明のベルト型ろ過濃縮機のベルト洗浄装置において、濃縮ろ液回収部は、搬送ベルトの往路軌道の前半部程度に対応して設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上のように本発明によれば、搬送軌道の搬送ベルトから重力ろ過により脱離した濃縮ろ液が一部の高分子凝集を伴って濃縮ろ液回収部に落下し、濃縮ろ液回収部から洗浄水タンクに流入する。洗浄水タンクでは撹拌手段がタンク内の濃縮ろ液を撹拌する。このため、洗浄水タンク内にスカムが生じる場合にあっても、スカムが破砕により微細化されて濃縮ろ液中に撹拌混合される。微細化されたスカムは濃縮ろ液とともに洗浄水供給系を通して搬送ベルトの復路軌道において噴射されてベルト面を洗浄する。
【0012】
したがって、洗浄水タンク内で生じるスカムに阻害されることなく濃縮ろ液を洗浄水として利用することができ、洗浄水タンクにおいてスカムが生じてもオーバーフローで排出する必要がなく、ベルト型ろ過濃縮機の運転がスカムによって阻害されることがない。
【0013】
従来のように清水を扱う渦巻ポンプでは濃縮ろ液の性状によっては閉塞をきたす場合があるが、汚泥ポンプを使用することでスカムを含む濃縮ろ液を給送してもスカムに阻害されることなく、濃縮ろ液の性状によらず、濃縮ろ液を安定給送することができる。
【0014】
スカムは撹拌手段による微細化により基本的に洗浄用スプレーノズルから噴射できるが、ストレーナは濃縮ろ液の性状によっては頻繁に清掃作業を行う必要がある。このため、オートストレーナを使用することで、スカムを含む濃縮ろ液を給送する場合にあっても、自動的にストレーナのろ材を洗浄することで人的な清掃作業が不要となる。
【0015】
洗浄水供給系が先端側にフラッシング部を有することで、定期的、不定期的にフラッシングを行って洗浄水供給系の配管内を洗浄することで、配管や洗浄ノズルの閉塞頻度を低減することができる。撹拌手段が濃縮ろ液を洗浄水タンクの水面に向けて噴射する破砕用スプレーノズル装置からなることで、水面上にスカムが生じることを抑制し、発生してもただちに破砕してスカムがタンク内の水面上に滞留することを防ぎ、運転の安定を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態におけるベルト型ろ過濃縮機およびベルト洗浄装置を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1において、ベルト型ろ過濃縮機1は、搬送軌道2の上方を覆ってカバー3を配置し、搬送軌道2の下方にベルト洗浄装置4を配置している。
【0018】
搬送軌道2の上流側端部に凝集ボックス11を配置し、凝集ボックス11に処理対象の汚泥12を搬送軌道上に供給する供給シュート111を有しており、搬送軌道2の下流側端部には脱水濾過された濃縮汚泥121を排出する排出部13を有している。搬送軌道2は、上流側端部と下流側端部のそれぞれに配置したローラ14、15に掛け渡した搬送ベルト16からなる。
【0019】
搬送ベルト16は、透水性を有して処理対象の汚泥12を搬送しながら重力濾過するものであり、金属線材又は樹脂線材によって形成されており、表裏両面間を連通する多数の微小な開孔が形成されている。下流側のローラ15には駆動用の電動機17が連結されている。
【0020】
凝集ボックス11には汚泥供給管路18が接続し、汚泥供給管路18の途中に凝集剤供給管路19が接続している。凝集ボックス11は、原汚泥と高分子凝集剤とを攪拌混合し、汚泥を凝集させて凝集フロックを形成するものである。
【0021】
搬送ベルト16の往路軌道161、つまりベルトが汚泥供給側から汚泥排出側へ移動する軌道の下方には、処理対象の汚泥12から脱離して搬送ベルト16を透過した脱離水である濃縮ろ液を受け止める脱離水受け部20を設けており、脱離水受け部20は往路軌道の前半部程度に対応している。搬送ベルト16の復路軌道162、つまりベルトが汚泥排出側から汚泥供給側へ移動する軌道の下方には、脱離水および洗浄水である濃縮ろ液を受け止める総合水受け部21を設けており、総合水受け部21は搬送軌道2の上流側で洗浄水タンク22に連通しており、搬送軌道2の下流側で総合排水系23に連通している。脱離水受け部20と総合水受け部21でベルト洗浄装置4の濃縮ろ液回収部をなす。
【0022】
脱離水受け部20と総合水受け部21の何れの濃縮ろ液を洗浄水として利用するかは汚泥性状等により適宜選択することが可能である。
洗浄水タンク22にはベルト洗浄装置4の洗浄水供給系24が接続しており、洗浄水供給系24は洗浄水を搬送ベルト16の表裏のベルト面の少なくとも一方の面に噴射する洗浄用スプレーノズル25と、洗浄用スプレーノズル25に洗浄水タンク22の洗浄水を給送する汚泥ポンプ26と、汚泥ポンプ26の下流側に配置したオートストレーナ261を備えている。汚泥ポンプ26は、無閉塞型汚泥ポンプ、吸込スクリュー付汚泥ポンプ、水中汚泥ポンプ、吸込スクリュー付水中汚泥ポンプ、一軸ネジ式汚泥ポンプの何れかである。
【0023】
洗浄水供給系24の下流先端側に上下の洗浄用スプレーノズル25に連通してフラッシング部27を有しており、フラッシング部27は電動弁28を備え、フラッシング部27の下流側が総合排水系23に連通している。
【0024】
洗浄水タンク22には給水系29が接続し、槽内で生じるスカムを破砕して撹拌する撹拌手段を有している。撹拌手段には撹拌翼を持つ撹拌機等の種々のものが採用できるが、本実施の形態では破砕用スプレーノズル装置30を設けている。
【0025】
破砕用スプレーノズル装置30は、洗浄水タンク22の水面上に配置すると、洗浄水供給系24から分岐して破砕用スプレーノズル31に連通する破砕用水供給管32からなり、洗浄水タンク22の濃縮ろ液を破砕用スプレーノズル31から洗浄水タンク22の水面に向けて噴射する。
【0026】
以下、上記構成における作用を説明する。汚泥供給管18から供給する処理対象の汚泥12および凝集剤供給管路19から供給する高分子凝集剤を凝集ボックス11で撹拌して汚泥を凝集フロック化し、処理対象の汚泥12を凝集ボックス11の供給シュート111から搬送ベルト16の往路軌道161のベルト面上に投入する。
【0027】
搬送ベルト16で汚泥12を搬送する間に、搬送ベルト16の往路軌道161から重力ろ過により脱離した濃縮ろ液が一部の高分子凝集を伴って濃縮ろ液回収部の脱離水受け部20および総合水受け部21に落下し、総合水受け部21から総合排水系23に流れ、あるいは洗浄水タンク22に流入する。
【0028】
洗浄水タンク22では、槽内水位に応じて給水系29から給水し、破砕用スプレーノズル装置30がタンク内の濃縮ろ液を撹拌する。すなわち、破砕用スプレーノズル31から濃縮ろ液を洗浄水タンク22の水面に向けて噴射することで、水面上にスカムが生じることを抑制し、発生してもただちに破砕してスカムがタンク内の水面上に滞留することを防ぎ、運転の安定を確保する。このため、洗浄水タンク22にスカムが生じる場合にあっても、スカムが破砕により微細化されて濃縮ろ液中に撹拌混合される。
【0029】
微細化されたスカムは濃縮ろ液とともに汚泥ポンプ26により洗浄水供給系24を通して搬送ベルト16の復路軌道162において洗浄用スプレーノズル25からベルト面に向けて噴射され、ベルト面を洗浄する。従来のように清水を扱う渦巻ポンプでは濃縮ろ液の性状によっては閉塞をきたす場合があるが、汚泥ポンプ26を使用することでスカムを含む濃縮ろ液を給送してもスカムに阻害されることなく、濃縮ろ液の性状によらず、濃縮ろ液を安定給送することができる。
【0030】
また、スカムは微細化により基本的に洗浄用スプレーノズル25から噴射できるが、ストレーナは濃縮ろ液の性状によっては清掃作業を行う必要がある。しかし、オートストレーナ261を使用することで、スカムを含む濃縮ろ液を給送する場合にあっても、自動的にストレーナのろ材を洗浄することで人的な清掃作業が不要となる。
【0031】
また、フラッシング部27の電動弁28を開放することで、定期的、不定期的にフラッシングを行って洗浄水供給系24の配管内を洗浄することで、配管や洗浄ノズルの閉塞頻度を低減することができる。
【0032】
したがって、本実施の形態に係るベルト型ろ過濃縮機1のベルト洗浄装置4によれば、洗浄水タンク22で生じるスカムに阻害されることなく濃縮ろ液を洗浄水として利用することができ、洗浄水タンク22においてスカムが生じてもオーバーフローで排出する必要がなく、ベルト型ろ過濃縮機の運転がスカムによって阻害されることがない。
【符号の説明】
【0033】
1 ベルト型ろ過濃縮機
2 搬送軌道
3 カバー
4 ベルト洗浄装置
11 凝集ボックス
12 汚泥
13 排出部
14、15 ローラ
16 搬送ベルト
17 電動機
18 汚泥供給管路
19 凝集剤供給管路
20 脱離水受け部
21 総合水受け部
22 洗浄水タンク
23 総合排水系
24 洗浄水供給系
25 洗浄用スプレーノズル
26 汚泥ポンプ
27 フラッシング部
28 電動弁
29 給水系
30 破砕用スプレーノズル装置
31 破砕用スプレーノズル
32 破砕用水供給管
111 供給シュート
121 濃縮汚泥
161 往路軌道
162 復路軌道
261 オートストレーナ