特許第6385310号(P6385310)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385310
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】バッテリ装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20180827BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20180827BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20180827BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   H02J7/00 S
   H02H7/18
   H01M10/48 P
   H01M10/44 P
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-87050(P2015-87050)
(22)【出願日】2015年4月21日
(65)【公開番号】特開2016-208646(P2016-208646A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2018年2月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】前谷 文彦
【審査官】 赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−166752(JP,A)
【文献】 特開2013−059212(JP,A)
【文献】 特開2015−133893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00−7/12
H02J 7/34−7/36
H01M 10/42−10/48
H02H 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池と、
第一の充放電制御トランジスタと、前記二次電池の電圧を検知し充放電を制御する第一の充放電制御回路と、を有する第一の充放電制御装置と、
前記第一の充放電制御トランジスタを介して外部端子と接続された第二の充放電制御トランジスタと、前記二次電池の電圧を検知し充放電を制御する第二の充放電制御回路と、を有する第二の充放電制御装置と、
を備えたバッテリ装置であって、
前記第二の充放電制御回路の過電流検出端子と前記外部端子の間にスイッチ回路を備え、
前記スイッチ回路は、前記第二の充放電制御回路の放電停止信号によってオンする
ことを特徴とするバッテリ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池の充放電を制御する充放電制御装置を備えたバッテリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図3に、従来のバッテリ装置の回路図を示す。
従来のバッテリ装置は、二次電池11と、充放電制御装置23と、外部正極端子24と、外部負極端子25を備えている。充放電制御装置23は、Nch放電制御電界効果トランジスタ16と、Nch充電制御電界効果トランジスタ17と、充放電制御回路14と、抵抗12、15と、容量13とを備えている。充放電制御回路14は、正極電源端子18と、負極電源端子19と、放電制御信号出力端子20と、充電制御信号出力端子21と、過電流検出端子22とを備えている。
【0003】
充放電制御回路14は、正極電源端子18、負極電源端子19の間に印加される電圧によって二次電池11の電圧を監視している。二次電池11の電圧が過充電検出電圧を上回った場合に、充電制御信号出力端子21から充電禁止信号を出力し、Nch充電制御電界効果トランジスタ17をオフさせ、充電を停止する。これを過充電検出機能と呼ぶ。二次電池11の電池電圧が過放電検出電圧を下回った場合に、放電制御信号出力端子20から放電停止信号を出力し、Nch放電制御電界効果トランジスタ16をオフさせ、放電を停止する。これを過放電検出機能と呼ぶ。
【0004】
また、充放電制御回路14は、過電流検出端子22の電圧によってバッテリ装置に流れる電流を監視している。過電流検出端子22の電圧が放電過電流検出電圧を上回った場合に、放電制御信号出力端子20から放電停止信号を出力し、Nch放電制御電界効果トランジスタ16をオフさせ、放電を停止する。これを放電過電流検出機能と呼ぶ。過電流検出端子22の電圧が充電過電流検出電圧を下回った場合に、充電制御信号出力端子21から充電禁止信号を出力し、Nch充電制御電界効果トランジスタ17をオフさせ、充電を停止する。これを充電過電流検出機能と呼ぶ。
【0005】
現在では、さらに安全なバッテリ装置を提供するため、充放電制御装置を2つ備えたバッテリ装置がよく用いられている。バッテリ装置は、充放電制御装置を2つ設けることで、万が一、第一の充放電制御装置が動作できなかった場合においても、第二の充放電制御装置が動作するため、バッテリ装置の安全性を高めることが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−34163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の充放電制御装置を2つ備えたバッテリ装置では、第二の充放電制御装置が放電過電流検出をした後に、第一の充放電制御装置が過放電検出し、Nch放電制御電界効果トランジスタがオフしてしまうため、放電過電流の原因となった負荷を外しても第二の充放電制御装置の過電流検出端子の電圧に変化が起きないため、通常状態に復帰できない場合がある、という課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従来の課題を解決するために、本発明のバッテリ装置は以下のような構成とした。
第一の充放電制御トランジスタと、二次電池の電圧を検知し充放電を制御する第一の充放電制御回路と、を有する第一の充放電制御装置と、第一の充放電制御トランジスタを介して外部端子と接続された第二の充放電制御トランジスタと、二次電池の電圧を検知し充放電を制御する第二の充放電制御回路と、を有する第二の充放電制御装置と、を備え、第二の充放電制御回路の過電流検出端子と外部端子の間にスイッチ回路を備え、スイッチ回路は、第二の充放電制御回路の放電停止信号によってオンすることを特徴とするバッテリ装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第二の充放電制御回路が放電過電流検出した場合に、外部負極端子と第二の充放電制御回路の過電流検出端子が同電圧となるようにし、過電流検出端子の電圧が放電過電流解除回路の閾値を上回ることで、放電過電流の原因となった負荷を外した場合に、放電過電流解除回路の閾値を下回り、通常状態に復帰出来るようになり、安全性が高く、使い勝手のよいバッテリ装置の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態のバッテリ装置の回路図である。
図2】本実施形態のバッテリ装置の他の例を示す回路図である。
図3】従来のバッテリ装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態のバッテリ装置の回路図である。
本実施形態のバッテリ装置は、二次電池11と、第一の充放電制御装置23と、第二の充放電制御装置43と、外部正極端子24と、外部負極端子25と、スイッチ回路53とを備えている。
【0012】
第一の充放電制御装置23は、Nch放電制御電界効果トランジスタ16と、Nch充電制御電界効果トランジスタ17と、充放電制御回路14と、抵抗12及び15と、容量13とを備えている。充放電制御回路14は、正極電源端子18と、負極電源端子19、放電制御信号出力端子20と、充電制御信号出力端子21と、過電流検出端子22とを備えている。スイッチ回路53はPch電界効果トランジスタ51、52で構成されている。 充放電制御回路14は、制御回路26と、放電過電流検出回路27と、放電過電流解除回路28とを備えている。
【0013】
第二の充放電制御装置43は、Nch放電制御電界効果トランジスタ36と、Nch充電制御電界効果トランジスタ37と、充放電制御回路34と、抵抗32、35と、容量33とを備えている。充放電制御回路34は、正極電源端子38と、負極電源端子39、放電制御信号出力端子40と、充電制御信号出力端子41と、過電流検出端子42とを備えている。充放電制御回路34は、制御回路46と、放電過電流検出回路47と、放電過電流解除回路28とを備えている。
【0014】
二次電池11は、正極は外部正極端子24と抵抗12、32に接続され、負極は容量33と負極電源端子39とNch放電制御電界効果トランジスタ36のソース及びバックゲートに接続される。正極電源端子38は、抵抗32と容量33の接続点に接続される。Nch放電制御電界効果トランジスタ36は、ゲートは放電制御信号出力端子40に接続され、ドレインはNch充電制御電界効果トランジスタ37のドレインに接続される。Nch充電制御電界効果トランジスタ37は、ゲートは充電制御信号出力端子41に接続され、ソース及びバックゲートは容量13と負極電源端子19とNch放電制御電界効果トラ
ンジスタ16のソース及びバックゲート、及び抵抗35の一方の端子(ノード60と称する)に接続される。抵抗35の他方の端子は、過電流検出端子42とPch電界効果トランジスタ51のソース及びバックゲートに接続される。Pch電界効果トランジスタ51のゲートは放電制御端子40とPch電界効果トランジスタ52のゲートに接続される。Pch電界効果トランジスタ51のドレインは、Pch電界効果トランジスタ52のドレインと接続される。Pch電界効果トランジスタ52のソース及びバックゲートは、外部負極端子25、抵抗15の一方の端子、Nch充電制御電界効果トランジスタ17のソース及びバックゲートに接続される。抵抗15の他方の端子は、過電流検出端子22と接続される。正極電源端子18は、抵抗12と容量13の接続点に接続される。Nch放電制御電界効果トランジスタ16のゲートは、放電制御端子20と接続され、ドレインはNch充電制御電界効果トランジスタ17のドレインと接続される。Nch充電制御電界効果トランジスタ17のゲートは、充電制御端子21と接続される。
【0015】
次に、本実施形態のバッテリ装置の動作について説明する。
二次電池11が過充電検出電圧以下かつ過放電検出電圧以上である時、Nch放電制御電界効果トランジスタ16、36とNch充電制御電界効果トランジスタ17、37はオンするように制御される。この状態で、外部正極端子24と外部負極端子25の間に接続された負荷に放電電流が流れると、負極電源端子19と外部負極端子25の間に電圧差が発生する。第一の充放電制御装置23は、この電圧差を過電流検出端子22によって監視し、放電過電流検出回路27で設定した放電過電流検出電圧を上回った場合に、放電制御端子20から放電停止信号を出力し、Nch放電制御電界効果トランジスタ16をオフさせ、放電過電流保護をかける。
【0016】
制御回路26は、放電過電流状態では放電過電流検出端子22と負極電源端子19をショートして、放電過電流の原因となった負荷が外された時に、過電流検出端子22の電圧が低下するようにしている。放電過電流解除回路28は、閾値を放電過電流検出電圧よりも高い値に設定している。過電流検出端子22の電圧が放電過電流解除回路28の閾値を上回っていない場合は、放電過電流状態の解除は放電過電流検出電圧を下回ることで行われる。過電流検出端子22の電圧が放電過電流解除回路28の閾値を上回ると、放電過電流解除回路28が動作し、放電過電流状態を放電過電流解除回路28の閾値で解除する。従って、負荷が外された場合に通常状態へ復帰しやすいように制御している。
【0017】
放電過電流保護機能が動作してNch放電制御電界効果トランジスタ16がオフすると、外部負極端子25及び過電流検出端子22の電圧は、負荷によって外部正極端子24に近い値になる。このとき、過電流検出端子22の電圧は放電過電流解除回路28の閾値を上回るので、負荷が外された時に高い電圧である放電過電流解除回路28の閾値で放電過電流状態を解除するため使い勝手が良くなる。
【0018】
次に、第二の充放電制御装置43の放電過電流保護がかかった場合について考える。第二の充放電制御装置43は、負極電源端子39とノード60の間に発生する電圧差を過電流検出端子42によって監視し、放電過電流検出回路47で設定した放電過電流検出電圧を上回った場合に、放電制御端子40から放電停止信号を出力し、Nch放電制御電界効果トランジスタ36をオフさせ、放電過電流保護をかける。
【0019】
第二の充放電制御回路34が放電停止信号を出力した時に、スイッチ回路53がオンし、第二の充放電制御回路34の過電流検出端子42と外部負極端子25を同じ電圧にする。こうすることで、第二の充放電制御装置43の放電過電流保護が働いた場合に、過電流検出端子42は放電過電流解除回路48の閾値を確実に上回ることができ、放電過電流の原因となった負荷を外した場合に高く設定した放電過電流解除回路48の閾値により放電過電流状態を解除できるようになるため、通常状態に復帰がしやすく使い勝手の良いバッ
テリ装置の提供が可能になる。
【0020】
なお、Pch電界効果トランジスタ51のソース及びバックゲートは、第二の充放電制御回路34の過電流検出端子42に接続されるとしたが、ノード60に接続してもよい。また、バッテリの放電電流のみの制御を行う場合にも本発明を利用できることは自明のことである。
【0021】
以上により、本実施形態のバッテリ装置は第二の充放電制御装置が放電過電流検出した場合に、外部負極端子と第二の充放電制御回路の過電流検出端子を同電圧とするスイッチ回路を設けることで、原因となった負荷を外した時に、放電過電流状態を解除し通常状態に復帰できることができ、安全性が高く、使い勝手の良いバッテリ装置とすることができる。
【0022】
図2は、本実施形態のバッテリ装置の他の例を示す回路図である。図1のバッテリ装置との違いは、第二の充放電制御装置の過電流検出を抵抗に電流が流れて発生する電圧を監視するようにしたことである。第二の充放電制御装置63に抵抗49を、第二の充放電制御回路34の過電流検出端子50を追加したことと、過電流検出端子42を外部電圧入力端子62としたことである。
【0023】
抵抗49は、一方の端子は二次電池11の負極端子と容量33と負極電源端子39の接続点に接続され、他方の端子はNch放電制御電界効果トランジスタ36のソース及びバックゲートと過電流検出端子50に接続される。過電流検出端子50は、制御回路46、放電過電流検出回路47に接続され、外部電圧入力端子62は放電過電流解除回路48と制御回路46に接続される。その他は、図1のバッテリ装置と同様の接続である。
【0024】
次に、図2のバッテリ装置の動作について説明する。
第一の充放電制御装置23による放電過電流保護の動作は図1のバッテリ装置の動作と同様である。
【0025】
第二の充放電制御装置63の放電過電流保護がかかった場合について考える。第二の充放電制御装置63は、抵抗49の両端に発生する電圧差を過電流検出端子50によって監視し、放電過電流検出回路47で設定した放電過電流検出電圧を上回った場合に、放電制御端子40から放電停止信号を出力し、Nch放電制御電界効果トランジスタ36をオフさせ、放電過電流保護をかける。第二の充放電制御回路54が放電停止信号を出力した時に、スイッチ回路53がオンし、第二の充放電制御回路54の外部電圧入力端子62と外部負極端子25を同電圧とする。こうすることで、第二の充放電制御装置63の放電過電流保護が働いた場合に、外部電圧入力端子62は放電過電流解除回路48の閾値を確実に上回ることができ、放電過電流の原因となった負荷を外した場合に高く設定した放電過電流解除回路48の閾値により放電過電流状態を解除できるようになるため、通常状態に復帰がしやすく使い勝手の良いバッテリ装置の提供が可能になる。
【0026】
なお、Pch電界効果トランジスタ51のソース及びバックゲートは、外部電圧入力端子62に接続されるとしたが、ノード60に接続してもよい。
抵抗に電流が流れることで発生する電圧差によって過電流検出をする充放電制御装置を第二の充放電制御装置のみとしたが、第一の充放電制御装置も、抵抗に電流が流れることで発生する電圧差によって過電流検出をする充放電制御装置としてもよい。
また、バッテリの放電電流のみの制御を行う場合にも本発明を利用できることは自明のことである。
【0027】
以上により、第一の実施形態のバッテリ装置は第二の充放電制御装置が放電過電流検出
した場合に、外部負極端子と第二の充放電制御回路の外部電圧入力端子を同電圧とするスイッチ回路を設けることで、原因となった負荷を外した時に、放電過電流状態を解除し通常状態に復帰できることができ、安全性が高く、使い勝手の良いバッテリ装置とすることができる。
【符号の説明】
【0028】
11 二次電池
14、34、充放電制御回路
23、43、63 充放電制御装置
26、46 制御回路
27、47 放電過電流検出回路
28、48 放電過電流解除回路
53 スイッチ回路
図1
図2
図3