特許第6385338号(P6385338)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マーポス、ソチエタ、ペル、アツィオーニの特許一覧

特許6385338視覚システムの視野内において工作機械の工具を位置決めするための方法、及び、関連する工作機械
<>
  • 特許6385338-視覚システムの視野内において工作機械の工具を位置決めするための方法、及び、関連する工作機械 図000002
  • 特許6385338-視覚システムの視野内において工作機械の工具を位置決めするための方法、及び、関連する工作機械 図000003
  • 特許6385338-視覚システムの視野内において工作機械の工具を位置決めするための方法、及び、関連する工作機械 図000004
  • 特許6385338-視覚システムの視野内において工作機械の工具を位置決めするための方法、及び、関連する工作機械 図000005
  • 特許6385338-視覚システムの視野内において工作機械の工具を位置決めするための方法、及び、関連する工作機械 図000006
  • 特許6385338-視覚システムの視野内において工作機械の工具を位置決めするための方法、及び、関連する工作機械 図000007
  • 特許6385338-視覚システムの視野内において工作機械の工具を位置決めするための方法、及び、関連する工作機械 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385338
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】視覚システムの視野内において工作機械の工具を位置決めするための方法、及び、関連する工作機械
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/19 20060101AFI20180827BHJP
   B23Q 17/22 20060101ALI20180827BHJP
   B23Q 17/24 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   G05B19/19 H
   G05B19/19 Q
   B23Q17/22 D
   B23Q17/24 Z
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-506242(P2015-506242)
(86)(22)【出願日】2013年4月18日
(65)【公表番号】特表2015-518213(P2015-518213A)
(43)【公表日】2015年6月25日
(86)【国際出願番号】EP2013058117
(87)【国際公開番号】WO2013156575
(87)【国際公開日】20131024
【審査請求日】2016年2月22日
(31)【優先権主張番号】BO2012A000221
(32)【優先日】2012年4月20日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】500200708
【氏名又は名称】マーポス、ソチエタ、ペル、アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】MARPOSS S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】ステファノ、パッシーニ
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト、ブルーニ
【審査官】 藤井 浩介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−285910(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02000869(EP,A1)
【文献】 特開平10−138100(JP,A)
【文献】 特開平05−200654(JP,A)
【文献】 特開2002−018680(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0021208(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 17/22,17/24
G05B 19/18−19/416;19/42−19/427
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具(3)を計測するための視覚システム(7)の視野(20)内において数値制御工作機械(1)のスピンドル(2)に装着された工具(3)を位置決めするための方法であって、
前記工作機械(1)は、第1電子制御ユニット(4)を有しており、
前記視覚システム(7)は、前記第1電子制御ユニット(4)と通信するように、それに接続された第2電子制御ユニット(10)を有しており、
前記視野(20)内で、前記工具(3)の所定の部分(13)についての目標位置(Zobj)を規定する工程と、
前記第1電子制御ユニット(4)によって、参照位置(Z0)から開始される少なくとも1つの移動軸(Z)に沿った前記スピンドル(2)の第1の移動を制御し(35)、前記工具(3)の前記所定の部分(13)を前記目標位置(Zobj)に向かって移動させる一方で、前記視覚システム(7)が前記視野(20)の画像を取得するという工程と、
前記視覚システム(7)が、取得された画像(IM1)に基づいて、前記工具(3)の前記所定の部分(13)が前記視野(20)に入ったということを検出する(36)と直ちに、前記第1電子制御ユニット(4)によって、前記移動軸(Z)に沿った前記スピンドル(2)の前記第1の移動の停止を制御する工程(37)と、
前記停止が制御される時、前記第1電子制御ユニット(4)によって、前記スピンドル(2)の即時位置(Z1)を取得する工程(38)と、
前記工具(3)の前記所定の部分(13)が視認可能であるという前記取得された画像に基づき、前記第2電子制御ユニット(10)によって、前記移動軸(Z)に沿って前記工具(3)の前記所定の部分(13)と前記目標位置(Zobj)との間の第1の距離(POS)を計測する工程(39)と、
前記第1電子制御ユニット(4)によって、前記スピンドル(2)の前記即時位置(Z1)と前記第1の距離(POS)との代数和として、当該スピンドル(2)についての第1の最終位置(Z2)を算出する工程(40)と、
前記第1電子制御ユニット(4)によって、前記スピンドル(2)を前記第1の最終位置(Z2)にもたらすために当該スピンドル(2)を前記移動軸(Z)に沿って移動させる工程(42)と、
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記スピンドルが前記第1の最終位置(Z2)で静止している時に、前記視覚システム(7)によって、前記視野(20)の第1の更なる画像(IM2)を取得する工程(44)と、
前記第1の更なる画像(IM2)に基づき、前記移動軸(Z)に沿って前記工具(3)の前記所定の部分(13)と前記目標位置(Zobj)との間の第2の距離(POS2)を計測する工程(45)と、
前記第1の最終位置と前記第2の距離(POS2)との代数和として、スピンドル(2)についての第2の最終位置を算出する工程(46)と、
前記スピンドル(2)を前記第2の最終位置にもたらすために当該スピンドル(2)を移動軸(Z)に沿って移動させる工程(42)と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記移動軸(Z)に沿って前記工具(3)の寸法を評価する工程と、
前記移動軸(Z)に沿って、前記視覚システム(7)に向かう前記スピンドル(2)の予備的な移動(31)を起動する工程であって、当該移動の大きさは前記工具(3)の前記評価された寸法に依存する、という工程と、
前記スピンドル(2)が前記予備的な移動の後で静止している時、前記視覚システム(7)によって、前記参照位置(Z0)における前記視野(20)の予備画像(IM0)を取得する工程(32)と、
前記予備画像(IM0)に基づき、前記工具(3)の前記所定の部分(13)が前記視野(20)の内部にあるか否かを点検する工程(33)と、
前述の点検工程が否定的な結果を有する場合にのみ、前記スピンドル(2)の第1の移動(35)を制御する工程を開始する工程と、
を有する準備段階を更に備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記予備画像(IM0)に基づいて行われる前記点検工程(33、34)が、前記工具(3)が完全に前記視野(20)の外部にあるということを示す場合、前記スピンドル(2)の前記第1の移動(35)を制御する工程は、第1の方向において実行される
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記予備画像(IM0)に基づいて行われる前記点検工程(33、34)が、前記所定の部分(13)とは異なる前記工具(3)の一部が前記視野(20)の内部にあるということを示す場合、前記スピンドル(2)の前記第1の移動(35)を制御する工程は、第2の方向において実行される(47)
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記視覚システム(7)は、
光源(8)と、
イメージセンサ(9)であって、工具(3)が前記光源(8)と当該イメージセンサ(9)との間に位置付けられている時に、前記工具(3)の影のプロファイル(shadow profile)の画像を取得するために当該光源(8)の前方に一定の距離を置いて位置付けられるイメージセンサ(9)と、
を有している
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記スピンドル(2)は、それが回転軸(2a)周りに回転し続ける間に少なくとも1つの移動軸(Z)に沿って、移動される
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
工具(3)が装着されたスピンドル(2)と、
前記スピンドル(2)の回転速度と少なくとも1つの移動軸(Z)に沿った当該スピンドル(2)の移動とを制御し、且つ、前記移動軸(Z)に沿った当該スピンドル(2)の位置を記録するようになっている第1電子制御ユニット(4)と、
前記工具(3)を計測するための視覚システム(7)と、
を備え、
前記視覚システム(7)は、前記第1電子制御ユニット(4)と通信するようにそれに接続されている第2電子制御ユニット(10)を有しており、
前記2つの電子制御ユニット(4、10)は、請求項1乃至のいずれかに記載の方法を実行するように設定されている
ことを特徴とする数値制御工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、数値制御工作機械のスピンドルに装着された工具を、当該工具を計測するために、視覚システムの視野内において位置決めするための方法に関する。
【0002】
本発明はまた、そのような方法を実行する工作機械に関する。
【0003】
特には、有利なことに、しかし、排他的ではないが、本発明は、視覚システムによって行われる工具の自動計測工程に先立って、当該工具を移動させる段階において適用され得る。当該視覚装置は、説明において一般性を失うことなく、明白に言及されるであろう。
【背景技術】
【0004】
周知であるが、数値制御工作機械は、物体を加工するための工具を保持してそれを回転させるスピンドルを有する機械的構造と、3以上の移動軸に沿ったスピンドルの移動と工具の回転速度とを正確に制御するための電子制御ユニットと、を有している。
【0005】
工作機械の工具は、ひとたびそれがスピンドルに装着されると、その実効的な寸法を決定するために、または、いくらかの作業時間後のその摩耗量を決定するために、それが回転している間にも、計測されなければならない。この目的のために、工作機械には、工具が回転している間にも当該工具の寸法を計測することを可能にする自動計測システムが装備されている。
【0006】
既知の自動計測システムは、光受信機に接続されたレーザ源を有しており、当該光受信機は、レーザ源から射出されるレーザビームが物体によって遮られる時点を検出することが可能である。例えば、公称長さに対する工具長さの差異等の工具寸法の計測は、まずスピンドルを参照位置に運び、その後、当該スピンドルを、レーザビームを横切る方向に沿って当該レーザビームに向かって移動させることにより行われる。後者(レーザビーム)は、参照位置から既知の距離で静止している。工具の先端がレーザビームを遮る時、より具体的には、当該先端がレーザビームの所定量の断面積を遮る時、制御ユニットは、参照位置に対するスピンドルの新たな位置を記録する。
【0007】
レーザビームの遮断に基づく計測システムは、レーザビームの断面の直径と比較した工具先端の寸法と工具先端の形状との双方の変化に伴って非常に変わりやすい計測精度を有する、という不都合がある。更に、そのような種類の計測システムは、工具先端に存在する可能性があるあらゆる汚れ(例えば油滴)を、工具の一部として誤解釈し得て、計測ミスを引き起こしてしまう。
【0008】
視覚システム、すなわち、合焦されていない放射光のビームを提供する光源と、CCDカメラであって光源と当該カメラとの間に挿入される物体の影のプロファイルの画像を取得するCCDカメラと、を有する自動計測システムも、知られている。そのような計測システムは、レーザビームに基づく計測システムの不都合を克服し得る、すなわち、一様の計測精度を提供し、且つ、工具先端に存在する汚れを識別し得る。計測は、それ自身の軸線周りに回転する工具が、視野内において位置付けられる時に実行される。工具の正しい位置決めを保証するために、回転するスピンドルは、例えば段階的に進められて、各段階において、取得画像から先端の位置が直接的にリアルタイムで点検される。
【0009】
しかしながら、視覚システムの画像取得時間は、極めて長い。実際に、それは、カメラのリフレッシュレートによって著しく制限され、これは、工具の極めて遅い移動速度の選択を強いる。そうでなければ、視覚システムは、工具を正確にフレームし得ないであろう。これは、工具計測を実行するために必要とされる最短時間を非常に制限している。更に、視野の特定の領域において工具を高精度で位置付けることが必要とされる時には、進行の更なる減速のために、必要とされる時間は一層長くなる。あるいは、選択的に、高精度な位置決めの反復過程が必要となる。
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、視覚システムの視野内において数値制御工作機械の工具を迅速に位置決めするための方法を提供することである。そのような方法は、前述の不都合が無く、同時に、容易かつ安価に実施される。
【0011】
本発明の目的はまた、そのような位置決め方法を実行し得る工作機械を、実現することである。
【0012】
本発明によれば、添付の特許請求の範囲において請求される事項に従って、工具を計測するための視覚システムの視野内において数値制御工作機械のスピンドルに装着された工具を位置付けるための方法、及び、数値制御工作機械が、提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明は、今、非限定的な例によって与えられる、添付の数枚の図面を参照して説明される。
図1】スピンドルに装着された工具を位置決めするための、本発明の好ましい一実施の形態による方法を実行する数値制御工作機械を示している。
図2】本発明による位置決め方法の、ある工程における図1に示される工作機械のスピンドルを概略的に図示している。
図3】本発明による位置決め方法の、図2とは異なる工程における図1に示される工作機械のスピンドルを概略的に図示している。
図4】本発明による位置決め方法の、図2及び図3とは異なる工程における図1に示される工作機械のスピンドルを概略的に図示している。
図5】本発明による位置決め方法の、図2乃至図4とは異なる工程における図1に示される工作機械のスピンドルを概略的に図示している。
図6】本発明の更なる実施の形態による追加的な位置決め工程に関連する、図5の拡大された詳細を示している。
図7】本発明による位置決め方法の工程のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1において、数値制御(「NC」)工作機械は、総称的に参照1によって一般的に示されている。NC工作機械1は、工具3が装着されるスピンドル2と、工作機械1の数値制御を具現し、スピンドル2の回転速度及び少なくとも1つの移動軸に沿った移動を制御し得る、第1電子制御ユニット4と、を有している。典型的には、制御ユニット4は、それ自体は公知であり今後不図示の専用のアクチュエータによって、3つのデカルト軸X、Y及びZに沿ってスピンドル2の移動を制御する。
【0015】
移動軸に沿ったスピンドル2の移動は、常に、プログラムの一部である機械語の指示によって開始される。一方、そのような移動は、一般に「スキップインプット」と呼ばれる制御ユニット4の特定のインプット5を通じて、外部ユニットの制御のもとに停止され得る。制御ユニット4はまた、例えば、制御信号がインプット5で受信された時に、移動軸に沿ったスピンドル2の位置を記録するように、セットアップされている。その上、制御ユニット4は、例えば、イーサネット(登録商標)のネットワークのポート等の通信インターフェース6を、有している。
【0016】
工作機械1には、当該工作機械1がスピンドル2のそれ自身の回転軸2a周りの回転を維持する間に、工具3の寸法を計測するようになっている視覚システム7が、設けられている。特には、視覚システム7は、光源8と、イメージセンサ、典型的には光源8の前方に当該光源8から特定の距離で位置付けられているカメラ9であって、移動軸に沿ったスピンドル2の移動によって後者(工具3)が光源8とカメラ9との間に位置付けられる工具3の影のプロファイルの画像を取得するためのイメージセンサと、を有している。光源8は、合焦されていない光線を生成し、カメラ9は、例えば、デジタルCCDカメラである。
【0017】
カメラ9は、工具3のための計測領域を規定する視野20を特徴付けている。計測は、回転する工具3をカメラ9の視野20内において位置付け、視野20の画像を取得し、取得画像から工具3の寸法を算出することによって、行われる。
【0018】
本発明によれば、視覚システム7は、制御ユニット4に制御内容(controls)を送信し、且つ、当該制御ユニット4とデータを交換するために第1制御ユニット4に接続された第2電子制御ユニット10を有している。図1の概略図では、制御ユニット10は、光源8及びカメラ9を保持するフレーム内に物理的に一体化されて示されているが、それは、物理的に分離された要素として実現され得る。特には、制御ユニット10は、制御ユニット4のインプット5に接続可能なアウトプット11と、制御ユニット4の通信インターフェース6に接続可能な通信ポート12と、を有している。制御ユニット4及び10は、視覚システム7の視野20内において工具3を位置付けるための方法、より具体的には、これより図2乃至図5を参照して説明される本発明の方法を実行するために、プログラムされている。
【0019】
図2は、開始位置、つまりゼロ位置におけるスピンドル2を概略的に示しており、スピンドル2上に装着された工具3は、カメラ9の視野20から完全に外に出ている(後者(カメラ9)は、図2乃至図5において図示されていない)。例えば、視野20は、0.3乃至0.5mmの長さの第1の辺及び0.2乃至0.4mmの長さの第2の辺を、有している。図において、例として概略的に示されている工具3は、長手方向の工具軸3aを規定している。スピンドル2は、工具軸3aが実質的に回転軸2aに重なるように工具3をクランプしている。視野20における工具3の位置決めの間、及び、それに続く工具3を計測するための作動の間、スピンドル2は軸2a周りの回転が維持される。
【0020】
本発明によれば、工具3の所定の部分、特には先端13、についての目標位置が、視野20内において規定されている。当該目標位置は、図において鉛直の高さZobjとして示されており、典型的には、視野20内において軸Zの方向に沿った中央位置に配置されている。これは、視野20の中央部分は、通常、最高の性能を保証する部分だからである。
【0021】
図7のフローチャートは、本発明による位置決め方法の工程を示しており、「高精度な位置決め」の追加的な選択的段階をも含んでいる。フローチャートの複数のブロックによって示されている複数のステップは、次の説明において言及される。
【0022】
位置決め手順が開始する時(図7のブロック30)、予備段階(ブロック31)において、制御ユニット4は、スピンドル2の回転を維持する間、軸Zに沿ってゼロ位置から始まり視覚システム7に向かうスピンドル2の予備的な移動を、制御する。軸Zの方向に沿った工具3の寸法Lの概算に依存する大きさである予備的な移動は、工具3の先端13を視野20の内部に配置することを目指す。工具3の寸法Lは、前もって、例えば較正手順の間に評価され、工作機械1の制御ユニット4内に記憶させられる。そのような評価は、オペレータによって手動で行われ得て、制御ユニット4内の適切なテーブル内に記憶させられ得る。この予備段階の終わりに、スピンドル2は、鉛直の移動軸Zに沿った参照位置Z0に位置付けられ、その位置で、工具3の所定の部分、より具体的には先端13は、視野20の内部に配置され得るか、そのような視野20を通過した後で(図において示されている配置を参照して)その下方に配置されるか、または、寸法Lが過大評価される時に生じる例である図3のそれに対応する配置で、その上方に配置される。スピンドル2の参照位置Z0に応じて、視覚システム7を通じて、視野20の予備画像IM0が取得され(ブロック32)、前記3つの出来事のいずれが確かめられるかを検出するために、点検工程が実行される(ブロック33及び34)。より具体的には、工具3の所定の部分(先端)13が視野20の内部にあるか否かが点検され、先端13がそのような視野20の下方または上方にある場合には、否定的な結果(ブロック33からのアウトプットN)が提供される。
【0023】
スピンドル2の参照位置Z0において、工具3が完全に視野20の外方、より具体的には上方にあるという図3において概略的に示されている出来事―予備画像IM0を取得する制御ユニット10によって確かめられ、検出される(ブロック34からのアウトプットY)出来事―が確かめられる場合、スピンドル2の回転を維持する間、制御ユニット4は、参照位置Z0から開始し、且つ、工具3の先端13が目標位置Zobjに向かって移動する第1の方向において、軸Zに沿ったスピンドル2の連続的な第1の移動を制御する(ブロック35)。スピンドル2のこの第1の移動の間、視覚システム7は、視野20の複数の画像を取得する。図3の例において、スピンドル2の連続的な第1の移動は、鉛直下方への移動である。
【0024】
軸Zに沿ったスピンドル2の第1の移動は、視覚システム7が、取得された画像の1つに基づいて、工具3の先端13が視野20に入ったということを検出する(ブロック36からのアウトプットY)とすぐに、停止される。そのような例が図4において示されている。より具体的には、制御ユニット10は、以後においてIM1と呼ばれる取得画像を探すために、カメラ9によって1枚ずつ取得された複数の画像を作り上げる(elaborates)。IM1においては、工具3の少なくとも一部、より具体的には先端13、の影のプロファイルが視認可能である。換言すれば、視覚システム7は、工具3のいわゆる「外/内」アプローチを取り扱う。
制御ユニット10がIM1を検出するとすぐに(図4において矢印によって示されているように、スピンドルが軸Zに沿って進行する間)、それは、インプット5に制御信号を送信することによって、制御ユニット4にスピンドル2の移動を停止、特にはその進行、を停止するように命じるために、アウトプット11において停止制御を提供する(ブロック37)。ひとたび停止制御が受信されると、制御ユニット4は、スピンドル2の進行の停止プロセスを開始し(ブロック38)、当該スピンドル2の対応する即時位置Z1を取得及び記録する。特には、記録される即時位置Z1は、制御ユニット4が軸Zに沿ったスピンドル2の移動の停止を命じる瞬間、すなわち、前述のようにそれが停止プロセスを開始する瞬間における回転するスピンドル2の位置である。
【0025】
この段階で、制御ユニット10は、画像IM1に基づいて、先端13と目標位置Zobjとの間の第1の距離POSを、測定する(ブロック39)。制御ユニット4は、通信インターフェース6と通信ポート12とを含む接続を通じて、そのような第1の距離POSを制御ユニット10に要求し、及び、当該制御ユニット10から取得する。そして、制御ユニット4は、スピンドル2についての第1の最終位置Z2を当該スピンドル2の即時位置Z1と距離POSとの代数和として、算出する(ブロック40)。第1の距離POSは、(図4の配置におけるように)先端13が目標位置Zobjを通過しない場合は正の値であり、先端13が目標位置Zobjを通過した場合は負の値である。
【0026】
軸Zに沿ったスピンドル2の進行の実際の停止(テストブロック41からのアウトプットY)の後で、その時点で工具3の先端13が視野20の内部であり得るか、または、それを超えて通過し得ているが、制御ユニット4は、スピンドル2を直接にそのような第1の最終位置Z2にもたらす(ブロック42及び図5)ために、軸Zに沿ったスピンドル2の移動を制御する。その後、スピンドル2によって、それゆえ先端13によって、実行される即時位置Z1に対する移動は、距離POSであり、かくして、図5に示されるように、先端13が実質的に目標位置Zobjに運ばれる。
【0027】
スピンドル2が実際に軸Zに沿って停止される時、先端13の真の位置は、次の理由によって画像IM1によって示される位置ではないと考えられ得る。
【0028】
−画像IM1の取得の瞬間とスピンドル2の進行の停止プロセスの開始に対応した当該画像IM1の記録の瞬間との間で、時間間隔ΔT1が経過する。そのような時間間隔ΔT1は、視覚システム7の特性並びに制御ユニット4及び10の電気回路構成の特性に起因する。従って、それは可変であり、視野20における先端13の移動時間と比較して無視できない。
【0029】
−スピンドル2は、制御ユニット4が当該スピンドル2にその進行を停止するように指示する瞬間からスピンドル2の進行が真に停止する瞬間に亘る時間間隔ΔT2における、軸Zに沿った減速に影響を受けやすく、それ(時間間隔ΔT2)は、可変性によって影響を受ける。
【0030】
前述の考察の観点から、及び、本発明の好ましい実施の形態に従って、前記方法は、前述の主要な位置決め段階に加えて「高精度な位置決め」の選択的段階(高精度な位置決めが要求されるということを示すテストブロック43のアウトプットY)を含む。その間、常に回転するスピンドル2の軸Zに沿った位置が図5の第1の最終位置Z2において固定される時に、視覚システム7は、視野20の第1の更なる画像IM2を取得する。特には、制御ユニット4は、通信インターフェース6と通信ポート12とを有する接続を通じて、工具3の先端13と軸Zに沿った目標位置Zobjとの間の、第1の更なる画像IM2に基づいて取得(ブロック45)される第2の距離POS2の値を制御ユニット10に要求し、及び、当該制御ユニット10から取得する。制御ユニット4は、第1の最終位置Z2と第2の距離POS2の代数和としてスピンドル2についての第2の最終位置を算出し(ブロック46)、スピンドル2を直接に第2の最終位置にもたらすように、軸Zに沿った当該スピンドル2の移動を制御する(主要な位置決め段階におけるのと同様、ブロック42)。このようにして、時間間隔ΔT1及びΔT2に起因する最終的な位置決めの誤差が調整される。
【0031】
第2の距離POS2が、図5の拡大された詳細、より具体的には、図5の視野20の第1の更なる画像IM2の中央領域の詳細である、図6において示されているということが指摘される。そのような追加的な段階は、第1の位置決め段階(図4及び図5)を参照して説明されるものと実質的に同じ方法で起こるので、追加的な高精度な位置決めの段階によって到達される第2の最終位置を示す追加的な図面は、不要であると考えられる。
【0032】
前述の通り、軸Zに沿ったスピンドル2の予備的な移動の終わりに、軸Zの方向に沿った工具3の寸法Lの過小評価に起因して、図2の参照位置Z0において、工具3の所定の部分、より具体的には先端13は、視野20の下方(図において示されている配置を参照)に配置され得る(ブロック34からのアウトプットN)。この出来事(図示されていない)は、予備画像IM0を取得し、先端13とは異なる工具3の一部が視野20内において位置付けられるということを確認する制御ユニット10によって、検出される(ブロック33及び34)。この場合も、本発明による位置決めのための方法は、制御ユニット4がスピンドル2の回転を維持する間、参照位置Z0から工具3の先端13を目標位置Zobjに向かって動かす方向に始まる軸Zに沿ったスピンドル2の連続的な第1の移動を制御するということを、規定する。この場合、スピンドル2の第1の移動は、「内/外」アプローチを伴って第1の方向とは反対の第2の方向、すなわち、図の配置を参照し、上方向においてである。図7におけるブロック47は、移動方向が逆にされるということを示している。この場合においても、軸Zに沿ったスピンドル2の第1の移動(ブロック35)は、視覚システム7が取得された画像に基づいて工具3の先端13が視野20に入ったということを検出するとすぐに、停止される。後続の工程は、「外/内」アプローチと呼んで既に説明されたものと同一である。
【0033】
前述の予備的段階にある時、すなわち、軸Zに沿ったスピンドル2の予備的な移動の終わりに、図2の参照位置Z0において、(軸Zの方向に沿った工具3の寸法Lの実質的に修正された評価のおかげで)工具3の先端13が視野20内に位置付けられる、ということが検出される(ブロック33からのアウトプットY)。当該予備的段階にある時、スピンドル2の第1の移動の制御の段階、並びに、そのような移動の間の、後の処理及び制御を伴う視野20の画像の取得の段階、は必要とされず、わずか1サイクルの前述(ブロック44、45、46及び42)のそれと同様の「高精度な位置決め」が実行される。
【0034】
軸Zに沿ったスピンドル2の移動速度が速すぎる場合、先端13が視野20を通り過ぎるために、工具3の先端13を含む取得画像IM1が検出され得ないという状態が生じ得る。従って、位置決めサイクルは、制御ユニット4によって制御されるセキュリティプロセスに従って停止され、及び、図7においてテストブロック48で示されているが、その後、スピンドル2は例えば参照位置Z0に戻されて、位置決めサイクルが再開される。
【0035】
ひとたび工具3の位置決めが本発明に従った方法によって実行されると、これまで説明されたように、工具3は、視覚システム7を通じた寸法及び/または形状の点検サイクルに曝される。サイクルそれ自体は既知であるので、ここでは論じられない。図7におけるブロック49は、位置決め段階の終了を示している。
【0036】
前述の説明から、本発明の位置決め方法は、工具3が異なる移動軸、例えば、軸Xまたは軸Yに沿った移動によって視野20に入るという場合においても、適用され得るということが明らかである。この場合、目標位置は、それぞれの軸XまたはYに沿った水平位置によって示される。
【0037】
更に、本発明の位置決め方法は、視覚システム7の視野20内において、不規則な形状及び/または視野20のそれよりも非常に大きい寸法を有し、それらの回転軸が視野20の外にあるという回転する工具の位置決めに、使用され得る。これらの場合、位置決め方法の目的は、視野20における目標位置に相応する位置に、工具の所定の部分、典型的には縁の地点、をもたらすような態様で、スピンドル2を移動することである。
【0038】
工具を位置決めするに当たっての前述の方法の主要な利点は、工具のわずかな画像の処理のみが必要とされるため、高い位置決め速度を得ることである。同時に、本方法は、スピンドルの最終位置が処理画像から直接算出される静止している工具の先端と視野の目標位置との間の変位に従って調整されるため、高精度な位置決めを得ることができる。これは、追加的な高精度な位置決めの段階が実行される時に、より一層真実となる。更に、機械における工具の寸法は、必ずしも事前に知られる必要が無い。
【0039】
非限定的な例によってこれまで説明され及び図示されたことに対する変更が可能であり、例えば、制御ユニット4及び10の作動に関して、それらは単一のユニット内に一体化され得て、または、いくつかの操作をそれらの間で交換し得る。例えば、スピンドルの位置(Z0、Z1、Z2)についての情報を、制御ユニット4に要求し、且つ、当該制御ユニット4から受信し、それを距離POS、POS2の値と共に処理するのが、視覚システム7の制御ユニット10であり得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7