(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
配列番号14のヌクレオチド配列を含むダイズイベントpDAB9582.816.15.1を含むゲノムを含むダイズ種子であって、前記ゲノムがCry1F、Cry1AcおよびPAT遺伝子を発現するヌクレオチド配列を含み、American Type Culture Collectionに受託番号PTA−12588の下で寄託されている、ダイズ種子。
前記ゲノムが配列番号1の1258位〜1288位;配列番号1の1223位〜1323位;配列番号1の1173位〜1373位;配列番号1の1073位〜1473位;配列番号2の160位〜190位;配列番号2の125位〜225位;および配列番号2の75位〜275位からなる群から選択されるヌクレオチド配列、ならびにその相補物を含む、請求項1に記載のダイズ種子。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態は、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1と称されダイズの細胞のゲノム内の特定の部位に挿入されている、本明細書に記載のcry1Fv3(cry1F)、cry1Ac synpro(cry1Ac)およびpat v6(pat)を含む、新しい昆虫抵抗性かつ除草剤耐性のトランスジェニックダイズ形質転換イベントに関する。代表的なダイズ種子は、American Type Culture Collection(ATCC)に、パラグラフ[0033]において識別される受託番号で寄託されている。このイベントを含有するダイズ植物のDNAは、ダイズゲノム内の挿入DNAの位置を特徴付ける本明細書に記載の接合部/隣接配列を含む。配列番号1および配列番号2は、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1に特徴的である。より詳細には、配列番号1のbp1273/1274、配列番号2のbp175/176および316/317、にある接合部を取り囲む配列が、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1に特徴的である。下のパラグラフ[0012]には、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1を含有するダイズのDNAの特性であるこれらの接合部を含む配列の例が記載されている。
【0007】
一実施形態では、本開示は、シュードプルシア・インクルデンス(Pseudoplusia includens)(ダイズシャクトリムシ)に対して抵抗性であり、配列番号1のbp1258〜1288;配列番号1のbp1223〜1323;配列番号1のbp1173〜1373;配列番号1のbp1073〜1473;配列番号2のbp160〜190;配列番号2のbp125〜225;および配列番号2のbp75〜275からなる群から選択される1つまたは複数の配列、ならびにその相補物を含むゲノムを有するダイズ植物またはその部位を提供する。別の実施形態では、本開示は、そのような植物の種子を提供する。
【0008】
別の実施形態では、本開示は、昆虫を昆虫抵抗性ダイズ植物に曝露させて、それにより昆虫を防除するステップを含む、昆虫を防除する方法であって、ダイズ植物がダイズイベントpDAB9582.816.15.1が存在することの特徴である配列番号1のbp1258〜1288;配列番号1のbp1223〜1323;配列番号1のbp1173〜1373;配列番号1のbp1073〜1473;配列番号2のbp160〜190;配列番号2のbp125〜225;および配列番号2のbp75〜275からなる群から選択される1つまたは複数の配列;ならびにその相補物を含有するゲノムを有する方法を提供する。ダイズイベントpDAB9582.816.15.1にcry1F v3(cry1F)遺伝子およびcry1Ac synpro(cry1Ac)遺伝子が存在することにより、例えば、シュードプルシア・インクルデンス(Pseudoplusia includens)(ダイズシャクトリムシ)、アンチカルシア・ゲムマタリス(Anticarsia gemmatalis)(ハッショウマメイモムシ(velvetbean caterpillar))、エピノチア・アポレマ(Epinotia aporema)、オモイデス・インジカタス(Omoides indicatus)、ラチプルシア・ヌ(Rachiplusia nu)、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)、スポドプテラ・コスモイデス(Spodoptera cosmoides)、スポドプテラ・エリダニア(Spodoptera eridania)、ヘリオチス・ビレセンス(Heliothis virescens)、ヘリコベルパ・ゼア(Heliocoverpa zea)、スピロソーマ・ビルギニカ(Spilosoma virginica)およびエラスモパルパス・リグノセルス(Elasmopalpus lignosellus)に対する抵抗性が付与される。
【0009】
別の実施形態では、本開示は、ダイズ作物において雑草を防除する方法であって、グルホシネート除草剤をダイズ作物に施用するステップを含み、前記ダイズ作物が、配列番号1のbp1258〜1288;配列番号1のbp1223〜1323;配列番号1のbp1173〜1373;配列番号1のbp1073〜1473;配列番号2のbp160〜190;配列番号2のbp125〜225;および配列番号2のbp75〜275からなる群から選択される1つまたは複数の配列;ならびにその相補物を含有するゲノムを有するダイズ植物を含み、これらの配列が、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1の存在に特徴的である、方法を提供する。ダイズイベントpDAB9582.816.15.1にpat遺伝子が存在することにより、グルホシネート除草剤に対する耐性が付与される。
【0010】
別の実施形態では、本開示は、ダイズDNAを含む試料においてダイズイベントpDAB9582.816.15.1を検出する方法であって、
(a)前記試料を、配列番号1のbp1〜1273内の隣接配列またはその相補物に選択的に結合する、長さが少なくとも10bpである第1のプライマー、および配列番号1のbp1274〜1577内の挿入断片配列またはその相補物に選択的に結合する、長さが少なくとも10bpである第2のプライマーと接触させ、前記プライマー間に生成したアンプリコンについてアッセイするステップ、または
(b)前記試料を、配列番号2のbp1〜175内の挿入断片配列またはその相補物に選択的に結合する、長さが少なくとも10bpである第1のプライマー、および配列番号2のbp176〜1687内の隣接配列またはその相補物に選択的に結合する、長さが少なくとも10bpである第2のプライマーと接触させるステップ、および
(c)前記プライマー間に生成したアンプリコンについてアッセイするステップ
を含む方法を提供する。
【0011】
別の実施形態では、本開示は、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1を検出する方法であって、
(a)前記試料を、配列番号1のbp1〜1273および配列番号2のbp176〜1687からなる群から選択される隣接配列およびその相補物に選択的に結合する第1のプライマー;ならびに配列番号3、またはその相補物に選択的に結合する第2のプライマー;と接触させるステップと、
(b)前記試料をポリメラーゼ連鎖反応に供するステップと、
(c)前記プライマー間に生成したアンプリコンについてアッセイするステップと
を含む方法を提供する。
【0012】
別の実施形態では、本開示は、ダイズ植物を育種する方法であって、第1の植物と第2のダイズ植物を交雑させて第3のダイズ植物を作出するステップであり、前記第1の植物が配列番号1のbp1258〜1288;配列番号1のbp1223〜1323;配列番号1のbp1173〜1373;配列番号1のbp1073〜1473;配列番号2のbp160〜190;配列番号2のbp125〜225;および配列番号2のbp75〜275からなる群から選択される1つまたは複数の配列;ならびにその相補物を含むDNAを含む、ステップと、前記第3のダイズ植物を、配列番号1のbp1258〜1288;配列番号1のbp1223〜1323;配列番号1のbp1173〜1373;配列番号1のbp1073〜1473;配列番号2のbp160〜190;配列番号2のbp125〜225;および配列番号2のbp75〜275およびその相補物を含むDNAの存在についてアッセイするステップとを含む方法を提供する。
【0013】
別の実施形態では、本開示は、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1に特徴的である、単離されたDNA分子を提供する。そのような分子は、配列番号1および2に加えて、配列番号1のbp1273〜1274および配列番号1のbp1273/1274接合部から各方向に少なくとも10bpを含む、長さが少なくとも25bpの分子;配列番号2の175〜176および配列番号2のbp175/176接合部から各方向に少なくとも10bpを含む、長さが少なくとも25bpのアンプリコン;を含む。例は、配列番号1のbp1258〜1288;配列番号1のbp1223〜1323;配列番号1のbp1173〜1373;配列番号1のbp1073〜1473;配列番号2のbp160〜190;配列番号2のbp125〜225;および配列番号2のbp75〜275、ならびにその相補物である。
【0014】
別の実施形態では、本開示は、ダイズの粒、種子、または種子ミールにおいて害虫を防除する方法であって、前記粒、種子、または種子ミールが、配列番号1のbp1258〜1288;配列番号1のbp1223〜1323;配列番号1のbp1173〜1373;配列番号1のbp1073〜1473;配列番号2のbp160〜190;配列番号2のbp125〜225;および配列番号2のbp75〜275からなる群から選択される1つまたは複数の配列、ならびにその相補物を含むDNAを含むことによって実証される、前記粒、種子、または種子ミールにダイズイベントpDAB9582.816.15.1を含めるステップを含む方法を提供する。
【0015】
本開示の実施形態は、これらに限定されないが、花粉、胚珠、花、苗条、根、および葉、ならびに栄養細胞の核、花粉細胞、種子および種子ミール、および卵細胞を含めた、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1を含有するダイズ植物の細胞および植物の部位も包含する。
【0016】
一部の実施形態では、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1は、例えば、他の除草剤耐性遺伝子(複数可)および/または昆虫抑制タンパク質ならびに転写調節配列(すなわち、RNA干渉、dsRNA、転写因子など)を含めた他の形質と組み合わせることができる。追加的な形質は、植物の育種、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1を含有するトランスジェニック植物の再形質転換、または相同組換えによる標的化組み込みによる新しい形質の付加によって植物ゲノムに掛け合わせることができる。
【0017】
他の実施形態は、例えば、pat遺伝子発現カセットを含めた、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1を含むポリヌクレオチド配列を削除することを含む。ポリヌクレオチド配列を削除したら、改変されたイベントを特定の染色体上の部位で再標的化し、そこで追加的なポリヌクレオチド配列にダイズイベントpDAB9582.816.15.1を掛け合わせることができる。
【0018】
一実施形態では、本開示は、配列番号1および配列番号2に記載の隣接配列間の第03染色体に位置するダイズ染色体上の標的部位を包含する。
【0019】
一実施形態では、本開示は、配列番号1および2に記載のゲノム配列間、すなわち、配列番号1のbp1〜1273と配列番号2のbp176〜1687の間の第03染色体上の位置に異種核酸を挿入するステップを含むトランスジェニックダイズ植物を作製する方法を包含する。
【0020】
さらに、本開示の実施形態は、試料(例えば、ダイズの)中の本主題のイベントの存在を検出するためのアッセイも提供する。アッセイは、ダイズゲノムに挿入された組換え構築物のDNA配列、および挿入部位に隣接しているゲノム配列に基づくことができる。アッセイの実施において有用なキットおよび条件も提供される。
【0021】
本開示の実施形態は、一部において、pDAB9582由来のT−DNAをトランスジェニックダイズ系統に挿入することによって生じる境界領域のDNA配列のクローニングおよび分析にも関する。これらの配列は独特である。挿入断片配列および接合部配列に基づいて、イベント特異的なプライマーを生成することができ、これを生成した。PCR分析により、これらのイベント特異的なプライマーセットを用いて生成したPCRアンプリコンを分析することによってこれらのイベントを同定することができることが実証された。したがって、これらおよび他の関連する手順を用いて、本開示のイベントを含むダイズ系統を一意的に同定することができる。
【0022】
ある実施形態は、昆虫を昆虫抵抗性ダイズ植物に曝露させて、それにより昆虫を防除するステップを含む、昆虫を防除する方法であって、前記ダイズ植物が、配列番号1のbp1258〜1288;配列番号1のbp1223〜1323;配列番号1のbp1173〜1373;配列番号1のbp1073〜1473;配列番号2のbp160〜190;配列番号2のbp125〜225;および配列番号2のbp75〜275からなる群から選択される配列を含むDNAを含み、前記配列がダイズイベントpDAB9582.816.15.1の存在に特徴的である、方法を提供する。
【0023】
ある実施形態は、シュードプルシア・インクルデンス(Pseudoplusia includens)、アンチカルシア・ゲムマタリス(Anticarsia gemmatalis)、ヘリオチス・ビレセンス(Heliothis virescens)、またはスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)を昆虫抵抗性ダイズ植物に曝露させ、それにより昆虫を防除するステップを含む、シュードプルシア・インクルデンス(Pseudoplusia includens)、アンチカルシア・ゲムマタリス(Anticarsia gemmatalis)、またはスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)を防除する方法であって、前記ダイズ植物が、配列番号1のbp1258〜1288;配列番号1のbp1223〜1323;配列番号1のbp1173〜1373;配列番号1のbp1073〜1473;配列番号2のbp160〜190;配列番号2のbp125〜225;および配列番号2のbp75〜275からなる群から選択される配列を含むDNAを含み、前記配列がダイズイベントpDAB9582.816.15.1の存在に特徴的である、方法を提供する。
【0024】
ある実施形態は、ダイズ作物において雑草を防除する方法であって、グルホシネート除草剤をダイズ作物に施用するステップを含み、前記ダイズ作物が、配列番号1のbp1258〜1288;配列番号1のbp1223〜1323;配列番号1のbp1173〜1373;配列番号1のbp1073〜1473;配列番号2のbp160〜190;配列番号2のbp125〜225;および配列番号2のbp75〜275からなる群から選択される配列からなる群から選択される配列を含むDNAを含むダイズ植物を含み、前記配列がダイズイベントpDAB9582.816.15.1の存在に特徴的である、方法を提供する。
【0025】
ある実施形態は、配列番号1のbp1258〜1288;配列番号1のbp1223〜1323;配列番号1のbp1173〜1373;配列番号1のbp1073〜1473;配列番号2のbp160〜190;配列番号2のbp125〜225;および配列番号2のbp75〜275からなる群から選択される1つまたは複数の配列を含む単離されたDNA配列を提供する。
【0026】
ある実施形態は、ダイズ植物を育種する方法であって、第1の植物と第2のダイズ植物を交雑させて第3のダイズ植物を作出するステップであり、前記第1の植物が配列番号1の1258〜1288;配列番号1のbp1223〜1323;配列番号1のbp1173〜1373;配列番号1のbp1073〜1473;配列番号2のbp160〜190;配列番号2のbp125〜225;および配列番号2のbp75〜275からなる群から選択される1つまたは複数の配列、ならびにその相補物を含むDNAを含む、ステップと、前記第3のダイズ植物を、配列番号1の1258〜1288;配列番号1のbp1223〜1323;配列番号1のbp1173〜1373;配列番号1のbp1073〜1473;配列番号2のbp160〜190;配列番号2のbp125〜225;および配列番号2のbp75〜275からなる群から選択される1つまたは複数の配列、ならびにその相補物を含むDNAの存在についてアッセイするステップとを含む方法を提供する。
【0027】
ある実施形態は、配列番号1のbp1258〜1288;配列番号1のbp1223〜1323;配列番号1のbp1173〜1373;配列番号1のbp1073〜1473;配列番号2のbp160〜190;配列番号2のbp125〜225;および配列番号2のbp75〜275からなる群から選択される少なくとも1つの配列、ならびにその相補物を含む接合部配列を含む単離されたDNA分子を提供する。ある実施形態は、シュードプルシア・インクルデンス(Pseudoplusia includens)(ダイズシャクトリムシ)に対して抵抗性であり、配列番号1のbp1258〜1288;配列番号1のbp1223〜1323;配列番号1のbp1173〜1373;配列番号1のbp1073〜1473;配列番号2のbp160〜190;配列番号2のbp125〜225;および配列番号2のbp75〜275からなる群から選択される少なくとも1つのヌクレオチド配列、ならびにその相補物を有するDNAを含む、ダイズ植物またはその部位を提供する。
【0028】
ある実施形態は、ダイズミール、ダイズ粉(soy flour)、ダイズタンパク質濃縮物、およびダイズ油(soy oil)からなる群から選択される生産品である、ダイズ植物またはその部位に由来する組成物を提供する。
【0029】
ある実施形態は、ダイズの粒、種子、ミール、または粉において害虫を防除する方法であって、前記粒、種子、ミール、または粉が配列番号1のbp1258〜1288;配列番号1のbp1223〜1323;配列番号1のbp1173〜1373;配列番号1のbp1073〜1473;配列番号2のbp160〜190;配列番号2のbp125〜225;および配列番号2のbp75〜275からなる群から選択される1つまたは複数の配列、ならびにその相補物を含むDNAを含むことによって実証される、前記粒、種子、ミール、または粉にダイズイベントpDAB9582.816.15.1を含めるステップを含む方法を提供する。
【0030】
ある実施形態は、そのゲノム内に、配列番号1のbp1258〜1288;配列番号1のbp1223〜1323;配列番号1のbp1173〜1373;配列番号1のbp1073〜1473;配列番号2のbp160〜190;配列番号2のbp125〜225;および配列番号2のbp75〜275からなる群から選択されるDNA配列、ならびにその相補物を含むダイズ種子を提供する。別の実施形態は、そのゲノム内にダイズイベントpDAB9582.816.15.1のcry1F、cry1Acおよびpatを含み、American Type Culture Collectionに受託番号PTA−12588の下で寄託されている代表的なダイズ種子を有するダイズ種子を提供する。別の実施形態は、これらの2つの実施形態のいずれかのダイズ種子を生長させることによって作出されるダイズ植物を提供する。別の実施形態は、このダイズ植物によって産生されるダイズ種子であって、そのゲノム内に、American Type Culture Collectionに受託番号PTA−12588の下で寄託されているダイズ種子に存在するものであるダイズイベントpDAB9582.816.15.1のcry1F遺伝子、cry1Ac遺伝子およびpat遺伝子を含む種子を提供する。別の実施形態は、花粉、胚珠、花、苗条、根、および葉からなる群から選択され、前記イベントを含む、このダイズ植物の部位を提供する。別の実施形態は、ダイズミール、ダイズ粉(soy flour)、およびダイズ油(soy oil)からなる群から選択される生産品である、ダイズ植物またはその部位に由来する組成物を提供する。
【0031】
さらなる実施形態では、ダイズ植物は、配列番号14に対して少なくとも95%の配列同一性を有するDNA配列を含む。ある実施形態は、グルホシネート除草剤に対する耐性を示し、前記耐性が前記イベントまたは前記ゲノムにおいてコードされるタンパク質の発現に起因するものである、上記の実施形態の植物の後代ダイズ植物を提供する。
【0032】
別の実施形態は、配列番号14に対して少なくとも95%の配列同一性を有するDNA配列を含むゲノムを含むダイズ種子を提供する。別の実施形態は、このダイズ種子を生長させることによって作出される植物を提供する。
【0033】
ある実施形態は、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1を含むトランスジェニックダイズ植物またはその部位であって、代表的なダイズ種子がAmerican Type Culture Collectionに受託番号PTA−12588の下で寄託されているダイズイベントpDAB9582.816.15.1を含む、トランスジェニックダイズ植物またはその部位を提供する。
【0034】
種子寄託物
本開示の一部として、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1を含むダイズ系統の少なくとも2500種子がAmerican Type Culture Collection(ATCC)、10801 University Boulevard、Manassas、VA、20110に寄託され、制限なく一般に公開されている(しかし、特許権に支配される)。ATCC寄託番号PTA−12588と称される寄託物は、Dow AgroSciences LLC on 23/February/2012を代表して作製された。この寄託物は、特許手続のための種子寄託物に関するブタペスト条約の条項に従い、その下で作製されたものであり、また、それに従い、その下で維持される。
【0035】
配列の簡単な説明
配列番号1はダイズイベントpDAB9582.816.15.1についての5’DNA隣接境界配列である。ヌクレオチド1〜1273はゲノム配列である。ヌクレオチド1274〜1577は挿入断片配列である。
【0036】
配列番号2は、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1についての3’DNA隣接境界配列である。ヌクレオチド1〜175は挿入断片配列である。ヌクレオチド176〜316は、pDAB9582から再配置された配列である。ヌクレオチド317〜1687はゲノム配列である。
【0037】
配列番号3は、pDAB9582のT鎖のDNA配列であり、下の表1において注釈を付けている。
【0038】
配列番号4は、5’境界ゲノムDNAを確認するためのオリゴヌクレオチドプライマー81615_FW2である。
【0039】
配列番号5は、3’境界ゲノムDNAを確認するためのオリゴヌクレオチドプライマー81516_RV1である。
【0040】
配列番号6は、3’境界ゲノムDNAを確認するためのオリゴヌクレオチドプライマー81516_RV2である。
【0041】
配列番号7は、3’境界ゲノムDNAを確認するためのオリゴヌクレオチドプライマー81516_RV3である。
【0042】
配列番号8は、5’境界ゲノムDNAを確認するためのオリゴヌクレオチドプライマー5’IREnd−01である。
【0043】
配列番号9は、5’境界ゲノムDNAを確認するためのオリゴヌクレオチドプライマー5’IREnd−02である。
【0044】
配列番号10は、5’境界ゲノムDNAを確認するためのオリゴヌクレオチドプライマーAtUbi1ORV1である。
【0045】
配列番号11は、5’境界ゲノムDNAを確認するためのオリゴヌクレオチドプライマーAtUbi1ORV2である。
【0046】
配列番号12は、3’境界ゲノムDNAを確認するためのオリゴヌクレオチドプライマー3TATEnd05である。
【0047】
配列番号13は、3’境界ゲノムDNAを確認するためのオリゴヌクレオチドプライマー3’PATEnd06である。
【0048】
配列番号14は、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1の予測される配列である。5’ゲノム隣接配列、pDAB9582T鎖挿入断片、および3’ゲノム隣接配列を含む。
【発明を実施するための形態】
【0050】
イベントダイズイベントpDAB9582.816.15.1挿入物の両端を配列決定し特徴付けた。イベント特異的なアッセイを開発した。イベントは、ダイズゲノム(ダイズの第03染色体)上にマッピングされた。イベントを別の優良な系統に、遺伝子移入し得る。
【0051】
上の背景技術のセクションにおいて言及されている通り、導入遺伝子の植物ゲノムへの導入および組み込みは、いくつかのランダムなイベントを伴う(したがって発現される所与の挿入物について「イベント」と称する)。すなわち、多くの形質転換技法、例えば、アグロバクテリウム(Agrobacterium)形質転換、微粒子銃形質転換(すなわち遺伝子銃)、および炭化ケイ素媒介性形質転換(すなわちWHISKERS(商標))などを用いると、導入遺伝子がゲノム内のどこに挿入されるかは予測不可能である。したがって、挿入断片の両側の隣接植物ゲノムDNAを同定することは、所与の挿入イベントを有する植物を同定するために重要であり得る。例えば、挿入断片と宿主ゲノムとの接合領域にわたってPCRアンプリコンを生成するPCRプライマーを設計することができる。このPCRアンプリコンを使用して、独特のまたは別個の種類の挿入イベントを同定することができる。
【0052】
本開示の実施形態の説明に役立つように、また当業者がこれらの実施形態を実施する指針となるために、本明細書において定義および例が提供される。特に断りのない限り、用語は、当業者による従来の使用法に従って理解される。米国特許法施行規則第1.822条に明記されているDNA塩基の命名法を使用する。
【0053】
本明細書で使用される場合、用語「後代」は、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1を含む親植物の任意の世代の子孫を意味する。
【0054】
トランスジェニック「イベント」は、植物細胞を異種DNA、すなわち、対象の導入遺伝子を含む核酸構築物で形質転換すること、植物のゲノムに導入遺伝子を挿入することによって生じる植物の集団を再生させること、および特定のゲノム上の位置への挿入を特徴とする特定の植物を選択することによって作出される。用語「イベント」は、元の形質転換体および異種DNAを含むその形質転換体の後代を指す。用語「イベント」は、その後代がゲノムDNA/導入遺伝子DNAを含む、形質転換体と別の品種との間の有性異系交雑によって作出される後代も指す。反復親との戻し交雑を繰り返した後であっても、形質転換された親由来の挿入された導入遺伝子DNAおよび隣接ゲノムDNA(ゲノムDNA/導入遺伝子DNA)は、交雑の後代において同じ染色体上の位置に存在する。用語「イベント」は、元の形質転換体由来のDNA、および挿入DNAを含む一方の親系統(例えば、元の形質転換体および自殖によって生じる後代)と挿入DNAを含有しない親系統との有性交雑の結果として、対象の導入遺伝子を含む挿入DNAを受け取る後代に伝達されることが予測され得る挿入DNAおよび挿入DNAのすぐ近接の隣接ゲノム配列を含むその後代も指す。
【0055】
「接合部配列」または「境界の配列」は、ゲノムに挿入されたDNAが、挿入点に隣接するダイズのネイティブなゲノム由来のDNAに連結している点にわたり、植物の遺伝物質中の一方または他方の接合部配列の特定または検出は、十分にイベントに特徴的である。本明細書に記載のダイズイベントにおける挿入物にわたるDNA配列および同様の長さの隣接DNAが包含される。そのような特徴的な配列の特定の例が本明細書において提供されるが、挿入物の接合部、または挿入物とゲノム配列との接合部とオーバーラップする他の配列も特徴的であり、本開示の実施形態に従って使用することができる。
【0056】
本開示の実施形態は、そのような隣接配列、接合部配列、および挿入断片配列を使用してイベントを特定することに一部関する。関連するPCRプライマーおよびアンプリコンは、本開示の実施形態に包含される。本開示の実施形態に従って、挿入DNAおよびその端までわたるアンプリコンを使用するPCR分析方法を使用して、対象の登録商標を持つトランスジェニックダイズ系統に由来する商業化されたトランスジェニックダイズの品種または系統を検出または特定することができる。
【0057】
隣接/接合部配列は、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1に特徴的である。これらの配列に基づいて、イベント特異的なプライマーを生成した。PCR分析により、これらのイベント特異的なプライマーセットを用いて生成したPCRアンプリコンを分析することによって、異なるダイズ遺伝子型においてこれらのダイズ系統を同定することができることが実証された。したがって、これらおよび他の関連する手順を用いて、これらのダイズ系統を一意的に同定することができる。本明細書において同定される配列は独特である。
【0058】
本開示の実施形態の検出技法は、植物育種と併せて、1つまたは複数の追加的な対象の形質を後代に与える取り組みにおいて、対象のイベントを含む親植物を別の植物系統と交雑した後に、どの後代植物が所与のイベントを含むかを決定するために特に有用である。これらのPCR分析方法は、ダイズの育種計画ならびに品質管理、特に商業化されたトランスジェニックダイズ種子に有益である。これらのトランスジェニックダイズ系統のPCR検出キットも、現在製造され、使用することができる。これは、製品登録および製品管理にも有益である。
【0059】
さらに、隣接ダイズ/ゲノム配列を使用して、それぞれの挿入断片の遺伝子位置を特異的に同定することができる。この情報を使用して、それぞれのイベントに特異的な分子マーカー系を作製することができる。これらは、育種戦略を加速させるために、および連鎖データを確立するために使用することができる。
【0060】
さらに、隣接配列の情報を使用して、導入遺伝子の組み込みプロセス、ゲノムの組み込み部位の特性、イベントの選別、導入遺伝子およびそれらの隣接配列の安定性、ならびに遺伝子発現(特に遺伝子サイレンシング、導入遺伝子のメチル化パターン、位置の影響、およびMARS[マトリックス付着領域]などの潜在的な発現関連エレメントなどに関連する)を試験し、特徴付けることができる。
【0061】
本開示全てに照らして、本開示の実施形態は、パラグラフ[0033]において識別されるATCC寄託番号の下で入手可能な種子を包含することが明白でなければならない。本開示の実施形態は、パラグラフ[0033]において識別されるATCC寄託番号で寄託された種子から生長させた除草剤耐性ダイズ植物も包含する。本開示の実施形態は、前記植物の部位、例えば、葉、組織試料、前記植物体によって生産される種子、花粉なども包含する(植物のこれらの部分は、cry1F、cry1Ac、pat、ならびに配列番号1および配列番号2を含む)。
【0062】
さらに、本開示の実施形態は、寄託されている種子から生長させた植物の後裔植物および/または後代植物、好ましくは除草剤耐性ダイズ植物であって、本明細書に記載の検出可能な野生型接合部/隣接配列を含むゲノムを有する植物も包含する。本明細書で使用される場合、用語「ダイズ」は、Glycine maxを意味し、ダイズ植物を用いて育種することができるその全品種を包含する。
【0063】
本開示は、本開示の植物を少なくとも一方の親として使用して交雑を行うプロセスをさらに包含する。例えば、本開示は、本明細書において例示されている植物のいずれかを一方の親または両親として有するF
iハイブリッド植物を包含する。また、本開示のそのようなF
iハイブリッドによって生産される種子も本開示の範囲内である。本開示は、例示した植物と、異なる(例えば、純系の親)植物を交雑し、得られたハイブリッド種子を収穫することによってF
iハイブリッド種子を作出するための方法を包含する。本開示は、雌親または雄親のいずれかである、例示した植物を包含する。得られる植物の特性は、親植物を慎重に考察することによって改良することができる。
【0064】
本開示の昆虫抵抗性/グルホシネート耐性ダイズ植物は、本明細書で言及されている系統の任意の1つの種子から生長させたダイズ植物からなる第1の親ダイズ植物と、第2の親ダイズ植物との有性交雑を最初に行い、それによって複数の第1の後代植物を作出すること;次いで、グルホシネートに対して抵抗性である第1の後代植物を選択すること;第1の後代植物を自殖させ、それによって、複数の第2の後代植物を作出すること;次いで、第2の後代植物から、グルホシネートに対して抵抗性である植物を選択することによって育種することができる。これらのステップは、第1の後代植物または第2の後代植物を第2の親ダイズ植物または第3の親ダイズ植物と戻し交雑することをさらに含んでよい。次いで本開示のダイズ種子を含むダイズ作物、またはその後代を植え付けることができる。
【0065】
2つの異なるトランスジェニック植物を交配して、それぞれ独立に分離して付加された2つの外因性遺伝子を含有する子孫を作出することもできることがまた理解される。適切な後代を自殖させることにより、付加された外因性遺伝子のどちらについてもホモ接合性である植物を作出することができる。栄養繁殖のように、親植物との戻し交雑および非トランスジェニック植物との異系交雑も意図されている。種々の形質および作物のために一般に使用される他の育種方法は当技術分野で公知である。反復親である望ましいホモ接合性の栽培品種または純系統に、単純に遺伝した、高度に遺伝性の形質の遺伝子を伝達するために戻し交雑育種が使用されてきた。伝達される形質の供給源は、供与親と称されている。生じた植物は、反復親(例えば、栽培品種)の属性および供与親から伝達された望ましい形質を有することが予測される。最初の交雑の後、供与親の表現型を保有する個体を選択し、反復親と繰り返し交雑(戻し交雑)する。生じた親は、反復親(例えば、栽培品種)の属性および供与親から伝達された望ましい形質を有することが予測される。
【0066】
同様に、本開示の実施形態の昆虫抵抗性/グルホシネート耐性ダイズ植物を、当技術分野で公知の方法を用いて追加的な導入遺伝子で形質転換することができる。形質転換技法、例えば、アグロバクテリウム(Agrobacterium)形質転換、微粒子銃形質転換(すなわち遺伝子銃)、および炭化ケイ素媒介性形質転換(すなわちWHISKERS(商標))などを用いて、追加的な導入遺伝子(複数可)をダイズイベントpDAB9582.816.15.1のゲノムに導入することができる。新しく挿入された導入遺伝子を含有するトランスジェニック植物の選択および特徴付けを完了して、本開示の実施形態のcry1F遺伝子、cry1Ac遺伝子、pat遺伝子に加えて、新規の導入遺伝子の安定な組み込み体を含有する植物を同定することができる。
【0067】
本開示の実施形態のDNA分子は、マーカー利用育種(MAB)法において分子マーカーとして使用することができる。本開示の実施形態のDNA分子は、当技術分野で公知の通り、遺伝的に連鎖している作物学的に有用な形質を特定する方法(例えば、AFLPマーカー、RFLPマーカー、RAPDマーカー、SNPおよびSSRなど)において使用することができる。MAB法を使用して、本開示の実施形態のダイズ植物(またはその後代および任意の他のダイズの栽培品種または品種)との交雑の後代において昆虫抵抗性および除草剤耐性形質を追跡することができる。DNA分子はこの形質についてのマーカーであり、当技術分野で周知のMAB法を使用して、本開示の実施形態の少なくとも1つのダイズ系統、またはその後代が親または祖先であったダイズ植物における除草剤抵抗性形質(複数可)を追跡することができる。本開示の実施形態の方法を使用して、対象イベントを有する任意のダイズ品種を特定することができる。
【0068】
本開示の実施形態は、本開示に例示された植物を用いて育種するステップを含む、昆虫抵抗性/除草剤耐性ダイズ植物を作出する方法を包含する。より詳細には、前記方法は、本開示に例示された2つの植物、または本開示に例示された1つの植物と任意の他の植物とを交雑するステップを含んでよい。好ましい方法は、前記交雑の後代を、本開示の実施形態に従って検出可能なイベントおよび好都合な品種性能(例えば、収量)について前記後代を分析することによって選択するステップをさらに含む。例えば、本開示の実施形態を用いて、他の望ましい形質、例えば、農業形質、病害に対する耐性もしくは抵抗性、線形動物に対する耐性もしくは抵抗性および成熟日を含む植物を用いた育種サイクルを通して本主題のイベントを追跡することができる。対象イベントおよび所望の形質を含む植物を検出し、特定し、選択し、例えば育種のさらなるラウンドに直ちに使用することができる。対象イベント/形質は、さらなる昆虫抵抗性形質(複数可)および/または別の除草剤耐性形質と育種を通じて組み合わせ、本開示の実施形態に従って追跡することもできる。後者の実施形態は、本主題のイベントを、シュードプルシア・インクルデンス(Pseudoplusia includens)(ダイズシャクトリムシ)、アンチカルシア・ゲムマタリス(Anticarsia gemmatalis)(ハッショウマメイモムシ(velvetbean caterpillar))、エピノチア・アポレマ(Epinotia aporema)、オミオデス・インディカタ(Omiodes indicata)、ラチプルシア・ヌ(Rachiplusia nu)、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)、スポドプテラ・コスモイデス(Spodoptera cosmoides)、スポドプテラ・エリダニア(Spodoptera eridania)、ヘリオチス・ビレセンス(Heliothis virescens)、ヘリコベルパ・ゼア(Heliocoverpa zea)、スピロソーマ・ビルギニカ(Spilosoma virginica)およびエラスモパルパス・リグノセルス(Elasmopalpus lignosellus)を含めた鱗翅目の種に対する抵抗性を付与するcry1F遺伝子およびcry1Ac遺伝子と組み合わせて含む植物である。
【0069】
したがって、本開示の実施形態は、例えば、グリホサート抵抗性(例えば、抵抗性植物または細菌のEPSPS、GOX、GAT)、グルホシネート抵抗性(例えば、dsm−2、bar)、アセト乳酸合成酵素(ALS)阻害性除草剤への抵抗性(例えば、イミダゾリノン[イマゼタピルなど]、スルホニル尿素系、トリアゾロピリミジンスルホンアニリド、ピリミジニルチオベンゾエート系、および他の化学物質[Csr1、SurAなど])、ブロモキシニル抵抗性(例えば、Bxn)、HPPD(4−ヒドロキシルフェニル−ピルビン酸−ジオキシゲナーゼ)酵素の阻害剤に対する抵抗性、フィトエンデサチュラーゼ(PDS)の阻害剤に対する抵抗性、光化学系II阻害性除草剤に対する抵抗性(例えば、psbA)、光化学系I阻害性除草剤に対する抵抗性、プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼIX(PPO)阻害性除草剤に対する抵抗性(例えば、PPO−1)、フェニル尿素除草剤に対する抵抗性(例えば、CYP76B1)、ジカンバ分解酵素(例えば、US20030135879を参照されたい)をコードする形質と組み合わせることができ、その他のものを、単独で、または多数の組合せで積み重ねて、雑草のシフト(weed shift)および/または上述のクラスの任意の除草剤に対する抵抗性を有効に制御する、または妨げる能力をもたらすことができる。
【0070】
さらに、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1に、1つまたは複数の追加的なインプット形質(例えば、昆虫抵抗性、病原体抵抗性、もしくはストレス耐性など)またはアウトプット形質(例えば、生産量の増加、油プロファイルの改良、繊維品質の改良など)を組み合わせることができる。したがって、本開示の実施形態を使用して、任意の数の作物害虫を柔軟かつ費用効果的に制御する能力を伴う改良された作物の品質の完全な作物パッケージをもたらすことができる。
【0071】
植物細胞の特定の染色体上の部位内に、相同組換えによってポリヌクレオチド配列を組み込むための方法は、当技術分野の範囲内で記載されている。例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2009/0111188A1号に記載の部位特異的な組み込みでは、ドナーポリヌクレオチド配列の染色体上の標的への導入を媒介するためのリコンビナーゼまたはインテグラーゼの使用が記載されている。さらに、参照により本明細書に組み込まれる国際特許出願第WO2008/021207号には、1つまたは複数のドナーポリヌクレオチド配列をゲノムの特定の位置内に組み込むためのジンクフィンガー媒介相同組換えが記載されている。参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6720475号に記載のFLP/FRT、または参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5658772号に記載のCRE/LOXなどのリコンビナーゼの使用を利用して、ポリヌクレオチド配列を特定の染色体上の部位に組み込むことができる。最終的に、ドナーポリヌクレオチドを特定の染色体上の位置に標的化するためのメガヌクレアーゼの使用が、Puchtaら、PNAS USA 93巻(1996年)5055〜5060頁)に記載されている。
【0072】
植物細胞内に部位特異的に組み込むための他の方法は、一般に、公知であり、適用可能である(Kumarら、Trends in Plant Sci. 6巻(4号)(2001年)155〜159頁)。さらに、いくつかの原核生物および下等真核生物において同定された部位特異的な組換え系を植物における使用に適用することができる。そのような系の例としては、これらに限定されないが、酵母であるジゴサッカロマイセス・ロキシー(Zygosaccharomyces rouxii)のpSR1プラスミ由来のR/RSリコンビナーゼ系(Arakiら(1985年)J. Mol. Biol. 182巻:191〜203頁)、およびファージMuのGin/Gix系(MaeserおよびKahlmann(1991年)Mol. Gen. Genet. 230巻:170〜176頁)が挙げられる。
【0073】
本開示の一部の実施形態では、既存のトランスジェニックイベントに近接して新しい導入遺伝子(複数可)を組み込む、または掛け合わせることが望ましい。トランスジェニックイベントは、単一の挿入部位、正常なメンデル分離および安定発現、ならびに、多数の環境区域における、およびそれ全てにわたる除草剤耐性および農業生産力を含めた効力の優れた組合せなどの独特の特性に基づいて選択された好ましいゲノム遺伝子座と考えることができる。組み込まれた導入遺伝子を含む後代植物は、既存の形質転換体の導入遺伝子の発現特性を維持すべきである。さらに、組み込まれたイベントを含む後代植物のゲノム隣接配列および染色体上の位置はすでに同定されているので、以前に開発された、イベントを検出し、確認するためのアッセイを、イベントを含む後代植物に利用することができる。最終的に、既存の導入遺伝子の近くに連結された特定の染色体上の位置に新しい導入遺伝子を組み込むことにより、従来の育種方法を使用した有性異系交雑による導入遺伝子の他の遺伝的背景への遺伝子移入が促進される。
【0074】
本開示の一部の実施形態では、トランスジェニックイベントからポリヌクレオチド配列を削除することが望ましい場合がある。例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2011/0191877号に記載の導入遺伝子の削除では、染色体に組み込まれたトランスジェニックイベントから、遺伝子発現カセットからなるポリヌクレオチド配列を除去するためのジンクフィンガーヌクレアーゼの使用が記載されている。除去されるポリヌクレオチド配列は、選択マーカーであってよい。ポリヌクレオチド配列を削除および除去したら、改変されたトランスジェニックイベントを、ポリヌクレオチド配列を挿入することによって再標的化することができる。ポリヌクレオチド配列を削除し、その後、改変されたトランスジェニックイベントを再標的化することにより、選択マーカーの再使用、または特定の遺伝子が発現することによって生じる、植物のトランスクリプトームに対する意図されたものではない変化を克服する能力などの利点がもたらされる。
【0075】
本開示は、本明細書において、異種核酸を挿入するために使用することができ、ダイズゲノム内の第03染色体上の特定の部位を開示している。したがって、本開示の実施形態は、対象とする異種核酸をこの予め確立した標的部位に、またはこの標的部位の付近に導入するための方法を提供する。本開示の実施形態は、開示されている標的部位またはそのような部位の概ね近くに挿入された任意の異種ヌクレオチド配列を含むダイズ種子および/またはダイズ植物も包含する。そのような標的化組み込みを実現するための1つの選択肢は、本明細書において例示されているpat発現カセットの代わりに異なる挿入断片を削除することおよび/または置換することである。この一般的な点について、例えば、またこれらに限定することなく、本開示の実施形態に従って標的化相同組換えを使用することができる。
【0076】
本明細書で使用される場合、遺伝子、イベントまたは形質を「掛け合わせること」は、所望の形質を1つのトランスジェニック系統に組み合わせることを指す。植物育種家は、それぞれが所望の形質を有する親同士の交雑を行い、次にこれらの所望の形質を両方とも有する子孫を同定することによってトランスジェニック形質を掛け合わせる。遺伝子を掛け合わせるための別の方法は、形質転換の間に、2種以上の遺伝子を同時に植物の細胞核に移入することによる。遺伝子を掛け合わせるための別の方法は、トランスジェニック植物を、対象とする別の遺伝子を用いて再形質転換することによる。例えば、遺伝子を掛け合わせることを用いて、例えば、2種以上の異なる昆虫形質、昆虫抵抗性形質(複数可)および病害抵抗性形質(複数可)、2種以上の除草剤への抵抗性形質、および/または昆虫抵抗性形質(複数可)および除草剤抵抗性形質(複数可)を含めた2種以上の異なる形質を組み合わせることができる。対象の遺伝子に加えて選択マーカーを使用することも、遺伝子を掛け合わせることと考えることができる。
【0077】
「相同組換え」とは、2つのヌクレオチド配列が相互作用して(組み換えられて)新しい組換えDNA配列を形成し得る類似したヌクレオチド配列を含有する対応する部位を有するヌクレオチド配列の任意の対の間の反応を指す。類似したヌクレオチド配列の部位は、本明細書ではそれぞれが「相同配列」と称される。一般に、相同組換えの頻度は、相同配列の長さが増加するにつれて増加する。したがって、相同組換えは、同一には満たない2つのヌクレオチド配列間で起こり得るが、組換え頻度(または効率)は、2つの配列間の相違が増加するにつれて減退する。組換えは、ドナー分子および標的分子のそれぞれの1つの相同配列を使用して実現することができ、それによって「単一乗換え」組換え産物を生成することができる。あるいは、標的ヌクレオチド配列およびドナーヌクレオチド配列のそれぞれに2つの相同配列を置くことができる。ドナー上の2つの相同配列と標的上の2つの相同配列との間の組換えにより、「2重乗換え」組換え産物が生成する。ドナー分子上の相同配列が、操作される配列(例えば、対象の配列)に隣接する場合、標的分子との2重乗換え組換えにより、対象の配列が元々標的分子上の相同配列の間にあったDNA配列と交換された組換え産物がもたらされる。2重乗換え組換えイベントによって標的とドナーとの間でDNA配列を交換することは、「配列交換」と称される。
【0078】
本開示の実施形態の好ましい植物、または種子は、そのゲノム内に、本明細書において同定される、作動的なcry1Fヌクレオチド配列、cry1Ac synproヌクレオチド配列およびpatヌクレオチド配列と、本明細書において同定される、挿入断片の両側の少なくとも20〜500以上の連続した隣接ヌクレオチドを一緒に含む。別段の指定のない限り、隣接配列に言及する場合、それは配列番号1および2について特定されたものを指す。これらの隣接配列の全部または一部は、イベントを含む親系統の有性交雑の結果として挿入DNAを受け取る後代に伝達されることが予測され得る。
【0079】
本開示の実施形態は、本開示の実施形態の植物の再生可能な細胞の組織培養物を包含する。また、そのような組織培養物から再生された植物も、特に前記植物が例示されている品種の形態学的性質および生理的性質の全てを発現することができる場合、包含される。本開示の実施形態の好ましい植物は、寄託されている種子から生長させた植物の生理的特性および形態学的特性の全てを有する。本開示の実施形態は、そのような種子および対象の品質形質を保有する種子の後代をさらに含む。
【0080】
本明細書で使用される場合、「系統」は、少なくとも1つの形質について、個体間で遺伝的変異をほとんど示さない、または示さない植物の群である。そのような系統は、何世代か自家受粉させ、選択すること、または組織または細胞の培養技法を使用して、単一の親から栄養繁殖させることによって創出することができる。
【0081】
本明細書で使用される場合、用語「栽培品種」および「品種」は同義であり、商業生産のために使用される系統を指す。
【0082】
「安定性」または「安定な」は、所与の構成要素に関しては、構成要素が代々、好ましくは、少なくとも3世代維持されることを意味する。
【0083】
「商業的有用性」は、従来の農業設備を使用して農業者が作物を生産することができるように、および従来の圧搾および抽出用設備を使用して記載の構成要素を有する油を種子から抽出することができるように良好な植物生長力および高い稔性を有することと定義される。
【0084】
「作物学的に優良」は、系統が対象イベント(複数可)に起因する昆虫抵抗性および除草剤耐性に加えて、例えば生産量、成熟度、病害抵抗性などの望ましい作物学的特性を有することを意味する。これらの作物学的特性およびデータポイントの全てを使用して、そのような植物を、そのような植物を定義するために使用する特性の範囲内の一点として、または一端もしくは両端で特定することができる。
【0085】
本開示に照らして当業者に理解されるように、検出キットの好ましい実施形態は、例えば、「接合部配列」または「移行部配列」(ダイズゲノムの隣接配列と挿入断片配列が接する場所)を対象とし、かつ/またはそれを含むプローブおよび/またはプライマーを含んでよい。これは、例えば、一方のまたは両方の接合部配列(挿入断片と隣接配列が接する場所)を同定するために設計されたポリヌクレオチドプローブ、プライマー、および/またはアンプリコンを含む。1つの一般的な設計は、隣接領域内でハイブリダイズする1つのプライマー、および挿入断片内でハイブリダイズする1つのプライマーを有する。そのようなプライマーは、多くの場合、およそ、それぞれの長さが少なくとも約15残基である。この配置を用いて、プライマーを使用して、本開示の実施形態のイベントの存在を示す検出可能なアンプリコンを生成/増幅することができる。これらのプライマーを使用して、上に示されている接合部配列にわたる(およびそれを含む)アンプリコンを生成することができる。
【0086】
隣接配列に「接している」プライマー(複数可)は、一般には、約1200塩基を越えて、または接合部を越えてハイブリダイズするようには設計されない。したがって、典型的な隣接プライマーは、挿入断片の最初から隣接配列に入って1200塩基の範囲内のどちらかの鎖の少なくとも15残基を含むように設計され得る。すなわち、配列番号1の塩基対1〜1273および/または配列番号2の塩基対176〜1687由来の(またはそれとハイブリダイズする)適切なサイズの配列を含むプライマーは、本開示の実施形態の範囲内である。挿入プライマーは、配列番号14の挿入断片のどこにでも、塩基対1273から1873および13058から13658のどこにでも同様に設計することができ、また、例えば、そのようなプライマーの設計のために非排他的に使用することができる。
【0087】
当業者は、さまざまな標準のハイブリダイゼーションおよび/またはPCRの条件の下で、ハイブリダイズするようにプライマーおよびプローブを設計することができ、ここでプライマーまたはプローブが例示された配列と完全に相補的ではないことも認識されよう。すなわち、ある程度のミスマッチまたは縮重が容認され得る。およそ20ヌクレオチドのプライマーについて、例えば、一般には、ミスマッチ塩基がアンプリコンと逆のプライマーの内部または末端にある場合、1または2ヌクレオチド程度は逆の鎖と結合しなくてよい。種々の適切なハイブリダイゼーション条件が以下に提供される。イノシンなどの合成ヌクレオチド類似体は、プローブにも使用することができる。ペプチド核酸(PNA)プローブ、ならびにDNAプローブおよびRNAプローブも使用することができる。重要なのは、そのようなプローブおよびプライマーが、本開示の実施形態のイベントの存在に対して特徴的である(独自に特定し、区別することができる)ことである。
【0088】
PCR増幅において、例えば、軽微な配列決定のエラーを生じる可能性があるエラーが起こり得ることに留意するべきである。すなわち、別段の指定のない限り、本明細書において列挙されている配列は、ダイズのゲノムDNAから長いアンプリコンを生成し、次いでそのアンプリコンをクローニングし、配列決定することによって決定した。ゲノムDNAから配列決定するために十分なアンプリコンを生成するために必要な多数回の増幅を考慮すると、このように生成し、決定した配列においてわずかな差異および軽微な不一致が見いだされることは珍しいことではない。当業者は、これらの型の一般的な配列決定のエラーまたは不一致に起因して必要になる調整はいずれも本開示の実施形態の範囲内であることを認識し、留意するべきである。
【0089】
例えば、イベントを創出する間に配列を挿入する場合、いくらかのゲノム配列が欠失することは珍しくないことにも留意すべきである。したがって、本主題の隣接配列と、例えばGENBANKに列挙されているゲノム配列との間にもいくらかの差異が出現する可能性がある。
【0090】
DNA配列「挿入断片」の構成成分が図面に例示されており、以下の実施例においてより詳細に考察されている。これらの構成要素のDNAポリヌクレオチド配列、またはその断片を、本開示の実施形態の方法においてDNAプライマーまたはプローブとして使用することができる。
【0091】
本開示の一部の実施形態では、ダイズ植物由来の植物および種子などにおける導入遺伝子/ゲノムの挿入領域の存在を検出するための組成物および方法が提供される。本明細書において提供される本主題の5’導入遺伝子/ゲノムの挿入領域接合部配列(配列番号1の塩基対1〜1273と配列番号14の塩基対1〜1273の間)、そのセグメント、ならびに例示された配列の相補物およびその任意のセグメントを含むDNA配列が提供される。本明細書において提供される本主題の3’導入遺伝子/ゲノムの挿入領域接合部配列(配列番号2の塩基対176〜1687と配列番号14の塩基対13659〜15170の間)、そのセグメント、ならびに例示された配列の相補物およびその任意のセグメントを含むDNA配列が提供される。挿入領域の接合部配列は、ゲノムに挿入された異種DNAと、挿入部位に隣接しているダイズの細胞由来のDNAの接合部にわたる。そのような配列は、所与のイベントに対して特徴的であり得る。
【0092】
これらの挿入断片および境界の配列に基づいて、イベント特異的なプライマーを生成することができる。PCR分析により、これらのイベント特異的なプライマーセットを用いて生成したPCRアンプリコンを分析することによって、異なるダイズ遺伝子型において本開示の実施形態のダイズ系統を同定することができることが実証された。これらおよび他の関連する手順を用いて、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1を含むダイズ系統を一意的に同定することができる。したがって、そのようなプライマー対に由来するPCRアンプリコンは独特であり、これらのダイズ系統を同定するために使用することができる。
【0093】
一部の実施形態では、新規の導入遺伝子/ゲノムの挿入領域の連続した断片を含むDNA配列は本開示の態様である。導入遺伝子挿入断片配列の十分な長さのポリヌクレオチドおよび3つの上述のダイズ植物の1つまたは複数由来のダイズのゲノム配列の十分な長さのポリヌクレオチドを含むDNA配列および/またはこれらのダイズ植物の1つまたは複数に対して特徴的なアンプリコン産物を生成するためのプライマー配列として有用である配列が包含される。
【0094】
関連する実施形態は、本明細書において特定されるDNA配列(例えば、配列番号1およびそのセグメントなど)の導入遺伝子部分の少なくとも10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、またはそれ以上の連続したヌクレオチドを含むDNA配列、またはその相補物、およびこれらの配列由来の同様の長さのダイズの隣接DNA配列、またはその相補物に関する。そのような配列は、DNA増幅方法において、DNAプライマーとして有用である。これらのプライマーを使用して生成されるアンプリコンは、本明細書で言及されるダイズイベントのいずれかに対して特徴的である。したがって、本開示の実施形態は、そのようなDNAプライマーによって生成されるアンプリコンも包含する。
【0095】
本開示の実施形態は、試料中の、本明細書で言及されるダイズイベントに対応するDNAの存在を検出する方法も包含する。そのような方法は、(a)DNAを含む試料を、これらのダイズイベントの少なくとも1つ由来のDNAを用いた核酸の増幅反応において使用したとき、前記イベント(複数可)に対して特徴的であるアンプリコンを生成するプライマーセットと接触させるステップと;(b)核酸の増幅反応を実施し、それによって、アンプリコンを生成するステップと;(c)アンプリコンを検出するステップとを含んでよい。
【0096】
本開示の実施形態の別の検出方法は、試料中の、前記イベントに対応するDNAの存在を検出する方法であって、(a)DNAを含む試料を、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で前記ダイズイベントの由来のDNAとハイブリダイズさせ、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で対照のダイズ植物(対象のイベントがないDNA)とハイブリダイズしないプローブと接触させるステップと;(b)試料およびプローブをストリンジェントなハイブリダイゼーション条件に供するステップと;(c)プローブのDNAとのハイブリダイゼーションを検出するステップとを含む方法を包含する。
【0097】
さらに別の実施形態では、本開示は、本開示の実施形態のダイズイベントpDAB9582.816.15.1を含むダイズ植物を作出する方法であって、(a)第1の親ダイズ系統(前記系統の植物にグルホシネート耐性を付与する本開示の実施形態の発現カセットを含む)と第2の親ダイズ系統(この除草剤耐性形質を欠く)を有性交雑し、それによって、複数の後代植物を作出するステップと;(b)分子マーカーを使用することによって後代植物を選択するステップとを含む方法を包含する。そのような方法は、場合によって、後代植物を第2の親ダイズ系統と戻し交雑して、前記昆虫抵抗性およびグルホシネート耐性形質を含む真の育種(true-breeding)ダイズ植物を作出するさらなるステップを含んでよい。
【0098】
本開示の別の態様によると、前記イベントを用いて交雑の後代の接合性を決定する方法が提供される。前記方法は、ダイズDNAを含む試料を本開示の実施形態のプライマーセットと接触させるステップを含んでよい。前記プライマーは、前記ダイズイベント由来のゲノムDNAを用いた核酸の増幅反応において使用したとき、前記ダイズイベントに対して特徴的である第1のアンプリコンを生成する。そのような方法は、核酸の増幅反応を実施し、それによって、第1のアンプリコンを生成するステップと;第1のアンプリコンを検出するステップと;ダイズDNAを含む試料を、第2のプライマーセットと接触させるステップと(前記第2のプライマーセットは、ダイズ植物由来のゲノムDNAを用いた核酸の増幅反応において使用したとき、前記イベントのポリヌクレオチド配列を含まないネイティブなダイズのゲノムDNAの内在性配列を含む第2のアンプリコンを生成する);核酸の増幅反応を実施し、それによって、第2のアンプリコンを生成するステップとをさらに含む。この方法は、第2のアンプリコンを検出するステップと、試料中の第1のアンプリコンと第2のアンプリコンとを比較するステップであって、両方のアンプリコンが存在することにより、試料が、導入遺伝子挿入物の接合性を示すステップとをさらに含む。
【0099】
DNA検出キットは、本明細書に開示されている組成物およびDNAの検出の技術分野で周知の方法を使用して開発することができる。このキットは、試料中の対象のダイズイベントDNAを特定するために有用であり、このDNAを含有するダイズ植物を育種するための方法に適用することができる。キットは、例えば、本明細書に開示されているアンプリコンと相補的であるDNA配列、または対象イベントの導入遺伝子の遺伝エレメントに含有されるDNAと相補的であるDNA配列を含有する。これらのDNA配列は、DNA増幅反応において、またはDNAのハイブリダイゼーション方法においてプローブとして、使用することができる。キットは、検出方法を実行するために必要な試薬および材料も含有することができる。
【0100】
「プローブ」は、従来の検出可能な標識またはレポーター分子(例えば、放射性同位元素、リガンド、化学発光剤、または酵素など)を付着させた単離された核酸分子である。そのようなプローブは、標的核酸の鎖、本開示の実施形態の場合では、ダイズ植物由来であるかイベント由来のDNAを含む試料由来であるかにかかわらず、前記ダイズイベントの1つ由来のゲノムDNAの鎖にハイブリダイズできる。本開示の実施形態によるプローブは、デオキシリボ核酸またはリボ核酸だけでなく、標的DNA配列に特異的に結合し、その標的DNA配列の存在を検出するために使用することができるポリアミドおよび他のプローブ材料も含む。
【0101】
「プライマー」は、核酸ハイブリダイゼーションによって標的DNA鎖とアニーリングしてプライマーと標的DNA鎖との間のハイブリッドを形成し、次いでポリメラーゼ、例えば、DNAポリメラーゼによって標的DNA鎖に沿って伸長される、単離された/合成された核酸である。本開示の実施形態のプライマー対は、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または他の従来の核酸の増幅方法によって標的核酸配列を増幅するためのそれらの使用を指す。
【0102】
プローブおよびプライマーは、一般に、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、479、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、490、491、492、493、494、495、496、497、498、499、500、または1000または2000または5000ポリヌクレオチドまたはそれ以上の長さである。そのようなプローブおよびプライマーは、ストリンジェントハイブリダイゼーション条件下で標的配列と特異的にハイブリダイズする。好ましくは、本開示の実施形態によるプローブおよびプライマーは、標的配列と完全な配列類似性を有するが、標的配列とは異なり、標的配列とハイブリダイズする能力を保持するプローブを従来の方法によって設計することができる。
【0103】
プローブおよびプライマーを調製し、使用するための方法は、例えば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、1〜3巻Sambrookら編、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、1989年に記載されている。PCRのプライマー対は、公知の配列から、例えば、その目的のためのコンピュータプログラムを使用することによって得ることができる。
【0104】
本明細書に開示されている隣接DNAおよび挿入断片の配列に基づくプライマーおよびプローブを使用して、従来の方法によって、例えば、そのような配列を再クローニングし、配列決定することによって、開示されている配列を確認すること(および、必要であれば、補正すること)ができる。
【0105】
本開示の実施形態の核酸プローブおよびプライマーは、ストリンジェントな条件下で標的DNA配列とハイブリダイズする。任意の従来の核酸ハイブリダイゼーションまたは増幅の方法を使用して、試料中のトランスジェニックイベント由来のDNAの存在を特定することができる。核酸分子またはその断片は、ある特定の状況下で他の核酸分子と特異的にハイブリダイズすることができる。本明細書で使用される場合、2つの核酸分子は、2つの分子が、逆平行の、二本鎖核酸構造を形成することができる場合、互いと特異的にハイブリダイズすることができると言える。核酸分子は、別の核酸分子と完全な相補性を示す場合、その「相補物」であると言える。本明細書で使用される場合、分子は、分子の一方のあらゆるヌクレオチドが、他方のヌクレオチドと相補的である場合、「完全な相補性」を示すと言える。完全な相補性を示す分子は、一般に、従来の「高ストリンジェンシー」条件下で互いにアニーリングしたままであることが可能になるのに十分な安定性で互いとハイブリダイズする。従来の高ストリンジェンシー条件はSambrookら、1989年に記載されている。
【0106】
2つの分子は、少なくとも従来の「低ストリンジェンシー」条件下で、互いとアニーリングしたままであることを可能にするために十分な安定性で互いとハイブリダイズすることができる場合、「最小相補性」を示す。従来の低ストリンジェンシー条件は、Sambrookら、1989年に記載されている。核酸分子がプライマーまたはプローブとしての機能を果たすためには、用いる特定の溶媒および塩濃度の下で安定な二本鎖構造を形成できるために配列と最小相補性があると示すことのみが必要である。
【0107】
用語「ストリンジェントな条件」または「ストリンジェンシー条件」は、Sambrookら、1989年、9.52〜9.55において考察されている特定のハイブリダイゼーション手順による、核酸プローブの標的核酸(すなわち、対象とする特定の核酸配列)とのハイブリダイゼーションに関して機能的に定義される。Sambrookら、1989年、9.47〜9.52および9.56〜9.58も参照されたい。
【0108】
構想される適用に応じて、標的配列に対するハイブリダイゼーションの選択性のさまざまな程度を実現するために、ストリンジェントな条件のさまざまな条件またはプローブもしくはプライマーのポリヌクレオチド配列の縮重を使用することができる。高い選択性を必要とする適用のために、一般には、あるポリヌクレオチド配列と第2のポリヌクレオチド配列をハイブリダイズさせるために比較的ストリンジェントな条件を用いることがある。例えば、約50℃〜約70℃の温度で約0.02M〜約0.15MのNaClによってもたらされるような比較的低塩かつ/または高温の条件を選択することがある。ストリンジェントな条件は、例えば、ハイブリダイゼーション濾過器を高ストリンジェンシー洗浄緩衝液(0.2×SSC、0.1%のSDS、65℃)で少なくとも2回洗浄することを伴ってよい。DNAのハイブリダイゼーションを促進する適切なストリンジェンシー条件、例えば、約45℃で6.0×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)、その後50℃で2.0×SSCで洗浄することは、当業者に公知である。例えば、洗浄ステップにおける塩濃度は、低ストリンジェンシーである50℃で約2.0×SSCから高ストリンジェンシーである50℃で約0.2×SSCまでから選択することができる。さらに、洗浄ステップにおける温度は、低ストリンジェンシー条件である室温、約22℃から高ストリンジェンシー条件である約65℃まで増加させることができる。温度と塩との両方が変動してよい、または、温度もしくは塩濃度のいずれかは、他方の変数が変化する一方で一定に保たれてよい。そのような選択的な条件は、もしあれば、プローブと鋳型または標的鎖との間のミスマッチを少し容認する。ハイブリダイゼーションによってDNA配列を検出することは当業者に周知であり、米国特許第4,965,188号および同第5,176,995号の教示は、ハイブリダイゼーション分析の方法の例である。
【0109】
特に好ましい実施形態では、本開示の実施形態の核酸は、高ストリンジェンシー条件下で、本明細書において例証または提案される、その相補物および断片を含めたプライマー(またはアンプリコンもしくは他の配列)の1つまたは複数と特異的にハイブリダイズする。本開示の一態様では、本開示の実施形態のマーカー核酸分子は、本明細書において例示された配列の1つに記載されている核酸配列、またはその相補物および/もしくは断片を有する。
【0110】
本開示の別の態様では、本開示の実施形態のマーカー核酸分子は、そのような核酸配列と、80%から100%の間または90%未満から100%の間の配列同一性を共有する。本開示の別の態様では、本開示の実施形態のマーカー核酸分子は、そのような配列と95%から100%の間の配列同一性を共有する。そのような配列は、遺伝的交雑の後代を特定するための植物育種方法において、マーカーとして使用することができる。プローブの標的DNA分子とのハイブリダイゼーションは、当業者に公知の任意の数の方法によって検出することができ;それらとしては、これらに限定されないが、蛍光タグ、放射性タグ、抗体ベースのタグおよび化学発光タグを挙げることができる。
【0111】
特定の増幅プライマー対を使用する標的核酸配列の増幅(例えば、PCRによる)に関して、「ストリンジェントな条件」は、プライマー対が、対応する野生型配列(またはその相補物)を有するプライマーが結合し得る標的核酸配列のみとハイブリダイズすること、および好ましくは特有の増幅産物、アンプリコンを生成することを可能にする条件である。
【0112】
用語「(標的配列)に特異的な」は、プローブまたはプライマーが、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、標的配列を含む試料中の標的配列のみとハイブリダイズすることを示す。
【0113】
本明細書で使用される場合、「増幅されたDNA」または「アンプリコン」は、核酸鋳型の一部である標的核酸配列の核酸増幅産物を指す。例えば、有性交雑によって生じたダイズ植物が、本開示の実施形態のダイズ植物由来のトランスジェニックイベントゲノムDNAを含有するかどうかを決定するために、ダイズ植物の組織試料から抽出したDNAを、挿入された異種DNAの挿入部位の近接する植物のゲノム内の隣接配列に由来するプライマー、および挿入された異種DNAに由来する第2のプライマーを含むプライマー対を使用して、イベントDNAの存在に対して特徴的であるアンプリコンを生成する核酸の増幅方法に供することができる。アンプリコンは、ある長さであり、同じくイベントに対して特徴的である配列を有する。アンプリコンの長さは、プライマー対の全て合わせた長さ足す1ヌクレオチド塩基対、および/またはプライマー対の全て合わせた長さ足す約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、479、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、490、491、492、493、494、495、496、497、498、499、または500、750、1000、1250、1500、1750、2000、またはそれ以上のヌクレオチド塩基対(上に列挙されている増大のいずれかを足すまたは引く)にわたってよい。あるいは、プライマー対は、挿入断片のヌクレオチド配列全体を含むアンプリコンが生成されるように、挿入DNAの両側の隣接配列に由来してもよい。植物のゲノム配列に由来するプライマー対のメンバーは、挿入DNA配列からある距離に位置してよい。この距離は、1ヌクレオチド塩基対から最大約2万ヌクレオチド塩基対までにわたることができる。用語「アンプリコン」の使用は、DNAの熱増幅反応において形成される可能性があるプライマー二量体を特に除外する。
【0114】
核酸の増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含めた当技術分野で公知の種々の核酸の増幅方法のいずれかによって実現することができる。種々の増幅方法が当技術分野で公知であり、とりわけ、米国特許第4,683,195号および米国特許第4,683,202号に記載されている。22kbに至るまでのゲノムDNAを増幅するためにPCR増幅方法が開発されてきた。これらの方法ならびにDNA増幅の技術分野で公知の他の方法を、本開示の実施形態の実施において使用することができる。本明細書において提供される配列に由来するプライマーを使用してイベントからそのような配列を増幅し、その後PCRアンプリコンまたはクローニングされたDNAの標準のDNA配列決定を行うことにより、本主題のダイズイベント由来の異種導入遺伝子DNA挿入断片の配列または隣接ゲノム配列を検証すること(および必要であれば、補正すること)ができる。
【0115】
これらの方法によって生成されるアンプリコンは、複数の技法によって検出することができる。アガロースゲル電気泳動および臭化エチジウムを用いた染色は、DNAアンプリコンを検出する周知の一般的な方法である。別のそのような方法は、近接する隣接ゲノムDNA配列および挿入DNA配列の両方とオーバーラップするDNAオリゴヌクレオチドを設計する遺伝子ビット分析(Genetic Bit Analysis)である。オリゴヌクレオチドは、マイクロウェルプレートのウェル内に固定化されている。対象の領域のPCR後(挿入配列内の1つのプライマーおよび近接する隣接ゲノム配列内の1つのプライマーを使用する)、一本鎖のPCR産物は、固定化されたオリゴヌクレオチドとハイブリダイズし、DNAポリメラーゼおよび予測される次の塩基に特異的な標識したddNTPを使用する一塩基伸長反応の鋳型としての機能を果たし得る。結合した産物の分析は、蛍光シグナルの量の定量化によって完了することができる。蛍光信号により、上首尾の増幅、ハイブリダイゼーション、および一塩基伸長に起因して、挿入断片/隣接配列が存在することが示される。
【0116】
別の方法は、Winge(Innov. Pharma. Tech. 00巻:18〜24頁、2000年)に記載されているようなパイロシークエンス技法である。この方法では近接するゲノムDNAと挿入DNAの接合部とオーバーラップするオリゴヌクレオチドを設計する。このオリゴヌクレオチドを、対象の領域(挿入配列内の1つのプライマーおよび隣接ゲノム配列内の1つのプライマー)由来の一本鎖のPCR産物とハイブリダイズさせるために設計された、DNAポリメラーゼ、ATP、スルフリラーゼ、ルシフェラーゼ、アピラーゼ、アデノシン5’−ホスホ硫酸およびルシフェリンの存在下でインキュベートする。dNTPを個々に加え、それが取り込まれた結果、測定される光信号がもたらされる。光信号により、増幅、ハイブリダイゼーション、および単一塩基または多塩基の伸長が上首尾であり、したがって導入遺伝子挿入断片/隣接配列が存在することが示される。
【0117】
蛍光偏光は、本開示の実施形態のアンプリコンを検出するために使用することができる別の方法である。この方法に従って、オリゴヌクレオチドを、ゲノムの隣接DNAと挿入DNAの接合部とオーバーラップするように設計する。このオリゴヌクレオチドを、対象の領域(挿入DNA内の1つのプライマーおよび隣接ゲノムDNA配列内の1つのプライマー)由来の一本鎖のPCR産物とハイブリダイズさせ、DNAポリメラーゼおよび蛍光標識したddNTPの存在下でインキュベートする。一塩基伸長により、ddNTPが取り込まれる。蛍光標識したddNTPの取り込みは、蛍光光度計を使用して偏光の変化として測定することができる。偏光の変化は、増幅、ハイブリダイゼーション、および一塩基伸長の成功によって、導入遺伝子挿入断片/隣接配列が存在することを示す。
【0118】
TAQMAN(登録商標)(PE Applied Biosystem、Foster City、Calif.)は、DNA配列の存在を検出し、定量する方法である。簡単に述べると、ゲノムの隣接と挿入DNAの接合部とオーバーラップするFRETオリゴヌクレオチドプローブを設計する。FRETプローブおよびPCRプライマー(挿入DNA配列内の1つのプライマーおよび隣接ゲノム配列内の1つのプライマー)を、耐熱性ポリメラーゼおよびdNTPの存在下でサイクルにかける。特異的な増幅の間に、Taq DNAポリメラーゼ校正機構により、FRETプローブ上のクエンチング部分から蛍光部分が放出される。蛍光シグナルは、増幅およびハイブリダイゼーションの成功によって、隣接配列/導入遺伝子挿入断片配列が存在することを示す。
【0119】
ポリヌクレオチド配列の検出において使用するための分子ビーコンが記載されている。簡単に述べると、隣接ゲノムDNAと挿入DNAの接合部とオーバーラップするFRETオリゴヌクレオチドプローブを設計する。FRETプローブの独特の構造により、蛍光部分およびクエンチング部分が極めて近傍に保たれる二次構造が含有される。FRETプローブおよびPCRプライマー(挿入DNA配列内の1つのプライマーおよび隣接ゲノム配列内の1つのプライマー)を、耐熱性ポリメラーゼおよびdNTPの存在下でサイクルにかける。PCR増幅が上手くいった後、FRETプローブが標的配列にハイブリダイズすることにより、プローブの二次構造が除去され、蛍光部分およびクエンチング部分が空間的に分離される。蛍光シグナルが結果として生じる。蛍光シグナルは、増幅およびハイブリダイゼーションの成功によって、隣接ゲノム配列/導入遺伝子挿入断片配列が存在することを示す。
【0120】
ダイズゲノム内の挿入するために優れた位置を開示し、本開示の実施形態は、この遺伝子位置の概ね近くに少なくとも1つの非ダイズイベントpDAB9582.816.15.1挿入断片を含むダイズ種子および/またはダイズ植物も含む。1つの選択肢は、本明細書において例示されているダイズイベントpDAB9582.816.15.1挿入断片を異なる挿入断片で置換することである。一般的には、例えば、特定の実施形態において、標的化相同組換えが使用される。この種類の技術は、例えば、WO03/080809A2および対応する公開された米国特許出願(U.S.20030232410)の主題である。したがって、本開示の実施形態は、本明細書において同定される隣接配列の全てまたは認識できる部分が隣接する異種挿入断片(多コピーのcry1F、cry1Acまたはpat遺伝子の代わりにまたはそれと一緒に)を含む植物および植物細胞を包含する(配列番号1のbp1−1273および配列番号2のbp176−1687)。cry1F、cry1Acまたはpatの1つの追加的なコピー(または複数の追加的なコピー)も、この/これらのように挿入の標的とすることができる。
【0121】
本明細書において言及または引用された全ての特許、特許出願、仮出願、および刊行物は、それらが本明細書の明確な教示と相反しない限りは、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。以下の実施例は、本開示の実施形態を実施するための手順を例示するため、および本開示のある特定の好ましい実施形態を実証するために含まれる。これらの実施例は、限定するものと解釈されるべきではない。当業者には、以下の実施例に開示されている技法は、それを実施するための好ましい方式を例示するために使用される特定の手法を表していることが理解されたい。しかし、当業者には、本開示に照らして、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、なお同様または類似の結果を得ながら、これらの特定の実施形態において多くの変更を行うことができることが理解されたい。別段の指定のない限り、全ての百分率は重量により、特に断りのない限り、全ての溶媒混合物の割合は体積による。
【0122】
別段の指定のない限り、以下の略語が使用されている。
bp 塩基対
℃ 摂氏温度
DNA デオキシリボ核酸
EDTA エチレンジアミン四酢酸
kb キロベース
μg マイクログラム
μL マイクロリットル
mL ミリリットル
M モル質量
PCR ポリメラーゼ連鎖反応
PTU 植物転写単位または発現カセット
SDS ドデシル硫酸ナトリウム
SSC 塩化ナトリウムとクエン酸ナトリウムとの混合物を含有する緩衝溶液、pH7.0
TBE トリス塩基、ホウ酸およびEDTAの混合物を含有する緩衝溶液、pH8.3.
(実施例)
【実施例1】
【0123】
cry1F、cry1AcおよびPATダイズイベントpDAB9582.816.15Jの形質転換および選抜
ダイズイベントpDAB9582.816.15.1を含むトランスジェニックダイズ(Glycine max)を、ダイズ子葉節の外植片をアグロバクテリウム媒介形質転換によって生成した。T鎖DNA領域内に選抜マーカー、patv6および対象の遺伝子cry1Fv3およびcry1 Ac synproを含むバイナリーベクターpDAB9582(
図1)を保有する武装解除したアグロバクテリウム株EHA101(Hoodら、1993年)を使用して形質転換を開始した。pDAB9582のT鎖DNA配列は配列番号3に示され、下の表1において注釈を付けている。
【0124】
【表1】
【0125】
Zengら(2004年)の手順を改変して用いてアグロバクテリウム媒介形質転換を行った。簡単に述べると、ダイズ種子(Maverick栽培品種)を基本培地上で発芽させ、子葉節を単離し、アグロバクテリウムに感染させた。アグロバクテリウムを除去するために、苗条誘導(shoot initiation)培地、苗条伸長培地、および発根培地にセフォタキシム、チメンチンおよびバンコマイシンを補充した。グルホシネートによる選択を使用して、形質転換されていない苗条の生長を阻害した。選択された苗条を、根を発生させるために発根培地に移し、次に、小植物を順化させるために土壌混合物に移した。
【0126】
選択された小植物の頂小葉にグルホシネートを塗布して推定形質転換体についてスクリーニングした。スクリーニングされた小植物を温室に移して、気候順化させ、次に葉にグルホシネートを塗布して耐性を再確認し、推定形質転換体であるとみなした。スクリーニングされた植物の試料を採取し、選択マーカー遺伝子および/または対象の遺伝子を確認するための分子解析を行った。T
0植物を温室内で自家受精させてT
i種子を生じさせた。
【0127】
このイベント、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1は、独立した形質転換分離株から生成した。T
i植物を戻し交雑し、その後の世代にわたって優良品種に遺伝子移入した。イベントをその独特の特性、例えば、単一の挿入部位、正常なメンデル分離、安定発現、ならびに昆虫抵抗性、除草剤耐性および農業生産力を含めた効力の優れた組合せに基づいて選抜した。以下の実施例は、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1を特徴付けるために使用したデータを含有する。
【実施例2】
【0128】
ダイズイベントpDAB9582.816.15Jにおけるタンパク質の発現の特徴付け
ダイズイベントpDAB9582.816.15.1において発現させた組換え型のCry1Fタンパク質、Cry1Acタンパク質、およびPATタンパク質の生化学的性質を特徴付けた。定量的酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)は、タンパク質の生化学的性質を特徴付け、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1におけるこれらのタンパク質の発現を確認するために用いることができる、当技術分野の範囲内で公知の生化学的アッセイである。
【0129】
実施例2.1:植物組織におけるPATタンパク質、Cry1Fタンパク質、およびCry1Acタンパク質の発現
ダイズ組織の試料を試験植物から単離し、発現を解析するために調製した。0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)を含有する界面活性剤Tween−20(PBST)を含有するリン酸緩衝生理食塩水溶液を用いてダイズ植物の組織からPATタンパク質を抽出した。植物組織を遠心分離し、水性上清を収集し、必要に応じて適切な緩衝液で希釈し、PAT ELISAキットをサンドイッチ形式で使用して解析した。キットは製造者(Envirologix、Portland、ME)の推奨プロトコールに従って使用した。このアッセイにより、発現されたPATタンパク質の濃度を測定した。
【0130】
界面活性剤Tween−20(PBST)を含有するリン酸緩衝生理食塩水溶液を用いてダイズ植物の組織からCry1Fタンパク質を抽出した。植物組織を遠心分離し、水性上清を収集し、必要に応じて適切な緩衝液で希釈し、Cry1F ELISAキットをサンドイッチ形式で使用して解析した。キットは製造者(Strategic Diagnostics Inc.、Newark、DE)の推奨プロトコールに従って使用した。このアッセイにより、発現されたCry1Fタンパク質の濃度を測定した。
【0131】
0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)を含有する界面活性剤Tween−20(PBST)を含有するリン酸緩衝生理食塩水溶液を用いてダイズ植物の組織からCry1Acタンパク質を抽出した。植物組織を遠心分離し、水性上清を収集し、必要に応じて適切な緩衝液で希釈し、Cry1Ac ELISAキットをサンドイッチ形式で使用して解析した。キットは製造者(Strategic Diagnostics Inc.、Newark、DE)の推奨プロトコールに従って使用した。このアッセイにより、発現したCry1Acタンパク質の濃度を測定した。
【0132】
ダイズイベントpDAB9582.816.15.1において、検出解析を実施して発現の安定性および遺伝性を垂直方向(世代間)および水平方向(世代内の系列間)の両方で調査した。
【0133】
実施例2.2:植物組織におけるCry1Fタンパク質、Cry1Acタンパク質およびPATタンパク質の発現
上記のプロトコルを使用してダイズイベントpDAB9582.816.15.1におけるCry1Fタンパク質、Cry1Acタンパク質およびPATタンパク質のレベルを決定した。ダイズの葉組織から、可溶性の抽出可能なタンパク質を、定量的酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)方法を使用して測定した。T
2〜T
6世代のダイズイベントpDAB9582.816.15.1で発現は安定であり(分離性でない)、系列全てにわたって一貫していた。表2に、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1におけるトランスジェニックタンパク質の平均発現レベルが列挙されている。
【0134】
【表2】
【実施例3】
【0135】
ダイズイベントpDAB9582.816.15.1の挿入断片および隣接境界領域におけるDNA配列のクローニングおよび特徴付け
ゲノムの挿入部位を特徴付け、説明するために、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1の隣接ゲノムT−DNA境界領域の配列を決定した。1273bpの5’隣接境界配列(配列番号1)および1371bpの3’隣接境界配列(配列番号2)を含むダイズイベントpDAB9582.816.15.1のゲノム配列を確認した。ダイズイベントpDAB9582.816.15.1の境界配列に基づくPCR増幅により、境界領域がダイズ起源であること、および接合領域がダイズイベントpDAB9582.816.15.1に独特の配列であることが検証された。接合領域をダイズイベントpDAB9582.816.15.1のイベント特異的な同定のために使用することができる。さらに、T鎖の挿入部位を、形質転換されていないダイズのゲノム由来の同定された隣接境界配列の領域に対応するゲノムの断片を増幅することによって特徴付けた。ダイズイベントpDAB9582.816.15.1を形質転換されていないゲノム配列と比較することにより、T鎖の組み込みの間に元の遺伝子座から約21bpが欠失したことが明らかになった。全体的に、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1の挿入断片および境界配列を特徴付けることにより、pDAB9582由来のT鎖のインタクトなコピーがダイズゲノム内に存在することが示された。
【0136】
【表3】
【0137】
【表4】
【0138】
【表5】
【0139】
実施例3.1:ダイズのゲノム配列の確認
5’隣接境界および3’隣接境界を第03染色体由来のダイズ(Glycine max)全ゲノムショットガン配列に対しアラインメントし、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1の導入遺伝子がダイズゲノムの第03染色体に挿入されたことが示されている。ダイズゲノムからダイズイベントpDAB9582.816.15.1の挿入部位を確認するために、異なるプライマー対を用いてPCRを行った(
図2、表3、表4、および表5)。ダイズイベントpDAB9582.816.15.1由来のゲノムDNAおよび他のトランスジェニックダイズ系統または非トランスジェニックダイズ系統由来のゲノムDNAを鋳型として使用した。5’境界配列が正確であることを確認するために、At Ubi10プロモーター遺伝子エレメント、例えば、AtUbi1ORV1に結合するように設計したプライマー、および、ダイズゲノムの第03染色体上のクローニングされた5’末端境界に結合するように設計したプライマー、81615_FW2と称されるプライマーを、At Ubi1Oプロモーター遺伝子エレメントから5’末端境界配列にわたるDNAセグメントを増幅するために使用した。同様に、クローニングされた3’境界配列を確認するために、pat特異的なプライマー、例えば、3’PATEnd05、ならびに、81615_RV1および81615_RV2と称される、クローニングされた3’末端境界配列に従って設計したプライマーを、pat遺伝子から3’境界配列にわたるDNAセグメントを増幅するために使用した。予測されたサイズを有するDNA断片は、各プライマー対を用いたダイズイベントpDAB9582.816.15.1のゲノムDNAからのみ増幅されたが、他のトランスジェニックダイズ系統または非トランスジェニック対照由来のDNA試料からは増幅されなかった。結果は、クローニングされた5’境界配列および3’境界配列が、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1のT鎖挿入断片の隣接境界配列であることを示している。
【0140】
ダイズゲノム内のDNA挿入物をさらに確認するために、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1のT鎖挿入断片を含有しないゲノムDNAにおいてダイズ境界配列にわたるPCR増幅を完了した。5’末端境界配列に従って設計したプライマー81615_FW2、および3’末端境界配列に対して設計した1つのプライマー81615−RV3を使用して、pDAB9582T鎖が組み込まれた遺伝子座を含有したDNAセグメントを増幅した。予測通り、81615_FW2および81615_RV3のプライマー対を用いて完了したPCR反応により、全ての他のダイズ対照系統からおよそ1.8kbのDNA断片が生じたが、pDAB9582.816.15.1からは生じなかった。同定されたダイズイベントpDAB9582.816.15.1の5’境界配列および3’境界配列を第03染色体由来のダイズ(Glycine max)全ゲノムショットガン配列とアラインメントすることにより、元の遺伝子座からの約21bpの欠失が明らかになった(
図3)。これらの結果により、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1の導入遺伝子がダイズゲノムの第03染色体の部位に挿入されたことが実証された。
【実施例4】
【0141】
ダイズイベントpDAB9582.816.15.1のサザンブロットによる特徴付け
サザンブロット分析を使用して、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1の組み込みパターンを確立した。これらの実験により、cry1Acおよびcry1F導入遺伝子のダイズゲノム内への組み込みおよびその完全性を実証するデータが生成した。ダイズイベントpDAB9582.816.15.1は、プラスミドpDAB9582由来のcry1Acおよびcry1F PTUの単一コピーを含有する全長の、単純な組み込みイベントであると特徴付けられた。
【0142】
サザンブロットのデータにより、T鎖断片がダイズイベントpDAB9582.816.15.1のゲノムに挿入されたことが示唆された。詳細なサザンブロット分析を、pDAB9582.816.15.1のT鎖組み込み領域に含有されるcry1Acおよびcry1F遺伝子に特異的なプローブ、およびプラスミド内に位置する切断部位を有し、プラスミドまたはプラスミドとダイズのゲノムDNAの接合部にわたる断片(境界断片)内にハイブリダイズ断片を生じる説明的な制限酵素を使用して行った。サザンハイブリダイゼーションによって示された制限酵素とプローブの組合せについての分子量は、このイベントに独特であり、その同定パターンを確立した。これらの分析により、cry1Acおよびcry1FPTUの再配置を伴わずにプラスミド断片がダイズのゲノムDNAに挿入されたことも示された。
【0143】
実施例4.1
ダイズの葉の試料の収集およびゲノムDNA(gDNA)の単離
ダイズイベントpDAB9582.816.15.1を含有する個々のダイズ植物から回収した葉組織からゲノムDNAを抽出した。さらに、cry1Acおよびcry1F遺伝子が存在しない物質系統の代表である遺伝的背景を含有する従来のダイズ植物であるMaverickからgDNAを単離した。標準のCTAB法の後、凍結乾燥した葉組織から個々のゲノムDNAを抽出した。抽出した後、DNAを、Pico Green試薬(Invitrogen、Carlsbad、CA)を使用して分光蛍光分析によって定量した。
【0144】
実施例4.2
DNAの消化および分離
ダイズイベントpDAB9582.816.15.1をサザンブロットによって分子キャラクタリゼーションするために、10マイクログラム(10μg)のゲノムDNAを消化した。ダイズイベントpDAB9582.816.15.1および非トランスジェニックダイズ系統であるMaverick由来のゲノムDNAを、各DNA試料にDNA1μg当たりおよそ5ユニットの選択された制限酵素および対応する反応緩衝液を加えることによって消化した。各試料を、およそ37℃で一晩インキュベートした。単独消化のために、制限酵素AseI、HindIII、NsiI、およびNdeIを個々に使用した(New England BioLabs、Ipswich、MA)。二重消化のために制限酵素NotIおよびApaLIを一緒に使用した(New England BioLabs、Ipswich、MA)。さらに、陽性ハイブリダイゼーション対照試料を、プラスミドDNAであるpDAB9582を非トランスジェニックダイズ品種であるMaverick由来のゲノムDNAと混ぜ合わせることによって調製した。プラスミドDNA/ゲノムDNA反応混液を、試験試料の場合と同じ手順および制限酵素を用いて消化した。
【0145】
消化物を一晩インキュベートした後、Quick−Precip Plus solution(Edge Biosystems、Gaithersburg、MD)25μLを加え、消化されたDNA試料を、イソプロパノールを用いて沈澱させた。沈澱したDNAペレットを、1×ローディング緩衝液(0.01%ブロモフェノールブルー、10.0mMのEDTA、10.0%グリセロール、1.0mMのトリス、pH7.5)15μLに再懸濁させた。次いで、DNA試料および分子サイズマーカーを、0.4×TAE緩衝液(Fisher Scientific、Pittsburgh、PA)を用いた0.85%未満のアガロースゲルにより、35ボルトでおよそ18〜22時間、電気泳動して断片の分離を実現した。ゲルを臭化エチジウム(Invitrogen、Carlsbad、CA)で染色し、DNAを紫外線(UV)の下で可視化した
【0146】
実施例4.3
サザン転写およびメンブレン処理
サザンブロット分析を基本的にMemelinkら(1994年)に記載されている通り実施した。簡単に述べると、DNA断片を電気泳動によって分離し、可視化した後、ゲルを、0.25MのHClを用い、およそ20分にわたって脱プリン化し、次いで、変性溶液(0.4MのNaOH、1.5MのNaCl)におよそ30分間、その後、中和溶液(1.5MのNaCl、0.5Mのトリス、pH7.5)に少なくとも30分間曝露させた。ナイロンメンブレンへのサザン転写を、10×SSCを伴うウィッキング系を用いて一晩実施した。転写後、UV架橋によってDNAをメンブレンに結合させ、その後、メンブレンを2×SSC溶液で簡単に洗浄した。このプロセスにより、ハイブリダイゼーションのためのサザンブロットメンブレンの準備ができた。
【0147】
実施例4.4
DNAプローブの標識化およびハイブリダイゼーション
標識したプローブを使用してナイロンメンブレンに結合したDNA断片を検出した(表6)。ジゴキシゲニン(DIG)標識されたヌクレオチド[DIG−11]−dUTPを、遺伝子エレメントに特異的なプライマーを使用してプラスミドpDAB9582から増幅されたDNA断片にPCRに基づいて組み込むことによってプローブを生成した。PCR合成によるDNAプローブの生成を、PCR DIG Probe Synthesis Kit(Roche Diagnostics、Indianapolis、IN)を製造者の推奨手順に従って使用して行った。
【0148】
標識したプローブをアガロースゲル電気泳動によって解析して、それらの質および数量を決定した。次いで、基本的にDIG Easy Hyb Solution(Roche Diagnostics、Indianapolis、IN)に関して記載されている手順を用いて、特異的な断片を検出するために、所望の量の標識したプローブをナイロンメンブレン上の標的DNAとハイブリダイズさせるために使用した。簡単に述べると、固定されたDNAを含有するナイロンメンブレンブロットを2×SSCで簡単に洗浄し、ハイブリダイゼーションビン中の予め温めたDIG Easy Hyb Solution20〜25mLと、ハイブリダイゼーションオーブン内、およそ45〜55℃で約2時間にわたってプレハイブリダイズさせた。次いで、プレハイブリダイゼーション溶液をデカントし、サーマルサイクラー中でおよそ5分間加熱することによって変性させた所望の量の特異的なプローブを含有する予め温めたDIG Easy Hyb Solution約15mLと交換した。次いで、ハイブリダイゼーションステップをハイブリダイゼーションオーブン内、およそ45〜55℃で一晩行った。
【0149】
プローブハイブリダイゼーションの最後に、プローブを含有するDIG Easy Hyb Solutionを清潔なチューブ内にデカントし、およそ−20℃で保管した。これらのプローブは、製造者の推奨手順に従って2回再使用することができた。メンブレンブロットを簡単にすすぎ、清潔なプラスチック容器中で低ストリンジェンシー洗浄緩衝液(2×SSC、0.1%SDS)を用いて室温でおよそ5分にわたって2回洗浄し、その後、高ストリンジェンシー洗浄緩衝液(0.1×SSC、0.1%SDS)を用いて2回、それぞれおよそ65℃で15分間洗浄した。メンブレンブロットを、DIG Wash and Block Buffer Set(Roche Diagnostics、Indianapolis、IN)の1×マレイン酸緩衝液を用いておよそ5分にわたって簡単に洗浄した。その後、1×ブロッキング緩衝液で2時間にわたってブロッキングし、同じく1×ブロッキング緩衝液中の抗DIG−AP(アルカリホスファターゼ)抗体(Roche Diagnostics、Indianapolis、IN)と一緒に最低でも30分間インキュベートした。1×洗浄緩衝液を用いて2〜3回洗浄した後、特異的なDNAプローブはメンブレンブロットに結合したままであり、DIG標識されたDNA標準物質を、CDP−Star Chemiluminescent Nucleic Acid Detection System(Roche Diagnostics、Indianapolis、IN)を製造者の推奨に従って使用して可視化した。1つまたは複数の時点でブロットを化学発光フィルムに曝露させて、ハイブリダイズした断片を検出し、分子サイズ標準物質を可視化した。フィルムをALL−Pro 100 Plusフィルム現像剤(Konica Minolta、Osaka、Japan)を用いて現像し、画像をスキャンした。検出されたバンドの数およびサイズを各プローブについて実証した。記載の通りDIG検出後に可視化されるDIG−Labeled DNA Molecular Weight Marker II(DIG MWM II)およびDIG−Labeled DNA Molecular Weight Marker VII(DIG MWM VII)を使用して、サザンブロット上にハイブリダイズした断片サイズを決定した。
【0150】
【表6】
【0151】
実施例4.5
サザンブロットの結果
cry1Acおよびcry1FPTUの公知の制限酵素部位に基づく、特定の消化物およびプローブに関して予測された断片サイズおよび観察された断片サイズが表7に示されている。これらの消化およびハイブリダイゼーションから2種類の断片を同定した:公知の酵素部位がプローブ領域に隣接し、cry1Acおよびcry1FPTUの挿入領域内に完全に含有されている内部の断片、および公知の酵素部位がプローブ領域の一端に位置し、第2の部位がダイズゲノム内にあると予測される境界断片。ほとんどの場合、DNA断片の組み込み部位はそれぞれのイベントに独特であるので、境界断片のサイズはイベントごとに変動する。境界断片により、組み込まれたDNAに対して制限酵素部位を位置づける手段およびDNA挿入物の数を評価する手段がもたらされる。ダイズイベントpDAB9582.816.15.1を含有するダイズの多世代に対して完了したサザンブロット分析により、プラスミドpDAB9582由来の低コピー、インタクトなcry1Acおよびcry1FPTUが、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1のダイズゲノムに挿入されたことを示唆するデータがもたらされた。
【0152】
【表7】
【0153】
制限酵素AseIおよびNsiIは、プラスミドpDAB9582に独特の制限部位を結合および分割する。続いて、これらの酵素を、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1におけるcry1Ac遺伝子挿入断片を特徴付けるために選択した。7286bpより大きいまたは9479bpより大きい境界断片は、それぞれAseIおよびNsiIで消化した後、プローブとハイブリダイズすることが予測された(表7)。それぞれAseIおよびNsiI消化を使用したとき、約8500bpおよび10000より大きいbpの単一のcry1Acハイブリダイゼーションバンドが観察された。プローブがこのサイズのバンドにハイブリダイズすることにより、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1のダイズゲノム内にcry1Ac遺伝子に対する単一の挿入部位が存在することが示唆される。制限酵素NotIおよびApaLIを、cry1Ac植物転写単位(PTU、プロモーター/遺伝子/ターミネーター)を含有する断片を放出し、二重消化をさせるために選択した(表7)。予測された4550bpの断片は、NotIおよびApaLI二重消化した後、プローブを用いて観察された。酵素を用いてpDAB9582.816.15.1試料を消化し、その後プローブとハイブリダイズさせることで得られた結果により、プラスミドpDAB9582由来のインタクトなcry1AcPTUの単一コピーがダイズイベントpDAB9582.816.15.1のダイズゲノムに挿入されたことが示された。
【0154】
制限酵素NdeIおよびNsiIは、プラスミドpDAB9582の制限部位に結合し、切断する。続いて、これらの酵素を、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1におけるcry1F遺伝子挿入断片を特徴付けるために選択した。5569bpより大きい境界断片および9479より大きい境界断片は、それぞれNdeIおよびNsiIで消化した後、プローブとハイブリダイズすることが予測された(表7)。NdeIおよびNsiIを使用したとき、それぞれ約7500bpおよび10000bpより大きい単一のcry1Fハイブリダイゼーションバンドが観察された。プローブがこのサイズのバンドにハイブリダイズすることにより、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1のダイズゲノム内にcry1F遺伝子に対する単一の挿入部位が存在することが示唆される。制限酵素HindIIIを、cry1F植物転写単位(PTU;プロモーター/遺伝子/ターミネーター)を含有する断片を放出させるために選択した(表7)。予測された7732bpの断片が、HindIII消化後にプローブを用いて観察された。pDAB9582.816.15.1試料を酵素で消化し、その後プローブとハイブリダイズさせることで得られた結果により、プラスミドpDAB9582由来のインタクトなcry1F PTUがダイズイベントpDAB9582.816.15.1のダイズゲノムに挿入されたことが示された。
【0155】
実施例4.6:骨格配列が存在しないこと
ダイズイベントpDAB9582.816.15.1にスペクチノマイシン抵抗性遺伝子(specK)、Ori Repエレメントおよび複製開始タンパク質trfA
(TRf Aエレメント)が存在しないことを検証するために、サザンブロット分析も行った。適切な陽性対照(MaverickゲノムDNAにpDAB9582を付加したもの)および陰性対照(MaverickゲノムDNA)をサザン分析に含めた場合、スペクチノマイシン抵抗性、Ori Repエレメントまたはtrf Aエレメントに対する特異的なハイブリダイゼーションは予測されなかった。NsiI消化し、specR特異的なプローブとハイブリダイズさせた後、陽性対照試料(MaverickゲノムDNAにpDAB9582を付加したもの)において、15320bpの、1つの予測されたサイズのバンドが観察された。specRプローブは陰性対照の試料およびダイズイベントpDAB9582.816.15.1の試料とはハイブリダイズしなかった。同様に、NsiI消化し、trfAプローブとハイブリダイズさせた後、15320bpの、1つの予測されたサイズのバンドが陽性対照試料(pDAB9582プラスmaverick)において検出されたが、陰性対照の試料およびダイズイベントpDAB9582.816.15.1の試料では検出されなかった。NdeI消化し、OriRep特異的なプローブとハイブリダイズさせた後、5329bpの、別の予測されたサイズのバンドが陽性対照試料(MaverickゲノムDNAにpDAB9582を付加したもの)において検出されたが、陰性対照の試料およびダイズイベントpDAB9582.816.15.1の試料では検出されなかった。これらのデータは、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1にスペクチノマイシン抵抗性遺伝子、Ori Repエレメントおよび複製開始タンパク質trfAが存在しないことを示している。
【実施例5】
【0156】
農業形質および収量圃場試験ならびに除草剤耐性
反復農業試験を実行して、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1の農業での有効性をヌル同質遺伝子系統であるMaverickと比較した。圃場試験の大多数について、米国全土にわたって地理的に別個の場所に設置し、そこでダイズイベントpDAB9582.816.15.1を含有するダイズ品種を栽培した。追加的な圃場試験をこれらの場所の外で完了し、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1を含有するダイズ品種を、好ましくない場所で生長させることにより生じる潜在的なストレスに曝露させるために選択した。少数の圃場試験の中での環境の変動性に起因して、いくつかの現場では試験を中止した。
【0157】
実験を、場所ごとの反復数2の完全乱塊法計画(randomized complete block design)として設定した。ダイズイベントpDAB9582.816.15.1を含めて8種をエントリーした。各小区画は作条2つ、長さ12.5フィートからなり、30インチ離して植えた。季節を通して、圃場の小区画を通常の農業習慣の下で維持し、雑草がない状態に保った。
【0158】
試験用の種子はプエルトリコにおいて冬の間に冬季苗床で作出した。ダイズイベントpDAB9582.816.15.1およびMaverickの種子を、種子が原因のいかなる変動性も最小限にするために同じ苗床で生長させ、同様に処理した。次に、種子を北アメリカに戻し、そこで包装し、種々の植え付け場所に分配した。季節を通していくつもの農業特性を測定した。これらの特性およびデータを収集した生長段階は表8に列挙されている。
【0159】
【表8】
【0160】
生育期の最後に、全ての場所からのデータを合わせ、全場所にわたる分析を実施した。JMP(登録商標)Pro 9.0.3(SAS、Cary、NC)を使用してデータ解析を行った。解析のために混合モデルを使用し、エントリーを固定効果とみなし、場所、エントリーごとの場所、および反復効果を変量とみなした。この解析からの最小二乗平均が表9において報告されている。有意なエントリー効果が測定された変数についてはその後にスチューデントのT検定を使用して平均分離(mean separation)を実施して、MaverickとダイズイベントpDAB9582.816.15.1の比較を行った。有意性を決定するための確率水準はp=0.05に設定した。
【0161】
【表9】
【0162】
開花までの日数、成熟度および種子100個の重量を除き、測定された全ての形質についてダイズイベントpDAB9582.816.15.1とMaverickの間で同等性が示された。ダイズイベントpDAB.816.15.1はMaverickの約2日後に開花した。2日の遅延は生産者にとって大きな遅延ではなく、作物の生産力を損なうものではない。小区画内の植物のおよそ50%が開花を示した時に小区画の開花とみなした。同様に、ダイズイベントpDAB9582.816.15は季節の最後にMaverickの1日後に成熟したが、この遅延によって作物の生産力が損なわれるような著しい農業上の差異は生じなかった。同様に、ダイズイベントpDAB9582.816.15の種子100個の重量はMaverickと統計学的に異なったが、これによって収量の有意な減少は生じなかった。結果は、ダイズイベントpDAB9582.816.15がMaverickとは発育の仕方が異なり得るが、差異は最小限であり、商業的に生長させたダイズの正常範囲の外には出ないことを示している。
【0163】
ダイズイベントpDAB9582.816.15.1の除草剤耐性を試験するために、プエルトリコ、サンタイサベルにおける有効性試験において該イベントを植えた。ダイズイベントpDAB9582.816.15.1を作出するために最初に形質転換した栽培品種Maverickを各苗床に植え、実験に対照として含めた。T
3苗床の種子はT
2段階における単一植物選択から得、T
4苗床の種子はT
3段階における単一植物選択から得た。各世代において4系列のイベントを試験した。作条4つの広さ、7.5フィートの長さの小区画に各系列を植えた。作条間の間隔は30インチであった。プエルトリコの日の短さを補償するために、小区画を光の下でおよそ2.5週間にわたって生長させた。各苗床にグルホシネートを411g ae/haの比率で噴霧した。対照植物であるMaverickの1つの小区画に、グルホシネートを同じ比率で噴霧し、第2の小区画には噴霧せず、イベントに対する対照比較として使用した。ダイズイベントpDAB9582.816.15.1はグルホシネート除草剤施用に対する耐性を示した。対照的に、除草剤処理に対して耐性のMaverick植物は存在しなかった。
【実施例6】
【0164】
ダイズイベントpDAB9582.816.15.1についての殺虫活性の特徴付け
ダイズイベントpDAB9582.816.15.1のCry1Acタンパク質およびCry1Fタンパク質によってもたらされる、アンチカルシア・ゲムマタリス(Anticarsia gemmatalis)(ハッショウマメイモムシ)、シュードプルシア・インクルデンス(Pseudoplusia includens)(ダイズシャクトリムシ)、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(ツマジロクサヨトウ(fall armyworm))およびヘリオチス・ビレセンス(Heliothis virescens)(タバコバッドワーム(tobacco budworm))を含めた鱗翅目の昆虫を含めたダイズ害虫からの植物の保護のレベルを特徴付けるために、圃場および温室での評価を行った。
【0165】
およそ4週齢の植物に対して温室試験を行った。15の植物を使用してダイズイベントpDAB9582.816.15.1およびMaverick対照を評価した。試験した各昆虫種(A.ゲムマタリス(A. gemmatalis)、P.インクルデス(P. includes)、およびS.フルギペルダ(S. frugiperda)新生幼虫)について、合計45のリーフディスク/植物/昆虫種のために各植物から3つのリーフディスクを切り取った。1.4cmのリーフパンチを2%の素寒天の上部の試験アリーナに置き、新生幼虫1匹を外寄生させ、穴のあいたプラスチックの蓋で密閉した。
【0166】
外寄生させた後に死亡率および葉の消費を評価した。穏やかな触針に反応しなかった幼虫は死亡したとみなした。ダイズイベントpDAB9582.816.15.1を含有する植物性材料上に置いた昆虫の死亡率は、Maverick対照上に置いた昆虫よりも有意に高かった(スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)について死亡率86%、アンチカルシア・ゲムマタリス(Anticarsia gemmatalis)について死亡率100%、シュードプルシア・インクルデンス(Pseudoplusia includens)について死亡率100%)。表10。昆虫に消費されたリーフディスクの百分率を視覚的にスコアリングすることによって葉の損傷を評価した。温室での実験から得られた結果により、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1では、アンチカルシア・ゲムマタリス(Anticarsia gemmatalis)、シュードプルシア・インクルデンス(Pseudoplusia includens)、およびスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)の外寄生に対して、Maverick対照植物と比較して有意に低い葉の損傷および高い昆虫の死亡率が持続したことが示された。
【0167】
圃場で生長させたダイズイベントpDAB9582.816.15.1植物の有効性評価を、プエルトリコ、サンタイサベルの種子増加苗床小区画から葉の試料を収集し、これらの葉をバイオアッセイするためにIN、インディアナポリスに送ることによって行った。T
3ダイズイベントpDAB9582.816.15.1植物のための苗床小区画は、4つの作条に配置されたおよそ180の植物からなった。各作条は長さ2.3mであり、76.2cmの間隔があけられ、個々の植物は各作条内に5.1cmの間隔で植えられた。分裂組織のおよそ4節下に位置する完全に増大した主茎の三出葉1枚のバイオアッセイを行った。三出葉組織をイベントpDAB9582.816.15.1を有する10の個々のダイズ植物および10の個々の「Maverick」植物から、切除した。葉を包装して実験室に移した。実験室において、各三出葉から直径3.33cmのリーフディスク1つまたは2つを押し抜き、合計16のリーフディスクを準備した。各リーフディスクを2%の寒天の上部の試験アリーナに置き、新生ヨトウガ(S. frugiperda)幼虫1匹を外寄生させ、穴のあいたプラスチックの蓋で密閉した。リーフディスクを、制御された環境のチャンバー内で7日間保持し、7日の時点で死亡率および葉の消費を評価した。穏やかな触針に反応しない幼虫は死亡したとみなした。
【0168】
外寄生させた後の死亡率および葉の消費を評価した。穏やかな触針に反応しなかった幼虫を死亡したとみなした。ダイズイベントpDAB9582.816.15.1を含有する植物性材料上に置いた昆虫の死亡率は、Maverick対照上に置いた昆虫(スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)について死亡率0%)よりも有意に高かった(スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)について死亡率68%)。表10。昆虫に消費されたリーフディスクの百分率を視覚的にスコアリングすることによって葉の損傷を評価した。この葉のバイオアッセイから得られた結果により、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1に曝露させたスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)の幼虫では、Maverick対照植物に曝露させたスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)の幼虫よりも有意に低い葉の損傷および昆虫の生存(高い昆虫の死亡率としても説明される)が持続したことが示された。
【0169】
ダイズイベントpDAB9582.816.15.1の有効性を第1の圃場試験(表10の第1の圃場試験)において評価した。ダイズイベントpDAB9582.816.15.1を含有する、T
4世代からのダイズ種子、および形質転換されていないダイズ品種Maverickの種子を、完全乱塊法計画、反復数2で植えた。各反復小区画は作条2つ、長さ2.3mおよび0.76mの間隔からなった。作条内に、作条当たり種子40個を5.7cmの間隔で植えた。試験種子を植え、一方の反復にグルホシネート除草剤を411g ae/haで噴霧し、他方の反復にはこれを噴霧せず、その結果、Maverick植物に関して噴霧していない反復のみがバイオアッセイのために生存した。
【0170】
ダイズ植物がR2生長段階になった時にバイオアッセイのために葉を収集した。バイオアッセイのために葉を収集する数日前に、同じ植物の1節下の葉(および古い葉)からリーフパンチを取得し、Cry1Acタンパク質およびCry1Fタンパク質の発現について、実施例2に記載のものと同様のELISA法を使用して分析した(表12)。分裂組織の4節下に位置し、損傷または変色の徴候が示されてない完全に増大した主茎の三出葉をバイオアッセイのために切除した。反復当たり15の植物のそれぞれから三出葉を1枚切除した。葉を15℃で保管し、バイオアッセイした。各三葉の小葉を切除し、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1の小葉のそれぞれの中心から直径3.33cmのディスクを1枚切り取り、Maverickの小葉それぞれから直径3.33cmのディスクを2枚切り取った。これらのリーフディスクをそれぞれ、32ウェルのプラスチックバイオアッセイトレーの別々の標識したウェルに入れた。各ウェルは寒天の薄い層を含有した。新生P.インクルデンス(P. includens)の幼虫、新生A.ゲムマタリス(A. gemmatalis)の幼虫、または新生ヨトウガ(S. frugiperda)の幼虫1匹を各リーフディスク上に置いた。換気をもたらすためにバイオアッセイトレーを穴のあいた接着性のプラスチックシートで密閉した。各種について、幼虫30匹をダイズイベントpDAB9582.816.15.1からの葉組織に曝露させ、幼虫30匹をMaverickからの葉組織に曝露させた。外寄生させたリーフディスクを保持するプラスチックトレーを25℃、相対湿度(RH)40%で保持した。7日後に、幼虫について、死亡した(鋭い針を用いて刺激しても動かない)か、発育が阻止された(Maverickの葉の上に保持された幼虫よりもサイズが小さい)か、または生きている(サイズおよび刺激に対する応答が正常である)かを決定した。
【0171】
外寄生させた後の死亡率を評価した。ダイズイベントpDAB9582.816.15.1を含有する植物性材料上に置いた昆虫の死亡率は、Maverick対照上に置いた昆虫よりも有意に高かった(スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)について死亡率97%、アンチカルシア・ゲムマタリス(Anticarsia gemmatalis)について死亡率100%、およびシュードプルシア・インクルデンス(Pseudoplusia includens)について死亡率100%)。表10。この葉のバイオアッセイから得られた結果により、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1に曝露させたスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)、アンチカルシア・ゲムマタリス(Anticarsia gemmatalis)、およびシュードプルシア・インクルデンス(Pseudoplusia includens)の幼虫では、Maverick対照植物に曝露させたスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)、アンチカルシア・ゲムマタリス(Anticarsia gemmatalis)、およびシュードプルシア・インクルデンス(Pseudoplusia includens)の幼虫よりも有意に低い昆虫の生存(高い昆虫の死亡率としても説明される)が持続したことが示された。
【0172】
ダイズイベントpDAB9582.816.15.1の有効性を第2の別の圃場試験(表10の第2の圃場試験)で評価した。ダイズイベントpDAB9582.816.15.1を含有する、T
4世代からのダイズ種子および形質転換されていないダイズ品種Maverickの種子を完全乱塊法計画、反復数4で植えた。各反復小区画は作条4つ、長さ6.1mおよび1.02mの間隔からなった。作条内に、作条当たり種子160個を3.8cmの間隔で植えた。ネイティブな害虫集団を誘引するために試験小区画の間およびその周りの追加的な作条にMaverickを植えた。
【0173】
ダイズ植物がR2生長段階になった時にバイオアッセイのために葉を収集した。追加的なバイオアッセイのための葉を、ダイズ植物がR5生長段階になった時に同じ植物から収集した。各バイオアッセイのために葉を収集する数日前に、同じ植物の1節下の葉からリーフパンチを取得し、Cry1Acタンパク質およびCry1Fタンパク質について実施例2に記載のものと同様のELISA法を使用して分析した(表12)。分裂組織の4節下に位置し、損傷または変色の徴候が示されてない完全に増大した主茎の三出葉をバイオアッセイのために切除した。反復当たり15の植物のそれぞれから三出葉を1枚切除し、反復当たり三葉4枚をP.インクルデンス(P. includens)のバイオアッセイのために使用し、反復当たり三葉4枚をヨトウガ(S. frugiperda)のバイオアッセイのために使用し、反復当たり三葉4枚をH.ビレセンス(H. virescens)のバイオアッセイのために使用し、反復当たり三葉3枚をA.ゲムマタリス(A. gemmatalis)のバイオアッセイのために使用した。各三葉の両側の小葉を切除し、寒天の薄い層を含有する別々の標識したペトリ皿に入れた。P.インクルデンス(P. includens)、A.ゲムマタリス(A. gemmatalis)、ヨトウガ(S. frugiperda)、またはH.ビレセンス(H. virescens)の二齢の幼虫2匹を各小葉上に置いた。P.インクルデンス(P. includens)、ヨトウガ(S. frugiperda)、およびH.ビレセンス(H. virescens)については、幼虫64匹をダイズイベントpDAB9582.816.15.1およびMaverick植物からの葉組織に曝露させた。A.ゲムマタリス(A. gemmatalis)については、幼虫48匹をダイズイベントpDAB9582.816.15.1およびMaverick対照植物からの葉組織に曝露させた。外寄生させた小葉を保持するペトリ皿を蓋で覆い、25℃、RH40%で保持した。4日後に、幼虫について、死亡した(鋭い針を用いて刺激しても動かない)か、瀕死である(幼虫は刺激には応答するが、端に置いても元に戻ることができない)か、発育が阻止された(Maverickの葉の上に保持された幼虫よりもサイズが小さい)か、または生きている(サイズおよび刺激に対する応答が正常である)かを決定した。
【0174】
R5段階でのバイオアッセイ手順は、ヨトウガ(S. frugiperda)およびH.ビレセンス(H. virescens)について、小葉3枚全てを各三葉から切除し、二齢の幼虫1匹を各小葉上においたことを除いてR2段階で使用した手順と同じであった。これにより、ヨトウガ(S. frugiperda)およびH.ビレセンス(H. virescens)の幼虫48匹がダイズイベントpDAB9582.816.15.1およびMaverickからの小葉に曝露された。
【0175】
R2の葉のバイオアッセイとR5の葉のバイオアッセイの両方について、外寄生させた後の死亡率を評価した。ダイズイベントpDAB9582.816.15.1を含有する植物性材料上に置いた昆虫の死亡率は、Maverick対照上に置いた昆虫よりも有意に高かった(スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)に関してR2の葉のバイオアッセイについて死亡率69%およびR5の葉のバイオアッセイについて死亡率54%、アンチカルシア・ゲムマタリス(Anticarsia gemmatalis)に関してR2の葉のバイオアッセイとR5の葉のバイオアッセイの両方について死亡率100%、ヘリオチス・ビレセンス(Heliothis virescens)に関してR2の葉のバイオアッセイについて死亡率95%およびR5の葉のバイオアッセイについて死亡率70%、ならびにシュードプルシア・インクルデンス(Pseudoplusia includens)に関してR2の葉のバイオアッセイについて死亡率100%およびR5の葉のバイオアッセイについて死亡率98%)。表10。この葉のバイオアッセイから得られた結果により、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1に曝露させたスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)、アンチカルシア・ゲムマタリス(Anticarsia gemmatalis)、シュードプルシア・インクルデンス(Pseudoplusia includens)およびヘリオチス・ビレセンス(Heliothis virescens)の幼虫では、Maverick対照植物に曝露させたスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)、アンチカルシア・ゲムマタリス(Anticarsia gemmatalis)、シュードプルシア・インクルデンス(Pseudoplusia includens)およびヘリオチス・ビレセンス(Heliothis virescens)の幼虫よりも有意に低い昆虫の生存(高い昆虫の死亡率としても説明される)が持続したことが示された。
【0176】
第2の圃場試験で生長させたダイズイベントpDAB9582.816.15.1およびMaverickダイズ植物からダイズのさやを収集し、H.ビレセンス(H. virescens)の幼虫を用いてバイオアッセイした。各反復小区画内でランダムに選択した6つの植物から主茎の一番上のさや2つを切除した。さやのセットそれぞれをプラスチックペトリ皿に入れ、二齢のH.ビレセンス(H. virescens)の幼虫1匹を外寄生させた。ダイズイベントpDAB9582.816.15.1およびMaverick対照植物から収穫されたさやのセットに幼虫24匹が曝露されるように実験を設計した。ペトリ皿を上記の切除した葉のバイオアッセイと同じ条件下で保持した。2日後に、葉のバイオアッセイについて記載されている手順を使用してH.ビレセンス(H. virescens)の幼虫の生存を観察した。
【0177】
ダイズのさやに外寄生させた後の死亡率を評価した。ダイズイベントpDAB9582.816.15.1を含有するダイズのさやの上に置いた昆虫の死亡率はMaverick対照のさやの上に置いた昆虫よりも有意に高かった(ヘリオチス・ビレセンス(Heliothis virescens)に関するダイズのさやのバイオアッセイについて死亡率50%)。表10。圃場で生長させたダイズのさやでのこのアッセイから得られた結果により、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1に曝露させたヘリオチス・ビレセンス(Heliothis virescens)の幼虫では、Maverick対照植物に曝露させたヘリオチス・ビレセンス(Heliothis virescens)の幼虫よりも有意に低い昆虫の生存(高い昆虫の死亡率としても説明される)が持続したことが示された。
【0178】
圃場において、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1およびMaverick対照のダイズ植物の頂端部(2つ〜3つの増大している三出葉および未成熟のさやの集団を有する主茎の一番上の部分)にH.ビレセンス(H. virescens)の卵を外寄生させた。H.ビレセンス(H. virescens)の卵をおよそ20個有するチーズクロスの切片を各反復小区画内でランダムに選択した5つの植物(全部で20の植物を試験した)の頂端部に置き、プラスチックで覆った紙クリップを用いて定位置に保持した。布製のメッシュの袋を頂端部にかぶせ、メッシュの袋の開放端を主茎の周りでビニールタイを用いて固定した。メッシュの袋の代表的なセットにおいて卵の孵化を毎日モニターした。全ての卵が孵化した後に、5つの植物に取り付けた各メッシュの袋内で生きているH.ビレセンス(H. virescens)の幼虫の数を計数した。
【0179】
ダイズイベントpDAB9582.816.15.1のダイズの頂端部の生きている昆虫の幼虫の平均数は、Maverick対照の頂端部の昆虫よりも有意に低かった(ヘリオチス・ビレセンス(Heliothis virescens)に関するダイズの頂端部のバイオアッセイについて0.00数の昆虫)。表11。このアッセイから得られた結果により、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1に曝露させたヘリオチス・ビレセンス(Heliothis virescens)の幼虫では、Maverick対照植物に曝露させたヘリオチス・ビレセンス(Heliothis virescens)の幼虫よりも有意に少ない数の昆虫の生存が持続したことが示された。
【0180】
試験小区画内のネイティブなP.インクルデンス(P. includens)の幼虫の計数を週に1回、4週間にわたって行った。各小区画の中央の2つの作条から試料採取した。中央の2つの作条の間のランダムに選択した位置に91cm×91cmの白い布を置いた。シートの一端に近接する作条の区分内の植物を布の上に曲げ、15回振って、存在するあらゆる昆虫を取り出した。布の逆端にある作条についてこのプロセスを繰り返した。幼虫を種およびサイズごとに計数した。長さが6mm未満の幼虫を小さな幼虫として計数し、長さが6mm以上の幼虫を大きな幼虫として計数した。次の測定を行う前に布から全ての昆虫を除去した。布を中央の2つの作条の間の第2のランダムに選択した位置に移動させ、試料採取プロセスを繰り返し、これにより、各試料採取日に小区画当たり2つの副試料をもたらした。
【0181】
ダイズイベントpDAB9582.816.15.1の1.82mの作条にわたって計数された昆虫の平均数は、Maverick対照の1.82mの作条にわたって計数された昆虫の数よりも有意に低かった(シュードプルシア・インクルデンス(Pseudoplusia includens)について0.00数の昆虫)。表11。このアッセイから得られた結果により、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1へのシュードプルシア・インクルデンス(Pseudoplusia includens)の外寄生は、Maverick対照植物に曝露させたシュードプルシア・インクルデンス(Pseudoplusia includens)の外寄生よりも有意に少ないことが示された。
【0182】
これらの反復実験から得られた結果により、試験した全ての昆虫種について、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1に曝露させた鱗翅目の幼虫では、Maverick対照植物に曝露させた幼虫よりも有意に低い生存が持続したことが示された。したがって、ダイズイベントpDAB9582.816.15.1はこの広い範囲の害虫に殺虫活性を有する。
【0183】
【表10】
【0184】
【表11】
【0185】
【表12】
【実施例7】
【0186】
ダイズイベントpDAB9582.816.15.1の予測される配列
配列番号14にダイズイベントpDAB9582.816.15.1の予測される配列が提供されている。この配列は、5’ゲノム隣接配列、pDAB9582の予測されるT鎖挿入断片および3’ゲノム隣接配列を含有する。配列番号14に関して、残基1〜1273は5’ゲノム隣接配列であり、残基1274〜13658はpDAB9582T鎖挿入の残基であり、13659〜13821はpDAB9582プラスミドからの再配置の残基であり、残基13822〜15170は3’隣接配列である。したがって挿入断片の5’末端に関して接合部配列または移行部は配列番号14の残基1273〜1274に生じる。したがって挿入断片の3’末端に関して接合部配列または移行部は配列番号14の残基13658〜13659に生じる。
【0187】
配列番号14はダイズイベントpDAB9582.816.15.1の予測表示であり、配列番号1、配列番号2、およびpDAB9582のt鎖のアラインメントから組み立てられたものであることに留意すべきである。ダイズイベントpDAB9582.816.15.1のT鎖挿入断片の実際の配列は配列番号14からわずかに逸脱する可能性がある。T鎖挿入を植物細胞のゲノムに導入する形質転換プロセスの間に、挿入断片のいくつかの欠失または他の変更が起こることは珍しくない。さらに、PCR増幅において、軽微な配列決定のエラーを生じる可能性があるエラーが起こり得る。例えば、本明細書において列挙されている隣接配列は、ダイズのゲノムDNAからアンプリコンを生成し、次いでアンプリコンをクローニングし、配列決定することによって決定した。ゲノムDNAから配列決定するために十分なアンプリコンを生成するために必要な多数回の増幅を考慮すると、このように生成し、決定した配列においてわずかな差異および軽微な不一致が見いだされることは珍しいことではない。当業者は、これらの型の一般的な配列決定のエラーまたは不一致に起因して必要になる調整はいずれも本開示の範囲内であることを認識し、留意するべきである。したがって、本明細書において提供されるプラスミド配列の関連するセグメントは、いくつかの軽微な変動を含んでよい。したがって、本開示の挿入断片配列に対していくらかの範囲の同一性を有するポリヌクレオチドを含む植物は本開示の範囲内である。配列番号14の配列に対する同一性とは、本明細書で例示または記載されている配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列であってよい。隣接配列プラス挿入断片配列の配列は、寄託された種子を照会することで確認することができる。したがって、配列番号14とダイズイベントpDAB9582.816.15.1の実際のT鎖挿入との間のいくつかの差異を同定することができる。
【0188】
本開示の原理が例示され、記載され、本開示は、そのような原理から逸脱することなく取り合わせおよび詳細を改変することができることが当業者には明らかであるはずである。我々は添付の特許請求の範囲の主旨および範囲内に入る全ての改変について特許請求する。
【0189】
本明細書において引用されている刊行物および公開特許文書は全て、個々の刊行物または特許出願が具体的にかつ個別に参照により組み込まれることが示された場合と同じ程度に参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、以下の態様を含む。
[1]
昆虫を昆虫抵抗性ダイズ植物に曝露させて、それにより昆虫を防除するステップを含む、昆虫を防除する方法であって、前記ダイズ植物が配列番号1のbp1258〜1288;配列番号1のbp1223〜1323;配列番号1のbp1173〜1373;配列番号1のbp1073〜1473;配列番号2のbp160〜190;配列番号2のbp125〜225;および配列番号2のbp75〜275からなる群から選択される配列を含むDNAを含み、前記配列が、ダイズイベント9582.816.15.1の存在に特徴的である、方法。
[2]
前記昆虫がシュードプルシア・インクルデンス(Pseudoplusia includens)(ダイズシャクトリムシ)である、[1]に記載の方法。
[3]
前記昆虫がアンチカルシア・ゲムマタリス(Anticarsia gemmatalis)(ハッショウマメイモムシ)である、[1]に記載の方法。
[4]
前記昆虫がスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(ツマジロクサヨトウ)である、[1]に記載の方法。
[5]
前記昆虫がヘリオチス・ビレセンス(Heliothis virescens)(タバコバッドワーム)である、[1]に記載の方法。
[6]
ダイズ作物において雑草を防除する方法であって、グルホシネート除草剤をダイズ作物に施用するステップを含み、前記ダイズ作物が配列番号1のbp1258〜1288;配列番号1のbp1223〜1323;配列番号1のbp1173〜1373;配列番号1のbp1073〜1473;配列番号2のbp160〜190;配列番号2のbp125〜225;および配列番号2のbp75〜275からなる群から選択される配列を含むDNAを含むダイズ植物を含み、前記配列がダイズイベント9582.816.15.1の存在に特徴的である、方法。
[7]
配列番号1のbp1258〜1288;配列番号1のbp1223〜1323;配列番号1のbp1173〜1373;配列番号1のbp1073〜1473;配列番号2のbp160〜190;配列番号2のbp125〜225;および配列番号2のbp75〜275からなる群から選択される1つまたは複数の配列を含む単離されたDNA配列。
[8]
ダイズ植物を育種する方法であって、
第1のダイズ植物と第2のダイズ植物を交雑させて第3のダイズ植物を作出するステップであり、前記第1のダイズ植物が配列番号1の1258〜1288;配列番号1のbp1223〜1323;配列番号1のbp1173〜1373;配列番号1のbp1073〜1473;配列番号2のbp160〜190;配列番号2のbp125〜225;および配列番号2のbp75〜275からなる群から選択される1つまたは複数の配列、ならびにその相補物を含むDNAを含む、ステップと、前記第3のダイズ植物を、配列番号1のbp1258〜1288;配列番号1のbp1223〜1323;配列番号1のbp1173〜1373;配列番号1のbp1073〜1473;配列番号2のbp160〜190;配列番号2のbp125〜225;および配列番号2のbp75〜275からなる群から選択される1つまたは複数の配列およびその相補物を含むDNAの存在についてアッセイするステップとを含む方法。
[9]
配列番号1のbp1258〜1288;配列番号1のbp1223〜1323;配列番号1のbp1173〜1373;配列番号1のbp1073〜1473;配列番号2のbp160〜190;配列番号2のbp125〜225;および配列番号2のbp75〜275からなる群から選択される少なくとも1つの配列およびその相補物を含む接合部配列を含む単離されたDNA分子。
[10]
シュードプルシア・インクルデンス(Pseudoplusia includens)(ダイズシャクトリムシ)に対して抵抗性であり、配列番号1のbp1258〜1288;配列番号1のbp1223〜1323;配列番号1のbp1173〜1373;配列番号1のbp1073〜1473;配列番号2のbp160〜190;配列番号2のbp125〜225;および配列番号2のbp75〜275からなる群から選択される少なくとも1つのヌクレオチド配列およびその相補物を有するDNAを含む、ダイズ植物またはその部位。
[11]
[10]に記載の植物の種子。
[12]
ダイズミール、ダイズ粉、ダイズタンパク質濃縮物、およびダイズ油からなる群から選択される生産品である、[6]に記載のダイズ植物またはその部位に由来する組成物。
[13]
ダイズの粒、種子、ミール、または粉において害虫を防除する方法であって、前記粒、種子、ミール、または粉が配列番号1のbp1258〜1288;配列番号1のbp1223〜1323;配列番号1のbp1173〜1373;配列番号1のbp1073〜1473;配列番号2のbp160〜190;配列番号2のbp125〜225;および配列番号2のbp75〜275からなる群から選択される1つまたは複数の配列およびその相補物を含むDNAを含むことによって実証される、前記粒、種子、ミール、または粉にダイズイベント9582.816.15.1を含めるステップを含む方法。
[14]
ゲノム内に、配列番号1のbp1258〜1288;配列番号1のbp1223〜1323;配列番号1のbp1173〜1373;配列番号1のbp1073〜1473;配列番号2のbp160〜190;配列番号2のbp125〜225;配列番号2のbp75〜275からなる群から選択されるDNA配列;ならびにその相補物を含むダイズ種子。
[15]
[14]に記載のダイズ種子から生長させたダイズ植物。
[16]
花粉、胚珠、花、苗条、根、および葉からなる群から選択され、前記ダイズイベント9582.816.15.1を含む、[15]に記載のダイズ植物の部位。
[17]
ダイズミール、ダイズ粉(soybean flour)、およびダイズ油(soybean oil)からなる群から選択される生産品である、[15]に記載のダイズ植物またはその部位に由来する組成物。
[18]
配列番号14に対して少なくとも95%の配列同一性を有するDNA配列を含むトランスジェニックダイズ植物。
[19]
ダイズイベント9582.816.15.1を含むトランスジェニックダイズ植物またはその部位であって、代表的なダイズ種子がAmerican Type Culture Collectionに受託番号PTA−12588の下で寄託されているダイズイベント9582.816.15.1を含む、トランスジェニックダイズ植物またはその部位。