特許第6385346号(P6385346)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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6385346クラッチを操作するための液圧式のレリーズアッセンブリに用いられるスレーブシリンダ
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  • 6385346-クラッチを操作するための液圧式のレリーズアッセンブリに用いられるスレーブシリンダ 図000002
  • 6385346-クラッチを操作するための液圧式のレリーズアッセンブリに用いられるスレーブシリンダ 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385346
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】クラッチを操作するための液圧式のレリーズアッセンブリに用いられるスレーブシリンダ
(51)【国際特許分類】
   F16D 25/08 20060101AFI20180827BHJP
   F16J 15/3232 20160101ALI20180827BHJP
【FI】
   F16D25/08 E
   F16J15/3232 101
【請求項の数】8
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-524641(P2015-524641)
(86)(22)【出願日】2013年7月23日
(65)【公表番号】特表2015-523522(P2015-523522A)
(43)【公表日】2015年8月13日
(86)【国際出願番号】DE2013200071
(87)【国際公開番号】WO2014019580
(87)【国際公開日】20140206
【審査請求日】2016年7月20日
(31)【優先権主張番号】102012213656.8
(32)【優先日】2012年8月2日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ボスニャック
【審査官】 尾形 元
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2001/0047918(US,A1)
【文献】 特開平10−311350(JP,A)
【文献】 特開2000−009231(JP,A)
【文献】 欧州特許第01970589(EP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 25/08
F16J 15/3232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラッチを操作するための液圧式のレリーズアッセンブリ(31)に用いられるスレーブシリンダ(1)であって、該スレーブシリンダ(1)が、筒形のハウジング(2)と、該ハウジング(2)に対して同心的にかつ半径方向に間隔を置いて配置された筒形のガイド管(3)とを備えており、ハウジング(2)とガイド管(3)とが、両者間に環状の圧力室(4)を形成していて、該圧力室(4)内に環状ピストン(5)が軸方向可動に配置されており、該環状ピストン(5)が、圧力室(4)に面した側にシールリング(6)を有しており、シールリング(6)が、シール領域(11)とY字状の断面形状とを有しており、該断面形状が、シール基部(10)と、該シール基部(10)に軸方向で続くシール領域(11)と、該シール領域(11)に続いて、互いにV字形に開いて延びる外側のシールリップ(7)および内側のシールリップ(8)とを有しており、外側のシールリップ(7)が、ハウジング(2)の筒形の内面(27)に接触していて、内側のシールリップ(8)が、ガイド管(3)の筒形の外面(28)に接触しており、シール領域(11)の外面とハウジング(2)の筒形の内面(27)との間に外側の環状部材(17)が設けられていて、シール領域(11)の内面とガイド管(3)の筒形の外面(28)との間に内側の環状部材(18)が設けられており、シールリング(6)の加圧に際して、シール領域(11)が、外側の環状部材(17)を介してハウジング(2)の内面(27)に支持されていて、内側の環状部材(18)を介してガイド管(3)の外面(28)に支持されている、スリーブシリンダにおいて、シール基部(10)が、環状ピストン(5)の、シール基部(10)に相補的に形成された凹部(12)内に形状接続的にかつ密に保持されており、
前記外側の環状部材(17)と前記内側の環状部材(18)とは、前記環状ピストン(5)とは別個の部材であり、かつ該環状ピストン(5)に固定されていないことを特徴とする、クラッチを操作するための液圧式のレリーズアッセンブリに用いられるスレーブシリンダ。
【請求項2】
シール領域(11)が、シール基部(10)を起点として、それぞれ円弧状に外向きに外側のシールリップ(7)へともしくは内向きに内側のシールリップ(8)へと拡張されている、請求項1記載のスレーブシリンダ。
【請求項3】
シール領域(11)が、シール基部(10)を起点として、まず、それぞれ軸方向に延びていて、次いで、円弧状に外向きに外側のシールリップ(7)へともしくは内向きに内側のシールリップ(8)へと拡張されている、請求項1記載のスレーブシリンダ。
【請求項4】
外側の環状部材(17)が、内面において環状ピストン(5)の側を起点として円弧状に外向きに拡張されていて、内側の環状部材(18)が、外面において環状ピストン(5)の側を起点として円弧状に内向きに拡張されており、これによって、シールリング(6)が、そのシール領域(11)で外側の環状部材(17)と内側の環状部材(18)との間に形状接続的に保持されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のスレーブシリンダ。
【請求項5】
凹部(12)が、アンダカット(15,16)を有している、請求項1から4までのいずれか1項記載のスレーブシリンダ。
【請求項6】
外側の環状部材(17)と内側の環状部材(18)とが、それぞれ軸方向で環状ピストン(5)に支持されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のスレーブシリンダ。
【請求項7】
外側の環状部材(17)の、環状ピストン(5)に向けられた面が、凹部(12)よりも半径方向外側で環状ピストン(5)に接触していて、内側の環状部材(18)の、環状ピストン(5)に向けられた面が、凹部(12)よりも半径方向内側で環状ピストン(5)に接触している、請求項1から6までのいずれか1項記載のスレーブシリンダ。
【請求項8】
両環状部材(17,18)が、強化されていないプラスチック材料から成っている、請求項1から7までのいずれか1項記載のスレーブシリンダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラッチを操作するための液圧式のレリーズアッセンブリに用いられるスレーブシリンダに関する。特にデュアルクラッチであってよいクラッチの液圧式のレリーズシステムは、カバーに固定されて同心的に配置されている。
【0002】
欧州特許第01970589号明細書から、自動車の摩擦クラッチの液圧式のレリーズシステムに用いられるスレーブシリンダが明らかである。このスレーブシリンダは、変速機入力軸に対して同心的に配置されたハウジングを有している。このハウジングの筒形の内面から半径方向に間隔を置いて、ガイドスリーブが配置されている。前述した内面と、ガイドスリーブの筒形の外面との間には、円環状の圧力室が位置していて、この圧力室内に環状ピストンが軸方向可動に配置されている。この環状ピストンは、半径方向に拡開されて配置されたシールリップを有する環状シール部材を備えている。環状ピストンは、環状シール部材を取り付けるための少なくとも1つの付加的なシール部材支持体を有している。このシール部材支持体は、圧力室の加圧に際して、環状ピストンとハウジングの内面との間の環状ギャップおよび/または環状ピストンとガイドスリーブの外面との間の環状ギャップを縮小する。
【0003】
国際公開第00/06921号から、自動車の摩擦クラッチに用いられる液圧的に操作されるレリーズシステムが明らかである。このレリーズシステムはピストン・シリンダユニットを有している。このピストン・シリンダユニットは、環状筒形のハウジングと、内側のガイド管と、両者間に位置する環状の圧力室とを有している。この圧力室内には、軸方向可動の環状ピストンが配置されている。この環状ピストンは、前方の端部に、ハウジングの内面とガイド管の外面とに接触するシールリップを備えた環状シール部材を有している。このシール部材は、環状ピストンへの拘止のために、この環状ピストンに取り付けられた保持リングとピストンの端区分とに形状接続的に結合されている。
【0004】
本発明の課題は、クラッチを操作するための液圧式のレリーズアッセンブリに用いられるスレーブシリンダを改良して、環状ピストンに設けられたシールリングの体積膨張とヒステリシスとを可能な限り小さくすることである。
【0005】
この課題は、請求項1の特徴を備えたスレーブシリンダによって解決される。
【0006】
これによれば、本発明は、クラッチを操作するためのレリーズアッセンブリに用いられるスレーブシリンダであって、このスレーブシリンダが、筒形のハウジングと、このハウジングに対して同心的にかつ半径方向に間隔を置いて配置された筒形のガイド管とを備えており、ハウジングとガイド管とが、両者間に環状の圧力室を形成していて、この圧力室内に環状ピストンが軸方向可動に配置されているスレーブシリンダに関する。環状ピストンは、圧力室に面した側にシールリングを有している。このシールリングは、軸方向に延びるシール首部もしくはシール領域を有している。このシール領域の外面とハウジングの筒形の内面との間には、外側の環状部材が配置されている。さらに、シール領域の内面とガイド管の筒形の外面との間に内側の環状部材が設けられている。このことは、シールリングの加圧に際して、シール領域が、外側の環状部材を介してハウジングの内面に支持されていて、内側の環状部材を介してガイド管の外面に支持されているという利点を有している。この支持によって、有利には、シールリングに負荷がかけられた場合に、このシールリングの体積増加が極端に小さくなることが達成される。さらに、これによって、シールリングに負荷がかけられたと同時にシール部材がピストンに遊びなしに結合されている場合のヒステリシス現象は保証されていることが達成される。
【0007】
本発明の特に好適な態様では、シールリングが、Y字形の断面形状を有しており、この断面形状が、シール基部と、このシール基部に軸方向で続くシール領域と、このシール領域に続いて、外側のシールリップおよび内側のシールリップとを有している。両シールリップは、互いにV字形に開いて延びている。外側のシールリップは、ハウジングの筒形の内面に接触していて、内側のシールリップは、ガイド管の筒形の外面に接触している。これによって、シールリングに負荷がかけられた場合に、シールリップとハウジングもしくはガイド管との間に特に密な結合が確保される。
【0008】
さらに、負荷がかけられた場合の特に良好な密封は、前述したシール領域が、シールリングのシール基部を起点として、それぞれ円弧状に外向きに外側のシールリップへともしくは内向きに内側のシールリップへと、好ましくは拡張されており、これに相応して、好適には、また、外側の環状部材も、内面において環状ピストンの側を起点としてシールリングのシール領域で円弧状に外向きに拡張されていて、内側の環状部材も、外面において環状ピストンの側を起点としてシールリングのシール領域で円弧状に内向きに拡張されている場合に達成される。こうして、シールリングが、シール領域で外側の環状部材と内側の環状部材との間に形状接続的に保持される。
【0009】
別の態様では、シールリングのシール基部が、環状ピストンの、シール基部に相補的に形成された凹部内に形状接続的にかつ密に保持され、この凹部が、有利にはアンダカットを有している。
【0010】
負荷がかけられた場合、外側の環状部材と、内側の環状部材と、環状ピストンとの、互いに向かい合った面同士が、それぞれ軸方向で互いに支持され合っていると特に有利である。
【0011】
好適な態様では、外側の環状部材の、環状ピストンに向けられた面が、凹部よりも半径方向外側で環状ピストンに接触していて、内側の環状部材の、環状ピストンに向けられた面が、凹部よりも半径方向内側で環状ピストンに接触している。
【0012】
有利には、両環状部材が、強化されていないプラスチック材料から成っている。
【0013】
本発明およびその実施の形態を図面に関連して以下に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るスレーブシリンダを有する液圧式のレリーズシステムの部分断面図である。
図2】環状ピストンおよびシールリングの拡大図である。
【0015】
図1によれば、液圧式のレリーズアッセンブリ31はスレーブシリンダ1を有している。このスレーブシリンダ1は、環状筒形のハウジング2と、筒形の内側のガイド管3とを備えている。ハウジング2とガイド管3との間には、液圧通路(図示せず)に接続されている環状の圧力室4が形成されている。この圧力室4内には、軸方向可動の環状ピストン5が位置していて、この環状ピストン5にシールリング6が形状接続的に固定されている。好ましくは、このシールリング6はY字形の断面形状を有している。これによれば、シールリング6は、ハウジング2の筒形の内面に接触する一方のシールリップ7と、内側のガイド管3の筒形の外面に接触する他方のシールリップ8とを有している。両シールリップ7,8は互いにV字形に開いて延びている。図1では、環状ピストン5が一方の終端位置で示してある。この終端位置では、環状ピストン5が突起9でもって自体公知の形式でレリーズアッセンブリ31に結合されている。図示のレリーズアッセンブリ31の回転軸線には、符号19が付してある。
【0016】
さらに、シールリング6は、シール基部10と、このシール基部10に続くシール首部もしくはシール領域11とを有している。このシール領域11は、シール基部10と両シールリップ7,8との間で軸方向に延びている。シール基部10は、環状ピストン5の、シール基部10に相補的に形成された凹部12内に係合している。この凹部12は、環状ピストン5の、圧力室4に向けられた端領域に位置している。シール基部10は、外側の環状溝13と内側の環状溝14とを有していて、両環状溝13,14内に、環状ピストン5の凹部12に設けられた対応するアンダカット15,16が自体公知の形式で係合しており、これによって、シールリング6がそのシール基部10で環状ピストン5に形状接続的に結合されている。この実情は、特に図2から明確に明らかである。
【0017】
本発明によれば、シールリング6を補強しかつ支持するために、外側の環状部材17と内側の環状部材18とが設けられている。両環状部材17,18は、シールリング6の、ほぼ軸方向に延びるシール領域11を外側でもしくは内側で取り囲んでいる。外側の環状部材17と内側の環状部材18とは、圧力室4内に配置されていると共に支持されていて、負荷がかけられた場合のシールリング6の体積膨張とヒステリシスとを減少させる。シールリング6は遊びなしに結合されている。シールリング6のシール領域11は、外側の環状部材17と内側の環状部材18との間の空間に貫通係合している。両環状部材17,18の、前述した空間を成す領域は、それぞれ軸方向の領域20,21を起点として円弧状の領域22,23を介して拡張されている。このことは、図2に特に明確に示してある。前述した空間は、シールリング6と、外側の環状部材17ならびに内側の環状部材18との間の形状接続部を成している。両環状部材17,18は、好ましくは強化されていないプラスチック材料から成っている。
【0018】
外側の環状部材17はその面24でもって、凹部12よりも半径方向外側における環状ピストン5の、外側の環状部材17に向けられた面25に軸方向で接触している。内側の環状部材18はその面26でもって、凹部12よりも半径方向内側における環状ピストン5の、内側の環状部材18に向けられた面に軸方向で接触している。こうして、両環状部材17,18が圧力室4内の増圧時にそれぞれ軸方向で環状ピストン5に支持されることが達成される。
【0019】
圧力室4内で圧力が増加させられると、シールリング6の加圧に際して、外側の環状部材17がハウジング2の筒形の内面27に支持され、内側の環状部材18が内側のガイド管3の筒形の外面28に支持される。シールリング6は、外側の環状部材17と内側の環状部材18とに支持される。シールリップ7とハウジング2の内面27との間もしくはシールリップ8とガイド管3の外面28との間のシール面29,30によって、圧力室4の密封が達成される。
【符号の説明】
【0020】
1 スレーブシリンダ
2 ハウジング
3 ガイド管
4 圧力室
5 環状ピストン
6 シールリング
7 シールリップ
8 シールリップ
9 突起
10 シール基部
11 シール領域
12 凹部
13 外側の環状溝
14 内側の環状溝
15 アンダカット
16 アンダカット
17 外側の環状部材
18 内側の環状部材
19 回転軸線
20 領域
21 領域
22 円弧状の領域
23 円弧状の領域
24 面
25 面
26 面
27 内面
28 外面
29 シール面
30 シール面
31 レリーズアッセンブリ
図1
図2