特許第6385349号(P6385349)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シロナ・デンタル・システムズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツングの特許一覧

特許6385349歯科対象物の個別の三次元光学画像を記録する方法
<>
  • 特許6385349-歯科対象物の個別の三次元光学画像を記録する方法 図000002
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385349
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】歯科対象物の個別の三次元光学画像を記録する方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 19/04 20060101AFI20180827BHJP
【FI】
   A61C19/04 Z
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-526980(P2015-526980)
(86)(22)【出願日】2013年8月14日
(65)【公表番号】特表2015-524724(P2015-524724A)
(43)【公表日】2015年8月27日
(86)【国際出願番号】EP2013066995
(87)【国際公開番号】WO2014027026
(87)【国際公開日】20140220
【審査請求日】2016年6月15日
(31)【優先権主張番号】102012214467.6
(32)【優先日】2012年8月14日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500058187
【氏名又は名称】シロナ・デンタル・システムズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】アダムソン,アンダース
【審査官】 胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−230530(JP,A)
【文献】 特開2002−203232(JP,A)
【文献】 米国特許第7698068(US,B2)
【文献】 米国特許第6771809(US,B1)
【文献】 国際公開第2010/077380(WO,A2)
【文献】 国際公開第2012/028670(WO,A1)
【文献】 特開2012−066072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定すべき歯科対象物(1)の全体画像を得るために個別の三次元光学画像(2)を記録する方法であって、歯科用カメラ(3)による各個別画像(2、6、7、10、11、13、15、16、17、19)の撮影後、繋ぎ合わせるべき画像(6、7、11、13)間のオーバーラップ領域(5、12)が、正確な記録のために定められた記録条件を満たすかどうかが、その都度コンピュータ(8)によって自動的にチェックされ、その際前記オーバーラップ領域(5)が前記記録条件を満たす場合には、繋ぎ合わせるべき画像(6、7)間の記録が行われて第1画像シーケンス(9)が続行され、その際前記第1画像シーケンス(9)の画像(6、7、10、11)が第1クラスタ(23)となるように繋ぎ合わされるが、前記画像(13)のオーバーラップ領域(12)が前記記録条件を満たさない場合には、前記第1画像シーケンス(9)は中断されて、前記画像(13)をもって次の第2画像シーケンス(14)が自動的に開始され、その際前記第2画像シーケンス(14)の画像(13、15、16、17)が第2クラスタ(24)となるように繋ぎ合わされ、その際複数の画像シーケンス(9、14、21)において複数のクラスタ(23、24、25、31)が形成され、その際個別クラスタ(23、24、25、31)が前記対象物(1)の全体画像になるように繋ぎ合わされ、その際測定中に自動的に規則的な時間間隔で、または測定後にも自動的に、目下のクラスタ(31)が、先行するクラスタ(23、24、25)とクラスタオーバーラップ領域(33)を有するかどうか、そしてそのクラスタオーバーラップ領域(33)が前記記録条件を満たすかどうかがチェックされ、前記目下のクラスタ(31)が、十分なクラスタオーバーラップ領域(33)が検出されるとすぐに、前記先行するクラスタ(23、24、25)のうち1つに自動的にマージされることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記記録条件が、前記オーバーラップ領域(5、12)の十分なサイズ、前記オーバーラップ領域(5、12)内の対象物表面の十分な起伏、前記オーバーラップ領域(5、12)内の表面の十分な粗さ、前記オーバーラップ領域(5、12)内の特性ジオメトリの十分な数、および/または前記オーバーラップ領域(5、12)内の画像の十分な撮影品質であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記オーバーラップ領域(5)の十分なサイズが、それぞれの画像(7)の画像表面の4分の1以上であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記目下のクラスタ(31)のチェックが、規則的な時間間隔で10〜40画像(2)が終わるごとに行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
先行するチェック以降に前記目下のクラスタ(31)に付加された面積が、少なくとも0.25cmを超えるやいなや、前記目下のクラスタ(31)のチェックが行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記目下のクラスタ(31)および先行クラスタ(23、24、25)が表示装置(26)によって同時にグラフィック表示され、その際前記対象物(1)の全体画像への前記個別クラスタ(23、24、25、31)の繋ぎ合わせ(34)が測定中に描写されることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記目下のクラスタ(31)の付加面積、前記個別クラスタ(23、24、25、31)の撮影方向(27、28、29、32)、および/または既に記録されたクラスタの中断ポジション(18、20、22)が、表示装置(26)によってグラフィック描写されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記個別クラスタ(23、24、25、31)の記録が、前記対象物(1)の測定中に前記カメラ(3)を置くことなく続けられることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記画像(2)および/または前記クラスタ(23、24、25、31)の記録が、意味構造を用いて、すなわち測定されるべき顎湾曲の算定された延び具合、咬合面での歯の断面における表面の法線方向である咬合方向、および/または歯の中心(30)をもとに行われることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記咬合方向が、撮影された画像(2)の解析法を用いることで前記コンピュータ(8)によって自動的に算定され、その際前記対象物(1)の測定された歯の歯面の表面法線が生成され、そして咬合面の表面法線の平均値が特定の歯の咬合方向となることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記画像(2)および/または前記クラスタ(23、24、25、31)の記録が、画像フィールド記録を用いることで行われ、その際繋ぎ合わせるべき画像(2)またはクラスタ(23、24、25、31)が、定められた大きさの複数の部分領域に細分化され、その後前記部分領域が、前記記録条件を満たすような前記オーバーラップ領域(5、12)または前記クラスタオーバーラップ領域(33)を見つけるために、決められた順序で互いに比較されることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定すべき歯科対象物の全体画像を得るために個別の三次元光学画像を記録する方法に関わる。
【背景技術】
【0002】
先行技術では、複数の個別の光学撮影が行われ、その後記録がなされるという記録方法が既に複数知られている。この記録の場合、一致する領域つまりいわゆるオーバーラップ領域が識別されて一緒に記録され、それによりそれら個別の光学画像から1つの全体画像が形成される。
【0003】
この個別画像の繋ぎ合わせでは、不正確な記録がもたらされる場合がある。その原因は、たとえばオーバーラップ領域が過小であること、撮影ミス、あるいは頬や舌等撮影領域内の邪魔な物にある場合がある。
【0004】
この種の記録方法の欠点は、配量ミスにより対象物の三次元画像が歪み、その結果治療ミスが起こり得ることにある。
【0005】
この方法にはさらに、記録の間違いが確認された場合、測定全体をやり直さなければならないという欠点がある。
【0006】
よって本発明の課題は、歯科対象物の迅速かつ正確な三次元測定を可能にするような記録方法を提供することにある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、測定すべき歯科対象物の全体画像を得るために個別の三次元光学画像を記録する方法に関わり、その際歯科用カメラによる各個別撮影の後、繋ぎ合わせるべき画像間のオーバーラップ領域が、正確な記録のために定められた記録条件を満たすかどうかが、その都度コンピュータによって自動的にチェックされる。オーバーラップ領域が前記記録条件を満たす場合、繋ぎ合わせるべき画像間の記録が行われて第1画像シーケンスが続行され、その際第1画像シーケンスの画像は第1クラスタとなるように繋ぎ合わされる。しかしある画像のオーバーラップ領域が記録条件を満たさない場合、第1画像シーケンスは中断されて、その画像をもって次の第2画像シーケンスが自動的に開始され、その際第2画像シーケンスの画像は第2クラスタになるように繋ぎ合わされる。
【0009】
前記光学画像は、たとえばストリップ投影法で作動するところの歯科用カメラによって測定される。ストリップ投影法では、対象物上に投影した個別のストリップは、強度、色、偏光、干渉性、位相、コントラスト、場所、または経過時間をもとに同定され得る。その後三角測量法により、対象物上の個別の測定点の3D座標が計算される。色による符号化では、一定の順序のカラーストリップをもとに、各カラーストリップが一義的に同定され得る。測定には、たとえば140のカラーストリップを有するスライドまたは格子を使うことができ、その際このカラーストリップは、対象物面の測定ボリューム内で130μmのストリップ幅をもつ。これらのカラーストリップは、たとえば8つの異なる色を有することが可能であり、その際3つのカラーストリップからなるグループのアレイは、64のカラーストリップに渡って一義的である。
【0010】
測定中、手で保持された歯科用カメラは、下顎または上顎等の歯科対象物に対して相対的に動き、その際規則的な時間間隔で三次元の光学画像が生成される。個別の画像は、たとえば10Hz〜20Hzのクロック周波数で生成され得る。記録は、撮影された画像を評価するコンピュータによって行われる。記録方法としてたとえばICP記録法(反復最近点アルゴリズム)を使うことができる。このアルゴリズムは、二次元または三次元の対象物を記録する既知の方法である。この方法の狙いは、対象物の、異なる2つの3Dモデルを近似的に精密に相次いで結像させることである。そのため、様々な回転および並進が2つの3Dモデルの対応する点ペアに適用され、その際点ペア間の距離の二乗誤差が最小化される。そのため第1の手順において、ある特定の点に最も近い隣点が算定される。次の手順において、記録のための変換が計算される。計算された変換はその後、記録されるべき点ペアに適用される。この反復近似化は、重なり領域内で2つの3Dモデルが一致するまで行われる。
【0011】
それに代えて、またはそれに加えて記録は、撮影される対象物の色、撮影される対象物の表面湾曲、または幾何学的な一致に基づき行うこともできる。幾何学的な一致に基づく記録の場合、パターン検出アルゴリズムが使用され、その際第2画像は特定の幾何学パターン、たとえば特定の歯の咬合面に基づき第1画像から探し出される。
【0012】
オーバーラップ領域の記録条件が満たされない場合、新しいクラスタが開始される。歯科対象物の測定中は、対象物全体が測定され終わるまで、中断のたびにその後新しいクラスタが開始される。それら個別のクラスタは、その後対象物の全体画像となるように繋ぎ合わされ得る。上記記録条件は、たとえば歯科用カメラが対象物に対し相対的に速過ぎる動きをし、そのためオーバーラップ領域のサイズが不十分となる場合には満たされない。またこの他の原因としては、歯科用カメラのオートフォーカスが鮮明に調整されておらず、そのため対象物が明瞭に結像せず、画像の撮影品質が不十分ということもあろう。また別の原因としては、患者の舌や治療する歯科医の指など、動く対象物が測定中に記録されるということもあろう。それらにより画像のオーバーラップ領域は一致しなくなる。よって上記の各原因は、画像シーケンスの中断をもたらす可能性がある。
【0013】
この方法の利点は、記録条件が各撮影後にチェックされることにより、不正確な記録がもたらされ得ないところにある。
この方法のさらなる利点は、既に生成された画像が画像シーケンスの中断後に破棄されるのではなく、繋ぎ合わされてクラスタになることにある。その後これらの個別のクラスタは、自動的に比較されて、対象物の全体画像になるよう繋ぎ合わされ得るので、歯科対象物の個別領域を何度も測定する必要がない。そのため測定時間が短縮される。
有利なことに、十分なサイズのオーバーラップ領域、オーバーラップ領域内の対象物表面の十分な起伏、オーバーラップ領域内の表面の十分な粗さ、オーバーラップ領域内の特性ジオメトリの十分な数、および/またはオーバーラップ領域内の画像の十分な撮影品質などが記録条件となり得る。
【0014】
それらが、繋ぎ合わせるべき画像間の記録が不正確になるのを防ぐ。オーバーラップ領域の表面に十分な輝度と粗さがあれば、平らな面とは反対に信頼性のある記録が可能となる。たとえば裂溝や咬頭などの特性ジオメトリの数と配置が十分であれば、同じく信頼性のある記録が可能となる。撮影品質が十分であれば、歯科対象物は鮮明かつ強いコントラストで結像される。コントラストが弱いのは、たとえば対象物の照明が不十分であるためもしれない。画像が不鮮明なのは、たとえばオートフォーカスの調整が間違っているからかもしれない。
【0015】
有利なことに、オーバーラップ領域の十分なサイズを、各画像の画像表面の4分の1以上とすることができる。
【0016】
それだけのオーバーラップ領域があれば正確な記録が保証される。
【0017】
有利なことに、複数の画像シーケンスにおいて複数のクラスタが形成される場合、個別のクラスタを対象物の全体画像になるように繋ぎ合わすことが可能であり、その際測定中に自動的に規則的な時間間隔で、または測定後にも自動的に、目下のクラスタが、先行するクラスタとクラスタオーバーラップ領域を有するかどうか、またそのクラスタオーバーラップ領域が記録条件を満たすかどうかがチェックされる。
【0018】
よって測定中、目下の画像は、記録条件が満たされる限り前の画像に対して記録されて目下のクラスタに付加され、画像シーケンスは中断されない。この付加の間、目下のクラスタはその前に測定された先行クラスタと比較される。その際、目下のクラスタが先行クラスタとクラスタオーバーラップ領域をもつかどうか、そしてそのクラスタオーバーラップ領域が、既に個別画像の記録時に使われた記録条件を満たすかどうかがチェックされる。
【0019】
これにより個別のクラスタは、十分なクラスタオーバーラップ領域が確認されるやいなや、全体画像になるように自動的に繋ぎ合わされる。つまりクラスタを手動で繋ぎ合わせる必要がないので測定時間が短縮される。
【0020】
これにより目下のクラスタは、適切なクラスタオーバーラップ領域を見つけるために、先行クラスタと短い時間間隔で比較される。
【0021】
有利なことに、目下のクラスタのチェックは、規則的な時間間隔で10〜40画像が終わるごとに行われ得る。
【0022】
これにより、成長しつつある目下のクラスタは、短い時間間隔で10〜40画像が終わるごとに先行クラスタと比較される。
【0023】
有利なことに目下のクラスタは、先行するチェック以降に目下のクラスタに付加された面積が少なくとも0.25cmを超えるやいなやチェックされ得る。
【0024】
これにより、付加された面積が少なくとも0.25cmを超えて初めてチェックが行われる。その利点は、歯科用カメラが対象物に対して相対的に動く場合に初めてチェックが行われることにある。
【0025】
有利なことに、目下のクラスタと先行クラスタを表示装置を用いて同時にグラフィック表示することが可能であり、その際個別クラスタが対象物の全体画像となるよう繋ぎ合わされる様が測定中に描写される。
【0026】
これにより、既に記録された先行クラスタと目下のクラスタがモニタ等の表示装置によって表示され、それによりユーザーは撮影状況や撮影プロセスをより良く見通せるようになる。これによりユーザーは、歯科対象物のどの領域の測定が済んだか、そしてどの領域がまだかを測定中から見ることができるようになる。つまりユーザーは、既に記録されたクラスタの間にある領域に狙いを定めて測定し、そしてそれらのクラスタを一緒に記録することができるだろう。
【0027】
目下のクラスタの付加面積が表示されることで、ユーザーはそのクラスタがどの方向に成長しているかを見て取る。個別クラスタの撮影方向が表示されることで、ユーザーはさらに、歯科対象物のどの領域がまだ測定されていないか見当をつけ易くなる。中断の表示によりユーザーは、それぞれのクラスタのどの箇所で中断したのかを確認することができる。よってユーザーは、十分なクラスタオーバーラップ領域を生成するために、目下のクラスタを先行クラスタの中断箇所の方向に適切に動かすことができるだろう。
【0028】
有利なことに、目下のクラスタの付加面積、個別クラスタの撮影方向、および/または既に記録されたクラスタの中断ポジションは、表示装置によりグラフィック描写され得る。
【0029】
中断方向および中断ポジションの表示により、ユーザーは撮影プロセスをより良く見通せるようになる。
【0030】
有利なことに、対象物を測定中はカメラを置くことなく個別クラスタの記録を続けることができる。
【0031】
これにより対象物の測定は連続的に行われ、その際中断されるたびにその後新しいクラスタが形成される。
【0032】
有利なことに、画像および/またはクラスタの記録は、意味構造を用いて、すなわち測定されるべき顎湾曲の算定された延び具合、咬合方向、および/または歯の中心をもとに行うことができる。
【0033】
その際これらの意味構造は、様々な患者の顎湾曲、歯、および咬合面の様々なデータレコードを擁するデータベースを使って識別することができる。これらの追加的な情報に基づき、繋ぎ合わせるべき画像間の位置関係がチェックされ、それにより記録が向上する。意味構造に基づくこれらの追加的な情報は、記録の数学的課題をも簡易化するので計算時間が短縮される。
【0034】
有利なことに咬合方向は、撮影された画像の解析法を用いてコンピュータで自動的に算定することが可能であり、その際対象物の測定された歯の歯面の表面法線が生成され、そして咬合面の表面法線の平均値が特定の歯の咬合方向となる。
【0035】
これにより咬合方向は解析法を使って自動的に算定される。
【0036】
有利なことに、画像および/またはクラスタの記録は、画像フィールド記録を用いて行うことができ、その際繋ぎ合わせるべき画像またはクラスタは、定められた大きさの複数の部分領域に細分化され、その後それらの部分領域は、記録条件を満たすようなオーバーラップ領域またはクラスタオーバーラップ領域を見つけるために、決められた順序で互いに比較される。
【0037】
これにより小さな部分領域のみが互いに比較され、それにより記録のための計算時間が短縮される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本発明は図をもとに解説される。
図1】個別の画像を記録するこの方法を明瞭にするための略図である。実施例
【0039】
図1は、下顎等の測定される歯科対象物1の個別の画像を記録するこの方法を明瞭にするための略図である。矩形の形状で示された三次元光学画像2は、測定中は測定経路4に沿って対象物1に対して相対的に動く歯科用カメラ3によって測定される。歯科用カメラ3は、たとえばストリップ投影法を用いて対象物1を測定する、手で保持するカメラであってもよい。第1画像6と第2画像7の間のハッチングで示された第1オーバーラップ領域5は、コンピュータ8によって記録条件についてチェックされる。その際チェックされるのは、前記オーバーラップ領域が、十分なサイズ、十分な起伏、十分な粗さ、十分な撮影品質、および/または特性ジオメトリの十分な数および配置を有するかどうかである。たとえば前記オーバーラップ領域が、第1画像6の表面の4分の1以上あるかがチェックされる。第1オーバーラップ領域5はこの記録条件を満たしているため、第1画像6、第2画像7、第3画像10、および第4画像11からなる第1画像シーケンス9は継続される。しかし第4画像11と第5画像13の間の第2オーバーラップ領域12は、小さ過ぎるので記録条件を満たさない。そのため第1画像シーケンスは中断され、自動的に第5画像13、第6画像15、第7画像16、第8画像17からなる第2画像シーケンス14が開始される。第1画像シーケンス9の第1中断18は破線で示されている。第8画像17と第9画像19の間には第2画像シーケンス14の第2中断20が現れ、その後に第3画像シーケンス21が第3中断22まで測定される。コンピュータ8によって、第1画像シーケンス9の各画像は第1クラスタ23になるように、また第2画像シーケンス14の各画像は第2クラスタ24になるように、また第3画像シーケンス21の各画像は第3クラスタ25になるように繋ぎ合わされる。モニタ等の表示装置26によって、クラスタ23、24、25が表示される。より簡単に方向が分かるように、第1撮影方向27、第2クラスタ24の第2撮影方向28、および第3クラスタ25の第3撮影方向29が矢印で示される。加えて歯の中心30等の意味構造も表示することができる。中断18の位置を表示することも可能である。その後、目下の第4クラスタ31が第4撮影方向32に測定される。その際規則的な時間間隔で、目下のクラスタ31が先に記録されたクラスタ23、24、および25と、ハッチングで示されたクラスタオーバーラップ領域33を有するかどうか、そしてこのクラスタオーバーラップ領域33が記録条件を満たすかどうかが自動的にチェックされる。このチェックは、たとえば規則的な時間間隔で10〜40画像が終わるごとに行われ得る。その後第3クラスタ25と第4クラスタ31間の記録が行われ、その際第3クラスタ25は、矢印24で示されるように第4クラスタ31と繋ぎ合わされる。このようにして他のクラスタは、中断箇所18および20において測定され、そして全てのクラスタ23、24、25、および31が対象物1の全体画像になるよう繋ぎ合わされ得る。
【0040】
またそれに代えて、個別のクラスタ23、24、25、および31を、ユーザーが手動でキーボード35やマウス36等の入力手段を使ってカーソル37を介して、全体画像になるように繋ぎ合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 対象物
2 画像
3 カメラ
4 測定経路
5 第1オーバーラップ領域
6 第1画像
7 第2画像
8 コンピュータ
9 第1画像シーケンス
10 第3画像
11 第4画像
12 第2オーバーラップ領域
13 第5画像
14 第2画像シーケンス
15 第6画像
16 第7画像
17 第8画像
18 第1中断
19 第9画像
20 第2中断
21 第3画像シーケンス
22 第3中断
23 第1クラスタ
24 第2クラスタ
25 第3クラスタ
26 表示装置
27 第1撮影方向
28 第2撮影方向
29 第3撮影方向
30 歯の中心
31 第4クラスタ
32 第4撮影方向
33 クラスタオーバーラップ領域
34 矢印
35 キーボード
36 マウス
37 カーソル
図1