特許第6385351号(P6385351)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6385351流動床反応器用の改良された内部サイクロン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385351
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】流動床反応器用の改良された内部サイクロン
(51)【国際特許分類】
   C01G 43/06 20060101AFI20180827BHJP
   B01J 8/24 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   C01G43/06 B
   B01J8/24 301
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-529914(P2015-529914)
(86)(22)【出願日】2013年8月27日
(65)【公表番号】特表2015-531682(P2015-531682A)
(43)【公表日】2015年11月5日
(86)【国際出願番号】US2013056723
(87)【国際公開番号】WO2014035924
(87)【国際公開日】20140306
【審査請求日】2016年8月17日
(31)【優先権主張番号】61/695,179
(32)【優先日】2012年8月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/975,817
(32)【優先日】2013年8月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(72)【発明者】
【氏名】ヤーン,テリス
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】トゥン,シュー・スン
【審査官】 中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭55−015626(JP,A)
【文献】 米国特許第02378542(US,A)
【文献】 特表2006−514879(JP,A)
【文献】 実開昭62−187645(JP,U)
【文献】 実公昭47−016031(JP,Y1)
【文献】 特開2003−172501(JP,A)
【文献】 特開昭48−015776(JP,A)
【文献】 特開平08−151582(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0180557(US,A1)
【文献】 米国特許第02596748(US,A)
【文献】 実開平02−069229(JP,U)
【文献】 特開昭57−010688(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G 43/06
B01J 8/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ化水素と二酸化ウランから四フッ化ウランを生成するための流動床反応器であって、
流体部分を有する反応カラムと、
フッ化水素気体を前記反応カラムの前記流体部分を通って上方向に流すための気体流入手段と、
二酸化ウラン粒子を前記反応カラムの前記流体部分に供給するための二酸化ウラン粒子供給手段と、
前記反応カラムの前記流体部分から上方向に流れる前記二酸化ウランと前記四フッ化ウランの微粒子とフッ化水素気体とから、二酸化ウランと四フッ化ウランの小さい直径の粒子を分離することができるサイクロンであって、前記反応カラム内に位置し、上方向に流れる前記フッ化水素気体と連通し、気体入口開口部と、気体流出開口部と、粒子滴下口とを有するサイクロン本体を備える、サイクロンと、
前記サイクロン本体の前記粒子滴下口に連結された上側部分と、下側部分とを有する粒子排出管であって、前記反応カラムの実質的に外側に位置する、粒子排出管とを備え、
前記粒子排出管の前記下側部分に取り付けられ、前記反応カラムの外側に位置する排出用容器であって、前記粒子排出管から排出された二酸化ウランと四フッ化ウランの小さい直径の粒子を収集することができる、排出用容器をさらに備える、
流動床反応器。
【請求項2】
前記粒子排出管に取り付けられ、前記反応カラムの外側に位置する振動装置であって、前記粒子排出管内に蓄積した固体を除去することができる、振動装置をさらに備える、請求項1に記載の流動床反応器。
【請求項3】
前記反応カラムは、前記流体部分より大きな直径を有するフリーボード部分を有し、前記サイクロンは前記反応カラムの壁に近接して前記フリーボード部分に位置決めされ、前記気体入口開口部が前記フリーボード部分に向かって開いている、請求項1に記載の流動床反応器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2012年8月30日出願の米国特許仮出願第61/695,179号に対する、米国特許法第119(e)条下での優先権を主張し、上記文献の開示は、参照によって全体的に本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本発明は、反応カラムの実質的に外側に位置する粒子排出管に連結された内部サイクロンを装備する、改良された流動床反応器に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]流動床反応器(FBR)は、多様な多相化学反応を実施するために使用され得る反応器装置のタイプである。このタイプの反応器では、流体(気体または液体)は、粒状の固体材料(通常、恐らく小さい球体として成形される触媒)を、固体を浮遊させこれを流体であるように挙動させるのに十分高い速度で通過させられる。流動化として知られているこのプロセスは、流動床反応器に多くの重要な利点を付与する。流動床反応器は、したがって、数多くの工業用途に使用され得る。流動床反応器は、しばしば、ガソリンおよび他の燃料を、多くの他の化学物質を用いて生成するために使用される。ゴム、塩化ビニル、ポリエチレン、スチレン、およびポリプロピレンなどの数多くの工業的に生成されるポリマーは、流動床反応器技術を用いて作製される。流動床反応器は、さまざまな公共施設、たとえば原子力発電所、ならびに水および廃棄物処理設備などで使用され、流動床反応器はまた、石炭気体化にも使用される。これらの用途に使用される流動床反応器は、以前の標準的な反応器技術よりきれいで効率的であるプロセスを可能にする。
【0004】
[0004]従来の流動床反応器では、内部サイクロンが、流動床反応器内でその標準作動中、上方向に移動する気体から微粒子を分離するためにしばしば使用される。反応器の外側に位置するサイクロンに優るそのような内部サイクロンの利点は、内部サイクロンが、外部熱源を必要とすることなくプロセス気体によってプロセス温度まで加熱され得ることである。追加的に、内部サイクロンの入口は、プロセス気体の高温により、詰まりにくい。
【0005】
[0005]サイクロンは、しばしば、流動床反応器内に位置し、捕捉された粒子を反応器の底部に向かって戻るように導く排出管に連結される。このタイプの機構の欠点は、上方に流れる流動化気体が、サイクロン入口を迂回し、その排出管を介して内部サイクロンに入り得ることである。別の欠点は、排出管が詰まったためにこれに近付いて洗浄しなければならない場合、流動床反応器システム全体が停止されなければならないことである。加えて、これらのタイプのシステムからの捕捉された微粒子の除去は、しばしば難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006]したがって、流動床反応器が作動状態にあるままで、詰まった排出管の洗浄を可能にする改良された設計を有する流動床反応器の必要性が依然として存在する。本発明は、この必要性に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]本発明は、流動床反応器であって、流体部分を有する反応カラムと、気体を反応カラムの流体部分を通って上方向に流すための気体流入手段と、粒子を反応カラムの流体部分に供給するための粒子供給手段と、反応カラムの流体部分から上方向に流れる気体から粒子を分離することができるサイクロンとを備える、流動床反応器を提供する。サイクロンは、反応カラム内に位置し、上方向に流れる気体と連通し、サイクロンは、気体取り込み開口部と、気体流出開口部と、粒子滴下口とを備えるサイクロン本体を備える。サイクロンはまた、サイクロン本体の粒子滴下口に連結された上側部分と、下側部分とを有する粒子排出管も有し、この場合、粒子排出管は、反応カラムの実質的に外側に位置する。
【0008】
[0008]本発明の特定の実施形態では、流動床反応器は、さらに、粒子排出管の下側部分に取り付けられ、反応カラムの外側に位置する排出用容器を備え、この場合、排出用容器は、粒子排出管から排出された粒子を収集することができる。
【0009】
[0009]本発明の他の実施形態では、流動床反応器は、さらに、粒子排出管に取り付けられ反応カラムの外側に位置する振動装置を備え、この場合、振動装置は、粒子排出管内に蓄積した固体を除去することができる。
【0010】
[0010]本発明のさらに他の実施形態では、流動床反応器は、さらに、粒子排出管に取り付けられ反応器カラムの外側に位置する高圧Nパージ管路を備え、この場合、高圧Nパージ管路は、粒子排出管内の重度の詰まりを除去することができる。
【0011】
[0011]本発明のさらに他の実施形態では、粒子排出管または排出用容器、またはその両方は、断熱のための手段を備える。
[0012]本発明はまた、UFを生成する方法であって、上記で論じられた流動床反応器の任意のものにおいてUOをHF気体と反応させることを含む、方法も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】[0013]本発明による内部サイクロンを備えた改良された流動床反応器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0014]本発明は、流動床反応器の反応カラム内に位置し、前記反応カラムの実質的に外側に位置する粒子排出管に連結されたサイクロンを装備する、改良された流動床反応器に関する。この改変の結果、本発明の流動床反応器は、流動床反応器が作動状態にあるままで粒子排出管が洗浄され得るため、より効率的に作動する。
【0014】
[0015]本発明によって構築された流動床反応器の実施形態が、次に、添付の図(図1)を参照して詳細に説明される。
[0016]図1では、番号1によって示された流動床反応器は、当技術分野で全般的に知られている流動床原理にしたがって作動する。流動床反応器は、反応カラム2を有し、この反応カラム2は、実質的に縦方向に延び、比較的大きい直径の円筒形状のフリーボード部分3と、逆円錐台の管状形状の先細部分4と、比較的小さい直径の円筒形状の流体部分5とを有する。反応カラム2の下側端部には、気体流入手段6が設けられる。気体流入手段6は、反応カラム2の下側端部に配設された気体室7と、気体室7と連結する気体流入管8とを含む。気体は、気体流入管8を通って気体室7に供給され、次いで、気体分配器26を通り反応カラム2の内側を上方向に流れる。反応カラム2にはまた、粒子供給手段9が設けられる。粒子供給手段9は、粒子供給管10を含み、この粒子供給管10は、反応カラム2のフリーボード部分4の周囲壁を通って反応カラム2内に進み、下方向に反応カラム2の流体部分5内へと延びる。粒子供給管10は、粒子供給源11に連結され、この粒子供給源11は、粒子を所定の速度で粒子供給管10に供給し、粒子供給管10は、この粒子を反応カラム2の下側部分、すなわち流体部分5に供給する。こうして、粒子の主要流動床12が、反応カラム2の流体部分5内に形成される。反応カラム2、気体室7および気体流入管8を含む気体流入手段6、ならびに粒子供給管10は、ステンレス鋼または高ニッケル合金などの任意の適切な材料から作製され得る。
【0015】
[0017]反応カラム2には、さらに、サイクロン13が装備される。サイクロン13は、粒子排出管15に連結されたサイクロン本体14を含む。図1では、サイクロン本体14は、反応カラム2内に全体的に配設され、一方で粒子排出管15は、反応カラム2の実質的に外側に位置する。サイクロン本体14は、ほぼ円筒状の上側部分16(広い方の端部)と、円錐状の下側部分17(狭い方の端部)とを有する。気体取り込み開口部18は、サイクロン本体14の上側部分16の周囲壁内に位置し、気体流出開口部19は、上側部分16の頂壁内に位置する。サイクロン本体14は、反応カラム2の上側部分、すなわちフリーボード部分3内に配置され、その気体取り込み開口部18は、反応カラム2のフリーボード部分3に向かって開いている。出口管20が、サイクロン本体14の気体流出開口部19に連結され、この出口管20は、反応カラム2の頂壁を通って延びる。サイクロン本体14の下側部分17の底壁は、粒子滴下口21を形成するために全体にわたって開かれている。粒子排出管15は、か細く延びる円筒状部材から形成され、その上側端部は、粒子滴下口21に連結される。したがって、粒子排出管15の上側端部は、サイクロン本体14の粒子滴下口21と連通する。サイクロン本体、および粒子排出管は、ステンレス鋼または高ニッケル合金などの任意の適切な材料から作製され得る。
【0016】
[0018]流動床反応器1には、さらに、反応カラム2の外側の粒子排出管15の下側部分に連結された、粒子排出管から排出された粒子を収集するための排出用容器22が装備される。流動床反応器1はまた、排出管内のあらゆる蓄積された固体を除去するために反応カラム2の外側の粒子排出管15に取り付けられた振動装置23を含むこともできる。流動床反応器1は、好ましくは、管内のあらゆる重度の詰まりを除去するために反応カラムの外側の粒子排出管15に取り付けられた高圧Nパージ管路24を含むこともできる。排出用容器22は、さらに、排出用容器の内側の空間を定期的に空けるためのNバンプ25を含むこともできる。反応器カラムの外側の流動床反応器の粒子排出管15および排出用容器22は、気体の凝縮および低沸騰点の化合物の蒸発を防止するために良好に断熱されかつ/または熱トレースされ得る。
【0017】
[0019]上記で説明された流動床反応器の作用は、一例として、二酸化ウラン(UO)から四フッ化ウラン(UF)のフッ素化水素処理を用いて説明される。フッ化水素気体(HF)が、気体流入管8を通って反応カラム2内、および気体室7内に流れるとき、これは、反応カラム2の内側で上昇してUO粒子の主要流動床12を過ぎる。気体は、反応カラム2内で主要流動床12を通って上昇し、固体UOは、気体状HFと反応して、次の反応公式:UO(s)+4HF(g)→UF(s)+2HO(g)にしたがって固体UFおよびHO気体を生成する。主要流動床12を構成するUOおよびUFの比較的小さい直径の粒子は、上昇する気体流に同伴して、主要流動床12から上方向に流れる。気体の線形速度は、気体が、上方向に徐々に増大する断面積を有する先細部分4を超えて上方向に移動する間、徐々に低下する。したがって、かなり小さい粒子以外の粒子は、上昇する気体流から分離され、主要流動床12内に落下して戻る。反応カラム2のフリーボード部分3内では、小さい直径のUOおよびUFの粒子が同伴する気体が、気体取り込み開口部18を通ってサイクロン本体14に入る。サイクロン本体14内では、気体に同伴する小さい直径の粒子が、サイクロン13によって気体から分離され、このサイクロン13は、当技術分野で全体的に知られ、したがって、本明細書ではこれ以上説明されない原理に基づいて作用する。微粒子のみが同伴する気体は、出口管20を通り、気体流出開口部19を通って排出される。サイクロン本体14内の気体から分離された小さい直径の粒子は、粒子滴下口21を通り、反応カラム2の実質的に外側に位置する粒子排出管15に至る。
【0018】
[0020]本発明の好ましい実施形態では、排出用容器22が、反応カラム2の外側の粒子排出管15の下側部分に取り付けられ、粒子排出管から排出された粒子を収集するために使用され、排出用容器22はまた、プロセス気体が反応器システムからサイクロンを通って逃げることを防止する封止部も供給する。本発明の特定の実施形態では、排出用容器22は、さらに、排出用容器の内側の空間を定期的に空けるためのNバンプを含む。本発明の特定の実施形態では、排出用容器22は、さらに、必要なときまたは保全目的で圧力増大を取り除くために施された通気管路(図1では示されず)を含む。
【0019】
[0021]本発明の特定の実施形態では、振動装置23が、反応カラム2の外側の粒子排出管15に取り付けられ、あらゆる蓄積された固体を排出管から除去するために使用される。
【0020】
[0022]本発明の特定の実施形態では、高圧Nパージ管路24が、反応カラムの外側の粒子排出管15に取り付けられ、管内のあらゆる重度の詰まりを除去する目的で使用される。
【0021】
[0023]本発明の特定の実施形態では、反応カラムの外側のサイクロンの粒子排出管15および排出用容器22は、気体の凝縮および低沸騰点の化合物の蒸発を防止するために良好に断熱されかつ/または熱トレースされる。
【0022】
[0024]本発明の好ましい実施形態では、サイクロン本体14は、反応カラム2の壁に近接近して設置されて、反応カラムの内側の脚長さを低減する。サイクロンの底部円錐セクションは、次の通り改変される:反応器壁の対向側は真っすぐに、その他方では傾斜され、それにより、微粒子は、それほど妨害なく、排出管15まで流れ出すことができる。Nパージ管路24は、排出脚部内のあらゆるプラグゲージを防止するために設置される。排出用容器22は、排出用容器の内側の空間を空けるために定期的に衝撃が与えられる。通気管路はまた、緊急時または保全目的で圧力増大を取り除くために施される。
【0023】
[0025]本発明では、サイクロンの寸法は、気体流量、気体流れ内の固体滞留、およびサイクロンの固体捕捉効率などの実際の作動条件に基づいて算出され得る。
図1