特許第6385362号(P6385362)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6385362以降の加工時に高精度位置合わせを得るためのマルチインクの印刷
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385362
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】以降の加工時に高精度位置合わせを得るためのマルチインクの印刷
(51)【国際特許分類】
   B05D 1/28 20060101AFI20180827BHJP
   B05D 1/32 20060101ALI20180827BHJP
   B05D 3/10 20060101ALI20180827BHJP
   B05D 5/12 20060101ALI20180827BHJP
   B41M 1/20 20060101ALI20180827BHJP
   B41M 1/34 20060101ALI20180827BHJP
   B41M 1/30 20060101ALI20180827BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20180827BHJP
   H05K 3/12 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   B05D1/28
   B05D1/32 A
   B05D3/10 E
   B05D5/12 B
   B41M1/20
   B41M1/34
   B41M1/30 B
   H05K3/00 P
   H05K3/12 610A
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-549467(P2015-549467)
(86)(22)【出願日】2013年12月11日
(65)【公表番号】特表2016-509528(P2016-509528A)
(43)【公表日】2016年3月31日
(86)【国際出願番号】US2013074231
(87)【国際公開番号】WO2014099507
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2016年11月7日
(31)【優先権主張番号】61/739,992
(32)【優先日】2012年12月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100157185
【弁理士】
【氏名又は名称】吉野 亮平
(72)【発明者】
【氏名】ミカイル エル.ペクロフスキー
(72)【発明者】
【氏名】アン エム.ギルマン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ジェイ.サイス
【審査官】 伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−327178(JP,A)
【文献】 特開平06−286120(JP,A)
【文献】 特開昭60−024990(JP,A)
【文献】 特開昭63−142324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00−7/26
B41M 1/00−3/18,
7/00−9/04
H05K 3/10−3/26,
3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その上に所定のパターンを有する基材を提供する方法であって:
印刷ロール、第1のインクディスペンサー、及び第2のインクディスペンサーを準備する工程であって、前記第1のインクディスペンサー及び前記第2のインクディスペンサーは、第1のインク及び第2のインクを前記印刷ロール上にそれぞれ別々の第1及び第2の区域において分注するように配置される、工程と、
選択された溶剤に可溶性の前記第1のインクを前記第1の区域の中に前記第1のインクディスペンサーにより分注し、前記選択された溶剤に不溶性である前記第2のインクを前記第2の区域の中に前記第2のインクディスペンサーにより分注する工程と、
前記基材を前記印刷ロールに対して前進させて、基準マークを前記基材上に前記第2のインクにより印刷し、併せて前記所定のパターンを前記基材上に前記第1のインクにより同時に印刷する工程と、
導電性材料の層を前記基材上に前記所定のパターンにわたってスパッタリングする工程と、
前記基材を前記選択された溶剤によりすすいで、前記第1のインク及び前記所定のパターンを除去し、併せて前記基準マークを前記基材上に残す工程とを含む、方法。
【請求項2】
前記選択される溶剤が水である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2のインクがUV硬化性であり、かつ前記方法が前記第2のインクを紫外線により硬化させる工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記所定のパターンが大きさにおいて20マイクロメートル未満の寸法を有する機構を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記基準マーク及び前記所定のパターンが20マイクロメートル未満の寸法精度で位置合わせされている、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
その上に所定のパターンを有する基材を提供する方法であって:
印刷ロール、第1のインクディスペンサー、及び第2のインクディスペンサーを準備する工程であって、前記第1のインクディスペンサー及び前記第2のインクディスペンサーは、第1及び第2のインクを前記印刷ロール上にそれぞれ別々の第1及び第2の区域において分注するように配置される、工程と、
低コントラストインクを前記第1の区域の中に、視認可能なインクを前記第2の区域の中に分注する工程と、
前記基材を前記印刷ロールに対して前進させて、基準マークを前記基材上に前記視認可能なインクにより印刷し、併せて第1の所定のパターンを前記基材上に前記低コントラストインクにより同時に印刷する工程と、
引き続いて、前記基準マークをガイドとして用いて、2次的なパターンを前記第1の所定のパターンと位置合わせして前記基材上に配置する工程とを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、その開示が参照として本明細書に全体で組み込まれた、2012年12月20日に出願された米国特許仮出願第61/739,992号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
可撓性のフレキシブルな電子又は光学コンポーネントなどの物品の作製は、細長い基材又はウェブ上に堆積又は形成された材料の層の適用を伴う可能性がある。特に、材料のパターンが、多数回の堆積工程によりウェブなどの細長い基材上に層で堆積されることもある。いくつかの物品は、基材の一方の側又は両側に施される特徴の正確な位置合わせを必要とする。
【0003】
この層の間の精確な位置合わせを得るために、基材が多数回の製造工程を通って移動するとき、細長い(クロスウェブ)位置決め及び長手方向の(ダウンウェブ)位置決めを維持しなければならない。基材上に形成される層間の位置合わせの維持は、基材が可撓性又は伸縮性である場合に、より複雑となる。いくつかの物品は複数の工程で作製され、工程中に、材料又はプロセスが基材に順に施され、プロセス工程のそれぞれに正確な位置合わせが求められる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
マルチインクを印刷ロール上に同時に堆積させることにより、ロールツーロール法における高精度位置合わせを達成する方法が開示される。これらのインクの1つは基材上に基準マークのパターンを印刷し、別のインクは、所定のパターンが基準マークのパターンに対して予測可能な空間的な関係を有するように、同じ基材上に所定のパターンを印刷する。結果として、所定のパターンを形成するインクが視認不能であっても、又は効果的に視認不能であるほどに基材と低コントラストを有するものあったとしても、又は更に以降の加工工程で溶失したものであるとしても、基準マークのパターンを参照することにより所定のパターンがどこにあるかを知ることが依然として可能である。一部の便利な実施形態では、所定のパターンは2次的な操作の後、導電性回路配線を画定する。一部の他の便利な実施形態では、所定のパターンは、耐タンパー性のセキュリティマークの少なくとも1つの態様を画定する。
【0005】
所定のパターンが可溶性インク中で印刷される実施形態が関心の対象である。例えば、導電性材料の層を印刷基材上にスパッタリングし、次いで基材をすすぎ、可溶性インクを除去することが可能である。これは、また、可溶性インクの上のスパッタリングされた層を除去する。基準マークが溶剤に可溶でなければ、所定のパターンを形成するインクが視認不能であっても、又は効果的に視認不能であるほどに基材と低コントラストを有するものあったとしても、スパッタリングされた層中でのパターンの場所を知ることができる。
【0006】
一実施形態では、本発明は、印刷ロール、第1のインクディスペンサー、及び第2のインクディスペンサーを準備する工程、第1のインクディスペンサー及び第2のインクディスペンサーを第1及び第2のインクを印刷ロール上にそれぞれ別々の第1及び第2の区域において分注するように配置する工程、選択された溶剤に可溶性の第1のインクを第1の区域の中に第1のインクディスペンサーにより分注し、及び選択された溶剤に不溶性である第2のインクを第2の区域の中に第2のインクディスペンサーにより分注する工程、基材を印刷ロールに対して前進させて、基準マークを基材上に第2のインクにより印刷し、併せて所定のパターンを基材上に第1のインクにより同時に印刷する工程、導電性材料の層を基材上に所定のパターンにわたってスパッタリングする工程、及び基材を選択された溶剤によりすすぎ、第1のインク及び所定のパターンを除去し、併せて基準マークを基材上に残す工程を含む、その上に所定のパターンを有する基材を提供する方法に関する。
【0007】
別の実施形態では、本発明は、印刷ロール、第1のインクディスペンサー、及び第2のインクディスペンサーを準備する工程であって、第1のインクディスペンサー及び第2のインクディスペンサーを第1のインク及び第2のインクを印刷ロール上にそれぞれ別々の第1及び第2の区域において分注するように配置する工程、低コントラストインクを第1の区域の中に、及び視認可能なインクを第2の区域の中に分注する工程、基材を印刷ロールに対して前進させて、基準マークを基材上に視認可能なインクにより印刷し、併せて所定のパターンを基材上に低コントラストインクにより同時に印刷する工程、引き続いて、基準マークをガイドとして用いて、2次的なパターンを第1の所定のパターンと位置合わせして基材上に配置する工程を含む、その上に所定のパターンを有する基材を提供する方法に関する。一部の便利な実施形態では、2次的な所定のパターンは、第2の印刷操作により第1の所定のパターンと位置合わせして配置される。別の実施形態では、2次的な所定のパターンは、追加の層を基材に積層することにより第1の所定のパターンと位置合わせして配置される。
【0008】
本出願では、「コントラスト」は、2つの領域の明度などの測定量の非類似度を意味し、特定の式により計算される数により表される。この定義の出所は、ASTM規格E284、「Standard Terminology of Appearance」である。最も広い意味では、「低コントラストインク」は、所定のパターンと直接に位置合わせするための基材上の2次的な操作を可能とさせるには基材との光学的な識別性が不充分である任意のインクである。より正式の定義が下記の実施例3で述べる光学試験と関連して示される。
【0009】
本出願では、「所定のパターン」は、印刷などの好適な複製方法により基材上に配置されるように前もって決定又は選択される、例としては、線、反復線、軌跡、記号、文字、図、グラフ、数、又はこれらの組合せを含むことができるパターンを意味する。所定のパターンは、大きさで20、10、又は5マイクロメートル未満の寸法を有する機構を含むことができる。
【0010】
本出願では、「基準マーク」は、撮像システムがウェブの変位、ウェブの速度、又はウェブの位置の情報を取得するための参照点として使用するために基材上に配置される、記号、線、点、又は他の形状のパターンを意味する。
【0011】
当業者は、「発明を実施するための形態」、「実施例」、及び添付の「特許請求の範囲」を含む、本開示の残りの部分を熟考することによって、本発明の本質をより完全に理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
当業者は、この説明があくまで実施例の説明であって、本開示のより広範な観点を制限することを意図するものでなく、それらのより広範な観点が実施例の構築に具現化されていることを理解するであろう。
図1】そのクロスウェブ幅に沿った区域に区分された、ドクターブレード組み立て体に隣接する印刷ロールを含む印刷装置の斜視図である。
図2図1の印刷装置の概略側面図である。
図3】本発明の一実施形態に従った代替の印刷装置の斜視図である。
図4】本発明に従った装置によって第1及び第2の区域中に印刷された第1及び第2のインクを有する無限の長さで進むウェブの平面図である。
【0013】
明細書及び図中で繰り返し使用される参照記号は、本開示の同じ又は類似の特徴又は要素を表すことを意図する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1を参照すると、本開示の実施に好適な印刷装置20が図示される。印刷装置20は、印刷ロール22及び印刷ロール22に隣接するドクターブレード組み立て体24を含む。一部の代替の実施形態では、ロール22は、間接に別の印刷ロールにインク付けするアニロックスのロールなどの転写ロールである。印刷ロール22は、シャフト22aを有するライブシャフトロール又はデッドシャフトロールのいずれかであってもよい。印刷ロール22は便宜的にはアニロックスのロールであるが、本発明は、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、及びデュアルオフセット印刷用の装置で実施できる。ドクターブレード組み立て体24は、支持部25及びブレード支持部26を便利に含む。ブレード支持部26はドクターブレード27そのものを保持する。図示されたブレード支持部26は、ブレード支持部26のクロスウェブ幅を第1の区域42及び第2の区域40に分割する、バリア28、30、及び32を含む。バリア28、30、及び32は、印刷ロール22の側面を傷つけることなく密封することができる柔軟な,弾性のある材料から便利に形成される。
【0015】
印刷ロール22がミクロフレキソ印刷ロールである場合は、PCT国際公開No.WO 2013/003412に開示されている製造方法が有利に使用されてもよい。そこに述べられているように、例えば、電気回路の所定のパターンを印刷するためのミクロコンタクト印刷スタンプによって、印刷配線が20、10、又は更に5マイクロメートル未満である、結果を得ることができる。更に、基準マーク及び所定のパターンが20、10、又は更に5マイクロメートル未満の寸法精度の位置合わせで配置することができる。PCT国際公開No.WO 2013/040319に開示されている手法を用いて、ミクロフレキソスタンプの印刷ロール22への搭載を有利に行ってもよい。
【0016】
図2を参照すると、図1の印刷装置20の側面図が図示される。この側面図中で,ドクターブレード27がブレード支持部26によりどのように支持されているかをよりよく認識することができる。また、見やすさのために図1から省略されている第1のインクディスペンサー60aがこの図中で見られる。第1のインクディスペンサー60は、第1のインクをブレード支持部26の第1の区域(図1中の42)の中に分注するために第1のインク供給部62に連結されている。この図中では,第2のインクを第2の区域(図1中の40)の中に分注するための、同様の第2のインクディスペンサー60bが、第1のインクディスペンサー60aの後ろに配設され、視界から隠れている。使用者の好み及び/又は意図される印刷の形式に依って、インクディスペンサーの形は、スパウト、スプレー、給液されたブラシ、給液されたローラーなどの数多くの形をとることができる。
【0017】
図3を参照すると、本発明の実施に好適な代替の印刷装置120が図示される。印刷装置120は印刷ロール122を含む。印刷ロール122は、シャフト22を有するライブシャフトロール122a又はデッドシャフトロールのいずれかであってもよい。上記の印刷装置20に類似して、印刷ロール122は便宜的にはアニロックスのロールであるが、本発明は、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、及びデュアルオフセット印刷用の装置で実施できる。図示された実施形態では、印刷ロール122はシャフト170aの周りに回転可能である、主インキングロール170に隣接する。インキングロール170は、第1の区域172中で主インク付けローラー174により第1のインクでインク付けされる。第1の区域172中の第1のインクは第1のインク受け区域176中の印刷ロール122に転写される。
【0018】
支持部178は、少なくとも1つの(この図示された実施形態では2つの)補助インキングロール180a及び180bを担持し、各々は2次のインク付けロール182a及び182bにより第2のインクでインク付けされる。第2のインクは、2つの第2のインク受け区域184a及び184b中で印刷ロール122に転写される。次いで、基材、多数の便利な実施形態では不定の長さの材料のウェブを印刷ロール122と便宜的な方法で接触させることができる。
【0019】
図4を参照すると、第1及び第2のインクが上述の装置の1つによりそれぞれ第1の区域202及び第2の区域204に印刷された、不定の長さのウェブ200の平面図が図示される。第1の区域202内には、所定のパターン206が印刷されている(恐らく、低コントラストインクのセキュリティマーキングク又は可溶性インクの電子回路のパターン)。1対の基準マーク208が第2の区域204中に印刷されている。様々な実施形態では、基準マーク及び所定のパターンが20、10、又は更に5マイクロメートル未満の寸法精度で位置合わせされている。
【0020】
所定のパターンの位置の決定を可能にする基準マークの任意のパターンが実施可能であるが、一部の可能性は明確な利点をもたらす。特に、移動ウェブのダウンウェブ及び/又はクロスウェブ位置の決定に有用な基準マーク、及びこれらのパターンに関連する方法は、米国特許出願公開No 2010/0196607、2010/0188668、及び2011/0247511に見出すことができる。特に、図4の208として図示されている基準マークは、米国特許出願公開No.2011/0257779に開示されている。
【実施例】
【0021】
(実施例1)
図1及び2に概略を図示されている印刷装置を組み立てた。印刷ロールは12cmの直径であった。ロールは第1及び第2の区域の両方において接続した菱形の所定のパターンを有するものであった。ステンレススチールドクターブレード上で、3M ESPE 7302エクスプレスとして3M社(St.Paul,MN)から市販されているビニルポリシロキサン印象材により3つのバリアをロールに対して形成した。
【0022】
米国特許第4,895,631号に開示されている水溶性インクを第1の区域でドクターブレード上に分注し、一方9301不透明白色UVフレキソインクとしてNazdar Ink Technologies(Shawnee,KS)から市販されているUV硬化性非水溶性インクを第2の区域でドクターブレード上に分注した。ロールをインク付けさせるための休止の後、印刷を慣用のポリエステルテレフタレート(PET)フィルムの基材上で開始し、2m/分間のライン速度及び1ポンド/リニアインチ(1.75N/cm)の張力で搬送した。ウェブを、Model VPS−48としてFusion UV Systems,Inc.から市販されている電源に接続された、Model I250BとしてFusion UV Systems,Inc.(Gaithersburg,MD)から市販されているマイクロウエーブ光源を有するUV硬化ステーションに通した。このステーションの出力を40%に設定し、及び8 SCFM(227L/分)の窒素を供給した。これによって第2のインクを不溶性とさせた。
【0023】
(実施例2)
実施例1によるフィルムを慣用の形式のスパッタリング堆積装置、例えば米国特許第5,440,446号(Shawら)及び第7,018,713号(Padiyathら)に記述されているシステムに類似したロールツーロール真空チャンバーに通した。酸化インジウムスズ(ITO)の40nm厚の層を第1の区域中で基材上に堆積させた。次いで、このフィルムを水中ですすぎ、水溶性インクを第1の区域中で溶失させ、これと共に所定のパターンの上にスパッタリングされた層の部分を有する。UV硬化性インクを印刷した第2の区域中の基準マークは水ですすいだ後フィルム上に残存した。この方法で形成された所定のパターンは、20mil(0.5mm)未満の寸法の形状を有することができる。
【0024】
(実施例3)
図3に概略を図示した装置を組み立てた。9301不透明白色UVフレキソインクとしてNazdar Ink Technologiesから市販されている第1のインクを第1の区域で第1のインク付けローラーからミクロフレキソ印刷ロール上に分注した。ミクロフレキソ印刷ロールは間隔を離した長方形の所定のパターンを第1の区域中に有するものであった。9319 Base Process青色UVフレキソインクとしてNazdar Ink Technologiesから市販されている第2のインクを第2のインク付けローラーからミクロフレキソ印刷ロール上の第2の区域に分注した。ミクロフレキソ印刷ロールは間隔を離した長方形の所定のパターンを第2の区域中に有するものであった。これらのインクをシリコーン剥離ライナで被覆した白色紙の基材上にアニロックスのロールから印刷し、次いで感圧接着剤、特に90重量%のiso−オクチルアクリレート及び10重量%のアクリル酸のランダムコポリマーの薄層でオーバーコートした。印刷後、このウェブをModel VPS−48としてFusion UV Systems,Inc.から市販されている電源に接続された、Model I250BとしてFusion UV Systems,Inc.から市販されているマイクロウエーブ光源を有するUV硬化ステーションに通した。このステーションの出力を40%に設定し、及び8 SCFM(227L/分)の窒素を供給した。この特別なフィルム及びインク組成物は特定のセキュリティマーク用途を模擬したものであり、インクを乾燥した後、第1の区域内のパターンは通常の室内照明では肉眼で殆ど視認不能であった。しかしながら、第2の区域中のインクは鮮明、かつはっきりと視認可能であった。
【0025】
Princeton Instruments(Trenton,NJ)から市販されているMICROMAX測光カメラを用いて、隣接したインクを付けた領域及びインクを付けない領域の反射率を測定することにより、区域1内のインクを付けた領域と基材との間のこの低コントラストを評価した。データを、8.6、17.5、及び30.0度の最大開口角で、並びに照明錐が収集錐に等しい条件下で収集した。結果を表1に示す。各記載項目はインクを付けた基材の異なるランダムな部分での5回の実験の平均を表す。Rは任意単位での基材の反射率である。Rは任意単位でのインクを付けた領域の反射率である。3つの値をこれらの値から計算した:CはR/Rであり、C=(R−R)/Rであり、及びC=(R−R)/((R+R)/2)。
【0026】
【表1】
【0027】
「低コントラストインク」の1つの定義は、R及びR値を、30.0°開口で照明錐と収集錐とを等しくして測定した場合に計算されるC値が約0.9及び1.1の間であるものとして述べられてもよい。
【0028】
(実施例4)
実施例3の印刷されたウェブを、特定の最終用途のために所定のパターンと補完的(complimentary)であることを意図された二次的なパターンを有する従来的な印刷ロールに対して搬送した。実質的には視認不能であるが、第1の所定のパターンの位置は視認可能な基準マークにより知られる。次いで、二次的なパターンは、例えば印刷又は積層によりウェブに付与される。ウェブは、例えばPCT国際公開No.WO 2013/090134の手法を用いて、第1の所定のパターンと2次的なパターンとの間の適切な位置合わせに都合よく導かれる。
【0029】
当業者は、より具体的に添付の請求項に記載した本開示の趣旨及び範囲から逸脱せずに、本開示への他の修正及び変更を行うことが可能である。様々な実施形態の態様を様々な実施形態の他の態様と部分的若しくは全体的に互換すること又は組み合わせることが可能であることが理解される。特許証のための上記の出願において引用された、参照文献、特許、又は特許出願はいずれも一貫性を有するようにそれらの全容を参照することにより本明細書に援用される。これらの援用文献の一部と本出願との間に不一致又は矛盾がある場合、上記の説明文における情報が優先するものとする。特許請求される開示を当業者が実施することを可能ならしめるために示される上記の説明は、特許請求の範囲及びその全ての均等物によって規定される本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
本発明の実施態様の一部を以下の項目[1]−[11]に記載する。
[項目1]
その上に所定のパターンを有する基材を提供する方法であって:
印刷ロール、第1のインクディスペンサー、及び第2のインクディスペンサーを準備する工程であって、前記第1のインクディスペンサー及び前記第2のインクディスペンサーは、第1のインク及び第2のインクを前記印刷ロール上にそれぞれ別々の第1及び第2の区域において分注するように配置される、工程と、
選択された溶剤に可溶性の前記第1のインクを前記第1の区域の中に前記第1のインクディスペンサーにより分注し、前記選択された溶剤に不溶性である前記第2のインクを前記第2の区域の中に前記第2のインクディスペンサーにより分注する工程と、
前記基材を前記印刷ロールに対して前進させて、基準マークを前記基材上に前記第2のインクにより印刷し、併せて前記所定のパターンを前記基材上に前記第1のインクにより同時に印刷する工程と、
導電性材料の層を前記基材上に前記所定のパターンにわたってスパッタリングする工程と、
前記基材を前記選択された溶剤によりすすいで、前記第1のインク及び前記所定のパターンを除去し、併せて前記基準マークを前記基材上に残す工程とを含む、方法。
[項目2]
前記選択される溶剤が水である、項目1に記載の方法。
[項目3]
前記第2のインクがUV硬化性であり、かつ前記方法が前記第2のインクを紫外線により硬化させる工程を更に含む、項目1に記載の方法。
[項目4]
前記印刷ロールが、少なくとも前記第1の区域においてフレキソ、グラビア、デュアルオフセット及びアニロックスのロールからなる群から選択されるロールである、項目1に記載の方法。
[項目5]
前記所定のパターンが大きさにおいて20マイクロメートル未満の寸法を有する機構を含む、項目1に記載の方法。
[項目6]
前記基準マーク及び前記所定のパターンが20マイクロメートル未満の寸法精度で位置合わせされている、項目1に記載の方法。
[項目7]
前記導電性材料が金属及び導電性金属酸化物からなる群から選択される、項目1に記載の方法。
[項目8]
その上に所定のパターンを有する基材を提供する方法であって:
印刷ロール、第1のインクディスペンサー、及び第2のインクディスペンサーを準備する工程であって、前記第1のインクディスペンサー及び前記第2のインクディスペンサーは、第1及び第2のインクを前記印刷ロール上にそれぞれ別々の第1及び第2の区域において分注するように配置される、工程と、
低コントラストインクを前記第1の区域の中に、視認可能なインクを前記第2の区域の中に分注する工程と、
前記基材を前記印刷ロールに対して前進させて、基準マークを前記基材上に前記視認可能なインクにより印刷し、併せて第1の所定のパターンを前記基材上に前記低コントラストインクにより同時に印刷する工程と、
引き続いて、前記基準マークをガイドとして用いて、2次的なパターンを前記第1の所定のパターンと位置合わせして前記基材上に配置する工程とを含む、方法。
[項目9]
前記印刷ロールが、少なくとも前記第1の区域においてフレキソ、グラビア、デュアルオフセット及びアニロックスのロールからなる群から選択されるロールである、項目8に記載の方法。
[項目10]
前記所定のパターンが大きさにおいて20マイクロメートル未満の寸法を有する機構を含む、項目8に記載の方法。
[項目11]
前記基準マーク及び第1の所定のパターンが20マイクロメートル未満の寸法精度で位置合わせされている、項目8に記載の方法。
図1
図2
図3
図4