特許第6385365号(P6385365)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385365
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】水分インジケーター包帯
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/00 20060101AFI20180827BHJP
【FI】
   A61F13/00 301Z
【請求項の数】13
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-552136(P2015-552136)
(86)(22)【出願日】2014年1月9日
(65)【公表番号】特表2016-508061(P2016-508061A)
(43)【公表日】2016年3月17日
(86)【国際出願番号】GB2014050048
(87)【国際公開番号】WO2014108682
(87)【国際公開日】20140717
【審査請求日】2017年1月6日
(31)【優先権主張番号】1300470.0
(32)【優先日】2013年1月11日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】391018787
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー ピーエルシー
【氏名又は名称原語表記】SMITH & NEPHEW PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー・ダガー
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス・チャールトン・フライ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクトリア・ジョディ・ハモンド
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ケネス・ヒックス
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・スパイアーズ・ローリー
(72)【発明者】
【氏名】ヘレン・アン・レコムト
(72)【発明者】
【氏名】リアーナ・モス
(72)【発明者】
【氏名】エラ・リン・マンビー
【審査官】 北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−502564(JP,A)
【文献】 米国特許第03675654(US,A)
【文献】 実開昭54−176283(JP,U)
【文献】 特表2001−515762(JP,A)
【文献】 特開2002−153506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/00 − 13/14
15/00 − 17/00
A61M 25/02
A61L 15/16 − 15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の素材、吸収性層及び水分インジケーターを備える創傷包帯であって、
前記水分インジケーターが、前記包帯内に取り込まれている創傷滲出液を示し、
前記水分インジケーターの可視性が、前記包帯内の第1の素材の物理的変換の結果として変化し、
前記包帯の構成要素の物理的変換が、前記第1の素材が創傷滲出液に接触されると生じ、
前記第1の素材の物理的変換が、水和を含み、
前記第1の素材が、マスク層であり、前記水分インジケーターを隠す又は露出し、
前記第1の素材の水和が、その外観を、実質的に不透明から実質的に透明又は半透明に変換し、それによって、前記水分インジケーターの少なくとも一部が目に見えるようになることを引き起こす、又は、前記第1の素材の水和が、その外観を、実質的に透明又は半透明から実質的に不透明に変換し、それによって、前記水分インジケーターの少なくとも一部が目に見えないようになることを引き起こす、創傷包帯。
【請求項2】
前記物理的変換が、前記第1の素材の外観の変化であり、それによって、前記水分インジケーターの少なくとも一部が明らかになる又は隠れるようになる、請求項1に記載の創傷包帯。
【請求項3】
前記第1の素材が、乾燥すると外観が実質的に不透明であり、水和すると外観が実質的に透明又は半透明であるゲルに物理的に変換する水溶性材料を含む、請求項1又は2に記載の創傷包帯。
【請求項4】
前記第1の素材が、乾燥すると外観が実質的に透明又は半透明であり、水和すると外観が実質的に不透明であるエマルジョンを形成するフィルムを含む、請求項1又は2に記載の創傷包帯。
【請求項5】
前記フィルムが、ポリビニルアセテートである、請求項4に記載の創傷包帯。
【請求項6】
前記水分インジケーターが、有色水分インジケーターである、請求項1から5の何れか一項に記載の創傷包帯。
【請求項7】
前記有色水分インジケーターが、水溶性有色色素である、請求項6に記載の創傷包帯。
【請求項8】
前記水分インジケーターが、前記吸収性層に接触する、請求項1から7の何れか一項に記載の創傷包帯。
【請求項9】
前記包帯が、創傷対向表面及び対向する非創傷対向表面を有し、第1の周辺表面が前記創傷包帯の創傷対向表面に平行に配向し、第2の周辺表面が前記創傷包帯の非創傷対向表面に平行に配向するように、前記吸収性層が前記包帯内に位置し、前記水分インジケーターが、前記第2の周辺表面に接触する、請求項8に記載の創傷包帯。
【請求項10】
前記水分インジケーターが、前記吸収性層内に含浸される、請求項1から7の何れか一項に記載の創傷包帯。
【請求項11】
物理的に変換し、それによって前記水分インジケーターの可視性を変える前記第1の素材が、前記吸収性層に接触する、請求項1から10の何れか一項に記載の創傷包帯。
【請求項12】
物理的に変換し、それによって前記水分インジケーターの可視性を変える前記第1の素材が、前記創傷包帯の非創傷対向表面の一部を形成する、請求項9から11の何れか一項に記載の創傷包帯。
【請求項13】
その外観の変換を経る前記第1の素材が、変換前又は変換後において実質的に白であり、前記水分インジケーターの色が、実質的に白ではないように選択される、請求項6から12の何れか一項に記載の創傷包帯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
創傷ケアマネージメントの分野では、創傷を湿気がある状態に最適に維持することが、創傷領域のセルが成長し、創傷治癒を助けるために適切な位置に移動するのに役立つことができると長い間、理解されてきた。最適な湿潤環境の達成は、正確な湿気レベルを決定するために良好な臨床上の判断に依存し、非常に少ない湿気が、創傷を乾燥させることができ、非常に多い湿気が、創傷床及び周辺組織の浸軟をもたらし得る。従って、創傷治癒が影響を受けないことを依然として可能にしながら、救急絆を適切に最適に取り換えるために、湿気を監視することが重要である。このような監視を行う一般的な技術は、過剰の水分及び創傷包帯の染透の視覚指示に依存し、一般的に使用される指示は、基材の視覚的変化又は包帯からの漏れを含む。
【背景技術】
【0002】
現在の創傷包帯は、創傷滲出液に接触すると色が変化する色素を含有するインジケーター層を利用する。典型的な色素は、湿ったときにスミレ色から紫に変わるゲンチアナ・バイオレットを使用し、包帯が飽和されていることを示す。その変化は、一般的に理解することは困難であり、従って使用者は、しばしばそれが信頼できないと感じる。例えばConvatecによって市販されるDuoDerm(登録商標)Signal包帯である他の現在の創傷包帯は、包帯の不浸透性の外装の裏側の領域への損傷からの流体の漏れに依存し、水膨れが見られるようになることを引き起こす。水膨れの端部が、包帯の外表面にマークされたインジケーターラインに達すると、交換が必要とされる。指示が単に包帯の表面における水膨れであるので、それは、しばしば判別が難しい。さらに、水膨れは、広がり、治癒環境の仕様に対して過剰な流体で膨らみ、細菌定着の環境を助長する。当該分野において、より確かめられる信号を包帯内の水分インジケーターが使用者に提供する水分指示創傷包帯に対する要求がある。さらに、当該分野において、包帯の異なる部分内の水分レベルを使用者が監視することができる包帯に対する要求がある。陰圧創傷治療(Negative Pressure Wound Therapy:NPWT)は、創傷治療、特に慢性的な傷を助長する真空包帯を使用する治療技術である。継続的な真空は、創傷から流体を引き抜き、その領域に対する血流を増加させる。この創傷が準最適な治療をもたらすので、包帯内に隠されている流体排出チューブのあらゆる部分が漏れを有するかをNPWTシステム内で決定することができるようにする必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本願は、水分インジケーターを有する創傷包帯に関連するデバイス及び方法を開示する。創傷包帯内の水分レベルを監視する機構は、包帯の一部の物理的変換によって使用者に露出され又は隠されるようになる水分インジケーターに依存する。これは、包帯飽和の可視指示を与え、包帯が交換を要求するかの判断が行われることを可能にする。包帯内に水分インジケーターを用いることによって、創傷を乱して治癒過程を邪魔することなく、包帯の状態を判断することが可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一側面において、創傷包帯は、吸収性層及び水分インジケーターを備え、前記水分インジケーターが、前記包帯内に取り込まれている創傷滲出液を示し、前記水分インジケーターの可視性が、前記包帯内の第1の素材の物理的変換の結果として変化する。ある実施形態において、前記包帯の第1の素材の物理的変換は、それが創傷滲出液に接触すると生じる。他の実施形態において、前記包帯の第1の素材の物理的変換は、第2の素材が創傷滲出液に接触すると生じる。例えば、前記第2の素材は、前記吸収性層であり得る。ある実施形態において、前記物理的変換は、前記水分インジケーターの少なくとも一部が明らかになる又は隠れるようになることを引き起こす前記第1の素材の外観の変化である。前記水分インジケーターの可視性のこのような変化は、飽和のレベルの印を与える。特定の実施形態において、前記物理的変換は、例えば、乾燥材料から湿潤材料への転換、固体材料からゲル又はゲル状材料への転換であり、逆の場合も同様であり、又は、実質的に透明/半透明な材料から実質的に不透明な材料への転換であり、逆の場合も同様である。特定の実施形態において、前記転換は、可逆的である。いくつかの実施形態において、前記水分インジケーターは、有色水分インジケーター、有色基板及び水溶性有色色素である。ある実施形態において、複数の水分インジケーターは、前記包帯内に分配され、各インジケーターが、前記包帯の一部内に取り込まれている創傷滲出液を示すように構成される。特定の実施形態において、前記複数のインジケーターの各々は、異なる色を有する有色水分インジケーターであり、各色の可視性は、前記包帯の異なる部分の飽和を示す。ある実施形態において、前記有色水分インジケーターが、前記包帯の至るところで創傷滲出液の垂直及び/水平伝播を示すように使用され得る。
【0005】
他の側面において、包帯の少なくとも一部に広がる少なくとも1つの流体排出チューブ、及び前記流体排出チューブに関連する水分インジケーターを含む創傷包帯であって、前記水分インジケーターの可視性が、前記チューブからの流体の漏れの印を与える、創傷包帯が開示される。特定の実施形態において、前記水分インジケーターは、前記流体排出チューブの一部を包み込む。ある実施形態において、前記水分インジケーターは、前記流体排出チューブに結合された水溶性有色色素であり、前記チューブからの流体の漏れの結果として前記包帯を通って拡散することが引き起こされるとき、前記色素は見られ得るようになる。
【0006】
他の側面において、創傷滲出液による創傷包帯の飽和の監視方法が開示され、前記方法は、(a)吸収要素及び水分インジケーターを備える創傷包帯を提供する段階であって、前記インジケーターの可視性が、前記創傷包帯の創傷滲出液の取り込みを示す段階と、(b)前記創傷包帯を創傷に付ける段階と、(c)前記インジケーターの可視性を監視する段階と、を含む。ある実施形態において、前記水分インジケーターは、前記包帯内に水平に延長する有色層であり、前記包帯は、前記有色層の可視性を変えるように物理的に変換する構成要素を含む。特定の実施形態において、前記方法は、所定の量の前記有色層が見られ得るようになると前記包帯を除去する段階をさらに含む。他の実施形態において、前記方法は、所定の領域の前記有色層が見られ得ないようになると前記包帯を除去する段階をさらに含む。ある実施形態において、前記水分インジケーターは、前記包帯内に配される水溶性有色色素である。前記方法は、前記有色色素の拡散の結果として前記有色色素が見られ得るようになると前記包帯を除去する段階をさらに含む。
【0007】
開示されたデバイス及び方法の適用可能な更なる分野は、以下に提供される詳細な説明から明らかになるだろう。詳細な説明及び特定の実施例が、特定の実施形態を示す一方で、例示の目的のためのものであり、明細書又は後続され得る何れの請求項の範囲を制限するものではないことは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
前述の及び他の目的並びに利点は、添付の図面を参照して以下の更なる詳細な説明から更に十分に明らかになるだろう。これらの示された実施形態は、例示的なものであり、決して限定的なものではない。
【0009】
図1A】その可視性が包帯の第1の素材の物理的変換の結果として変わる水分インジケーターを有する例示的な創傷包帯の断面図である。
図1B】その可視性が包帯の第1の素材の物理的変換の結果として変わる水分インジケーターを有する例示的な創傷包帯の断面図である。
図2A】包帯が飽和状態になると水溶性有色水分インジケーターが見られ得るようになる例示的な創傷包帯の断面図である。
図2B】包帯が飽和状態になると水溶性有色水分インジケーターが見られ得るようになる例示的な創傷包帯の平面図である。
図3A】透明から不透明への第1の素材の物理的変換の結果として有色水分インジケーターが見られ得なくなる例示的な創傷包帯の断面図である。
図3B】透明から不透明への第1の素材の物理的変換の結果として有色水分インジケーターが見られ得なくなる例示的な創傷包帯の平面図である。
図4A】不透明から透明への第1の素材の物理的変換の結果として有色水分インジケーターが見られ得るようになる例示的な創傷包帯の断面図である。
図4B】不透明から透明への第1の素材の物理的変換の結果として有色水分インジケーターが見られ得るようになる例示的な創傷包帯の平面図である。
図5A】有色水分インジケーターが包帯の多層に関連し、各層に関連する第1の素材の物理的変換の結果として見られ得るようになる例示的な創傷包帯の断面図である。
図5B】有色水分インジケーターが包帯の多層に関連し、各層に関連する第1の素材の物理的変換の結果として見られ得るようになる例示的な創傷包帯の断面図及び平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に記載するデバイス及び方法の理解を助けるために、特定の実施形態が以下に記載される。明確性及び例示のために、本明細書の創傷包帯は、有色水分インジケーターを有して記載される。しかしながら、無色ベースの他の水分インジケーターが使用され得る。このような追加及び修正は、本明細書の範囲から逸脱するものではない。
【0011】
図1A及び図1Bは、創傷対向表面又は創傷接触表面104を有する創傷接触層102を有する創傷包帯100を示す。図1Bは、創傷上におけるインサイチュの創傷包帯を示す。
【0012】
包帯は、吸収性要素106をさらに含み、それは、創傷滲出液108の所望の吸収レベルを与える如何なる材料でもあり得る。例えば、吸収性要素106は、多孔性発泡体、特にポリウレタン発泡体であり得る。あるいは、吸収性要素106は、親水コロイドベースの、ヒドロゲルベースの、若しくは、アルギン酸塩ベースの、又はあらゆる他の適切な吸収性材料、又はそれらの組合せであり得る。
【0013】
包帯は、水分インジケーター110を備える。ある実施形態において、水分インジケーターは、有色水分インジケーターである。インジケーターは、創傷滲出液との接触後に必ずしも色が変わる必要がないが、使用者への可視性は、それが可視性又は不可視性になるように変えられる。これは、それ自体がしばしば感知できないインジケーターの色変化に依存する既存の創傷包帯に見られる特定の水分インジケーターに対して対照的である。本願の有色水分インジケーターは、それらが包帯内の水分レベルの識別できる視覚的な印を与えるので、使用者に利点があり得る。インジケーターの色は、好ましくは、包帯の他の部分に対して曖昧ではなく識別できるように選択される。
【0014】
有色水分インジケーターは、多孔性の有色基板、例えば、創傷滲出液が拡散し得る一片の有色紙であり得る。あるいは、有色水分インジケーターは、創傷滲出液による可溶化後に包帯を通って拡散する水溶性有色色素であり得る。
【0015】
水分インジケーター110の可視性は、第1の素材112の物理的変換の結果として変えられる。第1の素材は、物理的変換のタイプに基づいて、水分インジケーターを隠し又は露出するマスクとして作用する。特定の実施形態において、物理的変換は、好ましくはインジケーターの組成を変化させることなく第1の素材の外観の変化に影響を与える。特定の実施形態において、物理的変換は、乾燥材料から湿潤材料への変換、固体材料からゲル又はゲル状材料への変換であり、その逆も同様であり、又は、実質的に透明又は半透明から実質的に不透明な材料であり、その逆も同様であり、又は、それらの組合せである。物理的変換は、第1の素材112内の変換領域114を生成し、それは、水分インジケーターの可視性に影響を与えるこの領域である。ある実施形態において、変換領域114は、この領域が物理的に変換する前に水分インジケーターを隠すマスクとして機能する。この領域が変換されると、マスクは、破壊され、水分インジケーターは、見られるようになる。他の実施形態において、変換領域114は、この領域が物理的に変換された後に水分インジケーターを隠すマスクとして機能する。この領域の変換は、マスクの形成をもたらし、水分インジケーターは、見えなくなる。
【0016】
図2A及び図2Bに示されるように、創傷包帯は、包帯の飽和レベルを示すための水溶性有色水分インジケーターを備える。図2Aは、創傷接触層202を有する創傷包帯200の側方断面図を示し、その下部表面は、創傷対向表面204である。包帯はまた、吸収性要素206を備える。第1の素材212は、創傷対向表面204に対応する吸収性要素の表面上に位置し又は表面に隣接して位置する。他の色が使用され得ることも考えらえるが、第1の素材212は、第1の色であり、好ましくは白である。第2の色を有する水溶性有色水分インジケーター210は、吸収性層206上に提供され又は吸収性層206内に提供される。この第2の色は、第1の色に対して対照的な色であるように選択される。例えば、第1の色が白の場合、第2の色は、白ではないように選択される。創傷包帯の用途において、例えば水溶性色素である適切な水溶性有色水分インジケーターは、当業者に自明である。吸収性層は、対向する周辺端部214及び216を有し、図2A及び図2Bが吸収性層の中心に位置するマークとして水溶性有色水分インジケーター210を示すけれども、インジケーター210が対向する周辺端部間の何れにも位置し得ることが予想され、必要があれば、追加のインジケーター(同一の又は異なる色の)は、吸収性層内の創傷滲出液の水平伝播の印を与えるために周辺端部間の異なる位置に提供され得る。例えば、示されるように、インジケーター210と同一の色の水溶性色素ベースのインジケーター211は、外側の周辺端部寄りに提供される。
【0017】
図2Bは、創傷包帯飽和の2つの段階、並びにマスク210及び211の可溶化及び後続の可視化の間の時間的な関係を示す。上部パネル(A)において、創傷包帯は乾燥しており、平面視において、第1の素材が実質的に白であることが見られ得る。これは、使用者、例えば患者又は介護者に、吸収性層が飽和されておらず、創傷包帯が取り替えを必要としないことを知らせる。下部パネル(B)に示されるように、創傷滲出液208が吸収性層206を飽和しているとき、インジケーター210及び211は、可溶化され、第1の素材212を通って拡散し、第1の素材の上部表面において対照的に色付けされたマークとして見られ得るようになる。これは、包帯が交換される必要があることを使用者に示す。ある実施形態において、第1の素材212は、創傷包帯の最上の表面を形成し、それは、しばしばバッキング層と称される。他の実施形態において、第1の素材が、そこを通して見られ得、第1の素材上における色付けされたマークの出現が妨げられないように、追加の層が好ましくは透明であるけれども、第1の素材212は、包帯の追加の層によって覆われる。
【0018】
以上に記載されるように、ある実施形態において、有色水分インジケーターは、第1の素材の上部表面に現われ、この表面は、白又は他の明るい色である。有色水分インジケーターは、白に対して対照的な色であり、見かけ上の“白から色”への転移が、包帯飽和として曖昧ではない視覚的な印を与える。
【0019】
創傷包帯製品の組立方法も考えられる。ある実施例は、以下に概要が示されるように、図2に示される包帯を製造する以下の段階を含む。
【0020】
第1の段階において、第1のコーティング(フィルター層)は、通常のコピー用紙(〜80GSM)のシートの上部側に付けられる。コーティング1(〜100GSM)は、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性バインダー中における、タルク又は他の透明なフィラーの分散系であり得る。この分散系は、好ましくは、満足のいく多孔性を与えるために高い色素/バインダー比を有して定式化される。このコーティングの機能は、下層の有色水分インジケーターのマスクトレースである。
【0021】
第2の段階において、紙の下部側は、第2のコーティング(障壁層)でコーティングされる。例示の障壁層は、コーティング2(〜5−10GSM)であり、ポリビニルアルコール(PVOH)の薄層である。このコーティングの機能は、低粘度のインクがその塗布後に紙を通って拡散することを減らし又は避けるために、紙をシールすることである。
【0022】
第3の段階において、インクは、インクジェット又は同様の堆積方法によって第2のコーティングの表面に付けられる。例示のインクは、水溶性色素に基づく低粘度のインクである。
【0023】
インジケーターの応答時間は、典型的には約10分間であるが、応答時間は、紙の多孔性、障壁膜の厚さ及び/又は色素の可溶性に応じて変化し得る。特定の用途において、コーティングされた紙が液体の水と反応し得るけれども、それは、創傷包帯の殺菌に関連する高いレベルの湿度に影響されない(例えば、エチレンオキシドによって)。
【0024】
図2に示される他の特定の実施形態の構造を製造する方法は、以下を含む。
【0025】
第1の段階において、フィラー層は、紙の下部表面に付けられ、それが紙と障壁層との間に挟まれるようになる。
【0026】
第2の段階において、水酸化アルミニウムの分散系は、フィラー層を形成するために使用される。この化合物は、それが創傷滲出液に接触する前に拡散するのを避けるように、流動性が高いインクが瞬間的にゲルになることを引き起こし得る。
【0027】
第3の段階において、二酸化チタンは、色強度を大幅に低減させることなく白の背景に対して色のコントラストを強調するようにフィラー分散系に加えられる。
【0028】
特定の実施形態において、損傷包帯が飽和状態になるので、創傷包帯は、徐々に見えなくなるように有色水分インジケーターを備える。このような機構は、図3A及び図3Bに示される。
【0029】
図3Aは、損傷接触層302を有する損傷包帯300の側方断面図を示し、その下部表面は、損傷対向表面304である。包帯はまた、吸収性要素306を備える。損傷対向表面304に対向する吸収性要素の表面上に位置する第1の素材312は、水和後に透明な材料から第1の色を有する不透明の材料に転換する材料で作られる。ポリビニルアセテート(PVA)、セラック及びラテックスゴムなどの多くのポリマーは、担体溶媒が蒸発するときに透明な膜を形成する。フィルムが続いて水と接触すると、ポリマーは、再水和し、白い不透明のフィルムを形成する。PVAが水に接触すると、相対的な高いレベルの不透明性が短時間で出現する。これは、創傷包帯飽和の実時間の印を与え得る。示されるように、第2の色を有する有色水分インジケーター310は、吸収性層及び第1の素材の間に横たわる。第2の色は、不透明のフィルムの色を対照的になるように選択される。例えば、水和後に白い不透明のフィルムを形成するPVAフィルムが使用される場合、第2の色は、白ではないように選択され、望ましくは、容易に白と対照的になる色であるように選択される。第1の素材用に選択される材料が、好ましくは、透明な材料から不透明な材料に物理的に変換することができる一方で、第1の材料が無色である、すなわち透明であることは要求されない。
【0030】
ある実施形態において、有色水分インジケーター310は、吸収性層に接触しており、例えば、吸収性層に横たわっている。ある実施形態において、有色水分インジケーター310は、吸収性層306の一部のみに接触し、例えば中央部分又は周辺部分に接触する。例えば、有色水分インジケーター310は、吸収性層306の上部表面上に周辺端部を形成し得、有色インジケーターのその後の可視性は、周辺端部に対する包帯の完全な飽和を示す。特定の実施形態において、有色インジケーターは、多孔性の有色基板であり、例えば有色の紙である。他の実施形態において、有色マーク/図(例えば、ロゴ)は、吸収性層の上部表面に直接付けられる。本発明のある実施形態において、第1の素材312は、創傷包帯の最上部表面を形成し、それは、しばしばバッキング層と称される。他の実施形態において、第1の素材312は、包帯の追加の層によって覆われ、第1の素材がそれを通して見られ得るように、このような層は透明である。特定の実施形態において、物理的な変換は、可逆的である。例えば、水和後にPVAフィルムが白い不透明のフィルムを形成するが、創傷が乾燥し始める場合、それは準最適な治癒を示し、不透明なフィルムは、透明なフィルムに変わり、有色水分インジケーターは、再び見られ得るようになる。
【0031】
図3Bは、創傷包帯飽和の2つの段階、並びに創傷包帯飽和及び有色水分インジケーター310の間の時間的な関係を示す。上部パネル(A)において、創傷包帯は乾燥しており、包帯の平面視において、第1の素材312が完全に透明であり、有色水分インジケーター310が第1の素材310を可視可能であることが見られ得る。これは、使用者、例えば患者又は介護者に、吸収性層が飽和されておらず、創傷包帯が取り替えを必要としないことを知らせる。下部パネル(B)に示されるように、創傷滲出液が吸収性層306を飽和しているとき、それは、有色水分インジケーター310に浸透し、第1の素材312に接触する。この接触は、第1の素材312を水和し、透明な第1の素材312を不透明に変えるエマルジョンの出現を引き起こす。その不透明度は、例えば、吸収性層に関連する有色基板又は有色マーク/図(例えば、ロゴ)である有色水分インジケーター310を隠す。所定の量の有色水分インジケーターは、隠されており、それは、包帯を取り換えるときであることを示す。包帯を変える必要性についての知らされた決定が取られ得るために、有色水分インジケーターの可視性及び包帯の飽和レベルの間の関係を使用者に知らせる参照ガイドが提供され得る。
【0032】
特定の実施形態において、創傷包帯は、例えば、PICO(登録商標)Single Use Negative Pressure Wound Therapy System(Smith & Nephew Inc.)である、陰圧創傷治療(Negative Pressure Wound Therapy:NPWT)システムで使用される高吸収性の包帯である。このような包袋は、真空チューブが固定されるポートが備えられる。有色水分インジケーターがこのポートに関連することが有利であり得、有色水分インジケーターを隠すことが完全に飽和した包帯を示し、それは、除去されるべきである。
【0033】
以上に記載されるように、ある実施形態において、有色水分インジケーターは、不透明なフィルムの出現によって隠されるようになる。不透明なフィルムの色が白である実施形態において、有色水分インジケーターは、白に対して対照的な色であり得、見かけ上の“白から色”への転移が、包帯飽和として曖昧ではない視覚的なインジケーターを与える。
【0034】
図3に示される他の特定の実施形態の構造を製造する方法は、以下のような概要である。
【0035】
第1の段階において、PVAエマルジョンのフィルムが、例えばマイラー(登録商標)(Dupont)である、薄い(例えば、35ミクロン)ポリエステル/プラスチックフィルムに堆積される。これは、変換されたPVAの網状組織を避ける。PVAは、好ましくは、例えば、Unibond(Henkle)又はCementone Rendabond(Bostik)である、〜50%の水性エマルジョンである。
【0036】
第2の段階において、湿潤フィルムは、オーブン乾燥され(例えば、約70℃まで)、約100ミクロンの厚さの透明なPVAフィルムを提供する。PVA/マイラーラミネートは、次いで、ポリビニルアルコール等の接着剤又はK5接着剤(Smith & Nephew, Inc)を用いて、適切に色付けされた材料に結合される。
【0037】
第3の段階において、第2段階において用意したラミネートは、創傷包帯の吸収性層の上部表面に付着される。
【0038】
PVAフィルムが液体の水と反応し得るけれども、創傷包帯のエチレン酸化物殺菌に関連する高いレベルの湿度によって必ずしも影響されない。
【0039】
図3に示される他の実施形態の構造を製造する方法は、以下を含む。
【0040】
第1の段階において、PVA/マイラー層は、例えば不織布のレーヨンに基づく可溶性の芯材の適切な有色片に直接結合される。
【0041】
第2の段階において、マイラーフィルムは除かれ、その代わりにPVAエマルジョンの層が多孔性の有色基板にスクリーン印刷され又は直接堆積される。
【0042】
第3の段階において、多孔性有色ティッシュペーパーは除かれ、有色マーク/図(例えば、ロゴ)は、包帯の吸収性層の上部表面に直接付けられる。
【0043】
第4の段階において、接着剤の使用が除かれ、その代わりに、多孔性有色基板にPVA/マイラーラミネートをホットボンディングする。
【0044】
第5の段階において、多孔性の有色基板は除かれ、その代わりに、パターンがより独特の変化信号として表示され得るように、パターン(例えば、市松模様)又は他の図形要素(例えば、ロゴ)が最上層の透明フィルム(例えば、PVA/マイラーラミネート)に直接付けられる。
【0045】
特定の実施形態において、創傷包帯が飽和状態になるにつれて、創傷包帯は、徐々に見られ得るようになる有色水分インジケーターを備える。このような機構は、図4A及び図4Bに示される。
【0046】
図4Aは、創傷接触層402を有する創傷包帯400の側方断面図を示し、その下部表面は、創傷対向表面404である。包帯はまた、吸収性層406を備える。損傷対向表面404に対向する吸収性要素の表面上に位置する第1の素材412は、水和後に不透明から透明/半透明に転換する材料で作られる。適切な材料は、水溶性の紙であり、それは、好ましくはポリビニルアルコールベースである。水溶性の紙は、水和後に透明又は半透明のゲル又はゲル状材料に変換及び分解する繊維構造を有する。例えば、米、コーンフラワー及びセルロース等の植物性の素材に基づく水溶性の紙、ポリビニルアルコール等の合成ポリマーに基づく水溶性の紙を含む多くのタイプの適切な利用可能な水溶性の紙があり、ベースは、Aquasol(Aquasol Corp)レンジである。水溶性の紙は、好ましくは白である。示されるように、第2の色を有する有色水分インジケーター410は、吸収性層及び第1の素材の間に横たわる。第2の色は、不透明の水溶性の紙の色と対照的になるように選択される。例えば、水和されていない形態の水溶性の紙は、白であり、次いで、第2の色は、白ではないように選択され、好ましくは容易に白と対照的である色である。ある実施形態において、有色水分インジケーター410は、吸収性層に密着しており、例えば、それは、吸収性層に過度に密着している。ある実施形態において、有色水分インジケーター410は、吸収性層の一部のみに接触し、例えば中心部分又は周辺部分に接触する。有色インジケーターのその後の可視性が周辺端部に対する包帯の完全な飽和を示すように、有色水分インジケーター410は、吸収性層の上部表面上に周辺端部を形成し得る。施術者がその印を見たとき、施術者は、包帯を換えることを決定し得る。特定の実施形態において、有色インジケーターは、多孔性の有色基板であり、例えば有色の紙である。他の実施形態において、有色マーク/図(例えば、ロゴ)は、吸収性層の上部表面に直接付けられる。ある実施形態において、第1の素材412は、創傷包帯の最上部表面を形成し、それは、しばしばバッキング層と称される。他の実施形態において、第1の素材412は、包帯の追加の層によって覆われ、第1の素材がそれを通して見られ得るようにこのような層が透明である。ある実施形態において、追加の有色要素は、第1の素材412及び有色水分インジケーター410に間に配される。この追加の有色要素は、第3の色を有し、それは、第2の色に対照的な色である。この実施形態において、第1の素材412及び追加の有色要素は、有色水分インジケーター410に完全に広がる必要がなく、第1の素材412が水和される状態になり、溶解するとき、第3の色は、有色水分インジケーターに対して見られ得るようになる。特定の実施形態において、創傷包帯は、例えば、PICO(登録商標)Single Use Negative Pressure Wound Therapy System(Smith & Nephew Inc,)である、陰圧創傷治療(Negative Pressure Wound Therapy:NPWT)システムで使用される高吸収性の包帯である。このような包帯は、真空チューブが取り付けられるポートが備えられる。有色水分インジケーターがこのポートに関連する場合、有色水分インジケーターの露出は、除去されるべきである、完全に飽和した包帯を示し得る。
【0047】
図4Bは、創傷包帯飽和の2つの段階を示し、並びに創傷包帯飽和及び有色水分インジケーター408の間の時間的な関係を示す。上部パネル(A)において、創傷包帯は乾燥しており、包帯の平面視において、第1の素材412が完全に不透明であり、有色水分インジケーター410がバッキング層を通して可視不能であることが見られ得る。これは、使用者、例えば患者又は介護者に、吸収性層が飽和されておらず、創傷包帯が取り替えを必要としないことを知らせる。下部パネル(B)に示されるように、創傷滲出液408が吸収性層406を飽和しているとき、それは、有色基板410に浸透し、第1の素材412に接触する。この接触は、第1の素材412を水和し、透明/半透明なゲルの出現を引き起こす。この透明度は、有色水分インジケーター410を下方に露出する。所定の量の第2の色が露出されるようになるとき、それは、包帯を取り換えるときである。包帯を換える必要性についての知らされた決定が行われ得るために、有色水分インジケーターの可視性及び包帯の飽和レベルの間の関係を使用者に知らせる参照ガイドが提供され得る。
【0048】
以上に記載されるように、ある実施形態において、有色水分インジケーターは、透明又は半透明なフィルムの出現によって露出されるようになる。有色水分インジケーターは、白に対して対照的な色であり得、見かけ上の“白から色”への転移が、包帯飽和として曖昧ではない視覚的な印を与える。
【0049】
図4に示される実施形態の構造を製造する方法は、以下のような概要である。
【0050】
第1の段階において、水溶性の紙(〜60GSM)は、ポリビニルアルコール等の接着剤又はK5接着剤(Smith & Nephew, Inc)を用いて、適切に有色素材(例えば、2−ply,paper tissue(〜35GSM))に結合され、ラミネートを形成する。
【0051】
第2の段階において、段階1で用意されたラミネートは、創傷包帯の吸収性層の上部表面に付着される。
【0052】
ラミネートが液体の水と反応するけれども、創傷包帯の殺菌(例えば、エチレンオキサイド)に関連する高いレベルの湿度によって必ずしも影響されない。
【0053】
図4に示される他の実施形態の構造を製造する方法は、以下を含む。
【0054】
第1の段階において、水溶性の紙は、例えば不織布のレーヨンに基づく可溶性の芯材の適切な有色片に直接結合される。
【0055】
第2の段階において、接着剤の使用は除かれ、その代わりに接着性で水溶性の紙が使用される。
【0056】
特定の実施形態において、創傷滲出液の垂直伝播、従って各包帯層の飽和状態を使用者が視覚的に知らされるように、創傷包帯は、包帯の各層に関連する有色水分インジケーターを含む。包帯の各層に関連する水溶性有色水分インジケーターを創傷包帯が備える包帯の設計の例は、図5A及び図5Bに示される。
【0057】
図5Aは、創傷接触層502を有する創傷包帯500の側方断面図であり、その下部表面は、創傷対向表面504である。第1の素材512は、創傷対向表面204に対向する創傷接触表面502の表面上に位置し又は表面に隣接して位置する。創傷接触層502及び第1の素材512は、好ましくは同一の直径である。包帯はまた、吸収性要素506を備える。第2の素材516は、創傷対向表面504に対向する吸収性要素506の表面上に位置し又は表面に隣接して位置する。吸収性要素506及び第2の素材516は、好ましくは同一の直径であり、この直径は、創傷接触層502及び第1の素材512の直径より小さいように選択される。この選択の結果として、創傷接触層502/第1の素材512の縁又はフランジは、吸収性要素506/第2の素材516の周辺端部の下方から外側に延長する。他の色が使用され得ることも考えらえるが、第1の素材512及び第2の素材516は、第1の色であり、好ましくは白である。第2の色を有する水溶性有色水分インジケーター510は、創傷接触層502上に又は創傷接触層502内に提供される。第3の色を有する水溶性有色水分インジケーター511は、吸収性層506上に又は吸収性層506内に提供される。第2及び第3の色は、第1の色に対して対照的な色であるように選択される。例えば、第1の色が白の場合、第2及び第3の色は、白ではないように選択される。創傷包帯の用途において、例えば水溶性色素である適切な水溶性有色水分インジケーターは、当業者に自明である。
【0058】
図5Bは、創傷包帯飽和の2つの段階、並びにマーク510及び511の可溶化及びそれに続く視覚化の間の時間的な関係を示す。上部パネル(A)において、創傷包帯は乾燥しており、包帯の平面視において、第1の素材及び第2の素材が実質的に白であることが見られ得る。これは、使用者、例えば患者又は介護者に、創傷接触層も吸収性層も創傷滲出液によって飽和されていないことを知らせる。下部パネル(B)に示されるように、創傷滲出液508が創傷接触層502を飽和しているとき、インジケーター510は、可溶化され、第1の素材512を通って拡散し、第1の素材512の上部表面に対照的な有色マークとして見られ得るようになる。ある実施形態において、第1の素材512は、創傷接触層の最上部表面を形成する。インジケーター510の可視性は、創傷接触層502が飽和状態になっていることを使用者に示す。これは、包帯の交換が必要とされることを必ずしも示すものではないが、創傷から創傷浸出液分泌の割合の使用者への有用な印となり得る。下部パネル(C)に示されるように、創傷滲出液508が吸収性層506を飽和したとき、インジケーター511は、可溶化され、第2の素材516の上部表面に対照的な有色マークとして見られ得るようになるために第2の素材516まで拡散する。ある実施形態において、第2の素材516は、創傷接触層の最上部表面を形成する。他の実施形態において、第2の素材516は、包帯の追加の層によって覆われ、このような層は、好ましくは透明であるけれども、第2の素材がそれを通って見られ得るようになり、第2の素材の有色マークの出現が妨げられないようになる。インジケーター511の可視性は、包帯の吸収性層が飽和状態になり、包帯が交換を必要とし得ることを使用者に示す。
【0059】
図5A及び図5Bに関連して記載されるように、特定の実施形態において、創傷包帯は、包帯の各層に関連する有色水分インジケーターを含み、包帯の各層が創傷滲出液の垂直伝播によって飽和されているので、これは、使用者が視覚的に知らされることを可能にする。図5A及び図5Bが水分インジケーターとして水溶性色素の使用を開示する一方で、他の実施形態において、図3及び図4を参照して開示される水分インジケーターが、以下に記載されるように同様の設計の包帯内に使用され得ることが想定される。
【0060】
実施形態において、それぞれ創傷接触層502及び吸収性層506に関連する第1及び第2の素材512、516は、水和後に、図3を参照して以上に開示されるように、第1の色を有する不透明な素材に透明な素材から転換する材料で作られる。第1の色は、好ましくは白である。例えば有色基板又は有色マーク/図(例えば、ロゴ)である第1の有色水分インジケーターは、創傷接触層及び第1の素材の間に配される。第1の有色水分インジケーターは、白に対して対照的である色である。例えば有色基板又は有色マーク/図(例えば、ロゴ)である第2の有色インジケーターは、吸収性層及び第2の素材の間に配される。第2の有色水分インジケーターはまた、白に対して対照的である色であり、さらに、第1の有色水分インジケーターの色から識別できるものである。乾燥した包帯内において、第1及び第2の両方の有色水分インジケーターは、使用者に見られ得る。創傷接触層が飽和状態になると、第1の素材は、水和された状態になり、不透明に変わり、第1の有色インジケーターを隠す。吸収性層が飽和状態になると、第2の素材は、水和された状態になり、不透明に変わり、第2の有色水分インジケーターを隠す。完全に水和した包帯は、使用者に白く見える。
【0061】
実施形態において、それぞれ創傷接触層502及び吸収性層506に関連する第1及び第2の素材512、516は、水和後に、図4を参照して以上に開示されるように、第1の色を有する不透明な素材から透明な素材に転換する材料で作られる。第1の色は、好ましくは白である。例えば有色基板又は有色マーク/図(例えば、ロゴ)である第1の有色水分インジケーターは、創傷接触層及び第1の素材の間に配される。第1の有色水分インジケーターは、白に対して対照的である色である。例えば有色基板又は有色マーク/図(例えば、ロゴ)である第2の有色インジケーターは、吸収性層及び第2の素材の間に配される。第2の有色水分インジケーターはまた、白に対して対照的である色であり、さらに、第1の有色水分インジケーターの色から識別できるものである。乾燥した包帯内において、第1及び第2の両方の有色水分インジケーターは、使用者に見られ得る。創傷接触層が飽和状態になると、第1の素材は、水和された状態になり、不透明に変わり、第1の有色インジケーターを露出する。吸収性層が飽和状態になると、第2の素材は、水和された状態になり、不透明に変わり、第2の有色水分インジケーターを露出する。完全に水和した包帯は、中心の第1の色及びその辺に延長する第2の色を有する。
【0062】
前述の詳細な説明が単に例示的なものであり、与えられた詳細な説明に限定されないことは理解されるべきである。いくつかの実施形態が本明細書に与えられているが、開示されたデバイス及び方法並びにそれらの構成要素が、明細書の範囲から逸脱することなく他の多くの特定の形態で実現され得る。
【0063】
当業者は、本明細書を参照して変更及び修正を行うだろう。開示された特徴は、本明細書に開示された1つ又はそれ以上の特徴を有してあらゆる組合せ又はサブコンビネーション(多くの従属的な組合せ及びサブコンビネーション)で行われ得る。あらゆるその構成要素を含む、以上に開示され示された種々の特徴は、他のシステムに組み合わされ又は集積され得る。さらに、特定の特徴は、除かれ又は実施され得ない。
【0064】
変形、置換及び変更の例は、当業者に確かめられ、本明細書に開示された情報の範囲から逸脱することなく行われ得る。
【符号の説明】
【0065】
100 創傷包帯
102 創傷接触層
104 創傷対向表面又は創傷接触表面
106 吸収性要素
108 創傷滲出液
110 水分インジケーター
112 第1の素材
114 転換領域
200 創傷包帯
202 創傷接触層
204 創傷対向表面
206 吸収性要素
208 創傷滲出液
210 水溶性有色水分インジケーター
211 インジケーター
212 第1の素材
214 対向周辺端部
300 創傷包帯
302 創傷接触層
304 創傷対向表面
306 吸収性層
308 創傷滲出液
310 有色水分インジケーター
312 第1の素材
400 創傷包帯
402 創傷接触層
404 創傷対向表面
406 吸収性要素
408 創傷滲出液
410 有色水分インジケーター
412 第1の素材
500 創傷包帯
502 創傷接触層
504 創傷対向表面
506 第2の素材
508 創傷滲出液
510 水溶性有色水分インジケーター
511 水溶性有色水分インジケーター
512 第1の素材
516 第2の素材
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B