特許第6385366号(P6385366)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン電子株式会社の特許一覧

特許6385366シート給送装置及び画像読取装置並びに画像形成装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385366
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】シート給送装置及び画像読取装置並びに画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 1/14 20060101AFI20180827BHJP
   B65H 1/18 20060101ALI20180827BHJP
   B65H 3/66 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   B65H1/14 310Z
   B65H1/18 310
   B65H3/66
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-552322(P2015-552322)
(86)(22)【出願日】2014年12月4日
(86)【国際出願番号】JP2014006051
(87)【国際公開番号】WO2015087517
(87)【国際公開日】20150618
【審査請求日】2017年7月26日
(31)【優先権主張番号】特願2013-257382(P2013-257382)
(32)【優先日】2013年12月12日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】町田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】岡本 義文
【審査官】 大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−111237(JP,A)
【文献】 実開昭63−76734(JP,U)
【文献】 特開2001−88951(JP,A)
【文献】 特開2011−42440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00−3/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート束を載置するシート載置手段と、
前記シート載置手段にあるシート束の一方面側からシートを取り込むシート取込手段と、
前記シート取込手段よりもシート取込方向下流側に設けられてシートを1枚ずつ搬送路に分離給送するシート分離給送手段と、を備え、
前記シート取込手段によって前記シート載置手段上から送り出されるシートは、前記シート載置手段からシートの送り方向に傾斜した斜面部を介してシート給送方向下流側の前記搬送路に向けて分離給送され、
前記シート取込手段及び前記シート分離給送手段の間において、シートに作用して分離給送中のシートの給送姿勢を保持する姿勢保持手段と、
前記姿勢保持手段を退避した位置から突出した位置に付勢する付勢手段と、をさらに備え、
前記姿勢保持手段は、前記シート載置手段と前記斜面部との交点付近において、前記斜面部に対して前記突出した位置と前記退避した位置とに変位可能に設けられ、且つ、シート束の量が減少するにしたがって前記姿勢保持手段の前記斜面部からの突出量が大きくなり、一方、シート束の量が増加するにしたがって前記付勢手段の付勢力に抗して前記斜面部からの突出量が小さくなり、
前記姿勢保持手段は、前記突出した位置で前記シート載置手段から前記シート取込手段によって送り出されるシートを押し上げてシートの給送姿勢を保持する機能を有することを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記姿勢保持手段は、前記退避した位置において前記斜面部の凹部内に収容されることを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記姿勢保持手段は、前記シート載置手段と前記斜面部との交点またはその周辺に揺動可能に軸支されていることを特徴とする請求項1または2に記載のシート給送装置。
【請求項4】
前記シート束の最上位のシートに圧接しながら回転する前記シート取込手段として設けたピックアップローラと、前記ピックアップローラに送り出されたシートを1枚ずつ分離して前記搬送路に送り出す前記シート分離給送手段として設けた給送ローラ及び分離ローラと、を有し、
前記シート載置手段の最上位のシートと前記ピックアップローラとの接触点をp1、前記給送ローラと前記分離ローラとの接触点をp2とした場合に、前記姿勢保持手段は、前記突出した位置が前記接触点p1と接触点p2を結ぶ直線上にあることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項5】
前記姿勢保持手段を変位させる駆動手段をさらに有し、
前記姿勢保持手段は、前記駆動手段によりシート束のシート面と直交する直立した位置と前記突出した位置との間で変位され、
前記直立した位置において、前記シート載置手段のシート束の先端を揃えるためにシートを突き当てて規制する機能を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項6】
前記駆動手段は、前記姿勢保持手段に係合した状態で回転駆動されるカム部材を有することを特徴とする請求項5に記載のシート給送装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のシート給送装置を備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のシート給送装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを給送するシート給送装置、及びこのシート給送装置を備えた画像読取装置並びに画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図13から図17を参照して、従来の画像読取装置に搭載されるシート給送装置の構成について説明するが、後述する実施形態と共通する構成については同一の符号を付すことで説明は省略する。
【0003】
図13から図16は、従来のシート給送装置102により原稿を給送する際の積載原稿Dの先端の姿勢を示している。図13に示す原稿セット状態から給送を開始すると、図14に示すように、原稿束の先端は下部ガイドユニット2の斜面部2bに沿って斜めにずれた状態となり、給送を続けることで図15に示すように積載原稿Dが少なくなる。図15の状態で給送を行うと、給送ローラ9の回転速度がピックアップローラ8の回転速度より速いため、図16に示すように、給送される最上部にある原稿のたるみが無く、ローラ8とローラ9の間で引っ張られた状態となる。ここで、ピックアップローラ8と最上位原稿の接触点p1、給送ローラ9と分離ローラ4の接触点p2、原稿積載部2aと斜面部2bの交点p3を結んだ三角形領域をたわみ空間とした場合、最上位原稿のたわみ空間近傍部が矢印e方向に移動する。
【0004】
そして、図15から図16への過程において、最上位原稿のたわみ空間近傍部が矢印e方向に変位するときに、2枚目の原稿は、原稿先端が分離ローラ4で止められ、たわみ空間近傍部が最上位原稿と密着している。このため、2枚目原稿は、最上位原稿の移動に追従して矢印e方向に変位しようとする。図16において、点p1と点p2の間の2枚目原稿長さL2は、点p1と点p2の間の最上位原稿長さL1より長いため、2枚目原稿が矢印e方向に移動しようとするときに、図17に示すようにたわみ空間内で2枚目の原稿がたるみやすくなる。また、点p1で接触している最上位原稿と2枚目の原稿との間の摩擦力が大きいため、最上位原稿の給送に追従して2枚目原稿も移動し、たわみ空間内で2枚目の原稿がたわむ可能性がある。特に、紙やフィルムなどの薄い原稿はたわみやすく、たわみ空間内で原稿のたわみが大きくなると原稿が皺状に折れ曲がり、原稿が給送ローラ9と分離ローラ4のニップにスムーズに入れず給送不良の原因となる。
【0005】
関連技術として、特許文献1には、給送トレイ上の原稿の積載量が所定基準枚数よりも少なくなると、カム駆動モータによる偏心カムの回転によりリフト部材が上昇して、ピックアップローラで送り出される原稿を上方に持ち上げ、給送トレイ上の原稿の積載量によらず給送ニップ部に対する原稿の進入角度を略水平にする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−111237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1によればリフト部材により原稿のたるみは低減できるものの、プラスティック製カードなどの曲がりにくい原稿を給送する場合、リフト部材から原稿に加わる負荷が大きいため、原稿が送られないなどの給送不良となる可能性がある。また、積載原稿の下に原稿を継ぎ足したい場合でもリフト部材に当たってしまい継ぎ足すことができない。さらに、リフト部材にはモータやカムなどの駆動機構が必要なため、部品点数が多くなってコストが高くつく。
【0008】
なお、上述した問題は、シート束の一方面側からシートを取り込むピックアップローラなどのシート取込手段と、その下流側においてシートを分離給送するシート分離給送手段との間でシートのたるみが生じ易く、例えば、シートの載置する形態(シート束の重なり方向を水平方向とした、いわゆる縦置き型や、シート面を水平方向とした、いわゆる平置き載置型、あるいは、この平置き載置型としながらもシート束を傾斜配置したいわゆる傾斜載置型など)に関係なく、発生するおそれがある。また、上述した従来技術の説明は、従来の課題の一例を示したに過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、シートの厚さ(たわみ易さ)などにかかわりなく給送性能を向上または安定化できるシート給送装置及び画像読取装置並びに画像形成装置を低コストで実現できる技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、シート束を載置するシート載置手段と、前記シート載置手段にあるシート束の一方面側からシートを取り込むシート取込手段と、前記シート取込手段よりもシート取込方向下流側に設けられてシートを1枚ずつ搬送路に分離給送するシート分離給送手段とを備え、前記シート取込手段によって前記シート載置手段上から送り出されるシートは、前記シート載置手段からシートの送り方向に傾斜した斜面部を介してシート給送方向下流側の前記搬送路に向けて分離給送され、前記シート取込手段及び前記シート分離給送手段の間において、シートに作用して分離給送中のシートの給送姿勢を保持する姿勢保持手段と、前記姿勢保持手段を退避した位置から突出した位置に付勢する付勢手段と、をさらに備え、前記姿勢保持手段は、前記シート載置手段と前記斜面部との交点付近において、前記斜面部に対して前記突出した位置と前記退避した位置とに変位可能に設けられ、且つ、シート束の量が減少するにしたがって前記姿勢保持手段の前記斜面部からの突出量が大きくなり、一方、シート束の量が増加するにしたがって前記付勢手段の付勢力に抗して前記斜面部からの突出量が小さくなり、前記姿勢保持手段は、前記突出した位置で前記シート載置手段から前記シート取込手段によって送り出されるシートを押し上げてシートの給送姿勢を保持する機能を有することを特徴とするシート給送装置を提供する。
【0011】
また、本発明は、上記シート給送装置を備えたことを特徴とする画像読取装置や画像形成装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、シートを一枚ずつ分離する性能を維持しつつ、シートの厚さ(たわみ易さ)などにかかわりなく給送性能を向上、または安定化できるシート給送装置及び画像読取装置並びに画像形成装置を低コストで実現する技術を提供するものである。
【0013】
本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照とした以下の説明により明らかになるであろう。なお、添付図面においては、同じ若しくは同様の構成には、同じ参照番号を付す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
添付図面は明細書に含まれ、その一部を構成し、本発明の実施の形態を示し、その記述と共に本発明の原理を説明するために用いられる。
図1】実施形態1のシート給送装置の概略側面図。
図2】実施形態1のシート給送装置の概略側面図。
図3】実施形態1のシート給送装置の概略側面図。
図4】実施形態2のシート給送装置の概略側面図。
図5】実施形態2のガイド板周辺の概略側面図。
図6】実施形態2のガイド板周辺の概略側面図。
図7】実施形態2のシート給送装置の概略側面図。
図8】実施形態2のシート給送装置の概略側面図。
図9】実施形態2のシート給送装置の概略側面図。
図10A】実施形態3のシート給送装置の概略側面図。
図10B】実施形態3のシート給送装置の概略側面図。
図11A】実施形態4のシート給送装置の概略側面図。
図11B】実施形態4のシート給送装置の概略斜視図。
図12】実施形態4の変形例のシート給送装置の概略斜視図。
図13】従来のシート給送装置の概略側面図。
図14】従来のシート給送装置の概略側面図。
図15】従来のシート給送装置の概略側面図。
図16】従来のシート給送装置の概略側面図。
図17】従来のシート給送装置の概略側面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、添付図面を参照して本発明を実施するための形態について詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明を実現するための一例であり、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。本実施形態の構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において本発明が適用される装置の構成や各種条件によって適宜修正又は変更されるべきものである。
【0016】
以下に、本発明のシート給送装置を、原稿搬送して原稿画像を読み取るための画像読取装置に適用した実施形態について説明する。なお、本発明は、ドキュメントスキャナなどの画像読取装置に限らず、ファクシミリやプリンタ、複写機などの画像形成装置にも適用可能である。
【0017】
[装置構成]図1ないし図3を参照して、本発明に係る実施形態のシート給送装置が搭載される画像読取装置の構成及び機能について説明する。
【0018】
図示のように、原稿平置き型の画像読取装置100は、下側の搬送路を構成する下部ガイドユニット2と、上側の搬送路を構成する上部ガイドユニット3とを有し、下部ガイドユニット2と上部ガイドユニット3に挟まれた空間に原稿Dの搬送路13が形成される。
【0019】
下部ガイドユニット2は、原稿束Dが水平に載置される原稿平置き載置型の原稿積載部(シート載置手段の一例)2a、原稿を分離する斜面部2b、分離ローラ4、上流側搬送ローラ5、下部読取センサ6、下流側搬送ローラ7、ガイド板140を有する。上部ガイドユニット3は、ピックアップローラ(シート取込手段の一例)8、給送ローラ9、上流側搬送ローラ10、上読取センサ11、下流側搬送ローラ12を有する。なお、原稿束Dは、原稿積載部2a上で積載面に沿ってスライド可能に立設された一対の規制板(不図示)によって幅方向両端部が規制される。すなわち、原稿束Dは、一対の規制板によって原稿の取込方向における斜行が防止される。
【0020】
下部読取センサ6と上部読取センサ11とは搬送路13を挟んで互いに対向して配置されている。上流側搬送ローラ対5、10、下流側搬送ローラ対7、12は、それぞれ搬送路13上で互いに当接している。上流側搬送ローラ5及び下流側搬送ローラ7は不図示のモータで駆動される駆動ローラであり、上流側搬送ローラ10及び下流側搬送ローラ12が従動ローラである。
【0021】
ピックアップローラ8と給送ローラ9と分離ローラ4は原稿を取り込み、分離給送する手段を構成し、不図示のモータで回転駆動される。ピックアップローラ8は、原稿の幅方向中央部(装置本体の中央部)に対応して配置され、原稿積載部2aに載置された原稿束Dの最上位(一方面側)の原稿d1に圧接しながら矢印sで示すシート送り方向に回転し、給送ローラ9と分離ローラ4はピックアップローラ8により送り出された原稿を1枚ずつ分離してシート給送方向下流側の搬送路13に送り出す。すなわち、本実施形態では、ピックアップローラ8よりもシート取込方向下流側の給送ローラ9及び分離ローラ4が原稿(シート)分離給送手段として機能する。このとき、ピックアップローラ8と給送ローラ9の間で原稿がたるまないように、ピックアップローラ8の回転速度を、給送ローラ9の回転速度より遅くなるように駆動する。ピックアップローラ8内には不図示のワンウェイクラッチが設けられており、原稿積載部2aから送り出した原稿が給送ローラ9に到達し、ピックアップローラ8と給送ローラ9の回転速度差によりピックアップローラ8と給送ローラ9の間で引っ張られた状態となると、ワンウェイクラッチがアンロックしてピックアップローラ8は原稿の送り方向に追従して回転可能となる。分離ローラ4は、給送ローラ9に当接し従動することで給送ローラ9とは反対方向に回転して原稿束Dから送り出された原稿d1を一枚ずつ分離する。
【0022】
下部読取センサ6及び上部読取センサ11は、上流側搬送ローラ対5、10及び下流側搬送ローラ対7、12の回転により上流側と下流側で挟み込まれて安定的に搬送される原稿d1の下面及び上面の画像を光学的に読み取る。
【0023】
ガイド板140は、下部ガイドユニット2の原稿積載部2aと斜面部2bとの交点付近に、軸部14aを中心に揺動可能に軸支され、斜面部2bに対して突き出た位置と退避した位置とに変位可能である。ガイド板140は、付勢手段としてのトーションバネ15のバネ力によって斜面部2bから突き出た位置に常時付勢されている。図1に示すガイド板140の頂点14cは、図16における接触点p1と接触点p2を結ぶ直線上に位置し、原稿に接触する部分である。
【0024】
図1から図3は、本実施形態のシート給送装置により原稿を給送する際の積載原稿Dの先端の姿勢を示している。図1に示す原稿セット状態ではガイド板140はバネ15の付勢力によって斜面部2bから突き出た状態となっている。図1の状態から給送を開始すると、図2に示すように、ガイド板140はバネ15の付勢力に抗して原稿に押し戻されて斜面部2bから退避して略同一平面となり、詳細には斜面部2bに設けられた凹部内に収容されるため、原稿束の先端は原稿の送り方向に傾斜した斜面部2bに沿って斜めにずれた状態となる。さらに給送を続け図3に示すように積載原稿Dの量が少なくなると、ガイド板140を押す力(斜面部2b側に押し込む力であって、本実施形態ではシート束の重さ)が相対的に小さくなってくるので、再びガイド板140がバネ15の付勢力によって斜面部2bから突出し始め、原稿束の量が少なくなるに従ってガイド板140の突出量が大きくなる。すなわち、ガイド板140の突出量が大きくなると、分離給送前の原稿に対する作用力(本実施形態では押し上げ力)が実質的に大きくなり、原稿の給送姿勢を保持することができる。
【0025】
さらに原稿束の量が少なくなると、図3に示すように、ガイド板140が下部(原稿積載面側)の原稿をその上の原稿に向けて押し上げるため、2枚目原稿の位置は、図16に示した2枚目原稿の位置より高くなるので、最上位原稿を給送する際の2枚目原稿の矢印e方向への移動がほとんど無くなる。このため2枚目の原稿のたるみ(変形量)が少なくなり、給送不良を抑えることができる。ここで、ガイド板140は、分離給送中の状態にある原稿に対して分離給送前の原稿を押し上げて原稿のたるみを抑える役割があり、これによって、分離給送前の原稿の姿勢が安定化する。すなわち、本実施形態では、ガイド板140と称して説明しているが、このガイド板140は、分離給送中の原稿に対して分離給送前の原稿に作用して原稿の給送姿勢を保持(矯正)する原稿姿勢保持手段としての役割があり、単に分離給送に至る原稿の案内を行うものではない。このような原稿姿勢保持手段は、本実施形態のようにガイド板140として分離給送前の原稿に当接することで原稿の給送姿勢を保持するようにする以外は、例えば、原稿に部分的に当接するリブ状の突起部(もちろん、この突起部は退避可能な構成で設ける)でも良いし、あるいは空気(エアー)などを吹き付ける手段でも良い。このように、原稿の給送姿勢が安定化することで、給送不良を低減し、給送性能、信頼性を向上できる。なお、「分離給送中」の状態とは、例えば、ピックアップローラ8と、給送ローラ9及び分離ローラ4との間で原稿が給送力を直接的に受けている状態を含む。また、このような原稿姿勢保持手段は、例えば、本実施形態では、上述したピックアップローラ8であるシート取込手段と、給送ローラ9及び分離ローラ4で構成されるシート分離給送手段との間に設けられ、シート取込手段が作用して分離給送されるシートに対して、これから分離給送するシートに対する姿勢安定に寄与するものである。そのため、原稿姿勢保持手段は、シート取込手段とシート分離給送手段との間に対応する領域内で広範囲にシートを保持するようにしても良いし、部分的に保持するように設けても良い。なお、原稿姿勢保持手段は、シート取込手段とシート分離給送手段とを結ぶ帯状の給送領域に対応して設けられるのが良い。
【0026】
例えば、プラスティック製カードなどの曲がりにくい原稿を給送する場合は、図2に示すように、ガイド板140が原稿に押し戻されて斜面部2bから退避した状態となるため原稿に不要な力を印加することなく確実に給送することができる。つまり、ガイド板140は、数枚程度の原稿、特に、非常に薄い原稿(薄紙)に作用するよう作用力を調整して設けることで、カードなどを含む様々な原稿種を混ぜた、いわゆる異種混載給送において、上述した給送姿勢の安定化に有効である。
【0027】
また、上述した特許文献1では、リフト部材にモータやカムなどの駆動機構が必要なためコストが高くつくが、本実施形態ではガイド板140とバネ15だけで構成できるのでコスト的に有利である。なお、原稿を継ぎ足す場合は、積載済みの最下位原稿と原稿積載部2aの間に追加の原稿を差し込めば、ガイド板140が押し戻されて退避するので、自由な原稿の継ぎ足しにも有効である。
【0028】
[実施形態2]次に、図4乃至図9を参照して、実施形態2のシート給送装置が搭載される画像読取装置について説明する。
【0029】
図4に示すように、本実施形態の画像読取装置101は、ガイド板141にカム係合溝部14bが設けられ、カム係合溝部14bに当接するカム部材16及びカム部材16を駆動する不図示の駆動機構を有する。その他の構成は図1の構成と同様である。
【0030】
図5はガイド板141周辺の拡大図である。カム部材16は、軸部16aを中心に回転可能に下部カイドユニット2に支持され、不図示の駆動機構によって回転駆動される。カム部材16はカム係合溝部14bと係合するカム係合突起部16bを有し、カム部材16の回転に伴ってカム係合溝部14bに当接して移動することより、ガイド板141を回転させる。図5に示す状態はガイド板141が原稿面と直交する直立姿勢となる原稿セット状態であり、ユーザは原稿をガイド板141に突き当ててセットすることができる。つまり、ガイド板141は原稿先端を揃えるための規制部材を兼ねる。原稿をセットした後、給送を開始する場合は、不図示の駆動機構によりカム部材16を時計回りに回転させ、図6に示すようにガイド板141が直立姿勢から時計方向に傾斜した姿勢となる原稿スキャン状態にする。給送が終了すると、カム部材16を反時計回りに回転させ、ガイド板141が直立姿勢となる原稿セット状態(図5)に戻す。
【0031】
図4並びに図7から図9は、本実施形態のシート給送装置により原稿を給送する際の積載原稿先端の姿勢を示している。図4は原稿セット状態であり、ガイド板141はカム部材16に支持されて直立姿勢を保つ。この状態で、ユーザは原稿束を原稿積載部2aに載せる際に原稿先端をガイド板141に突き当ててセットする。
【0032】
原稿をセットした後、給送を開始する場合は、不図示の駆動機構によりカム部材16を時計回りに回転させ、図7のようにガイド板141を傾斜した姿勢にした後、ピックアップローラ8を回転して給送を行う。給送を開始すると、図8に示すようにガイド板141は原稿に押し戻されて斜面部2bから退避し、原稿束の先端は斜面部2bに沿って斜めにずれた状態となる。
【0033】
さらに給送を続けると、図9に示すように積載原稿が少なくなってガイド板141を押す力が弱くなってくるため、斜面部2bからのガイド板141の突出量が大きくなってくる。このようにして、ガイド板141が下部の原稿を押し上げるため、原稿のたるみが少なくなり、給送不良を抑えることができる。
【0034】
本実施形態によれば、ガイド板141は原稿セット時の原稿の突き当て機能を有し、かつ給送性能を向上する。
【0035】
なお、本実施形態ではガイド板141をカムによって駆動するが、これに限らず、ギア駆動やその他の駆動手段を用いても良い。
【0036】
[実施形態3]次に、図10A及び10Bを参照して、実施形態3のシート給送装置が搭載される画像読取装置について説明する。
【0037】
図10A及び10Bに示すように、本実施形態の画像読取装置100は、下部ユニット2の斜面部2bに、分離ローラ4の周囲を覆うカバー部材18が回動可能に設けられている。その他の構成は図1の構成と同様である。
【0038】
カバー部材18は、下部ユニット2の分離ローラ4よりも原稿の送り方向下流側に回動軸18bを介して回動可能に連結されている。すなわち、カバー部材18は、分離ローラ4の周囲を覆うカバーとなっており、分離ローラ4を交換する際に図10Bのように開閉可能な蓋部材となる。また、カバー部材18は、分離ローラ4の周囲を取り囲む部分から延設された傾斜部18cを有する。カバー部材18の傾斜部18cは、下部ユニット2の斜面部2bの一部を構成する。詳細には、図10Aのようにカバー部材18が下部ガイドユニット2の斜面部2bの凹部内に収容されている状態で、ピックアップローラ8と給送ローラ9(または分離ローラ4)とを結ぶ線上に沿うようにカバー部材18の傾斜部18cが延設されている。そして、カバー部材18の傾斜部18cの先端部には、折り返されて一体的に形成された爪形状のガイド部18aが設けられている。カバー部材18のガイド部18aは、カバー部材18が下部ガイドユニット2の斜面部2bの凹部内に収容されているとき、その斜面部2bから突出した状態となる(図10A参照)。また、カバー部材18のガイド部18aは、原稿束の量(重さ)に応じて傾斜部18cに対して撓み変形する。
【0039】
図10Aの状態で原稿載置面2aから原稿の給送を開始すると、ガイド部18a上を通過する原稿束の量によってガイド部18aが撓み変形しながら原稿を下部ガイドユニット2側から支持する。これにより、薄紙などのコシが弱い原稿を給送する場合に、原稿を下部ガイドユニット2側から支えて、良好な給送姿勢を形成することが可能となる。このように、本実施形態によれば、原稿束のうち最終段階で薄紙を給送する場合に、その薄紙に対する給送性能を向上することができる。
【0040】
[実施形態4]次に、図11A及び11B並びに図12を参照して、実施形態4のシート給送装置が搭載される画像読取装置について説明する。
【0041】
図11A及び11Bに示すように、本実施形態の画像読取装置100は、下部ユニット2の斜面部2bにおける原稿載置面2aの幅方向の中央部に突起部2cが設けられている。その他の構成は図1の構成と同様である。
【0042】
この突起部2cは、その頂点が、点p1と点p2を結ぶ直線上の近傍に位置するように形成されている。これにより、原稿給送時に突起部2cが原稿を下方から押し上げるので、斜面部2bでの原稿のたるみが抑制され、原稿給送中のジャム(紙詰まり)を抑えることができる。但し、プラスティック製カードなどの曲がりにくい原稿を給送する場合は、カードの先端部が突起部2cを乗り越えられないので給送が難しくなる。なお、この突起部2cは、例えば、ゴム材料やスポンジなどの弾性変形可能な材料で形成されていてもよい。これにより、コシの強い原稿の給送にも対応可能となる。
【0043】
また、プラスティック製カードの給送に対応する場合は、図12に示すように、突起部2cをカードの送り領域を避けるようにピックローラ8の軸方向に離間させて複数設けた構成にすればよい。プラスティック製カード17は複数の突起部2cの間を通過することで給送が可能となる。
【0044】
本発明は、上述した原稿平置き型の給送構成にかかる上述した実施形態に限定されず、他のシートの載置する形態、例えば、シート束の重なり方向を水平方向とした、いわゆる縦置き型や、シート面を水平方向としたいわゆる平置き載置型であって当該シート束を傾斜配置したいわゆる傾斜載置型などにも適用可能である。いずれにしても、本発明は、分離給送中のシートに対して分離給送前のシートのたるみを抑えるようにシート給送姿勢を保持することにより、安定した分離給送を実現することができるものである。
【0045】
また、本発明のシート給送装置は、上述した実施形態における画像読取装置に適用する場合の他、シートに対して印刷を施すなどの画像形成装置(プリンタ、あるいは複写機、複合機、ファクシミリなど)に適用可能であり、それ以外でもシートを送って所定の処理を施すシート処理装置にも適用可能である。
【0046】
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。
【0047】
本願は、2013年12月12日提出の日本国特許出願特願2013−257382を基礎として優先権を主張するものであり、その記載内容の全てを、ここに援用する。
【符号の説明】
【0048】
100、101…画像読取装置、2…下部ガイドユニット、3…上部ガイドユニット、4…分離ローラ、8…ピックアップローラ、9…給送ローラ、140…ガイド部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17