(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385368
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】コーティングされた鉄電極及びこの鉄電極を製造する方法
(51)【国際特許分類】
H01M 4/24 20060101AFI20180827BHJP
H01M 4/26 20060101ALI20180827BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20180827BHJP
H01M 10/30 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
H01M4/24 Z
H01M4/26 Z
H01M4/62 C
H01M10/30 Z
【請求項の数】20
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-556150(P2015-556150)
(86)(22)【出願日】2014年1月31日
(65)【公表番号】特表2016-509351(P2016-509351A)
(43)【公表日】2016年3月24日
(86)【国際出願番号】US2014014028
(87)【国際公開番号】WO2014121009
(87)【国際公開日】20140807
【審査請求日】2017年1月6日
(31)【優先権主張番号】61/759,777
(32)【優先日】2013年2月1日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/898,151
(32)【優先日】2013年10月31日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/898,191
(32)【優先日】2013年10月31日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/902,041
(32)【優先日】2013年11月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515210248
【氏名又は名称】エンセル テクノロジー、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オッグ、ランディー
(72)【発明者】
【氏名】ウェルチ、クレイグ、ヒントン
(72)【発明者】
【氏名】サイデル、アラン、ピー.
【審査官】
宮田 透
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2011/0020534(US,A1)
【文献】
特開2007−214038(JP,A)
【文献】
特開2011−009203(JP,A)
【文献】
特開平06−295727(JP,A)
【文献】
特公昭45−016662(JP,B1)
【文献】
特開昭47−019337(JP,A)
【文献】
特開2001−176502(JP,A)
【文献】
特開2013−065423(JP,A)
【文献】
特開昭48−070833(JP,A)
【文献】
特表2010−503148(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00− 4/62
H01M 10/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄活物質及び結合剤を含むコーティングで少なくとも1つの面の上をコーティングされている導電性基材の単一層を含む、ニッケル鉄電池用の鉄電極であって、前記鉄電極が前記結合剤として前記コーティングに対し1wt%から5wt%のポリビニルアルコールを含む、前記鉄電極。
【請求項2】
鉄活物質を含むコーティングで少なくとも1つの面の上をコーティングされている導電性基材の単一層を含み、前記コーティングが少なくとも2つの層を含む、請求項1に記載の鉄電極。
【請求項3】
前記コーティングが2つの層を含む、請求項2に記載の鉄電極。
【請求項4】
前記2つの層が異なる多孔度を有する、請求項3に記載の鉄電極。
【請求項5】
前記2つの層が異なる組成を有する、請求項3に記載の鉄電極。
【請求項6】
前記コーティングが3つの層を含む、請求項2に記載の鉄電極。
【請求項7】
前記3つの層の少なくとも2つが異なる多孔度を有する、請求項6に記載の鉄電極。
【請求項8】
前記3つの層の少なくとも2つが異なる組成を有する、請求項6に記載の鉄電極。
【請求項9】
前記鉄電極が前記結合剤として前記コーティングに対し2.5wt%から4wt%の範囲のポリビニルアルコールを含む、請求項2に記載の鉄電極。
【請求項10】
前記鉄電極が添加剤をさらに含む、請求項1に記載の鉄電極。
【請求項11】
前記添加剤がニッケル粉末を含む、請求項10に記載の鉄電極。
【請求項12】
前記添加剤が硫黄を含む、請求項10に記載の鉄電極。
【請求項13】
前記硫黄が硫黄元素を含む、請求項12に記載の鉄電極。
【請求項14】
ニッケル鉄電池用の鉄電極を調製するための方法であって、
鉄活物質及び結合剤を含むミックスを調製するステップと、
前記ミックスで連続する基材材料の少なくとも1つの面の上をコーティングするステップと、
乾燥し、圧縮し、そして前記鉄電極を所定サイズへ切断するステップと、
タブを前記電極に取り付けるステップと
を含み、前記鉄電極が前記結合剤として前記コーティングに対し1wt%から5wt%のポリビニルアルコールを含む、前記方法。
【請求項15】
前記鉄電極が前記結合剤として前記コーティングに対し2.5wt%から4wt%の範囲のポリビニルアルコールを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記連続する基材をコーティングするステップが、異なる特性を有する材料を積層するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記層が異なる多孔度及び/又は密度を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記層が異なる添加剤の濃度を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記乾燥が、第1のステップにおける赤外線、マイクロ波又は紫外線による乾燥と、第2のステップにおける対流式乾燥とを組み合わせて実施される、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
ニッケル系カソードと、請求項1に記載の電極をアノードとして含む、バッテリー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー貯蔵装置の技術分野におけるものである。より詳細には、本発明は、鉄電極を用いた再充電可能型バッテリーの技術分野におけるものである。
【背景技術】
【0002】
鉄電極は、100年超の間、エネルギー貯蔵用のバッテリーや他の装置中で使用されてきた。鉄電極はしばしば、ニッケル−鉄バッテリーを形成するためにニッケルベース型カソードと組み合わせられる。ニッケル−鉄バッテリー(Ni−Feバッテリー)は、酸化水酸化ニッケル(III)カソード及び鉄アノードと、水酸化カリウム等の電解質とを有する再充電可能なバッテリーである。これらの活物質は、ニッケルめっきした鋼管又は穿孔したポケット内に保持されている。ニッケル−鉄バッテリーは、誤用(過充電、過放電及び短絡)に耐え、誤用して取り扱われた場合でさえ非常に長い寿命を有し得る、非常に頑健なバッテリーである。ニッケル−鉄バッテリーはしばしば、バックアップ状況下で使用されるが、こうした状況下では、ニッケル−鉄バッテリーは連続充電されることもあるし、20年超の間持続することもある。しかしながら、ニッケル−鉄バッテリーは比エネルギーが低く、電荷保持が良くなく、製造コストも高いため、他の種類の再充電可能型バッテリーが、大半の用途においてニッケル−鉄バッテリーに取って代わってきた。
【0003】
伝統的に、鉄電極活物質は、純鉄粉末を硫酸中に溶解させ、続いて乾燥させ、焼き上げて酸化鉄(Fe
2O
3)を生成することによって製造されている。この物質を洗浄し、水素中で部分的に還元し、部分的に酸化すると、Feと磁鉄鉱(Fe
3O
4)とのミックスが生じる。FeS等の添加剤が、活物質集塊に添加されることもある。負極構造は典型的に、活物質が集電体中に導入されるポケットプレート構造の負極構造である。集電体は、孔の開いた、ニッケルめっきされた鋼ストリップ又は鋼リボンと、活物質の導入のために一端が開放されたままになっている管状又はポケット状に形成されたストリップとから構成されている(D.Linden及びT.Reddy編集、「Handbook of Batteries,Third Edition」、McGraw−Hill、(C)2002年)。代替的には、微細な鉄粉末を還元性雰囲気下で焼結して、頑丈な電極形状を生み出すこともできる。
【0004】
鉄電極を製造するためのこれらの方法は両方とも高価であり、活物質利用率の低さ及び不十分な比エネルギーにつながる。結果として、Ni−Feバッテリーは、高い製造コストと低い比エネルギーのため、他のバッテリー技術により大部分が取って代わられている。鉄電極を調製する技術は周知であり、鉄電極を製造するための好ましい現行方法がポケット式設計である一方、ポケット式設計電極は対費用効果が良くないし、製造も複雑である。鉄電極の理論容量は大きいが、酸化鉄の不十分な導電性のため、実際には、この理論容量のうちのわずかな百分率しか達成されない。ポケット式電極設計においては、外部のマトリックス表面との接触がなくなり、分極の増大及びセル電圧の低下が起きる。これを回避するためには、大量の黒鉛等の導電性材料を活物質に添加しなければならず、コストがさらに増大し、エネルギー密度も低下する。産業界は、低コスト、高品質且つ高性能な鉄電極の設計によって十分に報いられることになるであろう。
【0005】
他の形態の電極製造も当技術分野において公知であり、特に、ペースト構造の電極が公知である。この種類の電極には一般的に、結合剤が活物質と一緒に組み込まれており、後でこの活物質を二次元的又は三次元的な集電体上にコーティングし、乾燥させ、圧縮すると、完成電極を形成することができる。
【0006】
US3,853,624には、硫化した磁性酸化鉄を湿式ペースト法により充填されている金属繊維構造を採用した鉄電極を組み込んだNi−Feバッテリーが記載されている。その極板は、鉄系活物質を板材状構造に電気化学的に取り付けるために、セルの外側に電気化学的に形成される。このような方法は、大量生産には不向きであり、製品コストも増える。
【0007】
US4,021,911には、鉄系活物質をグリッド上に広げ、圧延して乾燥させる鉄電極が記載されている。次いで、その電極をエポキシ樹脂溶液によって処理して、強化フィルムに似た固体層を電極表面上に形成する。しかしながら、このような表面フィルムは、電極表面に対する絶縁性に寄与して、電荷移動抵抗を大幅に増大させ、高い充電レート及び/又は放電レートを持続するセルの能力を低下させることが予想され得る。
【0008】
同様に、PTFEが、アルカリバッテリー用のペースト型電極用の結合剤系として提案されている。US3,630,781では、再充電可能型バッテリー電極のための結合剤系としてのPTFE水性懸濁液の使用が記載されている。しかしながら、懸濁液中にPTFE粉末を維持するためには、界面活性剤を懸濁液に添加することが必要であり、この界面活性剤は、得られた電極から大規模な洗浄によって取り除かなければならず、製造プロセスのコストと複雑さが増してしまう。PTFEにより結合し合った電極のための代替的手法が、US4,216,045で記載されており、フルオロカーボン樹脂粉末を使用して、導電性本体部に取り付け可能なシートを形成することになる。しかしながら、PTFEを使用すると、はっ水性表面が生じ、このはっ水性表面は、NiCd又はNiMH等の再結合式バッテリーにおいては有益であるが、電極と電解質との良好な接触が有益とされる液式Fe−Niバッテリー(flooded Fe−Ni battery)の性能には不利益である。
【0009】
様々な結合剤を用いるペースト電極が、アルカリ性の電極用に提案されており、最も詳細には、NiMHバッテリー用の水素吸蔵合金を採用した電極用に提案されている(例えば、US5,780,184)。しかしながら、これらの電極用に所望される特性は、大容量鉄電極用に所望される特性とは大幅に異なる。MH電極の場合、高い電極密度(低い多孔度)のため、合金粒子間の良好な電気的接触を維持すること、及び合金中での固体状水素の拡散を容易にすることが必要になる。対照的に、鉄電極の場合は、酸化鉄種の溶解度が低いため、高い多孔度が望ましい。したがって、他の種類のアルカリ性の電極用に開発された結合剤系は、Ni−Feバッテリー用に最適化されておらず、したがって、商業向け用途が見出されてこなかった。
【0010】
鉄電極(アノード)の調製に用いられる方法は、Ni−Feバッテリーの性能がコストに対して低める一因となってきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
鉄電極を調製する技術は周知であり、鉄電極を製造するための好ましい現行方法は、ポケット式設計(pocket design)である。ポケット式設計は対費用効果が良くなく、製造も複雑になる。ポケット式設計電極はまた、大量生産するのが困難でもあり、ポケット式設計によるとエネルギー及び電力の利用率が低くなる。低コスト、高容量、高品質且つ高性能な鉄電極の設計及び製造方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、新規なコーティングされた鉄電極を有するもの、及びその鉄電極を製造する改良された方法を提供する。鉄活物質及び結合剤を含むコーティングによって少なくとも1つの面の上をコーティングされた導電性基材の単一層を備える、鉄系電極が提供される。鉄系電極は、Ni−Feバッテリー中のアノードとして有用である。この電極は、鉄活物質及び結合剤を含むコーティング混合物で基材をコーティングすることにより調製される。
【0013】
製造上の有益性は、標準的なポケット式電極設計に比較して、より低コスト、より高容量、連続的なプロセス、そして、所望されれば、より高品質の製品及び製造方法である。
【0014】
他の要素の中でも、連続式コーティングプロセスを用いて、高品質で高性能な鉄電極を最も経済的に製造できることが発見された。限定されるわけではないが、Ni−Fe、Ag−Fe、Fe−空気又はMnO
2−Feを含む再充電可能なバッテリーシステムにおける使用のための大容量鉄電極を可能にさせるように単一の導電性基材を利用する、ペースト方式鉄電極が製造される。
【0015】
他の要素の中でも、多層にコーティングされた鉄電極は、望ましい利点をもたらし得ることが発見された。異なる層は、様々な物理的特性又は組成の点で異なり得る。物理的特性は、多孔度を含み得る。異なる多孔度の層に関して、例えば、活物質から電解質への気体の流れの改善を達成することができる。異なる添加剤は、異なる各層のコーティング組成物に添加することができ、鉄電極の操作に焦点を合わせて効果的な結果をもたらすこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】連続的なプロセスを用いた本発明の鉄電極の製造のためのフローシートである。
【
図2】本発明のコーティングされた鉄電極の斜視図である。
【
図3】本発明による基材の両面上にコーティングされた鉄電極の側面図及び断面図である。
【
図5】現行のポケット式鉄電極の側面図及び断面図である。
【
図6】多様な結合剤組成物を有する鉄電極を備えたNi−Feセルの放電容量である。
【
図7】多様なニッケル含有量及び鉄含有量を有する鉄電極を備えたNi−Feセルの放電容量である。
【
図8】多様な硫黄含有量を有する鉄電極を備えたNi−Feセルの放電容量である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、単一のコーティング方法によって調製される、単一のコーティングされた導電性基材を含む鉄電極を含むが、連続してもよい。
上記基材は、電極の活物質(鉄)を収容する、電流伝導性で集電性の材料として使用される。現行のポケット式設計において、基材は、活物質を包含し、活物質を保持している。したがって、電極1つ当たり、2層の基材が必要になる。本発明においては、単一層の基材が使用される。この単一層は、コーティングした材料が少なくとも1つの面に結合している担体として作用する。一実施形態において、基材の両面がコーティングされている。この基材は、金属箔若しくは金属シート、金属発泡体、金属メッシュ、織物状金属又はエキスパンドメタル等、薄い導電性材料であってよい。例えば、0.060インチ、80ppiのニッケル発泡体材料が使用されてきた。一実施形態において、基材は、金属発泡体又は金属フェルト等の三次元的な材料である。一実施形態において、ニッケルめっきされ、穿孔した箔を使用することができる。
【0018】
基材に塗布されるコーティング用混合物は、水溶液又は有機溶液中における結合剤と活物質の組合せである。この混合物は、細孔形成剤又は導電性添加剤等、他の添加剤も含み得る。導電性添加剤には、限定されるわけではないが炭素、黒鉛又はNi粉末が挙げられる。細孔形成剤が、電極の多孔度を向上させるために組み込むことができ、限定されるわけではないが炭酸アンモニウム及び重炭酸アンモニウムが挙げられる。コーティング用混合物中に含まれ得る他の添加剤は、ビスマス、スズ、硫黄及び金属硫化物である。これらの結合剤材料は、活物質粒子間の接着及び結合を、それら自身と基材集電体への両方に提供する特性を有する。結合剤は一般に、老化、温度及び苛性環境による劣化に対する抵抗性がある。結合剤は、ポリマー、アルコール、ゴム及び他の材料、例えば効果的だと証明された先進型ラテックス配合物を含み得る。ポリビニルアルコール(PVA)結合剤が、一実施形態において使用される。結合剤を使用して活物質を単一の担持用基材に機械的に接着すれば、高価な焼結又は電気化学的な後処理の必要性がなくなる。水系の溶液は、毒性の低下という利点を有しており、乾燥プロセス中の水の除去により、環境への負荷が少なくなり、溶剤のさらなる処理又は捕捉も必要とされなくなる。
【0019】
従来の結合剤と対比すると、PVAを結合剤として採用することには、いくつかの利点がある。PVAは、水に容易に溶けるので、活物質ミックス(active material mix)へのPVA溶液の直接添加が可能になり、PTFE結合剤にありがちな有効期間関連の課題もなくなることにより、製造プロセスが単純化される。PVAは、電極表面に疎水性を付与しないので、活物質とアルカリ性の電解質との間で良好な接触が保証される。PVAは、濃縮溶液の形態又は粉末形態で活物質ペーストに添加することができる。98.5%から100%の間で加水分解されたPVAが、一実施形態において好ましい。最も好ましい実施形態は、99.2%から100%の間で加水分解されたPVAを使用する。さらに、PVAは、20℃で3cPから70cPの間の4%水溶液の粘度を有する。好ましい実施形態において、PVAの4%水溶液の粘度は、20℃で20cPから40cPの間である。最も好ましい実施形態において、PVAの4%水溶液の粘度は、20℃で27cPから33cPの間である。最終的なペースト中のPVAの濃度は、合計重量で1%から10%である。好ましいPVAの濃度は、1%から5%の範囲であり、最も好ましいペースト中のPVAの濃度は、2.5%から4%の間である。より低いPVAの濃度では、活物質の結合が十分にならず、一方、より高い濃度では、電極の電気抵抗が増大し、高電流負荷下でバッテリーの性能が劣化する。
【0020】
混合調整剤(mix formulation)用の活物質は、可逆的に酸化及び還元することができる鉄種から選択される。このような材料は、金属Fe、酸化鉄材料又はこれらの混合物を含む。酸化鉄材料は、電荷が加えられると金属の鉄に転化する。適切な酸化鉄材料は、Fe
3O
4を含む。好ましい形態の鉄は水素還元されており、純度が約96%以上であり、325番のメッシュサイズを有する。さらに、他の添加剤も、混合調整剤に添加することができる。こうした添加剤には、限定されるわけではないが硫黄、アンチモン、セレン、テルル、ビスマス、スズ及び金属硫化物が挙げられる。添加され得る導電性添加剤には、限定されるわけではないがニッケル粉末、炭素及び黒鉛が挙げられる。
【0021】
添加剤としての硫黄は、0.25%から1.5%の範囲の濃度で有用であることが見出され、より高い濃度は、性能をよりいっそう改善させることが可能である。ニッケルは、導電性向上剤として使用され、8%から20%の範囲の濃度では、性能が改善することも見出されているし、より高い濃度では、性能がよりいっそう改善することが可能である。
【0022】
本発明の電極のさらなる利点は、比較的低い温度で電極の加工が行われるため、添加剤をペースト剤中に混合できる点であり、このとき、比較的低い温度ではない場合は、添加剤が高温で失われることになる。先行文献中で記載されている焼結構造物の使用は、こうした焼結構造物が焼結プロセス中で失われることになるため、硫黄等の添加剤を活物質に添加することができない。
【0023】
コーティング方法は、噴霧、浸漬及びぬぐい取り、押出、低圧コーティングダイ又は表面転写等、活物質混合物を基材に塗布する連続的なプロセスであり得る。バッチ式プロセスを用いることもできるが、連続的なプロセスの方がコスト及び加工の点で有利である。コーティング用混合物は、重量と、厚さと、被膜の一様性との高度な調和を維持しなければならない。このコーティング方法は、様々な材料を積層すること、並びに多孔度、密度及び厚さ等の異なる特性を持つ層を提供することに資する。例えば、基材は、3つの層でコーティングすることができる。活物質から電解質への気体の流れを改善し、且つ電極の構造の隅々までの活物質によるより良好な電解質接触及びイオン拡散をもたらす密度勾配を生成する、高密度の第1層、中密度の第2層、及びより低密度の最後の層である。
【0024】
このように、本発明は、連続式コーティングプロセスにより調製される、片面又は両面の上に鉄活物質でコーティングされた単一の導電性基材を含む、鉄電極を製造するための方法も提供する。本方法は、鉄活物質を適切な溶剤中の結合剤と混合するステップ、活物質ミックスで連続する基材材料の少なくとも1つの面の上をコーティングするステップ、前記コーティングを乾燥させ、得られたコーティングを所望の厚さになるまで圧縮し、打ち抜くステップ、電極本体にタブを取り付けるステップを含む。全体的なプロセスが、
図1に概略的に示されている。
【0025】
一実施形態において、コーティング方法は、連続的なプロセスである。本方法は、鉄活物質と一般には適切な溶剤中の結合剤とを混合するステップ、活物質ミックスで連続する基材材料の少なくとも1つの面の上をコーティングするステップ、所望の厚さになるまでコーティングを乾燥し、所望のサイズまでコーティングした基材を打ち抜く又は切断するステップ、並びに電極にタブを取り付けるステップを含む。コーティングステップは、噴霧、浸漬及びぬぐい取り、押出、低圧コーティングダイ又は表面転写等、活物質混合物を基材に塗布する。低圧コーティングダイが、一実施形態において使用される。コーティング方法は、重量、厚さ、コーティングの均一性の高い不変性を維持しなければならない。これは、完成電極がほぼ同じ充填量の活物質を有しているので、完成バッテリー製品に一様な容量をもたらすことを保証する。
【0026】
本発明のコーティング方法は、様々な材料を積層すること、並びに多孔度、密度及び厚さ等の異なる特性を持つ層を形成することに資する。例えば、基材は、密度勾配を生成することになる、高密度の第1層、中密度の第2層、及びより低密度の最後の層という3つの層でコーティングすることができる。この勾配が、活物質から電解質への気体の流れを改善し、電極の構造全体に活物質によるより良好な電解質接触及びイオン拡散をもたらす。外層は、活物質利用率及びレート特性を改善するために大きな多孔度及び表面積を有し得る。表面及び外層は、水素過電圧を増大させる添加剤、及び電極の早期不動態化の抑制に役立つ硫黄等の添加剤を含み得る。非常に高密度の内層が、基材に対する電気的な接続性を改善する。
【0027】
一実施形態において、本発明は、単一の導電性基材上に多層型被膜を含む、鉄電極を含む。コーティングは、2つ以上の層を含む。コーティングの各層は、隣り合う層とは異なる多孔度及び/又は組成を有する。積層は、連続式コーティング用混合物を導電性基材に塗布することよって達成することができる。コーティング塗布とコーティング塗布との間で、電極を乾燥させるが、電極は、所望の厚さにカレンダー加工することもできる。各層中の多孔度の多様性は、塗布中のコーティング用混合物に多様な圧力を加えること、細孔形成剤の組み入れ、コーティング用混合物の組成、及び、冷却後にカレンダー加工により厚さを変化させることによって達成することができる。これらの層の組成は、コーティング用混合物の組成によって決定される。
【0028】
積層は、連続式コーティング用混合物を導電性基材に塗布することによって達成することができる。コーティング塗布とコーティング塗布との間で、電極を乾燥させることができ、所望の厚さにカレンダー加工することができる。各層中の多孔度の多様性は例えば、塗布中に多様な圧力を加えること、細孔形成剤の組み入れ、及び、コーティング後にカレンダー加工により厚さを変化させることによって達成することができる。
【0029】
コーティング後、電極を乾燥させて、残留するあらゆる液体、すなわち水性溶剤又は有機溶剤を除去する。乾燥方法は一般に、鉄の発火を伴うことなく乾燥した構成成分の接着効果及び結合効果を向上させる、コーティングした活物質から液体を除去するための連続式の方法を提供する。この乾燥方法は、基材材料を有する一様で安定な活物質コーティングを提供する。2段階の乾燥を用いることもできる。例えば、第1段階の乾燥は、コスト及び品質の制御のためのバルク乾燥用の放射線であってよく、続いて、残留する液体を除去するための対流式乾燥が行われる。使用される放射線は、赤外線、マイクロ波又は紫外線等、任意の放射線であってよく、非常に高速なものである。しかしながら、放射線は、コーティングした電極の表面に高温を生み出す。この高温は、ヒートシンクとして作用することになる水が依然として存在する限り、許容される。したがって、水は一般に、約10〜20wt%の水になるまで除去される。こうした水の除去は一般に、管理図を用いて判定することができる。水を10%未満にしてしまうと、電極が乾燥しすぎて高温により鉄が発火する可能性があるため、危険である。したがって、残留する水の量が10〜20wt%の範囲になったらすぐに対流式乾燥を用いて水/液体の除去を完了させることが、好ましい実施形態である。別の実施形態において、上記乾燥方法が不活性雰囲気下で実施される場合は、放射線を使用して乾燥を完了させることができる。
【0030】
使用される圧縮方法は、圧延機、垂直加圧及び磁力式圧縮により活物質を、高品質で低コストな連続加工のために、0.005インチから0.500インチの所望の厚さ、そして10%から50%までの多孔度にすることによって、達成することができる。一実施形態において、電極の多孔度は、15%から25%の多孔度である。この圧縮方法は、密度、厚さ、多孔度及び機械的接着の材料特性をもたらすための上述の積層方法と一緒に用いることができる。
【0031】
さらに、インライン式連続表面処理が、コーティングプロセス、積層プロセス及び乾燥プロセスを含む任意のステップ全体を通して、連続的に適用され得る。インライン式連続表面処理により、硫黄、ポリマー、金属溶射物、表面ラメント等を塗布することができる。
【0032】
電極のブランクは、連続する基材材料から所望のサイズに切り出される。ブランクの長手方向のサイズは、使用すべき電極を入れることになるバッテリーに依存する。ブランクは、乾燥ステップの前に切断し、次いで別個のブランクのそれぞれを乾燥させてもよい。ブランクは、乾燥後圧縮前に、所望のサイズに切断することもできる。この実施形態において、各ブランクは次いで、所望の厚さに圧縮される。一実施形態において、ブランクは、乾燥ステップ及び圧縮ステップの後、
図1に記載のようにして切断される。
【0033】
乾燥圧縮ステップ及び打ち抜きステップ後に、一般に、接続を目的としてタブが電極に取り付けられる。タブは、導電性材料から構築されており、溶接等の慣例的な方法を用いて取り付けることができる。
【0034】
鉄電極を、適切な正極(カソード)と一緒に使用すれば、ニッケルカソード及び本発明の鉄電極を有するバッテリー、例えばNi−Feバッテリーを製造することができる。バッテリーは、慣例的なものと同様に、標準的な電解質及びバッテリーセパレータを用いて製造することができる。電解質は、例えば、水酸化カリウム系の電解質があり得る。
【0035】
鉄電極を含む本バッテリーは、例えば、携帯電話に使用することができ、携帯電話では、単一の面のみがコーティングされた電極が必要になる。しかしながら、両面をコーティングすることが好ましく、当技術分野で公知な数多くの用途にバッテリーを使用できるようになる。
【0036】
図面の図に戻ると、
図2は、コーティングした鉄電極の予想図である。基材1は、鉄系活物質及び結合剤を含むコーティング2で各面上にコーティングされている。こうしたコーティングについては、
図3でさらに示されている。
図3において、基材10は、鉄活物質及び結合剤のコーティング11で各面上にコーティングされている。基材は、基材の表面全体にわたって連続的にコーティングされていてもよいし、又は好ましくは、
図2及び
図3に示されているように、クリアーにされたレーン状の基材を未コーティング状態にしておいて、集電体タブの溶接等の後続の処理を単純化することもできる。
【0037】
図面の
図4及び
図5は、慣例的なポケット式鉄電極を示している。
図4において、鉄活物質を保持するポケットを形成するように、2つの基材30が示されている。
図5において、鉄活物質40は、2つの基材41と42との間に保持されている。
【実施例】
【0038】
ペースト調製
水素還元した鉄粉末(325番のメッシュサイズ)、16%のニッケル粉末255番、0.5%硫黄元素粉末(沈降させて精製したもの)及び適当量の結合剤を含む水系ペーストを、1300RPMで操作するデジタル式撹拌装置及び3翼型撹拌ブレードを用いて10〜15分かけて調製した。脱イオン水を混合物に添加すると、120,000cPから130,000cPの間の粘度を有するペーストが生成した。
【0039】
電極調製
(例1)
水系ペーストを、隙間の幅が0.068インチに設定されたドクターブレード器具に取り付けられていて底に開口部があるポットの最上部を経由して送られるストリップを供給することにより、2mmの開口部が付いていて幅1.63インチのニッケルめっきした連続した穿孔ストリップに塗布した。ペースト混合物をポットに注ぎ込み、穿孔ストリップを2.7ft/minの速度で引き下ろして、ペースト混合物によって穿孔ストリップをコーティングする。4〜5インチの範囲の切片を、コーティングしたストリップから切り出し、150°Fの乾燥オーブンに20分入れておく。
【0040】
乾燥後、コーティングしたストリップを3インチの標準長さに切断し、次いで、約40%の多孔度を達成するような厚さに圧縮した。ステンレス鋼タブのスポット溶接用のクリーンな空間を形成するために、乾燥したペースト混合物をストリップの最上部0.25インチから取り除いた。
【0041】
(例2)
一連の鉄電極を、表1に記載のいくつかの異なる結合剤組成物を含む様々なペーストをニッケル発泡体に含浸させることによって調製した。これらの電極から調製した個々のセルの放電容量を測定し、
図6においてアノード中の鉄の量に対してプロットした。容量に対するレートの効果をC/10、C/5、C/2及び2Cという複数のレートでセルを放電することによって評価した。ここでCは、1時間以内にセルを放電するのに必要となる電流を表す。
【0042】
【表1】
【0043】
結合剤が電極の抵抗に寄与し得るので、セルの抵抗の増大を最小にして最大のmA h/g容量をもたらす結合剤を採用することが望ましい。Ni−Feバッテリーの2C容量に比較すると、結合剤としてPVAを採用したセルにおいては、2Cの放電レートで最良の結果が得られた。
【0044】
(例3)
水系ペースト(表2)を、隙間の幅が0.068インチに設定されたドクターブレード器具に取り付けられていて底に開口部があるポットの最上部を経由して送られるストリップの連続的な供給により、2mmの開口部が付いていて幅1.63インチのニッケルめっきされた穿孔ストリップに塗布した。ペースト混合物をポットに注ぎ込み、穿孔ストリップを2.7ft/minの速度で引き下ろして、ペースト混合物によって穿孔ストリップをコーティングする。4〜5インチの範囲の切片を、コーティングしたストリップから切り出し、150℃の乾燥オーブンに20分入れておく。
【0045】
【表2】
【0046】
乾燥後、コーティングしたストリップを3インチの標準長さに切断し、次いで、約40%の多孔度を達成するような厚さに圧縮した。ステンレス鋼タブのスポット溶接用のクリーンな空間を形成するために、乾燥したペースト混合物をストリップの最上部0.25インチから取り除いた。
【0047】
連続的にコーティングされた一連の鉄電極を、鉄粉末、導電性助剤としてのニッケル粉末、硫黄元素、及び結合剤として採用したPVAの水性混合物で、穿孔したNPSをコーティングすることにより調製した。複数のPVAレベルを上記ミックス中に採用して、電極の機械的安定性及び電極のレート特性に対する結合剤濃度の効果を評価した。PVAの濃度が3重量パーセント未満の濃度では、電極の物理的完全性が許容できなかった。約5重量パーセント超の結合剤濃度では、放電容量の急落が示されたが、これは、最も高い可能性として電極の抵抗の増大に起因し、おそらくは電解質界面からの活物質のマスキングに起因する。多様なPVAレベルを有するセルのデータが、表2に要約されている。
【0048】
(例4)
120°Fから125°Fの間で予備加熱したPVA(Elvanol7130)の10wt%溶液を、120°Fに予備加熱した鉄粉末(325番のメッシュ)、ニッケル粉末255番及び硫黄を含んだジャケット付き容器に添加した。この混合物を、120°Fで30分撹拌した。このペーストの固形成分混合物は、80%の鉄、16%のニッケル、0.4%の硫黄及び3.5%のPVAであった。ペーストの粘度測定値は、容器からの除去直後では25000cPから39000cPの範囲を有しており、さらに90秒後では、粘度は、22000cPから31000cPの範囲であった。
【0049】
次いでペースト混合物を、110°Fに予備加熱したジャケット付き保持タンクに移して撹拌した。ペーストをペースト用ホッパーに圧送し、ここで、穿孔し、ニッケルめっきした鋼ストリップをコーティングした。次いで、コーティングしたストリップを、0.040インチから0.050インチの間のコーティング厚さを達成するようにドクターブレードの中を通過させ、縦型乾燥オーブンに導入した。第1の乾燥段階は、240°Fで1.67分赤外線式加熱を行い、続いて、慣例的なオーブン内にて240°Fで3.35分加熱することからなっていた。1.7分の滞留時間がある第2の乾燥段階は、260°Fの設定乾燥温度にして熱風が当たるように仕向けることからなっていた。オーブンから出るペースト温度は、210°Fを超えなかった。冷却した後、完成したコーティングを0.025インチの厚さにカレンダー加工した。コーティング片を所定サイズに切断し、コーティングの多孔度を得るために重さを量った。多孔度は、38%の目標多孔度を有する、34%から43%の範囲だった。
【0050】
例4の電極を使用して、Ni−Feバッテリーを構築した。表3では、ポケットプレート電極を採用した他の商業用Ni−Feバッテリーと比較して、鉄電極の性能が示されている。
【0051】
【表3】
【0052】
(例5)
ペースト調製
水素還元した鉄粉末(325番のメッシュサイズ)、ニッケル粉末255番、硫黄元素粉末(沈降させて精製したもの)及び適当量の結合剤を含む水系ペーストを、1300RPMで操作するデジタル式撹拌装置及び3翼型撹拌ブレードを用いて10〜15分かけて調製した。脱イオン水を混合物に添加すると、120,000cPから130,000cPの間の粘度を有するペーストが生成した。ニッケル含有量及び鉄含有量は、表3に従って変動し、硫黄含有量は0.5%であり、結合剤含有量は3.5%であった。
【0053】
多様なニッケル含有量及び鉄含有量(表4)を有する水系ペーストを、隙間の幅が0.068インチに設定されたドクターブレード器具に取り付けられていて底に開口部があるポットの最上部を経由して送られるストリップの供給により、2mmの開口部が付いていて幅1.63インチのニッケルめっきした穿孔ストリップに塗布した。ペースト混合物をポットに注ぎ込み、穿孔ストリップを2.7ft/minの速度で引き下ろして、ペースト混合物によって穿孔ストリップをコーティングする。4〜5インチの範囲の切片を、コーティングしたストリップから切り出し、150℃の乾燥オーブンに20分入れる。
【表4】
【0054】
乾燥後、コーティングしたストリップを3インチの標準長さに切断し、次いで、約40%の多孔度を達成するような厚さに圧縮した。ステンレス鋼タブのスポット溶接用のクリーンな空間を形成するために、乾燥したペースト混合物をストリップの最上部0.25インチから取り除いた。
【0055】
Ni−Feセルを、多様なニッケル含有量及び鉄含有量を有するペーストから製作した電極を用いて構築した。そのデータが
図7に示されている。セル性能は、8%から16%の間の濃度範囲ではニッケル濃度にあまり依存していないように見えるが、20%のニッケルを有する電極については、高いレート(1C)及び低いレート(C/10)で容量の改善が観察される。
【0056】
(例6)
ペースト調製
水素還元した鉄粉末(325番のメッシュサイズ)、ニッケル粉末255番、硫黄元素粉末(沈降させて精製したもの)及び適当量の結合剤を含む水系ペーストを、1300RPMで操作するデジタル式撹拌装置及び3翼型撹拌ブレードを用いて10〜15分かけて調製した。脱イオン水を混合物に添加すると、120,000cPから130,000cPの間の粘度を有するペーストが生成した。ニッケル含有量は16%であり、ポリビニルアルコール含有量は3.5%であり、硫黄含有量は、0%から1.5%の間で変動し、電極の組成の残り部分は鉄粉末であった。
【0057】
多様な硫黄含有量を有する水系ペーストを、隙間の幅が0.068インチに設定されたドクターブレード器具に取り付けられていて底に開口部があるポットの最上部を経由して送られるストリップの供給により、2mmの開口部が付いていて幅1.63インチのニッケルめっきした穿孔ストリップに塗布した。ペースト混合物をポットに注ぎ込み、穿孔ストリップを2.7ft/minの速度で引き下ろして、ペースト混合物によって穿孔ストリップをコーティングする。4〜5インチの範囲の切片を、コーティングしたストリップから切り出し、150℃の乾燥オーブンに20分入れる。
【0058】
乾燥後、コーティングしたストリップを3インチの標準長さに切断し、次いで、約40%の多孔度を達成するような厚さに圧縮した。ステンレス鋼タブのスポット溶接用のクリーンな空間を形成するために、乾燥したペースト混合物をストリップの最上部0.25インチから取り除いた。
【0059】
Ni−Feセルを、多様な硫黄含有量を有するペーストから製作した電極を用いて構築した。そのデータが
図8に示されている。電極の硫黄含有量を増大させると、容量のさらなる増大がなくなる約1.5%の硫黄含有量に到達するまでは、C/10放電レートにおける容量も増大する。硫黄含有量を増大させると、1C放電レート及び2C放電レートでは、最大1.5%の硫黄含有量においてさえ鉄電極の容量が増大した。
【0060】
上記の例の方法を使用して調製した鉄電極を用いて構築したNi−Feセルにおいては、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化リチウム(LiOH)及び硫化ナトリウム(Na
2S)を含む電解質を使用した。水酸化ニッケルを含浸させた焼結ニッケル電極を、正極として使用し、厚さ0.010インチのポリオレフィン不織メッシュを、本発明の鉄電極を有する上記例のNi−Feセル内にセパレータとして使用した。慣例的なNi−Feバッテリー中に使用された電解質は、水酸化カリウム(KOH)であり、アノード及びカソードはスペーサーを用いて電気的に隔絶したままに維持された。その結果として、本発明のNi−Feバッテリーの性能的特性の極めて大きな改善が示されている。
【0061】
本発明に関する上記に記載の記載により、当業者は、本発明の最良の態様であると現在考えられるものを製造及び使用することができるが、当業者ならば、本明細書中の具体的な実施形態、方法及び例の変形、組合せ及び等価物の存在を理解及び認識されよう。したがって、本発明は、上述した実施形態、方法及び例によって限定されるべきではなく、本発明の範囲及び趣旨に含まれるすべての実施形態及び方法によって限定されるべきである。