【文献】
Journal of Chromatography A,2013年 1月23日,Vol. 1282,pp.127-132
【文献】
Zurnal mikrobiologii, epidemiologii i immunobiologii,1984年,pp.37-40
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(1)過飽和量のアラントインを、所望のタンパク質および汚染物質として少なくとも1つのエンドトキシンを含むタンパク質製剤に添加する工程と、(2)前記添加する工程の後に固体を除去し、カラム内の電気陽性粒子の粒子充填層上での空隙排除クロマトグラフィーによるさらなる精製のために試料を供給する工程であって、前記粒子充填層が粒子間体積を有する、工程と、(3)前記粒子充填層に前記試料を適用する工程であって、前記電気陽性粒子が空隙排除クロマトグラフィーを支持し、前記試料が有する試料体積が前記粒子間体積より大きくない、工程と、(4)所望のタンパク質および減量したエンドトキシンを含む精製された試料を溶出する工程であって、前記溶出した所望のタンパク質が、前記カラムに適用された緩衝液の含有量とは関係なく、前記カラムを平衡化した前記緩衝液に存在する工程と、を含む方法。
前記粒子充填層に適用される前記試料体積が、前記粒子間体積の99%、前記粒子間体積の95%、前記粒子間体積の90%、前記粒子間体積の80%、前記粒子間体積の70%、前記粒子間体積の60%、前記粒子間体積の50%、前記粒子間体積の25%、前記粒子間体積の10%、前記粒子間体積の5%、前記粒子間体積の2%、前記粒子間体積の1%、およびその中間の体積百分率の群から選択されるものから構成される量だけ、前記粒子間体積より少ない、請求項1記載の方法。
前記する適用工程の前に、前記方法が、アニオン交換媒体の前記粒子充填層を、前記所望のタンパク質が前記アニオン交換媒体と実質的に結合することを防ぐために選択された緩衝液で平衡化することをさらに含む、請求項1記載の方法。
空隙排除アニオン交換クロマトグラフィーで使用されるアニオン交換クロマトグラフィー媒体が、UNOsphere Q、Nuvia Q、またはCapto Q、および別の空隙排除アニオン交換クロマトグラフィー対応アニオン交換媒体からなる群から選択されるものを含む、請求項1記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0007】
いくつかの実施形態において、所望のタンパク質を含むエンドトキシンで汚染されたタンパク質製剤の、過飽和濃度のアラントインを用いたインキュベーション、およびその後の空隙排除モードでの充填された電気陽性粒子上でのクロマトグラフィーを含む2つの工程の処理が、従来の処理よりも可変性があり、効果的なエンドトキシン減少をもたらすことが見出された。既知の方法とは対照的に、不溶性アラントインが、エンドトキシンを共沈殿させ、それは明らかに水素結合によるものである。理論に縛られないで、アラントインと水素結合を形成するエンドトキシンの一部は、O抗原、コア多糖、またはリビドA部分として知られる部分を含み得る。水素結合への依存のため、エンドトキシンに関するアラントインの親和性は広範囲のpH、塩濃度、または有機溶媒の存在によって大きく影響されないことが示されている。空隙排除アニオン交換工程は、エンドトキシンのコア多糖およびリピドA領域を結合し得る。それによってアラントイン親和性と空隙排除工程の組み合わせは、エンドトキシン分子の全ての領域を標的にする可能性があり、それは二重処理システムの高いエンドトキシン除去効率の主要因となり得る。この方法の組み合わせはまた、アラントインによるエンドトキシン除去の潜在的な欠点を克服し、それは処理された試料が可溶性の残留アラントインを含み、塩および有機添加剤を含む他の成分を含み得ることであり、それは減量したエンドトキシン試料の適用を妨害し得る。空隙排除工程は、緩衝液交換の同時機能を支持し、その効果はpH、電気伝導率、または空隙排除工程に適用されるタンパク質製剤の他の特性によって影響されないので、固体の除去の後にアラントインで処理された試料は空隙排除カラムに直接、簡便に適用することができ、カラムから試料が、カラムが平衡化された緩衝液に溶出し、緩衝液は、エンドトキシンが除去されたタンパク質の目的とする適用の要求に適合するように配合されてもよい。多くの場合、空隙排除工程は、所望のタンパク質の高度な精製を達成するさらなる利点をもたらす。しかしながら、空隙排除工程の主な役割は、アラントインによって達成されたエンドトキシン減少因子を増加させるためにとどまる。いくつかの場合では、アラントインは空隙排除より効果的にエンドトキシンを除去する。いくつかの場合では、そのパターンは逆だが、今までに全ての場合で観察され、その組み合わせはどちらの単独のものよりも多く除去し、さらに上述の他の利点もある。
【0008】
したがって、いくつかの実施形態において、(1)過飽和量のアラントインを、所望のタンパク質および汚染物質として少なくとも1つのエンドトキシンを含むタンパク質製剤に添加する工程と、(2)添加工程の後に固体を除去し、空隙排除アニオン交換クロマトグラフィーによるさらなる精製のために試料を供給する工程と、(3)電気陽性粒子の充填層に試料体積を適用する工程であって、電気陽性媒体が空隙排除クロマトグラフィーを支持し、試料体積が粒子充填層の粒子間体積より大きくない、工程と、(4)所望のタンパク質および減量したエンドトキシンを含む精製された試料を溶出する工程と、を含む方法が提供される。アラントインを使用し、その後、空隙排除クロマトグラフィーを行うこの2段階プロセスは、エンドトキシンを約99%超除去して所望のタンパク質を供給してもよく、他の実施形態においては約99.5%超、他の実施形態においては約99.99%超除去して所望のタンパク質を供給してもよい。いくつかの実施形態においては、この方法は、検出限界まで、エンドトキシン不純物が観察されない所望のタンパク質を供給してもよい。
【0009】
いくつかの実施形態において、過飽和量のアラントインは、(1)約10%、(2)約5%、(3)約0.6〜約6%、(4)約6〜約10%、(5)約10〜約15%、(6)約15〜約20%、(7)20%超からなる群から選択される量を含み、その量が重量/体積で与えられる。当業者は、それぞれの列挙した量および範囲の全てが過飽和量のアラントインを構成することを理解するであろう。いくつかの実施形態において、過飽和量は溶解していないアラントインの量を含んでもよい。
【0010】
いくつかの実施形態において、固体の除去は、遠心分離、濾過、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されたものを含む。固体を除去するために、これらおよび他の方法が当業者に周知である。濾過は、必要な体積の試料を処理するのに必要な任意のスケールの真空式、または重力式、またはポンプ推進式の濾過を含んでもよい。
【0011】
いくつかの実施形態において、タンパク質製剤のpHまたは塩濃度は、添加工程の前、添加工程の間、または添加工程の後に調整されてもよい。
【0012】
いくつかの実施形態において、タンパク質製剤のpHまたは塩濃度は、適用工程の前に調整されてもよい。
【0013】
いくつかの実施形態において、適用される試料体積は、粒子充填層の粒子体積を超えない。いくつかの実施形態において、試料体積は、(1)約40%未満、(2)充填層体積の約35%未満、(3)充填層体積の約30%未満、(4)充填層体積の約20%未満、(5)充填層体積の約10%未満、(6)充填層体積の約5%未満、(7)充填層体積の約2%未満、および(8)充填層体積の約1%未満からなる群から選択されるものを含む量だけ、粒子充填層の粒子間体積より少ない。いくつかの実施形態において、試料体積は充填層体積の約40%未満であってもよい。特定の実施形態において、試料体積が空隙排除クロマトグラフィーに適した範囲内にある間は、繰り返すごとに最大の容積を支持するので、できる限り大きい試料体積を適用することが有利であり得る。他の特定の実施形態において、充填層体積の約35%の試料体積を適用することが有利であり得る。より大きな試料が使用可能である間は、約35%の体積は、理論的限界に近い作用と比較して、この方法が最大の利点を達成するのを妨げる可能性のある操作エラーのために安全性の実務上の余裕を与えることができる。このために、いくつかの実施形態においては、キットが提供され、その操作上の使用説明書が、充填層体積の約35%の試料体積と有利に記載してもよく、それによって、起こり得る操作エラーに対して緩衝液を与える。
【0014】
いくつかの実施形態において、この方法は、適用工程の前に、アニオン交換媒体の粒子充填層を、所望のタンパク質がアニオン交換媒体と実質的に結合するのを防ぐために選択された緩衝液で平衡化することをさらに含む。いくつかのそのような実施形態において、所望のタンパク質が電気陽性媒体と実質的に結合するのを防ぐことは、緩衝液を十分に低いpHにすることを含む。いくつかのそのような実施形態において、所望のタンパク質が電気陽性媒体と実質的に結合するのを防ぐことは、緩衝液を十分に高い塩濃度にすることを含む。
【0015】
したがって、いくつかの実施形態においては、緩衝液は、(1)約7、(2)約8、(3)約6、および(4)約6〜約8の範囲からなる群から選択されるものを含むpHを有してもよい。当業者は、使用pHが、これらより高くなっても、低くなっても、または任意の中間値であってもよく、的確な条件はケースバイケースに基づいて、特定の所望のタンパク質の通常の最適化によって決定されることを理解するであろう。したがって、ここに記載した値は、典型的な所望のタンパク質のための仮の使用条件の初期ガイドラインを表しているのにすぎない。例えば、特定の実施形態において、pHは9、10、11、12などのもっと高い値を含んでもよい。同様に、特定の実施形態において、pHは5、4、3などのもっと低い値を含んでもよい。いくつかの実施形態において、塩濃度は適切な範囲のpHに影響を与えることができ、その逆のpHが適切な範囲の塩濃度に影響を与えることもできる。
【0016】
いくつかの実施形態において、緩衝液は、(1)約0mM、(2)約50mM、(3)約150mM、および(4)約0mM〜約150mMの範囲からなる群から選択されるものを含む塩化ナトリウム濃度を含む。当業者はまた、これより高いまたは中間の濃度が、精製される特定の所望のタンパク質の特性によって、所望の結果を実現し得ることを理解するであろう。いくつかの実施形態においては、0mMの塩化ナトリウム、すなわち塩化ナトリウムを含んでいないことは十分であり、いくつかの実施形態においては、特定の所望のタンパク質に対して最適であり得る。
【0017】
いくつかの実施形態において、所望のタンパク質に結合することを防ぐため、最初に処方された平衡緩衝液の組成は、エンドトキシンを減少させるために開示された方法の能力を総じて最大限にするために、最高レベルのエンドトキシン結合を助けるようにさらに処方されてもよい。いくつかのそのような実施形態において、一般的事項として、空隙排除平衡条件は、通常、所望のタンパク質をクロマトグラフィー媒体に結合させず、かつ所望のタンパク質にダメージを与えない最高pHと最低電気伝導率の組み合わせを具体化する。例えば、IgGモノクローナル抗体での実験データは、pH8.2の50mMのトリスからなる緩衝液の処方で、最高のエンドトキシンの減少を示した。一般的事項として、空隙排除工程用の緩衝液処方の開発の優先順位は、所望のタンパク質の結合を引き起こさない、最高pHと最低電気伝導率の組み合わせを決定する、およびエンドトキシンを欠く処理された試料の目的とする適用を行うのに最も適切な条件を決定することである。
【0018】
いくつかの実施形態において、空隙排除クロマトグラフィーモードで使用された電気陽性クロマトグラフィー媒体は、UNOsphere Q、Nuvia Q、Capto Q、Capto adhere、およびその方法を実施するのに適切な他の電気陽性粒子ベースの媒体からなる群から選択されるものを含む。いくつかの実施形態において、電気陽性基を有する任意のアニオン交換媒体は役立ち得るが、当業者は、全ての電気陽性媒体が等しく適切であるわけではないことを理解する。成功した媒体を定義する正確なパラメーターは完全には明らかにされていないが、当業者は、空隙排除アニオン交換クロマトグラフィーを行う能力のために任意の特定の電気陽性媒体を、容易に選別することができる。いくつかの実施形態において、これは、候補となるアニオン交換(または電気陽性)粒子が、例えば約20mLの容積のカラムに充填される単一の実験で達成されてもよい。粒子は理想的には重力によって沈殿させられ、その後、フローアダプターが、充填層に接触するように、しかし、著しく圧縮しないように取り付けられる。この技術は、充填層が圧縮されるカラムに対して行ってもよいが、圧縮はカラムの試料容積を減少させる直接の結果とともに、粒子間空間を減少させる。例えば、20mLの重力で沈殿した充填層は、約8mLの試料容積を有し得るが、15mLの体積への充填層の25%の圧縮は、重力で沈殿した充填層の同じ媒体の15mLの容積より低いレベルに容積を減少させる。したがって、粒子体積とは対照的に、不釣り合いな程度の圧縮は粒子間体積を減少させることが考えられる。カラムが取り付けられるクロマトグラフィーシステムはまた、空隙排除クロマトグラフィーの成功したパフォーマンスに重要であり、その技術は、カラムの粒子間体積よりも大きくない、カラムに入る試料の体積によるので、理想的には、試料がカラムに向かう途中に大きく希釈されないように試料を運ぶように構成される。層流は、境界にある試料を希釈するために周知である。数メートルの長さの5mLの試料ループの例では、カラムに入る試料の体積が、最初にループに導入された5mLよりも実質的に大きくてもよく、例えば、7.5mL、または10mL、またはそれ以上であってもよい。いわゆるスーパーループを有するシステムは、シリンダプランジャ設計へ依存することによって、この方法を実施するのに適切であり、システムは、層流によって過度の希釈を課さないで、大きな試料体積の利用を可能にする。任意のクロマトグラフィーシステムはまた、液体がさまざまなバルブと混合器を通過して試料導入装置(注入器)とカラムの間で一定量の試料希釈を与えること、また一般的事項として、特定のシステム内部のカラム希釈前の容積に対するカラム容積の比が大きいほど、機能システム希釈としてカラム内の試料体積の相対的増加は低いことを当業者は理解するであろう。実務面で、これは、大規模の使用用途に設計および構成されたクロマトグラフで小さいカラムを使用することは、注入器で適用され得る試料の体積に二次的な制限を与え、一方、そのようなシステムで大きいカラムを使用することは、ユーザーが、試料がカラムに入る位置で与えられたカラムの容積限界内でより多くの体積の試料を適用できることを意味する。例えば、ダークグリーンのPEEKチューブを用いて、IgGモノクローナル抗体を含む試料を前もって充填したスーパーループを装備したAKTA Explorer 100などのシステムの20mLの重力充填非圧縮カラム、および50mMトリス、50mMのNaCl、pH8.0で平衡化されたカラムに、1mLの試料が充填された。抗体がカラムから出始める位置にチャートマークが付けられた。別のチャートマークが、電気伝導率が変わる位置で付けられ、それは試料に関連する小さい分子の通過を示した。そのマーク間の容積は使用可能なカラムの粒子間体積の概算を示している。全カラム容積に対する粒子間体積の比が計算される。空隙排除アニオン交換クロマトグラフィーの技術を行うのに適したアニオン交換クロマトグラフィー媒体は、約1/2.5の比を示すが、1/2.4、1/2.3、1/2.2、1/2.1、1/2.0、またはそれ以下のようなもっと低い比を示す媒体は、カラムに入る試料の体積が上記結果によって調整される調整体積を超えない限り、役立つ結果を与えることができる。
【0019】
今までの評価は、特にUNOsphere Q、Nuvia Q、Capto Q、およびCapto adhereを、空隙排除アニオン交換クロマトグラフィーを実施するのに適切な媒体として認定してきた。IgGモノクローナル抗体を用いた空隙排除アニオン交換クロマトグラフィーを行うための所定のアニオン交換媒体の適切性を判定するために本明細書に提案された条件は、必ずしも最も効果的なエンドトキシン除去を達成する条件でも、別のタンパク質種に最も適切な条件でもないことが理解される。いわゆる多モードのクロマトグラフィー用に市販される付加的な化学官能性を含む電気陽性媒体は、所定の媒体が空隙排除モードで吸着クロマトグラフィーを行うのに適切であるかどうかを判定する異なる緩衝液条件の評価を含む付加的な側面のプロセス開発を必要とすることがさらに理解される。一例として、Capto adhereの商品名で市販される、いわゆる混合モードまたは多モードの電気陽性クロマトグラフィー媒体があり、水素結合および疎水性相互作用に関与させる官能基を取り込むとされる。アニオン交換体として市販されたいくつかの製品は、pH8.0で塩化ナトリウムなどの塩がない状態でIgGモノクローナル抗体の空隙排除を支持する一方で、Capto adhereの付加的な官能性は、空隙排除モードで媒体が機能するためには使用pHを約5.0に低下させることを必要とする。使用pHの低下は、処理される抗体の電気陽性度を増す効果を有するとともに、媒体の電気陽性度に対する忌避性を増す効果があり、さらに疎水性相互作用および水素結合を克服する効果を有することが理解される。pHをそのような値に低下させることは、エンドトキシンホスホリル残基の負電荷を目立つ程度に減少させず、それによってエンドトキシンはクロマトグラフィー粒子の電気陽性度に引き付けられ、付加的な二次的官能性を具体化するようなクロマトグラフィー粒子を使用する正味の効果は、付加的な官能性のない電気陽性媒体より効果的にエンドトキシン除去をもたらす可能性があることであることが同様に理解される。
【0020】
いくつかの実施形態において、空隙排除アニオン交換クロマトグラフィーは、(1)約300cm/時以下、(2)約200cm/時以下、(3)約100cm/時以下、および(4)約50cm/時以下からなる群から選択される非ゼロ線流速を含む線流速で行われてもよい。いくつかの実施形態において、例えば、流れが重力によって誘導される場合、流速を制御する能力は失われるが、エンドトキシン除去の効率はほぼ影響されない。
【0021】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示された方法は、添加工程の前および/または適用工程の前に、非イオン性有機ポリマー、有機溶媒、界面活性剤、およびウレイドからなる群から選択される可溶性有機修飾因子に試料を接触させることを含んでもよい。
【0022】
いくつかの実施形態において、可溶性有機修飾因子は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびポリブチレングリコールからなる群から選択される非イオン性有機ポリマーであってもよい。いくつかのそのような実施形態において、非イオン性有機ポリマーは約500ダルトン以下の平均分子量を有してもよい。
【0023】
いくつかの実施形態において、可溶性有機修飾因子は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジメチルスルホキシド、エタノール、イソプロパノール、およびフェノキシエタノールからなる群から選択される有機溶媒であってもよい。
【0024】
いくつかの実施形態において、可溶性有機修飾因子は、約1%(W/V)以上の濃度で供給される。
【0025】
いくつかの実施形態において、可溶性有機修飾因子は、Tween、Triton、CHAPS、CHAPSO、およびオクチルグルコシドからなる群から選択される界面活性剤であってもよい。いくつかのそのような実施形態において、界面活性剤は、約1%(W/V)以下の濃度で供給されてもよい。他の実施形態において、界面活性剤は約0.1%(W/V)以下の濃度で供給されてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態において、有機修飾因子は、亜飽和量で供給されたウレイドであってもよい。いくつかのそのような実施形態において、ウレイドは、尿素およびヒダントインからなる群から選択されるものを含む。
【0027】
いくつかの実施形態において、(1)過飽和量のアラントインを、所望のタンパク質および汚染物質として少なくとも1つのエンドトキシンを含むタンパク質製剤に添加する工程と、(2)添加工程の後に固体を除去し、所望のタンパク質および減量したエンドトキシンを含む試料を供給する工程と、を含む方法が提供される。そのような実施形態においては、エンドトキシン除去の限度において次の空隙排除電気陽性クロマトグラフィーの必要性をなくしながら検出限界がすでに達成されるように、所望のタンパク質はエンドトキシンを十分に含んでいなくてもよい。それにもかかわらず、次の空隙排除工程は、可溶性アラントインおよび他の試料成分を除去し、アラントイン処置のみでは達成できない精製度を達成する付加価値を提供してもよい。これは特に、空隙排除アニオン交換クロマトグラフィーの技術が、エンドトキシン除去に加えて、宿主タンパク質およびDNA汚染の99%除去を支持し得る、IgGモノクローナル抗体を用いた場合であってもよい。
【0028】
いくつかの実施形態において、(1)試料体積を有する試料として所望のタンパク質および汚染物質として少なくとも1つのエンドトキシンを含むタンパク質製剤を供給する工程と、(2)試料体積をアニオン交換媒体の粒子充填層に適用する工程であって、アニオン交換媒体は空隙排除クロマトグラフィーを支持し、試料体積が粒子充填層の粒子間体積より大きくない工程と、(3)所望のタンパク質および減量したエンドトキシンを含む精製された試料を溶出する工程と、を含む方法が提供される。いくつかのそのような実施形態において、アラントインによる前処理の必要性をなくして、空隙排除アニオン交換クロマトグラフィーによってのみ検出限界が達成されるように、所望のタンパク質はエンドトキシンを十分に含んでいなくてもよい。空隙排除クロマトグラフィーのみで所望の程度のエンドトキシン除去が達成されないいくつかの実施形態において、その後にアラントインによる処理を行ってもよい。
【0029】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示された任意の方法を簡便に実施できるように構成されたキットが提供される。そのようなキットは、使用説明書とともにアラントイン処理およびその後の空隙電気陽性クロマトグラフィーを行うための試薬を備えていてもよい。
【0030】
以下の非限定的な例は、この方法の基本的な特徴および実施を示している。所望のタンパク質を含むエンドトキシンで汚染されたタンパク質製剤の好都合な体積に対して、アラントインは10%重量対体積(w/v)の量が加えられる。試料は短時間混合され、固体が沈殿させられる。エンドトキシンは固体に結合され、それによって液体から除去される。沈殿は、遠心分離によって加速させられてもよい。減量したエンドトキシン含有量を有する液体は、静かに移されるか、または残りの固体を除去するために濾過される。試料は、カラム容積の40%以下の量で電気陽性空隙排除媒体に適用される。タンパク質製剤中の所望のタンパク質がIgGモノクローナル抗体である場合に、電気陽性空隙排除カラムはpH8.0の50mMトリスなどの緩衝液で平衡化されてもよく、IgGは、IgGが適用されたアラントインで処理された試料よりエンドトキシン濃度が低いレベルで溶出する。現在までの経験は、1,000〜10,000倍のエンドトキシン含有量の減少が、所望のタンパク質の90〜99%の回収とともに達成され得ることを示している。とりわけIgG、リゾチーム、およびリボヌクレアーゼを含むアルカリ性タンパク質の場合に、タンパク質はまた開示された方法によって実質的に精製されるであろう。実験データは、この技術が、エンドトキシン除去とは無関係に非抗体タンパク質の99%減少を達成できることを示している。本明細書に開示された方法は、その全体的な利便性を増すためのキットとして容易に構成される。
【0031】
一実施形態において、処理されるタンパク質製剤は、エンドトキシンで汚染された一種の所望のタンパク質を含む生体液である。
【0032】
前述の1つ以上の実施形態において、エンドトキシンで汚染されたタンパク質製剤は、細胞を含む細胞培養収集物を含む。
【0033】
前述の1つ以上の実施形態において、エンドトキシンで汚染されたタンパク質製剤は、細胞培養上清を含む。
【0034】
前述の1つ以上の実施形態において、エンドトキシンで汚染されたタンパク質製剤は、ヒトまたは動物の体液を含む。
【0035】
前述の1つ以上の実施形態において、エンドトキシンで汚染されたタンパク質製剤は、特定の種類の1つの生物由来のまたは複数の生物由来の細胞液を含む。
【0036】
前述の1つ以上の実施形態において、エンドトキシンで汚染されたタンパク質製剤は、生体組織のホモジネートを含む。
【0037】
前述の1つ以上の実施形態において、エンドトキシンで汚染されたタンパク質製剤は、部分的に精製されたタンパク質である。
【0038】
前述の1つ以上の実施形態において、エンドトキシンで汚染されたタンパク質製剤は、高度に精製されたタンパク質である。
【0039】
前述の1つ以上の実施形態において、所望のタンパク質はFab、F(ab’)2、ScFv、VHH、minibody、二重特異性抗体、またはFc融合タンパク質などの抗体断片の組換え誘導体などの抗体または抗体断片である。
【0040】
前述の1つ以上の実施形態において、所望のタンパク質は補体タンパク質である。
【0041】
前述の1つ以上の実施形態において、所望のタンパク質は凝固タンパク質である。そのような一実施形態において、所望のタンパク質は第VIII因子またはフォンビルブランド因子と第VIII因子の複合体である。
【0042】
前述の1つ以上の実施形態において、処理されるタンパク質製剤は、pH4、または5、または6、または7、または8、または9、またはそれより低い、それより高い、または中間のpH値であり、アラントイン親和性工程、電気陽性空隙排除工程を行うためにpHの変更を必要としない。
【0043】
前述の1つ以上の実施形態において、タンパク質製剤のpHは特定のpHに調整されてもよい。
【0044】
前述の1つ以上の抗体において、処理されるタンパク質製剤は、グアニジンもしくはイソチオシアネートなどのカオトロピック(タンパク質可溶)塩;または酢酸ナトリウムもしくは塩化ナトリウムなどの中性塩;または硫酸アンモニウム、クエン酸ナトリウム、もしくはリン酸カリウムなどのコスモトロピック(タンパク質沈殿)塩を含み、アラントイン親和性工程や電気陽性空隙排除工程を行うために、任意の塩を除去したり添加したりする必要がない。
【0045】
前述の1つ以上の実施形態において、処理されるタンパク質製剤は、0.1M、または0.2M、または0.4M、または0.8M、または1.6M、または3.2M、またはそれより低い、それより高い、または中間の濃度で塩を含み、アラントイン親和性工程や電気陽性空隙排除工程を行うために、任意の塩を除去したり添加したりする必要がない。
【0046】
前述の1つ以上の実施形態において、1つ以上の種類の塩がタンパク質製剤に加えられてもよい。
【0047】
前述の1つ以上の実施形態において、タンパク質製剤の塩濃度は、例えば、より少ない塩濃度を含む液体または塩をほとんど含まない液体で希釈することによって低下させてもよい。
【0048】
前述の1つ以上の実施形態において、処理されるタンパク質製剤は、0.5M、または1.0M、または2.0M、または4.0M、または8.0M、またはそれより低い、それより高い、または中間の濃度の尿素などの非イオン性カオトロープを含み、アラントイン親和性工程や電気陽性空隙排除工程を行うために、任意のそのようなカオトロープを除去したり添加したりする必要がない。
【0049】
前述の1つ以上の実施形態において、処理されるタンパク質製剤は、1〜25%の範囲、またはそれより低い、それより高い、または中間の濃度のエタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、またはグリセロールなどの有機溶媒を含み、アラントイン親和性工程や電気陽性空隙排除工程を行うために、任意のそのような有機溶媒の存在、非存在、除去または添加を必要としない。
【0050】
前述の1つ以上の抗体において、処理されるタンパク質製剤は、0.01〜1%、またはそれより低い、それより高い、または中間の濃度のカチオン性、非イオン性、双性イオン性、またはアニオン性の界面活性剤を含み、アラントイン親和性工程や電気陽性空隙排除工程を行うために、任意のそのような界面活性剤を除去したり添加したりする必要がない。
【0051】
前述の1つ以上の実施形態において、アラントインは、最終濃度が10%、または9%、または8%、または7%、または6%、または5%の濃度、または0.6%まで低い濃度、または10%より高い濃度、または中間値の最終濃度まで添加される。
【0052】
前述の1つ以上の実施形態において、エンドトキシンの濃度を低下させるアラントイン親和性工程の能力は、有機性多価イオンの添加によって高められてもよい。
【0053】
前述の1つ以上の実施形態において、固体物質は、タンパク質製剤が電気陽性空隙排除工程に適用される前に試料から除去される。
【0054】
前述の1つ以上の実施形態において、電気陽性空隙排除カラムの容積は、それに適用されるタンパク質製剤の試料の体積より2.5倍大きい、またはそれに適用される試料の体積より3倍大きい、または4、5、10、20、50倍、またはそれ以上の倍大きい。
【0055】
前述の1つ以上の実施形態において、電気陽性空隙排除カラムに適用される試料の体積は、カラム容積の40%以下、または30%以下、または20%以下、または10%以下、または5%以下、または1%以下である。
【0056】
いくつかの実施形態においては、(1)過飽和量のアラントインを、所望のタンパク質および汚染物質として少なくとも1つのエンドトキシンを含むタンパク質製剤に添加する工程と、(2)添加工程の後に固体を除去し、カラム内の電気陽性粒子の粒子充填層上での空隙排除クロマトグラフィーによるさらなる精製のために試料を供給する工程であって、粒子充填層が粒子間体積を有する工程と、(3)粒子充填層に試料体積を適用する工程であって、電気陽性粒子が空隙排除クロマトグラフィーを支持し、試料体積が粒子間体積より大きくない、工程と、(4)所望のタンパク質および減量したエンドトキシンを含む精製された試料を溶出する工程であって、所望のタンパク質が、カラムに適用された緩衝液の含有量とは関係なく、カラムを平衡化した緩衝液に存在する、工程と、を含む方法が提供される。したがって、本明細書に開示された方法は、所望のタンパク質の緩衝液への緩衝液交換の手段を効果的に提供する。そのような緩衝液は、適切な後続の分析または処理工程のために選択されてもよい。したがって、所望のタンパク質が最初にカラムに接触したときの最初の緩衝液の処方は重要ではない。この交換は、本明細書に開示された方法の利点の1つを明らかにする。一方、他のエンドトキシンの除去方法はこの能力を与えない。
【0057】
いくつかの実施形態において、過飽和量のアラントインは、(1)約10%、(2)約5%、(3)約0.6〜約6%、(4)約6〜約10%、(5)約10〜約15%、(6)約15〜約20%、(7)約20〜約50%、および(8)50%超からなる群から選択される量を含み、その量が重量/体積で与えられる。
【0058】
いくつかの実施形態において、固体を除去することは、沈降、遠心分離、濾過、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるものを含む。
【0059】
いくつかの実施形態において、タンパク質製剤のpHまたは塩濃度は、添加工程の前、添加工程の間、または添加工程の後に調整される。いくつかのそのような実施形態において、調整は必要ではなく、これらの方法はそのような調整を行う必要性がないことが利点であり得る。
【0060】
いくつかの実施形態において、タンパク質製剤のpHまたは塩濃度は、適用工程の前に調整される。いくつかの実施形態において、そのような調整は必要ではなく、これらの方法はそのような調整を行う必要性がないことが利点であり得る。
【0061】
いくつかの実施形態において、充填層に対する試料体積は、(1)約35%未満、(2)約30%未満、(3)約20%未満、(4)約10%未満、(5)約5%未満、(6)約2%未満、および(7)約1%未満からなる群から選択されるものであるように、試料体積が、粒子充填層の粒子間体積より少ない。
【0062】
いくつかの実施形態において、充填層に適用される試料体積は、粒子間体積の99%、粒子間体積の95%、粒子間体積の90%、粒子間体積の80%、粒子間体積の70%、粒子間体積の60%、粒子間体積の50%、粒子間体積の25%、粒子間体積の10%、粒子間体積の5%、粒子間体積の2%、粒子間体積の1%、およびその中間の体積百分率の群から選択されるものから構成される量だけ、粒子間体積より少ない。
【0063】
いくつかの実施形態において、適用工程の前に、方法は、アニオン交換媒体の粒子充填層を、所望のタンパク質がアニオン交換媒体と実質的に結合することを防ぐために選択された緩衝液で平衡化することをさらに含む。
【0064】
いくつかの実施形態において、所望のタンパク質がアニオン交換媒体と実質的に結合することを防ぐことは、緩衝液を十分低いpHにすることを含む。
【0065】
いくつかの実施形態において、所望のタンパク質がアニオン交換媒体と実質的に結合することを防ぐことは、緩衝液を十分高い塩濃度にすることを含む。
【0066】
いくつかの実施形態において、緩衝液は、(1)約7、(2)約8、(3)約6、および(4)約6〜約8の範囲からなる群から選択されるものを含むpHを有する。いくつかの実施形態において、pHは、(1)約4のpH〜約10のpH、(2)約5のpH〜約9のpH、(3)約6のpH〜約8のpH、(4)約6.5のpH〜約7.5のpH、および(5)中間の範囲からなる群から選択されるものを含む範囲にある。
【0067】
いくつかの実施形態において、緩衝液が、(1)約0mM、(2)約50mM、(3)約150mM、および(4)約0mM〜約150mMの範囲からなる群から選択されるものを含む塩化ナトリウム濃度を含む。いくつかの実施形態において、150mM以下のNaCl濃度に対応する電気伝導率値が使用されてもよい。いくつかの実施形態において、電気伝導率は、(1)非ゼロ値〜約50mS/cm、(2)非ゼロ値〜約25mS/cm、(3)非ゼロ値〜約10mS/cm、(4)非ゼロ値〜約5mS/cm、(5)非ゼロ値〜約2mS/cm、(6)非ゼロ値〜約1mS/cm、および(7)非ゼロ値〜約0.1mS/cmからなる群から選択されるものを含む範囲にあってもよい。いくつかの実施形態において、対応するNaCl濃度は、(1)非ゼロ値〜約500mM、(2)非ゼロ値〜約250mM、(3)非ゼロ値〜約100mM、(4)非ゼロ値〜約50mM、(5)非ゼロ値〜約20mM、(6)非ゼロ値〜約10mM、および(7)非ゼロ値〜約1mMからなる群から選択されるものを含む範囲にあってもよい。
【0068】
いくつかの実施形態において、空隙排除アニオン交換クロマトグラフィーで使用されるアニオン交換クロマトグラフィー媒体は、UNOsphere Q、Nuvia Q、またはCapto Q、および別の空隙排除アニオン交換クロマトグラフィー対応アニオン交換媒体からなる群から選択されるものを含む。
【0069】
いくつかの実施形態において、空隙排除アニオン交換クロマトグラフィーは、(1)約300cm/時以下、(2)約200cm/時以下、(3)約100cm/時以下、および(4)約50cm/時以下からなる群から選択される非ゼロ線流速を含む線流速で行われる。
【0070】
いくつかの実施形態において、(1)試料体積を有する試料として所望のタンパク質を含むタンパク質製剤を供給する工程であって、試料が、カラム内の電気陽性粒子の粒子充填層上での空隙排除クロマトグラフィーに適し、電気陽性粒子が空隙排除クロマトグラフィーを支持し、粒子充填層が粒子間体積を有し、試料体積が、粒子間体積より大きくない工程と、(2)試料を粒子充填層に適用する工程と、(3)所望のタンパク質および減量したエンドトキシンを含む精製された試料を溶出する工程と、を含む方法が提供される。
【0071】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示された方法を簡便に実施できるように構成されたキットが提供される。そのようなキットは、本明細書に開示された方法を実施するために必要に応じて、試薬、使用説明書を含んでもよい。
【0072】
これらの方法をより容易に理解できるように、用語を定義する。追加の定義は詳細な説明中に記載する。
【0073】
「粒子間体積」、または「粒子間層体積」、または「空隙体積」は、特にクロマトグラフィーを行う粒子が充填されたカラムを含む、粒子の充填層における粒子間の蓄積空間のことを指す語である。概して、均一な球形の高分子微粒子が充填されたクロマトグラフィーカラムの粒子間体積は、層全体の体積の約40%で、層全体の体積は、蓄積粒子間体積に加えて蓄積粒子体積からなる。粒子が不ぞろい、またはさまざまな粒径を含む、または組成のため圧縮できない場合、充填層の粒子間体積は、40%より大きくてもよい。粒子層が圧縮できる場合、粒子間体積は40%より小さくてもよい。したがって、カラムの粒子間体積は、層全体の体積の30%未満から60%超の範囲であってもよい。
【0074】
「タンパク質」とは、炭素、水素、酸素、窒素、および通常は硫黄を含む複合有機高分子の群のいずれかのことを指し、ペプチド結合によってつながれたアミノ酸の1つまたは2つ以上の鎖から主に構成される。タンパク質は天然起源または組換え起源のものであってもよい。タンパク質は、例えばグリコシル化、ペグ化、または他の化学的部分との接合によって非アミノ酸部分を用いて修飾されてもよい。タンパク質の例としては、限定されないが、抗体、凝固因子、酵素、およびペプチドホルモンを含む。
【0075】
「宿主汚染物質」または「宿主細胞汚染物質」とは、目的の産物が育つ細胞によって産生される生体分子のことを指す。この語は、宿主タンパク質および宿主DNAなどのさまざまな種類の宿主汚染物質を含んでもよい。
【0076】
「宿主タンパク質」または「宿主細胞タンパク質」または「HCP」とは、目的の産物が育つ細胞によって産生されるタンパク質のことを指す。そのようなタンパク質は、目的の産物から除去されなければならない一種の汚染物質を表わす。
【0077】
「抗体」とは、ヒトまたは他の哺乳類細胞株由来のクラスIgG、IgM、IgA、IgD、またはIgEの免疫グロブリンのことを指し、ヒト化、ヒト、単鎖、キメラ、合成、組換え、ハイブリッド、変異型、移植、およびインビトロ生成抗体などの天然型または遺伝的に修飾された形態を含む。「抗体」はまた、限定されないが、免疫グロブリン部分を含有する融合タンパク質を含む複合体形態またはIgGと別の官能部分との合成結合によって生成された免疫複合体を含み、別の官能部分は、別の抗体、酵素、フルオロフォアまたは他の信号生成部分、ビオチン、薬剤、または他の官能部分を含む。
【0078】
「エンドトキシン」とは、溶解時に細胞から放出されるグラム陰性菌の外膜に存在する毒性熱安定性リポ多糖物質のことを指す。エンドトキシンは、コア多糖に関連するリン酸残基およびカルボキシル残基の高い含有量のためにほぼ酸性の可能性があり、リピドA領域の脂肪酸含有量のために高度な疎水性を有する可能性がある。O抗原領域は、多数の非イオン性多糖類を含む。
【0079】
「非イオン有機ポリマー」とは、荷電基のない結合反復型有機サブユニットからなる自然発生のまたは合成の炭化水素のことを指す。それはいくぶんか分枝した、または顕著に分枝した状態の、直鎖状、顕著に直鎖状であってもよい。それらの方法を実施するのに適した例は、限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、およびポリビニルピロリドン(PVP)などを含む。PEGは構造式がHO−(CH
2−CH
2−O)
n−Hである。例として、限定されないが、平均ポリマー分子量が500ダルトン未満の組成物を含む。
【0080】
「タンパク質沈殿塩」または「抗体沈殿塩」または「IgG沈殿塩」とは、所望のタンパク質の沈殿を媒介する能力を具体化する塩のことを指す。一般的な例は、硫酸ナトリウムまたは硫酸アンモニウム、クエン酸ナトリウムまたはクエン酸カリウム、リン酸ナトリウムまたはリン酸カリウムを含む。そのような塩は、コスモトロピック塩と通常呼ばれる。
【0081】
「非タンパク質沈殿塩」または「非抗体沈殿塩」または「非IgG沈殿塩」とは、所望のタンパク質の沈殿を媒介する能力を欠く塩のことを指し、所望のタンパク質の溶解性を増す能力を具体化し得る。一般的な例は、限定されないが、塩化ナトリウムまたは塩化カリウム、酢酸ナトリウムまたは酢酸カリウム、チオシアン酸ナトリウムまたはチオシアン酸カリウム、または塩化グアニジニウムを含む。いくつかのそのような塩は通常カオトロピック塩と呼ばれるが、カオトロピックともコスモトロピックとも呼ばれない塩もある。
【0082】
「ポリヌクレオチド」とは、鎖において共有結合された複数のヌクレオチドモノマーからなるバイオポリマーのことを指す。DNA(デオキシリボ核酸)およびRNA(リボ核酸)は、ポリヌクレオチドの例である。ポリヌクレオチドは水素結合を形成する高い性向がある。
【0083】
「タンパク質製剤」とは、目的のタンパク質を含む任意の水溶液またはほぼ水溶液のことを指し、例えば、細胞を含む細胞培養収集物、(実質的に)無細胞の細胞培養上清、または精製段階の目的のタンパク質を含む溶液である。
【0084】
「ウイルス」または「ビリオン」とは、超微細で(直径約20〜300nm)、代謝的に不活性な感染病原体のことを指し、生きている宿主、主にバクテリア、植物、および動物の細胞内でのみ複製し、それらはRNAまたはDNAコアと、タンパク質膜と、より複雑な種類では周囲膜とからなる。
【0085】
「空隙排除」とは、粒子内に存在する孔の固有の寸法によってもたらされ得る、または静電荷が孔内にある物理フォーマットによって二次的にもたらされ得る、孔への進入に対して、静電的に反発されるか、および/または物理的抵抗を克服できない結果、帯電粒子を充填したカラムの環境内の試料の少なくとも1つの成分が、カラムの層の粒子間空間内に実質的に存在するように制限される化学相互作用のことを指す。
【0086】
「空隙排除モード」または「空隙排除クロマトグラフィー」は、充填された帯電粒子のカラム内で実施される分画方法のことを指し、それによって、カラムに適用される試料体積は、充填層内の粒子間体積より大きくなく、タンパク質などの所望の試料成分は、粒子の孔に入ることができず、それによって、空隙体積とも通常知られる粒子間空間を通過するように制限される。空隙排除クロマトグラフィーの基本的および際立った特徴は、帯電粒子に関してクロマトグラフィーを行うのに不適切と考えられる極めて高い塩濃度およびpH値を含み得ることを受けて、試料はカラム使用条件に平衡化される必要がないことである。さらなる基本的および際立った特徴は、分画とともに緩衝液交換を達成する優れた能力を含む。空隙排除クロマトグラフィーにおいて、所望のタンパク質は、カラムに適用された試料組成とは関係なく、カラムが平衡化された緩衝液に溶出する。
【0087】
特定の実施形態において、試料は、固体を液体画分から分離する工程の前に少なくとも約15分、固体のアラントインと接触する。特定の他の実施形態においては、試料は、15分未満、または約15〜30分、または30分超、または約60分、または約60分超、固体とインキュベートする。一般的事項として、アラントインによる最も大きな生物学的標的の結合は、原則として即時であるように見え、除去工程より短い時間で完了し得る。それにもかかわらず、慎重な検査実施としては、インキュベーション時間は系統的に評価し、たとえ特定の適用に実質的な効果がないことが判明しても、一貫した処理時間を規定すべきで、特定の適用のために着実に実行すべきである。
【0088】
本明細書に開示された方法を適用する際の有用な開始点は、単に所望のタンパク質を含むタンパク質製剤に、10%w/vの量のアラントインを添加することである。試料条件を変えないことが必要である。実験的根拠は、エンドトキシンと不溶性アラントインの間の反応は基本的に即時で、後続の最速の実際的な固体の除去に必要とされる時間より少ない時間で最高レベルを達成することを示唆している。それゆえ、インキュベーション時間は、実用上重要でない考慮事項のように思われ、よってこの工程は、最も好都合なインキュベーション時間に関係なく、行われてもよい。それにもかかわらず、慎重な検査実施としては、実験間の再現性を最大にするために、一貫した時間間隔を順守することを示唆している。定期的にまたは日常的に生成され得る特定の所望のタンパク質の複数の試料からエンドトキシンを除去する程度を最適化することを目的とした実験は、適宜、アラントインの割合をより高いまたはより低い過飽和濃度に調整すること、および/または薬剤のpH、または塩もしくは他の成分の含有量を調整することを含んでもよい。そのような調整は、アラントインとエンドトキシンの間の相互作用に影響を与えないにしても、エンドトキシンと所望のタンパク質の間の相互作用には影響を与える可能性があり、それは、エンドトキンの所望の減少を達成するために、本技術または他の技術の能力に実質的な影響を与え得る。予備データは、産物回収がアラントインの存在量に反比例し得ることを示し、最良の効果を達成するためにアラントインの最少量を判定することが有利であり得る。実験データはまた、この効果がより大きいタンパク質でより顕著で、よってより小さいタンパク質が、アラントインの非常に高い濃度にかかわらず高い回収率を支持しやすいことを示している。当業者は、本明細書に記載の方法が、10%より実質的に高いアラントイン濃度で、例えば、20%、または30%、または40%、または50%、またはそれ以上のアラントイン濃度で、実施できることを理解するであろう。このようにこの方法を実施するコスト効率は低下し得るが、これは、アラントインが比較的安価なものであることを考えれば、許容できる。
【0089】
アラントインで処理されたタンパク質製剤からの固体の除去は、濾過、遠心分離、遠心分離と濾過の組み合わせ、または他の手段を含む、任意の簡便な手段で行うことができる。固体の除去手段は、エンドトキンのさらなるソースを発生させないよう注意する限り、本明細書に開示された方法の実施に影響を与えない。
【0090】
電気陽性空隙排除工程は、タンパク質製剤の平衡化を必要とせず、固体を除去する任意のタンパク質製剤を調整することができる。しかしながら、電気陽性空隙排除カラムに適用される試料体積は、電気陽性空隙排除クロマトグラフィー媒体を含むカラムの粒子間体積より小さくなければならないので、電気陽性空隙排除工程は、1回のサイクルで処理することができる試料体積を判定する。重力が安定したカラムでは、カラムの粒子間体積は通常、重力が安定した層の体積の約40%からなる。媒体の軸方向の圧縮は、粒子間体積を減少させ、同様に、特定の電気陽性空隙排除カラムに適用することができる試料の体積を減少させるので、避けなければならない。UNOsphere Q(Bio−Rad)として知られるクロマトグラフィー媒体は、今までに観察された中で最高の空隙排除効率を支持するので、第一の好都合な選択肢であるが、必要に応じて他のものを評価してもよい。空隙排除工程は適用される試料の体積に特に依存するので、試料がカラムに向かう途中に希釈されると、カラムに入る試料の体積が増加すると理解されているため、そうした可能性ができるだけないように試料を適用することが重要である。カラムに入る試料体積が粒子間体積より大きい場合、エンドトキシンの除去効率は低下する。過度な試料体積をもたらす試料希釈を最低限に抑える1つの方法は、いわゆるスーパーループによって試料を適用することである。他の方法は、液面レベルが充填層の上面に自然と下がり、試料を添加でき、試料が十分に入るまで試料をカラムに入れることができるように設計されたカラムを使用し、その後、試料をカラム中に行きわたらせるように促す緩衝液を適用することである。空隙排除工程の最も効果的な適用は、いくつかの場合で、適切なカラム平衡緩衝液条件の開発を必要とする。そのような条件は、適用される所望のタンパク質の特性に依存する。多くのIgGモノクローナル抗体、そのような抗体由来のFabおよびF(ab’)
2断片などのアルカリ性タンパク質の場合、平衡緩衝液の好都合な最初の処方は、pH8.0の50mMトリスであってもよい。所望のタンパク質の回収率が98%未満の場合、NaCl濃度が50mMの増分で増加する一連の実験が評価されてもよい。さらなる最適化はより小さい増分で行われてもよい。一般的事項として、所望のタンパク質の十分な回収を支持する最低の塩濃度は、最高のエンドトキシン減少を達成する。pHは実験的に変えてもよい。実験データは、pH8.0の50mMトリス中のいくつかのIgGモノクローナル抗体の電気陽性空隙排除が非抗体タンパク質の99%超の減少をさらに達成することを示している。非IgGタンパク質の場合、好都合な平衡緩衝液は、第一にpH7.0の50mMのHepesである。IgGのように、98%未満の回収は、塩濃度の増加またはpHの調整からより良い成果が得られることを示唆している。通常、カラム平衡緩衝液と同じ処方の流れる緩衝液を使用した方がより好都合であるが、流れる緩衝液の代わりに異なる緩衝液を使用してもよい。流れる緩衝液が平衡緩衝液とは異なる場合、流れる緩衝液は、エンドトキシンを減少させる方法の能力に影響を与えないため、カラムを損傷しない任意の処方のものであってもよい。電気陽性空隙排除平衡緩衝液の処方を最適化するために行われる実験は、所望のタンパク質の消費を最小限におさえるために20%、または10%、または5%、または1%などの所定のカラムの最大容積よりかなり小さい試料を使用してもよい。平衡緩衝液の処方によって、エンドトキシンの最大減少が、アラントイン親和性工程または電気陽性空隙排除工程で観察され得る。いくつかの場合で、より効果的な工程の相対的寄与は、非常に際立っていてもよい。約200cm/時の線流速は、電気陽性空隙排除工程を稼働するための妥当な流速である。より低い流速はより良い結果を生じさせ得るが、処理時間を増加させる。より高い流速は許容範囲の結果を生じさせ得るが、処理時間を減少させる。当業者は、本明細書に記載の方法を、200cm/時より実質的に高い流速で行うこともできるが、そうすることで成果の損失が生じるのは容認できないことを理解するであろう。
【0091】
エンドトキシンに寄与する可能性を最小限におさえるために、使用前に、電気陽性空隙排除カラムおよび付随するハードウェアを、1Mの水酸化ナトリウムで消毒することが有利であり得ることは当業者には明らかであろう。同じ理由で、緩衝液の調製の間、エンドトキシンの含有量を最小限におさえることに特に注意することが有利であり得る。この目的のための1つのプラクティスは、全ての緩衝液を、約10kDa未満の分子量を有する球状化合物に対応する孔径のカットオフを有する膜で濾過することである。カルシウムまたはリン酸塩を欠く緩衝液のための別の方法は、0.22または0.45ミクロンの膜で濾過する前に、約0.1〜0.2%の量でヒドロキシアパタイトを緩衝液に添加することである。全ての場合で、この方法を実施するのに使用された容器は、理想的には、できる限り適度にエンドトキシンを含んでいない。エンドトキシン汚染ソースの除去のための複合クロマトグラフの洗浄に関する作業を考慮すると、独立型キットが使用できるのは非常に有利であることは明らかであろう。
【実施例】
【0092】
実施例1
アラントインと空隙排除クロマトグラフィーの組み合わせによってIgG−エンドトキシン混合物からエンドトキシンを減少。エンドトキシンを、20mMのHepes、150mMのNaCl、pH7.5中の1mg/mLのヒトIgG(clone her2)に添加して、3,300EU/mlにした。30%(w/v)のアラントインをこの混合物のアリコートに添加し、室温で15分混合した。この懸濁液を遠心分離によって清澄化した。タンパク質回収率は50%超であり、上清のエンドトキシン含有量は99%超減少し、20EU/mlとなった。その後、IgGを含む上清1mLを、20mMのHepes、150mMのNaCl、pH 7.5で平衡化した、電気陽性多孔性粒子(UNOsphere Q,Bio−Rad Laboratories)が充填された8.8mLの重力カラムに適用した。次に、15mlの平衡緩衝液を加え、1mlのフラクションをカラムの出口で収集した。溶出フラクションを280nmおよび254nmのUV吸光度およびLAL動力学的発色エンドトキシン分析によって分析した。90%超のIgGが、混合フラクション4、5、および6に溶出し(すなわち溶出体積3〜6ml)、可溶性アラントインはフラクション7以降のみで溶出した。空隙排除クロマトグラフィーは、混合フラクション4、5、および6で、95%超、エンドトキシンレベルをさらに減少させた。アラントイン媒介の共沈殿と電気陽性空隙排除クロマトグラフィーの組み合わせによる全体的なエンドトキシン減少は99.95%超で、1EU/ml未満となった。50mMトリス、pH8.2に平衡化された空隙排除カラムのみが異なる関連実験では、アラントイン−空隙排除処理の組み合わせの結果は、エンドトキシンを1mLあたり0.01EU未満に減少させた。
【0093】
実施例2
空隙排除のみによってIgG−エンドトキシン混合物からエンドトキシンを減少。エンドトキシンを、20mMのHepes、150mMのNaCl、pH7.5中の1mg/mLのヒトIgG(clone her2)に添加して、400EU/mlにした。試料は実施例1に記載されたものと同じ条件で空隙排除を受けた。約90%のIgGが混合フラクション4、5、および6に溶出し、エンドトキシン含有量は99.6%減少した。
【0094】
実施例3
アラントイン媒介の共沈殿と空隙排除クロマトグラフィーの組み合わせによってタンパク質溶液からエンドトキシンを減少。エンドトキシンを、20mMのHepes、350mMのNaCl、pH7.5中の1mg/mLのウシ血清アルブミン(BSA)の試料に添加した。試料は、電気陽性空隙排除クロマトグラフィーに使用された平衡および溶出緩衝液が350mMのNaClを含んだこと以外は、実施例1と同様に処理した。アラントイン媒介の共沈殿はエンドトキシンを99.95%超減少させ、90%超のタンパク質を回収した。空隙排除クロマトグラフィーはさらなるエンドトキシン減少を達成しなかったが、タンパク質試料から可溶性アラントインを効果的に除去し、85%超のタンパク質を回収した。
【0095】
実施例4
アラントイン媒介の共沈殿によるエンドトキシン除去への塩の影響。アラントイン(30%w/v)を、10,000EU/ml含む20mMのHEPES、pH7.5の水溶液に添加した。塩濃度は、0、0.05、0.15、0.5、および2MのNaClで選択した。0MのNaClでのアラントインのエンドトキシン除去効率は99.99%超であり、0.5MのNaClまでの塩濃度とは無関係であった。2MのNaClでのアラントインのエンドトキシン除去効率は99.997%に上昇した。
【0096】
実施例5
アラントイン媒介の共沈殿によるエンドトキシン除去へのpHの影響。実施例4の実験を150mMのNaCl、pH値3.5、5.5、7.5、および9.5で繰り返した。エンドトキシン除去は全てのpH値で99.9%超であり、pH7.5で最高であった(99.99%)。
【0097】
実施例6
アラントイン媒介の共沈殿によるエンドトキシン除去への界面活性剤の影響。実施例4に記載の実験を、洗剤(0.1〜10%のTween 20)の存在下で150mMのNaClで繰り返した。アラントインのエンドトキシン除去効率は、洗剤の存在下でわずかに低下したが、一貫して99.8%より高かった。
【0098】
実施例7
空隙排除クロマトグラフィーによるエンドトキシン除去への塩の影響。約1,000EU/ml含む20mMのHEPES、pH7.5の水溶液1mlを、実施例1に記載された、電気陽性多孔性粒子(UNOsphere Q, Bio−Rad Laboratories)が充填された8.8mL重力カラムに適用した。試料、平衡および溶出緩衝液の塩濃度は、150、250、および350mMのNaClで選択した。空隙排除によるエンドトキシン除去は350mMのNaClで35%、250mMのNaClで99.99%であった。150mMのNaClでの電気陽性空隙排除は、全ての溶出フラクションのエンドトキシンレベルを検出限界以下(<0.01EU/ml)に減少させた。
【0099】
実施例8
電気陽性空隙排除クロマトグラフィーによるエンドトキシン除去へのpHの影響。実施例7の実験を150mMのNaCl、pH値3.5、5.5、および7.5で繰り返した。電気陽性空隙排除クロマトグラフィーは、全ての溶出フラクションのエンドトキシンレベルを、全てのpH範囲で、検出限界以下(<0.01EU/ml)に減少させた。
【0100】
実施例9
アラントインと組み合わせた有機添加剤の影響。モノクローナルIgGを含む細胞を含む細胞培養収集物は、0.01%エタクリジンと組み合わせて1%アラントインで処理した。pHが約7.2、電気伝導率が約13.5mSの試料に(これらの条件はいわゆる生理的条件に相当)、金属親和性リガンドTREN(Bio Works TREN hi−sub)および疎水性リガンド(Macroprep T−butyl)の同量を含むクロマトグラフィー媒体が充填されたカラムを通過させた。これより前の工程の後の抗体回収率は99%であった。試料をUNOsphere Qが充填された空隙排除カラムに適用した。電気陽性空隙排除工程からの回収は99%であり、それは全体の回収の98%に相当した。エンドトキシン含有量は1EU/mL未満であり、99%超の宿主タンパク質の汚染物質が除去され、DNAが6ログ超、減少した。それと共にウイルス除去は76%超であった。この実施例は、アラントイン親和性および電気陽性空隙排除工程が1つ以上の工程によって分離されてもよいことを示し、アラントイン工程は有機修飾因子の存在下で効果的に行われてもよく、本明細書で開示された方法はエンドトキシン以外のさまざまな汚染物質を除去するさらなる利点を有し得る。
【0101】
実施例10
電気陽性空隙排除に適したクロマトグラフィー媒体。さまざまな市販のアニオン交換クロマトグラフィー媒体を電気陽性空隙排除クロマトグラフィーを行う能力に関して評価した。UNOsphere QおよびNuvia Qは、空隙体積に対して許容範囲の実験IgGモノクローナル抗体の排除を達成した。Capto Qは効果が劣ったが、全く効果がないわけではなかった。他のアニオン交換体ははるかに効果は劣り、それらはGigaCap Q、Tentacle DEAE−Fractogel、Dowex Agl 4、Q Sephadex A25、Q Sepharose Fast Flow、およびPOROS HQなどであった。モノリシックおよび膜交換体は完全に不適切であった。これらの結果は、全てのアニオン交換体が電気陽性空隙排除可能なわけではないことを示している。UNOsphere QおよびNuvia Qを超える候補媒体は適切であり得るが、これらの媒体は始めるのに好都合な場所を提供する。
【0102】
実施例11
多モード疎水性相互作用の水素結合−電気陽性クロマトグラフィー粒子での空隙排除クロマトグラフィー。アニオン交換、水素結合、および疎水性相互作用の官能性を具体化するとされるクロマトグラフィー媒体のCapto adhereを含むカラムを準備した。単なる電気陽性度を超えたその化学官能性及びカラムに導入されたタンパク質とそれらの官能性との共同相互作用のために、抗体は、アニオン交換クロマトグラフィーの技術で市販された媒体においてより、より広い範囲の条件で結合する傾向があり、それは、電気陽性空隙排除を行うことができる条件が比例的に限られていることを意味する。NaClのさまざまな濃度およびさまざまなpH値の実験が、50mMのアセテート、pH5.0が、適用された抗体の空隙排除を媒介するのに適していることを見出した。これらの条件下で、Capto adhereは、UNOsphere Qより約10倍多いエンドトキシン除去を達成した。
【0103】
実施例12
5%アラントインで処理後の1mLあたり22.8エンドトキシンユニットを含む精製されたIgGの試料を、UNOsphere Qによる空隙排除モードで、アニオン交換クロマトグラフィーによってさらに処理し、過剰なアラントインを除去し、さらにエンドトキシンレベルを低下させた。カラムを50mMのHepes、150mMのNaCl、pH7.0で平衡化した実験で、エンドトキシンは0.472EU/mLに減少した。カラムを50mMのHepes、100mMのNaCl、pH7.0で平衡化した別の実験で、エンドトキシンは0.078EU/mLに減少した。カラムを50mMのHepes、50mMのNaCl、pH7.0で平衡化した別の実験で、エンドトキシンは0.022EU/mLに減少した。
【0104】
本明細書で開示された方法は、1mL未満〜数百リットル、さらには数千リットルもの試料体積の処理の広範囲のスケールにわたって実施され得ることは明らかであろう。本明細書に記載の情報に基づいて、任意の特定の適用のスケールを、本明細書に開示された方法の利点を最大限に享受するのに必要な任意のレベルに調整することは、当業者の能力の範囲内である。
【0105】
本明細書の全ての引用文献は、それぞれの個別の文献または特許または特許出願が、全ての目的のためにその全体を参照により援用されるように、具体的に個別に示されるのと同じ程度まで、その全体を全ての目的のために参照することにより援用される。参照により援用される文献および特許または特許出願が、本明細書に含まれる開示と矛盾するという点で、本明細書は、いかなるそのような矛盾するものに取って代わり、および/または優先されることが意図される。
【0106】
本明細書および請求項で使用される要素、クロマトグラフィー条件などの量を表す全ての数は、全ての例において、「約」の語で修飾されると理解されるものとする。したがって、反対に示されない限り、本明細書および添付の請求項に記載の数値パラメーターは、本方法によって得られることが求められる所望のパフォーマンスによって変わり得る近似値である。
【0107】
本方法の多くの修正および変形が、当業者には明らかであるように、その精神および範囲から逸脱しないでなされ得る。本明細書に記載の具体的な実施形態は、単なる例として示され、それはいかなる点においても限定を意図していない。本明細書および実施例は例示としてのみ見なされることが意図され、本明細書に開示された実施形態の正確な範囲および精神は以下の請求項によって示される。