特許第6385381号(P6385381)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385381
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20180827BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20180827BHJP
   B60K 11/04 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   E02F9/00 D
   F01N3/08 B
   B60K11/04 B
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-55380(P2016-55380)
(22)【出願日】2016年3月18日
(65)【公開番号】特開2017-166293(P2017-166293A)
(43)【公開日】2017年9月21日
【審査請求日】2017年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒坂 尚生
(72)【発明者】
【氏名】菅原 浩紀
(72)【発明者】
【氏名】溝口 和彦
【審査官】 亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−144955(JP,A)
【文献】 特開2015−227555(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/097492(WO,A1)
【文献】 実開平06−018466(JP,U)
【文献】 特開2014−031643(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0266458(US,A1)
【文献】 米国特許第6390770(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
E02F 9/18
B60K 11/04
F01N 3/08
F01N 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体と、
前記走行体上に旋回可能に設けられた旋回体と、
前記旋回体上に設けられたエンジンルームと、
前記エンジンルームに隣接するラジエータスペースに配置され還元剤を貯留する還元剤タンクと、
前記エンジンルーム内に備えられる、エンジン、前記エンジンを駆動することで回転する冷却ファン、前記エンジンから排出される排気ガスに還元剤を噴射するインジェクタ、および前記インジェクタと前記還元剤タンクとを繋ぐ還元剤ホースと、
前記還元剤タンクと前記冷却ファンとの間に配置され、前記冷却ファンが回転することで発生する冷却空気で熱交換を行うことにより前記エンジンを冷却する熱交換器とを有した建設機械において、
前記熱交換器を載置するブラケットを備え、前記ブラケットは、下方が開放された断面略コ字状の強度部材から成り、前記還元剤タンクが配置される前記ラジエータスペース側に面した第1側板部と、前記エンジンルーム内側に面した第2側板部と、前記第1側板部及び前記第2側板部を繋ぐ天板部とを有して構成され、
前記第1側板部に前記還元剤ホースを挿通させるための第1切欠き部、前記第2側板部に前記還元剤ホースを挿通させるための第2切欠き部をそれぞれ設け、
前記還元剤ホースの一部は、前記第1切欠き部及び前記第2切欠き部を通して前記ブラケットの内部空間に配索される構成としたことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1切欠き部と前記還元剤ホースとの第1隙間及び前記第2切欠き部と前記還元剤ホースとの第2隙間のうち、少なくとも前記第2隙間は充填材で埋められる構成としたことを特徴とする建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械に関し、特に油圧ショベルにおけるエンジンルーム内の還元剤ホースの配索に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベル等の建設機械では、エンジン、熱交換器など駆動系の各種機器がエンジンルームに搭載されている。近年は、環境への配慮から、エンジンの排気ガスを浄化するための排気ガス後処理装置もエンジンルーム内に搭載されているのが一般的である。
【0003】
油圧ショベルのエンジンルーム内の各種機器の配置構成として、例えば特許文献1が公知である。この特許文献1には、「建設車両は、エンジンと、通過する空気との間で熱交換を行うことによりエンジンを冷却する冷却装置と、エンジンの排気ガス中の窒素酸化物を液体還元剤を用いて還元浄化する排気ガス浄化部と、液体還元剤を貯留する液体還元剤タンクと、外部から取り込まれ冷却装置へ送られる空気が通る通風空間S2を内部に有し、通風空間の下方において通風空間に面して配置される第1サイドフレーム部と、第1サイドフレーム部に対して通風空間を通る空気の流れ方向に距離を隔てて配置されるセンタフレームとを有する車両本体とを備える。そして、液体還元剤タンクは、第1サイドフレーム部とセンタフレームとの間の空間に配置される。」ことが記載されている(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−240678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
排気ガスを浄化するための還元剤として、一般に尿素水が用いられる。この尿素水は高温になると劣化し、また低温になると凍結するため、尿素水を供給するための還元剤ホースの配索は熱による影響を考慮する必要がある。その一方で、例えば、小旋回型の油圧ショベルにあっては、旋回体の前後方向の寸法に制約があり、このスペースに制約のある旋回体上に機器類を設置した場合、還元剤ホースの配索に十分なスペースを確保し難いという実状がある。
【0006】
特に、特許文献1のように、液体還元剤タンク(還元剤タンク)とインジェクタを含む排気ガス浄化部(排気ガス後処理装置)とが冷却装置(熱交換器ユニット)を挟んで左右に離れた位置に設けられる場合、エンジンルームを含む旋回体上の限られたスペース内で、還元剤ホースを熱による影響を考慮しつつ好適に配索することは容易ではない。そして、特許文献1では、還元剤ホースの配索について具体的な言及がなされておらず、還元剤ホースに対する熱による影響への対処やエンジンルームを含む旋回体上の限られたスペースを有効に活用して還元剤ホースを配索するという課題については考慮されていない。
【0007】
本発明は、上記した実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、還元剤ホースが熱による影響を受け難く、かつ、エンジンルームを含む旋回体上の限られたスペースを有効に活用して還元剤ホースの配索が可能な建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、走行体と、前記走行体上に旋回可能に設けられた旋回体と、前記旋回体上に設けられたエンジンルームと、前記エンジンルームに隣接するラジエータスペースに配置され還元剤を貯留する還元剤タンクと、前記エンジンルーム内に備えられる、エンジン、前記エンジンを駆動することで回転する冷却ファン、前記エンジンから排出される排気ガスに還元剤を噴射するインジェクタ、および前記インジェクタと前記還元剤タンクとを繋ぐ還元剤ホースと、前記還元剤タンクと前記冷却ファンとの間に配置され、前記冷却ファンが回転することで発生する冷却空気で熱交換を行うことにより前記エンジンを冷却する熱交換器とを有した建設機械において、前記熱交換器を載置するブラケットを備え、前記ブラケットは、下方が開放された断面略コ字状の強度部材から成り、前記還元剤タンクが配置される前記ラジエータスペース側に面した第1側板部と、前記エンジンルーム内側に面した第2側板部と、前記第1側板部及び前記第2側板部を繋ぐ天板部とを有して構成され、前記第1側板部に前記還元剤ホースを挿通させるための第1切欠き部、前記第2側板部に前記還元剤ホースを挿通させるための第2切欠き部をそれぞれ設け、前記還元剤ホースの一部は、前記第1切欠き部及び前記第2切欠き部を通して前記ブラケットの内部空間に配索される構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、還元剤ホースが熱による影響を受け難く、かつ、エンジンルームを含む旋回体上の限られたスペースを有効に活用して還元剤ホースの配索が可能な建設機械を提供できる。なお、上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る小旋回型油圧ショベルの側面図である。
図2図1に示す小旋回型油圧ショベルのエンジンルームの内部構成の概略を示す平面図である。
図3】エンジンルーム内の要部を下方から見た斜視図である。
図4】エンジンルーム内の要部を側方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る建設機械の実施形態ついて、図面を用いて説明する。図1は本発明に係る建設機械の代表例である小旋回型油圧ショベルの側面図、図2図1に示す小旋回型油圧ショベルのエンジンルームを含む旋回体上の内部構成の概略を示す平面図である。なお、以下の説明において、特に断らない限り、小旋回型油圧ショベルに搭乗して操作する作業者の視点を基準として前後左右を用いる。
【0012】
図1に示すように、小旋回型油圧ショベル(以下、油圧ショベルと言う)1は、走行体2と、この走行体2の上側に旋回可能に取り付けられる旋回体3と、を備える。ここで、小旋回型とは、旋回体の旋回径が走行体の車幅内にほぼ収まる型式のことを言い、例えば、油圧ショベルの旋回体の旋回径が車幅の約120%以内に収まれば、その油圧ショベルは小旋回型に分類される。勿論、本発明の技術的範囲が小旋回型油圧ショベルに限定されるものではない。
【0013】
旋回体3は、ベースとなる旋回フレーム10と、この旋回フレーム10の前方左側に配置されるキャブ7と、旋回フレーム10の前方中央に上下方向に回動可能に取り付けられるフロント作業機4と、旋回フレーム10の後方に配置されるカウンタウェイト6と、フロント作業機4とカウンタウェイト6との間に設置されるエンジンルーム5と、を含む。
【0014】
旋回フレーム10は、図2に示すように、旋回体3の中央に位置するセンタフレーム10aと、このセンタフレーム10aの左右に設けられたサイドフレーム10bと、を含む剛体から成り、センタフレーム10aの先端にフロント作業機4が取り付けられている。
【0015】
フロント作業機4は、図1に示すように、ブーム4a、アーム4b、バケット4c、及び油圧シリンダ(アクチュエータ)4d〜4fを含んで構成される。カウンタウェイト6は、フロント作業機4との重量バランスを取るためのもので、円弧状をした重量物として形成されている。なお、本実施形態に係るカウンタウェイト6は、旋回動作時でも旋回体3の後側が走行体2の車幅内にほぼ収まるように、旋回中心に近い位置に配置されている。このために、旋回体上のスペースは、通常の油圧ショベルと比べて狭くなっている。
【0016】
エンジンルーム5は、外装カバー9によって全体的に覆われている。外装カバー9の左側には、図示しないヒンジを介して左右方向に開閉する開閉扉55が設けられている。この開閉扉55には、エンジンルーム5内に外気(冷却風)を吸入する吸入口55a及び把手55bが設けられている。
【0017】
吸入口55aは、開閉扉55の上部に設けられ、外気に伴って大きなゴミがエンジンルーム5内へ入らないように細長く設定された複数のスリット状になっている。把手55bを引くことによって、開閉扉55を開いてエンジンルーム5内のメンテナンス作業等を行うようになっている。また、図示しないが、エンジンルーム5の外装カバー9の右側には、吸入口55aからエンジンルーム5内に吸入した外気を外部へ送出する送出口が形成されている。なお、符号8は、エンジン13(図2参照)から排出された排気ガスを外部へ放出する尾管である。
【0018】
次に、エンジンルーム5の内部構成について説明する。図2に示すように、エンジンルーム5は、エンジン13と、このエンジン13と熱交換を行う熱交換器ユニット(熱交換器)21と、還元剤である尿素水を貯留する尿素水タンク(還元剤タンク)11と、排気ガスを浄化するための装置であって、排気ガスに尿素水を噴射するためのインジェクタ14を含む排気ガス後処理装置16と、インジェクタ14に尿素水を供給するためのポンプ12と、作動油を貯留する作動油タンク17と、を備える。なお、符号15は還元剤触媒である。
【0019】
また、エンジンルーム5には、図示しないが、エンジン13によって駆動され、フロント作業機4の油圧シリンダ4d〜4f等に圧油を供給する油圧ポンプ、キャブ7内の空調を行うための圧縮機、オルタネータ、レベルゲージ、リザーブタンク等が設けられている。
【0020】
エンジン13は、左、右方向に延在する横置き状態に搭載されている。また、エンジン13の左端部には、冷却ファン18が取り付けられている。冷却ファン18は、エンジン13を動力源として回転駆動されることで、吸入口55a(図1参照)を介して外気を外装カバー9内に吸込む。外装カバー9内に吸い込まれた冷却風は、エンジンルーム5内に設置された各種機器を冷却した後、送出口(図示せず)等から大気へ排出される。即ち、本実施形態では、冷却風は、旋回体3の左から右(図2の上から下)に向かって流れる。そして、冷却風の流れに対向するように熱交換器ユニット21が配置される。
【0021】
熱交換器ユニット21は、エンジン13用の冷却水を冷却するラジエータと、フロント作業機4を作動させる作動油を冷却するオイルクーラと、エンジン13の吸気を冷却するインタクーラとを有して構成され、冷却ファン18に対して冷却風の流れの上流側、即ち、冷却ファン18の左側に配置される。熱交換器ユニット21は、メンテナンス性を考慮して、ラジエータとオイルクーラとインタクーラとが一体となった状態で旋回フレーム10上に取り付けられ、それぞれの熱交換器のコアを取り外し可能となっている。
【0022】
エンジンルーム5に隣接するエンジンルーム5に対し車体左側のスペースには、熱交換器ユニット21が設けられている。冷却風の流れの上流側から下流側に向かって、熱交換器ユニット21、冷却ファン18(冷却ファン18を囲むファンシュラウド18aを含む)、エンジン13の順にそれぞれが配置される。そして、熱交換器ユニット21(厳密にはファンシュラウド18a)を挟んで冷却空気の上流側に第1空間SP1、下流側に第2空間SP2が形成されている。即ち、エンジンルーム5は、熱交換器ユニット21におけるファンシュラウド18aと、カウンタウェイト6に対して車体前側であってエンジン13に対し車体後方に設けられた後方側の仕切り板と、エンジン13に対し車体前側に設けられた前側の仕切り板と、エンジン13に対し車体右側に位置した油圧ポンプと隔てられた車体右側の仕切り板とによって仕切られた第2空間SP2として形成して構成されている。
【0023】
第1空間SP1は、ラジエータスペースとして形成されたスペースであって、冷却空気の上流側であるため、第1空間SP1内の温度はエンジンルーム5(第2空間SP2)内の温度に比べて低温である。そこで、温度管理が重要となる尿素水タンク11は、第1空間SP1内に設置している。これにより、尿素水タンク11に貯留されている尿素水は好適な温度に保たれる。一方、ポンプ12、エンジン13、インジェクタ14を含む排気ガス後処理装置16等は、第2空間SP2に設置されている。そのため、第2空間SP2はエンジン13等の排熱により高温の状態となる。
【0024】
尿素水タンク11とポンプ12、ポンプ12とインジェクタ14とは、それぞれ尿素水ホース(還元剤ホース)25によって接続されており、尿素水タンク11に貯留されている尿素水は尿素水ホース25を介して、ポンプ12によって吸引され、ポンプ12によって尿素水ホース25を介してインジェクタ14まで送り出される。そして、エンジン13から排出された排気ガスに対して、インジェクタ14から尿素水が噴射される。尿素水から生成されるアンモニアが、還元剤触媒15において排気ガス中に含まれる有害な窒素酸化物を還元して無害な水と窒素に分解する。浄化処理後の排気ガスは、尾管8(図1参照)から排出される。
【0025】
本実施形態において、尿素水ホース25は、例えばエンジン13の冷却水(温水)が流れる冷却水ホースと束ねられて1つの複合体を構成している。このように構成すると、尿素水ホース25内の尿素水は、冷却水ホース内の温水から吸熱して自身の凍結を防止することができる。勿論、尿素水ホース25単体で配索される構成としても良い。
【0026】
また、図示しないが、尿素水ホース25は、凍結を防止したり損傷を防止したりする目的で断熱材により全体が被覆されている。さらに、第2空間SP2内において配索される尿素水ホース25は、特に熱影響を受けるため、部分的に厚手の断熱材28で被覆されている(図3,4参照)。即ち、第1空間SP1内に配索される尿素水ホース25より、第2空間SP2内に配索される尿素水ホース25の方が断熱材の厚さを厚くしている。なお、第1空間SP1内に配索される尿素水ホース25を覆うための断熱材は、油圧ショベル1の使用環境下に応じて適宜決定される。
【0027】
次に、熱交換器ユニット21の取付構造と、尿素水ホース25の配索の詳細について説明する。図3はエンジンルーム内の要部を下方から見た斜視図、図4はエンジンルーム内の要部を車体後方側から見た図である。これらの図に示すように、熱交換器ユニット21は、旋回フレーム10のサイドフレーム10bに取り付けられたブラケット30に載置されている。
【0028】
ブラケット30は、下方が開放された断面略コ字状の金属製の強度部材であって、還元剤タンク11が配置されるラジエータスペース側に面した第1空間SP1側(左側)の第1側板部32と、エンジンルーム5の内側に面した第2空間SP2側(右側)の第2側板部33と、第1側板部32及び第2側板部33を繋ぐ天板部31とにより構成される。第1側板部32には尿素水ホース25を挿通させるための第1切欠き部34、第2側板部33には尿素水ホース25を挿通させるための第2切欠き部35がそれぞれ設けられている。
【0029】
第1切欠き部34はブラケット30の後端近傍に設けられ、第2切欠き部35はブラケット30の長手方向における略中央の位置に設けられている。即ち、第1切欠き部34と第2切欠き部35とは、前後方向(図2の左右方向)にずれた位置関係にある。
【0030】
尿素水タンク11とポンプ12とを尿素水ホース25で接続するためには、まず尿素水ホース25の一端を尿素水タンク11に接続する。次いで、尿素水ホース25の他端を第1切欠き部34に通し、ブラケット30の内部空間SP3内で尿素水ホース25をクランク状に折り曲げながら、尿素水ホース25の他端を第2切欠き部35に通して第2空間SP2に導く。その後、尿素水ホース25の他端をポンプ12に接続すれば、尿素水タンク11とポンプ12との間の尿素水ホース25の配索は完了する。
【0031】
この際、尿素水ホース25はなるべくエンジンルーム5の底部を這わせるようにして配索するのが好ましい。尿素水ホース25がエンジンルーム5内の高い位置に配索されていると、万一、尿素水ホース25に亀裂が入るなどして尿素水が漏れた場合に、漏れた尿素水によりエンジン13等が腐食してしまう虞があるからである。また同様に、ポンプ12とインジェクタ14との間の配索も、なるべくエンジンルーム5内の底部を這わせるようにして行われる。
【0032】
さらに、第1切欠き部34と尿素水ホース25との間の第1隙間41、及び第2切欠き部35と尿素水ホース25との間の第2隙間42には、例えばウレタン樹脂等から成る充填材40を埋め込んでいる。こうすることで、第2内部空間SP2の高温の空気が、前記隙間を通って第1内部空間SP1に浸入することを防止できる。
【0033】
なお、本実施形態では、第1隙間41及び第2隙間42を充填材40で埋める構成としたが、高温の空気が浸入するのを防止するという観点からは、少なくとも第2隙間42を充填材40で埋めるようにすれば良い。こうすると、充填材40の使用量を減らすことができるため、コスト低減となる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態によれば、デッドスペースとなるブラケット30の内部空間SP3を有効に使って、尿素水ホース25を効率良く配索できる。また、ブラケット30によって尿素水ホース25が物理的に保護されているうえ、さらに、充填材40によって内部空間SP3がシールされており、内部空間SP3内に配索される尿素水ホース25は第2空間SP2からの熱の影響を受け難い。そのため、尿素水ホース25のうち内部空間SP3内で覆われている部分については、損傷防止のために別途保護部材で被覆する必要はなく、また尿素水ホース25を厚手の断熱材で覆う必要もない。よって、尿素水ホース25の配索における作業時間の短縮、コスト削減、さらには尿素水の劣化防止など種々の優れた効果が期待できる。
【0035】
なお、上述した実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 小旋回型油圧ショベル(建設機械)
2 走行体
3 旋回体
5 エンジンルーム
11 尿素水タンク(還元剤タンク)
13 エンジン
14 インジェクタ
16 排気ガス後処理装置
18 冷却ファン
21 熱交換器ユニット(熱交換器)
25 尿素水ホース(還元剤ホース)
30 ブラケット
31 天板部
32 第1側板部
33 第2側板部
34 第1切欠き部
35 第2切欠き部
40 充填材
41 第1隙間
42 第2隙間
SP1 第1空間
SP2 第2空間
SP3 ブラケットの内部空間
図1
図2
図3
図4