特許第6385393号(P6385393)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385393
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】車両に横方向に取り付ける排気マフラ
(51)【国際特許分類】
   F01N 13/00 20100101AFI20180827BHJP
   B60K 13/04 20060101ALI20180827BHJP
   F01N 1/08 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   F01N13/00 Z
   B60K13/04 A
   F01N1/08 K
【請求項の数】24
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-106414(P2016-106414)
(22)【出願日】2016年5月27日
(65)【公開番号】特開2017-20496(P2017-20496A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2016年5月27日
(31)【優先権主張番号】10 2015 108 495.3
(32)【優先日】2015年5月29日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513212291
【氏名又は名称】エーバーシュペッヒャー・エグゾースト・テクノロジー・ゲーエムベーハー・ウント・コンパニー・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アーヌルフ シュピート
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル メスゲナ
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム ミュラー
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ロートフース
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ヴァイス
【審査官】 稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−118892(JP,A)
【文献】 特開2013−091410(JP,A)
【文献】 特開平05−069862(JP,A)
【文献】 特開2005−178649(JP,A)
【文献】 特開2011−093344(JP,A)
【文献】 特開2006−307667(JP,A)
【文献】 特開2001−221030(JP,A)
【文献】 特開2001−159306(JP,A)
【文献】 特開2004−36402(JP,A)
【文献】 実開昭60−57716(JP,U)
【文献】 実開平6−60721(JP,U)
【文献】 特開昭61−169611(JP,A)
【文献】 米国特許第4936412(US,A)
【文献】 独国特許出願公開第3120212(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 1/00−13/20
B60K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に横方向に取り付ける排気マフラであって、ケーシング長手方向軸線(G)の方向に細長く延びるマフラケーシング(26)を備え、該マフラケーシング(26)は、ケーシング周壁(28)と、前記ケーシング長手方向軸線(G)の方向に互いに間隔を開けて配置されかつ前記ケーシング周壁(28)と共にマフラ内室(34)を包囲する2つの端面壁(30,32)と、を有しており、前記マフラ内室(34)には少なくとも1つの入口パイプ(36)が通じており、前記マフラ内室(34)からは少なくとも1つの出口パイプ(20)が導出されており、前記ケーシング周壁(28)は、所定の平坦化方向に平坦化された横断面を備えて形成されており、前記所定の平坦化方向は、車両長手方向(L)に相当するものにおいて、
少なくとも1つの前記入口パイプ(36)及び/又は少なくとも1つの前記出口パイプ(20)及び/又は少なくとも1つの中間パイプ(74)が、前記所定の平坦化方向において平坦化された横断面を備えて形成されており、
少なくとも1つの平坦化された前記入口パイプ(36)及び少なくとも1つの平坦化された前記出口パイプ(20)及び/又は少なくとも1つの平坦化された前記中間パイプ(74)が、前記ケーシング長手方向軸線(G)に対して横方向の第1のずれ方向と、前記ケーシング長手方向軸線(G)に対して横方向であり、前記第1のずれ方向に直交する第2のずれ方向とにおいて、互いにずらされており、
前記第1のずれ方向は、前記車両長手方向(L)に相当し、且つ前記第2のずれ方向は、車両高さ方向(H)に相当することを特徴とする、排気マフラ。
【請求項2】
少なくとも1つの前記端面壁(30,32)が、少なくとも1つの目標変形領域(50,52)を有している、請求項1記載の排気マフラ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの目標変形領域(50,52)は、前記ケーシング長手方向軸線(G)に対して直交しない少なくとも1つの壁領域(54,56)を有している、請求項2記載の排気マフラ。
【請求項4】
前記壁領域(54,56)は、アーチ状、波状、溝状、又はZ状に形成されている、請求項3記載の排気マフラ。
【請求項5】
前記出口パイプ(20)は、前記マフラ内室(34)内に配置された少なくとも1つの中間壁(48)を貫通していると共に、前記ケーシング長手方向軸線(G)に対して傾けられた少なくとも1つの支持機構(58)を介して、前記少なくとも1つの中間壁(48)に対して支持されており、及び/又は前記少なくとも1つの中間壁(48)は、前記ケーシング周壁(28)に対して中間壁傾動構造(60)を介して支持されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の排気マフラ。
【請求項6】
前記出口パイプ(20)は、前記少なくとも1つの中間壁(48)を、前記ケーシング長手方向軸線(G)に対して平行に延びる出口パイプ領域(38)でもって貫通しており、及び/又は前記中間壁傾動構造(60)は、前記ケーシング周壁(28)に、前記ケーシング長手方向軸線(G)に対して傾けられた少なくとも1つの中間壁支持面領域(62,64)を有している、請求項5記載の排気マフラ。
【請求項7】
前記中間壁傾動構造(60)は、前記ケーシング長手方向軸線(G)に対して傾けられた複数の中間壁支持面領域(62,64)を前記ケーシング周壁(28)に有している、請求項6記載の排気マフラ。
【請求項8】
記ケーシング周壁(28)は、車両長手方向(L)に直交して位置決めされるべき、平らな側壁(88,90)を有している、請求項1から7までのいずれか1項記載の排気マフラ。
【請求項9】
前記平坦化された横断面は、丸い横断面であるか、又は方形の横断面である、請求項1からまでのいずれか1項記載の排気マフラ。
【請求項10】
前記平坦化された横断面は、卵形又は楕円形の横断面である、請求項記載の排気マフラ。
【請求項11】
少なくとも1つの前記入口パイプ(36)及び/又は少なくとも1つの前記出口パイプ(20)は、少なくとも1つの目標変形領域(66,86)を有している、請求項1から10までのいずれか1項記載の排気マフラ。
【請求項12】
前記少なくとも1つの目標変形領域(66,86)は、波状又はベローズ状に形成された長さ領域、及び/又はスリットを備えて形成された長さ領域、及び/又は湾入部又は湾出部を備えて形成された長さ領域、及び/又は平坦化された横断面を備えて形成された長さ領域、及び/又は前記車両長手方向(L)に対して傾けられて延在する長さ領域を有している、請求項11記載の排気マフラ。
【請求項13】
少なくとも1つの前記出口パイプ(20)は、前記ケーシング長手方向軸線(G)の方向に延びる長さ領域(38)と、前記ケーシング長手方向軸線(G)に直交して延びる長さ領域(40)への移行領域(42)とを有しており、該移行領域(42)に、前記少なくとも1つの目標変形領域(66)が設けられている、請求項11又は12記載の排気マフラ。
【請求項14】
少なくとも1つの前記出口パイプ(20)は、前記マフラケーシング(26)の外側に、前記ケーシング長手方向軸線(G)に直交して延びる長さ領域(40)を有しており、該長さ領域(40)から、前記出口パイプ(20)が貫通している前記端面壁(32)までの間隔(D)に対する、前記長さ領域(40)の横断面寸法の比率が、0.1〜0.2の範囲にある、請求項1から13までのいずれか1項記載の排気マフラ。
【請求項15】
前記長さ領域(40)から、前記出口パイプ(20)が貫通している前記端面壁(32)までの間隔(D)に対する、前記長さ領域(40)の直径(d)の比率が、0.1〜0.2の範囲にある、請求項14記載の排気マフラ。
【請求項16】
少なくとも1つの前記入口パイプ(36)及び/又は少なくとも1つの前記出口パイプ(20)及び/又は少なくとも1つの前記中間パイプ(74)は、前記マフラ内室(34)内に設けられた少なくとも1つの中間壁(46,48)を、パイプ貫通開口(78,80)の領域において貫通しており、前記中間壁(46,48)に、パイプ(20,36,74)が通っていない少なくとも1つの開口(76)が設けられており、及び/又は少なくとも1つの前記パイプ貫通開口(78,80)は、該パイプ貫通開口(78,80)を貫通する前記パイプ(20,36,74)の横断面積よりも大きな開口横断面積を有している、請求項1から15までのいずれか1項記載の排気マフラ。
【請求項17】
前記少なくとも1つの開口(76)及び/又は前記少なくとも1つのパイプ貫通開口(78,80)は、丸い開口横断面幾何学形状を有している、請求項16記載の排気マフラ。
【請求項18】
前記少なくとも1つの開口(76)及び/又は前記少なくとも1つのパイプ貫通開口(78,80)は、卵形又は楕円形の開口横断面幾何学形状を有している、請求項17記載の排気マフラ。
【請求項19】
前記少なくとも1つの開口(76)及び/又は前記少なくとも1つのパイプ貫通開口(78,80)を起点として、少なくとも1つの弱化領域(82)が、前記中間壁(46,48)に設けられている、請求項16から18までのいずれか1項記載の排気マフラ。
【請求項20】
前記弱化領域(82)は、スリット状に設けられている、請求項19記載の排気マフラ。
【請求項21】
少なくとも2つの前記弱化領域(82)によって、1つの変形舌片(84)が供与されている、請求項19又は20記載の排気マフラ。
【請求項22】
前記マフラケーシング(26)は、前記ケーシング長手方向軸線(G)に対して傾けられて延びる少なくとも1つの支持機構(68)を介して、支持体構造(70)に支持されているか又は支持され得る、請求項1から21までのいずれか1項記載の排気マフラ。
【請求項23】
前記マフラ内室(34)内に、前記少なくとも1つの中間壁(46,48)が設けられており、前記マフラケーシング(26)の前記ケーシング長手方向軸線(G)の方向に関して、前記少なくとも1つの中間壁(46,48)から前記少なくとも1つの支持機構(68)の支持領域(72)までの間隔が、少なくとも50mmである、請求項16から21までのいずれか1項記載の排気マフラ。
【請求項24】
請求項1から23までのいずれか1項記載の排気マフラを有する自動車において、前記排気マフラは、自動車の後部領域に、車両横方向に向けられたマフラケーシングのケーシング長手方向軸線を有して配置されていることを特徴とする、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に横方向に取り付ける排気マフラであって、ケーシング長手方向軸線の方向に細長く延びるマフラケーシングを備え、マフラケーシングは、ケーシング周壁と、ケーシング長手方向軸線の方向に互いに間隔を開けて配置されかつケーシング周壁と共にマフラ内室を包囲する2つの端面壁と、を有しており、マフラ内室には少なくとも1つの入口パイプが通じており、マフラ内室からは少なくとも1つの出口パイプが導出されているものに関する。
【背景技術】
【0002】
このような排気マフラは、独国特許出願公開第102013214612号明細書から知られている。ケーシング長手方向軸線を車両横方向に向けて取り付けるべき、このような既知のマフラの場合は、マフラ内室に、複数のパイプ部材が貫通している複数の中間壁が配置されており、中間壁によって互いに隔離されたマフラ内室の各容積範囲間の音響結合と、排気流の接続とを可能にしている。中間壁は、例えば別の車両が後面衝突した場合に発生し得るような、車両長手方向に作用する力のマフラ内への導入時に、マフラが力導入方向に、つまり実質的に車両長手方向に変形するほど柔軟であるように形成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、特に車両長手方向に力が導入された場合に、エネルギ低下に寄与する排気マフラの変形が保証されている、車両に横方向に取り付ける排気マフラを設けることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に基づき上記課題を解決する、車両に横方向に取り付ける排気マフラは、ケーシング長手方向軸線の方向に細長く延びるマフラケーシングを備え、マフラケーシングは、ケーシング周壁と、ケーシング長手方向軸線の方向に互いに間隔を開けて配置されかつケーシング周壁と共にマフラ内室を包囲する2つの端面壁と、を有しており、マフラ内室には少なくとも1つの入口パイプが通じており、マフラ内室からは少なくとも1つの出口パイプが導出されている。
【0005】
更に、少なくとも1つの端面壁は、少なくとも1つの目標変形領域を有している。
【0006】
従来技術から知られている排気マフラの場合は、マフラケーシングの内部に設けられた構成部材、特に中間壁が、変形するほど柔軟に形成されているのに対して、本発明による排気マフラの場合は、少なくとも1つの端面壁、好適には両方の端面壁に、少なくとも1つの目標変形領域を設けることにより、力導入時には既にマフラケーシング自体が比較的変形し易くなっており、ひいてはマフラケーシングに導入されるエネルギの主要成分を吸収するようになっている。このことは、例えば後面衝突時に排気マフラが車両内で、排気マフラの範囲に存在する車両の別の系範囲、例えば燃料タンクと衝突するほど大幅に押しずらされたり又は変形したりする危険性を減じている。
【0007】
少なくとも1つの目標変形領域は、ケーシング長手方向軸線に対して直交しない少なくとも1つの壁領域を有していてよく、これにより、ケーシング長手方向軸線が車両横方向に向けられている場合、このような壁領域は、車両長手方向ひいては後面衝突時の力導入方向に対しても傾けられていることになる。このような壁領域は、例えばアーチ状、波状、溝状、又はZ状に形成されていてよい。このような壁領域又は壁領域により形成される端面壁の比較的容易な変形に寄与する、上記のような各形状付与を組み合わせることも可能である。
【0008】
それ自体のみでも有利ではあるが、特に上述した構成の態様と組み合わせることもできる本発明の別の態様に基づき提案されるのは、出口パイプが、マフラ内室内に配置された少なくとも1つの中間壁を貫通していると共に、ケーシング長手方向軸線に対して傾けられた少なくとも1つの支持機構を介して、少なくとも1つの中間壁に対して支持されていること、及び/又は少なくとも1つの中間壁が、ケーシング周壁に対して中間壁傾動構造を介して支持されていることである。
【0009】
出口パイプが、ケーシング長手方向軸線に対して傾けられた支持機構を介して中間壁に支持されることにより、中間壁自体が、例えば従来技術から知られているような、中間壁の容易な変形を保証する構造を有して形成されていなくとも、車両長手方向に、つまりマフラケーシングのケーシング長手方向軸線に対して実質的に直交するように出口パイプに荷重が加えられると、中間壁の変形を支援する力が中間壁に導入されることになる。このような中間壁において代替的又は付加的に実現されるべき構成では、中間壁は、力導入時に、中間壁傾動構造によって全体的にマフラケーシングに対して傾けられるようになっており、これが、マフラケーシングの総剛性の低下又はエネルギ低下の改善に寄与する。
【0010】
排気マフラは、出口パイプが、ケーシング長手方向軸線に対して実質的に平行に延びる出口パイプ領域でもって少なくとも1つの中間壁を貫通するように形成されていてもよいし、及び/又は中間壁傾動構造が、ケーシング長手方向軸線に対して傾けられた少なくとも1つ、好適には複数の中間壁支持面領域を有するように、ケーシング周壁に形成されていてもよい。
【0011】
それ自体で有利ではあるが、上述した態様と組み合わせることもできる更に別の態様に基づき提案されるのは、少なくとも1つの入口パイプ及び/又は少なくとも1つの出口パイプ及び/又は少なくとも1つの中間パイプが、所定の平坦化方向において平坦化された横断面を有して形成されていること、及び/又は少なくとも1つの入口パイプ及び少なくとも1つの出口パイプ及び/又は少なくとも1つの中間パイプが、ケーシング長手方向軸線に対して実質的に横方向の第1のずれ方向と、ケーシング長手方向軸線に対して実質的に横方向であり第1のずれ方向に実質的に直交する第2のずれ方向とにおいて、互いにずらされていることである。所定の平坦化方向において入口パイプ又は出口パイプを形成すると、結果的にこの平坦化方向に力が導入された場合に、このようなパイプは円形横断面を有するパイプよりもはるかに変形し易くなっており、これは排気マフラ全体の比較的容易な変形を支援する。入口パイプを出口パイプに対して、これらが力導入方向において直接に連続して配置されないようにずらすことも、衝突時の容易な変形ひいては排気マフラにおけるエネルギ低下を支援するものである。
【0012】
上述した態様と組合せることもできる本発明の更に別の態様に基づき提案されるのは、ケーシング周壁が、所定の平坦化方向に平坦化された横断面を有して形成されていること、及び/又はケーシング周壁が、車両長手方向に実質的に直交して位置決めされるべき、ほぼ平らな側壁を有していることである。
【0013】
ケーシング周壁の平坦化も、力導入時にケーシング周壁が平坦化方向に比較的容易に変形できることにつながり、その結果、排気マフラの総剛性が低下すると共に、排気マフラの変形時のエネルギ低下が増大することになる。実質的に平らな、つまり実質的に湾曲されていない、車両長手方向に直交するように位置決めされた、つまり車両横方向と車両高さ方向とに伸長させられた側壁を備えたケーシング周壁の構成は、車両長手方向に力が導入された場合に、マフラケーシング又はマフラケーシングのケーシング周壁の比較的容易な変形を保証するものである。
【0014】
一般に、車両の後部領域に配置された、ケーシング長手方向軸線が車両横方向に向けられた排気マフラの場合は、後面衝突時の力導入が、実質的に車両長手方向に行われると仮定されることから、平坦化方向及び/又は第1のずれ方向は、実質的に車両長手方向に相当し、及び/又は第2のずれ方向は、実質的に車両高さ方向に相当することになる。
【0015】
平坦化された横断面は、丸い横断面であってよく、好適には卵形又は楕円形であってもよいし、又は実質的に方形の横断面であってもよい。
【0016】
上述した構成の態様と組み合わせることもできる本発明の更に別の態様に基づき提案されるのは、少なくとも1つの入口パイプ及び/又は少なくとも1つの出口パイプが、少なくとも1つの目標変形領域を有していることである。入口パイプ又は出口パイプに1つ又は複数の目標変形領域を設けることにより、このようなパイプ領域では力導入時に、比較的容易に変形が達成されることになる。これは、エネルギ低下に寄与すると共に、このようなパイプを介して排気案内系の他の系範囲に力が伝達される危険性を低下させる。
【0017】
この場合、例えば、少なくとも1つの目標変形領域は、波状又はベローズ状に形成された長さ領域、及び/又はスリットを備えて形成された長さ領域、及び/又は湾入部又は湾出部を備えて形成された長さ領域、及び/又は平坦化された横断面を備えて形成された長さ領域、及び/又は車両長手方向に対して傾けられて延在する長さ領域を有していると考えられる。
【0018】
このような目標変形領域に供与されたエネルギ低下容量は、少なくとも1つの出口パイプが、実質的にケーシング長手方向軸線の方向に延びる長さ領域と、実質的にケーシング長手方向軸線に直交して延びる長さ領域への移行領域とを有しており、かつ移行領域に、少なくとも1つの目標変形領域が設けられていることによって、特に有効に利用され得る。
【0019】
それ自体のみでも特に有利ではあるが、上述した態様と組み合わせることもできる本発明の更に別の態様に基づき提案されるのは、少なくとも1つの出口パイプが、マフラケーシングの外側に、実質的にケーシング長手方向軸線に直交して延びる長さ領域を有しており、この長さ領域から、出口パイプが貫通している端面壁までの間隔に対する、上記長さ領域の横断面寸法、好適には直径の比率が、0.1〜0.2の範囲にあることである。
【0020】
排気マフラをこのように形成すると、出口パイプの領域において比較的大きな作用てこが保証され、これにより、比較的小さな力でも、大きな作用てこに基づき排気マフラの変形ひいてはエネルギ低下を生ぜしめることができるようになるので、車両内で排気マフラが全体的に押しずらされる危険性が減じられることになる。
【0021】
上述した態様と組み合わせることもできる本発明の更に別の態様では、少なくとも1つの入口パイプ及び/又は少なくとも1つの出口パイプ及び/又は少なくとも1つの中間パイプが、マフラ内室内に設けられた少なくとも1つの中間壁を、パイプ貫通開口の領域において貫通しており、かつ中間壁に、パイプが通っていない少なくとも1つの開口が設けられており、及び/又は少なくとも1つのパイプ貫通開口は、このパイプ貫通開口を貫通するパイプの横断面積よりも大きな開口横断面積を有していることが想定されていてよい。
【0022】
このような開口又はパイプ貫通開口を設けることにより、車両又は排気マフラへの力導入時に、このように形成された中間壁の比較的容易な変形ひいては排気マフラの剛性の低下をもたらす弱化部が、中間壁の領域に形成されることになる。
【0023】
この場合、例えば、少なくとも1つの開口及び/又は少なくとも1つのパイプ貫通開口は、丸い、好適には卵形又は楕円形の開口横断面幾何学形状を有していることが想定されてよい。比較的容易な変形を支援する中間壁の別の弱化部は、少なくとも1つの開口及び/又は少なくとも1つのパイプ貫通開口を起点として、少なくとも1つの好適にはスリット状の弱化領域が、中間壁に設けられていることによって達成され得る。この場合は特に、少なくとも2つの弱化領域によって1つの変形舌片が供与されていることが想定されてよい。
【0024】
上述した構成の変化態様と組み合わせることもできる、本発明の更に別の独立した態様に基づき提案されるのは、マフラケーシングが、ケーシング長手方向軸線に対して傾いて延びる少なくとも1つの支持機構を介して、支持体構造に支持されている、又は支持され得る、ということである。ケーシング長手方向軸線に対してこのように傾いて延び、それゆえ横方向に取り付けられる排気マフラの場合は車両長手方向に対しても傾いて延びる支持機構によって、車両長手方向に力が導入されたときに、排気マフラを車両長手方向に押しずらす恐れがある、上記方向でマフラケーシングに伝達される力成分が、減少することになる。
【0025】
この効果を、排気マフラ、特に排気マフラのマフラケーシングの比較的容易な変形によっても支援するために更に提案されるのは、ケーシング内室内に少なくとも1つの中間壁が設けられており、マフラケーシングのケーシング長手方向軸線の方向に関して、少なくとも1つの中間壁から、少なくとも1つの支持機構の支持領域までの間隔が、少なくとも50mmである、ということである。
【0026】
本発明は更に、本発明により形成された排気マフラを備える自動車に関し、この場合、排気マフラは、好適には自動車の後部領域に、実質的に車両横方向に向けられたマフラケーシングのケーシング長手方向軸線を有して配置されている。
【0027】
以下、添付の図面に基づき本発明を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】横方向に取り付けられる排気マフラが装備された車両の原理図である。
図2】車両に横方向に取り付ける排気マフラの原理図である。
図3】排気マフラの横断面原理図である。
図4】排気マフラの別の横断面原理図である。
図5】排気マフラを上から見た原理図である。
図6】マフラケーシングの横断面原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1には、排気案内系10を装備した車両が全体的に符号12で示されている。排気案内系10は、例えば車両のシャシー又はフレームに支持された、車両長手方向Lに延在する排気案内トレーン14と、車両の後部領域16においてケーシング長手方向軸線Gが実質的に車両横方向Qに延在するように取り付けられた排気マフラ18と、を有している。排気マフラ18を通流する排気は、一般にテールパイプとも呼ばれる出口パイプ20を通って排気案内系10から排出される。
【0030】
障害物22、例えば別の車両が後面衝突した場合には、一般に、車両長手方向Lに対して平行な主要延在成分を有する力Fが、車両12又は車両12の後部領域16に導入されることになる。後部領域16に導入されたこのような力Fにより、排気案内系10、特に後部領域16に位置決めされた排気マフラ18が車両12内で押しずらされて、車両の別の系範囲、例えばタンク24に衝突する危険が生じる。これを回避するために、以下で説明する構成の各態様は、排気マフラ18の領域において、排気マフラ18がより一層変形しやすくなるように機能するものである。これにより、特に実質的に車両長手方向Lの方向で力Fが導入されると、排気マフラ18においてエネルギが吸収され、排気マフラ18が車両12内で過度に押しずらされる危険性が減少する。
【0031】
図2には、排気マフラ18を上から見た原理図が示されている。排気マフラ18は、例えばほぼ円筒形に形成された、ケーシング長手方向軸線Gの方向に細長いケーシング周壁28を有するマフラケーシング26を備えている。ケーシング周壁28は、ケーシング長手方向軸線Gの方向に位置するその両端部領域において、それぞれ端面壁30又は32と、例えば材料接続的な結合によって固く結合されている。ケーシング周壁28は、両端面壁30,32と共に、マフラ内室34を包囲している。
【0032】
マフラ内室34には、例えば端面壁30を貫通して出口パイプ又は入口パイプ36が通じている。既に図1でも認識可能な出口パイプ20は、端面壁32を貫通してマフラ内室34から導出されている。代替的な構成では、入口パイプ36はケーシング周壁28を貫通してマフラ内室34内に延びていてよく、この場合入口パイプ36は、マフラ内室34内に通じているその長さ領域で以て、図2に図示したように実質的に車両横方向Qに延びるように位置しているのではなく、実質的に車両長手方向Lに延びていることになる。
【0033】
出口パイプ20は、実質的にケーシング長手方向軸線Gの方向に延び、端面壁32をも貫通する長さ領域38を有していると共に、ケーシング長手方向軸線Gに対してひいては車両横方向Qに対しても実質的に直交する、車両長手方向軸線Lの方向に向けられた長さ領域40を有している。長さ領域38は、湾曲された移行領域42において長さ領域40に移行している。出口パイプ20の、マフラ内室34の外側に位置する端部44において、内燃機関により生ぜしめられた燃焼排気が、排気案内系10から周辺環境に排出されてよい。
【0034】
マフラ内室34内には、ケーシング長手方向軸線Gの方向に、図示の例では2つの中間壁46,48が配置されている。これらは、その外周領域において、ケーシング周壁28に結合されている。入口パイプ36がケーシング長手方向軸線Gの方向に向けられている場合、この入口パイプ36は、端面壁30の近くに位置する中間壁46をも貫通していてよい。出口パイプ20の長さ領域38は、図示の例では端面壁32だけでなく、中間壁48をも貫通している。中間壁46,48によって、マフラ内室34は、一部は排気が通流可能であり、一部は主として消音機能を供与するためにも設けられた又は形成された複数の容積範囲に分割される。指摘しておくと、マフラ内室34内には、3つ以上の中間壁又は場合によっては単一の中間壁だけが設けられていてもよい。更に、入口パイプ36がケーシング周壁28を貫通してマフラ内室34内に延びている構成では、マフラ内室34内に1つ又は複数の中間パイプが設けられていてよく、これらの中間パイプは、中間壁によって互いに隔離された各容積範囲を接続する。このような中間パイプは、例えば実質的にケーシング長手方向軸線Gの方向に延びていてよい。すなわち、出口パイプ20の長さ領域38に対して実質的に平行に配置されていてよい。
【0035】
排気マフラ18の上述した全ての構成部材、すなわち、ケーシング周壁28、端面壁30,32、入口パイプ36、出口パイプ20及び中間壁46,48は、好適には金属材料、特に金属薄板材料から形成されている。このような材料は基本的に、十分に大きな力が導入された場合に排気マフラの変形を保証する。例えば別の車両の後面衝突時に、実質的に車両長手方向Lに向けられた力Fが導入された場合に、排気マフラが比較的容易に変形可能であることに基づき、エネルギ低下に寄与し、ひいては排気マフラ18が車両12内で押しずらされる危険を減じるために、排気マフラ18は、以下で詳しく説明する種々様々な構成の態様で形成されている。これらの態様は、それ自体が個別に排気マフラにおいて実現されていてもよいが、互いに任意に組み合わされて設けられていてもよい。
【0036】
図2では、出口パイプ20が貫通している端面壁32は、端面壁30と異なり、全ての領域においてケーシング長手方向軸線Gに実質的に直交するように向けられて配置されているのではなく、1つ又は複数の目標変形領域50,52を有していることが分かる。これらの目標変形領域50,52において端面壁32は、ケーシング長手方向軸線Gに直交するように向けられているのではなく、ケーシング長手方向軸線Gに対して傾けられた、1つ又は複数の壁領域54,56を備えて形成されている。このような壁領域を設けることにより、実質的に車両長手方向Lに向けられた力Fが導入された場合に端面壁32が比較的容易に変形することができるようになっており、その結果、マフラケーシング26自体の剛性は、より小さくなる。同じ構成は、入口パイプ36が他方の端面壁30を貫通して延びているか否かに関係なく、もちろん他方の端面壁30の領域にも設けられていてよい。
【0037】
目標変形領域50,52は、種々様々な構成で形成されていてよい。例えば目標変形領域50,52は、目標変形領域50の場合のようにジグザグ状の構成を備えてもよいし、又は変形領域52の領域におけるように波状の構成を備えて形成されてもよい。また、1つ又は複数の目標変形領域に、アーチ、溝、又は全体がZ状の延在部又はベローズ状の構成を設けることも可能である。このような目標変形領域50,52は、実質的に端面壁32全体に広がっていてよいが、代替的には端面壁32の所定の面積範囲、例えば出口パイプ20が貫通している範囲だけに適用されてもよい。
【0038】
排気マフラの総剛性の低下に寄与する別の態様には、支持機構として働く力変向部材58の供与が含まれる。バー状、ロッド状又はプレート状に、好適には金属薄板材料から形成された力変向部材58は、ケーシング長手方向軸線Gに対して傾けられて方向付けられており、一方では出口パイプ20の長さ領域38に、他方では長さ領域38が貫通している中間壁48に、例えば材料接続及び/又は形状接続(形状による束縛、例えば係合)によって固定されている。特に出口パイプ20に、例えば出口パイプ20の領域44において車両長手方向Lに力Fが導入されると、1つ又は複数の目標変形領域50,52の供与に基づき、端面壁32が比較的変形し易くなっていることによっても支援されて、出口パイプ20に傾動モーメントが生じ、この傾動モーメントによって出口パイプ20には、その結合領域を中心として傾くように、実質的に車両長手方向Lと車両横方向Qとで張設される一平面内で、中間壁48に対して荷重がかけられる。これは図2では、反時計回りの傾きに相当する。この場合、ケーシング長手方向軸線Gに対して傾けられた力変向部材58により、中間壁48に荷重を加えて変形させる力が、中間壁48に導入される。このため、中間壁48が例えばほぼ平らに形成されておりかつケーシング長手方向軸線Gに例えばほぼ直交するように向けられて配置されているにもかかわらず、車両長手方向Lで出口パイプ20に導入された力は、中間壁48の変形に有効に寄与することができるようになっており、その結果、排気マフラ18が全体的に車両長手方向Lに大幅に押しずらされる危険は低下している。
【0039】
排気マフラ18の剛性を低下させるために中間壁46,48の領域に用いられる別の構成は、中間壁46に関連して図示されているが、別の中間壁との関連においても使用可能又は代替的に使用可能である。中間壁46は、マフラケーシング26に対して、全体的に符号60で表された中間壁傾動構造を介して支持されている。この中間壁傾動構造60は、全周にわたって延在しているか、又は特定の周範囲に限定されていてよく、例えばケーシング周壁28の加工成形又は別個の構成部材の取付けにより供与される、ケーシング長手方向軸線Gに対して傾けられた中間壁支持面領域62,64を有していてよい。例えばケーシング長手方向軸線Gを挟んで互いに正反対の側に位置する中間壁支持領域62,64は、互いに逆方向に向けられて配置されているか又は傾けられている。ケーシング周壁28に車両長手方向軸線Lの方向で力Fが導入されると、上記の中間壁支持面領域62,64は、ケーシング長手方向軸線Gに対するその傾斜位置、ひいては力Fの方向に対するその傾斜位置に基づき、中間壁46全体をマフラ内室内34で図示の例では時計回りに傾かせる傾動モーメントを生ぜしめる。この傾動により、ケーシング周壁28を補強する中間壁46の特性が、中間壁46から少なくとも部分的に失われることになり、ひいてはケーシング周壁28がより変形し易くなる。中間壁46は、中間壁支持面領域62,64以外の周領域では、ケーシング周壁28に直接に接続又は隣接していてよく、ケーシング周壁28に、例えば形状接続及び/又は材料接続によって固定されていてよい。
【0040】
本発明の更に別の態様では、排気マフラ18は、実質的に車両長手方向Lに延びる出口パイプ20の長さ領域40と、出口パイプ20が貫通している端面壁32との間の間隔Dに対する、長さ領域40の横断面の寸法、例えば外径dの比率が、0.1〜0.2の範囲であるように形成されていてよい。このような構成は、出口パイプ20の長さ領域40に力Fが導入された場合に十分に大きなてこ腕、ひいては特に端面壁32の領域及び/又は中間壁48の領域におけるマフラケーシング26の変形を可能にする十分に大きなトルクを生ぜしめるために役立つ。この場合、有利には、中間壁48をより容易に変形させるために、端面壁32が上述のように形成されているか、又は力変向部材58が設けられていてもよい。
【0041】
出口パイプ20自体の比較的容易な変形は、出口パイプ20が1つ又は複数の目標変形領域66を有していることによって支援することができる。図示の例では、このような目標変形領域66は、例えばほぼ直線的に延びる2つの長さ領域38,40の間の移行領域42に設けられている。目標変形領域66は、例えば円形の横断面幾何学形状に対して平坦化された丸い横断面幾何学形状、例えば楕円形又は卵形に形成された横断面幾何学形状を有する領域であってよい。このように、それ自体が比較的剛性のある円形の横断面幾何学形状とは異なっていることにより、例えば移行領域42に力が導入された場合には、出口パイプ20の比較的容易な変形、ひいては出口パイプ20の屈曲が達成される。指摘しておくと、このような目標変形領域の別の構成も実現されてよい。例えば、このような目標変形領域は、入口パイプ20の所定の長さ部分のベローズ状、波形又はジグザグ状の構成を有していてもよい。入口パイプ20の延在方向に対して側方に、入口パイプ20全体の側方膨出部を設けることも可能である。出口パイプ20に上記のような目標変形領域66を設けることの主要な利点は、マフラケーシング26の構成上の特別な特徴無しで、排気マフラ18全体の剛性の低下を達成することができるという点にある。
【0042】
図2には更に、全体的に符号68で表した、例えば金属薄板材料等から形成された支持機構を見ることができる。この支持機構68を介して、排気マフラ18又はマフラケーシング26は、支持体構造70(象徴的に図示)、例えば車両フレームに対して支持されている。支持機構長手方向軸線Aは、ケーシング長手方向軸線Gに対して傾けられて、つまり特に直交しないで延びるように方向付けられている。この場合、必ずしも両軸線A及びGが1つの平面内に位置している必要はない。上記のようにケーシング長手方向軸線Gに対して傾けられていることにより、支持機構長手方向軸線Aは、車両長手方向L及び車両横方向Qに対しても傾けられていることになる。よって、車両12の後部領域16に力Fが導入されると、相応してマフラケーシング26に荷重が加えられると同時に、車両長手方向Lの方向に向けられた力成分が、支持体構造70及び支持機構68を介して減少し、ひいては排気マフラ18を上記方向に押しずらす力も相応して減少することになる。この場合、マフラ内室34内に設けられた中間壁46,48が、ケーシング長手方向軸線Gの方向に見て、支持機構68を例えばケーシング周壁28に支持している領域72に対して、十分に大きな間隔を有していると有利である。好適には、上記間隔は少なくとも50mmであることが望ましい。これにより、マフラケーシング26内に導入される力を、マフラ内室34内に設けられた中間壁によって補強されていないケーシング周壁28の領域に確実に導入することができる。
【0043】
指摘しておくと、マフラケーシング26は当然、上記のようにケーシング長手方向軸線Gに対して傾けられた複数の支持機構によって支持体構造に支持されていてよい。この場合、このような支持機構68は、車両長手方向Lにおいてマフラケーシング26の手前又は後方に配置されていてよい。但し、減少した力導入の効果を特に有利に利用し得るのは、上記のような1つ又は複数の支持機構68がマフラケーシング26の後方に位置するように位置決めされている場合である。
【0044】
排気マフラ18の剛性の低下に寄与する更に別の構成の態様を、図3に見ることができる。図3には、ケーシング周壁28と、マフラ内室34内に延びる2つのパイプ、つまり例えば出口パイプ20と入口パイプ36、あるいは入口パイプ36の代わりにマフラ内室34内で出口パイプ20に対して実質的に平行に延びる中間パイプとを備える排気ダンパ18の原理が示されている。2つのパイプ20,36は、図示の例では車両長手方向Lに相当する平坦化方向に平坦化されているが、丸い横断面を備えて形成されている。例えば、パイプ20,36は、楕円形又は卵形の横断面を備えて形成されていてよい。同様に、ケーシング周壁28も、車両長手方向Lに相当する平坦化方向に平坦化されており、例えばやはり楕円形又は卵形の、基本的には丸い横断面を備えて平坦化されている。つまり、パイプ20,36とケーシング周壁28とは、車両長手方向L及び車両横方向Qに対して実質的に直交する車両高さ方向Hにおいて、車両長手方向Lにおける長さよりも大きな延在長さを有している。よって車両長手方向Lに力が導入された場合には、パイプ20,36及びケーシング周壁28も、比較的容易に変形することができるようになっている。ここで指摘しておくと、1つのパイプのみ及び/又はケーシング周壁28のみが、上記のように平坦化された横断面を備えて形成されていてもよい。但し、基本的に言えるのは、車両長手方向Lで見て前方又は後方に向けられた周領域の半径が大きいほど、かつ実質的に車両高さ方向Hに向けられた領域の半径が小さいほど、このように形成された構成部材、つまり例えばケーシング周壁28又はパイプ20,36の車両長手方向Lにおける剛性が小さくなる、ということである。
【0045】
図3に見られる更に別の構成の態様では、マフラ内室34内でケーシング長手方向軸線Gの方向に互いにほぼ平行に延びる各パイプ、つまりここでは例えば出口パイプ20及び入口パイプ36、あるいは出口パイプ20及び/又は入口パイプ36に対して平行に延びる中間パイプが、車両長手方向Lに相当する第1のずれ方向と、これに直交する、実質的に車両高さ方向Hに相当する第2のずれ方向とにおいて、互いにずらされている。これにより、車両長手方向Lに力が導入された場合には、このように配置された各パイプは1つの平面内には位置していないので、これらのパイプがぶつかり合って排気マフラ18の変形を妨げる危険は減じられている。
【0046】
排気マフラの剛性の低下に寄与する更に別の構成の態様が、図4に示されている。図4に見られる第1の態様では、例えば互いに平行に延びる各パイプ、例えば入口パイプ36、中間パイプ74又は出口パイプ20が貫通している中間壁(例えば中間壁48)に、概してこの中間壁48の弱化に寄与する開口76が設けられていてよい。この開口76は、例えば車両高さ方向Hの方向に平坦化された丸い、例えば卵形又は楕円系の横断面幾何学形状を有していてよい。したがって、車両長手方向Lに荷重が加えられた場合には、中間壁48が崩壊するようになっており、これにより排気マフラ18の総剛性を低下させている。もちろん、パイプが貫通していないこのような複数の開口が、1つ又は複数の中間壁に設けられていてもよい。また、基本的には中間壁の弱化に寄与するこのような開口が、各パイプ、つまり例えば入口パイプ36、出口パイプ20又は中間パイプ74の貫通していない、マフラ内室34の容積範囲を互いに隔離するためだけに用いられる中間壁に設けられていてもよい。
【0047】
図4に示す中間壁48は更に、2つの貫通開口78,80を有しており、これらの貫通開口78,80を通って、例えば出口パイプ20と中間パイプ74とが、また場合によっては入口パイプ36も延びている。図4に示した構成の例では、パイプ20,74はほぼ円形の横断面幾何学形状を備えて形成されているのに対し、これらのパイプ20,74が通る貫通開口78,80は、平坦化された丸い、例えば卵形又は楕円系の横断面幾何学形状を有していることが分かる。貫通開口78,80は、これらを通るパイプ20,74の横断面積よりも大きな横断面積を有している。このことも、中間壁48自体の弱化を招き、ひいては車両長手方向Lに力が導入された場合に、比較的変形し易くさせている。
【0048】
図4で更に分かるように、各パイプが通る貫通開口78又は80は、それぞれ異なる方向に向けて平坦化されていてもよいし、又は細長く延ばされていてもよい。特に有利なのは、貫通開口80に関して認識可能な平坦化が、車両長手方向Lに行われている点である。なぜなら、これは、上記方向に力が導入された場合に、中間壁48の著しい弱化に寄与するからである。
【0049】
例えば各貫通開口78,80又はこのような貫通開口の少なくとも1つからはじめて、例えばスリット、切込み又は材料弱化部の形態で与えられる弱化領域82を設けることによって、このような中間壁の弱化に更に寄与することができる。図示の例では、それぞれ2つのこのような弱化領域82が、同じ貫通開口78,80を起点として設けられており、これによって、このような2つの弱化領域80,82の間に、それぞれ1つの変形舌片84が形成されている。特にパイプ20又は74に傾動モーメントが作用して、これらのパイプ20又は74が中間壁48に対して傾いた場合にも、このような変形舌片84の領域において、中間壁48は容易に変形可能である。したがって、各貫通開口を通るパイプと中間壁との間に力伝達結合も生じている領域において、このような変形舌片がそれぞれ貫通開口78又は80に接続していると、特に有利である。
【0050】
排気マフラ18の別の構成の例が、図5に原理図で示されている。実質的に車両横方向Qに向けられたケーシング周壁28と、2つの端面壁30,32とを備えたマフラケーシング26を見ることができる。図5に示す例において、入口パイプ36は、例えばこの入口パイプ36が実質的に車両長手方向Lに、つまり力Fが導入される可能性もある方向に延びるように、ケーシング周壁28を貫通している。このような力Fが導入された場合に、上記方向に延び、上記方向において基本的には比較的剛性がある入口パイプ36をも、比較的容易に変形させることができるようにするために、入口パイプ36は、1つ又は複数の目標変形領域86を備えて形成されていてよい。このような目標変形領域86は、膨出部、横断面拡張部又は横断面減少部、ベローズ状の構成、又は多数の開口を備えた構成によって形成されてもよく、マフラ内室34の内側又は外側に位置決めされてもよい。これにより、排気マフラ18に対して車両長手方向Lに作用する力Fが、入口パイプ36を比較的容易に変形させることができるようになっており、この結果、排気マフラ18に導入されたエネルギの少なくとも一部が散逸され得るようになっている。
【0051】
図6には、ケーシング周壁28を有するマフラケーシング26が、正面図又は横断面図で示されている。ケーシング周壁28は、ここでは横断面で見てほぼ方形の断面を有している。この場合、ケーシング周壁28は、車両長手方向Lに対して実質的に直交するように位置決めされた2つの側壁88,90と、車両高さ方向Hに対して実質的に直交するように向けられた2つの側壁92,94とで形成されている。これらの側壁は、各角隅領域96で互いに移行している。ケーシング周壁28は、ケーシング長手方向軸線の方向と車両高さ方向Hとに伸長された、金属薄板材料から成る各側壁88,90,92,94によって形成されていてよく、変形加工により図示の形状にされていてよい。この場合、図6が示すように、基本的には実質的に平らに、つまり実質的に湾曲されずに形成される各側壁88,90,92,94は、外側に向かってやや膨らまされて提供されていてよい。
【0052】
このように形成されたマフラケーシング26に、例えば側壁88の領域において車両長手方向Lに力Fが導入されると、側壁88は実質的に平らな構成に基づき、比較的容易に内側に向かって変形し得る。このような構成は、側壁88の領域に点状に荷重が加えられることが予想される場合に、特に有利である。それにもかかわらず、平坦化された横断面は、このようなマフラケーシング26の、とりわけ車両高さ方向Hに狭められた構成空間内への取付けを可能にする。
【0053】
最後にもう一度強調しておくと、上述した、排気マフラ18又は排気案内系10全体の剛性の低下に寄与する構成の各態様は、個別に又は互いに任意に組み合わされて設けられてもよい。これらの構成の態様は全て、特に後面衝突時に排気案内系10又は排気マフラ18に、実質的に車両長手方向Lに向けられた力F又は力成分が加えられた場合に、排気マフラ又は排気案内系に導入されたエネルギのかなりの部分が、排気マフラ18の各構成部材又は各領域の変形をもたらすようにするものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6