特許第6385455号(P6385455)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6385455-自動車の換気装置用エアフィルタ 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385455
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】自動車の換気装置用エアフィルタ
(51)【国際特許分類】
   B60H 3/06 20060101AFI20180827BHJP
【FI】
   B60H3/06 631
   B60H3/06 611
【請求項の数】9
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-560346(P2016-560346)
(86)(22)【出願日】2015年3月31日
(65)【公表番号】特表2017-509538(P2017-509538A)
(43)【公表日】2017年4月6日
(86)【国際出願番号】EP2015000687
(87)【国際公開番号】WO2015149934
(87)【国際公開日】20151008
【審査請求日】2016年9月30日
(31)【優先権主張番号】102014004740.7
(32)【優先日】2014年4月1日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】シューマッハー,エリック
【審査官】 石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第102441305(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第102580424(CN,A)
【文献】 特開2008−230565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアフィルタ(10)を該エアフィルタに沿って換気装置(14)の流路断面(12)内の流れ方向に対して横方向に挿入可能である平坦な延長部と、前記流路断面(12)内に挿入する際に前記エアフィルタ(10)を案内するために前記換気装置(14)の案内部材(40、42)と係合可能な少なくとも1つの切り欠き部(28)を備える少なくとも1つのフレーム壁(16)によって少なくとも特定の領域で界接される、前記エアフィルタの平坦な延長部に沿って配置されるフィルタ濾過材(26)と、を有する、自動車の換気装置(14)用エアフィルタ(10)であって、
前記切り欠き部(28)は、前記フレーム壁(16)の縁部(27)にノッチとして形成され、前記縁部(27)に対するアンダーカットが形成されることによって、前記挿入方向に対して横向きの2方向に挿入する際に前記エアフィルタ(10)を支持できるようにされ、
前記切り欠き部(28)が形成されている前記フレーム壁(16)の一部分はプレート形状であり、前記切り欠き部(28)は、前記フレーム壁(16)の一部分が前記縁部(27)から切り欠かれ、該切り欠き部の開口が前記フレーム壁(16)の一部分の厚さ方向に延在するように形成され
前記フレーム壁(16)は、前記挿入方向に少なくとも二つ互いに離間して設けられ、前記切り欠き部(28)は、それぞれのフレーム壁に前記案内部材(40、42)と係合するように直線上に設けられていることを特徴とする、エアフィルタ。
【請求項2】
前記それぞれの切り欠き部(28)は、L字形に形成されることを特徴とする、請求項1に記載のエアフィルタ。
【請求項3】
前記それぞれの切り欠き部(28)は、T字形に形成されることを特徴とする、請求項1に記載のエアフィルタ。
【請求項4】
前記それぞれの切り欠き部(28)は、前記縁部(27)から離れた領域で幅広い湾状部を有する細長いスリットとして形成されることを特徴とする、請求項1に記載のエアフィルタ。
【請求項5】
複数の切り欠き部(28)を設けることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のエアフィルタ。
【請求項6】
複数の切り欠き部(28)が挿入方向に一致して配置されることによって、挿入時に個々の案内部材(40、42)と係合可能であることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のエアフィルタ。
【請求項7】
前記フィルタ濾過材(26)は、プリーツ状フィルタフリースとして構成され、前記フレーム壁(16)のフレーム壁部分(20、24)に少なくとも特定の範囲で固定されていることを特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のエアフィルタ。
【請求項8】
前記フィルタ濾過材(26)のプリーツの曲折縁部は、挿入方向を向くことを特徴とする、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載のエアフィルタ。
【請求項9】
自動車の換気装置(14)用エアフィルタ(10)の配置であって、該エアフィルタ(10)は、該エアフィルタに沿って前記換気装置(14)の流路断面(12)内の流れ方向に対して前記エアフィルタ(10)を横方向に挿入可能である平坦な延長部を備え、かつ、前記流路断面(12)内に挿入する際に該エアフィルタ(10)を案内するために前記換気装置(14)の案内部材(40、42)と係合可能な少なくとも1つの切り欠き部(28)を有する少なくとも1つのフレーム壁(16)によって少なくとも特定の領域で界接される、前記エアフィルタの平坦な延長部に沿って配置されるフィルタ濾過材(26)を備える、エアフィルタの配置であって、
前記切り欠き部(28)は、前記フレーム壁(16)の縁部(27)のノッチとして形成され、前記縁部(27)に対するアンダーカットが形成されることによって、前記挿入方向に対して横向きの2方向に挿入する際に前記エアフィルタ(10)を支持できるようにされ、
前記切り欠き部(28)が形成されている前記フレーム壁(16)の一部分はプレート形状であり、前記切り欠き部(28)は、前記フレーム壁(16)の一部分が前記縁部(27)から切り欠かれ、該切り欠き部の開口が前記フレーム壁(16)の一部分の厚さ方向に延在するように形成され
前記フレーム壁(16)は、前記挿入方向に少なくとも二つ互いに離間して設けられ、前記切り欠き部(28)は、それぞれのフレーム壁に前記案内部材(40、42)と係合するように直線上に設けられていることを特徴とする、エアフィルタの配置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段に記載の自動車の換気装置用エアフィルタに関する。本発明は更に、請求項9の前段に記載のそのような換気装置の流路断面内のそのようなエアフィルタの配置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から、平坦であり、引き出し形状又はカセット形状の延長部がその延長方向に沿って、又は換気装置の流路断面内の流れ方向に対して横方向に挿入されるエアフィルタが既に公知であることが分かる。ここで、エアフィルタは、エアフィルタの平坦な延長部に沿って配置された、この場合はフレーム壁によって周囲が界接されたフィルタ用濾過材を含んでいる。その際、フレーム壁内には、流路断面に挿入する際にエアフィルタを案内するために、換気装置のガイドピン形状のガイド部材と係合可能な複数の切り欠き部が設けられている。
【0003】
ガイドピンは、フィルタハウジングを貫通するため、エアフィルタの複雑な設計が必要になる。十分な案内長さを得るために、フィルタハウジングの対応する切り欠き部に、ガイドピンを受けることができるそれぞれのガイドドームを連結する必要がある。それにもエアフィルタの複雑な設計が必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許第102005048841B3号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の課題は、受け軸への挿入時において極めて確実に、しかも簡単にエアフィルタの案内が可能な、冒頭に記載のエアフィルタ及び配置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、本発明により、請求項1に記載の特徴を有するエアフィルタ及び配置によって解決される。本発明の発展形態による有利な実施形態は、その他の請求項に記載されている。
【0007】
極めて確実かつ簡単に、エアフィルタを受け軸に挿入又は受け軸から引き抜きするために案内可能な、冒頭に記載の種類のエアフィルタを製造するために、本発明により、切り欠き部がノッチとしてフレーム壁縁部に設けられ、縁部に対するアンダーカットが形成されることによって、挿入する際にエアフィルタを挿入方向に対して横向きの2方向に支持できるようにされる。したがって、本発明により、少なくとも1つの切り欠き部は、エアフィルタのフレーム壁の外側又は幅広側の縁部に向けて開くように形成される。このようなフレーム壁の縁部に向けて外側に開かれた切り欠き部は、通常はノッチと呼ばれる。このノッチは、切断によっても、成形、鋳造、又はその他の方法によってもフレーム壁に組み込むことができ、又は他の方法でフレーム壁に設けることができる。
【0008】
このノッチによって、この場合はエアフィルタに案内部材、例えば、ガイドレールを貫通させなくても、受け軸の側の対応する案内部材をフィルタに沿って、例えば、ほとんどの長さ、又は全長にわたって延ばすことが可能になる。それによって、ガイドレールは、実質的にフィルタハウジングの外側、例えば、幅広側に延びることができるため、例えば、フィルタ濾過材内部に特別なくぼみを設けなくても済む。それによって、1つ又は複数のノッチしか設ける必要なくエアフィルタを簡単に形成することが可能になる。更に、それによって上述のように、換気装置の側の対応する案内部材が簡単にエアフィルタの全長にわたって延びることができるため、特に好適な案内が可能になる。
【0009】
その際、ノッチは、フレーム壁の縁部に対するアンダーカットが形成されるため、挿入方向に対して横方向、又は縦方向の両方の空間的方向に挿入する際にエアフィルタを支持できるようになる。したがってノッチは、少なくとも実質的に挿入方向だけ、又は引き抜き方向のみのエアフィルタの移動を実現できるように形成される。
【0010】
ノッチが、ひいては換気装置の側の対応する案内部材も、角形又はT字形の断面を有することによって、特に簡単な、しかも案内し易いエアフィルタを実現することができる。
【0011】
代替として、特にノッチを、縁部から離れた領域に幅広い湾状部を有する細長いスリットとして形成することも考えられる。このような、例えば、鍵穴形状に形成された切り欠き部によって、エアフィルタの良好かつスムーズな案内も可能になる。
【0012】
本発明の更なる実施形態では、複数の切り欠き部が挿入方向に一致して配置されることによって、挿入時に切り欠き部が単一の案内部材と係合することができる。それによって、換気装置の側の案内部材を、例えば、直線状に延びるガイドレールとして形成することができ、このガイドレールは、対応する簡単な形状であり、ガイドレールに沿ってエアフィルタのスムーズな案内を実現できる。
【0013】
更に、フィルタ濾過材がプリーツ状フィルタフリースとして実施され、少なくとも特定の領域でフレーム壁に固定される実施形態が有利である。特定の領域での固定が考えられるのは特に、別個のフレーム壁は、プリーツに対して横方向の領域だけで形成され、その他のフレーム壁はプリーツ状フィルタフリース自体によって形成できるからである。
【0014】
最後に、フィルタ濾過材のプリーツのそれぞれの曲折縁部が挿入方向を向いていることが有利であることが示される。それによって、適宜の固有の剛性を有し、挿入時に耐久性のあるフィルタ濾過材が得られる。
【0015】
本発明によるエアフィルタに関して前述した利点は、請求項9に記載の配置にも同様に当てはまる。
【0016】
本発明のその他の利点、特徴及び詳細は、図面を参照して好適な実施形態の以下の説明によって明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】エアフィルタ及び受け軸内にエアフィルタを配置可能な自動車の換気装置の斜視図であり、エアフィルタは、エアフィルタを受け軸に配置された対応する2つの案内部材に連結するためのそれぞれの案内切り欠き部を有するフィルタハウジングを含み、エアフィルタは、案内部材に沿って受け軸に挿入可能又は受け軸から引き抜き可能であり、それぞれの案内切り欠き部は、フィルタハウジングの外側に向けて開くように形成されている。
図2】受け軸に完全に挿入された、図1に示すエアフィルタの配置の斜視正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1及び図2は、平坦な延長部を有するエアフィルタ10の斜視図及び斜視正面図であり、更に詳細に記載するように、その延長部に沿ってエアフィルタは、換気装置14の流路断面12内に挿入可能である。その際、換気装置14は、自動車の暖房装置及び/又は空調装置の一部であり、空調ボックス又はエアフィルタボックスを含んでおり、この領域にエアフィルタ10用の流路断面12が設けられている。
【0019】
図1から分かるように、エアフィルタ10は、この場合は完全な周囲フレーム壁16を備え、このフレーム壁は、細長側面18それぞれに、円弧状に、また互いに非平行に延びるフレーム壁部分20を備えている。このフレーム壁部分20の外側に、適宜の密封部材22が備えられ、この密封部材は、濾過されていない空気がそれぞれのフレーム壁部分20と流路断面12のそれぞれ対応する壁との間を通って溢流することの防止に寄与する。
【0020】
更に、フレーム壁16は、フレーム壁部分20と共に周囲フレーム壁16を形成する互いに平行に配置された2つのフレーム壁部分24を含む。更に、2つの中間の壁部分25は、フレーム壁部分20を互いに連結し、この場合はフレーム壁部分24に平行に延在するリブとして形成されている。フレーム壁16、又はフレーム壁部分20、24は、この場合は換気装置14を貫流する空気、例えば、外気を浄化することができるフィルタ濾過材26を界接している。フィルタ濾過材26は、プリーツ状フィルタフリースとして実施され、少なくとも特定の領域でフレーム壁16のフレーム壁部分20、24に固定されている。フィルタ濾過材26のプリーツ部のそれぞれの曲折縁部17は、挿入方向を向いている。
【0021】
特に折り畳み方向で、それぞれのフレーム壁部分20をプリーツ状フィルタフリース26自体で形成できることも、本発明の範囲内に含まれると見なされる。したがって、これに関連して少なくとも切り欠き部、又はノッチ28を、フレーム壁部分としてのフィルタフリース内に直接挿入することも考えられる。
【0022】
代替として、フィルタ濾過材26を発泡体、又はバルク材料からなるブロックフィルタによって形成することも勿論可能である。
【0023】
ここで、特に図2から分かるように、フレーム壁16のフレーム壁部分24内と同様に、リブの役割を果たす壁部分25内にも、全部で8つの切り欠き部28が設けられ、それぞれがノッチとして、フレーム壁16、各フレーム壁部分24、壁部分25それぞれの縁部27に構成され、縁部27に対してアンダーカットが形成されている。このようなノッチ28は、この場合は切断又は成形、すなわち、例えば、打ち抜き加工などによって製造される。同様に、別の技術、特に鋳造法も考えられる。
【0024】
それぞれのノッチ28の特徴は、ノッチが対応するフレーム壁部分24又は壁部分25のそれぞれの縁部27に対して外側に、この場合はエアフィルタ10の幅広側面30に向けて開くように形成されることであると見なされる。この場合、切り欠き部又はノッチ28のそれぞれは、全体として角形又はL字形に形成され、縁部27に向けて開くように形成された脚部32を含んでいる。この場合、この脚部32には、これに略垂直に配置され、したがって縁部27に対して略平行に延びる脚部34が延在している。
【0025】
脚部32と脚部34とが、それぞれのノッチ28の実質的にT字形の断面をも形成できることは、本発明の範囲に含まれると見なされる。同様に、それぞれの切り欠き部28を、縁部27から離れた領域に幅広い湾状部を有する細長いスリットとして形成することも考えられる。しかし、すべての実施形態で本質的に、それぞれのノッチ28が縁部27に対するアンダーカットとして形成され、縁部に向けて開くようにノッチが形成され、それによって挿入方向又は引き抜き方向に対して横向きの2つの方向にエアフィルタを挿入する際に、エアフィルタ10を支持できるようにされる。
【0026】
更に、換気装置14の流路断面12内のエアフィルタ10の配置を斜視正面図で示す図2と共に見ると分かるように、この場合はそれぞれ4つの左側及び4つの右側の切り欠き部、又はノッチ28は、挿入方向に一致して付随するフレーム壁部分24又は壁部分25内に配置され、それによって換気装置14の流路断面12内に挿入される際にそれぞれのレール形状の案内部材、詳しく言えばガイドレール40、42に係合可能、又は係合される。したがって、両方のガイドレール40、42は、対応して直線的に形成される。それによって、ノッチ28を用いてエアフィルタ10をガイドレール40、42に沿って換気装置14の流路断面12内に簡単に挿入する、又はそこから引き抜くことができる。ここで、例えば、換気装置14の流路断面12内に挿入する、又はそこから引き抜く際にエアフィルタ10の対応する移動経路を達成するため、湾曲した案内部材を使用することも勿論考えられる。
【0027】
更に図2から分かるように、換気装置14の側のそれぞれの案内部材、詳しく言えばガイドレール40、42は、その断面においてそれぞれのノッチ28に適合され、それぞれの脚部44及び46と共に略L字形又は角形に形成される。
【0028】
ノッチの脚部32及び34の形状、及びこれに対応するそれぞれのガイドレール40、42の脚部44及び46の形状によって、挿入及び引き抜きの際にエアフィルタ10を挿入方向に対して横向きの2つの方向、より正確には挿入方向に対して垂直な空間方向に支持可能であることが達成される。それによって、エアフィルタ10を単に挿入し、又は引き抜くことが可能である。
【0029】
最後に図1から分かるように、換気装置14のハウジング内には、開放状態で示されている適宜のフラップ48が備えられている。フラップ48には、その閉鎖状態でフラップをフレーム壁16の対応するフレーム壁部分24に対して密封するための密閉部材50がある。
図1
図2