特許第6385458号(P6385458)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385458
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】培養皿
(51)【国際特許分類】
   C12M 3/00 20060101AFI20180827BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20180827BHJP
   C12M 1/32 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   C12M3/00 A
   C12M1/00 C
   C12M1/32
【請求項の数】34
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2016-566633(P2016-566633)
(86)(22)【出願日】2015年3月24日
(65)【公表番号】特表2017-514500(P2017-514500A)
(43)【公表日】2017年6月8日
(86)【国際出願番号】EP2015056302
(87)【国際公開番号】WO2015169499
(87)【国際公開日】20151112
【審査請求日】2017年3月3日
(31)【優先権主張番号】1408039.4
(32)【優先日】2014年5月7日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】508368529
【氏名又は名称】ウニセンス フェルティリテック アー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】マドセン, キム ベンデゴールド
(72)【発明者】
【氏名】ハンスン, ヨーナス レアゲ
(72)【発明者】
【氏名】ポルスゴールド, セレン
(72)【発明者】
【氏名】ラムシング, ニールス
(72)【発明者】
【氏名】ベルンセン, イェルゲン
【審査官】 松原 寛子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−280298(JP,A)
【文献】 特表2011−526782(JP,A)
【文献】 特表2010−531644(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0090287(US,A1)
【文献】 特開平07−075553(JP,A)
【文献】 実開平05−088300(JP,U)
【文献】 Lab on a Slide solutions for biomicroscopy,ibidi Integrated BioDiagnostics,2007年,p.1-40
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 3/00
C12M 1/00
C12M 1/32
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
培養される1つまたは複数の物体を保持するための培養皿であって、前記培養皿は、本体を有し、前記本体は、
培養される物体および前記物体用のある量の培地を受容するための少なくとも1つのウェルと、
ある量のカバー媒体を受容するためのリザーバであって、前記少なくとも1つのウェルは、通常の使用中であるときに、前記リザーバ内のカバー媒体が前記少なくとも1つのウェル内の培地の上を覆うように、前記リザーバの床面内に提供され、前記リザーバは、前記リザーバ床面および前記リザーバ床面から離れて延在するリザーバ壁によって画定され、前記リザーバ壁の少なくとも一区分は、前記培養皿が通常の使用中であるときに、前記リザーバ内のカバー媒体の表面によって画定される水平面に対して傾斜されるよう、垂直から離れて角度を付けられる、リザーバと
を備え、前記リザーバ壁の前記角度を付けられた区分は、前記リザーバ壁の下区分の上方に位置し、前記角度を付けられた区分および前記下区分は、前記水平面に対する角度が異なる、培養皿。
【請求項2】
前記リザーバ壁の前記角度を付けられた区分は、前記リザーバの全周囲に延在する、請求項1に記載の培養皿。
【請求項3】
前記リザーバ壁の前記角度を付けられた区分は、10度〜80度、20度〜70度、30度〜60度、および40度〜50度を含む群から選択される範囲内の角度で、前記水平面に対して傾斜される、請求項1または2のいずれか一項に記載の培養皿。
【請求項4】
前記リザーバ壁の前記下区分と前記リザーバ床面の上方の前記リザーバ壁の前記角度を付けられた区分との間の界面の高さは、前記培養皿が通常の使用中であるときにカバー媒体が使用されるための最低レベルに従って選択される、請求項に記載の培養皿。
【請求項5】
前記リザーバ壁の前記角度を付けられた区分は、前記リザーバ壁の上区分の下方に位置し、前記角度を付けられた区分および前記上区分は、前記水平面に対する角度が異なる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の培養皿。
【請求項6】
前記リザーバ壁の前記上区分は、前記リザーバの周囲で前記本体の表面の上方に延在する、前記リザーバ壁の一区分を画定する、請求項に記載の培養皿。
【請求項7】
前記リザーバの前記床面内にくぼみをさらに備え、前記くぼみは、くぼみ床面およびくぼみ壁によって画定され、前記少なくとも1つのウェルは、前記くぼみ床面内に提供される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の培養皿。
【請求項8】
前記くぼみ壁の少なくとも一区分は、前記水平面に対して傾斜されるよう、垂直から離れて角度を付けられる、請求項に記載の培養皿。
【請求項9】
前記くぼみ壁の前記角度を付けられた区分は、前記くぼみの全周囲に延在する、請求項に記載の培養皿。
【請求項10】
前記くぼみ壁の前記角度を付けられた区分は、前記くぼみ壁の底部における前記くぼみ床面に隣接する、請求項またはに記載の培養皿。
【請求項11】
前記くぼみ壁の前記角度を付けられた区分は、10度〜80度、20度〜70度、30度〜60度、および40度〜50度を含む群から選択される範囲内の角度で、前記水平面に対して傾斜される、請求項10のいずれか一項に記載の培養皿。
【請求項12】
前記くぼみ床面は、周辺くぼみ床面より高い床面の隆起区分を含む、請求項11のいずれか一項に記載の培養皿。
【請求項13】
前記くぼみ壁の部分は、陥凹され、これにより、前記陥凹された部分は、前記陥凹された部分に隣接する前記くぼみ壁の部分より前記少なくとも1つのウェルから離れている請求項12のいずれか一項に記載の培養皿。
【請求項14】
前記くぼみ壁の前記陥凹された部分と前記少なくとも1つのウェルのうちの少なくとも1つとの間に配列される、さらなる壁部分をさらに備える、請求項13に記載の培養皿。
【請求項15】
前記少なくとも1つのウェルは、複数のウェルを備え、前記複数のウェルは、前記くぼみの前記くぼみ床面内に提供される請求項14のいずれか一項に記載の培養皿。
【請求項16】
前記少なくとも1つのウェルは、複数のウェルを備え、前記培養皿は、前記リザーバの前記床面内に少なくとも1つのさらなるくぼみを備え、異なるウェルが、異なるくぼみ内に提供される、請求項14のいずれか一項に記載の培養皿。
【請求項17】
前記異なるくぼみは、1つまたは複数の分割壁によって相互から分離される、請求項16に記載の培養皿。
【請求項18】
前記少なくとも1つのウェルは、棚区分によって分離される、上ウェル区分と、下ウェル区分とを備える、請求項1〜17のいずれか一項に記載の培養皿。
【請求項19】
前記少なくとも1つのウェルの少なくとも上部分は、水平断面において非円形である、請求項1〜18のいずれか一項に記載の培養皿。
【請求項20】
前記少なくとも1つのウェルは、複数のウェルを備える、請求項1〜19のいずれか一項に記載の培養皿。
【請求項21】
前記培養皿用のハンドルを提供するように、前記本体から離れて延在する一対のフィンをさらに備える、請求項1〜20のいずれか一項に記載の培養皿。
【請求項22】
前記培養皿に関する情報を含有する標識を受容するために、前記一対のフィンの間で前記本体上に配列される、標識領域をさらに備える、請求項21に記載の培養皿。
【請求項23】
前記標識領域は、前記水平面に対して傾斜される、請求項22に記載の培養皿。
【請求項24】
前記リザーバを覆うための可撤性蓋をさらに備える、請求項1〜23のいずれか一項に記載の培養皿。
【請求項25】
前記可撤性蓋の上面は、その周辺において上向きに延在する縁を備える、請求項24に記載の培養皿。
【請求項26】
前記蓋は、前記リザーバを覆うときに前記本体から突きない、請求項24または25に記載の培養皿。
【請求項27】
培養のための物体を調製するために使用される培地用の少なくとも1つのウェルをさらに備える、請求項1〜26のいずれか一項に記載の培養皿。
【請求項28】
前記培養のための物体を調製するために使用される培地用の少なくとも1つのウェルは、前記リザーバ内にある、請求項27に記載の培養皿。
【請求項29】
前記培養のための物体を調製するために使用される培地用の少なくとも1つのウェルの内壁の少なくとも一区分は、前記水平面に対して傾斜される、請求項27または28に記載の培養皿。
【請求項30】
前記培養皿の他の部分の表面テクスチャと異なる表面テクスチャを有する、注釈領域をさらに備える、請求項1〜29のいずれか一項に記載の培養皿。
【請求項31】
前記少なくとも1つのウェルは、複数のウェルを備え、前記複数のウェルは、円の弧に沿って配列される、請求項1〜30のいずれか一項に記載の培養皿。
【請求項32】
前記複数のウェルは、グループで空間的に配列され、異なるグループの中にある隣接ウェルは、同一のグループの中にある隣接ウェルより大きい距離によって分離される、請求項31に記載の培養皿。
【請求項33】
請求項1〜32のいずれか一項に記載の少なくとも1つの培養皿を備える、培養チャンバを備える、インキュベータ装置。
【請求項34】
少なくとも1つの物体を培養する方法であって、前記方法は、
本体を有する培養皿を提供するステップ
を含み、前記本体は、
培養される物体および前記物体用のある量の培地を受容するための少なくとも1つのウェルと、
ある量のカバー媒体を受容するためのリザーバであって、前記少なくとも1つのウェルは、通常の使用中であるときに、前記リザーバ内のカバー媒体が前記少なくとも1つのウェル内の培地の上を覆うように、前記リザーバの床面内に提供され、前記リザーバは、前記リザーバ床面および前記リザーバ床面から離れて延在するリザーバ壁によって画定され、前記リザーバ壁の少なくとも一区分は、前記培養皿が通常の使用中であるときに、前記リザーバ内のカバー媒体の表面によって画定される水平面に対して傾斜されるよう、垂直から離れて角度を付けられ、前記リザーバ壁の前記角度を付けられた区分は、前記リザーバ壁の下区分の上方に位置し、前記角度を付けられた区分および前記下区分は、前記水平面に対する角度が異なり、これにより、前記角度を付けられた区分および前記下区分は、前記カバー媒体の高さを識別するためのマーカーまたは視覚的合図を提供する、リザーバと
を備え、
前記方法はさらに、前記リザーバ壁の前記一区分が垂直から離れて角度を付けられることを満たすレベルまで、カバー媒体で前記リザーバを充填するステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、培養皿に関する。より具体的には、ある実施形態は、胚を培養するための培養皿に関する。
【背景技術】
【0002】
不妊症は、世界中で8千万人以上に影響している。全ての夫婦の10%が一次または二次不妊症を体験すると推定されている。体外受精(IVF)は、そうでなければ受胎できなかった夫婦に妊娠を確立する可能性を提供し得る、選択的医療処置である。これは、卵(卵母細胞)が女性の卵巣から採取され、次いで、研究室内で精子と受精させられる、プロセスである。次いで、本プロセスで生成される胚は、潜在的着床のために子宮の中に配置される。受精(媒精)と移植との間で、胚は、典型的には、インキュベータの培養チャンバの中に2〜6日間貯蔵され、その時間の間に、それらの発生を査定するように、例えば、撮像を通して、定期的に監視され得る。温度および大気組成等のインキュベータ内の条件は、概して、卵管および子宮内の条件を模倣する目的で制御される。
【0003】
培養のための胚は、典型的には、次いで、インキュベータの中に貯蔵され得る、培養皿の中に配置される。培養皿はまた、スライド、キャリア、またはトレイと称され得る。
【0004】
胚発生を査定するように経時的撮像も提供する、胚を培養するための1つの周知の装置は、Unisense FertiliTech A/S(Aarhus, Denmark)によって開発され、そこから入手可能である、その関連EmbryoViewer(RTM)ソフトウェアを伴うEmbryoScope(RTM)デバイスである。EmbryoScope(RTM)装置は、スライドキャリアによって支持される6枚の可撤性スライド上で胚を培養する能力を有する。各スライド(皿)は、レセプタクルの3×4アレイを備えるため、最大で12個の胚を保持することができる。使用時に、培養される各胚は、他から分離した各自の培地液滴中で別個のセレプタクル内に配置される。EmbryoScope(RTM)装置は、胚がそれらの培養の全体を通して異なる段階で逐次的に撮像されることを可能にするように、内蔵顕微鏡および並進ステージを有する。
【0005】
図1は、典型的にはEmbryoScope(RTM)デバイスで使用される種類の胚皿/スライド2の概略斜視図である。皿2は、約7.5cm(長さ)×2.5cm(幅)×1.5cm(高さ)の全体寸法を有し、プラスチック材料、例えば、透明ポリエステル材料の単一の射出成形として形成される。皿2は、本体4と、皿を保持するためのハンドル6と、標識がスライド上の胚に関する情報(例えば、患者IDおよび培養プロトコル情報)を貼られ得る標識領域8とを備える。培養のための個々の胚を受容するためのレセプタクル(ウェル)10の3×4アレイが、本体4の中の陥凹12内に提供される。陥凹12は、レセプタクル10が提供される陥凹床面14および陥凹壁16によって画定される。陥凹は、約3.5cm(長さ)×2.0cm(幅)×0.8cm(深さ)の寸法を有する。使用中のスライド2の通常の配向は、水平な陥凹床面14および垂直な陥凹壁16を伴う。レセプタクル10は、陥凹床面において約3.5mmの直径を有し、胚が培養のために位置する、より小型でミリメートル未満の(例えば、約0.2mm直径)ウェル18まで先細になる前に、約2.5mmにわたって陥凹床面から下向きに延在する垂直壁を有する。陥凹12内に、4つの(各端部に2つ)洗浄リザーバ20も提供されている。これらは、いずれのプロトコルが従われていようとそれに応じて、胚が培養/孵化のために調製されている間に使用される、液体、例えば、洗浄液を貯蔵するために使用されてもよい。図1に示されていないが、スライド2は、陥凹12を含有する本体4の一部を覆って配置され得る、別個の蓋を有する。
【0006】
通常の使用時に、個々の胚は、レセプタクル10の底部におけるミリメートル未満のウェル18のそれぞれの中に位置する。任意の所与のスライド上に胚を含有するウェル10の数は、そのスライドを使用して培養される胚の数に依存するであろう。同一側で異なる患者からの胚を混合することを回避することが一般的であるため、完全なスライドを充填するために患者からの十分な胚がない場合、スライドのための残りのレセプタクルは、概して、未使用のままとなるであろう。胚を含有する各レセプタクル10は、胚のための水性培地で(陥凹床面14を下回るレベルまで)充填される。次いで、陥凹12は、レセプタクル10内の(増殖)培地の上を覆う油層で少なくとも部分的に充填される。油層は、胚が位置する培地の蒸発を低減させることに役立つように障壁を提供する。
【0007】
図1で表される皿2の幾何学形状および寸法は、スライドを使用して胚が培養される、具体的装置のものに合致するように適合される。しかしながら、培養皿/胚スライドの幅広く対応する設計が、他のインキュベータ/培養装置に使用されてもよい。
【0008】
胚培養で使用するために好適な公知の培養皿の特性についてのさらなる詳細は、例えば、国際公開第WO 09/003487号(Unisense Fetilitech A/S)[1]および国際公開第WO 01/002539号(The Danish Institute of Agricultural Sciences)[2]で見出されることができる。
【0009】
図1で表される種類の培養皿は、胚培養を促進すること、具体的には、経時的撮像システムとの関連で、成功することが見出されているが、それでもなお、本発明者らは、依然として、改良され得る設計のいくつかの側面があることを認識している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の側面によると、培養される1つまたはそれを上回る物体を保持するための培養皿が提供され、培養皿は、培養される物体および物体用のある量の培地を受容するための少なくとも1つのウェルと、ある量のカバー媒体を受容するためのリザーバであって、少なくとも1つのウェルは、通常の使用中であるときに、リザーバ内のカバー媒体が少なくとも1つのウェル内の培地の上を覆うように、リザーバの床面内に提供され、リザーバは、リザーバ床面およびリザーバ床面から離れて延在するリザーバ壁によって画定され、リザーバ壁の少なくとも一区分は、培養皿が通常の使用中であるときに、リザーバ内のカバー媒体の表面によって画定される水平面に対して傾斜されるよう、垂直から離れて角度を付けられる、リザーバとを備える、本体を有する。
【0011】
いくつかの実施形態によると、リザーバ壁の傾斜区分は、リザーバの全周囲に延在する。
【0012】
いくつかの実施形態によると、リザーバ壁の傾斜区分は、10度〜80度、20度〜70度、30度〜60度、および40度〜50度を含む群から選択される範囲内の角度で、水平面に対して傾斜される。
【0013】
いくつかの実施形態によると、リザーバ壁の傾斜区分は、リザーバ壁の下区分の上方に位置し、傾斜区分および下区分は、水平面に対して異なる角度にある。
【0014】
いくつかの実施形態によると、リザーバ壁の下区分とリザーバ床面の上方のリザーバ壁の傾斜区分との間の界面の高さは、培養皿が通常の使用中であるときにカバー媒体が使用されるための最低レベルに従って選択される。
【0015】
いくつかの実施形態によると、リザーバ壁の傾斜区分は、リザーバ壁の上区分の下方に位置し、傾斜区分および上区分は、水平面に対して異なる角度にある。
【0016】
いくつかの実施形態によると、リザーバ壁の上区分は、リザーバの周囲で本体の表面の上方に延在する、リザーバ壁の一区分を画定する。
【0017】
いくつかの実施形態によると、培養皿はさらに、リザーバの床面内にくぼみを備え、くぼみは、くぼみ床面およびくぼみ壁によって画定され、少なくとも1つのウェルは、くぼみ床面内に提供される。
【0018】
いくつかの実施形態によると、くぼみ壁の少なくとも一区分は、水平面に対して傾斜されるよう、垂直から離れて角度を付けられる。
【0019】
いくつかの実施形態によると、くぼみ壁の傾斜区分は、くぼみの全周囲に延在する。
【0020】
いくつかの実施形態によると、くぼみ壁の傾斜区分は、くぼみ壁の底部におけるくぼみ床面に隣接する。
【0021】
いくつかの実施形態によると、くぼみ壁の傾斜区分は、10度〜80度、20度〜70度、30度〜60度、および40度〜50度を含む群から選択される範囲内の角度で、水平面に対して傾斜される。
【0022】
いくつかの実施形態によると、くぼみ床面は、周辺くぼみ床面より高い床面の隆起区分を含む。
【0023】
いくつかの実施形態によると、くぼみ壁の一部は、陥凹部分に隣接するくぼみ壁の部分より少なくとも1つのウェルから離れているように陥凹される。
【0024】
いくつかの実施形態によると、少なくとも1つのウェルは、くぼみのくぼみ床面内に提供される複数のウェルを備える。
【0025】
いくつかの実施形態によると、少なくとも1つのウェルは、複数のウェルを備え、培養皿は、リザーバの床面内に少なくとも1つのさらなるくぼみを備え、異なるウェルが、異なるくぼみ内に提供される。
【0026】
いくつかの実施形態によると、少なくとも1つのウェルは、棚区分によって分離される、上ウェル区分と、下ウェル区分とを備える。
【0027】
いくつかの実施形態によると、少なくとも1つのウェルの少なくとも上部分は、水平断面において非円形である。
【0028】
いくつかの実施形態によると、少なくとも1つのウェルは、複数のウェルを備える。
【0029】
いくつかの実施形態によると、培養皿はさらに、培養皿用のハンドルを提供するように本体から離れて延在する一対のフィンを備える。
【0030】
いくつかの実施形態によると、培養皿はさらに、培養皿に関する情報を含有する標識を受容するために、一対のフィンの間で本体上に配列される、標識領域を備える。
【0031】
いくつかの実施形態によると、標識領域は、水平面に対して傾斜される。
【0032】
いくつかの実施形態によると、培養皿はさらに、リザーバを覆うための可撤性蓋を備える。
【0033】
いくつかの実施形態によると、可撤性蓋の上面は、その周辺において上向きに延在する縁を備える。
【0034】
いくつかの実施形態によると、蓋は、リザーバを覆うときに本体から突き出さない。
【0035】
いくつかの実施形態によると、培養皿はさらに、培養のための物体を調製するために使用される培地用の少なくとも1つのレセプタクルを備える。
【0036】
いくつかの実施形態によると、少なくとも1つのレセプタクルは、リザーバ内にある。
【0037】
いくつかの実施形態によると、少なくとも1つのレセプタクルの内壁の少なくとも一区分は、水平面に対して傾斜される。
【0038】
いくつかの実施形態によると、培養皿はさらに、培養皿の他の部分の表面テクスチャと異なる表面テクスチャを有する、注釈領域を備える。
【0039】
いくつかの実施形態によると、少なくとも1つのウェルは、円の弧に沿って配列される複数のウェルを備える。
【0040】
いくつかの実施形態によると、複数のウェルは、グループで空間的に配列され、異なるグループの中にある隣接ウェルは、同一のグループの中にある隣接ウェルより大きい距離によって分離される。
【0041】
本発明の第2の側面によると、本発明の第1の側面による少なくとも1つの培養皿を備える、培養チャンバを備える、インキュベータ装置が提供される。
【0042】
本発明の第3の側面によると、少なくとも1つの物体を培養する方法が提供され、本方法は、培養される物体および物体用のある量の培地を受容するための少なくとも1つのウェルと、ある量のカバー媒体を受容するためのリザーバであって、少なくとも1つのウェルは、通常の使用中であるときに、リザーバ内のカバー媒体が少なくとも1つのウェル内の培地の上を覆うように、リザーバの床面内に提供され、リザーバは、リザーバ床面およびリザーバ床面から離れて延在するリザーバ壁によって画定され、リザーバ壁の少なくとも一部は、培養皿が通常の使用中であるときに、リザーバ内のカバー媒体の表面によって画定される水平面に対して傾斜されるよう、垂直から離れて角度を付けられる、リザーバとを備える、本体を有する、培養皿を提供するステップを含み、本方法はさらに、リザーバ壁の一区分が垂直から離れて角度を付けられることを満たすレベルまで、カバー媒体でリザーバを充填するステップを含む。
【0043】
本発明の第1および他の側面に関連して上記で説明される本発明の特徴および側面は、上記で説明される具体的な組み合わせだけでなく、適宜、本発明の他の側面による本発明の実施形態に等しく適用可能であり、かつそれらと組み合わせられ得ることが理解されるであろう。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
培養される1つまたはそれを上回る物体を保持するための培養皿であって、前記培養皿は、本体を有し、前記本体は、
培養される物体および前記物体用のある量の培地を受容するための少なくとも1つのウェルと、
ある量のカバー媒体を受容するためのリザーバであって、前記少なくとも1つのウェルは、通常の使用中であるときに、前記リザーバ内のカバー媒体が前記少なくとも1つのウェル内の培地の上を覆うように、前記リザーバの床面内に提供され、前記リザーバは、前記リザーバ床面および前記リザーバ床面から離れて延在するリザーバ壁によって画定され、前記リザーバ壁の少なくとも一区分は、前記培養皿が通常の使用中であるときに、前記リザーバ内のカバー媒体の表面によって画定される水平面に対して傾斜されるよう、垂直から離れて角度を付けられる、リザーバと
を備える、培養皿。
(項目2)
前記リザーバ壁の前記傾斜区分は、前記リザーバの全周囲に延在する、項目1に記載の培養皿。
(項目3)
前記リザーバ壁の前記傾斜区分は、10度〜80度、20度〜70度、30度〜60度、および40度〜50度を含む群から選択される範囲内の角度で、前記水平面に対して傾斜される、任意の前記項目に記載の培養皿。
(項目4)
前記リザーバ壁の前記傾斜区分は、前記リザーバ壁の下区分の上方に位置し、前記傾斜区分および前記下区分は、前記水平面に対して異なる角度にある、任意の前記項目に記載の培養皿。
(項目5)
前記リザーバ壁の前記下区分と前記リザーバ床面の上方の前記リザーバ壁の前記傾斜区分との間の界面の高さは、前記培養皿が通常の使用中であるときにカバー媒体が使用されるための最低レベルに従って選択される、項目4に記載の培養皿。
(項目6)
前記リザーバ壁の前記傾斜区分は、前記リザーバ壁の上区分の下方に位置し、前記傾斜区分および前記上区分は、前記水平面に対して異なる角度にある、任意の前記項目に記載の培養皿。
(項目7)
前記リザーバ壁の前記上区分は、前記リザーバの周囲で前記本体の表面の上方に延在する、前記リザーバ壁の一区分を画定する、項目6に記載の培養皿。
(項目8)
前記リザーバの前記床面内にくぼみをさらに備え、前記くぼみは、くぼみ床面およびくぼみ壁によって画定され、前記少なくとも1つのウェルは、前記くぼみ床面内に提供される、任意の前記項目に記載の培養皿。
(項目9)
前記くぼみ壁の少なくとも一区分は、前記水平面に対して傾斜されるよう、垂直から離れて角度を付けられる、項目8に記載の培養皿。
(項目10)
前記くぼみ壁の前記傾斜区分は、前記くぼみの全周囲に延在する、項目9に記載の培養皿。
(項目11)
前記くぼみ壁の前記傾斜区分は、前記くぼみ壁の底部における前記くぼみ床面に隣接する、項目9または10に記載の培養皿。
(項目12)
前記くぼみ壁の前記傾斜区分は、10度〜80度、20度〜70度、30度〜60度、および40度〜50度を含む群から選択される範囲内の角度で、前記水平面に対して傾斜される、項目9〜11のいずれかに記載の培養皿。
(項目13)
前記くぼみ床面は、周辺くぼみ床面より高い床面の隆起区分を含む、項目8〜12のいずれかに記載の培養皿。
(項目14)
前記くぼみ壁の一部は、陥凹部分に隣接する前記くぼみ壁の部分より前記少なくとも1つのウェルから離れているように陥凹される、項目8〜13のいずれかに記載の培養皿。
(項目15)
前記くぼみ壁の前記陥凹部分と前記少なくとも1つのウェルのうちの少なくとも1つとの間に配列される、さらなる壁部分をさらに備える、項目14のいずれかに記載の培養皿。
(項目16)
前記少なくとも1つのウェルは、前記くぼみの前記くぼみ床面内に提供される複数のウェルを備える、項目8〜15のいずれかに記載の培養皿。
(項目17)
前記少なくとも1つのウェルは、複数のウェルを備え、前記培養皿は、前記リザーバの前記床面内に少なくとも1つのさらなるくぼみを備え、異なるウェルが、異なるくぼみ内に提供される、項目8〜15のいずれかに記載の培養皿。
(項目18)
前記異なるくぼみは、1つまたはそれを上回る分割壁によって相互から分離される、項目17に記載の培養皿。
(項目19)
前記少なくとも1つのウェルは、棚区分によって分離される、上ウェル区分と、下ウェル区分とを備える、任意の前記項目に記載の培養皿。
(項目20)
前記少なくとも1つのウェルの少なくとも上部分は、水平断面において非円形である、任意の前記項目に記載の培養皿。
(項目21)
前記少なくとも1つのウェルは、複数のウェルを備える、任意の前記項目に記載の培養皿。
(項目22)
前記培養皿用のハンドルを提供するように、前記本体から離れて延在する一対のフィンをさらに備える、任意の前記項目に記載の培養皿。
(項目23)
前記培養皿に関する情報を含有する標識を受容するために、前記一対のフィンの間で前記本体上に配列される、標識領域をさらに備える、項目22に記載の培養皿。
(項目24)
前記標識領域は、前記水平面に対して傾斜される、項目23に記載の培養皿。
(項目25)
前記リザーバを覆うための可撤性蓋をさらに備える、任意の前記項目に記載の培養皿。
(項目26)
前記可撤性蓋の上面は、その周辺において上向きに延在する縁を備える、項目25に記載の培養皿。
(項目27)
前記蓋は、前記リザーバを覆うときに前記本体から突き出さない、項目25または26に記載の培養皿。
(項目28)
培養のための物体を調製するために使用される培地用の少なくとも1つのレセプタクルをさらに備える、任意の前記項目に記載の培養皿。
(項目29)
前記少なくとも1つのレセプタクルは、前記リザーバ内にある、項目28に記載の培養皿。
(項目30)
前記少なくとも1つのレセプタクルの内壁の少なくとも一区分は、前記水平面に対して傾斜される、項目28または29に記載の培養皿。
(項目31)
前記培養皿の他の部分の表面テクスチャと異なる表面テクスチャを有する、注釈領域をさらに備える、任意の前記項目に記載の培養皿。
(項目32)
前記少なくとも1つのウェルは、円の弧に沿って配列される複数のウェルを備える、任意の前記項目に記載の培養皿。
(項目33)
前記複数のウェルは、グループで空間的に配列され、異なるグループの中にある隣接ウェルは、同一のグループの中にある隣接ウェルより大きい距離によって分離される、項目32に記載の培養皿。
(項目34)
任意の前記項目に記載の少なくとも1つの培養皿を備える、培養チャンバを備える、インキュベータ装置。
(項目35)
少なくとも1つの物体を培養する方法であって、前記方法は、
本体を有する培養皿を提供するステップ
を含み、前記本体は、
培養される物体および前記物体用のある量の培地を受容するための少なくとも1つのウェルと、
ある量のカバー媒体を受容するためのリザーバであって、前記少なくとも1つのウェルは、通常の使用中であるときに、前記リザーバ内のカバー媒体が前記少なくとも1つのウェル内の培地の上を覆うように、前記リザーバの床面内に提供され、前記リザーバは、前記リザーバ床面および前記リザーバ床面から離れて延在するリザーバ壁によって画定され、前記リザーバ壁の少なくとも一区分は、前記培養皿が通常の使用中であるときに、前記リザーバ内のカバー媒体の表面によって画定される水平面に対して傾斜されるよう、垂直から離れて角度を付けられる、リザーバと
を備え、
前記方法はさらに、前記リザーバ壁の前記一区分が垂直から離れて角度を付けられることを満たすレベルまで、カバー媒体で前記リザーバを充填するステップを含む、方法。
(項目36)
添付図面の図2−22を参照して実質的に以上に説明されるような装置。
(項目37)
添付図面の図2−22を参照して実質的に以上に説明されるような方法。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本発明は、ここで以下の図面を参照して、一例のみとして説明される。
図1図1は、胚を培養するために使用される公知の培養皿を斜視図で概略的に表す。
図2図2−13は、本発明の実施形態による、培養皿の異なる図を概略的に表す。
図3図2−13は、本発明の実施形態による、培養皿の異なる図を概略的に表す。
図4図2−13は、本発明の実施形態による、培養皿の異なる図を概略的に表す。
図5図2−13は、本発明の実施形態による、培養皿の異なる図を概略的に表す。
図6図2−13は、本発明の実施形態による、培養皿の異なる図を概略的に表す。
図7図2−13は、本発明の実施形態による、培養皿の異なる図を概略的に表す。
図8図2−13は、本発明の実施形態による、培養皿の異なる図を概略的に表す。
図9図2−13は、本発明の実施形態による、培養皿の異なる図を概略的に表す。
図10図2−13は、本発明の実施形態による、培養皿の異なる図を概略的に表す。
図11図2−13は、本発明の実施形態による、培養皿の異なる図を概略的に表す。
図12図2−13は、本発明の実施形態による、培養皿の異なる図を概略的に表す。
図13図2−13は、本発明の実施形態による、培養皿の異なる図を概略的に表す。
図14図14は、図2−13で表される培養皿と併せて使用するための統合装置を斜視図で概略的に表す。
図15図15および16は、図14で表されるインキュベータ装置のスライドキャリア内の定位置において図2−13で表される培養皿の異なる図を概略的に表す。
図16図15および16は、図14で表されるインキュベータ装置のスライドキャリア内の定位置において図2−13で表される培養皿の異なる図を概略的に表す。
図17図17および18は、本発明のさらなる実施形態による、培養皿の特徴を概略的に表す。
図18図17および18は、本発明のさらなる実施形態による、培養皿の特徴を概略的に表す。
図19図19−21は、本発明の別の実施形態による、培養皿の異なる図を概略的に表す。
図20図19−21は、本発明の別の実施形態による、培養皿の異なる図を概略的に表す。
図21図19−21は、本発明の別の実施形態による、培養皿の異なる図を概略的に表す。
図22図22は、本発明の別の実施形態による、培養皿の平面図を概略的に表す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明のある実施例および実施形態の側面ならびに特徴が、本明細書で議論/説明される。ある実施例および実施形態のいくつかの側面ならびに特徴は、従来的に実装されてもよく、簡潔にするために詳細に議論/説明されない。したがって、詳細に説明されない、本明細書で議論される装置および方法の側面ならびに特徴は、そのような側面および特徴を実装するための従来の方法に従って実装されてもよいことが理解されるであろう。
【0046】
文脈が別様に要求しない限り、本明細書で使用される用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるようなそれらの意味に従って解釈されるはずである。
【0047】
胚は、典型的には、受精後に最大で3〜5日の周期にわたって培養される。いくつかの点で、「胚」という用語は、ある時は、それが胎児になる段階である、受精後8週間までの子宮内の着床後の受精卵母細胞(卵)を指すために使用され得る。本用語によると、受精卵母細胞は、ある時は、着床が起こるまで初期胚または接合子と呼ばれ得る。しかしながら、便宜上、「胚」という用語はまた、ある時は、着床に先立った接合子期を包含するために使用され得、本アプローチが、概して、本明細書で従われるであろう。すなわち、「胚」という用語は、桑実胚、胚盤胞期、孵化、および着床を通した卵母細胞の受精からの全ての発生段階を網羅するために広義の意味で本明細書では使用される。したがって、胚という用語は、それぞれの段階、すなわち、受精卵母細胞、2細胞、4細胞、8細胞、16細胞、圧密、桑実胚、胚盤胞、拡張胚盤胞、および孵化胚盤胞、ならびに段階の間の全ての段階(例えば、3細胞または5細胞)を表すために本明細書では使用され得る。したがって、胚および接合子という用語は、例えば、本明細書では同義的に使用され得る。本明細書に説明されるような本発明の実施形態による培養皿を使用して培養される、胚は、前もって凍結させられ得る、例えば、受精直後に(例えば、1細胞期に)凍結保存され、次いで、解凍される胚である。代替として、それらは、新たに調製され得る、例えば、IVFまたはICSI技法によって、例えば、卵母細胞から新たに調製される胚である。
【0048】
胚は、ほぼ球形であり、透明帯として公知である細胞基質である、ゼラチン様の殻によって囲繞された1つまたはそれを上回る細胞(割球)から成る。透明帯は、胚が孵化するまで種々の機能を果たし、胚進化のための良好な目印である。透明帯は、球形かつ半透明であり、細胞残屑と明確に区別可能なはずである。
【0049】
上記のように、胚は、ある時は、例えば、体外受精(IVF)手技中に培養皿の中で貯蔵/保持される。このような文脈で、培養皿はまた、(胚)スライド、(胚)キャリア、または(胚)トレイとも称され得る。また、上記のように、発生学で使用するための培養皿は、典型的には、培養される胚を受容するための複数のウェルを備えるであろう。それぞれのウェルの中の胚は、油層の層によって上を覆われる水性増殖基(培地)に浸漬される。
【0050】
胚培養皿を使用する機関は、同時に多くの患者からの多くの胚を取り扱い得る。これは、培養皿が使用および取扱に便利であることが重要であることを意味する。しかしながら、例えば、取扱の誤り(例えば、胚を損傷または混合する)の危険性を低減させること、消耗品(油等)の使用を最小限にすること、および胚に適用される分析(例えば、経時的撮像)を促進することに関して、ユーザが優良研究室規範の一般的目標に従うことに役立つことを目指す方法で、培養皿が設計されることも望ましい。このようなことを念頭に置いて、本発明者らは、例えば、胚の経時的撮像を提供する装置内のインキュベータ等のインキュベータの中で胚を培養するための胚皿の新しい構成を考え出した。
【0051】
図2−13は、本発明のある実施形態による、培養皿22を概略的に表す。培養皿22は、従来の技法、例えば、好適なプラスチック材料の射出成形に従って製造され得る、本体24を備える。本発明のある実施形態のために重要であるものは、培養皿を製造する際に使用される具体的技法ではなく、培養皿の形状および構成である。この点で、培養皿22に使用される製造技法および材料は、図1で表され、上記で議論される培養皿2等の公知の培養皿に使用されるものと略同一であり得る。具体的には、培養皿22は、略透明ポリマー、例えば、PEN、PETg、および/またはPET等のポリエステルの射出成形によって形成されてもよい。本体24は、単一成形を備えてもよい。以下でさらに議論されるように、培養皿22はさらに、ある場合には、本体24から別個かつ可撤性である蓋を備えてもよい。蓋は、再度、従来の技法、例えば、透明ポリマー材料の射出成形に従って製造されてもよい。
【0052】
図2−13で表される培養皿(スライド/トレイ/キャリア)22の特定の特徴および側面について議論する前に、異なる図の全体的概要が提供される。
【0053】
図2は、上方からの斜視図で、培養皿22、具体的には、培養皿22の本体24を概略的に表す。
【0054】
図3は、下方からの斜視図で培養皿22を概略的に表す。図2で上方から見られる培養皿22の種々の特徴の下面が、図3で見られることができる。これは、以下でさらに議論される断面図のうちのいくつかでも明白であるように、本体24が中実ではなく略シート様であることを示す。本体24を備える材料の断面厚は、概して、約1〜2mmであってもよいが、培養皿の射出成形のための構造の一般的に理解される原理に従って、異なる場所でより厚くまたは薄くあり得る。
【0055】
図4は、上方から、かつ図2で表されるものと異なる方向からの斜視図で、培養皿22を概略的に表す。さらに、図4で表されるような培養皿22は、本体24の一部を覆う蓋60とともに示されている。上記のように、蓋は、従来の技法、例えば、透明ポリマー材料の射出成形に従って製造されてもよい。
【0056】
図5は、上方からの平面図で培養皿22を概略的に表す。
【0057】
図6は、水平であり、図5で表されるような培養皿22の中央を通る、それに沿って延びる切断で培養皿22の切断側面図を概略的に表す。
【0058】
図7は、図5で表される配向で右側から見られるような培養皿22の端面図を概略的に表す。
【0059】
図8は、培養皿22の切断斜視図を概略的に表す。
【0060】
図9および10は、培養皿22のある部分の切断斜視図を概略的に表す。
【0061】
図11および12は、図8で表される図に類似するが、培地およびカバー媒体(油)を含有する培養皿を示す、培養皿22の切断斜視図を概略的に表す。図11では、培養皿の中の培地およびカバー媒体が、表面をより明確に表すように中実の白色として示されている一方で、図12では、培地およびカバー媒体は、透明として示されている。
【0062】
図13は、(わずかに異なる切断面を伴うが)図6で表される図に類似し、(胚培地およびカバー媒体の上を覆う層を含む)培地を含有する培養皿を示す、培養皿22の切断側面図を概略的に表す。
【0063】
本特定の実施例において図2−13で表される培養皿22は、図14の斜視図で概略的に表されるようなインキュベータ装置100で使用するために意図される。図14で表されるインキュベータ装置100は、例えば、同時係属英国特許出願第GB 1401773.5号[3](2014年2月3日出願)および/または第GB 1401774.3号[4](2014年2月3日出願)で説明される種類であってもよい。しかしながら、(実際に培養皿が胚を培養するために使用されるものである場合)本発明の実施形態による培養皿に使用される具体的インキュベータ装置は、過度に重要ではないことが理解されるであろう。
【0064】
本実施例におけるインキュベータ装置100は、約60cm×50cmの特徴的な設置面積と、約50cmである高さとを有する。装置100は、インキュベータ装置の種々の内部構成要素を見せるよう図14に示されていない、外側ケーシングを備える。装置100は、種々の他の構成要素が搭載される基板110を備える。本質的には、インキュベータ100は、培養チャンバ筐体112によって画定される培養チャンバと、スライドキャリア114とを含む。スライドキャリア114は、培養チャンバ内で培養される胚を保持するための図2−13で表される種類のそれぞれの胚培養皿を保持するための複数のコンパートメントを備える。スライドキャリア114は、概して、円板の形態であるが、スライドキャリア114のわずかな一部のみが図14で可視的である。スライドキャリア114の大部分は、囲繞インキュベータチャンバ筐体112を伴わずに、スライドキャリアのコンパートメントのうちの1つの中に位置する培養皿22を伴って、図15の概略斜視図で示される。図16は、図15に類似するが、培養皿22およびスライドキャリア114を通した部分斜視切断図を示す。
【0065】
インキュベータ装置100はさらに、撮像デバイス120、この場合、デジタル顕微鏡を備える。顕微鏡120は、顕微鏡が培養皿の中に貯蔵された胚の画像を記録することを可能にするように、培養チャンバ筐体112内の視認ポートと整合して培養チャンバの外側に搭載される。
【0066】
培養チャンバ筐体112およびスライドキャリア114は両方とも、略円形で比較的薄い(すなわち、円板様)。培養チャンバ筐体112は、基板110に対して定位置で固定される。スライドキャリア114は、回転軸116の周囲で培養チャンバ筐体112によって画定される培養チャンバ内で回転可能である。本実施例では、スライドキャリア114は、培養チャンバの下方および外側に搭載されたモータのシャフトに直接搭載される。したがって、モータのシャフトは、培養チャンバの下側の開口部を通過し、モータがスライドキャリアを駆動して培養チャンバ内で回転するように、スライドキャリアに連結される。したがって、培養チャンバ内の異なる培養皿は、監視(画像取得)のために撮像デバイスと整合するよう回転させられてもよい。
【0067】
全体として、インキュベータ装置100の動作および構造は、英国特許出願第GB 1401773.5号[3]および第GB 1401774.3号[4]で説明されるもの等の公知の技法に従ってもよい。
【0068】
したがって、通常の使用時に、本発明の実施形態による培養皿22は、図14で表される種類のインキュベータ装置100のスライドキャリア114のコンパートメントの中に配置されてもよい。培養皿22の特徴の相対的空間配列は、通常の使用中のその配向に関して説明され得る。
【0069】
したがって、水平という用語は、本実施例では、概して、培養皿22がその最大面積範囲を有する平面である、図5で表されるような培養皿22の平面を表すために使用され得る。垂直という用語は、水平に垂直である方向を表すために使用され得る。したがって、培養皿の垂直方向と称され得る方向は、図6および7でVと印付けられた方向矢印によって概略的に表される通りである。培養皿の水平方向と本明細書で称される方向は、例えば、図6および7でHと印付けられた方向矢印によって概略的に表されるように、図5の平面と平行である方向である。垂直方向はまた、培養皿22のZ方向とも称され得る。本実施例における培養皿22は、培養皿が胚を撮像システムと逐次的に整合させるために軸の周囲で回転させられる、インキュベータで使用するために意図されるため、ある場合には、培養皿22の水平面における方向が、スライドキャリアの回転中心116にその起点を有する円形座標系内で、回転中心から離れて延在する半径方向Rおよび半径方向と垂直に延在する方位角方向Aと称されることが利便的であり得る。したがって、培養皿22の特徴の相対的配列は、ある場合には、図2に概略的に示されるように、半径方向R、方位角方向A、および垂直方向Zを参照することによって説明され得る。半径方向Rはまた、培養皿の範囲の軸/長さ方向Lとも称され得る。培養皿の幅方向Wは、長さ方向Lと水平および直角である方向として定義され得る。培養皿の高さ方向Hは、垂直である方向として定義され得る。当然ながら、これらの種々の方向は、培養皿のいくつかの特徴の相対的配列を説明する、具体的には、通常の使用中であるときの培養皿の配向を考慮する際に、純粋に便宜上定義され、該用語は、それら自体で、絶対的な意味で培養皿22の全体的構成にいかなる特定の構造的制限も課すことを意図していないことが理解されるであろう。
【0070】
「上に」および「下に」ならびに「上部」および「底部」等の用語は、本明細書では、通常の使用中であるときにスライドの垂直方向を考慮して使用されるであろう。したがって、培養皿の「上部」は、培養皿が通常の使用中であるとき、例えば、胚および培地を含有するときに上を向く、培養皿の表面である。培養皿の「底部」は、培養皿が通常の使用中であるときに下を向く、培養皿の表面である。その範囲の軸と略直角である培養皿の本体の縁表面は、培養皿の端部と称され得る。その範囲の軸と略平行である培養皿の本体の縁表面は、培養皿の側面と称され得る。
【0071】
図から明白であるように、本実施例における培養皿22の端部が、略直線状である一方で、側面は、側面が内向きに先細になるように、それらの中央の周囲で幅広く屈曲する。本先細は、図15および16で表される種類のスライドキャリア114の中に配置されたときに、複数の培養皿が円の周囲に利便的に配置されることを可能にする。
【0072】
培養皿の側面における屈曲および端部と側面との間の外側の角は、丸みを帯びている。本特定の実施例における培養皿22は、約6.5cmの特徴的な長さLと、約5cm程度の(最も幅広い点における)特徴的な幅Wと、約1.5cmの特徴的な高さとを有する。しかしながら、培養皿の他のサイズおよび形状は、例えば、培養皿用のホルダの幾何学形状に合致するように、目前の実装に従って選択されてもよいことが理解されるであろう。例えば、本発明の種々の実施形態によると、および実装によると、培養皿は、2cm〜20cm、2cm〜15cm、3cm〜12cm、および5cm〜10cmを含む群から選択される範囲内の特徴的な長さL、および/または1cm〜10cm、2cm〜8cm、3cm〜7cm、および4cm〜6cmを含む群から選択される範囲内の特徴的な幅W、ならびに/もしくは2cm、1.5cm、1.0cm、および0.5cmを含む群から選択される量未満またはそれと等しい特徴的な高さHを有してもよい。しかしながら、培養皿の全体的な規模は、最も重要なものではなく、例えば、意図された用途を考慮して、目前の実装に従って選択されてもよいことが理解されるであろう。
【0073】
図2−13を参照すると、培養皿22は、胚等の培養される1つまたはそれを上回る物体を保持するためのものであり、上記で議論されるように、本体24を備える。
【0074】
本体は、培養するために胚を受容するための16個のウェル42を備える。通常の使用時に、胚培地、例えば、水性の栄養分に富んだ培地もまた、胚とともにウェルの中に配置される。使用時に、典型的には、培養される胚の数まで各ウェルの中に1つの胚があろう。例えば、所与の培養皿を使用して培養される患者からの9つの胚がある場合、9つのウェル42のそれぞれの中に配置された1つの胚があり、残りの7つのウェルの中には胚がないであろう。すなわち、少なくともヒトIVFにとって、同一の培養皿/スライド上で異なる患者からの胚を混合することによって、特定の培養皿の全てのウェルに同時に投入することは稀であろう。典型的には、各ウェルの中に1つの胚があり得るが、いくつかの用途では、複数の胚が単一のウェルの中で良好な培養として点検されることが所望されてもよい。したがって、状況によっては、個々のウェルが複数の胚を備えてもよい。
【0075】
本実施例における16個のウェル42は、円の弧を備える単一の線に沿って空間的に配列される。本弧の半径は、ウェル42の間の分離および図15で表されるようなスライドキャリア114で使用するために培養皿22が位置するときのスライドキャリア114の回転軸116に従って選択される。これは、培養皿22が適切な場所に保持される、スライドキャリアを単純に回転させることによって、培養装置100の監視ステーション、例えば、撮像デバイス120が、異なるウェル42と整合させられることを可能にすることができる。一実施例では、140mmの弧の半径が使用され得るが、適切な弧の半径は、インキュベータの幾何学形状に依存するであろうことが理解されるであろう。
【0076】
本実施例における16個のウェル42は、4個の4つのグループに空間的に配列される。グループ内のウェルの隣接対の間の距離は、異なるグループの端部における隣接ウェルの間の距離より小さい。いくつかの異なるグループへのウェルの本空間的分離は、ユーザが特定のウェルを容易に見つけることに役立つことが分かっている。例えば、ユーザがサンプルキャリアの片側から10番目のウェルを識別することを希望する場合、ユーザは、培養皿の片側からウェルに沿って数える必要があるのではなく、単純に第3のグループの中の2番目のウェルを見ることができる。本実施例におけるウェルはまた、ユーザが異なるウェルを識別することを支援するように、識別マーキング64を提供される。識別マーキング64は、それぞれのウェルに隣接して培養皿の本体に成形されてもよく、例えば、1〜16の数値インデックスを備えてもよい。そのようなマーキングは、それらが上方から依然として可視であるため、培養皿の下側に成形されてもよいが、ウェルの近傍で汚染物質を潜在的に捕捉し得る表面粗度を導入しない。識別マーキング64は、例えば、図3で表される下側斜視図上で見られることができる。(この場合、以下でさらに議論される洗浄リザーバ46用の文字A、B、C、Dを備える対応する識別マーキング65もまた、図3の下側図で見られることができる。)
【0077】
ウェル42は、本実施例では、垂直軸の周囲で略円形対称であり、約2.5mmの深さを有する。グループ内の隣接ウェルの中心は、約1.75mmだけ分離される。当然ながら、他の分離も他の実装で使用されてもよい。ウェルの隣接グループの端部における隣接ウェルの中心は、本量の約2倍、すなわち、3.5mmだけ分離される。図10で見られることができるように、各ウェル42は、略水平棚区分56によって分離される、上ウェル区分54と、下ウェル区分58とを備え、すなわち、下ウェル区分の上部における水平断面は、上ウェル区分の底部における水平断面より小さい。
【0078】
上壁区分54は、概して、円柱の形態である(すなわち、垂直壁を有する)。下ウェル区分58は、概して、培養中に胚が静置するであろう場所である、ウェル42の基部におけるウェル床面まで深さが増加するとともに狭くなる、概して、切頂円錐の形態である。その基部におけるウェルの特徴的な幅/直径は、ミリメートル未満、例えば、約0.25mmほどであってもよい。本実施例では、上ウェル区分は、約1.0mmの高さを有し、下ウェル区分は、約1.5mmの高さを有する。
【0079】
棚区分56は、培養皿内の液体培地中に浮遊する粒子状汚染物質がウェル42の床面に沈殿することを防止することに役立つように提供される。ウェルの中へ沈殿する粒子状汚染物質の一部は、下ウェル区分58の底部におけるウェルの床面上ではなく、棚区分56上に沈殿するであろう。棚区分56の相対サイズが大きいほど、ウェル42の床面上に沈殿することを妨げられるであろう粒子状汚染物質の一部が多くなる。本実施例における棚区分は、約0.5mmの水平面内の幅を有する。棚区分56の大部分は、水平であり得る。しかしながら、他の場合において、棚区分56は、水平から離れて、例えば、ウェルの中心から離れて下向きに、角度を付けられてもよいため、任意の沈殿粒子は、ウェルの中心から離れて偏らされる。図10で見られることができるように、ウェルの異なる区分の間の移行部は、概して、丸みを帯びている。培養皿の異なる区分の間に平滑な/丸みを帯びた移行部を提供することは、射出成形による製造中に役立つことができ、また、汚染物質および/または気泡が角で捕捉される可能性を低減させることもできる。丸みを帯びた角および移行部はまた、胚等の培養される物体がウェル42の底部に沈殿することに役立つこともできる。
【0080】
培養皿22は、リザーバ壁34およびリザーバ床面32によって画定されるリザーバ30を備える。ウェル42は、リザーバ30の床面32内に提供される。より具体的には、本例示的実装では、ウェル42は、リザーバ床面32内に提供されたくぼみ(溝)44内に提供される。全てのウェルは、単一の溝44の床面内にあるが、他の実施例では、ウェルは、リザーバ床面32内の異なる溝の中でともにグループ化されてもよい。
【0081】
リザーバは、培養皿が通常の使用中であるときに、胚およびそれらの培地を覆ってある量のカバー媒体を保持するためのものである。カバー媒体の使用は、概して従来の培養技法に従い、それによって、胚を含有するウェル内の培地は、カバー媒体の層、例えば、培地より軽いがそれと混合しない油性媒体、例えば、鉱油によって上を覆われる。カバー媒体は、例えば、培地の蒸発を防止することに役立つように、培地と培養皿を囲繞する環境との間に障壁を提供する。図11−13は、ある量のカバー媒体70を含有するときの培養皿22を概略的に表す。カバー媒体70(例えば、鉱油)は、一般に、透明であろうが、表示を補助するように図11では中実の白色として表される。図12および13では、カバー媒体は、その上面72のみが見えているように透明であるものとして表される。
【0082】
水平断面では、リザーバ30は、丸みを帯びた角を伴う略四角形の形態を有する。したがって、リザーバ壁34は、培養皿22の端部に大まかに平行に延びる2つの側面と、培養皿22の側面に大まかに平行に延びる2つの側面とを備える。培養皿22の側面が相互に対して角度を付けられるため、培養皿22の側面に大まかに平行に延びるリザーバ壁34の区分もまた、相互に対して角度を付けられる。
【0083】
本実施例におけるリザーバの最上部は、培養皿22の端部に平行に延びる側面の間の約3cmの特徴的な範囲と、(最も幅広い点において)約4cmの培養皿の側面に平行に延びる側面の間の特徴的な幅とを有する。リザーバは、約0.8cmの(リザーバ壁34の上部からリザーバ床面32までの)特徴的な深さを有する。しかしながら、リザーバの他のサイズおよび形状が、目前の実装に従って選択されてもよいことが理解されるであろう。例えば、本発明の種々の実施形態によると、および実装によると、リザーバは、1cm〜5cm、2cm〜4cm、および2.5cm〜3.5cmを含む群から選択される範囲内の半径方向に沿った特徴的な範囲、および/または1cm〜8cm、3cm〜7cm、および4cm〜6cmを含む群から選択される範囲内の特徴的な幅、ならびに/もしくは2cm、1.5cm、1.0cm、および0.5cmを含む群から選択される量未満またはそれと等しい特徴的な高さHを有してもよい。しかしながら、水平断面におけるリザーバの全体的な規模および正確な幾何学形状は、最も重要なものではなく、例えば、意図された用途(例えば、使用されるカバー媒体の所望の量)を考慮して、目前の実装に従って選択されてもよいことが理解されるであろう。
【0084】
リザーバ壁34は、リザーバ床面32から上向きに延在し、本実施例では、それぞれリザーバ30の全周囲に延在する、3つの区分を備える。したがって、リザーバ壁は、リザーバ床面32と交わり、そこから略垂直に上向きに延在する、垂直な下リザーバ壁区分36を備える。下リザーバ壁区分36の上方には、中央リザーバ壁区分38がある。これは、下リザーバ壁区分から上向きに延在し、垂直方向から離れて角度を付けられる(すなわち、水平面に対して傾斜される)。傾斜リザーバ壁区分38とも称され得る、中央リザーバ壁区分38は、リザーバ床面の上方に増加する距離を伴って(すなわち、リザーバ床面32の上方の高さが増加するとともにリザーバの水平断面が増大するように)リザーバに対して外向きに角度を付けられる。傾斜(中央)リザーバ壁区分38の上方には、上リザーバ壁区分40がある。これは、傾斜リザーバ壁区分38の上部から略垂直に上向きに延在する。したがって、リザーバ壁32の少なくとも一区分38は、培養皿が通常の使用中であるときに、リザーバ内のカバー媒体の表面によって画定される水平面に対して傾斜されるよう、垂直から離れて角度を付けられる。本実施例では、リザーバ壁34の傾斜区分38は、リザーバ壁の全周囲に延在するが、これは、必ずしも全ての実装に当てはまるわけではない場合がある。
【0085】
リザーバ壁34内の傾斜区分38の提供は、種々の目的を果たすことができる。
【0086】
例えば、リザーバ床面の上方の下リザーバ壁区分36と傾斜リザーバ壁区分38との間の接合部の高さ(すなわち、下リザーバ壁区分の高さ)は、培養皿が通常の使用中であるときに使用されるカバー媒体の所望の最低レベルに従って選択されてもよい。本発明者らは、透明カバー媒体で透明培養皿を充填するときに、状況によっては、カバー媒体が充填されている高さをユーザが確実に判定することが困難であり得ることを認識している。これは、典型的には、ユーザが所望の最低レベルに達したことを確信するように、ユーザに必要よりも多くのカバー媒体を入れさせる。これは、必要よりも多くのカバー媒体を使用することが無駄であるだけでなく、(より多くのカバー媒体が溢れるであろうため)偶発的漏出の場合にさらなる影響の潜在性を生じさせるであろうため、有害であり得る。本発明者らは、壁の別の区分に対してさらに角度を付けられる壁の一区分の提供が、リザーバ内の培地の深さが壁角度の変化の高さを通り越すときをユーザが容易に知ることを可能にすることを認識している。これは、壁の傾斜区分を覆って延在するにつれて、培地の拡張周辺が容易に目に見えるであろうためである。すなわち、ユーザが壁38の傾斜区分を覆って延在し始めるカバー媒体を見るまで(すなわち、カバー媒体がリザーバ壁36の下区分から溢れ出し始めるときに)、ユーザは、単純にカバー媒体でリザーバを充填し続けることができる。本段階で、ユーザは、リザーバに導入されるカバー媒体の深さが、少なくとも下壁区分の高さであることを把握する。したがって、所与の用途のためのカバー媒体(例えば、油)の最小深さが1.5mmと見なされる場合、下壁区分38の高さは、1.5mmに設定されてもよい。油でリザーバ30を充填するユーザは、油が傾斜リザーバ壁区分38を覆って広がり始めるにつれて、本高さを超えるときを容易に知るであろう。
【0087】
リザーバ壁34の傾斜区分38の本媒体の深さを示す機能は、リザーバ30の全周に延在するリザーバ壁34の傾斜区分38を伴わずに達成されることができる。しかしながら、媒体の深さの指標を提供することに加えて、傾斜リザーバ壁区分38はまた、事実上、カバー媒体の所与の深さおよび体積の場合に別様に移動するであろうよりもウェルから遠く離れて、カバー媒体のメニスカス(すなわち、カバー媒体がリザーバ壁34と交わる場所)を移動させる役割も果たす。これは、培養皿が、経時的撮像機能性を有するインキュベータ装置、例えば、図14で表される種類のインキュベータ装置100で使用するために意図される、実装において、特に有利であり得る。これは、本タイプのインキュベータ装置用の撮像システムが、概して、(例えば、撮像または照射のために)カバー媒体を通過する光路に依拠するためである。したがって、そのメニスカスと関連付けられるカバー媒体の湾曲と別様に関連付けられ得る、歪曲を低減させることが重要であり得る。リザーバ壁の傾斜区分、具体的には、大部分のリザーバ周辺に延在する区分の提供は、カバー媒体のメニスカスが、カバー媒体の所与の体積の場合に別様に移動するであろうよりもリザーバ内のウェルから離れることを可能にする。さらに、メニスカス効果の規模は、直角ではなくある角度においてリザーバ壁と交わるカバー媒体により、低減させられることができる。
【0088】
図2−13で表され、図9で概略的に示されるような特定の例示的培養皿では、下リザーバ壁36は、約1.5mmの高さを有し、上リザーバ壁40は、約2.5mmの高さを有し、リザーバ壁38の傾斜区分は、約4mmの垂直高さにわたって延在し、水平面に対して約45度で傾斜される。しかしながら、リザーバの幾何学形状は、異なる実装で異なり得ることが理解されるであろう。例えば、下リザーバ壁区分36の高さは、目前の用途のためのカバー媒体の所望の最小深さに従って選択されてもよい。同様に、角度区分38の傾斜角は、異なる実装で異なり得る。例えば、リザーバ壁の傾斜区分は、10度〜80度、20度〜70度、30度〜60度、および40度〜50度を含む群から選択される範囲内の角度で、水平面に対して傾斜されてもよい。
【0089】
上記のように、下壁区分36と傾斜壁区分38との間の壁角度の変化は、事実上、(カバー媒体表面の周辺がマーカを越えて延在し始めることが見られるであろうため)カバー媒体のレベルがマーカの高さを上回るときをユーザが容易に知り、識別するために使用することができる、マーカ/視覚的合図を提供する。他の実施例では、垂直下壁区分36がなくてもよく、すなわち、リザーバ壁の傾斜区分38は、リザーバ床面まで下に延在してもよい。この場合、表面マーカ、例えば、成形線が、事実上、最低充填レベルのためのマーカを提供するように、適切な高さで傾斜表面内に提供されてもよい。したがって、ユーザは、カバー媒体の表面が傾斜壁区分上に提供されるマーカを越えて延在し始めるときに、所望のレベルが達成されていることを認識することができる。
【0090】
上壁区分40は、例えば、図8で見られるように、リザーバを囲繞する培養皿22の本体24の部分のレベルの上方に延在する。したがって、上壁区分40は、事実上、例えば、漏出を回避することに役立つように、リザーバの周囲に垂直に延在する縁を提供する。さらに、上壁区分40によって提供される上向きに延在する縁は、図4で表される蓋60のための台座を提供する。
【0091】
蓋60の内部の幾何学形状は、水平断面において上壁区分40の外部範囲に大まかに合致するように選択されてもよく、蓋60の高さは、上壁区分40の高さと大まかに対応するように選択されてもよい。したがって、蓋60は、図4で概略的に表されるように、リザーバ30を覆って容易に位置付けられることができる。本実施例では、蓋60はさらに、その周辺に上向きに延在する縁62を提供される。本発明者らは、培養皿22の蓋62および/または本体24を取り扱うときに、これが、ユーザが蓋60の表面を横断して指を移動させることを防止することに自然に役立つことを見出している。これは、培養皿が経時的撮像機能性を有するインキュベータ装置で使用するために意図される場合に、特に有利であり得る。これは、本タイプのインキュベータ装置内の撮像システムが、概して、(例えば、撮像または照射のために)蓋60を通過する光路に依拠するであろうためであり、したがって、蓋60上で指紋もしくは他の跡から起こり得る散乱および/または陰影を低減させることが重要であり得る。
【0092】
図4の実施例で表される蓋60の別の重要な側面は、それが培養皿よりも狭くなるように配列されることである。すなわち、蓋60は、定位置にあるときに、培養皿22の本体24の側面から突き出さない。ユーザがその側面によって培養皿を保持している場合、ユーザが蓋60を握持するのみで培養皿22の本体24が外れて落ちることを可能にする危険性が低減していることを意味する。しかしながら、他の実施例では、蓋が本体から突き出してもよい。
【0093】
上記のように、本実施例におけるウェル42は、リザーバ床面32内のくぼみ(溝)44の底部において提供される。図10で見られることができるように、例えば、溝(くぼみ)44は、溝床面(くぼみ床面)45および溝壁(くぼみ壁)47によって画定される。水平断面では、溝44は、上記で議論されるように、ウェル42が配列される弧の線に適応するように、略弓状の形態を有する。したがって、溝壁47は、図に示されるように、培養皿22の幅を横断して方位角の向きに延びる2つの湾曲側面と、培養皿22の側面に大まかに平行に延びる2つのより短い端部とを備える。
【0094】
本実施例における溝の上部は、約3.5cmのその湾曲側面に沿った特徴的な長さと、約0.7cmのその湾曲側面の間の特徴的な幅とを有する。溝44は、約0.5cmの(溝壁47の上部から溝床面45までの)特徴的な深さを有する。しかしながら、水平断面における溝の全体的な規模および正確な幾何学形状は、最も重要なものではなく、例えば、溝内に収容されるウェルの配列を考慮して、目前の実装に従って選択されてもよいことが理解されるであろう。
【0095】
溝壁47は、溝床面45から上向きに延在し、本実施例では、それぞれ溝44の全周囲に延在する、2つの区分を備える。したがって、溝壁は、(丸みを帯びた角において)水平溝床面45と交わり、垂直方向から離れて角度を付けられる方向に、概して溝床面45から離れて延在する(すなわち、水平面に対して傾斜される)、傾斜溝壁区分52を備える。下溝壁区分52とも称され得る、傾斜溝壁区分52は、溝床面の上方に増加する距離を伴って(すなわち、溝床面45の上方の高さが増加するとともに溝の水平断面が増大するように)溝に対して外向きに角度を付けられる。傾斜溝壁区分52の上方には、上溝壁区分53がある。上壁区分53は、傾斜溝壁区分52の上部から略垂直に上向きに延在する。
【0096】
溝44は、異なるウェル42内の培地が培養中に流体連通することが所望される場合に、培地で部分的に(または完全に)充填され得るように提供される。すなわち、個々のウェル42は、事実上、培地が周辺溝を充填し始めるように、溢れ出すほど充填されてもよい。さらに、個々のウェル42は、単純に溝に培地を導入し、それをウェルに流入させることによって、同時に充填されてもよい。これは、概して、ウェル42を個別に充填するよりも速くて利便的であろう。溝が、リザーバ30より小さい水平断面を有するため、別様に(すなわち、培地および異なるウェルを流体連通して維持するように、培地でリザーバ全体を部分的に充填することが必要であった場合に)必要とされるであろうよりも少量の培地を使用しながら、異なるウェル42内の培地が流体連通したままとなる可能性がある。図11は、溝44の上部まで充填された培地の表面レベル76を概略的に示す。しかしながら、実践では、溝が部分的にのみ充填され得ることが予期されることができる。この点で、溝壁の傾斜区分上のマーキングは、例えば、リザーバ内のカバー媒体のレベルについて上記で説明されるものと同様に、特定の培地充填レベルを超えたときを示すように提供されてもよい。同様に、いくつかの実施例では、溝44の壁47は、傾斜溝壁区分の下方にあり、培地の特定のレベルに達したときの指標を提供するように、リザーバ30について上記で議論される下リザーバ壁区分36に機能的に対応する、付加的な下溝壁区分を提供されてもよい。
【0097】
ユーザが培地の充填レベルを識別することに役立つために潜在的に使用されることに加えて、リザーバ壁の傾斜区分38に関して、溝壁47内の傾斜区分52は、ある培地レベルに達するために必要とされる培地の量を低減させる。
【0098】
図2−13で表される特定の例示的培養皿22では、上溝壁区分53は、約2mmの高さを有し、溝壁52の傾斜区分は、約2mmの垂直高さにわたって延在し、水平面に対して約45度で傾斜される。しかしながら、溝の幾何学形状は、異なる実装で異なり得ることが理解されるであろう。例えば、溝壁47の傾斜区分52は、10度〜80度、20度〜70度、30度〜60度、および40度〜50度を含む群から選択される範囲内の角度で、水平面に対して傾斜されてもよい。
【0099】
ウェルに培地を導入するために、ユーザは、典型的には、シリンジまたはピペットを使用するであろう。例えば、適切な体積の培地を事前装填されたシリンジまたはピペットが使用されてもよく、培地は、単純に溝45の中へ噴出されてもよい。この点でユーザを支援するために、溝壁47は、陥凹部分49を提供されてもよい。これは、培地が最初に導入されることができる、溝44内の領域を提供し、具体的には、別様の場合にそうなるであろうよりもウェルから遠く離れている、培地が導入され得る領域を提供する。これは、例えば、培地内の流体流によって引き起こされる胚への妨害を回避することに役立つことができるため、ウェルがすでに胚を含有している場合に有利であり得る。
【0100】
溝44およびウェル42に加えて、リザーバ30はまた、1つまたはそれを上回る洗浄リザーバ46を含有してもよい。これらは、例えば、約3mmの直径および深さを有する、リザーバの床面内の開口部である。洗浄リザーバは、概して従来の技法に従って、培養、例えば、洗浄のために胚の調製中に使用される、液体を含有するために使用されてもよい。この点で、洗浄リザーバ46は、図1に表される公知の培養皿2のリザーバ20と同様に使用されてもよい。洗浄リザーバ46は、略垂直な壁を備えるが、水平面に対して傾斜された傾斜区分48を基部に伴う。これらの傾斜区分は、例えば、ウェル42のうちの1つに移送するために、例えば、それらが洗浄リザーバ46から除去するためにより利便的に採集され得る場所から、洗浄リザーバ床面の中心に向かって物体(洗浄されている胚)を誘導することによって、洗浄リザーバの中に物体を位置付けることに役立つことができる。図2−13で表される例示的培養皿22では示されていないが、いくつかの例示的実装では、洗浄リザーバ46の壁は、より人間工学的なアクセスを可能にするように(例えば、採集または分注ピペット/シリンジが、垂直から離れた増大した角度から接近するときにリザーバの底部に到達することを可能にするように)それらのパラメータ全体の周囲で、もしくは1つまたはそれを上回る具体的方向でのいずれかで、それらの垂直範囲の有意な一部にわたって角度を付けられてもよい。
【0101】
培養皿22のリザーバ30内の上記の特徴に加えて、その使用の利便性に寄与する、培養皿の種々の重要な特徴がリザーバの外側にある。例えば、いくつかの実装では、培養皿22の本体24は、メモ取り領域50と称され得るものを提供されてもよい。これは、例えば、培養皿に関連する注釈/メモを書くためにフェルトペンを使用して、ユーザが培養皿の上に書くことを可能にするように提供される、本体の略平坦な部分である。例えば、ユーザは、培養されている胚に関してある事象が起こった時間を書くことを希望し得る。しかしながら、注釈領域50上にユーザが書くことによって記録される情報の具体的性質は重要ではないことが理解されるであろう。概して、汚染物質が捕捉される可能性を低減させるように、本明細書に説明される種類の培養皿が平滑表面を備えることが好ましい。しかしながら、注釈領域上に書くことを促進するために、これは、培養皿の他の部分、例えば、培地および/または培養されている物体に接触する可能性がより高い部分の表面テクスチャと異なる、例えば、それより粗い、表面テクスチャを提供されてもよい。
【0102】
図2−13で表される培養皿22の別の側面は、培養皿の一方の端部(本実施例では、皿が図14で表される種類のインキュベータ装置100の中に位置するときに、回転スライドキャリア114の中心から外方を向くであろう端部)に向かった一対の突出/フィン26の提供である。これらのフィン26は、取扱を促進するように提供される。フィン26は、相互と略平行であり、培養皿22の本体24から離れて垂直に延在する。フィンは、例えば、(親指および人差し指の接触面積に大まかに合致するように)面積が約1cm2であるサイズと、約1mmの厚さとを有してもよい。いくつかの点で、個々のフィン26は、図1で表される公知のスライド設計のフィン6に類似し得る。しかしながら、単一の取扱フィンとは対照的な2つの取扱フィン26の提供が、状況によっては、有利であり得る。例えば、2つのフィン26は、ユーザが、1つのフィンの外面上の親指および別のフィンの外面上の人差し指で(すなわち、挟持のような握持を使用して)培養皿を握持することを可能にする。2つのフィンを有することは、より実質的/確実な握持をユーザに提供することに役立つように、より大型のハンドルを提供する。
【0103】
さらに、フィン26の間の空間は、標識のための利便的な領域28を提供する。すなわち、培養皿22は、一対のフィン26の間で本体上に配列される標識領域28を提供される。標識領域28は、培養皿に関する情報を含有する、標識、例えば、粘着紙標識を受容するために使用されてもよい。例えば、標識は、胚が取得された患者に関する識別情報、および/または胚が培養される様式に関する培養プロトコル情報を含んでもよい。本情報は、一般的なテキスト形式で、および/または機械可読形式で、例えば、バーコードもしくはQRコード(登録商標)形式を使用して、標識上に記録されてもよい。有意には、2つのフィン26の間の標識領域28の提供は、培養皿22が取り扱われるにつれて、ユーザの指によって損傷されることから標識領域中の標識を保護することに役立つことができる。図1で表される例示的培養皿2では、粘着標識が、典型的には、取扱フィン6に隣接する領域8に提供される。標識のための本場所は、取扱中にユーザの指および親指により、標識上の識別情報の表示を(例えば、それを摩滅させること、または汚すことによって)損傷させ得る。フィン26を使用して取り扱うときに、ユーザの指/親指が通常は標識領域中の標識と接触しないであろうため、図2−13で表される培養皿22のための二重フィン配列で、これが起こる可能性は低い。
【0104】
標識領域28の表面は、図6で表されるように、例えば、約30度程度の角度で、水平面に対して傾斜されてもよい。本傾斜は、標識領域が、上方および培養皿に対して端と端を合わせた方向の両方から、利便的に見られることを可能にする。
【0105】
したがって、上記で説明されるように、既存の設計を改良することに役立った、本発明の実施形態に従って提供される培養皿の種々の側面がある。本発明の種々の実施形態による培養皿は、単独で、または種々の組み合わせでのいずれか一方で、上記で識別される特徴のうちのいくつかもしくは全てを組み込んでもよいことが理解されるであろう。さらに、本発明のある実施形態によると、培養皿は、付加的特徴および/または上記で説明される特徴の変形例を備えてもよい。
【0106】
例えば、上記で説明される培養皿22内のウェル42が、垂直軸の周囲で円形対称である一方で、別の実施例では、ウェルは、円形対称ではない場合がある。例えば、ウェルの少なくとも上部分は、水平断面において非円形であり得る。具体的には、ウェルの上部を画定するリザーバ床面内の開口部は、例えば、図17で概略的に表されるように、細長であり得る。図17は、本発明の別の実施形態による、培養皿122の溝144の一部を斜視断面図で示す。本明細書で議論される場合を除いて、培養皿122は、上記で説明される培養皿22と同一の一般構成に従ってもよい。しかしながら、本実施例では、溝144は、溝壁の傾斜区分を備えないという点で、図10で表される培養皿22の溝44とわずかに異なる。
【0107】
図17で表される培養皿122のウェル142はそれぞれ、(図2−13で表される培養皿22のウェル42と同様に)略水平棚区分156によって分離される、上ウェル区分154と、下ウェル区分158とを備える。例えば、図10で見られるウェル42の下ウェル区分および水平シェル区分、ならびに図17で見られるウェル142は、大まかに同一である。しかしながら、図10で見られる上ウェル区分54が、確かに対称である一方で、図17で表される上ウェル区分154は、細長である。具体的には、ウェル142は、(本実施例では培養皿122の幅と略平行な)別の方向よりも(本実施例では培養皿122の範囲の軸と略平行な)1つの方向により大きい範囲を有する。本アプローチは、それぞれのウェル142の上区分に対する比較的浅い角度156が、1つの方向に沿って提供されることを可能にし、これは、(ユーザの操作ツールが別様の場合にそうなるであろうよりも浅い角度から接近することができるため)ウェル142内の物体を操作しようとしているユーザを支援することができる。
【0108】
図18は、本発明のある他の実施形態による、図2−13で表される培養皿22の溝44の中に提供され得る、付加的特徴を概略的に表す。付加的特徴は、陥凹49の近傍の溝床面45の隆起区分150である。例えば、隆起区分150は、溝床面45から約1mmの高さにおいて表面を提供するように上向きに延在してもよい。胚の培養中に、培地は、ある時は、置換される。これは、典型的には、カバー媒体(例えば、油)の下からある量の培地を吸い出し、次いで、それを等体積の新しい培地と置換することを伴う。上記のように、陥凹49に隣接する溝床面45の領域は、新しい培地が導入されることができ、そこから既存の培地が除去されることができる、領域を提供することによって、本プロセスを促進することができる。培地を除去するとき、胚が偶発的にカバー媒体と接触することを回避するように、過剰に除去しないことが重要であり得る。加えて、非常に多くの培地を除去して、カバー媒体が溝の床面に接触することを回避することが重要であり得る。これは、新たに導入された培地が、溝床面の上方のカバー媒体内に中間層を形成し、事実上、胚のために利用不可能となるであろう危険性があるためである。典型的には、所与の培地リフレッシュサイクルで培地の約80%を除去しようとし得る。しかしながら、多くの場合、過剰に多くの培地を除去して胚を損傷する恐れにより、ユーザは培地の80%も除去しないであろう。しかしながら、本発明のある実施形態によると、隆起区分150は、培地が除去されるにつれて、ユーザが培地を除去するために使用されるツールのノズルを静置し得る、プラットフォームを提供する。これは、ユーザが、そのレベルをプラットフォーム150のレベルの下方に降下させるであろう培地の量を除去することを防止する。したがって、ユーザは、過剰に多くの培地が引き抜かれた場合、超過分が、培養皿の中に残ることを意図している残留培地ではなく、油被覆層に由来するであろうことを知って、所望の量の培地を除去することを快適に感じることができる。したがって、隆起区分150の提供は、所望の体積の培地の利便的であるが正確な除去を可能にする。
【0109】
すでに説明されているように、当然ながら、本発明の他の実施形態によると、上記で説明される種々の例示的寸法および幾何学的構成は、修正されてもよいことが理解されるであろう。例えば、培養皿の全体的形状およびサイズは、培養皿が貯蔵されるインキュベータ装置に従って選択されてもよい。さらに、上記の実施例が、16個のウェルの弓状線に焦点を合わせている一方で、ウェルの数およびそれらの空間配列は、当然ながら、異なる実装にとって異なり得る。例えば、ウェルの単一の弓状線ではなく、異なる半径上のウェルの複数の弓状線、もしくは1つまたはそれを上回る直線に配列されたウェルがあってもよい。また、上記の実施形態が、胚を培養するための培養皿の適用に焦点を合わせている一方で、本発明の他の実施形態による培養皿は、他の物体を培養するために使用されてもよいことも理解されるであろう。
【0110】
さらに、本発明の他の実施形態による培養皿は、上記で説明される培養皿22の他の特徴のうちのいくつかを伴わずに、上記で説明される培養皿22の特徴のうちのいくつかまたは全てを組み込んでもよいことが理解されるであろう。すなわち、上記で説明される本発明の実施形態の種々の特徴は、独立して有益であり、上記で説明される本発明の実施形態の種々の特徴のうちの他のものと別個に使用されることができることが理解されるであろう。例えば、本発明のいくつかの実施形態によると、上記で説明される種類の設計を伴うウェルを有する、例えば、粒子がウェルおよび/または非円形断面の底部に沈むことを防止することに役立つように棚区分を組み込む、培養皿が提供されてもよいが、培養皿は、リザーバ壁の傾斜区分および/または取扱フィンならびに/もしくは標識領域に関する特徴、および/または上記で説明されるような他の特徴を含まなくてもよい。同様に、いくつかの実施形態によると、培養皿は、上記で説明される種類の取扱フィンを提供されてもよいが、上記で説明される他の特徴のうちのいくつかまたは全てを伴わない。大まかに要約すると、本発明の実施形態は、上記で説明される特徴の任意の適切な組み合わせを備えてもよく、具体的には、相互から機能的に独立した特徴は、異なる実施形態では、ともに、または別個に組み込まれてもよいことが理解されるであろう。
【0111】
さらに、上記で説明される実施形態の種々の特徴は、いくつかの他の実施形態では存在しなくてもよい。例えば、上記で説明される培養皿22は、リザーバ床面32内のくぼみ(溝)44の中に提供されたウェル42を伴うリザーバ30を備える。これは、異なるウェル内の各胚を囲繞する胚培地が流体連通するように、溝が胚培地で部分的に充填されることを可能にする。しかしながら、ある場合には、(例えば、具体的胚のための培地の分析を可能にするように)胚が、他の胚を囲繞する胚培地と流体連通していない胚培地によって囲繞されることが所望されてもよい。したがって、ウェルは、共通溝を伴わないリザーバの床面の中に個別に提供されてもよい。本構成による例示的培養皿222は、図19、20、および21で概略的に表される。
【0112】
図19、20、および21は、それぞれ、上記で説明される培養皿22の図2、5、および8と対応する(但し、図19は、図2で表される培養皿22の図と比較してわずかに異なる方向から培養皿222を示す)。図19、20、および21で表される培養皿222の設計のいくつかの側面は、上記で説明される培養皿22に類似し、それから理解されるであろうが、簡潔にするために再び説明されない。しかしながら、図19−21で表される培養皿222は、それが培養される物体を含有するためにより少ないウェルを備え、ウェルがリザーバの床面内の共通くぼみの中に提供されない(すなわち、培養皿222が上記で説明される種類の共通溝を含まない)という点で、図2−13で表される培養皿22と異なる。
【0113】
したがって、図19−21の培養皿222は、培養のために胚を受容するための6つのウェル242を備える。6つのウェル242は、(上記で説明される培養皿22の16個のウェル42に関して)円の弧を備える単一の線に沿って空間的に配列される。これは、再度、培養皿222が適切に位置付けられる、スライドキャリアを単純に回転させることによって、培養装置の監視ステーション、例えば、撮像デバイスが、異なるウェル242と整合させられることを可能にすることができる。個々のウェル242は、例えば、それらの特徴的なサイズおよび形状に関して、培養皿22について上記で説明されるウェル42と略同一であり得る。培養皿222は、リザーバ壁234およびリザーバ床面232によって画定されるリザーバ230を備える。リザーバ230の一般的機能および目的は、リザーバ30について上記で説明されるものと同一である。さらに、リザーバ壁234は、培養皿22について上記で説明されるものと略同一であり得る。ウェル242は、リザーバ230の床面232の中に提供される。より具体的には、本例示的実装では、ウェル242は、リザーバ床面232の中に提供された個々のくぼみ244内に提供される。すなわち、図2で表される培養皿22に関して、ウェル42が、共通くぼみ(溝)44の中に提供される一方で、図19−21で表される培養皿222に関して、それぞれのウェル242は、それぞれ各自の個々のくぼみ244の中に提供される。(例えば、深さおよびくぼみ壁の垂直外形に関して)個々のくぼみ244の設計の種々の側面は、上記で説明される溝44の対応する側面に類似し得る。いくつかの点で、図19で表される実施形態は、複数のウェルを含有する単一の溝の代わりに、それぞれ単一のウェルを含有する複数の溝がある、図2で表される実施形態の変形例と見なされてもよい。本アプローチは、各ウェルと関連付けられる培地が、培養中に他のウェルと関連付けられる培地と別個のままであることを可能にするが、別様に、培養皿222の使用は、上記で説明される培養皿22と大まかに同一であり得る。
【0114】
図22は、本発明の別の実施形態による、培養皿322を上方からの平面図で概略的に表す。図22の培養皿322は、上記で議論され、図5において上方からの平面図で表される培養皿22に殆どの点で類似し、それから理解されるであろうが、ウェル42が位置するくぼみ(溝)に関して異なる。具体的には、上記で議論されるように、図5の培養皿22内のウェル42は全て、リザーバ床面32内に提供された単一のくぼみ(溝)44の中に提供される。しかしながら、すでに上記のように、他の実施例では、ウェルは、異なる溝の中でともにグループ化されてもよく、これは、図22の培養皿322のために採用されるアプローチである。
【0115】
したがって、図22で表される培養皿322は、大まかに図5の培養皿22と対応すると見なされてもよいが、事実上、図5の培養皿22のくぼみ44が、図22の培養皿322の2つのくぼみ344A、344Bに分割される。したがって、各くぼみ344A、344Bは、それぞれ、くぼみ床面345A、345Bおよびくぼみ壁347A、347Bによって画定される。この点で、図22の2つのくぼみ344A、344Bの組み合わせは、事実上、図5のくぼみ44と対応するが、(皿の範囲の軸と平行な方向に)その中心の周囲でくぼみを横断して延在する分割壁345を伴う。本実施例における分割壁345は、リザーバの床面のわずかに上方に上昇するように、くぼみの深さより少し高い(この場合、0.5mm)高さを有する。分割壁345は、事実上、別様に単一のくぼみであろうものを2つの別個のくぼみ344A、344Bに区切る。これは、別様にウェル内の胚を妨害し得る、くぼみの中の液体培地における波/バルク流体運動の規模を低減させることに役立つことができるため、いくつかの実装では有利であることが分かっている。そのような影響は、例えば、培養皿322の手動取扱中に、例えば、インキュベータの外側にあるときに、またはインキュベータ内のその移動、例えば、回転中の培養皿322の運動の停止および開始中に、生成され得る。図22の実施例では、各くぼみコンパートメント344A、344Bは、8つのウェルを含有する。しかしながら、他の構成では、くぼみの中の異なる数のウェルとともに、異なる数のくぼみコンパートメントがあってもよい(すなわち、2つより多くの別個のくぼみに分割される、図5のくぼみ44に対応する複数のくぼみが提供されてもよい)ことが理解されるであろう。
【0116】
それぞれのくぼみ344A、344Bは、図5の培養皿22の陥凹部分49にともに大まかに対応するが、分割壁345によって2つに分割される、陥凹部分349A、349Bを備える(すなわち、分割壁345はまた、図5で表される例示的培養皿の陥凹部分49を、図22で表される実施例における2つの陥凹部分349A、349Bに区切る)。さらに、例示的培養皿322では、各陥凹部分349A、349Bは、分割壁から離れて延在するそれぞれの保護壁343A、343Bによって、その対応するくぼみ344A、344Bの残りの部分から(部分的に)分離される。保護壁343A、343Bは、陥凹部分349A、349Bがそれぞれのくぼみコンパートメント344A、344Bの残りの部分と流体連通したままであるように、それぞれの陥凹部分349A、349Bの全体を横断して延在しない。したがって、例えば、ピペットを使用してそれぞれの陥凹部分に導入される流体は、保護壁の周囲を流動し、ウェルを含有するくぼみの部分に流入することができる。保護壁343A、343Bの機能は、ウェル内の胚への妨害を低減させることに役立つように、それぞれの陥凹部分349A、349Bに隣接するウェル42から離して、充填中に陥凹部分に導入される流体を偏向させることに役立つことである。保護壁343A、343Bに適応するために、図22の例示的培養皿322内の分割壁345と平行な方向への陥凹部分349A、349Bの幅は、図5で表される例示的培養皿内の陥凹部分の対応する幅よりわずかに大きい。
【0117】
したがって、培養される1つまたはそれを上回る物体を保持するための培養皿が説明されている。培養皿は、培養される物体および水性増殖基等の物体用のある量の培地を受容するための少なくとも1つのウェルと、鉱油等のある量のカバー媒体を受容するためのリザーバとを備える、本体を有する。少なくとも1つのウェルは、通常の使用中であるときに、リザーバ内のカバー媒体が少なくとも1つのウェル内の培地の上を覆うように、リザーバの床面内に提供される。リザーバは、リザーバ床面およびリザーバ床面から離れて延在するリザーバ壁によって画定される。リザーバ壁の少なくとも一区分は、培養皿が通常の使用中であるときに、リザーバ内のカバー媒体の表面によって画定される水平面に対して傾斜されるよう、垂直から離れて角度を付けられる。リザーバ壁の傾斜区分は、ウェルの上を覆うカバー媒体においてメニスカスの出現を低減させることに役立つことができ、さらに、リザーバが培養のための適切なレベルのカバー媒体を含有するときの即時指標を提供するよう、位置付けられることができる。
【0118】
本発明のさらなる特定の好ましい側面が、添付の独立および従属請求項で提示される。従属請求項の特徴は、請求項で明示的に提示されるもの以外の組み合わせで独立請求項の特徴と組み合わせられ得ることが理解されるであろう。
【0119】
参考文献
[1] 国際公開第WO 09/003487号(Unisense Fetilitech A/S)
[2] 国際公開第WO 01/002539号(The Danish Institute of Agricultural Sciences)
[3] 英国特許出願第GB 1401773.5号(Unisense Fetilitech A/S)
[4] 英国特許出願第GB 1401774.3号(Unisense Fetilitech A/S)
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