(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385472
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】透明な円柱状製品を測定するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/08 20060101AFI20180827BHJP
【FI】
G01B11/08 H
【請求項の数】22
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-573891(P2016-573891)
(86)(22)【出願日】2014年6月17日
(65)【公表番号】特表2017-522551(P2017-522551A)
(43)【公表日】2017年8月10日
(86)【国際出願番号】US2014042790
(87)【国際公開番号】WO2015195102
(87)【国際公開日】20151223
【審査請求日】2017年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】515174489
【氏名又は名称】ヘレーウス クオーツ ノース アメリカ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Quartz North America LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】チウリン マ
(72)【発明者】
【氏名】エヴァン ピー. グリーン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ イー. ビーバーズ ジュニア
【審査官】
池田 剛志
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭62−171932(JP,A)
【文献】
特開平06−211534(JP,A)
【文献】
特表2005−515399(JP,A)
【文献】
特開2000−162152(JP,A)
【文献】
特開平10−287441(JP,A)
【文献】
米国特許第04319901(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B37/00−37/16
C03C25/00−25/70
G01B11/00−11/30
G01M11/00−11/08
G02B6/00−6/036
6/10
6/245−6/25
6/44−6/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な円柱状製品を、前記円柱状製品を見ることができる水平方向開口部を有する高温炉内での製造中に測定するための装置であって、前記装置は、
(A)デジタルカメラと、
(B)デジタルプロセッサと、
を含んでおり、
前記デジタルカメラは、レンズが取り付けられており、かつ、センシングおよびデジタル記録装置を有し、前記レンズは、前記炉の壁部の前記開口部を通じて、前記円柱状製品の光学像を受け取り、前記光学像を前記センシングおよびデジタル記録装置に導き、前記センシングおよびデジタル記録装置は、前記光学像をデジタルイメージに変換し、前記デジタルイメージを記録し、
前記デジタルプロセッサは、アルゴリズムがプログラムされ、前記アルゴリズムは、前記センシングおよびデジタル記録装置からの前記デジタルイメージにアクセスして、前記デジタルイメージを解釈し、前記円柱状製品の測定値を決定し、報告し、
前記アルゴリズムは、以降のステップ(1)〜(6)を含んでおり、すなわち、
(1)前記デジタルイメージを切り取って、周囲の暗い空間を除去し、前記炉の前記水平方向開口部を通して見ることができた明るい視野のみを含んでいる、所定の高さおよび幅を有している、より小さい、切り取られたデジタルイメージを生成するステップを含んでおり、
(2)前記切り取られたデジタルイメージから、標準偏差フィルターを用いて勾配フィルタリングされたイメージを生成するステップを含んでおり、
(3)複数のラインスキャンを実行し、複数のラインスキャンを総計して、1つまたは複数の左側ピークと、1つまたは複数の右側ピークと、1つまたは複数のマイナーバックグラウンドピークと、を有しているグレーレベル勾配スペクトルを形成するステップを含んでおり、ここで、前記複数のラインスキャンは、前記勾配フィルタリングされたイメージの鉛直中心の近くに位置するスキャン領域内に存在し、かつ、前記勾配フィルタリングされたイメージの全幅にわたって水平に延在し、
(4)以降のステップ(a)〜(c)を実行することによって、前記グレーレベル勾配スペクトル内の前記1つまたは複数の左側ピークおよび前記1つまたは複数の右側ピークのうちのどれが、前記円柱状製品の真の左側縁および真の右側縁を表すのかを識別するステップを含んでおり、
(a)前記グレーレベル勾配スペクトル上で、前記複数の左側ピークを含んでいる左側ピークウィンドウ領域を選択し、前記複数の右側ピークを含んでいる右側ピークウィンドウ領域を選択し、各ウィンドウ領域の外側にある前記マイナーバックグラウンドピークを、別個の分析のために残すステップ、
(b)以降の(i)〜(iii)によって、さらなる分析から、前記マイナーバックグラウンドピークを除去する、ピーク検出のためのベースラインを確立するステップ、
(i)前記マイナーバックグラウンドピークの一部分をダイナミックにサンプリングし、前記ダイナミックサンプリングに基づいてノイズ・フロア・レベルを計算すること、
(ii)前記ノイズ・フロア・レベルに閾値を加えることによってベースラインを決定すること、
(iii)その後、前記ベースラインを下回るあらゆるピークを無視すること、
(c)それぞれ以降の(i)、(ii)によって、前記円柱状製品の前記真の左側縁の位置と真の右側縁の位置に対する数値を提供するために、ターゲット左側ピークとターゲット右側ピークを識別するステップ、
(i)前記左側ピークウィンドウ領域において、前記ベースラインよりも高い前記複数の左側ピークをそれぞれ分析し、前記左側ピークウィンドウ領域において最も左側に位置する前記ターゲット左側ピークを選択し、前記円柱状製品の前記真の左側縁に等しい数値として前記ターゲット左側ピークの位置を記録すること、
(ii)前記右側ピークウィンドウ領域において、前記ベースラインよりも高い前記複数の右側ピークをそれぞれ分析し、前記右側ピークウィンドウ領域において最も右側に位置する前記ターゲット右側ピークを選択し、前記円柱状製品の前記真の右側縁に等しい数値として前記ターゲット右側ピークの位置を記録すること、
(5)前記円柱状製品の前記真の左側縁の値と前記真の右側縁の値との間の差の絶対値を取ることによって、前記円柱状製品の外径を計算するステップを含んでおり、
(6)前記円柱状製品の前記外径を報告するステップを含んでいる、
装置。
【請求項2】
前記透明な円柱状製品は、2つ以上のガラス質材料層を含んでいる光ファイバープリフォームである、
請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記プリフォームは、所定の屈折率を有するコア層と、所定の屈折率を有し、かつ、内側の層を取り囲んでいるクラッド層と、を含んでおり、
前記コア層の屈折率は、前記クラッド層の屈折率よりも高い、
請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記センシングおよびデジタル記録装置は、電荷結合素子(「CCD」)イメージセンサーを含んでいる、
請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記測定値は、前記円柱状製品の直径を含んでいる、
請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記カメラは、流体密封型かつ流体冷却式のハウジング内に封入されており、前記ハウジングは、前記円柱状製品の前記光学像を通すために、前記炉の壁部の前記開口部と位置合わせされた入口を有している、
請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記炉の壁部の前記開口部および前記流体冷却式のハウジングの入口を通して受け取った前記光学像を、前記カメラの前記レンズに向けるための反射器をさらに含んでいる、
請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記炉は、ジャケット付き流体冷却式のグラファイト炉であり、
前記炉は、加熱されている間に前記円柱状製品が通過する上部および下部の環状グラファイト接触部を伴った加熱される内部を有しており、前記上部および下部の接触部は、それぞれ環状壁を有しており、かつ、前記加熱される内部の両端の近くに位置しており、
前記炉は、前記上部の環状グラファイト接触部の前記環状壁を通る前記円柱状製品を見ることができる前記水平方向開口部の少なくとも一部を有しており、前記上部および下部の接触部は、内部に前記円柱状製品を有する前記グラファイト炉の内部を加熱するために、電流を受け取り、伝導する、
請求項1記載の装置。
【請求項9】
透明な円柱状製品の直径を、前記円柱状製品を見ることができる水平方向開口部を有する高温炉内での製造中に測定するための方法であって、前記方法は、
(A)レンズが取り付けられているカメラを用いて、前記水平方向開口部を通して放出された、前記円柱状製品の光学像を受け取るステップと、
(B)前記光学像をセンシングおよびデジタル記録装置に導くステップと、
(C)前記センシングおよびデジタル記録装置を用いて、前記光学像をデジタルイメージに変換し、前記デジタルイメージを記録するステップと、
(D)アルゴリズムがプログラムされたプロセッサを用いて、前記デジタルイメージを解釈し、前記円柱状製品の直径を決定するステップと、
を含み、
前記アルゴリズムは、以降のステップ(1)〜(6)を含んでおり、すなわち、
(1)前記デジタルイメージを切り取って、周囲の暗い空間を除去し、前記炉の前記水平方向開口部を通して見ることができた明るい視野のみを含んでいる、所定の高さおよび幅を有している、より小さい、切り取られたデジタルイメージを生成するステップを含んでおり、
(2)前記切り取られたデジタルイメージから、標準偏差フィルターを用いて勾配フィルタリングされたイメージを生成するステップを含んでおり、
(3)複数のラインスキャンを実行し、複数のラインスキャンを総計して、1つまたは複数の左側ピークと、1つまたは複数の右側ピークと、1つまたは複数のマイナーバックグラウンドピークと、を有しているグレーレベル勾配スペクトルを形成するステップを含んでおり、ここで、前記複数のラインスキャンは、前記勾配フィルタリングされたイメージの鉛直中心の近くに位置するスキャン領域内に存在し、かつ、前記勾配フィルタリングされたイメージの全幅にわたって水平に延在し、
(4)以降のステップ(a)〜(c)を実行することによって、前記グレーレベル勾配スペクトル内の前記1つまたは複数の左側ピークおよび前記1つまたは複数の右側ピークのうちのどれが、前記円柱状製品の真の左側縁および真の右側縁を表すのかを識別するステップを含んでおり、
(a)前記グレーレベル勾配スペクトル上で、前記複数の左側ピークを含んでいる左側ピークウィンドウ領域を選択し、前記複数の右側ピークを含んでいる右側ピークウィンドウ領域を選択し、各ウィンドウ領域の外側にある前記マイナーバックグラウンドピークを、別個の分析のために残すステップ、
(b)以降の(i)〜(iii)によって、さらなる分析から、前記マイナーバックグラウンドピークを除去する、ピーク検出のためのベースラインを確立するステップ、
(i)前記マイナーバックグラウンドピークの一部分をダイナミックにサンプリングし、前記ダイナミックサンプリングに基づいてノイズ・フロア・レベルを計算すること、
(ii)前記ノイズ・フロア・レベルに閾値を加えることによってベースラインを決定すること、
(iii)その後、前記ベースラインを下回るあらゆるピークを無視すること、
(c)それぞれ以降の(i)、(ii)によって、前記円柱状製品の前記真の左側縁の位置と真の右側縁の位置に対する数値を提供するために、ターゲット左側ピークとターゲット右側ピークを識別するステップ、
(i)前記左側ピークウィンドウ領域において、前記ベースラインよりも高い前記複数の左側ピークをそれぞれ分析し、前記左側ピークウィンドウ領域において最も左側に位置する前記ターゲット左側ピークを選択し、前記円柱状製品の前記真の左側縁に等しい数値として前記ターゲット左側ピークの位置を記録すること、
(ii)前記右側ピークウィンドウ領域において、前記ベースラインよりも高い前記複数の右側ピークをそれぞれ分析し、前記右側ピークウィンドウ領域において最も右側に位置する前記ターゲット右側ピークを選択し、前記円柱状製品の前記真の右側縁に等しい数値として前記ターゲット右側ピークの位置を記録すること、
(5)前記円柱状製品の前記真の左側縁の値と前記真の右側縁の値との間の差の絶対値を取ることによって、前記円柱状製品の外径を計算するステップを含んでおり、
(6)前記円柱状製品の前記外径を報告するステップを含んでいる、
方法。
【請求項10】
前記センシングおよびデジタル記録装置を、前記デジタルカメラ内に収容する、
請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記センシングおよびデジタル記録装置は、電荷結合素子(「CCD」)イメージセンサーである、
請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記炉の前記水平方向開口部は、前記円柱状製品の前記直径よりも幅が狭い、
請求項9記載の方法。
【請求項13】
前記光学像を導く前記ステップ(B)を、さらに、反射器を用いて実行する、
請求項9記載の方法。
【請求項14】
さらに前記ステップ(3)で、各勾配ラインスキャンを、前記勾配フィルタリングされたイメージの前記スキャン領域内に水平スキャンライン位置を設定し、設定された前記水平スキャンライン位置に沿って前記イメージの前記グレーレベルをセンシングし、記録することによって実行する、
請求項9記載の方法。
【請求項15】
さらに前記ステップ(3)で、前記複数の勾配ラインスキャンは、総計で40〜50のスキャンである、
請求項9記載の方法。
【請求項16】
さらにステップ(4)(a)で、前記左側ピークウィンドウ領域を、前記複数の左側ピークのうちの最も高い左側ピークにセンタリングし、前記右側ピークウィンドウ領域を、前記複数の右側ピークのうちの最も高い右側ピークにセンタリングする、
請求項9記載の方法。
【請求項17】
さらにステップ(4)(b)(ii)で、前記閾値は、(前記グレーレベル勾配スペクトルの最大ピーク高さ)−(前記ノイズ・フロア・レベル)/(所定のファクター)に等しい、
請求項14記載の方法。
【請求項18】
前記デジタルイメージを切り取って、切り取られたデジタルイメージを生成するステップ(1)を実行した後、前記方法は、さらに、前記切り取られたデジタルイメージ内の平均グレーレベルを計算することを含み、前記平均グレーレベルが所定の閾値未満である場合に、アルゴリズムの実行を停止する、
請求項14記載の方法。
【請求項19】
ダイナミックにサンプリングされた、マイナーバックグラウンドピークの前記一部分の平均的な高さに0.5を乗算することによって前記閾値を決定する、
請求項14記載の方法。
【請求項20】
前記左側縁の値に前記外径の半分を加えることによって、前記透明な円柱状製品の中心位置を決定することをさらに含む、
請求項9記載の方法。
【請求項21】
透明な円柱状製品内のジョイントまたは欠陥を、前記円柱状製品を見ることができる水平方向開口部を有する高温炉内での製造中に検出するための方法であって、前記方法は、
(A)レンズが取り付けられているカメラを用いて、前記水平方向開口部を通して放出された、前記円柱状製品の光学像を受け取るステップと、
(B)前記光学像をセンシングおよびデジタル記録装置に導くステップと、
(C)前記センシングおよびデジタル記録装置を用いて、前記光学像をデジタルイメージに変換し、前記デジタルイメージを記録するステップと、
(D)アルゴリズムがプログラムされたプロセッサを用いて、前記デジタルイメージを解釈し、前記円柱状製品内にジョイントまたは欠陥が存在することを決定するステップと、を含み、
前記アルゴリズムは、以降のステップ(1)〜(5)を含んでおり、すなわち、
(1)前記デジタルイメージを切り取って、周囲の暗い空間を除去し、前記炉の前記水平方向開口部を通して見ることができた明るい視野のみを含んでいる、所定の高さおよび幅を有している、より小さい、切り取られたデジタルイメージを生成するステップを含んでおり、
(2)前記切り取られたデジタルイメージから、標準偏差フィルターを用いて勾配フィルタリングされたイメージを生成するステップを含んでおり、
(3)複数のラインスキャンを実行し、複数のラインスキャンを総計して、1つまたは複数の左側ピークと、1つまたは複数の右側ピークと、1つまたは複数のマイナーバックグラウンドピークと、を有しているグレーレベル勾配スペクトルを形成するステップを含んでおり、ここで、前記複数のラインスキャンは、前記勾配フィルタリングされたイメージの鉛直中心の近くに位置するスキャン領域内に存在し、前記勾配フィルタリングされたイメージの全幅にわたって水平に延在し、
(4)以降のステップ(a)〜(c)を実行することによって、前記グレーレベル勾配スペクトル内の前記1つまたは複数の左側ピークおよび前記1つまたは複数の右側ピークのどれが、前記円柱状製品の真の左側縁および真の右側縁を表すのかを識別するステップを含んでおり、
(a)前記グレーレベル勾配スペクトル上で、前記複数の左側ピークを含んでいる左側ピークウィンドウ領域を選択し、前記複数の右側ピークを含んでいる右側ピークウィンドウ領域を選択し、各ウィンドウ領域の外側にある前記マイナーバックグラウンドピークを、別個の分析のために残すステップ、
(b)以降の(i)〜(iii)によって、さらなる分析から、前記マイナーバックグラウンドピークを除去する、ピーク検出のためのベースラインを確立するステップ、
(i)前記マイナーバックグラウンドピークの一部分をダイナミックにサンプリングし、前記ダイナミックサンプリングに基づいてノイズ・フロア・レベルを計算すること、
(ii)前記ノイズ・フロア・レベルに閾値を加えることによってベースラインを決定すること、
(iii)その後、前記ベースラインを下回るあらゆるピークを無視すること、
(c)それぞれ以降の(i)、(ii)によって、前記円柱状製品の前記真の左側縁の位置と真の右側縁の位置に対する数値を提供するために、ターゲット左側ピークとターゲット右側ピークを識別するステップ、
(i)前記左側ピークウィンドウ領域において、前記ベースラインよりも高い前記複数の左側ピークをそれぞれ分析し、前記左側ピークウィンドウ領域において最も左側に位置する前記ターゲット左側ピークを選択し、前記円柱状製品の前記真の左側縁に等しい数値として前記ターゲット左側ピークの位置を記録すること、
(ii)前記右側ピークウィンドウ領域において、前記ベースラインよりも高い前記複数の右側ピークをそれぞれ分析し、前記右側ピークウィンドウ領域において最も右側に位置する前記ターゲット右側ピークを選択し、前記円柱状製品の前記真の右側縁に等しい数値として前記ターゲット右側ピークの位置を記録すること、
(5)前記真の左側ピークと前記真の右側ピークとの間に1つまたは複数の中間ピークが存在するか否かを決定するステップを含んでいる、
方法。
【請求項22】
前記真の左側ピークと前記真の右側ピークとの間に1つまたは複数の中間ピークが存在するか否かを決定するステップは、
(1)前記真の左側ピークと前記真の右側ピークとの間の前記グレーレベル勾配スペクトルの中央ウィンドウを選択するステップと、
(2)前記中央ウィンドウに対する統合領域を計算するステップと、
(3)前記統合領域が所定の値を超えているか否かを決定するステップと、
を含んでいる、
請求項21記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、透明な円柱状製品を製造中に測定するための装置および方法に関する。このような製品は、例えば、少なくとも2つのガラス質材料層を有し、光ファイバーの基になる光ファイバープリフォームを含む。
【背景技術】
【0002】
光ファイバーは、極めて小さい散乱と減衰で、2つの場所の間で光を伝送する導波路である。ファイバーオプティクスと称されることもある光ファイバーは良く知られており、例えば照明、通信、情報伝達およびセンサーに使用される。光ファイバーは、典型的に可撓性であり、非常に細く、すなわち、人間の髪の毛よりも細い程度の細さである。光ファイバーは、透明なコアと1つまたは複数の透明なクラッド層とを有している。コア層およびクラッド層はガラス質材料、例えば、(例えば、シリカ、フッ化物、リン酸塩等から製造された)高品質のガラスまたは特定のプラスチックからも製造される。さらに、コア材料は、1つまたは複数の周囲のクラッド層における材料の屈折率よりも高い屈折率を有している。これらの条件は、ファイバーを通過する光信号の全内部反射を可能にし、効率的な導波路をもたらす。
【0003】
光ファイバーは、一般的に、ファイバー線引きタワーを用いて、加熱されたプリフォームからファイバーを線引きすることによって製造される。このようなタワーは、典型的には鉛直に配向されており、かつ、プリフォームを保持し、先端から、タワーの頂上部内にプリフォームを案内するためのガイドと、プリフォームをコントロールして加熱するための高温炉と、コントロールされた張力をプリフォームの先端に与え、これによって、融解された材料のファイバーを形成する装置とを有している。ファイバーは、典型的に、プリフォームから線引きされるときに冷却および固化され、細い連続した光ファイバーが得られる。
【0004】
プリフォームは、一般的に、全体の形状が円柱状または管状であり、円形の断面プロファイルを有しているが、他の断面プロファイル(例えば、オーバル、楕円形、角形等)を有していてもよい。プリフォームは、そこから線引きされるファイバーと同様に、その意図された最終用途に応じて、屈折率や減衰等の、必要とされる特定の光伝送特性を提供するように選択および調合された透明なガラス質材料の軸方向コアを有している。プリフォームのコアは、同様に透明なガラス質材料で作られているが、コアの屈折率よりも低い屈折率を有している少なくとも1つのクラッド層によって、完全に包囲され、取り囲まれている。
【0005】
光学プリフォームを製造するために実施されるいくつかの技術があり、それらの大部分は、内付け気相蒸着法、外付け気相蒸着法および気相軸付け法を含む、1つまたは複数のタイプの化学気相蒸着(CVD)法を含んでいる。このような技術はすべて、一般的に、1つまたは複数のすす材料の層を基板上に堆積させた後、高温で加熱して、堆積したすす材料を固体ガラスにガラス化することを含んでいる。基板は、後続の高温加熱に耐えることができる材料の棒であってもよく、または、予め堆積された、すす材料の層であってもよく、または、予め形成され、ガラス化されたガラスの棒または層、または、これらの何らかの組み合わせであってもよい。いくつかの場合において、層状のすす材料をガラス化する加熱ステップは、ガラス化されたプリフォームの加熱およびファイバーの線引きの直前に、または、これと同時に行われてよく、従って、プリフォームの形成とファイバーの形成は、続いて行われ、かつ、連続的である。
【0006】
光学プリフォームを製造するために、CVD技術を、ロッド・イン・チューブ(RIT)およびロッド・イン・シリンダー(RIC)として知られている、最近になって開発されたプロセスと組み合わせることができる。RITとRICの両方の方法とも、コアガラスロッドとガラスジャケット(チューブまたはシリンダーのいずれか)とで始まる。コアガラスロッドは、コアと第1のクラッド層とを有し、それらの両方は透明であり、コアの屈折率は第1のクラッド層の屈折率より高い。ガラスジャケットは、「オーバークラッド」と称されることもあるガラスクラッド材料の第2の層を提供する。ガラスジャケットは、外径が大きいシリンダーであってもよく、または、このシリンダーが、より小さい外径のチューブに線引きされてもよく、これら両方は、コアガラスロッドを受け入れるように寸法決めされた軸方向開口部を有している。コアガラスロッドとガラスジャケットとは別々に製造され、その後、コアガラスロッドをチューブまたはシリンダーに挿入し、続いて、ファイバー線引きタワーと類似した、鉛直配向されたジャケット装置において加熱および固化することによって、組み立てられ、これによって固体のガラス質プリフォームが形成される。その後、プリフォームは、ファイバー線引きタワーに供給され、ファイバー線引きタワーで加熱され、加熱されたプリフォームの先端から、光ファイバーが線引きされる。
【0007】
CVD法中に堆積するすす材料の量を注意深くコントロールすること、並びに、ガラス化の前およびガラス化の間に、コアガラスロッドおよびチューブまたはシリンダージャケットの寸法(内径、外径、長さ等)をコントロールすること、および、最終的な光ファイバーおよびその層の直径および細さをコントロールすることは全て、所望の特性および質を有している光ファイバーを最終的に製造するために極めて重要である、ということが明らかである。従って、製造プロセス全体の様々な段階の間に、プリフォームの構成要素、プリフォーム自体、および光ファイバーの様々な特性を測定するための様々な既知の方法および装置が存在する。
【0008】
例えば、光学プリフォームの直径は、CVDによって、RITによって、RICによって、または他の方法によって製造されているかどうかに関わらず、典型的には、ガラス化後、かつ、光学プリフォームからの光ファイバーの線引き開始前に測定される。このような方法の1つは、レーザまたは他の放射ビームをプリフォームに導くことを含む。ここでこのレーザまたはビームは、プリフォームの長手方向軸に対して直角であり、プリフォームの長手方向軸に対して直角に配向されている面においても直線的に、プリフォームの一方の側から他方の側へ往復される。このような方法によって生成されたイメージは記録および分析され、少なくともプリフォームの外径、時にはコアおよびクラッド層の直径並びに他の情報も生成され、報告される。しばしば、このイメージは、電荷結合素子(「CCD」)イメージセンサー等のイメージセンサーによって捕らえられ、プロセッサによる操作および解釈のためにデジタルイメージとして記録される。イメージセンサーが、レーザ源とは反対側に位置する、プリフォームの側に位置し、レーザがプリフォームを通って漏れる際に生成される影像を受け取るレーザスキャン方法は、シャドー技術として知られている。
【0009】
直径測定のシャドー測定には限界があり、そのいくつかは装置の特徴によって課される。例えば、典型的に、プリフォームの加熱およびガラス化が行われる炉装置は開口部を有しており、この開口部は、この開口部を通じてプリフォームへ到る、往復するスキャンレーザを受け入れるために、しばしば細長い長方形またはスリットとして形成され、寸法決めされる。RIT法によって作成されるプリフォームは、約110ミリメートル(mm)までの外径(OD)を有するように製造可能であり、この直径は、炉装置の近くに位置する、適切に設置され、作動されるテレセントリックレーザスキャンゲージおよびイメージセンサーを用いて正確に測定されるだろう。もちろん、レーザスキャン技術の性質のために、この長方形の窓またはスリットは、測定される最も幅が広いプリフォームよりも、僅かに幅が広い必要があり、当面の間、これは可能であった。しかし、より大きい直径のプリフォームに対する顧客の要求は、約135〜150(mm)の間、およびそれより大きい直径を有するプリフォームを製造するためのRIC法の開発につながり、装置の幾何学的形状および機能の限界およびレーザスキャナ技術によって、より大きい直径のプリフォームを測定するための新たな方法およびこのような方法を実行するための装置の開発が必要となった。
【0010】
本発明は、光学プリフォーム、または他の光学的に透明な円柱状製品の直径を製造中に測定するための新たな装置および方法を提供する。この新たな装置は、これまで使用されてきたレーザスキャン装置の代わりに、レンズと受像部とレコーダとを有するデジタルカメラを使用することを含む。他方で、この方法は、イメージセンサーによって受け取られたイメージを分析するために開発されたアルゴリズムを、イメージ内のノイズおよび冗長性を除去して、プリフォームの直径を決定する形で使用する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、高温炉内での製造中に、透明な円柱状製品、例えばその直径を測定するための装置を提供する。この高温炉は、円柱状製品を見ることができる水平方向開口部を有している。この装置は、(A)レンズが取り付けられており、かつ、センシングおよびデジタル記録装置を有しているデジタルカメラと、(B)アルゴリズムがプログラムされたデジタルプロセッサと、を含んでいる。
【0012】
レンズは、炉の壁部の開口部を通って円柱状製品の光学像を受け取り、光学像をデジタルイメージに変換し、このデジタルイメージを記録する、カメラのセンシングおよびデジタル記録装置にこの光学像を導く。ある実施例では、このレンズは広角レンズ(例えば、35mmフルサイズイメージセンサーの場合には、焦点距離が35mm未満のレンズ)である。他の実施形態では、レンズは、通常のレンズまたは長焦点レンズであってもよい。センシングおよびデジタル記録装置は、電荷結合素子(「CCD」)イメージセンサーであってもよい。択一的に、センシングおよびデジタル記録装置は、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサーであってもよい。デジタルプロセッサおよびアルゴリズムは、イメージセンサーからのデジタルイメージにアクセスし、デジタルイメージを解釈し、円柱状製品の測定値、例えばその直径を決定し、報告する。
【0013】
いくつかの実施形態では、透明な円柱状製品は、2つ以上のガラス質材料層を含んでいる光ファイバープリフォームであってもよい。さらに、このプリフォームは、所定の屈折率を有するコア層と、所定の屈折率を有し、かつ、内側の層を取り囲んでいるクラッド層と、を含むことができる。コア層の屈折率は、クラッド層の屈折率よりも高い。
【0014】
いくつかの実施形態では、カメラは、円柱状製品の光学像を通すために、炉の壁部の開口部と位置合わせされた入口を有している、流体密封型の、流体冷却式ハウジング内に封入されることがある。
【0015】
この装置は、炉の壁部の開口部および流体冷却式ハウジングの入口を介して受け取った光学像をカメラのレンズに向ける、ミラー等の反射器をさらに含むことができる。
【0016】
本発明の装置のいくつかの実施形態では、炉は、ジャケット付き流体冷却式グラファイト炉であり、これは、加熱されている間、円柱状製品が通過する上部および下部の環状グラファイト接触部を伴った加熱される内部を有し、ここで上部および下部の接触部はそれぞれ環状壁を有し、加熱される内部の両端の近くに位置している。さらに、この炉は、上部の環状グラファイト接触部の環状壁を通る円柱状製品を見ることができる水平方向開口部の少なくとも一部を有している。ここでこの上部の接触部および下部の接触部は、内部に円柱状製品を有するグラファイト炉の内部を加熱するために、電流を受け取り、伝導する。
【0017】
本発明の実施形態は、円柱状製品を見ることができる水平方向開口部を有する高温炉内での製造中に透明な円柱状製品の直径を測定するための方法も含み得る。より詳細には、この方法は、(A)レンズが取り付けられているカメラを用いて、水平方向開口部を通して放出された、円柱状製品の光学像を受け取ること、(B)この光学像をセンシングおよびデジタル記録装置に導くこと、(C)センシングおよびデジタル記録装置を用いて、この光学像をデジタルイメージに変換し、このデジタルイメージを記録すること、および、(D)アルゴリズムがプログラムされたプロセッサを用いて、このデジタルイメージを解釈し、円柱状製品の直径を決定すること、を含み得る。センシングおよびデジタル記録装置は、カメラ内に収容されていても、または、カメラとは別の装置であってもよい。透明な円柱状製品は光学プリフォームであってよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、プロセッサのアルゴリズムは、(1)デジタルイメージを切り取って、より小さい、切り取られたデジタルイメージを生成するステップと、(2)切り取られたこのデジタルイメージから、勾配フィルタリングされた(gradient filtered)イメージを生成するステップと、(3)複数の勾配ラインスキャンを実行し、複数の勾配ラインスキャンを総計して、グレーレベル勾配スペクトルを形成するステップと、(4)円柱状製品の真の左側縁を表すピークと、真の右側縁を表すピークとを識別するステップと、(5)円柱状製品の真の左側縁の値と真の右側縁の値との間の差の絶対値を取って、円柱状製品の外径を計算するステップと、(6)円柱状製品のこの外径を報告するステップとを有し得る。
【0019】
より詳細には、(1)デジタルイメージは、周囲の暗い空間を除去するために切り取られ、結果として得られた、より小さい、切り取られたデジタルイメージは、炉の水平方向開口部を通して見ることができた明るい視野のみを含む。次に、(2)標準偏差光フィルターを用いて、切り取られたデジタルイメージから勾配フィルタリングされたイメージが生成される。
【0020】
アルゴリズムの第3のステップ(3)は、複数の勾配ラインスキャンを実行することを必要とし、複数の勾配ラインスキャンを総計して、複数の左側ピークと、複数の右側ピークと、複数のマイナーバックグラウンドピークとを有しているグレーレベル勾配スペクトルを形成する。複数の勾配ラインは、勾配フィルタリングされたイメージの鉛直中心の近くに位置するスキャン領域内でスキャンされ、勾配フィルタリングされたイメージの全幅にわたって水平に延在する。
【0021】
アルゴリズムの第4のステップ(4)では、グレーレベル勾配スペクトル内の複数の左側ピークおよび複数の右側ピークのうちのどれがプリフォームの真の左側縁および真の右側縁を表すのかを識別することが、以下のように実現される。すなわち、グレーレベル勾配スペクトル上で、複数の左側ピークを含んでいる左側ピークウィンドウ領域が選択され、複数の右側ピークを含んでいる右側ピークウィンドウ領域が選択され、各ウィンドウの外側にあるマイナーバックグラウンドピークが別個の分析のために残される。次いで、さらなる分析から、次のことによって、マイナーバックグラウンドピークを除去する、ピーク検出のためのベースラインが確立される。すなわち、(i)マイナーバックグラウンドピークの一部分をダイナミックにサンプリングし、上述したダイナミックサンプリングに基づいてノイズ・フロア・レベルを計算すること、(ii)所定の閾値量をノイズ・フロア・レベルに加えて、上述したベースラインを導出すること、(iii)その後、確立されたベースラインを下回るあらゆるピークを無視すること、によって確立される。その後、ターゲット左側ピークとターゲット右側ピークとが識別され、プリフォームの真の左側縁および真の右側縁の位置に対する数値が、それぞれ、次のことによって提供される。すなわち、(i)左側ピークウィンドウ領域において、上述したベースラインよりも高い複数の左側ピークをそれぞれ分析し、左側ピークウィンドウ領域において最も左側に位置するターゲット左側ピークを選択して、プリフォームの真の左側縁に等しい数値としてその位置を記録すること、(ii)右側ピークウィンドウ領域において、上述したベースラインよりも高い複数の右側ピークをそれぞれ分析し、右側ピークウィンドウ領域において最も右側に位置するターゲット右側ピークを選択して、プリフォームの真の右側縁に等しい数値としてその位置を記録すること、によって提供される。
【0022】
最後に、(5)第4のステップ(4)において決定された円柱状製品の真の左側縁の値と、真の右側縁の値との間の差の絶対値を取って、円柱状製品の外径が計算され、(6)円柱状製品のこの外径が報告される。
【0023】
添付の図面と関連して読んだ場合に、以下の詳細な説明から、本発明が最も良く理解される。一般的な方法に従って、図面の種々の特徴は縮尺通りではない、ということが強調される。むしろ、種々の特徴の寸法は、明確にするために任意に拡大または縮小されている。図面には、以下の図が含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】コアおよびクラッド層を示す、例示的な光学プリフォームの概略的な斜視図である。
【
図2】高温炉と、高温炉を通るプリフォームと、プリフォームの直径を測定するための装置の実施形態との概略的な部分断面正面図である。
【
図3】炉と、プリフォームと、プリフォームの直径を測定するための装置との概略的な平面図である。
【
図4A】炉の加熱される領域における温度パターンをモデル化した結果を示しており、ここで下部の接触部が有する開口部の幅は異なっている。
【
図4B】炉の加熱される領域における温度パターンをモデル化した結果を示しており、ここで下部の接触部が有する開口部の幅は異なっている。
【
図4C】炉の加熱される領域における温度パターンをモデル化した結果を示しており、ここで下部の接触部が有する開口部の幅は異なっている。
【
図5】カメラによって受け取られた光学像を処理するために使用されるアルゴリズムの最初の3つのステップのグラフィックデータプロダクトである。
【
図6】アルゴリズムの第3のステップにおけるグレースケールスキャンのためにラインが選択されるスキャンウィンドウのおおよその位置である。
【
図7】グレーレベル勾配スペクトルとアルゴリズムの第4のステップの間のその分析の詳細である。
【
図8】光学プリフォームのコア内のジョイントの検出および測定のためのアルゴリズムに関するサンプルグラフィックデータである。
【
図9】光学プリフォームのコア内のジョイントの検出および測定のための、シンプルかつ高度なアルゴリズムのための相対的なグラフィックデータである。
【
図10】光学プリフォームのコア内のジョイントの検出および測定のためのグレーレベル勾配スペクトルと、その分析の詳細である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態は、透明な円柱状製品、例えば光ファイバープリフォームを製造中に測定するための装置および方法を含み得る。例えば、限定するものではないが、透明な円柱状製品は、そこから、線引きとして知られているプロセスを用いて光ファイバーが作成される光ファイバープリフォームを含んでいる。このような光学プリフォームは、少なくとも2つのガラス質材料層、すなわちコアとクラッド層とを有しており、ここでコアはクラッド層よりも高い屈折率を有している。プリフォームは、いくつかの実施形態では、同様に透明なガラス質材料で作られた「オーバークラッド層」のような、1つまたは複数の付加的なクラッド層を有することができる。
図1は、コア15、第1のクラッド層20およびオーバークラッド層25を含む、その可能な層を示している、例示的な光学プリフォーム10の概略的な斜視図を提供している。これらの層は、CVD、RITおよびRIC技術を用いて製造されることがある。
【0026】
このような光学プリフォームの直径を測定する状況において、本発明を以下に詳細に説明するが、本発明の用途は光学プリフォームの直径の測定に限定されない、ということを理解されたい。むしろ、当業者に理解されるように、透明な円柱状製品は光学プリフォームである必要はなく、代わりに、外径を有する透明なコアロッド、または、外径および内径を有する透明な円柱、または、偶然に円柱状または管状であり、かつ透明であるが、ファイバーオプティクス分野には関係しない他の製品であってよい。全てのこのような修正および適用が、以下に説明され、請求項に記載される本発明に含まれることが見越されており、意図されている。さらに、本明細書で提供された詳細な説明に基づいて、当業者が、本発明の精神から逸脱することなく、本明細書に開示された実施形態に対する変更および修正を明確に理解し、かつ、これらを行うことができると思われる。
【0027】
本明細書で使用されている「ガラス質」という用語は、ガラスに類似した(すなわち、ガラスの特徴または外見を有する)材料を表す、その通常の意味を有している。これは例えば、透明性、脆弱性、硬さ、光沢等である。
【0028】
本明細書で使用されている「透明な」という用語は、観察者から、この材料の反対側に位置する物体がはっきりと見えるように、目に見えるほどの散乱なく、光を通す材料を表す、その通常の意味を有している。これは、光の完全なまたは的確な透過を必要としないが、光が、妨害または歪みをほとんどまたは全く伴わずに、このような材料を通過することが可能であり、これによって、反対側の物体が見え、認識できることを意味する。
【0029】
1つの一般的な実施形態では、本発明は、透明な円柱状製品の直径を、高温炉内での製造中に測定するための装置を含んでいる。炉のタイプは、本明細書に記載されている発明の装置および方法の実施に関連して特に限定されない。本発明の種々の実施形態に関連して記載された炉はジャケット付き流体冷却式の炉であるが、測定を必要とする透明な円柱状製品の製造、修正または処理に使用される場合、他のタイプの炉が適している、ということに留意されたい。
【0030】
図2は、光学プリフォーム10が貫通している典型的な高温炉30の概略的な正面図を示している。
図2に示されている炉30は、外側ジャケット35を有しているジャケット付き流体冷却式の炉30であり、これは、上部および下部の環状グラファイト接触部50、60を伴った加熱される内部45を有する主要加熱領域40を明らかにするために断面で示されている。円柱状製品、例えば光学プリフォーム10は、加熱の間、これらの接触部を通る。上部の接触部50および下部の接触部60は、それぞれ、環状壁55、65を有し、
図2に示されているように、加熱される内部45の両端の近くに位置している。さらに、炉30は、加熱されたプリフォーム10が冷却し、固まり始める箇所に保護管125を有している。
【0031】
引き続き
図2を参照すると、炉30は、外部環境からの観察者が炉30内のプリフォーム10を見ることができる水平方向開口部70を有している。従って、水平方向開口部70は、炉30の加熱される内部45と連通しており、プリフォーム10は、この加熱される内部45を、加熱中に通過する。さらに、水平方向開口部70は、プリフォーム10の直径の測定が望まれる鉛直方向高さにある。これは例えば、図示の実施形態では、プリフォーム10の加熱が実質的に完了し、かつ、プリフォームの冷却が開始される直前またはまさにプリフォームの冷却が開始されようとしている場所である。より詳細には、水平方向開口部70は、下部の環状接触部60の環状壁65の開口部67を通って、ジャケット35の壁部を通って、さらに保護ブリッジ72を通っており、このようにして、水平方向開口部70は外部環境と連通もしている。
【0032】
この実施例の炉30は高温で作動し、自身にジャケットが付けられ、かつ、流体冷却式であるので、流体密封型の、流体冷却式ハウジング75を使用して、デジタルカメラ100およびそのレンズ105が収容および保護されている。実施例では、レンズ105は、広角レンズ(例えば、35mmフルサイズイメージセンサーの場合、焦点距離が35mm未満のレンズ)である。他の実施形態では、レンズ105は、通常のレンズまたは長焦点レンズであってもよい。ハウジング75は入口80を有しており、入口80が水平方向開口部70と位置合わせされ、プリフォーム10がハウジング75内から見えるように、炉30の外側に固定されている。
【0033】
図3は、カメラ100と、レンズ105と、カメラ100およびレンズ105を収容し、保護するハウジング75と、を含んでいる、プリフォームの直径を測定するための装置の概略的な平面図を示している。
図3にも、炉30の下部の接触部60と、カメラ100およびレンズ105を伴う保護ブリッジ72との相対的な位置合わせが示されており、これは、レンズ105と、炉30の内部の、下部の接触部60を通過するプリフォーム10との間のクリアーな視野(FOV、一対の点線で示されている)を可能にする。ミラー110は、この平面図ではカメラ100とレンズ105の真下にあるので見えない。
【0034】
上部の接触部50および下部の接触部60は、プリフォーム10を内部に有する炉30の内部45を加熱するために、電流を受け取り、伝導する、ということに留意されたい。接触部50、60が導電性であり、炉30の加熱機構の一部であるという事実は、下部の接触部60の壁部の開口部の大きさ(すなわち、高さおよび幅)に構造的および機能的制限がある、ということを意味する。
【0035】
より信頼性の高い測定、並びに、より大きなプリフォームOD測定のためにより幅広い視野(例えば、
図3のFOVを参照)を得るために、下部の接触部60を通る開口部の広がりが、炉30の加熱領域40における加熱の均一性に関して、幅広の開口部の効果を予測する数値モデルを用いて調査された。数値モデルおよびその結果は、以降で、実施例および
図4A、
図4Bおよび
図4Cにおいて示される。開口部の幅を決定するために使用され得る例示的な数値モデルは有限要素法(FEM)であるが、他の数値モデルも考えられる。数値モデリングに基づいて、本明細書に開示された特定の実施形態では、開口部を約150mmまで、問題無く拡張することができることが決定された。他の実施形態では、開口部の最大幅は、約150mm未満であってもよく、または約150mmより大きくてもよい。当業者は、この開示に基づいて、数値モデリングによる開口部の最大幅の決定方法を理解するだろう。
【0036】
再び
図2および
図3を参照すると、透明な円柱状製品の直径を製造中に測定するための装置は、(A)レンズ105が取り付けられ、かつ、センシングおよびデジタル記録装置、例えば電荷結合素子(「CCD」)イメージセンサー(カメラの内側、図示されていない)を有するデジタルカメラ100と、(B)アルゴリズムがプログラムされたデジタルプロセッサ(それ自体は図示されていない)と、を含んでいる。他の実施形態では、センシングおよびデジタル記録装置は、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサーであってもよい。より詳細には、カメラ100とレンズ105は、レンズ105が水平方向開口部70を通ってプリフォーム10製品の光学像を受け取ることを可能にするように配置されている。レンズ105はこの光学像をイメージセンサーに導き、イメージセンサーはこの光学像をデジタルイメージに変換し、プリフォーム10のデジタルイメージを記録する。
【0037】
この装置がさらに、炉30の水平方向開口部70とカメラ100のレンズ105との中間に配置されたミラー110のような反射器を備えてもよい。反射器は光学像を導き(
図2の矢印115を参照)、この光学像は、炉30の水平方向開口部70およびハウジング75の入口80を介して、カメラ100のレンズ105で受け取られる。レンズ105とミラー110とが、
図2に概略的に示すように、ハウジング75内の取り付けバー120に固定されていてもよい。
【0038】
デジタルカメラ100に加えて、装置はまた、イメージセンサーからのデジタルイメージにアクセスし、これを解釈し、円柱状製品の直径を決定し、報告するアルゴリズムがプログラムされたデジタルプロセッサを含む。適切なプロセッサおよびアルゴリズムには、現在知られているもの、および、将来、デジタルイメージを分析することができるものが含まれる。例示的なプロセッサおよびアルゴリズムを、本発明の方法に関連して、以降でさらに詳細に説明する。
【0039】
プリフォーム10が冷却されて硬化された後、例えばプリフォーム10が保護管125から出ている炉30内の位置、例えば
図2の位置Bで、プリフォーム10の第2の測定を行うことが望ましい場合がある。特定の特徴は
図2には示されていないが、第2のプリフォーム測定が位置Bで行われるべき場合、炉30は、外部環境から、保護管125から出ている冷却中のプリフォームを見ることができるように、位置Bに別の水平方向開口部を有するだろう。また、これと並んで、位置Bで冷却中のプリフォーム10を測定するための第2の装置を有するだろう。これは、それ自身のセンシングおよびデジタル記録装置およびレンズを有している別のカメラおよび別の流体冷却式ハウジングを含んでいる。これらの全ての特徴は、プリフォーム10が炉30の下部の接触部60を通過するメイン測定位置、すなわち位置Aに関連して上述したものと同じであってもよい。
【0040】
別の一般的な実施形態では、本発明は、透明な円柱状製品の直径を、円柱状製品を見ることができる水平方向開口部を有する高温炉内での製造中に測定するための方法を提供する。この方法は、以下の基本ステップを含んでいる。すなわち、(A)レンズが取り付けられているカメラを用いて、水平方向開口部を通して放出された、円柱状製品の光学像を受け取るステップと、(B)この光学像をセンシングおよびデジタル記録装置に導くステップと、(C)センシングおよびデジタル記録装置を用いて、光学像をデジタルイメージに変換し、このデジタルイメージを記録するステップと、(D)アルゴリズムがプログラムされたプロセッサを用いて、このデジタルイメージを解釈し、円柱状製品の直径を決定するステップと、を含んでいる。
【0041】
再び、
図2および
図3に示されている装置を手短に参照すると、炉30の水平方向開口部70を通して放出された、円柱状製品(例えばプリフォーム10)の光学像115は、カメラ100およびレンズ105によって受け取られる。レンズ105が相応に取り付けられ、かつ、調整されているカメラ100の内部では、当業者によって容易に理解されるように、光学像115が、カメラ内部のセンシングおよびデジタル記録装置(図示されていない)に導かれる。センシングおよびデジタル記録装置はその後、この光学像をデジタルイメージに変換し、この光学像は記録される。例えば、カメラ100の一部であってもよい、または、別個のマイクロプロセッサであってもよい、または、コンピュータの一部であってもよい、アルゴリズムがプログラムされたプロセッサ(図示されていない)が、デジタルイメージを解釈して、円柱状製品(プリフォーム10)の直径並びに他の特性を決定する。これは、円柱状製品(プリフォーム10)の中心の位置と、プリフォーム10のコアロッド15(
図1を参照)内の任意のジョイントの存在および位置を含むが、これに限定されない。
【0042】
デジタルイメージを解釈して、円柱状製品の直径を決定する最後のステップ(D)は、アルゴリズムがプログラムされたプロセッサの使用を必要とする。このプロセッサは、例えば、コンピュータ、プロセス制御装置およびシステムが統合されたコンピュータ構成要素、スタンドアローンマイクロプロセッサ、または、現在、当業者に既知であるまたは将来、当業者に知られるようになる、ここで詳細に説明されるアルゴリズムを実行することができるあらゆる他のプログラミング可能なプロセッサであってよいが、これに制限されない。
【0043】
一般的に、このアルゴリズムは、(1)デジタルイメージを切り取って、より小さい、切り取られたデジタルイメージを生成するステップと、(2)切り取られたデジタルイメージから勾配フィルタリングされたイメージを生成するステップと、(3)複数の勾配ラインスキャンを実行し、複数の勾配ラインスキャンを総計して、グレーレベル勾配スペクトルを形成するステップと、(4)グレーレベル勾配スペクトル内の複数のピークのうちのどれが、プリフォームの真の左側縁および真の右側縁を表すのかを識別するステップと、(5)プリフォームの真の左側縁の値と真の右側縁の値とを用いてプリフォームの外径を計算するステップと、(6)プリフォームの外径を報告するステップと、を含んでいる。これらのステップのそれぞれを、ここで、さらに詳細に説明する。アルゴリズムのステップ(1)〜(4)から得られたサンプルイメージとスペクトルとが
図5に示されている。
【0044】
アルゴリズムの第1のステップでは、デジタルイメージが切り取られ、周囲の暗い空間が除去され、より小さい、切り取られたデジタルイメージが生成される(
図5の「RAWイメージ」(1)を参照)。この、より小さい、切り取られたイメージ(1)は、炉の水平方向開口部を通して見ることができる明るい視野のみを含む。
【0045】
アルゴリズムの第2のステップでは、切り取られたデジタルイメージ(1)に標準偏差フィルターを適用することによって、勾配フィルタリングされたイメージ(2)(
図5における「勾配フィルタリングされたイメージ」(2)を参照)が生成される。標準偏差フィルターは、勾配フィルタリングされたイメージ(2)の各画素が、切り取られたデジタルイメージ(1)の対応する画素の周辺領域内の画素の標準偏差に等しい、勾配フィルタリングされたイメージ(2)を作成することによって動作する。切り取られたデジタルイメージ(1)の画素の標準偏差は、周辺領域が明から暗にシフトするところ、または暗から明にシフトするところで最も高くなるので、切り取られたデジタルイメージ(1)内で縁を検出するために、勾配フィルタリングされたイメージ(2)が使用される。
【0046】
アルゴリズムの第3のステップでは、勾配フィルタリングされたイメージ(2)の複数のラインスキャンが収集され、まとめられて、グレーレベル勾配スペクトルが形成される(
図5の「グレーレベル勾配スペクトル」(3)を参照)。いくつかの実施形態では、1つのラインスキャンだけが収集され得るが、グレーレベル勾配スペクトル(3)は、複数のラインスキャンの総計を含む場合に、改善された信号対雑音比を有し得る。ある実施例では、グレーレベル勾配スペクトル(3)は、約40〜50のラインスキャンの総計を含む。他の実施形態では、グレーレベル勾配スペクトル(3)は、50を超えるラインスキャンまたは40未満のラインスキャンを含み得る。より詳細には、複数の勾配ラインは、勾配フィルタリングされたイメージ(2)の鉛直中心の近くに位置するスキャン領域内でスキャンされ、勾配フィルタリングされたイメージの全幅の少なくとも一部を横切って水平に延びる。すなわち、測定されるプリフォームの全幅を十分に包囲する(スキャン領域のおおよその位置を見るための
図6のRAWイメージ内の白線140を参照)。各ラインスキャンは、勾配フィルタリングされたイメージ(2)のスキャン領域内で水平スキャンライン位置を選択し、設定された水平スキャンライン位置に沿ってイメージのグレーレベルを記録することによって実行される(例えば、
図5における「1つの勾配スキャンライン」(pre−3)を参照)。勾配フィルタリングされたイメージ(2)の複数のラインスキャンを収集し、総計した後、グレーレベル勾配スペクトルイメージ(3)は、複数の左側ピーク145、複数の右側ピーク150、および、複数のマイナーバックグラウンドピーク155a、155b、155cを有する(再度、
図5におけるスペクトル(3)を参照)。いくつかの実施形態では、グレーレベル勾配スペクトルイメージ(3)は、唯一の左側ピーク、唯一の右側ピーク、および/または、1つのマイナーバックグラウンドピークを有していてもよい、または、マイナーバックグラウンドピークを有していなくてもよい。左側ピーク145および右側ピーク150は、自身の中にそれぞれ、プリフォームの真の左側縁および真の右側縁を含む。マイナーバックグラウンドピーク155a、155b、155cは、複雑なライトバックグラウンド並びにバックグラウンドグラファイト要素の表面状態から生じるノイズを表す。「マイナー」とは、これらのバックグラウンドピーク155a、155b、155cが、対象の左側ピークおよび右側ピークよりも一般的に、より短いまたはより小さいことを意味し、プリフォームの直径を測定するときに考慮される必要がない、ということを意味する。
【0047】
アルゴリズムの第4のステップでは、グレーレベル勾配スペクトル(3)における複数の左側ピーク145および複数の右側ピーク150の中から、プリフォームの真の左側縁および真の右側縁が識別される。ここで
図7を参照すると、複数の左側ピーク145を含んでいるグレーレベル勾配スペクトル上の左側ピークウィンドウ領域160を選択することによって、グレーレベル勾配スペクトル分析(4)が実行される。同様に、右側ピークウィンドウ領域165も、複数の右側ピーク150を含んでいるグレーレベル勾配スペクトル上で選択される。これらの選択は、各ウィンドウ領域の外側のマイナーバックグラウンドピーク155a、155b、155cを選択されないままにし、これらに、以下で説明される別個の分析が施される。左側ピークウィンドウ領域160は、複数の左側ピーク145のうちの最も高い左側ピークにセンタリングされるべきであり、同様に、右側ピークウィンドウ領域165は、複数の右側ピーク150のうちの最も高い右側ピークにセンタリングされるべきである。
【0048】
グレーレベル勾配スペクトル(3)からのプリフォームの真の左側縁および真の右側縁の識別(ステップ(4)、
図7)は、さらに、さらなる分析から、マイナーバックグラウンドピークを除去するために、ピーク検出のためのベースラインを確立することを含む。これは、まずは、マイナーバックグラウンドピーク155cの一部分をダイナミックにサンプリングし、次に、このダイナミックサンプリングの結果に基づいてノイズ・フロア・レベルを計算することによって実行される。その後、ベースラインが、このノイズ・フロア・レベルに所定の閾値量を加えることによって導出される。その後、このベースラインを下回るあらゆるピークが、処理および分析の目的に対して、無視される。この閾値量は、グレーレベル勾配スペクトル(3)の選択されたウィンドウの最大ピーク高さから、ノイズ・フロア・レベルを減算し、次に、結果として生じた高さを所定のファクターで除算することによって決定される。ここでこのファクターは、
図7のピークEのような、識別されたノイズピークを除去するのに十分な大きさを有しているが、
図7のピークDのような、可能性のある、真の縁ピークを除去するのには十分でない。ある実施例では、このファクターは約3であってよい。択一的な実施形態では、所定の閾値量は、例えば、ダイナミックにサンプリングされた、マイナーバックグラウンドピークの一部分の平均的な高さに0.5を乗算することによって決定され得る。
【0049】
アルゴリズムによるさらなる考慮からマイナーバックグラウンドピーク(ノイズおよび散乱データ)を除去した後、プリフォームの真の左側縁および真の右側縁の位置に対する数値がそれぞれ得られる。最初に、ターゲット左側ピークおよびターゲット右側ピークがそれぞれ識別される。ここで
図7を参照すると、右側ピークウィンドウ領域165内の複数の右側ピーク150(いずれもベースラインより高い)が分析され、右側ピークウィンドウ領域165において最も右側に位置するピーク(ピークD)が、ターゲット右側ピークに選択される。ターゲット右側ピークの位置は、プリフォームの真の右側縁に等しい数値として記録される。図示されていないが、左側ピークウィンドウ領域160内の複数の左側ピーク145(同様に、いずれもベースラインより高い)に同じ分析および選択手順が適用され、ターゲット左側ピークの位置が、プリフォームの真の左側縁に等しい数値として記録される。引き続き
図7を参照すると、先の分析手順により、マイナーバックグラウンドピーク155a、155b、155cが、ウィンドウ領域160、165において除外可能である。
図7に示されているグレーレベル勾配スペクトル分析(4)については、ピークAおよびEはベースラインによって除去され、ピークB、CおよびDがピークの候補として残される。次いで、ピークDが、右側ピークウィンドウ領域165内の最も右の位置にある自身の位置によって、ターゲット右側ピークとして識別される。
【0050】
最後に、プリフォームの真の左側縁の値と真の右側縁の値との間の差を求め、その差の絶対値を取ることによって、プリフォームの外径(OD)が計算される。次に、プリフォームの外径ODが報告されるか、または、さらなる分析および決定の対象にされ得る。
【0051】
センシングおよびデジタル記録装置によって光学像が取得され、デジタルイメージに変換された後に、アルゴリズムの残りのステップを続ける前に炉が動作していることを確認するためにチェックを行うことが可能であり、かつ、望ましい場合がある。例えば、任意選択的に、切り取られたデジタルイメージにおける平均グレーレベルがプロセッサによって計算されてもよく、これが所定の閾値未満である場合に、アルゴリズムの実行を停止する。この所定の閾値は、使用されるグレースケールに基づいて選択され、かつ、十分に低い値であるべきであり、これによって、切り取られたデジタルイメージにおける平均グレーレベルがこの閾値以下である場合には、炉が動作していないと仮定するのが妥当であると、当業者は考える。より詳細には、動作中でないことが確認されている間にカメラからの炉のイメージを収集し、このイメージの全画素の平均グレーレベルを決定することによって所定の閾値が決定されてもよい。イメージが8ビットグレースケール画像(すなわち、256階調のグレー)である実施例では、動作していない間の炉の平均グレーレベルは8以下であってよい。所定の閾値は、炉の設計および特定の用途に基づいて、実施形態ごとに異なるだろう。
【0052】
いくつかの実施形態では、プリフォーム外径ODが成長して、一定のサイズに達すると、プリフォームの中央領域にマスク(図示されていない)が適用され、ピークの固定を混乱させる界面欠陥/泡が回避される。その後で、プリフォーム外径ODがもはや迅速にサイズを変えることがないスタートアップ滴下段階をプリフォームが通過すると、マスクが作動されてよい。従って、左側縁および右側縁はそれぞれ、自身の最後の20の位置について追跡される。これらの位置の(最大−最小)が、縁の各側について計算される。これらの位置の(最大−最小)が両方のガラス縁に対して、一定の閾値未満である場合、これは、ガラス外径ODが十分な安定に達したことを意味する。従って、マスクインジケータが、0から1に更新される。次のループから始めて、プログラムがインジケータ=1を確認すると、これはこのマスクを開き、このマスクの外の領域に対してのみ、イメージ水平勾配をスキャンする。しかし、線引きの最終段階では、プリフォーム外径ODは再び小さくなる。そのため、この時点では、マスクは無効にされるべきである。マスクインジケータ=1であり、かつ、プリフォーム外径ODが一定の閾値よりも小さいことを確認することによって、無効化点が決定されてもよい。
【0053】
外径OD計算のために2つのガラス縁が識別されると、別の有用な情報である、プリフォームの中心位置を直ちに導出することができる。その計算式は簡単である。
プリフォーム中心位置=左側縁の位置+OD/2
【0054】
この情報は、szugオペレータがプリフォームのたわみを改善するのに極めて有用であり得る。中心位置の変動幅が一定の閾値を超えるのをオペレータが確認すると、オペレータは、中心位置の変動を低減させ、従って潜在的なたわみ形状を矯正するために、プリフォームに対して「たわみバー(bow−bar)」を使用し始めるだろう。
【0055】
図8、
図9および
図10は、上述した装置およびデジタルイメージを用いた、共通のコアジョイント検出のためのアルゴリズムの説明を容易にするために提供されている。カメラ100によって生成されたデジタルカメライメージによって、本発明の方法および装置を使用して、コアロッド間のジョイントまたは最初のコアロッドの先端も、オンラインで識別することができる。このようなジョイント識別は、グレーレベル勾配スペクトルの生成(
図5(3)および
図8(A)を参照)の後、グレーレベル勾配スペクトル(A)における複数の左側ピーク145と複数の右側ピーク150との中間に位置する複数の中間ピーク185が存在するか否かを決定する第1のステップを含む。これは次のことによって行われる。すなわち、(a)複数の左側ピーク145および複数の右側ピーク150(
図5(3))の中間の中央ウィンドウ領域190を選択すること、(b)中央ウィンドウ領域190に対する統合領域を計算すること、および、(c)ジョイントが存在するか否かを決定するために、この統合領域を分析すること、によって行われる。統合領域がジョイントを示すのに十分な値を有したときを主観的に識別するオペレータによる目視検査によって、この統合領域が分析されてよい。他の実施形態では、アプリケーションごとに異なり得る所定の値を統合領域が超えたときを決定するために、統合領域が自動的に分析されてよい。統合領域が統合閾値を超えると、明確なジョイント信号Jが存在する。
図8(B)および(C)を参照。これは次に、コアロッドのジョイントの大きさを決定するために、複数の左側ピークおよび複数の右側ピークに関連して上述したように、分析され得る。
【0056】
最初のコアジョイントの検出は、プリフォーム製造プロセスのスタートアップ制御に重要なものであり得る。しかし、第1のコアジョイントは、しばしば溶接特徴によって干渉される(
図9を参照)。これはグレーレベル勾配スペクトル内に、混乱をもたらす溶接ピーク195を生成する。最初のコアジョイントを表すこのような溶接ピーク195は、コアロッド内の後続のジョイントと比較して、より細長く延びることがある。従って、最初のコアジョイントをより良く捕らえる、より洗練されたアルゴリズムも開発されている。
図9は、この新しい「J幅信号」(2)と上述した「J信号」(1)との比較を提示する。
【0057】
例えば、プリフォーム10内にジョイントが存在することが決定されると、グレーレベル勾配スペクトルが分析され、このジョイントのサイズおよび位置が決定される。上述した、プリフォームの真の左側縁および右側縁を決定するための方法(アルゴリズムステップ(4))と同様に、
図10に示されているように、中央領域ウィンドウ190が、グレーレベル勾配スペクトルにおいて、複数の左側ピーク145と複数の右側ピーク150の中間に選択される。中央領域ウィンドウ190は、ジョイントの左側縁および右側縁(それ自体は図示されていない)を含む、ジョイントの位置を表す複数の中間ピーク200を含んでいる。次に、ピーク検出のためのベースラインが確立されて、アルゴリズムステップ(4)について上述したように、さらなる分析から、マイナーバックグラウンドピークが除去される。その後、ジョイントの真の左側縁と真の右側縁の位置に対する数値がそれぞれ得られ得る。最も外側の左側ピークと最も外側の右側ピークとがそれぞれ、中央ウィンドウ領域190内の複数の中間ピーク200の中から識別され、それらの値がそれぞれ、ジョイントの真の左側縁および真の右側縁の位置として割り当てられる。次に、ジョイントの真の左側縁の値と真の右側縁の値との間の差を見出すことによって、プリフォームの幅(直径)について上述したように、ジョイント幅が計算されてよい。次に、このジョイント幅が報告されるか、または、さらなる分析および決定の対象にされ得る。さらに、ジョイントの中心位置を、以下の式を使用して決定することができる。
ジョイントの中心位置=ジョイントの左側縁の位置+(ジョイント幅)/2
【0058】
付加的に、想定されたコアジョイントに関する値を報告する前に、検証ステップを実行することができ、ここでは、ジョイントの中心位置がプリフォームの中心から離れすぎている場合には(閾値化)、検出された特徴が、実際にはコアジョイントでないことが想定され、縁の位置またはこの特徴の幅は報告されない。
【0059】
本発明および上述した、本発明の様々な実施形態は、以下の例を参照することにより、より良く理解されるであろう。これらの例は、実行されている本発明の特定の実施形態に過ぎず、本発明の装置または方法の範囲を決して限定するものではない。
【実施例】
【0060】
下部の接触部における、許容可能な最も幅の広い開口部の決定
初期段階では、下部の接触部60の壁部65を通る開口部は130mmであった。この幅は、以前使用されていたテレセントリックレーザスキャン方法には十分であったが、約130mmよりも大きい直径を有するプリフォームを測定するのには十分ではなかった。拡張された開口部が、加熱領域40全体にわたって、炉の温度および均一性に、許容可能ではない影響を与えるであろう幅を推定するために、数値モデルが使用された。加熱領域40内で得られる加熱パターンを示した数値モデル化の、図によって表された結果が、
図4A、
図4Bおよび
図4Cに提示されている。より具体的には、
図4Aは、130mmの最初の開口部67による、許容可能に均一な加熱パターンを示している。
図4Bも、150mmに拡張された開口部67が依然として、均一かつ許容可能な加熱パターンを生成することを示している。しかし、開口部67を180mmに拡張すると、数値モデルは、
図4Cに示されているように、加熱領域40が許容可能ではない程度まで不均一に加熱されるであろうことを予測した。
【0061】
装置の性能とアルゴリズム
使用されたカメラ機器:Allied Vision Technologies社の「Guppy」5メガピクセル(MP)カメラ、モデル F−503B。
【0062】
ソフトウェア:Allied Vision Technologies社の標準Firepackage v 3.1を使用して、カメラからのイメージを捕らえた。この機能に対しては、他の市販の、または注文で作られたプログラムも使用することができることに留意されたい。
【0063】
レンズ:Edmund Optics社の16mm固定焦点距離MPレンズ。用いられた焦点距離は、所望の視野(FOV)およびレンズとターゲットプリフォームとの間の距離に依存した。この使用ケースには16mmが適切であった。
【0064】
フィルター:(a)強い炉の光を減衰させるための、複数のニュートラルデンシティフィルター。様々な光学密度を含む、この種のフィルターの異なる組み合わせが、上部対下部位置で使用された。(b)ガラス縁とグラファイトバックグラウンド(すなわち、下部の接触部の内面と下部の保護管)との間のグレースケールイメージコントラストを増加させるための赤色カラーフィルター。(c)測定を妨げるガラス表面からの不所望な反射を除去するために、直線偏光フィルターが使用された。