【文献】
Mol. Imaging (2009) vol.8, no.4, p.221-229
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アミノ酸モチーフが、CAAX、XXCC、XCXCまたはCXXであり、ここで、Cはシステインを表わし、Aは脂肪族アミノ酸を表わし、Xはイソプレノイドトランスフェラーゼの基質特異性を決定するアミノ酸を表わす、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。
活性剤が、薬物、毒素、アフィニティーリガンド、検出プローブ、免疫調節性化合物、抗癌剤、抗ウイルス剤、抗菌剤、抗真菌剤、または抗寄生虫剤またはそれらの組み合わせを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本開示の詳細な説明
ここで本発明の態様について詳細な言及がなされ、本明細書において後に添付される図面においてその例が説明され、図面において、類似の参照数詞は、全体を通して類似の要素を指す。本発明を説明するために、図面を参照して、態様を以下に記載する。
【0039】
定義
「剤」または「活性剤」により、任意の低分子化合物、抗体、核酸分子またはポリペプチドまたはそれらのフラグメントが意味される。例として、限定されないが、薬物、毒素、アフィニティーリガンド、検出プローブまたはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0040】
「アナログ」により、同一ではないが、類似の機能的または構造的特徴を有する分子が意味される。例えば、ポリペプチドアナログは、対応する天然に存在するポリペプチドの生物学的活性を保持しつつ、天然に存在するポリペプチドと比較して当該アナログの機能を増強する特定の生化学的修飾を有する。かかる生化学的修飾は、例えばリガンド結合を変化させることなく、当該アナログのプロテアーゼ耐性、膜透過性または半減期を増大させることができる。アナログは、非天然のアミノ酸を含んでもよい。
【0041】
本開示において、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」、「含む(containing)」および「有する(having)」などは、米国特許法においてそれらに属する意味を有してよく、「含む(include)」、「含む(including)」などを意味してもよい;「から本質的になる(consisting essentially of)」または「本質的になる(consist essentially)」も同様に、米国特許法においてそれらに属する意味を有し、当該用語はオープンエンドであり、列記されるものの基本的なまたは新規の特徴が、列記されるものより多くのものの存在により変更されない限り(ただし先行技術の態様を除外する)、列記されるものより多くのものの存在を許容する。
【0042】
「細胞を接触させる」とは、本明細書において、細胞、例えば培養中で、ex vivoで、または動物において処置されるべき細胞に、剤が細胞(例えば処置されるべき細胞)と相互作用し、潜在的に細胞により取り込まれ、細胞に対して効果を有することができるように、剤を提供することとして理解される。剤(例えばアジュバント)は、細胞に直接的に(例えば培養培地への剤の添加により、または関心のある細胞もしくは組織中への注入により)送達しても、あるいは、血管系、リンパ系または他の手段による細胞への送達のための局所または非経口の投与の経路により生物への送達によるものであってもよい。当業者は、対象への本発明のタンパク質−活性剤コンジュゲートの投与が、タンパク質−活性剤コンジュゲートを対象の細胞と接触させることを含むことを、容易に理解するであろう。
「疾患」により、細胞、組織または器官の正常な機能に損傷を与えるかまたはこれを妨害する、任意の状態または障害が意味される。
【0043】
用語「有効量」、「治療有効量」、「有効用量」または「治療有効用量」とは、意図される薬理学的、治療的または予防的結果を提供するための剤の量を指す。例えば、薬理学的に有効な量は、個体において、または集団中の疾患の頻度において、疾患の予防、またはその発症の遅延をもたらす。有効用量を提供するために1回よりも多い用量が必要とされる場合もある。1集団における有効用量は、全集団において十分である場合も、十分ではない場合もある。したがって、剤または免疫原性組成物の投与に関して、剤または免疫原性組成物は、臨床的に適切な様式における投与が、少なくとも対象のうちの統計学的に有意な画分に対して有益な効果(例えば、疾患の発症の予防、症状の改善、治癒、疾患の兆候または症状の軽減、寿命の延長、クオリティ・オブ・ライフの改善、またはその特定の型の疾患または状態を処置することに精通している医師により有意義である(positive)として一般に認識される他の効果)をもたらした場合に、疾患または状態「に対して有効」である。
【0044】
「増強する(enhance)」により、少なくとも10%、25%、50%、75%、100%、またはその間の任意の数の正の変更が意味される。
「フラグメント」により、ポリペプチドまたは核酸分子の部分が意味される。この部分は、好ましくは、参照核酸分子またはポリペプチドの全長の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%を含む。フラグメントは、10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100、200、300、400、500、600、700、800、900または1000個のヌクレオチドまたはアミノ酸を含んでもよい。
【0045】
「ハイブリダイゼーション」は、水素結合を意味し、これは、相補的なヌクレオチド塩基間のワトソン−クリック、フーグスティーンまたは逆フーグスティーンの水素結合であり得る。例えば、アデニンとチミンとは相補的なヌクレオチド塩基であり、水素結合の形成を通して対となる。
「得る(obtaining)」は、本明細書において、製造すること、購入すること、合成すること、単離すること、精製すること、または他の方法でそれを入手することとして理解される。
【0046】
句「薬学的に受容可能なキャリア、賦形剤または希釈剤」は、当該分野において認識されており、本発明の化合物を哺乳動物に投与するために好適な薬学的に受容可能な材料、組成物 またはビヒクルを含む。
本明細書において用いられる場合、用語「薬学的に受容可能な」は、連邦または州政府の監督機関により承認されていること、または米国薬局方、欧州薬局方または他の一般に認識されている薬局方において、哺乳動物、例えばヒトにおける使用について列記されていることを意味する。
「減少させる(reduce)」により、少なくとも10%、25%、50%、75%、100%、またはその間の任意の数の負の変更が意味される。
「参照(reference)」により、標準的または対照の状態が意味される。
【0047】
「試料」は、本明細書において用いられる場合、その環境(例えば、動物からの血液もしくは組織、細胞、または組織培養からの馴化培地)から単離された生物学的材料を指す。態様において、試料は、関心のあるタンパク質(例えば、抗体、サイトカインなど)などの分析物を含むことが疑われるか、またはこれを含むことが知られている。試料はまた、組織または体液の部分的に精製された画分であってもよい。参照試料は、疾患または状態を有さないドナーからの、あるいは、疾患もしくは状態を有する対象または未処置の対象(例えば、ワクチンで処置されない対象)における正常組織からの、「正常な」試料であってよい。参照試料はまた、細胞または対象を、試験されるべき剤または治療的介入と接触させる前の、「ゼロ時点」において採取してもよい。
【0048】
「特異的に結合する」により、標的(例えば、ポリペプチド、細胞など)の認識およびこれへの結合が意味されるが、これは、試料、例えば生物学的試料中の他の分子を実質的に認識せずこれに結合しない。
「対象」は、本明細書において用いられる場合、生物を指す。態様において、生物は、動物である。態様において、対象は哺乳動物である。態様において、対象は、家畜化された哺乳動物または非ヒト霊長類を含む霊長類である。対象の例として、限定されないが、ヒト、サル、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウシ、ウマ、ブタ、ヤギ、ヒツジおよび鳥類が挙げられる。対象はまた、患者としても言及することができる。
【0049】
特定の疾患、状態または症候群を「罹患するかまたは罹患することが疑われる」対象は、適格者(competent individual)が、当該対象が当該疾患、状態または症候群を罹患すると診断または疑うのに十分な数の当該疾患、状態または症候群の危険因子を有するか、あるいは十分な数の当該疾患、状態または症候群の兆候または症状またはこれらの組み合わせを提示する。疾患または状態を罹患するかまたはこれを罹患することが疑われる対象の同定のための方法は、当業者の能力の範囲内である。特定の疾患、状態または症候群を罹患する対象と、これを罹患することが疑われる対象とは、必ずしも2つの区別し得る群ではない。当業者はまた、活性剤を必要とする対象もまた、特定の疾患、状態または症候群を罹患するかまたはこれを罹患することが疑われる対象であってもよいことを、容易に理解するであろう。
【0050】
本明細書において用いられる場合、用語「処置する(treat)」、「処置すること(treating)」、「処置(treatment)」などは、障害および/またはそれに付随する症状(例えば癌または癌に付随する症状)を軽減または緩和することを指す。障害または状態を処置することは、それに付随する障害、状態または症状が完全に取り除かれることを必要としない(ただしこれを妨げない)ことが、理解される。
【0051】
本明細書において提供される範囲は、当該範囲内の値の全てを短縮するものであると理解される。例えば、1〜50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50からなる群からの任意の数、数の組み合わせおよび部分範囲を含むものと理解される。
【0052】
特に記述されるかまたは文脈から明らかでない限り、本明細書において用いられる場合、用語「または(or)」は、包括的(inclusive)であるものと理解される。
特に記述されるかまたは文脈から明らかでない限り、本明細書において用いられる場合、用語「a」、「an」および「the」は、単数または複数であるものと理解される。
特に記述されるかまたは文脈から明らかでない限り、本明細書において用いられる場合、用語「約(about)」は、当該分野における正常な耐容性の範囲内であるもの(例えば、平均値の標準偏差2つ以内)として理解される。「約」は、記述される値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%または0.01%内であるものとして理解されてもよい。文脈から他に明らかでない限り、本明細書においてて供される全ての数値は、約(about)の用語により修飾されていてもよい。
【0053】
本明細書における任意の変数の定義における化学基の列記の記述は、任意の単一の基または列記される基の組み合わせとしてのその変数の定義を含む。本明細書における一変数または側面についての一態様の記述は、任意の単一の態様としての、または任意の他の態様もしくはその一部との組合せにおける、その態様を含む。
本明細書において提供される任意の組成物または方法は、本明細書において提供される他の組成物または方法のうちの任意のものの1または2以上と組み合わせてもよい。
【0054】
1.タンパク質−活性剤コンジュゲートを調製するための方法
本発明のタンパク質−活性剤コンジュゲートおよびそのバリエーションを製造するための方法は、本明細書における開示に基づいて、当業者には容易に明らかとなる。以下に提供されるのは、例示的な方法であり、これらは、説明のために提供され、本発明を限定することを意図されない。
【0055】
態様1
本発明の一態様によるタンパク質−活性剤コンジュゲートを調製するための方法は、以下を含む:(a)イソプレノイドトランスフェラーゼにより認識され得るアミノ酸モチーフを有するタンパク質を発現させること;(b)イソプレノイドトランスフェラーゼを用いて、発現されたタンパク質を、第1の官能基(FG1)を有する少なくとも1つのイソ基質と酵素的に反応させ、それにより官能化されたタンパク質を生成すること;(c)第2の官能基(FG2)を活性剤に付着させ、それにより官能化された活性剤を生成すること;ならびに(d)官能化されたタンパク質を官能化された活性剤と反応させ、それによりタンパク質−活性剤コンジュゲートを生成すること。
【0056】
用語「タンパク質」は、本明細書において用いられる場合、共有結合(例えばペプチド結合)により結びついた、2または3以上の独立して選択される天然または非天然のアミノ酸として理解される。ペプチドは、ペプチド結合により結びついた、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれにより多くの天然または非天然のアミノ酸を含んでもよい。ポリペプチドは、本明細書において記載される場合、全長のタンパク質(例えば完全にプロセッシングされたタンパク質)、ならびにより短いアミノ酸配列(例えば、天然に存在するタンパク質のフラグメントまたは合成ポリペプチドのフラグメント)を含む。
【0057】
タンパク質は、少なくとも1つのC末端および少なくとも1つのN末端を含むオリゴペプチドまたはポリペプチドを指す。この用語は、本明細書において、完全なオリゴペプチドまたはポリペプチド、その修飾された形態、そのフラグメント、およびそのアナログを含むものとして用いられる。例えば、この用語は、オリゴペプチドまたはポリペプチド、あるいは、それにイソプレノイドトランスフェラーゼにより認識され得るアミノ酸配列を付着させることにより修飾されたオリゴペプチドまたはポリペプチドを指してもよい。用語「フラグメント」とは、本明細書において用いられる場合、オリゴペプチドまたはポリペプチドからなるアミノ酸配列の一部を指す。この用語は、本明細書において、オリゴペプチドまたはポリペプチドの基質特異性を有するアミノ酸配列の部分を含むものとして用いられる。用語「アナログ」は、参照オリゴペプチドまたはポリペプチドと、少なくとも70%または75%、少なくとも80%または85%、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%または95%、または少なくとも96、97%、98%または9%の配列同一性を有するオリゴペプチドまたはポリペプチドを指す。
【0058】
用語「タンパク質」とは、本明細書において用いられる場合はまた、抗体、抗原性ポリペプチドのフラグメント、またはそれらのアナログもしくは誘導体を含む。用語「抗体」は、免疫グロブリン分子であって、当該免疫グロブリン分子の可変領域内の少なくとも1つの抗原認識部位を通して、標的(タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、または前述のものの組み合わせ)を認識してこれに特異的に結合するものを意味する。本明細書において用いられる場合、用語「抗体」は、当該抗体が、所望の生物学的活性を示す限り、完全なポリクローナル抗体、完全なモノクローナル抗体、抗体フラグメント(Fab、Fab’、F(ab’)2、FdおよびFvフラグメントなど)、一本鎖Fv(scFv)変異体、多選択性抗体(少なくとも2つの完全な抗体から作製した二重特異性抗体など)、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗体の抗原決定部分を含む融合タンパク質、およびに任意の他の抗原認識部位を含む修飾免疫グロブリン分子を包含する。抗体は、それぞれアルファ、デルタ、イプシロン、ガンマおよびミューとして言及されるその重鎖定常ドメインのアイデンティティーに基づいて、免疫グロブリンの5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM、またはそのサブクラス(アイソタイプ)(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)のいずれのものであってもよい。異なるクラスの免疫グロブリンは、異なる、かつ周知の、サブユニット構造および三次元立体構造を有する。
【0059】
用語「抗体フラグメント」は、完全な抗体の部分を指し、完全な抗体の抗原性を決定する可変領域を指す。抗体フラグメントの例として、限定されないが、Fab、Fab’、F(ab’)2、FdおよびFvフラグメント、直鎖状抗体、一本鎖抗体、および抗体フラグメントから形成された多選択性抗体が挙げられる。
【0060】
「モノクローナル抗体」は、単一の抗原性決定基またはエピトープの高度に特異的な認識および結合に関与する均質な抗体の集合を指す。これは、典型的には異なる抗原性決定基に対し向けられる異なる抗体を含むポリクローナル抗体とは対照的である。用語「モノクローナル抗体」は、完全な全長モノクローナル抗体、ならびに抗体フラグメント(Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd、Fvなど)、一本鎖(scFv)変異体、抗体の部分を含む融合タンパク質、および抗原認識部位を含む任意の他の修飾免疫グロブリン分子の両方を包含する。さらに、「モノクローナル抗体」は、限定されないが、ハイブリドーマ、ファージ選択、組換え発現およびトランスジェニック動物を含む、多数の様式において作製されたかかる抗体を指す。
【0061】
用語「ヒト化抗体」は、非ヒト(例えばマウス)の抗体の形態であって、最小限の非ヒト(例えばマウス)配列を含む特異的な免疫グロブリン鎖、キメラ免疫グロブリンまたはそのフラグメントであるものを指す。典型的には、ヒト化抗体は、相補性決定領域(CDR)からの残基が、所望の特異性、アフィニティーおよび能力を有する非ヒト種(例えばマウス、ラット、ウサギ、ハムスター)のCDRからの残基により置き換えられている、ヒト免疫グロブリンである(Jones et al., 1986, Nature, 321:522-525; Riechmann et al., 1988, Nature, 332:323-327; Verhoeyen et al., 1988, Science, 239:1534-1536)。一部の例において、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)の残基が、所望の特異性、アフィニティーおよび能力を有する非ヒト種からの抗体中の対応する残基で置き換えられる。ヒト化抗体は、抗体の特異性、アフィニティーおよび/または能力を改善および最適化するために、Fvフレームワーク領域中および/または置き換えられた非ヒト残基のうちのさらなる残基の置換により、さらに修飾されていてもよい。一般的に、ヒト化抗体は、非ヒト免疫グロブリンに対応するCDR領域の全てまたは実質的に全てを含む、少なくとも1、および典型的には2または3の、可変ドメインの実質的に全てを含むが、FR領域の全てまたは実質的に全ては、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである。ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域またはドメイン(Fc)(典型的にはヒト免疫グロブリンのもの)の少なくとも一部を含んでもよい。ヒト化抗体を作製するために用いられる方法の例は、米国特許第5,225,539号において記載される。
【0062】
用語「ヒト抗体」は、ヒトにより産生される抗体、または、当該分野において公知の任意の技術を用いて作製されるヒトにより産生される抗体に対応するアミノ酸配列を有する抗体を意味する。このヒト抗体の定義は、完全なまたは全長の抗体、そのフラグメント、ならびに/または、少なくとも1つのヒトの重鎖および/もしくは軽鎖ポリペプチドを含む抗体、例えばマウス軽鎖およびヒト重鎖ポリペプチドを含む抗体などを含む。
【0063】
用語「キメラ抗体」は、免疫グロブリン分子のアミノ酸配列が2または3以上の種に由来する抗体を指す。典型的には、軽鎖および重鎖の両方の可変領域が、所望の特異性、アフィニティーおよび能力を有する哺乳動物の1つの種(例えばマウス、ラット、ウサギなど)に由来する抗体の可変領域に対応し、一方、定常領域は、その種における免疫応答を惹起することを回避するために、別のもの(通常はヒト)に由来する抗体における配列に対して相同である。
【0064】
用語「エピトープ」または「抗原性決定基」は、本明細書において交換可能に用いられ、特定の抗体により認識されて特異的に結合され得る抗原の部分を指す。抗原がポリペプチドである場合、エピトープは、近接したアミノ酸、およびタンパク質の三次折りたたみにより配置された近接していないアミノ酸の両方から形成され得る。近接したアミノ酸から形成されるエピトープは、典型的には、タンパク質変性により保持されるが、一方、三次折りたたみにより形成されるエピトープは、典型的には、タンパク質変性により失われる。エピトープは、典型的には、ユニークな空間的立体構造において、少なくとも3、少なくとも5または少なくとも8〜10個のアミノ酸を含む。
【0065】
抗体がエピトープまたは抗原性分子に「特異的に結合する」とは、抗体が、無関係なタンパク質を含む代替的な物質に対してよりも、より高頻度に、より迅速に、より長い持続期間により、より高いアフィニティーにより、または上の何らかの組み合わせにより、エピトープまたは抗原性分子と反応または会合することを意味する。ある態様において、「特異的に結合する」は、例えば、抗体が、約0.1mM以下(ただしより一般的には約1μMより低い)のK
Dによりタンパク質と結合することを意味する。ある態様において、「特異的に結合する」とは、抗体が、少なくとも約0.1μM以下のK
D、および他の場合には少なくとも約0.01μM以下のK
Dにより、タンパク質に結合することを意味する。異なる種における相同なタンパク質間の配列同一性により、特異的結合は、1つより多くの種における特定のタンパク質を認識する抗体を含むことができる。第1の標的に特異的に結合する抗体または結合部分は、第2の標的に特異的に結合しても結合しなくともよい。このように、「特異的結合」は、排他的結合、すなわち単一の標的への結合を、必ずしも必要としない(しかしこれを含んでもよい)。一般に、必ずしもではないが、結合に対する言及は、特異的結合を意味する。
【0066】
抗体(そのフラグメント/誘導体およびモノクローナル抗体を含む)は、当該分野において公知の方法を用いて得ることができる(McCafferty et al., Nature 348:552-554 (1990);Clackson et al., Nature 352:624-628;Marks et al., J. Mol. Biol. 222:581-597 (1991);Marks et al., Bio/Technology 10:779-783 (1992);Waterhouse et al., Nucleic. Acids Res. 21:2265-2266 (1993);Morimoto et al., Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107-117 (1992);Brennan et al., Science 229:81(1985);Carter et al., Bio/Technology 10:163-167 (1992);Kohler et al., Nature 256:495 (1975);米国特許第4,816,567号);Kilpatrick et al., Hybridoma 16(4):381-389 (1997);Wring et al., J. Pharm. Biomed. Anal. 19(5):695-707 (1999);Bynum et al., Hybridoma 18(5):407-411 (1999), Jakobovits et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA,90:2551 (1993);Jakobovits et al., Nature, 362:255-258 (1993);Bruggemann et al., Year in Immuno. 7:33 (1993);Barbas et al., Proc. Nat. Acad. Sci. USA 91:3809-3813 (1994);Schier et al., Gene 169:147-155 (1995);Yelton et al., J. Immunol. 155:1994-2004 (1995);Jackson et. al., J. Immunol. 154(7):3310-9 (1995);Hawkins et al., J. Mol. Biol. 226:889-896 (1992)、米国特許第5514548号、同第5545806号、同第5569825号、同第5591669号、同第5545807号;WO 97/17852を参照;これらの全ては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0067】
抗体の非限定的な例として、限定されないが、以下が挙げられる:ムロモナブ−CD3、アブシキシマブ、リツキシマブ、ダクリズマブ、パリビズマブ、インフリキシマブ、トラスツズマブ、エタネルセプト、バシリキシマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、アレムツズマブ、イブリツモマブチウキセタン、アダリムマブ、アレファセプト、オマリズマブ、エファリズマブ、トシツモマブ-I131、セツキシマブ、ベバシズマブ、ナタリズマブ、ラニビズマブ、パニツムマブ、エクリズマブ、リロナセプト(Rilonacept)、セルトリズマブペゴール、ロミプロスチム、AMG-531、CNTO-148、CNTO-1275、ABT-874、LEA-29Y、ベリムマブ、TACI-Ig、第2世代抗CD20、ACZ-885、トシリズマブ(アトリズマブ)、メポリズマブ、ペルツズマブ、Humax CD20、CP-675、206(チシリムマブ)、MDX-010、IDEC-114、イノツズマブオゾガマイシン、HuMax EGFR、アフリベルセプト、VEGFトラップ・アイ、HuMax-CD4、Ala-Ala、ChAglyCD3;TRX4、カツマキソマブ、IGN101、MT-201、プレゴボマブ(Pregovomab)、CH-14.18、WX-G250、AMG-162、AAB-001、モタビズマブ;MEDI-524、エファングマブ(efumgumab)、Aurograb(登録商標)、ラキシバクマブ、第3世代抗CD20、LY2469298、ベルツズマブ。
【0068】
タンパク質がモノクローナル抗体である一部の態様において、当該モノクローナル抗体の少なくとも1つの軽鎖、当該モノクローナル抗体の少なくとも1つの重鎖、または両方は、イソプレノイドトランスフェラーゼにより認識され得るアミノ酸モチーフを有するアミノ酸領域を含んでもよい。
態様において、軽鎖または重鎖のC末端が修飾される。また、Fc領域のCH2領域は、グリコシル化されていてもよい。
【0069】
一部の態様において、タンパク質のC末端(そのフラグメント、アナログまたは誘導体)は、イソプレノイドトランスフェラーゼにより認識され得るアミノ酸モチーフに付着していてもよい。他の態様において、C末端は、修飾されていてもよい。修飾は、(i)タンパク質のカルボキシ末端における欠失, (ii)タンパク質のカルボキシ末端におけるオリゴペプチドまたはポリペプチドの付加、または(iii)タンパク質のカルボキシ末端における欠失、およびタンパク質のカルボキシ末端におけるオリゴペプチドまたはポリペプチドの付加であってもよい。関連する態様において、修飾は、アミノ酸モチーフに付着していてもよい。
【0070】
用語「イソプレノイドトランスフェラーゼ」とは、本明細書において用いられる場合、タンパク質のC末端におけるまたはその近傍における特定のアミノ酸モチーフを認識して、その特定のアミノ酸モチーフを有するタンパク質に対してイソプレノイド単位を付加することにより、その特定のアミノ酸モチーフのシステイン残基のチオール部位において選択的なアルキル化を行うことができる酵素を指す。
【0071】
イソプレノイドトランスフェラーゼの例は、ファルネシルトランスフェラーゼ(FTアーゼ)およびゲラニルゲラニルトランスフェラーゼ(GGTアーゼ)を含み、これらは、それぞれ、標的タンパク質のC末端システインへのファルネシルまたはゲラニル−ゲラニル部分の移動を伴う。GGTアーゼは、GGTアーゼIおよびGGTアーゼIIに分類することができる。FTアーゼおよびGGTアーゼIは、CAAXモチーフを認識することができ、GGTアーゼIIは、XXCC、XCXCまたはCXXモチーフを認識することができ、ここで、Cはシステインを表わし、Aは脂肪族アミノ酸を表わし、Xは、イソプレノイドトランスフェラーゼの基質特異性を決定するアミノ酸を表わす(Nature Rev. Cancer 2005, 5(5), pp. 405-12; Nature Chemical Biology, 2010, 17, pp. 498-506; Lane KT, Bees LS, Structural Biology of Protein of Farnesyltransferase and Geranylgeranyltransferase Type I, Journal of Lipid Research, 47, pp. 681-699 (2006); Patrick J. Kasey, Miguel C. Seabra; Protein Prenyltransferases, The Journal of Biological Chemistry, Vol. 271, No. 10, Issue of March 8, pp. 5289-5292 (1996);これらの参考文献の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0072】
本発明において、多様なソース、例えばヒト、動物、植物、細菌、ウイルスなどからのイソプレノイドトランスフェラーゼを用いることができる。一部の態様において、 天然に存在するイソプレノイドトランスフェラーゼを用いてもよい。一部の他の態様において、天然にまたは人工的に修飾されたイソプレノイドトランスフェラーゼを用いてもよい。例えば、天然に変更された少なくとも1つのアミノ酸配列(翻訳後修飾を含む)を有するイソプレノイドトランスフェラーゼ、天然に存在するイソプレノイドトランスフェラーゼの天然にまたは人工的に短縮された形態、ならびに、(His)タグ、GST、GFP、MBP、CBP、
Iospeptag、BCCP、Mycタグ、カルモジュリンタグ、FLAGタグ、HAタグ、マルトース結合タンパク質タグ、Nusタグ、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ−タグ、緑色蛍光タンパク質−タグ、チオレドキシンタグ、S−タグ、Softag 1、Softag 3、Strep−タグ、SBP−タグ、Tyタグなどの少なくとも1つにより修飾されているイソプレノイドトランスフェラーゼである。
【0073】
イソプレノイドトランスフェラーゼは、基質と同じようにイソ基質を認識することができる。イソ基質とは、基質のアナログであって、その基質において修飾を有するものを指す。イソプレノイドトランスフェラーゼは、タンパク質のC末端において特定のアミノ酸モチーフ(例えば、CAAXモチーフ)をアルキル化する(Benjamin P. Duckworth et al, ChemBioChem 2007, 8, 98; Uyen T. T. Nguyen et al, ChemBioChem 2007, 8, 408; Guillermo R. Labadie et al, J. Org. Chem. 2007, 72(24), 9291; James W. Wollack et al, ChemBioChem 2009, 10, 2934;これらの内容は、参照により本明細書に組み込まれる)。イソプレノイドトランスフェラーゼおよびイソ基質を用いて、C末端システインにおけるアルキル化を通して、官能化されたタンパク質を生成することができる。
【0074】
例えば、C末端CAAXモチーフのシステイン残基は、イソプレノイドトランスフェラーゼを用いてイソ基質と反応させることができる。ある場合において、AAXを、次いで、プロテアーゼにより取り除くことができる。結果として生じるシステインを、次いで、カルボキシ末端において酵素によりメチル化することができる(Iran M. Bell, J. Med. Chem. 2004, 47(8), 1869;これは参照により本明細書に組み込まれる)。
【0075】
一部のタンパク質の場合、翻訳後修飾により、ジスルフィド結合形成を通してのシステイン付加およびグルタチオン付加が起こり得る。かかるジスルフィド結合は、しかし、イソプレノイドトランスフェラーゼによりかかるアルキル化が起こる場合は減少し得る。
【0076】
本発明のタンパク質は、当該分野において周知の任意の分子生物学または細胞生物学の方法を用いて製造することができる。例えば、一過性形質転換方法を用いてもよい。標準的なPCR技術を用いて、イソプレノイドトランスフェラーゼにより認識され得る特定のアミノ酸モチーフをコードする遺伝子配列を、そのC末端において特定のアミノ酸モチーフを有するタンパク質(そのフラグメントまたはアナログ)を発現させるために、既知のプラスミドベクター中に挿入してもよい。このようにして、少なくとも1つのイソプレノイドトランスフェラーゼにより認識され得るアミノ酸モチーフを有するタンパク質を発現させることができる。発現されたタンパク質を、次いで、イソプレノイドトランスフェラーゼを用いて、イソプレノイドトランスフェラーゼのイソ基質と酵素的に反応させて、官能化されたタンパク質を生成することができる。イソ基質は、官能基を含む。
【0077】
イソプレノイドトランスフェラーゼにより認識され得るアミノ酸モチーフを有するタンパク質を発現させた後、これを、イソプレノイドトランスフェラーゼおよび第1の官能基(FG1)を有する少なくとも1つのイソ基質を用いて酵素的に反応させて、それにより官能化されたタンパク質を生成してもよい。
【0078】
用語「官能基」とは、本明細書において用いられる場合、例えば以下をもたらし得る基を指す:1,3−双極性環化付加反応、ヘテロ−ディールス(hetero-diels)反応、求核置換反応(例えば、エポキシド、アジリジン、環状硫酸およびアズイリジウムなどの複素環式求電子剤の開環反応)、非アルドール型カルボニル反応(例えば、オキシムエーテル、尿素、チオ尿素、芳香族複素環、ヒドラゾンおよびアミドの形成)、炭素−炭素多重結合の付加、酸化反応(例えば、エポキシ化、アジリジン化およびスルフェニルハライド付加)、ならびにクリック・ケミストリー。官能基として、限定されないが、蛍光タグ、トリアゾール、マレイミドおよび放射性アイソトープを挙げることができる(Angew. Chem. Int. Ed. 2001, 40, 2004-2021; Drug Discovery Today, 2003, 8(24), 1128-1137; Chem. Rev. 2008, 108, 2952-3015;これらの内容は、参照により本明細書に組み込まれる)。態様において、官能基は、アセチレン基およびアジド基であってよい。
【0079】
官能基は、少なくとも1つのリンカーを介して、タンパク質または活性剤に付着していてもよい。一部の態様において、リンカーは直鎖状リンカーである。一部の他の態様において、リンカーは分枝状リンカーである。リンカーが分枝状リンカーである場合、活性剤は、その分枝の全てに付着していもよい。各分枝は、同じまたは異なる活性剤を有することができる。一部の態様において、リンカーは切断可能であってよい。一部の他の態様において、それは切断不能であってもよい。
【0080】
一部の態様において、第2の官能基(FG2)を活性剤に付着させることにより、官能化された活性剤を製造する。例示的な活性剤として、限定されないが、薬物、毒素、アフィニティーリガンド、検出プローブまたはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0081】
例示的な薬物として、限定されないが、以下が挙げられる:エルロチニブ(TARCEVA;Genentech/OSI Pharm.)、ボルテゾミブ(VELCADE;MilleniumPharm.)、フルベストラント(FASLODEX;AstraZeneca)、スーテント(SU11248;Pfizer)、レトロゾール(FEMARA;Novartis)、メシル酸イマチニブ(GLEEVEC;Novartis)、PTK787/ZK 222584(Novartis)、オキサリプラチン(Eloxatin;Sanofi)、5-フルオロウラシル(5-FU、ロイコボリン、ラパマイシン(Sirolimus、RAPAMUNE;Wyeth)、ラパチニブ(TYKERB、GSK572016;GlaxoSmithKline)、ロナファーニブ(SCH 66336)、ソラフェニブ(BAY43-9006;Bayer Labs.)、ゲフィチニブ(IRESSA;Astrazeneca)、AG1478、AG1571(SU 5271;Sugen)、チオテパおよびCYTOXAN(登録商標)シクロホスファミドなどのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファンなどのアルキルスルホナート;ベンゾドーパ、カルボクオン、メツレドーパおよびウレドーパなどのアジリジン;エチレンイミン、ならびにアルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスファミドおよびトリメチロールメラミンを含む
メチルアミルアミン;アセトゲニン(特に、ブラタシンおよびブラタシノン);カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシンおよびビゼレシン合成類似体を含む);クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体であるKW-2189およびCB1-TM1を含む);エレウテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチイン(sarcodictyin);スポンギスタチン;クロラムブシル、クロルナファジン、シクロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミンオキシド、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、およびラニムスチンなどのニトロソウレア;エンジイン抗生物質などの抗生物質(例えばカリチュアマイシン、特にカリチュアマイシンガンマ1IおよびカリチュアマイシンオメガI1(例えばAgnew, Chem Intl ed Engl., 33: 183-186(1994)を参照)、ならびにダイネマイシンAを含むダイネマイシン;
【0082】
クロドロナートなどのビホスホナート;エスペラミシン、ネオカルチノスタチンクロモフォアおよび関連する色素タンパク質エンジイン抗生物質クロモフォア、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ADRLIMYCIN(登録商標)ドキソルビシン(モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシン、リポソームドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチンおよびゾルビシン;5−フルオロウラシル(5−FU)などの抗代謝薬;デノプテリン、メトレキサート、プテロプテリン、トリメトトレキサートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリンおよびチオグアニンなどのプリンアナログ;アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビンおよびフロクスウリジンなどのピリミジンアナログ;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタンおよびテストラクトンなどのアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタンおよびトリロスタンなどの抗副腎剤;フォリン酸などの葉酸補充剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル(bestrabucil);ビスアントレン;エダトレキサート;デフォファミン(defofamine);デメコルチン;ジアジクオン(diaziquone);エルフォルニチン;酢酸エリプチニウム(elliptinium acetate);エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;マイタンシンおよびアンサミトシンなどのマイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール(mopidanmol);ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラルビシン;ロソキサントロン;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products, Eugene, Oreg.);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2”−トリクロロトリエチルアミン;トリコテシン(特に、T−2毒素、ベラクリンA、ロリジンAおよびアンギジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えばTAXOL(登録商標)パクリタキセル(Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, N. J.)ABRAXANE
TM(クレモフォアフリーのアルブミン処理されたパクリタキセルのナノ粒子形成)(American Pharmaceutical Partners, Schaumber, I11.)、およびTAXOTERE(登録商標)ドセタキセル(Rhone-Poulenc Rorer, Antony, France);クロランブシル;ゲムシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;シスプラチン、カルボプラチンなどの白金アナログ;ビンブラスチン;白金;エトポシド、イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;NAVELBINE(登録商標)ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DFMO);レチノイン酸などのレチノイド;カペシタビン;およびこれらの薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、酸または誘導体。
【0083】
さらなる薬物として、限定されないが、以下が挙げられる:(i)腫瘍に対するホルモンの作用を調節または阻害するように働く抗ホルモン剤、例えばタモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン(droloxifene)、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストンおよびFAREATON(登録商標)トレミフェンを含む、抗エストロゲン剤および選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)など;(ii)副腎におけるエストロゲンの産生を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば、4(5)−イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標) 酢酸メゲストロール、AROMASIN(登録商標)エキセメスタン、FEMARA(登録商標)レトロゾールおよびARIMIDEX(登録商標)アナストロゾールなど;(iii)フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、およびゴセレリンなどの抗アンドロゲン剤;およびトロキサシタビン(1,3−ジオキソランヌクレオシドシトシンアナログ);(iv)アロマターゼ阻害剤;(v)タンパク質キナーゼ阻害剤;(vi)脂質キナーゼ阻害剤;(vii)アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、異常な細胞増殖に関与すると考えられるシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害するもの、例えばPKC-アルファ、Raf、H-Rasなど;(viii)リボザイム、例えば、ANGIOZYMEリボザイムおよびHER2発現阻害剤などのVEGF阻害剤;(ix)遺伝子治療ワクチンなどのワクチン;ALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTINワクチンおよびVAXIDワクチン;PROLEUKIN(登録商標)rlL-2;LURTOTECAN(登録商標)トポイソメラーゼ1阻害剤;ABARELIX(登録商標)rmRH;(x)ベバシズマブ(AVASTIN、Genentech)などの抗血管新生剤;および(xi)その薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、酸または誘導体。
【0084】
一部の態様において、 サイトカインは、薬物として用いることができる。サイトカインは、多数の細胞により分泌される低分子の細胞シグナル伝達タンパク質分子であって、細胞間の連絡において広範に用いられるカテゴリーのシグナル伝達分子である。それらは、モノカイン、リンフォカイン、伝統的なポリペプチドホルモンなどを含む。サイトカインの例として、限定されないが、以下が挙げられる:ヒト成長ホルモン、N−メチオニルヒト成長ホルモンおよびウシ成長ホルモンなどの成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;リラキシン;プロリラキシン;卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)および黄体ホルモン(LH)などの糖タンパク質ホルモン;肝増殖因子;線維芽細胞増殖因子;プロラクチン;胎盤性ラクトゲン;腫瘍壊死因子−αおよび-β;ミュラー管抑制因子;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮増殖因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);NGF−βなどの神経増殖因子;血小板増殖因子;TGF−αおよびTGF−βなどのトランスフォーミング増殖因子(TGF);インスリン様増殖因子IおよびII;エリスロポエチン(EPO);骨誘導因子;インターフェロン−α、−β、および−γなどのインターフェロン;マクロファージ−CSF(M-CSF)、顆粒球−マクロファージ−CSF(GM-CSF)および顆粒球−CSF(G-CSF)などのコロニー刺激因子(CSF);IL-1、IL-1α、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12などのインターロイキン(IL);TNF−αおよびTNF−βなどの腫瘍壊死因子;ならびにLIFおよびkitリガンド(KL)を含む他のポリペプチド因子。本明細書において用いられる場合、用語「サイトカイン」はまた、天然のソースからの、または組換え細胞培養物からのタンパク質、およびネイティブな配列のサイトカインの生物学的に活性な等価物を含む。
【0085】
用語「毒素」は、生細胞または生体内において産生される毒性の物質を指す。毒素は、身体組織と接触するかまたはこれにより吸収される場合に、酵素または細胞受容体などの生物学的高分子と相互作用して疾患を引き起こすことができる、低分子、ペプチドまたはタンパク質であってよい。毒素は、植物毒素および動物毒素を含む。動物毒素の例として、限定されないが、ジフテリア抗毒素、ボツリヌス毒素、破傷風抗毒素、赤痢毒素、コレラ毒素、テトロドトキシン、ブレベトキシン、シガトキシンが挙げられる。植物毒素の例として、限定されないが、リシンおよびAM毒素が挙げられる。
【0086】
低分子毒素の例として、限定されないが、以下が挙げられる:アウリスタチン、ゲルダナマイシン(Kerr et al., 1997, Bioconjugate Chem. 8(6):781-784)、マンタンシノイド(EP 1391213、ACR 2008, 41, 98-107)、カリケアマイシン(US 2009105461、Cancer Res. 1993, 53, 3336-3342)、ダウノマイシン、ドキソルビシン、メトトレキサート、ビンデシン、SG2285(Cancer Res. 2010, 70(17), 6849-6858)、ドラスタチン、ドラスタチン類似体のアウリスタチン(US563548603)、クリプトフィシン、カンプトテシン、リゾキシン誘導体、CC-1065類似体または誘導体、デュオカルマイシン、エンジイン抗生物質、エスペラマイシン、エポチロンおよびトキソイド。毒素は、チューブリン結合、DNA結合、トポイソメラーゼ抑制などにより、細胞傷害性および細胞増殖阻害活性を示し得る。
【0087】
用語「リガンド」は、標的生体分子と複合体を形成することができる分子を指す。リガンドの一例は、標的タンパク質の予め決定された位置に付着してシグナルを伝達する分子である。それは、基質、阻害剤、刺激因子、神経伝達物質または放射性同位体であってもよい。
【0088】
「検出可能な部分」または「標識」は、分光学的に、光化学的に、生化学的に、免疫化学的に、放射活性により、または化学的手段により検出可能な組成物を指す。例えば、有用な標識として、
32P、
35S、蛍光色素、高電子密度試薬、酵素(例えばELISAにおいて一般的に用いられるように)、ビオチン−ストレプトアビジン、ジゴキシゲニン、ハプテン、および抗血清もしくはモノクローナル抗体が利用可能なタンパク質、または標的に対して相補的な配列を有する核酸分子が挙げられる。検出可能な部分はしばしば、試料中の結合した検出可能な部分の量を定量するために用いることができる、放射活性、発色または蛍光シグナルなどの測定可能なシグナルを生成する。シグナルの定量は、例えば、シンチレーションカウント、デンシトメトリー、フローサイトメトリー、ELISA、または、完全なもしくはその後に消化されたペプチドの質量分析による直接分析(1または2以上のペプチドを評価することができる)により達成される。当業者は、関心のある化合物を標識するための技術、および検出のための手段に精通している。かかる技術および方法は、慣用的であり、当該分野において周知である。
【0089】
用語「プローブ」は、本明細書において用いられる場合、以下のことができる材料を指す:(i)検出可能なシグナルを提供すること、(ii)第1のプローブまたは第2のプローブと相互作用して、第1または第2のプローブにより提供される検出可能なシグナルを改変すること(蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)など)、(iii)抗原もしくはリガンドとの相互作用を安定化させるか、または結合アフィニティーを増大させること、(iv)電荷、疎水性などの物理学的パラメーターにより、電気泳動移動度または細胞侵入活性に影響を及ぼすこと、あるいは、(v)リガンドアフィニティー、抗原−抗体結合、またはイオン性複合体形成を制御すること。
【0090】
官能化されたタンパク質および官能化された活性剤を生成した後で、それらを互いに反応させ、それによりタンパク質−活性剤コンジュゲートを生成する。態様において、官能化されたタンパク質と官能化された活性剤との間の反応は、クリックケミストリー反応であっても、ヒドラゾンおよび/またはオキシム形成を介するものであってもよい。態様において、FG1はアジド基であり、FG2はアセチレン基であるか、またはその反対である。他の態様において、FG1はアルデヒドまたはケトン基であってもよく、FG2はヒドラジンまたはヒドロキシルアミンであるか、またはその反対である。
【0091】
クリックケミストリー反応は、穏和な条件において行い、このことにより、タンパク質を取り扱うことを容易にすることができる。クリックケミストリー反応は、非常に高い反応特異性を示す。したがって、タンパク質が他の官能基(例えば、側鎖の残基またはC末端もしくはN末端において)を有する場合であってすら、これらの官能基は、クリックケミストリー反応により影響を受けない。例えば、タンパク質のアセチレン基とアジド基との間のクリックケミストリー反応は、当該タンパク質の他の官能基がクリックケミストリーにより影響を受けることなく行うことができる。さらに、クリックケミストリー反応は、関与するリガンドの種類により影響を受けることなく特異的に行うことができる。一部の場合において、リガンドは、全体的な反応効率を改善するように選択してもよい。例えば、アジド−アセチレンクリックケミストリーは、高い収率においてトリアゾールを生成することができる(Rhiannon K. Iha et al, Chem. Rev. 2009, 109, 5620; Morten Meldal and Christian Wenzel Tornoe, Chem Rev., 2008, 108, 2952; Hartmuth C. Kolb et al, Angew. Chemie Int. Ed. Engl., 2001, 40, 2004;これらの全ては、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0092】
アジドおよびアセチレン基は、天然に存在するタンパク質のアミノ酸配列中に存在しない官能基である。これらの官能基を用いてコンジュゲーション反応を行う場合、側鎖残基のいずれも、およびN末端またはC末端の官能基のいずれも、クリックケミストリー反応により影響を受けない。したがって、標的位置において活性剤がコンジュゲートしているタンパク質−活性剤コンジュゲートを生成することができる。
【0093】
タンパク質が抗体である場合、抗体の全てまたは一部は、イソプレノイドトランスフェラーゼによるアルキル化の間に一本鎖に減少していてもよい。一本鎖は、クリックケミストリー反応において用いられる酸化剤により、酸化されてH2L2形態の抗体を形成する場合がある。
抗体は4本の鎖(2H+2L)を有するので、アルキル化は、抗体1つごとに1〜4か所の位置において行い得る。複数の活性剤がリンカーに付着し得るので、活性剤の数は4個より多くなってもよい。
【0094】
イソプレノイドトランスフェラーゼにより認識され得るアミノ酸モチーフがCAAXである特定の態様において、方法はさらに、AAXを取り除くことを含んでもよい。他の態様において、方法はさらに、AAXを取り除いた後でC末端にメチル基を付加することを含んでもよい(Journal of Lipid Research, 2006, 47, 681-699;これは参照により本明細書に組み込まれる)。
【0095】
態様2
別の態様によるタンパク質−活性剤コンジュゲートを調製するための方法は、以下を含む:(a)イソプレノイドトランスフェラーゼにより認識され得るアミノ酸モチーフを有するタンパク質を発現させること;(b)イソプレノイドトランスフェラーゼのイソ基質を活性剤に付着させること;ならびに(c)イソプレノイドトランスフェラーゼを用いて、発現されたタンパク質をイソ基質に付着した活性剤と酵素的に反応させること。
【0096】
この態様において、イソプレノイドトランスフェラーゼにより認識され得るアミノ酸モチーフを有するタンパク質を発現させた後、タンパク質を、イソプレノイドトランスフェラーゼのイソ基質に付着した活性剤と反応させる。この場合、チオール−マレイミドコンジュゲーションが起こり得る。しかし、チオール−マレイミドコンジュゲーションが起きたとしても、活性剤は、本発明によってのみ、標的とされる位置においてコンジュゲートされる。したがって、不均質な混合物が精製されるという先行技術に付随する問題は回避される。
【0097】
2.タンパク質−活性剤コンジュゲート
別の側面において、本発明は、イソプレノイドトランスフェラーゼにより認識され得るアミノ酸モチーフを有するタンパク質を含むタンパク質−活性剤コンジュゲートを提供し、ここで、活性剤は、前記アミノ酸モチーフにおいてタンパク質に共有的に付着する。
当業者は、関心のある標的(例えば対象における標的細胞)に選択的に結合するタンパク質を容易に選択することができる。例示的なタンパク質として、限定されないが、関心のある標的に特異的に結合する抗体または抗原性のフラグメントが挙げられる。
【0098】
CAAXタンパク質(CAAX抗体)
本発明の方法により調製されるタンパク質−活性剤コンジュゲートの例は、以下の式(I)により表わされ、ここで、タンパク質は、抗体(そのフラグメントまたはアナログ)(Ab)であり、活性剤は薬物(D)であり、イソプレノイドトランスフェラーゼにより認識され得るアミノ酸モチーフはCAAXである。
【化6】
【0099】
Ab(M)は、抗体またはそのフラグメントを表わし、これは修飾を含んでもよい。修飾は、以下であってよい:(i)抗体またはそのフラグメントのカルボキシ末端の欠失;(i)抗体またはそのフラグメントのカルボキシ末端におけるオリゴペプチドまたはポリペプチドの付加;ならびに(iii)抗体またはそのフラグメントのカルボキシ末端の欠失、および抗体またはそのフラグメントのカルボキシ末端におけるオリゴペプチドまたはポリペプチドの付加。Qは、リンカーを表わす。リンカーは、直鎖状リンカーまたは分枝状リンカーであってよい。一態様において、リンカーは、第1の官能基(FG1)を含んでもよい。n
1、n
2およびmは、抗体、アミノ酸モチーフ、リンカー、活性剤などに依存して適切に決定することができる。 好ましくは、n
1およびn
2は、独立して1〜4の整数であり、mは1〜16の整数である。
【0100】
一部の態様において、リンカーは、以下の式(II):
【化7】
により表わすことができる。
P
1およびYは、独立して、第1の官能基(FG1)を含む基である。FG1は、アセチレン、アジド、アルデヒド、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、ケトン、ニトロベンゾフラン(NBD)、ダンシル、フルオレセイン、ビオチンおよびローダミンからなる群より選択することができる。L
1は(CH
2)
rX
q(CH
2)
pであり、ここで、Xは、酸素、硫黄、−NR
1−、−C(O)NR
1−、−NR
1C(O)−、−NR
1SO
2−、−SO
2NR
1−、−(CH=CH)−またはアセチレンであり;R
1は、水素、C
1−6アルキル、C
1−6アルキルアリールまたはC
1−6アルキルヘテロアリールであり;rおよびpは独立して0〜6の整数であり;qは0〜1の整数であり;ならびに、nは1〜4の整数である。
【0101】
一部のある態様において、薬物(D)は、FG1と反応することができる第2の官能基(FG2)を含む基を介して、リンカーに付着することができる。FG2は、アセチレン、ヒドロキシルアミン、アジド、アルデヒド、ヒドラジン、ケトンおよびアミンからなる群より選択することができる。
一部のある態様において、薬物(D)は、−(CH
2)
rX
q(CH
2)
p−または−[ZCH
2CH
2O(CH
2CH
2O)
wCH
2CH
2Z]−を介して、FG2を含む基に付着することができ、ここで、Xは、酸素、硫黄、−NR
1−、−C(O)NR
1−、−NR
1C(O)−、−NR
1SO
2−または−SO
2NR
1−であり;Zは、酸素、硫黄またはNR
1であり;R
1は、水素、C
1−6アルキル、C
1−6アルキルアリールまたはC
1−6アルキルヘテロアリールであり;rおよびpは独立して0〜6の整数であり;qは0〜1の整数であり;ならびに、wは0〜6の整数である。
【0102】
一部のある態様において、(i)カテプシンBにより切断され得るペプチド、または(ii)β−グルクロニダーゼにより切断され得るグルクロニドが、−(CH
2)
rX
q(CH
2)
p−または−[ZCH
2CH
2O(CH
2CH
2O)
wCH
2CH
2Z]−に付着していてもよい。
一部のある態様において、非自壊性(non self-immolative)の基または自壊性(self-immolative)の基が、(i)カテプシンBにより切断され得るペプチドまたは(ii)β−グルクロニダーゼにより切断され得るグルクロニドに付着していてもよい。自壊性の基の非限定的な例は、アミノフェニルメチルオキシカルボニルおよびヒドロキシフェニルメチルオキシカルボニルであってよい。
【0103】
一部のある態様において、カテプシンBにより切断され得るペプチドは、以下の式(III):
【化8】
により表わされる。
【0104】
一部のある態様において、β−グルクロニダーゼにより切断され得るグルクロニドは、以下の式(IV):
【化9】
により表わされる。
【0105】
3.組成物
またさらなる側面において、本発明は、本明細書において記載されるタンパク質−活性剤コンジュゲートを含む組成物を提供する。態様において、組成物は、対象における標的細胞に活性剤を送達するために用いられる。態様において、組成物は、それを必要とする(すなわち、活性剤を必要とする)対象を処置するために用いられる。
かかる組成物の調製は、当業者には公知であり、かかる組成物は、in vivoで対象に送達することができる。
【0106】
側面において、組成物は、注射可能な形態において、溶液または懸濁液のいずれかとして調製される。注射のための固体の形態もまた、乳液として、またはリポソーム中に封入されたポリペプチドにより調製される。タンパク質−活性剤コンジュゲートは、薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせてもよく、これは、キャリアを投与される対象にとって有害な抗体の産生を誘導しない任意のキャリアを含む。好適なキャリアは、典型的には、タンパク質、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸、アミノ酸コポリマー、脂質凝集物などの、ゆっくりと代謝される大きな高分子を含む。かかるキャリアは、当業者には周知である。
【0107】
本発明の組成物はまた、水、食塩水、グリセロール、エタノールなどの希釈剤を含んでもよい。湿潤剤または乳化剤、pH緩衝化物質などの補助的な物質もまた存在してもよい。タンパク質は、中性または塩の形態として、ワクチンへと処方してもよい。組成物は、非経口的に、注射により投与することができる。かかる注射は、皮下または筋肉内のいずれかであってもよい。さらなる処方は、坐剤または経口などによる、他の投与の形態のために好適である。経口組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセルまたは持続放出処方物として投与することができる。
【0108】
組成物は、用量処方物に適合する様式において投与する。組成物は、治療有効量のタンパク質−活性剤コンジュゲートを含む。治療有効量により、疾患または障害の処置または予防のために有効である、単一の用量、または複数用量のスケジュールにおいて投与される組成物が意味される。投与される用量は、処置されるべき対象、当該対象の健康および身体的状態、所望される保護の程度、および他の関連する要因に依存して変化するであろう。必要とされる活性成分の正確な量は、医師の判断に依存するであろう。
【0109】
4.タンパク質−活性剤コンジュゲートおよび組成物を用いる方法
さらなる側面において、本発明は、対象における標的細胞に活性剤を送達するための方法を提供し、方法は、タンパク質−活性剤コンジュゲートまたは組成物を投与することを含む。またさらなる側面において、本発明は、それを必要とする対象(すなわち活性剤を必要とする対象)を処置する方法を提供し、方法は、タンパク質−活性剤コンジュゲートまたは該コンジュゲートを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む。
【0110】
態様において、治療有効量におけるタンパク質−活性剤コンジュゲート(例えば、抗体−薬物コンジュゲート)または該コンジュゲートを含む組成物を、癌または腫瘍を罹患する患者に、癌または腫瘍を処置するために投与することができる。
態様において、治療有効量におけるタンパク質−活性剤コンジュゲート(例えば、抗体−薬物コンジュゲート)または該コンジュゲートを含む組成物を、病原体(例えばウイルス、細菌、真菌、寄生虫など)による感染を処置または予防するために、患者に投与することができる。かかる方法は、哺乳動物に、疾患または障害が予防または処置されるような状況下で、疾患または障害またはそれらの症状を処置するために十分な治療的または予防的量のコンジュゲートを投与するステップを含む。
【0111】
一部の態様において、タンパク質−活性剤コンジュゲートまたは組成物は、その薬学的に受容可能な塩または溶媒和物の形態において投与することができる。一部の態様において、それは、薬学的に受容可能なキャリア、薬学的に受容可能な賦形剤および/または薬学的に受容可能な添加物と共に投与してもよい。薬学的有効量および薬学的に受容可能な塩または溶媒和物の型、賦形剤および添加物は、標準的な方法を用いて決定することができる(Remington's Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton、PA、第18版、1990年)。
【0112】
癌または腫瘍に関しての用語「治療有効量」は、癌細胞の数を減少させること;癌細胞のサイズを低下させること;癌細胞が周辺の系に侵入することを禁止すること、もしくは侵入を低減すること;癌細胞が他の系へと拡散することを禁止すること、もしくは拡散を低減すること;癌細胞が増殖することを禁止すること;および/または癌に関連する少なくとも1つの症状を緩和することができる量を意味する。癌の処置において、薬物の有効性は、腫瘍進行までの時間(TTP)および/または応答率(RR)により評価することができる。
病原体による感染に関しての用語「治療有効量」は、感染に関連する症状を予防、処置または低減することができる量を意味する。
【0113】
用語「薬学的に受容可能な塩」とは、本明細書において用いられる場合、有機塩および無機塩を含む。その例として、限定されないが、以下が挙げられる:塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸、サッカリン酸塩、蟻酸、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホナート、エタンスルホナート、ベンゼンスルホナート、p−トルエンスルホナート、およびパモ酸塩(すなわち、1,1’−メチレンビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトアート))。薬学的に受容可能なは、別の分子(例えば、酢酸イオン、コハク酸イオンおよび他の対イオンなど)を含んでもよい。それはまた、少なくとも1つの荷電した原子を含んでもよい。それはまた、少なくとも1つの対イオンを含んでもよい。
【0114】
本発明による化合物の薬学的に受容可能な溶媒和物に対して用いることができる例示的な溶媒和物として、限定されないが、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸およびエタノールアミンが挙げられる。
【0115】
例
以下の例は、本発明を説明するものであり、これを限定することは意図されない。
例1:Ab(M)−CAAXの調製
1−1.ハーセプチン−CAAXの構築、発現および精製
標準的な組換えDNA技術およびPCRクローニングプロトコルを用いて、pNATABH::ハーセプチンHCプラスミドまたはpNATABL::ハーセプチンLCプラスミドにより、修飾ハーセプチン抗体を作製した。組換えプラスミドを、HEK293E細胞株において一過性形質転換により発現させた。タンパク質Aカラムクロマトグラフィーにより抗体を分離および精製した。
【0116】
ハーセプチン−HC−GCVIMおよびハーセプチン−LC−GCVIMの構築
標準的なPCRクローニングプロトコルを用いて、修飾ハーセプチン抗体を作製した。一般に、CAAXモチーフをコードするDNA配列(例えば、GCVIM、G
5CVIM、G
7CVIM、G
10CVIMまたはG
10CVLL)を、pNATABH::ハーセプチンHCまたはpNATABH::ハーセプチンLCプラスミドにおいてコードされる重鎖または軽鎖のC末端に挿入することにより、ハーセプチン−HC−GCVIMおよびハーセプチン−LC−GCVIMプラスミドを構築した。
【0117】
例えば、SacII認識配列は、ヒトIgG1−Fc領域のC末端におけるアミノ酸172において存在する。したがって、フォワードプライマーを、Fc領域におけるSacII部位に結合するように設計した。挿入されるべきDNA配列(例えば、GCVIMの5マーの配列をコードする15マー)を、Fc−C末端に特異的なリバースプライマーに付加した。フォワードおよびリバースプライマーを用いてPCR生成物を増幅し、生じた生成物を、PCR精製キットを用いて精製した。リバースプライマーはXhoI部位を含むので、PCR生成物を、SacIIおよびXhoIで消化した。同様に、pNATABH::ハーセプチンHCプラスミドを、SacIIおよびXhoIで消化した。消化された骨格を、ゲル精製キットを用いて精製し、消化されたPCR生成物とライゲーションした。ライゲーションは、ベクターとインサートとの比を適切に調節することにより行い、ライゲーション生成物は、スクリーニングのためにコンピテント細菌細胞中にトランスフォームした。配列決定されたクローンから、ハーセプチン−HC−GCVIMおよびハーセプチン−LC−GCVIMプラスミドを調製した。
生じたプラスミドからのアミノ酸配列を、
図1〜10において示す。以下のセクション1〜4および1〜7は、コンストラクトの各々の詳細な説明を提供する。
【0118】
ハーセプチン−HC−GCVIMおよびハーセプチン−LC−GCVIMの発現および精製
HEK293E細胞を、150mmのプレート(# 430599、Corning USA)上でDMEM/10%FBS培地中で70〜80%コンフルーエンシーまで培養した。13μgのDNAおよび26μgのPEI(#23966、Polysciences、USA)を1:2の比において混合し、RTで20分間インキュベートし、次いで、HEK193E細胞に添加した。16〜20時間後に培地を無血清培地(No FBS DMEM(#SH30243.01、Hyclone Thermo.,USA))により交換し、2日または3日毎に上清を収集した。
【0119】
上清を0.22umのトップフィルター(#PR02890、Millipore、USA)で濾過し、次いで、5mLカラム中に充填された500μlのタンパク質Aビーズ(#17-1279-03、GE healthcare Sweden)に結合させた。蠕動ポンプを用いて、0.9mL/分において4℃で一晩の結合を行った。カラムを、100mL以上のPBS(#70011、Gibco、USA)で洗浄した。結合したタンパク質を、次いで、0.1Mのグリシン−HCl(#G7126、Sigma、USA)で6画分中に溶離させ、1MのTris(#T-1503、Sigma、USA)(pH9.0)で中和した。タンパク質を定量した。タンパク質を含む2または3画分を収集し、Amicon Ultraフィルターユニット(#UFC805024、Millipore、USA)で濃縮した。バッファーを、1×PBS(#70011、Gibco、USA)で約10回交換した。ウェスタンブロットにより、タンパク質生成物がハーセプチン−HC−GCVIMまたはハーセプチン−LC−GCVIMであることを確認した。ハーセプチンを含むタンパク質のバンドを同定するために、ヤギ抗ヒトIgG FcにコンジュゲートされたImmunoPureペルオキシダーゼ(#31413、Pierce、USA)を用いた。精製の後で、1Lの細胞培養培地から1〜2mgのハーセプチン−HC−CGVIMまたはハーセプチン−LC−GCVIMが得られた。
【0120】
ハーセプチン−HC−CGVIMおよびハーセプチン−LC−GCVIM生成物をまた、Agilentバイオアナライザーにより分析した。簡単に述べると、8μlの精製されたタンパク質試料(約1mg/ml)を、Agilent Protein 230 Kit(5067-1515 Agilent Technologies, USA)を用いて分析した。タンパク質試料を2画分に分離した(各4μl)。2μlの非還元性バッファーまたは還元性バッファーを各試料に添加した。試料を95〜100℃で5分間加熱し、4℃まで氷冷した。スピンダウンした後、84μlの脱イオン化水を試料およびラダーに添加し、ボルテックスした。その後、試料をロードし、製造者の説明書に従ってキットで分析した。
【0121】
1−2.cMET−CAAXの構築、発現および精製
修飾された抗cMET−CAAX抗体もまた、上記の方法により調製した。例えば、標準的な組換えDNA技術およびPCRクローニングプロトコルを用いて、pPMC-C1A5プラスミドにより、修飾された抗cMET−CAAX抗体を作製した。組換えプラスミドを、HEK293T細胞株において一過性形質転換により発現させた。タンパク質Aカラムクロマトグラフィーにより抗体を分離および精製した。
【0122】
1−3.ハーセプチン−HC−G
nCVIM
ハーセプチン−HC−GCVIM、ハーセプチン−HC−G
5CVIM、ハーセプチン−HC−G
7CVIMおよびハーセプチン−HC−G
10CVIM抗体を調製した。抗体はそれぞれ、重鎖のC末端において、5マー(GCVIM)、9マー(G
5CVIM)、11マー(G
7CVIM)、または14マー(G
10CVIM)の配列を有する(
図1、3、5および7)。
【0123】
1−4.ハーセプチン−LC−G
nCVIM
ハーセプチン−LC−GCVIM、ハーセプチン−LC−G
5CVIM、ハーセプチン−LC−G
7CVIMおよびハーセプチン−LC−G
10CVIM抗体を調製した。抗体は、それぞれ、軽鎖のC末端において5マー(GCVIM)、9マー(G
5CVIM)、11マー(G
7CVIM)、または14マー(G
10CVIM)の配列を有する(
図2、4、6および8)。
【0124】
1−5.ハーセプチン−HC−G
10CVLL
ハーセプチン−HC−G
10CVLL抗体を調製した。抗体は、重鎖のC末端において14マー(G
10CVLL)の配列を有する(
図9)。
【0125】
1−6.ハーセプチン−LC−G
10CVLL
ハーセプチン−LC−G
10CVLL抗体を調製した。抗体は、軽鎖のC末端において14マー(G
10CVLL)の配列を有する(
図10)。
【0126】
1−7.抗cMET−HC−G
nCVIM
抗cMET−HC−G
7CVIMおよび抗cMET−HC−G
10CVIM抗体を調製した。抗体は、それぞれ、重鎖のC末端において11マー(G
7CVIM)、または14マー(G
10CVIM)の配列を有する(示さず)。
図11は、抗cMET−HC−G
7CVIMおよび抗cMET−HC−G
10CVIM抗体を分析するSDS-PAGEゲルを示す。
【0127】
1−8.抗cMET−LC−G
nCVIM
抗cMET−LC−G
7CVIMおよび抗cMET−LC−G
10CVIM抗体を調製した。抗体は、それぞれ、軽鎖のC末端において11マー(G
7CVIM)、または14マー(G
10CVIM)の配列を有する(示さず)。
図11は、抗cMET−LC−G
7CVIMおよび抗cMET−LC−G
10CVIM抗体を分析するSDS-PAGEゲルを示す。
【0128】
例2:AB(M)−CAAXの官能化
2−1.ゲラニルアルキンジホスファート(B、LCB14-0501)
【化10】
【0129】
上で言及される化合物を、ChembioChem 207, 8, 98-105(その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)において記載される方法と同様の方法により、6工程において、ゲラニオールを出発材料として用いて調製した。
(B)
1H NMR (600MHz, D
2O) δ 5.38 (t, J = 7.8Hz, 1H), 5.30 (t, J = 7.8Hz, 1H), 4.31 (brs, 2H), 3.96 (m, 2H), 3.84 (s, 2H), 2.70 (bs, 1H), 2.07 (m, 2H), 1.98 (m, 2H), 1.56 (s, 3H), 1.48 (s, 3H)
【0130】
2−2.デカジエニルプロパルギルエーテルジホスファート(F、LCB14-0511)およびデカジエニルアジドジホスファート(G、LCB14-0512)
【化11】
アセトキシデカジエニルアルデヒド(C)は、ファルネソールから、5工程において調製した。化合物(C)から、化合物(D)および(E)を、それぞれ6工程および5工程において調製した。化合物(D)および(E)から、上で言及される化合物(F)および(G)を、上のセクション2−1において記載される方法と同様の方法により調製した。化合物(C)、(D)および(E)は、JOC 2007, 72(24), 9291-9297(その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)において記載される方法と同様の方法により調製した。
(F):
1H NMR (600MHz, D
2O) δ 5.44 (t, J = 6Hz, 1H), 5.22 (t, J = 6Hz, 1H), 4.46 (t, J = 8.4Hz, 2H), 4.16 (t, J = 2.4Hz, 2H), 3.55 (m, 2H), 2.85 (m, 1H), 2.15 (m, 2H), 2.09 (t, J = 7.2Hz, 2H), 2.03 (t, J = 7.2Hz, 2H), 1.70~1.65 (m, 5H), 1.60 (s, 3H)
(G):
1H NMR (600MHz, D
2O) δ 5.43 (t, J = 6.6Hz, 1H), 5.23 (t, J = 6.6Hz, 1H), 4.40 (t, J = 6Hz, 2H), 3.26 (t, J = 6.0Hz, 2H), 2.15 (m, 2H), 2.10~2.04 (m, 4H), 1.70~1.65(m, 5H), 1.60 (s, 3H)
【0131】
2−3.NBD-GPP
トリス−アンモニウム[3,7−ジメチル−8−(7−ニトロ−ベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール−4−イルアミノ)−オクタ−2,6−ジエン−1]ピロホスファート(NBD-GPP)を、JACS 2006, 128, 2822-2835(その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)において記載される方法と同様の方法により調製した。
【化12】
1H NMR (600MHz, D
2O) δ 8.51 (d, J = 9Hz, 1H), 6.37 (d, J = 9Hz, 1H), 5.50 (t, J = 6.6Hz, 1H), 5.42 (t, J = 6.6Hz, 1H), 4.43 (t, J = 6.6Hz, 2H), 4.08 (s, 2H), 2.22 (m, 2H), 2.10 (t, J = 7.2Hz, 2H), 1.69 (s, 6H)
【0132】
2−4.グルクロニドリンカー−MMAF(LCB14-0592)
【化13】
【0133】
化合物2
メタノール(250mL)中のD−グルクロノ−6,3−ラクトン(19g、107.88mmol)の溶液に、窒素雰囲気下において、メタノール(100mL)中のNaOH(100mg)の溶液にゆっくり加えた。生じた混合物を2時間撹拌した。メタノール(15mL)中のNaOH(200mg)の溶液を加えた。生成物を3時間撹拌した。減圧下においてメタノールを取り除いた。10℃以下において、ピリジン(50mL)および無水酢酸(Ac
2O、54mL)を、連続的に加えた。生じた混合物を、室温において4時間撹拌した。反応が完了した後、生じた混合物を、減圧下において濃縮し、カラムクロマトグラフィーに供し、固体として化合物2を得た(20g、50%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 5.77 (d, J= 7.8Hz, 1H), 5.31 (t, J= 9.6Hz, 1H), 5.24 (t, J= 9.6Hz, 1H), 5.14 (m, 1H), 4.17 (d, J= 9Hz, 1H), 3.74 (s, 3H), 2.12 (s, 3H), 2.04 (m, 9H)
【0134】
化合物3
化合物2(5g、13.28mmol)を、AcOH(20mL)中33%のHBrの溶液に、0℃において加えた。生じた混合物を、室温において2時間撹拌した。反応が完了した後、生じた混合物を、トルエン(50mL)で希釈した。生じた混合物を減圧下において濃縮した。酢酸エチル(100mL)および飽和NaHCO
3溶液(100mL)を添加して、有機層を抽出した。このようにして得られた有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させて、化合物3を得た(5.27g、100%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 6.64 (d, J= 3.6Hz, 1H), 5.61 (t, J= 3.6Hz, 1H), 5.24 (t, J= 3.6Hz, 1H), 4.85 (m, 1H), 4.58 (d, J= 10.2Hz, 1H), 3.76 (s, 3H), 2.10 (s, 3H), 2.06 (s, 3H), 2.05 (s, 3H)
【0135】
化合物4
アセトニトリル(30mL)中の化合物3(4g、10.07mmol)および2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド(1.67g、12.084mmol)の溶液を、モレキュラーシーブ(5g)およびAg
2O(9.33g、40.28mmol)で連続的に処置した。生じた混合物を3時間、室温において撹拌した。反応が完了した後、固体を濾過除去し、濾過物を減圧下において濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーに供し、化合物4を得た(2g、43.5%)。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) δ 11.38 (s, 1H), 9.77 (s, 1H), 7.48 (d, J= 8.4Hz, 1H), 6.61 (dd, J= 8.4, 2.0Hz, 1H), 6.53 (d, J= 2.0Hz, 1H), 5.36~5.25 (m, 4H), 4.23 (m, 1H), 3.73 (s, 1H), 2.06 (s, 9H)
【0136】
化合物5
アセトン(10mL)中の化合物4(1g、2.20mmol)溶液を、炭酸カリウム(760mg、5.50mmol)およびトルエン中の80%臭化プロパルギル(735μL、6.60mmol)で処置した。生じた混合物を、45℃で12時間撹拌した。反応が完了した後、酢酸エチル(100mL)および蒸留水(100mL)を加えた。このようにして得られた有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下において濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーに供し、化合物5を得た(930mg、87%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 10.33 (s, 1H), 7.83 (d, J= 9Hz, 1H), 6.75 (d, J= 1.8Hz, 1H), 6.67 (dd, J= 9, 1.8Hz, 1H), 5.39~5.34 (m, 2H), 5.31~5.26 (m, 2H), 4.79 (d, J= 2.4Hz, 2H), 4.23 (m, 2H), 3.72 (s, 3H), 2.59 (t, J= 2.4Hz, 1H), 2.07 (s, 3H), 2.06 (s, 3H), 2.05 (s, 3H)
【0137】
化合物6
イソプロピルアルコール(2mL)およびクロロホルム(10mL)中の化合物5の溶液(930mg、1.88mmol)を、0℃において、シリカゲル(5g)およびNaBH
4(178mg、4.79mmol)で連続的に処置した。生じた混合物を3時間撹拌した。反応が完了した後、シリカゲルを濾過除去した。反応物をジクロロメタン(100mL)および蒸留水(100mL)で抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーに供し、化合物6を得た(610mg、65%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 7.23 (d, J= 8.4Hz, 1H), 6.72 (d, J= 2.4Hz, 1H), 6.61 (dd, 8.4, 2.4Hz, 1H), 5.35~5.32 (m, 2H), 5.27 (m, 1H), 5.13 (d, J= 7.8Hz, 1H), 4.72 (d, J= 2.4Hz, 2H), 4.63 (d, J= 5.4Hz, 2H), 4.17 (m, 1H), 3.73 (s, 3H), 2.07 (s, 3H), 2.05 (s, 3H), 2.04 (s, 3H)
【0138】
化合物7
ジメチルホルムアミド(0.5mL)中の化合物6(250mg、0.50mmol)の溶液を、ビス(4−ニトロフェニル)カルボナート(308mg、100mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(DIPEA、132μL、0.75mmol)で処置した。生じた混合物を、室温において3時間撹拌した。反応が完了した後、反応物を減圧下において濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーに供し、化合物7を得た(310mg、94%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 8.26 (d, J= 9Hz, 2H), 7.37 (d, J= 9Hz, 2H), 7.34 (d, J= 8.4Hz, 1H), 6.77 (d, J= 1.8Hz, 1H), 6.64 (dd, 7.8, 2.4Hz, 1H), 5.37~5.33 (m, 2H), 5.30~5.27 (m, 3H), 5.17 (d, J= 7.2Hz, 1H), 4.74 (d, J= 2.4Hz, 2H), 4.18 (m, 1H), 3.74 (s, 3H), 2.54 (t, J= 2.4Hz, 1H), 2.07 (s, 3H), 2.05 (s, 3H), 2.04 (s, 3H)
【0139】
化合物8
ジメチルホルムアミド(3mL)中の化合物7(150mg、0.227mmol)、MMAF-OMe(169.6mg、0.227mmol)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール無水物(HOBt、6.2mg、0.0454mmol)の溶液に、ピリジン(0.8mL)およびジイソプロピルエチルアミン(40μL、0.227mmol)を加えた。生じた混合物を、室温において12時間撹拌した。反応が完了した後、酢酸エチル(100mL)および蒸留水(100mL)を加えた。このようにして得られた有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下において濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーに供し、化合物8を得た(146mg、50%)。
EI-MS m/z: 1067(M+)
【0140】
US61/483,698、ChemPharmBull, 1995, 43(10), 1706-1718、US7423116、US7498298、およびWO2002/088172(これらの参考文献の各々の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)において記載される方法に従って、MMAF-OMeを調製した。
【0141】
LCB14-0592
メタノール(2mL)中の化合物8(85mg、0.067mmol)の溶液を、0℃において、蒸留水(1mL)中のLiBH
4(28.2mg、0.670mmol)の溶液で処置した。生じた混合物を、室温において3時間撹拌した。反応が完了した後、減圧下においてメタノールを取り除いた。残渣を蒸留水(50mL)中に溶解し、酢酸でpH=3まで酸性化した。反応物をジクロロメタン(3×50mL)で3回抽出した。組み合わせた有機層を減圧下において濃縮して固体を得、これをジエチルエーテル(50mL)で洗浄して、化合物LCB14-0592を得た(62mg、83%)。
EI-MS m/z: 1112(M+)
【0142】
2−5.グルクロニドリンカー−MMAE(LCB14-0598)
【化14】
化合物3
ジメチルホルムアミド(3mL)中の、例2〜4の化合物7(150mg、0.227mmol)、MMAE(163mg、0.227mmol;ChemPharmBull, 1995, 43(10), 1706-1718、US7423116、WO2002/088172)および無水1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt、6.2mg、0.0454mmol)の溶液を、ピリジン(0.8mL)およびジイソプロピルエチルアミン(40μL、0.227mmol)で処置した。生じた混合物を、室温において24時間撹拌した。反応が完了した後、生じた混合物を、酢酸エチル(100mL)、0.5NのHCl(10mL)および蒸留水(100mL)で希釈した。このようにして得られた有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下において濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーに供し、化合物3を得た(30mg、10%)。
EI-MS m/z: 1238(M+)
【0143】
LCB14-0598
メタノール(3mL)中の化合物3(30mg、0.024mmol)の溶液を、0℃において、蒸留水(0.5mL)中のLiOH(10mg、0.24mmol)により処置した。生じた混合物を3時間、室温において撹拌した。反応が完了した後、有機溶媒を減圧下において取り除いた。生じた生成物を蒸留水(50mL)で希釈し、0.5NのHClでpH=3まで酸性化した。ジクロロメタン(50mL]による抽出およびその後の減圧下における濃縮により、化合物LCB14-0598を得た(21mg、79%)。
EI-MS m/z: 1098(M+)
【0144】
2−6.グルクロニドリンカー−MMAF−メチルアミド(LCB14-0600)
【化15】
化合物2
ジメチルホルムアミド(5mL)中の化合物1(Z-MMAF、558mg、0.644mmol、ChemPharmBull, 1995, 43(10), 1706-1718)の溶液を、塩酸メチルアミン(130mg、1.932mmol)、ジエチルシアノホスホナート(DEPC、144mg、0.966mmol)およびトリエチルアミン(270μL、1.932mmol)で処置した。生じた混合物を、室温において12時間撹拌した。反応が完了した後、酢酸エチル(100mL)および蒸留水(100mL)を加えた。このようにして得られた有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下において濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーに供し、化合物2を得た(490mg、86%)。
EI-MS m/z: 879(M+)
【0145】
LCB14-0601(MMAF−メチルアミド)
化合物2(470mg、0.53mM)を、tert−ブタノール(
tBuOH、8mL)および蒸留水(0.8mL)中に溶解した。0℃で、10%のPd/C(50mg)を加えた。生じた混合物を、H
2ガス中で2時間撹拌した。反応が完了した後、セライトを用いてPd/Cを濾過した。生じた濾過溶液を減圧下において濃縮し、化合物LCB14-0601を得た(340mg、85%)。
EI-MS m/z: 745(M+)
【0146】
化合物3
ジメチルアミド(3mL)中の例2〜4の化合物7(133mg、0.20mmol)、LCB14-601(150mg、0.20mmol)および無水1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt、5.44mg、0.04mmol)の溶液を、ピリジン(0.8mL)およびジイソプロピルエチルアミン(DIPEA、35μL、0.20mmol)で処置した。生じた混合物を、室温において12時間撹拌した。反応が完了した後、酢酸エチル(100mL)および0.5NのHCl溶液(50mL)を加えた。このようにして得られた有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下において濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーに供し、化合物3を得た(123mg、48%)。
EI-MS m/z: 1265(M+)
【0147】
LCB14-0600(グルクロニドリンカー−MMAF−メチルアミド)
メタノール(3mL)中の化合物3(60mg、0.047mmol)の溶液を、0℃において、蒸留水(0.5mL)中のLiOH(20mg、0.47mmol)で処置した。生じた混合物を、室温において2時間撹拌した。反応が完了した後、有機溶媒を、減圧下において取り除いた。残渣を蒸留水(50mL)で希釈し、0.5NのHClでpH=3まで酸性化した。ジクロロメタン(50mL)による抽出およびその後の濃縮により、化合物LCB14-0600を得た(25mg、47%)。
EI-MS m/z: 1125(M+)
【0148】
2−7.アジド−リンカー−NBD:LCB14-0529
【化16】
化合物2
テトラヒドロフラン(30mL)中の化合物1(4g、12.67mmol)およびN−メチルモルホリン(1.6mL、14.57mmol)の溶液を、窒素雰囲気下において−15℃で、イソブチルクルロロギ酸(1.8mL、13.94mmol)でゆっくりと処置した。生じた混合物を、同じ温度において30分間撹拌した。生じた混合物を、テトラヒドロフラン/メタノール(36mL/12mL)中の水酸化ホウ素ナトリウム(959mg、25.34mmol)の溶液に、−78℃において、十分撹拌しながら、ゆっくりと濾過しつつ添加した。反応物を、2時間撹拌しながらゆっくりと室温まで温めた。反応が完了した後、酢酸(4mL)を添加して、15分間撹拌した。酢酸エチル(100mL)および蒸留水(100mL)を加えた。このようにして得られた有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下において濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーに供し、化合物2を得た(3.69g、96.5%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 4.50 (s,1H), 3.64 (q, J= 6.6Hz, 2H), 3.11 (m, 2H), 1.56 (m, 2H), 1.44 (m, 11H), 1.29 (m, 10H)
【0149】
化合物3
テトラヒドロフラン(5mL)中の化合物2(450mg、1.73mmol)およびN−メチルモルホリン(381μL、3.46mmol)の溶液を、を、メタンスルホン酸無水物(363mg、2.07mmol)で、窒素雰囲気下において0℃でゆっくりと処置した。生じた混合物を、撹拌しながら1時間、ゆっくりと室温まで温めた。反応が完了した後、酢酸エチル(50mL)および蒸留水(50mL)を加えた。このようにして得られた有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下において濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーに供し、白色固体として化合物3を得た(520mg、89%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 4.50 (s, 1H), 4.22 (t, J= 6.6Hz, 2H), 3.11 (m, 2H), 3.01 (s, 3H), 1.74 (m, 2H), 1.44-1.36 (m, 13H), 1.29 (m, 8H)
【0150】
化合物4
ジメチルホルムアミド(5mL)中の化合物3(520mg、1.54mmol)の溶液を、窒素雰囲気下において、アジ化ナトリウム(120mg、1.85mmol)で処置し、生じた混合物を、70℃で3時間撹拌した。反応が完了した後、酢酸エチル(50mL)および蒸留水(50mL)を加えた。このようにして得られた有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下において濃縮し、液体の形態において化合物4を得た(430mg、98%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 4.49 (s, 1H), 3.26 (t, J= 6.9Hz, 2H), 3.09-3.12 (m, 2H), 1.59 (m,2H), 1.44 (m, 11H), 1.33 (m, 10H)
【0151】
化合物5
ジクロロメタン(6mL)化合物4(430mg、1.51mmol)の溶液を、窒素雰囲気下において0℃で、1,4−ジオキサン(4mL)中の4M−HClで処置した。生じた混合物を3時間撹拌し、減圧下において濃縮し、化合物5を得た(330mg、99%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 8.29 (s, 2H), 3.26 (t, J= 6.9Hz, 2H), 2.98 (m, 2H), 1.46 (m, 2H), 1.59 (m, 2H), 1.31-1.39 (m, 10H)
【0152】
LCB14-0529
アセトニトリルと25mmolの炭酸水素ナトリウムとの混合溶媒(10mL)中の化合物5の溶液(326mg、1.47mmol)を、4−クロロ−7−ニトロベンゾフラン(442mg、2.20mmol)で処置した。生じた混合物を3時間、室温において撹拌した。酢酸エチル(50mL)および蒸留水(50mL)を加えた。このようにして得られた有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下において濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーに供し、化合物LCB14-0529を得た(250mg、49%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 8.48 (d, J= 8.4Hz, 1H), 6.16 (d, 8.4Hz, 1H), 3.47 (q, 6.6Hz, 2H), 3.24 (t, 6.9Hz, 2H), 1.79 (m, 2H), 1.59 (m, 2H), 1.42-1.48 (m, 2H), 1.20-1.37 (m, 8H)
【0153】
2−8.アジド−リンカー−NBD:LCB14-0530
【化17】
化合物2
ジクロロメタン(30mL)中のトリ(エチレン)グリコール(5g、33.29mmol)の溶液を、窒素雰囲気下において0℃で、p−トルエンスルホニルクロリド(13.96g、73.24mmol)および水酸化カリウム(8.96g、159.79mmol)により処置した。生じた混合物を3時間0℃で撹拌した。酢酸エチル(100mL)および蒸留水(100mL)を加えた。このようにして得られた有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下において濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーに供し、白色固体として化合物2を得た(13.2g、86.5%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 7.79 (m, 4H), 7.35 (m, 4H), 4.14 (m, 4H), 3.65 (m, 4H), 3.53 (s, 4H), 2.44 (s, 6H)
【0154】
化合物3
ジメチルホルムアミド(20mL)中の化合物2(4.5g、9.81mmol)の溶液を、窒素雰囲気下において、アジ化ナトリウム(1.6g、24.52mmol)で処置した。生じた混合物を、65℃で10時間撹拌した。酢酸エチル(100mL)および蒸留水(100mL)を加えた。このようにして得られた有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下において濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーに供し、化合物3を得た(1.96g、99%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 3.68-3.66 (m, 8H), 3.37 (t, J=4.8Hz, 4H)
【0155】
化合物4
ジエチルエーテル、テトラヒドロフランおよび1NのHClの6.6mLの混合溶媒(V:V:V=3:0.6:3)中の化合物3(500mg、2.49mmol)の溶液。ジエチルエーテル(3.5mL)中のトリフェニルホスフィン(655mg、2.49mmol)の溶液を、5分間かけてゆっくりと加えた。生じた混合物を、室温において5時間撹拌した。生じた混合物を、酢酸エチル(50mL)および蒸留水(50mL)で希釈し、1NのNaOH溶液で中和した。このようにして得られた有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下において濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーに供し、化合物4を得た(370mg、85%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 3.69-3.63 (m, 6H), 3.52 (t, J=5.1Hz, 2H), 3.40 (t, J=4.8Hz, 2H), 2.87 (t, J=5.1Hz, 2H)
【0156】
LCB14-0530
テトラヒドロフラン(4mL)中の化合物4(200mg、1.14mmol)の溶液を、トリエチルアミン(320μL、2.28mmol)およびテトラヒドロフラン(1mL)中の4−クロロ−7−ニトロベンゾフラン(442mg、2.20mmol)の溶液で連続的に処置した。生じた混合物を、室温において1時間撹拌した。酢酸エチル(50mL)および蒸留水(50mL)を加えた。このようにして得られた有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下において濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーに供し、化合物LCB14-0530を得た(305mg、78.8%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 8.47 (d, J=8.4Hz, 1H), 6.75 (s, 1H), 6.17 (d, J=8.4Hz, 1H), 3.86 (t, J=4.8Hz, 2H), 3.66-3.73 (m, 8H), 3.41 (t, J=4.8Hz, 2H)
【0157】
2−9.アジド−リンカー−薬物:LCB14-0505、-0531および-0510
【化18】
化合物2
ChemPharmBull, 1995, 43(10), 1706-1718(その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)において記載される方法を参照して、化合物1を調製した。tert−ブタノール(6mL)および水(0.6mL)中の化合物1(0.50g、0.57mmol)の溶液を、水素雰囲気下においてPd/C(6mg、0.06mmol)と共に、4時間撹拌した。セライトパッドを通して、反応溶液を濾過し、濾過物を減圧下において濃縮し、白色固体として化合物2を得た(0.42g)。
EI-MS m/z: 747(M+)
【0158】
化合物9
クロム(VI)三酸化物(CrO
3、7g、0.07mol)を、0℃で蒸留水(10mL)中に溶解した。溶液に、18MのH
2SO
4(6.1mL、0.11mol)および蒸留水(20mL)を連続的に加えた。生じた混合物を5分間撹拌した(=Jones試薬)。アセトン(250mL)中の9−ブロモ−1−ノナノール(5g、22.4mmol)の溶液を、‐5℃においてJones試薬(18mL)でゆっくりと処置した。生じた混合物を3時間室温において撹拌した後、緑色を帯びた固体を濾過除去し、濾過物を濃縮した。残渣をジエチルエーテル(100mL)および水(50mL)で抽出した。有機抽出物を、無水Na
2SO
4で乾燥させ、真空中で濾過および濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーに供し、化合物9を得た(4.95g、93%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 3.40 (t, J= 6.6Hz, 2H), 2.35 (t, J= 7.2Hz, 2H), 1.85 (m, 2H), 1.62 (m, 2H), 1.41 (m, 2H), 1.32 (m, 6H)
【0159】
化合物10
N,N−ジメチルホルムアミド(15mL)中の化合物9(4g、16.86mmol)の溶液を、アジ化ナトリウム(1.64g、25.29mmol)で処置した。生じた混合物を6時間撹拌しながら80℃まで加熱した。反応が完了した後で、酢酸エチル(100mL)および蒸留水(100mL)を加えた。このようにして得られた有機層を分離し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、真空中で濾過および濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーに供し、化合物10を得た(3.3g、98%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 3.26 (t, J=7.2Hz, 2H), 2.35 (t, J=7.2Hz, 2H), 1.64~1.57 (m, 4H), 1.35~1.32 (m, 8H)
【0160】
LCB14-0505
塩化メチレン(3mL)中の化合物2(0.16g、0.21mmol)および9−アジド−ノナン酸(10)(47mg、0.24mmol)の溶液を、0℃においてDIPEA(0.06mL、0.32mmol)およびPyBOP(0.15g、0.28mmol)で処置した。生じた混合物を3時間撹拌した。生じた混合物を塩化メチレン(100mL)および水(20mL)で抽出した。このようにして得られた有機層を減圧下において濃縮した。残渣を酢酸エチルおよびヘキサンによるカラムクロマトグラフィーに供し、白色固体として化合物LCB14-0505を得た(0.12g、59%)。
EI-MS m/z: 928(M+)
【0161】
LCB14-0531
上記の方法に類似の方法において、化合物LCB14-0531(65%)を調製した。
EI-MS m/z: 917(M+)
【0162】
LCB14-0510
BioconjugateChem. 2002, 13, 855-869 and US2005238649(これらの参考文献の各々の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)において記載される方法を用いて、化合物6を調製した。DMF(2mL)中の化合物6(69mg、0.15mmol)および化合物2(100mg、0.13mmol)の溶液を、0℃において、DIPEA(0.04mL、0.2mmol)およびPyBOP(0.09g、0.17mmol)で処置した。生じた混合物を3時間撹拌した。酢酸エチル(100mL)および水(30mL)を用いて有機層を抽出し、これを減圧下において濃縮した。残渣を塩化メチレンおよびメタノールによるカラムクロマトグラフィーに供し、褐色固体として化合物LCB14-0510を得た(94mg、64%)。
EI-MS m/z: 1199(M+)
【0163】
2−10.アセチレン−リンカー−NBD:LCB14-0532
【化19】
化合物2
10mLのジメチルホルムアミド中の化合物1(1g、5.93mmol)の溶液を、窒素雰囲気下において、アジ化ナトリウム(578mg、8.89mmol)で処置した。生じた混合物を80℃で3時間撹拌した。反応が完了した後、酢酸エチル(50mL)および蒸留水(50mL)を加えた。このようにして得られた有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下において濃縮し、化合物2を得た(1.03g、99%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 3.75 (m, 2H), 3.69 (m, 6H), 3.62 (m, 2H), 3.41 (t, J=3.5Hz, 2H), 2.30 (m, 1H)
【0164】
化合物3
テトラヒドロフラン(10mL)中の水素化ナトリウム(鉱油中55%、250mg、5.7mmol)の懸濁液を、0℃において、テトラヒドロフラン(5mL)中の化合物2(500mg、2.85mmol)の溶液に加えた。生じた混合物を1時間撹拌した。生じた混合物を、次いで室温まで温め、2時間撹拌した。臭化プロパルギル(トルエン中80%、800μl、7.12mmol)を添加し、生じた混合物を室温において12時間撹拌した。塩化アンモニウム溶液(20mL)およびジエチルエーテル(30mL)を加えた。このようにして得られた有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下において濃縮し、化合物3を得た(530mg、86.6%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 4.21 (d, J=2.4Hz, 2H), 3.66-3.72 (m, 10H), 3.39 (t, J=5.1Hz, 2H), 2.43 (t, J=2.4Hz, 1H)
【0165】
化合物4
3mLのテトラヒドロフランおよび蒸留水(V:V=2:1)の混合溶液中の化合物3の溶液(250mg、1.17mmol)を、テトラヒドロフラン(1mL)中のトリフェニルホスフィン(461mg、1.75mmol)で、5分間かけてゆっくりと処置した。生じた混合物を室温において撹拌した。反応が完了した後、ジエチルエーテル(30mL)および蒸留水(30mL)を加えた。生じた混合物を1NのHClで酸性化し、有機層を分離除去した。水層をジクロロメタン(50mL)で希釈し、1NのNaOH溶液で中和した。このようにして得られた有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下において濃縮し、明黄色の化合物4を得た(200mg、91.3%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 4.18 (d, J= 2.4Hz, 2H), 3.59-3.69 (m, 8H), 3.48 (t, J=5.4Hz, 2H), 2.84 (s, 2H), 2.40 (m, 1H)
【0166】
LCB14-0532
テトラヒドロフラン(4mL)中の化合物4(195mg、1.04mmol)の溶液を、トリエチルアミン(290μL、2.08mmol)で処置した。テトラヒドロフラン(1mL)中の4−クロロ−7−ニトロベンゾフラン(270mg、1.35mmol)の溶液を加えた。生じた混合物を、室温において1時間撹拌した。酢酸エチル(50mL)および蒸留水(50mL)を加えた。このようにして得られた有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下において濃縮し、化合物LCB14-0532を得た(280mg、77%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 8.50 (d, J= 8.4Hz, 1H), 6.99 (s, 1H), 6.19 (d, J=8.4Hz, 1H), 4.19 (d, J=2.4Hz, 2H), 3.89 (t, J=5.1Hz, 2H), 3.68-3.75 (m, 10H), 2.41 (t, J=2.4Hz, 1H)
【0167】
2−11.アセチレン−リンカー−MMAF−OMe(LCB14-0536)
【化20】
化合物A
テトラヒドロフラン(10mL)中のNaH(鉱油中55%、390mg、16.25mmol)の懸濁液に、0℃で窒素雰囲気下において、テトラヒドロフラン(20mL)中のトリエチレングリコール(4g、26.63mmol)の溶液をゆっくりと加えた。トルエン中の80%の臭化プロパルギル(1.97g、13.31mmol)をゆっくりと加えた。生じた混合物を、同じ温度において2時間撹拌した。反応が完了した後、ジクロロメタン(100mL)および水(100mL)を加えた。このようにして得られた有機層を濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィーに供し、水性形態の化合物(A)を得た(1g、43%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 4.21-4.20 (m, 2H), 3.74-3.66 (m, 10H), 3.62-3.61 (m, 2H), 2.43 (t, J=2.4Hz, 1H)
【0168】
化合物B
アセトン中の化合物Aの溶液(1g、5.31mmol)に、窒素雰囲気下において‐5℃で、5.3mLのJones試薬をゆっくりと加えた。生じた混合物を、ゆっくりと室温まで温めながら3時間撹拌した。反応が完了した後、酢酸エチル(100mL)および水(100mL)を加えた。このようにして得られた有機層を濃縮し、黄色の液体として化合物(B)を得た(886mg、82%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 4.21 (d, J=2.4,2H), 4.18-4.17 (m, 2H), 3.78-3.77 (m, 2H), 3.74-3.70 (m, 6H), 2.44(t, J=2.4Hz, 1H)
【化21】
【0169】
LCB14-0536
アセトニトリル(2mL)中の化合物(A)(MMAF-OMe、100mg、0.13mmol)の溶液に、室温において、化合物(B)(27mg、0.13mmol)、PyBOP(104mg、0.19mmol)およびDIPEA(0.03mL、0.19mmol)を加えた。生じた混合物を12時間撹拌した。反応が完了した後、酢酸エチル(50mL)および水(20mL)を加えた。このようにして得られた有機層を、減圧下において濃縮した。残渣をジクロロメタンおよびメタノールによるカラムクロマトグラフィーに供し、黄色固体として化合物LCB14-0536を得た(82mg、68%)。
EI-MS m/z: 930(M+)
【0170】
2−12.アセチレン−リンカー(ペプチド配列)−MMAF−OMe(LCB14-0589)
【化22】
化合物1(Fmoc-Val-Cit-PAB)
WO2007/008603(その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)において記載される方法に従って、Fmoc-Val-Cit-OHを調製した。ジクロロメタン(50mL)およびメタノール(20mL)中のFmoc-Val-Cit-OH(4.89g、9.85mmol)の溶液に、窒素雰囲気下において、パラ−アミノベンジルアルコール(2.43g、19.70mmol)および1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン(1.98g、19.7mmol)を加えた。生じた混合物を12時間室温において撹拌した。反応が完了した後、溶媒を濃縮した。生じた固体をジエチルエーテルで複数回洗浄し、黄色固体として化合物1を得た(4.12g、70%)。
1H NMR (600MHz, DMSO-d
6) δ 10.00 (s, 1H), 8.12 (d, J=7.8Hz, 1H), 7.89 (d, J=7.8Hz, 2H), 7.75-7.72 (m, 2H), 7.55(d, J=7.8Hz, 2H), 7.44-7.41(m, 2H), 7.33-7.31(m, 2H), 7.23(d, J=8.4Hz, 2H), 6.02(bs,1H), 5.41-5.38(m,2H), 5.09(bs, 1H), 4.42(bs,2H), 4.30-4.28(m, 1H), 4.24-4.23(m, 2H), 3.94-3.91(m, 1H), 3.02-2.99(m, 1H), 2.94-2.93(m, 1H), 2.00-1.99(m, 1H), 1.7(bs, 1H), 1.60(bs, 1H), 1.43(bs, 1H), 1.36(bs, 1H) , 0.88-0.84(m, 6H)
【0171】
化合物2(Fmoc-Val-Cit-PABC-PNA)
DMF(8mL)中の化合物1(2g、3.32mmol)の溶液を、ビス(4−ニトロフェニル)カルボナート(2.02g、6.64mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(0.647mL、4.98mmol)で、窒素雰囲気下において連続的に処置した。生じた混合物を12時間室温において撹拌した。反応が完了した後、凝固のためにジエチルエーテルを加えた。生じた固体をジエチルエーテルおよび水で複数回洗浄し、黄色固体として化合物2を得た(1.52g、60%)。
1H NMR (600MHz, DMSO-d
6) δ 10.19 (s, 1H), 8.31 (d, J=9.6Hz, 2H), 8.15 (d, J=7.8Hz, 1H), 7.89 (d, J=7.2Hz, 2H), 7.75-7.72(m, 2H), 7.66(d, J=8.4Hz, 2H), 7.57(d, J=9.0Hz, 2H), 7.43-7.39(m, 4H), 7.32(t, J=7.2Hz, 2H), 6.05-6.04(m,1H), 5.42(m, 2H), 5.24(s,2H), 4.42(m, 1H), 4.30-4.28(m, 1H), 425-4.23(m, 2H), 3.94-3.91(m, 1H), 3.01-3.00(m, 1H), 2.96-2.94(m, 1H), 2.00-1.99(m, 1H), 1.70(m, 1H), 1.59(m, 1H), 1.45(m, 1H) , 1.37(m, 1H), 0.89-0.83(m, 6H).
EI-MS m/z: 767(M
+)
【0172】
化合物3(Fmoc-Val-Cit-PABC-MMAF-OMe)
DMF(2mL)中の化合物2(200mg、0.261mmol)およびMMAF-OMe(194mg、0.261mmol)の溶液を、HOBt(7.1mg、0.052mmol)、ピリジン(1mL)およびDIPEA(0.045mL、0.261mmol)で処置した。生じた混合物を室温において12時間撹拌した。反応が完了した後、酢酸エチル(30mL)、水(30mL)および食塩水溶液(30mL)を用いて有機層を抽出した。このようにして得られた有機層を濃縮し、カラムクロマトグラフィーに供し、黄色固体として化合物3を得た(153mg、42%)。
EI-MS m/z: 1375(M+)
【0173】
化合物4(Val-Cit-PABC-MMAF-OMe)
テトラヒドロフラン(5mL)中の化合物3(153mg、0.112mmol)の溶液に、室温においてピペリジン(0.2mL)を添加した。生じた混合物を、同じ温度において2時間撹拌した。反応が完了した後、エーテルおよびヘキサンで再結晶化を行い、明黄色固体として化合物4を得た(85mg、66%)。
EI-MS m/z: 1152(M+)
【0174】
LCB14-0589(アセチレンリンカー−Val-Cit-PABC-MMAF-OMe)
DMF(2mL)中の化合物4(85mg、0.074mmol)および例2〜11の化合物B(18mg、0.088mmol)の溶液に、DIPEA(0.03mL、0.148mmol)およびPyBOP(58mg、0.111mmol)を添加した。生じた混合物を、室温において5時間撹拌した。反応が完了した後、酢酸エチル(20mL)および水(20mL)で抽出を行った。生じた粗生成物を、カラムクロマトグラフィーに供し、白色固体として化合物LCB14-0589を得た(35.4mg、36%)。
EI-MS m/z: 1336(M+)
【0175】
2−13.アセチレン−リンカー−Val-Cit-PABC-MMAE(LCB14-0602)
【化23】
化合物2(Fmoc-Val-Cit-PABC-MMAE)
DMF(2mL)中のFmoc-Val-Cit-PABC-PNP(200mg、0.261mmol)およびMMAE(187mg、0.261mmol)の溶液に、HOBt(7.1mg、0.052mmol)、ピリジン(1mL)およびDIPEA(0.045mL、0.261mmol)を加えた。生じた混合物を、室温において12時間撹拌した。反応が完了した後、酢酸エチル(30mL)、水(30mL)および食塩水溶液(30mL)を用いて有機層を抽出した。このようにして得られた有機層を濃縮し、カラムクロマトグラフィーに供し、黄色固体として化合物2を得た(50mg、14.3%)。
EI-MS m/z: 1346(M+)
【0176】
化合物3(Val-Cit-PABC-MMAE)
テトラヒドロフラン(5mL)中の化合物2(50mg、0.037mmol)の溶液に、室温においてピペリジン(0.1mL)を加えた。生じた混合物を、同じ温度において2時間撹拌した。反応が完了した後、エーテルおよびヘキサンで再結晶化を行い、明黄色固体として化合物3を得た(37mg、89%)。
EI-MS m/z: 1124(M+)
【0177】
LCB14-0602 (アセチレン リンカー-Val-Cit-PABC-MMAE)
DMF(2mL)中の化合物3(35mg、0.031mmol)および例2〜11の化合物B(7.6mg、0.037mmol)の溶液に、室温において、DIPEA(0.011mL、0.062mmol)およびPyBOP(24mg、0.47mmol)を加えた。生じた混合物を5時間撹拌した。反応が完了した後、酢酸エチル(20mL)および水(20mL)で抽出を行った。生じた粗生成物をカラムクロマトグラフィーに供し、白色固体として化合物LCB14-0602を得た(28.5mg、70%)。
EI-MS m/z: 1308(M+)
【0178】
2−14.アジドリンカー−PBD(ピロロベンゾジアゼピン)二量体(LCB14-0577)
【化24】
化合物2
テトラヒドロフラン(10mL)中の化合物1(1.22g、7.08mmol)、トリフェニルホスフィン(TPP、2.23g、8.50mmol)およびヘキサエチレングリコール(2g、7.08mmol)の溶液に、0℃で窒素雰囲気下において、ジイソプロピルアゾカルボナート(DIAD、1.67mL、8.50mmol)を添加した。生じた混合物を1時間撹拌した。反応が完了した後、酢酸エチル(50mL)および蒸留水(50mL)を加えた。このようにして得られた有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下において濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーに供し、化合物2を得た(1.4g、45%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 7.35 (d, J= 8.4Hz, 2H), 6.80 (d, J= 8.4Hz, 2H), 4.09 (t, J= 4.8Hz, 2H), 3.84 (t, J= 4.8Hz, 2H), 3.72(t, J= 4.8Hz, 4H), 3.68~3.65 (m, 14H), 3.60 (t, J= 4.8Hz, 2H), 2.85 (bs, 1H)
【0179】
化合物3
1,4−ジオキサン(5mL)中の化合物2(300mg、0.68mmol)の溶液に、酢酸カリウム(200mg、2.04mmol)、PdCl
2(dppf)(28mg、0.034mmol)およびビス(ピナコラト)二ホウ素(174mg、0.68mmol)を連続的に加えた。生じた混合物を70℃で12時間撹拌した。反応が完了した後、酢酸エチル(50mL)および蒸留水(50mL)を加えた。このようにして得られた有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下において濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーに供し、化合物3を得た(300mg、90%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 7.73 (d, J= 8.4Hz, 2H), 6.90 (d, J= 8.4Hz, 2H), 4.15 (t, J= 4.8Hz, 2H), 3.86 (t, J= 4.8Hz, 2H), 3.73~3.72 (m, 4H), 3.68~3.64 (m, 14H), 3.60 (t, J= 4.8Hz, 2H), 1.33 (s, 12H)
【0180】
化合物4
WO2006/111759 A1、WO2010/043880 A1およびWO2010/ 010347 A1(これらの参考文献の各々の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)において記載される方法に従って、化合物4を調製した。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 7.35 (s, 1H), 7.29 (d, J= 9Hz, 2H), 7.27 (s, 1H), 7.23 (s, 1H), 7.17 (s, 1H), 6.89 (d, J= 9Hz, 2H), 6.77 (s, 1H), 6.75 (s, 1H), 5.91 (m, 2H), 5.23 (d, J= 9Hz, 2H), 5.21 (d, J= 9Hz, 2H), 4.29 (m, 2H), 4.17~4.13 (m, 4H), 3.96~3.91 (m, 8H), 3.82 (s, 3H), 3.33 (m, 2H), 2.82 (m, 2H), 2.44 (m, 2H), 0.90(2s, 18H), 0.27 (2s, 12H)
【0181】
化合物5
化合物4(83mg、0.059mmol)、炭酸ナトリウム(10mg、0.089mmol)およびPd(TPP)
4(3.4mg、0.003mmol)を、エタノール/トルエン/蒸留水の混合溶媒(0.3mL/0.3mL/0.3mL)中に連続的に溶解した。トルエン(3mL)中の化合物3(31.6mg、0.065mmol)の溶液を加えた。生じた混合物を室温において1時間撹拌した。反応が完了した後、酢酸エチル(50mL)および蒸留水(50mL)を加えた。このようにして得られた有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下において濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーに供し、化合物5を得た(79mg、74%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 7.35 (m 2H), 7.31~7.27 (m, 6H), 6.92~6.89 (m, 4H), 6.78 (s, 2H), 5.90 (d, J= 9Hz, 2H), 5.23 (d, J= 12.6Hz, 2H), 4.30 (m, 2H), 4.16~4.13 (m, 6H), 3.97~3.94 (m, 8H), 3.87 (t, J= 4.8Hz, 2H), 3.83 (s, 3H), 3.74~3.64 (m, 18H), 3.61 (m, 2H), 3.34 (m 2H), 2.82 (m, 2H), 2.45 (m, 2H), 0.90 (s, 18H), 0.25 (2s, 12H)
【0182】
化合物6
テトラヒドロフラン(3mL)中の化合物5(250mg、0.155mmol)の溶液に、0℃において、4−メチルモルホリン(34.2μL、0.310mmol)およびメタンスルホン酸無水物(Ms
2O、2.5mg、0.186mmol)を加えた。生じた混合物を室温において3時間撹拌した。反応が完了した後、酢酸エチル(50mL)および蒸留水(50mL)を加えた。このようにして得られた有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下において濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーに供し、化合物6を得た(220mg、84%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 7.33 (m, 2H), 7.28~7.23 (m, 6H), 6.89~6.86 (m, 4H), 6.76 (s, 2H), 5.88 (d, J= 9Hz, 2H), 5.21 (d, J= 12.6Hz, 2H), 4.35 (m , 2H), 4.26 (m, 2H), 4.13~4.11 (m 6H), 3.92 (s, 6H), 3.84 (t, J= 4.8Hz, 2H), 3.80 (s, 3H), 3.74~3.60 (m, 20H), 3,31 (m, 2H), 3.06 (s, 3H), 2.80 (m, 2H), 2.43 (m, 2H), 0.88 (s, 18H), 0.23(2s, 12H)
【0183】
化合物7
ジメチルホルムアミド(2mL)中の化合物6(100mg、0.059mmol)の溶液に、アジ化ナトリウム(NaN
3、4.6mg、0.071mmol)を加えた。生じた混合物を55℃で4時間撹拌した。反応が完了した後、酢酸エチル(50mL)および蒸留水(50mL)を加えた。このようにして得られた有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下において濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーに供し、化合物7を得た(85mg、88%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 7.33 (bs, 2H), 7.28~7.24 (m, 6H), 6.89~6.87 (m, 4H), 6.76 (s, 2H), 5.88 (d, J= 9Hz, 2H), 5.21 (d, J= 12.6Hz, 2H), 4.26 (m, 2H), 4.13~4.11 (m, 6H), 3.92 (m, 8H), 3.84 (t, J= 4.8Hz, 2H), 3.80 (s, 3H), 3.71 (m, 2H), 3.67~3.64 (m, 16H), 3.36 (t, J= 4.8Hz, 2H), 3.31 (m, 2H), 2.80 (m, 2H), 2.43 (m, 2H), 0.88 (s, 18H), 0.23 (2s, 12H)
【0184】
LCB14-0577
テトラヒドロフラン(1.5mL)中の化合物7(80mg、0.049mmol)の溶液に、1N−酢酸アンモニウム(1mL)および10%カドミウム/鉛のカップル(120mg)を加えた。生じた混合物を、室温において4時間撹拌した。反応が完了した後、ジクロロメタン(50mL)および蒸留水(50mL)を加えた。このようにして得られた有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下において濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーに供し、化合物LCB14-0577を得た(9mg、18%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 7.86 (d, J= 4.2Hz, 2H), 7.36 (m, 2H), 7.31~7.23 (m, 6H), 6.89~6.80 (m, 6H), 4.34~4.22 (m, 6H), 4.11(m, 2H), 3.92 (m, 6H), 3.84~3.77(m, 5H), 3.71 (m, 2H), 3.67~3.63 (, 18H), 3.36 (m, 2H), 3.03 (m, 2H), 2.44~2.40 (m, 2H)
EI-MS m/z: 1017(M
+)
【0185】
2−15.アセチレン−リンカー−PBD二量体(LCB14-0578)
【化25】
化合物2
アセトニトリル(1mL)中の例2〜14の化合物6(95mg、0.056mmol)の溶液に、プロパルギルアミン(18μL、0.28mmol)および蒸留水(500μL)中の炭酸ナトリウム(18mg、0.168mmol)の溶液を加えた。生じた混合物を40℃で12時間撹拌した。反応が完了した後、酢酸エチル(50mL)および蒸留水(50mL)を加えた。このようにして得られた有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下において濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーに供し、化合物2を得た(45mg、48%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 7.35 (m, 2H), 7.30~7.27 (m, 6H), 6.91~6.89 (m, 4H), 6.78 (s, 2H), 5.91 (d, J= 9Hz, 2H), 5.23 (d, J= 11.4Hz, 2H), 4.30 (m, 2H), 4.16~4.11 (m, 6H), 3.94 (s, 6H), 3.87 (t, J= 4.8Hz, 2H), 3.83 (s, 3H), 3.73 (m, 2H), 3.69~3.60 (m 18H), 3.45 (d, J= 2.4Hz, 2H), 3.33 (m, 2H), 2.87 (t, J= 4.8Hz, 2H), 2.82 (m, 2H), 2.45 (m, 2H), 2.22 (t, J= 4.4Hz, 1H), 0.90 (s, 18H), 0.24 (2s, 12H)
【0186】
LCB14-0578
テトラヒドロフラン(750μL)中の化合物2(40mg、0.024mmol)の溶液に、1N−酢酸アンモニウム(0.5mL)および10%カドミウム/鉛のカップル(70mg)を加えた。生じた混合物を室温において4時間撹拌した。反応が完了した後、ジクロロメタン(50mL)および蒸留水(50mL)を加えた。このようにして得られた有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下において濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーに供し、化合物LCB14-0578を得た(13mg、52%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 7.88 (d, J= 4.2Hz, 2H), 7.38 (m, 2H), 7.33~7.28 (m, 6H), 6.91~6.86 (m, 6H), 4.38~4.20 (m, 6H), 4.13 (m 2H), 3.94 (s, 6H), 3.88~3.80 (m, 5H), 3.73 (m, 2H), 3.69~3.61 (m, 16H), 3.46 (d, J= 2.4Hz, 2H), 3.39(m, 2H), 3.30 (m, 2H), 2.88 (t, J= 4.8Hz, 2H), 2.43 (m, 2H), 2.23 (t, J= 4.4Hz, 1H) )
EI-MS m/z: 1028(M+)
【0187】
2−16.アセチレン−リンカー−PBD二量体(ピリジンバージョン)(LCB14-0582)
【化26】
化合物2
テトラヒドロフラン(5mL)中のNaH(鉱油中55%、184mg、4.22mmol)の懸濁液に、0℃で窒素雰囲気下において、テトラヒドロフラン(3mL)中のヘキサエチレングリコール(2.4g、8.44mmol)を添加した。生じた混合物を10分間0℃で撹拌した。化合物1(1g、4.22mmol)をジメチルホルムアミド(0.5mL)およびテトラヒドロフラン(0.5mL)中に溶解することにより調製した混合溶液を、ゆっくりと加えた。生じた混合物を、室温において1時間撹拌し、次いで70℃で12時間撹拌した。生じた混合物を0℃まで冷却した後で、蒸留水(2mL)を加えた。反応が完了した後、酢酸エチル(100mL)および蒸留水(100mL)を加えた。このようにして得られた有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下において濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーに供し、化合物2を得た(1.5g、81%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 8.13(d, J= 2.4Hz, 1H), 7.61 (dd, J= 8.4, 2.4Hz, 1H), 6.67 (d, J= 9Hz, 1H), 4.41 (m, 2H), 3.81 (m, 2H), 3.70~3.61 (m, 18H), 3.58 (m, 2H), 2.71 (bs, 1H)
【0188】
化合物3
ジメチルホルムアミド(5mL)中の化合物2(500mg、1.14mmol)の溶液を、酢酸カリウム(336mg、3.42mmol)、PdCl
2(dppf)(46.5mg、0.057mmol)およびビス(ピナコラト)二ホウ素(318mg、1.25mmol)で連続的に処置した。生じた混合物を、70℃で12時間撹拌した。反応が完了した後、酢酸エチル(100mL)および蒸留水(50mL)を加えた。このようにして得られた有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下において濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーに供し、化合物3を得た(250mg、45%)。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) δ 8.50 (s, 1H), 7.90 (d, J= 8.4Hz, 1H), 6.74 (d, J= 8.4Hz, 1H), 4.50 (t, J= 4.8Hz, 2H), 3.84 (m, 2H), 3.74~3.70 (m, 20H), 1.33 (s, 12H)
【0189】
化合物5
化合物4(245mg、0.175mmol)、炭酸ナトリウム(28mg、0.262mmol)およびPd(TPP)
4(10mg、0.009mmol)を、エタノール/トルエン/蒸留水の混合溶液(1.5mL/1.5mL/1.5mL)中に連続的に溶解した。トルエン(1.5mL)中の化合物3の溶液(94mg、0.192mmol)を加えた。生じた混合物を、室温において12時間撹拌した。反応が完了した後、酢酸エチル(100mL)および蒸留水(100mL)を加えた。このようにして得られた有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下において濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーに供し、化合物5を得た(100mg、35.5%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 8.02 (d, J= 2.4Hz, 1H), 7.66 (m, 1H), 7.38(s, 1H), 7.35 (s, 1H), 7.29 (d, J= 9Hz, 2H), 7.27 (m, 2H), 6.89 (d, J= 9Hz, 2H), 6.80 (d, J= 8.4Hz, 1H), 6.78 (s, 2H), 5.90 (d, J= 9Hz, 2H), 5.23 (dd, J= 11.4, 4.2Hz, 2H), 4.47 (m, 2H), 4.29 (m, 2H), 4.17~4.12(m, 2H), 3.4 (m, 8H), 3.86 (t, J= 4.8Hz, 2H), 3.82 (m, 4H), 3.74~3.65 (m, 18H), 3.61(m, 2H), 3.33(m, 2H), 2.83 (m, 2H), 2.45 (m, 2H), 0.90 (s, 18H), 0.25 (2s, 12H)
【0190】
化合物6
テトラヒドロフラン(3ml)中の化合物5(180mg、0.11mM)の溶液に、4−メチルモルホリン(NMM、61.5μL、0.55mM)およびメタンスルホン酸無水物(Ms
2O、22mg、0.121mM)を添加した。生じた混合物を、室温において3時間撹拌した。反応が完了した後、酢酸エチル(50mL)および蒸留水(50mL)を添加して、有機層を抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下において濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーに供し、化合物6を調製した(80mg、43%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 8.03 (d, J= 2.4Hz, 1H), 7.66 (dd, J= 7.8, 2.4Hz, 1H), 7.38 (s, 1H), 7.35 (s, 1H), 7.30 (d, J= 9Hz, 2H), 7.27 (m, 2H), 6.89 (d, J= 9Hz, 2H), 6.80 (d, , J= 9Hz, 1H), 6.78 (s, 2H), 5.90 (d, J= 9Hz, 2H), 5.22 (dd, J= 12, 4.2Hz, 2H), 4.47 (m, 2H), 4.38 (m, 2H), 4.30 (m, 2H), 4.15 (m, 3H), 3.99~3.93 (m, 7H), 3.86 (m, 2H), 3.83 (s, 3H), 3.76 (m, 2H), 3.71 (m, 2H), 3.69~3.63 (m, 16H), 3.34 (m, 2H), 3.08 (s, 3H), 2.83 (m, 2H), 2.45 (m, 2H), 0.90 (2s, 18H), 0.25 (2s, 12H)
【0191】
化合物7
アセトニトリル(4mL)中の化合物6(80mg、0.047mmol)の溶液に、プロパルギルアミン(30μL、0.47mmol)および蒸留水(500μL)中の炭酸ナトリウム(20mg、0.141mmol)の溶液を加えた。生じた混合物を50℃で12時間撹拌した。反応が完了した後、酢酸エチル(50mL)および蒸留水(50mL)を加えた。このようにして得られた有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下において濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーに供し、化合物7を得た(25mg、32%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 8.03 (d, J= 1.8Hz, 1H), 7.66 (dd, J= 8.4, 2.4Hz, 1H), 7.38 (s, 1H), 7.35 (s, 1H), 7.30 (d, J= 8.4Hz, 2H), 7.28 (m, 2H), 6.89 (d, J= 9Hz, 2H), 6.79 (d, J= 9Hz, 1H), 6.78 (s, 2H), ), 5.90 (d, J= 9Hz, 2H), 5.22 (dd, J= 12, 4.2Hz, 2H), 4.47 (m, 2H), 4.30 (m, 2H), 4.17~4.14 (m, 3H), 3.98~3.93 (m, 7H), 3.86 (m, 2H), 3.82 (s, 3H), 3.72 (m, 2H), 3.69~3.60 (m, 18H), 3.45 (d, J= 2.4Hz, 2H), 3.34 (m, 2H), 2.87 (t, J= 4.8Hz, 2H), 2.83 (m, 2H), 2.45 (m, 2H), 2.22 (m, 1H), 0.90 (2s, 18H), 0.25 (2s, 12H)
【0192】
LCB14-0582
テトラヒドロフラン(750μL)中の化合物7(25mg、0.015mmol)の溶液に、1N−酢酸アンモニウム(0.5mL)および10%カドミウム/鉛のカップル(50mg)を加えた。生じた混合物を、室温において3時間撹拌した。反応が完了した後、ジメチルクロロメタン(50mL)および蒸留水(50mL)を加えた。このようにして得られた有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下において濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーに供し、化合物LCB14-0582を得た(6mg、38.4%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 8.00 (m, 1H), 7.88 (m, 2H), 7.60 (m, 1H), 7.41~7.28 (m, 6H), 6.90~6.71 (m, 5H), 4.46 (m, 2H), 4.35~4.24 (m, 4H), 3.95~3.79 (m, 11H), 3.70 (m, 2H), 3.68~3.61 (m, 18H), 3.47 (m, 2H), 3.38 (m, 2H), 3.04 (m, 2H), 2.89 (t, J= 5.4Hz, 2H), 2.40 (m, 2H), 2.23 (bs, 1H)
EI-MS m/z: 1029(M+)
【0193】
2−17.アミノ−Peg5−PBD二量体(LCB14-0594)
【化27】
化合物1
テトラヒドロフラン中の例2〜14の化合物5(456mg、0.284mmol)の溶液に、トリフェニルホスフィン(108mg、0.411mmol)およびフタルイミド(50mg、0.341mmol)を加えた。DIAD(0.058mL、0.340mmol)を0℃でゆっくりと加えた。生じた混合物を室温において2時間撹拌した。反応が完了した後、ジクロロメタン(40mL)および水(40mL)で抽出を行った。残渣をカラムクロマトグラフィーに供し、黄色固体として化合物1を得た(492mg、定量的)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 7.84-7.82 (m, 2H), 7.70-7.69 (m, 2H), 7.34 (m, 2H), 7.29-7.25 (m, 6H), 6.90(d, J=7.2, 4H), 6.78(s, 2H), 5.92(d, J=9.0, 2H), 5.21(d, J=12.6, 2H), 4.28(m, 2H),4.19-4.10(m, 4H), 3.93(m, 6H), 3.89-3.87(m, 2H), 3.86-3.84(m, 2H), 3.82(s, 3H), 3.74-3.71(m, 4H), 3.67-3.66(m, 2H), 3.63-3.62(m, 6H), 3.59-3.58(m, 6H), 3.33(m, 2H), 2.85-2.82(m, 2H), 2.42(m, 2H), 0.91(s, 18H) , 0.27(2s, 12H)
【0194】
化合物2
エチルアルコール(2mL)およびテトラヒドロフラン(2mL)中の化合物1(492mg、0.283mmol)の溶液に、ヒドラジン一水和物(0.07mL、1.417mmol)を加えた。生じた混合物を60℃で5時間撹拌した。反応が完了した後、2mLの酢酸エチルを加えた。固体を濾過除去した。濾過物を濃縮し、カラムクロマトグラフィーに供し、黄色固体として化合物2を得た(380mg、83%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 7.35 (bs, 2H), 7.29-7.26 (m, 6H), 6.92-6.88 (m, 4H), 6.79 (bs, 2H), 5.92 (d, J=8.4, 2H), 5.21 (d, J=12, 2H), 4.29-4.28 (m, 2H), 4.19-4.17 (m, 6H), 3.93-3.90(m, 6H), 3.89-3.87 (m, 2H), 3.82(s, 3H), 3.75-3.73 (m, 2H), 3.69-3.63 (m, 12H), 3.35-3.31 (m, 2H), 2.96 (bs, 2H), 2.85 (d, J=16.8, 2H), 2.43 (m, 2H), 0.91 (s, 18H), 0.27 (2s, 12H).
EI-MS m/z: 1606(M
+)
【0195】
LCB14-0594
テトラヒドロフラン(1mL)中の化合物2(25mg、0.015mmol)の溶液に、1Nの酢酸アンモニウム(0.4mL)および10%カドミウム/鉛のカップル(40mg)を添加した。生じた混合物を同じ温度において12時間撹拌した。反応が完了した後、生じた混合物をジクロロメタンで濾過した。濾過溶液を濃縮し、カラムクロマトグラフィーに供し、黄色固体としてLCB14-0594を得た(4mg、26%)。
EI-MS m/z: 990(M+)
【0196】
2−18.グルクロニド−リンカー−PBD単量体(LCB14-0596)
【化28】
化合物(B)
テトラヒドロフラン(5mL)中の化合物(A)(300mg、0.57mmol)の溶液に、室温において、N−メチルモルホリン(0.16mL、1.43mmol)およびメタンスルホン酸無水物(120mg、0.69mmol)を加えた。生じた混合物を4時間撹拌した。酢酸エチル(100mL)および水(50mL)を加えた。このようにして得られた有機層を減圧下において濃縮した。残渣を酢酸エチルおよびヘキサンによるカラムクロマトグラフィーに供し、化合物(B)を得た(330mg、96%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ: 7.53(s, 1H), 7.40(s, 1H), 7.39-7.37(m, 2H), 7.33(t, J = 1.8Hz, 1H), 6.90-6.89(m, 2H), 5.47(d, J = 10.2Hz, 1H), 4.81(d, J = 10.2Hz, 1H), 4.62(dd, J = 7.2, 3.0Hz, 1H), 4.49-4.41(m, 2H), 3.97-3.93(m, 1H), 3.92(s, 3H), 3.83(s, 3H), 3.76-3.72(m, 1H), 3.68-3.64(m, 1H), 3.17-3.10(m, 3H), 2.96(s, 3H), 0.98(t, J = 8.4Hz, 2H), 0.02(s, 9H).
EI-MS m/z: 603(M+)
【0197】
化合物(C)
DMF(3mL)中の化合物(B)(330mg、0.55mmol)の溶液に、室温において、アジ化ナトリウム(43mg、0.66mmol)を加えた。生じた混合物を60℃で3時間撹拌した。酢酸エチル(100mL)および水(50mL)を加えた。このようにして得られた有機層を、減圧下において濃縮した。残渣を酢酸エチルおよびヘキサンによるカラムクロマトグラフィーに供し、黄色固体として化合物(C)を得た(307mg、99%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ: 7.54(s, 1H), 7.38-7.37(m, 3H), 7.34(t, J = 1.8Hz, 1H), 6.90-6.88(m, 2H), 5.49(d, J = 10.2Hz, 1H), 4.76(d, J = 10.2Hz, 1H), 4.63(dd, J = 7.2, 3.0Hz, 1H), 3.96-3.93(m, 1H), 3.92(s, 3H), 3.83(s, 3H), 3.79-3.75(m, 1H), 3.69-3.65(m, 1H), 3.52-3.50(m, 2H), 3.16-3.12(m, 1H), 3.03-2.99(m, 1H), 2.96-2.91(m, 1H), 0.99(t, J = 8.4Hz, 2H), 0.02(s, 9H).
EI-MS m/z: 550(M+)
【0198】
化合物(1−1)
テトラヒドロフラン(2mL)および蒸留水(0.5mL)中の化合物(C)(500mg、0.91mmol)の溶液に、室温において、トリフェニルホスフィン(285mg、1.09mmol)を加えた。生じた混合物を、40℃で13時間撹拌した。酢酸エチル(200mL)および水(100mL)を加えた。このようにして得られた有機層を減圧下において濃縮した。残渣を酢酸エチルおよびヘキサンによるカラムクロマトグラフィーに供し、黄色固体として化合物(1−1)を得た(435mg、93%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ: 7.50(s, 1H), 7.38-7.36(m, 3H), 7.33(t, J = 1.8Hz, 1H), 6.90-6.88(m, 2H), 5.47(d, J = 9.6Hz, 1H), 4.81(d, J = 9.6Hz, 1H), 4.67(dd, J = 7.2, 3.0Hz, 1H), 3.95-3.92(m, 1H), 3.91(s, 3H), 3.83(s, 3H), 3.76-3.72(m, 1H), 3.68-3.64(m, 1H), 3.15-3.10(m, 2H), 3.06-2.96(m, 2H), 2.94-2.88(m, 1H), 2.86-2.80(m, 1H), 0.98(t, J = 8.4Hz, 2H), 0.02(s, 9H).
EI-MS m/z: 524(M+)
【0199】
化合物3
ジメチルホルムアミド(3mL)中の例2〜4の化合物7(126mg、0.190mmol)および化合物(1−1)(100mg、0.190mmol)の溶液に、トリエチルアミン(TEA、80μL、0.57mmol)を添加した。生じた混合物を室温において3時間撹拌した。反応が完了した後、酢酸エチル(100mL)および蒸留水(100mL)を加えた。このようにして得られた有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下において濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーに供し、化合物3を得た(178mg、89%)。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) δ 7.46 (s, 1H), 7.37 (d, J= 8.8Hz, 2H), 7.34 (m, 2H), 7.22 (m, 1H), 6.87 (d, J= 8.8Hz, 2H), 6.71(d, J= 2.0Hz, 1H), 6.60 (m, 1H), 5.44 (d, J= 10.4Hz, 1H), 5.34 (m, 2H), 5.27 (m, 1H), 5.16 (d, J= 7.6Hz, 1H), 5.07 (s, 2H), 4.82~4.77 (m, 2H), 4.68 (d, J= 2.0Hz, 2H), 4.60 (m, 1H), 4.19 (d, J= 9.2Hz, 1H), 3.93 (m, 1H), 3.87 (s, 3H), 3.82 (s, 3H), 3.72~3.61 (m, 5H), 3.45 (m, 2H), 3.11 (m, 1H), 2.93~2.84 (m, 2H), 2.51 (bs, 1H), 2.05 (s, 3H), 2.04 (s, 3H), 2.03 (s, 3H), 0.97 (t, J= 7.2Hz, 2H), 0.01 (s, 9H)
【0200】
化合物4
メタノール(5mL)中の化合物3(100mg、0.094mmol)の溶液に、0℃において、蒸留水(2mL)中の水酸化リチウム(40mg、1.880mmol)を加えた。生じた混合物を、室温において3時間撹拌した。反応が完了した後、減圧下においてメタノールを取り除いた。残渣を蒸留水(50mL)で希釈し、酢酸でpH=3までゆっくりと酸性化した。ジクロロメタン(3×50mL)で3回、抽出を行った。生じた生成物を減圧下において濃縮し、固体化合物を得た。固体化合物を、ジエチルエーテル(50mL)で洗浄し、化合物4を得た(86.5mg、100%)。
1H NMR (600MHz, CD
3OD) δ 7.43 (s, 1H), 7.41 (d, J= 9Hz, 2H), 7.30 (d, J= 10.2Hz, 2H), 7.14 (d, J= 7.8Hz, 1H), 6.90 (d, J= 9Hz, 2H), 6.86 (m, 1H), 6.66 (m, 1H), 5.22 (m, 2H), 4.98~4.94 (m, 3H), 4.71~4.67 (m, 3H), 3.96 (m, 1H), 3.87 (s, 3H), 3.78 (s, 3H), 3.75 (m, 1H), 3.59~3.47 (m, 5H), 3.36 (m, 2H), 3.25 (m, 1H), 3.13 (m, 1H), 2.90 (bs, 1H), 2.85 (m, 2H), 0.83 (m, 2H), 0.01 (s, 9H)
EI-MS m/z: 904(M+)
【0201】
LCB14-0596
テトラヒドロフラン(1mL)およびエタノール(1mL)中の化合物4(86.5mg、0.094mmol)の溶液に、0℃において、水酸化ホウ素リチウムの2M−テトラヒドロフラン溶液(940μL、1.88mmol)を加えた。生じた混合物を室温において12時間撹拌した。さらなる水酸化ホウ素リチウム2M−テトラヒドロフラン溶液(1.41mL、2.82mmol)を加えた。生じた混合物を5時間撹拌した、0℃まで冷却した。1%ギ酸溶液(33mL)の添加により反応をクエンチした。生じた混合物を3時間撹拌した。反応が完了した後、蒸留水(50mL)および酢酸エチル(20mL)とメタノール(10mL)との混合溶液で抽出を行った。残渣を、クロロホルム/メタノール/ギ酸(V:V:V=9:1:0.05)を用いるカラムクロマトグラフィーに供し、化合物LCB14-0596を得た(50mg、69%)。
EI-MS m/z: 756(M+)
【0202】
2−19.グルクロニドリンカー−PBD二量体(LCB14-0597)
【化29】
化合物3
ジメチルホルムアミド(3mL)中の例2〜4の化合物7(150mg、0.220mmol)および例2〜17の化合物2(365mg、0.220mmol)の溶液に、トリエチルアミン(95μL、0.66mmol)を加えた。生じた混合物を室温において2時間撹拌した。反応が完了した後、酢酸エチル(100mL)および蒸留水(100mL)を加えた。このようにして得られた有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下において濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーに供し、化合物3を得た(310mg、64%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 7.35 (m, 2H), 7.30~7.25 (m, 7H), 6.90 (m, 4H), 6.78 (s, 2H), 6.73 (d, J= 2.4Hz, 1H), 6.60 (dd, 8.4, 1.8Hz, 1H), 5.90 (d, J= 2.4Hz, 2H), 5.36~5.32 (m, 2H), 5.27 (m, 2H), 5.22 (m, 2H), 5.13 (d, J= 7.2Hz, 1H), 5.09 (s, 2H), 4.69 (d, J= 2.4Hz, 2H), 4.29 (m 2H), 4.17~4.13 (m, 6H), 3.94 (m, 8H), 3.85 (t, J= 4.8Hz, 2H), 3.82 (s, 3H), 3.73 (s, 3H), 3.71 (m, 2H), 3.67~3.59 (m, 14H), 3.54 (t, J= 4.8Hz, 2H), 3.39~3.31 (m, 4H), 2.82 (m, 2H), 2.52 (t, J= 2.4Hz, 1H), 2.44 (m, 2H), 2.06 (s, 3H), 2.05 (s, 3H), 2.04 (s, 3H), 0.91 (s, 18H), 0.26 (2s , 12H)
【0203】
化合物4
メタノール(3mL)およびテトラヒドロフラン(1.5mL)中の化合物3(100mg、0.047mmol)の溶液に、0℃において、蒸留水(1.5mL)中の水酸化リチウム(20mg、0.47mmol)を加えた。生じた混合物を、室温において3時間撹拌した。反応が完了した後、有機溶媒を、減圧下において取り除いた。残渣を蒸留水(50mL)で希釈し、0.5NのHCl溶液でpH=3までゆっくりと酸性化した。ジクロロメタン(3×50mL)で3回、抽出を行った。抽出物を減圧下において濃縮し、化合物4を得た(93.4mg、100%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 7.35 (m, 2H), 7.30~7.24 (m, 7H), 4.89 (m, 4H), 6.78 (m, 3H), 6.64 (m, 1H), 5.91 (m, 2H), 5.65 (m, 1H), 5.21 (m, 2H), 5.07 (m, 2H), 4.89 (m, 1H), 4.67 (m, 2H), 4.28 (m, 2H), 4.18~4.12 (m, 6H), 3.93 (m, 8H), 3.85~3.82 (m, 5H), 3.72 (m, 2H), 3.65~3.54 (m, 20H), 3.34~3.32 (m, 4H), 2.82 (m, 2H), 2.56 (m, 1H), 2.44 (m, 2H), 0.90 (2s, 18H), 0.25 (2s, 12H)
【0204】
LCB14-0597
テトラヒドロフラン(1.5mL)中の化合物4(90mg、0.045mmol)の溶液に、1N−酢酸アンモニウム(1.2mL)および10%カドミウム/鉛のカップル(120mg)を加えた。生じた混合物を室温において3時間撹拌した。反応が完了した後、酢酸エチル(50mL)および蒸留水(50mL)を加えた。このようにして得られた有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下において濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーに供し、化合物LCB14-0597を得た(16.4mg、26%)。
EI-MS m/z: 1371(M+)
【0205】
2−20.アミノ−Peg1−PBD二量体(LCB14-0599)
【化30】
化合物1
エタノール(18mL)中の4−ブロモフェノール(4.0g、23.1mmol)の溶液に、室温において、水素化ナトリウム(1.0g、25.40mmol)および2−ブロモエタノール(1.7mL、23.10mmol)を加えた。酢酸エチル(500mL)および水(200mL)を加えた。このようにして得られた有機層を減圧下において濃縮した。残渣を酢酸エチルおよびヘキサンによるカラムクロマトグラフィーに供し、液体形態の化合物1を得た(4.3g、86%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ: 7.39-7.36(m, 2H), 6.81-6.78(m, 2H), 4.05-4.03(m, 2H), 3.95(t, J = 4.2Hz, 2H), 2.18(bs, 1H).
【0206】
化合物2
1,4−ジオキサン(10mL)中の化合物1(0.3g、1.38mmol)の溶液に、室温において、ビス(ピナコラト)二ホウ素(0.35g、1.38mmol)、酢酸カリウム(0.41g、4.14mmol)およびPdCl
2(dppf)(56mg、0.07mmol)を加えた。生じた混合物を、70℃で12時間撹拌し、次いで減圧下において濃縮した。酢酸エチルで濾過を行った。濾過溶液を減圧下において濃縮した。残渣を酢酸エチルおよびヘキサンによるカラムクロマトグラフィーに供し、化合物2を得た(0.36g、97%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ: 7.76-7.75(m, 2H), 6.92-6.91(m, 2H), 4.11(t, J = 4.2Hz, 2H), 3.97-3.96(m, 2H), 1.99(bs, 1H), 1.33(s, 12H).
【0207】
化合物3
トルエン(2mL)中の化合物(A)(85mg、0.11mmol)(これは、WO2006/111759、WO2010/043880およびWO2010/010347(これらの参考文献の各々の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)において記載される方法に従って調製された)および化合物2(35mg、0.13mmol)の溶液に、炭酸ナトリウム(17mg、0.16mmol)、蒸留水(1mL)およびエタノール(1mL)を加えた。生じた混合物を5分間撹拌した後で、Pd(TPP
3)
4(22mg、0.02mmol)を加えた。生じた混合物を2時間撹拌した。酢酸エチル(10mL)および水(10mL)を加えた。このようにして得られた有機層を減圧下において濃縮し、残渣を酢酸エチルおよびヘキサンによるカラムクロマトグラフィーに供し、黄色固体として化合物3を得た(79mg、53%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ: 7.36-7.35(m, 2H), 7.32-7.25(m, 6H), 6.92-6.89(m, 4H), 6.78(s, 2H), 5.92(d, J = 9.0Hz, 2H), 5.22(d, J = 12.0Hz, 2H), 4.30-4.28(m, 2H), 4.17-4.10(m, 6H), 3.98-3.94(m, 4H), 3.94(s, 6H), 3.83(s, 3H), 3.37-3.32(m, 2H), 2.85-2.82(m, 2H), 2.46-2.44(m, 2H), 1.98(bs, 1H), 0.91(s, 18H), 0.26(2s, 12H).
EI-MS m/z: 1387(M+ )
【0208】
化合物4
テトラヒドロフラン(2mL)中の化合物3(77mg、0.06mmol)の溶液に、室温において、トリフェニルホスフィン(18mg、0.07mmol)、フタルイミド(10mg、0.07mmol)およびDIAD(13ul、0.07mmol)を連続的に加えた。生じた混合物を12時間撹拌した。酢酸エチル(10mL)および水(10mL)を加えた。このようにして得られた有機層を減圧下において濃縮した。残渣を酢酸エチルおよびヘキサンによるカラムクロマトグラフィーに供し、黄色固体として化合物4を得た(72mg、87%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ: 7.88-7.86(m, 2H), 7.77-7.75(m, 2H), 7.39-7.36(m, 2H), 7.30-7.24(m, 6H), 6.90-6.86(m, 4H), 6.78(d, J = 1.8Hz, 2H), 5.92- 5.88(m, 2H), 5.24-5.22(m, 2H), 4.28-4.24(m, 4H), 4.17-4.11(m, 6H), 3.98-3.90(m, 8H), 3.83(s, 3H), 3.36-3.29(m, 2H), 2.85-2.78(m, 2H), 2.47-2.43(m, 2H), 0.91(d, J = 1.8Hz, 18H), 0.27-0.24(m, 12H).
EI-MS m/z: 1516(M+ )
【0209】
化合物5
エタノール(2mL)中の化合物4(70mg、0.05mmol)の溶液を、室温において、ヒドラジン一水和物(12μl、0.23mmol)で処置した。生じた混合物を60℃で5時間撹拌した。酢酸エチル(10mL)を用いて固体を濾過除去した。濾過物を減圧下において濃縮した。残渣をジクロロメタンおよびメタノールによるカラムクロマトグラフィーに供し、化合物5を得た(64mg、63%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ: 7.36-7.35(m, 2H), 7.32-7.25(m, 6H), 6.92-6.89(m, 4H), 6.78(s, 2H), 5.92(d, J = 9.0Hz, 2H), 5.22(d, J = 12.0Hz, 2H), 4.30-4.28(m, 2H), 4.17-4.10(m, 6H), 3.98-3.94(m, 4H), 3.94(s, 6H), 3.83(s, 3H), 3.37-3.32(m, 2H), 2.85-2.82(m, 2H), 2.46-2.44(m, 2H), 1.98(bs, 1H), 0.91(s, 18H), 0.26(2s, 12H).
EI-MS m/z: 1386(M+ )
【0210】
LCB14-0599
テトラヒドロフラン(2mL)中の化合物5(30mg、0.02mmol)の溶液に、室温において、1Nの酢酸アンモニウム溶液(0.6mL)およびカドミウム/鉛のカップル(60mg)を加えた。生じた混合物を4時間撹拌した。酢酸エチル(10mL)を用いて固体を濾過除去した。濾過物を減圧下において濃縮した。残渣をジクロロメタンおよびメタノールによるカラムクロマトグラフィーに供し、黄色固体として化合物LCB14-0599を得た(9.0mg、60%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3, CD3OD_1drop) δ: 7.54-7.49(m, 3H), 7.35-7.30(m, 5H), 7.26(s, 1H), 6.93-6.86(m, 5H), 6.51(s, 1H), 6.29(s, 1H), 4.67-4.59(m, 2H), 4.28-4.09(m, 6H), 3.85(s, 9H), 3.31-3.27(m, 1H), 3.07-3.03(m, 2H), 2.92-2.89(m, 1H), 2.39-2.30(m, 2H), 2.05-2.03(m, 2H).
EI-MS m/z: 770(M+)
【0211】
2−21.カルボニル基を含む修飾GPP誘導体(LCB14-0606)
【化31】
化合物2
ピリジン中の化合物1(3g、19.45mmol)の溶液に、室温において無水酢酸(7.9mL、77.8mmol)を加えた。生じた混合物を2時間撹拌した。石油エーテル(100mL)および0.1NのHCl(100mL)を加えた。このようにして得られた有機層を減圧下において濃縮し、水性形態の化合物2を得た(3.81g、100%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 5.35-5.33 (m, 1H), 5.08-4.58 (m, 1H), 4.59 (d, J=6.6Hz, 2H), 2.11-2.03(m, 4H), 2.05(s, 3H), 1.70(s, 3H), 1.68(s, 3H), 1.60(s, 3H)
【0212】
化合物3
ジクロロメタン(30mL)中の化合物2(3.81g、19.41mml)の溶液に、室温において、二酸化セレン(65mg、0.58mml)および70%のtert−ブチルヒドロペルオキシド(6.72mL、48.52mmol)を連続的に加えた。生じた混合物をにまる20時間撹拌した。反応が完了した後、ジクロロメタン(100mL)および水(100mL)を加えた。このようにして得られた有機層を減圧下において濃縮した。残渣を酢酸エチルおよびヘキサンによるカラムクロマトグラフィーに供し、液体として化合物3を得た(1.8g、43%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 5.38-5.30(m, 2H), 4.59 (d, J=7.2Hz, 2H), 4.00-3.99 (d, J=6Hz, 2H), 2.18-2.15(m, 2H), 2.10-2.06(m, 2H), 2.05(s, 3H), 1.70(s, 3H), 1.66(s, 3H)
【0213】
化合物4
ジクロロメタン(18mL)中の化合物3(1.8g、8.48mmol)の溶液に、0℃で、トリフェニルホスフィン(3.33g、12.72mmol)および四臭化炭素(3.37g、10.18mmol)を加えた。生じた混合物を0℃で4時間撹拌した。ジクロロメタン(100mL)および水(100mL)を加えた。このようにして得られた有機層を減圧下において濃縮した。残渣を酢酸エチルおよびヘキサンによるカラムクロマトグラフィーに供し、液体形態の化合物4を得た(2.33g、100%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 5.57-5.55(m, 1H), 5.35-5.32 (m, 2H), 4.59 (d, J=7.2Hz, 2H), 3.96(s, 2H), 2.18-2.15(m, 2H), 2.10-2.07(m, 2H), 2.05(s, 3H), 1.75(s, 3H), 1.70(s, 3H)
【0214】
化合物5
テトラヒドロフラン(35mL)中の水素化ナトリウム(348mg、8.71mmol)の溶液に、0℃で、テトラヒドロフラン(5mL)中のエチルアセト酢酸(1.85mL、14.52mmol)の溶液を、一滴ずつ加えた。生じた混合物を0℃で30分間撹拌した後、テトラヒドロフラン(5mL)中に溶解した化合物4(2g、7.26mmol)を、0℃でゆっくりと加えた. 生じた混合物を80℃で4時間撹拌した。酢酸エチル(80mL)および水(80mL)を加えた。このようにして得られた有機層を減圧下において濃縮した。残渣を酢酸エチルおよびヘキサンによるカラムクロマトグラフィーに供し、白色液体として化合物5を得た(1.56g、66%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 5.34-5.31(m, 1H), 5.17-5.14 (m, 1H), 4.60-4.58 (m, 2H), 4.20-4.16 (m, 2H), 3.61 (t, J=7.2Hz, 2H), 2.55-2.51 (m, 2H), 2.22 (s, 3H), 2.12-2.02 (m, 4H), 2.06 (s, 3H), 1.27(t, J=7.2Hz, 3H)
【0215】
化合物6
エタノール(20mL)中の化合物5(1.56g、4.81mmol)の溶液に、水酸化カリウム(2.16g、38.47mmol)を、エタノール(20mL)と共に加えた。生じた混合物を100℃で4時間撹拌し、エチルエーテル(100mL)および0.1NのHCl溶液(50mL)で希釈し、次いで、Na
2CO
3溶液で中和した。このようにして得られた有機層を減圧下において濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーに供し、化合物6を得た(819mg、81%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 5.39-5.37(m, 1H), 5.09-5.07 (m, 1H), 4.15 (d, J=6.6Hz, 2H),2.53-2.51 (m, 2H), 2.27-2.24(m, 2H),2.13 (s, 3H), 2.12-2.09 (m, 2H), 2.04-2.01 (m, 2H),1.66 (s, 3H), 1.60(s, 3H)
【0216】
化合物7
ジクロロメタン(10mL)中のN−クロロコハク酸イミド(210mg、1.57mmol)の溶液に、窒素雰囲気下において、ジメチルスルフィド(126μL、1.71mmol)をゆっくりと加えた。生じた混合物を、0℃において5分間撹拌した。ジクロロメタン(5mL)中に溶解した化合物6(300mg、1.43mmol)の溶液を、30℃において加えた。生じた混合物を、0℃において2時間撹拌した。反応が完了した後、n−ペンタン(100mL)および水(100mL)を加えた。このようにして得られた有機層を、減圧下において濃縮し、化合物7を得た(325mg、99%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 5.42 (m, 2H), 5.09 (m, 2H), 4.11 (d, J= 8.4Hz, 2H), 2.52 (m, 2H), 2.24 (m, 2H), 2.14 (s, 3H), 2.11 (m, 2H), 2.05 (m, 2H), 1.71 (s, 3H), 1.60 (s, 3H).
【0217】
LCB14-0606
JACS, 2010, 132(12), 4281(これらの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)において記載される類似の方法に従って、化合物lcb14-0606を調製した。7mLのアセトニトリル中の化合物7(320mg、1.40mmol)の溶液に、室温において、アセトニトリル(7ml)中のトリス(テトラブチルアンモニウム)ピロリン酸水素(2.25g、2.80mmol)の溶液を、ゆっくりと加えた。生じた混合物を1時間撹拌した。反応が完了した後、生じた混合物を減圧下において25℃未満において濃縮した。残渣を、アンモニア水:希釈水(v:v=3:1)および25mMの炭酸水素アンモニウム:イソプロピルアルコール(v:v=50:1)によるカラムクロマトグラフィー(BioRad AG 50w-x8樹脂、水素形態、15gを充填)に供し化合物LCB14-0606を得た(585mg、99%)。
1H NMR (600MHz, D
2O) δ 5.42 (m, 1H), 5.16 (m, 1H), 4.46 (t, J= 6.6Hz, 2H), 2.66 (t, J= 7.2Hz, 2H), 2.25 (t, J= 7.2Hz, 2H), 2.19 (s, 3H), 2.14 (m,2H), 2.06 (m, 2H), 1.69 (s, 3H), 1.60 (s, 3H)
【0218】
例3:Ab(M)−CAAXのプレニル化
3−1.プレニル化方法
NBD-GPP(トリス−アンモニウム[3,7−ジメチル−8−(7−ニトロ−ベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール−4−イルアミノ)−オクタ−2,6−ジエン−1]ピロホスファート)およびFTアーゼ(#344146、Calbiochem、USA)、またはNBD-FPP(#LI-013、Jena Bioscience、Germany)およびGGTアーゼI(#345852, Calbiochem, USA)を用いて、Ab(M)−CAAXのプレニル化を行った。
【0219】
プレニル化反応は、30℃で3時間、5mMのMgCl
2、10μMのZnCl
2および5mMのDTTを含む50mMのトリス−HCl(pH7.4)バッファー溶液を用いて行った。反応が完了した後、SDS-PAGE分析を行った。イメージアナライザー(ChemiDoc XRS
+、BioRad、USA)を用いて、蛍光タンパク質のバンドを同定し、プレニル化反応が起こったことを確認した。
【0220】
3−2.FTアーゼおよびNBD-GPPを用いるハーセプチン−HC−CAAXのプレニル化
ハーセプチン−HC−GCVIM、ハーセプチン−HC−G
5CVIM(示さず)、ハーセプチン−HC−G
7CVIMおよびハーセプチン−HC−G
10CVIM抗体を、上記の方法においてNBD-GPPおよびFTアーゼを用いてプレニル化した。それぞれの抗体の重鎖に対応するタンパク質バンド(約50Kダルトン)において蛍光を検出した。この結果は、各々が多様な長さのスペーサーを有するハーセプチン−HC−CAAX抗体を、プレニル化することができたことを確認した(
図12)。
【0221】
3−3.FTアーゼおよびNBD-GPPを用いるハーセプチン−LC−CAAXのプレニル化
ハーセプチン−LC−GCVIM、ハーセプチン−LC−G
5CVIM、ハーセプチン−LC−G
7CVIMよびハーセプチン−LC−G
10CVIM抗体を、上記の方法においてNBD-GPPおよびFTアーゼを用いて、プレニル化した。それぞれの抗体の軽鎖に対応するタンパク質バンド(約25Kダルトン)において蛍光を検出した。この結果は、各々が多様な長さのスペーサーを有するハーセプチン−LC−CAAX抗体を、プレニル化することができたことを確認した(
図13)。
【0222】
3−4.FTアーゼおよびNBD-GPPを用いる抗cMET−HC−CAAXのプレニル化
抗cMET−HC−G
7CVIMおよび抗cMET−HC−G
10CVIM抗体を、上記の方法においてNBD-GPPおよびFTアーゼを用いてプレニル化した。それぞれの抗体の重鎖に対応するタンパク質バンド(約50Kダルトン)において蛍光を検出した。この結果は、各々が多様な長さのスペーサーを有する抗cMET−HC−CAAX抗体を、プレニル化することができたことを確認した(
図14)。
【0223】
3−5.FTアーゼおよびNBD-GPPを用いる抗cMET−LC−CAAXのプレニル化
抗cMET−LC−G
7CVIMおよび抗cMET−LC−G
10CVIM抗体を、上記の方法においてNBD−GPPおよびFTアーゼを用いてプレニル化した。それぞれの抗体の軽鎖に対応するタンパク質バンド(約25Kダルトン)において蛍光を検出した。この結果は、各々が多様な長さのスペーサーを有する抗cMET−LC−CAAX抗体を、プレニル化することができたことを確認した(
図15)。
【0224】
3−6.GGTアーゼIおよびNBD-FPPを用いるハーセプチン−HC−CAAXのプレニル化
ハーセプチン−HC−G
10CVLL抗体を、上記の方法においてNBD-FPPおよびGGTアーゼIを用いてプレニル化した。C末端においてG
10スペーサーを介してCAAX−モチーフに結合した抗体の重鎖に対応するタンパク質バンド(約50Kダルトン)において、蛍光を検出した。この結果は、ハーセプチン−HC−CAAX抗体をGGTアーゼIによりプレニル化することができたことを確認した(
図16)。
【0225】
3−7.GGTアーゼIおよびNBD-FPPを用いるハーセプチン−LC−CAAXのプレニル化
上記の方法においてNBD-FPPおよびGGTアーゼIを用いて、ハーセプチン−LC−G
10CVLL抗体をプレニル化した。C末端においてG
10スペーサーを介してCAAX−モチーフに結合した抗体の軽鎖に対応するタンパク質バンド(約25Kダルトン)において蛍光を検出した。この結果は、ハーセプチン−LC−CAAX抗体をGGTアーゼIによりプレニル化することができたことを確認した(
図16)。
【0226】
3−8.FTアーゼおよびイソ基質を用いるハーセプチン−LC−CAAXのプレニル化
ハーセプチン−LC−G7CVIM
上記の方法においてLCB14-0512およびFTアーゼを用いて、ハーセプチン−LC−G
7CVIM抗体をプレニル化した。プレニル化されたハーセプチン−LC−G
7CVIM抗体を、PNGアーゼFで処置することなく還元条件においてLC/MS分析に供する場合、重鎖および軽鎖の理論上の分子量が、それぞれ、50,597ダルトンおよび24,480ダルトンとなることが予測された。
図17において示すとおり、重鎖および軽鎖の実験による分子量は、それぞれ、50,600ダルトンおよび24,479ダルトンであると測定された。理論上の分子量値と実験による分子量値との間の差異は、標準誤差範囲内であった。この結果は、ハーセプチン−LC−G
7CVIM抗体がFTアーゼおよびイソ基質(LCB14-0512)によりプレニル化されたことを確認した。
【0227】
ハーセプチン−LC−G10CVIM
上記の方法においてLCB14-0512およびFTアーゼを用いて、ハーセプチン−LC−G
10CVIM抗体をプレニル化した。プレニル化されたハーセプチン−LC−G
10CVIM抗体を、PNGアーゼFで処置することなく還元条件においてLC/MS分析に供する場合、重鎖および軽鎖の理論上の分子量が、それぞれ、50,596ダルトンおよび24,651ダルトンとなることが予測された。
図18において示すとおり、重鎖および軽鎖の実験による分子量は、それぞれ、50,601ダルトンおよび24,651ダルトンであると測定された。理論上の分子量値と実験による分子量値との間の差異は、標準誤差範囲内であった。この結果は、ハーセプチン−LC−G
10CVIM抗体がFTアーゼおよびイソ基質(LCB14-0512)によりプレニル化されたことを確認した。
【0228】
例4:クリックケミストリーを用いることによる薬物コンジュゲーション
4−1.プレニル化されたAb(M)−CAAXの再酸化
ダイアフィルトレーションを行って、上記の方法に従って調製されたプレニル化ハーセプチン−LC−G
7CVIM中の過剰な試薬を取り除いた。CuSO
4を用いて抗体を再酸化した。ダイアフィルトレーションを行って、CuSO
4を取り除いた。
【0229】
4−2.クリックケミストリーおよびリンカー-薬物を用いるAb(M)−CAAXの薬物コンジュゲーション
再酸化されたプレニル化ハーセプチン-LC-G
7CVIMと化合物LCB14-0536との間のクリックケミストリー反応を10分間行った。生じたコンジュゲート(LCB14-0104)(
図26)を、LC/MS分析に供した。抗体を、PNGアーゼFで処置することなく還元条件においてLC/MS分析に供する場合、重鎖および軽鎖の理論上の分子量が、それぞれ、49,153ダルトンおよび25,410ダルトンとなることが予測された。
図19において示すとおり、重鎖および軽鎖の実験による分子量は、それぞれ、49,154ダルトンおよび25,408ダルトンであると測定された。理論上の分子量値と実験による分子量値との間の差異は、標準誤差範囲内であった。この結果は、プレニル化されたハーセプチン−LC−G
7CVIM抗体が、クリックケミストリー反応により薬物とコンジュゲートを形成したことを確認した。
【0230】
4−3.ハーセプチン−LC−CAAX−薬物コンジュゲートの分析
コンジュゲートLCB14-0101を、Ether-5PWカラム(7.5×75mm、10μm、Tosoh Bioscience、USA)による疎水性相互作用クロマトグラフィー−高速液体クロマトグラフィーに供した。1.5Mの硫酸アンモニウムを含む50mMのリン酸カリウムバッファー(pH7.0)をバッファーAとして用い、20%イソプロピルアルコールを含む50mMのリン酸カリウムバッファー(pH7.0)をバッファーBとして用いた。90%A/10%Bを5分間保持した。90%A/10%Bから10%A/90%Bまでの直線勾配を用いて、次の30分間、溶離を行った。流速および温度は、それぞれ、0.8mL/分および25℃として設定した。その後、254および280nmの両方において、検出を行った。未修飾のハーセプチン−LC−G
7CVIMおよびプレニル化されたハーセプチン−LC−G
7CVIMを、対照として用いた。未修飾のハーセプチン−LC−G
7CVIM、プレニル化されたハーセプチン−LC−G
7CVIMおよびコンジュゲートLCB14-0101の反応時間は、それぞれ、9.6、11.7および12.4分間であった(
図20)。
【0231】
例5:ADCの抗増殖性
5−1.細胞株
市販のヒト乳癌細胞株MCF-7(HER2陰性〜正常)、MDA-MB-468(HER2陰性)およびSK-BR-3(HER2陽性)を用いた。市販の細胞株について提供される推奨規格に従って、細胞株を培養した。
【0232】
5−2.試験試料
抗体として、市販のハーセプチン抗体およびハーセプチン−LC−G
7CVIMを用いた。薬物として、LCB14-0537(MMAF)、LCB14-0508(MMAF-OMe)およびLCB14-0562(MMAE)を用いた。タンパク質−活性剤コンジュゲートとして、LCB14-0101、LCB14-0102およびLCB14-0103(
図26)を用いた。LCB14-0512を用いてハーセプチン−LC−G
7CVIMをプレニル化した。LCB14-0592を用いて、プレニル化されたハーセプチン−LC−G
7CVIMをクリック反応に供し、β−グルクロニドリンカー(BG)-MMAFをコンジュゲートし、それによりLCB14-0101を調製した。加えて、LCB14-0589を用いて、プレニル化されたハーセプチン−LC−G
7CVIMをクリック反応に供し、Val-Citリンカー(VC)-MMAF-OMeをコンジュゲートし、それによりLCB14-0102を調製した。さらに、LCB14-0598を用いて、プレニル化されたハーセプチン−LC−G
7CVIMをクリック反応に供し、β−グルクロニドリンカー(BG)-MMAEをコンジュゲートし、それによりLCB14-0103を調製した。
【0233】
5−3.試験方法
癌細胞株に関する抗体、薬物およびコンジュゲートの抗増殖活性を測定した。96ウェルの組織培養プレート中に、1ウェルあたり1×10
4細胞において細胞を播種した。24時間のインキュベーションの後で、抗体、薬物およびコンジュゲートを多様な濃度において添加した。72時間後の生細胞の数をSRB色素を用いて係数した。吸光度を540nmにおいてSpectraMax 190(Molecular Devices, USA)を用いて測定した。
【0234】
5−4.試験結果
LCB14-0101(ハーセプチン−LC−G7CVIM−BG−MMAF)
ハーセプチン−LC−G
7CVIMは、MCF-7、MDA-MB-468およびSK-BR-3について、10μg/mL以上のIC
50を有した。LCB14-0101(MMAFコンジュゲート)は、HER2を発現しない化合物または低いレベルにおいて発現するMCF-7およびMDA-MB-468について、それぞれ8.09μg/mLおよび4.18μg/mLのIC
50を有したが、HER2を過剰発現するSK-BR-3については、0.11μg/mLのIC
50を有した。その優れた阻害活性に加えて、LCB14-0101は、ハーセプチン−LC−G
7CVIMよりも約40〜80倍選択性が高い。したがって、LCB14-0101が細胞傷害性の薬効力および抗HER2選択性の両方を有することが確認される(
図21)。
【0235】
LCB14-0102(ハーセプチン−LC−G7CVIM−VC−MMAF−OM)
ハーセプチン−LC−G
7CVIMは、MCF-7およびSK-BR-3について10μg/mLのIC
50を有した。LCB14-0102(MMAF-OMeコンジュゲート)は、MCF-7について4.38μg/mLのIC
50を有し、一方、SK-BR-3については0.15μg/mLのIC
50を有した。その優れた阻害活性に加えて、LCB14-0102は、ハーセプチン−LC−G
7CVIMよりも約30倍選択性が高い。したがって、LCB14-0102が細胞傷害性の薬効力および抗HER2選択性の両方を有することが確認される(
図22)。
【0236】
LCB14-0103(ハーセプチン−LC−G7CVIM−BG−MMAE)
LCB14-0103(MMAEコンジュゲート)は、MCF-7について7.25μg/mLのIC
50を有し、一方、SK-BR-3については0.072μg/mLのIC
50を有した。その優れた阻害活性に加えて、LCB14-0103は、ハーセプチン−LC−G
7CVIMよりも約100倍選択性が高い。したがって、LCB14-0103が細胞傷害性の薬効力および抗HER2選択性の両方を有することが確認される(
図23)。
【0237】
他の態様
前述の記載から、本明細書において記載される本発明に対して、それを多様な用途および条件に対して適応させるために、変形および改変が行われてもよいことが理解されるであろう。かかる態様もまた、以下の請求の範囲の範囲内である。
本明細書における変数の任意の定義における要素の列記の記述は、列記される要素のうちの任意の単一の要素または組み合わせ(または部分的組み合わせ)としてのその変数の定義を含む。本明細書における態様の記述は、任意の単一の態様として、または任意の他の態様もしくはその部分との組み合わせにおけるものとしてのその態様を含む。
本明細書において記載される全ての特許および刊行物は、各々の独立した特許および刊行物が具体的におよび個々に参照により組み込まれることが示された場合と同じ程度で、参照により本明細書に組み込まれる
。
[1] イソプレノイドトランスフェラーゼにより認識され得るアミノ酸モチーフを有するタンパク質を含むタンパク質−活性剤コンジュゲートであって、前記活性剤が、前記アミノ酸モチーフにおいてタンパク質に共有的に連結されている、前記コンジュゲート。 [2] タンパク質が、
(i)タンパク質のカルボキシ末端における欠失;
(ii)タンパク質のカルボキシ末端におけるオリゴペプチドまたはポリペプチドの付加;ならびに
(iii)タンパク質のカルボキシ末端における欠失、およびタンパク質のカルボキシ末端におけるオリゴペプチドまたはポリペプチドの付加;
から本質的になる群より選択される修飾を含み、該修飾が、前記アミノ酸モチーフに連結している、1に記載のタンパク質−活性剤コンジュゲート。
[3] タンパク質が、抗体または抗原性ポリペプチドのフラグメントである、1または2に記載のタンパク質−活性剤コンジュゲート。
[4] タンパク質がモノクローナル抗体である、3に記載のタンパク質−活性剤コンジュゲート。
[5] モノクローナル抗体の少なくとも1つの軽鎖および/または少なくとも1つの重鎖が、アミノ酸モチーフを有するアミノ酸領域を含む、4に記載のタンパク質−活性剤コンジュゲート。
[6] イソプレノイドトランスフェラーゼがFTアーゼまたはGGTアーゼである、1〜5のいずれか1項に記載のタンパク質−活性剤コンジュゲート。
[7] 活性剤が、薬物、毒素、アフィニティーリガンド、検出プローブまたはそれらの組み合わせである、1〜6のいずれか1項に記載のタンパク質−活性剤コンジュゲート。
[8] アミノ酸モチーフが、CAAX、XXCC、XCXCまたはCXXであり、ここで、Cはシステインを表わし、Aは脂肪族アミノ酸を表わし、Xは、イソプレノイドトランスフェラーゼの基質特異性を決定するアミノ酸を表わす、1〜7のいずれか1項に記載のタンパク質−活性剤コンジュゲート。
[9] アミノ酸モチーフが、少なくとも1つのリンカーを介して活性剤に共有的に連結されている、1〜8のいずれか1項に記載のタンパク質−活性剤コンジュゲート。
[10] リンカーが、イソプレノイドトランスフェラーゼにより認識され得るイソプレニル誘導体である、9に記載のタンパク質−活性剤コンジュゲート。
[11] リンカーが、以下の式(I):
【化32】
式中、
P1およびYは、独立して、第1の官能基(FG1)を含む基であり、FG1は、アセチレン、アジド、アルデヒド、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、ケトン、ニトロベンゾフラン(NBD)、ダンシル、フルオレセイン、ビオチン、およびローダミンからなる群より選択され、
L1は、(CH2)rXq(CH2)pであり、
Xは、酸素、硫黄、−NR1−、−C(O)NR1−、−NR1C(O)−、−NR1SO2−、−SO2NR1−、−(CH=CH)−またはアセチレンであり、
R1は、水素、C1−6アルキル、C1−6アルキルアリールまたはC1−6アルキルヘテロアリールであり、
rおよびpは、独立して、0〜6の整数であり、
qは、0〜1の整数であり、および
nは、1〜4の整数である
により表わされる、9または10に記載のタンパク質−活性剤コンジュゲート。
[12] 活性剤が、FG1と反応することができる第2の官能基(FG2)を含む基に連結しており、ここでFG2は、アセチレン、ヒドロキシルアミン、アジド、アルデヒド、ヒドラジン、ケトンおよびアミンからなる群より選択される、9〜11のいずれか1項に記載のタンパク質−活性剤コンジュゲート。
[13] 活性剤が、−(CH2)rXq(CH2)p−または−[ZCH2CH2O(CH2CH2O)wCH2CH2Z]−を介してFG2を含む基に連結しており、ここで、 Xは、酸素、硫黄、−NR1−、−C(O)NR1−、−NR1C(O)−、−NR1SO2−または−SO2NR1−であり
Zは、酸素、硫黄またはNR1であり、
R1は、水素、C1−6アルキル、C1−6アルキルアリールまたはC1−6アルキルヘテロアリールであり、
rおよびpは、独立して、0〜6の整数であり、
qは、0〜1の整数であり、ならびに
wは、0〜6の整数である、
12に記載のタンパク質−活性剤コンジュゲート。
[14] −(CH2)rXq(CH2)p−または−[ZCH2CH2O(CH2CH2O)wCH2CH2Z]−が、(i)カテプシンBにより切断され得るペプチドまたは(ii)β−グルクロニダーゼにより切断され得るグルクロニドに連結する、13に記載のタンパク質−活性剤コンジュゲート。
[15] カテプシンBにより切断され得るペプチドが、
【化33】
である、14に記載のタンパク質−活性剤コンジュゲート。
[16] β−グルクロニダーゼにより切断され得るグルクロニドが、
【化34】
である、14に記載のタンパク質−活性剤コンジュゲート。
[17] 1に記載のタンパク質−活性剤コンジュゲートを調製するための方法であって、以下:
(a)イソプレノイドトランスフェラーゼにより認識され得るアミノ酸モチーフを有するタンパク質を発現させること;
(b)イソプレノイドトランスフェラーゼを用いて、発現されたタンパク質を、第1の官能基(FG1)を有する少なくとも1つのイソ基質と酵素的に反応させ、それにより官能化されたタンパク質を生成すること;
(c)第2の官能基(FG2)を活性剤に連結させ、それにより官能化された活性剤を生成すること;ならびに
(d)官能化されたタンパク質を官能化された活性剤と反応させ、それにより、1に記載のタンパク質−活性剤コンジュゲートを生成すること
を含む、前記方法。
[18] アミノ酸モチーフが、タンパク質のカルボキシ末端において存在する、17に記載の方法。
[19] アミノ酸モチーフが、CAAX、XXCC、XCXCまたはCXXであり、ここで、Cはシステインを表わし、Aは脂肪族アミノ酸を表わし、Xは、イソプレノイドトランスフェラーゼの基質特異性を決定するアミノ酸を表わす、17または18に記載の方法。
[20] アミノ酸モチーフがCAAXであり、およびここで方法がさらに、工程(b)の後でアミノ酸モチーフからAAXを取り除くことを含む、19に記載の方法。
[21] FG2が、少なくとも1つのリンカーにより活性剤に連結する17〜20のいずれか1項に記載の方法。
[22] 官能化されたタンパク質と官能化された活性剤との間の反応が、クリックケミストリー反応、またはヒドラゾンおよび/もしくはオキシム形成である、17〜21のいずれか1項に記載の方法。
[23] FG1がアジド基でありFG2がアセチレン基であるか、またはFG1がアセチレン基でありFG2がアジド基である、22に記載の方法。
[24] FG1がアルデヒドまたはケトン基でありFG2がヒドラジンまたはヒドロキシルアミンであるか、FG1がヒドラジンまたはヒドロキシルアミンでありFG2がアルデヒドまたはケトンである、22に記載の方法。
[25] 1に記載のタンパク質−活性剤コンジュゲートを調製するための方法であって、以下:
(a)イソプレノイドトランスフェラーゼにより認識され得るアミノ酸モチーフを有するタンパク質を発現させること;
(b)イソプレノイドトランスフェラーゼのイソ基質を活性剤に連結させること;ならびに
(c)イソプレノイドトランスフェラーゼを用いて、発現されたタンパク質をイソ基質に連結した活性剤と酵素的に反応させること
を含む、前記方法。
[26] アミノ酸モチーフが、タンパク質のカルボキシ末端において存在する、25に記載の方法。
[27] アミノ酸モチーフが、CAAX、XXCC、XCXCまたはCXXであり、ここで、Cはシステインを表わし、Aは脂肪族アミノ酸を表わし、Xは、イソプレノイドトランスフェラーゼの基質特異性を決定するアミノ酸を表わす、25または26に記載の方法。
[28] イソ基質が、少なくとも1つのリンカーにより活性剤に連結する、25〜27のいずれか1項に記載の方法。
[29] 1〜16のいずれか1項に記載のタンパク質−活性剤コンジュゲートを含む組成物。
[30] タンパク質−活性剤コンジュゲートの均質な混合物である、29に記載の組成物。
[31] タンパク質が、抗体または抗原性ポリペプチドのフラグメントである、30に記載の組成物。
[32] 対象における標的細胞に活性剤を送達するための方法であって、1〜16のいずれか1項に記載のタンパク質−活性剤コンジュゲート、または29〜31のいずれか1項に記載の組成物を、前記対象に投与することを含む、前記方法。
[33] 標的細胞が癌細胞である、32に記載の方法。
[34] 標的細胞が、病原体を含む細胞である、32に記載の方法。
[35] 病原体が、ウイルス、細菌、真菌または寄生虫である、34に記載の方法。 [36] それを必要とする対象を処置する方法であって、1〜16のいずれか1項に記載のタンパク質−活性剤コンジュゲートまたは29〜31のいずれか1項に記載の組成物の治療有効量を、前記対象に投与することを含む、前記方法。
[37] 対象が癌を有する、36に記載の方法。
[38] 対象が、病原体による感染を有する、36に記載の方法。
[39] 病原体が、ウイルス、細菌、真菌または寄生虫である、38に記載の方法。 [40] 活性剤が、免疫調節性化合物、抗癌剤、抗ウイルス剤、抗菌剤、抗真菌剤、または抗寄生虫剤である、1〜39のいずれか1項に記載のタンパク質−活性剤コンジュゲート、組成物または方法。