(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385529
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】オーディオ信号処理回路、オーディオ信号処理方法、それを用いた車載用オーディオ装置、オーディオコンポーネント装置、電子機器
(51)【国際特許分類】
H03F 1/26 20060101AFI20180827BHJP
H03F 3/181 20060101ALI20180827BHJP
H03F 3/68 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
H03F1/26
H03F3/181 Z
H03F3/68 Z
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-131008(P2017-131008)
(22)【出願日】2017年7月4日
(62)【分割の表示】特願2012-60744(P2012-60744)の分割
【原出願日】2012年3月16日
(65)【公開番号】特開2017-192151(P2017-192151A)
(43)【公開日】2017年10月19日
【審査請求日】2017年7月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】酒井 光輝
【審査官】
緒方 寿彦
(56)【参考文献】
【文献】
実開平5−74018(JP,U)
【文献】
特開平7−86848(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/029737(WO,A1)
【文献】
特開2002−33665(JP,A)
【文献】
特開平11−41064(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 1/00− 3/72
H03G 1/00−11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナログシングルエンド形式の入力オーディオ信号を受け、クロックと同期して所定の信号処理を施してアナログシングルエンド形式の出力オーディオ信号を生成するオーディオ信号処理回路であって、
前記入力オーディオ信号を非反転増幅して第1アナログオーディオ信号を生成する第1アンプと、
前記第1アナログオーディオ信号を反転増幅して第2アナログオーディオ信号を生成する第2アンプと、
差動入力形式を有し、そのP極入力端子に前記第1アナログオーディオ信号を受け、そのN極入力端子に前記第2アナログオーディオ信号を受け、第1デジタルオーディオ信号に変換するアナログ/デジタル変換器と、
前記第1デジタルオーディオ信号に所定の信号処理を施し、第2デジタルオーディオ信号を出力するデジタル信号処理部と、
前記第2デジタルオーディオ信号を、差動形式の第3アナログオーディオ信号に変換し、P極出力端子およびN極出力端子から出力するデジタル/アナログ変換器と、
前記P極出力端子の信号を反転し、前記N極出力端子の信号と加算し、シングルエンド形式の第4アナログオーディオ信号を生成する第3アンプと、
前記第4アナログオーディオ信号を反転増幅し、前記出力オーディオ信号を生成する第4アンプと、
を備え、ひとつの半導体基板上に一体集積化され、
前記デジタル信号処理部に入出力される前記第1デジタルオーディオ信号および前記第2デジタルオーディオ信号は同相であり、
前記第1アナログオーディオ信号と前記第4アナログオーディオ信号は逆相であることを特徴とするオーディオ信号処理回路。
【請求項2】
アナログシングルエンド形式の入力オーディオ信号を受け、クロックと同期して所定の信号処理を施してアナログシングルエンド形式の出力オーディオ信号を生成するオーディオ信号処理回路であって、
前記入力オーディオ信号を非反転増幅して第1アナログオーディオ信号を生成する第1アンプと、
前記第1アナログオーディオ信号を反転増幅して第2アナログオーディオ信号を生成する第2アンプと、
差動入力形式を有し、そのP極入力端子に前記第1アナログオーディオ信号を受け、そのN極入力端子に前記第2アナログオーディオ信号を受け、第1デジタルオーディオ信号に変換するアナログ/デジタル変換器と、
前記第1デジタルオーディオ信号に所定の信号処理を施し、第2デジタルオーディオ信号を出力するデジタル信号処理部と、
前記第2デジタルオーディオ信号を、差動形式の第3アナログオーディオ信号に変換し、P極出力端子およびN極出力端子から出力するデジタル/アナログ変換器と、
前記N極出力端子の信号から前記P極出力端子の信号を減算し、シングルエンド形式の第4アナログオーディオ信号を生成する第3アンプと、
前記第4アナログオーディオ信号を反転増幅し、前記出力オーディオ信号を生成する第4アンプと、
を備え、ひとつの半導体基板上に一体集積化され、
前記デジタル信号処理部に入出力される前記第1デジタルオーディオ信号および前記第2デジタルオーディオ信号は同相であり、
前記第1アナログオーディオ信号と前記第4アナログオーディオ信号は逆相であることを特徴とするオーディオ信号処理回路。
【請求項3】
前記第1アンプは、
前記入力オーディオ信号と所定のバイアス電圧を分圧する第1抵抗および第2抵抗と、
分圧されたオーディオ信号を受け、前記第1アナログオーディオ信号を出力する第1演算増幅器を含むバッファと、
を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のオーディオ信号処理回路。
【請求項4】
前記第2アンプは、
その非反転入力端子に所定のバイアス電圧が印加される第2演算増幅器と、
前記第2演算増幅器の反転入力端子と前記第1アンプの出力端子の間に設けられた第3抵抗と、
前記第2演算増幅器の出力端子とその反転入力端子の間に設けられた第4抵抗と、
を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のオーディオ信号処理回路。
【請求項5】
前記第3アンプは、
第3演算増幅器と、
前記第3演算増幅器の非反転入力端子と前記デジタル/アナログ変換器のN極出力端子の間に設けられた第5抵抗と、
所定のバイアス電圧が供給されるバイアスラインと前記第3演算増幅器の非反転入力端子の間に設けられた第6抵抗と、
前記第3演算増幅器の出力端子とその反転入力端子の間に設けられた第7抵抗と、
前記第3演算増幅器の反転入力端子と前記デジタル/アナログ変換器のP極出力端子の間に設けられた第8抵抗と、
を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のオーディオ信号処理回路。
【請求項6】
前記第4アンプは、
その非反転入力端子に所定のバイアス電圧が印加される第4演算増幅器と、
前記第4演算増幅器の反転入力端子と前記第3アンプの出力端子の間に設けられた第9抵抗と、
前記第4演算増幅器の出力端子とその反転入力端子の間に設けられた第10抵抗と、
を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のオーディオ信号処理回路。
【請求項7】
前記第4アンプは、可変利得アンプであることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のオーディオ信号処理回路。
【請求項8】
前記第3アンプは、フィルタの一部であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のオーディオ信号処理回路。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載のオーディオ信号処理回路を備えることを特徴とする車載用オーディオ装置。
【請求項10】
請求項1から8のいずれかに記載のオーディオ信号処理回路を備えることを特徴とするオーディオコンポーネント装置。
【請求項11】
請求項1から8のいずれかに記載のオーディオ信号処理回路を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項12】
ひとつの半導体基板に集積化された集積回路によって、アナログシングルエンド形式の入力オーディオ信号を受け、クロックと同期して所定の信号処理を施してアナログシングルエンド形式の出力オーディオ信号を生成する方法であって、
前記入力オーディオ信号を非反転増幅して第1アナログオーディオ信号を生成するステップと、
前記第1アナログオーディオ信号を反転増幅して第2アナログオーディオ信号を生成するステップと、
差動入力形式を有するアナログ/デジタル変換器のP極入力端子に前記第1アナログオーディオ信号を入力し、そのN極入力端子に前記第2アナログオーディオ信号を入力し、第1デジタルオーディオ信号に変換するステップと、
前記第1デジタルオーディオ信号に所定の信号処理を施し、第2デジタルオーディオ信号を生成するステップと、
前記第2デジタルオーディオ信号を、デジタル/アナログ変換器によって差動形式の第3アナログオーディオ信号に変換するステップと、
前記デジタル/アナログ変換器のP極出力端子の信号を反転し、前記デジタル/アナログ変換器のN極出力端子の信号と加算し、シングルエンド形式の第4アナログオーディオ信号を生成する第3アンプと、
前記第4アナログオーディオ信号を反転増幅し、前記出力オーディオ信号を生成するステップと、
を備え、
前記第1デジタルオーディオ信号および前記第2デジタルオーディオ信号は同相であり、
前記第1アナログオーディオ信号と前記第4アナログオーディオ信号は逆相であることを特徴とする方法。
【請求項13】
ひとつの半導体基板に集積化された集積回路によって、アナログシングルエンド形式の入力オーディオ信号を受け、クロックと同期して所定の信号処理を施してアナログシングルエンド形式の出力オーディオ信号を生成する方法であって、
前記入力オーディオ信号を非反転増幅して第1アナログオーディオ信号を生成するステップと、
前記第1アナログオーディオ信号を反転増幅して第2アナログオーディオ信号を生成するステップと、
差動入力形式を有するアナログ/デジタル変換器のP極入力端子に前記第1アナログオーディオ信号を入力し、そのN極入力端子に前記第2アナログオーディオ信号を入力し、第1デジタルオーディオ信号に変換するステップと、
前記第1デジタルオーディオ信号に所定の信号処理を施し、第2デジタルオーディオ信号を生成するステップと、
前記第2デジタルオーディオ信号を、デジタル/アナログ変換器によって差動形式の第3アナログオーディオ信号に変換するステップと、
前記デジタル/アナログ変換器のN極出力端子の信号から前記デジタル/アナログ変換器のP極出力端子の信号を減算し、シングルエンド形式の第4アナログオーディオ信号を生成するステップと、
前記第4アナログオーディオ信号を反転増幅し、前記出力オーディオ信号を生成するステップと、
を備え、
前記第1デジタルオーディオ信号および前記第2デジタルオーディオ信号は同相であり、
前記第1アナログオーディオ信号と前記第4アナログオーディオ信号は逆相であることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーディオ信号処理回路に関する。
【背景技術】
【0002】
CDプレイヤ、オーディオアンプ、カーステレオあるいは携帯型ラジオや携帯型のオーディオプレイヤをはじめとするオーディオ信号を再生する機能を備えた電子機器は、オーディオ信号に、さまざまな信号処理を施すサウンドプロセッサを備える。
図1は、一般的なオーディオシステムの構成を示すブロック図である。
【0003】
オーディオシステム1001は、音源1002、アナログアンプ1004、アナログ/デジタル変換器1010、DSP(Digital Signal ProcessorあるいはDigital Sound Processor)1012、デジタル/アナログ変換器1014、アナログアンプ1006、パワーアンプ1008、電気音響変換素子1009を備える。
【0004】
音源1002は、CDプレイヤ、シリコンオーディオプレイヤ、携帯電話端末などであり、アナログオーディオ信号を出力する。アナログアンプ1004は、音源1002からのアナログオーディオ信号を増幅し、後段のアナログ/デジタル変換器1010の入力レンジにマッチさせる。DSP1012は、前段のアナログ/デジタル変換器1010からのデジタルオーディオ信号を受け、所定のデジタル信号処理を施す。DSP1012による信号処理としては、イコライジング、バスブースト、トレブルブースト、ステレオ−モノラル変換、デジタルボリウム制御などが例示される。
【0005】
デジタル/アナログ変換器1014は、DSP1012による処理を受けたデジタルオーディオ信号をアナログオーディオ信号に変換する。アナログアンプ1006はたとえばアナログボリウム回路であり、デジタル/アナログ変換器1014の出力信号をボリウム値に応じた利得で増幅する。パワーアンプ1008は、アナログアンプ1006の出力を増幅し、電気音響変換素子1009であるスピーカやヘッドホンを駆動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−117489号公報
【特許文献2】特開2005−217710号公報
【特許文献3】特開2004−222077号公報
【特許文献4】特開2005−217496号公報
【特許文献5】特開平11−75287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のオーディオシステム1001では、DSP1012と、その前段のアナログ/デジタル変換器1010、その後段のデジタル/アナログ変換器1014が、ひとつの半導体基板に集積化されたオーディオIC(Integrated Circuit)1020を構成しており、アナログアンプ1004、ボリウム1006などのアナログ回路ブロックは、オーディオICの外部に設けられていた。
【0008】
図1のオーディオシステム1001において、アナログアンプ1004、アナログアンプ1006を、オーディオICに集積化すれば、オーディオシステム1001を簡素化することができる。ところが、オーディオIC1020の内部には、スイッチドキャパシタフィルタ(SCF)、発振器やPLL(Phase Locked Loop)、ゲートセル、レベルシフト回路などが設けられており、クロックノイズが発生している。したがってオーディオIC1020の内部にアナログアンプ1004、アナログアンプ1006を内蔵すると、クロックノイズが空間、あるいは半導体基板を経由して、アナログアンプ1004、アナログアンプ1006に混入することになり、S/N比やダイナミックレンジが悪化し、音質が劣化するという問題が生ずる。
【0009】
本発明は係る課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、音質の劣化を抑制しつつ、アナログアンプおよびDSPが一体集積化されたオーディオ信号処理回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のある態様は、アナログシングルエンド形式の入力オーディオ信号を受け、所定の信号処理を施してアナログシングルエンド形式の出力オーディオ信号を生成するオーディオ信号処理回路に関する。オーディオ信号処理回路は、第1アンプ、第2アンプ、アナログ/デジタル変換器、デジタル信号処理部、デジタル/アナログ変換器、第3アンプ、第4アンプを備え、ひとつの半導体基板上に一体集積化される。
第1アンプは、入力オーディオ信号を非反転増幅して第1アナログオーディオ信号を生成する。第2アンプは、第1アナログオーディオ信号を反転増幅して第2アナログオーディオ信号を生成する。アナログ/デジタル変換器10は、差動入力形式を有し、そのP極入力端子に第1アナログオーディオ信号を受け、そのN極入力端子に第2アナログオーディオ信号を受け、第1デジタルオーディオ信号に変換する。デジタル信号処理部は、第1デジタルオーディオ信号に所定の信号処理を施し、第2デジタルオーディオ信号を出力する。デジタル/アナログ変換器は、第2デジタルオーディオ信号を、差動形式の第3アナログオーディオ信号に変換する。第3アンプは、第3アナログオーディオ信号のN極信号から第3アナログオーディオ信号のP極信号を減算し、シングルエンド形式の第4アナログオーディオ信号を生成する。第4アンプは、第4アナログオーディオ信号を反転増幅し、出力オーディオ信号を生成する。
【0011】
本発明の別の態様も、オーディオ信号処理回路に関する。オーディオ信号処理回路は、第1アンプ、第2アンプ、アナログ/デジタル変換器、デジタル信号処理部、デジタル/アナログ変換器、第3アンプ、第4アンプを備え、ひとつの半導体基板上に一体集積化される。
第1アンプは、入力オーディオ信号を非反転増幅して第1アナログオーディオ信号を生成する。第2アンプは、第1アナログオーディオ信号を反転増幅して第2アナログオーディオ信号を生成する。アナログ/デジタル変換器10は、差動入力形式を有し、そのP極入力端子に第1アナログオーディオ信号を受け、そのN極入力端子に第2アナログオーディオ信号を受け、第1デジタルオーディオ信号に変換する。デジタル信号処理部は、第1デジタルオーディオ信号に所定の信号処理を施し、第2デジタルオーディオ信号を出力する。デジタル/アナログ変換器は、第2デジタルオーディオ信号を、差動形式の第3アナログオーディオ信号に変換する。第3アンプは、第3アナログオーディオ信号のP極信号を反転し、第3アナログオーディオ信号のN極信号と加算し、シングルエンド形式の第4アナログオーディオ信号を生成する。第4アンプは、第4アナログオーディオ信号を反転増幅し、出力オーディオ信号を生成する。
【0012】
これら態様によると、第1アンプの出力からアナログ/デジタル変換器に至る第1経路を伝搬するオーディオ信号と、デジタル/アナログ変換器の出力から第4アンプの入力に至る第2経路を伝搬するオーディオ信号は、互いに逆相となる。その結果、デジタル信号処理部において発生したノイズが、第1経路のオーディオ信号と第2経路のオーディオ信号に混入した場合に、ノイズ成分が打ち消しあうため、音質の劣化を抑制することができる。
【0013】
第1アンプは、入力オーディオ信号と所定のバイアス電圧を分圧する第1抵抗および第2抵抗と、分圧されたオーディオ信号を受け、第1アナログオーディオ信号を出力する第1演算増幅器を含むバッファと、を含んでもよい。
【0014】
第2アンプは、その非反転入力端子に所定のバイアス電圧が印加される第2演算増幅器と、第2演算増幅器の反転入力端子と第1アンプの出力端子の間に設けられた第3抵抗と、第2演算増幅器の出力端子とその反転入力端子の間に設けられた第4抵抗と、を含んでもよい。
【0015】
第3アンプは、第3演算増幅器と、第3演算増幅器の非反転入力端子とデジタル/アナログ変換器のN極出力端子の間に設けられた第5抵抗と、所定のバイアス電圧が供給されるバイアスラインと第3演算増幅器の非反転入力端子の間に設けられた第6抵抗と、第3演算増幅器の出力端子とその反転入力端子の間に設けられた第7抵抗と、第3演算増幅器の反転入力端子とデジタル/アナログ変換器のP極出力端子の間に設けられた第8抵抗と、を含んでもよい。
【0016】
第4アンプは、その非反転入力端子に所定のバイアス電圧が印加される第4演算増幅器と、第4演算増幅器の反転入力端子と第3アンプの出力端子の間に設けられた第9抵抗と、第4演算増幅器の出力端子とその反転入力端子の間に設けられた第10抵抗と、を含んでもよい。
【0017】
第4アンプは、可変利得アンプであってもよい。
【0018】
本発明の別の態様は、車載用オーディオ装置に関する。車載用オーディオ装置は、上述のいずれかのオーディオ信号処理回路を備える。
【0019】
本発明の別の態様は、オーディオコンポーネント装置に関する。車載用オーディオ装置は、上述のいずれかのオーディオ信号処理回路を備える。
【0020】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るオーディオ信号処理回路によれば、アナログアンプを、デジタル信号処理部と一体集積化しつつ、音質の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】一般的なオーディオシステムの構成を示すブロック図である。
【
図2】実施の形態に係るオーディオ信号処理回路を備えるオーディオシステムの構成を示すブロック図である。
【
図3】オーディオ信号処理回路の具体的な構成例を示す回路図である。
【
図4】実施の形態に係るオーディオ信号処理回路の動作を示す波形図である。
【
図5】比較技術に係るオーディオ信号処理回路の構成を示すブロック図である。
【
図6】オーディオ信号処理回路を用いた車載用オーディオ装置の構成を示すブロック図である。
【
図7】
図7(a)〜(c)は、電子機器あるいはオーディオコンポーネント装置の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0024】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0025】
図2は、実施の形態に係るオーディオ信号処理回路100を備えるオーディオシステム1の構成を示すブロック図である。オーディオシステム1は、音源2、オーディオ信号処理回路100、パワーアンプ8、電気音響変換素子9を備える。
図2のオーディオ信号処理回路100は、
図1のオーディオシステム1001の構成要素のうち、オーディオIC1020に、その前段のアナログアンプと、その後段のアナログアンプを集積化したICである。
【0026】
オーディオ信号処理回路100は、前段の音源2からのアナログシングルエンド形式の入力オーディオ信号S
INを受け、所定の信号処理を施してアナログシングルエンド形式の出力オーディオ信号S
OUTを生成する。出力オーディオ信号S
OUTは、後段のパワーアンプ8によって増幅され、電気音響変換素子9から出力される。オーディオ信号処理回路100と音源2の間、あるいはオーディオ信号処理回路100とパワーアンプ8の間には、図示しない回路ブロックが挿入されてもよい。
【0027】
オーディオ信号処理回路100は、第1アンプAMP1、第2アンプAMP2、アナログ/デジタル変換器10、デジタル信号処理部12、デジタル/アナログ変換器14、第3アンプAMP3、第4アンプAMP4を備える。
【0028】
第1アンプAMP1は、入力オーディオ信号S
INを非反転増幅して、第1アナログオーディオ信号S1を生成する。第2アンプAMP2は、第1アナログオーディオ信号S1を反転増幅して第2アナログオーディオ信号S2を生成する。
【0029】
アナログ/デジタル変換器10は、差動入力形式を有する。アナログ/デジタル変換器10のP極入力端子には第1アナログオーディオ信号S1が、そのN極入力端子には第2アナログオーディオ信号S2を受け、第1デジタルオーディオ信号D1に変換する。デジタル信号処理部12は、第1デジタルオーディオ信号D1に所定の信号処理を施し、第2デジタルオーディオ信号D2を出力する。デジタル信号処理部12の信号処理は特に限定されないが、たとえば、デジタルボリウム回路、マルチバンドイコライザ、ラウドネス回路、ハイパスフィルタ、ローパスフィルタ、バスブースト回路を備えてもよい。
【0030】
デジタル/アナログ変換器14は、第2デジタルオーディオ信号D2を、差動形式の第3アナログオーディオ信号S3に変換する。第3アナログオーディオ信号S3のP極信号は、デジタル/アナログ変換器14のP極出力端子から、第3アナログオーディオ信号S3のN極信号は、デジタル/アナログ変換器14のN極出力端子から出力される。
【0031】
第3アンプAMP3は、第3アナログオーディオ信号S3のN極信号から、第3アナログオーディオ信号S3のP極信号を減算し、第4アナログオーディオ信号S4を生成する。言い換えれば、第3アンプAMP3は、第3アナログオーディオ信号S3のP極信号を反転し、第3アナログオーディオ信号S3のN極信号と加算し、シングルエンド形式の第4アナログオーディオ信号S4を生成する。
【0032】
第4アンプAMP4は、第4アナログオーディオ信号S4を反転増幅し、出力オーディオ信号S
OUTを生成する。
【0033】
図3は、オーディオ信号処理回路100の具体的な構成例を示す回路図である。
【0034】
第1アンプAMP1および第2アンプAMP2は、シングルエンド−差動変換回路を構成する。
【0035】
第1アンプAMP1は、第1抵抗R1、第2抵抗R2、第1演算増幅器OA1を含む。第1演算増幅器OA1は、出力端子と反転入力端子が接続され、ボルテージフォロア(バッファ)を構成する。第1抵抗R1および第2抵抗R2は、入力オーディオ信号S
INと所定のバイアス電圧V
BIASを分圧する。第1演算増幅器OA1を含むバッファは、分圧された入力オーディオ信号S
IN’を受け、第1アナログオーディオ信号S1を出力する。第1アンプAMP1は、利得K1が式(1)で与えられる非反転アンプである。バイアス電圧V
BIASは、アナログ/デジタル変換器10に入力すべき差動信号のコモン電圧レベルに対応する。たとえばバイアス電圧V
BIASは、電源電圧V
DDの中点レベルV
DD/2に定められる。
K1=R2/(R1+R2) …(1)
【0036】
第2アンプAMP2は、第3抵抗R3、第4抵抗R4、第2演算増幅器OA2を含む。第2演算増幅器OA2の非反転入力端子には、バイアス電圧V
BIASが印加される。第3抵抗R3は、第2演算増幅器OA2の反転入力端子と第1アンプAMP1の出力端子の間に設けられる。第4抵抗R4は、第2演算増幅器OA2の出力端子とその反転入力端子の間に設けられる。
【0037】
第2アンプAMP2は、利得K2が式(2)で与えられる反転アンプである。
K2=−R4/R3 …(2)
【0038】
第3アンプAMP3は、第3演算増幅器OA3、第5抵抗R5、第6抵抗R6、第7抵抗R7、第8抵抗R8を含む。第5抵抗R5は、第3演算増幅器OA3の非反転入力端子とデジタル/アナログ変換器14のN極出力端子の間に設けられる。第6抵抗R6は、バイアス電圧V
BIASが供給されるバイアスライン(バイアス端子)と第3演算増幅器OA3の非反転入力端子の間に設けられる。第7抵抗R7は、第3演算増幅器OA3の出力端子とその反転入力端子の間に設けられる。第8抵抗R8は、第3演算増幅器OA3の反転入力端子とデジタル/アナログ変換器14のP極出力端子の間に設けられる。
【0039】
この第3アンプAMP3の、第3アナログオーディオ信号S3のP極信号S3pに対する利得K3p、N極信号S3nに対する利得K3nは、式(3)で与えられ、第4アナログオーディオ信号S4は、信号S3pを反転増幅した信号と、信号S3nを非反転増幅した信号の重ね合わせ、すなわち和となる。
K3p=−R7/R8
K3n=R6/(R5+R6) …(3)
【0040】
第4アンプAMP4は、第4演算増幅器OA4、第9抵抗R9、第10抵抗R10を含む。第4演算増幅器OA4の非反転入力端子には、バイアス電圧V
BIASが印加される。第9抵抗R9は、第4演算増幅器OA4の反転入力端子と第3アンプAMP3の出力端子の間に設けられる。第10抵抗R10は、第4演算増幅器OA4の出力端子とその反転入力端子の間に設けられる。
【0041】
第4アンプAMP4は、利得K4が式(4)で与えられる反転アンプである。
K4=−R9/R10 …(4)
【0042】
第4アンプAMP4を、可変利得アンプとしてもよい。この場合、第9抵抗R9、第10抵抗R10の少なくとも一方を可変抵抗とすればよい。第4アンプAMP4を可変利得アンプとすることで、第4アンプAMP4をアナログボリウム回路として利用できる。
【0043】
なお、第1アンプAMP1〜第4アンプAMP4の構成は
図3には限定されず、同等の機能を有する別の形式のアンプを用いてもよい。
【0044】
以上がオーディオ信号処理回路100の構成である。続いてその動作を説明する。
図4は、実施の形態に係るオーディオ信号処理回路100の動作を示す波形図である。
図2において、第1アンプAMP1の出力からアナログ/デジタル変換器10に至る経路を第1経路、デジタル/アナログ変換器14の出力から第4アンプAMP4の入力に至る経路を第2経路とする。
図2のオーディオ信号処理回路100では、第1経路を伝搬する信号と、第2経路を伝搬する信号は互いに逆相となる。
【0045】
デジタル信号処理部12において発生したノイズNは、空間あるいは半導体基板を経由して、第1経路を伝搬するオーディオ信号と、第2経路を伝搬するオーディオ信号の双方に重畳される。第1経路にノイズが混入すると、アナログ/デジタル変換器10の入力信号の差動成分(S1−S2)にノイズが重畳される。この差動成分(S1−S2)は、デジタル/アナログ変換器14
の後段の第3アンプAMP3により、逆相のシングルエンドの第4アナログオーディオ信号S4に変換される。逆相の信号S
4に、ノイズNが重畳すると、第1経路で重畳されたノイズ成分がキャンセルされ、出力オーディオ信号S
OUTからノイズ信号を除去することができる。
【0046】
このように、実施の形態に係るオーディオ信号処理回路100によれば、音質の劣化を抑制しつつ、アナログアンプを、アナログ/デジタル変換器10、デジタル信号処理部12、デジタル/アナログ変換器14と一体集積化することができる。
【0047】
実施の形態に係るオーディオ信号処理回路100の効果は、以下で説明する比較技術との対比によって明確となる。
図5は、比較技術に係るオーディオ信号処理回路100rの構成を示すブロック図である。オーディオ信号処理回路100rにおいて、アンプAMP11は、入力オーディオ信号S
INを反転増幅し、アナログ/デジタル変換器10のN極入力端子に出力する。アンプAMP12は、アンプAMP11の出力を反転増幅し、アナログ/デジタル変換器10のP極入力端子に出力する。アンプAMP13は、デジタル/アナログ変換器14のP極出力信号を反転し、デジタル/アナログ変換器14のN極出力信号と加算する。アンプAMP14は、アンプAMP13の出力を反転する。
【0048】
この比較技術では、アナログ/デジタル変換器10の前段の第1経路と、デジタル/アナログ変換器14の後段の第2経路が、同相となる。したがって第1経路の信号にノイズが混入し、第2経路の信号にノイズが混入すると、それらは相殺することなく強めあってしまう。
【0049】
実施の形態に係るオーディオ信号処理回路100によれば、比較技術に比べてノイズを好適に低減することができる。
【0050】
図6は、オーディオ信号処理回路100を用いた車載用オーディオ装置500の構成を示すブロック図である。車載用オーディオ装置500は、5.1チャンネル(フロント右FR、リア右RR、フロント左FL、リア左RL、センターC、サブウーファSW)で構成される。
【0051】
オーディオ信号処理回路100は、CDプレイヤからのデジタル入力を受ける。CDプレイヤからのデジタル入力は、DSP12にダイレクトに入力される。またチューナからのステレオアナログオーディオ信号は、TUNERチャンネルに入力され、その他のモバイルオーディオプレイヤなどからのステレオアナログオーディオ信号はAUXチャンネルに入力される。
【0052】
入力セレクタ502およびアンプ504は、上述の第1アンプAMP1に対応する。第1アンプAMP1は、RチャンネルとLチャンネルそれぞれに設けられる。第1アンプAMP1は、入力チャンネルを選択し、選択されたチャンネルのシングルエンド形式のアナログオーディオ信号を差動信号に変換する。選択されたチャンネルに差動形式のオーディオ信号が入力される場合、差動変換処理はスキップされる。
【0053】
アナログ/デジタル変換器10Rは、Rチャンネルの差動形式の入力オーディオ信号をデジタルオーディオ信号D1Rに変換し、アナログ/デジタル変換器10Lは、Lチャンネルの差動形式の入力オーディオ信号をデジタルオーディオ信号D1Lに変換する。
【0054】
デジタル信号処理部12は、デジタルボリウム回路、5バンドイコライザ、ラウドネス回路、クロスオーバフィルタ、バスブースト回路を備え、デジタルオーディオ信号D1R、D1Lに所定の信号処理を施す。
【0055】
デジタル/アナログ変換器14Rは、Rチャンネルのデジタルオーディオ信号D2Rを差動形式のアナログオーディオ信号S3Rに変換する。デジタル/アナログ変換器14Lは、Lチャンネルのデジタルオーディオ信号D2Lを差動形式のアナログオーディオ信号S3Lに変換する。デジタル/アナログ変換器14Mは、残りのチャンネルのデジタルオーディオ信号D2Mを差動形式のアナログオーディオ信号S3Mに変換する。
【0056】
図6のアンプ506およびポストフィルタ508は、第3アンプAMP3に対応する。当業者であれば、
図3の第3アンプAMP3にキャパシタを追加することにより、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタなどが構成しうることが理解される。フェーダボリウム510は第4アンプAMP4に対応する。
【0057】
図6のオーディオ信号処理回路100は車載用オーディオ装置のみでなく、家庭用のホームオーディオシステムのオーディオコンポーネント装置に利用することもできる。あるいは、オーディオ信号処理回路100は、テレビ、デスクトップPC、ノートPC、タブレットPC、携帯電話端末、デジタルカメラ、ポータブルオーディオプレイヤなどの電子機器に搭載することもできる。
【0058】
図7(a)〜(c)は、電子機器あるいはオーディオコンポーネント装置の外観図である。
図7(a)は電子機器の一例であるディスプレイ装置600である。ディスプレイ装置600は、筐体602、スピーカ9を備える。オーディオ信号処理回路100は筐体に内蔵され、スピーカ9を駆動する。
【0059】
図7(b)はオーディオコンポ700である。オーディオコンポ700は、筐体702、スピーカ9を備える。オーディオ信号処理回路100は筐体702に内蔵され、スピーカ9を駆動する。
【0060】
図7(c)は電子機器の一例である小型情報端末800である。小型情報端末800は、携帯電話、PHS(Personal Handy-phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、タブレットPC(Personal Computer)、オーディオプレイヤなどである。小型情報端末800は、筐体802、スピーカ9、ディスプレイ804を備える。オーディオ信号処理回路100は筐体802に内蔵され、スピーカ9を駆動する。
【0061】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【符号の説明】
【0062】
1…オーディオシステム、2…音源、8…パワーアンプ、9…電気音響変換素子、100…オーディオ信号処理回路、10…アナログ/デジタル変換器、12…デジタル信号処理部、14…デジタル/アナログ変換器、AMP1…第1アンプ、OA1…第1演算増幅器第4演算増幅器、R9…第9抵抗、R10…第10抵抗、IN…入力端子、OUT…出力端子、S1…第1アナログオーディオ信号、S2…第2アナログオーディオ信号、S3…第3アナログオーディオ信号、S4…第4アナログオーディオ信号。