特許第6385554号(P6385554)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6385554
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】自立式擁壁
(51)【国際特許分類】
   E02D 29/02 20060101AFI20180827BHJP
【FI】
   E02D29/02 302
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-247867(P2017-247867)
(22)【出願日】2017年12月25日
【審査請求日】2018年3月6日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591223404
【氏名又は名称】株式会社トラバース
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 克彦
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 佳勝
【審査官】 須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−328586(JP,A)
【文献】 特開平08−092981(JP,A)
【文献】 特開2015−063794(JP,A)
【文献】 特開2006−063779(JP,A)
【文献】 特開平07−233661(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2008−0077721(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/00−27/52
E02D 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形面状の壁面材と、前記壁面材の背面に高さ方向に沿って連結した中空角形の拘束管と、を有する擁壁パネルと、
前記擁壁パネルの下方の地盤に埋設し、上部が前記拘束管の管内に突出する杭体と、
前記拘束管内に配置する充填材と、を備え、
前記充填材が前記拘束管内に一体に拘束されることによって高耐力柱構造を構成し、
前記壁面材は、壁面本体と、一部が前記壁面本体内に埋設され他部が前記壁面本体の背面から突出した複数の連結片と、を有し、
前記連結片は、面状の支持部と、前記支持部の一面の中央から突起する連結部と、を備えた断面略T字形状を呈し、
前記連結部が前記壁面本体の背面から突出し、
前記壁面材と前記拘束管を、前記拘束管の両側面に添接した前記連結部を介して連結したことを特徴とする、
自立式擁壁。
【請求項2】
前記杭体の頭部のみが前記拘束管内に突出し、前記杭体の頭部と、前記充填材と、前記拘束管とによって、前記壁面材に作用する背面土圧を前記杭体の地中部分に有効に伝達可能な、杭頭固定部を構成したことを特徴とする、請求項1に記載の自立式擁壁。
【請求項3】
前記壁面本体は有筋のコンクリートパネルであって、前記連結片が前記壁面本体内の鉄筋と係合していることを特徴とする、請求項又はに記載の自立式擁壁。
【請求項4】
前記壁面材は、複数の分割壁面材を高さ方向に連続してなることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一項に記載の自立式擁壁。
【請求項5】
前記杭体は、地盤面から地中にわたって形成した改良体と、下部を前記改良体内に同心状に配置した芯材と、を備え、前記芯材の上部が前記拘束管内に突出することを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一項に記載の自立式擁壁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自立式擁壁に関し、特にCFT構造の高耐力支柱によって控え部を小型化できるスリムな構造の自立式擁壁に関する。
【背景技術】
【0002】
傾斜地における宅地造成工事では、切土や盛土によって形成された段差部の崩壊を防ぐため谷側の端部に擁壁を構築する。擁壁にかかる従来技術として、コンクリート製の擁壁パネルと杭体の一体構造からなる自立式擁壁が広く供用されている。
特許文献1には、地盤にソイルセメント改良体を形成してH鋼や鋼管等の芯材を建て込み、擁壁パネルを芯材に挿通させながら積み上げて壁面を構成する自立式擁壁が開示されている。また、特許文献2には、擁壁パネルを鋼管杭で支持した自立式擁壁が開示されている。
これら従来技術の自立式擁壁は、擁壁パネルがコンクリートの一体構造からなるため、厚肉の控え部がパネルの背面から大きく突出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−311169号公報
【特許文献2】特開平10−152848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術には以下のような問題点がある。
<1>擁壁パネルの控え部が大きく厚肉なので重量が重く、取り回しが困難である。このため、施工効率が悪い。
<2>擁壁パネルのサイズが大きいため、材料コストが高い。
<3>擁壁パネルの控え部が大きいため、荷姿が悪く、積み重ねることができない。このため、保管に広い空間が必要となる。
<4>積み重ねることができないので、擁壁パネルを小ロットずつしか搬送できない。このため、搬送コストが高い。
<5>擁壁パネルの控え部が大きく背面に突起するため、背面側の構造物や配管設備などに干渉しやすい。
<6>控え部が突起するため擁壁パネルを切断しにくい。このため、形状変更が困難で設計の自由度が低い。
<7>施工時に擁壁パネルを支柱上部の高い位置まで吊り上げる必要がある。このため、作業が難しく施工効率が悪い。
<8>擁壁パネルの重量が重く、吊り上げ高が高いため、大型の重機が必要となる。このため、施工コストが嵩む上、敷地の狭小な住宅地での施工が難しい。
【0005】
本発明の目的は、以上のような問題点を解決できる、自立式擁壁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の自立式擁壁は、壁面材と中空角形の拘束管を有する擁壁パネルと、上部が拘束管の管内に突出する杭体と、拘束管内に配置する充填材と、を備え、充填材が拘束管内に一体に拘束されることによって高耐力柱構造を構成したことを特徴とする。
この構成によれば、CFT構造による強靱性、高強度、および高耐力を発揮することができる。
【0007】
本発明の自立式擁壁は、杭体の頭部と、充填材と、拘束管とによって、杭頭固定部を構成してもよい。
この構成によれば、短尺の芯材でもって壁面材に作用する背面土圧を杭体の地中部分に有効に伝達することができる。
【0008】
本発明の自立式擁壁は、壁面材が壁面本体の背面から一部突出した複数の連結片を有し、連結片を介して壁面材と拘束管を連結してもよい。
この構成によれば、構造でもって壁面材と拘束管を一体に連結することができる。
【0009】
本発明の自立式擁壁は、連結片が、支持部と連結部を備えた断面略T字形状を呈していてもよい。
この構成によれば、連結片の引き抜きに対する抵抗を強化することができる。
【0010】
本発明の自立式擁壁は、壁面本体が有筋のコンクリートパネルであって、連結片が鉄筋と係合していてもよい。
この構成によれば、壁面本体と連結片の一体性をさらに強化することができる。
【0011】
本発明の自立式擁壁は、拘束管を壁面材の連結孔へボルト連結してもよい。
この構成によれば、壁面材が完全に平坦になるため、製造コストが安価になり、搬送や運搬がより容易になる。
【0012】
本発明の自立式擁壁は、拘束管が両側方に延出する支持翼を有し、拘束管を支持翼を介してボルト連結してもよい。
この構成によれば、簡易な構造でもって、壁面材を安定して連結支持することができる。
【0013】
本発明の自立式擁壁は、連結孔内に連結補強材を埋設してもよい。
この構成によれば、連結孔周辺のコーン状破壊を防止することができる。
【0014】
本発明の自立式擁壁は、壁面材が分割壁面材を高さ方向に連続してなってもよい。
この構成によれば、壁面材を小分割化することで搬送や保管がより容易になる。
【0015】
本発明の自立式擁壁は、杭体が、改良体と改良体内に同心状に配置した芯材とを備え、芯材の上部が拘束管内に突出していてもよい。
この構成によれば、芯材を深く根入れすることで、滑動に対する高い抵抗性を発揮することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の自立式擁壁は、角形鋼管と充填コンクリートの組み合わせによるCFT構造により、強靱性、高強度、高耐力の高耐力柱構造を実現することができる。このため、次の効果のうち少なくとも一つを備える。
<1>厚肉コンクリートの控え部に替わって、壁面材を小断面の角形鋼管で支持可能であるため、擁壁パネルを大幅に軽量化できる。このため、取り回しが容易で施工効率が高い。
<2>厚肉コンクリートの控え部を安価な角形鋼管に置き換えることができるため、材料コストが非常に安い。
<3>角形鋼管を現場で取り付けることができるため、保管時の荷姿がよく、間に角材などを介挿することで平積みすることができる(図4)。このため、小スペースで保管することができる。
<4>擁壁パネルを平積みして搬送できるため、一度に多数を搬送することができる。このため、搬送コストが安い。
<5>角形鋼管の背面への突出長が小さいため、背面側の構造物や配管設備などに干渉しにくく、有効敷地面積を増大させることができる。
<6>壁面材が控え部のない平板構造であるため、設計に応じて容易に切断することができる。また、角形鋼管の付設位置を適宜変更できる。このため、設計の自由度が高い。
<7>擁壁パネルと杭体とを杭頭固定とすることで、擁壁パネルの吊り上げ高を大幅に低くすることができる。このため、作業が容易で施工効率が高い。
<8>擁壁パネルが軽量で、吊り上げ高が低いため、小型の重機で施工できる。このため、施工コストが安く、狭隘な住宅地でも容易に施工できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の自立式擁壁の説明図。
図2】本発明の自立式擁壁の説明図。
図3】擁壁パネルの説明図。
図4】壁面材の説明図。
図5】連結片の説明図。
図6】実施例2の説明図。
図7】実施例2の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の自立式擁壁について詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
[自立式擁壁]
<1>全体の構成(図1、2)。
本発明の自立式擁壁1は、CFT(Concrete Filled Steel Tube:コンクリート充填鋼管)構造による高耐力支柱によって背面の土圧を有効に支持可能な構造物である。
自立式擁壁1は、壁面材11と拘束管12を有する擁壁パネル10と、擁壁パネル10を支持する杭体20と、拘束管12内に充填する充填材30と、を少なくとも備える。杭体20の上部は拘束管12内に配置し、充填材30によって、擁壁パネル10と杭体20とを一体に連結する。
本例では、擁壁パネル10と杭体20を杭頭固定部Jによって連結する杭頭固定の構造を採用する。
複数の自立式擁壁1を擁壁パネル10の面方向に連続することで連続壁として背面の土を支持する。
【0020】
<2>擁壁パネル(図3)。
擁壁パネル10は、自立式擁壁1の壁面を構成するパネル部材である。
擁壁パネル10は、壁面材11と、壁面材11の背面中央に高さ方向に沿って連結した拘束管12と、を少なくとも備える。なお、拘束管12の付設位置は背面中央に限らず、設計に応じて背面の片側に偏芯して付設してもよい。
本例では、壁面材11が複数の連結片11bを有し、壁面材11と拘束管12を、拘束管12の両側面に添接した複数の連結片11bを介して連結する。
【0021】
<2.1>壁面材。
壁面材11は、擁壁パネル10における面状の構成要素である。
本例では、壁面材11として、矩形面状の壁面本体11aと、壁面本体11aの背面から一部が突出した複数の連結片11bと、を備える。
壁面本体11aとして、プレキャストの鉄筋コンクリートを採用する。壁面本体11aの表面には凹凸や溝などの意匠加工(化粧)を施してもよい。
本発明の自立式擁壁1は、擁壁パネル10が壁面材11と拘束管12の連結構造であるため、軽量で施工性に優れる上、壁面材11の間に角材などを挟むことで、平積みして搬送・保管することができる(図4)。
【0022】
<2.1.1>連結片(図5)。
連結片11bは、壁面材11を拘束管12に連結するための構成要素である。
連結片11bは、一部を壁面本体11a内に埋設し、他部を壁面本体11aの背面から突出させる。これによって、連結片11bが壁面本体11a内に一体に固定されるため、供用時、土圧によって連結片11bが引き抜けるおそれがない。
本例では、連結片11bとして、面状の支持部11cと、支持部11cの一面の中央から突起する連結部11dと、を備えた断面略T字形状の鋼材を採用する。
連結部11dの側面には、高さ方向の所定の間隔でボルト孔を穿設する。
支持部11cを壁面本体11aの背面と平行に配置し、連結部11dを壁面本体11aの背面から突出させる。
複数の連結片11bを所定間隔で上下方向に埋設して、拘束管12の側面を二面から挟み込むことが可能なように連結部11dを二列に配置する。
この際、連結片11bの支持部11cを壁面本体11aの鉄筋11gに係合することで、壁面本体11aと連結片11bの一体性を強化し、引き抜きに対する抵抗をさらに強めることができる。
ここで「係合」とは支持部11cを鉄筋11gに直接接触して掛ける他、鉄筋11gより前面側に配置し、過大な土圧で壁面本体11aのコンクリートが破壊された時に支持部11cが鉄筋11gに係止される位置に配置することを含む。
なお、連結片11bの構造は上記に限定されず、例えば、断面略L字形状や断面略Z字形状、断面略コ字形状等を採用してもよい。
【0023】
<2.2>拘束管。
拘束管12は、内部に充填された充填材30を拘束することによって、CFT構造による高耐力支柱を構成する構成要素である。
拘束管12は、長尺の角形鋼管からなる。
拘束管12の幅、厚さ、及び長さは、自立式擁壁1の設計や要求性能に応じて適宜設定する。本例では拘束管12の長さを壁面材11の高さより短く設定する。
本例では、拘束管12の側面の、連結片11bのボルト孔に対応する位置に、複数のボルト孔を穿設する。
拘束管12は、側面の一面が壁面材11の背面に接し、該側面に隣接する二面が二列の支持部11cの間に挟まれる。
拘束管12の下端は、壁面材11の底面に揃える。
【0024】
<2.2.1>CFT構造。
本発明の自立式擁壁1は、拘束管12内に充填された充填材30が硬化することによって、拘束管12と充填材30によるCFT構造の高耐力支柱を構成する点に特徴の一つがある。
CFT構造は、コンクリートが鋼管の局部座屈を防ぐと同時に、鋼管がコンクリートの破壊を防ぐ相互拘束効果(コンファインド効果)によって、強靱性、高強度、および高耐力を発揮可能な構造である。
充填材30の均質・密実かつ隙間のない充填、適切な強度発現、及び拘束管12と充填材30の一体化を保証することで、設計上もCFT構造の相互拘束効果を考慮することができる。このため、従来の自立式擁壁と比較して、同一性能において控え部のサイズを大幅に縮小することができる。
【0025】
<3>杭体。
杭体20は、地中から擁壁パネル10を支持する部材である。
本例では、杭体20として地中に形成したソイルセメント改良体22と、改良体22の芯部に配置したH鋼の芯材21と、を備えたH鋼ソイルセメント杭を採用する。
H鋼ソイルセメント杭は軟弱地盤にも適用可能であり、芯材21を深く根入れすることで、滑動に対する高い抵抗性を発揮することができる。
但し、杭体20はH鋼ソイルセメント杭に限られず、例えば、鋼管ソイルセメント杭、鋼管杭、H鋼杭などであってもよい。
芯材21の頭部は地盤から上方に突出させ、拘束管12の下端の内部に配置する。
【0026】
<4>充填材。
充填材30は、拘束管12内に充填することによって擁壁パネル10と杭体20を一体に連結する部材である。
本例では、充填材30として高強度・高流動コンクリートを採用する。
CFT構造の性能は充填材30の品質に大きく左右されるため、充填材30調合及び品眞つ管理には特に留意を要する。
【0027】
<5>杭頭固定部(図2)。
本例の自立式擁壁1は、芯材21の頭部と拘束管12の内壁の間に充填した充填材30が硬化することによって、杭頭固定部Jを構成する点に特徴の一つがある。
杭頭固定部Jは、H鋼の芯材21の頭部をCFT構造の拘束管12内に強固に拘束することで、擁壁パネル10を杭体20に杭頭固定し、壁面材11に作用する背面土圧を、杭頭固定部Jにおける拘束管12、充填材30、及び芯材21の一体連結を介して、杭体20の地中部分に有効に伝達することができる。
このように、芯材21の地上への突出長を大幅に短縮できるので、芯材21の長さを半減でき、材料コストを大幅に低減することができる。
【0028】
[施工方法]
引き続き、本発明の自立式擁壁の施工方法について詳細に説明する。
<1>擁壁パネルの組立。
壁面材11背面から突出する2列の連結片11bの間に拘束管12を配置し、両者のボルト孔が一致するように位置合わせをする。
連結片11bと拘束管12に連結ボルト13を連通し、両者をボルト結合する。
【0029】
<2>改良体の形成。
攪拌混合装置によって、セメント系固化材を地盤に注入しながら攪拌混合し、地中に柱状の改良体22を形成する。
同様にして、自立式擁壁1の連続方向に沿って所定間隔で所定数の改良体22を形成する。
【0030】
<3>芯材の建て込み。
改良体22が未硬化の内に改良体22内に芯材21のH鋼を建て込む。この際、芯材21の頭部を地盤上に突出させる。突出長は設計に応じて適宜設定するが、本例では芯材21の頭部を200mm程度突出させる。
芯材21の鉛直性と芯ずれがないかを確認する。
同様にして全ての改良体22に芯材21を建て込む。
【0031】
<4>擁壁パネルの設置。
擁壁パネル10を地盤上に吊り下ろす。
この際、拘束管12内に芯材21を挿通する。
本例では、擁壁パネル10を杭頭固定部Jによる杭頭固定とするため、擁壁パネル10を高く吊り上げる必要がない。このため、施工効率が非常に高い。
設置後、壁面材11の水平確認及び鉛直確認と、拘束管12の内壁と芯材21の間に所定のクリアランスが確保できていることを確認する。
【0032】
<5>充填材の充填。
拘束管12内に上方から充填材30を充填する。
充填材30は適切な打設速度で、拘束管12の上部まで充填する。
なお、充填方法は拘束管12上部からの落とし込みに限らず、拘束管12下部から圧入してもよい。
充填後、充填材30が拘束管12内に隙間なく充填されるようにバイブレーターで十分に締め固める。
【0033】
<6>充填材の硬化。
拘束管12内の充填材30が硬化して強度発現することによって、充填材30と拘束管12が相互に拘束し合って高耐力柱構造が構成される。
また、芯材21の頭部と、拘束管12と、充填材30とによって、前記壁面材に作用する背面土圧を前記杭体の地中部分に有効に伝達可能な、杭頭固定部Jが構成される。
【0034】
<7>その後の工程。
擁壁パネル10の一箇所の立設が終わったら、隣の杭体20に<4>〜<6>の作業を繰り返して自立式擁壁1を水平方向に連続してゆく。
なお、本例では工程<1>〜<3>を擁壁パネル10の連続方向に沿って各工程まとめて行い、工程<4>〜<6>を杭体20ごとに行ったが、これに限られない。
例えば、全ての工程を水平方向にまとめて行うなど、適宜手順を変更してもよい。
【実施例2】
【0035】
[壁面材と拘束管の連結に係る他の実施例]
実施例1では、壁面材11と拘束管12とを、埋め込み構造の連結片11bと拘束管12のボルト締結を介して連結したが、これに限定されない。
例えば、壁面材11と拘束管12とを、壁面材11の壁面本体11aに穿設した複数の連結孔11eと拘束管12のボルト連結を介して連結してもよい。
より詳細には、拘束管12の一面から両側に延出する支持翼12aを設け、両支持翼12aを壁面本体11aに当接した状態で、支持翼12aに連通した連結ボルト13によって壁面本体11aにボルト締結してもよい(図6)。
あるいは、拘束管12の一面にボルト孔を穿設し、拘束管12の内部から壁面本体11aの連結孔11eに直接ボルト締結してもよい(図7)。
本例は、壁面材11が突起部を有さず完全にフラットな構造となるため、角材などを必要とせずに平積みできる。更に、構造が単純なので製造コストが安価になる。
また、連結孔11eには、コーン状破壊を回避するため、内部にネジ溝を設け、外部に凹凸などの壁面本体11a内への定着部を設けた連結補強材11fを埋設してもよい。連結補強材11fは略T字状に組んだ異形鉄筋に内ネジ加工を施した「Oインサート材」などとして入手できる。
【実施例3】
【0036】
[芯材を拘束管の上方まで配した実施例]
実施例1では、芯材21の頭部のみを拘束管12内に突起させて杭頭固定部Jによる杭頭固定としたが、芯材21を拘束管12の上方まで延在させてもよい。例えば、芯材21の上部を拘束管12の全長にわたって配置してもよい。
本例の場合、CFT構造内に芯材21を付加することで、拘束管12の曲げ耐力が著しく向上するため、拘束管12を更に小型化することができる。
【実施例4】
【0037】
[壁面材を分割構造とした実施例]
実施例1では、一本の拘束管12に対して一枚の壁面材11を組み合わせたが、壁面材11を上下分割構造として一本の拘束管12に複数の壁面材11を上下に連続して付設してもよい。
本例では、壁面材11を小分割化することで搬送や保管に便利となる。
また、施工にあたっては、拘束管12に下段の壁面材11のみを付設した状態で地盤に配置し、上段の壁面材11は連結片11bで拘束管12の側面をガイドしながら吊り下すことで、より小型の重機を用いつつ容易に施工することができる。
【実施例5】
【0038】
[拘束管を複数設けた実施例]
実施例1では、一枚の壁面材に対して一本の拘束管12を組み合わせたが、拘束管12を複数にして壁面材11背面の複数か所に付設してもよい。
本例では、壁面材11に付与される背面土圧を複数のCFT構造で分散支持することにより、拘束管12及び杭体20のサイズを更に小型可することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 自立式擁壁
10 擁壁パネル
11 壁面材
11a 壁面本体
11b 連結片
11c 支持部
11d 連結部
11e 連結孔
11f 連結補強材
11g 鉄筋
12 拘束管
12a 支持翼
13 連結ボルト
20 杭体
21 芯材
22 改良体
30 充填材
J 杭頭固定部
【要約】      (修正有)
【課題】CFT構造の高耐力支柱によって控え部を小型化できるスリムな構造の自立式擁壁を提供する。
【解決手段】自立式擁壁1は、矩形面状の壁面材11と、壁面材11の背面に高さ方向に沿って連結した中空角形の拘束管12と、を有する擁壁パネル10と、擁壁パネル10の下方の地盤に埋設し、上部が拘束管12の管内に突出する杭体20と、拘束管12内に配置する充填材30と、を備え、充填材30が拘束管12内に一体に拘束されることによって高耐力柱構造を構成したことを特徴とする。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7