【実施例】
【0090】
実施例1:陽イオン洗浄剤の添加によるポリオウイルス含有粗細胞培養収穫物からのポリオウイルス精製収率の増大
PER.C6細胞系統由来の細胞を、潅流モードで運転する10Lバイオリアクタ中の無血清培地において増殖させて、およそ50×10
6個の生存細胞/ml(vc/ml)の細胞密度にした。ポリオウイルス1型(Mahoney)、2型(MEF−1)、または3型(Saukett)による感染の前に、フレッシュな培地で培養体を12.5×10
6〜50×10
6vc/mLの範囲の生存細胞密度に希釈した。バッチ感染プロセスを、10Lバイオリアクタにおいて35℃にて、感染多重度1で行なった。感染から20〜24時間後の収穫時に、50mlのサンプルを採ってから、4mLの11アリコートに分配した。
【0091】
ポリオウイルス含有細胞培養収穫物に及ぼす洗浄剤の影響を判定するために、臭化ドミフェン(DB)による滴定実験を実行した。不連続量のDBストック溶液をサンプルアリコートに標的DB濃度(0〜4mM)で加えた。サンプルを混合し、35℃で1時間インキュベートした。続いて、サンプルを3000gにて5分間遠心分離して、析出DNAをスピンダウンさせた。上澄みサンプルを、D−抗原ELISAによってウイルス量について、およびQ−PCRを用いて宿主細胞DNAについて分析した。
【0092】
図1(A、BおよびC)は、洗浄剤(DB)による処理の結果としての、ポリオウイルス含有細胞培養収穫物からのD−抗原の放出を示している。細胞密度が異なり、それぞれが異なるポリオ株(Mahoney、MEF−1、またはSaukett)を含有するいくつかの収穫物を、洗浄剤で処理してから遠心分離した。上澄み中のD−抗原濃度を、洗浄剤の添加による希釈について補正して、洗浄剤濃度の関数として与える。
図1は、洗浄剤(DB)の添加後に、ウイルス力価は、洗浄剤(DB)の添加前と比較して、実質的に増大していることを示している。各株について、および各生存細胞密度について、同じパターンを観察することができる。すなわち、洗浄剤(DB)の濃度を増大させるにつれ、液相中への粗細胞収穫物からのウイルスの放出が増大する。
【0093】
図2(A、BおよびC)は、洗浄剤(臭化ドミフェン)による処理の結果としての、ポリオウイルス含有粗細胞培養収穫物における宿主細胞DNAの析出を示している。y軸上の濃度は、洗浄剤希釈因子について補正したものである。各株について、および各生存細胞密度について、宿主細胞DNAが、粗細胞培養収穫物から析出している。
図2は、1.3mMを超える洗浄剤(DB)濃度について、有効なDNAクリアランスがアリコート中で起こったことを明らかに示している。
【0094】
また、最小のDB濃度を、個々の曲線から判定することもできる(
図1および
図2)。これは、プラトーレベルのD−抗原が得られ、同時に最大DNAクリアランスが得られるものである。この最小量の洗浄剤は、細胞密度と共に増大して、培地中の細胞量の高まりおよび可溶性宿主細胞DNAの増大に対処する。
【0095】
洗浄剤が増大してもポリオウイルスが沈殿しなかったため、当業者であれば、この結果を、細胞密度がはるかに高い、例えば約70×10
6細胞/mL、例えば約90×10
6細胞/mL、例えば最大約120×10
6細胞/mL、例えば最大約150×10
6細胞/mLのポリオウイルス含有細胞懸濁液に当てはめるであろう。当業者であれば、そのような高い細胞密度の粗細胞培養収穫物からポリオウイルスを、本発明の方法によって精製することができると結論するであろう。
【0096】
実施例2:VEROおよびMRC5の粗細胞培養収穫物からのポリオウイルスの放出に及ぼす洗浄剤処理の効力
付着性VERO細胞培養体由来の粗ポリオウイルス収穫物の処理
Vero細胞をT−175フラスコ内で前培養して、VEROスピナー培地(MEM+10%FBS+6mMグルタミン+4.6g/Lグルコース)中30×10
3細胞/cm
2にて1LスピナーフラスコCytodex3に、および5g/LマイクロキャリアCytodex3に接種するようにスケールアップした。細胞を37℃、5%CO
2でインキュベートして、最初の24時間は60rpmにて、および以降は一日中90rpmにて撹拌した。(マイクロキャリア上への)播種後3日目に、細胞を、予め温めたPBSで洗浄して、培地交換を感染培地(MEM+4mMグルタミン)で実行した。補充した細胞培養体を、1×10
6細胞/mLにて播種した20ml細胞培養体を含有する50ml tubespin上に分配した。MOIが1である3ウイルス株(Mahoney、MEF−1、Saukett)のそれぞれについて、tubespinを感染させた。感染を35℃、170rpm、5%CO
2で実行し、感染の72時間後にウイルスを収穫した。マイクロキャリア上で増殖したポリオウイルス含有粗VERO細胞収穫物に及ぼす洗浄剤の影響を判定するために、DBストック溶液を、1.6mMの最終濃度になるように収穫物に加えた。この実験のために、DBストック溶液(1.05w/v%、40mM NaCl)を用いた。サンプルを混合し、35℃で1時間インキュベートした。続いて、サンプルを3000gにて5分間遠心分離して、析出DNAをスピンダウンさせた。上澄みサンプルを、D−抗原ELISAによってウイルス量について、およびQ−PCRを用いて宿主細胞DNAについて分析した。
【0097】
付着性MRC5細胞培養体由来の粗ポリオウイルス収穫物の処理
MRC−5細胞を、BME+10%FB(nHI)+4mMグルタミン中で培養し、T75フラスコ内で、37℃および10%CO
2でインキュベートした。3〜4日毎に、培養体がおよそ80〜90%のコンフルエントとなった場合に、MRC−5培養体をT−175フラスコ中に通して広げた。細胞が約80〜90%の密度に達したときに(4日目)、細胞をPBSで洗浄して、培地交換をBME+4mMグルタミンで実行した。MOIが1である3ウイルス株(Mahoney、MEF−1、Saukett)のそれぞれについて、T−175フラスコを感染させた。フラスコあたりの総容量は25mlであった。感染を35℃、10%CO2で実行し、感染の72時間後にウイルスを収穫した。ポリオウイルス含有粗MRC5付着性細胞収穫物に及ぼす洗浄剤の影響を判定するために、DBストック溶液を、0.6mMの最終濃度になるように収穫物に加えた。サンプルを混合し、35℃で1時間インキュベートした。続いて、サンプルを3000gにて5分間遠心分離して、析出DNAをスピンダウンさせた。上澄みサンプルを、D−抗原ELISAによってウイルス量について、およびQ−PCRを用いて宿主細胞DNAについて分析した。
【0098】
【表1】
【0099】
表1は、DB処理直後のD−抗原の濃度を示し、DB濃度は、VERO細胞ポリオウイルス収穫物について1.6mM、およびMRC−5細胞ポリオウイルス収穫物について0.6mMである。表中のD−抗原濃度は、洗浄剤添加によって生じる希釈について補正されている。
【0100】
結果は、洗浄剤(DB)の添加により、付加的なウイルスが、VEROおよびMRC5の細胞培養収穫物の液相中に放出された一方で、DNAがウイルスから離れて析出していることを示す。実際に、1.6mM DBでのDNAクリアランスは、VERO細胞培養体において2log10を超えた。0.6mM DBでのDNAクリアランスは、MRC5細胞培養体において3log10を超えた(データ示さず)。このことは、本発明が、ポリオウイルス生産に用いられる種々の細胞型に適用可能であることを実証している。
【0101】
実施例3:細胞浄化前のバイオリアクタにおけるポリオウイルスの放出およびDNAクリアランスに及ぼす洗浄剤処理の影響
PER.C6細胞を、潅流モードで運転する10Lガラスバイオリアクタ中の無血清培地において増殖させて、およそ50×10
6vc/mlの細胞密度にした。ポリオウイルス1型(Mahoney)、2型(MEF−1)、または3型(Saukett)による感染の前に、フレッシュな培地で培養体を12.5×10
6vc/mLの生存細胞密度に希釈した。バッチ感染プロセスを、10Lバイオリアクタにおいて35℃にて、感染多重度1で行なった。感染から20〜24時間後の収穫時に、2.2mM DBの最終DB濃度に達するまで、臭化ドミフェン(DB)ストック溶液を、撹拌しながら30分で加えた。洗浄剤の添加後、バイオリアクタを、常に撹拌しながら、35℃で1時間インキュベートしたままにした。
【0102】
(DB処理なしおよびDB処理後の)粗細胞収穫物のサンプルを遠心分離(3000g、5分)して、細胞を沈殿させた。粗サンプル(DB処理前に遠心分離されなかったため、細胞を含有する)および上澄みサンプルを、ポリオウイルスおよび宿主細胞DNA定量化について、それぞれD−抗原ELISAおよびQ−PCRを用いて分析した。
【0103】
図3中に表される結果は、(全3株についての)全てのランにおいて、洗浄剤処理により、粗ポリオウイルス収穫物からの液相中へのD−抗原の放出が2倍増大したことを示している。また、DNAは、DBによる処理によって効果的に析出した。全てのランにおいて、粗収穫物に関するDNAクリアランスは、洗浄剤処理前の2logに対して、洗浄剤処理後に5logを超えた(データ示さず)。このことは、本発明がバイオリアクタ規模でも用いられ得ることを実証している。
【0104】
洗浄剤の添加は、例えば米国特許第7326555号明細書および国際公開第2011/045378号パンフレットに開示されるように、アデノウイルス精製プロセスの分野において宿主細胞DNAを取り除くために以前に用いられていた。しかしながら、選択的なDNAの析出は、ポリオウイルス精製の分野において、これまで開示されていなかった。ポリオウイルスとアデノウイルスは、非常に異なるウイルスである。実際に、ポリオウイルスは、タンパク質カプシドで封入される単鎖RNAゲノムで構成され、ウイルス粒子は、直径約30ナノメートルである。対照的に、アデノウイルスは、最も大きい非エンベロープウイルスを代表し、直径が約90〜100nmである。アデノウイルスのタンパク質カプシドは、二本鎖DNAらせんを含有し、および宿主細胞への付着の一助となる繊維またはスパイクが独自に存在しており、これらはポリオウイルスに存在しない。アデノウイルスの等電点はおよそpH5.5であり、これは、ウイルスが生理的条件下で負に帯電することを意味する。ポリオウイルスの等電点についての総説は、その値が、アデノウイルスのpH5.8〜7.5よりも高いことを示唆している(Thomassen et al,2013)。サイズおよび電荷が、クロマトグラフィおよび析出プロセスにおける重要な決定因子であるため、洗浄剤による処理が、アデノウイルス含有粗細胞培養収穫物に及ぼす効果と類似した効果を、ポリオウイルス含有粗細胞培養収穫物に及ぼすであろうことは予測され得なかった。
【0105】
より重要なことに、粗細胞培養収穫物からの、収穫物の液相中へのポリオウイルス粒子の放出に及ぼす洗浄剤処理の予想外の効果は、アデノウイルスの精製法において観察されなかった。そのため、この驚くべき効果は、以前に用いられていたウイルス精製法に基づいて予見され得なかった。
【0106】
実施例4:洗浄剤処理を伴う、および洗浄剤処理を伴わないポリオウイルス精製プロセス、ならびにD−抗原回収率およびDNAクリアランスに及ぼす影響
PER.C6細胞を、潅流モードで運転する10Lバイオリアクタ中の無血清培地において増殖させて、およそ50×10
6vc/mlの細胞密度にした。ポリオウイルス血清1型(Mahoney)または3型(Saukett)による感染の前に、フレッシュな培地で培養体をそれぞれ11×10
6vc/mlおよび9.5×10
6vc/mlの生存細胞密度に希釈した。バッチ感染プロセスを、10Lバイオリアクタにおいて35℃にて、感染多重度1で行なった。感染から22時間後の収穫時に、2つの1.5Lバルクサンプルをバイオリアクタから採って、2Lボトルに移した。一方のボトルは直接濾過を実行し、他方は洗浄剤(DB)で処理してから濾過にかけた。
【0107】
DB処理を、2Lボトル内で室温にて実行した。DBストック溶液を、2.1mMの最終DB濃度に達するように、ピペットを介して30等分に、撹拌しながら30分で加えた。洗浄剤の添加後、ボトルを、混合しながら2時間インキュベートしたままにした。未処理の粗収穫物またはDB処理済み収穫物を、一連のフィルタ、すなわち正に帯電した、気孔サイズ分布が4〜8/0.6〜1.5μmである深層フィルタ(Millipore Millstak+HC POD D0HC)に続く、0.8/0.45μm(Sartorius,Sartopore 2)および0.22μm(Millipore,Millipak)の縮小サイズの2つの連続ポリエーテルスルホン(PES)膜フィルタに通すことによって、細胞浄化を実行した。濾過の間に、最初に受けた濾液を破棄してから、フィードボトルが空になるまで、濾液を製品ボトル内に収集した。ウイルスの回収は、収集した濾液への、1系容量のPBSの添加によって完了した。浄化済み収穫物を、ウイルス量、宿主細胞DNA、およびHCPについて、それぞれD−抗原ELISA、Q−PCR、および宿主細胞特異的タンパク質ELISAを用いて分析した。収穫プロセスの性能に及ぼすDB処理の影響を、表2に表す。回収率を、収穫時に、粗収穫物からとったブロスサンプル全体について算出する。
【0108】
先の実施例と一致して、洗浄剤(臭化ドミフェン)による処理後のD−抗原回収率は、臭化ドミフェンなしのプロセスと比較して、有意に増大した。結果として、プロセスの容量生産性は、有意に増大した。実際に、浄化済み収穫物中のD−抗原の濃度は、洗浄剤(DB)処理後に2倍になった。
【0109】
さらに、洗浄剤処理工程によるHC−DNAのクリアランスを観察した。これは、先の実施例に記載される結果に従った。表2に従えば、ポリオウイルスを含有する粗細胞収穫物の、洗浄剤(DB)による処理は、DNAを1000倍一掃する一助となった。さらに、洗浄剤を用いて宿主細胞タンパク質(HCP)が部分的に取り除かれたことが示される。
【0110】
【表2】
【0111】
実施例5:薬物製造不活化ポリオウイルスワクチン(IPV)プロセスの一部としてのDB処理
本実施例は、20L規模での粗細胞培養収穫物からの野生型ポリオウイルス血清型(Mahoney、MEF−1、およびSaukett)の精製を示す。関連するダウンストリームプロセス工程を
図3に表す。
【0112】
PER.C6細胞を、潅流モードで運転する10Lバイオリアクタ中の無血清培地において増殖させて、およそ50×10
6vc/mlの細胞密度にした。ポリオウイルス血清1型(Mahoney)、2型(MEF−1)、または3型(Saukett)による感染の前に、培養体を3つのバイオリアクタに分割して、フレッシュな培地で12×10
6vc/ml、11×10
6vc/ml、および13×10
6vc/mlの生存細胞密度にそれぞれ希釈した。バッチ感染プロセスを、10Lバイオリアクタにおいて35℃にて、感染多重度1で行なった。
【0113】
感染から23時間後の収穫時に、2.2mM DBの最終DB濃度になるまで、DBストック溶液を30分間にわたってバイオリアクタに加えた。洗浄剤の添加後、DB処理する収穫物を60分間混合した。続いて、DB処理済み収穫物を、一連のフィルタ、すなわち、並列する2つの8〜4/1.5〜0.6μm Millistak DOHC PODフィルタに続く、0.8/0.45μm Sartopore 2フィルタ、Single Sep Qフィルタ、最後に0.22μm Millipakフィルタに通すことによって、浄化を実行した。
【0114】
2つの濾過の浄化済み収穫物をプールして、pH5.0に酸性化して、導電率11mS/cmに希釈して、Sartorius Sartopore 0.8/0.45μmフィルタで濾過してから、Sartorius Sartobind S膜にローディングした。PBSを用いる溶出工程によって、ウイルスを膜から回収した。最終工程において、陽イオン交換(CEX)ウイルス画分を、分画範囲が10〜4000kDaであるSepharose 6FFサイズ排除クロマトグラフィ樹脂を充填したカラム上にロードした。無勾配溶出中に、残留HCPをウイルス画分プールから分離し、また、ポリオウイルスのマトリックスを、NaClを含有するリン酸バッファに完全に交換した。
【0115】
精製後、精製済みウイルス溶液を、予めセットした吸光度単位(OD260nm)にSEC溶出バッファでさらに希釈してから、M199およびグリシン(最終濃度5g/L)を加えて、流体を0.22μm細孔サイズフィルタで濾過してから、ホルムアルデヒドで不活化した。
【0116】
世界保健機構(WHO)および欧州薬局方(EP)の要件に従って、0.025%ホルマリンを用いて、37℃で13日間(間に0.22μm濾過があった)不活化を実行した。
【0117】
先に記載のプロセスでは、主な産物中間体、粗収穫物、浄化済み収穫物、SEC溶出液、および不活化ポリオウイルス(IPV)を、ウイルス量、宿主細胞DNA、および総タンパク質(TP)について、それぞれD−抗原ELISA、Q−PCR、およびBradfordアッセイを用いて分析した。
【0118】
結果および考察
表3は、血清型あたりの精製済みポリオウイルスの品質属性および収率を要約している。残留した具体的なタンパク質およびDNAの濃度は、調節要件(WHO/EP)を満たす。また、吸光度比OD260/OD280は、高度に精製されたウイルスを示すものである(Westdijk et al.,2011)。最後に、異なる血清型のSDS−PAGEゲルは、ポリオウイルスの表面タンパク質に相当する4つのタンパク質主要バンドを示している(
図5)。そのため、本明細書中に記載される精製プロセスは、血清型の表面特性および収穫時のウイルス力価の差異に拘りなく、3つ全ての血清型の精製について、ロバストである。
【0119】
【表3】
【0120】
宿主細胞不純物、DNA、およびHCPのクリアランス、ならびに様々な生産ステージについての工程収率に基づいて、プロセスの性能を評価する。結果を表4に表す。
【0121】
【表4】
【0122】
3つ全ての血清型について、浄化工程後の残留HC−DNAレベルは、定量化の限界値未満である。表5は、等価用量/細胞培養mlで表したポリオウイルスの全体的な生産性を示している。この計算は、ポリオウイルス1〜3型について、40:8:32の比率のD−抗原ユニット/用量に基づく。不活化後の最終の生産性の比較により、このプロセスは、1〜3型のそれぞれについて、0.64、1.04、および0.34用量/ウイルス培養体mlを与える現在の世界的なIPV製造VERO細胞プロセスプラットホームを上回ることを示す(Kreeftenberg,2007)。そのため、高い細胞密度の収穫物に由来するフィードの高い初期不純物レベルにも拘らず、高い分離度および高い回収率のプロセスが開発されて、IPVワクチン製造の不可欠な部分としての、一価の不活化ポリオウイルスのバルク生産について、非常に優れた高い生産性がもたらされたと結論することができる。
【0123】
【表5】
【0124】
実施例6:様々な陽イオン洗浄剤の添加による粗細胞培養収穫物からのポリオウイルス精製収率の増大
PER.C6(登録商標)細胞を、潅流モードで運転する10Lバイオリアクタ中の無血清培地において増殖させて、およそ50×10
6vc/mlの細胞密度にした。ポリオウイルス2型(MEF−1)による感染の前に、フレッシュな培地で培養体を約12.5×10
6vc/mLの生存細胞密度に希釈した。バッチ感染プロセスを、10Lバイオリアクタにおいて35℃にて、感染多重度1で行なった。感染から20〜24時間後の収穫時に、120mlのサンプルを採ってから、5mLの18アリコートに分配した。
【0125】
ポリオウイルス含有粗細胞収穫物に及ぼす洗浄剤の影響を判定するために、いくつかの陽イオン洗浄剤;ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)、ヘキサデシルピリジニウムクロリド(CPC)、および塩化ベンゼトニウム(BTC)による滴定実験を実行した。固定量のCTAB、CPC、およびBTCストック溶液(それぞれ69、70、56mM、全て40mM NaClを含む)を収穫アリコートに標的洗浄剤濃度(0〜4mM)で加えた。サンプルを徹底的に混合して、35℃で1時間インキュベートした。続いて、サンプルを3000gにて5分間遠心分離して、析出DNAをスピンダウンさせた。上澄みサンプルを、D−抗原ELISAによってウイルス量について、およびQ−PCRを用いて宿主細胞DNAについて分析した。
【0126】
図6(A)は、様々な陽イオン洗浄剤;それぞれCTAB、CPC、およびBTCによる処理の結果としての、ポリオウイルス含有粗細胞培養収穫物からのD−抗原の放出を示している。上澄み中のD−抗原濃度を、洗浄剤添加の希釈について補正して、洗浄剤濃度の関数として開示する。
図6(A)は、洗浄剤(CTAB、CPC、およびBTC)の添加後、ウイルス力価が、洗浄剤(CTAB、CPC、およびBTC)の添加前と比較して、実質的に増大したことを開示している。各陽イオン洗浄剤について、同じパターンを観察することができる。すなわち、洗浄剤(CTAB、CPC、およびBTC)の濃度を増大させるにつれ、液相中への粗細胞収穫物からのウイルスの放出が増大する。
【0127】
図6(B)は、洗浄剤(CTAB、CPC、およびBTC)による処理の結果としての、ポリオウイルス含有粗細胞培養収穫物における宿主細胞DNAの析出を示している。y軸上の濃度は、洗浄剤希釈因子について補正したものである。各陽イオン洗浄剤について、同じパターンを観察することができる。すなわち、宿主細胞DNAは、粗細胞培養収穫物から析出する。
図6(B)は、有効なDNAクリアランスが、0.5mMを上回る洗浄剤(CTAB、CPC、またはBTC)濃度について、アリコート中で起こったことを明らかに示している。
【0128】
洗浄剤を増大させてもポリオウイルスが沈殿しなかったため、当業者であれば、この結果を、さらに高い細胞密度、例えば約70×10
6細胞/mL、例えば約90×10
6細胞/mL、例えば最大約120×10
6細胞/mL、例えば最大約150×10
6細胞/mLのポリオウイルス含有細胞懸濁液に当てはめるであろう。当業者であれば、そのような高い細胞密度の粗細胞培養収穫物からポリオウイルスを、本発明の方法によって精製することができると結論するであろう。
【0129】
実施例7:様々なタイプの洗浄剤(陰イオン、双極性イオン、および非イオン)の添加による粗細胞培養収穫物からのポリオウイルス精製収率の増大
PER.C6(登録商標)細胞を、潅流モードで運転する10Lバイオリアクタ中の無血清培地において増殖させて、およそ50×10
6vc/mlの細胞密度にした。ポリオウイルス2型(MEF−1)による感染の前に、フレッシュな培地で培養体を約12.5×10
6vc/mLの生存細胞密度に希釈した。バッチ感染プロセスを、10Lバイオリアクタにおいて35℃にて、感染多重度1で行なった。感染から20〜24時間後の収穫時に、240mlのサンプルを採ってから、5mLの42アリコートに分配した。
【0130】
ポリオウイルス含有粗細胞収穫物に及ぼす洗浄剤の影響を判定するために、いくつかの異なるタイプの洗浄剤による滴定実験を実行した。陰イオン洗浄剤(タウロデオキシコール酸ナトリウム水和物(STH)およびドデシル硫酸ナトリウム(SDS))、双極性イオン洗浄剤(3−(N,N−ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネート(SB3−14)および3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート(CHAPS))、ならびに非イオン洗浄剤(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル−ポリエチレングリコール(Triton(登録商標)X−100)およびデシル−β−D−1−チオマルトピラノシド(DTP))を、それらの洗浄剤クラスについての例示的な洗浄剤として用いた。固定量の洗浄剤ストック溶液を収穫アリコートに標的洗浄剤濃度で加えた。陰イオン洗浄剤(STHおよびSDS)、双極性イオン洗浄剤(SB3−14およびCHAPS)、および非イオン洗浄剤(Triton(登録商標)X−100およびDTP)の標的洗浄剤濃度は、0〜4mMであった。全ての洗浄剤のタイプ(陰イオン、双極性イオン、非イオン)のサンプルを徹底的に混合して、35℃で1時間インキュベートした。続いて、サンプルを3000gにて5分間遠心分離して、析出DNAをスピンダウンさせた。上澄みサンプルを、D−抗原ELISAによってウイルス量について、およびQ−PCRを用いて宿主細胞DNAについて分析した。
【0131】
図7(A、B、およびC)は、様々なタイプの洗浄剤;それぞれ陰イオン洗浄剤(STHおよびSDS)、双極性イオン洗浄剤(SB3−14およびCHAPS)、および非イオン洗浄剤(Triton(登録商標)X−100およびDTP)による処理の結果としての、ポリオウイルス含有粗細胞培養収穫物からのD−抗原の放出を示している。上澄み中のD−抗原濃度を、洗浄剤添加の希釈について補正して、洗浄剤濃度の関数として開示する。
図7(A、B、およびC)は、洗浄剤(STH、SDS、SB3−14、CHAPS、Triton(登録商標)X−100、およびDTP)の添加後、ウイルス力価が、洗浄剤(STH、SDS、SB3−14、CHAPS、Triton(登録商標)X−100、およびDTP)の添加前と比較して、実質的に増大したことを開示している。各タイプの洗浄剤(陰イオン、双極性イオン、または非イオン)について、同じパターンを観察することができる。すなわち、洗浄剤(STH、SDS、SB3−14、CHAPS、Triton(登録商標)X−100、およびDTP)の濃度を増大させるにつれ、液相中への粗細胞収穫物からのウイルスの放出が増大する。
図8(A、B、およびC)は、洗浄剤(STH、SDS、SB3−14、CHAPS、Triton(登録商標)X−100、およびDTP)による処理の結果としての、ポリオウイルス含有粗細胞培養収穫物からの宿主細胞DNAの放出を示している。y軸上の濃度は、洗浄剤希釈因子について補正したものである。各タイプの洗浄剤(陰イオン、双極性イオン、または非イオン)について、同じパターンを観察することができる。すなわち、洗浄剤(STH、SDS、SB3−14、CHAPS、Triton(登録商標)X−100、およびDTP)の濃度を増大させるにつれ、液相中への粗細胞収穫物からの宿主細胞DNAの放出が増大する。
【0132】
洗浄剤タイプ(陰イオン、双極性イオン、または非イオン)の濃度を増大させてもポリオウイルスが沈殿しなかったため、当業者は、この結果を、さらに高い細胞密度、例えば約70×10
6細胞/mL、例えば約90×10
6細胞/mL、例えば最大約120×10
6細胞/mL、例えば最大約150×10
6細胞/mLのポリオウイルス含有細胞懸濁液に当てはめることができる。当業者であれば、そのような高い細胞密度の粗細胞培養収穫物からポリオウイルスを、本発明の方法によって精製することができると結論するであろう。
【0133】
実施例8:Sabin IPV精製トレインの一部としてのDB処理および浄化
本実施例は、粗細胞培養収穫物からの弱毒化ポリオウイルス血清型(Sabin1型、Sabin2型、およびSabin3型)の精製プロセスの一部としての収穫プロセス(DB処理に続く細胞浄化)の適用を記載する。
【0134】
PER.C6細胞系統由来の細胞を、潅流モードで運転する10Lバイオリアクタ中の無血清培地において増殖させて、およそ50×10
6vc/mlの細胞密度にした。ポリオウイルス血清1型(Sabin1型)、2型(Sabin2型)、または3型(Sabin3型)による感染の前に、フレッシュな培地で培養体を12.5×10
6vc/mLまたは25×10
6vc/mLの生存細胞密度に希釈した。感染多重度1および0.1を、12.5×10
6vc/mlおよび25×10
6vc/mlの細胞培養体にそれぞれ用いた。両方の場合において、バッチ感染プロセスを、10Lバイオリアクタにおいて32.5℃で行なった。
【0135】
収穫時(Sabin1型またはSabin3型について感染後48時間、およびSabin2型について感染後72時間)に、2.2mM DBの最終DB濃度になるまで、DBストック溶液を30分間にわたってバイオリアクタに加えた。洗浄剤の添加後、DB処理する収穫物(約11L)を60分間混合した。最後に、DB処理済み収穫物を、
図4および実施例5においてSalk IPVについて記載したのと同様に、浄化かつ精製した。
【0136】
表6は、DB処理工程に続く連続濾過の全体的なD−抗原回収率およびHC−DNA除去を示している。表7は、精製済みSabinポリオウイルスの品質属性を要約している。
【0137】
【表6】
【0138】
【表7】
【0139】
Sabinポリオウイルスのプロセスの結果は、野生型株について達成される結果と大きい類似性を示す。Sabinポリオウイルス株についても、組み合わせたDB処理および浄化収穫プロセスは、HC−DNAが完全に除去された、高いウイルス回収率を達成する(表6)。表7は、PER.C6(登録商標)ベースのSabinポリオウイルス細胞培養収穫物が、本発明に記載される収穫精製プロセスを用いて、十分に精製され得たことを示している。残留した具体的なタンパク質およびDNAの濃度は、調節要件(WHO/EP)を満たす。また、吸光度比OD260/OD280は、高度に精製されたウイルスを示すものである(Westdijk et al.,2011)。全体的な純度は、野生型ポリオウイルス株について得られた純度(実施例5における表3参照)と同じである。
【0140】
とりわけ、2つのタイプのウイルス、野生型およびSabin株が正味の表面電荷の点で異なることを考えると(Thomassen et al.,2013)、結果は非常に有望である。このことは重ねて、開発された包括的な高い生産性のポリオウイルスワクチン製造プロセスのロバスト性を実証している。
【0141】
参考文献
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以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 粗細胞培養収穫物からポリオウイルスを精製する方法であって:
a)洗浄剤を前記粗細胞培養収穫物に加える工程と;
b)前記ポリオウイルス含有細胞培養収穫物を浄化して、ポリオウイルス粒子を有する浄化済み収穫物を得る工程と
を含む方法。
[2] 粗細胞培養収穫物からのポリオウイルスの放出を促進する方法であって:
a)洗浄剤を前記粗細胞培養収穫物に加える工程と;
b)前記ポリオウイルス含有細胞培養収穫物を浄化して、ポリオウイルス粒子を有する浄化済み収穫物を得る工程と
を含む方法。
[3] 細胞培養体からポリオウイルスを精製する方法であって:
a)洗浄剤を前記細胞培養体に加える工程と;
b)前記ポリオウイルス含有細胞培養体を浄化して、ポリオウイルス粒子を有する浄化済み収穫物を得る工程と;
c)工程b)において得られた前記浄化済み収穫物を捕捉工程にかけて、ポリオウイルス含有懸濁液を得る工程と
を含む方法。
[4] 前記捕捉工程は、陽イオン交換クロマトグラフィ工程である、[3]に記載の細胞培養体からポリオウイルスを精製する方法。
[5] 工程c)において得られた前記ポリオウイルスは、サイズ排除によって前記ポリオウイルス含有懸濁液からさらに分離される、[3]または[4]に記載の細胞培養体からポリオウイルスを精製する方法。
[6] 前記サイズ排除は、サイズ排除クロマトグラフィによって実行される、[5]に記載の細胞培養体からポリオウイルスを精製する方法。
[7] 細胞培養体からポリオウイルスを精製する方法であって:
a)洗浄剤を前記細胞培養体に加える工程と;
b)前記ポリオウイルス含有細胞培養体を浄化して、ポリオウイルス粒子を有する浄化済み収穫物を得る工程と;
c)工程b)において得られた前記浄化済み収穫物を陽イオン交換クロマトグラフィ工程にかけて、ポリオウイルス含有懸濁液を得る工程と;
d)サイズ排除クロマトグラフィによって、前記ポリオウイルス含有懸濁液から前記ポリオウイルスをさらに精製分離する工程と
を含む方法。
[8] 前記洗浄剤は、陽イオン洗浄剤、陰イオン洗浄剤、非イオン洗浄剤、および双極性イオン洗浄剤の群から選択される、[1]〜[7]のいずれかに記載の方法。
[9] 前記洗浄剤は、陽イオン洗浄剤である、[8]に記載の方法。
[10] 前記陽イオン洗浄剤は、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)、ヘキサデシルピリジニウムクロリド(CPC)、塩化ベンゼトニウム(BTC)、および臭化ドミフェン(DB)の群から選択される、[9]に記載の方法。
[11] 前記陽イオン洗浄剤は、臭化ドミフェン(DB)である、[10]に記載の方法。
[12] 前記洗浄剤は、陰イオン洗浄剤である、[8]に記載の方法。
[13] 前記陰イオン洗浄剤は、タウロデオキシコール酸ナトリウム水和物(STH)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の群から選択される、[12]に記載の方法。
[14] 前記洗浄剤は、非イオン洗浄剤である、[8]に記載の方法。
[15] 前記非イオン洗浄剤は、4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル−ポリエチレングリコール(Triton(登録商標)X−100)およびデシル−β−D−1−チオマルトピラノシド(DTP)の群から選択される、[14]に記載の方法。
[16] 前記洗浄剤は、双極性イオン洗浄剤である、[8]に記載の方法。
[17] 前記双極性イオン洗浄剤は、3−(N,N−ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネート(SB3−14)、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート(CHAPS)の群から選択される、[16]に記載の方法。
[18] 粗細胞培養収穫物からのポリオウイルスの放出を促進するための洗浄剤の使用。