特許第6385575号(P6385575)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6385575赤色有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385575
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】赤色有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/50 20060101AFI20180827BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20180827BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   H05B33/14 B
   H05B33/10
   H05B33/22 A
   H05B33/22 C
   H05B33/22 B
   H05B33/22 D
   H05B33/12 C
【請求項の数】10
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2017-523398(P2017-523398)
(86)(22)【出願日】2014年11月20日
(65)【公表番号】特表2017-533593(P2017-533593A)
(43)【公表日】2017年11月9日
(86)【国際出願番号】CN2014091779
(87)【国際公開番号】WO2016065677
(87)【国際公開日】20160506
【審査請求日】2017年6月28日
(31)【優先権主張番号】201410605638.8
(32)【優先日】2014年10月30日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503109042
【氏名又は名称】中国科学院長春応用化学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】周 ▲亮▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 洪杰
(72)【発明者】
【氏名】▲馮▼ ▲ジン▼
【審査官】 辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−514618(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第1545370(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第102394276(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第1948309(CN,A)
【文献】 特表2003−520391(JP,A)
【文献】 LI, Tingxi et al.,Organic electroluminescent devices using europium complex_doped poly(N-vinylcarbazole),POLYMERS FOR ADVANCED TECHNOLOGIES,英国,2004年 6月,Vol.15 No.6,Page.302-305
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50
H05B 33/10
H05B 33/12
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に積層された陽極層と、
前記陽極層に積層された陽極修飾層と、
前記陽極修飾層に積層された正孔輸送−電子阻止層と、
前記正孔輸送−電子阻止層に積層された正孔支配型発光層と、
前記正孔支配型発光層に積層された電子支配型発光層と、
前記電子支配型発光層に積層された正孔阻止−電子輸送層と、
前記正孔阻止−電子輸送層に積層された陰極修飾層と、
前記陰極修飾層に積層された陰極層と、
を含み、
前記電子支配型発光層は、有機増感材料、赤色有機発光材料及び電子型有機ホスト材料から構成され、
前記有機増感材料は、トリス(ジベンゾイルメタナト)(1,10−フェナントロリナト)ユウロピウム及びトリス(テノイルトリフルオロアセトナト)(1,10−フェナントロリナト)ユウロピウムのうちから選択される1種又は2種であり、
前記有機増感材料は、前記電子型有機ホスト材料に対して0.1wt%〜0.5wt%であることを特徴とする赤色有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項2】
前記赤色有機発光材料の含有量は、前記電子型有機ホスト材料に対して2wt%〜5wt%である、ことを特徴とする請求項1に記載の赤色有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項3】
前記赤色有機発光材料は、ジ(2−フェニルキノリナト)−(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)イリジウム、ジ(2−ベンゾ[b]2−チエニルピリジナト)アセチルアセトナトイリジウム、トリス(1−フェニルイソキノリナト)イリジウム、ジ(1−フェニルイソキノリナト)(アセチルアセトナト)イリジウム、ビス[1−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−イソキノリナト](アセチルアセトナト)イリジウム、ジ[2−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)キノリナト](アセチルアセトナト)イリジウム、ジ(2−フェニルキノリナト)(2−(3−メチルフェニル)ピリジネート)イリジウム、トリス[2−フェニル−4−メチルキノリナト]イリジウム、ビス(フェニルイソキノリナト)(2,2,6,6−テトラメチルヘキサン−3,5−ジオナト)イリジウム、ジ(2−メチルジベンゾ[f,h]キノキサリナト)(アセチルアセトナト)イリジウム及びジ[2−(2−メチルフェニル)−7−メチル−キノリナト](アセチルアセトナト)イリジウムからなる群より選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1或2に記載の赤色有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項4】
前記電子型有機ホスト材料は、2,6−ビス[3−(9H−9−カルバゾリル)フェニル]ピリジン、1,4−ビス(トリフェニルシリル)ベンゼン、2,2’−ビス(4−(9−カルバゾリル)フェニル)ビフェニル、[2,4,6−トリメチル−3−(3−ピリジル)フェニル]ボラン、1,3,5−トリス[(3−ピリジル)−3−フェニル]ベンゼン、1,3−ビス[3,5−ジ(3−ピリジル)フェニル]ベンゼン、1,3,5−トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)ベンゼン、9−(4−t−ブチルフェニル)−3,6−ビス(トリフェニルシリル)−9H−カルバゾール及び9−(8−ジフェニルホスホリル)−ジベンゾ[b,d]フラン−9H−カルバゾールからなる群より選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の赤色有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項5】
前記正孔支配型発光層は、赤色有機発光材料及び正孔型有機ホスト材料から構成され、前記赤色有機発光材料は、前記正孔型有機ホスト材料に対して2.0wt%〜5.0wt%であり、
前記赤色有機発光材料は、ジ(2−フェニルキノリナト)−(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)イリジウム、ジ(2−ベンゾ[b]2−チエニルピリジナト)アセチルアセトナトイリジウム、トリス(1−フェニルイソキノリナト)イリジウム、ジ(1−フェニルイソキノリナト)(アセチルアセトナト)イリジウム、ビス[1−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−イソキノリナト](アセチルアセトナト)イリジウム、ジ[2−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)キノリナト](アセチルアセトナト)イリジウム、ジ(2−フェニルキノリナト)(2−(3−メチルフェニル)ピリジネート)イリジウム、トリス[2−フェニル−4−メチルキノリナト]イリジウム、ビス(フェニルイソキノリナト)(2,2,6,6−テトラメチルヘキサン−3,5−ジオナト)イリジウム、ジ(2−メチルジベンゾ[f,h]キノキサリナト)(アセチルアセトナト)イリジウム及びジ[2−(2−メチルフェニル)−7−メチル−キノリナト](アセチルアセトナト)イリジウムからなる群より選ばれる1種又は2種以上であり、
前記正孔型有機ホスト材料は、4,4’−N,N’−ジカルバゾールジフェニル、1,3−ジ(カルバゾール−9−イル)ベンゼン、9,9’−(5−(トリフェニルシリル)−1,3−フェニル)ジ−9H−カルバゾール、1,3,5−トリス(9−カルバゾリル)ベンゼン、4,4’,4’ ’−トリス(カルバゾール−9−イル)トリフェニルアミン及び1,4−ビス(トリフェニルシリル)ビフェニルからなる群より選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の赤色有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項6】
前記正孔輸送−電子阻止層の材料は、4,4’−シクロヘキシルジ[N,N−ジ(4−メチルフェニル)アニリン]、ジピラジノ[2,3−f:2’,3’−h]キノキサリン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリル、N4,N4’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N4,N4’−ビス(4−ビニルフェニル)ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−2,7−ジアミン−9,9−スピロビフルオレン、N,N,N’,N’−テトラ−(3−メチルフェニル)−3−3’−ジメチルp−ジアミノビフェニル、2,2’−ジ(3−(N,N−ジ−p−トリルアミノ)フェニル)ビフェニル、N,N’−ジ(ナフタレン−2−イル)−N,N’−ジ(フェニル)ジアミノビフェニル、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−2,7−ジアミノ−9,9−スピロビフルオレン、N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−2,7−ジアミノ−9,9−ジメチルフルオレン、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−2,7−ジアミノ−9,9−ジメチルフルオレン、N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−2,7−ジアミノ−9,9−ジフェニルフルオレン、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−2,7−ジアミノ−9,9−ジフェニルフルオレン、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−2,2’−ジメチルジアミノビフェニル、2,2’,7,7’−テトラ(N,N−ジフェニルアミノ)−2,7−ジアミノ−9,9−スピロビフルオレン、9,9−ジ[4−(N,N−ジナフタレン−2−イル−アミノ)フェニル]−9H−フルオレン、9,9−[4−(N−ナフタレン−1−イル−N−フェニルアミン)−フェニル]−9H−フルオレン、2,2’−ジ[N,N−ジ(4−フェニル)アミノ]−9,9−スピロビフルオレン、2,2’−ビス(N,N−フェニルアミノ)−9,9−スピロビフルオレン、N,N’−ジフェニル−N,N’−(1−ナフチル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、及び4,4’−ジ[N−(p−トリル)−N−フェニル−アミノ]ジフェニルからなる群より選ばれる1種又は2種以上である、ことを特徴とする請求項1に記載の赤色有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項7】
前記正孔阻止−電子輸送層の材料は、トリス([2,4,6−トリメチル−3−(3−ピリジル)フェニル]ボラン、1,3,5−トリス[(3−ピリジル)−3−フェニル]ベンゼン、1,3−ビス[3,5−ジ(3−ピリジル)フェニル]ベンゼン、及び1,3,5−トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)ベンゼンからなる群より選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の赤色有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項8】
前記陽極修飾層の厚さが1〜10nmであり、前記正孔輸送−電子阻止層の厚さが30〜60nmであり、前記正孔支配型発光層の厚さが5〜20nmであり、前記電子支配型発光層の厚さが5〜20nmであり、前記正孔阻止−電子輸送層の厚さが30〜60nmであり、前記陰極修飾層の厚さが0.8〜1.2nmであり、前記陰極層の厚さが90〜300nmである、ことを特徴とする請求項1に記載の赤色有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項9】
基板上の陽極層をエッチングし、乾燥した後に前記陽極層上に陽極修飾層、正孔輸送−電子阻止層、正孔支配型発光層、電子支配型発光層、正孔阻止−電子輸送層、陰極修飾層及び陰極層を順次に蒸着し、
前記電子支配型発光層は、有機増感材料、赤色有機発光材料及び電子型有機ホスト材料から構成され、
前記有機増感材料は、トリス(ジベンゾイルメタナト)(1,10−フェナントロリナト)ユウロピウム及びトリス(テノイルトリフルオロアセトナト)(1,10−フェナントロリナト)ユウロピウムのうちから選択される1種又は2種以上であり、
前記有機増感材料は、前記電子型有機ホスト材料の0.1wt%〜0.5wt%である赤色有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【請求項10】
前記陽極修飾層の蒸発速度が0.01〜0.05nm/sであり、前記正孔輸送−電子阻止層、正孔支配型発光層、電子支配型発光層及び正孔阻止−電子輸送層におけるホスト材料の蒸発速度が0.05〜0.1nm/sであり、前記電子支配型発光層における有機増感材料の蒸発速度が0.00005〜0.0005nm/sであり、前記電子支配型発光層および正孔支配型発光層における赤色発光材料の蒸発速度が0.001〜0.005nm/sであり、前記陰極修飾層の蒸発速度が0.005〜0.05nm/sであり、前記陰極層の蒸発速度が0.5〜2.0nm/sであることを特徴とする請求項9に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2014年10月30日に中国専利局へ提出された、出願番号第201410605638.8号で、発明の名称が「赤色有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容を引用により本発明に取り込まれる。
【0002】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンスの技術分野に関し、特に、赤色有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
有機エレクトロルミネッセンス素子は、自己発光素子であり、その発光原理は、電荷が正孔注入電極と電子注入電極との間の有機層に注入されると、電子と正孔とが遭遇、結合してその後に消滅することにより、発光するということである。有機エレクトロルミネッセンス素子は、低電圧、高輝度、広い視野角などの特性を有するため、近年、有機エレクトロルミネッセンス素子が急速に発展されてきた。中でも、赤色有機エレクトロルミネッセンス素子は、単色表示、白色光変調などの点において広く応用される見込みがあるため、その研究が盛んになっている。
【0004】
従来、三価イリジウム錯体は、発光効率が高く、発光色が調整可能であるなどの利点を有するため、学界及び業界に理想的な有機エレクトロルミネッセンス材料と見なされている。国内外の多くの研究チームが、材料合成及び素子最適化の点から、産業化の総合性能を満足するように赤色有機エレクトロルミネッセンス素子の総合性能を向上させる試みをしている。例えば、2001年、アメリカプリンストン大学のS.R.Forrest氏らは、標準赤色光を発光するイリジウム錯体btpIr(acac)を発光材料として用い、ドーピングする方法によって有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。当該素子は、非常に理想的な赤色発光を示しているが、キャリアの注入が不平衡であるため、素子の効率及び輝度が低く、また、素子の動作電圧が高い。
【0005】
これらの問題を解決するために、2009年、中国科学院長春応用化学研究所の馬 東閣らは、高効率のイリジウム錯体(fbi)Ir(acac)を赤色光染料として選択して、それを好適なホスト材料にドーピングすることによって多層構造の赤色有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。当該素子は、高い最大発光効率及び最大輝度を有しているが、素子の発光効率が電流密度の向上につれて迅速に減衰する。また、素子の構造が複雑であるため、素子の製造コストが高くなりつつ、素子の動作電圧の低減に不利である。2013年、香港大学の支 志明らは、赤色白金錯体を発光材料として合成し、両発光層素子構造を設計して最適化し、純粋な赤色発光を有する有機エレクトロルミネッセンス素子を得た。該素子の効率減衰が大幅に緩和されているが、素子には依然として動作電圧が高く、輝度が低い問題が存在している。このように、赤色有機エレクトロルミネッセンス素子の発光効率、輝度、スペクトル安定性及び動作寿命などの総合性能が依然として有効に改善されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする技術課題は、総合性能が高い赤色有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これを鑑みて、本発明は、
基板と、
前記基板に積層された陽極層と、
前記陽極層に積層された陽極修飾層と、
前記陽極修飾層に積層された正孔輸送−電子阻止層と、
前記正孔輸送−電子阻止層に積層された正孔支配型発光層と、
前記正孔支配型発光層に積層された電子支配型発光層と、
前記電子支配型発光層に積層された正孔阻止−電子輸送層と、
前記正孔阻止−電子輸送層に積層された陰極修飾層と、
前記陰極修飾層に積層された陰極層と、
を含み、
前記電子支配型発光層は、有機増感材料、赤色有機発光材料及び電子型有機ホスト材料から構成され、
前記有機増感材料は、トリス(ジベンゾイルメタナト)(1,10−フェナントロリナト)ユウロピウム及びトリス(テノイルトリフルオロアセトナト)(1,10−フェナントロリナト)ユウロピウムのうちから選択される1種又は2種であり、
前記有機増感材料は、前記電子型有機ホスト材料に対して0.1wt %〜0.5wt %である、赤色有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する。
【0008】
好ましくは、前記赤色有機発光材料の含有量は、前記電子型有機ホスト材料に対して2wt%〜5wt%である。
【0009】
好ましくは、前記赤色有機発光材料は、ジ(2−フェニルキノリナト)−(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)イリジウム、ジ(2−ベンゾ[b]2−チエニルピリジナト)アセチルアセトナトイリジウム、トリス(1−フェニルイソキノリナト)イリジウム、ジ(1−フェニルイソキノリナト)(アセチルアセトナト)イリジウム、ジ[1−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−イソキノリナト](アセチルアセトナト)イリジウム、ジ[2−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)キノリナト](アセチルアセトナト)イリジウム、ジ(2−フェニルキノリナト)(2−(3−メチルフェニル)ピリジネート)イリジウム、トリス[2−フェニル−4−メチルキノリナト]イリジウム、ビス(フェニルイソキノリナト)(2,2,6,6−テトラメチルヘキサン−3,5−ジオナト)イリジウム、ジ(2−メチルジベンゾ[f,h]キノキサリナト)(アセチルアセトナト)イリジウム及びジ[2−(2−メチルフェニル)−7−メチル−キノリナト](アセチルアセトナト)イリジウムからなる群より選ばれる1種又は2種以上である。
【0010】
好ましくは、前記電子型有機ホスト材料は、2,6−ジ[3−(9H−9−カルバゾリル)フェニル]ピリジン、1,4−ビス(トリフェニルシリル)ベンゼン、2,2’−ビス(4−(9−カルバゾリル)フェニル)ビフェニル、[2,4,6−トリメチル−3−(3−ピリジル)フェニル]ボラン、1,3,5−トリス[(3−ピリジル)−3−フェニル]ベンゼン、1,3−ビス[3,5−ジ(3−ピリジル)フェニル]ベンゼン、1,3,5−トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)ベンゼン、9−(4−t−ブチルフェニル)−3,6−ビス(トリフェニルシリル)−9H−カルバゾール及び9−(8−ジフェニルホスホリル)−ジベンゾ[b,d]フラン−9H−カルバゾールからなる群より選ばれる1種又は2種以上である。
【0011】
好ましくは、前記正孔支配型発光層は、赤色有機発光材料及び正孔型有機ホスト材料から構成され、前記赤色有機発光材料は、前記正孔型有機ホスト材料に対して2.0wt%〜5.0wt%であり、
前記赤色有機発光材料は、ジ(2−フェニルキノリナト)−(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)イリジウム、ジ(2−ベンゾ[b]2−チエニルピリジナト)アセチルアセトナトイリジウム、トリス(1−フェニルイソキノリナト)イリジウム、ジ(1−フェニルイソキノリナト)(アセチルアセトナト)イリジウム、ジ[1−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−イソキノリナト](アセチルアセトナト)イリジウム、ジ[2−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)キノリナト](アセチルアセトナト)イリジウム、ジ(2−フェニルキノリナト)(2−(3−メチルフェニル)ピリジネート)イリジウム、トリス[2−フェニル−4−メチルキノリナト]イリジウム、ビス(フェニルイソキノリナト)(2,2,6,6−テトラメチルヘキサン−3,5−ジオナト)イリジウム、ジ(2−メチルジベンゾ[f,h]キノキサリナト)(アセチルアセトナト)イリジウム及びジ[2−(2−メチルフェニル)−7−メチル−キノリナト](アセチルアセトナト)イリジウムからなる群より選ばれる1種又は2種以上である。
【0012】
前記正孔型有機ホスト材料は、4,4’−N,N’−ジカルバゾールジフェニル、1,3−ジ(カルバゾール−9−イル)ベンゼン、9,9’−(5−(トリフェニルシリル)−1,3−フェニル)ジ−9H−カルバゾール、1,3,5−トリス(9−カルバゾリル)ベンゼン、4,4’,4’’−トリス(カルバゾール−9−イル)トリフェニルアミン及び1,4−ビス(トリフェニルシリル)ビフェニルからなる群より選ばれる1種又は2種以上である。
【0013】
好ましくは、前記正孔輸送−電子阻止層の材料は、4,4’−シクロヘキシルジ[N,N−ジ(4−メチルフェニル)アニリン]、ジピラジノ[2,3−f:2’,3’−h]キノキサリン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリル、N4,N4’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N4,N4’−ビス(4−ビニルフェニル)ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−2,7−ジアミン−9,9−スピロビフルオレン、N,N,N’,N’−テトラ−(3−メチルフェニル)−3−3’−ジメチルp−ジアミノビフェニル、2,2’−ジ(3−(N,N−ジ−p−トリルアミノ)フェニル)ビフェニル、N,N’−ジ(ナフタレン−2−イル)−N,N’−ジ(フェニル)ジアミノビフェニル、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−2,7−ジアミノ−9,9−スピロビフルオレン、N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−2,7−ジアミノ−9,9−ジメチルフルオレン、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−2,7−ジアミノ−9,9−ジメチルフルオレン、N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−2,7−ジアミノ−9,9−ジフェニルフルオレン、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−2,7−ジアミノ−9,9−ジフェニルフルオレン、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−2,2’−ジメチルジアミノビフェニル、2,2’,7,7’−テトラ(N,N−ジフェニルアミノ)−2,7−ジアミノ−9,9−スピロビフルオレン、9,9−ジ[4−(N,N−ジナフタレン−2−イル−アミノ)フェニル]−9H−フルオレン、9,9−[4−(N−ナフタレン−1−イル−N−フェニルアミン)−フェニル]−9H−フルオレン、2,2’−ジ[N,N−ジ(4−フェニル)アミノ]−9,9−スピロビフルオレン、2,2’−ビス(N,N−フェニルアミノ)−9,9−スピロビフルオレン、N,N’−ジフェニル−N,N’−(1−ナフチル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、及び4,4’−ジ[N−(p−トリル)−N−フェニル−アミノ]ジフェニルからなる群より選ばれる1種又は2種以上である。
【0014】
好ましくは、前記正孔阻止−電子輸送層の材料は、トリス([2,4,6−トリメチル−3−(3−ピリジル)フェニル]ボラン、1,3,5−トリス[(3−ピリジル)−3−フェニル]ベンゼン、1,3−ビス[3,5−ジ(3−ピリジル)フェニル]ベンゼン、及び1,3,5−トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)ベンゼンからなる群より選ばれる1種又は2種以上である。
【0015】
好ましくは、前記陽極修飾層の厚さが1〜10nmであり、前記正孔輸送−電子阻止層の厚さが30〜60nmであり、前記正孔支配型発光層の厚さが5〜20nmであり、前記電子支配型発光層の厚さが5〜20nmであり、前記正孔阻止−電子輸送層の厚さが30〜60nmであり、前記陰極修飾層の厚さが0.8〜1.2nmであり、前記陰極層の厚さが90〜300nmである。
【0016】
本発明は、さらに、
基板上の陽極層をエッチングし、乾燥した後に前記陽極層上に陽極修飾層、正孔輸送−電子阻止層、正孔支配型発光層、電子支配型発光層、正孔阻止−電子輸送層、陰極修飾層及び陰極層を順次に蒸着し、
前記電子支配型発光層は、有機増感材料、赤色有機発光材料及び電子型有機ホスト材料から構成され、
前記有機増感材料は、トリス(ジベンゾイルメタナト)(1,10−フェナントロリナト)ユウロピウム及びトリス(テノイルトリフルオロアセトナト)(1,10−フェナントロリナト)ユウロピウムのうちから選択される1種又は2種以上である、
前記有機増感材料は、前記電子型有機ホスト材料の0.1wt%〜0.5wt%である、赤色有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法を提供する。
【0017】
好ましくは、前記陽極修飾層の蒸発速度が0.01〜0.05nm/sであり、前記正孔輸送−電子阻止層、正孔支配型発光層、電子支配型発光層及び正孔阻止−電子輸送層におけるホスト材料の蒸発速度が0.05〜0.1nm/sであり、前記電子支配型発光層における有機増感材料の蒸発速度が0.00005〜0.0005nm/sであり、前記電子支配型発光層及び正孔支配型発光層における赤色発光材料の蒸発速度が0.001〜0.005nm/sであり、前記陰極修飾層の蒸発速度が0.005〜0.05nm/sであり、前記陰極層の蒸発速度が0.5〜2.0nm/sである。
【0018】
本発明は、基板、陽極層、陽極修飾層、正孔輸送−電子阻止層、正孔支配型発光層、電子支配型発光層、正孔阻止−電子輸送層、陰極修飾層及び陰極層を含む赤色有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する。本発明の発光材料は、赤色発光材料であり、電子及び正孔をそれぞれ発光層に注入すると、電子と正孔とが遭遇して再結合し、1つの励起子を生成し、励起子はエネルギーを発光層における赤色発光材料の分子へ伝達し、1つの電子を励起状態となるように励起し、励起状態の電子は、放射遷移の方式によって基底状態に戻されるときに1つの赤色光子を生成し、有機エレクトロルミネッセンス素子が赤色光を発光する。
【0019】
本発明は、電子支配型発光層に、トリス(ジベンゾイルメタナト)(1,10−フェナントロリナト)ユウロピウム及びトリス(テノイルトリフルオロアセトナト)(1,10−フェナントロリナト)ユウロピウムのうちの1種又は2種を有機増感材料として添加し、そのエネルギー準位及び三重項エネルギーは、ホスト材料、発光材料のエネルギー準位及び三重項エネルギーと整合しており、有機増感材料がエレクトロルミネッセンス過程においてキャリア深束縛中心及びエネルギー移動階段として機能し、ホスト材料から発光材料までのエネルギー移動を向上できるのみならず、さらに電子及び正孔の発光領域における分布を平衡させることができ、これにより、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光効率を向上させ、素子のスペクトル安定性を向上させ、素子の動作電圧を低下させ、素子効率の減衰を緩和し、素子の動作寿命を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明に係る赤色有機エレクトロルミネッセンス素子の構造模式図である。
図2図2は、本発明の実施例1により作製された赤色有機エレクトロルミネッセンス素子の電圧−電流密度−輝度特性曲線図である。
図3図3は、本発明の実施例1により作製された赤色有機エレクトロルミネッセンス素子の電流密度−電力効率−電流効率特性曲線図である。
図4図4は、本発明の実施例1により作製された赤色有機エレクトロルミネッセンス素子の、輝度20000cd/mにおけるスペクトログラムである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明をさらに理解するために、以下、実施例を組み合わせて本発明の好適な実施態様を説明するが、これらの説明は、本発明の請求範囲を制限するものではなく、本発明の特徴および利点をさらに説明するためであるに過ぎない。
【0022】
本発明の実施例は、
基板と、
前記基板に積層された陽極層と、
前記陽極層に積層された陽極修飾層と、
前記陽極修飾層に積層された正孔輸送−電子阻止層と、
前記正孔輸送−電子阻止層に積層された正孔支配型発光層と、
前記正孔支配型発光層に積層された電子支配型発光層と、
前記電子支配型発光層に積層された正孔阻止−電子輸送層と、
前記正孔阻止−電子輸送層に積層された陰極修飾層と、
前記陰極修飾層に積層された陰極層と、
を含み、
前記電子支配型発光層は、有機増感材料、赤色有機発光材料及び電子型有機ホスト材料から構成され、
前記有機増感材料は、トリス(ジベンゾイルメタナト)(1,10−フェナントロリナト)ユウロピウム及びトリス(テノイルトリフルオロアセトナト)(1,10−フェナントロリナト)ユウロピウムのうちから選択される1種又は2種であり、
前記有機増感材料は、電子型有機ホスト材料に対して0.1wt%〜0.5wt%である、赤色有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する。
【0023】
有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)の発光原理は、外部電圧の駆動下で、電極から注入された電子と正孔とが有機物中で遭遇し、さらにエネルギーを有機発光分子へ伝達し、それを励起させ、基底状態から励起状態へと遷移させ、励起された分子が励起状態から基底状態へと戻れるときには放射遷移により発光の現象が発生するということである。本発明は、赤色有機エレクトロルミネッセンス素子を提供し、それが赤色光を発光するのは、用いた発光材料が赤色発光材料からであり、電子と正孔とがそれぞれ発光層へ注入されると、電子と正孔とが遭遇して再結合し、さらに1つの励起子を生成し、励起子がエネルギーを発光層における赤色発光材料の分子へと伝達され、1つの電子を励起状態となるように励起し、励起状態の電子が遷移の方式により基底状態へと戻れる時に1つの赤色光子を生成し、有機エレクトロルミネッセンス素子の赤色光発光を実現する。
【0024】
本発明に係る赤色有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板、陽極層、陽極修飾層、正孔輸送−電子阻止層、正孔支配型発光層、電子支配型発光層、正孔阻止−電子輸送層、陰極修飾層及び陰極層を順次に接続して設けられている。ただし、正孔支配型発光層及び電子支配型発光層は、赤色有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層である。
【0025】
本発明の電子支配型発光層は、有機増感材料、赤色有機発光材料及び電子型有機ホスト材料から構成され、その中、有機増感材料は、エレクトロルミネッセンス過程において増感の作用を果たし、ホスト材料から発光材料までのエネルギー移動を向上させ、かつ電子と正孔の発光領域における分布を平衡させる。赤色有機発光材料の分子は電子支配型発光層において発光中心として分散されている。電子型有機ホスト材料は、マトリックスとして機能し、電子輸送能力を提供する。電子支配型発光層において、前記有機増感材料のエネルギー準位及び三重項エネルギーは、ホスト材料、発光材料のエネルギー準位及び三重項エネルギーと整合する必要があり、このように電子と正孔の発光領域における分布を平衡させることができ、さらにホスト材料から発光材料までのエネルギー移動を加速させ、赤色有機エレクトロルミネッセンス素子が良好な総合性能を有するようになる。したがって、本発明は、発光材料に対する選択によって、前記有機増感材料として希土類錯体を選択し、前記有機増感材料としてトリス(ジベンゾイルメタナト)(1,10−フェナントロリナト)ユウロピウム(Eu(DBM)phen)及び式(X)の構造を有するトリス(テノイルトリフルオロアセトナト)(1,10−フェナントロリナト)ユウロピウム(Eu(TTA)phen)のうちの1種又は2種を選択する。
【0026】
【化1】
【化2】
【0027】
本発明において、前記電子支配型発光層における前記有機増感材料のドープ濃度は、有機エレクトロルミネッセンス素子の性能に影響を与える。前記有機増感材料のドープ濃度が低過ぎると、増感効果が理想でなくなり、ドープ濃度が高過ぎると、有機エレクトロルミネッセンス素子の総合性能が低下してしまう。したがって、前記有機増感材料は前記電子型有機ホスト材料に対して0.1wt%〜0.5wt%であり、好ましくは0.2wt%〜0.3wt%である。
【0028】
本発明によれば、前記電子支配型発光層において、前記赤色有機発光材料は、当業者によく知られている発光材料であり、本発明では特に限定されないが、発光効果をよりよくするために、前記赤色有機発光材料は、好ましくは、式(II)の構造を有するジ(2−フェニルキノリナト)−(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)イリジウム(PQIr(dpm))、式(II)の構造を有するジ(2−ベンゾ[b]2−チエニルピリジナト)アセチルアセトナトイリジウム(Ir(btp)(acac))、式(II)の構造を有するトリス(1−フェニルイソキノリナト)イリジウム(Ir(piq))、式(II)の構造を有するジ(1−フェニルイソキノリナト)(アセチルアセトナト)イリジウム(Ir(piq)(acac))、式(II)の構造を有するジ[1−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−イソキノリナト](アセチルアセトナト)イリジウム(Ir(fliq)(acac))、式(II)の構造を有するジ[2−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)キノリナト](アセチルアセトナト)イリジウム(Ir(flq)(acac))、式(II)の構造を有するジ(2−フェニルキノリナト)(2−(3−メチルフェニル)ピリジネート)イリジウム(Ir(phq)tpy)、式(II)の構造を有するトリス[2−フェニル−4−メチルキノリナト]イリジウム(Ir(Mphq))、式(II)の構造を有するビス(フェニルイソキノリナト)(2,2,6,6−テトラメチルヘキサン−3,5−ジオナト)イリジウム(Ir(dpm)(piq))、式(II10)の構造を有するジ(2−メチルジベンゾ[f,h]キノキサリナト)(アセチルアセトナト)イリジウム(Ir(MDQ)(acac))、及び式(II11)の構造を有するジ[2−(2−メチルフェニル)−7−メチル−キノリナト](アセチルアセトナト)イリジウム(Ir(dmpq)(acac))からなる群より選ばれる1種又は2種以上である。
【0029】
【化3】
【化4】
【0030】
電子支配型発光層において、前記赤色有機発光材料のドープ濃度も赤色有機エレクトロルミネッセンス素子の総合性能に影響を与える。前記赤色有機発光材料のドープ濃度が低すぎると、素子効率が低くなり、色純度が理想でなくなり、ドープ濃度が高すぎると、発光材料分子の凝集を引き起こし、消滅分子を形成し、結果として、素子の総合性能が低くなる。したがって、前記電子支配型発光層において前記赤色有機発光材料は、好ましくは前記電子型有機ホスト材料に対して2.0wt%〜5.0wt%であり、より好ましくは2.5wt%〜4.5wt%である。前記電子型ホスト材料は、電子支配型発光層においてマトリックスとして機能し、電子輸送能力を提供し、前記電子型ホスト材料は当業者によく知られている材料であり、好ましい態様として、前記電子型ホスト材料は、好ましくは、式(XI)構造を有する2,6−ジ[3−(9H−9−カルバゾリル)フェニル]ピリジン(26DCzPPy)、式(XII)構造を有する1,4−ビス(トリフェニルシリル)ベンゼン(UGH2)、式(XIII)構造を有する2,2’−ビス(4−(9−カルバゾリル)フェニル)ビフェニル(BCBP)、式(XIV)構造を有する[2,4,6−トリメチル−3−(3−ピリジル)フェニル]ボラン(3TPYMB)、式(XV)構造を有する1,3,5−トリス[(3−ピリジル)−3−フェニル]ベンゼン(TmPyPB)、式(XVI)構造を有する1,3−ビス[3,5−ジ(3−ピリジル)フェニル]ベンゼン(BmPyPhB)、式(XVII)構造を有する1,3,5−トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)ベンゼン(TPBi)、式(XVIII)構造を有する9−(4−t−ブチルフェニル)−3,6−ビス(トリフェニルシリル)−9H−カルバゾール(CzSi)及び式(XIX)構造を有する9−(8−ジフェニルホスホリル)−ジベンゾ[b,d]フラン−9H−カルバゾール(DFCzPO)からなる群より選ばれる1種又は2種以上である。
【0031】
【化5】
【化6】
【0032】
本発明において、前記正孔支配型発光層は赤色有機発光材料及び正孔型有機ホスト材料から構成され、中でも、赤色有機発光材料の分子が発光中心として正孔支配型発光層に分散されている。前記赤色有機発光材料は、前記正孔支配型発光層において、好ましくは前記正孔型有機ホスト材料に対して2.0wt%〜5.0wt%であり、より好ましくは2.0wt%〜5.0wt%である。前記赤色有機発光材料のドープ濃度が低すぎると、素子効率が低くなり、色純度が理想でなくなり、ドープ濃度が高すぎると発光材料分子の凝集を引き起こし、消滅分子を形成し、結果として素子の総合性能が低くなる。前記正孔型ホスト材料は、マトリックスとして機能し、正孔輸送能力を提供する。本発明において、前記正孔支配型発光層における前記赤色有機発光材料は、好ましくは式(II)の構造を有するジ(2−フェニルキノリナト)−(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)イリジウム(PQIr(dpm))、式(II)の構造を有するジ(2−ベンゾ[b]2−チエニルピリジナト)アセチルアセトナトイリジウム(Ir(btp)(acac))、式(II)の構造を有するトリス(1−フェニルイソキノリナト)イリジウム(Ir(piq))、式(II)の構造を有するジ(1−フェニルイソキノリナト)(アセチルアセトナト)イリジウム(Ir(piq)(acac))、式(II)の構造を有するジ[1−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−イソキノリナト](アセチルアセトナト)イリジウム(Ir(fliq)(acac))、式(II)の構造を有するジ[2−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)キノリナト](アセチルアセトナト)イリジウム(Ir(flq)(acac))、式(II)の構造を有するジ(2−フェニルキノリナト)(2−(3−メチルフェニル)ピリジネート)イリジウム(Ir(phq)tpy)、式(II)の構造を有するトリス[2−フェニル−4−メチルキノリナト]イリジウム(Ir(Mphq))、式(II)の構造を有するビス(フェニルイソキノリナト)(2,2,6,6−テトラメチルヘキサン−3,5−ジオナト)イリジウム(Ir(dpm)(piq))、式(II10)の構造を有するジ(2−メチルジベンゾ[f,h]キノキサリナト)(アセチルアセトナト)イリジウム(Ir(MDQ)(acac))、及び式(II11)の構造を有するジ[2−(2−メチルフェニル)−7−メチル−キノリナト](アセチルアセトナト)イリジウム(Ir(dmpq)(acac))からなる群より選ばれる1種又は2種以上である。
【0033】
前記正孔型有機ホスト材料は、好ましくは、式(III)の構造を有する4,4’−N,N’−ジカルバゾールジフェニル(CBP)、式(IV)の構造を有する1,3−ジ(カルバゾール−9−イル)ベンゼン(mCP)、式(V)の構造を有する9,9’−(5−(トリフェニルシリル)−1,3−フェニル)ジ−9H−カルバゾール(SimCP)、式(VI)の構造を有する1,3,5−トリス(9−カルバゾリル)ベンゼン(TCP)、式(VII)の構造を有する4,4’,4’’−トリス(カルバゾール−9−イル)トリフェニルアミン(TcTa)、及び式(VIII)の構造を有する1,4−ビス(トリフェニルシリル)ビフェニル(BSB)からなる群より選ばれる1種又は2種以上である。
【0034】
【化7】
【化8】
【化9】
【0035】
本発明によれば、前記赤色有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記基板はガラス基板、石英基板、多結晶シリコン基板、単結晶シリコン基板又はグラフェン薄膜基板であってもよく、本発明では特に制限されない。前記陽極層は、好ましくはインジウムスズ酸化物(ITO)から選択され、その表面抵抗は好ましくは5〜25Ωである。前記陽極修飾層は、駆動電圧を低下させ、正孔の注入を加速させることができ、前記陽極修飾層には、好ましくは酸化モリブデン(MoO)が用いられる。
【0036】
本発明において、前記正孔輸送−電子阻止層の作用は正孔を輸送し、かつ電子を阻止することである。前記正孔輸送−電子阻止層の材料は、好ましくは式(I)の構造を有する4,4’−シクロヘキシルジ[N,N−ジ(4−メチルフェニル)アニリン](TAPC)、式(I)の構造を有するジピラジノ[2,3−f:2’,3’−h]キノキサリン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリル(HAT−CN)、式(I)の構造を有するN4,N4’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N4,N4’−ビス(4−ビニルフェニル)ビフェニル−4,4’−ジアミン(VNPB)、式(I)の構造を有するN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−2,7−ジアミン−9,9−スピロビフルオレン(Spiro−TPD)、式(I)の構造を有するN,N,N’,N’−テトラ−(3−メチルフェニル)−3−3’−ジメチルp−ジアミノビフェニル(HMTPD)、式(I)の構造を有する2,2’−ジ(3−(N,N−ジ−p−トリルアミノ)フェニル)ビフェニル(3DTAPBP)、式(I)の構造を有するN,N’−ジ(ナフタレン−2−イル)−N,N’−ジ(フェニル)ジアミノビフェニル(β−NPB)、式(I)の構造を有するN,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−2,7−ジアミノ−9,9−スピロビフルオレン(Spiro−NPB)、式(I)の構造を有するN,N’−ジ(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−2,7−ジアミノ−9,9−ジメチルフルオレン(DMFL−TPD)、式(I10)の構造を有するN,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−2,7−ジアミノ−9,9−ジメチルフルオレン(DMFL−NPB)、式(I11)の構造を有するN,N’−ジ(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−2,7−ジアミノ−9,9−ジフェニルフルオレン(DPFL−TPD)、式(I12)の構造を有するN,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−2,7−ジアミノ−9,9−ジフェニルフルオレン(DPFL−NPB)、式(I13)の構造を有するN,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−2,2’−ジメチルジアミノビフェニル(α−NPD)、式(I14)の構造を有する2,2’,7,7’−テトラ(N,N−ジフェニルアミノ)−2,7−ジアミノ−9,9−スピロビフルオレン(Spiro−TAD)、式(I15)の構造を有する9,9−ジ[4−(N,N−ジナフタレン−2−イル−アミノ)フェニル]−9H−フルオレン(NPAPF)、式(I16)の構造を有する9,9−[4−(N−ナフタレン−1−イル−N−フェニルアミン)−フェニル]−9H−フルオレン(NPBAPF)、式(I17)の構造を有する2,2’−ジ[N,N−ジ(4−フェニル)アミノ]−9,9−スピロビフルオレン(2,2’−Spiro−DBP)、式(I18)の構造を有する2,2’−ビス(N,N−フェニルアミノ)−9,9−スピロビフルオレン(Spiro−BPA)、式(I19)の構造を有するN,N’−ジフェニル−N,N’−(1−ナフチル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(NPB)及び式(I20)の構造を有する4,4’−ジ[N−(p−トリル)−N−フェニル−アミノ]ジフェニル(TPD)からなる群より選ばれる1種又は2種以上である。
【0037】
【化10】
【化11】
【化12】
【0038】
本発明によれば、前記正孔阻止−電子輸送層の作用は、正孔を阻止し、かつ電子を輸送し、電子の注入を促進することである。前記正孔阻止−電子輸送層の材料は、好ましくは式(XIV)の構造を有するトリス[2,4,6−トリメチル−3−(3−ピリジル)フェニル]ボラン(3TPYMB)、式(XV)の構造を有する1,3,5−トリス[(3−ピリジル)−3−フェニル]ベンゼン(TmPyMB)、式(XVI)の構造を有する1,3−ビス[3,5−ジ(3−ピリジル)フェニル]ベンゼン(BmPyPhB)及び式(XVII)の構造を有する1,3,5−トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)ベンゼン(TPBi)からなる群より選ばれる1種又は2種以上である。
【0039】
【化13】
【0040】
本発明において、前記陰極修飾層の作用は駆動電圧を低下させ、電子の注入を加速することであり、前記陰極修飾層は、好ましくはフッ化リチウムである。前記陰極層は、好ましくはアルミニウムである。
【0041】
本発明は、前記正孔輸送−電子阻止層の材料、赤色有機発光材料、正孔型有機ホスト材料、有機増感材料、電子型有機ホスト材料及び正孔型阻止−電子輸送層の材料の由来をいずれも特に制限しておらず、当業者によく知られている方式によって製造すればよい。
【0042】
本発明において、前記陽極層と前記陰極層とが互いに交差して素子の発光領域を形成し、本発明に係る赤色有機エレクトロルミネッセンス素子において、層のそれぞれの厚さの前記素子への影響も大きく、厚さが薄すぎると、素子効率の減衰を加速させ、厚さが厚すぎると素子の動作電圧が高くなり、寿命が低くなる。したがって、前記陽極修飾層の厚さが、好ましくは1〜10nmであり、正孔輸送−電子阻止層の厚さが好ましくは30〜60nmであり、正孔支配型発光層の厚さが好ましくは5〜20nmであり、電子支配型発光層の厚さが好ましくは5〜20nmであり、正孔阻止−電子輸送層の厚さが好ましくは30〜60nmであり、陰極修飾層の厚さが好ましくは0.8〜1.2nmであり、陰極層の厚さが好ましくは90〜300nmである。
【0043】
本発明は、さらに
基板上の陽極層をエッチングし、乾燥した後に前記陽極層上に陽極修飾層、正孔輸送−電子阻止層、正孔支配型発光層、電子支配型発光層、正孔阻止−電子輸送層、陰極修飾層及び陰極層を順次に蒸着し、
前記正孔支配型発光層は、赤色有機発光材料及び正孔型有機ホスト材料から構成され、
前記電子支配型発光層は、有機増感材料、赤色有機発光材料及び電子型有機ホスト材料から構成され、
前記有機増感材料は、式(IX)の構造を有するトリス(ジベンゾイルメタナト)(1,10−フェナントロリナト)ユウロピウム、及び式(X)の構造を有するトリス(テノイルトリフルオロアセトナト)(1,10−フェナントロリナト)ユウロピウムのうちから選択される1種又は2種以上である、
前記有機増感材料は、前記電子型有機ホスト材料の0.1wt%〜0.5wt%である、赤色有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法を提供する。
【0044】
【化14】
【0045】
本発明によれば、前記赤色有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法は、具体的に、
まず、基板上の陽極層をストリップ状の電極となるようにレーザーエッチングし、その後、洗浄液、脱イオン水を順次に用いて10〜20min超音波洗浄してオーブンに放置して乾燥させ、
乾燥後の基板を前処理真空室に放置し、真空度8〜15Paの雰囲気下で350〜500Vの電圧により1〜10minの低圧プラズマ処理を行った後に有機蒸着室へ移送し、
真空度1〜2×10−5Paとなると、陽極層に陽極修飾層、正孔輸送−電子阻止層、正孔支配型発光層、電子支配型発光層、及び正孔阻止−電子輸送層をこの順に蒸着し、未完成の素子が金属蒸着室へ移送され、4〜6×10−5Paの真空雰囲気下で蒸着陰極修飾層及び金属陰極層を順次に蒸着する。
【0046】
赤色有機エレクトロルミネッセンス素子の製造過程において、本発明は、蒸発速度を制御することで材料の蒸着を実現する。本発明によれば、前記陽極修飾層の蒸発速度が0.01〜0.05nm/sに制御され、正孔輸送−電子阻止層、正孔支配型発光層、電子支配型発光層、正孔阻止−電子輸送層におけるホスト材料の蒸発速度が0.05〜0.1nm/sに制御され、有機増感材料の蒸発速度が0.00005〜0.0005nm/sに制御され、赤色有機発光材料の蒸発速度が0.001〜0.005nm/sに制御され、陰極修飾層の蒸発速度が0.005〜0.015nm/sに制御され、金属陰極層の蒸発速度が0.5〜2.0nm/sに制御されている。ただし、正孔支配型発光層の蒸着時に、その中の赤色有機発光材料及び正孔型有機ホスト材料は、異なる蒸発源において同時に蒸発され、2種の材料の蒸発速度を調整することにより、ドーピングした赤色有機発光材料と正孔型有機ホスト材料との重量比を2.0%〜5.0%間に制御している。電子支配型発光層の蒸着時に、その中の有機増感材料、赤色有機発光材料、及び電子型有機ホスト材料は、異なる蒸発源において同時に蒸発され、3種の材料の蒸発速度を調整することによって、ドーピングした有機増感材料と電子型有機ホスト材料との質量比を0.1%〜0.5%間に制御し、このようにドーピングした赤色有機発光材料と電子型有機ホスト材料との質量比を2.0%〜5.0%間に制御している。
【0047】
本発明は、赤色有機エレクトロルミネッセンス素子を提供し、前記赤色有機エレクトロルミネッセンス素子中の電子支配型発光層において、整合するエネルギー準位分布を有する希土類錯体、例えば、Eu(DBM)phen又はEu(TTA)phenを有機増感材料として選択し、電子深束縛中心として機能し、キャリアの分布を平衡させ、素子の発光領域を広げることにより、素子の発光効率を向上させ、素子の動作電圧を低下させ、素子効率の減衰を遅延させ、素子の動作寿命を向上させることに有利であり、かつ、前記有機増感材料は、整合する三重項エネルギーを有し、エネルギー移動階段として機能し、ホスト材料から発光材料までのエネルギー移動を加速させ、発光材料のキャリア捕獲能の不十分に起因したホスト材料の発光問題を緩和することによって、素子のスペクトル安定性を向上させ、素子性能の発光材料ドープ濃度に対する依存性を低下させることができる。
【0048】
本発明をさらに理解するために、以下、実施例を組み合わせて本発明が提供している赤色有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法を詳しく説明し、本発明の保護範囲は下記の実施例により制限されることはない。
【0049】
図1に示すように、図1は、本発明に係る赤色有機エレクトロルミネッセンス素子の構造模式図であり、その中、1はガラス基板、2は陽極層、3は陽極修飾層、4は正孔輸送−電子阻止層、5は正孔支配型発光層、6は電子支配型発光層、7は正孔阻止−電子輸送層、8は陰極修飾層、9は金属陰極層である。
【0050】
実施例1
まず、ITOガラス上のITO陽極層をストリップ状の電極となるようにレーザーエッチングし、その後、洗浄液、脱イオン水を順次に用いて15min超音波洗浄してオーブンに放置して乾燥させた。次いで、乾燥後の基板を前処理真空室に放置し、真空度10Paの雰囲気下で400Vの電圧を用いてITO陽極に対して3minの低圧プラズマ処理を行った後に、それを有機蒸着室へ移送した。真空度1〜2×10−5Paの有機蒸着室において、ITO層に厚さ3nmのMoO陽極修飾層3、厚さ40nmのTAPC正孔輸送−電子阻止層4、厚さ10nmのPQIr(dpm)ドープTcTaの正孔支配型発光層5、厚さ10nmのTb(acac)phenとPQIr(dpm)共ドープCzSiの電子支配型発光層6及び厚さ40nmのTmPyPB正孔阻止−電子輸送層7をこの順に蒸着した。次いで、未完成の素子が金属蒸着室へ移送され、4〜6×10−5Paの真空雰囲気下で厚さ1.0nmのLiF陰極修飾層8を蒸着し、結果として、特製のマスク版を介してLiF層上に厚さ120nmの金属Al陰極層9を蒸着し、構造がITO/MoO/TAPC/PQIr(dpm)(4%):TcTa/Eu(TTA)phen(0.2%):PQIr(dpm)(4%):CzSi/TmPyPB/LiF/Alである有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。陽極修飾層3においてMoOの蒸発速度が0.01nm/sに制御され、正孔輸送−電子阻止層4においてTAPCの蒸発速度が0.05nm/sに制御され、正孔支配型発光層5においてPQIr(dpm)及びTcTaの蒸発速度がそれぞれ0.002nm/s及び0.05nm/sに制御され、電子支配型発光層6においてEu(TTA)phen、PQIr(dpm)及びCzSiの蒸発速度がそれぞれ0.0001nm/s、0.002nm/s及び0.05nm/sに制御され、正孔阻止−電子輸送層7においてTmPyPBの蒸発速度が0.05nm/sに制御され、陰極修飾層8においてLiFの蒸発速度が0.005nm/sに制御され、金属陰極層9においてAlの蒸発速度が1.0nm/sに制御された。
【0051】
図2に示すように、図2は本実施例で作製された赤色有機エレクトロルミネッセンス素子の電圧−電流密度−輝度特性曲線であり、図2において○曲線は素子の電流密度−電圧曲線であり、□曲線は素子輝度−電圧曲線であり、図2によれば、素子の輝度は電流密度及び駆動電圧の上昇に伴って上昇し、素子の点灯電圧が2.9Vであり、電圧が9.8V、電流密度が438.91ミリアンペア毎平方センチメートル(mA/cm)である場合、素子が取得した最大輝度が72933カンデラ毎平方メートル(cd/m)である。
【0052】
図3に示すように、図3は本実施例で作製された赤色有機エレクトロルミネッセンス素子の電流密度−電力効率−電流効率特性曲線であり、図3によれば、素子の最大電流効率が65.73cd/A、最大電力効率が71.17lm/Wである。
【0053】
図4に示すように、図4は本発明が提供している赤色有機エレクトロルミネッセンス素子の輝度が20000cd/mの場合のスペクトログラムであり、図4によれば、スペクトルメインピークが592nmに位置している。素子の色座標が(0.592,0.377)である。
【0054】
実施例2
まず、ITOガラス上のITO陽極層をストリップ状の電極となるようにレーザーエッチングし、その後、洗浄液、脱イオン水を順次に用いて15min超音波洗浄してオーブンに放置して乾燥させた。次いで、乾燥後の基板を前処理真空室に放置し、真空度10Paの雰囲気下で400Vの電圧を用いてITO陽極に対して3minの低圧プラズマ処理を行った後に、それを有機蒸着室へ移送した。真空度1〜2×10−5Paの有機蒸着室において、ITO層に厚さ3nmのMoO陽極修飾層3、厚さ40nmのTAPC正孔輸送−電子阻止層4、厚さ10nmのPQIr(dpm)ドープmCPの正孔支配型発光層5、厚さ10nmのEu(TTA)phenとPQIr(dpm)共ドープ26DCzPPyの電子支配型発光層6及び厚さ40nmのTmPyPB正孔阻止−電子輸送層7をこの順に蒸着した。次いで、未完成の素子が金属蒸着室へ移送され、4〜6×10−5Paの真空雰囲気下で厚さ1.0nmのLiF陰極修飾層8を蒸着し、結果として、特製のマスク版を介してLiF層上に厚さ120nmの金属Al陰極層9を蒸着し、構造がITO/MoO/TAPC/PQIr(dpm)(4%):mCP/Eu(TTA)phen(0.2%):PQIr(dpm)(4%):26DCzPPy/TmPyPB/LiF/Alである有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。陽極修飾層3においてMoOの蒸発速度が0.01nm/sに制御され、正孔輸送−電子阻止層4においてTAPCの蒸発速度が0.05nm/sに制御され、正孔支配型発光層5においてPQIr(dpm)及びmCPの蒸発速度がそれぞれ0.002nm/s及び0.05nm/sに制御され、電子支配型発光層6においてEu(TTA)phen、PQIr(dpm)及び26DCzPPyの蒸発速度がそれぞれ0.0001nm/s、0.002nm/s及び0.05nm/sに制御され、正孔阻止−電子輸送層7においてTmPyPBの蒸発速度が0.05nm/sに制御され、陰極修飾層8においてLiFの蒸発速度が0.005nm/sに制御され、金属陰極層9においてAlの蒸発速度が1.0nm/sに制御された。
【0055】
本実施例で作製された赤色有機エレクトロルミネッセンス素子の性能を検出した実験の結果、素子は、直流電源駆動下、592nm程度の赤色光を発光することがわかった。輝度が20000cd/mである場合、素子の色座標が(0.596,0.378)であり、動作電圧の変化に伴い、素子の色座標がほとんど変化しなかった。素子の点灯電圧が3.0Vであり、素子の最大輝度が70528cd/mであった。素子の最大電流効率が64.92cd/Aであり、最大電力効率が67.95lm/Wであった。
【0056】
実施例3
まず、ITOガラス上のITO陽極層をストリップ状の電極となるようにレーザーエッチングし、その後、洗浄液、脱イオン水を順次に用いて15min超音波洗浄してオーブンに放置して乾燥させた。次いで、乾燥後の基板を前処理真空室に放置し、真空度10Paの雰囲気下で400Vの電圧を用いてITO陽極に対して3minの低圧プラズマ処理を行った後に、それを有機蒸着室へ移送した。真空度1〜2×10−5Paの有機蒸着室において、ITO層に厚さ3nmのMoO陽極修飾層3、厚さ40nmのTAPC正孔輸送−電子阻止層4、厚さ10nmのPQIr(dpm)ドープTcTaの正孔支配型発光層5、厚さ10nmのEu(DBM)phenとPQIr(dpm)共ドープ26DCzPPyの電子支配型発光層6及び厚さ40nmのTmPyPB正孔阻止−電子輸送層7をこの順に蒸着した。次いで、未完成の素子が金属蒸着室へ移送され、4〜6×10−5Paの真空雰囲気下で厚さ1.0nmのLiF陰極修飾層8を蒸着し、結果として、特製のマスク版を介してLiF層上に厚さ120nmの金属Al陰極層9を蒸着し、構造がITO/MoO/TAPC/PQIr(dpm)(4%):TcTa/Eu(DBM)phen(0.3%):PQIr(dpm)(4%):26DCzPPy/TmPyPB/LiF/Alである有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。陽極修飾層3においてMoOの蒸発速度が0.01nm/sに制御され、正孔輸送−電子阻止層4においてTAPCの蒸発速度が0.05nm/sに制御され、正孔支配型発光層5においてPQIr(dpm)及びTcTaの蒸発速度がそれぞれ0.003nm/s及び0.05nm/sに制御され、電子支配型発光層6においてEu(DBM)phen、PQIr(dpm)及び26DCzPPyの蒸発速度がそれぞれ0.0003nm/s、0.004nm/s及び0.1nm/sに制御され、正孔阻止−電子輸送層7においてTmPyPBの蒸発速度が0.05nm/sに制御され、陰極修飾層8においてLiFの蒸発速度が0.005nm/sに制御され、金属陰極層9においてAlの蒸発速度が1.0nm/sに制御された。
【0057】
本実施例で作製された赤色有機エレクトロルミネッセンス素子の性能を検出した実験の結果、素子は、直流電源駆動下、592nm程度の赤色光を発光することがわかった。輝度が20000cd/mである場合、素子の色座標が(0.590, 0.381)であり、動作電圧の変化に伴い、素子の色座標がほとんど変化しなかった。素子の点灯電圧が3.0Vであり、素子の最大輝度が69864cd/mであった。素子の最大電流効率が63.75cd/Aであり、最大電力効率が66.73lm/Wであった。
【0058】
実施例4
まず、ITOガラス上のITO陽極層をストリップ状の電極となるようにレーザーエッチングし、その後、洗浄液、脱イオン水を順次に用いて15min超音波洗浄してオーブンに放置して乾燥させた。次いで、乾燥後の基板を前処理真空室に放置し、真空度10Paの雰囲気下で400Vの電圧を用いてITO陽極に対して3minの低圧プラズマ処理を行った後に、それを有機蒸着室へ移送した。真空度1〜2×10−5Paの有機蒸着室において、ITO層に厚さ5nmのMoO陽極修飾層3、厚さ30nmのTAPC正孔輸送−電子阻止層4、厚さ15nmのIr(dmpq)(acac)ドープmCPの正孔支配型発光層5、厚さ15nmのEu(DBM)phenとIr(dmpq)(acac)共ドープ26DCzPPyの電子支配型発光層6及び厚さ35nmの3TPYMB正孔阻止−電子輸送層7をこの順に蒸着した。次いで、未完成の素子が金属蒸着室へ移送され、4〜6×10−5Paの真空雰囲気下で厚さ1.1nmのLiF陰極修飾層8を蒸着し、結果として、特製のマスク版を介してLiF層上に厚さ250nmの金属Al陰極層9を蒸着し、構造がITO/MoO/TAPC/Ir(dmpq)(acac)(2%):mCP/Eu(DBM)phen(0.1%):Ir(dmpq)(acac)(3%):26DCzPPy/3TPYMB/LiF/Alである有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。陽極修飾層3においてMoOの蒸発速度が0.01nm/sに制御され、正孔輸送−電子阻止層4においてTAPCの蒸発速度が0.06nm/sに制御され、正孔支配型発光層5においてIr(dmpq)(acac)及びmCPの蒸発速度がそれぞれ0.002nm/s及び0.1nm/sに制御され、電子支配型発光層6においてEu(DBM)phen、Ir(dmpq)(acac)及び26DCzPPyの蒸発速度がそれぞれ0.0001nm/s、0.003nm/s及び0.1nm/sに制御され、正孔阻止−電子輸送層7において3TPYMBの蒸発速度が0.08nm/sに制御され、陰極修飾層8においてLiFの蒸発速度が0.01nm/sに制御され、金属陰極層9においてAlの蒸発速度が0.9nm/sに制御された。
【0059】
本実施例で作製された赤色有機エレクトロルミネッセンス素子の性能を検出した実験の結果、素子は、直流電源駆動下、592nm程度の赤色光を発光することがわかった。輝度が20000cd/mである場合、素子の色座標が(0.588, 0.379)であり、動作電圧の変化に伴い、素子の色座標がほとんど変化しなかった。素子の点灯電圧が3.1Vであり、素子の最大輝度が64572cd/mであった。素子の最大電流効率が60.11cd/Aであり、最大電力効率が60.89lm/Wであった。
【0060】
実施例5
まず、ITOガラス上のITO陽極層をストリップ状の電極となるようにレーザーエッチングし、その後、洗浄液、脱イオン水を順次に用いて15min超音波洗浄してオーブンに放置して乾燥させた。次いで、乾燥後の基板を前処理真空室に放置し、真空度10Paの雰囲気下で400Vの電圧を用いてITO陽極に対して3minの低圧プラズマ処理を行った後に、それを有機蒸着室へ移送した。真空度1〜2×10−5Paの有機蒸着室において、ITO層に厚さ6nmのMoO陽極修飾層3、厚さ50nmのTAPC正孔輸送−電子阻止層4、厚さ12nmのIr(MDQ)(acac)ドープTCPの正孔支配型発光層5、厚さ16nmのEu(DBM)phenとIr(MDQ)(acac)共ドープUGH2の電子支配型発光層6及び厚さ45nmのBmPyPhB正孔阻止−電子輸送層7をこの順に蒸着した。次いで、未完成の素子が金属蒸着室へ移送され、4〜6×10−5Paの真空雰囲気下で厚さ1.1nmのLiF陰極修飾層8を蒸着し、結果として、特製のマスク版を介してLiF層上に厚さ240nmの金属Al陰極層9を蒸着し、構造がITO/MoO/TAPC/Ir(MDQ)(acac)(3%):TCP/Eu(DBM)phen(0.3%):Ir(MDQ)(acac)(3%):UGH2/BmPyPhB/LiF/Alである有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。陽極修飾層3においてMoOの蒸発速度が0.01nm/sに制御され、正孔輸送−電子阻止層4においてTAPCの蒸発速度が0.08nm/sに制御され、正孔支配型発光層5においてIr(MDQ)(acac)及びTCPの蒸発速度がそれぞれ0.003nm/s及び0.1nm/sに制御され、電子支配型発光層6においてEu(DBM)phen、Ir(MDQ)(acac)及びUGH2の蒸発速度がそれぞれ0.0003nm/s、0.003nm/s及び0.1nm/sに制御され、正孔阻止−電子輸送層7においてBmPyPhBの蒸発速度が0.09nm/sに制御され、陰極修飾層8においてLiFの蒸発速度が0.012nm/sに制御され、金属陰極層9においてAlの蒸発速度が1.2nm/sに制御された。
【0061】
本実施例で作製された赤色有機エレクトロルミネッセンス素子の性能を検出した実験の結果、素子は、直流電源駆動下、592nm程度の赤色光を発光することがわかった。輝度が20000cd/mである場合、素子の色座標が(0.592,0.378)であり、動作電圧の変化に伴い、素子の色座標がほとんど変化しなかった。素子の点灯電圧が3.1Vであり、素子の最大輝度が60782cd/mであった。素子の最大電流効率が62.34cd/Aであり、最大電力効率が63.14lm/Wであった。
【0062】
実施例6
まず、ITOガラス上のITO陽極層をストリップ状の電極となるようにレーザーエッチングし、その後、洗浄液、脱イオン水を順次に用いて15min超音波洗浄してオーブンに放置して乾燥させた。次いで、乾燥後の基板を前処理真空室に放置し、真空度10Paの雰囲気下で400Vの電圧を用いてITO陽極に対して3minの低圧プラズマ処理を行った後に、それを有機蒸着室へ移送した。真空度1〜2×10−5Paの有機蒸着室において、ITO層に厚さ3nmのMoO陽極修飾層3、厚さ40nmのTAPC正孔輸送−電子阻止層4、厚さ10nmのIr(dpm)(piq)ドープBSBの正孔支配型発光層5、厚さ10nmのTb(acac)phenとIr(dpm)(piq)共ドープBCBPの電子支配型発光層6及び厚さ40nmのTPBi正孔阻止−電子輸送層7をこの順に蒸着した。次いで、未完成の素子が金属蒸着室へ移送され、4〜6×10−5Paの真空雰囲気下で厚さ1.0nmのLiF陰極修飾層8を蒸着し、結果として、特製のマスク版を介してLiF層上に厚さ120nmの金属Al陰極層9を蒸着し、構造がITO/MoO/TAPC/Ir(dpm)(piq)(4%):BSB/Eu(TTA)phen(0.3%):Ir(dpm)(piq)(4%):BCBP/TPBi/LiF/Alである有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。陽極修飾層3においてMoOの蒸発速度が0.02nm/sに制御され、正孔輸送−電子阻止層4においてTAPCの蒸発速度が0.08nm/sに制御され、正孔支配型発光層5においてIr(dpm)(piq)及びBSBの蒸発速度がそれぞれ0.004nm/s及び0.1nm/sに制御され、電子支配型発光層6においてIr(dpm)(piq)、Eu(TTA)phen及びBCBPの蒸発速度がそれぞれ0.004nm/s、0.0003nm/s及び0.1nm/sに制御され、正孔阻止−電子輸送層7においてTPBiの蒸発速度が0.08nm/sに制御され、陰極修飾層8においてLiFの蒸発速度が0.005nm/sに制御され、金属陰極層9においてAlの蒸発速度が1.5nm/sに制御された。
【0063】
本実施例で作製された赤色有機エレクトロルミネッセンス素子の性能を検出した実験の結果、素子は、直流電源駆動下、592nm程度の赤色光を発光することがわかった。輝度が20000cd/mである場合、素子の色座標が(0.592, 0.380)であり、動作電圧の変化に伴い、素子の色座標がほとんど変化しなかった。素子の点灯電圧が3.0Vであり、素子の最大輝度が63110cd/mであった。素子の最大電流効率が61.71cd/Aであり、最大電力効率が64.59lm/Wであった。
【0064】
以上の実施例の説明は、本発明の方法及びその中心思想への理解を容易にするためのものに過ぎない。なお、当業者にとって、本発明の原理を逸脱しない限り、さらに本発明に対して幾つかの改進及び修飾を行うことができ、これらの改進及び修飾も本発明の請求範囲の保護範囲内に入っている。
【0065】
開示されている実施例を上記のように説明することで、当業者は本発明を実現又は使用できるようになっている。これらの実施例に対するさまざまな変更は、当業者にとって容易になしうることであり、明細書において定義付けられた一般的な原理は、本発明の精神又は範囲を逸脱しない限り、その他の実施例で実現することができる。そのため、本発明は、明細書に示されているこれらの実施例に制限することなく、本明細書に開示されている原理及び新規特徴に一致する最も広い範囲に合致している。
図1
図2
図3
図4