特許第6385605号(P6385605)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社エムールの特許一覧

<>
  • 特許6385605-寝具選択システム 図000002
  • 特許6385605-寝具選択システム 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6385605
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】寝具選択システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20180827BHJP
【FI】
   G06Q30/02
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-13251(P2018-13251)
(22)【出願日】2018年1月30日
【審査請求日】2018年2月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506281336
【氏名又は名称】株式会社エムール
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 幸司
【審査官】 宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−012910(JP,A)
【文献】 特開2004−215864(JP,A)
【文献】 特許第6229983(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者に適した枕以外の寝具を選択するための寝具選択システムであって、
前記利用者の睡眠時における生体情報を検出するセンサを有するセンサ付き枕と、
前記生体情報に基づいて、深睡眠率、心拍数、寝返りの回数、離床回数、体動、温度、湿度、寝汗の量、頸椎の状態、前記枕に対する首の位置、及び、呼吸の状態の少なくとも1つを含む睡眠情報を認識する睡眠情報認識部と、
前記睡眠情報と前記寝具との相関データを格納している相関データ格納部と、
取得された前記睡眠情報と前記相関データとに基づいて、前記利用者に推奨する推奨寝具を認識する推奨寝具認識部とを備えていることを特徴とする寝具選択システム。
【請求項2】
請求項1に記載の寝具選択システムにおいて、
前記相関データは、前記深睡眠率及び前記寝返りの回数の少なくとも1つと、敷布団の硬度との相関データであり、
前記推奨寝具は、前記敷布団であることを特徴とする寝具選択システム。
【請求項3】
請求項1に記載の寝具選択システムにおいて、
前記相関データは、前記深睡眠率及び前記寝返りの回数の少なくとも1つと、敷布団の反発弾性との相関データであり、
前記推奨寝具は、前記敷布団であることを特徴とする寝具選択システム。
【請求項4】
請求項1に記載の寝具選択システムにおいて、
前記相関データは、前記深睡眠率及び前記寝汗の量の少なくとも1つと、掛布団の季節適合性との相関データであり、
前記推奨寝具は、前記掛布団であることを特徴とする寝具選択システム。
【請求項5】
請求項1に記載の寝具選択システムにおいて、
前記相関データは、前記深睡眠率、前記温度及び前記湿度の少なくとも1つと、布団カバー、シーツ、寝間着及び抱き枕の少なくとも1つの肌触りとの相関データであり、
前記推奨寝具は、前記布団カバー、前記シーツ、前記寝間着及び前記抱き枕の少なくとも1つであることを特徴とする寝具選択システム。
【請求項6】
請求項1に記載の寝具選択システムにおいて、
前記相関データは、前記深睡眠率、前記寝汗の量、前記温度、及び、前記湿度の少なくとも1つと、敷布団及び掛布団の少なくとも1つの肌触りとの相関データであり、
前記推奨寝具は、前記敷布団及び前記掛布団の少なくとも1つであることを特徴とする寝具選択システム。
【請求項7】
請求項1に記載の寝具選択システムにおいて、
前記推奨寝具認識部は、取得された前記睡眠情報と前記相関データとに基づいて、前記複数の寝具から選択された複数種類の前記寝具を含む推奨寝具セットを認識することを特徴とする寝具選択システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者に適した枕以外の寝具を選択するための寝具選択システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者に対して複数の質問を行い、その回答に基づいて、睡眠状況の評価を行う睡眠評価システムが知られている。この種の睡眠評価システムでは、行われた評価に基づいて、複数の選択対象寝具から利用者に適すると考えられる寝具を選択するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
しかし、特許文献1に記載の睡眠評価システムは、質問に対する回答という利用者の主観的なデータのみを基準として睡眠状況の評価を行っている。そのため、従来の睡眠評価システムを用いて選択された寝具では、実際には睡眠状況を改善しにくいという問題があった。
【0004】
この点に鑑み、本件出願人は、身体情報、寝具の物性及び睡眠状況の相関データ(客観的なデータ)に基づいて選択されたテスト用寝具を用いて、利用者に試験的な睡眠を行わせるとともに、その睡眠中の利用者の生体情報の測定結果に基づいて、睡眠状況を改善しやすい寝具を選択し提示するシステムを提案している(特許第6229983号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−216734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、睡眠時に使用する寝具には、当然のことながら複数種類の寝具(例えば、枕、掛布団、敷布団、寝間着、布団カバー、マットレス、抱き枕等)が含まれる。そのため、睡眠状況を改善するためには、複数種類の寝具のいずれについても、利用者に適したものを用いることが好ましい。
【0007】
しかし、従来のシステムでは、そのように複数種類の寝具について利用者に適切なものを選択するためには、テスト用寝具の種類を変えつつ、利用者に複数回の試験的な睡眠を行わせなければならないという問題があった。
【0008】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、試験的な睡眠の回数を抑えつつ、複数種類の寝具について利用者に適した寝具を選択することができる寝具選択システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の寝具選択システムは、
利用者に適した枕以外の寝具を選択するための寝具選択システムであって、
前記利用者の睡眠時における生体情報を検出するセンサを有するセンサ付き枕と、
前記生体情報に基づいて、深睡眠率、心拍数、寝返りの回数、離床回数、体動、温度、湿度、寝汗の量、頸椎の状態、前記枕に対する首の位置、及び、呼吸の状態の少なくとも1つを含む睡眠情報を認識する睡眠情報認識部と、
前記睡眠情報と前記寝具との相関データを格納している相関データ格納部と、
取得された前記睡眠情報と前記相関データとに基づいて、前記利用者に推奨する推奨寝具を認識する推奨寝具認識部とを備えていることを特徴とする。
【0010】
本件発明者は、鋭意研究の結果、後述するように、深睡眠率、心拍数、寝返りの回数、離床回数、体動、温度、湿度、寝汗の量、頸椎の状態、前記枕に対する首の位置、及び、呼吸の状態の少なくとも1つを含む睡眠情報が、利用者の睡眠状況を改善するための寝具を選択するうえで、重要な要素となるという知見を得た。また、それらの睡眠情報は、いずれも利用者の頭部近傍において測定することによって、寝具の選択を行う際に有用なデータとなるという知見も得た。
【0011】
そこで、本発明の寝具選択システムは、上記の睡眠情報を検出するためのセンサを枕に設けている。なお、センサは、枕に予め内蔵されているセンサであってもよいし、通常の枕に外付けする独立したセンサであってもよい。
【0012】
そして、寝具の選択を行う際には、まず、その枕を用いた試験的な睡眠を行い、その睡眠時における利用者の睡眠情報を取得する。その後、この寝具選択システムは、予め取得している睡眠情報と寝具との相関データに基づいて(すなわち、「枕」という寝具の種類とは切り離された睡眠情報に基づいて)、その利用者にとって推奨される、枕以外の寝具の選択を行う。すなわち、本発明の寝具選択システムは、枕に設けたセンサを用いて睡眠情報を検出し、その睡眠情報に基づいて、枕以外の寝具を選択している。
【0013】
したがって、本発明の寝具選択システムによれば、選択しようとしている寝具の種類の数だけ試験的な睡眠を行わなくても(例えば、試験的な睡眠を1回行うだけでも)、複数種類の寝具について利用者に適した寝具を選択することができる。
【0014】
ここで、本件発明者が得た睡眠情報と寝具との相関データに関する知見としては、例えば、以下のものが挙げられる。
(1)深睡眠率及び寝返りの回数の少なくとも1つと、敷布団の硬度との相関データ
(2)深睡眠率及び寝返りの回数の少なくとも1つと、敷布団の反発弾性との相関データ
(3)深睡眠率及び寝汗の量の少なくとも1つと、掛布団の季節適合性との相関データ
(4)深睡眠率、温度及び湿度の少なくとも1つと、布団カバー、シーツ、寝間着及び抱き枕の少なくとも1つの肌触りとの相関データ
(5)深睡眠率、寝汗の量、温度及び湿度の少なくとも1つと、敷布団及び掛布団の少なくとも1つの肌触りとの相関データ
【0015】
ここで、「季節適合性」とは、季節ごとの平均温度、平均湿度、及び、平均睡眠時間等に基づいて、推奨される寝具の吸放湿性、重量、通気性等によって定まるパラメータである。
【0016】
また、本発明の寝具選択システムにおいては、
前記推奨寝具認識部は、取得された前記睡眠情報と前記相関データとに基づいて、前記複数の寝具から選択された複数種類の前記寝具を含む推奨寝具セットを認識することが好ましい。
【0017】
上記した相関データの具体例のように、1種類の睡眠情報は、複数種類の寝具の選択に対して影響を与えるものである。そこで、寝具を選択する際に、個々の推奨寝具を選択するのではなく、複数種類の寝具からなる推奨寝具セットを選択するように構成すると、効率良く、複数種類の寝具について利用者に適した寝具を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係る寝具選択システムの概略構成、及び、情報処理に関する構成を示すブロック図。
図2図1の寝具選択システムが寝具を選択する際に行う処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、実施形態に係る寝具選択システムSについて説明する。
【0021】
まず、図1を参照して、寝具選択システムSの概略構成について説明する。なお、本実施形態の寝具選択支援システムSは、本発明の寝具選択システムを、利用者Uの睡眠状況の改善を図ることができる複数種類の寝具からなる寝具セットを認識するためのシステムとして採用したものである。
【0022】
図1に示すように、寝具選択システムSは、利用者Uの自宅1において使用されるセンサ付き枕11及び携帯情報端末12と、店舗2に設置されたサーバ21とを構成要素とし、それらの構成要素を、インターネット回線等を介して相互に情報通信可能に接続することによって構成されている。
【0023】
なお、本発明の寝具選択システムの構成要素は、必ずしも利用者の自宅と店舗とに設置する必要はない。例えば、店舗に仮眠室を設けることができるような場合には、構成要素の全てを店舗に設置してもよい。また、後述する各種処理をサーバではなく携帯情報端末によって行う場合には、構成要素の全てを自宅のみに設置してもよい。
【0024】
センサ付き枕11は、利用者Uからの希望に基づき、店舗2から利用者Uにレンタルされる。このセンサ付き枕11には、脳波センサ11a、圧力センサ11b、体温センサ11c、室温センサ11d、湿度センサ11e、心拍数センサ11f、音声センサとしてのマイク11g、においセンサ11h、及び、光センサ11iが、利用者Uの生体情報を検出するためのセンサとして設けられている。それらのセンサによって検出された生体情報は、携帯情報端末12へと送信される。
【0025】
なお、本実施形態の寝具選択システムSで用いられるセンサ付き枕11は、各センサが予め内蔵されたものであるが、本発明の寝具選択システムで用いられる枕はそのようなものに限定されるものではなく、複数のセンサのうちの少なくとも1つが枕に後から取り付けるものであってもよい。
【0026】
本実施形態の寝具選択システムSでは、後述するサーバ21の睡眠情報認識部21aが、その生体情報を用いて、利用者Uに関する睡眠情報を認識する。
【0027】
具体的には、深睡眠率は、脳波センサ11a、心拍数センサ11f、においセンサ、11h及び、光センサ11iの検出結果に基づいて認識される。寝返りの回数、頸椎の状態は、圧力センサ11bの検出結果に基づいて認識される。温度は、体温センサ11c及び室温センサ11dの検出結果に基づいて認識される。湿度は、湿度センサ11eの検出結果に基づいて認識される。寝汗の量は、湿度センサ11eの検出結果に基づいて認識される。呼吸の状態は、マイク11g及びにおいセンサ11hの検出結果に基づいて認識される。
【0028】
ここで、「睡眠情報」とは、深睡眠率、心拍数、寝返りの回数、離床回数、体動、温度、湿度、寝汗の量、頸椎の状態、前記枕に対する首の位置、及び、呼吸の状態等、利用者Uの睡眠時の状況を示す情報を指す。また、「深睡眠率」とは、睡眠の全時間中に深睡眠となっている割合を示す。また、「深睡眠」とは、ノンレム睡眠の睡眠段階3及び4の状態(すなわち、徐波睡眠の状態)をいう。
【0029】
なお、本発明の寝具選択システムにおいて、センサ付き枕に設けるセンサは上記のものに限定されるものではなく、深睡眠率、心拍数、寝返りの回数、離床回数、体動、温度、湿度、寝汗の量、頸椎の状態、前記枕に対する首の位置、及び、呼吸の状態の少なくとも1つを認識できるものであればよい。
【0030】
例えば、心拍数センサによる検出結果を用いず、脳波センサによる検出結果のみに基づいて、深睡眠率を算出してもよい。また、例えば、寝具を選択するための相関データで深睡眠率のみが用いられているような場合には、深睡眠率の認識に用いられるパラメータを検出できるセンサのみを用いてもよい。
【0031】
携帯情報端末12は、各種情報の入出力、及び、センサ付き枕11とサーバ21との間で相互に情報通信が可能なスマートフォン、タブレット等である。本実施形態の寝具選択システムSでは、この携帯情報端末12の入力部12a及び出力部12bを介して、利用者Uに対する及び睡眠情報の報知及び寝具の提案、並びに、利用者Uからの寝具の受注が行われる。
【0032】
入力部12a及び出力部12bは、タッチパネル及び各種ボタン、音声入力のためのマイク及びスピーカー等のスマートフォン又はタブレットの構成機器によって構成されている。
【0033】
なお、入力部及び出力部は、スマートフォン等の構成機器によって構成されるものに限定されるものではない。例えば、携帯情報端末に代わり、デスクトップパソコン等を用いている場合には、そのデスクトップパソコンの構成機器を用いてもよい。また、例えば、入力部及び出力部を、同一の端末に設けもよいし、入力用の端末と出力用の端末とを独立したものとしてもよい。
【0034】
サーバ21は、実装されたハードウェア構成又はプログラムにより実現される機能として、睡眠情報認識部21aと、相関データ格納部21bと、推奨物性認識部21cと、寝具物性格納部21dと、推奨寝具認識部21eと、在庫情報格納部21fと、受注処理部21gとを備えている。
【0035】
睡眠情報認識部21aは、携帯情報端末12を介してサーバ21に送信された生体情報に基づいて、利用者Uの睡眠情報、及び、その睡眠情報に基づいて推定される利用者Uの睡眠状況を認識する。ここで、「睡眠状況」とは、例えば、深睡眠率の割合、体動の回数、寝汗の量等、利用者Uの睡眠の快適さを示すパラメータである。
【0036】
相関データ格納部21bは、睡眠情報と寝具の物性との相関データを格納している。具体的には、以下の5種類の相関データを格納している。
(1)深睡眠率及び寝返りの回数の少なくとも1つと、敷布団の硬度との相関データ
(2)深睡眠率及び寝返りの回数の少なくとも1つと、敷布団の反発弾性との相関データ
(3)深睡眠率及び寝汗の量の少なくとも1つと、掛布団の季節適合性との相関データ
(4)深睡眠率、温度及び湿度の少なくとも1つと、布団カバー、シーツ、寝間着及び抱き枕の少なくとも1つの肌触りとの相関データ
(5)深睡眠率、寝汗の量、温度及び湿度の少なくとも1つと、敷布団及び掛布団の少なくとも1つの肌触りとの相関データ
【0037】
なお、本発明における相関データは、上記のものに限定されるものではなく、睡眠情報と寝具との相関データであって、利用者の睡眠状況の改善に寄与するものであればよい。
【0038】
例えば、においセンサ11hに基づいて認識された深睡眠率とシーツの素材(具体的には、その素材のにおい)との相関データであってもよい。また、光センサ11iに基づいて認識された深睡眠率とアイマスクの素材(具体的には、その素材の光の透過具合)との相関データであってもよい。
【0039】
推奨物性認識部21cは、利用者Uの睡眠情報と相関データとに基づいて、利用者Uに対して推奨される(すなわち、利用者Uの睡眠状況の改善に寄与する)物性である推奨物性を認識する。ここで、「物性」には、硬度、反発弾性の他、保温性、吸放湿性、素材(肌触り)等が含まれる。
【0040】
寝具物性格納部21dは、利用者Uが購入可能な複数の寝具に関する物性を、寝具ごとに格納している。ここで、「寝具」には、枕、掛布団、敷布団、寝間着、布団カバー、マットレス、抱き枕等、利用者Uが睡眠時に使用し得る種々様々な寝具が含まれる。
【0041】
推奨寝具認識部21eは、推奨物性と寝具に関する物性とに基づいて、利用者Uに対して推奨される寝具を認識する。また、推奨寝具認識部21eは、携帯情報端末12を介して、利用者Uに対し、複数の推奨寝具、又は、複数の推奨寝具セット(複数の推奨寝具からなる組み合わせ)を選択可能に提示する。
【0042】
在庫情報格納部21fは、店舗2の倉庫等に格納されており、利用者Uが購入可能な寝具の在庫等、受注した際に発送を行うために必要な種々のデータを格納している。
【0043】
受注処理部21gは、携帯情報端末12の入力部12aを介して入力された利用者Uからの発注情報を認識し、その発注情報に基づく決済処理、及び、発送処理を行う。
【0044】
なお、本実施形態の寝具選択システムSでは、センサ付き枕11に設けられたセンサによって検出された生体情報は、携帯情報端末12を介して、サーバ21に送信されている。これは、利用者Uが、携帯情報端末12を介して、生体情報そのものを認識することができるようにするためである。
【0045】
また、本実施形態の寝具選択システムSでは、認識された推奨寝具、又は、複数の推奨寝具セットを選択可能に提示するとともに、それらのいずれかを購入可能な構成としている。
【0046】
しかし、本発明の寝具選択システムは、このような構成に限定されるものではない。例えば、利用者Uに対する及び睡眠情報の報知及び寝具の提案、並びに、利用者Uからの寝具の受注の少なくとも一方を行わないシステム(例えば、推奨寝具の認識のみを行うシステム)として構成してもよい。
【0047】
そのように構成する場合には、携帯情報端末を省略し、センサ付き枕に設けられたセンサによって検出された生体情報を直接サーバに送信してもよい。また、在庫情報格納部21f、及び、受注処理部21gを省略してもよい。さらに、推奨寝具を実際の寝具の物性と紐付けずに提示する場合には、寝具物性格納部21dも省略して良い。
【0048】
次に、図1及び図2を参照して、利用者Uが寝具の選択及び購入を行う際に、寝具選択支援システムSが行う処理について説明する。図2は、寝具選択支援システムSが行う処理を示すフローチャートである。
【0049】
本実施形態の寝具選択システムSでは、寝具の選択及び購入に関する処理に先立ち、利用者Uの希望に応じて、店舗2から利用者Uにセンサ付き枕11がレンタルされる(図1/STEPa)。その後、利用者Uは、そのセンサ付き枕11を用いて、試験的な睡眠を行う。
【0050】
そして、寝具の選択及び購入に関する処理においては、まず、センサ付き枕11が、利用者Uの生体情報を取得する(図2/STEP01)。
【0051】
次に、サーバ21の睡眠情報認識部21aが、携帯情報端末12を介して送信された生体情報(図1/STEPb参照)を認識する(図2/STEP02)。
【0052】
ここで、センサ付き枕11による生体情報の取得、及び、睡眠情報認識部21aによる生体情報の認識は、必ずしも全ての生体情報について同時に行う必要はなく、生体情報ごとに適切なタイミングで行えばよい。例えば、脳波センサ11aによる測定結果は、随時サーバ21に送信してもよいし、起床時に睡眠中のデータをひとまとめにしてサーバ21に送信してもよい。
【0053】
次に、睡眠情報認識部21aが、認識した生体情報に基づいて、利用者Uの睡眠情報を認識する(図2/STEP03)。
【0054】
ここで、本実施形態の寝具選択システムSでは、睡眠情報認識部21aから携帯情報端末12に認識された睡眠情報が送信される。そして、携帯情報端末12の出力部12bには、その睡眠情報が、センサ付き枕11によって取得した生体情報とともに表示される(図1/STEPc参照)。
【0055】
次に、サーバ21の推奨物性認識部21cが、認識された睡眠情報と、相関データ格納部21bから取得した相関データとに基づいて、利用者Uに対する推奨物性を認識する(図2/STEP04)。
【0056】
次に、サーバ21の推奨寝具認識部21eが、認識された推奨物性と、寝具物性格納部21dから取得した寝具の物性とに基づいて、利用者Uに対する推奨寝具を認識する(図2/STEP05)。
【0057】
ここで、本実施形態の寝具選択システムSでは、推奨物性認識部21c及び推奨寝具認識部21eから携帯情報端末12に認識された推奨物性及び推奨寝具が送信される。そして、携帯情報端末12の出力部12bには、その推奨物性及び推奨寝具が表示される(図1/STEPd参照)。このとき、推奨寝具は、個別の寝具として提示される他、複数種類の寝具からなる寝具セットとしても表示される。
【0058】
そして、本実施形態の寝具選択システムSでは、提示された推奨寝具又は推奨寝具セットについて、携帯情報端末12を介して、利用者Uが選択及び発注を行うことができるようになっている。
【0059】
利用者Uによって発注が行われた場合(図1/STEPe参照)、サーバ21の受注処理部21gが、利用者Uからの発注情報を認識し、その認識に基づいて、在庫の確認、決済処理等の受注処理、及び、選択された推奨寝具又は推奨寝具セットの発送処理(図1/STEPf参照)を行い今回の処理を終了する(図2/STEP06)。
【0060】
以上説明したように、本実施形態の寝具選択システムSは、寝具の選択を行う際には、まず、センサ付き枕11を用いた試験的な睡眠を行い、その睡眠時における利用者Uの睡眠情報を取得する。
【0061】
その後、この寝具選択システムSは、予め取得している睡眠情報と寝具との相関データに基づいて(すなわち、「枕」という寝具の種類とは切り離された睡眠情報に基づいて)、その利用者Uにとって推奨される、枕以外の寝具の選択を行う。
【0062】
すなわち、本実施形態の寝具選択システムSは、センサ付き枕11に設けたセンサを用いて睡眠情報を検出し、その睡眠情報に基づいて、枕以外の寝具を選択している。
【0063】
したがって、本実施形態の寝具選択システムSによれば、選択しようとしている寝具の種類の数だけ試験的な睡眠を行わなくても(例えば、試験的な睡眠を1回行うだけでも)、複数種類の寝具について利用者Uに適した寝具を選択することができる。
【0064】
以上、図示の実施形態について説明したが、本発明はこのような形態に限られるものではない。
【0065】
例えば、上記実施形態では、認識された推奨寝具は、個別の寝具として提示される他、複数種類の寝具からなる寝具セットとしても表示される。しかし、本発明の寝具選択システムは、このような構成に限定されるものではなく、推奨寝具を個別に提示するのみであってもよいし、推奨寝具セットを提示するのみであってもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…自宅、2…店舗、11…センサ付き枕、11a…脳波センサ、11b…圧力センサ、11c…体温センサ、11d…室温センサ、11e…湿度センサ、11f…心拍数センサ、11g…マイク、11h…においセンサ、11i…光センサ、12…携帯情報端末、21…サーバ、21a…睡眠情報認識部、21b…相関データ格納部、21c…推奨物性認識部、21d…寝具物性格納部、21e…推奨寝具認識部、21f…在庫情報格納部、21g…受注処理部、S…寝具選択支援システム、U…利用者。
【要約】
【課題】試験的な睡眠の回数を抑えつつ、複数種類の寝具について利用者に適した寝具を選択することができる寝具選択システムを提供する。
【解決手段】寝具選択システムSは、利用者Uの睡眠情報を取得するセンサを有するセンサ付き枕11と、睡眠情報と寝具との相関データを格納している相関データ格納部21bと、取得された睡眠情報と相関データとに基づいて、利用者Uに推奨する推奨寝具を認識する推奨寝具認識部21eとを備える。
【選択図】図1
図1
図2