特許第6385617号(P6385617)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ レイセオン カンパニーの特許一覧

<>
  • 特許6385617-ウォークオフポンプカプラ 図000002
  • 特許6385617-ウォークオフポンプカプラ 図000003
  • 特許6385617-ウォークオフポンプカプラ 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6385617
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】ウォークオフポンプカプラ
(51)【国際特許分類】
   H01S 3/091 20060101AFI20180827BHJP
【FI】
   H01S3/091
【請求項の数】21
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-509513(P2018-509513)
(86)(22)【出願日】2016年6月27日
(86)【国際出願番号】US2016039573
(87)【国際公開番号】WO2017039794
(87)【国際公開日】20170309
【審査請求日】2018年2月19日
(31)【優先権主張番号】14/840,262
(32)【優先日】2015年8月31日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】スタルツ,ローバート
(72)【発明者】
【氏名】ボランド,ブライアン
【審査官】 島田 英昭
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第1103838(EP,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0250416(US,A1)
【文献】 米国特許第6919989(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0109918(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0133180(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0264830(US,A1)
【文献】 特許第4191035(JP,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0261456(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 3/00− 3/30
G02B27/00−27/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1入力端及び第1出力端を有する第1のビームディスプレーサであり、当該第1のビームディスプレーサは、前記第1入力端で、第1の波長を持つ直線偏光された信号シードと、第2の波長を持つ非偏光ポンプビームとを受け取るように構成され、前記非偏光ポンプビームは、第1及び第2の直線偏光成分を含み、当該第1のビームディスプレーサは更に、前記非偏光ポンプビームの前記第1の直線偏光成分を、前記第1出力端で、前記直線偏光された信号シードと同じ位置に置くように、前記非偏光ポンプビームの前記第1の直線偏光成分を空間的に平行移動させるように構成される、第1のビームディスプレーサと、
第2入力端及び第2出力端を有する第2のビームディスプレーサであり、当該第2のビームディスプレーサは、前記非偏光ポンプビームの前記第2の直線偏光成分を空間的に平行移動させて、前記非偏光ポンプビームの前記第1及び第2の直線偏光成分を再結合させるとともに、前記非偏光ポンプビームを、前記第2出力端で、前記直線偏光された信号シードと同じ位置に置くように構成される、第2のビームディスプレーサと、
前記第1のビームディスプレーサの前記第1出力端と、前記第2のビームディスプレーサの前記第2入力端との間に介在され、前記第1の直線偏光成分、前記第2の直線偏光成分、及び前記直線偏光された信号シードの各々の偏光を回転させるように構成された、二波長波長板と、
を有するビームカプラ。
【請求項2】
前記二波長波長板は更に、前記第1の直線偏光成分及び前記第2の直線偏光成分の各々の偏光を略90度だけ回転させるとともに、前記直線偏光された信号シードの偏光を略180度だけ回転させるように構成される、請求項1に記載のビームカプラ。
【請求項3】
前記第1のビームディスプレーサは更に、前記直線偏光された信号シード及び前記非偏光ポンプビームを、コリニアな伝播方向にて受け取るように構成され、前記第2のビームディスプレーサは更に、前記第2出力端で前記コリニアな伝播方向を保つように構成されている、請求項1に記載のビームカプラ。
【請求項4】
前記第1のビームディスプレーサは、前記直線偏光された信号シードの伝播方向に対して第1の方向に傾けられた結晶光学軸を持つビームディスプレーサ結晶を含む、請求項1に記載のビームカプラ。
【請求項5】
前記第2のビームディスプレーサは、前記直線偏光された信号シードの前記伝播方向に対して第2の方向に傾けられた結晶光学軸を持つビームディスプレーサ結晶を含む、請求項4に記載のビームカプラ。
【請求項6】
前記第1及び第2のビームディスプレーサの各々が異方性結晶を含む、請求項1に記載のビームカプラ。
【請求項7】
前記第1のビームディスプレーサの前記第1入力端は、第1入射部で前記非偏光ポンプビームを受け取るとともに、第2入射部で前記直線偏光された信号シードを受け取るように構成され、前記第1入射部は前記第2入射部から空間的に離隔されている、請求項1に記載のビームカプラ。
【請求項8】
前記第1のビームディスプレーサは、長さ、幅、高さ、及び第1のウォークオフ角度によって規定され、前記長さは、少なくとも前記第1のウォークオフ角度に比例して定められる、請求項7に記載のビームカプラ。
【請求項9】
前記二波長波長板は、第1の材料及び第2の材料を含む、請求項1に記載のビームカプラ。
【請求項10】
前記第1の材料は石英を含み、前記第2の材料はサファイアを含む、請求項9に記載のビームカプラ。
【請求項11】
前記第1の材料は、前記第2の材料とは実質的に反対の、複屈折の熱誘起変化係数を含む、請求項9に記載のビームカプラ。
【請求項12】
前記第1の材料が、前記第2の材料と実質的に反対の、複屈折の波長分散を含む、請求項9に記載のビームカプラ。
【請求項13】
前記同じ位置に置かれた前記非偏光ポンプビーム及び前記直線偏光された信号シードを導波路に結合するように構成されたレンズ系、を更に有する請求項1に記載のビームカプラ。
【請求項14】
異なる波長のコリニアビームを同じ位置に置く方法であって、
第1の波長にある直線偏光された信号シードと第2の波長にある非偏光ポンプビームとを、第1のビームディスプレーサ中で伝播させることと、
前記第1のビームディスプレーサ中での前記非偏光ポンプビームの伝播中に、前記非偏光ポンプビームを第1の直線偏光成分と第2の直線偏光成分とに空間的に分離して、前記第1のビームディスプレーサの出力端で、前記第1の直線偏光成分を前記直線偏光された信号シードと同じ位置におくことと、
前記第1の直線偏光成分の偏光及び前記第2の直線偏光成分の偏光を第1の量だけ回転させることと、
前記直線偏光された信号シードの偏光を第2の量だけ回転させることと、
前記直線偏光された信号シードと、前記第1の直線偏光成分と、前記第2の直線偏光成分とを、第2のビームディスプレーサ中で伝播させることと、
前記第2のビームディスプレーサ中での前記第1及び第2の直線偏光成分の伝播中に、前記第1の直線偏光成分と前記第2の直線偏光成分とを空間的に再結合させて、前記第2のビームディスプレーサの出力端で、前記非偏光ポンプビームを前記直線偏光された信号シードと同じ位置に置くことと、
を有する方法。
【請求項15】
前記第1の直線偏光成分の前記偏光及び前記第2の直線偏光成分の前記偏光を前記第1の量だけ回転させることは、前記第1の直線偏光成分の前記偏光を略90度だけ回転させるとともに、前記第2の直線偏光成分の前記偏光を略90度だけ回転させることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記直線偏光された信号シードの前記偏光を前記第2の量だけ回転させることは、前記直線偏光された信号シードの前記偏光を略180度だけ回転させることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記同じ位置に置かれた前記直線偏光された信号シード及び前記非偏光ポンプビームを平面導波路へと送ること、を更に有する請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記非偏光ポンプビームを前記第1の直線偏光成分と前記第2の直線偏光成分とに空間的に分離することは、前記第1のビームディスプレーサ中で、前記第2の直線偏光成分の伝播方向に対して第1のウォークオフ角度で前記第1の直線偏光成分をウォークオフさせることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の直線偏光成分と前記第2の直線偏光成分とを空間的に再結合させることは、前記第2のビームディスプレーサ中で、前記非偏光ポンプビームの伝播方向に対して第2のウォークオフ角度で前記第2の直線偏光成分をウォークオフさせることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記直線偏光された信号シードを、前記第1のビームディスプレーサ中で、前記第1のビームディスプレーサで受け取られたときの前記直線偏光された信号シードの伝播方向に対して或るウォークオフ角度でウォークオフさせること、を更に有する請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記第1及び第2の直線偏光成分の前記偏光を前記第1の量だけ回転させることは、前記第1及び第2の直線偏光成分の前記偏光を略180度だけ回転させることを含み、前記直線偏光された信号シードの前記偏光を前記第2の量だけ回転させることは、前記直線偏光された信号シードの前記偏光を略90度だけ回転させることを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
光ビームカプラは、科学、産業、医療、及び軍事の分野にわたる広くて多様な用途を有する。例えば、導波路増幅器媒体(例えば、平面導波路(PWG)又は光ファイバ)に、異なる波長のポンプビーム及び信号ビームを同時に入射しなければならないことが頻繁にある。オールガラスのポンプカプラは、ポンプ入力、信号入力、及び増幅導波路が一緒にスプライス又は融合されるものであり、使用すると効率的であり且つ堅牢である。しかしながら、オールガラスのポンプカプラは、常に実現可能なわけではない。例えば、オールガラスのポンプカプラは、異種材料のファイバ入力とPWGとの間には使用されることができないことがある。そのような場合、ポンプ入力及び信号入力は、自由空間コンポーネントを介して増幅器導波路に結合されなければならない。ポンプビームとシード信号とをファイバ又は平面導波路増幅器に自由空間カップリングするための従来方法及びシステムは、1つ以上のダイクロイックミラーを必要とする。これは、例えばポンプビームがファイバ結合されたダイオードレーザモジュールから生成されるときなど、ポンプビームが非偏光であるときに問題となる。これは、ダイクロイックミラーのコーティング設計を困難にし、あるいは、入射するポンプを、ダイクロイックミラー上への略垂直入射に維持することを必要とする。後者は一般に、ポンプビーム用の追加の回転ミラーを付加することによって達成され、それにより、カップリングアセンブリの大きさ及び重量を比例的に増大させてしまう。さらに、ミラーのアライメントは、衝撃、振動、及び周囲温度変化に敏感である。
【発明の概要】
【0002】
態様及び実施形態は、偏光ビームと非偏光ビームとを同じ位置に置くためのシステム及び方法に関する。特に、実施形態は、1つ以上のダイクロイックミラーが存在しないことを特徴とするビームカプラを含む。従って、本発明の様々な態様は、衝撃、振動、周囲温度変化、及びシステムの信頼性に悪影響を及ぼし得るその他の環境的影響力に対して大いに鈍感である。
【0003】
一態様によれば、ビームカプラは、第1入力端及び第1出力端を有する第1のビームディスプレーサであり、当該第1のビームディスプレーサは、上記第1入力端で、第1の波長を持つ直線偏光された信号シードと、第2の波長を持つ非偏光ポンプビームとを受け取るように構成され、上記非偏光ポンプビームは、第1及び第2の直線偏光成分を含み、当該第1のビームディスプレーサは更に、上記非偏光ポンプビームの上記第1の直線偏光成分を、上記第1出力端で、上記直線偏光された信号シードと同じ位置に置くように、上記非偏光ポンプビームの上記第1の直線偏光成分を空間的に平行移動させるように構成される、第1のビームディスプレーサと、第2入力端及び第2出力端を有する第2のビームディスプレーサであり、当該第2のビームディスプレーサは、上記非偏光ポンプビームの上記第2の直線偏光成分を空間的に平行移動させて、上記非偏光ポンプビームの上記第1及び第2の直線偏光成分を再結合させるとともに、上記非偏光ポンプビームを、上記第2出力端で、上記直線偏光された信号シードと同じ位置に置くように構成される、第2のビームディスプレーサと、上記第1のビームディスプレーサの上記第1出力端と、上記第2のビームディスプレーサの上記第2入力端との間に介在され、上記第1の直線偏光成分、上記第2の直線偏光成分、及び上記直線偏光された信号シードの各々の偏光を回転させるように構成された、二波長波長板とを含む。
【0004】
一実施形態によれば、上記二波長波長板は更に、上記第1の直線偏光成分及び上記第2の直線偏光成分の各々の偏光を略90度だけ回転させるとともに、上記直線偏光された信号シードの偏光を略180度だけ回転させるように構成される。一実施形態において、上記第1のビームディスプレーサは更に、上記直線偏光された信号シード及び上記非偏光ポンプビームを、コリニアな伝播方向にて受け取るように構成され、上記第2のビームディスプレーサは更に、上記第2出力端で上記コリニアな伝播方向を保つように構成される。
【0005】
一実施形態において、上記第1のビームディスプレーサは、上記直線偏光された信号シードの伝播方向に対して第1の方向に傾けられた結晶光学軸を持つビームディスプレーサ結晶を含む。更なる一実施形態において、上記第2のビームディスプレーサは、上記直線偏光された信号シードの上記伝播方向に対して第2の方向に傾けられた結晶光学軸を持つビームディスプレーサ結晶を含む。
【0006】
一実施形態によれば、上記第1及び第2のビームディスプレーサの各々が異方性結晶を含む。一実施形態において、上記第1のビームディスプレーサの上記第1入力端は、第1入射部で上記非偏光ポンプビームを受け取るとともに、第2入射部で上記直線偏光された信号シードを受け取るように構成され、上記第1入射部は上記第2入射部から空間的に離隔されている。更なる一実施形態において、上記第1のビームディスプレーサは、長さ、幅、高さ、及び第1のウォークオフ角度によって規定され、上記長さは、少なくとも上記第1のウォークオフ角度に比例して規定される。
【0007】
一実施形態において、上記二波長波長板は、第1の材料及び第2の材料を含む。一実施形態によれば、上記第1の材料は石英を含み、上記第2の材料はサファイアを含む。一実施形態によれば、上記第1の材料は、上記第2の材料とは実質的に反対の、複屈折の熱誘起変化係数を含む。一実施形態によれば、上記第1の材料が、上記第2の材料と実質的に反対の、複屈折の波長分散を含む。少なくとも1つの実施形態において、当該ビームカプラは更に、上記同じ位置に置かれた上記非偏光ポンプビーム及び上記直線偏光された信号シードを導波路に結合するように構成されたレンズ系を含む。
【0008】
一態様によれば、異なる波長のコリニアビームを同じ位置に置く方法は、第1の波長にある直線偏光された信号シードと第2の波長にある非偏光ポンプビームとを、第1のビームディスプレーサ中で伝播させることと、上記第1のビームディスプレーサ中での上記非偏光ポンプビームの伝播中に、上記非偏光ポンプビームを第1の直線偏光成分と第2の直線偏光成分とに空間的に分離して、上記第1のビームディスプレーサの出力端で、上記第1の直線偏光成分を上記直線偏光された信号シードと同じ位置におくことと、上記第1の直線偏光成分の偏光及び上記第2の直線偏光成分の偏光を第1の量だけ回転させることと、上記直線偏光された信号シードの偏光を第2の量だけ回転させることと、上記直線偏光された信号シードと、上記第1の直線偏光成分と、上記第2の直線偏光成分とを、第2のビームディスプレーサ中で伝播させることと、上記第2のビームディスプレーサ中での上記第1及び第2の直線偏光成分の伝播中に、上記第1の直線偏光成分と上記第2の直線偏光成分とを空間的に再結合させて、上記第2のビームディスプレーサの出力端で、上記非偏光ポンプビームを上記直線偏光された信号シードと同じ位置に置くこととを含み得る。
【0009】
一実施形態において、上記第1の直線偏光成分の上記偏光及び上記第2の直線偏光成分の上記偏光を上記第1の量だけ回転させることは、上記第1の直線偏光成分の上記偏光を略90度だけ回転させるとともに、上記第2の直線偏光成分の上記偏光を略90度だけ回転させることを含む。一実施形態によれば、上記直線偏光された信号シードの上記偏光を上記第2の量だけ回転させることは、上記直線偏光された信号シードの上記偏光を略180度だけ回転させることを含む。
【0010】
一実施形態において、当該方法は、上記同じ位置に置かれた上記直線偏光された信号シード及び上記非偏光ポンプビームを平面導波路へと送ることを含み得る。一実施形態によれば、上記非偏光ポンプビームを上記第1の直線偏光成分と上記第2の直線偏光成分とに空間的に分離することは、上記第1のビームディスプレーサ中で、上記第2の直線偏光成分の伝播方向に対して第1のウォークオフ角度で上記第1の直線偏光成分をウォークオフさせることを含む。一実施形態において、上記第1の直線偏光成分と上記第2の直線偏光成分とを空間的に再結合させることは、上記第2のビームディスプレーサ中で、上記非偏光ポンプビームの伝播方向に対して第2のウォークオフ角度で上記第2の直線偏光成分をウォークオフさせることを含む。
【0011】
一実施形態によれば、当該方法は、上記直線偏光された信号シードを、上記第1のビームディスプレーサ中で、上記第1のビームディスプレーサで受け取られたときの上記直線偏光された信号シードの伝播方向に対して或るウォークオフ角度でウォークオフさせることを含み得る。一実施形態によれば、上記第1及び第2の直線偏光成分の上記偏光を上記第1の量だけ回転させることは、上記第1及び第2の直線偏光成分の上記偏光を略180度だけ回転させることを含み、上記直線偏光された信号シードの上記偏光を上記第2の量だけ回転させることは、上記直線偏光された信号シードの上記偏光を略90度だけ回転させることを含む。
【0012】
これら例示的な態様及び実施形態の更なる他の態様、実施形態、及び利点が、以下にて詳細に説明される。ここに開示される実施形態は、ここに開示される原理のうちの少なくとも1つと一貫したやり方で他の実施形態と組み合わされることができ、“実施形態”、“一部の実施形態”、“代替実施形態”、“様々な実施形態”、“一実施形態”、又はこれらに類するものへの言及は、必ずしも相互に排他的なものではなく、記載される特定の特徴、構造、又は特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを指し示すことを意図したものである。ここにこれらの用語が複数現れることは、必ずしも全てが同じ実施形態に言及しているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
以下、縮尺通りに描くことは意図していない添付の図面を参照して、少なくとも1つの実施形態の様々な態様を説明する。図面は、様々な態様及び実施形態の例示及び更なる理解を提供するために含められており、本明細書に組み込まれてその一部を構成するが、本発明の限定を規定するものとして意図したものではない。図面において、様々な図に示される同じ又は略同じ構成要素は各々、似通った参照符号によって表される。明瞭さの目的のため、全ての図で全ての構成要素にラベルを付すことはしていない場合がある。
図1】本発明の態様に従ったビームカプラの一例のブロック図である。
図2】本発明の態様に従ったビームカプラの他の一例のブロック図である。
図3】本発明の態様に従ったビームを同じ位置に置く方法の一例のプロセスフローである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
態様及び実施形態は、偏光ビームと非偏光ビームとを同じ位置に置くためのシステム及び方法に関する。特に、実施形態は、1つ以上のダイクロイックミラーが存在しないことを特徴とするビームカプラを含む。従って、本発明の様々な態様は、衝撃、振動、周囲温度変化、及びシステムの信頼性に悪影響を及ぼし得るその他の環境的影響力に対して大いに鈍感である。例えば、非偏光ポンプビームと直線偏光された信号シードなど、非偏光ビームと偏光ビームとを組み合わせることへの一部の従来アプローチは、ダイクロイックミラーの利用を含んでいる。しかしながら、それらのアプローチは一般に、ここで説明される破壊的な力に敏感であるとともにカプラアセンブリの重量を増加させる回転ミラーを必要とする。これは、システムが航空機に取り付けられるときに特に懸念されることとなり得る。さらに、ミラーは、カプラが動いているときには時間がかかり実用的ではないものである微調整及び精密制御を必要とする。これらの欠点は、ここに開示されるビームカプラ(ダイクロイックミラーを組み込む必要がない)の使用によって回避され得る。更に詳細に後述するように、様々な実施形態に従ったビームカプラは、第1のビームディスプレーサ(beam displacer)と、二波長波長板(dual-wavelength waveplate)と、第2のビームディスプレーサとを含み、第1の波長で受け取った非偏光ポンプビームと、第2の波長で受け取った直線偏光された信号シードとを、コリニア(共線的)に同じ位置に置くように構成される。
【0015】
理解されるべきことには、ここに説明される方法及び装置の実施形態は、適用において、以下の記載に説明され又は添付図面に図示される構成の詳細及び構成要素の配置に限定されるものではない。これらの方法及び装置は、他の実施形態での実装が可能であり、また、様々なやり方で実施あるいは実行されることが可能である。具体的な実装の例が、単に例示の目的でここに提供されるが、限定することを意図したものではない。また、ここで使用される言葉遣い及び用語は、記述目的でのものであり、限定するものとして見なされるべきでない。“含む”、“有する”、“持つ”、“含有する”、“伴う”及びこれらの変形のここでの使用は、その後に挙げられる品目及びそれらの均等物並びに更なる品目を含む意味である。“又は”への言及は、“又は”を用いて記載される項目が、記載される項目のうちの、単一の、1つよりも多くの、及び全ての、の何れかを指し示し得るように、包含的なものとして解釈され得る。
【0016】
図1を参照するに、一実施形態に従ったビームカプラの一例のブロック図が示されている。全体として100で指し示されているビームカプラは、第1のビームディスプレーサ102と、二波長波長板104と、第2のビームディスプレーサ106とを含むことができる。様々な実施形態において、ビームカプラ100は、第1の波長を持つ偏光信号と、第2の波長を持つ非偏光信号とを受け取るように構成される。一実施形態において、偏光信号は、直線偏光された信号シード(“信号シード”)108を含み、非偏光信号は、偏光されていないポンプビーム(“ポンプビーム”)110を含む。図1に示すように、直線偏光された信号シード108は、インジケータ120によって表される方向の直線偏光を有し、非偏光ポンプビーム110は、インジケータ122によって表される第1方向の第1の直線偏光と、インジケータ124によって表される第2方向の第2の直線偏光とを有する。図1において、第1の直線偏光は、ポンプビーム110の第1の直線偏光成分126の偏光を表し、第2の直線偏光は、ポンプビーム110の第2の直線偏光成分128の偏光を表している。様々な実施形態において、直線偏光された信号シード108は1530nmの波長を持ち、非偏光ポンプビーム110は980nmの波長を持つ。従って、第1の直線偏光成分126及び第2の直線偏光成分128は、980nmの波長を持ち得る。ここでは1530nm及び980nmの波長で受け取られるとして記載されるが、様々な実施形態において、直線偏光された信号シード108及び非偏光ポンプビーム110は、科学的、産業的、医学的、及び軍事的な使命又は用途で従来から使用されているような何らかの他の波長で受け取られてもよい。図1は、ポンプビーム110及び直線偏光された信号シード108が同じ方向にコリニアに伝播していることを示している。
【0017】
図1を参照するに、様々な実施形態において、非偏光ポンプビーム110及び直線偏光された信号シード108は、第1のビームディスプレーサ102の入力端142で受け取られることができる。第1のビームディスプレーサ102は、長さ、幅、高さ、及びウォークオフ角度によって規定される。例えば、第1のビームディスプレーサ102は、40mm×11mm×11mmの寸法を持った一軸ウォークオフ結晶ディスプレーサを含むことができる。しかしながら、第1のビームディスプレーサ102は、二軸ウォークオフ結晶ディスプレーサを含んでいてもよく、数多の他のサイズが使用されてもよい。様々な実施形態において、第1のビームディスプレーサ102は、光学的に異方性の材料を含む第1の材料で構成される。これは、例えば、ニュージャージー州ニュートンのThorlabs社から商業的に入手可能な方解石結晶を含み得る。従って、第1のビームディスプレーサ102によって受け取られた非偏光ビーム(例えば、ポンプビーム110)は、偏光によって、第1の直線偏光成分126及び第2の直線偏光成分128という2つの直線偏光成分へとスプリットされる。第1のビームディスプレーサ102は、第1の直線偏光成分126が第1のビームディスプレーサ102における異常波を含み、第2の直線偏光成分128が第1のビームディスプレーサ102における通常波を含むように構成されることができる。第1の直線偏光成分126の空間ビームプロファイルは、それが第1のビームディスプレーサ102中を伝播するにつれて、ますます平行移動されることになる。第2の直線偏光成分128の空間ビームプロファイルは、平行移動せずに、第1のビームディスプレーサ102中を真っ直ぐに伝播することになる。結果として、直線偏光成分126と128とが空間的に分離される。一実施形態において、直線偏光された信号シード108は、第1のビームディスプレーサ102における通常波を含み、故に、横方向の変位なしに第1のビームディスプレーサ102中を真っ直ぐに伝播する。
【0018】
図1に示すように、第1のビームディスプレーサ102は、ポンプビーム110の第1の直線偏光成分126を空間的に平行移動させて、第1の直線偏光成分126を直線偏光された信号シード108と同じ位置に置くように構成されることができる。一実施形態において、第1の直線偏光成分126及び信号シード108は、第1のビームディスプレーサ102の出力端144における出射部138で、同じ位置に置かれる。様々な実施形態において、第1の直線偏光成分126のビームウォークオフは、第2の直線偏光成分128の伝播方向に対して第1の角度にある。例として、第1のウォークオフ角度を、角θとして図1に示す。第2の直線偏光成分128は、第1のビームディスプレーサ中を、横方向の変位なく伝播する。一実装において、第1のウォークオフ角度は、第1のビームディスプレーサ102の屈折率(すなわち、n、n、及び波面法線によって規定される角度)及び結晶光学軸の方位(118として図示)によって定められる。従って、第1の直線偏光成分126、第2の直線偏光成分128、及び直線偏光された信号シード108の平行移動は、それぞれのビームの偏光に依存することになる。幾つかの実施形態において、結晶光学軸は、第1のビームディスプレーサ102の第1入射部112、第1のビームディスプレーサ102の第2入射部114、及び第1のビームディスプレーサの出力端144における出射部138を含む平面内で角度付けられる。結晶光学軸の角度は、第1の直線偏光成分126のウォークオフ角度を最大化するように選定され得る。例えば、一実施形態において、第1のビームディスプレーサ102は、信号シード108の伝播方向に対して略45度の角度で傾けられた結晶光学軸を有する。従って、受け取られた直線偏光された信号シード108は、第1のビームディスプレーサ102中を、横方向の変位なく伝播することになる。同様に、非偏光ポンプビーム110の第2の直線偏光成分128は、第1のビームディスプレーサ102中を、横方向の変位なく伝播することになる。しかしながら、第1の直線偏光成分126の偏光(すなわち、異常偏光)の結果として、非偏光ポンプビーム110の第1の直線偏光成分126は、それが第1のビームディスプレーサ102中を進むにつれてウォークオフされる。
【0019】
図1を引き続き参照するに、一実施形態において、信号シード108は、第1のビームディスプレーサ102の第1入射部112で受け取られ、非偏光ポンプビーム110は、第1のビームディスプレーサ102の第2入射部114で受け取られる。第2入射部114は、第1の直線偏光成分126のウォークオフ方向とは反対向きに、第1入射部112から距離116だけ離隔される。様々な実施形態において、第1入射部112と第2入射部114との間の距離116は、第1のビームディスプレーサ102の長さとウォークオフ角度とによって定められる。更なる実施形態において、第1のビームディスプレーサ102は、ビームサイズ及びビームダイバージェンスに基づいて選定され得る。例えば、第1のビームディスプレーサ102の長さが40mmであり、第1のビームディスプレーサ102の材料が方解石である場合、第1入射部112と第2入射部114との間の距離は4.2mmである。従って、一実施形態において、既知のウォークオフ角度を有する第1のビームディスプレーサ102の長さは、ポンプビーム110の第1の直線偏光成分126と信号シード108とを同じ位置に置くように変えられ得る。第1のビームディスプレーサ102の長さを変えることは、出射部138における第1の直線偏光成分126の横方向の変位を比例的に増加又は減少させる。
【0020】
図1に示すように、ポンプビーム110の第2の直線偏光成分128、ポンプビーム110の第1の直線偏光成分126、及び信号シード108は、第1のビームディスプレーサ102の出力端144(第1の直線偏光成分126及び直線偏光された信号シード108が同じ位置に置かれている)から、二波長波長板104へと送られる。様々な実施形態において、二波長波長板104は、異なる波長を持つ2つ以上のビームを受け取るように構成される。上述のように、一部の例において、これは、980nmの波長を持つ非偏光ポンプビーム110の第1及び第2の直線偏光成分(126及び128)と、1530nmの波長を持つ直線偏光された信号シード108とを含むことができる。様々な実施形態において、二波長波長板104は、第1の直線偏光成分126、第2の直線偏光成分128、及び信号シード108の各々の偏光を回転させるように構成される。これは、ポンプビーム(すなわち、第1及び第2の直線偏光成分)に対する半波長遅延と、信号シード108に対する1波長遅延とを作り出すことを含むことができる。故に、ポンプビーム偏光成分(第1の直線偏光成分126及び第2の直線偏光成分128)は、それらが二波長波長板104を通り抜けるときに偏光状態を“スイッチ”し、一方、信号シード108は、同じ偏光状態のままである。従って、ポンプビーム110の第1の直線偏光成分126は、第1のビームディスプレーサ102における異常波から第2のビームディスプレーサ106における通常波へと切り替わり、第2の直線偏光成分128は、第1のビームディスプレーサ102における通常波から第2のビームディスプレーサ106における異常波へと切り替わる。信号シード108は、第2のビームディスプレーサ106において通常波のままである。一実施形態において、半波長遅延は、偏光を略90度回転させることを含み、1波長遅延は、偏光を略180度回転させることを含む。
【0021】
一実施形態において、二波長波長板104は、第1の材料及び第2の材料を含む。様々な実施形態において、第1の材料は石英を含み、第2の材料はサファイアを含む。既知の二波長波長板は、単一材料から構築され且つマルチオーダーであり、温度感度を示すとともに狭いスペクトル帯域幅を持つ。対照的に、理解されることには、二波長波長板104の複合材料設計は、これら上述の不備の双方を改善することになる。ここでは第1及び第2の材料を含むとして記載しているが、一部の実施形態において、波長板104は、単一の材料を含んでいてもよいし、複数の材料を含んでいてもよい。
【0022】
一実施形態において、二波長波長板104は、第1及び第2の材料を、それらの複屈折の熱誘起変化の係数d(n−n)/dTが符号において異なる結晶材料を選択することによって構成して含み得る。符号において異なる複屈折の熱誘起変化係数を持つとして選択された材料は、二波長波長板104の温度感度を低下させる。同様に、様々な実施形態において、二波長波長板104は、それらの複屈折における波長分散d(n−n)/dλが符号において異なる第1及び第2の材料を選択することによって構築されることができ、それは、二波長波長板104のスペクトル帯域幅を増大させる。
【0023】
図1を引き続き参照するに、一部の実施形態において、全体として100で指し示されているビームカプラは更に、入力端146及び出力端148を有する第2のビームディスプレーサ106を含むことができる。図1に示すように、二波長波長板104から第2のビームディスプレーサ106の入力端146に、ポンプビーム110の第2の直線偏光成分128、ポンプビーム110の第1の直線偏光成分126、及び信号シード108が送られる。様々な実施形態において、第2のビームディスプレーサ106は、異なる波長を持つ2つ以上のビームを受け取るように構成される。ここで説明するように、これは、980nmの波長を持つ非偏光ポンプビーム110の第1及び第2の直線偏光成分(126及び128)と、1530nmの波長を持つ直線偏光された信号シード108とを含むことができる。
【0024】
上述の第1のビームディスプレーサ102と同様に、第2のビームディスプレーサ106は、長さ、幅、高さ、及びウォークオフ角度によって規定される。例えば、第2のビームディスプレーサ106は、40mm×11mm×11mmの寸法を持った一軸ウォークオフ結晶ビームディスプレーサを含むことができる。しかしながら、第2のビームディスプレーサ106は、二軸ウォークオフ結晶ディスプレーサを含んでいてもよく、数多の他の構成が使用されてもよい。様々な実施形態において、第2のビームディスプレーサ106は、光学的に異方性の材料を含む材料で構成される。これは、例えば、ニュージャージー州ニュートンのThorlabs社から商業的に入手可能な方解石結晶を含み得る。従って、二波長波長板から第2のビームディスプレーサ106によって受け取られた第2の直線偏光成分128は、第2のウォークオフ角度でウォークオフされる。
【0025】
図1に示すように、第2のビームディスプレーサ106は、ポンプビーム110の第2の直線偏光成分128を空間的に平行移動させて、非偏光ポンプビーム110の第1及び第2の直線偏光成分(126及び128)を再結合させるとともに、非偏光ポンプビーム110を、第2のビームディスプレーサ106の出射部150で、直線偏光された信号シード108と同じ位置に置くように構成されることができる。図示のように、一例において、第2のビームディスプレーサ106は、第1のビームディスプレーサ102の入力端142で受け取られたポンプビーム110及び信号シード108のコリニアな伝播方向を保存する。様々な実施形態において、第2の直線偏光成分128の空間ビームプロファイルは、それが第2のビームディスプレーサ106中を伝播するにつれて、ますます平行移動されることになる。第2の直線偏光成分128は、非偏光ポンプビーム110の伝播方向(図1にゴースト線として示す)に対して第2のウォークオフ角度でウォークオフすることになる。例として、第2のウォークオフ角度を、角φとして図1に示す。第2の直線偏光成分128の第2のウォークオフ角度は、第2のビームディスプレーサ106の屈折率(すなわち、n、n、及び波面法線によって規定される角度)及び結晶光学軸の方位(130として図示)によって定められる。従って、第1の直線偏光成分126、第2の直線偏光成分128、及び直線偏光された信号シード108の平行移動は、それぞれのビームの偏光に依存することになる。幾つかの実施形態において、結晶光学軸は、第2のビームディスプレーサ106の第1入射部132、第2のビームディスプレーサ106の第2入射部134、及び第2のビームディスプレーサ106の出力端148における出射部150を含む平面内で角度付けられる。結晶光学軸の角度は、第2の直線偏光成分128のウォークオフ角度を最大化するように選定され得る。例えば、一実施形態において、第2のビームディスプレーサ106は、信号シード108の伝播方向に対して略45度の角度で傾けられた結晶光学軸を有する。従って、受け取られた直線偏光された信号シード108及び第1の直線偏光成分126は、第2のビームディスプレーサ106中を、横方向の変位なく伝播することになる。しかしながら、第2のビームディスプレーサ106における第2の直線偏光成分128の偏光(すなわち、異常偏光)の結果として、非偏光ポンプビーム110の第2の直線偏光成分128は、それが第2のビームディスプレーサ106中を進むにつれてウォークオフされる。
【0026】
図1に示すように、一部の実施形態において、第2のビームディスプレーサ106の結晶光学軸は、第1のビームディスプレーサ102の結晶光学軸に対して実質的に平行とし得る。例えば、第1のビームディスプレーサ102は、第2のビームディスプレーサ106と同じ結晶材料で構成されることができ、第1の結晶光学軸の方位(118として示す)は、第2の結晶光学軸の方位(130として示す)と同じとし得る。これらの実施形態において、第1のウォークオフ角度θは、第2のウォークオフ角度φに実質的に等しい。
【0027】
図1を引き続き参照するに、一実施形態において、同じ位置に置かれた信号シード108及び第1の直線偏光成分126は、第2のビームディスプレーサ106の第1入射部132で受け取られる。第2の直線偏光成分128は、第2の直線偏光成分128のウォークオフ方向とは反対向きに第1入射部132から距離136だけ離隔された第2のビームディスプレーサ106の第2入射部134で受け取られる。様々な実施形態において、第1入射部132と第2入射部134との間の距離136は、第2のビームディスプレーサ106の長さとウォークオフ角度φとによって定められる。例えば、第2のビームディスプレーサが方解石からなり、結晶光学軸が最大ウォークオフ角度に合わせて向けられ、そして、第2のビームディスプレーサ106の長さが40mmである場合、第1入射部132と第2入射部134との間の距離136は略4.2mmである。従って、一実施形態において、既知のウォークオフ角度を有する第2のビームディスプレーサ106の長さは、非偏光ポンプビーム110の第1及び第2の直線偏光成分(126及び128)を再結合させるとともに、非偏光ポンプビーム110を、第2のビームディスプレーサ106の出射部150で、直線偏光された信号シード108と同じ位置に置くように変えられ得る。第2のビームディスプレーサ106の長さを変えることは、出射部150における第2の直線偏光成分128の横方向の変位を比例的に増加又は減少させる。
【0028】
一部の実施形態において、第2のビームディスプレーサ106の出射部で直線偏光された信号シード108と同じ位置に置かれた、非偏光ポンプビーム110の再結合された第1及び第2の直線偏光成分(126及び128)が、第2のビームディスプレーサ106の出力端148から送出される。様々な実施形態において、これは、例えば平面導波路(PWG)152などの光増幅器に送ることを含むことができる。結合されたポンプ光及び信号光を導波路増幅器の中に集めるために、1つ以上のレンズを有するレンズ系140が使用され得る。
【0029】
次に図2を参照するに、一実施形態に従ったビームカプラの更なる一例のブロック図が示されている。全体として200で指し示されているビームカプラは、第1のビームディスプレーサ202と、二波長波長板204と、第2のビームディスプレーサ206とを含むことができる。様々な実施形態において、ビームカプラ200は、第1の波長を持つ直線偏光された信号シード(“信号シード”)208と、第2の波長を持つ非偏光ポンプビーム(“ポンプビーム”)210とを受け取るように構成される。図2に示すように、信号シード208は、インジケータ220によって表される方向の直線偏光を有し、ポンプビーム210は、インジケータ222によって表される第1方向の第1の直線偏光と、インジケータ224によって表される第2方向の第2の直線偏光とを有する。図2において、図1においてのように、第1の直線偏光は、ポンプビーム210の第1の直線偏光成分226の偏光を表し、第2の直線偏光は、ポンプビーム210の第2の直線偏光成分228の偏光を表している。様々な実施形態において、直線偏光された信号シード208は1530nmの波長を持ち、非偏光ポンプビーム210は980nmの波長を持つ。従って、第1の直線偏光成分226及び第2の直線偏光成分228は、980nmの波長を持ち得る。ここでは1530nm及び980nmの波長で受け取られるとして記載されるが、様々な実施形態において、直線偏光された信号シード208及び非偏光ポンプビーム210は、科学的、産業的、医学的、及び軍事的な使命又は用途で従来から使用されているような何らかの他の波長で受け取られてもよい。
【0030】
様々な実施形態において、非偏光ポンプビーム210及び直線偏光された信号シード208は、第1のビームディスプレーサ202の入力端で受け取られることができる。第1のビームディスプレーサ202は、長さ、幅、高さ、及びウォークオフ角度によって規定される。例えば、第1のビームディスプレーサ202は、40mm×11mm×11mmの寸法を持った一軸ウォークオフ結晶ディスプレーサを含むことができる。しかしながら、第1のビームディスプレーサ202は、二軸ウォークオフ結晶ディスプレーサを含んでいてもよく、数多の他の構成が使用されてもよい。様々な実施形態において、第1のビームディスプレーサ202は、光学的に異方性の材料を含む材料で構成される。これは、例えば、ニュージャージー州ニュートンのThorlabs社から商業的に入手可能な方解石結晶を含み得る。従って、第1のビームディスプレーサ202によって受け取られた非偏光ポンプビーム210は、偏光によって、第1の直線偏光成分226及び第2の直線偏光成分228という2つの直線偏光成分へとスプリットされる。第1のビームディスプレーサ202は、第1の直線偏光成分226が第1のビームディスプレーサ202における通常波を含み、第2の直線偏光成分228が第1のビームディスプレーサ202における異常波を含むように構成されることができる。第2の直線偏光成分228の空間ビームプロファイルは、それがビームディスプレーサ結晶中を伝播するにつれて、ますます平行移動することになる。第1の直線偏光成分226の空間ビームプロファイルは、平行移動せずに、第1のビームディスプレーサ202中を真っ直ぐに伝播することになる。結果として、偏光成分226と228とが空間的に分離されることになる。一実施形態において、直線偏光された信号シード208は、第1のビームディスプレーサ202における異常波を含み、故に、それが第1のビームディスプレーサ202中を伝播するにつれて、ますます平行移動することになる。
【0031】
図2に示すように、第1のビームディスプレーサ202は、ポンプビーム210の第2の直線偏光成分228を空間的に平行移動させるように構成されることができる。第1のビームディスプレーサ202はまた、直線偏光された信号シード208を平行移動させて、信号シード208を第1の直線偏光成分226と同じ位置に置くように構成され得る。一実施形態において、第1の直線偏光成分226及び信号シード208は、第1のビームディスプレーサ202の出射部で、同じ位置に置かれる。様々な実施形態において、第2の直線偏光成分228のビームウォークオフは、第1の直線偏光成分226の伝播方向に対して第1のウォークオフ角度にある。例として、第2の直線偏光成分228の第1のウォークオフ角度を、角γとして図2に示す。同様に、信号シード208のビームウォークオフは、第1のビームディスプレーサ202で受け取られたときの信号シードの伝播方向(ゴースト線として示す)に対して或るウォークオフ角度にある。例として、この角度を、角ζとして図2に示す。第1の直線偏光成分226は、第1のビームディスプレーサ202中を、横方向の変位なく伝播する。
【0032】
第2の直線偏光成分228の第1のウォークオフ角度は、第1のビームディスプレーサ202の屈折率(すなわち、n、n、及び波面法線によって規定される角度)及び結晶光学軸の方位(218として図示)によって定められる。従って、第1の直線偏光成分226、第2の直線偏光成分228、及び直線偏光された信号シード208の平行移動は、特定のビームの偏光に依存することになる。幾つかの実施形態において、結晶光学軸は、第1のビームディスプレーサ202の長さに延在し且つ第1のビームディスプレーサ202の第1入射部212及び第1のビームディスプレーサ202の第2入射部214を含む平面に対して角度付けられる。結晶光学軸の角度は、第2の直線偏光成分228及び直線偏光された信号シード208のウォークオフ角度を最大化するように選定され得る。
【0033】
例えば、一実施形態において、第1のビームディスプレーサ202は、第1の直線偏光成分226の伝播方向に対して略45度の角度で傾けられた結晶光学軸を有する。従って、第1の直線偏光成分226は、第1のビームディスプレーサ202中を、横方向の変位なく伝播することになる。しかしながら、第2の直線偏光成分228及び信号シード208の偏光(すなわち、異常偏光)の結果として、非偏光ポンプビーム210の第2の直線偏光成分228及び直線偏光された信号シード208は、それらが第1のビームディスプレーサ202中を進むにつれてウォークオフされる。
【0034】
図2を引き続き参照するに、一実施形態において、信号シード208は、第1のビームディスプレーサ202の第1入射部212で受け取られ、非偏光ポンプビーム210は、第2の直線偏光成分228のウォークオフ方向とは反対向きに第1入射部212から距離216だけ離隔された第1のビームディスプレーサ202の第2入射部214で受け取られる。様々な実施形態において、第1入射部212と第2入射部214との間の距離216は、第1のビームディスプレーサ202の長さとウォークオフ角度とによって定められる。更なる実施形態において、第1のビームディスプレーサ202は、ビームサイズ及びビームダイバージェンスに基づいて選定され得る。例えば、第1のビームディスプレーサ202の長さが40mmであり、第1のビームディスプレーサ202の材料が方解石である場合、第1入射部212と第2入射部214との間の距離216は4.2mmである。従って、一実施形態において、既知のウォークオフ角度を有する第1のビームディスプレーサの長さは、ポンプビーム210の第1の直線偏光成分226と信号シード208とを同じ位置に置くように変えられ得る。第1のビームディスプレーサ202の長さを変えることは、第2の直線偏光成分228及び信号シード208の横方向の変位を比例的に増加又は減少させる。
【0035】
図2に示すように、第2の直線偏光成分228、第1の直線偏光成分226、及び信号シード208は、図1を参照して上述した例と同様に、第1のビームディスプレーサ202の出力端から二波長波長板204へと送られる。様々な実施形態において、二波長波長板204は、第1の直線偏光成分226、第2の直線偏光成分228、及び信号シード208の各々の偏光を回転させるように構成される。これは、上述のように、信号シード208に対する半波長遅延と、ポンプビーム(すなわち、第1及び第2の直線偏光成分)に対する1波長遅延とを作り出すことを含むことができる。一実施形態において、半波長遅延は、偏光を略90度回転させることを含み、1波長遅延は、偏光を略180度回転させることを含む。ポンプビーム偏光成分(第1の直線偏光成分226及び第2の直線偏光成分228)は、同じ偏光状態のままであり、一方、信号シード208は偏光状態をスイッチする。従って、信号シード208は、第1のビームディスプレーサ202における異常波から第2のビームディスプレーサ206における通常波へと切り替わる。第1の直線偏光成分226は、第2のビームディスプレーサ206において通常波のままであり、第2の直線偏光成分228は、第2のビームディスプレーサ206において異常波のままである。
【0036】
図1に示した二波長波長板104を参照して上述したように、一部の実施形態において、二波長波長板204は、第1の材料及び第2の材料を含む。ここでは第1及び第2の材料を含むとして記載しているが、一部の実施形態において、波長板204は、単一の材料を含んでいてもよいし、3つ以上を含め、複数の材料を含んでいてもよい。一実施形態において、二波長波長板204は、第1及び第2の材料を、それらの複屈折の熱誘起変化の係数d(n−n)/dTが符号において異なる結晶材料を選択することによって構成して含み得る。符号において異なる複屈折の熱誘起変化係数を持つとして選択された材料は、二波長波長板204の温度感度を低下させる。同様に、様々な実施形態において、二波長波長板は、それらの複屈折における波長分散d(n−n)/dλが符号において異なる第1及び第2の材料を選択することによって構築されることができ、それは、二波長波長板204のスペクトル帯域幅を増大させる。
【0037】
図2を引き続き参照するに、一部の実施形態において、全体として200で指し示されているビームカプラは更に、入力端及び出力端を有する第2のビームディスプレーサ206を含む。図2に示すように、二波長波長板204から第2のビームディスプレーサ206の入力端に、第2の直線偏光成分228、第1の直線偏光成分226、及び信号シード208が送られる。上述の第1のビームディスプレーサ202と同様に、第2のビームディスプレーサ206は、長さ、幅、高さ、及びウォークオフ角度によって規定される。例えば、第2のビームディスプレーサ206は、40mm×11mm×11mmの寸法を持った一軸ウォークオフ結晶ディスプレーサを含むことができる。しかしながら、第2のビームディスプレーサ206は、二軸ウォークオフ結晶ディスプレーサを含んでいてもよく、数多の他のサイズが使用されてもよい。様々な実施形態において、第2のビームディスプレーサ206は、光学的に異方性の材料を含む。これは、例えば、ニュージャージー州ニュートンのThorlabs社から商業的に入手可能な方解石結晶を含み得る。従って、二波長波長板から受け取られた第2の直線偏光成分228は、第2のウォークオフ角度でウォークオフされる。
【0038】
図2に示すように、第2のビームディスプレーサ206は、ポンプビーム210の第2の直線偏光成分228を空間的に平行移動させて、第1及び第2の直線偏光成分(226及び228)を再結合させるとともに、非偏光ポンプビーム210を、第2のビームディスプレーサ206の出射部で、直線偏光された信号シード208と同じ位置に置くように構成されることができる。様々な実施形態において、第2の直線偏光成分228の空間ビームプロファイルは、それが第2のビームディスプレーサ206中を伝播するにつれて、ますます平行移動されることになる。第2の偏光成分は、第2のビームディスプレーサ206の入力端で受け取られた第2の直線偏光成分228の伝播(図2にゴースト線として示す)に対して第2のウォークオフ角度でウォークオフされ得る。例として、第2のウォークオフ角度を、角δとして図2に示す。第2の直線偏光成分228の第2のウォークオフ角度は、第2のビームディスプレーサ206の屈折率(すなわち、n、n、及び波面法線によって規定される角度)及び結晶光学軸の向き(230として図示)によって定められ得る。従って、第1の直線偏光成分226、第2の直線偏光成分228、及び直線偏光された信号シード208の平行移動は、特定のビームの偏光に依存することになる。幾つかの実施形態において、結晶光学軸は、第2のビームディスプレーサ206の長さに延在し且つ第2のビームディスプレーサ206の第1入射部232及び第2のビームディスプレーサ206の第2入射部234を含む平面に対して角度付けられる。
【0039】
例えば、一実施形態において、第2のビームディスプレーサ206は、信号シード208の伝播方向に対して略45度の角度で傾けられた結晶光学軸を有する。従って、受け取られた直線偏光された信号シード208及び第1の直線偏光成分226は、第2のビームディスプレーサ206中を、横方向の変位なく伝播することになる。しかしながら、非偏光ポンプビーム210の第2の直線偏光成分228は、それが第2のビームディスプレーサ中を進むにつれてウォークオフされる。
【0040】
図2を参照するに、矢印230によって指し示される向きの方位を持つ結晶光学軸を含むとして示されている。図2に示すように、一部の実施形態において、第2のビームディスプレーサ206の結晶光学軸は、第1のビームディスプレーサ202の結晶光学軸に対して実質的に直交するとし得る。一部の実施形態において、第1のビームディスプレーサ202は、第2のビームディスプレーサ206と同じ結晶材料で構成されることができ、第1の結晶光学軸の方位は、第2の結晶光学軸の方位130と同じとし得る。これらの実施形態において、ウォークオフ角度γ、ζ、及びδは全て、大きさにおいて略等しい(しかし、符号においてはそうでない)。
【0041】
図2を引き続き参照するに、一実施形態において、信号シード208及び同じ位置に置かれた第1の直線偏光成分226は、第2のビームディスプレーサ206の第1入射部232で受け取られ、ポンプビーム210の第2の直線偏光成分228は、第2の直線偏光成分228のウォークオフ方向とは反対向きに第1入射部232から距離236だけ離隔された第2のビームディスプレーサ206の第2入射部234で受け取られる。様々な実施形態において、第1入射部232と第2入射部234との間の距離は、第2のビームディスプレーサ206の長さとウォークオフ角度とによって定められる。例えば、第2のビームディスプレーサ206が方解石からなり、結晶光学軸が最大ウォークオフ角度に合わせて向けられ、そして、第2のビームディスプレーサ206の長さが40mmである場合、第1入射部と第2入射部との間の距離は略4.2mmになる。従って、一実施形態において、既知のウォークオフ角度を有する第2のビームディスプレーサ206の長さは、非偏光ポンプビーム210の第1及び第2の直線偏光成分(226及び228)を再結合させるとともに、非偏光ポンプビーム210を、第2のビームディスプレーサ206の出射部で、直線偏光された信号シード208と同じ位置に置くように変えられ得る。第2のビームディスプレーサ206の長さを変えることは、第2の直線偏光成分228の横方向の変位を比例的に増加又は減少させる。
【0042】
一部の実施形態において、第2のビームディスプレーサ206の出射部で直線偏光された信号シード208と同じ位置に置かれた、非偏光ポンプビーム210の再結合された第1及び第2の直線偏光成分(226及び228)が、第2のビームディスプレーサ206の出力端から送出される。様々な実施形態において、これは、例えばPWG238などの光増幅器に送ることを含むことができる。結合されたポンプ光及び信号光を導波路増幅器の中に集めるために、例えば図1に示したレンズ系140などの1つ以上のレンズが使用され得る。
【0043】
図1及び2を参照して上述したように、一部の実施形態は、非偏光ポンプビームと直線偏光された信号シードとを同じ位置に置くプロセスを実行する。一部の実施形態において、これらのプロセスは、例えば図1を参照して上述したビームカプラ100又は図2を参照して上述したビームカプラ200などのビームカプラによって実行される。このような処理の一例を図3に示す。この例によれば、プロセス300は、信号シード及びポンプビームを伝播させるアクトと、ポンプビームを第1の直線偏光成分と第2の直線偏光成分とに空間的に分離するアクトと、第1の直線偏光成分及び第2の直線偏光成分の偏光を回転させるアクトと、信号シードの偏光を回転させるアクトと、第1及び第2の直線偏光成分を再結合させ、ポンプビームを信号シードと同じ位置に置くアクトとを含んでいる。
【0044】
アクト302にて、このプロセスは、第1の波長にある直線偏光された信号シード(“信号シード”)と、第2の波長にある非偏光ポンプビーム(“ポンプビーム”)とを、第1のビームディスプレーサ中で伝播させることを含むことができる。上述のように、様々な実施形態において、信号シードは、第1の方向の直線偏光を有し、ポンプビームは、第1の方向の第1の直線偏光と、第2の方向の第2の直線偏光とを有する。第1の直線偏光は、ポンプビームの第1の直線偏光成分の偏光を表し、第2の直線偏光は、ポンプビームの第2の直線偏光の偏光を表す。また、様々な実施形態において、直線偏光された信号シードは1530nmの波長を持ち、非偏光ポンプビームは980nmの波長を持つが、上述のように、様々なその他の波長が使用されてもよい。様々な実施形態において、このプロセスは更に、例えば図1を参照して上述したビームディスプレーサ102又は図2を参照して上述したビームディスプレーサ202などの第1のビームディスプレーサの入力端で、伝えられた非偏光ポンプビーム及び直線偏光された信号シードを受け取ることを含む。
【0045】
アクト304にて、このプロセスは、第1のビームディスプレーサ中での非偏光ポンプビームの伝播中に、非偏光ポンプビームを第1の直線偏光成分と第2の直線偏光成分とに空間的に分離して、第1のビームディスプレーサの出力端で、第1の直線偏光成分を直線偏光された信号シードと同じ位置におくことを含むことができる。一実施形態において、第1の直線偏光成分及び信号シードは、第1のビームディスプレーサの出射部で同じ位置に置かれる。様々な実施形態において、これは、第2の直線偏光成分の伝播方向に対して或るウォークオフ角度で、第1の直線偏光成分を次第に平行移動させることを含む。他の実施形態において、これは、第1の直線偏光成分の伝播方向に対して或るウォークオフ角度で、第2の直線偏光成分を次第に平行移動させることと、第1のビームディスプレーサで受け取られたときの信号シードの伝播方向に対して或るウォークオフ角度で、直線偏光された信号シードを次第に平行移動させることとを含み得る。従って、第1の直線偏光成分、第2の直線偏光成分、又は直線偏光された信号シードが、それぞれの成分又はシードの空間ビームプロファイルが第1のビームディスプレーサを通って伝播するにつれてウォークオフされ得る。
【0046】
図1及び2を参照して上述したように、第1の直線偏光成分、第2の直線偏光成分、又は信号シードのウォークオフ角度は、第1のビームディスプレーサの屈折率及び結晶光学軸の方位によって定められ得る。例えば、一実施形態において、第1のビームディスプレーサは、信号シードの伝播方向に対して略45度の角度で傾けられた結晶光学軸を有する。従って、受け取られた直線偏光された信号シードは、(通常波として偏光されたとき)第1のビームディスプレーサ中を横方向への変位なく伝播することになる。同様に、非偏光ポンプビームの第2の直線偏光成分は、(通常波として偏光されたとき)第1のビームディスプレーサ中を横方向への変位なく伝播することになる。しかしながら、第1の直線偏光成分の偏光(すなわち、異常偏光)の結果として、非偏光ポンプビームの第1の直線偏光成分はウォークオフされる。他の実施形態において、第1のビームディスプレーサは、ポンプビームの第1の直線偏光成分の伝播方向に対して略45度の角度で傾けられた結晶光学軸を有する(異常波として偏光される)。従って、第1の直線偏光成分は、第1のビームディスプレーサ中を横方向への変位なく伝播することになる。しかしながら、第2の直線偏光成分及び信号シードの偏光の結果として、非偏光ポンプビームの第2の直線偏光成分及び直線偏光された信号シードはウォークオフされる。様々な実施形態において、このプロセスはまた、ポンプビームの第2の直線偏光成分、ポンプビームの第1の直線偏光成分、及び信号シードを、第1のビームディスプレーサの出力端から二波長波長板に送ることを含み得る。
【0047】
アクト306にて、このプロセスは、第1の直線偏光成分の偏光及び第2の直線偏光成分の偏光を第1の量だけ回転させることを含むことができる。アクト308にて、このプロセスは、直線偏光された信号シードの偏光を第2の量だけ回転させることを含むことができる。様々な実施形態において、二波長波長板は、第1の直線偏光成分、第2の直線偏光成分、及び信号シードの各々の偏光を回転させるように構成される。これは、ポンプビーム(すなわち、第1及び第2の直線偏光成分)に対する半波長遅延と、信号シードに対する1波長遅延とを作り出すことを含むことができる。これは、それに代えて、信号シードに対する半波長遅延と、ポンプビームに対する1波長遅延とを作り出すことを含んでもよい。一実施形態において、半波長遅延は、偏光を略90度回転させることを含み、1波長遅延は、偏光を略180度回転させることを含む。結果として、ポンプビーム偏光成分(第1の直線偏光成分及び第2の直線偏光成分)及び信号シードは、偏光状態を“スイッチ”するか、又は同じ状態のままであるかであるとし得る。一部の実施形態において、このプロセスは、ポンプビームの第2の直線偏光成分、ポンプビームの第1の直線偏光成分、及び信号シードを、二波長波長板から第2のビームディスプレーサに送ることを含み得る。
【0048】
アクト310にて、このプロセスは、第2のビームディスプレーサ中での第1及び第2の直線偏光成分の伝播中に、第1及び第2の直線偏光成分を空間的に再結合させ、第2のビームディスプレーサの出力端で、非偏光ポンプビームを直線偏光された信号シードと同じ位置に置くことを含むことができる。様々な実施形態において、これは、第1の直線偏光成分の伝播方向に対して第2のウォークオフ角度で、第2の直線偏光成分を次第に平行移動させることを含む。他の実施形態において、これは、第2のビームディスプレーサの入力端で受け取られた第2の直線偏光成分の伝播方向に対して第2のウォークオフ角度で、第2の直線偏光成分を次第に平行移動させることを含むことができる。第2の直線偏光成分の第2のウォークオフ角度は、第2のビームディスプレーサの屈折率及び結晶光学軸によって定められ得る。様々な実施形態において、第2のビームディスプレーサは、直線偏光された信号シードの偏光に垂直な平面内で、信号シードの伝播方向に対して略45度の角度で傾けられた結晶光学軸を有する。従って、受け取られた直線偏光された信号シード及び第1の直線偏光成分は、第2のビームディスプレーサ中を横方向への変位なく伝播することになる。しかしながら、第2の直線偏光成分の偏光の結果として、非偏光ポンプビームの第2の直線偏光成分はウォークオフされる。
【0049】
一部の実施形態において、第2のビームディスプレーサの出射部で直線偏光された信号シードと同じ位置に置かれた、非偏光ポンプビームの再結合された第1及び第2の直線偏光成分が、第2のビームディスプレーサの出力端から送出される。様々な実施形態において、これは、1つ以上のレンズを通して、例えばPWGなどの光増幅器に送ることを含むことができる。
【0050】
故に、態様及び実施形態は、ダイクロイックミラーの使用を必要とすることなく偏光ビーム及び非偏光ビーム(例えば、特定の実施形態において、信号シード及びポンプビームなど)を同じ位置に置くビームカプラ、及びそのようなビームカプラの使用を伴う方法を提供する。ダイクロイックミラーの代わりに、上述のように、二波長波長板と組み合わされた一対のビームディスプレーサを使用して、ビームカプラの出力で同じ位置となるように、ビームを空間的に変位させることができる。当業者によって理解されることになるように、本開示の恩恵を所与として、ビームディスプレーサの寸法及び/又は材料を、例えば出力でのこれら2つのビームの同位置配置を達成するように、信号ビーム及びポンプビームの波長に応じて選定し得る。
【0051】
少なくとも1つの例の幾つかの態様を斯くして述べてきたが、理解されるべきことには、当業者には様々な改変、変更、及び改良が容易に浮かぶであろう。例えば、ここに開示された例は、他の状況でも使用され得る。そのような改変、変更、及び改良は、この開示の一部であることが意図され、また、ここに記載された例の範囲内であることが意図される。従って、以上の説明及び図面は単に例によるものである。
【要約】
ビームカップリングのための方法及び装置。一例において、ビームカプラは、第1の波長を持つ直線偏光された信号シードと、第2の波長を持つ非偏光ポンプビームとを受け取るように構成された第1のビームディスプレーサであり、非偏光ポンプビームは、第1及び第2の直線偏光成分を含み、当該第1のビームディスプレーサは更に、第1の直線偏光成分を直線偏光された信号シードと同じ位置に置くように、第1の直線偏光成分を空間的に平行移動させるように構成される、第1のビームディスプレーサと、第2の直線偏光成分を空間的に平行移動させて、非偏光ポンプビームの第1及び第2の直線偏光成分を再結合させるとともに、非偏光ポンプビームを直線偏光された信号シードと同じ位置に置くように構成された第2のビームディスプレーサと、第1のビームディスプレーサと第2のビームディスプレーサとの間に介在され、第1の直線偏光成分、第2の直線偏光成分、及び直線偏光された信号シードの各々の偏光を回転させるように構成された二波長波長板とを含む。
図1
図2
図3