(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385636
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】植物栽培施設における細霧冷房方法及び細霧冷房システム
(51)【国際特許分類】
A01G 7/00 20060101AFI20180827BHJP
A01G 9/18 20060101ALI20180827BHJP
A01G 9/24 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
A01G7/00 601Z
A01G9/18
A01G9/24 X
A01G9/24 Z
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-161041(P2012-161041)
(22)【出願日】2012年7月20日
(65)【公開番号】特開2014-18158(P2014-18158A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2015年6月8日
【審判番号】不服2017-3830(P2017-3830/J1)
【審判請求日】2017年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】久保 啓治
(72)【発明者】
【氏名】下山 真人
(72)【発明者】
【氏名】坂本 滋
(72)【発明者】
【氏名】賀来 貴彦
【合議体】
【審判長】
小野 忠悦
【審判官】
西田 秀彦
【審判官】
住田 秀弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−341919号公報
【文献】
特開2003−79254号公報
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/24,7/00,7/02,9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細霧を噴出するノズルと、炭酸ガスボンベから炭酸ガスを前記ノズルに供給するガス経路と、圧縮空気をノズルに供給する空気経路と、前記ガス経路と前記空気経路のうち何れか一方を前記ノズルに接続して前記炭酸ガスまたは前記圧縮空気を前記ノズルに供給し得るように切り替え得る切替手段と、水を前記ノズルに供給する水経路と、前記水経路を開閉する開閉手段とを有した噴霧装置と、植物栽培施設の室内における炭酸ガスの濃度を検出する濃度検出手段と、前記室内の温度を検出する温度検出手段とを備えた細霧冷房システムを用いる細霧冷房方法であって、
前記温度検出手段により前記室内の温度が温度所定値を越えたことを検出した場合、前記開閉手段が開放され、前記濃度検出手段により検出された炭酸ガス濃度に応じて、前記切替手段により、供給する流体を切り替えて、炭酸ガス流または空気流に乗せて二流体細霧を前記ノズルから前記室内に噴出し、
前記温度検出手段により検出した前記室内の温度が温度所定値よりも低く、かつ前記炭酸ガスの濃度が濃度設定値より低い場合には、前記開閉手段が閉じられることにより、前記水経路からの水供給を停止させ、前記切替手段により、前記ノズルから炭酸ガスのみを供給することを特徴とする植物栽培施設における細霧冷房方法。
【請求項2】
細霧を噴出するノズルと、炭酸ガスボンベから炭酸ガスを前記ノズルに供給するガス経路と、圧縮空気をノズルに供給する空気経路と、前記ガス経路と前記空気経路のうち何れか一方を前記ノズルに接続して前記炭酸ガスまたは前記圧縮空気を前記ノズルに供給し得るように切り替え得る切替手段と、水を前記ノズルに供給する水経路と、前記水経路を開閉する開閉手段とを有した噴霧装置と、植物栽培施設の室内における炭酸ガスの濃度を検出する濃度検出手段と、前記室内の温度を検出する温度検出手段とを備え、
前記温度検出手段により前記室内の温度が温度所定値を越えたことを検出した場合、前記開閉手段が開放され、前記切替手段は、前記濃度検出手段により検出された炭酸ガス濃度に応じて、供給する流体を切り替えて、炭酸ガス流または空気流に乗せて二流体細霧を前記ノズルから前記室内に噴出し、
前記温度検出手段により検出した前記室内の温度が温度所定値よりも低く、かつ前記炭酸ガスの濃度が濃度設定値より低い場合には、前記開閉手段が閉じられることにより、前
記水経路からの水供給を停止させ、前記切替手段により、前記ノズルから炭酸ガスのみを供給することを特徴とする植物栽培施設における細霧冷房システム。
【請求項3】
前記圧縮空気は圧縮機から供給されるものであることを特徴とする請求項2に記載の植物栽培施設における細霧冷房システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物工場やビニールハウス等の植物栽培施設において、細霧冷房を行う方法及びシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、太陽光型植物工場においては、夏季等における高温を原因とする根腐れや雑菌繁殖等を防ぐために、室内の昇温を防止して所定温度(例えば摂氏25度)に維持することが行なわれる。このための方法として、天窓を開放して外気を導入したり、室内の空気を循環扇によって攪拌したり、寒冷紗を用いて遮光したり、地下水を利用する冷却装置やヒートポンプ等の空調装置によって冷却したり、あるいは細霧による蒸発冷却法を利用したりしている。
【0003】
天窓を開放する場合は、外気と内気とを入れ換えることはできるが、導入する外気と室内の空気との間に温度差がないと、十分な昇温防止を行うことができない。また、循環扇による空気攪拌や寒冷紗による遮光だけで、昇温を有効に防止することは難しい。地下水を利用する場合は、地下水はそれほど低温ではないため、地下水を多量に汲み上げることが必要となり、このため汲み上げ規制の問題や大量汲み上げのための電力消費量の問題からあまり利用されていない。一方、ヒートポンプ等の空調装置は、前記と同様に電力消費量の問題から小規模施設等の特殊条件を除いて利用に不向きである。
【0004】
そこで、蒸発冷却法が有利となり、潜熱(気化熱)による冷却効果を利用した細霧冷房が普及しつつある。
特許文献1においては、植物工場やビニールハウス等の冷房として、水をポンプによって細霧ノズルに送って細霧ノズルから室内に噴霧することにより、潜熱による冷却効果を利用して室内の温度を下げるということが開示されている。
【0005】
また、特許文献2においては、植物育成装置のキャビネット本体に細霧供給口と炭酸ガス供給口とを設けて細霧と炭酸ガスとを同時に供給するということが記載されている(例えば、図面の
図3や発明の詳細な説明の段落番号〔0041〕)。このため、特許文献2においては、細霧による冷房に加えて、光合成を活発化させて生育を促すための炭酸ガス施用を同時に実行できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−51190号公報
【特許文献2】特開2003−79254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1においては、サーモグラフィによって植物の葉の温度を検出して、細霧の吐出量を管理するようになっているが、細霧は供給水圧によって細霧ノズルから吐出されることにより形成される。このため、細霧は、水分量が多くなるいわゆる一流体細霧で、その細霧の粒径が通常20μm以上になる。従って、細霧が水滴化して植物に付着し、植物に変色斑等が生じて植物の商品価値を下げたり、室内湿度が過度に上昇して、高温多湿によるカビ、病害等の原因になったりするおそれがあった。
【0008】
また、特許文献2においては、冷房と炭酸ガス施用とを同時に行うことができる。しかし、超音波ミスト発生装置による細霧の供給と炭酸ガスボンベによる炭酸ガスの供給とが別系統で行われるため、構成が複雑になる問題があった。なお、特許文献2の発明の詳細な説明の段落番号〔0041〕には、ミスト供給口を炭酸ガスの供給ラインに合流させる旨の記載があるが、これは、単に細霧と炭酸ガスの供給口を兼用するのみで、超音波ミスト発生装置や炭酸ガスボンベが省略されるものではない。
【0009】
本発明の目的は、冷房機能と炭酸ガス施用機能とを簡単な構成で実現できるとともに、結露等の不都合を未然に防止できる植物栽培施設の細霧冷房方法及び細霧冷房システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明にかかる植物栽培施設の細霧冷房方法は、細霧を噴出するノズルと、炭酸ガスボンベから炭酸ガスを前記ノズルに供給するガス経路と、圧縮空気をノズルに供給する空気経路と、前記ガス経路と前記空気経路のうち何れか一方を前記ノズルに接続して前記炭酸ガスまたは前記圧縮空気を前記ノズルに供給し得るように切り替え得る切替手段と、水を前記ノズルに供給する水経路
と、前記水経路を開閉する開閉手段とを有した噴霧装置と、植物栽培施設の室内における炭酸ガスの濃度を検出する濃度検出手段と、前記室内の温度を検出する温度検出手段とを備えた細霧冷房システムを用いる細霧冷房方法であって、前記温度検出手段により前記室内の温度が温度所定値を越えたことを検出した場合、前記
開閉手段が開放され、前記濃度検出手段により検出された炭酸ガス濃度に応じて、
前記切替手段により、供給する流体を切り替えて、炭酸ガス流または空気流に乗せて二流体細霧を前記ノズルから前記室内に噴出し、前記温度検出手段により検出した前記室内の温度が温度所定値よりも低く、かつ前記炭酸ガスの濃度が濃度設定値より低い場合には、
前記開閉手段が閉じられることにより、前記水経路からの水供給を停止させ
、前記切替手段により、前記ノズルから炭酸ガスのみを供給することを特徴とする。
【0011】
従って、植物栽培施設において冷房と炭酸ガス施用とを同時に行うことが可能になるばかりではなく、細霧供給装置を簡略化することができる
。
【0012】
また、本発明にかかる植物栽培施設の細霧冷房システムは、細霧を噴出するノズルと、炭酸ガスボンベから炭酸ガスを前記ノズルに供給するガス経路と、圧縮空気をノズルに供給する空気経路と、前記ガス経路と前記空気経路のうち何れか一方を前記ノズルに接続して前記炭酸ガスまたは前記圧縮空気を前記ノズルに供給し得るように切り替え得る切替手段と、水を前記ノズルに供給する水経路と
、前記水経路を開閉する開閉手段とを有した噴霧装置と、植物栽培施設の室内における炭酸ガスの濃度を検出する濃度検出手段と、前記室内の温度を検出する温度検出手段とを備え
、前記温度検出手段により前記室内の温度が温度所定値を越えたことを検出した場合、
前記開閉手段が開放され、前記切替手段は、前記濃度検出手段により検出された炭酸ガス濃度に応じて、供給する流体を切り替えて、炭酸ガス流または空気流に乗せて二流体細霧を前記ノズルから前記室内に噴出し、前記温度検出手段により検出した前記室内の温度が温度所定値よりも低く、かつ前記炭酸ガスの濃度が濃度設定値より低い場合には、
前記開閉手段が閉じられることにより、前記水経路からの水供給を停止させ
、前記切替手段により、前記ノズルから炭酸ガスのみを供給することを特徴とする。
【0013】
従って、植物栽培施設において冷房と炭酸ガス施用とを同時に行うことができるばかりではなく、細霧供給装置を簡略化することができ
る。
【0014】
前記圧縮空気は圧縮機から供給されるものであることが好まし
い。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明にかかる植物栽培施設の細霧冷房方法及び細霧冷房システムによれば、冷房機能と炭酸ガス施用機能とを簡単な構成で実現できるとともに、結露等の不都合を未然に防止できるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1,2実施形態にかかる植物栽培施設の細霧冷房システム図。
【
図2】(a)は第1実施形態にかかる細霧冷房システムの噴霧回路図であり、(b)は同じく電気回路図である。
【
図3】(a)は第2実施形態にかかる細霧冷房システムの噴霧回路図であり、(b)は同じく電気回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を具体化した第1実施形態を
図1及び
図2に従って説明する。
図1に示すように、植物工場やビニールハウス等の植物栽培施設1において、同施設1の室内の下部には水耕栽培等の植物栽培棚2が設けられている。前記室内または室外には炭酸ガスを貯蔵した炭酸ガスボンベ3が設置されている。室内の上部には噴霧装置4が植物栽培棚2に面して配設され、その植物栽培棚2と噴霧装置4との間には、室内気温を検出するための温度センサ6(温度検出手段)が設けられている。噴霧装置4の下側には複数のノズル7が植物栽培棚2に沿って並設されている。
【0019】
図2(a)に示すように、噴霧装置4は、炭酸ガスボンベ3から圧縮炭酸ガスを各ノズル7に供給するガス経路8と、水道水(以下、単に水という)Wを各ノズル7に供給する水経路9とを有している。ガス経路8において、炭酸ガスボンベ3は開閉弁10(開閉手段)に接続され、開閉弁10はガス圧力を調整するためのレギュレータ11を介して各ノズル7に接続されている。水経路9において、開閉弁12(開閉手段)は各ノズル7に水圧を調整するためのレギュレータ13を介して各ノズル7に接続されている。そして、レギュレータ11からの炭酸ガスとレギュレータ13からの水がノズル7内において合流され、そのノズル7の先端開口から、二流体細霧Mが炭酸ガス流に乗って噴出される。
【0020】
図2(b)に示すように、電源14にはスイッチングトランジスタ(以下、単にスイッチという)61が電気接続され、そのベース端子に前記温度センサ6が電気接続されている。スイッチ61とアースとの間には開閉弁10の開閉ソレノイド(図示しない)と開閉弁12の開閉ソレノイド(図示しない)との並列回路が電気接続されている。
【0021】
次に、第1実施形態の植物栽培施設1の細霧冷房システムの作用について説明する。
夏期の高温時のように、施設1の室内の気温が高くなった場合(例えば、摂氏30度以上)には、温度センサ6がそれを検出し、スイッチ61を介して開閉弁10,12の開閉ソレノイドを動作させて、開閉弁10,12を開放させる。このため、開閉弁10,12及びレギュレータ11,13を介して所定圧力の水W及び圧縮炭酸ガスがノズル7に供給されて、同ノズル7内において合流される。従って、ノズル7から炭酸ガス流に乗って二流体細霧Mが室内に噴出される。そして、その二流体細霧Mが気化されて、室内が冷却される。この二流体細霧Mは、その粒径が10μm以下であるため、細霧全体の水量はごくわずかであって、水滴化したり、室内湿度が高騰したりすることは抑制される。
【0022】
また、室内が高温になるときは、昼間の日照下であって、植物は日光を浴びて光合成が盛んになるときでもある。このときに、炭酸ガスがノズル7から噴出されるため、室内の炭酸ガス濃度が増えて光合成による植物の生育を助長することができる。そして、光合成の結果、植物から酸素が放出されるが、ノズル7から炭酸ガスが室内に供給されるため、炭酸ガスが不足することを防止できる。
【0023】
室内温度が低下した場合には、温度センサ6からの検出によってスイッチ61を介して開閉弁10,12が閉じて、細霧Mの噴出が停止される。
なお、日照時間が長い夏期や、高気温地域においては、噴霧時間が長くなって、室内の炭酸ガス濃度が必要以上に高くなることも考えられる。このような場合は、炭酸ガスボンベ3に炭酸ガスとともに、空気を貯留して、つまり炭酸ガスボンベ3に炭酸ガスと空気との混合ガスを貯留して、その混合ガスに乗せて細霧Mを噴出させればよい。従って、噴出される炭酸ガスが希薄化されて、室内の炭酸ガス濃度が過剰になることを防止できる。従って、日照時間等の条件に応じて混合ガス中の炭酸ガス濃度を調整すれば、室内の炭酸ガス濃度を適切に維持できるとともに、炭酸ガスの浪費を防止できる。
【0024】
そして、この第1実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1) 植物栽培施設1の室内の気温が高いときには、炭酸ガスの圧力を利用してその炭酸ガス流に乗せて二流体細霧Mをノズル7から噴出できる。従って、施設1の室内を冷却できるとともに、植物に対して炭酸ガス施用を行なうことができる。このため、施設1の室内温度を植物生育に適する温度に維持できるとともに、炭酸ガスにより、植物の光合成による生育を助長でき、効率的な植物栽培が可能になる。
【0025】
(2) 噴霧は微細な二流体細霧Mであるため、施設1の室内の湿度が過度に高くなったり、植物や室内壁に水滴が付着したりすることを防止できる。従って、植物の生育にカビや病害等の悪影響が出たり、植物にその商品価値を下げる斑や変色が生じたりすることを防止できる。
【0026】
(3) 細霧Mは、炭酸ガスの圧力を利用して噴出されるものであるため、細霧Mを生じさせるための圧縮機や、超音波発生装置等は不要であって、細霧Mの発生のための装置の構成を簡素化できるとともに、ランニングコストを低くすることができる。
【0027】
次に、本発明を具体化した第2実施形態を
図1及び
図3に従って前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
この第2実施形態においては、
図3(a)に示すように、ガス経路8の前記第1実施形態の開閉弁10に代えて三方弁17(開閉手段、切替手段)が接続されている。そして、三方弁17の一方の一次側に炭酸ガスボンベ3が、他方の一次側に圧縮機16が接続され、三方弁17の二次側にレギュレータ11を介してノズル7が接続されている。
【0028】
また、この第2実施形態においては、
図1に示すように、植物栽培施設1の室内の噴霧装置4と植物栽培棚2との間において炭酸ガス濃度を検出するための濃度センサ5(濃度検出手段)が設けられている。
【0029】
図3(b)に示すように、電源14とアースとの間にはスイッチ61が電気接続され、そのベース端子に温度センサ6が電気接続されている。スイッチ61とアースとの間には、開閉弁12の開閉ソレノイドと、三方弁17の切替ソレノイド(図示しない)との並列回路が電気接続されている。温度センサ6のスイッチ61とアースとの間には、スイッチ51が電気接続され、そのベース端子には濃度センサ5が電気接続されている。スイッチ51とアースとの間には、三方弁17の切替ソレノイドと、圧縮機16のモータとの並列回路が電気接続されている。
【0030】
次に、第2実施形態の植物栽培施設1の細霧冷房システムの作用について説明する。
植物栽培施設1の室内の温度が所定値を越えるとともに、室内の炭酸ガス濃度が所定値(例えば、1000ppm)以下の場合には、温度センサ6の検出に基づいてスイッチ61を介して開閉弁12が開放されるとともに、三方弁17が第1開放位置に切り替えられる。このため、炭酸ガスボンベ3から圧縮炭酸ガスが三方弁17とレギュレータ11とを経て各ノズル7に供給されるとともに、水Wが開閉弁12とレギュレータ13とを経て各ノズル7に供給される。従って、炭酸ガスと水とがノズル7内で合流されて、平均粒径10μmの二流体細霧Mが炭酸ガス流とともに各ノズル7から植物栽培施設1の室内に噴出される。このため、その細霧Mにより、気化熱による冷却効果を利用して室内の温度を下げることができるとともに、室内の炭酸ガスが増えて植物の光合成による生育を助長することができる。
【0031】
一方、室内の温度が所定値以上であって、炭酸ガス濃度が設定値(例えば1000ppm)以上の場合には、開閉弁12の開放状態において、スイッチ51を介して三方弁17が第2開放位置に切り替えられて、三方弁17と炭酸ガスボンベ3との間の経路が遮断されるとともに、圧縮機16のモータに通電される。
【0032】
このため、圧縮機16から圧縮空気Eが三方弁17とレギュレータ11とを経て各ノズル7に供給される。従って、各ノズル7から空気流に乗って平均粒径10μmの二流体細霧Mが噴出される。このように、室内の炭酸ガスの増加を抑制しつつ、室内の温度を下げることができる。このため、室内の炭酸ガス濃度を所定値(例えば1000ppm)レベルに維持することが可能になる。
【0033】
このようにして細霧Mの供給により室内の温度が下がると、その温度を温度センサ6が検出して、開閉弁12が閉じるとともに、三方弁17が遮断位置に切り替えられ、さらに圧縮機16が停止される。従って、各ノズル7への炭酸ガスまたは空気E及び水Wの供給が停止されて各ノズル7からの細霧Mの噴出が停止される。
【0034】
従って、この第2実施形態によれば、前記第1実施形態の効果に加えて以下のような効果を得ることができる。
(4) 圧縮炭酸ガスをノズル7に供給するガス経路8以外に、圧縮機16により圧縮空気Eをノズル7に供給する空気経路15を設け、このガス経路8と空気経路15とのうち何れか一方をノズル7に接続して圧縮炭酸ガスまたは圧縮空気Eをノズル7に供給し得るように切り替え得る三方弁17を設けている。そして、室内の炭酸ガス濃度に応じて三方弁17を切り替えることにより、圧縮炭酸ガス流に乗せた二流体細霧Mの外に、圧縮空気流に乗せた二流体細霧Mも噴出し得る。従って、植物栽培施設1における炭酸ガス濃度を適切に調節することができる。
【0035】
(変更例)
前記第1,第2実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 前記第1,第2実施形態の炭酸ガスボンベ3に代えて、圧縮機により圧縮された炭酸ガスをノズル7に供給するようにしてもよい。
【0036】
・ 前記第1実施形態において、炭酸ガス濃度検出用の濃度センサを設けて、室温が低く、かつ炭酸ガス濃度が低い場合には、開閉弁10が開放されて、炭酸ガスのみが供給されるように構成してもよい。
【0037】
・ 前記第2実施形態において、室温が低く、かつ炭酸ガス濃度が低い場合に、三方弁17のみが切り換えられて炭酸ガスのみが供給されるように構成してもよい。
・ 第1,第2実施形態において、室内の湿度が高くなった場合に、施設1の内気を外気と入れ換える構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0038】
1…植物栽培施設、3…炭酸ガスボンベ、4…噴霧装置、5…濃度センサ、6…温度センサ、7…ノズル、8…ガス経路、9…水経路、10…開閉弁(開閉手段)、12…開閉弁(開閉手段)、15…空気経路、16…圧縮機、17…三方弁(開閉手段、切替手段)、M…細霧、E…空気、W…水。