特許第6385637号(P6385637)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385637
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 11/00 20060101AFI20180827BHJP
   F25D 27/00 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   F25D11/00 101B
   F25D27/00
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-176245(P2012-176245)
(22)【出願日】2012年8月8日
(65)【公開番号】特開2014-35129(P2014-35129A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2015年8月7日
【審判番号】不服2017-5958(P2017-5958/J1)
【審判請求日】2017年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100059225
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 璋子
(72)【発明者】
【氏名】真下 拓也
(72)【発明者】
【氏名】中田 萌子
(72)【発明者】
【氏名】金子 尚太
【合議体】
【審判長】 田村 嘉章
【審判官】 窪田 治彦
【審判官】 井上 哲男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−267739(JP,A)
【文献】 特開2010−281481(JP,A)
【文献】 特開2012−26678(JP,A)
【文献】 特開2010−164250(JP,A)
【文献】 特開2009−109030(JP,A)
【文献】 特開2001−99536(JP,A)
【文献】 特開2004−286333(JP,A)
【文献】 特開平9−287863(JP,A)
【文献】 SHARP プラズマクラスター冷蔵庫 形名 SJ−GF60W 取扱説明書 <URL:http://www.sharp.co.jp/support/refrigerator/doc/sjgf60w_mn.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D11/00,27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室と、
前記貯蔵室の扉と、
前記扉の開放時に前記貯蔵室内部を照明する庫内灯と、
消費電力を下げて前記貯蔵室を冷却する節電モードを実行すると共に、前記節電モード中に前記扉が開かれたときに全ての前記庫内灯を暗くして照明する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記消費電力に対する節電効果を段階的に設定できる前記節電モードを実行でき、前記節電効果が高い前記節電モードになるほど、前記庫内灯を暗くする、
冷蔵庫。
【請求項2】
前記制御部は、前記節電モード以外においても前記消費電力のピーク時間帯では、前記庫内灯を暗くする、
請求項に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記庫内灯を有する前記貯蔵室が複数設けられている、
請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近の冷蔵庫には、節電を行なうために節電モードを実施できる機能を備えたものがある。このような冷蔵庫は、節電モード中において、扉に設けられた操作盤の節電ランプを点灯したり、液晶表示装置に節電モードであることを表示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4596083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような冷蔵庫においては、その節電を示す表示が小さく、ユーザは節電モード中であることを認識し難いという問題点があった。一方、その対策として、節電ランプや表示装置などを大きくすると、消費電力が増加するという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明の実施形態は、消費電力を増加させることなく節電モード中であることをユーザに判り易く知らせることができる冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、貯蔵室と、前記貯蔵室の扉と、前記扉の開放時に前記貯蔵室内部を照明する庫内灯と、消費電力を下げて前記貯蔵室を冷却する節電モードを実行すると共に、前記節電モード中に前記扉が開かれたときに全ての前記庫内灯を暗くして照明する制御部と、を有し、前記制御部は、前記消費電力に対する節電効果を段階的に設定できる前記節電モードを実行でき、前記節電効果が高い前記節電モードになるほど、前記庫内灯を暗くする、冷蔵庫である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態1の冷蔵庫の縦断面図である。
図2】冷蔵庫の冷凍サイクルの図である。
図3】冷蔵庫のブロック図である。
図4】実施形態2の冷蔵庫の縦断面図である。
【発明の実施の形態】
【0008】
以下、本実施形態の冷蔵庫10について図面に基づいて説明する。
【実施形態1】
【0009】
実施形態1の冷蔵庫10について図1図7に基づいて説明する。
【0010】
(1)冷蔵庫10の構造
冷蔵庫10の構造について図1図2に基づいて説明する。図1は、本実施形態の冷蔵庫10の縦断面図であり、図2が冷蔵庫10の上部斜視図である。
【0011】
図1に示すように、冷蔵庫10のキャビネット12は、外箱と内箱とより構成され、その間に断熱材を有した断熱構造である。キャビネット12には、上部から順番に冷蔵室14、野菜室16、小型の冷凍室18、大型の冷凍室20が設けられ、小型の冷凍室18の横には不図示の製氷室が設けられている。野菜室16と小型の冷凍室18との間には、断熱仕切り体が設けられている。
【0012】
冷蔵室14下部には、肉などを収納するチルド室22が設けられ、また、冷蔵室14の天井面には、庫内灯24が設けられている。
【0013】
冷凍室18の背面上部には、冷蔵庫10の制御基板26が取り付けられ、また、冷凍室20の背面下部、すなわちキャビネット12の底部には機械室28が設けられている。機械室28には、圧縮機38が設けられている。
【0014】
冷蔵室14の前面には、観音開き式の扉14a、14bが設けられ、野菜室16、小型の冷凍室18、製氷室、冷凍室20の前面には引出し式の扉16a,18a,20aが設けられている。また、冷蔵室14には、扉14a、14bの開閉を検出する扉スイッチ54が設けられ(図3に記載)、他の扉16a,18a,20aにも、同様に扉スイッチが設けられている。
【0015】
図1に示すように、野菜室16の背面下部には、冷蔵用蒸発器(以下、「Rエバ」という)30が設けられ、Rエバ30の上方には、冷蔵用庫内ファン(以下、「Rファン」という)32が設けられている。
【0016】
冷凍室20の背面上部には、冷凍用蒸発器(以下、「Fエバ」という)34が設けられ、Fエバ34の上方には冷凍用庫内ファン(以下、「Fファン」という)36が設けられている。
【0017】
冷蔵室14の観音開き式の扉14aの前面には、ユーザが冷蔵庫10を操作するための操作盤40が設けられ、操作盤40の前面には、節電モード中に点灯するランプ42が設けられている。
【0018】
冷蔵室14の背面には、冷蔵室14の庫内温度を検出する冷蔵用庫内温度センサ(以下、「Rセンサ」という)50が設けられている。大型の冷凍室20の背面には、冷凍室20の庫内温度を検出する冷凍用庫内温度センサ(以下、「Fセンサ」という)52が設けられている。
【0019】
(2)冷凍サイクル60の構造
次に、冷蔵庫10の冷凍サイクル60の構造について、図2に基づいて説明する。
【0020】
圧縮機38の吐出側から順番に、凝縮器62、防露パイプ64、三方弁66の入口が接続されている。
【0021】
三方弁66の一方のR出口には、冷蔵用キャピラリチューブ(以下、「Rキャピラリチューブ」という)68、Rエバ30、Rアキュムレータ69が接続されている。
【0022】
三方弁66の他方のF出口には、冷凍用キャピラリチューブ(以下、「Fキャピラリチューブ」という)70、Fエバ34、Fアキュムレータ71、逆止弁72が接続されている。
【0023】
逆止弁72の出口側とアキュムレータ69の出口側が一つになり、その後にサクションパイプ74を経て圧縮機38の吸入側に至る。
【0024】
この冷凍サイクル60では、冷媒は圧縮機38で圧縮されて、高温高圧の気体状の冷媒に変化し、凝縮器62と防露パイプ64で放熱しながら液体状の冷媒となる。液体状の冷媒は、三方弁66によってRキャピラリチューブ68、又は、Fキャピラリチューブ70に送られ、Rキャピラリチューブ68、又は、Fキャピラリチューブ70で気化し易いように減圧され、その後にRエバ30、又は、Fエバ34で気化し、周囲から熱を奪うことにより冷気が発生する。周囲から熱を奪った冷媒は、各アキュムレータ69,71にそれぞれ流れ、各アキュムレータ69,71では気液混合体状の冷媒を気体状の冷媒と液体状の冷媒とにそれぞれ分離し、気体状の冷媒のみがサクションパイプ74を経て圧縮機38へ戻り、再び圧縮され高温高圧の気体状の冷媒となる。
【0025】
(3)冷蔵庫10の電気的構成
次に、冷蔵庫10の電気的構成について、図3のブロック図に基づいて説明する。
【0026】
制御基板26には、マイコンなどよりなる制御部76が設けられている。この制御部76には、図3に示すように、圧縮機38、Rファン32、Fファン36、三方弁66、操作盤40、庫内灯24、Rセンサ50、Fセンサ52、扉スイッチ54が接続されている。
【0027】
圧縮機38のモータは、制御部76によってインバータ制御され、PWM制御などの周波数制御によって回転数が可変となり、回転数が高いほど冷媒の供給量が多くなる。
【0028】
制御部76は、庫内灯78の明るさを3段階で調整でき、最大の明るさ3、中間2、最低1で点灯させることができる。
【0029】
(4)RモードとFモード
冷凍サイクル60において、制御部76が、冷蔵室14と野菜室16を冷却する冷蔵運転(以下、「Rモード」という)と、小型の冷凍室18、製氷室、大型の冷凍室20を冷却する冷凍運転(以下、「Fモード」という)を交互に行い、また、除霜運転、製氷運転を行う。
【0030】
Rモードにおいては、Rセンサ50の検出温度がR庫内設定温度TR(例えば、5℃)以上になると、制御部76が三方弁66のF出口を閉じ、R出口を開き、液体状の冷媒をRエバ30に流す。また、制御部76は、Rファン32をONし、Fファン36をOFFする。Rエバ30に流れた液体状の冷媒は、Rエバ30を冷却し、この冷却された空気(冷気)はRファン32によって冷蔵室14と野菜室16に送られる。この冷気によって冷蔵室14と野菜室16の庫内温度が1℃〜5℃に保持される。
【0031】
Fモードにおいては、Fセンサ52の検出温度がF庫内設定温度TF(例えば、−18℃)以上になると、制御部76は三方弁66のR出口を閉じ、F出口を開き、液体状の冷媒をFエバ34に流す。また、制御部76は、Rファン32をOFFし、Fファン36をONする。Fエバ34に流れた液体状の冷媒は、Fエバ34を冷却し、この冷却された空気(冷気)はFファン36によって小型冷蔵室、小型の冷凍室18、大型の冷凍室20に送られる。この冷気によって製氷室、小型の冷凍室18、大型の冷凍室20の庫内温度が−18℃〜−26℃に保持される。
【0032】
なお、Rセンサ50の検出温度がR庫内設定温度TR以上になり、同時にFセンサ52の検出温度がF庫内設定温度TF以上になっった場合には、制御部76は、Fモードの実行を優先する。
【0033】
(5)節電モード
本実施形態の冷蔵庫10は、ユーザが操作盤40の節電ボタンなどのスイッチ又はタッチスイッチを操作することにより、制御部76は、消費電力を低減して冷蔵庫10を動作させる節電モードする。
【0034】
この節電モード中、制御部76は、圧縮機38を回転させるモータの最高回転数を下げたり、また、Rモードを開始するためのR庫内設定温度TRを1℃〜2℃上昇させたり、さらに、Fモードを開始するためのF庫内設定温度TFを1℃〜2℃上昇させる。また、節電モード中は、除霜運転及び製氷運転も実行しない。これにより、通常のRモードやFモードを実行している状態の消費電力よりも、その消費電力が低減される。
【0035】
制御部76は、この節電モード中には、操作盤40のランプ42を点灯させ、さらに、ユーザに対し節電モード中であることを報知する。その報知手段について説明する。冷蔵室14の天井面には庫内灯24が設けられ、ユーザが扉14aを開けたとき扉スイッチ54がそれを検出して、、制御部76は、扉スイッチ54からの開放検出信号によって庫内灯24が点灯させ、冷蔵室14内部を照明する。節電モードを実施していない通常のRモードやFモードにおいて、扉14aを開けたときは、庫内灯24を最大の明るさ3で点灯させる。一方、節電モード中は、この庫内灯24の明るさを暗くする。例えば、明るさ2に下げる。これにより、ユーザは扉14aを開けたときに、庫内灯24が暗いため、節電モード中であることを認識できる。
【0036】
(6)効果
上記実施形態によれば、節電モード中は操作盤40のランプ42を点灯させるだけでなく、ユーザが扉14aを開けたときに庫内灯24を通常よりも暗くすることにより、ユーザに対し節電モード中であることを明確に知らせることができる。
【0037】
また、扉14aを開けたときに、庫内灯24が暗くなるため、従来よりも消費電力が少なくなり、より節電効果を高めることができる。
【0038】
(7)変更例
上記実施形態では、節電モード中において、ユーザが扉14aを開けたときに庫内灯24を暗くしたが、これに代えて、庫内灯24を完全に消灯せさてもよい。庫内灯24を消灯せさた場合でも、部屋の明るさによって冷蔵室14内部をユーザは見ることができ、また、ユーザは節電モード中であることをより明確に認識できる。
【0039】
なお、この場合には、操作盤40のランプ42は点灯させる。その理由は、冷蔵庫10に設けられているランプが全て消灯すると、ユーザが冷蔵庫10の故障や停電と誤解するため、冷蔵庫10が正常に動作して節電モードであることを知らせるためである。
【実施形態2】
【0040】
次に、実施形態2の冷蔵庫10について、図4に基づいて説明する。
【0041】
実施形態1では冷蔵庫10の冷蔵室14には、天井面に庫内灯24が1個設けられていたが、本実施形態では、図4に示すように、天井面以外に両側面に庫内灯78が設けられ、また、チルド室22の背面にも庫内灯80が設けられ、さらに、野菜室16の天井面にも庫内灯82が設けられている。
【0042】
本実施形態では、節電モードが実施されていない通常のFモードやRモードにおいて、ユーザが扉14aが開けたとき、天井面の庫内灯24に加えて、庫内灯78、庫内灯80が点灯する。
【0043】
一方、節電モード中は、天井面の庫内灯24を明るさ2に下げ、左右両側面の庫内灯78とチルド室22の背面の庫内灯80の明るさを1に下げる。
【0044】
これにより、ユーザに対し節電モード中であることを、より明確に認識させることができる。
【0045】
また、ユーザが野菜室16の扉16aを開けたとき、この庫内灯82を消灯又は暗くすることにより、野菜室16の扉16aを開けても、ユーザは節電モード中であることを認識できる。
【0046】
本実施形態の変更例としては、例えば、天井面の庫内灯24は暗くし、両側面の庫内灯78、チルド室22の背面の庫内灯80を消灯させてもよい。また、天井面の庫内灯24は明るさ2で点灯し、両側面の庫内灯78は明るさ1で点灯し、チルド室22の庫内灯80は消灯させてもよい。
【変更例】
【0047】
次に、上記各実施形態の変更例について説明する。
【0048】
(1)変更例1
上記実施形態1では、庫内灯78の照明の色は1色(例えば、白色)であったが、これに加えてそれ以外の色(例えば、青色)の照明を行なう。そして、節電モード中は白色の庫内灯の明るさを維持又は暗くするだけにし、青色の庫内灯78は消灯又は白色の庫内灯78よりも明るさを暗くする。
【0049】
これにより、扉14aを開けたときに、ユーザは冷蔵室14内部の色調が異なるため、節電モード中であることを認識できる。
【0050】
(2)変更例2
上記実施形態1では、節電モードがON/OFFの2段階であったが、例えば複数段階の節電モードがある場合には、各段階毎に、すなわち節電効果が高い節電モードであるほど庫内灯78を暗くしてもよい。
【0051】
また、ユーザが外出する場合に最低の消費電力で冷蔵庫10を動作させるお出かけモードにおいては、ランプ42を含めて庫内灯78の照明を全て消灯させてもよい。
【0052】
(3)変更例3
上記各実施形態では、節電モード中は庫内灯78の消灯又は暗くしたが、これに加えて、消費電力が多いピーク時間帯(例えば、午後12時〜午後2時)の間は、ユーザが扉14aを開けても、庫内灯78を消灯又が暗くするようにしてもよい。
【0053】
(4)その他
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
10・・・冷蔵庫、14・・・冷蔵室、24・・・庫内灯、40・・・操作盤、42・・・ランプ、76・・・制御部
図1
図2
図3
図4