特許第6385646号(P6385646)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6385646多入力投票スキームを有する電子眼科レンズ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385646
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】多入力投票スキームを有する電子眼科レンズ
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/04 20060101AFI20180827BHJP
   A61F 9/00 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   G02C7/04
   A61F9/00
【請求項の数】5
【外国語出願】
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2013-84597(P2013-84597)
(22)【出願日】2013年4月15日
(65)【公開番号】特開2014-170210(P2014-170210A)
(43)【公開日】2014年9月18日
【審査請求日】2016年2月4日
【審判番号】不服2017-7295(P2017-7295/J1)
【審判請求日】2017年5月22日
(31)【優先権主張番号】13/780,263
(32)【優先日】2013年2月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591175675
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ランドール・ブラクストン・ピュー
(72)【発明者】
【氏名】アダム・トナー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ビー・オッツ
【合議体】
【審判長】 中田 誠
【審判官】 清水 康司
【審判官】 河原 正
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−535067(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/051167(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C7/04-7/08
A61F9/00-9/013
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人の目の上に装着さるべき電動眼科レンズの機能を制御するための方法であって、
周辺光ならびに、
瞳孔収斂瞳孔位置瞳孔拡張とのうちの少なくとも1つ、まぶた位置、および目インピーダンスを含む生理学的変
測定する、前記電動眼科レンズ内に組み込まれた複数のセンサをサンプリングする工程と、
閾値との比較及び所定のパターンとの比較を含む、前記複数のセンサからの結果を判定する工程と、
前記複数のセンサからの結果を集計し、単一の決定信号を生成するために前記結果に重みを加える工程と、
前記単一の決定信号に基づいて、アクチュエータに、前記電動眼科レンズの機能の変化を実行させるか又は前記電動眼科レンズの機能を維持させる工程と、を含み、
前記方法を実行するのに必要な合計時間が1秒以内である、方法。
【請求項2】
前記複数のセンサからの前記サンプリングされた出力データを信号調節する工程を更に含む、請求項1に記載の電動眼科レンズの機能を制御するための方法。
【請求項3】
前記信号調節する工程が、1つ又は2つ以上のフィルタリングを含む、請求項に記載の電動眼科レンズの機能を制御するための方法。
【請求項4】
個人の目の上に装着さるべき電動眼科レンズであって、
光学ゾーンと、周縁ゾーンとを含むコンタクトレンズと、
前記コンタクトレンズの前記周縁ゾーン内に組み込まれた少なくとも1つの電子システムであって、複数のセンサであって、第1のグループのセンサが、瞳孔収斂瞳孔位置瞳孔拡張とのうちの少なくとも1つ、まぶた位置、および目インピーダンスを含む生理学的変化を測定するように構成され、第2のグループのセンサが、周辺光を含む環境変化を測定するように構成されている、複数のセンサと、前記電動眼科レンズの機能を制御するための方法を実行するように構成されたシステムコントローラと、少なくとも1つのアクチュエータとを含み、前記方法が、前記複数のセンサをサンプリングする工程と、閾値との比較及び所定のパターンとの比較を含む、前記複数のセンサからの結果を判定する工程と、前記複数のセンサからの結果を集計し、単一の決定信号を生成するために前記結果に重みを加える工程と、前記単一の決定信号に基づいて、前記アクチュエータに、前記電動眼科レンズの機能の変化を実行させるか、又は前記電動眼科レンズの機能を維持させる工程とを含む、少なくとも1つの電子システムと、を備え、
前記方法を実行するのに必要な合計時間が1秒以内である、電動眼科レンズ。
【請求項5】
個人の目の上に装着さるべき電動眼科レンズであって、
コンタクトレンズと、
前記コンタクトレンズ内に組み込まれた少なくとも1つの電子システムであって、複数のセンサであって、第1のグループのセンサが、瞳孔収斂瞳孔位置瞳孔拡張とのうちの少なくとも1つ、まぶた位置、および目インピーダンスを含む生理学的変化を測定するように構成され、第2のグループのセンサが、周辺光を含む環境変化を測定するように構成されている、複数のセンサと、前記電動眼科レンズの機能を制御するための方法を実行するように構成されたシステムコントローラと、少なくとも1つのアクチュエータと、を含み、前記方法が、前記複数のセンサをサンプリングする工程と、閾値との比較及び所定のパターンとの比較を含む、前記複数のセンサからの結果を判定する工程と、前記複数のセンサからの結果を集計し、単一の決定信号を生成するために前記結果に重みを加える工程と、前記単一の決定信号に基づいて、前記アクチュエータに、前記電動眼科レンズの機能の変化を実行させるか、又は前記電動眼科レンズの機能を維持させる工程とを含む、少なくとも1つの電子システムと、を備え、
前記方法を実行するのに必要な合計時間が1秒以内である、電動眼科レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目の状態の意図的な変化を検出するための2つ以上のセンサ並びに関連したハードウェア及びソフトウェアを有する電動又は電子眼科レンズに関し、より具体的には、所望の焦点距離の変化を検出するための投票スキームを実行するように構成された複数のセンサ並びに関連したハードウェア及びソフトウェアに関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスの小型化が継続するにつれ、多様な用途のための着用可能又は埋め込み可能なマイクロ電子デバイスが形成される可能性が益々高まっている。それらの用途には、身体化学(body chemistry)の局面の監視、自動的に、測定値に応答して、又は外部制御信号に応答して、を含む様々な機構を介した、制御された用量の薬物又は治療薬の投与、及び器官又は組織のパフォーマンスの増強が挙げられる。それらのデバイスの例には、グルコース注入ポンプ、ペースメーカー、除細動器、補助人工心臓及び神経刺激装置が挙げられる。用途の新しい、特に有用な分野は、眼科用の着用可能なレンズ及びコンタクトレンズにある。例えば、着用可能なレンズは、電子的に調整可能な焦点を有して、眼のパフォーマンスを増強し又は向上させるレンズアセンブリを組み込むことができる。別の例では、着用可能なコンタクトレンズは、調整可能な焦点を有し又は有さずに、電子センサを組み込んで、前角膜(涙膜)中の特定の化学物質の濃度を検出することができる。レンズアセンブリに埋め込まれた電子機器の使用は、電子機器との通信、電子機器への電力供給及び/又は再充電方法、電子機器の相互接続、内部及び外部の検出及び/又は監視、並びにレンズのすべての電子機器及び機能の制御に対する潜在的な要件をもたらす。
【0003】
人の眼は、数百万の色を識別する能力、変化する光条件に容易に順応する能力、及び信号又は情報を、高速インターネット接続を超える速度で脳に伝達する能力を有する。コンタクトレンズ及び眼内レンズ等のレンズは現在、近視(近眼)、遠視(遠眼)、老眼、及び乱視等の視力障害を補正するために利用されている。しかしながら、追加の構成要素を組み込んだ、適切に設計されたレンズを利用して、視力を向上させ、また視力障害を補正することができる。
【0004】
コンタクトレンズは、近視、遠視、乱視、並びに他の視力障害を補正するために利用されてもよい。コンタクトレンズはまた、着用者の目の自然な外観を向上させるために利用されてもよい。コンタクトレンズ又は「コンタクト」は、単に、目の前面に配置されるレンズである。コンタクトレンズを医療装置と見なし、視力を矯正するために、及び/又は美容上若しくは他の治療上の理由から装着してもよい。コンタクトレンズは、視力を向上させるために、1950年以降商業的に利用されている。初期のコンタクトレンズは、硬質材料から作製又は製造され、比較的高価で脆弱であった。加えて、これらの初期のコンタクトレンズは、コンタクトレンズを通して結膜及び角膜に十分な酸素を透過しない材料から製造され、このことは、いくつかの有害な臨床的副作用を引き起こす可能性があった。これらのコンタクトレンズが依然として利用されているが、それらは、初期快適性が低いため、すべての患者に適していない。当分野における最近の開発は、ヒドロゲルに基づいて、現在非常に好評であり、広く利用されているソフトコンタクトレンズを生み出した。具体的には、現在利用可能なシリコーンヒドロゲルのコンタクトレンズは、非常に高い酸素透過率を有するシリコーンの利点を、ヒドロゲルの実証された快適性及び臨床成績と組み合わせている。本質的に、これらのシリコーンヒドロゲル系コンタクトレンズは、高い酸素透過率を有し、一般に、初期の硬質材料で作製されたコンタクトレンズよりも着用が快適である。
【0005】
従来のコンタクトレンズは、特定の形状を有して、上記に簡潔に示した様々な視力問題を補正する高分子構造である。高い機能性を達成するために、様々な回路及び構成要素がこれらの高分子構造に一体化される必要がある。例えば、制御回路、マイクロプロセッサ、通信デバイス、電力供給装置、センサ、アクチュエータ、発光ダイオード、及び小型アンテナは、視力を補正するだけでなく、視力を向上させ、かつ本明細書に説明されるような追加の機能性を提供するために、特注の光電子構成要素を介してコンタクトレンズに一体化されてもよい。電子及び/又は電動コンタクトレンズは、ズームイン又はズームアウト能力を介して、又は単にレンズの屈折能力を変更することを介して、向上された視力を提供するように設計されてもよい。電子及び/又は電動コンタクトレンズは、色及び解像度を向上させるように、テクスチャ情報を表示するように、リアルタイムで言語を字幕に翻訳するように、ナビゲーションシステムから視覚的合図を提供するように、また画像処理及びインターネットアクセスを提供するように設計されてもよい。レンズは、着用者が暗い状況下で見ることを可能にするように設計されてもよい。レンズ上の適切に設計された電子機器及び/又は電子機器の配置は、例えば、可変焦点光学レンズを有することなく網膜上に画像を投影することを可能とし、新奇な画像ディスプレーを提供し、起床警告さえも提供してもよい。代替的に、又はこれらの機能若しくは同様の機能のいずれかに加えて、コンタクトレンズは、着用者のバイオマーカー及び健康指標を非侵襲的に監視するための構成要素を組み込んでもよい。例えば、レンズ内に構築されたセンサは、糖尿病患者が、血液を抜き取る必要性を有さずに、涙膜の構成成分を分析することによって、血糖値を把握することを可能にし得る。加えて、適切に構成されたレンズは、コレステロール、ナトリウム、及びカリウムレベル、並びに他の生物学的マーカーを監視するセンサを組み込んでもよい。無線データ送信機と連結されるこのセンサは、患者が試験所に到着し、血液を抜き取る無駄な時間を有する必要なく、医師が患者の血液成分をほぼ即時に入手することを可能にし得る。加えて、レンズ内に構築されたセンサは、周辺光条件を補正するために目への光の入射を検出するため、又はまばたきパターンの判定に使用するために利用されてもよい。
【0006】
適切なデバイスの組み合わせは、潜在的に無制限の機能性を提供し得るが、光学等級のポリマーの一部分上に特別な構成要素を組み込むことに関連した多数の困難が存在する。一般に、それらの構成要素をレンズ上に直接製造すること、及び、非平面状の表面に平面状のデバイスを装着及び相互接続することは、多数の理由により困難である。一定の縮尺で製造することもまた困難である。レンズ上又はレンズ内に配置される構成要素は、眼上の液体環境から構成要素を保護する一方で、小型化され、わずか1.5平方センチメートルの透明ポリマー上に一体化される必要がある。追加の構成要素による付加的な厚さを有するコンタクトレンズを、着用者にとって心地よくかつ安全なものにすることも困難である。
【0007】
コンタクトレンズ等の眼科デバイスの面積及び体積の制約、並びにそのデバイスが利用される環境を考慮すると、デバイスの物理的実現は、その大部分が光学プラスチックを含む非平面状の表面に、多数の電子構成要素を装着し相互接続することを含む、多数の問題を克服しなければならない。したがって、機械的かつ電気的に頑丈な電子コンタクトレンズを提供する必要性が存在する。
【0008】
これらは電動レンズであるため、電子機器を動作させるためのエネルギー、又はより具体的には消費電流が、眼科レンズの規模でのバッテリ技術を考慮した場合に懸念事項となる。通常の消費電流に加えて、この性質の電動デバイス又はシステムは一般に、予備電流備蓄、潜在的に広範囲の動作パラメーターにわたって動作を保証する精密な電圧制御及びスイッチング能力、並びに例えば、数年にわたり潜在的にアイドリングのままにした後の、1度の充電による最大18時間のバースト消費を必要とする。したがって、必要とされる電力を提供する一方で、低コスト、長期の信頼性のある使用、安全性、及びサイズが最適化されるシステムへの必要性が存在する。
【0009】
加えて、電動レンズに関連付けられた機能性及び電動レンズを備えるすべての構成要素間の高レベルの相互作用の複雑性のため、電動眼科レンズを備える電子機器及び光学のすべての動作の調整及び制御に対する必要性が存在する。したがって、安全で低コストかつ信頼性があり、低い電力消費率を有し、かつ眼科レンズへの組み込みのために拡張性のある、すべての他の構成要素の動作を制御するシステムに対する必要性が存在する。
【0010】
電動又は電子眼科レンズは、電動又は電子眼科レンズを利用する個人の、特定の一意的な生理学的機能を考慮しなければならない場合がある。より具体的には、電動レンズは、所与の時間におけるまばたきの回数、まばたきの持続時間、まばたき間の時間、及び例えば、個人が居眠りしている場合等、任意の数の可能なまばたきパターンを含むまばたきを考慮しなければならない場合がある。まばたき検出はまた、特定の機能性を提供するために利用されてもよく、例えば、まばたきは、電動眼科レンズの1つ又は2つ以上の態様を制御する手段として利用されてもよい。更に、まばたきを判定するときには、光の強度レベル、及び人のまぶたが遮断する可視光線の量の変化等の外部要因が考慮されなければならない。例えば、部屋が54〜161ルックスの照度を有する場合、光センサは、人がまばたきするときに生じる光の強度の変化を検出することができるほど高感度であるべきである。
【0011】
周辺光センサ又は光センサは、例えば、室内灯に応じて明るさを調整するようにテレビに、夕暮れにスイッチが入るように光源に、及びスクリーンの明るさを調整するように電話に等、多くのシステム及び製品に利用される。しかしながら、これらの現在利用されるセンサシステムは、十分に小さくない、及び/又はコンタクトレンズへの組み込みのために十分に低い電力消費を有していない。
【0012】
異なる種類のまばたき検出器は、例えば、コンピュータに対してディジタル化されたカメラ等、人の目(複数可)に対して行われるコンピュータ視覚システムを用いて実行されてもよいということにも留意すべきである。コンピュータのソフトウェア走行は、目の開閉等の視覚的パターンを認識し得る。これらのシステムは、診断目的及び研究のための眼科臨床設定において利用されてもよい。上述の検出器及びシステムとは異なり、これらのシステムは、オフアイ使用が意図され、目を基点に遠くを見るよりはむしろ目を見るためのものである。これらのシステムは、コンタクトレンズ内に組み込めるほど小型ではないが、利用されるソフトウェアは、電動コンタクトレンズとともに動作するソフトウェアに類似してもよい。どちらのシステムも、入力から学習し、それに応じてそれらの出力を調整する人工の神経ネットワークのソフトウェア実行を組み込んでもよい。代替的に、統計学、他の適合アルゴリズム、及び/又は信号処理を組み込む、生物学に基づかないソフトウェアの実行が、高性能システムを作成するために利用されてもよい。
【0013】
したがって、まばたき等の特定の生理学的機能を検出する手段及び方法、並びにセンサによって検出されるまばたきシーケンスの種類に従って、電子又は電動眼科レンズを作動化及び/又は制御するために、それらを利用する手段及び方法に対する必要性が存在する。利用されるセンサは、コンタクトレンズに使用されるための大きさ及び構成がなされなければならない。他のセンサ及びセンサシステムも同様に利用してもよい。例えば、瞳孔位置及び収斂検出システムを利用して、電動眼科レンズの状態を変化させることができる。
【0014】
複数のセンサを備えるシステムは、更に高度の複雑性を必要とする場合があるが、追加の機能性、利便性、及び使用者にとって重要な他のパラメーターを含む場合もある。出力を判定するために単一入力に依存するのではなく、多センサシステムは、例えば、誤検出及び検出漏れ判定を減少させることによって、信頼性、機能性、安全性、及び利便性を改善することができる。状態変更の必要性を判定する前に複数のセンサ入力を検討するシステム、例えば、開錠前に物理的な鍵及び数値コードの両方を必要とする安全なシステムは、当技術分野でよく見られる。本システムはまた、例えば、近焦点距離と遠焦点距離との間の可変焦点レンズの状態を変化させるために意図的なまばたきパターンを使用することによって、電子又は電動眼科デバイスの状態を変化させるのに提案されている。安全性及び信頼性は電動眼科デバイスには最も重要であるが、利便性及び機能性もシステム又はデバイスの重要な側面であることを理解されたい。したがって、誤作動を最小限に抑えながら状態の要求された変化又は所望された変化を判定するために、複数のセンサ入力を検討する電子又は電動眼科レンズ内のシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に従う多入力投票スキームを有する電子眼科レンズは、上で簡潔に説明される先行技術に関連した制限を克服する。本発明は、複数の入力を検討する投票スキームを備え、安全性、利便性、低電力消費、及び小さい寸法に関する関連した要件を伴って、眼科デバイスに一体化されてもよい。
【0016】
一態様に従って、本発明は、電動眼科レンズの機能を制御するための方法を対象とする。本方法は、生理学的変化、環境変化、又は他の変化を測定する、眼科レンズ内に組み込まれた複数のセンサをサンプリングする工程と、閾値との比較及び所定のパターンとの比較を含む、複数のセンサからの結果を判定する工程と、単一の決定信号を生成するために、複数のセンサからの結果を集計する工程と、電動眼科レンズの機能の変化を実行するか、又は電動眼科レンズの機能を維持するために、単一の決定信号に基づいてアクチュエータを構成する工程と、を含む。
【0017】
別の態様によれば、本発明は、電動眼科レンズに関する。電動眼科レンズは、光学ゾーン及び周縁ゾーンを含むコンタクトレンズと、コンタクトレンズの周縁ゾーン内に組み込まれた少なくとも1つの電子システムと、を備え、電子システムは、複数のセンサと、電動眼科レンズの機能を制御するための方法を実行するように構成されたシステムコントローラと、少なくとも1つのアクチュエータとを含み、方法は、複数のセンサをサンプリングする工程と、閾値との比較及び所定のパターンとの比較を含む、複数のセンサからの結果を判定する工程と、単一の決定信号を生成するために、複数のセンサからの結果を集計する工程と、電動眼科レンズの機能の変化を実行するか、又は電動眼科レンズの機能を維持するために、単一の決定信号に基づいてアクチュエータを構成する工程と、を含む。
【0018】
更に別の態様によれば、本発明は、電動眼科レンズに関する。電動眼科レンズは、コンタクトレンズと、コンタクトレンズ内に組み込まれた少なくとも1つの電子システムと、を備え、電子システムは、複数のセンサと、電動眼科レンズの機能を制御するための方法を実行するように構成されたシステムコントローラと、少なくとも1つのアクチュエータと、を含み、方法は、複数のセンサをサンプリングする工程と、閾値との比較及び所定のパターンとの比較を含む、複数のセンサからの結果を判定する工程と、単一の決定信号を生成するために、複数のセンサからの結果を集計する工程と、電動眼科レンズの機能の変化を実行するか、又は電動眼科レンズの機能を維持するために、単一の決定信号に基づいてアクチュエータを構成する工程と、を含む。
【0019】
また更なる別の態様に従って、本発明は、電動眼科レンズを対象とする。電動眼科レンズは、眼内コンタクトレンズと、眼内レンズ内に組み込まれた少なくとも1つの電子システムと、を備え、電子システムは、複数のセンサと、電動眼科レンズの機能を制御するための方法を実行するように構成されたシステムコントローラと、少なくとも1つのアクチュエータと、を含み、方法は、複数のセンサをサンプリングする工程と、閾値との比較及び所定のパターンとの比較を含む、複数のセンサからの結果を判定する工程と、単一の決定信号を生成するために、複数のセンサからの結果を集計する工程と、電動眼科レンズの機能の変化を実行するか、又は電動眼科レンズの機能を維持するために、単一の決定信号に基づいてアクチュエータを構成する工程と、を含む。
【0020】
本発明は、より一般的には、可変焦点光学系が含まれる場合にそれを作動させることを含む、任意の数の機能を実行する、電子システムを備える電動コンタクトレンズに関する。電子システムは、1つ又は2つ以上のバッテリ又は他の電源、電力管理回路、1つ又は2つ以上のセンサ、クロック発生回路、制御アルゴニズム及び回路、並びにレンズドライバ回路を含む。
【0021】
電動眼科レンズの制御は、携帯遠隔装置等のレンズと無線で通信する手動式の外部のデバイスを通じて達成されてもよい。代替的に、電動眼科レンズの制御は、着用者からの直接的なフィードバック又は制御信号を介して達成されてもよい。例えば、レンズ内に構築されたセンサは、まばたき及び/又はまばたきパターンを検出してもよい。まばたきのパターン又はシーケンスに基づいて、電動眼科レンズは、近くの物体又は遠くの物体のいずれかに焦点を合わせるために、例えばその屈折力等、状態を変化させてもよい。
【0022】
まばたき検出アルゴリズムは、まばたきの特性、例えば、まぶたが開いているか、又は閉じている場合、開いている状態又は閉じている状態でのまばたきの持続期間、まばたき間の持続期間、及び所与の期間におけるまばたきの回数を検出するシステムコントローラの構成要素である。本発明に従う例示のアルゴリズムは、ある特定のサンプル速度で目への光の入射をサンプリングすることに依存する。所定のまばたきパターンには、入射光サンプルの最新履歴が記憶され、それと比較される。パターンが整合するとき、まばたき検出アルゴリズムは、例えば、レンズドライバを作動させてレンズの屈折力を変化させるために、システムコントローラの活動を引き起こす。
【0023】
本発明のまばたき検出アルゴリズム及び関連した回路は、好ましくは、適度に広い範囲の照明条件で動作し、かつ好ましくは、意図的なまばたきシーケンスと無意識のまばたきを区別することができる。意図的なまばたきを利用して、電動眼科レンズを作動させ、かつ/又は制御するために、最小のトレーニングが要求されることも好ましい。本発明のまばたき検出アルゴリズム及び関連した回路は、電動又は電子コンタクトレンズを介してまばたきを検出するための安全で低価格の確実な手段及び方法を提供し、それは、低電力消費率も有し、電動又は電子眼科レンズを少なくとも作動させるか、又は制御するために、眼科レンズに組み込むように拡張可能である。
【0024】
本明細書で投票スキームと称される現行の多入力システムは、電子眼科レンズに必要な入力も、電子眼科レンズに必要な出力も検討するようには特別に設計されていない。例えば、電子眼科レンズの投票スキームは、他の投票スキームによく見られるセンサ入力の代わりに、目のインピーダンス、瞳孔収斂、及び瞳孔拡張を含むいくつかの要因を検討しなければならない場合がある。
【0025】
電子眼科レンズにおいて、例えば、近距離焦点と遠距離焦点との間の状態を変化させたいという欲求は、好ましくは、誤検出又は検出漏れなく判定されるべきである。例えば、誤検出は、使用者がハイウェイを走行する際に遠見視力を必要とするときに、変倍光学レンズを有する電子又は電動レンズが状態を近距離焦点に変化させる結果をもたらす場合がある。同様に、検出漏れは、使用者が間近で読みたいときに、変倍光学レンズが遠焦点距離に留まる結果をもたらす場合がある。誤作動が、焦点距離の変化に排他的に限定されず、かつ眠そうな使用者の検出又はグラフィカル・ユーザー・インターフェースにおけるマウスでの「単一クリック」に類似したヘッドアップ表示装置上の項目の選択等の他の状態の変化に影響を及ぼし得ることを理解されたい。
【0026】
電子眼科レンズ用の提案されたセンサシステムは、単一入力、例えば、毛様筋の活動、故に、焦点距離を変化させたいという欲求と相関する目にわたるインピーダンスの変化を検討する。これらのセンサはそれぞれ、雑音、ダイナミックレンジ、及び干渉等の制限の支配下にある場合があり、次いで、誤作動の可能性を増加させる。例えば、瞳孔径を検討するシステムは、所望の焦点距離の変化ではなく、周辺光の減少によって引き起こされる拡張を記録することができる。
【0027】
したがって、誤作動を最小限に抑えながら状態における要求された変化を判定するために、複数のセンサ入力を検討する電子眼科デバイスにおけるシステムが必要とされている。本明細書に記載の本発明は、複数の入力を検討し、安全性、利便性、低電力、及び小さい寸法に関する関連した要件を伴って、眼科デバイスに一体化されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明の上記に述べた特徴及び利点、並びに他の特徴及び利点は、添付の図面に示されるような以下の本発明の好ましい実施形態のより詳細な説明から明らかとなるであろう。
図1】本発明のいくつかの実施形態に従うまばたき検出システムを備える例示のコンタクトレンズを示す。
図2】本発明に従う、種々の光の強度レベルで記録された可能な無意識のまばたきパターン対時間、及び最大の光の強度レベルと最小の光の強度レベルとの間のいくつかの地点に基づく有効な閾値を示す、目の表面上の光の入射対時間のグラフ表示を示す。
図3】本発明に従うまばたき検出システムの例示の状態遷移図。
図4】本発明に従う、受信された光信号を検出及びサンプリングするために利用される光検出経路の図表示。
図5】本発明に従うディジタル調節論理のブロック図。
図6】本発明に従うディジタル検出論理のブロック図。
図7】本発明に従う例示のタイミング図。
図8】本発明に従うディジタルシステムコントローラの図表示。
図9】本発明に従う自動利得制御の例示のタイミング図。
図10】本発明に従う、例示の集積回路ダイ上の光遮断及び光通過領域の図表示。
図11】本発明に従う電動コンタクトレンズのための、まばたき検出器を含む例示の電子インサートの図表示。
図12】複数のセンサ、システムコントローラ、及びアクチュエータを有する一般的なシステムのブロック図であり、作動決定は、本発明に従う2つ以上のセンサの出力に基づいて行われる。
図13】例示の方法のフローチャートであり、アクチュエータの状態が本発明に従うセンサ入力に基づいて変化するかどうかをシステムコントローラが判定する。
図14】本発明に従う、時間に対する眼科レンズの焦点状態を変化させる必要性を判定するように設計された電子眼科レンズにおける様々な例示のセンサ入力をグラフ的に図示。
【発明を実施するための形態】
【0029】
従来のコンタクトレンズは、特定の形状を有して、上記に簡潔に示した様々な視力問題を補正する高分子構造である。高い機能性を達成するために、種々の回路及び構成要素が、これらの高分子構造に一体化されてもよい。例えば、制御回路、マイクロプロセッサ、通信デバイス、電力供給装置、センサ、アクチュエータ、発光ダイオード、及び小型アンテナは、視力を補正するだけでなく、視力を向上させ、かつ本明細書に説明されるような追加の機能性を提供するために、特注の光電子構成要素を介してコンタクトレンズに一体化されてもよい。電子及び/又は電動コンタクトレンズは、ズームイン及びズームアウト能力を介して、又は単にレンズの屈折能力を変更することを介して、向上された視力を提供するように設計されてもよい。電子及び/又は電動コンタクトレンズは、色及び解像度を向上させるように、テクスチャ情報を表示するように、リアルタイムで言語を字幕に翻訳するように、ナビゲーションシステムから視覚的合図を提供するように、また画像処理及びインターネットアクセスを提供するように設計されてもよい。レンズは、着用者が暗い状況下で見ることを可能にするように設計されてもよい。レンズ上の適切に設計された電子機器及び/又は電子機器の配置により、可変焦点光学レンズを有することなく、例えば画像を網膜上に投影することが可能となり、新奇な画像ディスプレーを提供し、また起床警告さえも提供し得る。代替的に、又はこれらの機能若しくは同様の機能のいずれかに加えて、コンタクトレンズは、着用者のバイオマーカー及び健康指標を非侵襲的に監視するための構成要素を組み込んでもよい。例えば、レンズ内に構築されたセンサは、糖尿病患者が、血液を抜き取る必要性を有さずに、涙膜の構成成分を分析することによって、血糖値を把握することを可能にし得る。加えて、適切に構成されたレンズは、コレステロール、ナトリウム、及びカリウムレベル、並びに他の生物学的マーカーを監視するセンサを組み込んでもよい。無線データ送信機に結合されたこのセンサは、患者が試験所に到着し、血液を抜き取る無駄な時間を有する必要なく、医師が患者の血液成分をほぼ即時に入手することを可能にし得る。加えて、レンズ内に構築されたセンサは、周辺光条件を補正するために目への光の入射を検出するため、又はまばたきパターンの判定に使用するために利用されてもよい。
【0030】
本発明の電動又は電子コンタクトレンズは、上述した視力障害のうちの1つ又は2つ以上を有する患者の視力を補正し及び/若しくは向上させ、又は他の有用な眼科機能を実行するのに必要な要素を含む。加えて、電子コンタクトレンズは、単に正常な視力を向上させるためか、又は上述のとおり幅広く多様な機能性を提供するために利用されてもよい。電子コンタクトレンズは、可変焦点光学レンズを含んでもよく、組み立てた前方光学がコンタクトレンズ内に埋め込まれ、又は、レンズを有さない電子機器を単に任意の好適な機能性のために埋め込んでいる。本発明の電子レンズは、上述したような任意の数のコンタクトレンズ内に組み込むことができる。加えて、眼内レンズはまた、本明細書に記載される種々の構成要素及び機能性を組み込んでもよい。しかしながら、説明を容易にするために、本開示は、単回使用、1日使い捨てを意図する、視力障害の補正のための電子コンタクトレンズに焦点を当てる。
【0031】
本発明は、可変焦点光学、又は実行され得る任意の数の多種多様な機能を実行するように構成された任意の他のデバイスを作動させる電子システムを備える電動眼科レンズ又は電動コンタクトレンズに採用されてもよい。電子システムは、1つ又は2つ以上のバッテリ又は他の電源、電力管理回路、1つ又は2つ以上のセンサ、クロック発生回路、制御アルゴニズム及び回路、並びにレンズドライバ回路を含む。これらの構成要素の複雑性は、必要とされる又は所望のレンズの機能性に応じて変化してもよい。
【0032】
電子又は電動眼科レンズの制御は、携帯遠隔装置等のレンズと通信する手動式の外部のデバイスを通じて達成されてもよい。例えば、フォブ(fob)は、着用者からの手動入力に基づいて電動レンズと無線で通信してもよい。代替的に、電動眼科レンズの制御は、着用者からの直接的なフィードバック又は制御信号を介して達成されてもよい。例えば、レンズ内に構築されたセンサは、まばたき及び/又はまばたきパターンを検出してもよい。まばたきのパターン又はシーケンスに基づいて、電動眼科レンズは、近くの物体又は遠くの物体のいずれかに焦点を合わせるために、例えばその屈折力等、状態を変化させてもよい。
【0033】
代替的に、電動又は電子眼科レンズのまばたき検出は、別の電子デバイスを作動化する、又はコマンドを別の電子デバイスに送信する等の使用者と電子コンタクトレンズとの間に相互作用がある、他の種々の使用のために使用されてもよい。例えば、眼科レンズのまばたき検出は、コンピュータ上のカメラとともに使用されてもよく、このカメラは、コンピュータスクリーン上で、目(複数可)が動く場所の追跡を維持し、使用者が検出されたまばたきシーケンスを実行するときに、それはマウスポインターに、項目上でダブルクリックする、項目を強調表示する、又はメニュー項目を選択する等のコマンドを実行させる。
【0034】
まばたき検出アルゴリズムは、例えば、まぶたが開いているか又は閉じているか、まばたきの持続時間、まばたき間の持続時間、及び所与の期間におけるまばたきの回数等のまばたきの特性を検出するシステムコントローラの構成要素である。本発明に従うアルゴリズムは、ある特定のサンプリング速度で目への光の入射をサンプリングすることに依存する。所定のまばたきパターンには、入射光サンプルの最新履歴が記憶され、それと比較される。パターンが整合するとき、まばたき検出アルゴリズムは、例えば、レンズドライバを作動させてレンズの屈折力を変化させるために、システムコントローラの活動を引き起こす。
【0035】
まばたきは、まぶたの素早い開閉であり、目の不可欠な機能である。まばたきは、例えば、物体が目に近接して不意に現れたときに個人がまばたきする等、目を異物から保護する。まばたきは、涙を広げることによって、目の前面上に潤滑をもたらす。まばたきはまた、混入物及び/又は刺激物を目から除去する役割も果たす。通常、まばたきは自動的に行われるが、刺激物による場合には、外部刺激が原因となり得る。しかしながら、まばたきはまた、例えば、言語又は身振り手振りでの伝達が不可能な個人が、「はい」に対して1度、「いいえ」に対して2度まばたきができるといった目的もあり得る。本発明のまばたき検出アルゴリズム及びシステムは、通常のまばたき反応と混同され得ないまばたきパターンを使用する。換言すれば、まばたきが作用を制御するための手段として利用される場合、所与の作用に対して選択される特定のパターンは無作為で生じ得ない、そうでなければ、不慮の作用が起こり得る。まばたき速度は、疲労、目の怪我、薬物治療及び疾患を含むいくつかの要因によって影響され得るため、制御目的のまばたきパターンは、好ましくは、まばたきに影響するこれら及び任意の他の変化するものを考慮する。無意識のまばたきの平均長さは、約100〜400ミリ秒の範囲である。平均的な成人男性及び女性は、10回の無意識のまばたき/分という速度でまばたきし、無意識のまばたき間の平均時間は、約0.3〜70秒である。
【0036】
まばたき検出アルゴリズムの例示の実施形態は、以下の工程に要約されてもよい。
1.使用者が、陽性まばたき検出のために実行する意図的な「まばたきシーケンス」を定義する。
2.まばたきシーケンスの検出及び無意識のまばたきの拒絶と一致する速度で、入射する光レベルをサンプリングする。
3.サンプリングされた光レベルの履歴を、まばたきテンプレートの値によって画定される、期待される「まばたきシーケンス」と比較する。
4.例えば、移行の間際等、比較の間に無視されるテンプレートの部分を示すために、まばたき「マスク」シーケンスを任意で実装する。これは、プラス又はマイナス1の誤差の時間枠等、使用者が所望の「まばたきシーケンス」から外れることを許容し得、レンズの作動、制御、及び焦点変更のうちの1つ又は2つ以上が起こり得る。更に、これは使用者のまばたきシーケンスのタイミングの変化を許容し得る。
【0037】
例示のまばたきシーケンスは、以下のとおり画定されてもよい。
1.0.5秒間まばたき(閉)する
2.0.5秒間開く
3.0.5秒間まばたき(閉)する
【0038】
100ミリ秒のサンプリング速度で、20サンプルのまばたきテンプレートが
blink_template=[1,1,1,0,0,0,0,0,1,1,1,1,1,0,0,0,0,0,1,1]によって得られる。
【0039】
まばたきマスクは、移行の直後にサンプルをマスクアウトするように画定され(0はサンプルをマスクアウト又は無視する)、
blink_mask=[1,1,1,0,1,1,1,1,0,1,1,1,1,0,1,1,1,1,0,1]によって得られる。
【0040】
任意で、幅広い移行領域は、よりタイミングの不確定性を許容するためにマスクアウトされてもよく、
blink_mask=[1,1,0,0,1,1,1,0,0,1,1,1,0,0,1,1,1,0,0,1]によって得られる。
【0041】
単一の長いまばたきを例に挙げると、この場合、24サンプルテンプレートで1.5秒のまばたき等、代替のパターンが実装されてもよく、
blink_template=[1,1,1,1,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,1,1,1,1,1]によって得られる。
【0042】
上記の例は、例示目的のためであって、特定のデータのセットを表さないということに留意すべきである。
【0043】
検出は、サンプルの履歴をテンプレート及びマスクに対して論理的に比較することによって実行されてもよい。論理的な動作は、ビット単位ベースで、テンプレート及びサンプル履歴シーケンスを排他的OR(XOR)することであり、次いで、すべてのマスクされていない履歴ビットがテンプレートに整合することを実証することである。例えば、上記のまばたきマスクサンプルにおいて例示されるとおり、値が論理1であるまばたきマスクのシーケンスの各場所では、まばたきは、シーケンスのその場所のまばたきマスクテンプレートに整合しなければならない。しかしながら、値が論理0であるまばたきマスクのシーケンスの各場所では、まばたきが、シーケンスのその場所のまばたきマスクテンプレートに整合する必要はない。例えば、MATLAB(登録商標)においてコード化される、以下のBooleanアルゴリズム等式が利用されてもよい。
matched=not(blink_mask)|not(xor(blink_template,test_sample))、
式中、test_sampleはサンプル履歴である。整合した値は、まばたきテンプレート、サンプル履歴、及びblink_maskと同じ長さを有するシーケンスである。整合したシーケンスがすべて論理1である場合、優れた整合性が生じる。更に説明すると、not(xor(blink_template,test_sample))は、各不整合性に対して論理0、及び各整合性に対して論理1を与える。反転したマスクで論理和をとること(Logic oring)は、整合したシーケンスの各場所を、マスクが論理0であるような論理1に強制する。したがって、値が論理0として特定されるようなまばたきマスクテンプレートにおける場所がより多いほど、人のまばたきに関してより広い誤差の範囲が許容される。MATLAB(登録商標)は、高級言語による数値計算、可視化及びプログラミングのための処理であり、MathWorks、Natick、Massachusettsの製品である。まばたきマスクテンプレートにおいて論理0の数が大きくなる程、期待される又は意図されるまばたきパターンに整合する誤検出への可能性がより大きくなることにも留意すべきである。多様な期待される又は意図されるまばたきパターンは、1度に1つ又は2つ以上を作動化してデバイスにプログラミングされてもよいことが理解されなければならない。より具体的には、複数の期待される又は意図されるまばたきパターンが、同じ目的又は機能性のために、あるいは異なる又は代替の機能性を実行するために利用されてもよい。例えば、1つのまばたきパターンが、レンズに、意図される物体にズームイン又はズームアウトをさせるために利用されてもよく、一方で、別のまばたきパターンが、例えば、ポンプ等のレンズ上の他のデバイスに治療薬の投与を送達させるために利用されてもよい。
【0044】
図1は、本発明の例示の実施形態に従う、電子まばたき検出器システムを備えるコンタクトレンズ100をブロック図形態で示す。この例示の実施形態では、電子まばたき検出器システムは、光センサ102、増幅器104、アナログディジタル変換器若しくはADC 106、ディジタル信号処理装置108、電源110、アクチュエータ112、及びシステムコントローラ114を備えてもよい。
【0045】
コンタクトレンズ100が使用者の目の前側表面上に配置されるときに、まばたき検出器システムの電子回路は、本発明のまばたき検出アルゴリズムを実行するために利用されてもよい。光センサ102、及び他の回路は、使用者の目によって引き起こされるまばたき及び/又は種々のまばたきパターンを検出するように構成される。
【0046】
この例示の実施形態では、光センサ102は、コンタクトレンズ100内に埋め込まれてもよく、周辺光101を受信し、入射光子を電子に変換し、それによって矢印103によって示される電流を増幅器104に流れ込ませる。光センサ又は光検出器102は、任意の好適なデバイスを備えてもよい。1つの例示の実施形態では、光センサ102は、フォトダイオードを備えてもよい。好ましい例示の実施形態では、フォトダイオードは、統合能力を増加させ、光センサ102及び他の回路の全体的なサイズを減少させるために、相補形金属酸化膜半導体(CMOS処理技術)に実装される。電流103は、入射光レベルに比例し、光検出器102がまぶたで覆われるときに実質的に減少する。増幅器104は、利得を伴って入力に比例して出力を生成し、入力電流を出力電圧に変換するトランスインピーダンス増幅器の役目を果たしてもよい。増幅器104は、ADC 106によって獲得されるのに十分な電圧及び電力を信号に与えること等、システムの残りの部分に対して有効なレベルまで信号を増幅してもよい。例えば、光センサ102の出力は非常に小さく、暗い環境で使用され得るため、増幅器は後続のブロックを駆動するために必要であり得る。増幅器104は、可変利得増幅器として実装されてもよく、その利得は、システムの動作範囲を最大化するように、フィードバック装置において、システムコントローラ114によって調整されてもよい。利得を提供することに加えて、増幅器104は、光センサ102及び増幅器104出力に適合するフィルタリング及び他の回路等の、他のアナログ信号調節回路を含んでもよい。増幅器104は、光センサ102による信号出力を増幅し、調節するための任意の好適なデバイスを備えてもよい。例えば、増幅器104は、単に、単一の演算増幅器、又は1つ又は2つ以上の演算増幅器を備えるより複雑な回路を備えてもよい。先に記載のとおり、光センサ102及び増幅器104は、目を通じて受け取られた入射光の強度に基づいて、まばたきシーケンスを検出して隔離し、入力電流を最終的にシステムコントローラ114に有効なディジタル信号に変換するように構成される。システムコントローラ114は、好ましくは、種々の光の強度レベル条件において、種々のまばたきシーケンス及び/又はまばたきパターンを認識し、適切な出力信号をアクチュエータ112に提供するように事前プログラミング又は事前構成される。システムコントローラ114はまた、関連した記憶装置を備える。
【0047】
この例示の実施形態では、ADC 106は、増幅器104からの連続的なアナログ信号出力を、更なる信号処理に適切な、サンプリングされたディジタル信号へ変換するために使用されてもよい。例えば、ADC 106は、増幅器104からのアナログ信号出力を、ディジタル信号処理システム又はマイクロプロセッサ108等の後続の又は下流の回路に有効であり得るディジタル信号に変換してもよい。ディジタル信号処理システム又はディジタル信号処理装置108は、フィルタリング、処理、検出、及び他には、入射光検出の、下流での使用を可能にするサンプリングされたデータの操作/処理のうちの1つ又は2つ以上を含む、ディジタル信号処理に利用されてもよい。ディジタル信号処理装置108は、上述のまばたきシーケンス及び/又はまばたきパターンを用いてプログラミングされてもよい。ディジタル信号処理装置108はまた、関連した記憶装置を備える。ディジタル信号処理装置108は、アナログ回路、ディジタル回路、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせを利用して実装されてもよい。示される例示の実施形態では、それはディジタル回路に実装される。関連した増幅器104及びディジタル信号処理装置108とともに、ADC 106は、例えば100ミリ秒毎等、先に記載されたサンプリング速度に一致して、好適な速度で作動化される。
【0048】
電源110は、まばたき検出システムを備える多種多様な構成要素に電力を供給する。電力は、バッテリ、エネルギー収穫機(energy harvester)、又は当業者に周知の他の好適な手段から供給されてもよい。本質的に、任意の種類の電源110が、システムのすべての他の構成要素に信頼性のある電力を供給するために利用されてもよい。まばたきシーケンスは、システム及び/又はシステムコントローラの状態を変化させるために利用されてもよい。更に、システムコントローラ114は、例えば、アクチュエータ112を通じて電子的に制御されたレンズの焦点又は屈折力を変化させる等、ディジタル信号処理装置108からの入力に応じて、電動コンタクトレンズの他の態様を制御してもよい。
【0049】
システムコントローラ114は、サンプリングされた光レベルをまばたき作動パターンと比較するために、光センサチェーン、即ち、光センサ102、増幅器104、ADC 106、及びディジタル信号処理システム108からの信号を使用する。図2を参照すると、時間に対して種々の光の強度レベルで記録されたまばたきパターンサンプル及び有効な閾値のグラフ表示が示される。したがって、異なる場所での光の強度レベルの変化を考慮すること等、種々の要因を考慮することは、目への光の入射をサンプリングするときに、及び/又は種々の活動を実行する間に、まばたきの検出における誤差を軽減及び/又は防止し得る。更に、目への光の入射をサンプリングするときに、周辺光の強度レベルの変化が目又はまぶたに及ぼし得る効果を考慮することはまた、まぶたを低強度の光レベル及び高強度の光レベルにおいて閉じたときに、まぶたがどのくらいの量の可視光線を遮断するか等、まばたきの検出における誤差を軽減及び/又は防止し得る。換言すれば、誤ったまばたきパターンが制御のために利用されることを防止するために、周辺光のレベルは、好ましくは、以下で更に詳細が説明されるとおり考慮される。
【0050】
例えば、研究では、まぶたは、平均して約99パーセントの可視光線を遮断するが、低波長では、より少ない光がまぶたを通じて伝達される傾向を有し、約99.6パーセントの可視光線を遮断するということが判明している。長波長では、まぶたは、スペクトルの赤外部分にかけて30パーセントの入射光のみを遮断し得る。しかしながら、留意しなくてはならないことは、異なる周波数、波長及び強度の光は、異なる効率でまぶたを通じて伝達され得るということである。例えば、明るい光源を見たときに、個人がまぶたを閉じた状態で赤い光を見てもよい。個人の皮膚色素沈着等、個人によって、まぶたがどのくらいの量の可視光線を遮断するかにおいても変化があってもよい。図2に示されるとおり、種々の光レベルにわたるまばたきパターンのデータサンプルは、70秒の時間間隔の過程で模擬試験され、その中で目を通じて伝達された可視光線強度レベルは、模擬試験の過程において記録され、有効な閾値が示される。閾値は、様々な光の強度レベルで、模擬試験の過程にわたるサンプルまばたきパターンに対して記録された可視光線強度のピークピーク値の間の値に設定される。時間とともに平均光レベルを追跡し、閾値を調整しながら、まばたきパターンを事前プログラムする能力を有することは、いつ個人がまばたきしているか、対照的にいつ個人がまばたきしていないか、かつ/又は単にある特定の領域における光の強度の変化があるかを検出可能であることに不可欠であり得る。
【0051】
ここで図1を再度参照すると、更なる代替の例示の実施形態では、システムコントローラ114は、まばたき検出器、眼筋センサ、及びフォブ制御のうちの1つ又は2つ以上を含む源から入力を受信してもよい。一般化として、システムコントローラ114を作動化及び/又は制御する方法は、1つ又は2つ以上の作動方法の使用を必要とし得るということが当業者には明白であろう。例えば、電子又は電動コンタクトレンズは、例えば、遠くの物体に焦点を合わせること、又は近くの物体に焦点を合わせること等の種々の作用を実行するときに、レンズを個人のまばたきパターン及び個人の毛様筋信号の双方を認識するようにプログラミングする等、個々の使用者に特有にプログラム可能であってもよい。いくつかの例示の実施形態では、まばたき検出及び毛様筋信号検出等、電子コンタクトレンズを作動化するために複数の方法を使用することは、コンタクトレンズの作動が起こる前に、各方法に対して、別の方法と照合される能力を与えてもよい。照合の利点は、意図せずにレンズに作動化を引き起こす可能性を最小化する等、誤検出の軽減を含んでもよい。1つの例示の実施形態では、照合することは投票スキームを伴ってもよく、そこで任意の作用が起こる前にある特定の数の条件が満たされる。
【0052】
アクチュエータ112は、受信されたコマンド信号に基づいて特定の作用を実行するための任意の好適なデバイスを備えてもよい。例えば、まばたき作動パターンが、上述のとおりサンプリングされた光レベルと比較して整合される場合、システムコントローラ114は、可変光学電子レンズ又は電動レンズ等のアクチュエータ112を有効にしてもよい。アクチュエータ112は、電気デバイス、機械デバイス、磁気デバイス、又はそれらの任意の組み合わせを備えてもよい。アクチュエータ112は、電源110からの電力に加えてシステムコントローラ114から信号を受信し、システムコントローラ114からの信号に基づいて、いくつかの作用を作り出す。例えば、システムコントローラ114の信号が、近くの物体に焦点を合わせようとする着用者を示す場合、アクチュエータ112は、例えば、動的マルチ液体光学ゾーンを介して電子眼科レンズの屈折力を変化させるために利用されてもよい。代替の例示の実施形態では、システムコントローラ114は、治療薬が目(複数可)に送達されるべきであるということを示す信号を出力してもよい。この例示の実施形態では、アクチュエータ112は、例えば、微小電気機械システム(MEMS)ポンプ等のポンプ及びリザーバを備えてもよい。先に記載のとおり、本発明の電動レンズは、種々の機能性を提供してもよく、したがって、1つ又は2つ以上のアクチュエータは、機能性を実行するように様々に構成されてもよい。
【0053】
図3は、本発明のまばたき検出アルゴリズムに従う、例示のまばたき検出システムの状態遷移図300を示す。システムは、アイドル状態302から始まり、イネーブル信号bl_goがアサートされるのを待機する。イネーブル信号bl_goが、例えば、まばたきサンプリング速度に相応の100ミリ秒の速度でbl_goをパルス化する発振器及び制御回路によってアサートされるときに、次いで、状態マシンはWAIT_ADC状態304に移行し、そこでADCは、受信された光レベルをディジタル値に変換するように有効化される。ADCは、その動作が完了したことを示すために、adc_done信号をアサートし、システム又は状態マシンはシフト状態306に移行する。シフト状態306において、システムは、まばたきサンプルの履歴を保持するために、最も直近で受信されたADC出力値をシフトレジスタにプッシュする。いくつかの例示の実施形態では、ADC出力値はまず、必要メモリを最小化するために、単一ビット(1又は0)をサンプル値に提供するように閾値と比較される。次いで、システム又は状態マシンは、比較状態308に移行し、そこで、サンプル履歴シフトレジスタの値が、上述のとおり、1つ又は2つ以上のまばたきシーケンステンプレート及びマスクと比較される。整合が検出された場合、レンズドライバの状態をトグルするものであるbl_cp_toggle、又は電動眼科レンズによって実行される任意の他の機能性等、1つ又は2つ以上の出力信号がアサートされてもよい。次いで、システム又は状態マシンは完了状態310に移行し、その動作が完了したことを示すために、bl_done信号をアサートする。
【0054】
図4は、受信された光レベルを検出し、サンプリングするために使用され得る例示の光センサ又は光検出器信号経路pd_rx_topを示す。信号経路pd_rx_topは、フォトダイオード402、トランスインピーダンス増幅器404、自動利得及び低域フィルタリングステージ406(AGC/LPF)、及びADC 408を備えてもよい。adc_vref信号は、電源110(図1参照)からADC 408へ入力されるか、又は代替に、アナログディジタル変換器408内の専用回路から提供されてもよい。ADC 408からの出力であるadc_dataは、ディジタル信号処理及びシステムコントローラブロック108/114(図1参照)に伝達される。個別のブロック108及び114として図1に例示されているが、説明を簡単にするために、ディジタル信号処理及びシステムコントローラは、好ましくは、単一ブロック410に実装される。イネーブル信号adc_en、開始信号adc_start、及びリセット信号adc_rst_nは、ディジタル信号処理及びシステムコントローラ410から受信されるが、完了信号adc_completeはそこに伝達される。クロック信号adc_clkは、信号経路pd_rx_topの外部のクロック源から、又はディジタル信号処理及びシステムコントローラ410から受信されてもよい。adc_clk信号及びシステムクロックは、異なる周波数で走行していてもよいことに留意すべきである。任意の数の異なるADCは、異なるインターフェース及び制御信号を有してもよいが、光センサ信号経路のアナログ部分の出力のサンプリングされたディジタル表現を提供する同様の機能を実行する本発明に従って利用され得ることにも留意すべきである。光検出イネーブルpd_en、及び光検出利得pd_gainは、ディジタル信号処理及びシステムコントローラ410から受信される。
【0055】
図5は、受信されたADC信号値adc_dataを単一ビット値pd_dataまで減らすために使用され得るディジタル調節論理500のブロック図を示す。ディジタル調節論理500は、信号の保持された値adc_data_heldを提供するために、光検出信号経路pd_rx_topからデータadc_dataを受信するためのディジタルレジスタ502を備えてもよい。ディジタルレジスタ502は、adc_complete信号がアサートされるときに、adc_data信号の新しい値を受け取るように、またその他ではadc_complete信号が受信されるときに、最新の受け取られた値を保持するように構成される。この様式で、システムは、データがシステム電力消費量を減らすようにラッチされれば、光検出信号経路を無効にしてもよい。次いで、保持されたデータ値は、信号pd_thの1つ又は2つ以上の閾値を提供するために、閾値生成回路504において、例えば、積分ダンプ平均(integrate-and-dump average)又はディジタル論理に実装された他の平均方法によって平均化されてもよい。次いで、保持されたデータ値は、信号pd_dataの1ビットデータ値を提供するように、比較器506を介して1つ又は2つ以上の閾値と比較されてもよい。比較動作は、出力信号pd_dataの雑音を最小化するために、ヒステリシス、又は1つ又は2つ以上の閾値との比較を採用してもよいということが理解されるだろう。ディジタル調節論理は、算出された閾値に従って及び/又は保持されたデータ値に従って、図4に例示される信号pd_gainを介して、光検出信号経路内の自動利得及び低域フィルタリングステージ406の利得を設定するために、利得調整ブロックpd_gain_adj 508を更に備えてもよい。この例示の実施形態において、6ビットワードは、複雑性を最小化すると同時に動作範囲にわたる十分な解像度をまばたき検出に提供するということに留意すべきである。
【0056】
1つの例示の実施形態では、閾値生成回路504は、ピーク検出器、谷検出器、及び閾値計算回路を備える。この例示の実施形態では、閾値及び利得制御値は、以下のとおり発生され得る。ピーク検出器及び谷検出器は、信号adc_data_heldに保持された値を受信するように構成される。ピーク検出器は、adc_data_held値の増加を素早く追跡し、adc_data_held値が減少する場合にゆっくりと減衰する出力値pd_pkを提供するように更に構成される。動作は、電気分野において周知の古典的ダイオード包絡線検出器のものに類似している。谷検出器は、adc_data_held値の減少を素早く追跡し、adc_data_held値が増加する場合に高い値までゆっくりと減衰する出力値pd_vlを提供するように更に構成される。谷検出器の動作はまた、正の電源電圧に拘束される放電抵抗器を有するダイオード包絡線検出器に類似している。閾値計算回路は、pd_pl及びpd_vl値を受信するように構成され、pd_pk及びpd_vl値の平均に基づいて、中点閾値pd_th_midを算出するように更に構成される。閾値生成回路504は、中点閾値pd_th_midに基づいて、閾値pd_thを提供する。
【0057】
閾値生成回路504は、pd_gain値の変動に応じて、pd_pk及びpd_vlレベルの値を更新するように更に適合されてもよい。pd_gain値が1工程で増加する場合、pd_pk及びpd_vl値は、光検出信号経路における期待された利得の増加に等しい要因によって増加される。pd_gain値が1工程で減少する場合、pd_pk及びpd_val値は、光検出信号経路における期待された利得の減少に等しい要因によって減少される。この様式で、pd_pk及びpd_vl値にそれぞれ保持されたピーク検出器及び谷検出器の状態、及びpd_pk及びpd_vl値から算出された閾値pd_thは、信号経路利得の変動を整合するように更新され、それによって、光検出信号経路利得における意図的な変化からのみ起因する状態又は値での不連続性又は他の変化を回避する。
【0058】
閾値生成回路504の更なる例示の実施形態では、閾値計算回路は、pd_pk値の比率又はパーセンテージに基づいて、閾値pd_th_pkを算出するように更に構成されてもよい。好ましい例示の実施形態では、pd_th_pkは、pd_pk値の8分の7であるように有利に構成されてもよく、演算は、関連技術において周知のとおり、簡易な3ビットの右シフト及び減法で実行されてもよい。閾値計算回路は、pd_th_mid及びpd_th_pkのうちのより小さい方となるように、閾値pd_thを選択してもよい。この様式では、pd_pk及びpd_vl値が等しくなることをもたらし得るフォトダイオードへの長期にわたる一定の光の入射の後でさえ、pd_th値は、pd_pk値と等しくは決してならないだろう。pd_th_pk値は、長く間隔が空いた後でも、まばたきの検出を確実にするということが理解されるだろう。閾値生成回路の挙動は、後に論議されるとおり図9に更に示される。
【0059】
図6は、本発明の実施形態に従う、例示のディジタルまばたき検出アルゴリズムを実行するために使用され得るディジタル検出論理600のブロック図を示す。ディジタル検出論理600は、ここで1ビット値を有する信号pd_dataに例示されるとおり、図4の光検出信号経路pd_rx_topから又は図5のディジタル調節論理からデータを受信するように適合されたシフトレジスタ602を備えてもよい。シフトレジスタ602は、ここ24ビットレジスタで、受信されたサンプル値の履歴を保持する。ディジタル検出論理600は、サンプル履歴、並びに1つ又は2つ以上のまばたきテンプレートbl_tpl及びまばたきマスクbl_maskを受信するように適合された比較ブロック604を更に備え、後の使用のために保持され得る1つ又は2つ以上の出力信号の1つ又は2つ以上のテンプレート及びマスクへの整合を示すように構成される。比較ブロック604の出力は、Dフリップフロップ606を介してラッチされる。ディジタル検出論理600は、マスキング動作のため、小さなシフトで同一のサンプル履歴セット上にあり得る継時比較を抑制する計数器608又は他の論理を更に備えてもよい。好ましい例示の実施形態では、サンプル履歴は、陽性整合が判明された後、消去又はリセットされ、したがって、後続の整合が識別可能になる前にサンプリングされる完全な新しい整合するまばたきシーケンスを必要とする。ディジタル検出論理600は、制御信号を光検出信号経路及びADCに提供するために、状態マシン又は類似の制御回路をまた更に備えてもよい。いくつかの例示の実施形態では、制御信号は、ディジタル検出論理600から分離される制御状態マシンによって生成されてもよい。この制御状態マシンは、ディジタル信号処理及びシステムコントローラ410の一部であってもよい。
【0060】
図7は、まばたき検出サブシステムから光検出信号経路に使用されるADC 408(図4)に提供された制御信号のタイミング図を示す。イネーブル及びクロック信号adc_en、adc_rst_n及びadc_clkは、サンプルシーケンスの開始時に作動化され、アナログディジタル変換処理が完了するまで継続する。1つの例示の実施形態では、ADC変換処理は、パルスがadc_start信号に提供されるときに開始される。ADC出力値は、adc_data信号に保持され、処理の完了は、adc_complete信号のアナログディジタル変換器論理によって示される。ADCの前に増幅器の利得を設定するために利用されるpd_gain信号がまた、図7に示される。この信号は、変換前にアナログ回路バイアス及び信号レベルを安定させるために、機動時間の前に設定されるように示される。
【0061】
図8は、ディジタルまばたき検出サブシステムdig_blink 802を備えるディジタルシステムコントローラ800を示す。ディジタルまばたき検出サブシステムdig_blink 802は、マスター状態マシンdig_master 804によって制御されてもよく、ディジタルシステムコントローラ800の外部のクロック発生器であるclkgen 806からクロック信号を受信するように適合されてもよい。ディジタルまばたき検出サブシステムdig_blink 802は、上述のとおり、光検出サブシステムへ制御信号を提供し、光検出サブシステムから信号を受信するように適合されてもよい。ディジタルまばたき検出サブシステムdig_blink 802は、まばたき検出アルゴリズムにおける動作のシーケンスを制御するために、状態マシンに加えて上述のディジタル調節論理及びディジタル検出論理を備えてもよい。ディジタルまばたき検出サブシステムdig_blink 802は、マスター状態マシン804からのイネーブル信号を受信し、完了若しくは終了指示、及びまばたき検出指示をもとのマスター状態マシン804に提供するように適合されてもよい。
【0062】
図9は波形である図9A〜9Gを提供し、閾値生成回路及び自動利得制御(図5)の動作を示す。図9Aは、様々な光レベルに応じて、フォトダイオードによって提供され得る光電流対時間の例を示す。プロットの第1の部分では、光レベル及び生じた光電流は、プロットの第2の部分と比較して比較的低い。プロットの第1の部分及び第2の部分の双方において、光及び光電流を低減するための2回のまばたきが見られる。まぶたによる光の減衰は、100パーセントでなくてもよいが、目への光の入射の波長に対するまぶたの透過特性に応じて、低い値であり得るということに留意されたい。図9Bは、図9Aの光電流波形に応じて捕獲されるadc_data_held値を示す。簡単にするために、adc_data_held値は、一連の離散ディジタルサンプルとしてよりもむしろ連続的なアナログ信号として示される。ディジタルサンプル値は、対応するサンプル時間での、図9Bに示されるレベルに対応するということが理解されるだろう。プロットの上部及び下部の破線は、adc_data及びadc_data_held信号の最大値及び最小値を示す。最大と最小との間の値の範囲はまた、adc_data信号の動作範囲として周知である。以下で論議されるとおり、光検出(photodection)信号経路利得は、プロットの第2の部分において異なる(低い)。一般に、adc_data_held値は、光電流に正比例し、利得の変動は比例の定量又は定数にのみ影響する。図9Cは、閾値生成回路によるadc_data_held値に応じて算出されたpd_pk、pd_vl及びpd_th_mid値を示す。図9Dは、閾値生成回路のいくつかの例示の実施形態におけるadc_data_held値に応じて算出されたpd_pk、pd_vl及びpd_th_pk値を示す。pd_th_pk値は、常にいくつかのpd_pk値の比率であるということに留意されたい。図9Eは、pd_th_mid及びpd_th_pk値を伴うadc_data_held値を示す。長期にわたって、adc_data_held値が比較的一定であるところでは、pd_vl値が同じレベルまで減衰するにつれて、pd_th_mid値はadc_data_held値に等しくなるということに留意されたい。pd_th_pk値は常に、adc_data_held値を若干下回るように保たれている。また、図9Eに示されるのは、pd_thの選択であり、そこではpd_th値は、pd_th_pk及びpd_th_midの値よりも低くなるように選択される。この方法で、閾値は常にpd_pk値からいくらか距離が離れるように設定され、光電流及びadc_data保持信号の雑音に起因するpd_dataの誤った移行を回避する。図9Fは、adc_data_held値とpd_th値の比較によって生成されたpd_data値を示す。pd_data信号は、まばたきが起こっているときに低い、二値の信号であるということに留意しなくてはならない。図9Gは、これらの波形例に対するtia_gain対時間の値を示す。tia_gainの値は、図9Eにagc_pk_thとして示されるpd_thが高閾値を超え始めるときに、低く設定される。類似の挙動が、pd_thが低閾値を下回って減少し始めるときに、tia_gainを上昇させるために生じるということが理解されるだろう。図9A〜9Eの各々の第2の部分を再度見てみると、より低いtia_gainの効果は明瞭である。特に、adc_data_held値は、adc_data及びadc_data_held信号の動作範囲の中間近くに維持されるということに留意されたい。更に、pd_pk及びpd_vl値は、単に光検出信号経路利得における変動のため、ピーク及び谷検出器状態及び値において不連続性が回避されるように、上述のとおり利得変動に従って更新されるということに留意すべきである。
【0063】
図10は、集積回路ダイ1000上の例示の光遮断及び光通過特徴を示す。集積回路ダイ1000は、光通過領域1002、光遮断領域1004、接着パッド1006、パッシベーション開口部1008、及び光遮断層開口部1010を備える。光通過領域1002は、例えば、半導体処理において実装されるフォトダイオードのアレイ等、光センサ(例示されていない)の上に位置付けられる。好ましい例示の実施形態では、光通過領域1002は、できる限り多くの光を光センサに到達することを可能にし、それによって感度を最大化する。これは、製造に利用される半導体処理において、又は後処理において許容される、ポリシリコン、金属、酸化物、窒化物、ポリイミド、及び光受信器上の他の層を除去することを通じて行われてもよい。光通過領域1002はまた、例えば、反射防止コーティング、フィルター、及び/又は拡散器等の光検出を最適化する他の特別な処理を受信してもよい。光遮断領域1004は、露光量を必要としないダイ上の他の回路を覆ってもよい。他の回路の性能は、例えば、先に述べたとおり、コンタクトレンズ内への組み込みのために必要とされる超低電流回路において、バイアス電圧及び発振器周波数を変化すること等、光電流によって低下され得る。光遮断領域1004は、薄い、不透明な、反射性材料で優先的に形成され、例えば、アルミニウム又は銅は、半導体ウエハー処理及び後処理において既に使用されている。金属で実装される場合、光遮断領域1004を形成する材料は、短絡状態を防止するために、回路下部及び接着パッド1006から絶縁されなければならない。このような絶縁は、例えば、酸化物、窒化物、及び/又はポリイミドなどの、通常のウエハーパッシベーションの一部としてダイ上に既に存在するパッシベーションによって、又は後処理の間に追加される他の誘電体によって提供されてもよい。マスキングは、伝導性の光遮断金属が、ダイ上の接着パッドと重なり合わないように、光遮断層開口部1010を許容する。光遮断領域1004は、ダイ接着の間にダイを保護し、短絡を回避するために、追加の誘電体又はパッシベーションで覆われる。この最終パッシベーションは、接着パッド1006への接続を可能にするために、パッシベーション開口部1008を有する。
【0064】
図11は、本実施形態(発明)に従うまばたき検出システムを備える電子インサートを有する例示のコンタクトレンズを示す。コンタクトレンズ1100は、電子インサート1104を備えるソフトプラスチック部分1102を備える。このインサート1104は、例えば、作動に応じて近く又は遠くに焦点を合わせること等、電子機器によって作動化されるレンズ1106を含む。集積回路1108は、インサート1104上に装着し、バッテリ1110、レンズ1106、及びシステムの必要性に応じて他の構成要素に接続する。集積回路1108は、光センサ1112及び関連した光検出器信号経路回路を含む。光センサ1112は、レンズインサートを通して外側を向き、目から見て外側に向くため、周辺光を受信することができる。光センサ1112は、例えば、単一のフォトダイオード又はフォトダイオードのアレイとして等、集積回路1108上に実装されてもよい(図のように)。光センサ1112はまた、インサート1104上に装着され、かつワイヤリング配線1114と接続された分離デバイスとして実装されてもよい。まぶたが閉じるときに、光検出器1112を含むレンズインサート1104は覆われ、それによって、光検出器1112に入射する光レベルを低減する。光検出器1112は、周辺光を測定し、使用者がまばたきするかどうかを判定する。
【0065】
まばたき検出アルゴリズムの追加の実施形態は、例えば、固定されたテンプレートを使用することによって又はマスクの「考慮しない」間隔(0の値)を拡大することによってよりもむしろ、測定された第1のまばたきの終了時間に基づく第2のまばたきの開始のタイミングによって、まばたきシーケンスの持続時間及び間隔において、より多くの変化を可能にすることができる。
【0066】
まばたき検出アルゴリズムは、マイクロコントローラを走行するディジタル論理又はソフトウェアにおいて実装されてもよいことが理解されるだろう。アルゴリズム論理又はマイクロコントローラは、光検出信号経路回路及びシステムコントローラを有する単一の特定用途向け集積回路であるASICに実装されてもよく、あるいは、複数の集積回路にわたって区分されてもよい。
【0067】
本発明のまばたき検出システムは、視力診断、視力矯正、及び視力補助よりも広範な用途を有するということに留意することが重要である。これらの広範な用途は、身体障害を有する個人のための多種多様な機能性を制御するために、まばたき検出を利用することを含む。まばたき検出は、目の上に、又は目から離れて設置されてもよい。
【0068】
いくつかの電子構成要素を備える電動眼科レンズ等の複数のセンサを含み得る複合システムにおいて、動作するときに誤動作又は誤検出作動を起こす可能性を減少させることが好ましい。別の例示の実施形態に従って、本発明は、不正確な、不完全な、又は誤った情報に基づいて電動眼科レンズの状態を変化させる可能性を大幅に減少させるために、複数のセンサからの入力を利用する意思決定方法及び/又は投票スキームを対象とし、生理学的条件、並びに内部源及び外部源からの雑音及び/又は干渉を変化させる。例えば、まばたき検出において、制御システムは、目の刺激等によるランダムなまばたきパターンに基づいて、電動眼科レンズ内に組み込まれた変倍光学系の状態を変化させるべきではない。瞳孔収斂センサを備える電動眼科レンズにおいて、瞳孔収斂を利用して、動作を引き起こす、例えば、老眼の個人が近距離の物体に焦点を合わせることを可能にするために変倍光学系の力を変化させることができる。しかしながら、単一のセンサからの入力又は単一のセンサ若しくは他のセンサからの誤った情報が原因で、システムコントローラによって間違った決断が下される場合がある。例えば、両方の瞳孔の位置を知ることなしに、単に左方向に見下ろすことは、瞳孔が両方の動作に類似した動きを有するため、右目の収斂として検出され得る。まぶた位置センサを備える電動眼科レンズにおいて、まぶたの動きを、特定の動作を起こすきっかけとして利用することもできる。例えば、個人が近距離の物体に焦点を合わせるために見下ろすとき、まぶたが下垂する傾向があり、したがって、これを利用して、眼科レンズの状態を変化させることができる。この場合もやはり、単一入力のみが利用される場合、誤動作は、その個人に眠気があり、まぶたが下垂するという事実が原因で起こる場合がある。同一の推理が、物体の存在及び位置を検出するためのセンサ、即ち、エミッタ−検出器対、並びに瞳孔拡張センサに適用される。これらのセンサのすべてを、電子又は電動眼科レンズ内に組み込まれた様々なシステムによって実行される動作のきっかけとして利用することができ、それらすべては独立して、又は限られた組み合わせで、誤差の支配下にある可能性がある。電子眼科デバイスの状態変更を引き起こすことに直接関連した特定の態様の検出を目的とした前述のセンサに加えて、他のセンサを使用して、周囲条件、雑音、及び干渉を監視することによって状態変更センサを改善することができる。例えば、周辺光を監視して、まばたき検出の精度、まぶたの位置、及び瞳孔径センサを改善することができる。そのようなセンサを利用して、例えば、共通モード雑音及び干渉を控除することによって、他のセンサを増強させることができる。センサ入力を使用して、過去の読み取りを記録することができ、その後、それは、複合決定アルゴリズム、例えば、瞳孔の位置を判定するために加速度計入力及び眼筋収縮の両方を検討するアルゴリズムによって検討される。本発明に従う投票スキームの利用は、状態変更判定時の誤差の可能性を減少させることができ、より正確な測定結果を可能にすることもできる。言い換えると、任意の所与の動作を起こすために、一次センサによって判定される所与の動作の裏付けとなる証拠を確認するために、又は入力を増強させるために利用することができるセンサが存在する。加えて又は代替の用途において、感知データを、誘発事象としてではなく、収集処理の一部として単に利用することができることにも留意すべきである。例えば、感知データは、病状の治療において、収集、記録、及び利用されてもよい。換言すれば、このようなセンサを利用するデバイスは、使用者に可視である様式で状態を変化しなくてもよく、むしろデバイスはデータを記録するだけでもよいということも理解されるべきである。例えば、このようなセンサは、使用者が、一日を通して適切な虹彩反応を有するかどうか、又は問題のある病状が認められるかどうかを判定するために使用され得る。
【0069】
ここで図12を参照すると、例示の一般的なシステムが図解されており、センサ1202、1204、1206、及び1208を使用して、アクチュエータ1212の状態を変化させるべきかを判定する。センサ1202、1204、1206、及び1208は、まばたき動作、まぶたの位置、瞳孔の位置、毛様筋動作等を含む任意の数の可能性のある入力を備えてもよい。センサの数及び種類は、適用及び使用者によって決定される。それぞれのセンサ1202、1204、1206、及び1208は、センサブロック、専用ブロック、又はシステムコントローラ1210内に包含される独自の信号調節を有してもよい。システムコントローラ1210は、それぞれのセンサ1202、1204、1206、及び1208からの入力を受け入れる。その後、それは、入力データを処理及び比較するためにルーチンを行う。これらの入力に基づいて、システムコントローラ1210は、アクチュエータ1212の状態が変化すべきかどうかを判定する。例えば、瞳孔収斂と、まぶた垂下と、接近した反射を有するエミッタ−検出器対からの表示との組み合わせは、近距離焦点状態にするために眼科レンズ内の変倍光学系を変化させるように、システムコントローラ1210にアクチュエータ1212を構成させ得る。同様に、瞳孔開散と、まぶた開放と、反射を有しないエミッタ−検出器対からの表示との組み合わせは、遠距離焦点状態にするために眼科レンズ内の変倍光学系を変化させるように、システムコントローラ1210にアクチュエータ1212を構成させ得る。様々なセンサからの入力を利用して、意思決定能力を改善するためにシステムコントローラの構成を変更することもでき、例えば、周辺光が減少すると、コントローラは、光センサの利得を増加させ得る。システムコントローラは、センサをオン及び/又はオフにし、サンプリング速度を増大及び/又は低減させ、システムに他の変更を加えて、性能を最適化することもできる。
【0070】
図13は、例示の手順を図示しており、システムコントローラ、例えば、図12に図示されるシステムコントローラ1210は、センサをサンプリングし、アクチュエータステータス及び最終的には電動眼科レンズの状態を変化させるために動作する。ブロック1302で表される方法の最初の工程は、センサをサンプリングすることである。これは、他の要素にデータを作動させ、ウォームアップさせ、較正させ、読み取らせ、調節させ、かつ出力させることを必要とし得る。システムコントローラは、プログラミングされた値及び現在のデータに基づく構成情報、例えば、入射光の履歴に基づく光センサ増幅器の利得をそれぞれのセンサに提供することもでき、あるいはこれらの設定をシステムにおける他の要素によって判定することができる。ブロック1304で表される方法における次の工程は、ベースライン又は参照結果との比較に加えて、フィルタリング及び更なる調節、例えば、アナログフィルタリングとは対照的にディジタルフィルタリングを含む。この工程の目的は、正確かつ反復可能な決断が下され得るように、次の工程のために入力データを適切に調節することである。ブロック1306で表される方法における次の工程は、それぞれのセンサからの結果、例えば、まぶたの位置及びエミッタ−検出器応答を判定することを含む。この判定は、予めログラミングされた閾値若しくは可変の閾値との比較、特定のパターンとの比較、又は任意の他の判定を含み得る。ブロック1308で表される方法における次の工程は、先の工程からの結果を集計すること、結果に重みを加えること、及び決断を下すことを含む。この工程は、使用者ごとのトレーニング及び好みを含んでもよく、すべてのセンサが決断前にサンプリングされ、かつ様々な重さがそれぞれのセンサの結果に適用されることを確実にする。好ましくは、この工程は、現実の世界の雑音及び干渉の存在下で予測可能及び反復可能な決断を下す。上述のようにアクチュエータステータスを変更する決断が下される場合、ブロック1310で表される方法の次の工程は、アクチュエータでこの状態変更を行うことを含む。状態変更に関する決断にかかわらず、ブロック1312で表される方法の最後の工程は、システムをサンプリングする工程に戻すことを含み、したがって、別の組の測定結果及び判定が起こり得る。図13の方法を実行するのに必要な合計時間は、好ましくは、個人が自身の環境と生来相互作用する程度と同様に、システムが使用者の入力に応答する程度に十分短い。例えば、変倍焦点レンズを作動させるために利用される場合、システムは、生来の視力調節システムの焦点状態と同様に、約1秒以内に焦点状態を変化させるべきである。
【0071】
図14は、X軸の時間に対してプロットされたY軸の複数のセンサ入力を図示する。適用に応じて、任意のセンサデータを利用することができることに留意されたい。例えば、概して、別の要因を独立して検証するために利用することができる最小数の要因が存在する。この例示の実施形態において、システムは、プロット1400に示される眼科レンズの所望の焦点距離を判定するように設計される。例えば、群衆の間を通り抜けるための遠見視力と地図を読むための近見視力を切り替える使用者の所望の焦点距離は、遠く1402から近く1404まで振動する。
【0072】
所望の焦点距離1400の上に示される追加のプロットは、所望の焦点距離と相関のある様々なセンサ入力のためのプロットである。かさねて、任意の数のセンサ入力を利用して決断を下すことができることに留意されたい。プロット1406は、関連技術分野で既知のように、高インピーダンス1408から低インピーダンス1410まで幅のある目にわたって測定されたインピーダンスを示す。図示されるように、インピーダンス1406のプロットは、所望の焦点距離1400のプロットに正確には整合しない。センサ入力は、反応時間、伝搬遅延、及び周辺の筋肉からの雑音等の現象に起因して、雑音、遅延、及び所望の焦点距離との他の相違点を含み得る。瞳孔収斂1412も時間に対してプロットされる。当技術分野で既知のように、瞳孔の収斂は、隣接物体に焦点を合わせようとする試みと関連している。所望の焦点距離が遠い(1402)とき、観察する物体までの距離と比較して瞳孔がすぐ近くにあるため、収斂は低い(1414)。焦点距離が近い(1404)とき、物体が目に近いため、収斂は高く(1416)、目は、目的とする物体に注意を払い続けるために、視線を鼻に向かって内側に向けるはずである。瞳孔径1418もプロットされる。当技術分野で既知のように、隣接物体に焦点を合わせるとき、典型的には、個人の瞳孔は拡張する。したがって、所望の焦点距離が遠い(1402)とき、拡張は低い(1420)と示される。所望の焦点距離が近い(1404)とき、拡張は高い(1422)と示される。
【0073】
それぞれのセンサ入力が所望の焦点距離の変化以外の理由で変化し得ることを理解されたい。例えば、目インピーダンスは、身体水和量、食塩摂取量、労作レベル、又は他の手段の変化によって経時的に変化し得る。同様に、瞳孔の直径は、周辺光レベルの変化によって変化し得る。したがって、焦点距離の所望の変化と相関するために2つ以上の入力を必要とすることによって、又は他のセンサを増強させるために特定のセンサ入力を使用することによって、複数のセンサ入力を組み合わせることが、誤検出作動の可能性を減少させることは明らかであろう。
【0074】
状態の変化を判定するために使用されるそれぞれのセンサ及びセンサの組み合わせの閾値が、安全性、応答時間、及び使用者の好み等の多くの変更に依存することも明らかであろう。投票スキームの特定のプログラミングは、若干数の対象の臨床的観察及び特定の使用者に合わせた個別のプログラミングに基づき得る。投票スキームにおけるパラメーターは、センサ入力、例えば、閾値に依存している場合があり、まばたき検出のための利得設定は周辺光によって変化し得る。
【0075】
1つの例示の実施形態では、電子機器及び電気的連結は、光学ゾーンではなく、コンタクトレンズの周縁ゾーンに作製される。代替の例示の実施形態に従って、電子機器の位置決めは、コンタクトレンズの周縁ゾーンに限定される必要はないということに留意することが重要である。本明細書に記載されるすべての電子部品は、薄膜技術及び/又は透明な材料を用いて製造されてもよい。これらの技術が利用される場合、電子部品は、光学に適合する限りは、任意の好適な場所に配置されてもよい。
【0076】
眼内レンズ又は人工水晶体(IOL)は、目の中に埋め込まれるレンズであり、水晶体と差し替える。それは、白内障の個人のために利用されてもよく、又は単に種々の屈折障害の治療のために利用されてもよい。人工水晶体は、目の水晶体嚢内の適所にレンズを保持するために、ハプティクスと呼ばれるプラスチック横支柱を有する小さなプラスチックレンズを典型的に備える。本明細書に記載される任意の電子機器及び/又は構成要素は、コンタクトレンズのものと類似の方法で人工水晶体内に組み込まれてもよい。
【0077】
図示及び説明されたものは、最も実用的かつ好ましい実施形態であると考えられるが、当業者であれば、本明細書に説明及び図示した特定の設計及び方法からの変更はそれ自体当業者にとって自明であり、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく使用できることは明らかであろう。本発明は、記載及び例示した特定の構成に限定されないものであるが、添付の特許請求の範囲内に含まれ得るすべての変更例と整合するように構成されるべきである。
【0078】
〔実施の態様〕
(1) 電動眼科レンズの機能を制御するための方法であって、
生理学的変化又は環境変化のうちの少なくとも1つを測定する、前記眼科レンズ内に組み込まれた複数のセンサをサンプリングする工程と、
閾値との比較及び所定のパターンとの比較を含む、前記複数のセンサからの結果を判定する工程と、
単一の決定信号を生成するために、前記複数のセンサからの結果を集計する工程と、
前記電動眼科レンズの機能の変化を実行するか、又は前記電動眼科レンズの機能を維持するために、前記単一の決定信号に基づいてアクチュエータを構成する工程と、を含む、方法。
(2) 前記結果を集計する工程が、所定の一連の条件に基づいて入力に重みを加えることを更に含む、実施態様1に記載の電動眼科レンズの機能を制御するための方法。
(3) 前記複数のセンサからの前記サンプリングされた出力データを信号調節する工程を更に含む、実施態様1に記載の電動眼科レンズの機能を制御するための方法。
(4) 前記信号調節する工程が、前記サンプリングされた信号をフィルタリングすること、及び前記サンプリングされた信号とベースライン結果又は参照結果とを比較することのうちの1つ又は2つ以上を含む、実施態様3に記載の電動眼科レンズの機能を制御するための方法。
(5) 前記複数のセンサをサンプリングする工程が、前記決定信号の生成を増加させるために、制御する前記機能に直接関連しない外部状態及び生理学的変化のうちの少なくとも1つをサンプリングするように構成されたセンサをサンプリングすることを含む、実施態様1に記載の電動眼科レンズの機能を制御するための方法。
【0079】
(6) 電動眼科レンズであって、
光学ゾーンと、周縁ゾーンとを含むコンタクトレンズと、
前記コンタクトレンズの前記周縁ゾーン内に組み込まれた少なくとも1つの電子システムであって、複数のセンサと、前記電動眼科レンズの前記機能を制御するための方法を実行するように構成されたシステムコントローラと、少なくとも1つのアクチュエータとを含み、前記方法が、前記複数のセンサをサンプリングする工程と、閾値との比較及び所定のパターンとの比較を含む、前記複数のセンサからの結果を判定する工程と、単一の決定信号を生成するために、前記複数のセンサからの結果を集計する工程と、前記電動眼科レンズの機能の変化を実行するか、又は前記電動眼科レンズの機能を維持するために、前記単一の決定信号に基づいて前記アクチュエータを構成する工程とを含む、少なくとも1つの電子システムと、を備える、電動眼科レンズ。
(7) 電動眼科レンズであって、
コンタクトレンズと、
前記コンタクトレンズ内に組み込まれた少なくとも1つの電子システムであって、複数のセンサと、前記電動眼科レンズの前記機能を制御するための方法を実行するように構成されたシステムコントローラと、少なくとも1つのアクチュエータと、を含み、前記方法が、前記複数のセンサをサンプリングする工程と、閾値との比較及び所定のパターンとの比較を含む、前記複数のセンサからの結果を判定する工程と、単一の決定信号を生成するために、前記複数のセンサからの結果を集計する工程と、前記電動眼科レンズの機能の変化を実行するか、又は前記電動眼科レンズの機能を維持するために、前記単一の決定信号に基づいて前記アクチュエータを構成する工程とを含む、少なくとも1つの電子システムと、を備える、電動眼科レンズ。
(8) 電動眼科レンズであって、
眼内コンタクトレンズと、
前記眼内レンズ内に組み込まれた少なくとも1つの電子システムであって、複数のセンサと、前記電動眼科レンズの前記機能を制御するための方法を実行するように構成されたシステムコントローラと、少なくとも1つのアクチュエータと、を含み、前記方法が、前記複数のセンサをサンプリングする工程と、閾値との比較及び所定のパターンとの比較を含む、前記複数のセンサからの結果を判定する工程と、単一の決定信号を生成するために、前記複数のセンサからの結果を集計する工程と、前記電動眼科レンズの機能の変化を実行するか、又は前記電動眼科レンズの機能を維持するために、前記単一の決定信号に基づいて前記アクチュエータを構成する工程とを含む、少なくとも1つの電子システムと、を備える、電動眼科レンズ。
図1
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