特許第6385647号(P6385647)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6385647粒状ポリマー複合材料を含む光取り出し層
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385647
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】粒状ポリマー複合材料を含む光取り出し層
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/02 20060101AFI20180827BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20180827BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   H05B33/02
   H05B33/14 A
   H05B33/10
【請求項の数】5
【外国語出願】
【全頁数】49
(21)【出願番号】特願2013-92197(P2013-92197)
(22)【出願日】2013年4月25日
(65)【公開番号】特開2013-232410(P2013-232410A)
(43)【公開日】2013年11月14日
【審査請求日】2015年10月26日
(31)【優先権主張番号】61/639,439
(32)【優先日】2012年4月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/586,724
(32)【優先日】2012年8月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503055897
【氏名又は名称】ユニバーサル ディスプレイ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】チュアンジュン・シャ
(72)【発明者】
【氏名】ルイキン・マ
【審査官】 横川 美穂
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/093120(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/075201(WO,A1)
【文献】 特開2006−257308(JP,A)
【文献】 特開2010−256458(JP,A)
【文献】 特開2010−033851(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/00−33/28
H01L 51/50
H01L 27/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共有結合によって結合したポリマーを有する金属酸化物粒子を含む光学層を堆積させるステップ;及び
前記光学層と光学的に結合されている発光層を堆積させるステップ、
を含む、発光デバイスの製造方法であって、
前記光学層が、ポリマーマトリクス中に分散された散乱中心を含む散乱層を含み、かつ
前記散乱中心は金属酸化物粒子を含み、前記散乱中心は第一の組の散乱中心と第二の組の散乱中心を含み、散乱中心の第一の組のなかの散乱中心は50nmより大きな平均粒径を有し、散乱中心の第二の組のなかの散乱中心は50nmより小さな平均粒径を有する(ここで前記金属酸化物粒子は、インジウム錫オキシド(ITO)、SnO、Sb、TiO、ZrO、Ta、HfO、Nb、MgO、ZnO、及びInからなる群から選択される)、製造方法。
【請求項2】
前記光学層が、共有結合で結合したポリマーを有する金属酸化物粒子と、前記ポリマーがその中に可溶である溶媒とを含む溶液から堆積される、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記の共有結合によって結合したポリマーを有する金属酸化物粒子が、以下のステップ:開始剤を金属酸化物粒子に共有結合させて、開始剤が結合した金属酸化物粒子を形成するステップ;前記開始剤が結合した金属酸化物粒子を溶液中でモノマーと反応させるステップであって、前記反応が前記の金属酸化物粒子に結合された開始剤によって開始されるステップ、によって形成される、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記の共有結合したポリマーを有する金属酸化物粒子が、以下のステップ:反応性基を含むポリマーを形成させるステップ;及び、溶液中の前記ポリマーを金属酸化物粒子と反応させるステップであって、前記金属酸化物粒子はその表面に共有結合した有機化合物を有し、かつ前記ポリマーの反応性基が前記有機化合物と反応してポリマーを金属酸化物粒子に共有結合させるステップ、によって形成される、請求項2に記載の製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載の発光デバイスの製造方法であって、
光学層;
第一の電極;
小分子発光物質を含む発光層;及び
第二の電極、
を順に基板上に堆積させる工程(ここで、前記第一の電極が少なくとも部分的に透明である)を含む、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2012年4月27日に出願した米国仮特許出願第61/639,439号に基づく優先権を主張し、その出願を、本明細書に完全に明記しているようにその全体を参照により援用する。
【0002】
特許請求の範囲に記載した発明は、共同の大学・企業研究契約に関わる1つ以上の以下の団体:ミシガン大学評議員会、プリンストン大学、サザン・カリフォルニア大学、及びユニバーサル・ディスプレイ・コーポレーションにより、1つ以上の団体によって、1つ以上の団体のために、及び/又は1つ以上の団体と関係して行われた。上記契約は、特許請求の範囲に記載された発明がなされた日及びそれ以前に発効しており、特許請求の範囲に記載された発明は、前記契約の範囲内で行われた活動の結果としてなされた。
【0003】
本発明は、有機発光デバイス(OLED)に関する。特に、本発明は、OLED中の散乱層として用いた場合に、高められた安定性を有し、それによって光取り出しを向上させうるポリマー複合材料層に関連する。
【背景技術】
【0004】
有機物質を用いるオプトエレクトロニクスデバイスは、多くの理由によりますます望ましいものとなってきている。そのようなデバイスを作るために用いられる多くの物質はかなり安価であり、そのため有機オプトエレクトロニクスデバイスは、無機デバイスに対してコスト上の優位性について潜在力をもっている。加えて、有機物質固有の特性、例えばそれらの柔軟性は、それらを柔軟な基材上への製作などの特定用途に非常に適したものにしうる。有機オプトエレクトロニクスデバイスの例には、有機発光デバイス(OLED)、有機光トランジスタ、有機光電池、及び有機光検出器が含まれる。OLEDについては、有機物質は、従来の物質に対して性能上優位性をもちうる。例えば、有機発光層が発光する波長は、一般に、適切なドーパントで容易に調節することができる。
【0005】
OLEDは、そのデバイスを横切って電圧を印加した場合に光を発する薄い有機膜(有機フィルム)を用いる。OLEDは、フラットパネルディスプレイ、照明、及びバックライトなどの用途で用いるためのますます興味ある技術となってきている。いくつかのOLEDの物質と構成が、米国特許第5,844,363号明細書、同6,303,238号明細書、及び同5,707,745号明細書に記載されており、これらの明細書はその全体を参照により本明細書に援用する。
【0006】
燐光発光分子の一つの用途はフルカラーディスプレイである。そのようなディスプレイのための工業規格は、「飽和」色といわれる特定の色を発光するように適合された画素(ピクセル)を要求している。特に、これらの規格は、飽和の赤、緑、及び青の画素を必要としている。色はCIE座標を用いて測定でき、CIE座標は当分野で周知である。
【0007】
緑色発光分子の一例は、Ir(ppy)と表されるトリス(2-フェニルピリジン)イリジウムであり、これは以下の構造を有する。
【化1】
【0008】
この式及び本明細書の後の図で、窒素から金属(ここではIr)への供与結合は直線で表す。
【0009】
本明細書で用いるように、「有機」の用語は、有機オプトエレクトロニクスデバイスを製作するために用いることができるポリマー物質並びに小分子有機物質を包含する。「小分子(small molecule)」とは、ポリマーではない任意の有機物質をいい、「小分子」は、実際は非常に大きくてもよい。小分子はいくつかの状況では繰り返し単位を含んでもよい。例えば、置換基として長鎖アルキル基を用いることは、分子を「小分子」の群から排除しない。小分子は、例えばポリマー主鎖上のペンダント基として、あるいは主鎖の一部として、ポリマー中に組み込まれてもよい。小分子は、コア残基上に作り上げられた一連の化学的殻からなるデンドリマーのコア残基として働くこともできる。デンドリマーのコア残基は、蛍光性又は燐光性小分子発光体であることができる。デンドリマーは「小分子」であることができ、OLEDの分野で現在用いられている全てのデンドリマーは小分子であると考えられる。
【0010】
本明細書で用いるように「トップ」は、基材から最も遠くを意味する一方で、「ボトム」は基材に最も近いことを意味する。第一の層が第二の層の「上に配置される」と記載した場合は、第一の層は基材から、より遠くに配置される。第一の層が第二の層と「接触している」と特定されていない限り、第一の層と第二の層との間に別な層があってよい。例えば、カソードとアノードとの間に様々な有機層があったとしても、カソードはアノードの「上に配置される」と記載できる。
【0011】
本明細書で用いるように、「溶液処理(加工)可能」とは、溶液もしくは懸濁液の形態で、液体媒体中に溶解され、分散され、又は液体媒体中で輸送され、及び/又は液体媒体から堆積されうることを意味する。
【0012】
配位子が発光物質の光活性特性に直接寄与していると考えられる場合は、その配位子は「光活性」ということができる。配位子が発光物質の光活性特性に寄与していないと考えられる場合は、配位子は「補助」ということができるが、補助配位子は光活性配位子の特性を変えうる。
【0013】
本明細書で用いるように、かつ当業者によって一般に理解されているように、第一の「最高被占分子軌道」(HOMO)又は「最低空分子軌道」(LUMO)のエネルギー準位は、その第一のエネルギー準位が真空のエネルギー準位により近い場合には、第二のHOMO又はLUMOよりも「大きい」あるいは「高い」。イオン化ポテンシャル(IP)は真空準位に対して負のエネルギーとして測定されるので、より高いHOMOエネルギー準位は、より小さな絶対値をもつIPに対応する(より小さな負のIP)。同様に、より高いLUMOエネルギー準位は、より小さな絶対値をもつ電子親和力(EA)に対応する(より小さな負のEA)。上(トップ)に真空準位をもつ従来のエネルギー準位図の上では、物質のLUMOエネルギー準位はその同じ物質のHOMOエネルギー準位よりも高い。「より高い」HOMO又はLUMOエネルギー準位は、「より低い」HOMO又はLUMOエネルギー準位よりも、そのような図のトップのより近くに現れる。
【0014】
本明細書で用いるように、また当業者によって一般に理解されるように、第一の仕事関数は、その第一の仕事関数がより高い絶対値を有する場合には、第二の仕事関数よりも「大きい」あるいは「高い」。仕事関数は通常、真空準位に対して負の値として測定されるので、このことは「より高い」仕事関数は、より負であることを意味する。上(トップ)に真空準位をもつ従来のエネルギー準位図の上では、「より高い」仕事関数は真空準位から下向きの方向へさらに離れて図示される。したがって、HOMO及びLUMOエネルギー準位の定義は、仕事関数とは異なる慣例に従う。
【0015】
OLEDについてのさらなる詳細及び上述した定義は、米国特許第7,279,704号明細書に見ることができ、その全体を参照により本明細書に援用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第5,844,363号明細書
【特許文献2】米国特許第6,303,238号明細書
【特許文献3】米国特許第5,707,745号明細書
【特許文献4】米国特許第7,279,704号明細書
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Baldoら,“Highly Efficient Phosphorescent Emission from Organic Electroluminescent Devices”, Nature, vol. 395, 151-154, 1998
【非特許文献2】Baldoら,“Very high-efficiency green organic light-emitting devices based on electrophosphorescence”, Appl. Phys. Lett., vol. 75, No. 3, 4-6 (1999)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
[本発明のまとめ]
新しいタイプの発光デバイス及びその製造法を提供し、その発光デバイスは光学層を含み、その光学層は、その粒子表面に共有結合で結合したポリマーを有する金属酸化物粒子を含んでいる。
【0019】
いくつかの態様では、本発明は発光デバイスを製造する方法を提供し、その方法は以下のステップ:共有結合によって結合したポリマーを有する金属酸化物粒子を含む光学層を堆積させるステップ;及び、その光学層と光学的に結合されている発光層を堆積させるステップ、を含む。いくつかの態様では、その光学層は散乱層を含んでいる。いくつかのそのような態様では、散乱層はポリマーマトリクス中に分散された散乱中心(scattering centers)を含む。いくつかのそのような態様では、その散乱中心は金属酸化物粒子を含む。
【0020】
上述した金属酸化物粒子は、任意の好適な金属酸化物から選択することができる。いくつかの態様では、金属酸化物粒子は、インジウム錫オキシド(ITO)、SnO、Sb、TiO、ZrO、Ta、HfO、Nb、MgO、ZnO、及びInからなる群から選択される。いくつかのさらなる態様では、金属酸化物粒子はTiO、ZrO、及びSnOからなる群から選択される。いくつかの態様では、金属酸化物粒子はTiOである。
【0021】
光学層が散乱層を含む態様については、ポリマーマトリクスと散乱中心は任意の好適な屈折率を、それらが異なる限りにおいて有することができる。いくつかの態様では、ポリマーマトリクスと散乱中心の間の屈折率の差は0.1より大きい。いくつかのさらなる態様では、その差は0.3より大きい。
【0022】
散乱中心は、その寸法(サイズ)が発光を散乱させるために充分である限り、任意の好適な寸法を有することができる。いくつかの態様では、散乱中心は、λmin/4nから4×λmax/nの範囲の粒径を有し、式中、λminは発光層によって発せられる光の最小波長であり、λmaxは発光層によって発せられる光の最大波長であり、nは光学層の屈折率である。いくつかの態様では、散乱中心は50nmより大きな平均粒径を有する。いくつかの態様では、散乱中心は、3000nm未満の平均粒径を有する。
【0023】
いくつかの態様では、光学層は、50nm未満の平均粒径を有する金属酸化物粒子を含む。いくつかのそのような態様では、散乱層を含む光学層は、50nmより大きな平均粒径を有する散乱中心と、50nm未満の平均粒径を有する金属酸化物粒子を含む。
【0024】
光学層は任意の好適な方法で堆積させることができる。いくつかの態様では、光学層は、共有結合で結合したポリマーを有する金属酸化物粒子と、そのポリマーがその中に可溶である溶媒とを含む溶液から堆積される。任意の好適な堆積方法を用いることができる。いくつかの態様では、光学層は、スピンコーティング、インクジェット印刷、ナイフコーティング、スロットダイコーティング、スクリーン印刷、又はスプレーコーティングによって堆積される。
【0025】
上述した態様は、その粒子表面上に共有結合で結合されたポリマーを有する金属酸化物粒子を含む。金属酸化物粒子へのポリマーの共有結合は、任意の好適な手段によって達成できる。いくつかの態様では、それに共有結合で結合したポリマーを有する金属酸化物粒子は以下のステップ:開始剤を金属酸化物粒子に共有結合させて、開始剤が結合した金属酸化物粒子を形成するステップ;その開始剤が結合した金属酸化物粒子を溶液中でモノマーと反応させるステップであって、その反応がその金属酸化物粒子に結合された開始剤によって開始されるステップ、によって形成される。いくつかのそのような態様では、開始剤は、金属酸化物の表面と反応するアンカー基を含む。いくつかのそのような態様では、アンカー基は、アルコキシシラン類、クロロシラン類、カタコール類(catacols)、及びカルボン酸からなる群から選択される。いくつかの態様では、開始剤は、フリーラジカル重合開始剤、光重合開始剤、カチオン重合開始剤、又はアニオン重合開始剤として機能しうる開始基を含む。別の態様では、開始剤は、アゾ化合物、有機過酸化物、ブロモイソブチレート化合物、ニトロキシド化合物、ベンゾジチオレート化合物、アセトフェノン、ベンジル化合物、ベンゾイン(benzion)化合物、ベンゾフェノン化合物、及びチオキサントンからなる群から選択される。任意の好適なモノマーがそのような態様において使用できる。いくつかの態様では、モノマーは、エチレン、塩化ビニル、スチレン、アクリロニトリル、アクリレート、メチルメタクリレート、酢酸ビニル、及びそれらの誘導体からなる群から選択される。
【0026】
ポリマーを金属酸化物粒子に結合させる代替手段を用いることができる。いくつかの態様では、共有結合したポリマーを有する金属酸化物粒子は、以下のステップ:反応性基を含むポリマーを形成させるステップ;及び、溶液中のそのポリマーを金属酸化物粒子と反応させるステップであって、その金属酸化物粒子はその表面に共有結合した有機化合物を有し、かつそのポリマーの反応性基がその有機化合物と反応してポリマーを金属酸化物粒子に共有結合させるステップ、によって形成される。いくつかの態様では、ポリマーと有機化合物との間の反応は、クリックケミストリー(click chemistry)の使用を含む。任意の好適なポリマーを用いることができる。いくつかの態様では、ポリマーは、ポリスチレン類、ポリアリーレート類、ポリメタクリレート類、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、及びポリウレタンからなる群から選択される。
【0027】
ポリマーを金属酸化物粒子に結合させるそのほかの代替手段を用いることができる。いくつかの態様では、共有結合で結合したポリマーを有する金属酸化物粒子は、以下のステップ:溶液中の金属酸化物粒子をポリマーと反応させるステップであって、そのポリマーが反応性基を含み、その基が金属酸化物表面と反応してそのポリマーを金属酸化物粒子に結合させるステップ、によって形成される。任意の好適な反応性基を用いることができる。いくつかの態様では、反応性基は、クロロシラン類、アルコキシシラン類、カタコール類、及びカルボン酸からなる群から選択される。さらに、任意の好適なポリマーを用いることができる。いくつかの態様では、ポリマーは、ポリスチレン類、ポリアリーレート類、ポリメタクリレート類、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、及びポリウレタンからなる群から選択される。
【0028】
本発明は、特定の発光デバイスには限定されない。いくつかの態様では、発光デバイスは有機発光デバイスである。いくつかの態様では、発光デバイスは基板上に順に堆積された以下の層:光学層;第一の電極;小分子発光物質(例えば、2500Da以下の分子量を有するもの)を含む発光層;及び第二の電極を含み、第一の電極は少なくとも部分的に透明である。いくつかの態様では、小分子は有機金属錯体である。そのような態様では、デバイスはその他の層を含むことができる。例えば、いくつかの態様では、発光デバイスは、光学層を堆積させた後で、かつ第一の電極を堆積させる前に堆積された平坦化層をさらに含む。いくつかの態様では、障壁層が、第二の電極を堆積させた後で、かつ光学層を堆積させる前に堆積される。いくつかの態様では、第一の電極は光学層の上に直接堆積される。
【0029】
平坦化層を含む態様では、光学層と平坦化層は、任意の好適な屈折率を有することができる。いくつかの態様では、光学層と平坦化層は、実質的に同じ屈折率を有する。例えば、いくつかの態様では、光学層の屈折率は平坦化層の屈折率から5%の範囲内、15%の範囲内、又は15%の範囲内である。
【0030】
平坦化層は任意の適切な構造を有することができる。いくつかの態様では、平坦化層はポリマーと粒子とを含む複合物を含む。そのような態様では、ポリマーと粒子は任意の好適な光学特性を有することができる。いくつかの態様では、平坦化層は、第一の屈折率及び第一の体積占有率を有するポリマーと、第二の屈折率と第二の体積占有率を有する粒子とからなり、平坦化層の屈折率は、第一の屈折率に第一の体積占有率を掛けた値と第二の屈折率に第二の体積占有率を掛けた値との合計から10%以内である。いくつかの態様では、平坦化層は、第一の屈折率、第一の質量占有率、第一の密度を有し、ここで第一の割合が第一の質量占有率を第一の密度で割ることによって定義されるポリマーと、第二の屈折率、第二の質量占有率、第二の密度を有し、ここで第二の割合が第二の質量占有率を第二の密度で割ることによって定義される粒子とからなり、そして、平坦化層の屈折率に前述の第一の割合と第二の割合の合計を掛けた値が、第一の屈折率に第一の割合を掛けた値と第二の屈折率に第二の割合を掛けた値の合計から10%以内である。
【0031】
平坦化層は、複合材料、例えばポリマーコンポジット(高分子複合材料)を含めた任意の材料から作ることができる。いくつかの態様では、光学層は実質的に第一の材料のみからなり、平坦化層は実質的にその第一の材料のみからなる。いくつかのそのような態様では、第一の材料は、ポリマー複合材料、例えば、ポリマーマトリクスと粒子、例えば金属酸化物粒子を含むものである。光学層と平坦化層が両方とも粒子を含む態様では、その粒子は任意の粒径又は粒径分布を有することができる。いくつかのそのような態様では、光学層は第一の組の粒子を含み、かつ平坦化層は第二の組の粒子を含み、その第一の組の粒子の平均粒径が50nmより大きく、かつその第二の組の粒子の平均粒径が50nm未満である。
【0032】
発光デバイスの別の態様も含まれる。例えば、いくつかの態様では、その発光デバイスは、基板上に順に堆積された以下の層:第一の電極、小分子発光物質を含む発光層、及び第二の電極、並びに光学層、を含み、第二の電極は少なくとも部分的に透明である。そのような発光デバイスは、さらなる層を含むことができる。
【0033】
本発明の発光デバイスでは、光学層は、任意の好適な手段で堆積させることができる。いくつかの態様では、光学層を堆積させる工程は以下のステップ:第一の平均体積濃度割合を有する金属酸化物粒子を含む第一の副層(サブレイヤー)を堆積させるステップ、及び第二の平均体積濃度割合を有する金属酸化物粒子を含む第二の副層(サブレイヤー)を堆積させるステップを含み、ここでその第一の平均体積濃度割合と第二の平均体積濃度割合とが異なる。いくつかの別の態様では、光学層を堆積させる工程は以下のステップ:第一の平均粒径と第一の平均ポリマー鎖長を有するポリマー鎖とを有する金属酸化物粒子を含む第一の副層を堆積させるステップ、及び第二の平均粒径と第二の平均ポリマー鎖長を有するポリマー鎖とを有する金属酸化物粒子を含む第二の副層を堆積させるステップ、を含み、かつ以下の点:第一の平均粒径と第二の平均粒径、又は第一の平均ポリマー鎖長と第二の平均ポリマー鎖長のうち少なくとも1つの点で異なる。いくつかのなおさらなる態様では、光学層を堆積させる工程は以下のステップ:第一の平均粒径と第一の平均ポリマー鎖長を有するポリマー鎖を有する金属酸化物粒子を含む第一の副層を堆積させるステップ、及び第二の平均粒径と第二の平均ポリマー鎖長を有するポリマー鎖を有する金属酸化物粒子を含む第二の副層を堆積させるステップ、及び第三の平均粒径と第三の平均ポリマー鎖長を有するポリマー鎖を有する金属酸化物粒子を含む第三の副層を堆積させるステップを含み、各副層はそれに隣接する副層(1つ以上)のものとは異なる平均粒径又は平均ポリマー鎖長のうち少なくとも一つを有する。いくつかのそのような態様では、第一の副層は300nmの平均粒径を有し、第二の副層は250nmの平均粒径を有し、かつ第三の副層は200nmの平均粒径を有する。
【0034】
いくつかの代替の態様では、発光デバイスは、共有結合によって結合されたポリマーを有する金属酸化物粒子を含む光学層と、その光学層と光学的に結合されている発光層とを含む。いくつかのそのような態様では、その光学層は、第一の副層、第二の副層、及び第三の副層を含み、その副層のそれぞれはそれに隣接する複層(1つ以上)のものとは異なる屈折率を有する。
【0035】
いくつかのさらなる態様では、本発明には、以下のステップ:共有結合によって結合されたポリマーを有する金属酸化物粒子を含む光学層を堆積させるステップ、及びその光学層と光学的に結合された発光層を堆積させるステップからなる方法によって作製される発光デバイスが含まれる。
【0036】
本発明のさらなる態様及びさらなる側面を以下で詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は有機発光デバイスを示す。
図2図2は、別個の電子輸送層をもたない倒置型有機発光デバイスを示す。
図3図3は、粒子表面に共有結合によって結合されたポリマー鎖を有する金属酸化物粒子の製造方法を示している。
図4図4は、本発明の特定の態様にしたがう散乱層を有するOLEDデバイスの例を示す。
図5図5は、本発明の特定の態様にしたがう散乱層と平坦化層とを有するOLEDの例を示す。
図6図6は、各層が異なる屈折率を有する多層コーティングを示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
[詳細な説明]
一般に、OLEDは、アノードとカソードとの間に配置され且つそれらと電気的に接続された少なくとも1つの有機層を含む。電流が流された場合、有機層(1又は複数)にアノードは正孔を注入し、カソードは電子を注入する。注入された正孔と電子はそれぞれ反対に帯電した電極に向かって移動する。電子と正孔が同じ分子上に局在する場合、励起エネルギー状態を有する局在化された電子−正孔対である「励起子」が形成される。励起子が発光機構によって緩和するときに光が発せられる。いくつかの場合には、励起子はエキシマー又はエキシプレックス上に局在化されうる。非放射機構、例えば、熱緩和も起こりうるが、通常は好ましくないと考えられる。
【0039】
初期のOLEDは、一重項状態から光を発する(「蛍光」)発光性分子を用いており、例えば、米国特許第4,769,292号明細書(この全体を参照により援用する)に記載されているとおりである。蛍光発光は、一般に、10ナノ秒よりも短いタイムフレームで起こる。
【0040】
より最近、三重項状態から光を発する(「燐光」)発光物質を有するOLEDが実証されている。Baldoら,“Highly Efficient Phosphorescent Emission from Organic Electroluminescent Devices”, Nature, vol. 395, 151-154, 1998 (“Baldo-I”);
及び、Baldoら,“Very high-efficiency green organic light-emitting devices based on electrophosphorescence”, Appl. Phys. Lett., vol. 75, No. 3, 4-6 (1999) (“Baldo-II”)、これらを参照により全体を援用する。燐光は、米国特許第7,279,704号明細書の第5〜6欄に、より詳細に記載されており、これを参照により援用する。
【0041】
図1は有機発光デバイス100を示している。この図は、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。デバイス100は、基板110、アノード115、正孔注入層120、正孔輸送層125、電子阻止層130、発光層135、正孔阻止層140、電子輸送層145、電子注入層150、保護層155、およびカソード160を含みうる。カソード160は、第一導電層162および第二導電層164を有する複合カソードである。デバイス100は、記載した層を順次、堆積させることによって作製できる。これらの様々な層の特性及び機能、並びに例示物質は、米国特許第7,279,704号明細書の第6〜10欄により詳細に記載されており、これを参照により援用する。
【0042】
これらの層のそれぞれについてのより多くの例が得られる。例えば、可撓性且つ透明な基材−アノードの組み合わせが米国特許第5,844,363号明細書に開示されており、参照により全体を援用する。p型ドープ正孔輸送層の例は、50:1のモル比で、F−TCNQでドープしたm−MTDATAであり、これは米国特許出願公開第2003/0230980号公報に開示されているとおりであり、その全体を参照により援用する。発光物質及びホスト物質の例は、Thompsonらの米国特許第6,303,238号明細書に開示されており、その全体を参照により援用する。n型ドープ電子輸送層の例は、1:1のモル比でLiでドープされたBPhenであり、これは米国特許出願公開第2003/0230980号公報に開示されているとおりであり、その全体を参照により援用する。米国特許第5,703,436号明細書及び同5,707,745号明細書(これらはその全体を参照により援用する)は、上に重ねられた透明な電気導電性のスパッタリングによって堆積されたITO層を有するMg:Agなどの金属の薄層を有する複合カソードを含めたカソードの例を開示している。阻止層の理論と使用は、米国特許第6,097,147号明細書及び米国特許出願公開第2003/0230980号公報に、より詳細に記載されており、その全体を参照により援用する。注入層の例は、米国特許出願公開第2004/0174116号公報に提供されており、その全体を参照により援用する。保護層の記載は米国特許出願公開第2004/0174116号公報にみられ、その全体を参照により援用する。
【0043】
図2は倒置型(inverted)OLED200を示している。このデバイスは、基板210、カソード215、発光層220、正孔輸送層225、およびアノード230を含む。デバイス200は記載した層を順に堆積させることによって製造できる。最も一般的なOLEDの構成はアノードの上方に配置されたカソードを有し、デバイス200はアノード230の下方に配置されたカソード215を有するので、デバイス200を「倒置型」OLEDとよぶことができる。デバイス100に関して記載したものと同様の物質を、デバイス200の対応する層に使用できる。図2は、デバイス100の構造からどのようにいくつかの層を省けるかの1つの例を提供している。
【0044】
図1および2に例示されている簡単な層状構造は非限定的な例として与えられており、本発明の実施形態は多様なその他の構造と関連して使用できることが理解される。記載されている具体的な物質および構造は事実上例示であり、その他の物質および構造も使用できる。設計、性能、およびコスト要因に基づいて、実用的なOLEDは様々なやり方で上記の記載された様々な層を組み合わせることによって実現でき、あるいは、いくつかの層は完全に省くことができる。具体的に記載されていない他の層を含むこともできる。具体的に記載したもの以外の物質を用いてもよい。本明細書に記載されている例の多くは単一の物質を含むものとして様々な層を記載しているが、物質の組合せ(例えばホストおよびドーパントの混合物、または、より一般的には混合物)を用いてもよいことが理解される。また、層は様々な副層(sublayer)を有してもよい。本明細書において様々な層に与えられている名称は、厳格に限定することを意図するものではない。例えば、デバイス200において、正孔輸送層225は正孔を輸送し且つ発光層220に正孔を注入するので、正孔輸送層として、あるいは正孔注入層として説明されうる。一実施形態において、OLEDは、カソードとアノードとの間に配置された「有機層」を有するものとして説明できる。この有機層は単一の層を含むか、または、例えば図1および2に関連して記載したように様々な有機物質の複数の層をさらに含むことができる。
【0045】
具体的には説明していない構造および物質、例えばFriendらの米国特許第5,247,190号(これはその全体を参照により援用する)に開示されているようなポリマー物質で構成されるOLED(PLED)、も使用することができる。さらなる例として、単一の有機層を有するOLEDを使用できる。OLEDは、例えば、Forrestらの米国特許第5,707,745号(これはその全体を参照により援用する)に記載されているように積み重ねられてもよい。OLEDの構造は、図1および2に示されている簡単な層状構造から逸脱していてもよい。例えば、基板は、光取出し(out-coupling)を向上させるために、Forrestらの米国特許第6,091,195号(これはその全体を参照により援用する)に記載されているメサ構造、および/またはBulovicらの米国特許第5,834,893号(これはその全体を参照により援用する)に記載されているピット構造などの、角度の付いた反射表面を含みうる。
【0046】
特に断らないかぎり、様々な実施形態の層のいずれも、何らかの適切な方法によって堆積されうる。有機層については、好ましい方法には、熱蒸着(thermal evaporation)、インクジェット(例えば、米国特許第6,013,982号および米国特許第6,087,196号(これらはその全体を参照により援用する)に記載されている)、有機気相成長(organic vapor phase deposition、OVPD)(例えば、Forrestらの米国特許第6,337,102号(その全体を参照により援用する)に記載されている)、ならびに有機気相ジェットプリンティング(organic vapor jet printing、OVJP)による堆積(例えば、米国特許出願第10/233,470号(これはその全体を参照により援用する)に記載されている)が含まれる。他の適切な堆積方法には、スピンコーティングおよびその他の溶液に基づく方法が含まれる。溶液に基づく方法は、好ましくは、窒素または不活性雰囲気中で実施される。その他の層については、好ましい方法には熱蒸着が含まれる。好ましいパターニング方法には、マスクを通しての蒸着、圧接(cold welding)(例えば、米国特許第6,294,398号および米国特許第6,468,819号(これらはその全体を参照により援用する)に記載されている)、ならびにインクジェットおよびOVJDなどの堆積方法のいくつかに関連するパターニングが含まれる。その他の方法も用いることができる。堆積される物質は、それらを特定の堆積方法に適合させるために改変されてもよい。例えば、分枝した又は分枝していない、好ましくは少なくとも3個の炭素を含むアルキルおよびアリール基などの置換基が、溶液加工性を高めるために、小分子に用いることができる。20個又はそれより多い炭素を有する置換基を用いてもよく、3〜20炭素が好ましい範囲である。非対称構造を有する物質は対称構造を有するものよりも良好な溶液加工性を有しうるが、これは、非対称物質はより小さな再結晶化傾向を有しうるからである。デンドリマー置換基は、小分子が溶液加工を受ける能力を高めるために用いることができる。
【0047】
本発明の態様にしたがって作製したデバイスは、さらに任意選択により場合によっては障壁層(バリアー層)を含んでいてもよい。障壁層の一つの目的は、水分、蒸気、及び/又はガスなどを含めた環境中の有害な種類のものへの、障害を引き起こす曝露から、電極及び有機層を保護することである。障壁層(バリアー層)は、基板、電極の上、下、又は隣に、あるいは端部を含めたデバイスの任意の他の部分上に堆積させることができる。障壁層は単一層または多層からなることができる。障壁層は、様々な公知の化学蒸着法によって形成させることができ、単一相を有する組成物はもちろんのこと、多相を有する組成物を含んでいてもよい。任意の好適な材料又は複数材料の組み合わせを障壁層に用いることができる。障壁層は、無機又は有機化合物あるいはその両方を含むことができる。好ましい障壁層は、米国特許第7,968,146号明細書、PCT国際出願番号PCT/US2007/023098号明細書及びPCT/US2009/042829号明細書に記載されているように、ポリマー材料と非ポリマー材料の混合物を含み、これらの文献はその全体を参照により本明細書に援用する。「混合物」についてみると、障壁層を構成する前述したポリマー及び非ポリマー材料は、同じ反応条件下で及び/又は同時に堆積されるべきである。ポリマー材料と非ポリマー材料との質量割合は、95:5〜5:95の範囲にあってよい。ポリマー材料と非ポリマー材料は、同じ前駆体物質から作ってもよい。一つの例では、ポリマー材料と非ポリマー材料の混合物は、本質的に、高分子状シリコンと無機シリコンとからなる。
【0048】
本発明の実施形態により製造されたデバイスは多様な消費者製品に組み込むことができ、これらの製品には、フラットパネルディスプレイ、コンピュータのモニタ、医療モニター、テレビ、広告板、室内もしくは屋外の照明灯および/または信号灯、ヘッドアップディスプレイ、完全に透明な(fully transparent)ディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、レーザープリンタ、電話機、携帯電話、携帯情報端末(personal digital assistant、PDA)、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、カムコーダ、ビューファインダー、マイクロディスプレイ、乗り物、大面積壁面(large area wall)、劇場またはスタジアムのスクリーン、あるいは標識が含まれる。パッシブマトリクスおよびアクティブマトリクスを含めて、様々な制御機構を用いて、本発明にしたがって製造されたデバイスを制御できる。デバイスの多くは、18℃から30℃、より好ましくは室温(20〜25℃)などの、人にとって快適な温度範囲において使用することが意図されている。
【0049】
本明細書に記載した物質及び構造は、OLED以外のデバイスにおける用途を有しうる。例えば、その他のオプトエレクトロニクスデバイス、例えば、有機太陽電池及び有機光検出器は、これらの物質及び構造を用いることができる。より一般には、有機デバイス、例えば、有機トランジスタは、これらの物質及び構造を用いることができる。
【0050】
光学層は、ポリマー中の酸化物粒子の物理的混合物(例えば、懸濁物)を含む層を用いることができる。そのような材料にはいくつかの欠点があり、それには、得られる懸濁物の不安定さ、及び大面積を有する被覆表面に用いた場合の再現性の欠如が含まれる。ポリマーを酸化物粒子に共有結合によって結合させることによって、そのような障害は克服でき、それによってOLEDにおける光取り出し(アウトカップリング)のための光散乱層に用いるために適した材料を作ることができる。
【0051】
OLEDからの光の取り出しを向上させるためには、基板−空気界面での全反射によって基板中にトラップされる「導波モード」を取り出すために、光散乱層をデバイスのさまざまな位置に挿入することができる。
【0052】
米国特許第7,851,995号明細書には、アノード/有機導波光を取り出すための一つのアプローチが記載されている。内部抽出層(internal extraction layer, IEL)が用いられる。この構造は非常に複雑であり、3種の異なる材料:散乱層、固定層(secure layer)、及び高屈折率平坦化層(high index smoothing layer)からなる。散乱層についても記載されている。その散乱層は基板上に散乱性粒子の単層を堆積し、続いて固定性材料を堆積させることによって形成される。固定性材料を伴う散乱層が次に基板層から分離され、散乱層を露出させる。
【0053】
散乱層は、高屈折率の金属酸化物粒子、例えばTiO、低屈折率のバインダー、例えばポリマーを用いることによっても形成することができる。TiO粒子は、別のポリマー材料又は添加剤とともに溶媒中に物理的に分散されることができる。TiO粒子の表面は電荷を帯びているので、その粒子は有機溶媒とはそれほど相容性でなく、このことが均一に分散された懸濁液を作ることを困難にしている。したがって、そのような不均一な懸濁液から大きな面積にわたって均一な薄膜を形成させることは困難である。さらに、TiO粒子は溶媒中で凝集物を形成し、このことが粒子の粒径分布を制御することを難しくしている。これが膜の品質を低下させて、低い光取り出し性向上をもたらしている。
【0054】
少なくとも1つの側面では、本発明は、均一に分散された酸化チタン膜を作製する方法を提供し、それがその他の方法、例えば上述した方法の欠点を克服する。そのような方法は、安定なコーティング溶液をもたらし、粒径の制御と溶液中での粒子間の間隔を空けることをもたらし、このことが最適な光取り出し(アウトカップリング)の向上を可能にする。
【0055】
特定の化学基、例えば、アルコキシシラン類又はクロロシラン類は、酸化チタン粒子の表面に結合することができる。これらの化合物は、ラジカル又はイオン重合を開始することができる開始基を含むように修飾することができる。図3に示しているとおり、開始基102を含むシラン化合物が、共有結合によって、酸化チタン粒子101の表面に結合されている。そのような開始剤で被覆された粒子は、次にモノマーの存在下で溶媒中に分散される。特定の重合条件下で、開始剤104がモノマーと反応して鎖延長が始まると、ポリマー鎖103が粒子表面から成長できる。ポリマーの鎖長は、反応条件を調節することによって制御することができる。モノマーの選択によって、様々な屈折率をポリマーに対して達成することができる。表面開始重合をうけて、酸化チタン粒子はポリマー鎖によって囲まれ、これによってその粒子を、ポリマーが可溶な溶媒中に一般に可溶にし、その複合体が溶液から単独で又はその他の添加剤とともに加工処理されることを可能にする。優れた膜形成特性を達成できる。ポリマーの鎖長に応じて、酸化チタン粒子間の間隔を調節することができる。さらに、その修飾された粒子は凝集に抵抗する。異なる波長の光は、最適な散乱結果を達成するためには、異なる粒径の異なる粒子を必要としうる。この方法は、粒径を制御して、それによりそのような粒子を含む散乱層が発光特性に対して調節されることを可能にする。
【0056】
さらに、米国特許第7,851,995号明細書に記載されている複雑なコーティング法とは対照的に、上記材料は簡単な方法、例えば、スピンコーティングによって、表面上に容易に分散させることができる。図4には、上述した材料を用いたOLED100の構成を示している。このデバイスは、(a)溶液中の散乱物質を製造するステップ、(b)その溶液を基板101上にコーティングし、硬化させて基板101上に散乱層102を形成させ、(c)その散乱層の上面にOLEDデバイスを構築するステップによって作ることができ、そのOLEDはアノード103、発光構造体104、及び反射性電極105を含んでいる。
【0057】
その同じ材料は、可視光の波長よりずっと小さな径の粒子を用いることによって、高屈折率の平坦化層を作るために用いることができる。このことは、例えば、散乱層の表面が平坦でない場合に重要となりうる。図5は、散乱層102と平坦化層103の両方を含むOLED100を示している。このデバイスは、(a)溶液中の散乱性材料と高屈折率平坦化材料を製造するステップ、(b)基板101上にその散乱性材料をコーティングし、硬化させて基板101上に散乱層102を形成させるステップ、(c)その高屈折率平坦化材料をその散乱層102上にコーティングして、散乱層102上に平坦化層103を形成させるステップ、(d)その散乱層の上面にOLEDデバイスを作るステップによって作ることができ、このOLEDデバイスは、アノード104、発光構造体105、及び反射性電極106を含む。図4及び図5において、従来の底面発光OLEDが例として用いられている。本発明は、その他のOLED構造、例えば、透明及び上面発光OLEDにも適用することができる。
【0058】
いくつかの態様では、散乱層をOLEDデバイスに対して基板の反対側に適用して導波光を取り出すことができる。
【0059】
このシステムは、粒子濃度と粒子間の間隔を調節することによって、様々な屈折率を有するコーティングを作ることを可能にしている。このことは、変化する屈折率をもつシステム、例えば、勾配のある屈折率をもつ材料を作ることを可能にする。図6は異なる屈折率の多層コーティング(すなわちnコーティング)を有する構造100を示している。図6は2つの最初の2つのコーティング層101、102と、最後の2つのコーティング層103、104を示している。いくつかの態様では、例えば最初のコーティング101は、インジウム錫オキシド(ITO)の屈折率と適合する屈折率を有するように調節することができ、一方、最後のコーティング104はガラスの屈折率と適合する屈折率を有するように調節することができ、ここで中間にある層はそれぞれ続く層へ順次低下する屈折率を有する。そのような勾配のある屈折率構造は、OLED又はその他の光学デバイスに用いることができる。この場合、その様々な層の屈折率は、粒径とポリマー鎖長を調節することにより調整することができる。
【0060】
新しいタイプの発光デバイス及びその作製方法を提供し、その発光デバイスは、共有結合でその表面に結合したポリマーを有する金属酸化物粒子を含む光学層を含む。
【0061】
いくつかの態様では、本発明は、以下のステップ:共有結合で結合したポリマーを有する金属酸化物粒子を含む光学層を堆積させるステップ、及びその光学層と光学的に結合された発光層を堆積させるステップとを含む、発光デバイスの作製方法を提供する。いくつかの態様では、光学層は散乱層を含む。いくつかのそのような態様では、散乱層は、ポリマーマトリクス中に分散された散乱中心を含む。いくつかのそのような態様では、その散乱中心は金属酸化物粒子を含む。
【0062】
前述の金属酸化物粒子は、任意の好適な金属酸化物粒子から選択することができる。いくつかの態様では、金属酸化物粒子は、インジウム錫オキシド(ITO)、SnO、Sb、TiO、ZrO、Ta、HfO、Nb、MgO、ZnO、及びInからなる群から選択される。いくつかのさらなる態様では、金属酸化物粒子は、TiO、ZrO、及びSnOからなる群から選択される。いくつかの態様では、金属酸化物はTiOである。
【0063】
光学層が散乱層を含む態様については、ポリマーマトリクス及び散乱中心は、それらが互いに対して異なる限り、任意の好適な屈折率を有することができる。いくつかの態様では、ポリマーマトリクスと散乱中心との間の屈折率の差は0.1より大きい。いくつかのさらなる態様では、その差は0.3より大きい。
【0064】
散乱中心は、その径が発光を散乱するために充分である限り、任意の好適な粒径を有することができる。いくつかの態様では、散乱中心はλmin/4nから4×λmax/nの範囲の粒径を有し、式中、λminは発光層によって発せられる光の最小波長であり、λmaxは発光層によって発せられる光の最大波長であり、nはその光学層の屈折率である。いくつかの態様では、散乱中心は50nmより大きな平均粒径を有する。いくつかの態様では、散乱中心は3000nm未満の平均粒径を有する。
【0065】
いくつかの態様では、光学層は50nm未満の平均粒径を有する金属酸化物粒子を含む。いくつかのそのような態様では、光学層は、散乱層も含めて、50nmより大きな平均粒径を有する散乱中心と、50nm未満の平均粒径を有する金属酸化物粒子を含む。
【0066】
光学層は任意の好適な方法で堆積させることができる。いくつかの態様では、光学層は、共有結合で結合したポリマーを有する金属酸化物粒子と、そのポリマーが溶ける溶媒とを含む溶液から堆積される。任意の好適な堆積法を用いることができる。いくつかの態様では、光学層は、スピンコーティング、インクジェット印刷、ナイフコーティング、スロットダイコーティング、スクリーン印刷、又はスプレーコーティングによって堆積される。
【0067】
前述した態様には、粒子表面に共有結合で結合したポリマーを有する金属酸化物粒子が含まれる。金属酸化物粒子へのポリマーの共有結合による結合は、任意の好適な手段で達成できる。いくつかの態様では、共有結合で結合したポリマーを有する金属酸化物粒子は以下のステップ:金属酸化物粒子に開始剤を共有結合で結合させて、開始剤が結合した金属酸化物粒子を形成させるステップ;開始剤が結合した金属酸化物粒子を溶液中でモノマーと反応させるステップ、によって形成され、その反応は金属酸化物粒子に結合された開始剤によって開始される。いくつかのそのような態様では、開始剤は、金属酸化物の表面と反応するアンカー基を含む。いくつかの態様では、アンカー基は、アルコキシシラン類、クロロシラン類、カタコール(catacol)類及びカルボン酸からなる群から選択される。いくつかの態様では、開始剤は、フリーラジカル重合開始剤、光重合開始剤、カチオン重合開始剤、又はアニオン重合開始剤として機能することができる開始基を含む。その他の態様では、開始剤は、アゾ化合物、有機パーオキシド、ブロモイソブチレート化合物、ニトロキシド化合物、ベンゾジチオレート化合物、アセトフェノン、ベンジル化合物、ベンゾイン(benzion)化合物、ベンゾフェノン化合物、及びチオキサントンからなる群から選択される。任意の好適なモノマーをそのような態様において用いることができる。いくつかの態様では、モノマーは、エチレン、塩化ビニル、スチレン、アクリロニトリル、アクリレート、メチルメタクリレート、酢酸ビニル、及びそれらの誘導体からなる群から選択される。
【0068】
ポリマーを金属酸化物粒子に結合させる代替の手段を用いることができる。いくつかの態様では、共有結合で結合したポリマーを有する金属酸化物粒子は以下のステップ:反応性基を含むポリマーを形成させるステップ;そのポリマーを溶液中で金属酸化物粒子と反応させるステップによって形成され、ここで、金属酸化物粒子はそれらの表面に結合した有機化合物を有し、そのポリマーの反応性基がその有機化合物と反応してそのポリマーを金属酸化物粒子に共有結合で結合させる。いくつかの態様では、ポリマーと有機化合物との間の反応は、クリックケミストリー(click chemistry)の使用を含む。任意の好適なポリマーを用いることができる。いくつかの態様では、ポリマーは、ポリスチレン類、ポリアリーレート類、ポリメタクリレート類、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、及びポリウレタンからなる群から選択される。
【0069】
ポリマーを金属酸化物粒子に結合させるその他の代替の手段を用いることができる。いくつかの態様では、共有結合で結合したポリマーを有する金属酸化物粒子は以下のステップ:金属酸化物粒子を溶液中でポリマーと反応させるステップであって、そのポリマーが金属酸化物の表面と反応してそのポリマーを金属酸化物粒子に結合させる反応性基を含むステップ、によって形成される。任意の好適な反応性基を用いることができる。いくつかの態様では、反応性基は、クロロシラン類、アルコキシシラン類、カタコール類、及びカルボン酸からなる群から選択される。また、任意の好適なポリマーを用いることができる。いくつかの態様では、ポリマーは、ポリスチレン類、ポリアリーレート類、ポリメタクリレート類、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、及びポリウレタンからなる群から選択される。
【0070】
本発明は、いずれかの特定の発光デバイスに限定されない。いくつかの態様では、発光デバイスは有機発光デバイスである。いくつかの態様では、発光デバイスは基板の上に順に堆積された以下の層:光学層、第一の電極、小分子発光物質(例えば、2500Da以下の分子量を有するもの)を含む発光層、及び第二の電極を含み、第一の電極は少なくとも部分的に透明である。いくつかの態様では、その小分子は有機金属錯体である。そのような態様では、デバイスはその他の層を含むことができる。例えば、いくつかの態様では、発光デバイスは、光学層を堆積させた後かつ第一の電極を堆積させる前に堆積させた平坦化層をさらに含む。いくつかの態様では、障壁層(バリア層)を、第二の電極を堆積させた後かつ光学層を堆積させる前に堆積させる。いくつかの態様では、第一の電極は光学層の上に直接堆積させる。
【0071】
平坦化層を含む態様では、光学層と平坦化層は任意の屈折率を有することができる。いくつかの態様では、光学層と平坦化層は実質的に同じ屈折率を有する。例えば、いくつかの態様では、光学層の屈折率は、平坦化層の屈折率から5%以内、10%以内、又は15%以内である。
【0072】
平坦化は任意の好適な構造を有することができる。いくつかの態様では、平坦化層は、ポリマーと粒子を含む複合材料を含む。そのような態様では、ポリマーと粒子は任意の好適な光学特性を有することができる。いくつかの態様では、平坦化層は、第一の屈折率及び第一の体積占有率を有するポリマーと、第二の屈折率と第二の体積占有率を有する粒子とからなり、平坦化層の屈折率は、第一の屈折率に第一の体積占有率を掛けた値と第二の屈折率に第二の体積占有率を掛けた値との合計から10%以内である。いくつかの別の態様では、平坦化層は、第一の屈折率、第一の質量占有率、第一の密度を有し、ここで第一の割合が第一の質量占有率を第一の密度で割ることによって定義されるポリマーと、第二の屈折率、第二の質量占有率、第二の密度を有し、ここで第二の割合が第二の質量占有率を第二の密度で割ることによって定義される粒子とからなり、平坦化層の屈折率に前述の第一の割合と第二の割合の合計を掛けた値が、第一の屈折率に第一の割合を掛けた値と第二の屈折率に第二の割合を掛けた値の合計から10%以内である。
【0073】
平坦化層は、複合材料、例えばポリマーコンポジット(高分子複合材料)を含めた任意の材料から作ることができる。いくつかの態様では、光学層は実質的に第一の材料のみからなり、平坦化層は実質的にその第一の材料のみからなる。いくつかのそのような態様では、第一の材料は、ポリマー複合材料、例えば、ポリマーマトリクスと粒子、例えば金属酸化物粒子を含むものである。光学層と平坦化層が両方とも粒子を含む態様では、その粒子は任意の粒径又は粒径分布を有することができる。いくつかのそのような態様では、光学層は第一の組の粒子を含み、かつ平坦化層は第二の組の粒子を含み、その第一の組の粒子の平均粒径が50nmより大きく、かつその第二の組の粒子の平均粒径が50nm未満である。
【0074】
発光デバイスの別の態様も含まれる。例えば、いくつかの態様では、その発光デバイスは、基板上に順に堆積された以下の層:第一の電極、小分子発光物質を含む発光層、及び第二の電極、並びに光学層、を含み、ここで第二の電極は少なくとも部分的に透明である。そのような発光デバイスは、さらなる層を含むことができる。
【0075】
本発明の発光デバイスでは、光学層は、任意の好適な手段で堆積させることができる。いくつかの態様では、光学層を堆積させる工程は以下のステップ:第一の平均体積濃度割合を有する金属酸化物粒子を含む第一の副層(サブレイヤー)を堆積させるステップ、及び第二の平均体積濃度割合を有する金属酸化物粒子を含む第二の副層(サブレイヤー)を堆積させるステップを含み、ここでその第一の平均体積濃度割合と第二の平均体積濃度割合が異なる。いくつかの別の態様では、光学層を堆積させる工程は以下のステップ:第一の平均粒径と第一の平均ポリマー鎖長を有するポリマー鎖とを有する金属酸化物粒子を含む第一の副層を堆積させるステップ、及び第二の平均粒径と第二の平均ポリマー鎖長を有するポリマー鎖とを有する金属酸化物粒子を含む第二の副層を堆積させるステップを含み、かつ以下の点:第一の平均粒径と第二の平均粒径、又は第一の平均ポリマー鎖長と第二の平均ポリマー鎖長のうち少なくとも1つの点で異なる。いくつかのなおさらなる態様では、光学層を堆積させる工程は以下のステップ:第一の平均粒径と第一の平均ポリマー鎖長を有するポリマー鎖を有する金属酸化物粒子を含む第一の副層を堆積させるステップ、及び第二の平均粒径と第二の平均ポリマー鎖長を有するポリマー鎖を有する金属酸化物粒子を含む第二の副層を堆積させるステップ、及び第三の平均粒径と第三の平均ポリマー鎖長を有するポリマー鎖を有する金属酸化物粒子を含む第三の副層を堆積させるステップを含み、各副層はそれに隣接する副層(1つ以上)のものとは異なる平均粒径又は平均ポリマー鎖長のうち少なくとも一つを有する。いくつかのそのような態様では、第一の副層は300nmの平均粒径を有し、第二の副層は250nmの平均粒径を有し、かつ第三の副層は200nmの平均粒径を有する。
【0076】
いくつかの代替の態様では、発光デバイスは、共有結合によって結合されたポリマーを有する金属酸化物粒子を含む光学層と、その光学層と光学的に結合されている発光層とを含む。いくつかのそのような態様では、その光学層は第一の副層、第二の副層、及び第三の副層を含み、その副層のそれぞれはそれに隣接する複層(1つ以上)のものとは異なる屈折率を有する。
【0077】
いくつかのさらなる態様では、本発明には、以下のステップ:共有結合によって結合されたポリマーを有する金属酸化物粒子を含む光学層を堆積させるステップ、及びその光学層と光学的に結合された発光層を堆積させるステップからなる方法によって作製される発光デバイスが含まれる。
【0078】
いくつかの態様では、発光デバイスは有機発光デバイスである。上述した特徴に加えて、そのようなデバイスは、アノード、カソード、及びそのアノードとカソードの間に配置された有機発光層を含むことができる。有機発光層はホスト及び発光ドーパント、例えば、発光性燐光及び/又は蛍光ドーパントを含んでいてもよい。
【0079】
発光ドーパントを用いる態様では、そのようなドーパントは広い範囲のその他の物質と組み合わせることができる。例えば、発光ドーパントは、存在してもよい広い範囲のホスト、輸送層、阻止層、注入層、電極、及びその他の層と組み合わせて用いることができる。以下に記載し又は言及する物質は、本明細書に開示した化合物と組み合わせて有用でありうる物質の非限定的な例であり、当業者は組み合わせて有用であり得るその他の物質を同定するためにその文献を容易に参考にすることができる。
【0080】
〔HIL/HTL〕
【0081】
本発明に用いられる正孔注入/輸送物質は特に限定されず、その化合物が通常、正孔注入/輸送物質として用いられる限り任意の化合物を用いることができる。この物質の例には以下のものが含まれるがそれらに限定されない:
フタロシアニン又はポルフィリン誘導体;芳香族アミン誘導体;インドロカルバゾール誘導体;フルオロ炭化水素を含むポリマー;導電性ドーパントを伴うポリマー;導電性ポリマー、例えば、PEDOT/PSS;ホスホン酸及びシラン誘導体などの化合物から誘導される自己組織化モノマー;金属酸化物誘導体、例えば、MoO;p型半導体有機化合物、例えば、1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル;金属錯体、及び架橋性化合物。
【0082】
HIL又はHTLに用いられる芳香族アミン誘導体の例には以下の構造のものが含まれるがそれらに限定されない。
【化2】
【0083】
Ar〜Arのそれぞれは、芳香族炭化水素環式化合物からなる群、例えば、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、アズレン;芳香族ヘテロ環化合物からなる群、例えば、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンゾイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン、及びセレノフェノジピリジン;及び、前記の芳香族炭化水素環式基及び前記の芳香族ヘテロ環式基から選択された同じ種類又は異なる種類の基である2〜10の環状構造単位からなり、互いに直接又は少なくとも1つの酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位、及び脂肪族環式基を介して結合された基、から選択される。式中、各Arは、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基でさらに置換されている。
【0084】
一つの側面では、Ar〜Arは以下のものからなる群から独立に選択される。
【化3】
【0085】
kは1〜20の整数であり;X〜XはC(CHも含めて)又はNであり;Arは上で定義したものと同じ基を有する。
【0086】
HIL又はHTLに用いる金属錯体の例には以下の一般式のものが含まれるがそれらに限定されない。
【化4】
【0087】
Mは40より大きな原子量を有する金属であり;(Y−Y)は二座配位子であり、Y及びYは独立に、C、N、O、P、及びSから選択され;Lは補助配位子であり;mは1からその金属に結合しうる配位子の最大数までの整数値であり;m+nはその金属に結合しうる配位子の最大数である。
【0088】
一つの側面では、(Y−Y)は2−フェニルピリジン誘導体である。
【0089】
別の側面では、(Y−Y)はカルベン配位子である。
【0090】
別の側面では、Mは、Ir、Pt、Os、及びZnから選択される。
【0091】
さらなる側面では、この金属錯体は、溶液中でFc/Fcカップルに対して約0.6V未満の最小酸化電位を有する。
【0092】
〔ホスト〕
【0093】
本発明の有機ELデバイスの発光層は、発光物質として少なくとも金属錯体を含むことが好ましく、その金属錯体をドーパント物質として用いるホスト物質を含んでいてもよい。ホスト物質の例は特に限定されず、ホストの三重項エネルギーがドーパントの三重項エネルギーよりも大きい限り、任意の金属錯体又は有機化合物を用いることができる。後に示す表はさまざまな色を発光するデバイスに対して好ましいホスト物質を分類しているが、上記の三重項の基準を満たす限り、任意のホスト物質を任意のドーパントとともに用いることができる。
【0094】
ホストとして用いられる金属錯体の例は、以下の一般式を有することが好ましい。
【化5】
【0095】
Mは金属であり;(Y−Y)は二座配位子であって、Y及びYは独立にC、N、O、P、及びSから選択され;Lは補助配位子であり;mは1からその金属に結合しうる配位子の最大数までの整数値であり;且つ、m+nはその金属に結合しうる配位子の最大数である。
【0096】
一つの側面では、金属錯体は、
【化6】
である。
【0097】
(O−N)は二座配位子であり、金属をO及びN原子に配位させている。
【0098】
別の側面では、MはIr及びPtから選択される。
【0099】
さらなる側面では、(Y−Y)はカルベン配位子である。
【0100】
ホストとして用いられる有機化合物の例は、以下のものからなる群から選択される:芳香族炭化水素環状化合物、例えば、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、アズレン;芳香族ヘテロ環状化合物からなる群、例えば、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンゾイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン、及びセレノフェノジピリジン;並びに、前記の芳香族炭化水素環状基及び前記の芳香族ヘテロ環状基から選択される同じか又は異なる種類の基であり、且つ酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位、及び脂肪族環状基のうちの少なくとも1つを介して又は直接、互いに結合されている2〜10の環状構造単位からなる群。ここで各基は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基でさらに置換されている。
【0101】
一つの側面では、ホスト化合物はその分子内に以下の基のうちの少なくとも1つを含む:
【化7】
【0102】
〜Rは独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、それがアリール又はヘテロアリールである場合には、それは上述したAr類と同様の定義を有する。
【0103】
kは0〜20の整数である。
【0104】
〜XはC(CHも含めて)又はNから選択される。Z及びZはNR、O、又はXから選択される。
【0105】
〔HBL〕
【0106】
正孔阻止層(HBL)は、発光層を離れる正孔及び/又は励起子の数を減らすために用いることができる。デバイスにおけるそのような阻止層の存在は、阻止層をもたない類似のデバイスと比較して実質的に高い効率をもたらしうる。また、阻止層は、OLEDの所望の領域に発光を閉じ込めるために用いることもできる。
【0107】
一つの側面では、HBLに用いられる化合物は、上述したホストして用いられるものと同じ分子又は同じ官能基を含む。
【0108】
別の側面では、HBLに用いられる化合物は、その分子中に以下の基のうち少なくとも1つを含む:
【化8】
【0109】
kは0〜20の整数であり;Lは補助配位子であり、mは1〜3の整数である。
【0110】
〔ETL〕
【0111】
電子輸送層(ETL)は、電子を輸送できる物質を含むことができる。電子輸送層はその本来的性質(非ドープ)であるか、あるいはドープされていてもよい。ドーピングは導電性を高めるために用いることができる。ETL物質の例は特に限定されず、それらが電子を輸送するために通常用いられる限り、任意の金属錯体又は有機化合物を用いることができる。
【0112】
一つの側面では、ETLに用いる化合物は、その分子内に以下の基のうち少なくとも1つを含む。
【化9】
【0113】
は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、それがアリール又はヘテロアリールである場合には、それは上述したAr類と同様の定義を有する。
【0114】
Ar〜Arは上述したAr類と同様の定義を有する。
【0115】
kは0〜20の整数である。
【0116】
〜XはC(CHも含めて)又はNから選択される。
【0117】
別の側面では、ETLに用いられる金属錯体には以下の一般式のものが含まれるがこれらには限定されない。
【化10】
【0118】
(O−N)又は(N−N)は二座配位子であり、金属をO,N、又はN,N原子に配位させ;Lは補助配位子であり;mは、1からその金属に結合できる配位子の最大数までの整数値である。
【0119】
OLEDデバイスの各層に用いられる任意の上述した化合物においては、その水素原子は部分的に又は完全に重水素化されていることができる。したがって任意の具体的に挙げた置換基、例えば、限定されないが、メチル、フェニル、ピリジル等は、それらの重水素化されていないもの、部分的に重水素化されたもの、及び完全に重水素化されたものが含まれる。同様に、置換基の群、例えば、限定されないが、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリールなども、それらの重水素化されていないもの、部分的に重水素化されたもの、及び完全に重水素化されたものを包含する。
【0120】
本明細書に開示した物質に加えて、及び/又はそれと組み合わせて、多くの正孔注入物質、正孔輸送物質、ホスト物質、ドーパント物質、励起子/正孔阻止層物質、電子輸送及び電子注入物質をOLEDに用いてもよい。本明細書に開示した物質と組み合わせてOLEDに用いてもよい物質の非限定的な例を以下の表1に列挙している。表1には、非限定的な物質群、各群についての錯体の非限定的な例、及びその物質を開示している参考文献を挙げている。
【0121】
【表1】
【0122】
【表2】
【0123】
【表3】
【0124】
【表4】
【0125】
【表5】
【0126】
【表6】
【0127】
【表7】
【0128】
【表8】
【0129】
【表9】
【0130】
【表10】
【0131】
【表11】
【0132】
【表12】
【0133】
【表13】
【0134】
【表14】
【0135】
【表15】
【0136】
【表16】
【0137】
【表17】
【0138】
【表18】
【0139】
【表19】
【0140】
【表20】
【0141】
【表21】
【0142】
【表22】
【0143】
【表23】
【0144】
【表24】
【0145】
【表25】
【0146】
【表26】
【0147】
本明細書に記載した様々な態様は例示の目的であり、本発明の範囲を限定することを意図していないことが理解される。例えば、本明細書に記載した多くの物質及び構造は、本発明の精神から離れることなく、その他の物質及び構造で置き換えることができる。特許請求の範囲に記載した本発明は、したがって、本明細書に記載した具体的な例及び好ましい態様からの変形を含むことができ、それは当業者には明らかである。本発明が何故機能するのかについての様々な理論は限定することを意図していないことが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6