【実施例1】
【0026】
実施例1は無機絶縁膜のキャップ12を備えるSAWデバイスの例である。
図1(a)は実施例1に係る弾性波デバイスを例示する断面図である。
図1(b)は弾性波デバイスを例示する平面図であり、キャビティ12aの内壁は破線で示している。
図1(a)は
図1(b)の線A−Aに沿った断面を図示している。
【0027】
図1(a)に示すように、弾性波デバイス100は、基板10、キャップ12、IDT14、及び端子16を備える、SAW共振器またはSAWフィルタなどのSAWデバイスである。基板10の上面に、キャップ12、IDT14及びパッド18が設けられている。キャップ12は基板10と常温接合されている。例えばキャップ12と基板10との界面がアモルファス状態となることで接合されている、または接着剤を用いて接合されている。キャップ12の基板10と対向する面にはキャビティ12aが形成されている。IDT14及びパッド18は、キャップ12及び端子16によりキャビティ12a内に封止されている。キャビティ12aの深さD1は例えば5μmである。
図1(a)及び
図1(b)に示すように、キャップ12は基板10を覆い、IDT14を完全に囲む。
【0028】
図1(a)に示すように、キャップ12のパッド18と重なる位置に、キャップ12を厚さ方向に貫通し、キャビティ12aに接続する貫通孔12bが設けられている。貫通孔12bはキャップ12の上面からキャビティ12aに向けて細くなるようなテーパー形状を有する。貫通孔12bのキャップ12上面側の径R1は例えば150μm、下面側の径R2は例えば80μmである。キャップ12の上面の貫通孔12bを囲む領域から、貫通孔12bの内壁、及びキャップ12の下面の貫通孔12bを囲む領域にかけて、金属層20が連続的に設けられている。
【0029】
端子16はパッド18と電気的に接続され、IDT14とは離間している。端子16はキャビティ12aの内側から、貫通孔12bを通じ、キャップ12の上面の外へ引き出されている。また端子16は、金属層20に接合されており、貫通孔12bを充填している。端子16の表面にはメッキ層22が設けられている。
図1(b)に示すように、6個の端子16がキャップの上面から弾性波デバイス100の外部に露出する。端子16は、弾性波デバイス100と外部とを接続する外部端子として機能する。
【0030】
端子16を通じてIDT14に電圧を印加することで、IDT14は弾性波を励振する。IDT14はキャビティ12aに露出するため、IDT14による弾性波の励振は妨げられない。なおIDT14の両側には、弾性波をIDT14に向けて反射する反射器を設けてもよい。
【0031】
基板10は例えば厚さ180μmのタンタル酸リチウム(LiTaO
3)またはニオブ酸リチウム(LiNbO
3)などの圧電体により形成された圧電基板である。キャップ12は、例えばLiTaO
3またはLiNbO
3などの圧電体により形成されている。圧電体のキャップ12でIDT14を封止するため、樹脂封止の場合より気密性が高くなる。気密封止により水分及び異物の浸入が抑制され、IDT14の腐食、クラックの発生などが抑制される。基板10及びキャップ12の両方が圧電体からなるため、基板10及びキャップ12の熱膨張係数が近くなり、温度変化時の応力を抑制することができる。特に基板10及びキャップ12の両方を同じ材料で形成することで、応力を大きく抑制することができる。
【0032】
後述するようにパッド18には溶融した半田が濡れ広がる。半田の濡れ広がる面積を大きくし接合強度を高めるために、パッド18はある程度の厚さを有することが好ましい。パッド18は、例えば基板10に近い方から厚さ3μmのニッケル(Ni)及び厚さ0.04μmの金(Au)を積層して形成されている。端子16は例えば錫及び銀(Sn−Ag)を主成分とする半田により形成されている。金属層20は例えばAuなどの金属により形成されている。パッド18及び金属層20の表面は、上記のようにAuなど、半田に対する濡れ性の良好な材料とすることが好ましい。これにより、端子16がパッド18及び金属層20に濡れ広がりやすく、端子16とパッド18との電気的な接続が安定して行われる。また端子16が貫通孔12bを充填するため、キャビティ12aが密封され、気密性が高くなる。メッキ層22は例えば銅(Cu)などの金属により形成されている。メッキ層22が端子16を覆うため、弾性波デバイス100を外部の基板に実装する際に端子16の半田が流出することが抑制される。IDT14は例えばアルミニウム(Al)などの金属により形成されている。
【0033】
弾性波デバイス100の製造方法について説明する。
図2(a)から
図2(c)は弾性波デバイス100の製造方法のうち基板10の加工を例示する断面図である。
図3(a)から
図3(d)は弾性波デバイス100の製造方法のうちキャップ12の加工を例示する断面図である。
図4(a)から
図5(b)は弾性波デバイス100の製造方法のうち基板10とキャップ12とを接合した後の工程を例示する断面図である。
【0034】
図2(a)に示すように、ウェハ状態の基板10を用意する。
図2(b)に示すように、例えば蒸着・リフトオフ法により基板10の上面にIDT14を形成する。
図2(c)に示すように、例えば蒸着・リフトオフ法により基板10の上面にパッド18を形成する。基板10のキャップ12と接合する面は鏡面になっている。
【0035】
図3(a)に示すように、ウェハ状態のキャップ12を用意する。
図3(b)に示すように、例えばサンドブラスト法、レーザー光、またはエッチング処理により、キャップ12の下面にキャビティ12aを形成する。キャップ12の基板10と接合する部分は鏡面になっている。
図3(c)に示すように、レーザー光またはサンドブラスト法により、キャップ12の上面からキャビティ12aまで貫通するテーパー形状の貫通孔12bを形成する。
図3(d)に示すように、例えばメッキ処理により金属層20を形成する。
【0036】
図4(a)に示すように、キャビティ12aがIDT14と重なり、かつ貫通孔12bがパッド18と重なるようにキャップ12を基板10の上面に常温接合する。
図4(b)に示すように半田ボール17を設け、
図5(a)に示すように、半田ボール17を溶融させることで端子16を形成する。さらに
図5(b)に示すように、端子16を覆うメッキ層22を形成する。拡大図も参照し、端子16の形成について詳しく説明する。
【0037】
図6(a)から
図7(b)は貫通孔12b付近を拡大した断面図である。
図4(a)及び
図6(a)に示すように、貫通孔12bのキャップ12の上面側、下面側、及び内壁に金属層20が設けられている。
図4(b)及び
図6(b)に示すように、貫通孔12bの上に半田ボール17を配置する。半田ボール17の直径は貫通孔12bのキャップ12上面側の径より大きいため、半田ボール17は貫通孔12bから下に落下せず、キャップ12の上に保持される。
図5(a)及び
図7(a)に示すように、例えばリフロー処理またはレーザー光の照射により、半田ボール17を溶融させる。溶融した半田ボール17が金属層20に濡れ広がり、貫通孔12bを通じてキャビティ12a内に入り込み、パッド18に濡れ広がる。これにより、端子16が形成される。
図5(b)及び
図7(b)に示すように、例えばメッキ法により端子16の表面を覆うメッキ層22を形成する。
【0038】
溶融した半田が金属層20からパッド18にかけて濡れ広がるため、半田とパッド18との電気的な接続が確保される。金属層20はIDT14と厚さ方向において重なる位置には設けられていないため、半田がIDT14側に広がることが抑制され、短絡が発生し難い。貫通孔12bがテーパー形状を有するため、溶融した半田が貫通孔12bを通り、パッド18に向けて流れやすくなる。端子16とパッド18との接続が確保される。また貫通孔12bが端子16により塞がれるため、IDT14が気密封止される。
【0039】
図8はウェハ状態の弾性波デバイス100を例示する平面図である。
図3(a)から
図7(b)に示した工程により、
図8に示すように基板10及びキャップ12は共にウェハ状態のまま接合され、端子16がキャップ12から露出する。基板10及びキャップ12にダイシング処理を行うことにより、個片化された弾性波デバイス100が形成される。
【0040】
キャップ12をサファイアにより形成してもよい。サファイアの熱伝導率は樹脂より高いため、弾性波デバイス100の放熱性が高くなる。サファイアの熱膨張係数は小さく、ヤング率は大きい。このため基板10の膨張が抑制される。キャップ12を圧電体及びサファイアなど無機絶縁体により形成することで、気密性を高め、かつ弾性波デバイス100の温度特性を改善することができる。
【0041】
実施例1の変形例について説明する。
図9は実施例1の変形例に係る弾性波デバイス110を例示する断面図である。
図9に示すように、基板11を圧電基板30と、圧電基板30の下面に貼り付けられたサファイア基板32とにより形成する。圧電基板30の厚さは20μm、サファイア基板32の厚さは130μmキャップ12をサファイアで形成する。キャップ12及びサファイア基板32が高い熱伝導性を有するため、弾性波デバイス110の放熱性が高くなる。基板11はサファイア基板32を含み、キャップ12はサファイアからなるため、基板11の熱膨張係数がキャップ12の熱膨張係数と近くなる。従って、温度変化時の応力を抑制することができる。
【実施例2】
【0042】
実施例2はパッド18が柱状の例である。
図10は実施例2に係る弾性波デバイス200を例示する断面図である。
【0043】
図10に示すように、パッド18は基板10の上面から上方向に突出する突起18aを含む。突起18aの高さH1は例えば10μmであり、突起18aの上面はキャップ12の下面より上に位置し、貫通孔12bの内側に到達する。端子16は突起18a、パッド18及び金属層20に濡れ広がり、突起18aの上面及び側面を覆う。他の構成は弾性波デバイス100と同じである。
【0044】
弾性波デバイス200の製造方法について説明する。
図11(a)及び
図11(b)は弾性波デバイス200の製造方法を例示する断面図である。基板10の上面にIDT14を形成する(
図2(b)参照)。
図11(a)に示すように、さらにパッド18を基板10の上面に形成する。キャップ12を
図3(a)から
図3(d)に示した工程により加工する。
図11(b)に示すように、貫通孔12bに突起18aを挿入することで、キャップ12の位置合わせを行う。基板10とキャップ12とを常温接合する。
【0045】
端子16の形成については拡大を参照して説明する。
図12(a)及び
図12(b)は貫通孔12b付近を拡大した断面図である。
図12(a)に示すように、貫通孔12bの上に半田ボール17を配置する。
図12(b)に示すように、溶融された半田ボール17は突起18aの上面及び側面を覆うように濡れ広がる。これにより端子16が形成される。これ以降の工程は実施例1において説明した工程と同じである。
【0046】
実施例2によれば、突起18aを貫通孔12bに挿入することで、基板10とキャップ12との位置合わせの精度が高くなる。突起18aの上面から側面にかけて半田が濡れ広がる。半田との接触面積が大きくなるため、端子16とパッド18との接合が強固になる。また半田の体積を少なくすることができるため、低コスト化が可能となり、かつ半田がIDT14まで広がることが抑制される。突起18aの高さは変更可能である。貫通孔12bの内部に達しない突起18aを用いても半田との接合強度を高めることができる。上記のように精度の高い位置合わせのため、突起18aは貫通孔12bの内部に配置されることが好ましい。なお、例えば弾性境界波デバイスに実施例1及び2を適用してもよい。
【実施例3】
【0047】
実施例3はFBARを用いた弾性波デバイスの例である。
図13(a)は実施例3に係る弾性波デバイス300を例示する断面図である。
図13(b)はFBAR40を拡大した断面図である。
【0048】
図13(a)に示すように、キャビティ12a内にFBAR40が封止されている。
図13(b)に示すように、FBAR40は下部電極42、圧電薄膜44及び上部電極46を備える。基板10の上に下部電極42、下部電極42の上に圧電薄膜44、圧電薄膜44の上に上部電極46が積層されている。下部電極42と基板10の上面との間にはドーム状の空隙48が形成され、下部電極42は空隙48に露出している。下部電極42、圧電薄膜44及び上部電極46が厚さ方向に重なる共振領域49が弾性波を励振する機能部である。圧電薄膜44の開口部44aから露出する下部電極42の一部は、電気信号を取り出すための端子部として機能する。
図13(a)に示した端子16は、開口部44aから露出する下部電極42の一部、及び上部電極46に接続される。
【0049】
基板10は例えばシリコン(Si)などの無機絶縁体により形成されている。
図13(a)に示したキャップ12は、基板10と同じくSiで形成することができる。基板10とキャップ12の両方がSiで形成されることで、基板10の熱膨張係数がキャップ12の熱膨張係数と近くなり、温度変化による応力が抑制される。基板10及びキャップ12の電気抵抗が小さいと、端子16から基板10及びキャップ12に電流が流れ、信号の損失が大きくなる。電流を抑制するために、基板10及びキャップ12を例えば1kΩ・cm以上の高い抵抗を有するSiで形成することが好ましい。キャップ12を低抵抗のSiで形成し、かつ貫通孔12bの内壁と金属層20との間に絶縁層(不図示)を設けてもよい。キャップ12に流れる電流を抑制することができる。またキャップ12をガラスなどで形成してもよい。Siで形成された基板10とガラスで形成されたキャップ12とは、陽極接合で接合することができる。
【0050】
下部電極42と上部電極46とは、例えば厚さが250nmのルテニウム(Ru)により形成されている。圧電薄膜44は、例えば窒化アルミニウム(AlN)、又は酸化亜鉛(ZnO)などの圧電体により形成されている。
【実施例4】
【0051】
実施例4は弾性波デバイス100を備えるモジュールの例である。
図14は実施例4に係るモジュール400を例示する断面図である。
図14に示すように、モジュール400は、弾性波デバイス100、実装基板50、及びチップ部品70を備える。
【0052】
実装基板50は積層基板であり、絶縁層51〜56と導体層60〜66が交互に積層して形成されている。導体層間は、各絶縁層を貫通するビア配線67により電気的に接続されている。なお、複数のビア配線67の一部に符号を付した。
【0053】
弾性波デバイス100は実装基板50に実装されており、端子16が導体層66に含まれるパッドに接合されている。
図1(a)に示したように端子16がキャップ12の上面から突出しているため、
図14のようなフリップチップ実装を容易に行うことができる。チップ部品70は半田72を用いて、導体層66に含まれるパッドに電気的に接続されている。導体層60は実装基板50を外部の機器と接続するために用いられる。
【0054】
複数のチップ部品70はそれぞれ、インダクタ及びキャパシタなどの受動部品であり、不図示のアンテナと弾性波デバイス100との間のインピーダンスを整合させる。弾性波デバイス100は例えば受信フィルタ及び送信フィルタとして機能する。実装基板50には複数の弾性波デバイス100を実装してもよい。複数の弾性波デバイス100がデュプレクサとして機能する。絶縁層51〜56は、例えばガラスエポキシ樹脂などの樹脂、またはセラミックなどの絶縁体により形成されている。導体層61〜66及びビア配線67は例えばCuなどの金属により形成されている。