特許第6385652号(P6385652)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385652
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】スクリーンマスク
(51)【国際特許分類】
   B41F 15/36 20060101AFI20180827BHJP
【FI】
   B41F15/36 B
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-143345(P2013-143345)
(22)【出願日】2013年7月9日
(65)【公開番号】特開2014-117949(P2014-117949A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2016年7月6日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0147541
(32)【優先日】2012年12月17日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(72)【発明者】
【氏名】韓 政▲ウォン▼
【審査官】 加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−240129(JP,A)
【文献】 実開昭60−036232(JP,U)
【文献】 特開2008−207379(JP,A)
【文献】 特開平05−131332(JP,A)
【文献】 特開2011−011417(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0151468(US,A1)
【文献】 特開2007−169716(JP,A)
【文献】 特開2004−006257(JP,A)
【文献】 特開平11−020127(JP,A)
【文献】 特開2011−189670(JP,A)
【文献】 米国特許第06012388(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 15/00 − 15/46
B41N 1/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーン印刷に用いられるフレーム付きのスクリーンマスクであって、
パターンが形成されたマスクと、
前記マスクを所定の張力で支持するフレームと、
を含み、
前記フレームが、
固定フレームと、
前記マスクを支持し、前記固定フレームに移動可能に設けられる移動フレームと、
を含み、
前記移動フレームは複数個からなり、
前記複数の移動フレームはそれぞれ少なくとも二つの軸方向に移動が可能であり、
前記複数の移動フレームは全ての前記軸方向に個別的に移動が可能であり、
前記移動フレームを移動させることによって前記張力を調整することを特徴とする、ス
クリーンマスク。
【請求項2】
前記複数の移動フレームはそれぞれ、前記マスクと並ぶ平面上に位置した、互いに垂直な2つの軸方向に移動可能であることを特徴とする、請求項記載のスクリーンマスク。
【請求項3】
前記マスクは、長方形状であり、
前記複数の移動フレームはそれぞれ、前記マスクの互いに隣接した2つの辺と並ぶ方向に移動可能であることを特徴とする、請求項記載のスクリーンマスク。
【請求項4】
前記移動フレームは、
前記固定フレームに設けられた第1レールと、
前記第1レールに沿って移動可能で、前記第1レールと垂直な方向に形成された第2レールを備えた第1移動台車と、
前記第2レールに沿って移動可能で、前記マスクの周縁一側を支持する第2移動台車と、
を含むことを特徴とする、請求項記載のスクリーンマスク。
【請求項5】
前記移動フレームは、前記第1レール上に前記第1移動台車が位置し、前記第1移動台車の上部に形成された前記第2レール上に前記第2移動台車が位置することを特徴とする、請求項記載のスクリーンマスク。
【請求項6】
前記第1移動台車および前記第2移動台車は、ボールスクリューによって移動することを特徴とする、請求項記載のスクリーンマスク。
【請求項7】
前記ボールスクリューは、駆動モータまたは手動で駆動されることを特徴とする、請求項記載のスクリーンマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン印刷機に用いられるスクリーンマスクに関するものであって、より詳細には、張力調整手段が備えられたスクリーンマスクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
平板表示装置は、製造工程時に各機能に符合する機能層を基板上に形成する。
機能層は薄膜および厚膜工程で製作され、二重厚膜はスクリーン印刷工程、サンドブラスト工程、ドライフィルム工程などの方法で形成できる。
この時、スクリーン印刷方法は、生産効率が高く、工程費用が安価で、極度の精度が要求されない場合に幅広く利用されている。
このようなスクリーン印刷工程を利用して微細パターンを形成するためには、基板上に形成されるパターンと同一のパターンを有するマスク(mask)を整列し、パターンの原素材を基板上に印刷して所望のパターンを形成することが必要である。
この時、マスクは、最初製作後、必要な量だけ引張してマスクフレーム上に取り付けたり組み立てることでスクリーン印刷工程で使用している。
【0003】
一方、一般に、マスクが引張後取り付けられるマスクフレームは、高い加工精度を有する、固定された一つの本体として製作されている。
これにより、マスクが引張されて取り付けられた後は、それ以上マスク上に追加的な引張力の加減が不可能になる。
また、このようにマスク上に追加的な引張力の加減が不可能なため、最初にマスクを引張してマスクフレーム上に取り付ける過程を進行する過程で要求される精度を得るために多くの時間と努力が消耗し、仮に、誤ったマスクの引張および取り付け工程が進行した場合、使用されたマスクをマスクフレームから分離した後、再び取り付ける作業を進行したり、マスクを廃棄しなければならない場合が発生する。
さらに、スクリーン印刷工程の進行にマスクおよびマスクフレームが用いられた後、マスク上の開口部の大きさおよび均一度や位置精度の低減などの現象が発生することがあり、この時、従来のマスクは、マスクフレームから分離させた後、再び取り付ける作業を進行したり廃棄されなければならない問題が発生することがあった。
【0004】
図5は、スクリーン印刷に用いられるスクリーンマスクの平面図である。
この時、スクリーンマスク1は、パターンが形成されたマスク3と、マスク3が取り付け支持されるフレーム2とから構成され、フレーム2に一度取り付けられたマスク3は引張力の加減が不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第2002−0072869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一実施形態は、張力を精密に調整できるスクリーンマスクを提供しようとする。
本発明の一実施形態は、少なくとも2つの軸方向に張力を調整できるスクリーンマスクを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、スクリーン印刷に用いられるフレーム付きのスクリーンマスクであって、パターンが形成されたマスクと、前記マスクを所定の張力で支持するフレームと、を含み、前記フレームが、固定フレームと、前記マスクを支持し、前記固定フレームに移動可能に設けられる移動フレームと、を含み、前記移動フレームは複数個からなり、前記複数の移動フレームはそれぞれ少なくとも二つの軸方向に移動が可能であり、前記複数の移動フレームは全ての前記軸方向に個別的に移動が可能であり、前記移動フレームを移動させることによって前記張力を調整する、スクリーンマスクを提供する。
【0008】
の時、前記複数の移動フレームはそれぞれ、前記マスクと並ぶ平面上に位置した、互いに垂直な2つの軸方向に移動可能である。
【0009】
また、前記マスクは、長方形状であり、前記複数の移動フレームはそれぞれ、前記マスクの互いに隣接した2つの辺と並ぶ方向に移動可能である。
一方、前記移動フレームは、前記固定フレームに設けられる第1レールと、前記第1レールに沿って移動可能で、前記第1レールと垂直な方向に形成された第2レールを備えた第1移動台車と、前記第2レールに沿って移動可能で、前記マスクの周縁一側を支持する第2移動台車と、を含むことができる。
この時、前記移動フレームは、前記第1レール上に前記第1移動台車が位置し、前記第1移動台車の上部に形成された前記第2レール上に前記第2移動台車が位置することができる。
また、前記第1移動台車および前記第2移動台車は、ボールスクリューによって移動することができる。
この時、前記ボールスクリューは、駆動モータまたは手動で駆動できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、マスクを支持する複数の移動フレームが少なくとも2つの軸方向に移動可能であることにより、マスクの張力を精密に調整することができる。
本発明の一実施形態によれば、マスクを支持する張力を精密に調整可能であることにより、無駄なマスクの再設置および入れ替えを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態にかかるスクリーンマスクの斜視図である。
図2】本発明の一実施形態にかかるスクリーンマスクを用いたスクリーン印刷の様子を示す図である。
図3】本発明の一実施形態にかかるスクリーンマスクの平面図である。
図4図3におけるIV部分の拡大図である。
図5】従来のスクリーンマスクの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付した図面を参考にして、本発明の実施形態について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は、種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施形態に限定されない。
本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体において、同一または類似の構成要素については同一の図面符号を付す。図面に表示された各構成の大きさおよび厚さは、説明の便宜のために任意に示したものであるため、本発明は図示例に限定されない。
図1は、本発明の一実施形態にかかるスクリーンマスクの斜視図である。図2は、本発明の一実施形態にかかるスクリーンマスクを用いたスクリーン印刷の様子を示す図である。図3は、本発明の一実施形態にかかるスクリーンマスクの平面図である。図4は、図3におけるIV部分の拡大図である。
【0013】
図1を参照すると、本発明の一実施形態にかかるスクリーンマスク10は、スクリーン印刷工程に用いられる装置であって、マスク200と、フレーム100と、を含むことができる。
この時、マスク200は、印刷対象物、例えば、表示装置の基板に印刷するパターンが形成されている印刷用マスク(mask)であって、本発明の一実施形態によれば、マスク200は、金属などで構成されたマッシュ(mash)材質の部材に特定の乳剤(emulsion)を塗布し、印刷するパターンに対応する開口を形成する方式で構成できる。
この時、マスク200は、所定の張力で後述するフレーム100に支持できる。
【0014】
図2を参照すると、パターンを印刷する基板20上に、フレーム100によって所定の張力で支持されたマスク200を位置させ、マスク200上に供給される印刷材料40を加圧手段30を用いて加圧し、印刷材料40がマスク200に形成された開口(図示せず)を通過するようにすることにより、基板20上にパターンを印刷することができる。
この時、本発明の一実施形態にかかるスクリーンマスク10は、図2に矢印で示されているように、マスク200を支持するフレーム120、140が移動可能に構成されることにより、マスク200を支持する張力を調整することができるが、以下、マスク200を支持するフレーム100について詳細に説明する。
フレーム100は、前述のように、マスク200を支持する構成であって、マスク200を所定の張力で支持することができる。
この時、本発明の一実施形態によれば、フレーム100は、マスク200を支持する張力を調整できるように、固定フレーム120と、移動フレーム140と、を含むことができる。
固定フレーム120は、後述する移動フレーム140を支持する部材であって、本発明の一実施形態によれば、四角形の枠状に形成され得、金属などのような剛性材質で構成できる。
【0015】
しかし、固定フレーム120は、四角形状と金属材質に限定されず、多様な形態と材質で構成できる。
移動フレーム140は、マスク200を支持する構成であって、固定フレーム120に移動可能に設置できる。
この時、本発明の一実施形態によれば、移動フレーム140は、マスク200の周縁を固定支持することができる。
これにより、移動フレーム140を移動させることにより、移動フレーム140に固定されているマスク200の張力を調整することができる。
この時、本発明の一実施形態によれば、マスク200の周縁は、所定の締結手段(図示せず)を介して移動フレーム140に取り付け可能である。
この時、締結手段は、ボルトなどの公知の締結部材であり得、溶接方式によって構成されてもよい。
【0016】
しかし、締結手段は、これに限定されず、マスク200の周縁を移動フレーム140に固定するように取り付け可能であれば、多様な締結方式で構成できる。
一方、本発明の一実施形態によれば、移動フレーム140は、複数個からなり得る。
この時、本発明の一実施形態によれば、図1および図3に示されるように、複数の移動フレーム140は固定フレーム120上に設置され得、複数の移動フレーム140のそれぞれは個別的に移動可能である。
この時、本発明の一実施形態によれば、移動フレーム140は、少なくとも2つの軸方向に移動することができる。
この時、本発明の一実施形態によれば、図3に示されるように、複数の移動フレーム140のそれぞれは、マスク200と並ぶ平面上に位置した、互いに垂直な2つの軸方向に移動することができる。
【0017】
図3を参照すると、固定フレーム120およびマスク200は、長方形状であり得、この時、本発明の一実施形態によれば、固定フレーム120上に設けられた複数の移動フレーム140は、固定フレーム120またはマスク200の互いに隣接した2つの辺と並ぶ方向、つまり、x軸およびy軸方向に移動することができる。
これにより、本発明の一実施形態にかかるスクリーンマスク10は、複数の移動フレーム140を個別的に移動させることにより、フレーム100に支持されたマスク200の張力を精密に調整することができる。
この時、複数の移動フレーム140の個数が多いほど、張力の調整はより精密になり得るが、本発明の一実施形態によれば、移動フレーム140の個数は、マスク200および固定フレーム120の大きさ、必要な張力調整程度に応じて多様な個数で構成できる。
例えば、長方形状のマスク200の場合、最低限支持されるマスク200の一辺あたり1つ以上の移動フレーム140で構成できる。
前述のように、複数の移動フレーム140はそれぞれ、少なくとも2つの軸方向に移動することができるが、これを実現するための移動フレーム140の詳細な構造を以下に説明する。
【0018】
図4を参照すると、本発明の一実施形態にかかるスクリーンマスク10において、移動フレーム140は、個別的に2つの軸方向に移動可能に1つのユニット(unit)で構成できる。
本発明の一実施形態によれば、移動フレーム140は、第1レール141と、第1移動台車143と、第2移動台車145と、を含むことができる。
この時、第1レール141は、固定フレーム120の一側に形成され得、直線状のガイドレールを形成することができる。
この時、第1レール141は、固定フレーム120上に設置され得、図4を基準としてx軸方向に形成できる。
この時、本発明の一実施形態によれば、第1レール141は、長方形状のマスク200の一辺と並ぶ方向に形成できる。
【0019】
一方、第1移動台車143は、第1レール141に沿って移動可能な構成であって、第1移動台車143の一側には、前述した第1レール141に沿って移動可能に第1レール141に対応する手段が形成でき、第1移動台車143の他側には、第1レール141に垂直な方向の第2レール142が形成できる。
この時、本発明の一実施形態によれば、第2レール142は、第1移動台車143の上側に直線状に形成でき、図4を基準としてx軸に垂直なy軸方向に形成できる。
この時、本発明の一実施形態によれば、第2レール142は、長方形状のマスク200において、前述した第1レール141と並ぶ一辺に隣接した他の一辺と並ぶ方向に形成できる。
【0020】
一方、第2移動台車145は、第1移動台車143に形成された第2レール142に沿って移動可能な構成であって、マスク200の周縁一側を支持することができる。
この時、前述のように、マスク200の周縁一側は、第2移動台車145に公知の締結部材や溶接などの方式によって取り付け可能である。
このように、移動フレーム140は、第1レール141に沿ってx軸方向に移動する第1移動台車143と、第1移動台車143に形成された第2レール142に沿ってy軸方向に移動する第2移動台車145と、を含むことにより、2つの軸方向に移動可能であり、移動フレーム140に支持されたマスク200の張力を精密に調整することができる。
一方、本発明の一実施形態によれば、移動フレーム140は、ボールスクリューおよびリニアガイドなどを含むことができる。
これにより、第1レール141および第2レール142は、リニアガイドで構成でき、第1移動台車143および第2移動台車145は、ボールスクリューによって移動するように構成できる。
この時、前述したボールスクリューおよびリニアガイドは、駆動モータを介して自動方式で作動できる。
【0021】
しかし、これに限定されず、移動フレーム140の作動構造は多様な方式で構成可能であり、手動で作動するように構成されてもよい。
一方、本発明の一実施形態によれば、移動フレーム140は、図4に示されるように、前述した第1レール141、第1移動台車143、第2レール142および第2移動台車145が下部から上部方向に順次に配置できる。
これにより、簡単な構造だけで互いに垂直な2つの軸方向にマスク200の一側を移動させるように構成することができる。
このように、本発明の一実施形態にかかるスクリーンマスク10は、マスク200を支持する複数の移動フレーム140を少なくとも2つの軸方向に移動可能に構成することにより、マスク200を支持する張力を精密に調整することができる。
これにより、マスク200をフレーム100に設けた後、張力調整、位置調整などの必要に応じて無駄に再設置したり入れ替えなければならない問題を防止できるため、時間と費用を節約することができ、スクリーン印刷作業の効率を向上させることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施可能であり、これも本発明の範囲に属することは当然である。
【符号の説明】
【0022】
10:スクリーンマスク
100:フレーム
120:固定フレーム
140:移動フレーム
141:第1レール
142:第2レール
143:第1移動台車
145:第2移動台車
200:マスク
図1
図2
図3
図4
図5