(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係る電気掃除機の実施形態について
図1から
図11を参照して説明する。
【0009】
図1は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の外観を示す斜視図である。
【0010】
図1に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1は、いわゆるキャニスタ型の電気掃除機である。電気掃除機1は、被掃除面上を走行可能な掃除機本体2と、掃除機本体2に着脱自在な管部3と、を備える。掃除機本体2と管部3とは、流体的に接続されている。
【0011】
掃除機本体2は、本体ケース5と、本体ケース5の左右両側方にそれぞれ設けられている一対の車輪6と、本体ケース5の前半部に配置されている着脱自在な塵埃分離集塵装置7と、本体ケース5の後半部に収納されている電動送風機8と、主に電動送風機8を制御する本体制御部9と、電動送風機8へ電力を導く電源コード11と、を備えている。
【0012】
掃除機本体2は、電源コード11を経て供給される電力で電動送風機8を駆動させて、電動送風機8の駆動によって発生する負圧を管部3に作用させている。電気掃除機1は、管部3を通じて被掃除面から塵埃を含んだ空気(以下、「含塵空気」と呼ぶ。)を吸い込み、含塵空気から塵埃を分離し、分離後の塵埃を捕集し、蓄積するとともに分離後の空気を排気する。
【0013】
本体ケース5の正面部分には、本体接続口12が設けられている。本体接続口12は、掃除機本体2の流体的な入口であり、管部3と塵埃分離集塵装置7とを流体的に接続している。
【0014】
車輪6は、大径の走行輪であり、掃除機本体2を支えている。
【0015】
塵埃分離集塵装置7は、遠心分離方式で掃除機本体2に流れ込む含塵空気から塵埃を分離し、捕集し、蓄積する一方で、塵埃が除去された清浄な空気を電動送風機8へ送る。
【0016】
電動送風機8は、塵埃分離集塵装置7から空気を吸い込んで負圧(吸込負圧)を発生させる。
【0017】
本体制御部9は、マイクロプロセッサ(図示省略)、およびマイクロプロセッサが実行する各種演算プログラム、パラメータなどを記憶する記憶装置(図示省略)を備える。記憶装置には、予め設定される複数の運転モードが記憶されている。予め設定される複数の運転モードは、管部3で受け付けられる使用者の操作に対応している。それぞれの運転モードには、相互に異なる入力値(電動送風機8の入力値)が設定されている。本体制御部9は、管部3で受け付けられる使用者の操作に応じて、その操作内容に対応する任意の運転モードを予め設定される複数の運転モードから択一的に選択して記憶部から読み出し、読み出した運転モードにしたがって電動送風機8を制御する。
【0018】
電源コード11は、配線用差込接続器(図示省略、所謂コンセント)から掃除機本体2へ電力を供給する。電源コード11の自由端部には、差込プラグ14が設けられている。
【0019】
管部3は、掃除機本体2から作用する負圧によって、被掃除面から含塵空気を吸い込み掃除機本体2へ案内する。管部3は、掃除機本体2に着脱自在に接続されている継手としての接続管19と、接続管19に流体的に接続されている集塵ホース21と、集塵ホース21に流体的に接続されている手元操作管22と、手元操作管22から突出している把持部23と、把持部23に設けられている操作部24と、手元操作管22に着脱自在に接続されている延長管25と、延長管25に着脱自在に接続されている吸込口体26と、を備えている。
【0020】
接続管19は、本体接続口12へ着脱自在に接続される継手であり、本体接続口12を通じて塵埃分離集塵装置7に流体的に接続されている。
【0021】
集塵ホース21は、長尺で可撓な略円筒形状のホースである。集塵ホース21の一方の端部(ここでは、後方の端部)は、接続管19に流体的に接続されている。集塵ホース21は、接続管19を通じて塵埃分離集塵装置7に流体的に接続されている。
【0022】
手元操作管22は、集塵ホース21と延長管25とを中継している。手元操作管22の一方の端部(ここでは、後方の端部)は、集塵ホース21の他方の端部(ここでは、前方の端部)に流体的に接続されている。手元操作管22は、集塵ホース21および接続管19を通じて塵埃分離集塵装置7に流体的に接続されている。
【0023】
把持部23は、電気掃除機1を操作するために使用者が手で把持する部分である。把持部23は、使用者が手で容易に把持できる適宜の形状で手元操作管22から突出している。
【0024】
操作部24は、それぞれの運転モードに対応付けられるスイッチを備えている。具体的には、操作部24は、電動送風機8の運転停止操作に対応付けられる停止スイッチ24aと、電動送風機8の運転開始操作に対応付けられる起動スイッチ24bと、吸込口体26への電源供給に対応付けられるブラシスイッチ24cと、を備えている。停止スイッチ24aおよび起動スイッチ24bは、本体制御部9に電気的に接続されている。電気掃除機1の使用者は、操作部24を操作して電動送風機8の運転モードを択一的に選択できる。起動スイッチ24bは、電動送風機8の運転中に、運転モードの選択スイッチとしても機能している。この場合、本体制御部9は、起動スイッチ24bから操作信号を受け取る度に運転モードを強→中→弱→強→中→弱→………の順に切り換える。なお、操作部24は、起動スイッチ24bに代えて、強運転スイッチ(図示省略)、中運転スイッチ(図示省略)、および弱運転スイッチ(図示省略)を個別に備えていても良い。
【0025】
複数の筒状体を重ね合わせたテレスコピック構造の延長管25は、伸縮可能な細長略円筒状の管である。延長管25の一方の端部(ここでは、後方の端部)には、手元操作管22の他方の端部(ここでは、前方の端部)に着脱自在な継手構造が設けられている。延長管25は、手元操作管22、集塵ホース21および接続管19を通じて塵埃分離集塵装置7に流体的に接続されている。
【0026】
吸込口体26は、木床やカーペットなどの被掃除面上を走行自在または滑走自在であり、走行状態または滑走状態において被掃除面に対向する底面に吸込口28を有する。また、吸込口体26は、吸込口28に配置されている回転自在な回転清掃体29と、回転清掃体29を駆動させる電動機31と、を備えている。吸込口体26の一方の端部(ここでは、後方の端部)には、延長管25の他方の端部(ここでは、前方の端部)に着脱自在な継手構造が設けられている。吸込口体26は、延長管25、手元操作管22、集塵ホース21および接続管19を通じて塵埃分離集塵装置7に流体的に接続されている。つまり、吸込口体26、延長管25、手元操作管22、集塵ホース21、接続管19、および塵埃分離集塵装置7は、電動送風機8から吸込口28へ至る吸込風路である。電動機31は、ブラシスイッチ24cから操作信号を受け取る度に運転開始と停止とを交互に繰り返す。
【0027】
電気掃除機1は、起動スイッチ24bに対する使用者の操作を受け付けると電動送風機8を始動させる。例えば、電気掃除機1は、電動送風機8が停止している状態で起動スイッチ24bに対する操作を受け付けると、先ず電動送風機8を強運転モードで運転し、再び起動スイッチ24bに対する操作を受け付けると電動送風機8を中運転モードで運転し、三度、起動スイッチ24bに対する操作を受け付けると電動送風機8を弱運転モードで運転し、以下同様に繰り返す。強運転モード、中運転モードおよび弱運転モードは、予め設定される複数の運転モードであり、強運転モード、中運転モード、弱運転モードの順に電動送風機8に対する入力値が小さい。始動した電動送風機8は、塵埃分離集塵装置7から空気を排気してその内部を負圧にする。
【0028】
塵埃分離集塵装置7内の負圧は、本体接続口12、接続管19、集塵ホース21、手元操作管22、延長管25、および吸込口体26を順次に通じて吸込口28に作用する。電気掃除機1は、吸込口28に作用した負圧によって、被掃除面上の塵埃を空気とともに吸い込んで被掃除面を掃除する。塵埃分離集塵装置7は、電気掃除機1に吸い込まれた含塵空気から塵埃を分離し、蓄積する一方で、含塵空気から分離した空気を電動送風機8へ送る。電動送風機8は、塵埃分離集塵装置7から吸い込んだ空気を掃除機本体2外へ排気する。
【0029】
次に掃除機本体について詳細に説明する。
【0030】
図2は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の掃除機本体を左斜め前から示す斜視図である。
【0031】
図3は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の掃除機本体から塵埃分離集塵装置を取り外して左斜め前から示す斜視図である。
【0032】
図4は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の掃除機本体から塵埃分離集塵装置および外装を取り外して左斜め前から示す斜視図である。
【0033】
図5は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の掃除機本体から塵埃分離集塵装置、外装、および内ケースを取り外して左斜め前から示す斜視図である。
【0034】
図6は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の掃除機本体から塵埃分離集塵装置、外装、内ケース、コードリール、および電動送風機よりも上流側の風路を区画する各種部材を取り外して左斜め前から示す斜視図である。
【0035】
図7は、
図6に示す掃除機本体の分解斜視図である。
【0036】
図8は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の掃除機本体を示す平面図である。
【0037】
図9は、
図8のIX−IX線において、本発明の実施形態に係る電気掃除機の掃除機本体を示す断面図である。
【0038】
図2から
図9に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1の掃除機本体2は、塵埃分離集塵装置7をやや後方へ傾けた姿勢で着脱自在に保持している。掃除機本体2の上下方向は、水平な被掃除面に掃除機本体2を置いた場合の鉛直方向である。
【0039】
ここで先ず、遠心分離方式の塵埃分離集塵装置7は、含塵空気から繊維ゴミや、粒度の大きい砂粒などの粗塵を空気から遠心分離する第一分離室41と、第一分離室41で分離された粗塵を蓄積する集塵室42と、第一分離室41から粗塵の分離された空気を取り出す案内管43と、案内管43に接続されて粗塵の分離された空気から粒度の細かい粉状の細塵を空気から遠心分離する第二分離室45と、第二分離室45から細塵の分離された空気を取り出し、本体ケース5へ排気する排気管46と、を備えている。
【0040】
他方、本体ケース5は、接続管19と塵埃分離集塵装置7との間を流体的に接続する第一中継管51と、塵埃分離集塵装置7と電動送風機8との間を流体的に接続する第二中継管52と、第二中継管52と電動送風機8との間に設けられる濾過フィルタ53と、を備えている。本体ケース5の正面壁5aには、第一中継管51の出口55、および第二中継管52の入口56が配置されている。
【0041】
本体ケース5の第一中継管51は、接続管19に流れ込む含塵空気を塵埃分離集塵装置7へ案内する。塵埃分離集塵装置7の第一分離室41は、含塵空気から粗塵を分離する。集塵室42は、分離された粗塵を蓄積し、案内管43は、分離された空気を第二分離室45へ案内する。第二分離室45は、空気から細塵を分離し、第一分離室41および集塵室42の外殻を兼ねる塵埃カップ57へ廃棄する。排気管46は、細塵の分離された清浄な空気を本体ケース5へ送り出す。本体ケース5の第二中継管52は、清浄な空気を濾過フィルタ53へ送り、濾過フィルタ53は、清浄な空気に混入する微細塵を濾過して捕捉し、極めて清浄な空気を電動送風機8へ送る。
【0042】
本体ケース5内には、電動送風機8を収容する電動送風機ケース58が設けられている。電動送風機ケース58は、本体ケース5の右側に偏倚されている。電動送風機ケース58の左隣には、電源コード11を巻き取るコードリール59が設けられている。本体ケース5は、シャーシとしての下ケース61と、下ケース61に覆い被さって第一中継管51、第二中継管52、電動送風機ケース58、およびコードリール59を収容する内ケース62と、内ケース62と協働して掃除機本体2の後端部を覆う後ケース63と、内ケース62に覆い被さって掃除機本体2の意匠面の大部分を占める外装65と、を備えている。
【0043】
内ケース62は、電動送風機8を電動送風機ケース58ごと収容し、電動送風機8の排気が流通する排気風路67を区画している。また、内ケース62は、その大部分を外装65に覆い隠されている一方で、その後端部を掃除機本体2の後端部に露出させている。
【0044】
そして、掃除機本体2内に収容される電動送風機8は、掃除機本体2の略上下方向へ延びる回転軸71と、回転軸71に設けられる遠心ファン部72と、回転軸71に設けられて遠心ファン部72を駆動させるモータ部73と、回転軸71の延長線上に遠心ファン部72に通じる吸気口75が開口される筒形状の遠心ファンカバー76と、を備えている。
【0045】
また、掃除機本体2は、電動送風機8の遠心ファンカバー76の周囲に巻かれる環状の弾性部材81と、弾性部材81の周囲の一部に接し、残部を回避して掃除機本体2に電動送風機8を弾性的に支持させる保持枠体82と、を備えている。
【0046】
遠心ファンカバー76は、一方の端部を塞ぐ底壁76aを有し、他方の端部を開放されるカップ形状を有する。底壁76aの中央には、吸気口75が開口されている。開放端側はモータ部73に接続されて塞がれている。
【0047】
他方、モータ部73の下端には、排気口77が設けられている、排気口77は、電動送風機8が吸気口75から吸い込んだ空気の出口である。
【0048】
電動送風機ケース58は、電動送風機8の遠心ファンカバー76を下方側から支えてモータ部73を収容する電動送風機ケース下半体83と、電動送風機8の遠心ファン部72および遠心ファンカバー76の大部分を収容して電動送風機ケース下半体83に覆い被さる電動送風機ケース上半体85と、を備えている。電動送風機ケース上半体85は、濾過フィルタ53着脱自在に保持するフィルタ保持枠86を一体に備えている。電動送風機ケース下半体83の正面には、本体制御部9が保持されて、排気風路67中に配置されている。
【0049】
弾性部材81は、例えば発泡ゴムの成形品であり、遠心ファンカバー76の開放端側に巻き付けられている。弾性部材81は、遠心ファンカバー76の円形の側壁76bに倣い、径方向に薄い第一環状部87と、遠心ファンカバー76の円形の開放端に倣い、第一環状部87の内周面に設けられて中心線方向に薄い第二環状部88と、を備えている。第一環状部87は、遠心ファンカバー76の径方向を弾性的に支える。第二環状部88は、遠心ファンカバー76の上下方向を弾性的に支える。
【0050】
保持枠体82は、電動送風機ケース58に一体化され、電動送風機ケース下半体83の開口端に配置されている。保持枠体82は、弾性部材81を回避する残部に開口される重量軽減口89を複数、有している。重量軽減口89は、電動送風機ケース58、ひいては掃除機本体2の重量軽減に寄与すると同時に、弾性部材81と保持枠体82との接触面積を減少させている。複数の重量軽減口89は、整然と整列していても良いし、不等間隔に疎らに分散していても良い。弾性部材81と保持枠体82との接触面積の減少は、電動送風機8の振動による荷重によって弾性部材81を圧縮させる際の面圧を高め、ひいては弾性部材81を部分的に大きく変形させることに繋がり、つまり電動送風機8を柔らかく支持することに繋がる。
【0051】
また、保持枠体82は、重量軽減口89を窓状に区画して環状に繋がる環状枠部91を備えている。環状枠部91は、重量軽減口89よりも電動送風機8の吸気口75に近い側、本実施形態においては重量軽減口89の上側に配置されている。環状枠部91は、保持枠体82の開口端を環状に連続させることによって、電動送風機8が回転軸71を中心に遠心ファン部72を首振り運動のように振り回される振動モードに対する確実な保持を図る。
【0052】
弾性部材81は、重量軽減口89を閉じて空気の流通を妨げている一方で、保持枠体82と電動送風機8との間に挟まれる部位で電動送風機8の振動が本体ケース5に伝わることを防いでいる。
【0053】
ところで、電動送風機8は、掃除機本体2の上方へ向けて吸気口75を開口させている。電動送風機8を駆動させると、吸気口75は、減圧されて負圧になる。この電動送風機8の吸い込み負圧は、電動送風機8自体を上方へ引き上げ、電動送風機8の上方に配置される濾過フィルタ53へと電動送風機8を近づける。この吸い込み負圧による推進力は、電動送風機8を上方から吊り下げる。この電動送風機8の吊り下げ状態では、弾性部材81および保持枠体82は、電動送風機8の径方向および周方向の運動を保持することになり、特に径方向に働く振動による変位に追従して電動送風機8を保持する。つまり、保持枠体82は、電動送風機8の駆動時には、弾性部材81の周囲の一部に接し、残部を回避して前記掃除機本体に電動送風機8の径方向を弾性的に支持させている。
【0054】
他方、電動送風機8の非駆動時には、推進力を失った電動送風機8が重力によって掃除機本体2の下方へ下がるため、弾性部材81および保持枠体82は、遠心ファンカバー76の下縁部に接して、電動送風機8を下からも保持している。
【0055】
また、電動送風機ケース58は、コードリール59に対面する左側面58aに複数の排気口98、99を有する。排気口98、99から流出する空気は、コードリール59に巻き付けられる電源コード11を空冷する冷却風としても機能し、内ケース62および後ケース63の内側に吹き出す。内ケース62および後ケース63の内側に吹き出した空気は、内ケース62の後端部に開口される本体排気口92から掃除機本体2外へ排気される。つまり、内ケース62および後ケース63の内側は、電動送風機8の排気が流通する排気風路67である。
【0056】
排気口98は、複数の開口を有する開口群であり、電動送風機ケース下半体83の左側面83aに配置されている。排気口99も、複数の開口を有する開口群であり、電動送風機ケース上半体85の左側面85aに配置されている。
【0057】
次に、本体ケース5のうち、内ケース62および外装65について詳細に説明する。
【0058】
図10は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の内ケースおよび外装の内側を示す斜視図である。
【0059】
図11は、
図10に示すXI−XI線において、本発明の実施形態に係る電気掃除機の内ケースおよび外装を示す斜視断面図である。
【0060】
なお、
図10は、掃除機本体2の右側を覆う外装65を取り外した状態を示している。
【0061】
図2から
図9に加えて、
図10および
図11に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1の本体ケース5、は、電動送風機8が流動させる空気が流通する排気風路67を区画し、かつ排気風路67とは別に電動送風機8が流動させる空気が非流通であって電動送風機8の発する騒音を減衰させる隙間101を排気風路67よりも外観面に近い側に有している。
【0062】
具体的には、内ケース62は、その内側に電動送風機ケース58ごと電動送風機8を収容し、電動送風機8が流動させる空気が流通する排気風路67を区画している。内ケース62の外側には、外装65の内側を支える複数のリブ102が略等間隔に設けられている。複数のリブ102は、隙間101を複数の小空間103に区画している。
【0063】
外装65は、隙間101を隔てて内ケース62に覆い被さり掃除機本体2の外観を整えている。内ケース62は、外装65よりも比重が小さく、例えば内ケース62がポリプロピレンの成形品であり、外装65がABS樹脂の成形品である。
【0064】
隙間101は、内ケース62内の排気風路67から遮断された空間であり、内ケース62内の排気風路67との間で積極的な空気の流通を生じない。つまり、隙間101は、空気の流れによる例えば風切音のような騒音を発生させない一方で、内ケース62内に生じる空気の流れによる風切音や、電動送風機8の駆動音を遮断する。
【0065】
また、隙間101は、掃除機本体2の左右の両側方に設けられている。これにより、本体ケース5は、電動送風機8の駆動音や、コードリール59に吹き付ける空気による騒音が、掃除機本体2の左右の両側方へと漏れ出ることを防いでいる。
【0066】
本実施形態に係る電気掃除機1は、電動送風機8が流動させる空気が流通する排気風路67を区画し、かつ排気風路67とは別に電動送風機8が流動させる空気が非流通であって電動送風機8の発する騒音を減衰させる隙間101を有することによって、通気性のある防音材を排気風路67中に設けることなく、電動送風機8の排気による劣化のない防音効果を得る。
【0067】
また、本実施形態に係る電気掃除機1は、内ケース62と外装65との間に隙間101を有することにより、内ケース62内に電動送風機8を収容しつつ、電動送風機8の駆動音や、電動送風機8から流出する排気による騒音を内ケース62外側の隙間101および外装65で確実に防音できる。
【0068】
さらに、本実施形態に係る電気掃除機1は、内ケース62に比重の大きい材料を使用し、外装65に比重の軽い材料を使用することによって、内ケース62で本体ケース5の強度を必要程度に保ちつつ、外装65を軽くし、ひいては掃除機本体2の軽量化を図りつつ、隙間101による中空の防音構造で単に本体ケース5の壁の厚みを増すよりも高い防音効果を得ることができる。
【0069】
したがって、本実施形態に係る電気掃除機1によれば、電動送風機8の排気による防音性能の劣化のない防音構造を提供できる。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。