(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
心房細動などの心不整脈は、心臓組織の諸領域が、隣接組織に電気信号を異常に伝導することによって正常な心周期を遮断し、非同期的な律動を引き起こす場合に発生する。
【0003】
不整脈治療の手順としては、不整脈の原因となっている信号源を外科的に遮断する工程、並びにそのような信号の伝達経路を遮断する工程が挙げられる。カテーテルを介してエネルギーを印加して心臓組織を選択的にアブレーションすることによって、心臓の一部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を停止する又は変更することが可能な場合がある。このアブレーション処理は、非導電性の損傷部位を形成することによって望ましくない電気経路を破壊するものである。
【0004】
標的組織との物理的な電極の接触を実証することは、アブレーションエネルギーの送達を制御するために重要である。当該技術分野において、組織と電極との接触を実証する試みはこれまで広範に行われ、様々な技法が提案されてきた。例えば、米国特許第6,695,808号は、選択された患者の組織又は器官領域を処置するための装置を記載している。プローブは、その領域に押しつけられ得る接触面を有し、それにより接触圧を生じさせる。圧力変換器が接触圧を測定する。この構成は、接触力の存在及び規模の指標となる情報を機器のユーザーに提供することにより、医療機器を、解剖学的表面と過剰には接触しないが、しっかりと定置しなければならないという、処置の必要性を満たすと言われている。
【0005】
別の例として、米国特許第6,241,724号は、分割された電極アセンブリを使用して、体内組織中に損傷部位をつくるための方法を開示している。一実施形態では、カテーテルの電極アセンブリは圧力変換器を有し、これは組織との接触を感知して、圧力接触モジュールに信号を伝達する。モジュールは、圧力変換器信号に関連する電極要素を特定し、エネルギー生成機がこれらの要素に高周波エネルギーを伝達し、血液のみと接触する他の要素には伝達しないように指示する。
【0006】
米国特許第6,915,149号にも、更なる例が記載されている。この特許は、局所的な電気的活性を測定するための先端電極を有するカテーテルを使用して、心臓をマッピングするための方法を記載する。先端部と組織との接触不良から生じ得るアーチファクトを回避するために、先端部と組織の間の接触圧力が圧力センサを使用して測定され、安定的な接触を確保する。
【0007】
米国特許出願公開第2007/0100332号は、組織アブレーションのための、電極−組織間接触を評価するためのシステムと方法を開示している。カテーテルのシャフト内の電子機械的センサは、カテーテルシャフトの遠位部分内の電極の運動量に対応する電気信号を生成する。出力機器は、電極と組織間の接触のレベルを評価するために、この電気信号を受け取る。
【0008】
米国特許第7,306,593号(Keidarらに発行)は、体内でアブレーションされるべき組織にプローブを接触させ、組織をアブレーションする前にプローブを使用してその位置の1つ以上の局所パラメータを測定することにより、器官内の組織をアブレーションするための方法を記載する。器官のマップが表示され、1つ以上の局所パラメータに基づき、その位置においてプローブを用いて印加される所定用量のエネルギーに関し、達成される組織のアブレーションの予測される範囲を示す。プローブを使用して組織をアブレーションするために所定用量のエネルギーが印加され、組織のアブレーションに続いて、プローブを使用してその位置におけるアブレーションの実際の範囲が測定される。測定されたアブレーションの実際の範囲が、予測された範囲との比較のためにマップ上に表示される。
【0009】
カテーテル−組織間接触を評価するためのインピーダンスに基づく方法は、当該技術分野において既知であり、通常、カテーテル上の電極と身体表面電極の間のインピーダンスの大きさの測定に依存する。その大きさがある閾値より下である時、電極は組織と接触していると考えられる。しかし、このような2要素の接触指標は信頼性がない場合があり、身体表面の電極と皮膚の間のインピーダンスの変化に対して敏感である。
【0010】
参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2008/0288038号及び同第2008/0275465号(いずれもSauaravらによる)は、電気エネルギーを印加するように適応された電極を含み得る電極カテーテルシステムを記載している。インピーダンスを測定するために適応された測定回路を、電極が標的組織に接近する際に電極と地面の間に実装することができる。プロセッサ又は処理装置を実装して、測定回路によって測定されたインピーダンスのリアクタンスに少なくとも部分的に基づいて標的組織に関する接触状態を判定することができる。別の実施形態では、接触状態はインピーダンスの位相角に基づく場合がある。
【0011】
文献「Determinants of Lesion Size During Radiofrequency Catheter Ablation:The Role of Electrode−Tissue Contact Pressure and Duration of Energy Delivery」(David E.Haines,J.Cardiovasc Electrophysiol,Vol.2,pp.509〜515,Dec.1991)は、イヌの心筋の生体外モデルにおける、得られた損傷部位の大きさ上で、電極組織接触圧とRFエネルギー送達の持続時間を変化させることによる影響を説明した。大きな接触圧は、一定した電極−組織境界面の温度を維持するのに必要とされる電力を著しく減少させ、損傷部位の大きさを時間と共に単一指数関数的に増加させた。
【0012】
米国特許出願公開第2010/0298826号は、カテーテルをベースとしたアブレーションシステムにおける損傷部位の大きさの実時間予測に対する力の時間積分に関して説明している。この装置は、接触アブレーションプローブによって標的組織にかけられた力を測定し、接触アブレーションプローブの通電時間にわたる力を積分する。力の時間積分を計算し利用して、予測された損傷部位の大きさ(深さ、容量、及び/又は面積)をリアルタイムで提供することができる損傷部位の大きさのより改善した予測をもたらすために、おそらく、力の時間積分は標的組織に送達される電力における変化を説明すると言われている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の説明では、本発明の様々な原理の深い理解を与えるため、多くの具体的な詳細について記載する。しかしながら、これらの詳細は、必ずしも、本発明の実施のために常に全てが必要とされるものではない点は当業者には明らかであろう。この場合、一般的な概念を不要に曖昧にすることのないよう、周知の回路、制御論理、並びに従来のアルゴリズム及び処理に対するコンピュータプログラム命令の詳細については詳しく示していない。
【0021】
本発明の態様は、典型的には、コンピュータ可読媒体などの永久記憶装置内に維持される、ソフトウェアプログラミングコードの形態で具体化することができる。クライアント/サーバー環境において、このようなソフトウェアプログラミングコードは、クライアント又はサーバーに記憶される。ソフトウェアプログラミングコードは、ディスケット、ハードドライブ、電子媒体、又はCD−ROMなどの、データ処理システムと共に使用するための様々な既知の非一時的媒体のうちの、いずれかの上に具体化することができる。コードはこのような媒体上で配布でき、又は1つのコンピュータシステムのメモリー又は記憶装置からある種のネットワークを介して、別のコンピュータシステムのユーザーが使用するために、該別のシステム上の記憶装置に配布され得る。
【0022】
ここで図面を参照し、最初に
図1を参照すると、この図は、開示される本発明の一実施形態に基づいて構成され動作する、患者の心臓12に対してアブレーション手術を行うためのシステム10の描図である。このシステムは、患者の血管系を通じて、心臓12の室又は血管構造内に操作者16によって経皮的に挿入されるカテーテル14を備えている。一般的には医師である操作者16は、カテーテルの遠位先端部18を心臓壁のアブレーション標的部位と接触させる。必要に応じて、それらの開示内容を本明細書に援用するところの米国特許第6,226,542号及び同第6,301,496号、並びに本願と同一譲受人に譲渡された米国特許第6,892,091号に開示される方法に基づいて、電気的活性マップを作製することができる。システム10の各要素を具現化する市販製品の1つが、Biosense Webster,Inc.(3333 Diamond Canyon Road,Diamond Bar,CA 91765)によって生産されているCARTO(登録商標)3 Systemとして入手可能である。このシステムは、本明細書に記載される本発明の原理を具現化するように、当業者によって変更されることができる。
【0023】
例えば電気的活性マップの評価によって異常と判定された領域は、例えば心筋に高周波エネルギーを印加する遠位先端部18の1つ以上の電極に、カテーテル内のワイヤーを通じて高周波電流を流すことなどにより熱エネルギーを加えることによってアブレーションすることができる。エネルギーは組織に吸収され、それを電気的興奮性が恒久的に失われる点(典型的には約50℃)に加熱する。支障なく行われた場合、この手術によって心臓組織に非伝導性の損傷部位が形成され、この損傷部位が不整脈を引き起こす異常な電気経路を遮断する。本発明の原理を異なる心臓の室に適用することによって多くの異なる心不整脈を治療することができる。
【0024】
カテーテル14は通常、アブレーションを行うために操作者16が必要に応じてカテーテルの遠位端を方向転換、位置決め、及び方向決めすることを可能とする適当な制御部を有するハンドル20を備えている。操作者16を補助するため、カテーテル14の遠位部分には、コンソール24内に配置された位置決めプロセッサ22に信号を供給する位置センサ(図示せず)が収容されている。
【0025】
アブレーションエネルギー及び電気信号を、遠位先端部18に又は遠位先端部18の付近に配置される、1つ又は2つ以上のアブレーション電極32を通じて、コンソール24に至るケーブル34を介し、心臓12へ、及び心臓12から、搬送することができる。ペーシング信号及び他の制御信号は、コンソール24から、ケーブル34及び電極32を通して、心臓12へと搬送することができる。更にコンソール24に接続される感知電極33は、アブレーション電極32間に配置され、ケーブル34への結線を有する。
【0026】
コンソール24は、ワイヤー接続35によって身体表面電極30、及び位置決定サブシステムの他の構成要素と接続されている。電極32及び身体表面の電極30は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,536,218号(Govariら)に教示されるように、アブレーション部位での組織のインピーダンスを測定するために使用することができる。温度センサ(図示せず)、典型的には、熱電対又はサーミスタを、電極32の各々の上に、又は電極32の各々の付近に載置することができる。
【0027】
コンソール24には通常、1つ以上のアブレーション電力発生装置25が収容されている。カテーテル14は、例えば、高周波エネルギー、超音波エネルギー、及びレーザー生成光エネルギーなどの任意の周知のアブレーション技術を使用して心臓にアブレーションエネルギーを伝導するように適合させることができる。このような方法は、本明細書に援用するところの本願と同一譲受人に譲渡された米国特許第6,814,733号、同第6,997,924号、及び同第7,156,816号に開示されている。
【0028】
位置決めプロセッサ22は、カテーテル14の位置及び方向座標を測定する、システム10における位置決めサブシステムの要素である。
【0029】
一実施形態では、この位置決めサブシステムは、磁場生成コイル28を使用して、既定の作業体積内に磁場を生成し、カテーテルでのこれらの磁場を感知することによって、カテーテル14の位置及び配向を判定する、磁気位置追跡の配置構成を含む。位置決定サブシステムは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,756,576号、及び上記の米国特許第7,536,218号に教示されているインピーダンス測定を使用することができる。
【0030】
上述したように、カテーテル14はコンソール24に連結され、これにより操作者16がカテーテル14の機能を観察及び調節できるようになっている。コンソール24は、プロセッサ、好ましくは適当な信号処理回路を有するコンピュータを含む。プロセッサは、モニター29を駆動するように連結されている。信号処理回路は一般的に、カテーテル14の遠位側に配置された上述のセンサ及び複数の位置感知電極(図示せず)によって生成される信号を含むカテーテル14からの信号を、受信、増幅、フィルタリング、及びデジタル化する。デジタル化された信号はコンソール24及び位置決めシステムによって受信され、カテーテル14の位置及び配向を計算し、電極からの電気信号を分析するために使用される。
【0031】
簡略化のため図には示されていないが、通常、システム10には他の要素も含まれる。例えば、システム10は、1つ以上の身体表面電極からの信号を受信してECG同期信号をコンソール24に供給するように連結された心電図(ECG)モニターを含んでもよい。また、上記に述べたように、システム10は通常、患者の身体の外側に取り付けられ、外部から貼付された参照パッチ、又は心臓12に挿入され、心臓12に対して固定位置に維持された、体内に配置されたカテーテルのいずれかにおいて参照位置センサも有する。カテーテル14にアブレーション部位を冷却するための液体を通して循環させるための従来のポンプ及びラインが設けられている。
【0032】
ここで
図2を参照すると、
図2は、本発明の実施形態による、カテーテル14のアブレーション電極が移動して心臓12の壁37(
図1)と接触した時の接触力と、これによって生じた損傷部位の大きさの関係を示す合成製図である。本発明者らは、組織をアブレーションする際に飽和効果があるということを発見した。具体的には、所与のアブレーション時間間隔Tと所与の電力Pに関して、カテーテルによってかけられる様々な力Fに関する損傷部位の大きさSは、曲線41によって与えられ、
図2の下方部分に示される。曲線41は、力が増加するにつれ、損傷部位の大きさの変化率(dS/dF)、すなわち曲線の傾斜は減少する。(F
飽和,S
飽和の)点43は傾斜が事実上ゼロであり、アブレーションシステムの飽和点と一致し、その後も、F
飽和よりも大きい値に力を増加させても、損傷部位の大きさS
飽和は変化しない。
【0033】
飽和効果の知識は、アブレーション処置において(所与の力P及び時間間隔Tの)所望の損傷部位の大きさを生成するのに必要とされる力を決定するのに使用することができる。力Fに対する損傷部位の大きさSに関する式は以下のように書くことができる:
S=f(F,P,T) (1)
【0034】
心周期の間に生じる物理的変化による変動は、式(2)及び(3)により示されるように、経時的に積分により補正され得る:
【数1】
【0035】
アブレーション処置に先立って、式(1)は、経験的に決定された(力P及び時間間隔Tの様々な値に関する)値F、S、F
飽和、及びS
飽和を近似することによって、
図2に示されているものと類似の曲線を有する式にモデル化される。この値は、PCT特許公開WO 2011/034925号に記載されている損傷部位生成装置を使用して確立することができる。例えば、以下の形式の式が想定され得る:
【数2】
式中A及びcは定数であり、一般に予め確立されている。あるいは、それらは、実際のアブレーション処置の際に決定されてもよく、式(4)は、以下に説明されるように、所望の損傷部位の大きさを与えるために必要とされるF、P、及びTの値のセットを見つけるために使用されてもよい。次いで、この値を使用するアブレーションが実施され得る。
【0036】
飽和効果を近似するために、他の式(例えば適切に配向された双曲線を説明する式)を式(4)に置き換えてもよい。いずれの場合においても、見出された飽和効果は、損傷部位の大きさと、アブレーションを実施するカテーテルによりかけられる力との関係は線状ではないということを示している。その結果として、2つの変数の非線状の関係をモデリングすることは、線状の関係を仮定するよりも、損傷部位の大きさのより良い予測因子として作用する。
【0037】
アブレーション中、アブレーション電極32と壁37の間の接触力は、位置決めプロセッサ22(
図1)と併用して、位置センサを使用して、又は標的組織との物理的な電極の接触を実証するための上述した他の技法のいずれかによって、測定することができる。
【0038】
アブレーションによって所望の損傷部位の大きさSを生じさせるために、操作において、変数F、P、Tのうちの2つは定数として保持され、第3のものはランダムに、又は体系的に変更される。いずれの場合においても、飽和点(F
飽和,S
飽和)を超えないように、接触力は制限される。
【0039】
一実施形態において、電力レベル及び時間間隔は一定に保持され、アブレーション電力が特定の時間間隔で印加された時に、所望の損傷部位の大きさSが生成されるように、接触力はオペレータによって変更される。
【0040】
他の実施形態では、接触力は、予め決定され、カテーテル処置中にオペレータによって維持される。電力レベルもまた予め決められる。所望の損傷部位の大きさSを生じさせるために必要とされる時間間隔が、次いで、等式(1)又は(2)を解くことにより算出される。
【0041】
更に他の実施形態では、時間間隔及び接触力が予め決められ、接触力は、上記のとおりオペレータにより維持される。所望の損傷部位の大きさSを生じさせるために必要とされる電力が、次いで、等式(1)又は(2)を解くことにより算出される。
【0042】
全ての場合において、飽和点の検出により、多くの値の変数パラメータを試験する必要はない。
【0043】
上記の実施形態のいずれかにおける等式に対する解は、上記の方法を使用して、アブレーションに先立って構築された曲線の群を参照して、図表を用いて示すことができる。ここで
図3を参照すると、
図3は、本発明の実施形態による曲線45、47、49、51の例示の群を示す。アブレーションは、時間間隔T1〜T4それぞれを増加させ、アブレーションの電力レベルは一定のままであり、適用する力(F)は変数である。飽和点53、55、57、59(F
飽和,S
飽和)に対応する曲線は、好都合には、オペレータによって適用され得る最大力を示し、この曲線の後、損傷部位の大きさは増加することはないことを示しており、特定の条件下で損傷部位を生じさせるのに必要とされる時間間隔を更に示している。曲線の同様な群は、時間間隔で一定に保持されている時、及び接触力が一定に保持されている時に構築され得る。いずれの場合においても、飽和点53、55、57、59の左にある曲線は、不飽和領域と呼ばれる。
【0044】
ここで
図4を参照すると、
図4は、本発明の実施形態による、心臓アブレーション処置のシミュレータにより作られた心臓壁61の一部分のスクリーンディスプレイである。シミュレーションされたカテーテルの先端部63は、標的組織65付近に配置される。
【0045】
ここで
図5を参照すると、
図5は、オペレータの利益のために損傷部位67がシミュレーションされており、表示されていることを除いては、本発明の実施形態による
図4と同様のスクリーンディスプレイである。式(1)及び(2)は、選択されたパラメータを使用して飽和点を決定するように適用されている。標準値は:
P:30W;
F:5−0.39ニュートン(40gmf)、(ここで0.01ニュートン(1gmf)は標準重力において1グラムの質量の重量に等しい)。
T:60秒。
【0046】
ここで
図6を参照するが、
図6は、本発明の実施形態による
図4及び5と同様の別のスクリーンディスプレイである。シミュレーションされたアブレーションは進められ、シミュレーションされた融合性損傷部位69は、標的組織65及び2つの他の標的組織71、73におけるアブレーションの結果として形成された。
【0047】
ここで
図7を参照すると、
図7は、本発明の実施形態による、アブレーション電力制御の方法のフローチャートである。最初の工程75において、被験者の心臓にカテーテルが挿入される。心臓におけるアブレーションの標的は、既知の方法を使用して並行して決定されるか、又は予め決定されている。
【0048】
次いで、工程77において、パラメータが上記のとおり選択される。例えば、所与のアブレーション時間間隔T及び所与のアブレーション電力Pに関して、損傷寸法Sは、力Fに関して等式(1)を適用して予測される。上記のように、力Fの定数を保持し、時間間隔T又はアブレーション電力Pのいずれかを変化させることも可能である。予測された損傷部位は、
図4、
図5、及び
図6に示されているようにオペレータに対して表示されてもよい。
【0049】
次いで、工程79において、選択したパラメータF、P、Tの様々な値を使用して、例えば等式(2)を適用することによって飽和点が決定される。様々な条件が、既知の並行処理技法を使用して並行して調査されてもよい。
【0050】
ここで、制御は決定工程81に進み、工程81では、操作条件の元、工程77において決定された、及び不飽和領域において予測された損傷部位の大きさのうちの1つがアブレーションに好適であるかどうかが決定され、決定工程81における決定が否定的である場合、制御は工程77まで戻り、異なるパラメータF、P、Tが選択される。
【0051】
決定工程81における判定が肯定の場合、制御は最終工程83に進む。標的は、パラメータF、P、Tの選択された値を使用してアブレーションされ得る。
【0052】
当業者であれば、本発明は、上記に具体的に示し、説明したものに限定されない点は認識されるところであろう。むしろ、本発明の範囲は、上記に述べた異なる特性の組み合わせ及び一部の組み合わせ、並びに上記の説明文を読むことで当業者には想到されるであろう、従来技術ではない変形及び改変をも含むものである。
【0053】
〔実施の態様〕
(1) アブレーションの方法であって、
生きている被験者の体内にプローブを挿入する工程であって、前記プローブはアブレーション電極を有する、工程と、
前記アブレーション電極と標的組織の間の接触力、電力レベル、及び時間間隔を選択する工程と、
前記接触力において前記標的組織と接触する関係に前記アブレーション電極を配置することにより生じる損傷部位の大きさを予測しながら、前記接触力、前記電力レベル、及び前記時間間隔の非線形関数として、前記損傷部位の大きさをモデリングすることにより、前記標的組織のアブレーションのため前記標的組織に前記電力レベルにおけるエネルギーを、前記アブレーション電極を介して前記時間間隔で印加する工程と、
前記接触力、前記電力レベル、及び前記時間間隔のうちの1つを飽和点が見出されるまで増加させることによって、前記予測する工程を繰り返す工程であって、更なる増加は、予測損傷部位の大きさの増加にはならない、工程と、
前記予測する工程の繰り返しのうちの1つは望ましい損傷部位の大きさを予測するということを確立する工程と、
前記標的組織と接触している関係へと、前記アブレーション電極を促す工程と、
前記1つの繰り返しの前記接触力、前記電力レベル及び前記時間間隔を使用して、前記標的組織をアブレーションする工程と、を含む、方法。
(2) 前記予測する工程を繰り返す工程を行いながら、前記予測を図表を用いて表示する工程を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記予測する工程を繰り返す工程は、前記接触力を変化させる工程と、前記電力レベル及び前記時間間隔を一定レベルに保持する工程とを含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記予測する工程を繰り返す工程は、前記電力レベルを変化させる工程と、前記接触力及び前記時間間隔を一定レベルに保持する工程とを含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記予測する工程を繰り返す工程は、前記時間間隔を変化させる工程と、前記接触力及び前記電力レベルを一定レベルに保持する工程とを含む、実施態様1に記載の方法。
【0054】
(6) アブレーション装置であって、
生きている被験者の心臓内への挿入のために適合され、前記心臓内の標的組織と接触させるための、遠位に配置されたアブレーション電極を有する、可撓性カテーテルと、
前記標的組織をアブレーションするように、前記標的組織にある電力レベルにおけるある投与量のエネルギーを適用するように動作するアブレータと、
前記被験者に取り付けられる身体表面電極を備えるインピーダンス測定システムであって、前記身体表面電極と前記アブレーション電極の間に電流を通すための回路を有する、インピーダンス測定システムと、
前記アブレーション電極と前記標的組織の間の所与の接触力、前記電流におけるエネルギーの量、及び前記電流が前記アブレーション電極を通過する時間間隔の関係により、損傷部位の大きさを予測するためのプロセッサであって、前記プロセッサは、前記接触力、前記電力レベル、及び前記時間間隔から選択されたパラメータの非線形関数として、飽和点が見出されるまで前記損傷部位の大きさを予測する工程の繰り返しを実行するように動作しており、前記パラメータの増加は、予測された損傷部位の大きさの増加にはならない、プロセッサと、
前記損傷部位の大きさを予測する工程の選択された繰り返しにおける前記接触力、前記電力レベル、及び前記時間間隔の値において、前記アブレータを操作するための制御回路と、
前記予測された損傷部位の大きさの視覚的指標を表示するように動作する、前記プロセッサに連結されたモニターと、を備える、アブレーション装置。
(7) 前記損傷部位の大きさを予測する工程の繰り返しは、前記接触力を変化させる工程と、前記電力レベル及び前記時間間隔を一定のレベルで保持する工程と、を含む、実施態様6に記載のアブレーション装置。
(8) 前記損傷部位の大きさを予測する工程の繰り返しは、前記電力レベルを変化させる工程と、前記接触力及び前記時間間隔を一定のレベルで保持する工程と、を含む、実施態様6に記載のアブレーション装置。
(9) 前記損傷部位の大きさを予測する工程の繰り返しは、前記時間間隔を変化させる工程と、前記接触力及び前記電力レベルを一定のレベルで保持する工程と、を含む、実施態様6に記載のアブレーション装置。