特許第6385673号(P6385673)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385673
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】乾燥粉末薬物送達システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 15/00 20060101AFI20180827BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20180827BHJP
   A61K 9/72 20060101ALI20180827BHJP
   A61K 31/495 20060101ALI20180827BHJP
   A61K 38/22 20060101ALI20180827BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20180827BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20180827BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20180827BHJP
   A61P 9/08 20060101ALI20180827BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20180827BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   A61M15/00 Z
   A61K9/14
   A61K9/72
   A61K31/495
   A61K38/22
   A61K45/00
   A61K47/22
   A61P9/00
   A61P9/08
   A61P25/00
   A61P43/00 121
【請求項の数】13
【全頁数】66
(21)【出願番号】特願2013-516701(P2013-516701)
(86)(22)【出願日】2011年6月21日
(65)【公表番号】特表2013-530756(P2013-530756A)
(43)【公表日】2013年8月1日
(86)【国際出願番号】US2011041303
(87)【国際公開番号】WO2011163272
(87)【国際公開日】20111229
【審査請求日】2014年6月19日
【審判番号】不服2016-15343(P2016-15343/J1)
【審判請求日】2016年10月13日
(31)【優先権主張番号】61/411,775
(32)【優先日】2010年11月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/357,039
(32)【優先日】2010年6月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503208552
【氏名又は名称】マンカインド コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100109449
【弁理士】
【氏名又は名称】毛受 隆典
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】スマットニー、チャド シー
(72)【発明者】
【氏名】アダモ、ブノア
(72)【発明者】
【氏名】ポリドロ、ジョン エム
(72)【発明者】
【氏名】キンゼイ、ピー スペンサー
(72)【発明者】
【氏名】オーバーフィールド、デニス
(72)【発明者】
【氏名】サヒ、カール
(72)【発明者】
【氏名】ビリングス、クリスティン
(72)【発明者】
【氏名】マリーノ、マーク ティー
【合議体】
【審判長】 高木 彰
【審判官】 長屋 陽二郎
【審判官】 関谷 一夫
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0308390(US,A1)
【文献】 特表2009−507931(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)マウスピースと、
b)乾燥粉末を保持するように構成されており、チャンバーを備える容器ハウジングと、
c)少なくとも1つの空気導管とを備え、
吸入器の一部分には、前記吸入器を通る空気の体積の20%から70%のための第1の流路が定められていて、前記第1の流路は前記容器ハウジングおよび前記チャンバーを通る入口部から前記マウスピースへと延びており、
前記吸入器の一部分には、前記吸入器を通る空気の体積の30%から80%のための第2の流路が定められていて、前記第2の流路は前記チャンバーへの前記入口部を迂回して前記チャンバーを去る前記第1の流路と合流しており、
前記第1の流路は、前記第2の流路と合流する場所で方向を変えて、前記チャンバーを出る流動化された粒子が前記第2の流路の流れと衝突して剪断され、
前記吸入器は、2秒以内において少なくとも2kPaのピーク吸気圧力を達成可能とするように動作可能に構成されており、
前記吸入器は、吸気圧力対時間曲線の最初の1秒(AUC0−1秒)において少なくとも約1.0kPa・秒の曲線下面積を生じさせるように、且つ5μmより小さい体積メジアン幾何学直径(VMGD)を有する粉末粒子として前記乾燥粉末の75%より多い量が放射または放出されるように動作可能に構成されている、乾燥粉末吸入器。
【請求項2】
毎分約0.065(√kPa)/リットルから毎分約0.200(√kPa)/リットルの範囲の空気流動抵抗値を有する、請求項1に記載の乾燥粉末吸入器。
【請求項3】
前記乾燥粉末は肺送達のための製剤であり、前記吸入器は約1mgから約30mgの量の乾燥粉末を備える、請求項1に記載の乾燥粉末吸入器。
【請求項4】
前記乾燥粉末は、ジケトピペラジンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む、請求項1に記載の乾燥粉末吸入器。
【請求項5】
前記ジケトピペラジンは、式2,5−ジケト−3,6−ビス(N−X−4−アミノブチル)ピペラジンで示され、Xは、フマリル、スクシニル、マレイルおよびグルタリルからなる群から選択される、請求項4に記載の乾燥粉末吸入器。
【請求項6】
前記ジケトピペラジンは、ビス−3,6−(N−フマリル−4−アミノブチル)−2,5−ジケト−ジケトピペラジンである、請求項5に記載の乾燥粉末吸入器。
【請求項7】
前記乾燥粉末は、薬物または活性剤を含む、請求項1に記載の乾燥粉末吸入器。
【請求項8】
前記活性剤は、内分泌ホルモンである、請求項7に記載の乾燥粉末吸入器。
【請求項9】
前記乾燥粉末は、ペプチド、ポリペプチドまたはこれらの断片を含む、請求項1に記載の乾燥粉末吸入器。
【請求項10】
前記ペプチドは、インシュリン、グルカゴン、グルカゴン様ペプチド−1、副甲状腺ホルモン、オキシントモジュリン、ペプチドYY、エキセンジン、これらの類似体またはこれらの断片である、請求項9に記載の乾燥粉末吸入器。
【請求項11】
単回吸入において、1秒以内における圧力対時間曲線から、少なくとも約1.1kPa・秒の曲線下面積(AUC)を生じさせる、請求項1に記載の乾燥粉末吸入器。
【請求項12】
容器は、前記吸入器に一体化しており、乾燥粉末が充填されている、請求項1に記載の乾燥粉末吸入器。
【請求項13】
容器は、前記吸入器から分離して提供され、乾燥粉末が充填されている、請求項1に記載の乾燥粉末吸入器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2010年11月9日に出願された米国仮特許出願第61/411,775号、および2010年6月21日に出願された米国仮特許出願第61/357,039号の利益を主張するものであり、これらの全体の開示を参照によりここに組み込む。
【0002】
本発明は、疾患または不調の治療において肺管および肺循環に薬物を送達させるための、乾燥粉末吸入器、カートリッジおよび医薬品組成物を含む乾燥粉末吸入システムに関する。
【背景技術】
【0003】
活性成分を循環内に導入する疾患治療のための薬物送達システムは、非常に数が多く、経口、経皮、吸入、皮下および静脈内投与を含む。吸入により送達される薬物は、典型的には、噴射剤を用いて空気中の大気圧に対し陽圧を使用して送達される。そのような薬物送達システムは、薬物を、エアロゾルとして、霧状として、または気化させて送達する。最近では、肺組織への薬物送達が、乾燥粉末吸入器を用いて達成された。乾燥粉末吸入器は、呼吸により駆動させることができ、または呼吸を動力として動かすこともできる。また、乾燥粉末吸入器は、担体における薬物粒子を、空気の流れの中に引き込まれる微細な乾燥粉末とし、患者に吸入させ薬物を送達させることができる。乾燥粉末吸入器を使用して送達させる薬物は、もはや肺疾患治療のためのものではなく、全身の循環においても取り入れることができ、限定はされないが、糖尿病および肥満を含む多くの状態の治療のために使用可能である。
【0004】
薬剤を肺へ送達させるために使用される乾燥粉末吸入器は、粉末製剤の用量システムを含んでおり、通常、バルク供給におけるものか、または、硬質ゼラチンカプセルもしくはブリスターパックのような単位用量区画において入れられた個々の用量で測定されたもののいずれかである。バルク容器には、吸入直前に粉末から単回単位用量を分離するため、患者により操作される測定システムを備えている。投薬の再現性には、薬物製剤が均一であること、および、当該投与量の一貫性があり、その結果再現性が得られるように患者に送達することが必要である。そのため、理想的には、投薬システムは、患者がその用量を服用する際の吸気動作の間において、効果的に製剤の全てを完全に放出するように作動する。しかし、再現性を有する投薬を実現することができる限り、完全な放出は一般的には不要である。粉末製剤の流動特性、ならびに、この点に関する長期間での物理的および機械的安定性は、単回単位用量区画の場合よりも、バルク容器の場合に極めて重要である。なお、良好な防湿は、ブリスターのような単位用量区画を以て、より容易に実現することが可能である。しかし、ブリスターを製造するために使用されている材料は薬物区画内に空気を流入させ、その後、長期間保存されると、製剤は存続能を失い得る。さらに、吸入により薬剤を送達するためにブリスターを使用する乾燥粉末吸引器は、ブリスターのフィルムの穿孔または剥離のための空気導管の構築の変動により、肺への用量送達が一貫性を持たなくなる可能性がある。
【0005】
当該技術分野における乾燥粉末吸入器は、カートリッジまたはカプセル内において、粉末製剤を解凝集することにより、吸気動作の間に薬剤粒子または適切な吸入プルームを発生させることができる。吸入の間に吸入器のマウスピースから放出される微細粉末の量は、例えば、粉末製剤における粒子間の力、およびそれらの粒子を吸入に適するように分離させる吸入器の効率に大きく依存する。肺循環を経ての薬物送達の利益は多数あり、動脈循環系への迅速な流入、肝臓代謝による薬物劣化の回避、容易な使用、すなわちその他の投与経路による投与の際の不快感がないことが含まれる。
【0006】
肺送達のために開発された乾燥粉末吸入器の製品は、実用性が乏しいこと、および/または製造の費用のために、未だ限られた成果しか挙げられていない。従来技術の吸入器においては、デバイスの耐久性の欠如、投薬の一定性、装置の不便性、解凝集性の乏しさ、推進薬の使用での粉末の送達、および/または患者コンプライアンスに欠けることが、根強い問題のいくつかとしてみられる。そのため、本発明者らは、一貫した粉末送達特性を有し、不快感なく簡易に使用することができ、患者コンプライアンスを良好にできる個別の吸入器構成を有する吸入器の設計、および製造の必要性について認識した。
【発明の概要】
【0007】
ここに開示されることは、一般的に、乾燥粉末薬剤の肺管への迅速および効率的な送達のための、乾燥粉末吸入器および乾燥粉末吸入器のためのカートリッジを含む容器を含有する、肺送達のための乾燥粉末吸入システムである。吸入システムの乾燥粉末製剤は、ワクチン製剤だけでなく、限定はされないが、糖尿病、肥満、痛み、偏頭痛のような頭痛、中枢もしくは末梢神経系および免疫不調、ならびにそのようなものを含む局所または全身疾患または不調を含有する、1つまたはそれより多くの疾患治療のための活性剤も含む。乾燥粉末吸入器は、呼吸駆動式、小型、再使用可能であるもの、または使い捨てのもので、様々な形状および大きさを有し得る。また、乾燥粉末吸入器は、乾燥粉末薬物を効率的および迅速に送達するための空気流動管路のシステムを備える。1つの実施の形態では、吸入器は、カートリッジを用い、または用いることなく使用することができる、再生可能な、または使い捨ての吸入器であり、単位用量のものとなり得る。カートリッジを用いることのない使用にて、カートリッジのような構造が吸入器と一体化しており、吸入器が単回使用、使い捨てのためのものであるシステムが示される。または、ある実施の形態においては、当該システムは、分離できるよう備えられ、吸入器使用のために、例えば使用者によって装着されるカートリッジを備える。この実施の形態では、吸入器は再使用可能であり、毎回の使用の際に吸入器において新しいカートリッジが装着される。他の実施の形態では、吸入器は使い捨て、または再使用可能な多重用量吸入器でもあり、当該吸入器は、吸入器に装着された単回用量カートリッジ、または、カートリッジ状の構造が内蔵されたもの、もしくは吸入器の一部として構造的に構成されたものが伴い、使用され得る。
【0008】
さらなる実施の形態では、乾燥粉末吸入システムは、カートリッジを有する、または有さない乾燥粉末吸入デバイスまたは吸入器と、肺送達のための活性成分を含有している薬物製剤とを含む。ある実施の形態では、粉末送達は肺胞領域を含む肺深部まで達し、これらの実施の形態のいくつかでは、当該活性剤が全身送達のために肺循環系に吸収される。当該システムは、単位用量カートリッジを有する、または有さない乾燥粉末吸入器と、例えばジケトピペラジン、ならびにインシュリンまたはグルカゴン様ペプチド−1を含む小分子、ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質のような活性成分を含有している薬物送達製剤をも含むことができる。
【0009】
1つの実施の形態では、乾燥粉末吸入器は、ハウジングと、可動部材と、マウスピースとを備え、可動部材は容器を粉末収容位置から投薬位置へと移動させるように動作可能に構成されている。当該、およびその他の実施の形態においては、可動部材は様々なメカニズムによって移動可能であるスレッド、スライドトレイまたはキャリッジが可能である。
【0010】
別の実施の形態では、乾燥粉末吸入器は、ハウジングと、開放位置、閉止位置、ならびに、開放位置から閉止位置への吸入器の動作にて、収容位置から分配位置、投薬位置もしくは投薬送達位置へ、カートリッジを受け入れ、保持し、再構成するように動作可能に構成されたメカニズムを有するよう構造的に構成されたマウスピースと、を備える。当該実施の形態の変形例では、当該メカニズムは、使用後において、使用されたカートリッジを取り外すため吸入器が開放される際、吸入器において装着されたカートリッジを、投薬位置から代替の位置へと再構成してもよい。これにより使用者に当該カートリッジが使用済みであることがわかる。1つの実施の形態では、当該メカニズムにて、使用後に使い捨てまたは処分位置へとカートリッジが再構成されるようにしてもよい。そのような実施の形態では、ヒンジを含む様々なメカニズムにより、ハウジングはマウスピースに対し移動可能に取り付けられるような構造を構成されている。収容位置から投薬位置への吸入器における装着されたカートリッジの受け入れ、および再構成の構造メカニズムは、例えばデバイスを開放構成から閉止構成とすることによって、手動または自動で吸入器の構成要素の動作を操作するように設計することができる。1つの実施の形態では、カートリッジの再構成のためのメカニズムは、マウスピースに取り付けられ、ハウジングに移動可能に取り付けられたスライドトレイまたはスレッドを備える。別の実施の形態では、当該メカニズムは、吸入器において備え付けられ、または適用されており、例えば吸入器のデバイスのヒンジ内において一体化され備え付けられた歯車付きメカニズムが備えられている。さらに別の実施の形態では、収容位置から投薬位置へカートリッジを受け入れ、および再構成の動作が可能に構成されているメカニズムが、例えばハウジングまたはマウスピースが回転すると、カートリッジを再構成することが可能なカムを備えることによる。
【0011】
代替の実施の形態では、乾燥粉末吸入器は、粉末薬物を保持するように構成された容器を備えることができる単回使用の単位用量使い捨て吸入器として製造することができ、その場合、当該容器は使用者によって収容形態から投薬形態に移動可能とされる。ここで、当該吸入器は、第1の構成を収容形態、第2の構成を分配、投薬形態とする、第1および第2の構成を有し得る。この実施の形態では、吸入器は、粉末容器を再構成するためのメカニズムを備えてもよいし、備えなくてもよい。備えない場合の実施の形態によると、当該容器は使用者により直接再構成され得る。この実施の形態のいくつかの態様では、吸入器は二つの区画の吸入システムとして製造することができ、その場合、収容形態において、デバイスの組み立ての前に、粉末薬物が容器に備えられる。この実施の形態では、容器が吸入器本体に取り付けられ、収容形態から投薬形態へ、例えばマウスピースを備える吸入器の上部に対しスライドすることによって移動可能となっている。
【0012】
さらに別の実施の形態では、吸入器は、容器を受け入れるよう構成された容器装着領域と、少なくとも2つの入口アパーチャおよび少なくとも1つの出口アパーチャを有するマウスピースとを備えており、少なくとも2つの入口アパーチャの1つの入口アパーチャは容器領域と流動的に連通しており、少なくとも2つの入口アパーチャの1つは容器領域を迂回するよう構成された流路を介して少なくとも1つの出口アパーチャと流動的に連通している。
【0013】
1つの実施の形態では、吸入器は、使用者の唇または口に接触するための近位端および遠位端のような対向する端部を有し、マウスピースおよび薬物容器を備え、マウスピースは上面および底面または下面を備える。マウスピースの下面は、容器を封止または収容形態において相対的に平坦に維持するよう構成された第1の領域と、第1の領域に対して隆起し、第1の領域に隣接している第2の領域とを有する。この実施の形態では、容器は収容形態から投薬形態へ移動可能であり、逆も同様である。また、投薬形態において、マウスピース下面の隆起した第2の領域および容器は、周囲の空気が容器の内部空間に入ることができるように、または容器の内部が周囲の空気に露出するように、空気入口路を形成、または定めている。1つの実施の形態では、マウスピースは、複数の開口、例えば入口ポート、出口ポートおよび分配または投薬位置における薬物容器と連通するための少なくとも1つのポートを有し得る。当該マウスピースは、吸入器の底面の側方から延長しており、吸入器のマウスピースの中央に向かって突出しているフランジを有するパネルが一体化して取り付けられるよう構成され得る。フランジは、軌道として機能し、マウスピース上の容器を保持し、その結果、容器が収容位置から分配または投薬位置へ軌道に沿って動かし、もし所望するなら収容位置へ戻すことも可能とする。1つの実施の形態では、薬物容器は、その上側の境界から、マウスピースのパネル上におけるフランジに適応するよう延長しているウイング状の突出部またはウイングレットが構成されている。1つの実施の形態では、薬物容器は、収容位置から投薬位置へ使用者により手動にて動かすことができ、投薬後には収容位置に戻すこともでき、また、スレッド、スライドトレイまたはキャリッジの方法を用いてもよい。
【0014】
別の実施の形態では、単回使用の単位用量使い捨ての吸入器は、マウスピースに組み込まれ、動作可能に構成されたスレッドを有するように構成され得る。この実施の形態では、容器をマウスピースのパネルの軌道に沿って収容位置から分配または投薬位置へ動かすよう、スレッド上のブリッジが薬物容器の領域に当接するか、または載置され得る。この実施の形態では、スレッドは、マウスピースの軌道上において容器を移動させるよう手動にて操作され得る。
【0015】
1つの実施の形態では、乾燥粉末吸入器は、1つまたはそれより多くの空気入口部および1つまたはそれより多くの空気出口部を備える。吸入器が閉止されている場合、少なくとも1つの空気入口部によって吸入器に流れが入ることができ、少なくとも1つの空気入口部によって、カートリッジ容器または吸入のために適用されるカートリッジもしくは容器の内部に流れが入ることができる。1つの実施の形態では、吸入器は、カートリッジ容器が投薬位置にある場合、カートリッジ配置領域およびカートリッジの入口ポートと連通するような構造、構成となっている開口を有する。カートリッジ内部に入る流れは、出口または分配ポートを通ってカートリッジを出ることができ、吸入器の容器に入る流れは、少なくとも1つの分配アパーチャを通って出ることができる。この実施の形態では、カートリッジの入口ポートは、カートリッジの内部に入る空気の流れの全てまたは一部分が、出口または分配ポートに方向付けられるよう、構造、構成されている。
【0016】
薬物容器は、空気の流れを方向付けることができるよう、2つの向かい合った対称的な曲線状の側面を有するように構造され、構成されている。この実施の形態では、吸入の間の空気入口部に入る流れは、分配ポートの軸に対して実質上垂直な軸について、容器の内部において循環することができる。それによって、当該流れは、カートリッジに含有された粉末薬物を舞い上げ、転動させ、効果的に流動させることができる。当該、および他の実施の形態では、空気導管内において流動させた粉末は、方向または速度の変化、すなわち流路内における粒子の加速または減速によって、さらに微細な粉末粒子へとなるよう解凝集させることが可能である。特定の実施の形態では、加速または減速の変化は、例えば分配ポート、マウスピース導管および/またはその境界面の角度、ならびに幾何学的形状を変化させることにより、達成することができる。ここに開示されている吸入器において、吸入器を通って動く際の粒子の流動化および加速のメカニズムは、乾燥粉末製剤の解凝集および送達を実施させる方法である。
【0017】
特定の実施の形態では、乾燥粉末製剤を解凝集および分散させるための方法であって、容器に入る流れにより開始され促進される一次容器領域内での転動、分配ポートを通り容器を出る流れにおける粉末の迅速な加速、当該粉末が分配ポートを出る際の方向および速度の変化において誘導されるさらなる粉末の加速、上部の粒子の流れが下部の粒子の流れよりも速い流れの勾配内において捕捉された粒子粉末の剪断、マウスピースの空気導管内における断面積の拡大による流れの減速、高圧力領域から低圧力領域へと粒子が移動することによる、または流路の任意の地点における粒子と流れの導管との間での衝突による粒子内に捕捉された空気の膨張、のような1つまたはそれより多くの工程を含む。
【0018】
別の実施の形態では、乾燥粉末吸入器は、マウスピースと、スレッド、スライドトレイもしくはキャリッジと、ハウジングと、ヒンジと、スレッドもしくはスライドトレイの移動を達成するように構成された歯車付きメカニズムとを備え、マウスピースおよびハウジングはヒンジによって移動可能に取り付けられている。
【0019】
乾燥粉末吸入器とともに使用されるカートリッジは、吸入のための任意の乾燥粉末薬物を含有するように製造し得る。1つの実施の形態では、カートリッジは、特定の乾燥粉末吸入器に適合するよう構造、構成され、使用される吸入器の大きさおよび形状に応じ、例えば吸入器が並進移動または回転移動可能なメカニズムを有しているか否かに応じ、任意の大きさおよび形状のものが製造され得る。1つの実施の形態では、カートリッジは、例えば、使用の際にカートリッジが固定されるよう、吸入器内の一致する傾斜縁部に対応している傾斜縁部をカートリッジ上部に有する固定メカニズムを備えて構成することができる。1つの実施の形態では、カートリッジは容器と蓋またはカバーを備え、容器は蓋の表面に適合することができて蓋に対して移動可能であり、または、蓋は容器上において移動可能とすることができるとともに、その位置、例えば収容形態、投薬形態もしくは使用後における構成に応じて様々な構成をとることができる。あるいは、蓋を取り外し可能とすることもできる。
【0020】
例示的な実施の形態では、エンクロージャ内へ流れを入れることができる少なくとも1つの入口アパーチャと、エンクロージャからの流れを出すことができる少なくとも1つの分配アパーチャとを有するよう構成された薬物を保持するエンクロージャを備え、当該入口アパーチャは、圧力差に応答し、エンクロージャ内において、当該流れの少なくとも一部を、分配アパーチャまたは分配アパーチャに近接している粒子において方向付けるよう構成されている。分配アパーチャおよび吸気アパーチャはそれぞれ独立に、長円形、長方形、円形、三角形、正方形および楕円形のような形状とすることができ、互いに近接させることができる。吸入の間、投薬位置において吸入器に適合されたカートリッジは、エンクロージャに空気の流れが入り、薬物を流動させ粉末と混合させることができる。流動化した薬物は、薬物が分配アパーチャを通してエンクロージャを除々に出るようにして、エンクロージャ内で移動し、分配アパーチャから出る流動化した薬物は、エンクロージャ内から生じるものでない二次的な流れにより剪断され希釈される。1つの実施の形態では、内部の空間内の空気の流れは、円形状を描きながら回転する。これにより、容器またはエンクロージャ内において粉末薬物を舞い上げ、容器の内部に混入された粉末粒子または粉末の塊を再循環させ、容器の分配ポート、または1つもしくはそれより多くの吸入器の入口ポート、空気出口部もしくは分配アパーチャから粒子が出る前に、流れの転動を促進し、その際、再循環するする流れにより転動を引き起こすことができ、または、内部空間における空気の非渦状の流れは薬物を解凝集するよう作用する。1つの実施の形態では、回転軸はほとんど重力に垂直である。別の実施の形態では、回転軸はほとんど重力に平行である。エンクロージャ内から生じるものでない二次的な流れは、さらに、薬物の解凝集するためにも作用する。この実施の形態では、圧力差は使用者の吸気によって生じる。乾燥粉末吸入器用のカートリッジは、薬物を保持するよう構成されているエンクロージャと、エンクロージャへと流れるようにする少なくとも1つの入口ポートおよびエンクロージャから流れ出るようにする少なくとも1つの分配ポートとを備え、少なくとも1つの入口ポートは、圧力差に応答し、エンクロージャ内において、少なくとも1つの入口ポートに入る流れの少なくとも一部分を、少なくとも1つの分配ポートに方向付けるよう構成されている。
【0021】
吸入器のための単位用量カートリッジは、1つまたはそれより多くの入口アパーチャ、1つまたはそれより多くの分配アパーチャ、および下向きに延在しそれぞれが軌道を持つ2つの側方パネルを有し矢状に構成されているほぼ平坦なカートリッジ上部と、カートリッジ上部の側方パネルの軌道に移動可能に係合される容器とを備える。当該容器は、2つの相対的な平坦で平行な側面および相対的に丸みを帯びている底面、ならびに内部空間を定めている内部表面を持ち、相対的にカップ状構造を有するように構成されたチャンバーを備える。さらに、容器はカートリッジ上部と共に収容位置および投薬位置を取るように構成され得る。吸入の間、乾燥粉末吸入器が使用される際、内部空間に入る流れは、1つまたはそれより多くの分配アパーチャを通って出る流れの一部と、分配アパーチャを通って出る前に粉末を内部空間の中で回転し、内部空間の中で舞い上がる流れの一部とに分岐する。
【0022】
1つの実施の形態では、肺薬物送達のための吸入システムが提供される。肺薬物送達のための吸入システムは、ハウジング、入口および出口ポートを有するマウスピース、当該入口と出口との間の空気導管、ならびにカートリッジを受け入れるように構造的に構成されている開口を構成する乾燥粉末吸入器と、スレッドのようなカートリッジ装着メカニズムと、乾燥粉末吸入器に適合するよう構成され吸入のための乾燥粉末薬物を含有しているカートリッジとを備える。当該カートリッジは、容器と1つもしくはそれより多くの入口ポートまたは1つもしくはそれより多くの分配ポートとを備え、当該乾燥粉末吸入システムは、使用の際、患者に送達される全体の流れに対応し、カートリッジを通り抜ける所定の空気の流れのバランス分布を有している。
【0023】
ここに開示される実施の形態では、乾燥粉末吸入システムは、吸入器内において所定の質量流量バランスを備える。例えば、吸入器から出て患者へと流れる全体の流れのおよそ20%から70%の流量バランスが、分配ポートによって送達されるか、またはカートリッジを通り抜けるが、およそ30%から80%が吸入器の他の導管から生じる。さらに、迂回する流れ、またはカートリッジに出入りしない流れが、吸入器内においてカートリッジの分配ポートを出る流れと再度組み合わさって、マウスピースから出る前に、流動化した粉末を希釈し、加速し、最終的に解凝集することができる。
【0024】
ここに開示される実施の形態では、粉末薬物の解凝集を最大限とし送達を容易とするよう、乾燥粉末吸入器は、比較的剛性の空気導管または配管システムおよび高流動抵抗レベルを備える。ここに開示される吸入システムは、吸入器から放出される粉末粒子の高い内部の力を最小化し、低い流量を使用の際に維持する流動抵抗性を示す導管を備え、上方の気道上における粉末粒子の喉への沈着または嵌入を防ぎ、これにより肺における粉末粒子の沈着を最大化する。従って、本発明の吸入システムは、吸入器が一貫性を有し変形できない空気導管の幾何学的形状を備えているので、繰り返し使用した後でも、効果的で一貫した粉末薬物の吸入器からの放出を提供する。いくつかの実施の形態では、乾燥粉末薬物は、吸入器から、約3秒より小さい、または一般的に1秒より小さい間隔において一貫して分配される。いくつかの実施の形態では、吸入器システムは、例えば、毎分約0.065から毎分約0.200(√kPa)/リットルの高い抵抗値を有し得る。そのため、当該吸入システムでは、2から20kPaの間のピーク吸入圧力降下が、結果として、毎分約7から70リットルの間のピーク流量を作り出す。その結果、このような流量は、1から30mgの間またはそれより多い充填質量での分配されたカートリッジ含有量における、75%よりも大きい値となる。いくつかの実施の形態では、これらの性能特性は、カートリッジ分配率での90%よりも大きい値を作り出すよう、単回吸入操作内で、最終使用者によって達成される。特定の実施の形態では、吸入器およびカートリッジシステムは、粉末の流れを連続して患者に送達するよう吸入器から粉末を放出することによって、単回用量が提供されるよう構成されている。
【0025】
1つの実施の形態では、乾燥粉末吸入器における吸入の間、乾燥粉末製剤を効果的に解凝集するための方法が提供される。当該方法は、空気入口部と、マウスピースの空気導管と連通し製剤を含有し製剤を必要としている対象に送達する分配ポートとを有している容器を備える乾燥粉末吸入器を提供する工程、吸入器に入る空気の流れの約20%から約70%が容器を出入りするよう対象の吸気により吸入器内における空気の流れを発生させる工程、空気の流れを容器の入口に入れ、流動化された製剤を作り出すよう製剤を流動化するため分配ポートに対し垂直な軸において、製剤を回転および転動させる工程、ならびに、分配ポートを通り、または空気導管内において流動化された製剤の測定された量を加速させ、対象に達する前に吸入器のマウスピースの空気導管における流動化された製剤を含む空気の流れを減速させる工程を備える。いくつかの実施の形態では、吸入器を通る全体の流れの20%から60%が、投薬の送達の間にカートリッジを通過する。
【0026】
別の実施の形態では、吸入のための乾燥粉末製剤を解凝集および分散させるための方法が提供される。当該方法は、マウスピース、ならびに少なくとも1つの入口ポートおよび少なくとも1つの分配ポートを有し乾燥粉末製剤を含有する容器を備える乾燥粉末吸入器において、空気の流れを発生させる工程と、少なくとも1つの入口ポートと少なくとも1つの分配ポートの間に容器が空気路を形成しており、容器に入る空気の流れの一部分を、入口ポートが少なくとも1つの分配ポートに方向づける工程と、空気の流れの薬物混合物を形成させるため、容器内において乾燥粉末薬物を舞い上げ混合させるよう、少なくとも1つの分配ポートに対し実質上垂直な軸において容器内で粉末を転動させる空気の流れをとらせる工程と、少なくとも1つの分配ポートを通る容器を出る空気の流れを加速させる工程とを備える。1つの実施の形態において、吸入器のマウスピースは、流れを減速し吸入器内部の粉末沈着を最小化し患者への粉末送達の最大量を促進するよう、徐々に拡大する断面を有するよう構成されている。1つの実施の形態では、例えば、吸入器の口腔配置領域の断面は、約3cmの長さにわたり、約0.05cmから約0.25cmであり得る。このような寸法は、吸入器と使用される粉末の型および吸入器それ自体の寸法によるものである。
【0027】
1つの実施の形態では、乾燥粉末吸入器のためのカートリッジが提供される。当該カートリッジは、カートリッジ上部および内部空間を定めている容器を備え、カートリッジ上部は容器にわたり延在している下面を有し、下面は容器に勘合するように構成されており、内部空間を含有するための領域と、周囲の空気に対し内部空間を露出させるための領域とを備える。
【0028】
代替の実施の形態では、乾燥粉末送達デバイスを通り粒子を送達させるための方法が提供される。当該方法は、粒子を封入するエンクロージャと分配アパーチャと吸気アパーチャとを備えるカートリッジを、粒子を含有させ分配するために送達デバイスの中へ装着する工程と、エンクロージャ、分配アパーチャおよび吸気アパーチャを、吸気が吸気アパーチャに入る際、粒子を分離するよう上述したような解凝集の少なくとも1つのモードによって、粒子が解凝集され、吸気の一部分に沿って粒子が分配アパーチャを通り分配されるよう向きを合わす工程と、それと同時に、分配アパーチャと連通している送達導管を通るよう気体が向かうことにより、吸気が吸気アパーチャに入り、粒子を解凝集し、分配アパーチャを通った吸気の一部分に沿って粒子を分配する工程と、例えば吸入器のマウスピース内において、デバイスの送達導管を通り粒子を送達する工程とを備える。ここに開示される実施の形態では、粉末の解凝集を達成するため、乾燥粉末吸入器は、構造的に構成され、粉末解凝集の1つまたはそれより多くの集域を備え得る。吸入操作の間の解凝集の集域では、吸入器へ入る空気の流れによる粉末の転動、粉末を含む空気の流れの加速、粉末を含む流れの減速、粉末粒子の剪断、粉末粒子において捕捉された空気の膨張、および/または組合せにより、これらを容易にすることができる。
【0029】
別の実施の形態では、吸入システムは、呼吸駆動式乾燥粉末吸入器と薬物を含有するカートリッジとを備える。当該薬物は、例えば、ジケトピペラジンおよび活性剤を含有する組成物のような、肺送達のための薬剤を含み得る。いくつかの実施の形態では、活性剤は、インシュリン、グルカゴン様ペプチド−1、オキシントモジュリン、ペプチドYY、エキセンジン、副甲状腺ホルモン、これらの類似体、ペプチドおよびタンパク質、小分子、ならびにワクチン等を含有する。吸入システムは、例えば、薬物の局所または全身送達を必要としている症状の処置のための方法において使用することができる。例えば、糖尿病、前糖尿病、気道感染、骨粗鬆症、肺疾患、偏頭痛等の頭痛を含む痛み、肥満、中枢および末梢神経系の症状および不調の処置、ならびにワクチンのような予防での使用も挙げられる。1つの実施の形態では、吸入システムは、疾患または不調の処置のための吸入システムのそれぞれの構成要素の少なくとも1つを備えるキットを含む。
【0030】
1つの実施の形態では、対象の血流へ製剤を効果的に送達するための方法が提供される。当該方法は、ジケトピペラジンが含有された製剤を含むカートリッジを有する吸入器を備えている吸入システムである。当該吸入システムは、約2.5μmから10μmの範囲の体積メジアン幾何学直径(VMGD)を有するジケトピペラジンの微小粒子を含有する粉末プルームを送達する。1つの例示的な実施の形態では、微小粒子のVMGDは約2μmから8μmの範囲とすることができる。1つの例示的な実施の形態では、3.5mgから10mgの間の範囲の粉末充填質量の製剤の単回吸入において、粉末粒子のVMGDは、約4μmから7μmとなることができる。この、および他の実施の形態では、当該吸入システムは、カートリッジからの乾燥粉末製剤を90%より大きい値で送達する。
【0031】
別の実施の形態では、乾燥粉末吸入器が提供される。当該乾燥粉末吸入器は、a)口腔吸入により対象へ乾燥粉末が送達されるよう構成されているマウスピース、b)容器ハウジング、およびc)容器ハウジングとマウスピースとの間に延在しており、周囲の空気と連通するよう構成されている剛性の空気導管を備える。当該乾燥粉末吸入器は、使用者がマウスピースを通し吸入し、2秒以内で約2kPaのピーク吸気圧力を生じ、1秒以内における圧力対時間曲線にて少なくとも約1.0、1.1または1.2kPa・秒の曲線下面積(AUC)を生じさせた時、単回吸入での容器ハウジングにおいて適合された容器からの粉末粒子および放出された粉末粒子は、約5ミクロンよりも小さい体積メジアン幾何学直径(VMGD)を有し、乾燥粉末が75%よりも大きい値にて放出されるよう構成されている。別の実施の形態では、1秒以内での圧力対時間曲線のAUCは、約1.0から約15kPa・秒の間である。
【0032】
いくつかの実施の形態では、高抵抗性乾燥粉末吸入器を使用する、乾燥粉末薬物の用量の送達方法も提供される。当該方法は、乾燥粉末薬物の用量を含有する高抵抗性乾燥粉末吸入器を提供し、2秒以内において少なくとも2kPaのピーク吸気圧力に達する十分な力(または労力)で吸入器から吸入することと、吸気圧力対時間曲線の最初の1秒(AUC0−1秒)において、少なくとも約1.0、1.1または1.2kPa・秒における曲線下面積を生じさせることである。すると、当該乾燥粉末用量の75%より大きい量が、粉末粒子として吸入器から放射または放出される。いくつかの実施の形態では、放出された粒子のVMGDは、約5ミクロンよりも小さい。
【0033】
別の実施の形態では、高抵抗性乾燥粉末吸入器を使用する、適切に解凝集された乾燥粉末薬物の用量の送達方法も提供される。当該方法は、乾燥粉末薬物の用量を含む高抵抗性乾燥粉末吸入器を提供し、2秒以内において少なくとも2kPaのピーク吸気圧力に達する十分な力で吸入器から吸入し、吸気圧力対時間曲線の最初の1秒(AUC0−1秒)にて少なくとも約1.0、1.1または1.2kPa・秒の曲線下面積を生じさせ、放出された粉末のVMGD(×50)は約5μmよりも小さい。代替の実施の形態では、乾燥粉末は平均粒径を持つ微小粒子から構成され、吸入器が適宜、例えば6kPaにおいて使用される際、放出される乾燥粉末粒子のVMGD(×50)は当該平均粒径の1.33倍よりも大きくはならない。
【0034】
別の実施の形態では、毎分約0.065(√kPa)/リットルから毎分約0.200(√kPa)/リットルの範囲の空気流動抵抗値を有し、乾燥粉末の用量を含有する乾燥粉末吸入器に入っている乾燥粉末の送達のための、高抵抗性乾燥粉末吸入器の使用を開示する。当該使用にあたり、2秒以内において少なくとも2kPaのピーク吸気圧力に達するよう、十分な力が適用される。また、ここでは、少なくとも約1.0、1.1または1.2kPa・秒における吸気圧力対時間曲線の最初の1秒(AUC0−1秒)にて曲線下面積を生じさせ、乾燥粉末の用量の75%よりも多い量が粉末粒子として放射または放出される。
【0035】
いくつかの実施の形態では、ここに開示されている吸入システムは、記載されているような薬物を使用し、ここに記載されている疾患または不調の治療を必要としている患者を処置するために使用される。
【0036】
さらに別の実施の形態では、患者への乾燥粉末薬物の送達の使用のための、高抵抗性乾燥粉末吸入器が開示される。当該高抵抗性乾燥粉末吸入器は、乾燥粉末吸入器が毎分約0.065(√kPa)/リットルから毎分約0.200(√kPa)/リットルの範囲の空気流動抵抗値を有し、乾燥粉末薬物の用量を含有しており、2秒以内において少なくとも2kPaのピーク吸気圧力に達するよう使用の際に十分な力が適用され、少なくとも約1.0、1.1または1.2kPa・秒における吸気圧力対時間曲線の最初の1秒(AUC0−1秒)にて曲線下面積を生じ、乾燥粉末の用量の75%よりも多い量が粉末粒子として放射または放出される、ことを特徴としている。
【0037】
別の実施の形態では、吸入器と、ジケトピペラジン微小粒子を含有する全身循環に対する送達のための乾燥粉末製剤を含むカートリッジとを備える、吸入システムが提供される。当該システムでは、ジケトピペラジン微小粒子が、単回吸入で放出されるジケトピペラジンmg毎における1,300ng・分/ミリリットルと3,200ng・分/ミリリットルとの間のAUC0−2時間を有する、ジケトピペラジンの血漿(露出)レベルを送達する。別の例示的な実施の形態では、吸入器と、ジケトピペラジン微小粒子を含有する全身循環に対する送達のための乾燥粉末製剤を含むカートリッジとを備え、ジケトピペラジン微小粒子は、単回吸入で放出される粉末のmg毎において、2,300ng・分/ミリリットルよりも大きいAUC0−無限を有するジケトピペラジンの血漿(露出)レベルを送達する。そのような実施の形態の1つの態様では、DKPはFDKPである。このような、および他の実施の形態において、肺機能検査によって評価し、および1秒間における吐気量(FEV1)として測定すると、ジケトピペラジン微小粒子は肺の機能において縮小を引き起こしていない。特定の実施の形態では、対象において測定されたFDKPの血漿露出は、単回吸入で放出されるFDKP粉末のmg毎において、2,500ng・分/ミリリットルよりも大きくなり得る。代替の実施の形態では、測定される血漿露出である、対象のFDKPのAUC0−無限は、単回吸入で放出されるFDKP粉末のmg毎において、3,000ng・分/ミリリットルよりも大きくなり得る。さらに別の実施の形態では、対象におけるFDKPのAUC0−無限の測定された血漿露出は、FDKPを含有する乾燥粉末組成物の単回吸入で放出されるFDKPのmg毎において、約5,500ng・分/ミリリットルか、またはそれよりも小さい値であり得る。いくつかの実施の形態では、上述の露出のレベルは、各々での露出を示している。代替の実施の形態では、上述の露出のレベルは、中間での露出を示している。含有および露出も含む活性剤の量は、代替として、活性または質量の単位において表してもよい。
【0038】
このような、および他の実施の形態では、微小粒子はさらに活性成分を含んでもよい。特定の実施の形態では、活性成分はインシュリンである。別の実施の形態では、吸入システムが提供され、当該吸入システムは、吸入器と、インシュリンを含有するジケトピペラジン微小粒子を含み、全身循環へと送達するための乾燥粉末製剤を有するカートリッジとを備える。当該システムでは、ジケトピペラジン微小粒子は、単回吸入にて放出される粉末製剤中のインシュリンの単位毎で、AUC0−2時間を以て、160μU・分/ミリリットルよりも大きいインシュリンの血漿(露出)レベルを送達する。この実施の形態の1つの面では、吸入システムは、インシュリン血漿レベルを送達し、かつ得るよう、または、単回吸入にて放出される粉末製剤中のインシュリンの単位毎での測定されたAUC0−2時間のインシュリンが約100から1,000μU・分/ミリリットルの範囲となり露出されるよう構成されている。いくつかの実施の形態では、上述の露出のレベルは、各々での露出を示している。代替の実施の形態では、上述の露出のレベルは、平均値での露出を示している。
【0039】
別の例示的な実施の形態では、吸入器と、インシュリンを含有するジケトピペラジン微小粒子を有し、全身循環に対する送達のための乾燥粉末製剤を含むカートリッジとを備える、吸入システムが提供される。当該システムでは、ジケトピペラジン微小粒子が、単回吸入で放出される充填されたインシュリンのU毎にて、AUC0−4時間において100ngμU・分/ミリリットルより大きい血漿(露出)レベルを送達している。この実施の形態の1つの態様では、吸入システムは、単回吸入において放出され、充填されたインシュリン用量のU毎において、100から250ngμU・分/ミリリットルの範囲にて測定されるAUC0−4時間を有するインシュリンの血漿露出を得る、インシュリンおよびフマルジケトピペラジンの製剤を患者へと送達するよう構成されている。これらの実施の形態の態様では、AUC0−4時間は、単回吸入において放出され、充填されたインシュリン用量のU毎において、110、125、150または175ngμU・分/ミリリットルよりも大きくなり得る。この、または他の実施の形態では、製剤のインシュリン含有量は、製剤の約10から約20%(w/w)にて構成されている。
【0040】
さらに別の例示的な実施の形態では、吸入システムは、吸入器と、インシュリンを含有するジケトピペラジン微小粒子を有し、全身循環に対する送達のための乾燥粉末製剤を含むカートリッジとを備え、当該ジケトピペラジン微小粒子は、単回吸入にて放出される粉末のmg毎において、投与の30分以内に、10μU/ミリリットルより大きいC最大でのインシュリンの血漿レベルを送達する。この実施の形態の1つの態様では、投与されたインシュリン製剤は、単回吸入にて放出される粉末のmg毎に、約10から20μU/ミリリットルの範囲においてC最大を生じさせ、それは投与後30分以内である。この実施の形態のさらなる態様では、インシュリンC最大は、投与の25、20または15分以内において達成し得る。これらのC最大の実施の形態の代替では、製剤の肺吸入後に得られたC最大が、カートリッジ内に充填されたインシュリンU毎において3μU/ミリリットルより大きく、またはカートリッジ用量におけるインシュリンU毎において、3Uから6U、もしくは4Uから6μU/ミリリットルの範囲におけるものである。
【0041】
別の実施の形態では、乾燥粉末吸入器と、複数のジケトピペラジンの粉末粒子を含有する乾燥粉末製剤とを備える吸入システムが提供され、当該吸入システムは対象の肺循環へとジケトピペラジンが送達されるよう構成されており、ジケトピペラジンは、対象の血漿において、単回吸入にて投与される乾燥粉末製剤におけるジケトピペラジンの含有量のmg毎において、2,300ngμU・分/ミリリットルより大きい平均値での露出またはAUC0−無限を測定され得る。1つの実施の形態では、吸入システムは、さらに、呼吸駆動式乾燥粉末吸入器に対して適合するよう構成された、カートリッジを備える。この、または他の実施の形態では、製剤におけるジケトピペラジンは、ビス−3,6−(N−フマリル−4−アミノブチル)−2,5−ジケトピペラジン(FDKP)である。
【0042】
製剤にFDKPが使用される実施の形態では、当該システムは、1時間よりも短いT最大において、FDKPを全身循環内に送達することができる。いくつかの実施の形態では、FDKPによるT最大は、単回吸入におけるFDKPの投与後15分または30分より短くすることもできる。この、または他の実施の形態では、AUCは、0から2時間、0から4時間または0から無限において測定されている。
【0043】
別の実施の形態では、吸入システムは、呼吸駆動式乾燥粉末吸入器、および複数のジケトピペラジン粒子を含有している乾燥粉末製剤が提供され、当該吸入システムは、2μmから8μmmの範囲の体積メジアン幾何学直径および4μmより小さい幾何標準偏差を有するジケトピペラジン微小粒子を含む粉末プルームを放出するよう、動作可能に構成されている。
【0044】
さらに別の実施の形態での、薬物の肺送達のための吸入システムは、呼吸駆動式乾燥粉末吸入器を備え、複数のジケトピペラジン粒子を含有している乾燥粉末製剤が提供され、当該吸入システムは、粉末粒子の90%より多い量が放出されるよう動作可能に構成されており、粉末粒子は乾燥粉末製剤の単回吸入後、30分または25分より短い時間においてジケトピペラジンのピーク濃度を与え、血液中に溶け出し吸収される。いくつかの実施の形態では、システムは、単回吸入において粉末粒子の95%より多い量が放出され、粒子は循環内において吸収される。
【0045】
1つの実施の形態では、吸入システムは、乾燥粉末吸入器を備え、およびインシュリンを含む複数の乾燥粉末粒子を含有する乾燥粉末製剤が提供され、当該吸入システムは対象の肺循環へインシュリンを送達するよう構成されており、当該インシュリンは、単回吸入にて投与される乾燥粉末製剤において放出されるインシュリンのユニット毎に、160uμU・分/ミリリットルより大きい平均AUC0−2時間を有する露出での対象の血漿が測定され得る。
【0046】
1つの実施の形態では、吸入システムは、乾燥粉末製剤が経口吸入によって対象へ投与され、当該製剤は、対象の全身循環へとインシュリンを送達できるインシュリンの粉末粒子を含み、インシュリンのC最大は、単回吸入での患者への投与の後30分より短い時間において測定される。
【0047】
実施の形態では、呼吸駆動式乾燥粉末吸入器、および複数のジケトピペラジン粒子を含む粉末製剤を備える吸入システムが提供され、当該吸入システムは、2μmから8μmの範囲の体積メジアン幾何学直径および4μmより小さい幾何標準偏差を有するジケトピペラジン微小粒子を含有する粉末プルームを放出できるよう、動作可能に構成されている。
【0048】
さらに別の実施の形態では、薬物の肺送達のための吸入システムが提供され、呼吸駆動式乾燥粉末吸入器、および複数のジケトピペラジン粒子を含有する粉末製剤を備え、当該吸入システムは、粉末粒子を放出するように動作可能に構成されており、当該粉末粒子は30、25、20または15分以内において薬物のピーク濃度を与えるよう血液中に吸収される。
【0049】
1つの実施の形態では、乾燥粉末吸入器が、乾燥粉末を経口吸入によって対象へと送達するよう構成されたマウスピースと、乾燥粉末を保持するよう構成された容器と、容器とマウスピースとの間に延在しており周囲の空気と連通するよう構成されている空気導管とを備え、当該乾燥粉末吸入器は単回吸入において粉末粒子として乾燥粉末の75%より多い量を放出するよう構成されており、放出された粉末粒子は5ミクロンよりも小さい体積メジアン幾何学直径を有し、その際、使用者は、2秒以内に約2kPaのピーク吸気圧力を生じさせ、かつ少なくとも約1.0、1.1または1.2kPa・秒の吸気圧力対時間曲線のAUC0−1秒を生じさせるようマウスピースを通して吸入する。その中にて、乾燥粉末用量の75%より多い量が粉末粒子として吸入器から放射または放出される。
【0050】
さらに別の実施の形態では、乾燥粉末薬物の用量の対象への送達方法が、高抵抗性乾燥粉末吸入器を使用して開示されている。当該方法は、毎分約0.065(√kPa)/リットルから毎分約0.200(√kPa)/リットルの範囲での流動抵抗値を有し、乾燥粉末薬物の用量を含有する乾燥粉末吸入器を提供する工程と、2秒以内において少なくとも2kPaのピーク吸気圧力に達するよう十分な力を以て吸入器から吸入する工程と、少なくとも約1.0、1.1または1.2kPa・秒の吸気圧力対時間曲線のAUC0−1秒を生じさせる工程とを備え、乾燥粉末用量の75%より多い量が粉末粒子として吸入器から放射または放出される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1図1は、吸入システムにて使用される吸入器の例示的な実施の形態を表し、閉止構成における吸入器の等軸測視図を示す。
図2図2は、図1の吸入器の側方図を示す。
図3図3は、図1の吸入器の上方図を示す。
図4図4は、図1の吸入器の底面図を示す。
図5図5は、図1の吸入器の近位の図を示す。
図6図6は、図1の吸入器の遠位の図を示す。
図7図7は、図1において、カートリッジとマウスピースカバーとが対応し、開放構成となっている吸入器を備える吸入システムの実施の形態の斜視図を表す。
図8図8は、ホルダ内にカートリッジが装着されている開放構成において、カートリッジホルダおよび収容形態において装着されたカートリッジの中央長手方向軸断面における図6の吸入器の等軸測視図を示す。
図9】カートリッジの投薬形態における吸入器の閉止構成を示す。
図10図10は、開放構成における吸入器での乾燥粉末吸入システムの代替の実施の形態の斜視図を表し、吸入器において装着することができる対応するカートリッジの形状および方向付けを表す。
図11図11は、図10の開放構成における乾燥粉末吸入器の等軸測視図を示す。
図12図12は、吸入器の構成要素の部品を示す図48の、吸入器の実施の形態の展開図を示す。
図13図13は、図10の開放構成における吸入器の斜視図と、吸入器に装着されたカートリッジを示す。
図14図14は、収容形態において、スレッドと接触しており、スレッドと接触する歯車付きメカニズムと接触しているカートリッジ容器を示している図12に表される吸入器の中央長手方向断面を示す。
図15図15は、閉止構成においてホルダ内にカートリッジを有する図10における吸入器の斜視図を示す。
図16図16は、投薬形態におけるカートリッジ容器と、容器を通るよう設計された空気の流路とを示している図53に表される吸入器の中央長手方向断面を示す。
図17図17は、図1の吸入器の使用のためのカートリッジの実施の形態の斜視図を示し、収容形態におけるカートリッジを表す。
図18図18は、図17のカートリッジの実施の形態の上面図を示し、カートリッジ上表面の構成要素の構造を示す。
図19図19は、図17のカートリッジの実施の形態の底面図を示し、カートリッジ下表面の構成要素の構造を示す。
図20図20は、中央長手方向断面における、収容形態での、図17のカートリッジの実施の形態の斜視図を示す。
図21図21は、中央長手方向断面における、投薬形態での、図17のカートリッジの実施の形態の斜視図を示す。
図22図22は、収容形態における、カートリッジの代替の実施の形態の斜視図を示す。
図23図23は、上方における、図22において示されたカートリッジの実施の形態を示す。
図24図24は、底面における、図22において示されたカートリッジの実施の形態を示す。
図25図25は、近位における、図22において示されたカートリッジの実施の形態を示す。
図26図26は、遠位における、図22において示されたカートリッジの実施の形態を示す。
図27図27は、側方における、図22において示されたカートリッジの実施の形態を示す。
図28図28は、投薬形態における、図22において示されたカートリッジの実施の形態の斜視図を示す。
図29図29は、図22のカートリッジの実施の形態の長手方向軸を通る断面である。
図30図30は、図28のカートリッジの実施の形態の長手方向軸を通る断面である。
図31図31は、矢印により示されるような乾燥粉末吸入器の粉末収容領域内における流れの動きを模式的に表示したものである。
図32図32は、流動管路および矢印により示されるような吸入器を通る流れの方向を示す乾燥粉末吸入器の実施の形態を模式的に表示したものである。
図33図33は、吸入器の流れに対する抵抗性の例示的な実施の形態での、ベルヌーリの原理に基づく流動と圧力との関係の測定のグラフを表す。
図34図34は、吸入器と、インシュリンおよびフマリルジケトピペラジン粒子を含む吸入のための乾燥粉末製剤を含有するカートリッジとを使用し、レーザー回折装置を用いて得られた粒度分布を示す。
図35図35は、例示的な吸入システム(DPI2)およびMEDTONE(登録商標)(MTC)によって実施された全試験の平均から得られたデータのグラフ表示であり、異なるカートリッジ粉末内容物からの吸入システムにて放出された粒子の累積幾何粒度分布を示している。
図36図36は、吸入モニタリングシステムを用いて記録している吸入のグラフを表し、対象により、粉末製剤無し(曲線A)、および粉末製剤有り(曲線B)での例示的な吸入システムにて実行している。
図37図37は、FDKP微小粒子を含む乾燥粉末製剤の吸入後、6時間において、図36における同様の対象にて得られる試料からの血漿におけるFDKPの濃度のグラフである。
図38図38は、用量のグループによる時間経過でのインシュリン濃度のグラフである。
図39図39は、用量のグループによる時間経過でのFDKP濃度のグラフである。
図40図40は、それぞれの個々の検査によるグルコースの可動域のグラフである。
図41図41は、提示するデバイスの使用の際の例示的な吸入特性のグラフであり、2秒以内でのピーク吸気圧力が示されている。
図42図42は、例示的な吸入器のグラフであり、提示する吸入器による特性の基準が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0052】
ここに開示されるものは、一般的には、乾燥粉末吸入器、乾燥粉末吸入器のためのカートリッジ、および、肺吸入を経て1つまたはそれより多くの調合薬物を患者へと送達するための吸入システムである。1つの実施の形態では、吸入システムは、呼吸駆動式乾燥粉末吸入器と、薬学的活性物質または活性成分および薬学的に許容可能な担体を含有する調合製剤を含むカートリッジとを備える。乾燥粉末吸入器は、様々な形状および大きさにおいて提供され、再使用可能または単回使用とすることもでき、使い易く、安価で製造でき、かつプラスチックまたは他の許容されている材料を使用する単純な工程において大量に生産することができる。完全なシステムに加え、吸入器、充填されたカートリッジおよび空のカートリッジが、ここに開示されるさらなる実施の形態を構成する。本吸入システムは、任意の乾燥粉末の形状に使用されるよう設計することができる。1つの実施の形態では、乾燥粉末は、最適な解凝集状態を必要とする相対的に凝集性を有する粉末である。1つの実施の形態では、吸入システムは、乾燥粉末製剤の予め測定された用量を含む単回使用のカートリッジとの組み合わせにおいて、再使用可能であり、かつ小型の呼吸駆動式吸入器を提供する。
【0053】
薬物製剤の全身循環に対する、効果的で一貫性を有する送達のための方法も開示されている。
【0054】
ここにおいて使用される「単位用量吸入器」という用語は、乾燥粉末製剤の単一の容器を受け入れるよう適合され、吸入により容器から使用者へ乾燥粉末製剤の単回用量が送達される吸入器を示す。場合によっては、使用者に特定の投薬量を提供するために、複数の単位用量が必要となることは理解されるべきである。
【0055】
ここにおいて使用される「多重用量吸入器」という用語は、複数の容器を有しており、それぞれの容器は乾燥粉末製剤の予め測定された用量を含有しており、任意の時間において吸入により薬物粉末の単回用量を送達する吸入器を示す。
【0056】
ここにおいて使用される「容器」は、乾燥粉末製剤を保持または含むよう構成されているエンクロージャ、粉末含有エンクロージャであり、蓋を有する、または蓋が無い構造とすることができる。この容器は、吸入器から分離できるよう提供され、または吸入器と構造的に一体化できるようになっている(例えば、非着脱式)。さらに、容器には乾燥粉末が充填され得る。カートリッジは、容器をも含み得る。
【0057】
ここにおいて使用される「粉末塊」は、幅、直径および長さ等の不規則な幾何学的形状を有する粉末粒子の集塊または凝集物を示す。
【0058】
ここにおいて使用される場合、「微小粒子」は、正確な外部または内部構造に関係なく、約0.5から約1000μmの直径の粒子を示す。しかし、10μmよりも小さい4つの肺送達の微小粒子が一般的に望ましく、特に、直径約5.8μmより小さい平均粒径を有するものが望ましい。
【0059】
ここにおいて使用される「剛性の空気導管」は、幾何学的に変化しない、または一定のままの、例えば再使用可能の吸入器において繰り返し使用した後当該空気導管が同様のままである、吸入システムを通る空気の通路を画定する空気導管を示す。剛性の空気導管は、マウスピース、容器、吸入器ハウジング、容器、容器ハウジング等と連結し得る。
【0060】
ここにおいて使用される「単位用量」は、吸入のために予め測定された乾燥粉末製剤を示す。または、単位用量は、測定された単回の量である吸入により送達され得る製剤の複数の用量を有する、単一容器であり得る。単位用量カートリッジ/容器は、単回用量を含んでいる。または、複数の個々にアクセス可能である区画を備え、それぞれ単位用量を含み得る。
【0061】
ここにおいて使用される「約」という用語は、その値を決定するのに用いられるデバイスまたは方法において、誤差の標準偏差を含む値を示すものとして使用される。
【0062】
本デバイスはいくつかの方法により製造され得るが、1つの実施の形態では、吸入器およびカートリッジは、例えば射出成形技術または熱成形により製造される。当該製造には、ポリプロピレン、環状オレフィンコポリマー、ナイロン、ポリエチレンのようなポリエステル、および他の互換性を有するポリマー等を含む、プラスチック材料の様々な種類のものが使用される。特定の実施の形態では、乾燥粉末吸入器は、個々の構成要素のトップダウン組み立てを使用して組み立てられることができる。いくつかの実施の形態では、吸入器は、約1インチから約5インチでの寸法のように小型サイズにおいて提供され、一般的に、幅および高さはデバイスの長さよりも小さい。特定の実施の形態では、吸入器は、相対的に、長方形本体、円筒形、楕円形、筒状、正方形、長方形および円形の形状を含む、様々な形状において提供される。
【0063】
ここに記載され例示されている、吸入器、カートリッジまたは容器および乾燥粉末製剤を備える吸入システムの実施の形態では、空気のような気体を吸入器に入れるための少なくとも1つの比較的剛性の流動導管を使用することによって、乾燥粉末製剤が、効果的に流動化し、解凝集し、またはエアロゾル化するようなカートリッジを有する吸入器が構成される。例えば、乾燥粉末を含むカートリッジが出入りするための第1の空気/気体路、およびカートリッジを出る第1の空気路と繋がっている第2の空気路を備える吸入器が挙げられる。当該流動導管は、例えば、吸入器の構成に依って、様々な形状および大きさを有することができる。本吸入システムにおいて使用することができる吸入器およびカートリッジの例は、例えば、米国特許出願第12/484,125号(米国特許出願公開第2009/0308390号明細書)、同第12/484,137号(同第2009/0308392号明細書)および同第12/717,884号(同第2010/0197565号明細書)において開示されており、吸入システムに関してこれらが開示している全てを、参照によりここに組み込む。
【0064】
ここに例示されている実施の形態では、それぞれの吸入器は、適切なカートリッジと共に使用され得る。しかし、吸入器およびカートリッジが互いに対応するよう設計されている場合、吸入システムは、より効率的に実行することができる。例えば、吸入器のカートリッジ装着領域は、特定のカートリッジのみを収容するよう設計することができる。その結果、カートリッジの開口の構造的な構成と吸入器とが、合致し、または互いに適合し、例えば、使用者のための安全なパラメーターとしての補助となり得る基準領域または表面となる。対応する吸入器およびカートリッジの例は、カートリッジ170を使用することができる吸入器302、およびカートリッジ150を使用することができる吸入器900として、以下に述べる。これらの吸入器およびカートリッジは、米国特許出願第12/484,125号、同第12/484,129号、および同第12/484,137号において記載されている。吸入器およびカートリッジに関し、これらが全体において開示している追加もしくは代替の詳細、特徴、および/または技術的背景の教示での適切な箇所において、それらの全てを参照によりここに取り込む。
【0065】
乾燥粉末吸入器の実施の形態が、図1から9において例示されている。この実施の形態では、乾燥粉末吸入器は2つの構成を有している。すなわち、閉止構成が図1から6および9において描かれており、開放構成が図7および8において描かれている。開放構成における乾燥粉末吸入器302は、吸入のための薬物を含むカートリッジの装着、または取り外しをすることができる。図1から6は様々な方向からの閉止構成における吸入器302を描いており、吸入器302は、ハウジング320と、本体より突出しており本体から外側へと延在しているマウスピース330とを備えている、比較的長方形の本体を有する。マウスピース330の一部分は使用者との接触のための端部に向かって細くなっており、開口335を有する。吸入器302は、歯車付きメカニズム363およびスレッドをも備える。吸入器302は、例えば、トップダウン組み立て手段における4つの部品を用いて製造することができる。マウスピース330は、さらに、吸入器の長手方向軸に沿って走るよう構成された空気導管340を備える。また、マウスピース330は、口腔配置領域312、空気導管の長手方向軸に対し角度を有する、または傾斜している表面を有するよう構成された空気入口部310および空気出口部335、ならびに、ハウジング320と流動的に接続されているカートリッジポート開口355、および/または、ハウジングもしくは使用の際に吸入器において装着されているカートリッジから空気導管340へ空気の流れを入れるためのハウジング320において装着されるカートリッジを有する。図1には、ハウジング320を越えて延在し、例えば突出といった固定メカニズム312によりハウジング320と掛かり合っているマウスピース330のカバー部分308とを以て形成される吸入器300よりも、等軸測視での閉止位置においてより細い本体305を有する吸入器302が示されている。図2から6は、それぞれ図1の吸入器の側方、上方、底面、近位および遠位の図を描いている。図に示すように、吸入器302は、口腔配置領域312と、図7に示すよう、少なくとも一部分においてハウジング320に取り付けることができるカバー308のように構成されている延長部分とを有するマウスピース330を備えている。マウスピース330は、ヒンジメカニズム363によって、角度方向において使用者の手に近位の配置から開くように旋回することができる。この実施の形態では、吸入器302は、ハウジング320に対し吸入器またはマウスピース330を開けるため、ヒンジ内に一体化された図8にて示すような歯車付きメカニズム363をも有するよう構成されている。
【0066】
歯車付きメカニズムまたはスレッド317の一部分であるラック319およびピニオン363は、ハウジング320に掛かるヒンジメカニズムの部分としてのマウスピースと共に構成される。当該ハウジングでも、スレッド317を囲むよう構成され得る。この実施の形態では、スレッド317は分離した部分として構成されており、ヒンジメカニズムにおいて構成された歯車に噛み合うラックとして構成された部分を有している。ヒンジメカニズム363は、マウスピース330を、開放構成またはカートリッジ導入構成へと動かし、さらには閉止構成または角度方向における吸入器302の配置を動かすことができる。吸入器300、302における歯車付きメカニズム363は、吸入器がマウスピース330の動きにより開閉された場合、ハウジング320内における当該開閉に伴うスレッド317の移動を可能としている。これは、スレッド317が、歯車付きメカニズム363の一部分としてのラック319と一体化するよう構成されているということである。カートリッジを用いての使用の際、吸入器の閉止の間のスレッド317の動作によって、吸入器の歯車付きメカニズム363は、カートリッジを、カートリッジが吸入器のハウジングまたは装着領域において装着された後のカートリッジ収容形態から、吸入器が閉止されている場合の投薬形態へ、再構成することができる。カートリッジ170を用いての吸入後の吸入器の開放構成、または対象が乾燥粉末製剤の投薬を行った後の処分構成に対するマウスピース330の動作である。ここに示されている実施の形態では、ヒンジおよび歯車付きメカニズムは吸入器の遠位端において提供されている。しかし、蛤のような構成としてのカートリッジを導入する、または取り出すために吸入器が開閉するような、その他の構成も提供することができる。
【0067】
図1での使用の際において、空気の流れは空気入口部310を通って吸入器へと入り、同時に、空気入口部355を通ってカートリッジ170を通る空気導管340の中へと入っている。1つの実施の形態では、入口ポート355から出口ポート335へと延在している空気導管340でのマウスピース330の内部の容積は、約0.2cmよりも大きい。他の例示する実施の形態では、内部の容積は、約0.3cm、約0.3cm、約0.4cmまたは約0.5cmである。別の実施の形態では、このマウスピースの内部の容積は、マウスピース330の内部の容積である0.2cmより大きい。1つの実施の形態では、マウスピースの内部の容積は、0.2から6.5cmの範囲である。カートリッジ容器175内に含まれた粉末は、粉末含有物の転動を通り、カートリッジに入る空気の流れの中へと流動化され、または搭載される。流動化された粉末は、その後、徐々に分配ポート173、127を通りマウスピース空気導管340内へと出て、さらに、出口ポート335へ出る前に、空気入口部310へ入ってくる空気の流れで解凝集され、希釈される。
【0068】
1つの実施の形態では、ハウジング320は、例えば、上部316および底部318等、1つまたはそれより多くの構成要素を備えている。当該上部および底部は、互いに固い封止状態において適合し、スレッド317、ならびにヒンジおよび/または歯車付きメカニズム363を囲うエンクロージャを形成するよう、構成されている。ハウジングの内部や、吸入器302の閉止位置においてマウスピースカバー部分308を引っ掛け固定する突出部分またはスナップリングのような固定メカニズム313に、空気の流れが入ることを可能とする1つまたはそれより多くの開口309を有するようにも、ハウジング320は構成されている。ハウジング320は、吸入器と共に使用されるカートリッジの型と対応するよう構成されているカートリッジホルダ、またはカートリッジ装着領域315を有するようにも構成されている。この実施の形態では、カートリッジ配置領域またはホルダはハウジング320の上部における開口である。なお、この開口は、カートリッジが吸入器302に装着されると、カートリッジ底部または容器をスレッド317上に位置させることをも可能とする。当該ハウジングはさらに取手領域304、307を備えてもよい。当該取手領域は、吸入器を開けカートリッジを導入または取り外すため、吸入器をしっかりと固定して握ることができるよう吸入器の使用者を補助するように、構成されている。ハウジング320は、さらにフランジを備えてもよい。当該フランジは、空気路または導管を定めるよう構成されており、例えば、2つの平行なフランジ303は、吸入器の空気入口部310の中と、吸入器内に位置しているカートリッジの空気導管のカートリッジの空気入口部の中へ、空気の流れが方向付けられるようにも構成される。フランジ310は、吸入器302の入口ポート310の閉塞から使用者を防ぐようにも構成される。
【0069】
図7は、マウスピースのカバーリングがなされている図1の開放構成における吸入器の等軸測視図が描かれている。当該マウスピースのカバーリングは、例えば、カートリッジ装着領域と対応するように、および使用のためのカートリッジホルダ315においてカートリッジが装着可能となるように構成されている、キャップ342およびカートリッジ170である。1つの実施の形態では、製造後に提供される、カートリッジの収容位置からの再構成は、カートリッジがカートリッジホルダ315に装着されると行われ得る。当該カートリッジホルダは、ハウジング320内において吸入器に適合し、カートリッジが、吸入器内において適切な方向性を有し、単一の様式または方向性においてのみ挿入または装着することが可能であるように構成されている。例えば、カートリッジ170は固定メカニズム301と共に構成することができ、当該固定メカニズムは、例えば吸入器の装着領域等の吸入器のハウジングにおいて構成されている固定メカニズムに適合するようになっている。または、例えば吸入器において装着されるカートリッジ170等のカートリッジにおける傾斜縁部に対応している傾斜縁部301を、ホルダが備えることもできる。この実施の形態では、傾斜縁部は、スレッド317の動作の間において、ホルダ315での飛び出しからカートリッジを防ぐ固定メカニズムを形成している。
【0070】
図8および9において示す1つの特定の実施の形態では、カートリッジの蓋は、傾斜縁部を有して構成されており、使用の際に、整合する傾斜縁部を有するハウジングの装着領域において固定されるようになっている。図8および9では、スレッド317を用いて構成されているラックメカニズム319も示されている。当該メカニズムでは、吸入器302が使用者に投薬するために準備されている際、閉止吸入器構成またはカートリッジ分配・投薬位置もしくは形態において、分配ポートを有するよう構成されているカートリッジ上部下表面の下において容器が提携するよう、スレッド317は、カートリッジ上部の下にて滑るようにカートリッジ170のカートリッジ容器175の動きを遂行させる。投薬形態では、カートリッジ上部の下表面は容器の下表面に対し相対的に上昇しているので、空気の入口ポートが、カートリッジ上部と容器の縁との境界によって形作られる。この構成では、空気導管は、空気入口部、周囲の空気に曝されているカートリッジの内部の容積、および、カートリッジ上部における開口またはカートリッジ上部における分配ポートにより、カートリッジを通過して定められる。当該空気導管は、マウスピースの空気導管340と流動的に連通している。
【0071】
吸入器302は、さらに、マウスピースの口腔配置部分を保護するため、マウスピースキャップ342を含んでもよい。図8は、カートリッジホルダ内にカートリッジが装着されている開放構成における、図1の吸入器の中央長手方向軸を通る断面を描いており、図9ではカートリッジ分配または投薬形態を描いている。
【0072】
図8は、ホルダまたは装着領域315に装着され、ならびに、分配ポート327を有する突出部326、歯車付きメカニズム360、363および閉止構成においてデバイスを保持するスナップ380を含む、吸入器302およびカートリッジ170の互いに対応する内部の構成要素を示す様子が描かれている。
【0073】
図10から16は、さらに別の吸入システムの乾燥粉末吸入器の実施の形態が示されている。図10では、図1から9において示された吸入器302と同様に構造的に構成されている開放構成での吸入器900が描かれている。吸入器900は、マウスピース930と、当該ハウジング組み立て部品920に対してマウスピース930が旋回するようヒンジにより互いに取り付けられているハウジング組み立て部品920とを備えている。マウスピース930には、さらに、ハウジング920よりも幅が広い側方パネル932が一体化して形成され備わっており、吸入器900の閉止構成をとれるよう、ハウジングの突出部905と引っ掛かるようになっている。マウスピース930は、さらに、空気入口部910、空気出口部935、使用者の唇または口に接触するための空気入口部910から空気出口部935へと延在している空気流動導管940、および吸入器の空気流動導管940と連通している下または底表面におけるアパーチャ955を備えている。図12は、吸入器900の展開された図を示している。ここでは、マウスピース930およびハウジング組み立て部品920を含む、吸入器の構成要素が示されている。図12に描かれているように、マウスピースは単一の要素として構成されている。さらに、角度を有する方向におけるハウジング920に対するマウスピース930の動作にてデバイスの閉鎖ができるよう、マウスピースは、ハウジング920と繋ぐための歯または歯車913が構成されている、バー、シリンダーまたはチューブ911を備えている。空気の流れをマウスピースの空気入口部910に方向付けることが可能なハウジングとなるよう、空気路912が作られてもよい。空気路912では、使用の際に、当該空気路にわたり使用者の指が配置されていても、空気導管940の中への空気の流れが限定されたり、妨害されたりすることはない。
【0074】
図12には、2つの部品を備えるハウジング組み立て部品920が示されている。当該2つの部品は、エンクロージャを作るよう製造されており、カートリッジ配置または装着領域908を有する上部、および、吸入器が閉止構成である場合に空気入口を定めるよう構成されている切欠918を備える。図12では、ハウジング920がエンクロージャとして示されており、さらに製造を簡易にするため2つの要素部品が備わっているが、それよりも少ない、または多い部品が使用されてもよい。また、ハウジングの形状の底部には開口が存在せず、トレイ922を含んでおり、エンクロージャまたはハウジング920を形成するよう上部またはカバー925と連結される。トレイ922はくぼみ914を備えるよう構成されている。当該くぼみ914は、その遠位端の近くが、マウスピース930とのヒンジの形成における、バー、シリンダーまたはチューブ911を囲むよう構成されている。トレイ922はスレッド917をも囲む。スレッド917は、トレイ922内において移動可能となるよう構成されており、また、カートリッジ受け入れ領域921および腕のような構造を有する。当該構造では、マウスピース930の歯または歯車913に係合させるための開口915を有する。これによって、使用においてデバイスを閉止する際、ハウジング920に対するマウスピース930の移動が近位の方向においてスレッドを動かし、その結果、スレッドは、吸入器ホルダまたは装着領域908に位置しているカートリッジ容器に隣接し、当該容器の収容位置から投薬位置へ、配置の変更を可能とする。この実施の形態では、カートリッジホルダ908において配置されているカートリッジは、吸入器または使用者の近位端に向かって面する、投薬形態における空気入口部の開口を有する。ハウジングカバー925は、例えば、固定メカニズムとして底部の境界から延在している突出部926を有することにより、トレイ922に対し強固に取り付けることができるよう構成されている。図12では、吸入器の装着領域において装着される、収容形態でのカートリッジ150の位置および方向を描く、開放構成における吸入器900が示されている。図13では、さらに、収容形態におけるカートリッジホルダにてカートリッジ150が装着された、開放構成における吸入器900が示されている。図14では、スレッド917に隣接するカートリッジ容器151の収容形態でのスレッド917に対する歯車913の配置を示しており、図13における吸入器の中央長手方向断面を示している。この実施の形態では、容器151は、カートリッジ上部156と対称的に動く。吸入器900を閉止するにあたり(図15)、マウスピース930を閉止構成となるよう動かすと、投薬形態が得られマウスピースのアパーチャ955がカートリッジの突出部126を過ぎて滑るまで、容器151はスレッド917に押される。すると、分配ポート127はマウスピースの空気導管940と連通し、空気導管940において、空気入口アパーチャ918、カートリッジの空気入口部919および分配ポート127を通る、投薬のための空気流路がつくられる。図16に見られるように、マウスピース930および空気導管940は、徐々に遠位端へと相対的に細い、砂時計のような形状構成となっている。この実施の形態では、スレッド917は、使用後に吸入器が開けられた際、スレッドがカートリッジを収容形態へと再構成できないよう構成されている。この実施の形態のいくつかの変形例では、使用された粉末薬物に応じ、カートリッジの再構成は可能であるし、または望ましいだろう。
【0075】
ここに記載されている実施の形態では、空気の流れをカートリッジを通過してのみ移動させるため、空気の流れのシステム内への漏出を防ぐよう、例えば355,955の吸入器アパーチャは、例えばつぶれたリブ、適当な表面、ガスケットおよびOリングのシールを用いて備えさせることができる。他の実施の形態では、当該シールとして遂行するために、シールがカートリッジに対して備えられ得る。吸入器は、粉末の蓄積または堆積を最小化するよう構成された、1つまたはそれより多くの解凝集領域をも備える。解凝集領域は、例えば、容器および分配ポート内を含むカートリッジ内、ならびにマウスピースの空気導管における1つまたはそれより多くの場所において備えられる。
【0076】
吸入器を用いて使用するためのカートリッジの実施の形態は、それぞれ、図10、13、14および16から31、ならびに、図7から9および22から30において示されている、カートリッジ150、170のような上述したものである。本発明に係るカートリッジは、少なくとも2つの形態を有するエンクロージャを形成し、固く封止され含有された場所であるストレージにおいて乾燥粉末薬物を含有するよう構成されている。この、および他の実施の形態では、カートリッジは、吸入器内において、粉末収容位置から吸入または投薬形態へ再構成されてもよい。
【0077】
特定の実施の形態では、カートリッジは、蓋または上部、ならびに、1つまたはそれより多くのアパーチャ、収容形態および投薬形態、外側表面、内部の容積を定めている内側表面を有する容器を備える。当該収容形態は、内部空間に対する連通を制限し、分配形態は、予め決定していた様式での空気の流れの内部空間の出入りを可能とするよう、内部空間を通る空気路を形成する。例えば、粉末の分配率を制御するようカートリッジを出る薬物を測定するため、内部空間内において、カートリッジ空気入口部に入る空気の流れが空気出口を横切り方向付けられるよう、カートリッジ容器を構成することができる。ここでは、分配アパーチャを通って出ていく前に、内部空間において、カートリッジ内の空気の流れが空気出口の流れの方向に対して実質上垂直に転動し、混合し、流動化することができる。
【0078】
1つの実施の形態では、カートリッジは、ラベル、エッチング、色、フロスティング、フランジおよび隆起等を含む、1つまたはそれより多くの標識を用いてコード化することができる。例えば、もし色を選ぶ場合、プラスチックおよび薬物製剤と調和性を有し、または薬学的に許容される様々な種類の色素顔料を、カートリッジ製造の間に組み込むことができる。この、および他の実施の形態では、色が特定の活性成分または投薬の強度を表すことができる。例えば、緑の蓋にてFDKPおよびインシュリン製剤の6単位を示すことができる。薬学的に許容可能な色素は、緑、青、青緑、ポップな絵柄、紫、黄色またはオレンジ等があり得る。
【0079】
図17では、さらに、上部または蓋156、および内部空間または容積を定めている容器151を備えるカートリッジ150が示されている。図18には、さらに、反対の端部を有し、凹部領域154および長手方向軸Xの反対の端部における突出部126を備えるカートリッジ上部156が例示されている。当該カートリッジ上部156には、側方に沿った長手方向軸Xにおけるパネル152に対称的に長方形のセットを備えており、これは一体的となり構成されており、端部において上部156へと取り付けられている。カートリッジ上部156の境界158は徐々に下がりながら延在しており、パネル152と繋がっている。パネル152は長手方向軸Xにおける上部156のそれぞれの側方から徐々に下がりながら延在しており、長手方向の空間またはスリット157により、突出部126および凹部領域154の区域から分離している。図17から21においても、フランジ153をさらに備えるそれぞれのパネル152が示されている。当該フランジは、容器151の突出部分またはウイング166と係合し、容器151を保持し、容器151が凹部領域154の下の収容位置から突出部126の領域の下の投薬位置へと移動できるよう構造的に構成されている。パネル152は、容器151の境界158へと取り付けられる端部を越える動作から防止するため、それぞれの端部においてストップ132を備えるよう構造的に構成されている。この実施の形態では、容器151もしくは蓋156は、例えば上部156の下の併進移動により動くことが可能であり、または上部156は容器151と相対的に動くことができる。1つの実施の形態では、蓋もしくは上部156が設置されている場合、容器151は蓋156上のフランジ153において滑ることにより移動させることができ、または蓋156は、吸入器の構成に依って、設置されている容器151上を滑ることにより移動させることができる。突出部126近くの境界158は、カートリッジの投薬形態における入口ポート119の周囲部分を形成する凹部領域を有する。
【0080】
図19は、容器151、分配ポート127、パネル152、フランジ153、および、突出部126の下の領域または相対的にへこみ、もしくは窪んでいる下表面168のような、収容形態における構造の関係性を表すカートリッジ150の底面図を示している。図20は、収容形態におけるカートリッジ150の中央長手方向軸Xを通る断面を描いており、当該断面は、凹部領域154における蓋156との強固な接触での容器151を示しており、フランジ153によって保持されている。突出部126の下表面はへこんでおり、相対的に容器151の上部の境界よりも高い位置において見られ得る。図21は、投薬形態におけるカートリッジ150を示している。ここでは、容器151の上の境界および突出部126の領域の下のパネル158が、流れをカートリッジ151の内部の中へと入れることができる入口ポート119を形成している。
【0081】
別の実施の形態としては、並進移動するカートリッジ170が、図22から30において示されている。これは、カートリッジ150の代替の実施の形態であり、例えば、図1から9において描かれた吸入器302を用いて使用することができる。図22では、上部または蓋172および内部の空間を定めている容器175を備えるエンクロージャを含有しているカートリッジ170が描かれている。なお、当該カートリッジは、収容形態におけるものが示されている。このカートリッジの構成では、カートリッジ上部172は容器175を封止して形成するよう構成されており、容器または蓋は互いに相対的に移動可能である。カートリッジ170は、収容位置(図22および29)から投薬位置(図24から28および30)へと構成され得る。さらに、カートリッジが使用されたことを示すよう、処分位置(図示せず)、例えばカートリッジの中央へと構成され得る。図22は、カートリッジ170の様々な特徴も示しており、上部172は、容器の外側を部分的に被覆するよう構成されている側方パネル171を備えている。それぞれの側方パネル172は、その低い方の端部にフランジ177を備えており、当該フランジは、容器175のウイング状の構造を保持するよう軌道を形成しており、上部172の低い方の境界に沿った容器175の移動を可能としている。カートリッジ上部172は、さらに、一端における外側の相対的に平坦な表面と、開口または分配ポート173を有している比較的長方形の突出部174と、強固な封止において容器175の含有を維持するよう内部において構成されているくぼみまたは凹部領域とを備える。1つの実施の形態では、分配ポートは様々な大きさを有するよう構成され得る。例えば、開口の幅および長さは、カートリッジ内部へのその入口において、幅では約0.025cmから約0.25cm、長さでは約0.125cmから約0.65cmにて形成することができる。1つの実施の形態では、分配ポートの入口は、大凡、幅が0.06cm、長さが0.3cmにて測定される。特定の実施の形態では、カートリッジ上部172は、掌握する表面および固定メカニズムも含み得る様々な形状を備えることができる。当該表面では、例えば、タブ176、179、およびホルダでの適切な配置のため、正しい方向においてカートリッジを方向付けるような他の構成を挙げられる。当該固定メカニズムでは、例えば、対応する吸入器に対してしっかりと適合する、面取りした、または傾斜(している)縁部180が挙げられる。フランジ、突出部の外側の幾何学的形状、タブおよび様々なその他の構造は、吸入器におけるカートリッジの適切な配置を指し示し、容易にし、および/または必要とさせるようなキーイング表面に構成してもよい。さらに、これらの構造は、カートリッジにより提供される特定の薬物または用量を、特定の吸入器と相関させるため、1つの吸入器−カートリッジの組み合せのシステムから別のものへと変えてもよい。そのような場合、第1の薬物または用量と関連している吸入用のカートリッジは、第2の薬物または用量と関連している類似した吸入器に配置され、または処方されることを防ぐことができる。
【0082】
図23は、突出部174、分配ポート173、凹部領域178、ならびにタブ176および179を備えるカートリッジ上部172の一般的な形状を例示している上面図である。図24は、上部172からのそれぞれのフランジ177によるそのウイング状の突出部182によって保持されている、投薬位置における容器175を示すカートリッジ170の底面図である。図25は、カートリッジ上部172および容器175の上方の境界上に、切り欠きにより形成された空気入口部181をさらに備える、投薬形態におけるカートリッジ170を示す。この構成では、空気入口181はカートリッジの内部と連通しており、分配ポート173との空気導管を形成している。使用の場合、カートリッジ空気入口部181は、分配ポート173において空気の流れがカートリッジ内部に入り方向付けられるよう構成されている。図26は、投薬形態における反対の端部からのカートリッジ170、または図25の背面図を示す。
【0083】
図27は、カートリッジ150の側面図であり、容器175、突出部174、側方パネル172およびタブ176等の、投薬形態における構成の関係性を示している。図28は、使用のための投薬形態におけるカートリッジ170を示している。当該カートリッジは、容器175と、相対的に長方形の空気入口部181、および、カートリッジ上部172の上方表面上の相対的中央に位置する突出部174を貫通している相対的長方形の分配ポート173を有する上部172とを備えている。突出部174は、吸入器のマウスピースの壁内におけるアパーチャの中に適合するよう構成されている。図29および30は、それぞれ、収容形態および投薬形態における、カートリッジ170の中央長手方向軸Xでの断面図である。当該断面図は、容器175が凹部領域178の下表面にある蓋172と接触し、容器を1つの位置から別の位置へ滑らせる軌道を形成しているフランジ177により保持されている様子を示す。図29によると、収容形態において、容器175は、凹部領域178にてカートリッジ上部172の下表面と封止された状態を形成している。図30は、投薬形態におけるカートリッジ170を描いており、容器は凹部領域181の反対の端部に存在する。また、容器175およびカートリッジ上部は、分配ポート173および容器175の内部との空気導管を形成するだけでなく、周囲の空気をカートリッジ170に入れる、空気入口部181を形成する。この実施の形態では、投薬位置でのカートリッジ上部の下表面は相対的に平坦であり、容器175の内部表面はいくぶんU形状となるよう構成されている。突出部174は、カートリッジ上部172の上表面の上をやや突出するよう構成されている。
【0084】
カートリッジの他の実施の形態では、カートリッジを乾燥粉末吸入器に適合させることもできる。当該吸入器は、吸入器またはカートリッジを収容形態から投薬形態へと動かすため、回転可能なメカニズムを備えている吸入器を用いての使用に適している。この場合、カートリッジ上部は容器に対し対称的に移動する。または、投薬位置へと容器での分配ポートの配置合わせを達成させる場合、上部に対して対称的に容器を移動させてもよい。または、収容形態へと容器または上部のいずれかを移動させてもよい。
【0085】
ここに記載されている実施の形態では、カートリッジは、使用される乾燥粉末製剤応じ、様々な量における乾燥粉末薬物の予め測定された用量である単回単位を送達するよう構成することができる。カートリッジ150、170のようなカートリッジの例は、例えば乾燥粉末製剤の0.1mgから約50mgの用量を含むように構造的に構成することができる。従って、容器の大きさおよび形状は、吸入器の大きさおよび送達される粉末薬物の量または質量によって、変化し得る。例えば、容器は、2つの対面する側方をもつ、相対的に円筒状の形状を有し得る。当該対面する側方は、相対的に平坦であり、およそ約0.4cmから約2.0cmの間の距離を有している。吸入器利用を能率的に活用するため、Y軸に沿ったカートリッジの内部の高さは、チャンバー内に含有させる粉末の量によって変化させてもよい。例えば、粉末の5mgから15mgの充填では、約0.6cmから約1.2cmの高さが最適と望まれるだろう。
【0086】
1つの実施の形態では、乾燥粉末吸入器のための、薬物カートリッジが提供される。当該薬物カートリッジは、薬物を保持するよう構成されているエンクロージャと、流れをエンクロージャ内へと入れる少なくとも1つの入口ポートと、流れをエンクロージャから出す少なくとも1つの分配ポートとを備えている。当該少なくとも1つの入口ポートは、圧力差に応答し、エンクロージャ内において、少なくとも1つの入口ポートに入る流れの少なくとも一部を、少なくとも1つの分配ポートに方向付けるよう構成されている。1つの実施の形態では、吸入器カートリッジは高密度ポリエチレンプラスチックから形成されている。カートリッジは、内部の容積を定め、互いに隣接している底部および側壁を備え、1つまたはそれより多くの開口をもつ内部表面を有する容器を有している。当該内部表面は、カップ状構造をとることができ、縁を有する1つの開口をもち、1つまたはそれより多くの入口ポートおよび1つまたはそれより多くの分配ポートを定めるよう構成されているカートリッジ上部および容器底部によって、形成されている。カートリッジ上部および容器底部は、収容位置、および分配位置または投薬位置に構成可能となっている。
【0087】
ここに記載された実施の形態では、乾燥粉末吸入器およびカートリッジが、その空気流動導管の任意の部分での断面領域を変化させることにより、調整可能な、またはモジュール式の空気流動抵抗を成し遂げるよう、構造的に構成され得る吸入システムを形成する。1つの実施の形態では、乾燥粉末吸入器システムは、毎分約0.065から約0.200(√kPa)/リットルの空気流動抵抗値を有することができる。他の実施の形態では、所望する抵抗がここで与えられる範囲内の値に達するその時点において、例えば4kPaに達するような、所望の圧力降下となるまで吸入器を通る空気の流れを防ぐよう、逆止め弁を使用してもよい。
【0088】
ここに記載する実施の形態では、乾燥粉末吸入器システムは、使用の際の所定の流れ勾配を有するよう構成されている。当該システムは、カートリッジを通る第1の流路、および、例えばマウスピース空気導管を通る、第2の流路を有している。図31および図32は、流路勾配のバランスを方向付けるカートリッジおよび吸入器の構造・構成により設置された、空気導管の模式図を示している。図31は、乾燥粉末吸入器の分配または投薬位置における、矢印によって示すような、カートリッジ内での一般的な流れの方向を示している。図32は、矢印によって示されるように、投薬位置における吸入器の流路を示している、乾燥粉末吸入器の実施の形態の流れの動きを表している。
【0089】
吸入器内の質量流量のバランスは、カートリッジ流路を通る体積のおよそ20%から70%であり、マウスピース導管の開始部分を通るものの30%から90%である。この実施の形態では、カートリッジを通る空気流動勾配は、カートリッジ容器内において、乾燥粉末薬物を流動化またはエアロゾル化するよう、転動手段において薬物を混合する。容器内において粉末を流動化している空気の流れは、その後、粉末を舞い上げ、徐々に粉末粒子を分配ポートを通ってカートリッジ容器の外に出す。さらに、マウスピース導管に入っている空気の流れからの剪断は、カートリッジ容器から出ている薬物を含有する空気の流れと合流する。そして、マウスピース出口ポートから出て患者へと入る前に、粉末薬物をさらに希釈し解凝集するため、カートリッジから出ている所定の、または測定された空気の流れが、マウスピースの空気導管へと入る迂回流路と合流する。
【0090】
さらに別の実施の形態では、患者への乾燥粉末製剤の送達のための吸入システムが提供される。当該吸入システムは、容器を受け入れるよう構成された容器装着領域と、少なくとも2つの入口アパーチャおよび少なくとも1つの出口アパーチャを有するマウスピースとを含む吸入器を備える。ここでは、当該少なくとも2つの入口アパーチャの1つの入口アパーチャは、患者へと乾燥粉末製剤を送達する容器領域を迂回するよう構成された流路を経て、少なくとも1つの出口アパーチャと流動的に連通している。また、当該容器領域を迂回するよう構成された流路は、吸入の間、吸入器を通り抜ける全体の流れの30%から90%を送達する。
【0091】
別の実施の形態でも、患者への乾燥粉末製剤の送達のための吸入システムが提供される。当該システムは、容器領域を含む乾燥粉末吸入器および容器を備える。当該乾燥粉末吸入器および容器を組み立てたものは、投薬形態における剛性の流動導管、および、使用の際における吸入システムの粉末解凝集のためのメカニズムを供給する複数の構成領域を有するよう、構成される。当該解凝集のための複数のメカニズムの少なくとも1つは、0.25mmと3mmとの間での最小寸法を有する、容器領域における凝集サイズ排除アパーチャである。「剛性の流動導管」の用語は、繰り返し使用した後でも幾何学的に変化しない吸入システムの空気導管のことを表す。すなわち、カプセルまたはブリスターのように前後において導管構造が変化を示し得る、カプセルおよびブリスターを伴う使用での穿孔メカニズムを用いて操作するものとは対称的であり、同様のまま、または一貫性を有するままであり、使用により変化しない導管をいう。
【0092】
代替の実施の形態でも、患者への乾燥粉末製剤の送達のための吸入システムが提供される。当該システムは、マウスピースおよび容器を含む乾燥粉末吸入器を備える。組み立てられた当該乾燥粉末吸入器および容器は、投薬形態における剛性の流動導管、および、使用の際における吸入システムの粉末解凝集のためのメカニズムを供給する複数の構成領域を有するよう、構成されている。当該解凝集のための複数のメカニズムの少なくとも1つは、出口アパーチャにおける流れを容器と流動的に連通させ方向付けるようマウスピースにおいて構成されている空気導管である。特定の実施の形態では、吸入システムは、メカニズムをさらに備える容器を含む。当該メカニズムは、凝集性を有する粉末の解凝集のためのメカニズムであり、カップ状構造の内部空間において旋回・再回転させるため容器に入る流れを導くよう構成されており、容器を出る前の粉末の質量が十分に小さくなるまで流れの中において粉末の凝集物を転がすように粉末薬物を舞い上げる、カップ状構造を備えている。この実施の形態では、カップ状構造は、流れの沈滞を防ぐよう、1つまたはそれより多くの旋回半径を有している。
【0093】
ここに記載される実施の形態では、カートリッジは、水平および垂直軸において分配ポートに対し、ごく近く接近している入口開口を有するよう構造的に構成されている。例えば、分配ポートに対する入口の近接は、約カートリッジ1つ分の幅以内で空気入口に隣接することができる。しかし、この関係性は、粉末の流量、物理的および化学的特性によって変化し得る。このような近接のため、入口からの流れは、開口を横切りカートリッジ内の分配ポートに至って、流動化した粉末または空気流動に混入した粉末がカートリッジから出ることを防ぐ、流れの構成を作り出す。このような方法での吸入処置の間において、カートリッジ容器へ入る流れはカートリッジ容器内における乾燥粉末製剤の転動を遂行することができ、カートリッジの出口または分配ポートに近づいている流動化した粉末は、カートリッジの入口ポートに入る流れにより妨害することができる。これによって、カートリッジ内の流れがカートリッジ容器を出ることから制限させることができる。流れの慣性、密度、速度、電荷の相互作用、位置の差によって、特定の粒子のみを、分配ポートを出るために必要とされる経路を進ませることができる。出口ポートを通らない粒子は、適正な質量、電荷、速度または位置をもつまで転動し続けなければならない。このメカニズムは、事実上、カートリッジを出る薬物の量を測ることができ、粉末の解凝集に対しても寄与することができる。出てくる流動化した粉末の計量をさらに補助するため、分配ポートの大きさおよび数を変化させることができる。1つの実施の形態では、2つの分配ポートが使用され、それぞれ0.10cmの直径の円形形状で構成されており、容器の中央の中心線周りの入口アパーチャ付近から、空気入口ポートに向かって中心線から約0.2cmのところに位置づけられている。他の実施の形態では、例えば、長方形を含む様々な形状の分配ポートを有することができ、1つまたはそれより多くの分配ポートの断面積は、約0.05cmから約0.25cmの範囲とできる。いくつかの実施の形態では、分配ポートの大きさの範囲を、直径にして約0.05cmから約0.25cmとすることができる。断面積がここに与えられた値と類似している限り、その他の形状および断面積を用いることもできる。代替として、より凝集性を有する粉末には、より大きい分配ポートの断面積を使用することができる。特定の実施の形態では、分配ポートの断面積は、当該ポートの最小の開口寸法に相対的な凝集物の大きさに応じて増加させることができ、その結果、当該ポートの幅に対する長さは大きいままである。1つの実施の形態では、取り込みアパーチャは、寸法において分配ポートの幅よりも広い。取り込みアパーチャが長方形である実施の形態では、空気入口アパーチャは、約0.2cmから約カートリッジの最大幅までの範囲の幅を備えている。1つの実施の形態では、当該高さは約0.15cmで、当該幅は約0.40cmである。代替の実施の形態では、容器は約0.05cmから約0.40cmの高さを有することができる。特定の実施の形態では、容器は幅においては約0.4cmから約1.2cm、高さにおいては約0.6cmから約1.2cmとすることができる。1つの実施の形態では、容器は1つまたはそれより多くの分配ポートを備え、当該それぞれのポートは0.012cmと約0.25cmとの間の直径を有することができる。
【0094】
特定の吸入システムでの乾燥粉末吸入器のためのカートリッジでは、備えられているカートリッジ上部および容器が提供され、カートリッジ上部は相対的に平坦に構成され、1つまたはそれより多くの開口と、容器を係合するよう構成された軌道を有する1つまたはそれより多くのフランジとを有している。当該容器は、内部空間を定めている内部表面を有し、カートリッジ上部の1つまたはそれより多くのフランジ上の軌道に対し移動可能に取り付けられ、1つまたはそれより多くのフランジの軌道に沿って移動させることにより、収容位置および分配または投薬位置へと構成することができる。
【0095】
別の実施の形態では、吸入システムは、0.5mmより大きく3mmより小さい最小寸法を有する乾燥粉末組成物の粉末質量を除外するよう構成されている、1つまたはそれより多くの出口ポートを有するエンクロージャを備えている。1つの実施の形態では、乾燥粉末吸入器のためのカートリッジは、2つまたはそれより多くの剛性の部分を有しているエンクロージャを備えている。当該カートリッジは1つまたはそれより多くの入口ポートおよび1つまたはそれより多くの分配ポートを有しており、1つまたはそれより多くの入口ポートは、分配ポートの合計の断面積よりも大きい、合計の断面積を有する。これは、1つまたはそれより多くの分配ポートの合計の断面積が、0.05cmから約0.25cmの範囲である場合も含む。
【0096】
1つの実施の形態は、吸入での乾燥粉末製剤の解凝集および分散のための方法である。当該方法は、マウスピースと、少なくとも1つの入口ポートおよび少なくとも1つの分配ポートを有する容器とを備える乾燥粉末吸入器において空気の流れを発生させ、乾燥粉末製剤を含有させる工程、容器にて少なくとも1つの入口ポートと少なくとも1つの分配ポートとの間に空気導管が形成され、容器に入る空気の流れの一部を入口ポートが少なくとも1つの分配ポートに方向付ける工程、空気の流れとの薬物混合物を形成するため、容器内の乾燥粉末薬物を舞い上げ混合させるように、容器内において粉末を転動させる空気の流れを可能とする工程、ならびに、少なくとも1つの分配ポートを通る容器から出る空気の流れを加速させる工程を備える。この実施の形態では、分配ポートを通り抜ける粉末薬物は、入口ポートに対する出口ポートの断面積を減少させることにより、すぐに加速させることができる。この速度の変化は、吸入の間、流動化されエアロゾル化された粉末薬物をさらに解凝集することができる。それに加え、流動化された薬物における粒子または粒子のグループの慣性により、分配ポートを出ていく粒子の速度は同様ではない。マウスピース導管におけるより速い空気の流れの移動は、ゆっくりとした移動で出口または分配ポートを出てくる流動化された粉末のそれぞれの粒子または粒子のグループにおいて、牽引力または剪断力を与え、薬物をさらに解凝集することができる。
【0097】
分配ポートを通り抜ける粉末薬物は、容器に対する出口または分配ポートの断面積の領域の減少によって、すぐに加速する。ここでは容器が、当該容器の空気入口よりも断面積の領域において先が細くなっていくように設計されている。速度において、この変化は、さらに流動化された粉末薬物を解凝集し得る。それに加え、流動化された薬物における粒子または粒子のグループの慣性のため、分配ポートから出る粒子の速度と分配ポートを通り抜ける流れの速度は同じではない。
【0098】
ここに記載された実施の形態では、分配ポートから出ていく粉末は、例えば、流動化された薬物の方向および/または速度での付与された変化により、さらに加速することができる。分配ポートを出ていきマウスピース導管に入る流動化された粉末の方向の変化は、分配ポートの軸に対し、およそ0°から約180°、例えばおよそ90°の角度で生じさせることができる。流れの速度および方向における変化は、空気導管を通る流動化された粉末をさらに解凝集し得る。方向における変化は、空気の流れの導管の幾何学的構成の変化を通して、および/または、マウスピース入口に入る二次的な空気の流れを用いて分配ポートから出る空気の流れを妨げることにより、達成させることができる。マウスピース導管において流動化された粉末は、マウスピースの口腔配置部分に入って出てしまう前に、当該導管における断面積の領域の増加によって、広がり減速する。凝集物内において捕捉された気体も広がり、個々の粒子に分解させ離れさせるよう補助し得る。これは、ここに記載されている実施の形態のさらなる解凝集メカニズムである。薬物を含有している空気の流れは患者の口腔へと入ることができ、例えば肺循環の中へと効果的に送達することができる。
【0099】
ここに記載されている解凝集メカニズムおよび吸入システムの一部のそれぞれは、粉末の解凝集を最大化する多段階のアプローチを示している。最大の解凝集および粉末の送達は、1つまたはそれより多くの加速/減速導管、牽引、または凝集物内において捕捉された気体の拡散、および、粉末の特性と、本発明の吸入器システムの統合された特徴である吸入器の構成要素材料の特性との相互作用を含む、それぞれの個々のメカニズムの効果を利用することによって得ることができる。ここに記載されている実施の形態では、吸入器は、粉末薬物の解凝集を最大化するよう、比較的、剛性の空気導管または配管システムを備え、繰り返しの使用の間でも、吸入器からの粉末薬物の放出の一貫性を有する。本発明の吸入器は、剛性もしくは同じままの変形できない導管を備えているので、ブリスターパックを使用する従来の吸入器と関連するフィルムの穿孔またはフィルムを剥ぐことによる空気導管の構築における差異を回避することができる。
【0100】
1つの実施の形態では、乾燥粉末吸入システムにおける、粉末製剤を解凝集する方法が提供される。当該方法では、内部空間を有する容器内における乾燥粉末製剤を乾燥粉末吸入器へと提供する工程と、粉末製剤の粉末質量が1つまたはそれより多くの分配アパーチャを通り抜けマウスピース内へ入るよう十分に小さくなるまで、乾燥粉末製剤を舞い上げ、乗せて循環させる流れとなるよう方向付けて構成されている容器へと流れを入れさせる工程と、を備える。この実施の形態では、当該方法は、さらに、1つまたはそれより多くの分配アパーチャから出てマウスピースに入る流れに乗っている粉末質量を加速させる工程を備えることができる。
【0101】
ここに記載されている実施の形態では、乾燥粉末薬物は、約2秒より短い間において吸入器から一貫性を有して分配される。本発明の吸入器システムは、毎分およそ0.065から毎分約0.200(√kPa)/リットルの高い抵抗値を有している。そのため、カートリッジを備える吸入システムにおいて、2から20kPaの間のピーク吸入圧力降下は、約7から70リットル/分の間のシステムを通るピーク流量が結果として作り出される。いくつかの実施の形態では、吸入器およびカートリッジシステムのための圧力差は、2kPaより小さくすることができる。その結果、このような流量は、1から30mgの間またはそれより多い量の粉末での充填質量にて分配されたカートリッジの含有量の、75%より大きい値となる。いくつかの実施の形態において、このような性能特性は、最終使用者の単回の吸入操作内によって、90%よりも大きいカートリッジ分配率を作り出すことが達成される。その他の実施の形態では、最終使用者の単回の吸入操作内によって、約100%のカートリッジ分配率を作り出すことが達成される。特定の実施の形態では、吸入器およびカートリッジシステムは、患者へと送達される粉末の連続する流れとして吸入器から粉末を放出することにより、単回用量を提供するよう構成されている。いくつかの実施の形態では、粒子の大きさに応じ、1つまたはそれより多くの粉末放出のパルスとして使用の際に粉末を送達するよう、吸入システムを構成することも可能であろう。1つの実施の形態では、患者の肺へと乾燥粉末製剤を送達するための吸入システムが提供され、当該システムは、毎分約0.065から毎分約0.20(√kPa)/リットルの値の範囲での投薬形態における総流動抵抗をもつ流動導管を有するよう構成された乾燥粉末吸入器を備える。この、および他の実施の形態では、吸入システムの総流動抵抗は、0.5kPaと7kPaとの間の圧力差の範囲にわたり、比較的一定である。
【0102】
吸入システムの構造的構成では、解凝集メカニズムは、50%より大きい呼吸可能な断片、および5.8μmより小さい粒子を作り出すことができる。吸入器は、吸入操作の間、容器内に含有された粉末薬物の85%より多い量を放出することができる。一般的に、図15Iにおいて描かれている吸入器は、充填質量が30mgまでの場合、2から5kPaの間の圧力差において、カートリッジまたは容器の含有の90%よりも多い量を、3秒よりも短い間において放出することができる。
【0103】
別の実施の形態では、本発明のシステムは、性能での下限を有する。この性能下限は、ここに記載する平均粒度分布が得られた場合において、乾燥粉末の吸入に基づき当てられる。PIP対AUCのグラフは、当該AUC値が与えられるデバイスを達成することにPIP値が物理的に不可能である場合に存在する三角部において、形成され得る。しかし、許容領域は、基準を通り示されている水平および垂直線に基づいて形成することができる。ここに記載する吸入システムは、約2kPaのPIPおよび少なくとも約1.0、1.1または1.2kPa・秒のAUCの許容性能での下限を有する。
【0104】
他の実施の形態では、AUCのための下限および上限が存在する。例えば、AUCは、約1.0から約15kPa・秒まで、約1.0から約10kPa・秒まで、約1.1から約15kPa・秒まで、約1.2から約10kPa・秒まで、約1.2から約15kPa・秒まで、または、約1.2から約10kPa・秒までの範囲とすることができる。
【0105】
別の実施の形態では、高抵抗性乾燥粉末吸入器を使用する、乾燥粉末薬物の適切に解凝集された用量が達成できる。これは、乾燥粉末薬物の用量を含む高抵抗性乾燥粉末吸入器を提供し、2秒以内において少なくとも2kPaのピーク吸気圧力に達成するよう十分な力を以て吸入器から吸入し、少なくとも約1.0、1.1または1.2kPa・秒での吸気圧力時間曲線の最初の1秒(AUC0−1秒)において曲線下面積を発生させることによる。この場合、放出された粉末のVMGD(×50)は約5μmよりも小さい。いくつかの実施の形態では、患者は、2kPaよりも大きくまたは等しく、15もしくは20kPaよりも小さくまたは等しい、2秒での(PIP2秒)ピーク吸気圧力をもたらす。別の実施の形態では、乾燥粉末薬物は、吸入器が最適に使用された場合の平均粒径の1.33倍よりも大きくならない、放出された粉末粒子の平均粒径VMGD(×50)を有する微小粒子を含む。この、および他の実施の形態では、患者による最適な吸入器の使用は、患者が約6kPaの2秒おける(PIP2秒)ピーク吸気圧力をもたらした場合である。最適な使用は、毎分およそ28.3リットルの流量を達することによっても認識することができる。同様の最適な使用法は、例えばUSP<601>において特定されているような、空気力学的粒度試験のための標準試験条件を反映することができる。
【0106】
高抵抗性乾燥粉末吸入器では、いくつかの実施の形態において、2秒以内で少なくとも2kPaのピーク吸気圧力に達するような十分な力(または労力)を用いる患者によって吸入される乾燥粉末薬物の用量を備える。さらに、少なくとも約1.0、1.1または1.2kPa・秒での吸気圧力対時間曲線の最初の1秒(AUC0−1秒)における曲線下面積を生じさせる。この場合、乾燥粉末用量の75%より多い量が、粉末粒子として吸入器から吐出または放出される。いくつかの実施の形態では、放出された粒子のVMGDは約5ミクロンよりも小さい。
【0107】
乾燥粉末薬物を含む高抵抗性乾燥粉末吸入器を提供し、2秒以内に少なくとも2kPaのピーク吸気圧力に達するよう十分な力を用いて吸入器から吸入し、少なくとも約1.0、1.1または1.2kPa・秒での吸気圧力時間曲線の最初の1秒(AUC0−1秒)における曲線の下の領域を発生させることにより、高抵抗性乾燥粉末吸入器を使用する乾燥粉末薬物の適切に解凝集された用量を達成させることができる。この場合、放出された粉末のVMGD(×50)は約5μmよりも小さい。別の実施の形態では、乾燥粉末薬物は、吸入器が適切に使用された場合の平均粒径の1.33倍よりも大きくなっていない、放出された粉末粒子の平均粒径VMGD(×50)を有する微小粒子を含んでいる。
【0108】
本発明の吸入器は第1に呼吸駆動式として記載されているが、いくつかの実施の形態では、当該吸入器は、乾燥粉末製剤を解凝集および送達するため必要とされる圧力差を生じさせるための動力を備えることができる。例えば、吸入器は、空気入口ポートに備えることができる窒素缶等からの圧縮ガス蓄積エネルギー源のような、ガス動力源に適合させることができる。患者が快適なペースで吸入できるよう、プルームを捕捉するスペーサを備えることもできる。
【0109】
ここに記載されている実施の形態では、吸入器は、再使用可能である吸入器、または単回使用である吸入器としてのものを提供することができる。代替の実施の形態では、解凝集の原理に類似したものを多重用量吸入器に適用させることができ、この場合吸入器は、単回トレイ内に複数の例えばカートリッジ状構造のものを備え、単回用量を必要に応じてダイヤルで測定することができる。この実施の形態の変形例では、多重用量吸入器は、例えば薬物の1日用、1週間用または1ヶ月用の十分な容量の供給量を備えるよう、構成することができる。ここに記載する多重用量の実施の形態では、最終使用者の利便性が最適化される。例えば、食事ベースの投薬計画では、朝食、昼食および夕食の投薬は、一つのデバイスでの7日間にわたる投薬を提供するよう構成されているシステムを用いて達成される。加えて、最終使用者の利便性は、例えば3日目(D3)、昼食(L)等の日時および投薬を示す指示メカニズムを備えて構成されたメカニズムにより、提供される。
【0110】
1つの実施の形態では、乾燥粉末薬物は、例えば、ジケトピペラジンおよび薬学的な活性成分を含んでもよい。この実施の形態では、薬学的な活性成分または活性剤は、処方される症状または状況に応じて任意の型とすることができる。他の実施の形態では、ジケトピペラジンは、例えば、対称分子および非対称ジケトピペラジンを含むことができる。これらは、粒子、微小粒子等を形成する作用を有し、活性剤を体内の標的部位へと送達するためのキャリアシステムとして使用することができる。ここに示されている用語「活性剤」は、ジケトピペラジン製剤に、封入され、結合され、連結され、捕捉され、またはその上に吸着される、治療上の製剤、または、タンパク質、ペプチドもしくは生物学的分子のような分子としてのものである。活性剤は任意の形状においてジケトピペラジンと結合させることができる。薬物送達システムは、治療、予防または診断活性を有する生物学的活性剤の送達において使用することができる。
【0111】
薬物の不安定性および/または吸収性のような、薬学的分野における問題を克服する微小粒子を作り出すために使用された薬物送達剤の1つの種類は、2,5−ジケトピペラジンである。2,5−ジケトピペラジンは、以下に示される一般式1の化合物によって表される。なお、位置1および4における閉鎖原子EおよびEは、それぞれ、置換類似体ジケトモルホリンおよびジケトキサンを作るよう、酸素または窒素のいずれかであり、位置3および6に配置されている少なくとも1つの側鎖RおよびRは、それぞれカルボン酸(カルボキシレート)グループを含んでいる。式1による化合物は、限定されることはなく、ジケトピペラジン、ジケトモルホリン、ジケトキサンおよびこれらの置換類似体を含む。
【化1】
【0112】
ここに使用される「ジケトピペラジン」または「DKP」は、ジケトピペラジン、ならびに一般式1の範囲内にある薬学的に許容可能な塩、誘導体、類似体および修飾体を含む。
【0113】
これらの2,5−ジケトピペラジンは、薬物送達において有用であり、特に酸性のRおよびRのグループの関係において薬物送達が有用であることが示されている(例えば、米国特許第5,352,461号明細書「Self Assembling Diketopiperazine Drug Delivery System」、同第5,503,852号明細書「Method For Making Self-Assembling Diketopiperazine Drug Delivery System」、同第6,071,497号明細書「Microparticles For Lung Delivery Comprising Diketopiperazine」、および、同第6,331,318号明細書「Carbon-Subsutituted Diketopiperazine Derivery System」が挙げられる。これらそれぞれのジケトピペラジンおよびジケトピペラジン媒体薬物送達に関する教示の全てを、その全体において参照によりここに組み込む。)。ジケトピペラジンは、微小粒子を吸着している薬物として形成することができる。薬物とジケトピペラジンとの組み合わせは、改良された薬物の安定性および/または吸着特性を与えることができる。これらの微小粒子は、様々な投与の経路により投与され得る。乾燥粉末としてのこれらの微小粒子は、吸入により、肺を含む呼吸システムの特定の領域へと送達され得る。
【0114】
フマリルジケトピペラジン(ビス−3,6−(N−フマリル−4−アミノブチル)−2,5−ジケトピペラジン;FDKP)は、肺への適用のための、1つの好ましいジケトピペラジンである。
【化2】
【0115】
FDKPは、酸において低い溶解度を有するが、中性または塩基性pHにおいては容易に溶解するため、有益な微小粒子マトリックスを提供する。このような特性により、FDKPは酸性下では結晶化し、結晶は自己集合して粒子を形成することができる。当該粒子は、pHが中性である生理学的条件下では容易に溶解する。1つの実施の形態では、ここに記載された微小粒子は、インシュリンのような活性剤が導入されたFDKPの微小粒子である。
【0116】
FDKPは、ジケトピペラジン環での置換炭素における置換基の配置に関し、トランスおよびシス異性体を有するキラル分子である。米国特許出願公開第2010/0317574号明細書の「Diketopiperazine microparticle with definrd isomer contents」に記載されているように、異性体の含有を約45から65%トランスと規定することにより、より強固な空気力学的特性および粒子形態の一貫性を得ることができる。異性体の割合は、分子の合成および再結晶において制御することができる。塩基へ曝露すると、例えば末端のカルボキシレート基から保護基を除去する間に、ラセミ化へと導かれる環のエピマー化が促進される。しかし、このステップにおける溶媒のメタノール含有の増加は、トランス異性体の含有の増加へと導く。トランス異性体はシス異性体よりも溶解度が低く、再結晶化の間における温度および溶解組成物の制御が、このステップにおけるトランス異性体の富化の促進および減少のため、使用され得る。
【0117】
約0.5と約10ミクロンとの間の直径を有する微小粒子は、首尾よく天然障壁を通り抜け、肺へ到達することができる。約10ミクロンよりも小さい直径は喉を曲がって通るために必要とされ、約0.5ミクロンまたはそれよりも大きい直径は息により吐き出されることを避けるために必要とされる。約35と約67m/gとの間の比表面積(SSA)を有するジケトピペラジン微小粒子は、改良された空気力学的特性および改良された薬物吸着性のような、肺への薬物の送達のための有益な特性を表す。
【0118】
国際公開第2010/144789号「Diketopiperazine microparticles with defined specific surface areas」に記載されているように、FDKP結晶のサイズ分布および形状は、新しい結晶の核生成と既存の結晶の成長との間のバランスによって影響を受ける。両方の現象は、溶液中における濃度および過飽和に強く依存している。FDKP結晶の特徴的な大きさは、核生成および成長の相対的割合の示すところにある。核生成が優る場合、多くの結晶が形成されるが、これらは全て溶液中のFDKPを目標に競合するので、相対的に小さくなる。成長が優る場合、競合する結晶は少なくなり、結晶の特徴的な大きさは、より大きくなる。
【0119】
結晶化は過飽和に強く依存し、すなわち、供給流中の成分の濃度に強く依存する。より高い過飽和は多くの小さい結晶の形成に関連し、より低い過飽和はより少ない、より大きい結晶を作り出す。「過飽和」に関して次のような理解がある。1)FDKP濃度が増加すると過飽和が上昇する、2)アンモニア濃度の増加は、より高いpHの系へとシフトさせ、平衡溶解度を上昇させ過飽和を減少させる、3)酢酸濃度の増加は、平衡溶解度がより低い状態であるより低いpHへと終点をシフトさせるため、過飽和は増加する。これらの成分の減少は、逆の作用を誘発させる。
【0120】
温度は、FDKP溶解度、ならびにFDKP結晶の核生成および成長の動力学におけるその作用を通して、FDKP溶解度ならびに微小粒子形成に影響を与える。低い温度においては、高い比表面積を有する小さい結晶が形成される。これらの粒子の懸濁液は、強い粒子間の引力を示す高い粘度がみられる。約12℃から約26℃の範囲の温度であると、ここに記載されている吸入器システムを含む様々な吸入器システムを用い、許容可能な(またはより良い)空気力学的性能を持つ粒子を作り出した。
【0121】
これらの本発明のデバイスおよびシステムは、広範な特性を持つ粉末のための肺送達において有益である。本発明の実施の形態は、吸入器と一体化している、または装着可能となっている単位用量カートリッジと、改良されまたは最適な性能の範囲を提供する特徴が定められた粉末と、を備えるシステムを含有する。例えば、デバイスは効率的な解凝集エンジンを構成し、その結果、効果的に凝集性の粉末を送達することができる。これは、自由に流動した、または流動が最適化された粒子に基づき、乾燥粉末吸入システムを発達させようとした多くのその他のものによって追求された経過からは異なるものである(例えば、米国特許第5,997,848号明細書および同第7,399,528号明細書、米国特許出願公開第2006/0260777号明細書、ならびにFerrari et al. AAPS PharmSciTech 2004; 5 (4) Article 60参照)。このように、実施の形態は、凝集性粉末を加えたシステムを含む。
【0122】
粉末の凝集性は、その流動性により評価することができ、または形状および褶曲度のような凹凸変形の評価と相関させることができる。米国薬局方USP29、2006、セクション1174で論じられているように、粉末の流動性を評価するために、医薬分野において一般的に4つの技術が使用されており、安息角、圧縮性(Carr)指数およびハウスナー比、オリフィスを通り抜ける流れ、ならびに剪断セル法が使用されている。後者の2つの技術では、方法の多様性のため、一般的なスケールが開発されていない。オリフィスを通る流れは、流量を測定するために、または、流れを可能とする臨界直径を決定するために、使用することができる。関連のある変数は、オリフィスの形状および直径、粉末床の直径および高さ、ならびに装置が製造される材料である。剪断セルデバイスは、円筒形、環状および平面状の種類を含み、大きな程度の実験制御を提供する。これら2つの方法のいずれにとっても、設備および方法の記載は重要であるが、一般的なスケールがないにもかかわらず、これらは粉末流動性の定性および相対的な特徴付けを提供するために、首尾よく使用される。
【0123】
安息角は、そこに注がれる、水平のベースに対する材料の円錐状のパイルにより仮定された角度として定められている。ハウスナー比は、タップ体積(タッピングが体積にさらなる変化をもたらさなくなった後の体積)により沈降していない体積を割った値であり、または代替として、タップ密度をバルク密度で割った値である。圧縮性指標(CI)は、CI=100×(1−(1/HR))として、ハウスナー比(HR)から算出することができる。
【0124】
例示的な方法における若干の変更にもかかわらず、流動特性の一般的に許容されるスケールは、安息角、圧縮性指標およびハウスナー比に関して公表されている(Carr, RL, Chem. Eng. 1965, 72: 163-168)。
【表1】
【0125】
CEMA(The Conveyer Equipment Manufactures Association)コードは、いくらか異なる安息角特性を提供する。
【表2】
【0126】
優または良の、上記の表による流動特性を有する粉末は、凝集性に関し、非または最小の凝集性として特徴付けることができ、凝集性として特徴付けられる流動性が低い粉末は、さらに、中程度の凝集性(普通または可の流動特性に対応)および高い凝集性(任意の程度の劣である流動特性に対応)に分けられる。CEMAスケールによる安息角の評価において、安息角≧30°を有する粉末は凝集性であると見なすことができ、安息角≧40°を有する粉末は高い凝集性であると見なすことができる。これらのそれぞれの範囲の粉末、またはこれらの組み合わせは、本発明の異なる実施の形態の面を構成する。
【0127】
凝集性は、褶曲度、粒子表面の凹凸度の尺度とも相関し得る。褶曲度は、粒子の実際の比表面積と、同等な球の比表面積との比である。
【数1】
【0128】
通気性のような、直接的な褶曲度の測定方法についても、当技術分野では公知である。2またはそれよりも大きい褶曲度は、増加した凝集性に相関している。より大きい粒子(例えば100ミクロン程度)がいくらか上昇した褶曲度にもかかわらず妥当な流動性を有することができるようにするよう、粒子の大きさも流動性に影響を及ぼすということを心に留めておくべきである。しかし、1から3ミクロンの1次粒子直径を有するような、深い肺の中への送達のために有益な粒子にとっては、さらに適当に上昇した褶曲度、2から6が凝集性を有することとなり得る。高い凝集性を有する粉末は、褶曲度≧10を有することができる(下記の実施例参照)。
【0129】
下記の実施例の多くでは、FDKPを備える乾燥粉末の使用に関連している。成分の微小粒子は、結晶質プレートが自己集合した凝集体である。プレート状の表面を有する粒子からなる粉末は、一般的に十分でない流動性を有することが知られており、すなわち、これらは凝集性を有する。実際に、滑らかな球状の粒子は一般的に最良の流動性を有し、流動性は、一般的に、粒子が長円形となり、鋭い縁部を有し、実質的に2次元の不規則な形状になり、不規則なインターロック形状を有し、または繊維状であるにつれ、減少する。限定されるものではないが、FDKP微小粒子の結晶質プレートは、介挿およびインターロックすることができ、これらを含むバルク粉末の凝集性(流動性の反対)に寄与すること、さらに当該粉末を、凝集性をあまり有さない粉末よりも解凝集することをより困難にすることが、本出願人の発明の理解するところである。粒子の構造に影響を与えているさらなる因子は、空気力学的性能において作用することができる。粒子の比表面積が閾値を過ぎて増加するにつれ、呼吸可能画分として測定されるその空気力学的性能は、減少する傾向にあることが観察されている。さらにFDKPは、ピペラジン環内において2個のキラル炭素原子を有し、その結果、N−フマリル−4−アミノブチルのアームは、環の平面に対してシスまたはトランス構成をとることができる。微小粒子の作製において使用されるFDKPのトランス−シス比が、ラセミ混合物を含めて最適な範囲から離れるにつれ、呼吸可能画分は減少し、好ましい範囲からより大きく外れると、SEMにおける粒子の形態は目に見えて異なるということが観察された。このように、本発明の実施の形態は、好ましい範囲内における比表面積を有するジケトピペラジン粉末を加えたデバイスのシステムと、好ましい範囲内のトランス−シス異性体比を有するFDKP粉末を加えたデバイスのシステムを含む。
【0130】
変形していない、または例えばインシュリン等の薬物を含んでいない、FDKP微小粒子は、高い凝集性の粉末で構成される。FDKP微小粒子は、1.8のハウスナー比、47%の圧縮性指標、および40°の安息角を有していると測定された。FDKP微小粒子に導入されたインシュリン(TECHNOSPHERE(登録商標)インシュリン、TI、MannKind Corporation, Valencia, CA)は、1.57のハウスナー比、36%の圧縮性指標、および50°±3°の安息角を有していると測定された。さらに、臨界オリフィス試験において、重力下で流れを確立するためには、2から3フィート(60から90cm)の程度のオリフィス直径が必要とされ得るということが推定された(床高さ2.5フィートと仮定、高い圧力は必要とされる直径の大きさを増大させる。)。同様の条件下において、自由に流れる粉末では、わずか1から2cm程度のオリフィス直径を必要とするだろう(Taylor, M. K. et al. AAPS PharmSciTech 1, art. 18)。
【0131】
従って、1つの実施の形態では、本発明の吸入システムは、乾燥粉末吸入器と凝集性粉末を解凝集するための容器とを備え、当該容器は、16から50の範囲のCarr指数を有する凝集性乾燥粉末を備える。1つの実施の形態では、乾燥粉末製剤は、FDKPを含むジケトピペラジンと、インシュリン、GLP−1、副甲状腺ホルモン、オキシントモジュリンおよび本明細書の他の場所に記載されているその他のもののような、内分泌ホルモンを含むペプチドまたはタンパク質とを備えている。
【0132】
約0.5と約10ミクロンとの間の直径を有する微小粒子は、天然障壁のほとんどを首尾よく通り抜け、肺へと到達することができる。約10ミクロンよりも小さい直径は喉を曲がって通るために必要とされ、約0.5ミクロンまたはそれよりも大きい直径は息により吐き出されることを避けるために必要とされる。ここに記載されている実施の形態は、約35m/gと約67m/gとの間のSSAを有する微小粒子が、改良された空気力学的性能および改良された薬物吸着のような、肺への薬物の送達のための特徴となる有益性を表していることを示している。
【0133】
ここには、約45%から約65%の特定のトランス異性体比を有するFDKP微小粒子も開示されている。この実施の形態では、微小粒子は改良された飛行性を提供する。
【0134】
1つの実施の形態では、吸入可能な乾燥粉末の送達のためのシステムも提供される。当該システムは、a)薬物を含有する凝集性粉末と、b)粉末を収容するための内部空間を定めており、入口を通り内部空間に入る気体の流れを出口に向かう気体の流れに方向付けるよう入口および出口が配置されている、気体入口および気体出口を備えているエンクロージャを含む吸入器と、を備えている。1つの実施の形態では、システムは、18から50のCarr指数を有する凝集性粉末を解凝集するために有益である。システムは、凝集性粉末が30°から55°の安息角を有する場合の粉末の送達のためにも有益であり得る。凝集性粉末は、ファンネルフローでは≦3.2フィートの臨界オリフィス寸法、または質量流では≦2.4フィートの寸法、また褶曲度≧2により特徴づけることができる。例示的な凝集性粉末粒子では、50%から65%のトランス:シスの範囲におけるFDKP異性体比となっているFDKP結晶から構成される粒子を含む。
【0135】
別の実施の形態では、吸入システムは吸入器を備えることができ、当該吸入器はマウスピースを備え、≧2kPaの圧力降下を吸入器に適用すると、マウスピースから放出された粒子のプルームが発生し、放出された粒子の50%が≦10ミクロンのVMGDを有し、放出された粒子の50%が≦8ミクロンのVMGDを有し、または放出された粒子の50%が≦4ミクロンのVMGDを有している。
【0136】
さらに別の実施の形態では、吸入可能な乾燥粉末の送達のためのシステムである。当該システムは、a)50%から65%のトランス:シスの範囲におけるFDKP異性体比でのFDKP結晶から構成されている粒子および薬物を備える乾燥粉末と、b)粉末収容エンクロージャ、気体入口と気体出口とを備えるチャンバー、および、チャンバーが装着され2つの流路を定め、第1の流路は気体がチャンバーの気体入口に入ることを可能としており第2の流路は気体がチャンバーの気体入口から迂回させることを可能としているハウジングを備える吸入器と、を備えている。なお、エンクロージャで空気入口を迂回している流れは、気体出口の流れ方向に対して実質上垂直にエンクロージャから出ていく流れに衝突するように方向付けられている。
【0137】
特定の実施の形態では、吸入可能な乾燥粉末の送達のためのシステムが提供される。当該システムは、a)改良された空気力学的性能および改良されたミリグラム毎の薬物吸着ような、肺への薬物送達のための特徴的な有益性を示す約35m/gと約67m/gの間のSSAを微小粒子が有しているFDKP結晶から構成されている粒子および薬物を含有する乾燥粉末と、b)気体入口および気体出口を備えている粉末収容エンクロージャ、ならびにチャンバーが装着され、2つの流路を定めており、第1の流路はチャンバーの気体入口に気体を入れることを可能とし、第2の流路はチャンバーの気体入口を気体に迂回させることを可能とし、チャンバーの気体入口を迂回する流れを、気体出口の流れの方向に対し実質上垂直にエンクロージャから出る流れに衝突するよう方向付けられているハウジングを含有している吸入器と、を備えている。
【0138】
吸入可能な乾燥粉末の送達のためのシステムも提供される。当該システムは、a)薬物を含む乾燥粉末、ならびに、b)気体入口および気体出口を備えている粉末収容カートリッジと、カートリッジが装着され、かつ2つの流路を定めており、第1の流路はカートリッジの気体入口に気体を入れることを可能とし、第2の流路はエンクロージャの気体入口を気体に迂回させることを可能とするハウジングと、マウスピースとを含有する吸入器を備える。当該吸入器に≧2kPaの圧力降下を適用すると、マウスピースから粒子のプルームが放出され、放出された粒子の50%が≦10ミクロンのVMGDを有し、カートリッジの気体入口を迂回している流れは、空気出口の流れの方向に対して実質上垂直にエンクロージャから出ていく流れに衝突するよう方向付けられている。
【0139】
ここに記載されている組成物および方法において使用されるための活性剤は、任意の医薬物質を含んでもよい。これらには、例えば、治療的、予防的または診断的活性を有している、血管拡張物質、血管収縮神経分子、神経伝達物質類似体、神経伝達物質拮抗物質、ステロイドおよび抗侵害受容剤を含む、合成有機化合物、ペプチドおよびポリペプチド、多糖およびその他の糖類、脂質、無機化合物、ならびに核酸分子が含有される。ペプチド、タンパク質およびポリペプチドは、全て、ペプチド結合により結合されたアミノ酸の鎖である。
【0140】
ジケトピペラジン製剤を使用して体内の標的または部位に送達することができる活性剤の例には、ホルモン、抗凝血剤、免疫修飾剤、ワクチン、細胞毒性剤、抗生剤、血管作動剤、神経作動剤、麻酔剤または鎮静剤、フルチカゾン、ブデソニド、モメタゾン、シクレソニド、フルニソニド、ベタメタゾンおよびトリアムシノロンを含むグルココルチノイドのようなステロイド分子、充血緩和剤、抗ウイルス剤、アンチセンス、抗原ならびに抗体が含まれる。より具体的には、これらの化合物は、インシュリン、ヘパリン(低分子量ヘパリンも含む)、カルシトニン、フェルバメート、スマトリプタン、副甲状腺ホルモンおよびその活性断片、成長ホルモン、エリスロポイエチン、AZT、DDI、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、ラモトリジン、絨毛性ゴナドトロピン放出因子、黄体形成ホルモン、β−ガラクトシダーゼ、エキソジン、血管作動性腸ペプチド、さらには、スマトリプタンコハク酸、リンゴ酸アルモトリプタン、安息香酸リゾトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン臭化水素酸、ナラトリプタン臭化水素酸を含むトリプタン、サルブタモール フェノテノール フォルモテロール テルブタリン ピルブテロール、ビトルテロール、インダクテロールおよびその類似体を含む抗侵害受容剤を含有している神経受容体のような細胞受容体の抗癌体および阻害体またはその類似体を含むアルガトロバン小分子、ならびにワクチンを含有している。抗体およびその断片は、限定はされないが、抗−SSX−241−49(滑膜肉腫、Xブレークポイント2)、抗−NY−ESO−1(食道腫瘍結合抗原)、抗−PRAME(優先的に発現された黒色腫の抗原)、抗−PSMA(前立腺特異膜抗原)、抗−Melan−A(黒色腫瘍結合抗原)および抗−チロシナーゼ(黒色腫瘍結合抗原)を含み得る。
【0141】
特定の実施の形態では、肺循環に薬物製剤を送達するための乾燥粉末製剤は、ペプチド、タンパク質、ホルモン、これらの類似体またはこれらの組合せを含めた活性成分または活性剤を備えている。当該活性成分は、インシュリン、カルトシトニン、成長ホルモン、エリスロポエチン、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、絨毛性ゴナドトロピン放出因子、黄体形成放出ホルモン、濾胞刺激ホルモン(FSH)、結果作動性腸ペプチド、副甲状腺ホルモン(ブラックベアPTHを含む)、副甲状腺ホルモン放出タンパク質、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)、エキセンジン、オキシントモジュリン、ペプチドYY、インターロイキン2−誘発性チロシンキナーゼ、Brutonチロシンキナーゼ(BTK)、イノシトール要求キナーゼ1(IRE1)、または、これらの類似体、活性断片、PC−DAC修飾誘導体もしくはそのO−グリコシル化形態である。特定の実施の形態では、薬学的組成物または乾燥粉末製剤はフマリルジケトピペラジンを含有し、活性成分は、インシュリン、副甲状腺ホルモン1−34、GLP−1、オキシトモジュリン、ペプチドYY、ヘパリンおよびこれらの類似体から選択された、1つまたはそれより多くのものである。当該類似体である小分子は、神経系伝達物質、誘導体および/もしくは類似体、または、阻害剤/アンタゴニスト、トリプトンのような血管動作剤を含んだ痛み修飾物質、頭痛薬または抗偏頭痛薬等の抗侵害受容剤、ならびにワクチンおよびこれらの抗原性補強剤であり、当該これらの抗原性補強剤には免疫抑制分子および抗癌剤がある。
【0142】
1つの実施の形態では、乾燥粉末吸入システムを用いて乾燥粉末製剤を自身の肺へと自己投与する方法も提供され、当該方法は、閉止位置における乾燥粉末吸入器を得てマウスピースを持ち、収容形態において乾燥粉末製剤の予め測定された所定の用量を含むカートリッジを得て、カートリッジを装着するために乾燥粉末吸入器を開き、投薬位置へのカートリッジの移動を行うため吸入器を閉めて、自身の口においてマウスピースを配置し、乾燥粉末製剤を送達するために1回深く吸入する、という各工程を備える。
【0143】
1つの実施の形態では、活性成分の送達の方法は、a)ジケトピペラジンおよび活性剤を含有する乾燥粉末製剤を有するカートリッジを収容している乾燥粉末吸入器を提供する工程と、b)処方の必要において個人へと活性成分または活性剤を送達する工程と、を備えている。乾燥粉末吸入器システムは、50%より大きい呼吸可能な画分および5.8μmよりも小さい大きさの粒子を有するインシュリンFDKPのような乾燥粉末製剤を送達することができる。
【0144】
さらなる実施の形態では、肥満、高血糖症、インシュリン耐性および/または糖尿病の治療の方法が開示される。当該方法は、式2,5−ジケト−3,6−ジ(4−X−アミノブチル)ピペラジンを有し、Xはスクシニル、グルタリル、マレイルおよびフマリルにからなる群がら選択されるジケトピペラジンを含有する、吸入可能な乾燥粉末組成物または乾燥粉末製剤の投与の工程を備える。この実施の形態では、乾燥粉末組成物はジケトピペラジン塩を含有することができる。本発明のさらに別の実施の形態では、ジケトピペラジンが、薬学的に許容可能な担体または添加物を有する、または有さない、2,5−ジケト−3,6−ジ(4−フマリル−アミノブチル)ピペラジンである乾燥粉末組成物または乾燥粉末製剤が提供される。
【0145】
1つの実施の形態では、患者の肺への乾燥粉末製剤の送達のための吸入システムは、投薬形態での流れに対する全抵抗が、毎分0.065から毎分約0.200(√kPa)/リットルの値の範囲に至る流動導管を有するよう構成されている乾燥粉末吸入器を備える。
【0146】
1つの実施の形態では、乾燥粉末吸入キットが提供され、上述したような乾燥粉末吸入器と、気道疾患、糖尿病および肥満のような不調または疾患の治療のための乾燥粉末製剤を含有する1つまたはそれより多くの薬物と、を備えている。この実施の形態では、キットは、使用のための説明書を有する材料を備えることができる。
【0147】
ここに記載されている、吸入システムの改良されたカートリッジの排出および解凝集性能は、乾燥粉末製剤のバイオアベイラビリティの増加に貢献する。特定の実施の形態では、乾燥粉末は、粉末を含有するジケトピペラジンである。一般的に濃度対時間のプロットのAUCにより評価されるように、バイオアベイラビリティによって、本発明者は、対象の全身循環内への送達から生じた、活性成分(例えばインシュリン)またはジケトピペラジン(これらの実施の形態はジケトピペラジンの粉末に関する)のいずれかに対する曝露量を示す。そのような測定値を投薬量に対して標準化することにより、システムの特徴を明らかにすることができる。曝露量を標準化する際に使用される投薬量は、充填もしくは放出された用量に基づくことができ、粉末の単位質量において表すことができる。代替としては、曝露量は、特定の充填質量のカートリッジに対して標準化することができる。いずれの方法でも、曝露量は、特定の製剤の特定のジケトピペラジンまたは活性成分の含有を考慮するようにさらに調節することができる。すなわち、曝露量は、充填または放出された用量における、活性剤の量またはジケトピペラジンの量に対し標準化することができる。対象による変化、例えば流量は、観察される曝露量に影響を与える可能性があり、様々な実施の形態では、システムのバイオアベイラビリティが範囲または限界として表されるだろう。
【0148】
1つの実施の形態では、粉末製剤は、FDKPの微小粒子と、糖尿病の治療のための活性剤としてのインシュリンとを含有することができ、製剤のインシュリン含有は、粉末の3U/mg、4U/mg、6U/mgまたはそれより大きくすることができる。インシュリンの量または投薬される用量は、患者の必要性に応じて変えることができる。例えば、1つの実施の形態では、単回吸入での単回用量は、糖尿病における高血糖症の治療のためにはインシュリンを約60Uまで含ませることができる。
【0149】
インシュリンの薬物動態特性は、その生理学的効果を決定するにおいて重要な要素である。同様のインシュリン曝露量で、迅速に得られたピークにより特徴付けられる薬物動態特性を提供する製剤のインシュリン投与は、C最大レベルへのより遅い上昇をもたらし延在した平坦部により特徴付けられるインシュリン投与の場合より、食事グルコース摂取および肝臓グルコース放出の抑制において、より効果的である。このように、ここに開示されている吸入システムは、インシュリンのより効果的な送達をもたらし、そして、従来技術のシステムと比較してより少ないインシュリンの用量において同様のC最大レベルを得ることができる。他の言い方をすると、これらの吸入システムはより高い用量の標準化されたC最大を実現する。
【実施例】
【0150】
実施例1
乾燥粉末吸入器−カートリッジシステムの抵抗および流動分布の測定
いくつかの乾燥粉末吸入器の設計において、吸入器の流路の幾何学的形状または構成により部分的に決定される重要な特徴である、その流動抵抗を測定する試験を行った。高抵抗を示す吸入器は、より低い抵抗の吸入器と同様の流量を得るためには、より大きい圧力降下を必要とする。簡単に言うと、それぞれの吸入器およびカートリッジシステムの抵抗性を測定するために、様々な流量を吸入器に適用し、そこでの吸入器を通して得られた圧力を測定する。これらの測定は、圧力降下を供給するために、吸入器のマウスピースに取り付けられる真空ポンプと、流れを変化させその結果得られた圧力を記録するための流れ制御器および圧力計とを利用することにより、達成することができる。ベルヌーイの法則によると、圧力降下の平方根を流量に対してプロットした場合、吸入器の抵抗性は、曲線の線形の部分の勾配である。これらの実施例において、ここに記載されているような乾燥粉末吸入器およびカートリッジを備える吸入システムの抵抗性は、抵抗性測定デバイスを使用し、投薬形態において測定された。投薬形態では、吸入器空気導管を通り、吸入器内のカートリッジを通る空気路が形成されている。
【0151】
異なる吸入器の設計ではそれらの空気路の幾何学的形状におけるわずかな変化により異なる抵抗性の値を示すので、特定の設計で使用するための圧力設定にとって、理想的な間隔を決定するよう、多数の実験を実施した。圧力の平方根と流量との間の線形性に関するベルヌーイの法則に基づいて、線形性を評価するための間隔を、多数の試験の後に使用される3個の吸入器に関して予め決定しておき、同じ吸入器の設計のその他のバッチで適切な設計ができるようにした。図7に示される吸入システムについて、図33において吸入器の例示的なグラフを見ることができる。図33において示されるグラフは、図7において示されるような吸入システムの抵抗性が、約10から25L/分の範囲における流量で、ベルヌーイの法則に対する良好な相関にて測定できることを示している。当該グラフは、例示的な吸入システムの抵抗性が、0.093√kPa/LPMであることも決定している。図33は、流れおよび圧力が関連していることを示している。そのため、圧力の平方根対流れのグラフの勾配が下がるにつれ、すなわち、吸入システムが低い抵抗性を示すにつれ、圧力に与えられた変化に関する流れにおける変化はより大きくなる。従って、より高い抵抗性の吸入システムは、呼吸駆動式での患者により供給され、与えられた圧力の変化に関して、流量におけるばらつきが少ないことを表している。
【0152】
テーブル1のデータは、図10(DPI1)および図7(DPI2)において記載した吸入システムを使用した、一組の実施例の結果を示している。乾燥粉末吸入器1(DPI1)では、図17−21での設計が150において示されているカートリッジを使用し、DPI2では、図22−30での設計が170において示されているカートリッジを使用した。従って、DPI1ではカートリッジ1が使用され、DPI2ではカートリッジ2が使用された。
【表3】
【0153】
テーブル1は、ここにおいて実験を行った吸入システムの抵抗性を示しており、DPI1およびDPI2では、それぞれ、0.0874√kPa/LPMおよび0.0894√kPa/LPMである。当該データは、流れへの吸入器システムの抵抗性は、カートリッジ内における空気導管の幾何学的形状および構成により部分的に決定されることを示している。
【0154】
実施例2
インシュリン製剤を有する吸入器システムを使用した粒度分布の測定
アダプタ(MannKind Corp.、米国特許出願第12/727,179号、この開示にて関連する対象の手段の教示を参照によりここに組み込む)を備えたレーザー回折装置(Helos Laser Diffraction system, Sympatec Inc.)による粒度分布の測定は、ここに記載されているカートリッジ−吸入器システム(図22から30において示されるカートリッジ170を用いる図1から9の吸入器)で提供される、インシュリンおよびフマリルジケトピペラジン粒子のミリグラム(mg)における様々な量の製剤で行った。デバイスは、配管の一端に取り付けられ、それが流量計(TSI, Inc. Model 4043)およびバルブに適合され、圧縮された空気源からの圧力または流れを制御する。レーザーシステムが作動し、レーザー光がプルームを測定する準備がなされると、空気バルブが作動して、吸入器から粉末を放出させる。レーザーシステムは、所定の測定条件に基づいて、自動的に吸入デバイスから出ていくプルームを測定する。レーザー回折システムは、装置に組み込まれたソフトウェアにより操作され、コンピュータプログラムによって制御される。異なる量の粉末および異なる粉末ロットを含有するサンプルにおいて、測定を行った。測定条件は、次の通りである。
・レーザー測定開始トリガー条件:≧0.6%のレーザー強度が特定の検出チャネルで検出された場合。
・レーザー測定終了トリガー条件:≦0.4%のレーザー強度が特定の検出チャネルで検出された場合。
・真空源と吸入器チャンバとの間の距離は、およそ9.525cmである。
【0155】
多数の試験を、カートリッジにおいて異なる量の粉末または充填質量を使用し、行った。カートリッジは、1回のみ使用した。カートリッジの重量を、吸入器から放出される前後で決定することにより、放出された粉末の重量を決定した。装置における測定値は、以下のテーブル2に示すように、様々な圧力降下で、多数回繰り返すことにより決定した。粉末プルームを測定し、データを分析しグラフ化する。テーブル2は、実験から得られたデータを示し、CEは空にした(粉末が放出された)カートリッジを示し、Q3(50%)はサンプルの累積粉末粒度分布の50パーセンタイルの幾何学的直径であり、q3(5.8μm)は5.8μmより小さい幾何学的直径の粒度分布のパーセンテージを示す。
【表4】
【0156】
テーブル2のデータは、全粉末充填質量の92.9%から98.4%が吸入システムから放出されていることを示している。さらに、データは、充填質量とは無関係に、吸入システムから放出された粒子の50%が、試験がなされた様々な時間および圧力降下で測定されたように、4.7μmより小さい幾何学的直径を有していたことを示す。さらには、放出された粒子の60%から70%の間の粒子は、5.8μmより小さい幾何学的直径を有していた。
【0157】
図34は、粉末充填質量10mgを使用した、別の実験から得られたデータを示している。グラフは、インシュリンおよびフマリルジケトピペラジンを含有する製剤の粒子を含むサンプルの粒度分布を示しており、測定された粒子の78.35%が≦5.8μmの粒度を有する結果となった。レーザーは、上述の測定条件で、0.484秒の測定時間中、37.67%の光学濃度を検出した。当該データは、吸入システムが、関連した、およびより低い範囲の使用者の吸入能力で、すなわち、圧力降下で、インシュリン−FDKP製剤を小さいサイズへと効果的に解凝集することを示している。この凝集性(Carr指数=36%)製剤に関する、これらの小さい幾何学的形状サイズは、呼吸可能であることが考えられる。
【0158】
実施例3
吸入システム性能の尺度としてのカートリッジからの粉末放出の測定
当該実験は、図22から30において示されているカートリッジ170のプロトタイプを備えた、図1から9において示されている多数の吸入器プロトタイプを使用する、吸入システムを利用し実施された。多数のカートリッジはそれぞれの吸入器と使用された。それぞれのカートリッジを充填の前に電子天秤で計量した。カートリッジに所定の質量の粉末を充填し、再度計量し、それぞれの充填済カートリッジを吸入器に配置し、粉末製剤、すなわちTECHNOSPHERE(登録商標)インシュリン(インシュリン−FDKP、典型的には3Uから4Uインシュリン/mg粉末、およそ10%から15%インシュリンw/w)粉末バッチを空にする効率に関して試験を行った。多数の圧力降下を利用して、性能の一貫性を特徴付けた。テーブル3は、吸入器あたり35のカートリッジ放出測定値を使用した、この試験の結果を示す。テーブル3のデータにおいて、全ての試験は、同様の臨床級インシュリン−FDKP粉末のバッチを使用して実施した。当該結果は、2から5kPaまでの範囲での、適切な使用者の圧力降下は、カートリッジから粉末を非常に効率的に空にすることを実証している。
【表5】
【0159】
実施例4
アンダーセンカスケード衝突による予測的堆積の測定
当該実験では、28.3LPMの流量を使用して、シミュレートされた用量の送達の間のステージプレート粉末堆積物を収集するため、アンダーセンカスケード衝突装置を使用して行われた。この流量は、結果として、吸入システム(DPIおよびカートリッジ)全体におよそ6kPaの圧力降下をもたらした。そして、プレートステージ上の堆積を、フィルタおよび電子天秤を使用して、重量測定により分析した。10mg、6.6mgおよび3.1mgの充填質量における凝集性粉末の充填質量を、吸入システム性能に関して評価した。それぞれの衝突試験は、5個のカートリッジにおいて実施した。ステージ2−Fにおいて収集された累積粉末質量を、5.8μmより小さい空気力学的粒度に従って測定した。収集された粉末質量とカートリッジ充填含有との比を決定し、充填質量での呼吸可能画分(RF)パーセントとして提供する。当該データを、テーブル4において示す。
【0160】
当該データは、50%から70%の範囲での呼吸可能画分が、多数の粉末バッチにて実現していることを示す。この範囲は、吸入システムの標準化された性能特性を表す。
【0161】
吸入システムの性能測定を、異なるカートリッジを用いて35回繰り返した。充填質量(mg)および放出時間(秒)を、使用されるそれぞれの吸入器カートリッジシステム毎に測定した。さらに、粉末中の呼吸可能画分、すなわち肺送達に適した粒子のパーセントも測定した。当該結果を、以下のテーブル4に示す。当該テーブルでは、%RF/充填は、粉末中における、肺へと到達し得るサイズを有する粒子(≦5.8μm)のパーセントに等しく、CEは空になっているカートリッジまたは送達された粉末を示し、RFは呼吸可能画分を示す。当該テーブル4において、試験No.1−10は臨床級のインシュリン−FDKP粉末の第2のバッチを使用して実施したが、11−17における試験粉末は、テーブル3において実施され示された試験と同様の粉末を使用した。
【表6】
【0162】
上記のデータは、乾燥粉末吸入器と、凝集性粉末、すなわちTECHNOSPHERE(登録商標)インシュリン(インシュリンを含むFDKP粒子)を含有しているカートリッジとを含む本発明の吸入システムは、粉末含有のほとんど全てを効果的に放出することができることを示しており、これは、カートリッジの全粉末含有の85%より大きい、また、ほとんどの場合では95%より大きい値が、様々な充填質量および圧力降下において、一貫性を持って有意な程度の放出において得られているからである。アンダーセンカスケード衝突測定値は、粒子の50%より大きい値が呼吸可能な範囲内であり、粒子は5.8μmよりも小さく、放出された粉末全体の53.5%から73%の範囲となっていることを示した。
【0163】
実施例5
TECHNOSPHERE(登録商標)インシュリン(TI)の褶曲度
褶曲度は、粒子の実際の比表面積と、同等な球の比表面積との比である。球の比表面積は、以下の通りである。
【数2】
【0164】
式中、deff=1.2μmは、Sympatec/RODOSレーザー回折測定からのTI粒子の重み付き表面直径である。
【0165】
従って、TI粒子マトリックス(1.4g/cm)と同じ密度を有する平均球は、下式のSSAを有する。
【数3】
【0166】
このように、比表面積(SSA)がおよそ40m/gのTI粒子に関しては、下記の通りである。
【数4】
【0167】
比表面積が50または60m/gである同様にサイズが決められた粒子の場合、褶曲度はそれぞれ、およそ14および16となり得る。
【0168】
実施例6
体積メジアン幾何学直径(VMGD)の特徴による放出された製剤の幾何学的粒度分析
乾燥粉末吸入器から放出された乾燥粉末製剤のレーザー回折は、粉末に対して行われる解凝集レベルを特徴付けるために用いられる一般的な方法である。この方法は、工業規格衝突方法で行われるような空気力学的サイズではなく、幾何学的サイズの測定を示す。典型的には、放出された粉末の幾何学的サイズは、平均粒度により特徴付けられる体積分布、VMGDを含む。重要なことは、放出された粒子の幾何学的サイズは、衝突方法により提供される空気力学的サイズと比較し、高い分解能で認められることである。より小さいサイズが好ましく、個々の粒子が肺管に送達されるより高い可能性が得られる。このように、吸入器の解凝集および最終的な性能の差異は、回折による解決を、より容易にすることができる。これらの実験において、実施例3にて記述した吸入器および既存の吸入器を、レーザー回折により、実際の患者の吸気能力に類似した圧力において試験を行い、粉末製剤を解凝集する吸入システムの有効性を決定する。具体的には、製剤は、凝集性ジケトピペラジンの粉末を、活性インシュリンが導入された成分とこれを有さないものと共に、含ませて実験を行った。これらの粉末製剤について、特徴的な表面積、異性体比、およびCarr指数を得た。テーブル5において、VMGDと、試験の間における容器の排出効率が記載されている。FDKP粉末はおよそ50のCarr指数を有し、TI粉末はおよそ40のCarr指数を有する。
【表7】
【0169】
テーブル5におけるこれらのデータは、ここに記載されている吸入器システムと比較した場合、既存の吸入器システムを超えて、粉末の解凝集において改良されていることを示している。14から56m/gの範囲における表面積を持つジケトピペラジン製剤では、85%を上回る排出効率および7ミクロンよりも小さいVMGDであることが証明された。同様に、トランスが45から66%の範囲の異性体比を有する製剤ということは、既存のデバイスよりも改良された性能であるということを証明した。最後に、40から50%のCarr指数により特徴付けられる製剤を有する吸入器システムの性能も、同様に、既存のデバイスより改良されたことが示された。全ての場合において、報告されたVMGD値は、7ミクロンより下であった。
【0170】
実施例7
次世代乾燥粉末送達システムにおいて実現されたIn vitroでの性能改良
TECHNOSPHERE(登録商標)製剤は、MEDTONE(登録商標)送達システム(MTDS、MannKind Corporation, Valencia, CA)を利用して患者へと首尾よく送達されていた。このシステムは、単回使用カートリッジ内に予め計量され高い抵抗性の呼吸を動力として動かすことができる再使用可能なMEDTONE(登録商標)吸入器に挿入された、乾燥粉末製剤を含む。改良された送達システム(実施例1において記載されたDPI2)は、MTDSの代替のものとして開発された。これらのシステムにおけるIn vitroでの粉末性能を、吸入器の性能の様々なパラメーターに関して比較した。MEDTONE(登録商標)システムにおけるカートリッジ毎での2回の放出に対し、DPI2ではカートリッジ毎での単回放出を使用した。
【0171】
上述のようなレーザー回折による粒度測定および放出された質量の定量を、当該実験においても使用した。レーザー回折機器(Sympatec HELOS)を新しい加圧吸入器チャンバーと適合させ、粉末プルームの分析を容易とした。MTDSカートリッジは測定毎に2回放出されたのに対し、DPI2は1回放出された。吸入システムを4kPaのピーク圧力で使用し、粉末排出パーセンテージと体積メジアン幾何学直径(VMGD)とを、TECHNOSPHERE(登録商標)(FDKP吸入粉末)およびTECHNOSPHERE(登録商標)インシュリン(FDKP−インシュリン吸入粉末)製剤を用いて評価した。
【0172】
当該実験の結果を、テーブル6および図35において示す。概略すると、DPI2では、粉末排出パーセンテージは、97.8%(FDKP−インシュリン、充填重量3.5mg、n=20)、96.8%(FDKP−インシュリン、充填重量6.7mg、n=20)、および92.6%(FDKP吸入粉末、充填重量10.0mg、n=15)であり、VMGD(ミクロン)は、それぞれ、4.37、3.69および6.84であった。MTDSでは、粉末排出パーセンテージは、89.9%(FDKP−インシュリン、充填重量5.0mg、n=30)、91.7%(FDKP−インシュリン、充填重量10.0mg、n=30)、および89.4%(FDKP吸入粉末、充填重量10.0mg、n=30)であり、VMGD(ミクロン)は、それぞれ、10.56、11.23および21.21であった。
【0173】
図35は、それぞれの吸入システムにおいて行われた全ての試験の平均から得られたデータをグラフで表したものである。図35にみられるように、粒度の累積分布は、MEDTONE(登録商標)を用いた場合より、DPI2の場合に小さくなっている。MEDTONE(登録商標)と比較した場合、DPI2吸入システムは、より小さい粒子をより大きいパーセンテージで生成する。これは、DPI2システムにおいて提供された、改良された解凝集メカニズムの証拠である。これらのデータは、FDKP吸入粉末製剤を送達するための実現可能な改良された代替例として、DPI2の臨床使用を支持する。排出パーセントはDPI2において改良され、MTDSでの2回の放出に対し、使用者にとってカートリッジ毎の単回の放出という著しい利点をもたらしている。体積メジアン幾何学直径における減少は、DPI2内における粉末の解凝集の増加を示唆する。この改良された解凝集の臨床的影響について、次に評価しなければならない。
【表8】
【0174】
実施例8
吸入システムの例示的な実施の形態でのFDKPのバイオアベイラビリティにおける改良
上記実施例1において記載したDPI1により送達された様々な充填質量のTECHNOSPHERE(登録商標)吸入粉末(FDKP−吸入粉末)の安全性および耐容性を評価するために、吸入システム、すなわち吸入器および様々な充填質量の乾燥吸入粉末を含有しているカートリッジ、修正されたCQLQ、VAS、ならびに吸入システムのピークの流れを使用し、測定を行った。MEDTONE(登録商標)吸入器システムを比較のため使用した。実験は、DPI1吸入器を通りFDKP−吸入粉末として吸入されるFDKPの薬物動態(PK)に基づいて変化する、吸入の労力および吸入の時間での効果を評価するため、使用中のシステムからデータを収集することも実施した。
【0175】
試験の開始時に、対象をモニターし、使用中のデバイスから放出された用量の存在を検出することができる米国特許出願第12/488,469号に開示された圧力感知機器が適合された吸入システムで、「短い」および「長い」吸入を行う練習をするよう指示した。吸入動作の間に、患者に対し、3から4秒の短い吸入または6から7秒の長い吸入と併せて、4から6kPaのわずかな圧力差を維持するよう指示した。「激しい」吸入を行うために、対象は、わずかな吸入時間6.5秒およびピーク圧力7kPaを提供した。逆に、「穏やかな」吸入を行うために、対象は、わずかな吸入時間6.5秒およびピーク圧力5kPaを提供した。吸入モニター装置に合わせ、カートリッジから放出される粉末質量の重量評価を行った。これにより、それぞれの対象ごとの、投薬の間における吸入動作、カートリッジ放出質量、および薬物動態プロファイルの決定の間の関連付けが可能となった。
【0176】
試験は、健康なボランティアにおける、非盲検でのクロスオーバー2元構成試験で行った。第1部では、3通りの方法、3通りの期間のクロスオーバー試験において、10および15mgのFDKP吸入粉末をDPI1吸入器に通して吸入し、10mgをMEDTONE(登録商標)吸入器を通して吸入した。10名の対象にFDKP−吸入粉末の用量を投与し、安全性および耐容性の測定(CQLQ、VAS、およびピークの流れ)を行った。投薬前に対象から血液サンプルを採取し、投薬5、10、15、25、30、60、120、240および360分後においても採取し、それぞれの治療におけるFDKPの薬物動態を評価した。
【0177】
第2部では、第1部においてFDKP−吸入粉末の耐容性を決定した後、その後、10mgを使用した。第2部は、流量(15対30LPM)および吸入時間(3対6秒)の効果の評価における、2構成、2通りのクロスオーバー試験として実施した。試験したそれぞれのパラメーターにて(すなわち流量および吸入時間)、10名の対象をそれぞれのパラメーター毎にクロスオーバーさせ、全パラメーターの合計の20の対象で行った。FDKPの薬物動態は、対象から採取された血液サンプルから、それぞれの治療を以て評価された。肺パラメーター(FEV1)の測定は、FDKP−吸入粉末の吸入の前後において行われた。これらの実験からの結果は、テーブル7ならびに図36および37において示されている。
【0178】
実験の結果の代表的なデータを以下のテーブル7において示し、試験を行った対象にて測定されたFDKPの平均AUC0−6時間と平均C最大(C最大)も示している。
【表9】
【0179】
図36は、感知機器よりモニターしたときの、10mg用量のFDKPと共にDPI1を使用した対象のプロファイルの例を示し、約4秒での粉末なしの練習時の呼吸と、FDKPの粉末用量を用いた約1秒の投薬吸入を示している。図36は、カートリッジからの放出質量が、重力測定により10.47mgとして測定されていることも示し、その結果、対象は、31,433ng・分/mLに等しいAUC0−6時間によって特徴付けられるFDKP全身曝露量を有することになっていた。送達されたFDKP粉末の標準化AUC/mgは、mg毎に3,003ng・分/mLであった。図37は、6時間モニターされた血漿中のFDKP濃度を示し、約10分で約270ng/mLのC最大を示す。
【0180】
10mgのFDKP粉末が入っているDPI1吸入システムは、10mgが入っているMEDTONE(登録商標)のほぼ2倍のFDKPを血液中に送達した。平均でのFDKP−吸入粉末15mgが入っているDPI1吸入システムは、著しく高い標準偏差に見られるように、何人かの個人が粉末に対して良好な曝露量を有していないので、粉末10mgが入っているDPI1システムと比較して、曝露量について比例する用量が送達されていなかった。実験の第1部におけるデータのばらつきは、投薬中に適正な位置で吸入器を使用しなかった何名かの対象によるものであろう。
【0181】
MEDTONE(登録商標)吸入システムとの比較の、より長い、より短い、より激しい、またはより穏やかな吸入データに関するDPI1の10mgの用量の結果を下記のテーブル8に挙げる。この試験は、テーブル8に示されるように、3部構成にて実施した。テーブル8は、実験で得られたFDKP値の平均AUC0−無限として測定された、肺循環内へのFDKPの送達を示す。データは、MEDTONE(登録商標)吸入システムと比較した、DPI1吸入システムの有効性および性能の例示であり、DPI1は、全身循環内にFDKPを送達する場合により有効であり、MEDTONE(登録商標)吸入器より約30%よくなっており、DPI1の値は製剤中に放出されたFDKPの1mgあたりAUC0−無限が2375から5277ng・分/mLの範囲となっていることを示す。MEDTONE(登録商標)吸入器のAUC0−無限は、2回の吸入後に、製剤中に放出されたFDKPの1mgあたり1465から2403ng・分/mLの範囲となっていた。
【表10】
【0182】
DPI1デバイスにより送達されたFDKPの10mgは、FDKPの血漿AUCにより測定された場合、FDKPを送達するにおいてMEDTONE(登録商標)よりほぼ2倍の増加分だけより効果的である。FDKPの送達は、吸入時間および吸入の労力とは無関係である。データは、FDKPのAUCと、FDKPのAUCにおける変化する吸入パラメーターでの影響とにより評価した場合、DPI1は、MEDTONE(登録商標)より改良されたバイオアベイラビリティおよび効率を有していることを示す。この試験におけるFDKPのC最大は、DPI1(1回の吸入)の場合で約100ng/mLより大きく、MEDTONE(登録商標)(2回の吸入)を使用した場合の小さい方の値、すなわち、96±30ng/mLより大きかった。
【0183】
実施例9
例示的な吸入システムでのFDKPおよびインシュリンのバイオアベイラビリティにおける改良
この試験は、インシュリンおよびFDKPの薬物動態(PK)により決定される、肺吸入送達システム(DPI2)により送達された、様々な充填重量のTECHNOSPHERE(登録商標)インシュリン吸入粉末(FDKP−インシュリン)の相対的なバイオアベイラビリティを、MEDTONE(登録商標)吸入器と比較し、評価するよう実験された。
【0184】
これは、健康なボランティアにおける、非盲検でのクロスオーバーPK(インシュリンおよびFDKP)試験とした。C−ペプチド補正を使用して、吸入によって送達されたインシュリン対内因性由来のインシュリンの相対量を決定した。24名の対象(1アームあたり12名)に、DPI2を使用して、6.7mgおよび7.3mgの用量のFDKP−インシュリン吸入粉末を投与し(それぞれ、20Uおよび22Uインシュリン、約10%インシュリンw/w)、また、MEDTONE(登録商標)を使用して10mgのFDKP−インシュリン吸入粉末を投与した(30Uインシュリン)。続いて、この試験の3元のクロスオーバーアームにおいて、12名の対象に、DPI2を使用して20Uを与え、またはMEDTONE(登録商標)を介して30Uを与えた。対象からの血液サンプルを、投薬前と、投薬後7、15、30、60、120、240および360分後に採取し、それぞれの治療によるFDKPの薬物動態を評価した。
【0185】
データは、DPI2を使用した20Uまたは22Uのインシュリンが、MEDTONE(登録商標)で投与した30Uのインシュリンと比較した場合に同様の曝露量のインシュリンおよびFDKPを送達したことを示す。インシュリンの場合、血漿曝露(AUC0〜2時間)の結果は、DPI2の20UおよびMEDTONE(登録商標)の30Uに関して、それぞれ、3407±1460uU・分/mL対4,154±1,682uU・分/mLであり、22Uを含むDPI2および30UのMEDTONE(登録商標)に関しては、それぞれ、4,461±2,218uU・分/mL対3,957±1,519uU・分/mLであった。3元クロスオーバーアームでは、血漿インシュリン曝露量が、DPI2およびMEDTONE(登録商標)に関して、それぞれ、4,091±1,189uU・分/mLおよび3,763±1,652uU・分/mLであった。
【0186】
3元試験の結果は、MEDTONE(登録商標)での20.8±18.7分から、DPI2(20U)での14.8±8.94分およびDPI2(22U)システムを使用しての13.6±4.3分へと、インシュリンのT最大が低下したことも示した。3元クロスオーバー試験では、6.7mgのFDKP−インシュリンがDPI2で送達され、それに対して10.0mgのFDKP−インシュリン粉末がMEDTONE(登録商標)で送達される場合、送達された質量に対して標準化されたFDKP血漿曝露量(AUC0〜2時間)は、MEDTONE(登録商標)での1,324ng・分/mL/mg(17名の対象の用量の平均)に比べ、DPI2に関しては、2,059ng・分/mL/mg(16名の対象の用量の平均)であった。この例示的な実施の形態では、バイオアベイラビリティの試験を粉末製剤においておよそ10%のインシュリン含有量にて行った。従って、より高いバイオアベイラビリティ(粉末含有量に対して標準化されていないもの)は、より高い濃度のインシュリンを提供することにより得ることができ、同様の結果がその他の活性成分でも達成することができる。同様に、より高い含有量の活性成分を含有する製剤は、より低いバイオアベイラビリティのFDKP(粉末含有量に対して標準化されていないもの)をもたらす可能性もある。
【0187】
概要としては、インシュリン血漿曝露によって測定されたように、DPI2はMEDTONE(登録商標)よりもインシュリン送達においてより効果的である。DPI2システムは、インシュリン20Uにおいて、インシュリン30Uを用いたMEDTONE(登録商標)の場合と同様のインシュリン曝露量を送達した。
【0188】
上記実験の結果を、さらに、以下のテーブルにおいて示す。また、直前の実施例で述べた試験に、2つの追加パートを続けた。この試験の第2のパートでは、対象に、DPI2を使用してFDKP乾燥粉末製剤中10Uの用量のインシュリンを与え、またはMEDTONE(登録商標)吸入システムを使用してFDKP中15Uのインシュリンを与えた。第3のパートの試験では、対象に、3元クロスオーバーで、DPI2を使用してFDKP製剤中20Uのインシュリンを与え、またはMEDTONE(登録商標)を使用して30Uを与えた。血液中のインシュリン濃度を測定し、その結果を分析し評価した。
【0189】
DPI2の20Uを使用して治療した対象から得られた血漿インシュリンおよびFDKP曝露量(AUC0〜2時間)は、MEDTONE(登録商標)を使用して対象から得られた場合と同様である。データをテーブル9に示す。示される値は、インシュリン20Uを含むDPI2を使用した投薬グループの全て、第I部および第III部から得られ、一方、MEDTONE(登録商標)吸入器の30Uのインシュリンに関する値は、第I部、第Ia部および第III部から得られた。DPI2の22Uに関してインシュリンのAUC血漿曝露量が予測よりも低いのは、インシュリンの最終排出段階中の時点が不十分だったことによる可能性が最も高い。後の時点のいくつかは、AUCの計算に寄与しておらず、修正によりAUClastに関して改善された結果をもたらすタイミング順序で、上昇することが認識された。DPI2の22Uインシュリンコホートが完了した後の、インシュリン薬物動態時点でのこの変化は、続く濃度時間プロファイルを改善する。DPI2の10UおよびMEDTONE(登録商標)吸入器の15Uというより低い用量でも同様であった。全ての個人からのインシュリン濃度を、図38にプロットする。DPI2の20UおよびMEDTONE(登録商標)吸入器の30UからのFDKP曝露量、ならびにDPI2の10UおよびMEDTONE(登録商標)吸入器の15UでのFDKP曝露量は、両方とも生物学的同等性の基準内に包含されている。FDKP曝露量およびインシュリン曝露量には、良好な相関が存在する。全ての個人からのFDKP濃度を、図39において、用量グループ毎にプロットした。
【0190】
テーブル9のデータでは、ここに開示されている吸入器システムの性能を表し、実験において対象に対して測定された平均血漿値AUC0〜無限は、2回の吸入におけるMEDTONE(登録商標)では放出されたFDKPの1mg当たり1,879から3,383ng・分/mLの範囲であり、DPI2では単回吸入後に製剤中に放出されたFDKPの1mg当たり2,773から5124ng・分/mLの範囲であることを示す。データは、全ての対象に関して製剤中に放出されたFDKP質量1mg当たりのFDKPに関し、平均値AUC0〜無限は、3,500または3,568ng・分/mLよりも大きいことを示している。
【0191】
DPI2におけるこの試験での血漿インシュリン平均値AUC0〜2時間は、単回吸入で投与される粉末製剤内において、インシュリン単位当たり約96から315μU・分/mLの範囲であり、インシュリンの平均値は、単回吸入で投与される粉末製剤内において、インシュリンの単位当たり168から216μU・分/mLの範囲である。MEDTONE(登録商標)でのAUC0〜無限(AUC0〜∞)の値は、2回の吸入にて投与される粉末製剤内におけるインシュリン単位当たり約76から約239μU・分/mLの範囲であった。MEDTONE(登録商標)吸入器システムによる最初の吸入は、典型的に使用されるカートリッジ毎の全2回の吸入で放出される全インシュリンの半分より小さくなるということが分かっており(データは図示せず)、製剤内の送達活性剤としてFDKPを使用した場合、同様の特徴がFDKPにもあらわれる。
【0192】
食後のグルコース変動を、インシュリンC−ペプチドの関係を確立するために使用される試験食事間に、およびDPI2またはMEDTONE(登録商標)でのインシュリン投与後の食事試験の間において、それぞれの対象において評価した。DPI2またはMEDTONE(登録商標)をそれぞれ個々の間で比較しているグルコース変動を、図40において示している。当該試験において使用した用量は個々に対し調整せず、従って応答の大きさは個々により異なるが、一般的に、同等のグルコース変動が、2つの吸入器での治療間においてそれぞれ個々に見られた。
【表11】
【0193】
吸入器のバイオアベイラビリティについても、放射性標識FDKPを使用して静脈内ボーラスにより投与されたフマリルジケトピペラジンまたはFDKPのバイオアベイラビリティと比較することで、およびAUC AUC0〜無限として測定することで評価した。この試験の結果は、MEDTONE(登録商標)システムのバイオアベイビリティは、送達されたFDKP粉末が10mgおよび20mgの場合において、それぞれ約26%および32%として計算された。FDK10gを送達するために、モデル分析でDPI1を使用して測定することにより得られたバイオアベイラビリティは、IVボーラス注射により投与されたFDKP10mgと比較した場合、57%であった。FDKP−インシュリン製剤を使用して得られたデータのモデル分析は、DPI2および粉末の単回吸入を使用するFDKPに関するAUC0〜無限により測定されるように、吸入器システムの性能または送達される粉末の効率を評価するのに使用した。DPI2は、2回の吸入のMEDTONE(登録商標)の場合の46%と比較して、全充填の6.7mgからFDKPの64%を全身循環内に送達した。このFDKP−インシュリン製剤の場合、FDKP含有量は約6mgであった。
【0194】
実施例10
C−ペプチド結合インシュリン濃度および幾何平均に基づく薬物動態パラメーター
実施例9において記載したような試験にて、段階1、非盲検、ランダム化されたクロスオーバーの試験プロトコールを使用し、46名の健康な通常のボランティアにおいて試験を行った。当該試験では、用量を送達するのにカートリッジ毎に2回の吸入を必要とするMEDTONE(登録商標)と比較した場合、カートリッジ内に含まれている用量を送達するのに単回吸入を必要とするDPI2吸入器を使用し投与されるFDKP−インシュリン製剤の生物学的同等性を評価するように行った。さらに、当該実験では、対象へと送達されるインシュリン濃度の10Uの用量を含む2つのカートリッジのFDKP−インシュリン吸入粉末の用量は、DPI2吸入器を使用し口腔吸入によりFDKP−インシュリン製剤が投与されるインシュリンの20Uの用量を含む1つのカートリッジに対し、生物学的同等性を有するものか否かについても評価を行った。対象には、DPI2またはMEDTONE(登録商標)を使用して口腔吸入によりFDKP−インシュリンが投与された。当該対象は、DPI2吸入器を使用する、20Uインシュリン単回用量、10Uインシュリンの2回用量、またはMEDTONE(登録商標)吸入器を使用する30Uインシュリンを受けた。2時間にわたり、様々な時間において、それぞれ治療された個々から血液サンプルを採取した。サンプルはインシュリン濃度を測定し分析された。当該試験のための薬物動態パラメーターは、C−ペプチド結合インシュリン濃度値に基づくものである。当該試験から得られた結果を以下のテーブル10に示す。
【表12】
【0195】
データでは、DPI2送達システムでのFDKP−インシュリン製剤を使用する、個々に対する口腔吸入により投与されたインシュリン20Uの使用は、統計学的に、MEDTONE(登録商標)吸入器を使用する同様の製剤の30Uの投与と生物学的同等性を有するということを示している。また、データでは、DPI2吸入器での口腔吸入によるFDKP−インシュリン製剤の2つの10U用量の投与は、同様の吸入器型またはDPI2を使用するFDKP−インシュリン製剤のインシュリンの単回20U用量と比較した場合、同様のインシュリンの全身曝露量をもたらすことも示している。そのため、FDKP−インシュリン製剤のインシュリン用量の2つの10Uは、DPI2吸入システムを使用するFDKP−インシュリンの単回20U用量のように、全身循環において生物学的同等性を持つインシュリン濃度をもたらし、肺吸入により投与される。バイオアベイラビリティのデータでは、患者へ投薬するDPI2の使用、少なくとも例示されているインシュリン/FDKP製剤について、この吸入システムを用いての用量の投薬は、少なくとも試験されたインシュリンの範囲において、または10Uから30Uの範囲において線形となって比例して現れていることも示している。
【0196】
結果としては、DPI2送達システムが製剤の同じ用量の送達において、約33%の割合で、より効果的であるということも示している。そのため、DPI2は、MEDTONE(登録商標)吸入器と比較した場合、33%の用量減少の場合でも、同様のインシュリン用量の曝露量を提供する。
【0197】
実施例11
測定基準に基づいたin vitroでの吸入器性能の使用における吸入プロファイルの特徴
吸入器システムは、本明細書に記載されている、カートリッジを備える乾燥粉末吸入器(DPI2)から構成される。吸入動作の間および後の時間の期間において、DPI2を、吸入器にて生じた圧力差を測定する、米国特許出願第12/488,469号明細書(米国特許出願公開第2009/0314292号明細書、当該文献に教示されている吸入動作および労作ならびにその測定に関する全てについてを参照によりここに組み込む)において開示されている、BLUHALE(登録商標)装置と適合する。図41は、吸入器を通る圧力降下が単回吸入の間および後の5秒の期間において測定された、DPI2の例示的なグラフ式のプロファイルである。2秒でのピーク吸気圧力またはPIP(2)は、吸入開始後の最初の2秒の間に得られる曲線上における最も高い場所まは最も高い圧力を示している。図41は、DPI2でのPIP(2)が約5kPaであり、1秒内での曲線下面積またはAUC(1)が3.7kPa・秒であることを示している。
【0198】
実施例12
粒子直径試験に基づく吸入器性能閾値実験
これらの実施例では、DPI2型の吸入器が使用された。個々の吸入器には、デバイスの性能を試験できるよう、インシュリンおよびFDKPを含む微小粒子を含有する乾燥粉末製剤を有するカートリッジが装填されている。吸入器は、上述の実施例11において例示したように、プロファイルを収集するため前もって使用しておいた。BLUHALE(登録商標)での吸入プロファイルを収集した後、吸入器を、使用者により例示的な吸入を再現できるよう、国際特許出願番号PCT/US2010/055323において記載されているような吸入シミュレーターに適合した。なお、PCT/US2010/055323に教示されている吸入動作および労作ならびにその測定に関する全てについて、参照によりここに組み込む。シミュレーターを使用した吸入プロファイルは、その後、上述の実施例2において記載したよう粒径分布を測定するよう、2つの吸入器からレーザー回折装置の中へ粉末を放出して適用させる。レーザー回折装置は、体積メジアン幾何学直径(VMGD)を測定する。放出された粒子の50%が直径において4.88μmより小さければ、値は許容範囲であると考えられ、DPI2での最適な使用では、粒径平均において33%増加に基づいて選択される。粉末用量を有する2つの吸入器はレーザー回折装置内に装填され、様々な吸入プロファイル、すなわち様々なPIP(2)およびAUC(1)の値での粉末の放出または放射が得られた。当該試験は、それぞれの吸入器にて5回繰り返した計10測定であり、データを分析しプロットした。図42は、2つの吸入器でのPIP(2)およびAUC(1)のグラフとしての実施例の結果を示し、グラフ上におけるそれぞれの点は10放出の平均を表している。空となっているカートリッジ(または放出された乾燥粉末)は全ての放出での87%よりも大きくなっていた。グラフの三角形の吸入境界領域は、AUC(1)の値を与えられたデバイスを得るために、PIP(2)の値が物理的に不可能であるグラフ上における領域を表している。上述した明細書に基づいた基準に準じていると思われ、図42における基準線を通っているGen2の上であり右である吸入動作が、許容される性能である。図42のデータは、本発明のデバイスの許容される性能における低限が、約2kPaのPIP(2)であり、少なくとも約1.2kPa・秒のAUC(1)であることを示している。しかし、他の実施例において、許容される性能は、少なくとも約1.0または少なくとも約1.1kPa・秒であったことも証明された。
【0199】
前述の開示は例示的な実施の形態である。ここに開示されたデバイス、技術および方法は、本発明の開示の実施の際に、うまく機能する代表的な実施の形態を明らかにすることが当業者により理解されるべきである。しかし、当業者は、本発明の開示に照らし、開示されている特定の実施の実施の形態に多くの変更を行うことができ、それでもなお、本発明の観点および範囲から逸脱することなく、同様の、または類似した結果を得ることができることを理解すべきである。
【0200】
他に指示しない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される成分の量、分子量等の性質、および反応条件等を表す全ての数は、「約」という用語により全ての場合において修飾されることが理解されるだろう。従って、逆の場合を示さない限り、次の明細書および添付される特許請求の範囲に記述される数値パラメーターは、本発明により得ることが求められる所望の性質に応じて変えてもよい近似値である。最低限、また特許請求の範囲と均等な原理の適用を限定するものではないが、各数値パラメーターは、報告された有効数字の数に照らしかつ通常の丸め技法を適用することによって、少なくとも解釈されるべきである。本発明の広範囲について述べる数値範囲およびパラメーターが近似値であるにもかかわらず、特定の実施例で記述される数値は、可能な限り正確に報告される。しかし任意の数値は、それぞれの試験測定値に見いだされる標準偏差から必ず生じる、ある誤差を本来含有する。
【0201】
本発明について記述する文脈(特に、次の特許請求の範囲の文脈)で使用される、「a」、「an」および「前記(the)」という用語、および同様の指示対象は、本明細書で他に指示しない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、単数形および複数形の両方を包含するよう解釈される。本明細書での値の範囲の引用は、その範囲内に包含される個々の値それぞれを個別に指すための簡潔な方法として、単に役割を果たすことが意図される。他に指示しない限り、個々の値それぞれは、あたかも本明細書に個々に引用されるように明細書に組み込まれる。本明細書に記述される全ての方法は、本明細書に他に指示しない限りまたは明らかに文脈と矛盾しない限り、任意の適切な順序で行うことができる。本明細書に示される、任意の、および全ての例、または例示的な言語(例えば、「〜のような」)の使用は、単に本発明をより明らかにするためのものであり、他に特許請求の範囲に示される本発明の範囲に制限を課すものではない。本明細書では、本発明の実施に必要不可欠な特許請求の範囲に示されていない任意の要素を示すと解釈すべき言語はない。
【0202】
特許請求の範囲における「または」という用語の使用は、代替例のみ指すことを他に明示しない限り「および/または」を指すのに使用され、またはこれら代替例は相互に排除されるが、本開示は代替例のみだけ、「および/または」を指す定義を指示する。
【0203】
ここに開示される本発明の代替の要素、または実施の形態のグループ分けは、限定されるものではない。それぞれのグループの構成要素は、個々に、またはこのグループのその他の構成要素もしくは本明細書に見いだされるその他の要素との任意の組合せで言及することができ、かつ特許請求の範囲に記載することができる。グループの1つまたは複数の構成要素は、便宜上および/または特許性を理由として、グループに含めることができ、またはグループから排除することが期待される。任意のそのような包含、または排除が行われる場合、本明細書は修正されたグループを含有すると本明細書では見なされ、従って、添付される特許請求の範囲で使用される全てのマーカッシュ群の書面による記述が実現される。
【0204】
本発明を実施するために、本発明者らに公知の最良の形態を含めた本発明の好ましい実施の形態が、ここに記述される。当然ながら、これら好ましい実施の形態の変形例が、前の記述を読むことによって当業者に明らかにされよう。本発明者らは、当業者がそのような変形例を必要に応じて用いることを予測し、また本発明者らは、本発明を、本明細書に具体的に記述される以外のその他の方法によって実施することを意図するものである。従って、本発明は、適用法により許可されるように、ここに添付される特許請求の範囲に記載される主題の全ての修正例および均等物を含む。さらに、その全ての可能な変形例における上述の要素の任意の組合せは、他に指示しない限り、または他に文脈と明らかに矛盾しない限り包含されている。
【0205】
本明細書に開示される特定の実施の形態は、言語からなる、または本質的に言語からなることを使用して、特許請求の範囲でさらに限定される可能性がある。特許請求の範囲で使用する場合、補正ごとに出願しても付加しても、「からなる」という移行用語は、特許請求の範囲に指示されていない任意の要素、工程または成分を除外する。「本質的に〜なる」という移行用語は、特許請求の範囲を、指示された材料またはステップと、基本的な、および新規な(1つまたは複数の)特徴に実質的に影響を及ぼさないものとに限定する。そのように特許請求の範囲に記載された本発明の実施の形態は、本明細書に本質的に、または明瞭に記述され可能にされる。
【0206】
さらに、本明細書の全体を通して、数多くの参照が特許および印刷刊行物になされている。上記引用された参考文献および印刷刊行物のそれぞれは、その全体が参照により本明細書に個々に組み込まれる。
【0207】
さらに、本明細書に開示される本発明の実施の形態は、本発明の原理を例証することが理解される。用いられるその他の変形例は、本発明の範囲内にある。このように、例として、しかし限定することなく、本発明の代替の構成を本明細書の教示に従い利用することが可能である。従って、本発明は、図示され、記述されるように、本発明を精密に限定するものではない。
(付記)
(付記1)
a)マウスピースと、
b)容器ハウジングと、
c)少なくとも1つの剛性の空気導管とを備え、
約75%より多い量の乾燥粉末が、単回吸入における粉末粒子として前記容器ハウジング内に適合された容器から放出されるよう構成されており、前記マウスピースを通る単回吸入が、2秒以内において約2kPaのピーク吸気圧力を生じさせる場合、放出された粉末粒子は、約5ミクロンより小さい体積メジアン幾何学直径を有する、乾燥粉末吸入器。
(付記2)
毎分約0.065(√kPa)/リットルから毎分約0.200(√kPa)/リットルの範囲の空気流動抵抗値を有する、付記1に記載の乾燥粉末吸入器。
(付記3)
前記乾燥粉末は肺送達のための製剤であり、約1mgから約30mgの量の乾燥粉末を備えている、付記1に記載の乾燥粉末吸入器。
(付記4)
前記乾燥粉末は、ジケトピペラジンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む、付記1に記載の乾燥粉末吸入器。
(付記5)
前記ジケトピペラジンは、式2,5−ジケト−3,6−ビス(N−X−4−アミノブチル)ピペラジンで示され、Xは、フマリル、スクシニル、マレイルおよびグルタリルからなる群から選択される、付記4に記載の乾燥粉末吸入器。
(付記6)
前記ジケトピペラジンは、(ビス−3,6−(N−フマリル−4−アミノブチル)−2,5−ジケト−ジケトピペラジンである、付記5に記載の乾燥粉末吸入器。
(付記7)
前記乾燥粉末は、薬物または活性剤を含む、付記1に記載の乾燥粉末吸入器。
(付記8)
前記活性剤は、内分泌ホルモンである、付記7に記載の乾燥粉末吸入器。
(付記9)
前記乾燥粉末は、ペプチド、ポリペプチドもしくはこれらの断片、有機小分子または核酸分子を含む、付記1に記載の乾燥粉末吸入器。
(付記10)
前記ペプチドは、インシュリン、グルカゴン、グルカゴン様ペプチド−1、副甲状腺ホルモン、オキシトシン、オキシントモジュリン、ペプチドYY、エキセンジン、これらの類似体またはこれらの断片である、付記9に記載の乾燥粉末吸入器。
(付記11)
前記有機小分子は、血管拡張物質、血管収縮神経物質、神経伝達物質アゴニストまたは神経伝達物質アンタゴニストである、付記9に記載の乾燥粉末吸入器。
(付記12)
前記単回吸入は、1秒以内における圧力対時間曲線から、少なくとも約1.0、1.1または1.2kPa・秒の曲線下面積(AUC)を生じさせる、付記1に記載の乾燥粉末吸入器。
(付記13)
前記容器は、前記容器ハウジング内部に一体化しており、乾燥粉末が充填されている、付記1に記載の乾燥粉末吸入器。
(付記14)
吸入器は、容器を含んでいない、付記1に記載の乾燥粉末吸入器。
(付記15)
前記容器は、吸入器から分離して提供され、乾燥粉末が充填されている、付記1に記載の乾燥粉末吸入器。
(付記16)
毎分約0.065(√kPa)/リットルから毎分約0.200(√kPa)/リットルの範囲の空気流動抵抗値を有する乾燥粉末吸入器を提供し、乾燥粉末の用量を含ませる工程と、
2秒以内において少なくとも2kPaのピーク吸気圧力に達する十分な力を適用する工程と、
吸気圧力対時間曲線の最初の1秒(AUC0−1秒)において、少なくとも約1.0、1.1または1.2kPa・秒における曲線下面積を生じさせる工程であって、前記乾燥粉末の用量の75%より大きい量が粉末粒子として前記吸入器から放射または放出される工程と、
を備える、高抵抗性乾燥粉末吸入器を使用する、乾燥粉末の送達方法。
(付記17)
前記乾燥粉末は、肺送達のための製剤であり、約1gから約30gの前記乾燥粉末の量を含んでいる、付記16に記載の方法。
(付記18)
前記乾燥粉末は、ジケトピペラジンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む、付記17に記載の方法。
(付記19)
前記ジケトピペラジンは、式3,6−ビス(N−X−4−アミノブチル)−2,5−ジケトピペラジンで示され、Xはフマリル、スクシニル、マレイルおよびグルタリルからなる群から選択される、付記18に記載の方法。
(付記20)
前記ジケトピペラジンは、ビス−3,6−(N−フマリル−4−アミノブチル)−2,5−ジケト−ジケトピペラジンである、付記19に記載の方法。
(付記21)
乾燥粉末製剤は、薬物、または、有機小分子、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質もしくは核酸分子からなる群から選択される活性剤を含む、付記16に記載の方法。
(付記22)
前記有機小分子は、血管作用剤、神経伝達アゴニスト、神経伝達アンタゴニストまたはステロイド分子である、付記21に記載の方法。
(付記23)
前記乾燥粉末製剤はフマリルジケトピペラジン微小粒子を含み、当該フマリルジケトピペラジン微小粒子は、前記乾燥粉末吸入器から放出された際に、約2μmから8μmの範囲の体積メジアン幾何学直径(VMGD)、および、4μmよりも小さい幾何標準偏差を有していることが測定される、付記20に記載の方法。
図1
図2
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